(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、及び、方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240806BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16Y40/35
(21)【出願番号】P 2021150080
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 行成
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 裕彦
【審査官】太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-095720(JP,A)
【文献】特開2021-039402(JP,A)
【文献】特開2009-155981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16Y 40/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に積載されたロッカーにユーザの荷物が預け入れられる場所である第1の場所から第2の場所に移動し、前記第2の場所で所定時間停止し、前記第2の場所から前記ユーザの荷物が前記ロッカーから取り出される場所である第3の場所に移動し、前記第3の場所で所定時間停止する走行計画に応じて走行する前記車両について、
前記第3の場所で前記ユーザの荷物が前記ロッカーから取り出される日時として予め設定された
日時であって、前記第1の場所で前記ロッカーに前記ユーザの荷物が預けられた日時以降の日時である第1の日時より前に、
第三者による前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行う制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定事象が検出され、且つ、前記ユーザ端末が、前記ロッカーが含まれる所定の範囲内に位置していない場合に、前記ユーザ端末に対して前記通知を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定事象が検出され、且つ、前記ユーザ端末の位置が、前記ロッカーの位置に一致していない場合に、前記ユーザ端末に対して前記通知を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定事象が検出され、且つ、前記ユーザ端末と前記車両のうち少なくとも一方が、予め設定された前記荷物の取り出しのための
前記第3の場所が含まれる所定の範囲内に位置していない場合に、前記ユーザ端末に対して前記通知を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知は、更に、前記所定事象に関する情報を含む、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通知を受けた前記ユーザ端末から、前記荷物の取り出しを承認する回答を受けた場合、前記ロッカーからの前記荷物の取り出しを許可する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ユーザによる
前記荷物の預け入れに際して、前記ロッカーの解錠のための鍵情報を前記ユーザ端末に付与し、
前記所定事象は、前記ロッカーを解錠するために前記鍵情報に相当する所定情報を用いた照合行為である、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通知を受けた前記ユーザ端末から、前記荷物の取り出しを承認しない回答を受けた場合、前記制御部は、前記鍵情報による前記ロッカーの解錠を無効とする指示を前記ロッカーに送信する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記鍵情報を無効とした後に、前記ユーザ端末の位置が、前記ロッカーの位置に一致している状態を検出したときに、再度、前記ユーザ端末に前記ロッカーを解錠するための新たな鍵情報を付与する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記所定事象は、前記ユーザ端末以外からの外部装置によって実行された、前記荷物を取り出すまでの前記車両の走行計画の変更要求である、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記通知を受けた前記ユーザ端末から、前記荷物の取り出しを承認しない回答を受けた場合、前記制御部は、前記外部装置からの前記変更要求を拒絶するとともに、前記ユーザ端末に対して、新たな走行計画に関する問い合わせを行う、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
車両に積載されたロッカーにユーザの荷物が預け入れられる場所である第1の場所から第2の場所に移動し、前記第2の場所で所定時間停止し、前記第2の場所から前記ユーザの荷物が前記ロッカーから取り出される場所である第3の場所に移動し、前記第3の場所で所定時間停止する走行計画に応じて走行する前記車両について、
前記第3の場所で前記ユーザの荷物が前記ロッカーから取り出される日時として予め設定された
日時であって、前記第1の場所で前記ロッカーに前記ユーザの荷物が預けられた日時以降の日時である第1の日時より前に、
第三者による前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行うこと
を実行させるプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータに、
前記所定事象が検出され、且つ、前記ユーザ端末が、前記ロッカーが含まれる所定の範囲内に位置していない場合に、前記ユーザ端末に対して前記通知を行うこと
を実行させる請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータに、
前記所定事象が検出され、且つ、前記ユーザ端末と前記車両のうち少なくとも一方が、予め設定された前記荷物の取り出しのための
前記第3の場所が含まれる所定の範囲内に位置していない場合に、前記ユーザ端末に対して前記通知を行うこと
を実行させる請求項12に記載のプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータに、
前記ユーザによる
前記荷物の預け入れに際して、前記ロッカーの解錠のための鍵情報を前記ユーザ端末に付与すること
を実行させ、
前記所定事象は、前記ロッカーを解錠するために前記鍵情報に相当する所定情報を用いた照合行為である、
請求項12から請求項14の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記コンピュータに、
前記通知を受けた前記ユーザ端末から、前記荷物の取り出しを承認しない回答を受けた場合、前記鍵情報による前記ロッカーの解錠を無効とする指示を前記ロッカーに送信すること
を実行させる請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記コンピュータに、
前記鍵情報を無効とした後に、前記ユーザ端末の位置が、前記ロッカーの位置に一致している状態を検出したときに、再度、前記ユーザ端末に前記ロッカーを解錠するための新たな鍵情報を付与すること
を実行させる請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記所定事象は、前記ユーザ端末以外からの外部装置によって実行された、前記荷物を取り出すまでの前記車両の走行計画の変更要求である、
請求項12から請求項17の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項19】
前記コンピュータに、
前記通知を受けた前記ユーザ端末から、前記荷物の取り出しを承認しない回答を受けた場合、前記外部装置からの前記変更要求を拒絶するとともに、前記ユーザ端末に対して、新たな走行計画に関する問い合わせを行うこと
を実行させる請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
コンピュータが、
車両に積載されたロッカーにユーザの荷物が預け入れられる場所である第1の場所から第2の場所に移動し、前記第2の場所で所定時間停止し、前記第2の場所から前記ユーザの荷物が前記ロッカーから取り出される場所である第3の場所に移動し、前記第3の場所で所定時間停止する走行計画に応じて走行する前記車両について、
前記第3の場所で前記ユーザの荷物が前記ロッカーから取り出される日時として予め設定された
日時であって、前記第1の場所で前記ロッカーに前記ユーザの荷物が預けられた日時以降の日時である第1の日時より前に、
第三者による前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行うことと、
前記通知に対する前記ユーザ端末からの回答に基づいて、前記ロッカーからの前記荷物の取り出しの可否を決定することと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、プログラム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロッカーに関するユーザの利用要求に基づいて、ユーザが利用するロッカーを決定し、決定されたロッカーを備える自動運転車両をユーザに配車するロッカー管理システムが開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両に積載されたロッカーへの荷物預かりサービスにおける防犯性を高める情報処理装置、プログラム、及び、方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
車両に積載されたロッカーに預け入れられた荷物について、予め設定された第1の日時より前に、前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行う制御部、
を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示の他の態様の一つは、
コンピュータに、
車両に積載されたロッカーに預け入れられた荷物について、予め設定された第1の日時より前に、前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行うこと
