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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/14 20190101AFI20240806BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B60L53/14
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021163347
(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公開番号】P2023054478
(43)【公開日】2023-04-14
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 優也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 徹
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-114040(JP,A)
【文献】特開2018-129884(JP,A)
【文献】特開2017-135942(JP,A)
【文献】国際公開第2017/037894(WO,A1)
【文献】特開2020-48375(JP,A)
【文献】特開2016-73054(JP,A)
【文献】特開2011-15548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/00-58/40
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に設けられる第1充電設備により供給される電力を用いて車載の蓄電装置を充電する第1外部充電を実行可能に構成された車両であって、
前記第1充電設備の第1コネクタを接続可能に構成された第1受電口と、
前記第1受電口に設けられる第1リッドと、
前記第1リッドを施錠状態と開錠状態とに切り替えるように構成された第1リッドロック装置と、
前記第1リッドロック装置を施錠状態または開錠状態に制御する制御装置とを備え、
前記車両の乗降用ドアが施錠された場合において、前記制御装置は、
前記第1リッドが閉じられているときには、前記乗降用ドアの施錠に連動させて、前記第1リッドロック装置を施錠状態にし、
前記第1リッドが開かれているときには、
前記第1外部充電が開始されるまで前記第1リッドロック装置を開錠状態にし、
前記第1外部充電が開始された際に前記第1リッドロック装置を施錠状態にし、
前記第1外部充電が完了した際に前記第1リッドロック装置を開錠状態にする、車両。
【請求項2】
前記第1充電設備は、前記第1コネクタと前記第1受電口との接続を施錠状態と開錠状態とに切り替えるように構成された第1コネクタロック装置を含み、
前記第1受電口は、
前記第1外部充電の実行時には、前記第1コネクタロック装置によって、前記第1コネクタとの接続が施錠状態にされ、
前記第1外部充電が完了すると、前記第1コネクタロック装置によって、前記第1コネクタとの接続が開錠状態にされる、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第1リッドロック装置への作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーをさらに備え、
前記制御装置は、前記リレーを制御することにより、前記第1リッドロック装置を施錠状態または開錠状態に制御する、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記車両は、さらに、車両の外部に設けられる第2充電設備により供給される電力を用いて、前記蓄電装置を充電する第2外部充電を実行可能に構成され、
前記第2充電設備の第2コネクタを接続可能に構成された第2受電口と、
前記第2受電口に設けられる第2リッドと、
前記第2リッドを施錠状態と開錠状態とに切り替えるように構成された第2リッドロック装置と、
前記第2コネクタと前記第2受電口との接続を施錠状態と開錠状態とに切り替えるように構成された第2コネクタロック装置とを、さらに備え、
