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特許7533372情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021100646
(22)【出願日】2021-06-17
(65)【公開番号】P2023000055
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英
(72)【発明者】
【氏名】長井 学
(72)【発明者】
【氏名】本田 大作
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-056873(JP,A)
【文献】特開平11-053690(JP,A)
【文献】特開2017-162083(JP,A)
【文献】特開2021-089732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0101526(US,A1)
【文献】特開2020-101986(JP,A)
【文献】特開2003-346297(JP,A)
【文献】国際公開第2021/024490(WO,A1)
【文献】特開2008-242844(JP,A)
【文献】特開2003-014477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通環境に設けられ当該交通環境に存在する物体についてセンシングするセンサのセンサデータを取得するデータ取得部と、
前記センサデータに基づいて、前記物体ごとに、少なくとも位置及び移動を特定する情報である物体情報を生成する物体情報生成部と、
前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体ごとに、他の前記物体を検出することが可能な範囲である物体検出範囲を推定する検出範囲推定部と、
前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体同士が所定時間内に交差するか否かを判定する交差判定部と、
第一の前記物体と前記所定時間内に交差する第二の前記物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第一の物体の前記物体検出範囲外であるか否かと、前記第一の物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第二の物体の前記物体検出範囲外であるか否かを判定する検出範囲内外判定部と、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外である場合、又は、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための信号を出力する信号出力部と
を有し、
前記信号出力部は、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための前記信号として、交差を回避する制御を、前記第一の物体又は前記第二の物体の移動を制御する制御装置に指示する信号を出力し、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外であり、かつ、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合には、交差を回避する制御を前記制御装置に指示する前記信号として、停止制御を前記制御装置に指示する信号が出力され、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲内であり、かつ、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合には、交差を回避する制御を前記制御装置に指示する前記信号として、減速制御を前記制御装置に指示する信号が出力される
情報処理装置。
【請求項2】
前記検出範囲推定部は、前記交通環境についての三次元地図情報により特定される障害物により生じる死角領域が除外された前記物体検出範囲を推定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出範囲推定部は、前記物体情報が生成された前記物体により生じる死角領域が除外された前記物体検出範囲を推定する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記物体情報生成部は、前記物体の種別も特定する前記物体情報を生成し、
前記検出範囲推定部は、前記物体の種別ごとに用意されたデフォルトの検出範囲に基づいて、前記物体検出範囲を推定する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ取得部は、さらに、前記交通環境に存在する車両から、当該車両の周辺の物体についてセンシングする車載センサのセンサデータと、当該車両の位置とを取得し、
前記検出範囲推定部は、車両である前記物体の前記物体検出範囲を、当該車両から取得した前記車載センサのセンサデータと当該車両の位置とに基づいて推定する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記データ取得部は、さらに、前記交通環境に存在する車両から、当該車両の経路情報を取得し、
前記交差判定部は、前記車両の経路情報を用いて、当該車両が他の物体と所定時間内に交差するか否かを判定する
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記信号出力部は、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための前記信号として、交差の回避を促すメッセージの出力を、交通環境に設けられた出力装置に指示する信号をさらに出力する
請求項1乃至のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記信号出力部は、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための前記信号として、交差の回避を促すメッセージの出力を、前記第一の物体又は前記第二の物体に設けられた出力装置に指示する信号をさらに出力する
請求項1乃至のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
交通環境に設けられ当該交通環境に存在する物体についてセンシングするセンサのセンサデータを取得し、
前記センサデータに基づいて、前記物体ごとに、少なくとも位置及び移動を特定する情報である物体情報を生成し、
前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体ごとに、他の前記物体を検出することが可能な範囲である物体検出範囲を推定し、
前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体同士が所定時間内に交差するか否かを判定し、
第一の前記物体と前記所定時間内に交差する第二の前記物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第一の物体の前記物体検出範囲外であるか否かと、前記第一の物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第二の物体の前記物体検出範囲外であるか否かを判定し、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外である場合、又は、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための信号を出力し、