を実行させるプログラムである。
【0007】
本開示の他の態様の一つは、
コンピュータが、
車両に積載されたロッカーに預け入れられた荷物について、予め設定された第1の日時より前に、前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行うことと、
前記通知に対する前記ユーザ端末からの回答に基づいて、前記ロッカーからの前記荷物の取り出しの可否を決定することと、
を含む情報処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両に積載されたロッカーへの荷物預かりサービスにおける防犯性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、移動ロッカーシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、センタサーバとユーザ端末とのハードウェア構成の一例である。
【
図3】
図3は、センタサーバ及びユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ロッカー情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図5】
図5は、サービス情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図6】
図6は、スケジュール情報データベースに保持される情報の一例である。
【
図7】
図7は、ユーザ端末のロッカー使用依頼画面の一例である。
【
図8】
図8は、センタサーバがユーザ端末からロッカー使用依頼を受信した場合の処理のフローチャートの一例である。
【
図9】
図9は、移動ロッカーシステムにおける、第三者による不正な荷物の取り出しを説明するための図である。
【
図10】
図10は、センタサーバの、サービスにおける荷物の取出管理処理に関する、第1のフローチャートである。
【
図11】
図11は、センタサーバの、鍵情報が無効化された場合の荷物の取出管理処理に関するフローチャートである。
【
図12A】
図12Aは、移動ロッカーシステムにおける処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図12B】
図12Bは、移動ロッカーシステムにおける処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、センタサーバの、サービスにおける荷物の取出管理処理に関する、第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ロッカーを積載した車両の移動によって、ユーザによって指定された場所で当該ロッカーへの荷物の預け入れ又は取り出し可能な荷物の一時預かりサービスを提供するシステムがある。車両に積載されて移動可能なロッカーを、以下、移動ロッカーと称する。移動ロッカーによる荷物の一時預かりサービスを、以下、移動ロッカーサービス、もしくは単にサービスと称する。
【0011】
移動ロッカーサービスを利用する場合には、ユーザは、例えば、荷物を預け入れる場所と日時、及び、荷物を取り出す場所と日時とを指定する。そして、これらの情報は、荷物を盗難等から守るためにユーザ以外への開示は控えられるものであり、また、一度ロッカーに預けられた荷物が、ユーザ以外の第三者によって不正に取り出されることのないように、ロッカーには何らかの施錠装置が備えられるのが一般的である。しかしながら、何らかの理由で、ユーザの荷物の預け入れに関する情報が外部に漏れたり、施錠装置を解錠するための情報や鍵等が第三者の手に渡ったりしてしまうと、ユーザが預けた荷物の盗難のおそれが高まる。
【0012】
そこで、本開示の態様の一つでは、ユーザが取り出しのために予め設定した日時よりも前にロッカーが解錠されそうになった場合、ユーザに対して通知が行われる。具体的には、本開示の態様の一つは、制御部を備える情報処理装置である。当該制御部は、車両に積載されたロッカーに預け入れられた荷物について、予め設定された第1の日時より前に、前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行うことを実行する。
【0013】
情報処理装置は、例えば、サーバ等のコンピュータである。制御部は、例えば、コンピュータに備えられるCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。ユーザ
端末は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、及び、PC(Personal Computer)
等である。車両は、ドライバによる運転によって走行する車両、及び、ドライバによる運転無しに走行可能な自動走行車両のいずれであってもよい。車両に積載されたロッカーは、移動ロッカーに相当する。
【0014】
上記のロッカーへの荷物の預け入れについては、その預け入れに際して当該荷物とユーザが保有するユーザ端末との関連付けが行われる。また、上記の第1の日時は、ユーザによって予め設定された、当該荷物を取り出す日時である。したがって、ユーザは、自身で設定した第1の日時に従ってロッカーから荷物を取り出すように行動することになる。一方で、第三者が当該荷物を不正に取り出そうとするためには、当該第1の日時より早いタイミングで、ロッカーを搭載した車両にアクセスしロッカーを解錠することになる。
【0015】
そこで、第1の日時より前に、ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出されると、それは第三者による不正な荷物の取り出しの可能性が少なからずあることを意味し、以て、制御部は、ユーザ端末に対して解錠を確認する通知を行うように構成される。所定事象の一例としては、ロッカーが電子鍵で施解錠できる場合にはそのロッカーを解錠するための鍵情報に相当する所定情報を用いたロッカーへの照合行為や、第三者がロッカーにアクセスするためにロッカーを搭載した車両の走行計画を変更しようとする行為等が例示できる。その他にも、ロッカーが物理鍵で施解錠できる場合には当該物理鍵で解錠しようとする行為も、所定事象に相当し得る。
【0016】
本開示の態様の一つによれば、第三者による不正な荷物の取り出しの可能性が高いと考えられる場合には、ロッカーの施錠状態を維持したまま、ユーザ端末に対して解錠確認の通知を行うことで、実際に荷物を預けたユーザに対して注意喚起を図ることができる。これにより、仮にユーザが認識しない荷物の取り出しが発生しようとしている場合には、ユーザは当該取り出しを阻止するように行動でき、以て移動ロッカーの防犯性を高めることができる。なお、当該取り出しがユーザの認識するものである場合には、取り出しを許可することもできる。すなわち、前記制御部は、前記通知を受けた前記ユーザ端末から、前記荷物の取り出しを承認する回答を受けた場合、前記ロッカーからの前記荷物の取り出しを許可するように構成されてもよい。この構成により、移動ロッカーの利便性が高められる。
【0017】
ここで、制御部によるユーザ端末への前記通知の態様について、以下に3つの形態を例示する。ただし、本開示の通知態様は、以下のものに限られるのではなく、その他の形態も含み得る。先ず、第1の形態では、前記制御部は、前記所定事象が検出され、且つ、前
記ユーザ端末が、前記ロッカーが含まれる所定の範囲内に位置していない場合に、前記ユーザ端末に対して前記通知を行うように構成されてもよい。当該形態での所定の範囲は、ロッカーに比較的近接する範囲であり、ユーザ端末を保有するユーザがその範囲内に存在していれば第三者による荷物の取り出しを十分に確認できる範囲とされる。したがって、ユーザ端末がそのような所定の範囲に存在していない場合には、ユーザは第三者の動きを確認できないことになる。そのような場合に所定事象が検出されると上記通知が実行されることになり、以て移動ロッカーの防犯性を高めることができる。
【0018】
第2の形態では、前記制御部は、前記所定事象が検出され、且つ、前記ユーザ端末の位置が、前記ロッカーの位置に一致していない場合に、前記ユーザ端末に対して前記通知を行うように構成されてもよい。ユーザ端末の位置がロッカーの位置に一致する場合、ユーザは、より好適に第三者の行動を確認することができると考えられ、以て、そのような場合には通知を行う必要性は低い。そこで、ユーザ端末の位置がロッカーの位置に一致していない場合であって所定事象が検出された場合に、上記通知を実行することで防犯性が高められる。
【0019】
第3の形態では、前記制御部は、前記所定事象が検出され、且つ、前記ユーザ端末と前記車両のうち少なくとも一方が、予め設定された前記荷物の取り出しのための第1地点が含まれる所定の範囲内に位置していない場合に、前記ユーザ端末に対して前記通知を行うように構成されてもよい。車両に搭載されたロッカーからの荷物の取り出しは、車両が停止しているときに行われるのが通常であるため、本来ユーザによる荷物の取り出しが行われる第1地点を基準とした所定の範囲に、ロッカーを搭載した車両とユーザが保有するユーザ端末の両者が存在していれば、第三者による荷物の取り出しを十分に確認できると考えられる。そこで、車両とユーザ端末のうち少なくとも一方がそのような所定の範囲に存在していない場合には、ユーザは第三者の動きを確認できないことになる。そこで、そのような場合、所定事象が検出されたときに上記通知が実行されることで、移動ロッカーの防犯性を高めることができる。
【0020】
ここで、前記通知は、更に、前記所定事象に関する情報を含んでもよい。所定事象に関する情報として、解錠手段を示す情報や、所定事象に関連する動作を行っている者を撮像した撮像情報等が例示できる。このような通知を行うことで、当該通知を受けたユーザは、第三者による不正な荷物の取り出しの有無を的確に判断することができる。
【0021】
ここで、前記制御部は、ユーザによる荷物の預け入れに際して、前記ロッカーの解錠のための鍵情報を前記ユーザ端末に付与するように構成されてもよい。すなわち、当該ロッカーの施錠、解錠は、鍵情報を用いて電子的に処理される。このような形態においては、第三者による不正な荷物の取り出しは、第三者が当該鍵情報に相当する情報を悪意で入手したり、偶発的に入手してしまったりした場合に生じ得る。そこで、前記所定事象は、前記ロッカーを解錠するために前記鍵情報に相当する所定情報を用いた照合行為であり得る。
【0022】