前記第2リッドロック装置および前記第2コネクタロック装置は、前記リレーを通じて作動電力を受けるように構成される、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記第1外部充電は直流充電であり、前記第2外部充電は交流充電である、請求項4に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に関し、特に、車両の外部に設けられる充電設備により車載の蓄電装置を充電する外部充電を実行可能に構成された車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-114040号公報(特許文献1)には、外部充電を実行可能に構成された車両が開示されている。この車両は、ドアロック装置に連動してリッドロック装置およびコネクタロック装置を作動させることができるとともに、各ロック装置への作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーが共通化されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-114040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電設備の充電コネクタと、車両のインレットとの接続をロック状態にするコネクタロック装置が充電設備に設けられることがある。コネクタロック装置を備えた充電設備は、外部充電が完了すると、充電コネクタとインレットとの接続を解除する。これによって、ユーザは、インレットから充電コネクタを取り外すことが可能となる。
【0005】
ここで、外部充電中に車から離れるような場合には、ユーザは、ドアを施錠していくことが一般的である。そして、車両に戻ったときに外部充電が完了していれば、ユーザは、充電コネクタをインレットから取り外してリッドを閉める。
【0006】
しかしながら、たとえば特許文献1に開示された車両のように、ドアロック装置に連動してリッドロック装置がロック状態になると、ユーザがリッドを閉めようとしても、リッドロック装置がロック状態であるため、リッドを閉めることができない。リッドロック装置をアンロック状態にするためには、ドアを解錠しなければならず、ユーザの利便性の観点から改善の余地があった。
【0007】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、コネクタロック装置を備えた充電設備を用いた外部充電において、ユーザの利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に係る車両は、車両の外部に設けられる第1充電設備により供給される電力を用いて車載の蓄電装置を充電する第1外部充電を実行可能に構成される。車両は、第1充電設備の第1コネクタを接続可能に構成された第1受電口と、第1受電口に設けられる第1リッドと、第1リッドを施錠状態と開錠状態とに切り替えるように構成された第1リッドロック装置と、第1リッドロック装置を施錠状態または開錠状態に制御する制御装置とを備える。車両の乗降用ドアが施錠された場合において、制御装置は、第1リッドが閉じられているときには、乗降用ドアの施錠に連動させて、第1リッドロック装置を施錠状態にし、第1リッドが開かれているときには、第1外部充電が開始されるまで第1リッドロック装置を開錠状態にし、第1外部充電が開始された際に第1リッドロック装置を施錠状態にし、第1外部充電が完了した際に第1リッドロック装置を開錠状態にする。
【0009】
上記構成によれば、車両の乗降用ドアが施錠された場合であっても、第1リッドが開かれているときには、制御装置は、第1リッドロック装置を乗降用ドアの施錠に連動させない。制御装置は、第1外部充電が開始されるまで第1リッドロック装置を開錠状態にすることで、ユーザは、この段階でも第1リッドを閉めることができる。そして、制御装置は、第1外部充電が開始されると第1リッドロック装置を施錠状態にし、第1外部充電が完了すると第1リッドロック装置を開錠状態にする。第1外部充電の完了とともに第1リッドロック装置が開錠状態になるので、第1受電口から第1コネクタを抜き取ったユーザは、何らの操作を要せずに第1リッドを閉めることができる。それゆえに、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0010】
ある実施の形態においては、第1充電設備は、第1コネクタと第1受電口との接続を施錠状態と開錠状態とに切り替えるように構成された第1コネクタロック装置を含む。第1受電口は、第1外部充電の実行時には、第1コネクタロック装置によって、第1コネクタとの接続が施錠状態にされ、第1外部充電が完了すると、第1コネクタロック装置によって、第1コネクタとの接続が開錠状態にされる。
【0011】
上記構成によれば、第1コネクタと第1受電口との接続を施錠状態と開錠状態とに切り替える第1コネクタロック装置は、第1充電設備に設けられる。そして、第1受電口は、第1外部充電の完了とともに、第1コネクタとの接続が開錠状態にされる。これにより、ユーザは、第1外部充電の完了後に、何らの操作を要せずに第1受電口から第1コネクタを抜き取ることができる。
【0012】
ある実施の形態においては、車両は、第1リッドロック装置への作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーをさらに備える。制御装置は、リレーを制御することにより、第1リッドロック装置を施錠状態または開錠状態に制御する。
【0013】
