(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】給電支援装置、車両及び給電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20240806BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20240806BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20240806BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20240806BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240806BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H02J50/90
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
H02J50/12
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2021101166
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】松田 和久
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535577(JP,A)
【文献】特開2013-009545(JP,A)
【文献】特開2019-161860(JP,A)
【文献】特開2015-061325(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0021144(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/90
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/12
H02J 50/12
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設けられた給電装置の周辺の磁界を検出する磁界検出器の出力を取得する磁界取得部と、
前記磁界検出器の出力に基づいて、位置信号として車両から前記給電装置に対して発せられる交流磁界の周波数の変更を該車両に指示する周波数変更部と
を備え
、
前記周波数変更部は、前記給電装置に対して発せられる交流磁界の周波数と、前記磁界検出器によって検出された交流磁界の周波数との差が所定値未満である場合に、前記給電装置に対して発せられる交流磁界の周波数の変更を指示する、給電支援装置。
【請求項2】
前記周波数変更部は前記交流磁界の周波数の推奨値を前記車両に送信することによって該交流磁界の周波数の変更を指示する、請求項1に記載の給電支援装置。
【請求項3】
前記周波数変更部は前記推奨値を前記車両及び前記給電装置に送信する、請求項2に記載の給電支援装置。
【請求項4】
前記給電装置は磁界共振結合による非接触給電を行い、
前記周波数変更部は、前記推奨値を前記磁界共振結合の共振周波数とは異なる値に設定する、請求項2又は3に記載の給電支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電支援装置、車両及び給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地面に設けられた給電装置と車両との間で非接触で電力を伝送する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両から給電装置に無線で給電要求を送信し、給電要求に応じて給電装置から車両への非接触給電を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、給電装置への車両の接近が無線通信によって検出される場合には、障害物等によって無線通信が妨げられることで、適切なタイミングで交流磁界を発生させることができないおそれがある。
【0005】
そこで、本願の発明者等は、鋭意検討の結果、車両の位置信号として交流磁界を用いることを見出した。しかしながら、給電装置の周辺に車両以外の交流磁界の発生源が存在している場合には、給電装置の周辺に発生した交流磁界によって車両の検出が阻害されるおそれがある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、給電装置から車両への非接触給電を行う際に、給電装置の周辺に発生した交流磁界の車両検出への影響を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)地面に設けられた給電装置の周辺の磁界を検出する磁界検出器の出力を取得する磁界取得部と、前記磁界検出器の出力に基づいて、位置信号として車両から前記給電装置に対して発せられる交流磁界の周波数の変更を該車両に指示する周波数変更部とを備える、給電支援装置。
【0009】
(2)前記周波数変更部は前記交流磁界の周波数の推奨値を前記車両に送信することによって該交流磁界の周波数の変更を指示する、上記(1)に記載の給電支援装置。
【0010】
(3)前記周波数変更部は前記推奨値を前記車両及び前記給電装置に送信する、上記(2)に記載の給電支援装置。
【0011】
(4)前記給電装置は磁界共振結合による非接触給電を行い、前記周波数変更部は、前記推奨値を前記磁界共振結合の共振周波数とは異なる値に設定する、上記(2)又は(3)に記載の給電支援装置。
【0012】
(5)前記周波数変更部は、前記給電装置に対して発せられる交流磁界の周波数と、前記磁界検出器によって検出された交流磁界の周波数との差が所定値未満である場合に、前記給電装置に対して発せられる交流磁界の周波数の変更を指示する、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の給電支援装置。
【0013】
(6)地面に設けられた給電装置から非接触で給電されるように構成された車両であって、当該車両の位置信号として交流磁界を発生させる交流磁界発生回路と、制御装置とを備え、前記制御装置は、磁界検出器によって検出された前記給電装置の周辺の磁界に基づいて、前記交流磁界の周波数を変更する、車両。