そして、このような場合に、通知を受けたユーザが第三者による不正と認識し、前記通知を受けた前記ユーザ端末から、前記荷物の取り出しを承認しない回答を受けた場合、前記制御部は、前記鍵情報による前記ロッカーの解錠を無効とする指示を前記ロッカーに送信するように構成されてもよい。これにより、第三者による荷物の不正な取り出しを防ぐことができる。
【0023】
また、前記制御部は、前記鍵情報を無効とした後に、前記ユーザ端末の位置が、前記ロッカーの位置に一致している状態を検出したときに、再度、前記ユーザ端末に前記ロッカーを解錠するための新たな鍵情報を付与するように構成されてもよい。鍵情報を無効としたままでは第三者による荷物の不正な取り出しは防げるものの、ユーザによる正当な取り出しまでもが阻止されてしまい、利便性を欠く。そこで、ユーザ端末の位置がロッカーの位置に一致している状態にあれば、速やかにユーザによる荷物の取り出しが行えると考えられ、第三者による不正は生じにくい。そこで、そのような状態において新たな鍵情報を付与することで、ユーザの利便性を確保することができる。
【0024】
第三者による不正な荷物の取り出しの別の形態として、ユーザの意図しない車両の走行計画の変更が考えられる。このような場合には、前記所定事象は、前記ユーザ端末以外からの外部装置によって実行された、前記荷物を取り出すまでの前記車両の走行計画の変更要求であり得る。
【0025】
そして、このような場合に、通知を受けたユーザが第三者による不正と認識し、前記通知を受けた前記ユーザ端末から、前記荷物の取り出しを承認しない回答を受けた場合、前記制御部は、前記外部装置からの前記変更要求を拒絶するとともに、前記ユーザ端末に対して、新たな走行計画に関する問い合わせを行うように構成されてもよい。これにより、第三者による荷物の不正な取り出しを防ぐことができるとともに、ユーザは安全に自己の
荷物を取り出すことができ、移動ロッカーの防犯性と利便性を両立することができる。
【0026】
本開示は、他の態様の一つとして、プログラム、又は、当該プログラムを記録する非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として特定することができる。当該プログラムは、コンピュータに、車両に積載されたロッカーに預け入れられた荷物について、予め設定された第1の日時より前に、前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行うことを実行させる。当該コンピュータは、例えば、上記の情報処理装置として動作するコンピュータである。また、上述の情報処理装置に関して開示された技術思想は、技術的齟齬の生じない範囲において、上記プログラムにも適用することができる。
【0027】
また、本開示は、他の態様の一つとして、コンピュータが実行する情報処理方法として特定することができる。当該情報処理方法は、車両に積載されたロッカーに預け入れられた荷物について、予め設定された第1の日時より前に、前記ロッカーの解錠に関連する所定事象が検出された場合、前記ロッカーの施錠状態を維持したまま、前記荷物に関連付けられたユーザ端末に対して前記ロッカーの解錠を確認する通知を行うことと、前記通知に対する前記ユーザ端末からの回答に基づいて、前記ロッカーからの前記荷物の取り出しの可否を決定することと、を含む。当該コンピュータは、例えば、上記の情報処理装置として動作するコンピュータである。また、上述の情報処理装置に関して開示された技術思想は、技術的齟齬の生じない範囲において、上記情報処理方法にも適用することができる。
【0028】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る移動ロッカーシステム100のシステム構成の一例を示す図である。移動ロッカーシステム100は、車両にロッカーを積載させて走行させることで、移動式のロッカーを提供するシステムである。ユーザは、指定場所においてロッカーに荷物を預け、所定期間当該荷物を保管してもらい、指定場所において当該荷物をロッカーから取り出すことができる。荷物を預け入れる場所と荷物を取り出す場所とは異なっていてもよい。ユーザには、例えば、荷物を預かった時間長、及び、荷物を預け入れる場所と荷物を取り出す場所との距離等に応じて、利用料金が課される。
【0030】
移動ロッカーシステム100は、センタサーバ1と、ロッカー4と、ロッカー4を積載する車両3と、サービスを利用するユーザのユーザ端末2とを含む。なお、移動ロッカーシステム100は、ロッカー4、車両3、及び、ユーザ端末2をそれぞれ複数含むことができるが、
図1では便宜上、それぞれ1台ずつ示されている。
【0031】
ロッカー4は、1つの筐体に複数の収納部を備える。ロッカー4に備えられる各収納部は、それぞれ施解錠可能となっている。第1実施形態では、ロッカー4の各収納部は、電子錠を採用しているものとする。例えば、ロッカー4に採用される電子錠は、各収納部に備えられたテンキー等の入力装置を操作することによって施錠し、当該入力装置に暗証番号を入力することによって解錠されるものであってもよい。または、ロッカー4に採用される電子錠は、所定の無線信号の受信機を備え、例えば、ユーザ端末2から鍵情報とともに施錠又は解錠信号を送信し、ロッカー4側の受信機が保持する鍵情報とユーザ端末2から送信された鍵情報とが一致した場合に施錠又は解錠を行うものであってもよい。ただし、ロッカー4に採用される錠は、電子錠に限られず、物理的な鍵によって施錠又は解錠されるものであってもよい。以下、ユーザの荷物はロッカー4の収納部の一つに預け入れられるが、ロッカー4の収納部の一つを示す場合でも単に「ロッカー4」と表記する場合も
ある。
【0032】
車両3は、第1実施形態では、自律走行車両とする。ただし、車両3には、荷物の預け入れ又は取り出しを補助するスタッフが乗車していてもよい。別法として、車両3は、ドライバの運転によって走行する車両であってもよい。車両3がドライバの運転によって走行する車両である場合には、ユーザサポートを行うスタッフはドライバと同一人物であってもよい。また、車両3は、サービス利用の依頼の発生に応じて走行するオンデマンド方式で走行してもよいし、所定ルートを巡回するように走行していてもよい。第1実施形態では、車両3はオンデマンド方式で走行することとする。
【0033】
ユーザ端末2は、移動ロッカーシステム100のサービスを利用するユーザが保有する端末である。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、PC(Personal Computer)等である。ユーザ端末2には、移動ロッカーシステム100のサー
ビスを利用するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0034】
ユーザ端末2及び車両3は、ネットワークN1に接続しており、ネットワークN1を通じて、センタサーバ1と通信を行う。ネットワークN1は、例えば、インターネット等の公衆ネットワークである。車両3は、例えば、通信機能を備える装置を搭載しており、当該装置によって、ネットワークN1に接続し、センタサーバ1と通信可能である。ネットワークN1には、ロッカー4も接続しており、ロッカー4に対する施解錠に関する操作行為等の情報が、ネットワークN1を介してセンタサーバ1に供給され、センタサーバ1からロッカー4に対して所定情報(例えば、施解錠のための鍵情報等)が供給される。
【0035】
センタサーバ1は、移動ロッカーシステム100を管理するサーバである。ユーザは、移動ロッカーシステム100のサービスを利用する場合に、ユーザ端末2のアプリケーションプログラムを通じて、ロッカー使用依頼をセンタサーバ1へ送信する。ロッカー使用依頼とともに、ユーザによって指定される、荷物を預け入れる場所と日時、及び、荷物を取り出す場所と日時の情報もセンタサーバ1へ送信される。荷物を取り出す日時は、「第1の日時」の一例であり、荷物を取り出す場所は、「第1地点」の一例である。
【0036】
センタサーバ1は、ユーザ端末2からロッカー使用依頼を受信すると、指定された日時に指定された場所へ向かわせる車両3と、当該車両3に積載されているロッカー4のうち荷物を収納する収納部とを決定する。第1実施形態では、ロッカー4には電子錠が採用されているので、センタサーバ1はロッカー4の鍵情報をユーザ端末2へ通知する。その後、ユーザは、指定場所において車両3と落ち合い、車両3に乗り込んでロッカー4に荷物を収納し、センタサーバ1から受信した鍵情報を用いてロッカー4を施錠する。荷物を取り出す場合には、ユーザは、予め指定した場所で車両3と落ち合い、車両3に乗り込んでセンタサーバ1から受信した鍵情報を用いてロッカー4を解錠し、ロッカー4から荷物を取り出す。
【0037】
ここで、ロッカー4の施解錠を行うための鍵情報は、ユーザ端末2に通知されるため、基本的にはユーザのみが知り得るものであり、故にロッカー4のセキュリティは保たれる。しかし、通信上のトラブルやユーザ端末2の管理上のトラブル等の理由で、鍵情報を含むロッカー4の利用に関する情報が第三者によって不正に取得されるおそれがある。そのような場合、ロッカー4に荷物を預け入れたユーザが当該荷物を取り出す前に、第三者がロッカー4にアクセスし荷物を不正に取り出してしまうことが生じ得る。そこで、そのような不正を好適に防止するために、移動ロッカーシステム100では、第三者による不正な荷物の取り出しの可能性がある事象が検出された場合には、ロッカー4の解錠を行う前に、すなわちロッカー4を施錠したままの状態で、ユーザ端末に対して解錠を確認する通知を行う。ユーザ端末に当該通知を行うのは、ユーザ端末はユーザが保有していることを
前提とするものであり、仮に、解錠のための鍵情報が第三者に不正に知られてもユーザがユーザ端末を保有してさえいれば、ユーザ端末を利用して、ユーザ本人による荷物の取り出しの意図を確認することができるからである。
【0038】
第三者による不正な荷物の取り出しの可能性がある事象としては、以下のものが例示できる。第1に、ロッカー4を解錠するための鍵情報に相当する情報、すなわち実質的に当該鍵情報と同等の情報を用いた照合行為が例示できる。具体的には、第三者が解錠のためのパスワードを入力したり、解錠のための情報をロッカー4に送信したりする行為である。第2に、ロッカー4を搭載した車両3の走行計画の変更を要求する行為が例示できる。具体的には、第三者が第1の日時や第1地点の変更を要求する行為である。その他に、ロッカー4が物理鍵を用いて施解錠するように構成される場合には、その物理鍵を鍵穴に挿入する行為等も、上記事象の例として挙げることができる。