前記信号の出力では、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための前記信号として、交差を回避する制御を、前記第一の物体又は前記第二の物体の移動を制御する制御装置に指示する信号を出力し、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外であり、かつ、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合には、交差を回避する制御を前記制御装置に指示する前記信号として、停止制御を前記制御装置に指示する信号が出力され、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲内であり、かつ、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合には、交差を回避する制御を前記制御装置に指示する前記信号として、減速制御を前記制御装置に指示する信号が出力される
情報処理方法。
【請求項10】
交通環境に設けられ当該交通環境に存在する物体についてセンシングするセンサのセンサデータを取得するデータ取得ステップと、
前記センサデータに基づいて、前記物体ごとに、少なくとも位置及び移動を特定する情報である物体情報を生成する物体情報生成ステップと、
前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体ごとに、他の前記物体を検出することが可能な範囲である物体検出範囲を推定する検出範囲推定ステップと、
前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体同士が所定時間内に交差するか否かを判定する交差判定ステップと、
第一の前記物体と前記所定時間内に交差する第二の前記物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第一の物体の前記物体検出範囲外であるか否かと、前記第一の物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第二の物体の前記物体検出範囲外であるか否かを判定する検出範囲内外判定ステップと、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外である場合、又は、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための信号を出力する信号出力ステップと
をコンピュータに実行させ
前記信号出力ステップでは、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための前記信号として、交差を回避する制御を、前記第一の物体又は前記第二の物体の移動を制御する制御装置に指示する信号を出力し、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外であり、かつ、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合には、交差を回避する制御を前記制御装置に指示する前記信号として、停止制御を前記制御装置に指示する信号が出力され、
前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲内であり、かつ、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合には、交差を回避する制御を前記制御装置に指示する前記信号として、減速制御を前記制御装置に指示する信号が出力される
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関し、特に交通環境に関する情報を用いた処理を行う情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
安全な交通を実現するための技術の提供が求められている。これに関して、例えば、特許文献1に記載された車両システムは、インフラセンサの死角領域と車載センサの死角領域が重なる領域の大きさに基づいて、車両の走行を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-195289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交通環境を移動する物体である交通参加者は、車両に限られない。例えば、歩行者や自転車などが交通参加者となる場合もある。しかしながら、特許文献1に記載された技術では、交通参加者のうち車両の視野だけを用いて交通を制御しており、歩行者や自転車などといった他の交通参加者の視野については考慮されていない。すなわち、この技術では、例えば、交差(衝突)しうる対象が、歩行者や自転車などといった車両以外の交通参加者である場合には、適切に交差を回避することができない。
【0005】
本開示は、上記した事情を背景としてなされたものであり、交通参加者同士の交差(衝突)を適切に回避することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本開示の一態様は、交通環境に設けられ当該交通環境に存在する物体についてセンシングするセンサのセンサデータを取得するデータ取得部と、前記センサデータに基づいて、前記物体ごとに、少なくとも位置及び移動を特定する情報である物体情報を生成する物体情報生成部と、前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体ごとに、他の前記物体を検出することが可能な範囲である物体検出範囲を推定する検出範囲推定部と、前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体同士が所定時間内に交差するか否かを判定する交差判定部と、第一の前記物体と前記所定時間内に交差する第二の前記物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第一の物体の前記物体検出範囲外であるか否かと、前記第一の物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第二の物体の前記物体検出範囲外であるか否かを判定する検出範囲内外判定部と、前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外である場合、又は、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための信号を出力する信号出力部とを有する情報処理装置である。
この情報処理装置によれば、交差する可能性がある物体(交通参加者)ごとに、物体検出範囲、すなわち視野が推定され、物体検出範囲外に交差相手が存在する場合には交差を回避するための信号が出力される。このため、この情報処理装置によれば、交通参加者同士の交差を適切に回避することができる。
【0007】
上記の一態様において、前記検出範囲推定部は、前記交通環境についての三次元地図情報により特定される障害物により生じる死角領域が除外された前記物体検出範囲を推定してもよい。
このような構成よれば、地図情報によって示される障害物による死角を考慮した物体検出範囲が得られる。このため、各物体(交通参加者)が、交差相手を検出することが可能であるか否かをより適切に判定することができる。したがって、交通参加者同士の交差をより適切に回避することができる。
【0008】
上記の一態様において、前記検出範囲推定部は、前記物体情報が生成された前記物体により生じる死角領域が除外された前記物体検出範囲を推定してもよい。
このような構成よれば、交通環境に一時的に存在する障害物による死角を考慮した物体検出範囲が得られる。このため、各物体(交通参加者)が、交差相手を検出することが可能であるか否かをより適切に判定することができる。したがって、交通参加者同士の交差をより適切に回避することができる。
【0009】