【0014】
(7)非接触で車両を給電するように構成された給電装置であって、当該給電装置の周辺の磁界を検出する磁界検出器と、前記磁界検出器の出力から特定の周波数の交流磁界を抽出し、該特定の周波数の交流磁界に基づいて当該給電装置への前記車両の接近を検出する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記磁界検出器又は別の磁界検出器によって検出された当該給電装置の周辺の磁界に基づいて、前記特定の周波数を変更する、給電装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、給電装置から車両への非接触給電を行う際に、給電装置の周辺に発生した交流磁界の車両検出への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る非接触給電システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、給電装置のコントローラの概略的な構成図である。
【
図3】
図3は、車両のECUの概略的な構成及び他の車載機器を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第一実施形態に係る給電支援システムを概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、サーバの構成を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、第一実施形態におけるサーバのプロセッサの機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、第一実施形態においてサーバにおいて実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第一実施形態において車両において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の第二実施形態に係る給電支援システムを概略的に示す図である。
【
図10】
図10は、第二実施形態においてサーバにおいて実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第二実施形態において給電装置において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の第三実施形態に係る給電支援システムを概略的に示す図である。
【
図13】
図13は、第三実施形態におけるコントローラのプロセッサの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0018】
<第一実施形態>
以下、
図1~
図8を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の第一実施形態に係る非接触給電システム1の構成を概略的に示す図である。非接触給電システム1は、地面に設けられた給電装置2と、車両3とを備え、給電装置2と車両3との間の非接触給電を行う。特に、本実施形態では、非接触給電システム1は、車両3が走行しているときに、磁界共振結合(磁界共鳴)によって給電装置2から車両3への非接触給電を行う。すなわち、非接触給電システム1は磁界を媒体として給電装置2から車両3へ電力を伝送する。なお、非接触給電は、非接触電力伝送、ワイヤレス電力伝送又はワイヤレス給電とも称される。
【0020】
給電装置2は非接触で車両3を給電するように構成され、車両3は給電装置2から非接触で給電されるように構成される。具体的には、給電装置2は、非接触で電力を送信するように構成された送電装置4を備え、車両3は、非接触で送電装置4から電力を受信するように構成された受電装置5を備える。
【0021】
図1に示されるように、給電装置2は、送電装置4に加えて、電源21及びコントローラ22を備える。給電装置2は、車両3が通過する道路(車線)に設けられ、例えば地中(路面の下)に埋め込まれる。なお、給電装置2の少なくとも一部(例えば電源21及びコントローラ22)は路面の上に配置されてもよい。
【0022】
電源21は、送電装置4の電力源であり、送電装置4に電力を供給する。電源21は、例えば、単相交流電力を供給する商用交流電源である。なお、電源21は、三相交流電力を供給する交流電源等であってもよい。
【0023】
送電装置4は、送電側整流回路41、インバータ42及び送電側共振回路43を備える。送電装置4では、送電側整流回路41及びインバータ42を介して送電側共振回路43に交流磁界を発生させるための交流電力(高周波電力)が供給される。
【0024】
送電側整流回路41は電源21及びインバータ42に電気的に接続される。送電側整流回路41は、電源21から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力をインバータ42に供給する。送電側整流回路41は例えばAC/DCコンバータである。
【0025】
インバータ42は送電側整流回路41及び送電側共振回路43に電気的に接続される。インバータ42は、送電側整流回路41から供給された直流電力を、電源21の交流電力よりも高い周波数の交流電力(高周波電力)に変換し、高周波電力を送電側共振回路43に供給する。
【0026】
送電側共振回路43は、コイル44及びコンデンサ45から構成される共振器を有する。コイル44及びコンデンサ45の各種パラメータ(コイル44の外径及び内径、コイル44の巻数、コンデンサ45の静電容量等)は、送電側共振回路43の共振周波数が所定の設定値になるように定められる。所定の設定値は、例えば10kHz~100GHzであり、好ましくは、非接触電力伝送用の周波数帯域としてSAE TIR J2954規格によって定められた85kHzである。
【0027】
送電側共振回路43は、コイル44の中心が車線の中央に位置するように、車両3が通過する車線の中央に配置される。インバータ42から供給された高周波電力が送電側共振回路43に印加されると、送電側共振回路43は、電力を送信するための交流磁界を発生させる。なお、電源21が燃料電池又は太陽電池のような直流電源であってもよく、この場合に送電側整流回路41が省略されてもよい。
【0028】
