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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両制御装置及び車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240806BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01C21/36
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021105997
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023004370
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】津下 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】松田 和久
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-068500(JP,A)
【文献】特開2013-228238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する車両制御装置であって、
前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を設定する目標車速設定部を備え、
前記目標車速設定部は、所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記目標車速を低くし、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記第1条件は、前記車両の後方を走行する後方車両と該車両との位置関係に関する位置条件を含む、車両制御装置。
【請求項2】
前記位置条件は、前記車両と前記後方車両との間の距離が所定距離以上であるときに満たされる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記位置条件は、前記車両の目標車速が低くされたときの前記後方車両の該車両に対する衝突余裕時間が所定時間以上であるときに満たされる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記位置条件は、前記後方車両が前記車両の現在位置に到達するまでの時間が所定時間以上であるときに満たされる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記後方車両は、前記車両と同一の車線において該車両の後方に位置する後続車両である、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する車両制御装置であって、
前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を設定する目標車速設定部を備え、
前記目標車速設定部は、所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記目標車速を低くし、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記第1条件は、前記給電エリアの車線から他の車線への車線変更の容易さに関する車線変更条件を含み、
前記車線変更条件は、前記給電エリアが設定された道路において同一進行方向の車線の数が2以上の所定数以上であるときに満たされる、車両制御装置。
【請求項7】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する車両制御装置であって、
前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を設定する目標車速設定部を備え、
前記目標車速設定部は、所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記目標車速を低くし、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記第1条件は、前記給電エリアの車線から他の車線への車線変更の容易さに関する車線変更条件を含み、
前記車線変更条件は、前記給電エリアの車線に隣接する車線の所定範囲に位置する他車両の数が所定数以下であるときに満たされる、車両制御装置。
【請求項8】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する車両制御装置であって、
前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を設定する目標車速設定部を備え、
前記目標車速設定部は、所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記目標車速を低くし、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記第1条件は、前記給電エリアの前方の渋滞状況に関する渋滞条件を含み、
前記渋滞条件は、前記給電エリアの前方で渋滞が発生する可能性がないときに満たされる、車両制御装置。
【請求項9】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する車両制御装置であって、
前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を設定する目標車速設定部を備え、
前記目標車速設定部は、所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記目標車速を低くし、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記所定条件は、前記車両の運行スケジュール又は前記車両の乗員の予定に関する第3条件を含む、車両制御装置。
【請求項10】
前記第3条件は、前記車両の目的地への到着予定時刻から所定時間の間に前記乗員の予定が存在しないときに満たされる、請求項9に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記車両はバッテリを備え、前記所定条件は、該バッテリの状態に関する第2条件を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記車両は出力装置を備え、前記目標車速設定部は、前記所定条件が満たされた場合に、前記給電エリアにおける前記車両の速度が前記目標車速に近付くように、前記出力装置に減速指示を出力させる、請求項1から11のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項13】
前記車両の走行を制御する運転支援部を更に備え、
前記運転支援部は、前記所定条件が満たされた場合に、前記給電エリアにおける前記車両の速度が前記目標車速に近付くように該車両を減速させる、請求項1から12のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項14】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する、車両制御装置によって実行される車両制御方法であって、
所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を低くすることを含み、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記第1条件は、前記車両の後方を走行する後方車両と該車両との位置関係に関する位置条件を含む、車両制御方法。
【請求項15】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する、車両制御装置によって実行される車両制御方法であって、