上記構成によれば、制御装置は、リレーの制御により、第1リッドロック装置を制御することができる。
【0014】
ある実施の形態においては、車両は、さらに、車両の外部に設けられる第2充電設備により供給される電力を用いて、蓄電装置を充電する第2外部充電を実行可能に構成される。車両は、第2充電設備の第2コネクタを接続可能に構成された第2受電口と、第2受電口に設けられる第2リッドと、第2リッドを施錠状態と開錠状態とに切り替えるように構成された第2リッドロック装置と、第2コネクタと第2受電口との接続を施錠状態と開錠状態とに切り替えるように構成された第2コネクタロック装置とを、さらに備える。第2リッドロック装置および第2コネクタロック装置は、リレーを通じて作動電力を受けるように構成される。
【0015】
上記構成によれば、第2リッドロック装置および第2コネクタロック装置は、第1リッドロック装置と同様に、リレーを通じて作動電力を受ける。各ロック装置に対して個別にリレーを設けなくてもよいので、各ロック装置を作動させるための回路を安価に構成することができる。また、各ロック装置を作動させるためのリレーが共通化されているので、たとえば、第1外部充電が開始されると、第2リッドロック装置も施錠状態となる。これにより、第1外部充電の実行中における第2リッドおよび第2受電口に対する悪戯を抑制することができる。
【0016】
ある実施の形態においては、第1外部充電は直流充電であり、第2外部充電は交流充電である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、コネクタロック装置を備えた充電設備を用いた外部充電において、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の実施の形態に係る車両の全体構成例を概略的に示す図である。
図2】ACリッドの受電ポート部の構成例を示す図である。
図3】DCリッドの受電ポート部の構成例を示す図である。
図4】リッドロック装置、コネクタロック装置、およびコネクタロック装置を作動させるための回路の構成例を示す図である。
図5】比較例のタイミングチャートを示す図である。
図6】本実施の形態のタイミングチャートを示す図である。
図7】ドアロック指令に応じて実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0020】
<車両の構成>
図1は、本開示の実施の形態に係る車両1の全体構成例を概略的に示す図である。図1を参照して、車両1は、蓄電装置10と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)15と、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)20と、駆動装置25と、駆動輪30とを備える。車両1は、蓄電装置10に蓄えられた電力を用いて駆動装置25により駆動輪30を駆動する電気自動車である。車両1は、車両1外部の交流(AC:Alternating Current)充電設備200から供給される交流電力を用いて蓄電装置10を充電する交流(AC)充電、および、車両1外部の直流(DC:Direct Current)充電設備300から供給される直流電力を用いて蓄電装置10を充電する直流(DC)充電が可能に構成される。なお、車両1は、たとえば、エンジンをさらに搭載したプラグインハイブリッド車であってもよいし、蓄電装置10に加えて燃料電池を電源としてさらに搭載した燃料電池車等であってもよい。
【0021】
蓄電装置10は、再充電可能に構成された電力貯蔵要素である。蓄電装置10は、たとえば、リチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を含んで構成される。なお、リチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体とする二次電池であり、電解質が液体の一般的なリチウムイオン二次電池のほか、固体の電解質を用いた所謂全固体電池も含み得る。
【0022】
SMR15は、蓄電装置10と電力線L1との間に設けられ、蓄電装置10と電力線L1との電気的な接続/切離を行なうためのリレーである。
【0023】
PCU20は、蓄電装置10から電力を受けて駆動装置25を駆動するための電力変換装置を総括して示したものである。PCU20は、たとえば、駆動装置25に含まれるモータを駆動するインバータ、および、蓄電装置10から出力される電力を昇圧するコンバータ等を含む。
【0024】
駆動装置25は、駆動輪30を駆動するための装置を総括して示したものである。駆動装置25は、たとえば、駆動輪30を駆動するモータやエンジン等を含む。また、駆動装置25は、駆動輪30を駆動するモータによって車両の制動時等に発電し、発電された電力をPCU20へ出力する。
【0025】