コントローラ22は、例えば汎用コンピュータであり、給電装置2の各種制御を行う。例えば、コントローラ22は、送電装置4のインバータ42に電気的に接続され、送電装置4による電力送信を制御すべくインバータ42を制御する。
【0029】
図2は、コントローラ22の概略的な構成図である。コントローラ22はメモリ23及びプロセッサ24を有する。メモリ23及びプロセッサ24は信号線を介して互いに接続されている。なお、コントローラ22は、給電装置2と給電装置2の外部との通信を可能とする通信インターフェース等を更に有していてもよい。コントローラ22は給電装置2の制御装置の一例である。
【0030】
メモリ23は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えばROM)を有する。メモリ23は、プロセッサ24において実行されるプログラム、プロセッサ24によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0031】
プロセッサ24は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ24は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。
【0032】
一方、車両3は、
図1に示されるように、受電装置5に加えて、モータ31、バッテリ32、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)33及び電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)34を備える。本実施形態では、車両3は、内燃機関を搭載していない電気自動車(EV)であり、モータ31が走行用の動力を出力する。
【0033】
モータ31は、例えば交流同期モータであり、電動機及び発電機として機能する。モータ31は、電動機として機能するとき、バッテリ32に蓄えられた電力を動力源として駆動される。モータ31の出力は減速機及び車軸を介して車輪90に伝達される。一方、車両3の減速時には車輪90の回転によってモータ31が駆動され、モータ31は発電機として機能して回生電力を発電する。
【0034】
バッテリ32は、充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等から構成される。バッテリ32は車両3の走行に必要な電力(例えばモータ31の駆動電力)を蓄える。モータ31によって発電された回生電力がバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電され、バッテリ32の充電率(SOC:State Of Charge)が回復する。なお、バッテリ32は、車両3に設けられた充電ポートを介して給電装置2以外の外部電源によっても充電可能であってもよい。
【0035】
PCU33はバッテリ32及びモータ31に電気的に接続される。PCU33は、インバータ、昇圧コンバータ及びDC/DCコンバータを有する。インバータは、バッテリ32から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ31に供給する。一方、インバータは、モータ31によって発電された交流電力(回生電力)を直流電力に変換し、直流電力をバッテリ32に供給する。昇圧コンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がモータ31に供給されるときに、必要に応じてバッテリ32の電圧を昇圧する。DC/DCコンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がヘッドライト等の電子機器に供給されるときに、バッテリ32の電圧を降圧する。
【0036】
受電装置5は、受電側共振回路51、受電側整流回路54及び充電回路55を備える。受電装置5は、送電装置4から電力を受信し、受信した電力をバッテリ32に供給する。
【0037】
受電側共振回路51は、路面との距離が小さくなるように車両3の底部に配置される。本実施形態では、受電側共振回路51は、車幅方向において車両3の中央に配置され、車両3の前後方向において前輪90と後輪90との間に配置される。
【0038】
受電側共振回路51は、送電側共振回路43と同様の構成を有し、コイル52及びコンデンサ53から構成される共振器を有する。コイル52及びコンデンサ53の各種パラメータ(コイル52の外径及び内径、コイル52の巻数、コンデンサ53の静電容量等)は、受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数と一致するように定められる。なお、受電側共振回路51の共振周波数と送電側共振回路43の共振周波数とのずれ量が小さければ、例えば受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数の±20%の範囲内であれば、受電側共振回路51の共振周波数は送電側共振回路43の共振周波数と必ずしも一致している必要はない。
【0039】
図1に示されるように受電側共振回路51が送電側共振回路43と対向しているときに、送電側共振回路43に交流磁界が発生すると、交流磁界の振動が、送電側共振回路43と同一の共振周波数で共鳴する受電側共振回路51に伝達する。この結果、電磁誘導によって受電側共振回路51に誘導電流が流れ、誘導電流によって受電側共振回路51において誘導起電力が発生する。受電側共振回路51において発生した誘導起電力は受電側整流回路54及び充電回路55を介してバッテリ32に回収される。すなわち、送電側共振回路43は受電側共振回路51へ電力を送信し、受電側共振回路51は送電側共振回路43から電力を受信する。
【0040】
受電側整流回路54は受電側共振回路51及び充電回路55に電気的に接続される。受電側整流回路54は、受電側共振回路51から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を充電回路55に供給する。受電側整流回路54は例えばAC/DCコンバータである。
【0041】
充電回路55は受電側整流回路54及びバッテリ32に電気的に接続される。充電回路55は、受電側整流回路54から供給された直流電力をバッテリ32の電圧レベルに変換してバッテリ32に供給する。送電装置4から送信された電力が受電装置5によってバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電され、バッテリ32のSOCが回復する。充電回路55は例えばDC/DCコンバータである。