所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を低くすることを含み、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記第1条件は、前記給電エリアの車線から他の車線への車線変更の容易さに関する車線変更条件を含み、
前記車線変更条件は、前記給電エリアが設定された道路において同一進行方向の車線の数が2以上の所定数以上であるときに満たされる、車両制御方法。
【請求項16】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する、車両制御装置によって実行される車両制御方法であって、
所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を低くすることを含み、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記第1条件は、前記給電エリアの車線から他の車線への車線変更の容易さに関する車線変更条件を含み、
前記車線変更条件は、前記給電エリアの車線に隣接する車線の所定範囲に位置する他車両の数が所定数以下であるときに満たされる、車両制御方法。
【請求項17】
送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する、車両制御装置によって実行される車両制御方法であって、
所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を低くすることを含み、
前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含み、
前記第1条件は、前記給電エリアの前方の渋滞状況に関する渋滞条件を含み、
前記渋滞条件は、前記給電エリアの前方で渋滞が発生する可能性がないときに満たされる、車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両制御装置及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁界共鳴方式のような伝送方式を用いて、地面に設けられた給電装置と車両との間で非接触で電力を伝送する技術が知られている(例えば特許文献1)。通常、給電装置の送電側コイルは、車両が走行する道路の一部に設置される。このため、送電側コイルが設置された給電エリアを車両が高速で通過してしまうと、給電時間が短くなり、ひいては車両への給電量が少なくなる。
【0003】
これに対して、特許文献1に記載の電動車両の制御装置では、車両が給電エリアの出口に到達したときに車両のバッテリの充電率が目標値になるように、車両の速度が制御される。したがって、必要とされるバッテリの充電量が多い場合には、車両が給電エリアを通過するときに車両が減速される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-068500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、給電エリアにおいて車両の速度を変更することによる周囲の交通状況への影響が一切考慮されていない。例えば、給電エリアにおいて車両の減速が行われると、車両の後方を走行している後方車両に制動を強いるおそれがある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、車両が給電エリアを通過する際に、周囲の交通状況に配慮しつつ、車両への給電量を増加させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する車両制御装置であって、前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を設定する目標車速設定部を備え、前記目標車速設定部は、所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記目標車速を低くし、前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含む、車両制御装置。
【0009】
(2)前記第1条件は、前記車両の後方を走行する後方車両と該車両との位置関係に関する位置条件を含む、上記(1)に記載の車両制御装置。
【0010】
(3)前記位置条件は、前記車両と前記後方車両との間の距離が所定距離以上であるときに満たされる、上記(2)に記載の車両制御装置。
【0011】
(4)前記位置条件は、前記車両の目標車速が低くされたときの前記後方車両の該車両に対する衝突余裕時間が所定時間以上であるときに満たされる、上記(2)に記載の車両制御装置。
【0012】
(5)前記位置条件は、前記後方車両が前記車両の現在位置に到達するまでの時間が所定時間以上であるときに満たされる、上記(2)に記載の車両制御装置。
【0013】
(6)前記後方車両は、前記車両と同一の車線において該車両の後方に位置する後続車両である、上記(2)から(5)のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0014】
(7)前記第1条件は、前記給電エリアの車線から他の車線への車線変更の容易さに関する車線変更条件を含む、上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0015】
(8)前記車線変更条件は、前記給電エリアが設定された道路において同一進行方向の車線の数が2以上の所定数以上であるときに満たされる、上記(7)に記載の車両制御装置。
【0016】
(9)前記車線変更条件は、前記給電エリアの車線に隣接する車線の所定範囲に位置する他車両の数が所定数以下であるときに満たされる、上記(7)に記載の車両制御装置。
【0017】
(10)前記第1条件は、前記給電エリアの前方の渋滞状況に関する渋滞条件を含む、上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0018】
(11)前記渋滞条件は、前記給電エリアの前方で渋滞が発生する可能性がないときに満たされる、上記(10)に記載の車両制御装置。
【0019】
(12)前記車両はバッテリを備え、前記所定条件は、該バッテリの状態に関する第2条件を含む、上記(1)から(11)のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0020】
(13)前記所定条件は、前記車両の運行スケジュール又は前記車両の乗員の予定に関する第3条件を含む、上記(1)から(12)のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0021】
(14)前記第3条件は、前記車両の目的地への到着予定時刻から所定時間の間に前記乗員の予定が存在しないときに満たされる、上記(13)に記載の車両制御装置。
【0022】
(15)前記車両は出力装置を備え、前記目標車速設定部は、前記所定条件が満たされた場合に、前記給電エリアにおける前記車両の速度が前記目標車速に近付くように、前記出力装置に減速指示を出力させる、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0023】
(16)前記車両の走行を制御する運転支援部を更に備え、前記運転支援部は、前記所定条件が満たされた場合に、前記給電エリアにおける前記車両の速度が前記目標車速に近付くように該車両を減速させる、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0024】