上記の一態様において、前記物体情報生成部は、前記物体の種別も特定する前記物体情報を生成し、前記検出範囲推定部は、前記物体の種別ごとに用意されたデフォルトの検出範囲に基づいて、前記物体検出範囲を推定してもよい。
このような構成よれば、物体の種別に応じた物体検出範囲が得られる。このため、各物体(交通参加者)が、交差相手を検出することが可能であるか否かをより適切に判定することができる。したがって、交通参加者同士の交差をより適切に回避することができる。
【0010】
上記の一態様において、前記データ取得部は、さらに、前記交通環境に存在する車両から、当該車両の周辺の物体についてセンシングする車載センサのセンサデータと、当該車両の位置とを取得し、前記検出範囲推定部は、車両である前記物体の前記物体検出範囲を、当該車両から取得した前記車載センサのセンサデータと当該車両の位置とに基づいて推定してもよい。
このような構成よれば、車両の物体検出範囲が車載センサのデータから特定される。このため、車両の実際の物体検出範囲を特定することができる。
【0011】
上記の一態様において、前記データ取得部は、さらに、前記交通環境に存在する車両から、当該車両の経路情報を取得し、前記交差判定部は、前記車両の経路情報を用いて、当該車両が他の物体と所定時間内に交差するか否かを判定してもよい。
このような構成よれば、車両の移動の予定経路が取得できるため、交差の発生をより正確に判定することができる。
【0012】
上記の一態様において、前記信号出力部は、前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外であり、かつ、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合には、前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲内であり、かつ、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合に出力される前記信号とは異なる前記信号を出力してもよい。
このような構成よれば、交差する物体の両方が交差相手を検出できない場合には、交差する物体のうち一方だけが交差相手を検出できない場合に出力される信号とは異なる信号を出力することができる。このため、より危険性が高い場合に、特別な信号を出力することができる。
【0013】
上記の一態様において、前記信号出力部は、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための前記信号として、交差の回避を促すメッセージの出力を、交通環境に設けられた出力装置に指示する信号を出力してもよい。
このような構成よれば、交通環境に設けられた出力装置から交差の回避を促すメッセージが出力される。このため、交通参加者に注意を促すことができる。
【0014】
上記の一態様において、前記信号出力部は、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための前記信号として、交差の回避を促すメッセージの出力を、前記第一の物体又は前記第二の物体に設けられた出力装置に指示する信号を出力してもよい。
このような構成よれば、物体(交通参加者)が備える出力装置から交差の回避を促すメッセージが出力される。このため、交通参加者に直接的に注意を促すことができる。
【0015】
上記の一態様において、前記信号出力部は、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための前記信号として、交差を回避する制御を、前記第一の物体又は前記第二の物体の移動を制御する制御装置に指示する信号を出力してもよい。
このような構成よれば、交差の危険性がある場合に、その当事者である物体(交通参加者)の移動を制御することができる。このため、より確実に、交差(衝突)を回避することができる。
【0016】
上記目的を達成するための本開示の他の一態様は、交通環境に設けられ当該交通環境に存在する物体についてセンシングするセンサのセンサデータを取得し、前記センサデータに基づいて、前記物体ごとに、少なくとも位置及び移動を特定する情報である物体情報を生成し、前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体ごとに、他の前記物体を検出することが可能な範囲である物体検出範囲を推定し、前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体同士が所定時間内に交差するか否かを判定し、第一の前記物体と前記所定時間内に交差する第二の前記物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第一の物体の前記物体検出範囲外であるか否かと、前記第一の物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第二の物体の前記物体検出範囲外であるか否かを判定し、前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外である場合、又は、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための信号を出力する情報処理方法である。
この情報処理方法によれば、交差する可能性がある物体(交通参加者)ごとに、物体検出範囲、すなわち視野が推定され、物体検出範囲外に交差相手が存在する場合には交差を回避するための信号が出力される。このため、この情報処理方法によれば、交通参加者同士の交差を適切に回避することができる。
【0017】
上記目的を達成するための本開示の他の一態様は、交通環境に設けられ当該交通環境に存在する物体についてセンシングするセンサのセンサデータを取得するデータ取得ステップと、前記センサデータに基づいて、前記物体ごとに、少なくとも位置及び移動を特定する情報である物体情報を生成する物体情報生成ステップと、前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体ごとに、他の前記物体を検出することが可能な範囲である物体検出範囲を推定する検出範囲推定ステップと、前記物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、前記物体同士が所定時間内に交差するか否かを判定する交差判定ステップと、第一の前記物体と前記所定時間内に交差する第二の前記物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第一の物体の前記物体検出範囲外であるか否かと、前記第一の物体についての前記物体情報により特定される位置が、前記第二の物体の前記物体検出範囲外であるか否かを判定する検出範囲内外判定ステップと、前記第二の物体の位置が前記第一の物体の前記物体検出範囲外である場合、又は、前記第一の物体の位置が前記第二の物体の前記物体検出範囲外である場合、前記第一の物体と前記第二の物体の交差を回避するための信号を出力する信号出力ステップとをコンピュータに実行させるプログラムである。
このプログラムによれば、交差する可能性がある物体(交通参加者)ごとに、物体検出範囲、すなわち視野が推定され、物体検出範囲外に交差相手が存在する場合には交差を回避するための信号が出力される。このため、このプログラムによれば、交通参加者同士の交差を適切に回避することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、交通参加者同士の交差(衝突)を適切に回避することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態にかかる交通システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】交通環境の一例を示す模式図である。