【0042】
ECU34は車両3の各種制御を行う。例えば、ECU34は、受電装置5の充電回路55に電気的に接続され、送電装置4から送信された電力によるバッテリ32の充電を制御すべく充電回路55を制御する。また、ECU34は、PCU33に電気的に接続され、バッテリ32と車載機器(例えばモータ31)との間の電力の授受を制御すべくPCU33を制御する。
【0043】
図3は、ECU34の概略的な構成及び他の車載機器を示す図である。ECU34は、通信インターフェース35、メモリ36及びプロセッサ37を有する。通信インターフェース35、メモリ36及びプロセッサ37は信号線を介して互いに接続されている。ECU34は車両3の制御装置の一例である。
【0044】
通信インターフェース35は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワークにECU34を接続するためのインターフェース回路を有する。
【0045】
メモリ36は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えばROM)を有する。メモリ36は、プロセッサ37において実行されるプログラム、プロセッサ37によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0046】
プロセッサ37は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ37は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。
【0047】
また、
図3に示されるように、車両3は、GNSS受信機38、地図データベース39及び通信装置40を更に備える。GNSS受信機38、地図データベース39及び通信装置40はECU34に電気的に接続される。
【0048】
GNSS受信機38は、複数(例えば3つ以上)の測位衛星から得られる測位情報に基づいて、車両3の現在位置(例えば車両3の緯度及び経度)を検出する。具体的には、GNSS受信機38は、複数の測位衛星を捕捉し、測位衛星から発信された電波を受信する。そして、GNSS受信機38は、電波の発信時刻と受信時刻との差に基づいて測位衛星までの距離を算出し、測位衛星までの距離及び測位衛星の位置(軌道情報)に基づいて車両3の現在位置を検出する。GNSS受信機38の出力、すなわちGNSS受信機38によって検出された車両3の現在位置はECU34に送信される。
【0049】
なお、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)は、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本のQZSS、中国のBeiDou、インドのIRNSS等の衛星測位システムの総称である。したがって、GNSS受信機38にはGPS受信機が含まれる。
【0050】
地図データベース39は地図情報を記憶している。地図情報には、給電装置2の位置情報等が含まれる。ECU34は地図データベース39から地図情報を取得する。なお、地図データベース39が車両3の外部(例えばサーバ等)に設けられ、ECU34は車両3の外部から地図情報を取得してもよい。
【0051】
通信装置40は、車両3と車両3の外部との通信を可能とする機器(例えば、近距離無線通信モジュール、インターネットのような通信ネットワークに車両3を接続するためのデータ通信モジュール(DCM:Data communication module)等)である。ECU34は通信装置40を介して車両3の外部と通信する。
【0052】
上記のように、非接触給電システム1では、給電装置2において発生させた交流磁界を介して車両3の非接触給電が行われる。しかしながら、非接触給電のために給電装置2において交流磁界を常に発生させることは電力の浪費をもたらす。また、交流磁界による電子機器等への影響も懸念される。
【0053】
このため、車両3が給電装置2の上を通過する適切なタイミングで給電のための交流磁界を発生させることが望ましい。しかしながら、給電装置2への車両3の接近が無線通信によって検出される場合には、障害物等によって無線通信が妨げられることで、適切なタイミングで交流磁界を発生させることができないおそれがある。
【0054】
そこで、本実施形態では、非接触給電システム1は、位置信号送信装置6及び車両検出装置7を備え、位置信号送信装置6及び車両検出装置7を用いて給電装置2への車両3の接近を検出する。
図1に示されるように、位置信号送信装置6は車両3に設けられ、車両検出装置7は給電装置2に設けられる。
【0055】
位置信号送信装置6は車両3の位置信号を給電装置2に送信する。
図1に示されるように、位置信号送信装置6は交流電力発生回路61及び交流磁界発生回路62を備える。位置信号送信装置6は車両3の位置信号として交流磁界を発生させる。なお、位置信号送信装置6は車両3の位置信号に加えて車両3の識別情報(例えば車両ID)を交流磁界を介して給電装置2に送信してもよい。
【0056】
交流電力発生回路61は、バッテリ32及び交流磁界発生回路62に電気的に接続される。交流電力発生回路61は、交流電力を発生させ、交流電力を交流磁界発生回路62に供給する。例えば、交流電力発生回路61は発振回路及び増幅器を有する。発振回路は、例えばインバータから構成され、バッテリ32から供給された直流電力を所定周波数の交流電力に変換する。増幅器は発振回路の出力電力(交流電力)を増幅する。
【0057】
図1に示されるように、交流磁界発生回路62は、路面との距離が小さくなるように車両3の底部に配置される。本実施形態では、交流磁界発生回路62は、車幅方向において車両3の中央に配置され、車両3の前後方向において受電側共振回路51よりも後方に配置される。なお、交流磁界発生回路62は車両3の前後方向において受電側共振回路51と同一の位置又は受電側共振回路51よりも前方に配置されてもよい。
【0058】
交流磁界発生回路62は、送電側共振回路43及び受電側共振回路51と同様の構成を有し、コイル63及びコンデンサ64から構成される共振器を有する。交流電力発生回路61から供給された交流電力が交流磁界発生回路62に印加されると、交流磁界発生回路62は車両3の位置信号として交流磁界を発生させる。