(17)送電側コイルの上を通過するときに該送電側コイルから非接触で電力を受電するように構成された車両を制御する車両制御方法であって、所定条件が満たされたときには、該所定条件が満たされないときと比べて、前記送電側コイルが設置された給電エリアにおける前記車両の目標車速を低くすることを含み、前記所定条件は、前記車両の周囲の走行環境に関する第1条件を含む、車両制御方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、車両が給電エリアを通過する際に、周囲の交通状況に配慮しつつ、車両への給電量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、非接触給電システムの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、コントローラ及びコントローラに接続された機器の概略的な構成図である。
図3図3は、第一実施形態に係る車両におけるECU及びECUに接続された機器の概略的な構成図である。
図4図4は、給電装置の送電側コイルが設置された給電エリアの一例を示す図である。
図5図5は、第一実施形態におけるECUのプロセッサの機能ブロック図である。
図6図6は、第一実施形態において車両において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
図7図7は、車両と後方車両との位置関係の一例を示す図である。
図8図8は、第二実施形態に係る車両におけるECU及びECUに接続された機器の概略的な構成図である。
図9図9は、第二実施形態におけるECUのプロセッサの機能ブロック図である。
図10図10は、第二実施形態において車両において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
図11図11は、第三実施形態に係る車両を概略的に示す図である。
図12図12は、サーバの構成を概略的に示す図である。
図13図13は、第三実施形態においてサーバにおいて実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
図14図14は、第三実施形態において車両において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0028】
<第一実施形態>
以下、図1図7を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
【0029】
最初に、地面に設けられた給電装置から走行中の車両に電力を送電するための構成について説明する。図1は、非接触給電システム1の構成を概略的に示す図である。非接触給電システム1は、給電装置2及び車両3を備え、給電装置2と車両3との間の非接触給電を行う。特に、本実施形態では、非接触給電システム1は、車両3が走行しているときに、磁界共振結合(磁界共鳴)によって給電装置2から車両3への非接触給電を行う。すなわち、非接触給電システム1は磁界を媒体として給電装置2から車両3へ電力を伝送する。なお、非接触給電は、非接触電力伝送、ワイヤレス電力伝送又はワイヤレス給電とも称される。
【0030】
給電装置2は車両3への非接触給電を行うように構成される。具体的には、図1に示されるように、給電装置2は、送電装置4、電源21、コントローラ6及び通信装置22を備える。本実施形態では、給電装置2は、車両3が走行する道路(車線)に設けられ、例えば地中(路面の下)に埋め込まれる。なお、給電装置2の少なくとも一部(例えば、電源21、コントローラ6及び通信装置22)は路面の上に配置されてもよい。
【0031】
電源21は、送電装置4の電力源であり、送電装置4に電力を供給する。電源21は、例えば、単相交流電力を供給する商用交流電源である。なお、電源21は、三相交流電力を供給する交流電源等であってもよい。
【0032】
送電装置4は、車両3に電力を送電するための交流磁界を発生させるように構成される。本実施形態では、送電装置4は、送電側整流回路41、インバータ42及び送電側共振回路43を備える。送電装置4では、送電側整流回路41及びインバータ42を介して送電側共振回路43に適切な交流電力(高周波電力)が供給される。
【0033】
送電側整流回路41は電源21及びインバータ42に電気的に接続される。送電側整流回路41は、電源21から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力をインバータ42に供給する。送電側整流回路41は例えばAC/DCコンバータである。
【0034】
インバータ42は送電側整流回路41及び送電側共振回路43に電気的に接続される。インバータ42は、送電側整流回路41から供給された直流電力を、電源21の交流電力よりも高い周波数の交流電力(高周波電力)に変換し、高周波電力を送電側共振回路43に供給する。
【0035】
送電側共振回路43は、送電側コイル44及び送電側コンデンサ45から構成される共振器を有する。送電側コイル44及び送電側コンデンサ45の各種パラメータ(送電側コイル44の外径及び内径、送電側コイル44の巻数、送電側コンデンサ45の静電容量等)は、送電側共振回路43の共振周波数が所定の設定値になるように定められる。所定の設定値は、例えば10kHz~100GHzであり、好ましくは、車両の非接触給電用の周波数帯域としてSAE TIR J2954規格によって定められた85kHzである。
【0036】
送電側共振回路43は、送電側コイル44の中心が車線の中央に位置するように、車両3が走行する車線の中央に配置される。インバータ42から供給された高周波電力が送電側共振回路43に印加されると、送電側共振回路43は、車両3に電力を送電するための交流磁界を発生させる。なお、電源21は燃料電池又は太陽電池のような直流電源であってもよく、この場合に送電側整流回路41が省略されてもよい。
【0037】
コントローラ6は、例えば汎用コンピュータであり、給電装置2の各種制御を行う。例えば、コントローラ6は、送電装置4のインバータ42に電気的に接続され、送電装置4による送電を制御すべくインバータ42を制御する。コントローラ6は給電装置2の制御装置の一例である。
【0038】
図2は、コントローラ6及びコントローラ6に接続された機器の概略的な構成図である。コントローラ6はメモリ61及びプロセッサ62を備える。メモリ61及びプロセッサ62は信号線を介して互いに接続されている。なお、コントローラ6は、コントローラ6をインターネットのような通信ネットワークに接続するための通信インターフェース等を更に備えていてもよい。
【0039】
メモリ61は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えばROM)を有する。メモリ61は、プロセッサ62において実行されるプログラム、プロセッサ62によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0040】
プロセッサ62は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ62は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。
【0041】
通信装置22は、給電装置2と給電装置2の外部との通信を可能とする機器(例えば近距離無線通信モジュール)である。通信装置22はコントローラ6に電気的に接続され、コントローラ6は通信装置22を用いて車両3と通信する。
【0042】
一方、車両3は、給電装置2の送電側コイル44の上を通過するときに、送電側コイル44から非接触で電力を受電するように構成される。具体的には、図1に示されるように、車両3は、受電装置5、モータ31、バッテリ32、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)33及び電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)7を備える。本実施形態では、車両3は、内燃機関を搭載していない電気自動車(BEV)であり、モータ31が走行用の動力を出力する。
【0043】