車両1は、AC充電を実行するための構成として、受電ポート部40と、ACリッド42と、充電器50と、充電リレー55とをさらに備える。受電ポート部40は、従来の給油口と同様に、車両外面に凹部を形成して構成されている。受電ポート部40には、AC充電設備200に接続されている充電ケーブル210のコネクタ220を装着可能なACインレット41(図2)が設けられている。ACリッド42は、受電ポート部40の蓋であり、ヒンジ等の継ぎ手によって受電ポート部40に開閉可能に設けられる。
【0026】
受電ポート部40からは、ACインレット41と充電ケーブル210のコネクタ220との接続状態を示すコネクタ接続信号P1が充電ECU(Electronic Control Unit)60(後述)へ出力されている。コネクタ接続信号P1は、たとえば、ACインレット41にコネクタ220が接続されているときに活性化される。
【0027】
受電ポート部40には、ACリッド42の開閉状態を検出するリッドスイッチ81が設けられている。リッドスイッチ81は、ACリッド42の開閉状態を示すリッド信号K1を充電ECU60へ出力する。リッド信号K1は、たとえば、ACリッド42が閉じられているときに活性化される。
【0028】
また、受電ポート部40には、リッドロック装置82と、コネクタロック装置83とがさらに設けられている。リッドロック装置82は、閉じたACリッド42をロック状態とアンロック状態とに切り替えるように構成される。コネクタロック装置83は、充電ケーブル210のコネクタ220とACインレット41との接続をロック状態とアンロック状態とに切り替えるように構成される。受電ポート部40、リッドロック装置82、およびコネクタロック装置83の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0029】
充電器50は、AC充電設備200のコネクタ220が受電ポート部40のACインレット41に接続された状態において、AC充電設備200から供給される交流電力を蓄電装置10の電圧レベルに変換して出力する。充電器50は、たとえば、PFC(Power Factor Correction)回路、インバータ、絶縁トランス、整流回路等を含んで構成される。充電リレー55は、充電器50と、電力線L1に接続される電力線L2との電気的な接続/切離を行なうためのリレーである。
【0030】
車両1は、DC充電を実行するための構成として、受電ポート部45と、DCリッド47と、充電リレー57とをさらに備える。受電ポート部45は、従来の給油口と同様に、車両外面に凹部を形成して構成されている。受電ポート部45は、CHAdeMO(登録商標)またはGB/Tの充電規格に準拠した構成を有する。受電ポート部45には、DC充電設備300に接続されている充電ケーブル310のコネクタ320を装着可能なDCインレット46(図3)が設けられている。DCリッド47は、受電ポート部45の蓋であり、ヒンジ等の継ぎ手によって受電ポート部45に開閉可能に設けられる。
【0031】
受電ポート部45からは、DCインレット46と充電ケーブル310のコネクタ320との接続状態を示すコネクタ接続信号P2が充電ECU60(後述)へ出力されている。コネクタ接続信号P2は、たとえば、DCインレット46にコネクタ220が接続されているときに活性化される。
【0032】
受電ポート部45には、DCリッド47の開閉状態を検出するリッドスイッチ86が設けられている。リッドスイッチ86は、DCリッド47の開閉状態を示すリッド信号K2を充電ECU60へ出力する。リッド信号K2は、たとえば、DCリッド42が閉じられているときに活性化される。
【0033】
また、受電ポート部45には、リッドロック装置87がさらに設けられている。リッドロック装置87は、閉じたDCリッド47をロック状態とアンロック状態とに切り替えるように構成される。受電ポート部45、およびリッドロック装置87の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0034】
本実施の形態に係るDC充電設備300は、CHAdeMOまたはGB/Tの充電規格に準拠している。そのため、コネクタ320とDCインレット46との接続をロック状態とアンロック状態とに切り替えるコネクタロック装置は、DC充電設備300に設けられている。そのため、本実施の形態に係る受電ポート部45は、コネクタロック装置を備えていない。
【0035】
車両1は、充電ECU60と、ボディECU65と、照合ECU70と、ドアロック装置80と、ロックリレー100,101と、アンロックリレー102,103とをさらに備える。ロックリレー100とアンロックリレー102とは、たとえば、リレーボックス150に収容されている。ロックリレー101とアンロックリレー103とは、たとえば、リレーボックス160に収容されている。
【0036】