【0059】
図1に示されるように、交流電力発生回路61はECU34に電気的に接続され、ECU34は交流電力発生回路61を制御する。交流電力発生回路61は、ECU34からの指令に基づいて、バッテリ32から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力を交流磁界発生回路62に供給する。
【0060】
例えば、ECU34は、給電装置2と車両3との間の距離が所定値以下になったときに、交流電力発生回路61を制御して交流磁界発生回路62によって交流磁界を発生させる。給電装置2と車両3との間の距離は、例えば、GNSS受信機38によって検出された車両3の現在位置と、地図データベース39に記憶された給電装置2の位置とを照合することによって算出される。なお、ECU34は、給電装置2の手前に設けられた路側機から通信装置40を介して所定の信号を受信したときに、交流電力発生回路61を制御して交流磁界発生回路62によって交流磁界を発生させてもよい。また、ECU34は、車両3が走行しているときに、交流磁界発生回路62によって微弱な交流磁界を常に発生させてもよい。
【0061】
また、PCU33が交流電力発生回路61として機能してもよい。この場合、PCU33は交流磁界発生回路62に電気的に接続され、ECU34はPCU33を制御して交流磁界発生回路62によって交流磁界を発生させる。
【0062】
本実施形態では、車両検出装置7は、給電装置2の周辺の磁界を検出する磁気検出器として構成される。車両検出装置7は、例えば、磁気インピーダンス(MI:Magneto-Impedance)センサである。車両検出装置7の駆動電力は、例えば電源21等から駆動回路を介して車両検出装置7に供給される。なお、車両検出装置7は、ホールセンサ、磁気抵抗効果(MR:Magneto Resistive)センサ等であってもよい。
【0063】
車両検出装置7は、送電装置4が設けられた道路において、車両3の進行方向において送電装置4の送電側共振回路43よりも手前に配置され、車両3が通過する車線の中央に配置される。車両検出装置7は地中(路面の下)又は路面の上に配置される。給電装置2に接近する車両3から位置信号として交流磁界が発生されると、車両検出装置7は、車両3から発せられた交流磁界を検出する。なお、車両検出装置7は車両3の進行方向と垂直な方向に沿って複数配置されていてもよい。
【0064】
車両検出装置7はコントローラ22に電気的に接続され、車両検出装置7の出力はコントローラ22に送信される。コントローラ22は、車両検出装置7の出力に基づいて給電装置2への車両3の接近を検出し、給電装置2から車両3への非接触給電を制御する。具体的には、コントローラ22は、車両検出装置7の出力から特定の周波数の交流磁界を抽出し、抽出した特定の周波数の交流磁界に基づいて給電装置2への車両3の接近を検出する。特定の周波数は、位置信号として車両3から発せられる交流磁界の周波数であり、検出対象の交流磁界の周波数に相当する。本実施形態では、このように車両3の位置信号として交流磁界を用いることによって、位置信号の送受信における障害物の影響を低減することができる。
【0065】
さらに、本実施形態では、位置信号として用いられる交流磁界の周波数は送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数と異なる。このため、給電のために給電装置2の送電側共振回路43において発生する交流磁界と、車両3の交流磁界発生回路62において発生する交流磁界との識別が容易となる。したがって、車両3の位置信号として、給電用の交流磁界とは異なる周波数の交流磁界を用いることによって、給電装置2に接近する車両3を精度良く検出することができる。
【0066】
好ましくは、位置信号として用いられる交流磁界の周波数は送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数よりも低い値に設定される。このことによって、位置信号として用いられる交流磁界をより容易に発生させることができる。例えば、送電側共振回路43及び受電側共振回路51の共振周波数が85kHzである場合、位置検知用の交流磁界の周波数は、50Hz~50kHz、例えば1kHzに設定される。
【0067】
しかしながら、給電装置2の周辺に車両3以外の交流磁界の発生源(例えば電子機器等)が存在している場合には、給電装置2の周辺に発生した交流磁界によって車両3の検出が阻害されるおそれがある。そこで、本実施形態では、給電装置2の周辺に発生している交流磁界の周波数に応じて、位置信号として車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数を変更する。
【0068】
図4は、本発明の第一実施形態に係る給電支援システム10を概略的に示す図である。給電支援システム10は、位置信号として車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数を最適化することによって給電装置2から車両3への非接触給電を支援する。
図4に示されるように、給電支援システム10は磁界検出器11及びサーバ12を備える。サーバ12は給電支援装置の一例である。
【0069】
磁界検出器11は、給電装置2の周辺に設けられ、給電装置2の周辺の磁界を検出する。磁界検出器11は給電装置2の設置エリア毎に設けられる。すなわち、給電装置2の設置エリアが複数存在する場合には、複数の設置エリアのそれぞれに磁界検出器11が設けられる。
【0070】
磁界検出器11は、例えば、磁気インピーダンス(MIセンサ)である。なお、磁界検出器11は、ホールセンサ、磁気抵抗効果(MRセンサ)等であってもよい。
【0071】
磁界検出器11は、通信インターフェースを有し、通信インターフェースを介して通信ネットワーク8に接続される。磁界検出器11の出力、すなわち磁界検出器11によって検出された給電装置2の周辺の磁界は通信ネットワーク8を介してサーバ12に送信される。
【0072】
図5は、サーバ12の構成を概略的に示す図である。サーバ12は、通信インターフェース13、ストレージ装置14、メモリ15及びプロセッサ16を備える。通信インターフェース13、ストレージ装置14及びメモリ15は、信号線を介してプロセッサ16に接続されている。なお、サーバ12は、キーボード及びマウスのような入力装置、ディスプレイのような出力装置等を更に備えていてもよい。また、サーバ12は複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0073】