【0039】
このような第1実施形態によれば、予め設定された第1の日時より前に、ロッカー4の解錠に関する所定行為が検出された場合、第三者による不正な荷物の取り出しの可能性を考慮して、ユーザ端末に対してユーザの意図を確認するために通知が行われる。これによって、仮に所定行為がユーザの意図しないものであった場合には、ロッカー4の解錠を許可しないことで第三者による不正な荷物の取り出しを好適に回避することができ、ロッカー4の防犯性を高めることができる。
【0040】
図2は、センタサーバ1とユーザ端末2とのハードウェア構成の一例である。センタサーバ1は、例えば、サーバ専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータである。センタサーバ1は、ハードウェア構成として、CPU 101、メモリ102、外部記憶装置103、及び、通信部104を備える。メモリ102および外部記憶装置103は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。センタサーバ1は、「情報処理装置」の一例である。
【0041】
外部記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。外部記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置103に保持されるプログラムには、例えば、オペレーティングシステム(OS)、移動ロッカーシステム100の制御プログラム、及び、その他様々なアプリケーションプログラムがある。
【0042】
メモリ102は、CPU 101に、外部記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)のような半導体メモリを含む。
【0043】
CPU 101は、外部記憶装置103に保持されたOS、及び、その他様々なアプリケーションプログラムをメモリ102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つに限られず、複数備えられてもよい。CPU 101は、「制御部」の一例である。
【0044】
通信部104は、例えば、NIC(Network Interface Card)等である。通信部104は、例えば、有線でLAN(Local Area Network)等のアクセスネットワークに接続し、当該アクセスネットワークを通じてネットワークN1に接続する。ただし。通信部104は、有線によってネットワークに接続する回路に限定されず、例えば、WiFi又は移動体通信方式等の無線通信方式に従った無線通信回路であってもよい。
【0045】
次に、ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、又は、PC等である。ユーザ端末2は、ハードウェア構成として、CPU 201、メモリ202、外部記憶装置203、無線通信部204、及び、タッチパネルディスプレイ205を備える。ただし、
図2では、ユーザ端末2のハードウェア構成として、第1実施形態に係る処理を行うハードウェア構成要素が抽出して示されており、ユーザ端末2に含まれるハードウェア構成要素は
図2に示される要素に限定されない。
【0046】
CPU 201、メモリ202、及び、外部記憶装置203は、それぞれ、CPU 101、メモリ102、及び、外部記憶装置103と同様であり、その詳細な説明は割愛する。ただし、外部記憶装置203として採用される記憶装置(ストレージ)は、例えば、フラッシュメモリである。外部記憶装置203として、SDカード等の可搬記録媒体が含まれてもよい。外部記憶装置203には、OS等に加えて、移動ロッカーシステム100のサービスを利用するためのアプリケーションプログラムも保持されている。
【0047】
無線通信部204は、例えば、5G(5th Generation)、6G、4G、及び、LTE(Long Term Evolution)等の移動体通信方式、WiMAX、及び、WiFi等の無線通信
方式に従った無線通信回路である。無線通信部204は、無線通信によってネットワークN1に接続し、センタサーバ1との通信を可能にする。
【0048】
タッチパネルディスプレイ205は、CPU 201からの指示に従って、ユーザに伝達すべき情報に関する画像等を出力し、また、ユーザからの入力を受け付け入力された信号をCPU 201へ出力する。
【0049】
なお、
図2に示されるセンタサーバ1及びユーザ端末2のハードウェア構成は一例であって、センタサーバ1及びユーザ端末2のハードウェア構成は
図2に示されるものに限定されない。例えば、ユーザ端末2は、
図2に示されるハードウェア構成要素の他に、マイクロフォン、スピーカ、カメラ、及び、GPS(Global Positioning System)等の位置
センサ等もハードウェア構成として含むことができる。
【0050】
図3は、センタサーバ1及びユーザ端末2の機能構成の一例を示す図である。センタサーバ1は、機能構成として、制御部11、スケジュール調整部16、ロッカー情報DB 12、スケジュール情報DB 13、及び、サービス情報DB 14を備える。これらの機能構成要素は、例えば、センタサーバ1のCPU 101が移動ロッカーシステム100の制御プログラムを実行することによって達成される。
【0051】
制御部11は、ロッカー4の使用状況を管理し、車両3の走行を制御する。具体的には、制御部11は、ユーザ端末2から、例えば、ロッカー使用依頼、預入完了通知、及び、取出完了通知等を受信する。ロッカー使用依頼は、移動ロッカーの利用の依頼である。預入完了通知は、ロッカー4へ荷物の預け入れが完了したことの通知である。取出完了通知は、ロッカー4へ預け入れられた荷物がロッカー4から取り出されたことの通知である。
【0052】
制御部11は、ユーザ端末2からロッカー使用依頼を受信すると、車両3及びロッカー4の割り当てを行う。ユーザ端末2からは、ロッカー使用依頼とともに、荷物を預け入れる場所及び日時、荷物を取り出す場所及び日時、ユーザの識別情報及びユーザ端末2の識別情報もセンタサーバ1へ送信される。以下、荷物を預け入れる場所及び日時を、それぞれ、預入場所及び預入日時、と称することもある。また、荷物を取り出す場所及び日時を、取出場所及び取出日時、と称することもある。
【0053】
制御部11は、例えば、ロッカー使用依頼に対して割り当てられる車両3及びロッカー4を、後述のスケジュール情報DB 13を参照して決定する。例えば、ロッカー使用依
頼に対して割り当てられる車両3は、預入場所付近を預入日時に走行し、且つ、預入日時から少なくとも取出日時まで予定が入っていない収納部を有するロッカー4を積載する車両である。また、ロッカー使用依頼に対して割り当てられるロッカー4は、当該車両3に積載されるロッカー4の収納部のうち、預入日時から少なくとも取出日時まで予定が入っていない収納部のいずれかである。なお、割り当てる車両3及びロッカー4の決定方法は、周知の方法のいずれであってもよく、特定の方法に限定されない。
【0054】
なお、荷物を預ける車両3及びロッカー4は、例えば、地図上の車両3の位置情報からユーザによって指定されてもよい。この場合には、ユーザによって指定された車両3の識別情報がロッカー使用依頼とともにユーザ端末2から受信される。また、制御部11は、指定された車両3に積載されるロッカー4の預入日時から取出日時まで予定が入っていない収納部のいずれかを、受信したロッカー使用依頼に対して割り当てる。
【0055】
その後、制御部11は、受信したロッカー使用依頼のサービスについて、割り当てられた車両3とロッカー4のスケジュールを作成し、作成したスケジュールを後述のスケジュール情報DB 13に登録する。また、制御部11は、割り当てられた車両3について作成したスケジュールに応じて、ユーザに指定された預入場所にユーザに指定された預入日時に到着し、ユーザに指定された取出場所にユーザに指定された取出日時に到着するように車両3の走行計画を作成する。作成された走行計画は、車両3へ送信される。走行計画には、例えば、走行の目的地と到着日時、及び、目的地までの経路情報等が含まれている。
【0056】
制御部11は、ロッカー使用依頼に対する承諾の応答と、割り当てたロッカー4に関する情報と、預入場所と、預入日時と、をユーザ端末2へ送信する。ロッカー4に関する情報には、例えば、車両3の識別情報、及び、ロッカー4の収納部の識別情報が含まれる。また、第1実施形態では、ロッカー4は電子錠を採用していることを想定しているので、ロッカー4に関する情報には、ユーザ端末2に割り当てられた収納部の鍵情報も含まれる。ただし、これに限られず、ロッカー使用依頼に対して割り当てられる収納部は、他のロッカー使用依頼との関係で変更される可能性もあるため、ロッカー4に関する情報はロッカー使用依頼に対する承諾の応答とは別にユーザ端末2へ送信されてもよい。例えば、承諾の応答送信後であって預入日時から所定時間前の所定時刻になったときに、割り当てられたロッカー4に関する情報がユーザ端末2へ送信されるようにしてもよい。
【0057】
制御部11は、ユーザ端末2から、預入完了通知又は取出完了通知を受信した場合には、イベント履歴として、例えば、外部記憶装置103の所定の記憶領域に記録してもよい。預入完了通知又は取出完了通知とともに、例えば、サービスの識別情報及びユーザの識別情報も受信される。また、制御部11は、ユーザ端末2から取出完了通知を受信した場合には、後述のサービス情報DB 14に記録する。
【0058】
制御部11は、第三者による不正な荷物の取り出しに関連する事象、すなわちロッカー4について予め設定された取出日時よりも前のタイミングでの、ロッカー4の解錠に関連する所定事象が検出された場合に、ユーザ端末2に対して、その所定事象に関するユーザの意図、すなわち解錠の意図を確認するための通知も行う。また、スケジュール調整部16は、ユーザによる荷物の取り出しが安全に行われるよう、制御部11からの指示に従って、指定された車両3及びロッカー4のスケジュールを、当該車両3及びロッカー4に割り当てられている複数のサービス間で調整する。スケジュールの調整では、例えば、他のサービスに割り当てられる収納部の変更等が行われる。なお、スケジュールの調整方法は特定の方法に限定されない。スケジュール調整部16は、スケジュールの変更を制御部11に通知する。この場合、制御部11は、変更されたスケジュールに応じて、例えば、該当するサービスに割り当てられている車両3の走行計画を変更したり、該当するサービス