モータ31は、例えば交流同期モータであり、電動機及び発電機として機能する。モータ31は、電動機として機能するとき、バッテリ32に蓄えられた電力を動力源として駆動される。モータ31の出力は減速機及び車軸を介して車輪90に伝達される。一方、車両3の減速時には車輪90の回転によってモータ31が駆動され、モータ31は発電機として機能して回生電力を発電する。
【0044】
バッテリ32は、充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等から構成される。バッテリ32は車両3の走行に必要な電力(例えばモータ31の駆動電力)を蓄える。モータ31によって発電された回生電力がバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電され、バッテリ32の充電率(SOC:State Of Charge)が回復する。また、バッテリ32は、車両3に設けられた充電ポートを介して給電装置2以外の外部電源によっても充電可能である。
【0045】
PCU33はバッテリ32及びモータ31に電気的に接続される。PCU33は、インバータ、昇圧コンバータ及びDC/DCコンバータを有する。インバータは、バッテリ32から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ31に供給する。一方、インバータは、モータ31によって発電された交流電力(回生電力)を直流電力に変換し、直流電力をバッテリ32に供給する。昇圧コンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がモータ31に供給されるときに、必要に応じてバッテリ32の電圧を昇圧する。DC/DCコンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がヘッドライト等の電子機器に供給されるときに、バッテリ32の電圧を降圧する。
【0046】
受電装置5は、送電装置4から非接触で電力を受電するように構成される。本実施形態では、受電装置5は、受電側共振回路51、受電側整流回路54及び充電回路55を備える。受電装置5は、送電装置4から電力を受電し、受電した電力をバッテリ32に供給する。
【0047】
受電側共振回路51は、路面との距離が小さくなるように車両3の底部に配置される。本実施形態では、受電側共振回路51は、車幅方向において車両3の中央に配置され、車両3の前後方向において前輪90と後輪90との間に配置される。
【0048】
受電側共振回路51は、送電側共振回路43と同様の構成を有し、受電側コイル52及び受電側コンデンサ53から構成される共振器を有する。受電側コイル52及び受電側コンデンサ53の各種パラメータ(受電側コイル52の外径及び内径、受電側コイル52の巻数、受電側コンデンサ53の静電容量等)は、受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数と一致するように定められる。なお、受電側共振回路51の共振周波数と送電側共振回路43の共振周波数とのずれ量が小さければ、例えば受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数の±20%の範囲内であれば、受電側共振回路51の共振周波数は送電側共振回路43の共振周波数と必ずしも一致している必要はない。
【0049】
図1に示されるように受電側共振回路51が送電側共振回路43と対向しているときに、送電側共振回路43に交流磁界が発生すると、交流磁界の振動が、送電側共振回路43と同一の共振周波数で共鳴する受電側共振回路51に伝達する。この結果、電磁誘導によって受電側共振回路51に誘導電流が流れ、誘導電流によって受電側共振回路51において電力が発生する。すなわち、送電側共振回路43は磁界を介して受電側共振回路51へ電力を送電し、受電側共振回路51は磁界を介して送電側共振回路43から電力を受電する。
【0050】
受電側整流回路54は受電側共振回路51及び充電回路55に電気的に接続される。受電側整流回路54は、受電側共振回路51から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を充電回路55に供給する。受電側整流回路54は例えばAC/DCコンバータである。
【0051】
充電回路55は受電側整流回路54及びバッテリ32に電気的に接続される。充電回路55は、受電側整流回路54から供給された直流電力をバッテリ32の電圧レベルに変換してバッテリ32に供給する。送電装置4から送電された電力が受電装置5によってバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電され、バッテリ32のSOCが回復する。充電回路55は例えばDC/DCコンバータである。
【0052】
ECU7は車両3の各種制御を行う。例えば、ECU7は、受電装置5の充電回路55に電気的に接続され、送電装置4から送電された電力によるバッテリ32の充電を制御すべく充電回路55を制御する。また、ECU7は、PCU33に電気的に接続され、バッテリ32と車載機器(例えばモータ31)との間の電力の授受を制御すべくPCU33を制御する。なお、ECU7は、送電装置4から送電された電力を受電装置5を介してバッテリ32の代わりに電気負荷(例えばモータ31)に供給してもよい。ECU7は、車両3を制御する車両制御装置の一例である。
【0053】
図3は、第一実施形態に係る車両3におけるECU7及びECU7に接続された機器の概略的な構成図である。ECU7は、通信インターフェース71、メモリ72及びプロセッサ73を有する。通信インターフェース71、メモリ72及びプロセッサ73は信号線を介して互いに接続されている。
【0054】
通信インターフェース71は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワークにECU7を接続するためのインターフェース回路を有する。
【0055】
メモリ72は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えばROM)を有する。メモリ72は、プロセッサ73において実行されるプログラム、プロセッサ73によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0056】
プロセッサ73は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ73は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。
【0057】
また、図3に示されるように、車両3は、GNSS受信機34、地図データベース35、他車両検出装置36、センサ37、HMI(Human Machine Interface)38及び通信装置39を更に備える。GNSS受信機34、地図データベース35、他車両検出装置36、センサ37、HMI38及び通信装置39はECU7に電気的に接続される。
【0058】
GNSS受信機34は、複数(例えば3つ以上)の測位衛星から得られる測位情報に基づいて、車両3の現在位置(例えば車両3の緯度及び経度)を検出する。具体的には、GNSS受信機34は、複数の測位衛星を捕捉し、測位衛星から発信された電波を受信する。そして、GNSS受信機34は、電波の発信時刻と受信時刻との差に基づいて測位衛星までの距離を算出し、測位衛星までの距離及び測位衛星の位置(軌道情報)に基づいて車両3の現在位置を検出する。GNSS受信機34の出力、すなわちGNSS受信機34によって検出された車両3の現在位置はECU7に送信される。
【0059】
なお、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)は、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本のQZSS、中国のBeiDou、インドのIRNSS等の衛星測位システムの総称である。したがって、GNSS受信機34にはGPS受信機が含まれる。
【0060】