充電ECU60、ボディECU65、および照合ECU70の各々は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリ(RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory))と、各種信号を入出力するためのI/F装置とを含んで構成される(いずれも図示せず)。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、CPUによって実行される処理が記載されている。充電ECU60、ボディECU65、および照合ECU70は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを通じて接続されており、相互に情報をやり取りすることができる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、制御ユニットが充電ECU60とボディECU65と照合ECU70とに分かれて構成される例について説明するが、充電ECU60、ボディECU65、および照合ECU70のいずれか2つまたは全てを1つのECUで構成してもよい。
【0038】
充電ECU60は、AC充電設備200のコネクタ220とACインレット41との接続状態を示すコネクタ接続信号P1を受電ポート部40から受信する。また、充電ECU60は、ACリッド42の開閉状態を示すリッド信号K1をリッドスイッチ81から受信する。また、充電ECU60は、DC充電設備300のコネクタ320とDCインレット46との接続状態を示すコネクタ接続信号P2を受電ポート部45から受信する。また、充電ECU60は、DCリッド47の開閉状態を示すリッド信号K2をリッドスイッチ86から受信する。
【0039】
さらに、充電ECU60は、AC充電設備200のコネクタ220がACインレット41に接続され、AC充電を実行するための所定の準備処理が完了すると、充電リレー55をONにする。そして、充電ECU60は、各種センサからの信号およびメモリに記憶された情報に基づいて所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいて充電器50を制御することによりAC充電を実行する。また、充電ECU60は、DC充電設備300のコネクタ320がDCインレット46に接続され、DC充電を実行するための所定の準備処理が完了すると、充電リレー57をONにする。これにより、DC充電が実行される。
【0040】
照合ECU70は、ユーザが所持する携帯機90と無線通信を行なうことにより、ドアロック装置80による乗降用ドア(図示せず)のロック(施錠)およびアンロック(開錠)を許可するための制御を実行する。具体的には、照合ECU70は、車両1の停車中にユーザによるドアロック操作を検知すると、携帯機90のID照合を行なう。なお、ドアロック操作は、たとえば、携帯機90に設けられたドアロックスイッチをユーザが操作したり、ドアハンドルに設けられたドアロックセンサにユーザが触れたりする行為である。
【0041】
そして、携帯機90のID照合が成立すると、照合ECU70は、ドアロック指令をボディECU65へ出力する。また、照合ECU70は、ユーザによるドアアンロック操作を検知したときにも携帯機90のID照合を行ない、ID照合が成立するとドアアンロック指令をボディECU65へ出力する。
【0042】
ボディECU65は、照合ECU70から受けるドアロック指令またはドアアンロック指令に基づいてドアロック装置80を制御する。ドアロック装置80は、閉状態の乗降用ドアをロック状態とアンロック状態とに切り替えるように構成される。ドアロック装置80には、ロックリレー100およびアンロックリレー102が設けられている。ロックリレー100は、乗降用ドアをロック状態にするようにドアロック装置80を作動させるための作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーである。アンロックリレー102は、乗降用ドアをアンロック状態にするようにドアロック装置80を作動させるための作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーである。
【0043】
そして、ボディECU65は、照合ECU70からドアロック指令を受けると、ロックリレー100をONにする。これにより、ドアロック装置80が作動し、乗降用ドアがロック状態となる。また、ボディECU65は、照合ECU70からドアアンロック指令を受けると、アンロックリレー102をONにする。これにより、ドアロック装置80が作動し、乗降用ドアがアンロック状態となる。
【0044】
後ほど詳しく説明するが、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87には、共通のロックリレー101およびアンロックリレー103が設けられている。すなわち、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87は、連動して作動するように構成されている。