通信インターフェース13は、サーバ12を通信ネットワーク8に接続するためのインターフェース回路を有し、サーバ12とサーバ12の外部との通信を可能とする。サーバ12は通信ネットワーク8及び無線基地局9を介して車両3と互いに通信可能である。通信インターフェース13はサーバ12の通信部の一例である。
【0074】
ストレージ装置14は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SDD)、又は光記録媒体及びそのアクセス装置を有する。ストレージ装置14は、各種データを記憶し、例えばプロセッサ16が各種処理を実行するためのコンピュータプログラム等を記憶する。ストレージ装置14はサーバ12の記憶部の一例である。
【0075】
メモリ15は不揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)を有する。メモリ15は、例えばプロセッサ16によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を一時的に記憶する。メモリ15はサーバ12の記憶部の一例である。
【0076】
プロセッサ16は、一つ又は複数のCPU及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ16は、論理演算ユニット、数値演算ユニット又はグラフィック処理ユニットのような他の演算回路を更に有していてもよい。
【0077】
図6は、第一実施形態におけるサーバ12のプロセッサ16の機能ブロック図である。本実施形態では、プロセッサ16は磁界取得部17及び周波数変更部18を有する。磁界取得部17及び周波数変更部18は、サーバ12のストレージ装置14に記憶されたコンピュータプログラムをサーバ12のプロセッサ16が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、磁界取得部17及び周波数変更部18は、プロセッサ16に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0078】
磁界取得部17は磁界検出器11の出力を取得する。周波数変更部18は、磁界検出器11の出力に基づいて、位置信号として車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数の変更を車両3に指示する。そして、車両3のECU34は、サーバ12からの指示に基づいて、車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数を変更する。すなわち、ECU34は、磁界検出器11によって検出された給電装置2の周辺の磁界に基づいて、車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数を変更する。したがって、本実施形態では、車両3の位置信号に相当する交流磁界の周波数が給電装置2の周辺の磁界を考慮して設定されるため、給電装置2の周辺に発生した磁界の車両検出への影響を低減することができる。
【0079】
以下、
図7及び
図8のフローチャートを参照して、上述した制御について詳細に説明する。
図7は、第一実施形態においてサーバ12において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはサーバ12のプロセッサ16によって所定の実行間隔で繰り返し実行される。なお、磁界検出器11が設けられた給電装置2の設置エリアが複数存在する場合、複数の設置エリアのそれぞれに対して、本制御ルーチンが実行される。
【0080】
最初に、ステップS101において、磁界取得部17は、磁界検出器11から通信ネットワーク8を介してサーバ12に送信された磁界検出器11の出力を取得する。
【0081】
次いで、ステップS102において、周波数変更部18は、磁界検出器11の出力に基づいて、給電装置2の周辺で車両3の位置信号以外の交流磁界が発生しているか否かを判定する。例えば、周波数変更部18は、磁界検出器11によって検出された交流磁界に車両3の識別情報が含まれていない場合に、給電装置2の周辺で車両3の位置信号以外の交流磁界が発生していると判定する。
【0082】
また、周波数変更部18は、給電装置2の周辺に車両3が存在しないときに交流磁界が磁界検出器11によって検出された場合に、給電装置2の周辺で車両3の位置信号以外の交流磁界が発生していると判定してもよい。この場合、周波数変更部18は、例えば、複数の車両3のそれぞれからサーバ12に定期的に送信される車両3の位置情報(例えば車両3のGNSS受信機38によって検出された車両3の現在位置)に基づいて、給電装置2の周辺に車両3が存在しているか否かを判定する。また、金属探知機、光電センサ(例えば拡散反射型の光電センサ)又はカメラのような検出器が磁界検出器11と共に給電装置2の周辺に設けられ、周波数変更部18は、この検出器の出力に基づいて、給電装置2の周辺に車両3が存在しているか否かを判定してもよい。
【0083】
ステップS102において車両3の位置信号以外の交流磁界が発生していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS102において車両3の位置信号以外の交流磁界が発生していると判定された場合、本制御ルーチンはステップS103に進む。
【0084】
ステップS103では、周波数変更部18は、位置信号として車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数の変更が必要か否かを判定する。例えば、周波数変更部18は、給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数と、磁界検出器11によって検出された交流磁界の周波数との差が所定値未満である場合に、交流磁界の周波数の変更が必要であると判定する。所定値は、車両3以外の発生源から発生する交流磁界の車両検出への影響度合いを考慮して予め定められる。なお、周波数変更部18は、上記差が所定値未満であり且つ磁界検出器11によって検出された交流磁界の強度が予め定められた閾値以上である場合に、交流磁界の周波数の変更が必要であると判定してもよい。