図3】実施の形態にかかる情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】所定の検出範囲の一例を示す模式図である。
図5】車両の物体検出範囲を示す模式図である。
図6】歩行者の物体検出範囲を示す模式図である。
図7】自転車の物体検出範囲を示す模式図である。
図8】実施の形態にかかる情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本開示において、視野とは、人間の視覚による検出範囲に限らず、センサによる検出範囲も意味するものとする。
【0021】
図1は、実施の形態にかかる交通システム1の構成の一例を示すブロック図である。交通システム1は、情報処理装置10と、インフラセンサ20_1、20_2、・・・、20_Nとを含む。図1に示した例では、交通システム1は、N台のインフラセンサ20を含むが、1以上のインフラセンサ20を含めばよく、その数は特に限定されない。すなわち、Nは1以上の整数である。なお、以下の説明では、インフラセンサ20_1、20_2、・・・、20_Nについて特に区別せずに言及する場合、インフラセンサ20と称すこととする。インフラセンサ20及び情報処理装置10はそれぞれ通信機能を備えており、インフラセンサ20及び情報処理装置10はネットワークに接続している。このため、インフラセンサ20及び情報処理装置10はネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0022】
インフラセンサ20は、交通環境に設けられ当該交通環境に存在する物体についてセンシングするセンサである。例えば、インフラセンサ20_1、20_2、・・・、20_Nは、交通環境を網羅的にセンシングするために、当該交通環境に分散して配置されている。なお、インフラセンサ20は、例えば、道路脇などに固定的に設けられるが、ドローンなどのような移動体に搭載されていてもよい。具体的には、インフラセンサ20は、例えば、可視光カメラであってもよいし、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサであってもよいし、ミリ波レーダーであってもよい。なお、インフラセンサ20の具体的な構成は、これらに限られない。インフラセンサ20は、センシング結果の情報であるセンサデータを情報処理装置10に送信する。
【0023】
情報処理装置10は、交通環境についての情報を取得して、この交通環境における物体(交通参加者)同士の交差(衝突)を回避するための信号(以下、交差回避信号と称す)を生成する装置である。情報処理装置10の詳細については後述する。なお、情報処理装置10は、データセンターなど任意の場所に設置されている。
【0024】
図2は、交通環境の一例を示す模式図である。図2に一例として示した交通環境は、道路90a、道路90b、道路90cを含んでいる。また、図2で示した例では、道路90aを車両40が矢印91aの方向に移動している。また、道路90bを歩行者50が矢印91bの方向に移動している。また、道路90cを自転車60が矢印91cの方向に移動している。また、図2に示した交通環境には、インフラセンサ20が分散して設置されており、これらインフラセンサ20により交通環境が網羅的にセンシングされる。
【0025】
また、図2に示した交通環境は、障害物92a及び障害物92bを含んでいる。障害物92aは、交通環境に永続的に存在し、交通参加者に死角を生じさせる物体である。換言すると、障害物92aは、後述する地図情報に反映されている障害物である。例えば、障害物92aは、建物であってもよいし、塀であってもよいし、電柱などであってもよい。図2に示した環境では、一例として、障害物92aは、道路90a、道路90b、道路90cに沿って設置されている塀である。障害物92bは、交通環境に一時的に存在し、交通参加者に死角を生じさせる物体である。換言すると、障害物92bは、後述する地図情報に反映されていない障害物である。例えば、障害物92bは、道路上に駐車した車両であってもよいし、道路上に放置された荷物であってもよい。図2に示した環境では、一例として、障害物92bは、道路90bの脇に駐車されている車両である。
【0026】
また、図2に示した交通環境には出力装置30a及び出力装置30bが設けられている。出力装置30a及び出力装置30bは、交通参加者に対してメッセージを出力する装置である。メッセージの出力は、画像の出力により行われてもよいし、音声の出力により行われてもよい。すなわち、出力装置30a及び出力装置30bは、ディスプレイを含んで構成されてもよいし、スピーカを含んで構成されてもよい。メッセージは、言葉でなくてもよく、注意を促すランプの点灯であってもよいし、注意を促す警報音であってもよい。また、出力装置30a及び出力装置30bは、警告灯であってもよいし、電光掲示板であってもよい。図2に示した例では出力装置30a及び出力装置30bは、路面に設定されているが、路面から浮いた位置に設置されていてもよい。なお、図2に示した例では、具体的には、出力装置30aは、道路90aと道路90bの接続地点の付近に設けられており、出力装置30bは、道路90bと道路90cの接続地点の付近に設けられている。図2に示した例では、2つの出力装置30a、30bが図示されているが、交通環境に、任意の数の出力装置が任意の位置に設けられていてもよい。
【0027】
また、図2に示した例では、車両40は、車両40の周辺の物体についてセンシングする車載センサ41を備えている。図2に示した例では、車載センサ41は、車両40の前方をセンシングするセンサであるが、後方をセンシングするセンサであってもよいし、側方をセンシングするセンサであってもよい。具体的には、車載センサ41は、例えば、可視光カメラであってもよいし、LiDARセンサであってもよいし、ミリ波レーダーであってもよい。なお、車載センサ41の具体的な構成は、これらに限られない。
【0028】
また、車両40は、車両40の乗員(例えばドライバー)に対してメッセージを出力する出力装置42を備えている。なお、出力装置42においても、メッセージの出力は、画像の出力により行われてもよいし、音声の出力により行われてもよい。すなわち、出力装置42は、ディスプレイを含んで構成されてもよいし、スピーカを含んで構成されてもよい。また、車両40は、車両40の移動を含む様々な動作を制御する制御装置43を備えている。なお、図2に示した例では、車両40は、車載センサ41、出力装置42、及び制御装置43を備えているが、車両40はこれらの一部だけを備えていてもよいし、いずれも備えていなくてもよい。
【0029】
インフラセンサ20、車載センサ41、出力装置30a、30b、42、制御装置43は、いずれもネットワークと接続しており、情報処理装置10と通信が可能である。なお、車載センサ41、出力装置42、及び制御装置43、車両40は、それらに搭載された通信装置を介してネットワークと接続していてもよい。インフラセンサ20及び車載センサ41のセンサデータは、逐次、情報処理装置10に送信される。
【0030】
車載センサ41のセンサデータは、車載センサ41のセンシング方向を含んでもよい。なお、交通環境におけるセンシング方向を一意に特定すべく、センサデータに含まれるセンシング方向は、絶対座標系における方向であることが好ましい。車載センサ41のセンサデータは、車両40の位置情報とともに送信される。車載センサ41のセンサデータ及び車両40の位置情報に加えて、車両40の移動情報(例えば、車両40の移動速度の情報及び移動方向の情報)が情報処理装置10に送信されてもよい。移動方向の情報は、例えば、地図上における車両40の移動方向などのように、絶対座標系における方向を示す情報であることが好ましい。すなわち、移動方向の情報は、交通環境における移動方向を一意に特定する情報であることが好ましい。したがって、車載センサ41のセンサデータは、車載センサ41によるセンシング時の車両40の位置及び移動を示す情報とともに情報処理装置10に送信されてもよい。なお、車両40の位置及び移動などの情報は、例えば、制御装置43において管理されている。車両40の位置情報及び移動情報は、車載センサ41のセンサデータが送信されるか否かにかかわらず、情報処理装置10に送信されてもよい。