【0045】
ロックリレー101は、ACリッド42をロック状態にするようにリッドロック装置82を作動させるための作動電力、ACインレット41とコネクタ220との接続をロック状態にするようにコネクタロック装置83を作動させるための作動電力、およびDCリッド47をロック状態にするようにリッドロック装置87を作動させるための作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーである。アンロックリレー103は、ACリッド42をアンロック状態にするようにリッドロック装置82を作動させるための作動電力、ACインレット41とコネクタ220との接続をアンロック状態にするようにコネクタロック装置83を作動させるための作動電力、およびリッド47をアンロック状態にするようにリッドロック装置87を作動させるための作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーである。
【0046】
図2は、図1に示した受電ポート部40の構成例を示す図である。図2を参照して、受電ポート部40には、ACインレット41と、リッドスイッチ81と、リッドロック装置82と、コネクタロック装置83とが設けられている。
【0047】
ACインレット41は、充電ケーブル210のコネクタ220を接続可能に構成されている。ACインレット41にコネクタ220が接続されると、充電ECU60へ出力されるコネクタ接続信号P1が活性化される。
【0048】
リッドスイッチ81は、ACリッド42の開閉を検知可能に構成される。ACリッド42が閉じることによりリッドスイッチ81が押下されると、充電ECU60へ出力されるリッド信号K1が活性化される。
【0049】
リッドロック装置82は、たとえば、進退可能なロックピン82aと、ロックピン82aを駆動する駆動装置82bとを含んで構成される。リッドロック装置82は、ロックピン82aをアンロック状態の位置から前進させることによって、ACリッド42を開不可とするロック状態となる。リッドロック装置82は、ロックピン82aをロック状態の位置から後退させることによって、ACリッド42を開可能とするアンロック状態となる。リッドロック装置82は、ACリッド42の開閉状態に拘わらず作動可能であり、ACリッド42が開いている場合にも作動することができる。
【0050】
コネクタロック装置83は、ACインレット41の外周近傍に設けられ、たとえば、進退可能なロックピン83aと、ロックピン83aを駆動する駆動装置83bとを含んで構成される。コネクタロック装置83は、ロックピン83aをアンロック状態の位置から前進させることによって、ACインレット41に接続された充電ケーブル210のコネクタ220をACインレット41から取り外し不可とするロック状態となる。コネクタロック装置83は、ロックピン83aをロック状態の位置から後退させることによって、コネクタ220をACインレット41から取り外し可能とするアンロック状態となる。コネクタロック装置83は、ACインレット41にコネクタ220が接続されているか否かに拘わらず作動可能であり、ACインレット41にコネクタ220が接続されていない場合にも作動することができる。
【0051】
図3は、図1に示した受電ポート部45の構成例を示す図である。図3を参照して、受電ポート部45には、DCインレット46と、リッドスイッチ86と、リッドロック装置87とが設けられている。
【0052】
DCインレット46は、充電ケーブル310のコネクタ320を接続可能に構成されている。DCインレット46にコネクタ320が接続されると、充電ECU60へ出力されるコネクタ接続信号P2が活性化される。
【0053】
リッドスイッチ86は、DCリッド47の開閉を検知可能に構成される。DCリッド47が閉じることによりリッドスイッチ86が押下されると、充電ECU60へ出力されるリッド信号K2が活性化される。
【0054】
リッドロック装置87は、たとえば、進退可能なロックピン87aと、ロックピン87aを駆動する駆動装置87bとを含んで構成される。リッドロック装置87は、ロックピン87aをアンロック状態の位置から前進させることによって、DCリッド47を開不可とするロック状態となる。リッドロック装置87は、ロックピン87aをロック状態の位置から後退させることによって、DCリッド47を開可能とするアンロック状態となる。リッドロック装置87は、DCリッド47の開閉状態に拘わらず作動可能であり、DCリッド47が開いている場合にも作動することができる。
【0055】
図4は、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87を作動させるための回路の構成例を示す図である。本実施の形態に係る車両1では、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87は、共通のリレーボックス160に接続されており、リレーボックス160を通じて作動電力を受ける。