地図データベース35は地図情報を記憶している。地図情報には、後述する給電エリアの位置情報等が含まれる。ECU7は地図データベース35から地図情報を取得する。なお、地図データベースが車両3の外部(例えばサーバ等)に設けられ、ECU7は車両3の外部から地図情報を取得してもよい。
【0061】
他車両検出装置36は、車両3(自車両)の周囲に存在する他車両を検出する。具体的には、他車両検出装置36は、車両3の周囲の他車両の有無、車両3から他車両までの距離、及び車両3と他車両との相対速度を検出する。例えば、他車両検出装置36は、ステレオカメラ、ライダ(LIDAR:Laser Imaging Detection And Ranging))、ミリ波レーダ若しくは超音波センサ(ソナー)、又はこれらの任意の組み合わせから構成される。他車両検出装置36の出力はECU7に送信される。
【0062】
センサ37は車両3の状態を検出する。本実施形態では、センサ37は、車両3の速度を検出する車速センサと、バッテリ32の温度を検出するバッテリ温度センサと、バッテリ32の入出力電流を検出するバッテリ電流センサとを含む。
【0063】
HMI38は車両3と車両3の乗員(例えばドライバ)との間で情報の入出力を行う。HMI38は、例えば、情報を表示するディスプレイ、音を発生させるスピーカー、乗員が入力操作を行うための操作ボタン、操作スイッチ又はタッチスクリーン、乗員の音声を受信するマイクロフォン等を含む。ECU7の出力はHMI38を介して乗員に伝達され、乗員からの入力はHMI38を介してECU7に送信される。HMI38は、入力装置、出力装置又は入出力装置の一例である。
【0064】
通信装置39は、車両3と車両3の外部との通信を可能とする機器(例えば、近距離無線通信モジュール、インターネットのような通信ネットワークに車両3を接続するためのデータ通信モジュール(DCM:Data communication module)等)である。ECU7は通信装置39を用いて給電装置2と通信する。
【0065】
図4は、給電装置2の送電側コイル44が設置された給電エリアの一例を示す図である。図4の例では、3つの送電側コイル44が道路の同一車線上に車両3の進行方向に沿って離間して配置されている。送電側コイル44が設置された車線上の範囲が給電エリアに相当する。なお、給電エリアに設置される送電側コイル44の数は他の数(例えば一つ)であってもよい。
【0066】
例えば、ECU7は、送電側コイル44が設置された給電エリアに車両3が接近したときに、通信装置39を用いて、給電装置2から車両3への給電を要求する給電要求信号を発信する。給電装置2のコントローラ6は、車両3から給電要求信号を受信すると、送電装置4によって送電用の交流磁界を発生させる。すなわち、コントローラ6は、車両3から給電要求信号を受信すると、給電装置2から車両3への非接触給電を開始する。
【0067】
しかしながら、車両3が給電エリアを高速で通過してしまうと、給電時間が短くなり、ひいては車両3への給電量が少なくなる。このため、車両3への給電量を最大化するためには、車両3の速度を可及的に低くすることが望ましい。一方、給電エリアにおいて車両3の速度が変更されると、周囲の交通状況へ悪影響を与えるおそれがある。例えば、給電エリアにおいて車両3の減速が行われると、車両3の後方を走行している後方車両に制動を強いるおそれがある。そこで、本実施形態では、周囲の交通状況を考慮して、給電エリアにおける車両3の減速の可否が判断される。
【0068】
図5は、第一実施形態におけるECU7のプロセッサ73の機能ブロック図である。本実施形態では、プロセッサ73は目標車速設定部74を有する。目標車速設定部74は、ECU7のメモリ72に記憶されたコンピュータプログラムをECU7のプロセッサ73が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、目標車速設定部74は、プロセッサ73に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0069】
目標車速設定部74は、給電エリアにおける車両3の目標車速を設定し、給電エリアにおける車両3の速度が目標車速に近付くように、HMI38に減速指示を出力させる。特に、本実施形態では、目標車速設定部74は、車両3の周囲の走行環境に関する第1条件を含む所定条件が満たされたときには、所定条件が満たされないときと比べて、給電エリアにおける車両3の目標車速を低くする。すなわち、目標車速設定部74は、所定条件が満たされたときには給電エリアにおける車両3の目標車速を低くし、所定条件が満たされないときには給電エリアにおける車両3の目標車速を低くしない。このことによって、車両3が給電エリアを通過する際に、周囲の交通状況に配慮しつつ、車両3への給電量を増加させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記所定条件は、車両3のバッテリ32の状態に関する第2条件を含む。このことによって、バッテリ32の状態を考慮して車両3の減速の可否を判断することができ、給電エリアにおける不要な減速を行うことを回避することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記所定条件は、車両3の運行スケジュール又は車両3の乗員の予定に関する第3条件を含む。このことによって、給電エリアにおける車両3の減速により車両3の運行スケジュール又は車両3の乗員の予定に支障が生じることを回避することができる。
【0072】
上記のように、本実施形態では、上記所定条件は、第1条件、第2条件及び第3条件を含む。この場合、第1条件、第2条件及び第3条件が満たされた場合に所定条件が満たされ、第1条件、第2条件及び第3条件の少なくとも一つが満たされなかった場合に所定条件が満たされない。
【0073】
以下、図6のフローチャートを参照して、上述した制御のフローについて説明する。図6は、第一実施形態において車両3において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはECU7のプロセッサ73によって繰り返し実行される。
【0074】
最初に、ステップS101において、目標車速設定部74はGNSS受信機34の出力に基づいて車両3の現在位置を取得する。
【0075】
次いで、ステップS102において、目標車速設定部74は、車両3の現在位置から給電エリアまでの距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する。給電エリアまでの距離が閾値よりも長いと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、給電エリアまでの距離が閾値以下であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS103に進む。
【0076】
ステップS103では、目標車速設定部74は、車両3の周囲の走行環境に関する情報を取得し、車両3の周囲の走行環境に関する第1条件が満たされているか否かを判定する。車両3の周辺に他車両が存在する場合、特に、車両3の後方を走行する後方車両が車両3の減速による影響を受けやすい。このため、第1条件は、例えば、車両3の後方を走行する後方車両と車両3との位置関係に関する位置条件を含む。この場合、位置条件が満たされない場合には、第1条件が満たされない。
【0077】
図7は、車両3と後方車両との位置関係の一例を示す図である。図7の例では、車両3の後方に二台の後方車両RV1、RV2が位置している。後方車両には、車両3と同一の車線において車両3の後方に位置する後続車両(図7の後方車両RV1)だけでなく、車両3とは異なる車線において車両3の後方に位置する後方並走車両(図7の後方車両RV2)も含まれる。
【0078】