【0031】
また、制御装置43が車両40の移動予定の経路を示す経路情報を生成する場合には、制御装置43は、この経路情報を情報処理装置10に送信してもよい。ここで、経路情報は、予定されている移動経路を示す情報であればよく、車両40の車輪毎の経路情報を示す情報(すなわち、各車輪の予定されている軌跡を示す情報)を含んでもよい。なお、車両40から送信される情報は、車両40の識別情報(例えば、車種(モデル)を識別するための情報)を含んでもよい。
【0032】
出力装置30a、30b、42は、それぞれ、情報処理装置10からメッセージ出力のための交差回避信号を受信すると、受信した交差回避信号に従って、メッセージを出力する。また、制御装置43は、情報処理装置10から移動制御のための交差回避信号を受信すると、受信した交差回避信号に基づいて車両40の移動を制御する。
【0033】
次に、情報処理装置10の詳細について説明する。図3は、情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、情報処理装置10は、データ取得部100、物体情報生成部101、物体情報記憶部102、地図情報記憶部103、検出範囲推定部104、物体検出範囲記憶部105、交差判定部106、検出範囲内外判定部107、及び信号出力部108を有する。
【0034】
データ取得部100は、インフラセンサ20のセンサデータを取得する。また、データ取得部100は、情報の送信が可能な車両から種々の情報を取得する。具体的には、データ取得部100は、可能である場合、車両40から、車載センサ41のセンサデータと当該車両40の位置とを取得する。また、データ取得部100は、可能である場合、車両40から、当該車両40の移動情報(当該車両40の移動方向、及び当該車両40の移動速度)を取得する。また、データ取得部100は、可能である場合、車両40から、当該車両40の経路情報を取得する。
【0035】
物体情報生成部101は、交通環境に存在する物体ごとに、物体情報を生成する。ここで、物体情報とは、少なくとも物体の位置及び移動を特定する情報である。移動を特定する情報は、具体的には、例えば、物体の移動方向及び移動速度である。物体情報生成部101は、少なくとも、交通環境を移動する物体(交通参加者)について物体情報を生成するが、交通環境に存在する障害物(例えば、一時的な障害物である障害物92b)などのように静止した物体について物体情報を生成してもよい。
【0036】
物体情報生成部101は、例えば、インフラセンサ20のセンサデータに基づいて、物体情報を生成する。具体的には、物体情報生成部101は、インフラセンサ20の設置位置と、インフラセンサ20のセンサデータから特定される、インフラセンサ20からの物体の相対位置とを用いて、当該物体の交通環境における位置を特定する。インフラセンサ20の設置位置は、予め既知であり、さらにインフラセンサ20のセンシング方向を含んでいてもよい。また、物体情報生成部101は、センサデータの時系列データから物体の位置の推移を特定することにより、当該物体の移動(移動速度及び移動方向)を特定する。なお、複数のインフラセンサ20が同一の物体についてセンシングした場合には、物体情報生成部101は、物体の特徴量に基づいて、センサデータを統合した上で、物体情報を生成してもよい。
【0037】
データ取得部100が、車両40から、当該車両40の位置情報及び移動情報を取得した場合には、物体情報生成部101は、車両40から取得したこれらの情報から、当該車両40についての物体情報を生成してもよい。すなわち、物体情報生成部101は、車両40から取得した位置情報及び移動情報を当該車両40の物体情報として用いてもよい。なお、物体情報生成部101は、車両40から取得した位置情報及び移動情報のうちいずれか一方だけを当該車両40の物体情報として用いてもよい。
【0038】
物体情報は、さらに、物体の種別を特定する情報を含んでもよい。ここで、物体の種別とは、交通参加者の種類を特定する情報である。例えば、物体の種別を特定する情報は、物体が、車両、自転車、歩行者のうちいずれに該当するかを示す情報であってもよい。また、物体が車両である場合には、物体の種別を特定する情報は、車種(モデル)を特定する情報を含んでもよい。具体的には、物体情報生成部101は、インフラセンサ20のセンサデータを解析し、物体の種別を特定する。例えば、物体情報生成部101は、パターンマッチング処理を行うことにより、物体の種別を特定する。なお、データ取得部100が、車両40から、当該車両40の識別情報を取得した場合には、物体情報生成部101は、車両40から取得した識別情報から、物体の種別を特定してもよい。
【0039】
物体情報は、他の情報を含んでもよい。例えば、物体情報は、歩行者、又は自転車もしくは車両の運転者の顔の向き又は視線の向きを特定する情報を含んでもよい。この場合、物体情報生成部101は、例えば、センサデータを解析し、顔の向き又は視線の向きを特定する。また、物体情報は、物体(障害物)の大きさを特定する情報を含んでもよい。この場合、物体情報生成部101は、例えば、センサデータを解析し、物体の大きさを特定する。
【0040】
物体情報記憶部102は、物体情報生成部101が生成した物体情報を記憶する。物体情報生成部101は、生成した物体情報を物体情報記憶部102に保存する。
【0041】
地図情報記憶部103は、予め作成された、交通環境についての三次元地図情報を記憶する。この三次元地図情報は、交通環境に存在する構造物の三次元モデルが配置された地図を表す情報である。この三次元地図情報は、交通環境に永続的に存在する障害物(障害物92a)の三次元モデルを含んでいる。したがって、三次元地図情報を参照することにより、交通環境に永続的に存在する障害物の位置及び形状を特定することが可能である。
【0042】
検出範囲推定部104は、交通環境に存在する物体ごとに、物体検出範囲を推定する。検出範囲推定部104は、物体の種別が所定の種別(例えば、車両、自転車、又は歩行者)に該当する移動物体に対してのみ、物体検出範囲を推定してもよい。ここで、物体検出範囲とは、交通環境内に存在する他の物体を検出することが可能な範囲である。例えば、歩行者の物体検出範囲とは、当該歩行者によって視認される領域をいい、自転車の物体検出範囲とは、当該自転車の運転者によって視認される領域をいい、車両の物体検出範囲とは、当該車両の車載センサ41によって検出される領域又は車両の運転者によって視認される領域をいう。
【0043】
検出範囲推定部104は、物体情報生成部101が生成した物体情報を参照して物体検出範囲を推定する。なお、検出範囲推定部104は、物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて物体検出範囲を推定すればよく、物体検出範囲の推定のために、物体情報を構成する全ての情報を用いなくてもよい。
【0044】
例えば、検出範囲推定部104は、物体の位置情報と物体の移動情報(具体的には移動方向)とを用いて、この物体の物体検出範囲を推定する。具体的には、例えば、検出範囲推定部104は、交通環境を表す三次元空間(例えば、三次元地図情報により表される三次元空間)において、所定の検出範囲を、次のように配置することにより、交通環境における物体検出範囲を推定する。ここで、所定の検出範囲とは、領域の形状が予め設定されたデフォルトの検出範囲をいう。所定の検出範囲は、例えば図4に示すように扇形状の領域を有するが、他の形状が採用されてもよい。検出範囲推定部104は、例えば、図4に示すように、三次元空間における物体の位置を所定の検出範囲の配置の基点としつつ、物体の移動方向に沿うように、この所定の検出範囲を配置することにより、物体検出範囲を推定する。なお、図4に示した所定の検出範囲の配置は一例に過ぎず、他の配置が行われてもよい。例えば、顔の向き又は視線の向きに沿うように、所定の検出範囲が配置されてもよい。