【0056】
図4を参照して、ロックリレー101は、接点101aと、コイル101bとを含む。接点101aは、コイル101bが励磁されると電線L4を電源ノード510に接続するように作動する。接点101aは、コイル101bが非励磁になると電線L4をボディアース520に接続するように作動する。コイル101bは、信号線S1を通じてボディECU65に接続され、ボディECU65によって励磁/非励磁が切り替えられる。なお、以下では、電線L4が電源ノード510に接続されている状態を、ロックリレー101がONしていると称し、電線L4がボディアース520に接続されている状態を、ロックリレー101がOFFしていると称することとする。
【0057】
アンロックリレー103は、接点103aと、コイル103bとを含む。接点103aは、コイル103bが励磁されると電線L5を電源ノード510に接続するように作動する。接点103aは、コイル103bが非励磁になると電線L5をボディアース520に接続するように作動する。コイル103bは、信号線S2を通じてボディECU65に接続され、ボディECU65によって励磁/非励磁が切り替えられる。なお、以下では、電線L5が電源ノード510に接続されている状態を、アンロックリレー103がONしていると称し、電線L5がボディアース520に接続されている状態を、アンロックリレー103がOFFしていると称することとする。
【0058】
リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87の各々は、電線L4と電線L5との間に互いに並列に接続される。
【0059】
リッドロック装置82は、上述のとおり、ロックピン82aと、駆動装置82bとを含む。駆動装置82bは、たとえばモータを含み、電線L4と電線L5との間に接続される。駆動装置82bに含まれるモータは、電線L4からモータを通じて電線L5へ電流(ロック電流)が流れるときは正回転し、電線L5からモータを通じて電線L4へ電流(アンロック電流)が流れるときは逆回転する。駆動装置82bは、モータが正回転すると、ロックピン82aを前進させて、リッドロック装置82をアンロック状態からロック状態に移行させる。駆動装置82bは、モータが逆回転すると、ロックピン82aを後退させて、リッドロック装置82をロック状態からアンロック状態に移行させる。
【0060】
コネクタロック装置83は、上述のとおり、ロックピン83aと、駆動装置83bとを含む。駆動装置83bは、たとえばモータを含み、電線L4と電線L5との間に接続される。駆動装置83bに含まれるモータは、電線L4からモータを通じて電線L5へ電流(ロック電流)が流れるときは正回転し、電線L5からモータを通じて電線L4へ電流(アンロック電流)が流れるときは逆回転する。駆動装置83bは、モータが正回転すると、ロックピン83aを前進させて、コネクタロック装置83をアンロック状態からロック状態に移行させる。駆動装置83bは、モータが逆回転すると、ロックピン83aを後退させて、コネクタロック装置83をロック状態からアンロック状態に移行させる。
【0061】
コネクタロック装置83は、さらに、コネクタロック装置83のロック状態への移行を検出するロック検出スイッチ83cを含んでもよい。ロック検出スイッチ83cは、信号線S3を通じてボディECU65に接続されている。ロック検出スイッチ83cは、たとえば、ロック状態の位置に移行したロックピン83aにより押圧されてONとなる。ロック検出スイッチ83cは、たとえば、ロックピン83aがロック状態の位置からアンロック状態の位置に移行すると、ロックピン83aにより押圧されなくなりOFFとなる。ボディECU65は、たとえば、信号線S3の電圧レベルに基づいて、コネクタロック装置83の状態を検知する。
【0062】
リッドロック装置87は、上述のとおり、ロックピン87aと、駆動装置87bとを含む。駆動装置87bは、たとえばモータを含み、電線L4と電線L5との間に接続される。駆動装置87bに含まれるモータは、電線L4からモータを通じて電線L5へ電流(ロック電流)が流れるときは正回転し、電線L5からモータを通じて電線L4へ電流(アンロック電流)が流れるときは逆回転する。駆動装置87bは、モータが正回転すると、ロックピン87aを前進させて、リッドロック装置87をアンロック状態からロック状態に移行させる。駆動装置87bは、モータが逆回転すると、ロックピン87aを後退させて、リッドロック装置87をロック状態からアンロック状態に移行させる。
【0063】
本実施の形態に係る車両1では、ロック動作について、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87は、作動電力を共通のロックリレー101を通じて受ける。また、アンロック動作について、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87は、作動電力を共通のアンロックリレー103を通じて受ける。