車両3と後続車両との間の距離が短いときに車両3の減速が行われると、後続車両が制動を強いられるおそれがある。また、車両3と後方並走車両との間の距離が短いときに車両3の減速が行われると、後方並走車両が車両3の車線に車線変更した場合に制動を強いられるおそれがある。このため、位置条件は、例えば、車両3と後方車両との間の距離が所定距離以上であることである。この場合、位置条件は、車両3と後方車両との間の距離が所定距離以上であるときに満たされ、この距離が所定距離未満であるときには満たされない。
【0079】
例えば、目標車速設定部74は、他車両検出装置36の出力、又は車車間通信によって後方車両から車両3に送信される車両情報(例えば後方車両の現在位置)に基づいて、車両3と後方車両との間の距離を取得する。なお、他車両検出装置36によって後方車両が検出されない場合、又は車車間通信によって車両3と通信可能な後方車両が存在しない場合には、車両3と後方車両との間の距離が所定距離よりも大きな所定値(例えば無限大値)とされ、位置条件が満たされる。
【0080】
図7の例では、隣接車線の後方車両RV2と車両3との間の距離L2が同一車線の後方車両RV1と車両3との間の距離L1よりも短い。このため、距離L2が所定距離以上である場合に位置条件が満たされる。図7の例では、車両3(自車両)の基準位置として車両3の後端部が用いられ、後方車両RV1、RV2の基準位置として車両3の前端部が用いられている。しかしながら、車両3及び後方車両RV1、RV2の基準位置として他の位置(例えば車両中心)が用いられてもよい。また、車両3と後方並走車両RV2との間の距離L2は、車両3の進行方向に沿った距離として規定されてもよい。
【0081】
なお、位置条件は、車両3の目標車速が低くされたときの後方車両の車両3に対する衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)が所定時間以上であることであってもよい。この場合、位置条件は、衝突余裕時間が所定時間以上であるときに満たされ、衝突余裕時間が所定時間未満であるときには満たされない。車両3の目標車速が低くされたときの後方車両の車両3に対する衝突余裕時間は、車両3と後方車両との間の距離を減速後の車両3と後方車両との相対速度(後方車両の速度-減速後の車両3の目標車速)で除算した値として算出される。
【0082】
また、位置条件は、後方車両が車両3の現在位置に到達するまでの時間(THW:Time-Headway)、すなわち車両3と後方車両との間の距離を後方車両の速度で除算した値が所定時間以上であることであってもよい。この場合、位置条件は、後方車両が車両3の現在位置に到達するまでの時間が所定時間以上であるときに満たされ、この時間が所定時間未満であるときには満たされない。
【0083】
これらの場合、目標車速設定部74は、他車両検出装置36の出力、又は車車間通信によって後方車両から車両3に送信される車両情報(例えば後方車両の速度)に基づいて、後方車両の速度を取得する。なお、他車両検出装置36によって後方車両が検出されない場合、又は車車間通信によって車両3と通信可能な後方車両が存在しない場合には、衝突余裕時間又は後方車両が車両3の現在位置に到達するまでの時間が所定時間よりも大きな所定値(例えば無限大値)とされ、位置条件が満たされる。
【0084】
また、車両3と同一の車線において車両3の後方に位置する後続車両が車両3の挙動の影響を最も受けやすい。このため、位置条件の判定の対象となる後方車両は後続車両のみであってもよい。この場合、車両3と後続車両との位置関係に基づいて位置条件の充足性が判断される。
【0085】
ところで、給電エリアの車線から他の車線への車線変更が容易である場合には、車両3の減速が行われたとしても、後方車両は車線変更を行うことによって走行速度を維持することができる。このため、第1条件は、給電エリアの車線から他の車線への車線変更の容易さに関する車線変更条件を含んでいてもよい。この場合、車線変更条件が満たされない場合には、第1条件が満たされない。
【0086】
例えば、車線変更条件は、給電エリアが設定された道路において同一進行方向の車線の数が所定数以上であることである。この場合、車線変更条件は、車線の数が所定数以上であるときに満たされ、車線の数が所定数未満であるときには満たされない。所定数は、2以上の数、例えば2又は3である。
【0087】
また、隣接車線の交通量が多いときには、隣接車線への車線変更が困難となる。このため、車線変更条件は、給電エリアの車線に隣接する車線の所定範囲に位置する他車両の数が所定数以下であることであってもよい。この場合、車線変更条件は、隣接車線の所定範囲に位置する他車両の数が所定数以下であるときに満たされ、他車両の数が所定数よりも多いときには満たされない。所定範囲は、例えば、車両3の前後の所定距離の範囲、給電エリア手前の所定距離の範囲等である。なお、所定数はゼロであってもよい。
【0088】
また、給電エリアの前方において渋滞が発生することが考えられる。給電エリアの前方において渋滞が発生している場合に車両3の減速が行われると、渋滞を助長するおそれがある。一方、車両3の乗員の観点からは、渋滞によって遅延される目的地への到着時間が車両3の減速によって更に遅くなる懸念がある。このため、第1条件は、給電エリアの前方の渋滞状況に関する渋滞条件を含んでいてもよい。この場合、渋滞条件が満たされない場合には、第1条件が満たされない。
【0089】
例えば、渋滞条件は、給電エリアの前方で渋滞が発生する可能性がないことである。この場合、渋滞条件は、給電エリアの前方で渋滞が発生する可能性がないときに満たされ、給電エリアの前方で渋滞が発生する可能性があるときには満たされない。例えば、目標車速設定部74は、VICS(登録商標)情報のような道路交通情報、又は車車間通信によって他車両から車両3に送信される車両情報(例えば他車両の現在地、他車両の速度等)に基づいて、給電エリアの前方で渋滞が発生する可能性があるか否かを判定する。なお、給電エリアの前方で既に渋滞が発生していることを示す情報が取得された場合には、給電エリアの前方で渋滞が発生する可能性があると判定される。
【0090】
なお、第1条件は、位置条件、車線変更条件及び渋滞条件の少なくとも一つを含んでいればよい。例えば、第1条件が、位置条件、車線変更条件及び渋滞条件を含む場合、これら条件の全てが満たされる場合に第1条件が満たされ、これら条件の少なくとも一つが満たされない場合に第1条件が満たされない。
【0091】
ステップS103において第1条件が満たされていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS104に進む。ステップS104では、目標車速設定部74は、車両3のバッテリ32の状態に関する情報を取得し、バッテリ32の状態に関する第2条件が満たされているか否かを判定する。
【0092】
バッテリ32のSOCが高いときには、車両3への給電量を増加させる必要性が低い。このため、第2条件は、例えば、バッテリ32のSOCが所定値以下であることを含む。この場合、バッテリ32のSOCが所定値よりも高いときには、第2条件が満たされない。例えば、目標車速設定部74は、センサ37(具体的にはバッテリ電流センサ)によって検出されたバッテリ32の入出力電流を積算することによってバッテリ32のSOCを算出する。
【0093】
また、バッテリ32の温度が高いときには、車両3への給電量の増加によってバッテリ32の温度上昇が助長されるおそれがある。このため、第2条件は、バッテリ32の温度が所定温度以下であることを含んでいてもよい。この場合、バッテリ32の温度が所定温度よりも高いときには、第2条件が満たされない。例えば、目標車速設定部74は、センサ37(具体的にはバッテリ温度センサ)の出力に基づいて、バッテリ32の温度を取得する。
【0094】
ステップS104において第2条件が満たされていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS105に進む。ステップS105では、目標車速設定部74は、車両3の運行スケジュール又は車両3の乗員の予定に関する情報を取得し、車両3の運行スケジュール又は車両3の乗員の予定に関する第3条件が満たされているか否かを判定する。