に割り当てられている収納部の変更をユーザ端末2へ通知したりする。制御部11による上記通知に関する処理、およびスケジュール調整部16による調整処理の詳細については後述する。
【0059】
ここで、ロッカー情報DB 12、スケジュール情報DB 13、サービス情報DB 14について説明する。これらのDB(データベース)は、例えば、センタサーバ1の外部記憶装置103の記憶領域に作成される。ロッカー情報DB 12は、ロッカー4に関する情報を保持する。スケジュール情報DB 13は、ロッカー4のスケジュールに関する情報を保持する。サービス情報DB 14は、移動ロッカーの使用のサービス情報を保持する。サービス情報は、1つのロッカー使用依頼に対して提供される移動ロッカーサービスに関する情報である。ロッカー情報DB 12、スケジュール情報DB 13、サービス情報DB 14に保持される情報の詳細については後述する。
【0060】
次に、ユーザ端末2の機能構成について説明する。ユーザ端末2は、機能構成として、制御部21を備える。制御部21の処理は、ユーザ端末2のCPU 202が外部記憶装置203に保持される移動ロッカーシステム100のアプリケーションプログラムを実行することによって達成される。制御部21は、タッチパネルディスプレイ205へのユーザからの入力に応じて、センタサーバ1へ、例えば、ロッカー使用依頼、預入完了通知、取出完了通知、及び、センタサーバ1からの各種問い合わせに対する応答を送信する。また、制御部21は、センタサーバ1から、例えば、ロッカー使用依頼等に対する応答及びそれに伴う情報を受信する。また、制御部21は、ユーザ操作に応じて画面を遷移させたり、センタサーバ1から受信された情報をタッチパネルディスプレイ205へ出力したりする。なお、センタサーバ1及びユーザ端末2の機能構成は一例であって、
図3に示されるものに限定されない。
【0061】
ここで、各DB(データベース)の保持される情報について説明する。
図4は、ロッカー情報DB 12に保持される情報の一例である。ロッカー情報DB 12は、ロッカー4に関する情報を保持する。
図4に示されるロッカー情報DB 12の1レコードは、ロッカー4の1つの収納部に関する情報を示す。
図4に示されるロッカー情報DB 12の1レコードには、ロッカーID、車両ID、及び、鍵情報のフィールドが含まれる。
【0062】
ロッカーIDのフィールドには、ロッカー4の収納部の識別情報が格納されている。例えば、ロッカー4の収納部の識別情報は所定数の英数字の文字列であって、ロッカー4を示す上位部分と収納部を示す下位部分とで構成される。同じロッカー4に含まれる複数の収納部の間では、識別情報のロッカー4を示す上位部分の値が同じ値となる。
【0063】
車両IDのフィールドには、収納部が含まれるロッカー4が積載されている車両3の識別情報が格納されている。鍵情報のフィールドには、収納部に設けられている電子錠の鍵情報が格納されている。収納部の鍵情報は、固定であっても可変であってもよい。なお、
図4に示されるロッカー情報DB 12に保持される情報は一例であって、ロッカー情報DB 12に保持される情報は
図4に示されるものに限定されない。
【0064】
次に、
図5は、サービス情報DB 14に保持される情報の一例である。サービス情報DB 14は、サービス情報を保持する。
図5に示されるサービス情報DB 14の1レコードは、1つのロッカー使用依頼に対して提供されるサービスのサービス情報である。
図5に示されるサービス情報DB 14の1レコードには、サービスID、ユーザID、ロッカーID、預入日時、預入場所、取出日時、取出場所、取出完了通知、及び、依頼時端末情報のフィールドが含まれる。
【0065】
サービスIDのフィールドには、サービスの識別情報が格納される。サービスの識別情
報は、受信したロッカー使用依頼について、サービス提供が成立した場合に、制御部11によって割り当てられる。ユーザIDのフィールドには、ユーザの識別情報が格納される。ユーザの識別情報は、移動ロッカーシステム100へユーザ登録を行う際に制御部11によって割り当てられる。移動ロッカーシステム100へのユーザ登録は、移動ロッカーシステム100のクライアントアプリケーションを通じて行われる。ロッカーIDのフィールドには、当該サービスに割り当てられたロッカー4の収納部の識別情報が格納される。
【0066】
預入日時、預入場所、取出日時、及び、取出場所のフィールドには、それぞれ、預入日時、預入場所、取出日時、及び、取出場所を示す情報が格納される。預入場所及び取出場所を示す情報は、例えば、住所、緯度及び経度、及び、ランドマーク名等である。預入日時及び取出日時は、例えば、年月日時分で示される。
【0067】
取出完了通知のフィールドには、該当のサービスについて割り当てられたロッカー4から荷物が取り出されたことを示す取出完了通知の受信があったか否かを示す情報が格納される。取出完了通知の受信があったか否かを示す情報は、例えば、フラグ、コード、又は、キーワードである。
【0068】
依頼時端末情報のフィールドには、ロッカー使用依頼の際に使用されたユーザ端末2の識別情報、すなわち、端末個体を識別可能な情報が格納されている。当該依頼時端末情報は、移動ロッカーシステム100のクライアントアプリケーションによるロッカー使用依頼の実行時に、ユーザ端末2から依頼とともにその端末情報がセンタサーバ1に送信される。
【0069】
制御部11は、ユーザ端末2からロッカー使用依頼を受信し、サービスの提供が成立した場合に、サービス情報DB 14にレコードを追加する。レコードが追加されるとともに、制御部11は、成立したサービスに識別情報を割り当て、サービスIDのフィールドに格納する。また、ロッカーIDのフィールドには、制御部11によって割り当てられたロッカー4の収納部の識別情報が格納される。また、ユーザID、預入日時、預入場所、取出日時、取出場所、及び依頼時端末情報のフィールドには、制御部11によって、それぞれ、ロッカー使用依頼とともにユーザ端末2から受信された、ユーザの識別情報、預入日時、預入場所、取出日時、取出場所、ユーザ端末2の識別情報が格納される。
【0070】
取出完了通知のフィールドの初期値は、取出完了通知の受信がないことを示す情報である。取出完了通知のフィールドは、ユーザ端末2から取出完了通知が受信されると、制御部11によって、取出完了通知の受信があったことを示す情報に更新される。なお、サービス情報DB 14に保持される情報は
図5に示される情報に限定されない。
【0071】
図6は、スケジュール情報DB 13に保持される情報の一例である。スケジュール情報DB 13には、各ロッカー4及び車両3のスケジュールが格納されている。
図6に示される例では、1台の車両3と、当該車両3に積載されているロッカー4の各収納部とのある日の営業時間内におけるスケジュールが示されている。
【0072】
図6に示される例では、ロッカーID:001である収納部は、サービスID:001のサービスに割り当てられており、8時15分から14時00分まで予約されている。サービスID:001のサービスでは、預入日時が8時15分であり、取出日時が14時00分に設定されている。また、各収納部の予約に応じて車両3のスケジュールが設定されている。ロッカーID:001の収納部に割り当てられたサービスID:001のサービスに対応する車両3のスケジュールアイテムとして、アイテム#100、アイテム#101、アイテム#200、アイテム#201が設定されている。
【0073】
アイテム#100及びアイテム#101は、サービスID:001のサービスの荷物の預け入れに対応するスケジュールアイテムである。アイテム#100は車両3の走行イベントのアイテムである。アイテム#100には、走行の目的地としてサービスID:001の預入場所、到着日時としてサービスID:001の預入日時-αの日時が設定されている。アイテム#101は、車両3が停車するイベントのアイテムである。アイテム#101の車両3の停車のイベントは、ユーザがロッカー4に荷物を預け入れるためのイベントである。ユーザがロッカー4に荷物を預け入れる一連の動作には、車両3への乗車、収納部への荷物の収納、収納部の施錠、及び、車両3からの降車が含まれる。これらの一連の動作を実行するために十分な時間、車両3は停車する必要がある。したがって、アイテム#101には、停車の開始日時としてサービスID:001の預入日時-αの日時、停車の終了日時としてサービスID:001の預入日時+αの日時が設定されている。
【0074】
したがって、アイテム#100及びアイテム#101に対応する車両3に設定される走行計画は、預入日時-αに預入場所まで走行し、預入場所で預入日時-αから預入日時+αまで停車することを示す走行計画となる。
【0075】
次に、アイテム#200及びアイテム#201は、サービスID:001のサービスの荷物の取り出しに対応するスケジュールアイテムである。アイテム#200は車両3の走行イベントのアイテムである。アイテム#200には、走行の目的地としてサービスID:001の取出場所、到着日時としてサービスID:001の取出日時-αの日時が設定されている。アイテム#201は、車両3が停車するイベントのアイテムである。アイテム#201の車両3の停車のイベントは、ユーザがロッカー4から荷物を取り出すためのイベントである。ユーザがロッカー4から荷物を取り出す一連の動作には、車両3への乗車、収納部の解錠、収納部からの荷物の取り出し、及び、車両3からの降車が含まれる。したがって、アイテム#201には、停車の開始日時としてサービスID:001の取出日時-αの日時、停車の終了日時としてサービスID:001の取出日時+αの日時が設定されている。
【0076】
したがって、アイテム#200及びアイテム#201に対応する車両3に設定される走行計画は、取出日時-αに取出場所まで走行し、取出場所で取出日時-αから取出日時+αまで停車することを示す走行計画となる。
【0077】
また、車両3に搭載のロッカー4は、ロッカーID:001の収納部以外の複数の収納部が有しており、それらに関しても車両3の走行・停車イベントのアイテムが生成され、スケジュール情報DB 13に記録されている。また、車両3のスケジュールの空白期間では、例えば、制御部11がその時の前後のスケジュールに合わせた経路で車両3を走行させる。制御部11は、スケジュール情報DB 13を参照して、ロッカー4の割り当て、及び、取出場所及び取出日時の決定等を行う。スケジュール情報DB 13に保持される情報は、
図6に示されるものに限定されない。
【0078】
<ユーザ端末の画面例>
図7は、移動ロッカーシステム100のクライアントアプリケーションによるユーザ端末2の画面の一例である。