【0045】
この所定の検出範囲の形状及び大きさは、物体の種別に応じて異なっていてもよい。例えば、歩行者に対する所定の検出範囲としては、歩行者の一般的な視野範囲を所定の検出範囲とし、自転車に対する所定の検出範囲としては、自転車の運転者の一般的な視野範囲を所定の検出範囲としてもよい。同様に、車両に対する所定の検出範囲としては、車両の運転者の一般的な視野範囲を所定の検出範囲としてもよいし、車両の車載センサ41の一般的な検出範囲を所定の検出範囲としてもよい。また、車種(モデル)が特定される場合には、車種(モデル)に従って特定される車載センサ41の検出範囲が所定の検出範囲として用いられてもよい。このように、検出範囲推定部104は、物体の種別ごとに用意されたデフォルトの検出範囲に基づいて、物体検出範囲を推定してもよい。このような構成よれば、物体の種別に応じた適切な物体検出範囲が得られる。なお、所定の検出範囲は、他の任意のパラメータに応じて異なっていてもよい。例えば、物体の移動速度に応じて、所定の検出範囲の形状又は大きさが変更されてもよい。
【0046】
また、データ取得部100が車両40から車載センサ41のセンサデータと、当該車両40の位置とを取得する場合には、検出範囲推定部104は、この車両40の物体検出範囲を、当該車両40から取得したセンサデータと当該車両40の位置とに基づいて推定してもよい。車載センサ41のセンサデータは、実際に車両40の車載センサ41による検出結果であるため、この検出結果を得た地点、すなわち車両40の位置と、車載センサ41のセンシング方向が特定できれば、センサデータから車両40の物体検出範囲を特定することが可能である。なお、車載センサ41のセンサデータは、絶対座標系(交通環境)における車載センサ41のセンシング方向を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。車載センサ41のセンサデータが絶対座標系(交通環境)におけるセンシング方向を含んでいない場合には、検出範囲推定部104は、車載センサ41のセンシング方向を、車両40の向きから推定してもよい。例えば、検出範囲推定部104は、車載センサ41のセンサデータが、車両40の前方をセンシングして得られたデータであると推定してもよい。この場合、車両40の絶対座標系(交通環境)における向きは、車両40をセンシングしたインフラセンサ20のセンサデータを解析することにより判定されてもよい。このように、車載センサ41のセンサデータから車両40の物体検出範囲を特定することで、車両40の実際の物体検出範囲を得ることができる。
【0047】
また、検出範囲推定部104は、障害物により生じる死角領域が除外された物体検出範囲を推定してもよい。例えば、検出範囲推定部104は、地図情報記憶部103に記憶された三次元地図情報により特定される障害物により生じる死角領域が除外された物体検出範囲を推定してもよい。この場合、具体的には、検出範囲推定部104は、例えば、物体の位置(すなわち運転者又は車載センサ41の視点の位置)と、三次元地図情報により特定される障害物の位置とに基づいて、幾何学的に、この物体の死角領域を推定する。なお、このとき、検出範囲推定部104は、障害物の大きさも参照して死角領域を推定してもよい。検出範囲推定部104は、物体の死角領域を推定すると、物体検出範囲からこの死角領域を除外することにより、真の物体検出範囲を推定する。このような構成よれば、地図情報によって示される障害物による死角を考慮した物体検出範囲が得られる。
【0048】
また、例えば、検出範囲推定部104は、物体情報生成部101により物体情報が生成された物体(障害物)により生じる死角領域が除外された物体検出範囲を推定してもよい。この場合、具体的には、検出範囲推定部104は、例えば、物体の位置(すなわち運転者又は車載センサ41の視点の位置)と、物体情報により特定される障害物の位置とに基づいて、幾何学的に、この物体の死角領域を推定する。なお、このとき、検出範囲推定部104は、障害物の大きさも参照して死角領域を推定してもよい。検出範囲推定部104は、物体の死角領域を推定すると、物体検出範囲からこの死角領域を除外することにより、真の物体検出範囲を推定する。このような構成よれば、交通環境に一時的に存在する障害物による死角を考慮した物体検出範囲が得られる。
【0049】
物体検出範囲記憶部105は、検出範囲推定部104が推定した物体ごとの物体検出範囲を記憶する。検出範囲推定部104は、推定した物体検出範囲を物体検出範囲記憶部105に保存する。
【0050】
図5は、道路90aを移動している車両40の物体検出範囲70aを示す模式図である。図5に示すように、車両40の物体検出範囲70aは、障害物92a及び92bによって生じる死角の影響を受けている。そして、歩行者50及び自転車60は、この物体検出範囲70aの外に存在している。つまり、歩行者50及び自転車60は、車両40から認識されない。
【0051】
図6は、道路90bを移動している歩行者50の物体検出範囲70bを示す模式図である。図6に示すように、歩行者50の物体検出範囲70bは、障害物92a及び92bによって生じる死角の影響を受けている。そして、車両40及び自転車60は、この物体検出範囲70bの外に存在している。つまり、車両40及び自転車60は、歩行者50から認識されない。
【0052】
図7は、道路90cを移動している自転車60の物体検出範囲70cを示す模式図である。図7に示すように、自転車60の物体検出範囲70cは、障害物92a及び92bによって生じる死角の影響を受けている。そして、歩行者50は、この物体検出範囲70c内に存在しているが、車両40は、この物体検出範囲70cの外に存在している。つまり、歩行者50は自転車60から認識されるものの、車両40は自転車60から認識されない。
【0053】
交差判定部106は、交通環境に存在する物体同士が交差(衝突)するか否かを判定する。具体的には、交差判定部106は、物体検出範囲が推定された物体同士が所定時間内(例えば、10秒以内)に交差(衝突)するか否かを判定する。交差判定部106は、物体情報を構成する少なくとも一部の情報に基づいて、物体同士の交差が所定時間以内に発生するか否かを判定する。具体的には、例えば、交差判定部106は、物体ごとに、現在の物体の位置、移動方向及び移動速度に基づいて、現在から所定時間が経過するまでの当該物体の位置の推移を予測する。そして、交差判定部106は、2以上の物体の同時刻における予測された位置の差が所定閾値以下であるか否かを判定する。これにより、交差判定部106は、物体同士が交差(衝突)するか否かを判定する。なお、車両40の経路情報が取得された場合には、交差判定部106は、車両40の経路情報を用いて、当該車両40が他の物体と所定時間内に交差するか否かを判定してもよい。すなわち、車両40の位置の推移を、経路情報によって特定してもよい。このような構成よれば、交差の発生をより正確に判定することができる。
【0054】
検出範囲内外判定部107は、交差判定部106によって互いに交差すると判定された物体が、それぞれ交差相手の物体を認識可能であるか否かを判定する。交差相手の物体が物体検出範囲外に存在する場合、この交差相手の物体は認識されないことを意味する。したがって、検出範囲内外判定部107は、具体的には以下の処理を行う。なお、以下の説明では、交差判定部106によって所定時間内に相互に交差すると判定された物体の一方を第一の物体と称し、他方の物体を第二の物体と称す。
【0055】