【0085】
ステップS103において交流磁界の周波数の変更が不要であると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップ103において交流磁界の周波数の変更が必要であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS104に進む。
【0086】
ステップS104では、周波数変更部18は、車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数が磁界検出器11によって検出された交流磁界の周波数と相違するように、車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数の推奨値を決定する。例えば、周波数変更部18は、交流磁界の周波数の現在の設定値を所定量シフトさせることによって推奨値を算出する。このとき、本実施形態では、周波数変更部18は、推奨値を磁界共振結合の共振周波数(例えば85kHz)とは異なる値に設定する。このことによって、周波数の変更後においても、給電装置2に対して発せられる交流磁界と、給電装置2の送電側共振回路43において発生する交流磁界との識別を容易にすることができる。
【0087】
また、好ましくは、推奨値は磁界共振結合の共振周波数よりも低い値に設定される。このことによって、給電装置2に対して発せられる交流磁界をより容易に発生させることができる。なお、交流磁界の周波数として複数の選択肢が予め用意され、周波数変更部18は、複数の選択肢の中から、磁界検出器11によって検出された交流磁界の周波数とは異なる周波数を推奨値として選択してもよい。
【0088】
ステップS105では、周波数変更部18は、車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数の変更を車両3に指示する。具体的には、周波数変更部18は、推奨値を車両3に送信することによって交流磁界の周波数の変更を指示する。なお、受電装置5を備えた車両3が複数存在する場合、周波数変更部18は、複数の車両3のそれぞれに対して、交流磁界の周波数の変更を指示する。
【0089】
また、周波数変更部18は、複数の車両3のうちの特定の車両3のみに対して、交流磁界の周波数の変更を指示してもよい。例えば、周波数変更部18は、給電装置2からの非接触給電が予定される車両3、例えば給電装置2が設けられた車線を給電装置2に向かって走行している車両3のみに対して、交流磁界の周波数の変更を指示してもよい。この場合、車両3の位置及び走行方向は、複数の車両3のそれぞれからサーバ12に定期的に送信される車両3の位置情報(例えば車両3のGNSS受信機38によって検出された車両3の現在位置)に基づいて特定される。ステップS105の後、本制御ルーチンは終了する。
【0090】
図8は、第一実施形態において車両3において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは車両3のECU34のプロセッサ37によって所定の実行間隔で繰り返し実行される。
【0091】
最初に、ステップS201において、プロセッサ37は、交流磁界の周波数の変更指示をサーバ12から受信したか否かを判定する。周波数の変更指示を受信していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、周波数の変更指示を受信したと判定された場合、本制御ルーチンはステップS202に進む。
【0092】
ステップS202では、プロセッサ37は、位置信号として車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数、すなわち車両3が給電装置2に接近したときに交流磁界発生回路62によって発生させる交流磁界の周波数を変更する。具体的には、プロセッサ37は交流磁界の周波数を現在の設定値からサーバ12から送信された推奨値に変更する。プロセッサ37は、交流磁界の周波数を変更するとき、例えば交流電力発生回路61のインバータにおけるPWM制御の設定(例えば出力電圧の正負を切り替えるスイッチのクロック周波数のカウンタ値等)を変更することによって交流電力発生回路61の出力周波数を変更する。ステップS202の後、本制御ルーチンは終了する。
【0093】
なお、
図7のステップS104が省略され、サーバ12から車両3に送信される周波数の変更指示に変更後の周波数の値(推奨値)が含まれなくてもよい。この場合、ステップS202において、プロセッサ37は交流磁界の周波数を現在の設定値とは異なる値に変更する。変更後の周波数の値は、例えば、磁界共振結合の共振周波数(例えば85kHz)とは異なる値、好ましくは磁界共振結合の共振周波数よりも低い値である。
【0094】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る給電支援システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る給電支援システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0095】
図9は、本発明の第二実施形態に係る給電支援システム10’を概略的に示す図である。第一実施形態と同様に、給電支援システム10’は磁界検出器11及びサーバ12を備える。
【0096】
第二実施形態では、給電支援装置として機能するサーバ12は通信ネットワーク8を介して給電装置2と通信可能である。サーバ12の周波数変更部18は、位置信号として車両3から給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数の変更を車両3及び給電装置2に指示する。そして、給電装置2のコントローラ22はサーバ12からの指示に基づいて検出対象の交流磁界の周波数を変更する。すなわち、コントローラ22は、磁界検出器11によって検出された給電装置2の周辺の磁界に基づいて、検出対象の交流磁界の周波数を変更する。
【0097】
図10は、第二実施形態においてサーバ12において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはサーバ12のプロセッサ16によって所定の実行間隔で繰り返し実行される。なお、磁界検出器11が設けられた給電装置2の設置エリアが複数存在する場合、複数の設置エリアのそれぞれに対して、本制御ルーチンが実行される。