図7は、ユーザ端末2のロッカー使用依頼画面の一例である。ロッカー使用依頼画面は、移動ロッカーサービスの利用の依頼を行うための画面である。ロッカー使用依頼画面は、例えば、移動ロッカーシステム100のクライアントアプリケーションのメニューからロッカー使用依頼を選択すると表示される。
【0079】
図7に示されているロッカー使用依頼画面には、預入場所、預入日時、取出場所、及び、取出日時の入力欄、ロッカー使用依頼のボタンが含まれている。預入場所及び取出場所
の入力欄には、それぞれ、キーワードによる検索、地図から選択、及び、登録住所から選択の指定方法を選択するラジオボタンが備えられている。「キーワードによる検索」が選択されると、入力されたキーワードによる検索結果が表示され、検索結果から預入場所又は取出場所を選択することができる。キーワードによる検索結果として、例えば、地名、駅名、建物名、及び、住所等が表示される。
【0080】
「地図から選択」が選択されると、地図の表示画面に遷移し、地図上で預入場所又は取出場所を設定することができる。「登録住所から選択」が選択されると、登録されている住所のリストが表示され、当該リストから預入場所又は取出場所を選択することができる。
【0081】
預入日時及び取出日時は、例えば、5分単位、10分単位、15分単位、又は、30分単位で設定されてもよい。
【0082】
「依頼開始」ボタンが選択されると、制御部21は、ロッカー使用依頼のユーザ操作を受け付け、センタサーバ1へロッカー使用依頼を送信する。ロッカー使用依頼とともに、ロッカー使用依頼画面において入力された預入場所及び預入日時と取出場所及び取出日時と、ユーザ識別情報及びユーザ端末2の識別情報(端末情報)も送信される。なお、ロッカー使用依頼画面の構成は、
図7に示される例に限定されない。
【0083】
<処理の流れ>
図8は、センタサーバ1がユーザ端末2からロッカー使用依頼を受信した場合の処理のフローチャートの一例である。
図8に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図8に示される処理の実行主体は、センタサーバ1のCPU101であるが、便宜上、機能構成要素である制御部11を主体として説明する。
【0084】
S101では、制御部11は、ユーザ端末2からロッカー使用依頼を受信したか否かを判定する。S101で肯定判定され、ユーザ端末2からロッカー使用依頼が受信された場合には、処理がS102へ進む。一方で、S101で否定判定され、ユーザ端末2からロッカー使用依頼が受信されていない場合には、
図8に示される処理が終了する。
【0085】
S102では、制御部11は、スケジュール情報DB 13を参照して、受信したロッカー使用依頼に対して割り当て可能なロッカー4が存在するか否かを判定する。例えば、制御部11は、預入日時から少なくとも取出日時までスケジュールが設定されていない収納部であって、預入場所に預入日時に到着可能な位置に存在している又は存在する予定である車両3に積載されている収納部があるか否かを判定する。S102で肯定判定され、受信したロッカー使用依頼に対して割り当て可能なロッカー4が存在する場合には、受信されたロッカー使用依頼についてサービス提供することが承諾され、処理がS103へ進む。一方で、S102で否定判定され、受信したロッカー使用依頼に対して割り当て可能なロッカー4が存在しない場合には、制御部11は、ロッカー使用依頼に対して不可を示す応答を送信し、
図8に示される処理が終了する。
【0086】
S103では、制御部11は、ロッカー使用依頼に対して割り当て可能なロッカー4の中から、ロッカー使用依頼に対して割り当てる収納部と車両3とを決定する。ロッカー使用依頼に対して割り当てられる車両3は、預入日時から少なくとも取出日時までスケジュールが設定されていない収納部を備えるロッカー4を積載し、預入場所に預入日時に到着可能な位置に存在している又は存在する予定である車両3が選択される。ロッカー使用依頼に対して割り当てられる収納部は、ロッカー使用依頼に対して割り当てられた車両3に積載されているロッカー4のうち、預入日時から少なくとも取出日時までスケジュールが設定されていない収納部から選択される。
【0087】
S104では、制御部11は、受信したロッカー使用依頼に対応するサービス情報をサービス情報DB 14に登録する。また、制御部11は、割り当てられた車両3とロッカー4のスケジュールにロッカー使用依頼に対応するサービスのアイテムをスケジュール情報DB 13に登録する。
【0088】
S105では、制御部11は、ユーザ端末2へ、ロッカー使用依頼に対する承諾の応答を送信する。ロッカー4の承諾の応答とともに、割り当てられたロッカー4の収納部の鍵情報も送信される。S106では、制御部11は、割り当てられた車両3について登録されたスケジュールに対応する走行計画を作成し、車両3へ送信する。その後、
図8に示される処理が終了する。
【0089】
<第三者に不正な荷物取出しの防止について>
ユーザがロッカー4に預け入れた荷物に関し、第三者が不正に当該荷物を取り出す恐れについて、
図9に基づいて説明する。ユーザX1は、自己のユーザ端末2を利用して上記のロッカー使用依頼を送信し、センタサーバ1によってサービス提供を承諾されたものとする。そのサービス内容は、荷物X10の一時的保管であり、預入場所がP1、預入日時がT1、そして取出場所がP3、取出日時がT3である。したがって、ユーザX1は預入日時T1に預入場所P1に行き、そこでロッカー4に荷物X10を預け入れる。その後、荷物X10を取り出すために、ユーザX1は、取出日時T3に取出場所P3に行くことになっている。
【0090】
また、ロッカー4を搭載した車両3は、預入日時T1と取出日時T3との間に、別のユーザX2による荷物X20の取り出しのために、取出日時T2に取出場所P2に行くスケジュールが設定されているとする。したがって、車両3は、預入場所P1から取出場所P2に移動し、そこで所定時間停止し、その後、更に取出場所P2から取出場所P3に移動し、そこで所定時間停止する走行計画を有することになる。
【0091】
ここで、ユーザX1の荷物X10の預け入れに関し、通信上のトラブルやユーザ端末2の管理上のトラブル等に起因して、第三者Y1が、荷物X10の預け入れに関連する鍵情報を不正に取得した場合を想定する。仮に、第三者Y1が取出日時T3よりも前のタイミングでロッカー4にアクセスできた場合、不正に取得した鍵情報を利用してロッカー4を解錠し、そこに保管されている荷物X10を不正に取り出すことが可能になる。すなわち、第三者Y1によるロッカー4へのアクセスが取出日時T3以降であれば、ユーザX1の方が先にロッカーにアクセスすることになるため、不正な取り出しは事実上回避することができる。しかし、第三者Y1によるロッカー4へのアクセスが取出日時T3よりも前のタイミングになると、ロッカー4へのアクセスについて第三者Y1がユーザX1に先んじてしまうため、不正な取り出しが生じる恐れがある。
【0092】
例えば、
図9に示すように、取出日時T2にユーザX2の荷物X20の取り出しのために停車している車両3に、第三者Y1が接近し、そこに搭載されているロッカー4にアクセスすることが可能な場合がある。そのときに第三者Y1が不正に取得した鍵情報を利用してしまうと、第三者Y1は、ユーザX1の荷物X10を不正に取り出すことができることになり、このような不正利用は阻止しなければならない。
【0093】
第三者Y1がユーザX1のユーザ端末2を強奪したようなケースを除けば、ユーザ端末2は正当なユーザX1の手元に存在している可能性が高い。そこで、第三者Y1が取出日時T3よりも前のタイミングでロッカー4にアクセスし、不正取得した鍵情報を用いてロッカー4の解錠を図ろうとしたときに、センタサーバ1からユーザ端末2に対して、ロッカー4が解錠されようとしている旨の通知が実行される。なお、この通知が行われている
間は、第三者Y1により鍵情報を用いた照合行為は行われているもののロッカー4の施錠状態は維持されている。
【0094】
そして、上記通知に関する処理の流れの詳細について、
図10に基づいて説明する。
図10に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図10に示される処理の実行主体は、センタサーバ1のCPU101であるが、便宜上、機能構成要素である制御部11を主体として説明する。
【0095】
S201では、制御部11は、ロッカー4において、荷物を取り出すために鍵情報を用いた照合行為を検出したか否かを判定する。なお、ロッカー4は、荷物の取り出しのために鍵情報であるパスワードが入力されたときに、当該入力があったことをセンタサーバ1に伝えるように構成されている。したがって、制御部11は、この伝送された情報に基づいて、S201の判定処理を行う。S201で肯定判定されると処理はS202へ進み、否定判定されると
図10に示す処理が終了する。
【0096】
次に、S202では、制御部11は、上記の鍵情報を用いた照合行為の検出タイミングが、当該鍵情報に関連付けられているロッカー4に預けられている荷物の取出日時(例えば、
図9に示すT3)よりも前のタイミングであるか否かを判定する。S202で肯定判定されると処理はS203へ進む。また、S202で否定判定された場合、上述したように照合行為のタイミングは取出日時以降であることを意味するため、そのような場合は、荷物の不正な取り出しが生じる恐れは極めて低いことになる。したがって、S202で否定判定の場合はS204へ進み、当該荷物の取り出しを許可する信号が、制御部11からロッカー4に送信される。したがって、当該信号を受信したロッカー4は解錠を行い、荷物の取り出しが可能となる。
【0097】
ここで、S203では、制御部11は、預けられた荷物に関連付けられているユーザ端末2がロッカー4の近くに位置しているか否かを判定する。ロッカー4は、ロッカー4から所定の範囲内に届く近距離通信を行うことで、その周囲に存在する端末をスキャンし、存在する端末の識別情報をセンタサーバ1に伝えるように構成されている。そして、センタサーバ1の制御部11は、ロッカー情報DB 12とサービス情報DB 14が保持している情報である依頼時端末情報を用いて、入力された鍵情報に対応するユーザ端末がロッカー4の所定の範囲内に位置しているかを判定することができる。なお、当該所定の範囲は、ユーザ端末を保有するユーザがその範囲内に存在していれば、第三者による荷物の取り出しを十分に確認できる範囲である。
【0098】