検出範囲内外判定部107は、第二の物体についての物体情報により特定される位置が、第一の物体の物体検出範囲外であるか否かを判定する。これにより、検出範囲内外判定部107は、第一の物体から第二の物体が認識可能であるか否かを判定する。すなわち、検出範囲内外判定部107は、第二の物体の位置が、第一の物体の物体検出範囲外である場合、第一の物体から第二の物体が認識不可能であると判定する。また、検出範囲内外判定部107は、第一の物体についての物体情報により特定される位置が、第二の物体の物体検出範囲外であるか否かを判定する。これにより、検出範囲内外判定部107は、第二の物体から第一の物体が認識可能であるか否かを判定する。すなわち、検出範囲内外判定部107は、第一の物体の位置が、第二の物体の物体検出範囲外である場合、第二の物体から第一の物体が認識不可能であると判定する。検出範囲内外判定部107は、交差判定部106によって相互に交差すると判定された全ての物体の組み合わせについて、上述した判定を行う。
【0056】
信号出力部108は、物体が交差相手によって認識されていない場合、交差回避信号を出力する。すなわち、信号出力部108は、検出範囲内外判定部107によって、第二の物体の位置が第一の物体の物体検出範囲外であると判定された場合、第一の物体と第二の物体の交差を回避するための信号(交差回避信号)を出力する。同様に、信号出力部108は、検出範囲内外判定部107によって、第一の物体の位置が第二の物体の物体検出範囲外であると判定された場合、第一の物体と第二の物体の交差を回避するための信号(交差回避信号)を出力する。
【0057】
例えば、信号出力部108は、交差回避信号として、交差の回避を促すメッセージ(例えば、注意を喚起するメッセージなど)の出力を、出力装置30a、30b、又は42に指示する信号を出力する。信号出力部108は、交差の回避を促すメッセージの表示を指示する信号、又は交差の回避を促すメッセージの音声出力を指示する信号を生成し、出力装置30a、30b、又は42に送信する。
【0058】
なお、交差回避信号の送信先は、交差する物体の種別又は交差位置によって決められてもよい。例えば、交差する第一の物体又は第二の物体のいずれかが出力装置42を搭載した物体である場合には、信号出力部108は、この出力装置42からメッセージが出力されるように、この出力装置42(この出力装置42を搭載した物体)に交差回避信号を送信する。なお、このメッセージは、減速又は停止を促すメッセージであってもよい。このように、信号出力部108は、交差回避信号として、交差の回避を促すメッセージの出力を、交差する物体に設けられた出力装置に指示する信号を出力してもよい。このような構成よれば、物体(交通参加者)が備える出力装置から交差の回避を促すメッセージが出力される。このため、交通参加者に直接的に注意を促すことができる。また、信号出力部108は、交差位置付近に設置された出力装置(具体的には出力装置30a又は出力装置30b)からメッセージが出力されるように、この出力装置に交差回避信号を送信する。このように、信号出力部108は、交差回避信号として、交差の回避を促すメッセージの出力を、交通環境に設けられた出力装置に指示する信号を出力してもよい。このような構成によれば、交通環境に設けられた出力装置から交差の回避を促すメッセージが出力される。このため、出力装置を備えていない交通参加者に対しても注意を促すことができる。
【0059】
信号出力部108は、交差回避信号として、交差を回避する制御を、交差する物体のいずれかの移動を制御する制御装置に指示する信号を出力してもよい。例えば、車両40が他の物体と交差する場合、信号出力部108は、車両40の制御装置43に対し、交差を回避する制御(例えば、減速又は停止など)の実行を指示する信号を生成し、制御装置43(車両40)に送信する。このような構成よれば、交差の危険性がある場合に、その当事者である物体(交通参加者)の移動を制御することができる。このため、より確実に、交差(衝突)を回避することができる。
【0060】
また、信号出力部108は、交差する一方の物体が他方の物体を認識できず、かつ、他方も一方を認識できない場合に出力する交差回避信号を、交差する一方の物体が他方の物体を認識できる場合に出力される交差回避信号と異ならせてもよい。すなわち、信号出力部108は、第二の物体の位置が第一の物体の物体検出範囲外であり、かつ、第一の物体の位置が第二の物体の物体検出範囲外である場合には、次のような交差回避信号を出力してもよい。すなわち、この場合、信号出力部108は、第二(第一)の物体の位置が第一(第二)の物体の物体検出範囲内であり、かつ、第一(第二)の物体の位置が第二(第一)の物体の物体検出範囲外である場合に出力される交差回避信号とは異なる交差回避信号を出力してもよい。具体的には、この場合、信号出力部108は、交差をより確実に回避するための信号を出力する。例えば、信号出力部108は、交差する一方の物体が他方の物体を認識できる場合には、減速を促すメッセージの出力を指示する信号又は減速制御を指示する信号を出力し、交差する一方の物体が他方の物体を認識できず、かつ、他方も一方を認識できない場合には、停止を促すメッセージの出力を指示する信号又は停止制御を指示する信号を出力する。なお、これらは例に過ぎず、信号出力部108は、認識状況に応じて、異なる任意の信号(第一の信号と、第一の信号に比べて交差をより確実に回避するための信号である第二の信号)を使い分ければよい。このような構成よれば、交差する物体の両方が交差相手を検出できない場合には、交差する物体のうち一方だけが交差相手を検出できない場合に出力される信号とは異なる信号を出力することができる。このため、より危険性が高い場合に、特別な信号を出力することができる。
【0061】
次に、情報処理装置10の動作の流れについて説明する。図8は、情報処理装置10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、図8に沿って、動作の流れの一例を説明する。情報処理装置10は、例えば、所定の周期で、図8に示した一連の処理を繰り返す。なお、この所定の周期は、交差判定に用いられる上述した所定時間よりも十分に短い。
【0062】
ステップS100において、データ取得部100がインフラセンサ20及び車両40から情報を取得する。具体的には、データ取得部100は、インフラセンサ20のセンサデータを取得する。また、データ取得部100は、車両40から、車載センサ41のセンサデータ、当該車両40の位置情報、当該車両40の移動情報、及び、当該車両40の経路情報を取得する。なお、上述した通り、データ取得部100は、車両40から上述した一部又は全ての情報を取得しなくてもよい。
【0063】
次に、ステップS101において、物体情報生成部101は、交通環境に存在する物体ごとに、物体情報を生成し、生成した物体情報を物体情報記憶部102に保存する。
【0064】
次に、ステップS102において、検出範囲推定部104は、交通環境に存在する物体ごとに、物体検出範囲を推定し、推定した物体検出範囲を物体検出範囲記憶部105に保存する。
【0065】
次に、ステップS103において、交差判定部106は、交通環境に存在する物体同士が、現在から所定時間が経過するまでの間に交差するか否かを判定する。物体Aと物体Bが所定時間内に交差する場合(ステップS104でYes)、ステップS105以降の処理が行われ、交差しない場合(ステップS104でNo)、処理はステップS111へ移行する。
【0066】
ステップS105において、検出範囲内外判定部107は、物体Aの物体検出範囲外に物体Bが存在するか否かを判定する。物体Aの物体検出範囲外に物体Bが存在する場合(ステップS105でYes)、処理はステップS106へ移行し、そうでない場合(ステップS105でNo)、処理はステップS107へ移行する。
【0067】
ステップS106において、検出範囲内外判定部107は、物体Aと物体Bの交差についての危険度合いを示す指標値に、所定のリスク値を加算する。なお、物体Aと物体Bの交差についての危険度合いを示す指標値の初期値は例えばゼロである。ステップS106の後、処理はステップS107へ移行する。
【0068】