【0095】
例えば、車両3が、乗客輸送サービスを提供する車両(バス、タクシー等)であり、車両3の運行スケジュールが予め定められている場合には、運行スケジュールからの遅延を可及的に回避する必要がある。このため、第3条件は、例えば、車両3の運行スケジュールに遅れが生じていないことである。この場合、第3条件は、車両3の運行スケジュールに遅れが生じていないときに満たされ、車両3の運行スケジュールに遅れが生じているときには満たされない。車両3の運行スケジュールは例えばECU7のメモリ72又は車両3の他の記憶装置に記憶され、目標車速設定部74は、車両3の現在位置及び車両3の運行スケジュールに基づいて、車両3の運行スケジュールに遅れが生じているか否かを判定する。
【0096】
また、車両3の乗員に降車後の予定がある場合、乗員の予定に支障が生じないように車両3を走行させる必要がある。このため、第3条件は、車両3の目的地への到着予定時刻から所定時間の間に車両3の乗員の予定が存在しないことであってもよい。この場合、第3条件は、到着予定時刻から所定時間の間に車両3の乗員の予定が存在しないときに満たされ、到着予定時刻から所定時間の間に車両3の乗員の予定が存在するときには満たされない。
【0097】
車両3の目的地への到着予定時刻は目的地までの距離等に基づいて公知の手法で算出される。一方、車両3の乗員の予定は、例えば、乗員によってHMI38に入力され、又は乗員の携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等)から車両3へ送信される。目標車速設定部74は、車両3の目的地への到着予定時刻及び車両3の乗員の予定に基づいて、到着予定時刻から所定時間の間に車両3の乗員の予定が存在するか否かを判定する。
【0098】
ステップS105において第3条件が満たされていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS106に進む。ステップS106では、目標車速設定部74は、給電エリアにおける車両3の目標車速、すなわち車両3が給電エリアを通過するときの車両3の目標車速を低くする。例えば、目標車速設定部74は、車両3の現在の速度よりも所定値(例えば5km/h~50km/h)だけ低い値に車両3の目標車速を設定する。
【0099】
次いで、ステップS107において、目標車速設定部74は、給電エリアにおける車両3の速度が目標車速に近付くように、HMI38に減速指示を出力させる。減速指示には、車両3のドライバに減速を促すための文字情報、音声情報、画像情報等が含まれる。すなわち、目標車速設定部74はHMI38を介して視覚的又は聴覚的に車両3のドライバに減速指示を通知する。なお、目標車速設定部74は、減速指示として、給電エリアにおける車両3の目標車速、又は給電エリアにおける車両3の目標車速と車両3の現在速度との差を車両3のドライバに通知してもよい。ステップS107の後、本制御ルーチンは終了する。
【0100】
一方、ステップS103において第1条件が満たされていないと判定された場合、ステップS104において第2条件が満たされていないと判定された場合、又はステップS105において第3条件が満たされていないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS108に進む。ステップS108では、目標車速設定部74は給電エリアにおける車両3の目標車速を車両3の現在速度に維持する。すなわち、目標車速設定部74は車両3の目標車速を変更しない。ステップS108の後、本制御ルーチンは終了する。
【0101】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る車両の構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る車両の構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0102】
図8は、第二実施形態に係る車両3’におけるECU7及びECU7に接続された機器の概略的な構成図である。第二実施形態では、車両3’はブレーキアクチュエータ91及びステアリングモータ92を更に備える。ブレーキアクチュエータ91は、車両3’に設けられたブレーキを作動させる。ステアリングモータ92は、車両3’に設けられたステアリングホイールを回転させる。ブレーキアクチュエータ91及びステアリングモータ92はECU7に電気的に接続され、ECU7はこれらを制御する。
【0103】
図9は、第二実施形態におけるECU7のプロセッサ73の機能ブロック図である。第二実施形態では、プロセッサ73は目標車速設定部74に加えて運転支援部75を有する。目標車速設定部74及び運転支援部75は、ECU7のメモリ72に記憶されたコンピュータプログラムをECU7のプロセッサ73が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、目標車速設定部74及び運転支援部75は、プロセッサ73に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0104】
運転支援部75は車両3’の走行を制御する。具体的には、運転支援部75は、車両3’の加速、操舵及び減速(制動)を制御する。例えば、運転支援部75はPCU33を介してモータ31を制御することによって車両3’の加速を制御する。また、運転支援部75は、ブレーキアクチュエータ91を用いて車両3’の減速(制動)を制御し、ステアリングモータ92を用いて車両3’の操舵を制御する。すなわち、車両3’はいわゆる自動運転車両である。なお、運転支援部75は、車両3’の操舵を制御することなく、モータ31及びブレーキアクチュエータ91を用いて車両3’の速度のみを制御してもよい。
【0105】
第一実施形態と同様に、目標車速設定部74は、所定条件が満たされたときには、所定条件が満たされないときと比べて、給電エリアにおける車両3’の目標車速を低くする。また、第二実施形態では、運転支援部75は、所定条件が満たされた場合に、給電エリアにおける車両3’の速度が、目標車速設定部74によって設定された目標車速に近付くように車両3’を減速させる。この場合、車両3’の速度が自動的に制御されるため、車両3’が給電エリアを通過するときの車両3’の速度をより確実に目標車速に近付けることができる。
【0106】
図10は、第二実施形態において車両3’において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ECU7のプロセッサ73によって繰り返し実行される。
【0107】
ステップS201~S206及びS208は図6のステップS101~S106及びS108と同様に実行される。ステップS206の後、ステップS207において、運転支援部75は、目標車速設定部74によって設定された目標車速に基づいて、車両3の減速制御を実行する。具体的には、運転支援部75は、給電エリアにおける車両3の速度が目標車速に近付くように、ブレーキアクチュエータ91を用いて車両3を減速させる。ステップS207の後、本制御ルーチンは終了する。
【0108】
<第三実施形態>
第三実施形態に係る車両の構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る車両の構成及び制御と同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0109】
図11は、第三実施形態に係る車両3”を概略的に示す図である。第三実施形態では、車両3”は、通信装置39を用いて通信ネットワーク9にアクセスし、無線基地局10及び通信ネットワーク9を介して車両3”の外部のサーバ8と通信する。
【0110】