別法として、制御部11は、ロッカー4の位置と、ユーザ端末2の位置とをそれぞれ取得するように構成され、両者の位置を比較することでS203の判定処理を実行することができる。ロッカー4の位置は、それを搭載している車両3に備えられたGPS装置を利用して、車両3からセンタサーバ1に送信され、ユーザ端末2の位置は、それに備えられたGPS装置を利用してユーザ端末2からセンタサーバ1に送信されてもよい。
【0099】
このようにS203の判定が行われることで、ユーザ端末2の位置を介して、実質的に、ロッカー4の近くに荷物を預けたユーザが位置しているかを高い確率で推定することができる。そして、ユーザがロッカー4の近くに位置している場合は、第三者によるユーザにより不正に荷物が取得されるおそれは低い。そこで、S203で肯定判定されると、処理はS204へ進み、S204で、荷物の取り出しを許可する信号が、制御部11からロッカー4に送信される。S203で肯定判定されるケースとしては、ユーザが予め設定していた取出日時を勘違いしていたり、ユーザが日時の変更を行わずに意図的に又は偶発的に予定よりも早い日時で荷物の取り出しを行おうとしたりしたケースが想定される。このような場合は、上記の通り取り出しを許可することで(S204の処理)、ユーザの利便
性を高めることができる。
【0100】
また、S203で否定判定された場合は、すなわち、予め設定されていた取出日時よりも前のタイミングでの照合行為が検出され、且つ、ロッカー4の近くにユーザ(ユーザ端末2)が位置していないことにより、第三者による不正な荷物の取り出しの可能性が高いことを意味する。この場合、制御部11は、照合行為に使用された鍵情報に対応するユーザ端末2に対して、当該鍵情報によりロッカー4が解錠されて荷物が取出されようとしている旨をユーザに確認させるための通知が送信される。当該通知を受信したユーザ端末2は、そのタッチパネルディスプレイ205に、通知内容が表示される。
【0101】
また、制御部11は、上記通知に併せて、照合行為に関する情報、例えば、照合のために入力された鍵情報や、ロッカー4に設けられたカメラによって照合行為を行っている者が撮像され、その撮像情報がロッカー4からセンタサーバ1に送信される場合には、その撮像情報も送信してもよい。このような情報がユーザ端末2に送信されることで、タッチパネルディスプレイ205を見たユーザは、ロッカー4の解錠が試みられている状況をより正確に把握することができる。S205の処理が終了すると、S206へ進む。
【0102】
上記通知を受信したユーザ端末2においては、ユーザに当該荷物の取り出しを承認するか否かの回答が求められる。ユーザは、当該荷物の取り出しが自己の意図するものである場合には、承認する旨の回答をし、一方で、当該荷物の取り出しが自己の意図しないものである場合には、承認しない旨の回答をする。そこで、S206では、制御部11は、ユーザ端末2から、当該荷物の取り出しを承認する旨の回答があったか否かを判定する。S206で肯定判定された場合は、処理はS204に進み、当該荷物の取り出しが許可される。S206で肯定判定されるケースとしては、ユーザの代理の者が、予め設定された取り出し日時よりも前のタイミングで荷物の取り出しを図ろうとしたケース等が想定される。
【0103】
また、S206で否定判定された場合には、当然に当該荷物の取り出しは許可されないこととなる。そこで、そのために以前にユーザ端末2に付与された鍵情報の無効化が行われる。このとき、ロッカー情報DB 12に保持される、対応する収納部の鍵情報についても以前のものは消去され、新たな鍵情報が設定される。したがって、S207の処理が行われることで、一時的に、荷物がロッカー4から取出すことができない状況が形成され、第三者による不正な取り出しが好適に防止される。
【0104】
また、上記S203の処理の別法として、制御部11は、ユーザ端末2とロッカー4を
搭載する車両3の両者が、取出場所から所定の範囲に位置しているか否かを判定してもよい。当該所定の範囲は、本来ユーザによる荷物の取り出しが行われる予定の取出場所を基準とした範囲であり、ロッカー4を搭載した車両3とユーザが保有するユーザ端末2の両者が当該範囲内に存在していれば、ユーザが、第三者による荷物の取り出しを十分に確認し得る範囲である。したがって、S203において肯定判定される場合は、ユーザが第三者の動きを確認し得る状態にあるため、処理はS204へ進む。一方で、S203において否定判定される場合、すなわち、車両3とユーザ端末2のうち少なくとも一方が所定の範囲に存在していない場合には、ユーザは第三者の動きを確認できない状態にあるため、処理はS205へ進む。
【0105】
続いて、上記S207の処理により、一時的に荷物の取り出しができない状態となっているロッカー4から、ユーザ自身が荷物を取り出すことができるようにするための処理の流れについて、
図11に基づいて説明する。
図11に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図11に示される処理の実行主体は、センタサーバ1のCPU101であるが、便宜上、機能構成要素である制御部11を主体として説明する。
【0106】
S301では、制御部11は、現時点の日時が、ユーザがロッカー4に預けていて取り出しができない状態に置かれている荷物の取出日時以降のタイミングであるか否かを判定する。S301で肯定判定されると処理はS302へ進み、否定判定されると
図11に示す処理は終了する。
【0107】
S302では、制御部11は、ユーザが保有するユーザ端末2の位置と、ロッカー4の位置とが一致するか否かが判定される。ユーザ端末2の位置とロッカー4の位置の取得については、上述した通りである。両者の位置が一致することは、ユーザがロッカー4の直近に位置している、すなわち、ユーザがロッカー4に預けている荷物を直ちに取り出すことができる程度に、両者が近接していることを意味している。したがって、そのような近接状態が形成されていれば、第三者によって不正に荷物が取り出されてしまうことは生じにくいと考えられる。その点を踏まえ、S302で肯定判定されると処理はS303へ進み、否定判定されると、
図11に示す処理は終了する。
【0108】
S303では、制御部11は、ユーザ端末2に対して、新たな鍵情報の付与を行う。この新たな鍵情報は、S207における鍵情報の無効化処理で更新されたロッカー4側の鍵情報に対応するものである。そして、S304では、制御部11は、ユーザの照合行為によってロッカー4側に入力された新たな鍵情報と、ロッカー情報DB 12の情報とを照合する処理を行う。続いて、S305では、制御部11は、その照合処理の結果が問題ない(OKである)か否かを判定する。S305で肯定判定されると処理はS306へ進み、ロッカー4が解錠されて荷物の取り出しが許可される。一方で、S305で否定判定されると処理はS307へ進み、ロッカー4は解錠されずに荷物の取り出しは許可されないことになる。
【0109】
このような
図11に示す処理によれば、ユーザ端末2の位置とロッカー4の位置とが一致することを条件に、ロッカー4を解錠するための新たな鍵情報がユーザ端末に付与されることで、ユーザは自己の荷物を安全に取り出すことができる。特に第三者による不正な荷物の取り出しが懸念される状況であったことを踏まえると、このように安全な荷物の取り出しを可能とする構成は、移動ロッカーシステム100の防犯性と利便性を好適に両立することを可能にするものである。
【0110】
<処理シーケンスの例>
図12A及び
図12Bは、
図10及び
図11に示す処理が実行されたときの、移動ロッカーシステム100における処理のシーケンス、すなわち、移動ロッカーシステム100に含まれるセンタサーバ1、車両3、ユーザ端末2間の信号のやり取りの一例を示す図である。本シーケンスは、
図9に示すユーザX1が荷物X10を預け入れ、そして、それを取り出すまでの処理に対応するものとする。なお、ロッカー4は車両3に搭載されていることから、説明の便宜上、
図12A及び
図12Bにおいては、車両3とロッカー4を一体的に表現している。
【0111】
S11では、ユーザ端末2は、ロッカー使用依頼のユーザ操作の入力を受け付け、センタサーバ1へ送信する。その後、S12では、センタサーバ1は、ユーザ端末2から、ロッカー使用依頼を受信し(
図8のS101に対応)、ロッカー使用依頼に対して車両3とロッカー4の収納部の割り当てを行う(
図8のS103に対応)。そして、センタサーバ1は、上記割り当ての結果を踏まえて、S13では、センタサーバ1は、ユーザ端末2へ、ロッカー使用依頼に対する承諾の応答、及び鍵情報を送信する(
図8のS105)。更に、S14では、センタサーバ1は、車両3へ走行計画を送信する(
図8のS106)。S14で車両3へ送信される走行計画は、例えば、預入日時-αに預入場所へ到着するように走行すること、預入場所に預入日時+αまで停車すること、取出日時-αに取出場所
へ到着するように走行すること、取出場所に取出日時+αまで停車すること等のように、スケジュール情報DBに保持されている情報に即した走行計画を含む。
【0112】
S15では、車両3が走行計画に従って、預入日時T1に預入場所P1へ到着するように走行する。S16では、ユーザ端末2のユーザが車両3に積載されているロッカー4に荷物を預け入れる。S17では、ユーザ端末2は、ユーザから預入完了のユーザ操作の入力を受け付け、センタサーバ1へ預入完了通知を送信する。そして、S18では、センタサーバ1は、ユーザ端末2から預入完了通知を受信し、ユーザ端末2へ応答を送信する。
【0113】
次に、S20では、車両3が走行計画に従って、取出日時T2に取出場所P2へ到着するように走行する。この走行は、
図9に示す別のユーザX2による荷物X20の取り出しに対応するものである。そして、車両3が取出場所P2に到達した以降において、S21で、ロッカー4の照合行為が検出される。なお、この照合行為の主体は、ユーザX1の鍵情報を不正に取得した第三者Y1によるものである。車両3側(ロッカー4側)で検出された照合行為の検出情報はセンタサーバ1に伝送され、センタサーバ1側でも検出されることになる(
図10のS201に対応)。そして、その照合行為の実行タイミングが、予め設定されていた取出日時T3より前のタイミングであった場合、S22で、ユーザ端末2の位置確認が行われる。この位置確認は、
図10のS203に対応するものであり、これにより予定より早い照合行為が、不正によるものなのか否かを推定することになる。
【0114】
そして、ユーザ端末2の位置確認により当該ユーザ端末2がロッカー4の近くに位置していないと判定された場合、S23で、センタサーバ1からユーザ端末2に対して、解錠確認の通知が行われる(