【0098】
ステップS301~S304は
図7のステップS101~S104と同様に実行される。ステップS304の後、ステップS305において、周波数変更部18は、給電装置2に対して発せられる交流磁界の周波数の変更を車両3及び給電装置2に指示する。具体的には、周波数変更部18は、交流磁界の周波数の推奨値を車両3及び給電装置2に送信することによって交流磁界の周波数の変更を指示する。ステップS305の後、本制御ルーチンは終了する。
【0099】
図11は、第二実施形態において給電装置2において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは給電装置2のコントローラ22のプロセッサ24によって所定の実行間隔で繰り返し実行される。
【0100】
最初に、ステップS401において、プロセッサ24は、交流磁界の周波数の変更指示をサーバ12から受信したか否かを判定する。周波数の変更指示を受信していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、周波数の変更指示を受信したと判定された場合、本制御ルーチンはステップS402に進む。
【0101】
ステップS402では、プロセッサ24は交流磁界の検出対象の周波数を変更する。具体的には、プロセッサ24は検出対象の周波数を現在の設定値からサーバ12から送信された推奨値に変更する。例えば、プロセッサ24は、車両検出装置7の出力を周波数解析して検出対象の周数数成分を抽出し、抽出した周波数成分の値(波高値)に基づいて、車両3が給電装置2に接近しているか否かを判定する。この場合、周波数解析(例えばフーリエ変換)における検出対象の周波数成分が推奨値に変更される。
【0102】
また、プロセッサ24は車両検出装置7の出力をフィルタ処理して検出対象の周波数成分を抽出してもよい。この場合、検出対象の周波数成分が異なる複数のフィルタ回路が車両検出装置7とコントローラ22との間に設けられ、複数のフィルタ回路のうち、推奨値に対応する周波数成分を抽出するフィルタ回路が車両検出装置7に接続される。ステップS402の後、本制御ルーチンは終了する。
【0103】
なお、第二実施形態においても、第一実施形態と同様に車両3において
図8の制御ルーチンが実行される。
【0104】
<第三実施形態>
第三実施形態に係る給電支援システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る給電支援システムの構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0105】
図12は、本発明の第三実施形態に係る給電支援システムを概略的に示す図である。第三実施形態では、給電支援システムは給電装置2の車両検出装置7及びコントローラ22を備える。すなわち、車両検出装置7が、給電装置2の周辺の磁界を検出する磁界検出器として機能し、コントローラ22が給電支援装置として機能する。コントローラ22は通信インターフェースを有し、コントローラ22及び車両3は通信ネットワーク8及び無線基地局9を介して互いに通信可能である。
【0106】
図13は、第三実施形態におけるコントローラ22のプロセッサ24の機能ブロック図である。第三実施形態では、プロセッサ24は磁界取得部17及び周波数変更部18を有する。磁界取得部17及び周波数変更部18は、コントローラ22のメモリ23に記憶されたコンピュータプログラムをコントローラ22のプロセッサ24が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、磁界取得部17及び周波数変更部18は、プロセッサ24に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0107】
第三実施形態では、コントローラ22のプロセッサ24によって
図7の制御ルーチンが実行される。このとき、ステップS101において、磁界取得部17は車両検出装置7の出力を取得する。ステップS102~S105は、第一実施形態に関して上述したように実行される。
【0108】
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、車両3の位置信号として交流磁界を発生させる交流磁界発生回路62は、磁界共振結合を用いる必要はないため、コンデンサ64を有していなくてもよい。
【0109】
また、車両3は、走行用の動力源として内燃機関及びモータを備えたハイブリッド車両(HV)又はプラグインハイブリッド車両(PHV)であってもよい。また、車両3は、車両3の加速、操舵及び減速(制動)の少なくとも一部が自動的に制御される自動運転車両であってもよい。さらに、車両3は、バス又はトラックのような商用車、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)等であってもよい。
【0110】
また、給電装置2から車両3への非接触給電の手法として、磁界共鳴方式を含む電磁誘導方式に限られず、電界を媒体として電力を伝送する電界結合方式のような様々な手法を用いることができる。
【0111】
また、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施可能である。例えば、第一実施形態及び第二実施形態において、磁界検出器11が省略され、給電装置2の車両検出装置7が、給電装置2の周辺の磁界を検出する磁界検出器として機能してもよい。また、第二実施形態に第三実施形態が組み合わされる場合、コントローラ22のプロセッサ24によって
図10の制御ルーチンが実行される。このとき、ステップS301において磁界取得部17は車両検出装置7の出力を取得し、ステップS305において周波数変更部18は交流磁界の周波数の変更を車両3に指示すると共に給電装置2における交流磁界の検出対象の周波数を変更する。
【符号の説明】
【0112】
1 非接触給電システム
2 給電装置
3 車両
7 車両検出装置
10、10’、10” 給電支援システム
11 磁界検出器
12 サーバ
16 プロセッサ
17 磁界取得部
18 周波数変更部
22 コントローラ
24 プロセッサ
34 電子制御ユニット(ECU)
37 プロセッサ
62 交流磁界発生回路