図12は、サーバ8の構成を概略的に示す図である。サーバ8は、通信インターフェース81、ストレージ装置82、メモリ83及びプロセッサ84を備える。通信インターフェース81、ストレージ装置82及びメモリ83は、信号線を介してプロセッサ84に接続されている。なお、サーバ8は、キーボード及びマウスのような入力装置、ディスプレイのような出力装置等を更に備えていてもよい。また、サーバ8は複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0111】
通信インターフェース81は、サーバ8を通信ネットワーク9に接続するためのインターフェース回路を有する。サーバ8は通信ネットワーク9及び無線基地局10を介して車両3”と通信する。
【0112】
ストレージ装置82は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SDD)又は光記録媒体及びそのアクセス装置を有する。ストレージ装置82は、各種データを記憶し、例えば、車両情報、給電エリアの位置情報を含む地図情報等を記憶する。
【0113】
メモリ83は不揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)を有する。メモリ83は、例えばプロセッサ84によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を一時的に記憶する。
【0114】
プロセッサ84は、一つ又は複数のCPU及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ84は、論理演算ユニット、数値演算ユニット又はグラフィック処理ユニットのような他の演算回路を更に有していてもよい。
【0115】
第三実施形態では、サーバ8において給電エリアにおける車両3”の減速の可否が判断され、車両3”の目標車速設定部74はサーバ8からの指示に基づいて給電エリアにおける車両3”の目標車速を設定する。このことによって、車両3”の減速を許可するための所定条件の充足性をサーバ8において判断することができ、車両3”における演算負荷を低減することができる。
【0116】
図13は、第三実施形態においてサーバ8において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはサーバ8のプロセッサ84によって繰り返し実行される。
【0117】
最初に、ステップS301において、プロセッサ84は、車両3”から車両情報を受信したか否かを判定する。車両3”は車両情報を定期的にサーバ8に送信し、車両情報には、車両3”の識別情報(例えば識別番号)、車両3”の現在位置、車両3”の速度、車両3”のバッテリ32の状態量、車両3”の運行スケジュール又は車両3”乗員の予定等が含まれる。また、サーバ8と通信可能な他の車両からも車両情報が定期的にサーバ8に送信される。ステップS301において車両3”から車両情報を受信していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS301において車両3”から車両情報を受信したと判定された場合、本制御ルーチンはステップS302に進む。
【0118】
ステップS302では、プロセッサ84は、車両3”から送信された車両情報と、サーバ8のストレージ装置82に記憶された地図情報とに基づいて、車両3”の現在位置から給電エリアまでの距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する。給電エリアまでの距離が閾値よりも長いと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、給電エリアまでの距離が閾値以下であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS303に進む。
【0119】
ステップS303では、プロセッサ84は、車両3”の周囲の走行環境に関する第1条件が満たされているか否かを判定する。第1条件は第一実施形態と同様であり、第1条件の充足性を判断するために用いられる情報は、車両3”及び他の車両から送信された車両情報、サーバ8のストレージ装置82に記憶された地図情報等に基づいて取得される。ステップS303において第1条件が満たされていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS303において第1条件が満たされていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS304に進む。
【0120】
ステップS304では、プロセッサ84は、バッテリ32の状態に関する第2条件が満たされているか否かを判定する。第2条件は第一実施形態と同様であり、第2条件の充足性を判断するために用いられる情報は、車両3”から送信された車両情報に基づいて取得される。ステップS304において第2条件が満たされていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS304において第2条件が満たされていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS305に進む。
【0121】
ステップS305では、プロセッサ84は、車両3”の運行スケジュール又は車両3”の乗員の予定に関する第3条件が満たされているか否かを判定する。第3条件は第一実施形態と同様であり、第3条件の充足性を判断するために用いられる情報は、車両3”から送信された車両情報に基づいて取得される。ステップS305において第3条件が満たされていないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS305において第3条件が満たされていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS306に進む。
【0122】
ステップS306では、プロセッサ84は通信ネットワーク9を介して減速指示を車両3”に送信する。ステップS306の後、本制御ルーチンは終了する。
【0123】
図14は、第三実施形態において車両3”において実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンはECU7のプロセッサ73によって繰り返し実行される。
【0124】
最初に、ステップS401において、目標車速設定部74はサーバ8から減速指示を受信したか否かを判定する。サーバ8から減速指示を受信していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、サーバ8から減速指示を受信したと判定された場合、本制御ルーチンはステップS402に進む。
【0125】
ステップS402では、図6のステップS106と同様に、目標車速設定部74は給電エリアにおける車両3の目標車速を低くする。次いで、ステップS403では、図6のステップS107と同様に、目標車速設定部74は、給電エリアにおける車両3の速度が目標車速に近付くように、HMI38に減速指示を出力させる。ステップS403の後、本制御ルーチンは終了する。
【0126】
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、車両3、3’、3”は、走行用の動力源として内燃機関及びモータを備えたハイブリッド車両(HEV)又はプラグインハイブリッド車両(PHEV)であってもよい。
【0127】
また、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施可能である。例えば、第二実施形態と第三実施形態とが組み合わされる場合には、図14のステップS403において、図10のステップS207と同様に、運転支援部75は、給電エリアにおける車両3”の速度が目標車速に近付くように、ブレーキアクチュエータ91を用いて車両3”を減速させる。
【符号の説明】
【0128】
2 給電装置
3 車両
44 送電側コイル
7 電子制御ユニット(ECU)
73 プロセッサ
74 目標車速設定部
図1
図2
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