ステップS107において、検出範囲内外判定部107は、物体Bの物体検出範囲外に物体Aが存在するか否かを判定する。物体Bの物体検出範囲外に物体Aが存在する場合(ステップS107でYes)、処理はステップS108へ移行し、そうでない場合(ステップS107でNo)、処理はステップS109へ移行する。
【0069】
ステップS108において、検出範囲内外判定部107は、物体Aと物体Bの交差についての危険度合いを示す指標値に、所定のリスク値を加算する。ステップS108の後、処理はステップS109へ移行する。
【0070】
ステップS109において、信号出力部108は、物体Aと物体Bの交差についての危険度合いを示す指標値において、リスク値が加算されているか否かを判定する。リスク値が加算されている場合(ステップS109でYes)、処理はステップS110へ移行し、そうでない場合(ステップS109でNo)、処理はステップS111へ移行する。
【0071】
ステップS110において、信号出力部108は、物体Aと物体Bの交差を回避するための交差回避信号を生成する。例えば、信号出力部108は、物体Aと物体Bの交差についての危険度合いを示す指標値に応じて異なる交差回避信号を生成する。例えば、ステップS106又はステップS108のいずれか一方のステップにおいてのみリスク値が加算された場合には第一の信号を生成し、ステップS106及びステップS108の両方のステップにおいてリスク値が加算された場合には第二の信号を生成する。信号出力部108は、例えば、第一の信号及び第二の信号として、交差の回避を促すメッセージの出力を指示する信号を生成する。また、例えば、信号出力部108は、第一の信号及び第二の信号として、交差を回避する制御を指示する信号を生成する。
【0072】
次に、ステップS111において、交差判定部106は、全ての交差パターンについて、判定が完了したか否かを判定する。全ての交差パターンについて判定が完了した場合(ステップS111でYes)には、処理はステップS112へ移行する。そうでない場合(ステップS111でNo)には、処理はステップS104へ戻り、他の交差の組み合わせについて、ステップS104からステップS110の処理が繰り返されることとなる。
【0073】
ステップS112において、信号出力部108は、ステップS110で生成した交差回避信号を送信する。例えば、信号出力部108は、物体Aと物体Bの交差地点の付近に設けられている出力装置に交差回避信号を送信する。また、信号出力部108は、物体Aが備えている出力装置と物体Bが備えている出力装置に交差回避信号を送信する。また、信号出力部108は、物体Aが備えている制御装置と物体Bが備えている制御装置に交差回避信号を送信する。ステップS112の後、所定の周期が経過すると、再度、ステップS100からステップS112の処理が繰り返される。
【0074】
ここで、図2に示した交通環境における交差回避信号の送信の例について説明する。図2に示した例では、所定時間内に、車両40と歩行者50とが交差し、歩行者50と自転車60も交差するとする。この場合、例えば、信号出力部108は、車両40と歩行者50の交差を回避するために、出力装置30a及び出力装置42に、交差の回避を促すメッセージの出力を指示する交差回避信号を送信する。なお、信号出力部108は、出力装置42に送信する交差回避信号に代えて、又は、出力装置42に送信する交差回避信号とともに、交差を回避する制御を指示する交差回避信号を制御装置43に送信してもよい。また、例えば、信号出力部108は、歩行者50と自転車60の交差を回避するために、出力装置30bに、交差の回避を促すメッセージの出力を指示する交差回避信号を送信する。
【0075】
次に、情報処理装置10のハードウェア構成の一例について説明する。図9は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、例えば、ネットワークインタフェース150、メモリ151、及びプロセッサ152などを備えている。
【0076】
ネットワークインタフェース150は、他の装置(例えば、インフラセンサ20、車両40、及び出力装置30a、30bなど)と通信するために使用される。ネットワークインタフェース150は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0077】
メモリ151は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ151は、プロセッサ152により実行されるプログラムなどを格納するために使用される。物体情報記憶部102、地図情報記憶部103、及び物体検出範囲記憶部105は、例えばメモリ151などの記憶装置により実現される。
【0078】
プロセッサ152は、メモリ151からプログラムを読み出して実行することで、情報処理装置10の処理(具体的には、データ取得部100、物体情報生成部101、検出範囲推定部104、交差判定部106、検出範囲内外判定部107、及び信号出力部108の処理)を行う。プロセッサ152は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。
【0079】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明される1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0080】
以上、実施の形態について説明した。情報処理装置10によれば、交差する可能性がある物体(交通参加者)ごとに、物体検出範囲、すなわち視野が推定され、物体検出範囲外に交差相手が存在する場合には交差を回避するための信号が出力される。このため、この情報処理装置10によれば、交通参加者同士の交差を適切に回避することができる。
【0081】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、交差する一方の物体が他方の物体を認識できる場合にも交差回避信号が出力されたが、交差する一方の物体が他方の物体を認識できず、かつ、他方も一方を認識できない場合にだけ交差回避信号が出力されてもよい。また、上述した実施の形態では、物体情報生成部101は、インフラセンサ20のセンサデータに基づいて物体情報を生成したが、車載センサ41のセンサデータに基づいて、物体情報を生成してもよい。すなわち、物体情報生成部101は、車両から取得した情報から、当該車両とは別の物体についての物体情報を生成してもよい。この場合、物体情報生成部101は、例えば、車載センサ41(車両40)の位置と、車載センサ41により検出された物体の車載センサ41からの相対位置とを用いて、当該物体の交通環境における位置を特定してもよい。また、物体情報生成部101は、車載センサ41により検出された物体の車載センサ41からの相対位置の時間的な推移と、車載センサ41(車両40)の位置の時間的な推移に基づいて、当該物体の移動(移動速度及び移動方向)を特定してもよい。そして、物体情報生成部101は、車載センサ41のセンサデータを解析し、物体の種別などを特定してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 交通システム
10 情報処理装置
20 インフラセンサ
30a 出力装置
30b 出力装置
40 車両
41 車載センサ
42 出力装置
43 制御装置
50 歩行者
60 自転車
70a 物体検出範囲
70b 物体検出範囲
70c 物体検出範囲
90a 道路
90b 道路
90c 道路
92a 障害物
92b 障害物
100 データ取得部
101 物体情報生成部
102 物体情報記憶部
103 地図情報記憶部
104 検出範囲推定部
105 物体検出範囲記憶部
106 交差判定部
107 検出範囲内外判定部
108 信号出力部
150 ネットワークインタフェース
151 メモリ
152 プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9