図10のS205に対応)。そして、その通知を受け取ったユーザ端末2の保有者であるユーザによって、承認しないと判断されると、S24で、その旨の応答(非承認応答)がユーザ端末2からセンタサーバ1に送られる(
図10のS206に対応)。そして、非承認応答を受け取ったセンタサーバ1は、S25で、鍵情報の無効化処理を行うとともに、ユーザ端末2に対して既に送信している鍵情報を無効化する信号を送信する(
図10のS207に対応)。これらの処理により、ユーザX1の荷物X10が第三者Y1によって不正に取得されることを阻止することができる。
【0115】
続いて、S30では、車両3が走行計画に従って、取出日時T3に取出場所P3へ到着するように走行する。この走行は、ユーザX1による荷物X10の取り出しに対応するものである。ただし、この時点では、上述した鍵情報の無効化処理によって、荷物X10の取り出しができない状態になっている。そして、S31で、ユーザ端末2の位置確認が行われる。この位置確認は、
図11のS302に対応するものであり、これによりユーザ自身が、第三者Y1の影響を受けない程度にロッカー4の直近に位置しているかが判定される。
【0116】
そして、ユーザ端末2の位置確認によって、ユーザ端末2の位置とロッカー4の位置が一致する場合、S32で、センタサーバ1からユーザ端末2に対して新たな鍵情報が付与される(
図11のS303に対応)。その後、新たな鍵情報を用いて照合処理が行われることで、ロッカー4が解錠される。その結果、S33では、ユーザ端末2のユーザが車両3に積載されているロッカー4から荷物を取り出すことができる。続くS34では、ユーザ端末2は、ユーザから取出完了のユーザ操作の入力を受け付け、センタサーバ1へ取出完了通知を送信する。そして、S35では、センタサーバ1は、ユーザ端末2から取出完了通知を受信し、ユーザ端末2へ応答を送信する。
【0117】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、鍵情報を不正に取得した第三者による荷物の取り出しの可能性が高いと判定された場合には、ロッカーの施錠は維持したまま、ユーザ端末に対して解錠確認
の通知が行われる。これによって、仮にその取り出しがユーザの意図しないものである場合には、ロッカーの解錠を阻止でき、以て、荷物の不正な取り出しを好適に防ぐことができ、移動ロッカーシステムの防犯性を高められる。
【0118】
また、ユーザ端末の位置確認を通して、不正な荷物の取り出しの可能性を判断することで、予め設定されていた取出日時よりも前のタイミングでのユーザによる取出しにも柔軟に対応でき、移動ロッカーシステムの防犯性と利便性の両立が図られる。
【0119】
また、仮に第三者による不正な荷物の取り出しの可能性が高いと判断された結果、鍵情報の無効化処理が行われた場合でも、ユーザ端末の位置確認を通して、荷物取出しの安全性を担保した状態で、ユーザ自身による荷物の取り出しを実現することができる。これにより、移動ロッカーシステムの防犯性と利便性の両立が図られる。
【0120】
<第2実施形態>
解錠確認の通知に関する第2実施形態について、
図13に基づいて説明する。
図13に示される処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図13に示される処理の実行主体は、センタサーバ1のCPU101であるが、便宜上、機能構成要素である制御部11を主体として説明する。
【0121】
S401では、制御部11は、車両3の走行計画の変更要求がユーザ端末2以外の外部装置からあったか否かを判定する。走行計画の変更要求は、例えば、取出場所や取出日時の変更を要求するものである。これらの変更は、荷物の取り出し条件を変更するものであるから、不正な変更要求は不正な荷物の取り出しに繋がる可能性がある。そして、何らかの理由で第三者が、ユーザの移動ロッカーシステム100の利用情報に不正にアクセスできるようになった場合、当該アクセスはユーザ端末2以外の装置から行われる可能性が高い。そこで、制御部11は、サービス情報DB 14が保持するレコードに含まれる依頼時端末情報を利用して、ユーザ端末以外の外部装置からのアクセスによる上記変更要求の検出を行う。S401で肯定判定されると処理はS402へ進み、否定判定されると
図13に示す処理が終了する。
【0122】
次に、S402では、制御部11は、上記の変更要求の検出タイミングが、変更要求に関連付けられているロッカー4に預けられている荷物の取出日時(例えば、
図9に示すT3)よりも前のタイミングであるか否かを判定する。S402で否定判定された場合、変更要求のタイミングは取出日時以降であることを意味するため、第1実施形態で説明したように、そのような場合は、荷物の不正な取り出しが生じる恐れは極めて低いことになる。したがって、S402で否定判定の場合はS405へ進み、要求に従って走行計画が変更される。
【0123】
また、S402で肯定判定されると、予め設定されていた取出日時よりも前のタイミングで、外部装置から走行計画の変更要求があったこととなり、これは、第三者による不正な荷物の取り出しの可能性が高いことを意味する。この場合、処理はS403に進み、制御部11は、変更要求に関連付けられたユーザ端末2に対して、外部からの走行計画の変更によってロッカー4が解錠されて荷物が取出されようとしている旨をユーザに確認させるための通知が送信される。当該通知を受信したユーザ端末2は、そのタッチパネルディスプレイ205に、通知内容が表示される。
【0124】
また、制御部11は、上記通知に併せて、変更要求に関する情報、例えば、変更要求される取出場所や取出日時、変更要求を行っている外部装置に関する情報も送信してもよい。このような情報がユーザ端末2に送信されることで、タッチパネルディスプレイ205を見たユーザは、ロッカー4の解錠が試みられている状況をより正確に把握することがで
きる。S403の処理が終了すると、S404へ進む。
【0125】
上記通知を受信したユーザ端末2においては、ユーザに走行計画の変更要求を承認するか否かの回答が求められる。ユーザは、当該変更要求が自己の意図するものである場合には、承認する旨の回答をし、一方で、当該変更要求が自己の意図しないものである場合には、承認しない旨の回答をする。そこで、S404では、制御部11は、ユーザ端末2から、当該変更要求を承認する旨の回答があったか否かを判定する。S404で肯定判定された場合は、処理はS405に進み、変更要求に従って走行計画が変更される。S404で肯定判定されるケースとしては、ユーザの代理の者が、予め設定された取り出し日時よりも前のタイミングで走行計画を変更しようとしたケース等が想定される。
【0126】
また、S404で否定判定された場合には、S406で走行計画の変更要求は拒絶される。これにより、外部装置から出された変更要求に従った走行計画の変更は行われない。しかし、そのような要求があったことを考慮すると、ユーザによっては、走行計画をそのまま維持することに不安を覚える恐れがある。そこで、S407で、制御部11は、ユーザ端末2に対して新たな走行計画に関する問い合わせを行う。当該問い合わせは、取出場所や取出日時等の変更を行うか問い合わせるものであり、その問い合わせ内容は、ユーザ端末2のタッチパネルディスプレイ205に表示される。ユーザは、その問い合わせ内容を見た上で、新たな走行計画の設定の要否やその設定内容を、タッチパネルディスプレイ205を介して回答する。そして、制御部11は、S408で、ユーザ端末2からの回答を踏まえて、新たな走行計画を設定する。この新たな走行計画は、スケジュール調整部16によって行われる。新たに設定された走行計画は、スケジュール情報DB 13に反映させるとともに、当該新たに設定された走行計画は車両3に送信される。
【0127】
また、制御部11は、ユーザが荷物をより安全に取り出すことができるように、S409で、ユーザ端末2に新しい鍵情報を付与する。新しい鍵情報が付与される場合、当該情報に対応するようにロッカー4側の鍵情報(ロッカー情報DB 12が保持する情報)も更新される。
【0128】
<第2実施形態の作用効果>
第2実施形態では、不正な走行計画の変更を介して第三者による荷物の取り出しの可能性が高いと判定された場合には、ロッカーの施錠は維持したまま、ユーザ端末に対して解錠確認の通知が行われる。これによって、仮にその走行計画の変更がユーザの意図しないものである場合には、荷物の不正な取り出しを好適に防ぐことができ、移動ロッカーシステムの防犯性を高められる。
【0129】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0130】
例えば、ロッカー4が物理鍵で施解錠されるように構成されている場合、第三者による不正な荷物の取り出しに関する事象を、取出日時より前のタイミングで、当該物理鍵を鍵穴に挿入する行為とすることができる。このような形態では、鍵穴への物理鍵の挿入が検知されたときに、上記の解錠確認の通知が行われる。そして、その通知に対するユーザの回答がセンタサーバ1に戻ってくるまでは、鍵穴に挿入された物理鍵は、解錠のためのアクション(回転等)ができないようにロッカー4が構成されている。通知の回答が解錠を承認する旨である場合には、物理鍵の解錠のためのアクションが許可され、通知の回答が解錠を承認しない旨である場合には、物理鍵の解錠のためのアクションは許可されない。
【0131】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。例えば、
図10、
図11、
図13に示した処理は、センタサーバ1で実行される処理として説明したが、これらの処理の一部をロッカー4に含まれるコンピュータや、当該ロッカー4を搭載する車両3に含まれるコンピュータに実行させて、当該コンピュータとセンタサーバ1との協働で、
図10、
図11、
図13に示した処理と実質的に同じ処理が行われても構わない。そのような場合、当該コンピュータとセンタサーバ1が、本開示の「情報処理装置」に相当する構成となる。
【0132】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0133】
1・・センタサーバ
2・・ユーザ端末
3・・車両
4・・ロッカー
11・・制御部
12・・ロッカー情報データベース
13・・スケジュール情報データベース
14・・サービス情報データベース
16・・スケジュール調整部
21・・制御部
100・・移動ロッカーシステム
101、201・・CPU
102、202・・メモリ
103、203・・外部記憶装置
104・・通信部
204・・無線通信部
205・・タッチパネルディスプレイ