【0064】
<ドアロック指令/ドアアンロック指令との連動/非連動>
本実施の形態に係る車両1では、ボディECU65は、DCリッド47の開閉状態に基づいて、ドアロック指令およびドアアンロック指令と、リレーボックス160との制御を連動させるか否かを決定する。ボディECU65は、充電ECU60を介して受けるリッド信号K2に基づいてDCリッド47の開閉状態を検知する。
【0065】
ボディECU65は、DCリッド47が閉状態である場合には、ドアロック指令またはドアアンロック指令に連動させて、リレーボックス160(ロックリレー101およびアンロックリレー103)を制御する。ボディECU65は、DCリッド47が閉じている状態(閉状態)でドアロック指令を受けると、ロックリレー100に加えてロックリレー101をONにする。具体的には、ボディECU65は、ドアロック指令に応じて「ロックリレー100をONかつアンロックリレー102をOFF」にするとともに、「ロックリレー101をONかつアンロックリレー102をOFF」にする。これにより、ドアロック装置80がロック状態になるとともに、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87もロック状態となる。
【0066】
ボディECU65は、DCリッド47が閉じている状態(閉状態)でドアアンロック指令を受けると、アンロックリレー102に加えてアンロックリレー103をONにする。具体的には、ボディECU65は、ドアアンロック指令に応じて「ロックリレー100をOFFかつアンロックリレー102をON」にするとともに、「ロックリレー101をOFFかつアンロックリレー102をON」にする。これにより、ドアロック装置80がアンロック状態になるとともに、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87もアンロック状態となる。
【0067】
ボディECU65は、DCリッド47が開状態である場合には、ドアロック指令にリレーボックス160の制御を連動させない。ボディECU65は、DCリッド47が開いている状態(開状態)でドアロック指令を受けると、ドアロック指令に応じて「ロックリレー100をONかつアンロックリレー102をOFF」にする一方で、DC充電開始までは「ロックリレー101をOFFかつアンロックリレー103をOFF」に維持する。そして、DC充電が開始されるとDC充電が完了するまでの間(すなわちDC充電の実行中)、ボディECU65は、「ロックリレー101をONかつアンロックリレー103をOFF」にする。そして、ボディECU65は、DC充電が完了すると、「ロックリレー101をOFFかつアンロックリレー103をON」にする。これにより、ドアロック装置80は、ドアロック指令に応じてロック状態にされるとともに、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87は、DC充電の実行中のみロック状態にされる。DC充電の実行中にリッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をロック状態にすることで、DC充電の実行中におけるACリッド42および受電ポート部40への悪戯を抑制することができる。
【0068】
なお、ボディECU65は、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87のロック状態またはアンロック状態への移行が完了すると、「ロックリレー101をOFFかつアンロックリレー103をOFF」にして、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87のそれぞれのロックピン82a、83a、87aのロック状態の位置またはアンロック状態の位置を維持する。
【0069】
<タイミングチャート>
図5は、比較例のタイミングチャートを示す図である。上記の構成により、以下に説明する比較例のような状況を回避することができる。比較例に係る車両は、ドアロック装置80、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87のロックリレーおよびアンロックリレーが共通化されているものとする。そして、比較例に係る車両は、ドアロック指令およびドアアンロック指令に応じて、ロックリレーおよびアンロックリレーが制御される。すなわち、比較例に係る車両は、ドアロック装置80と、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87とが常時連動するように制御される。
【0070】
図5を参照して、図5には、ユーザのDC充電に関する操作(充電操作)、リッドロック装置87の状態、DCリッド47の開閉状態、およびDCリッド47のロックイメージが記載されている。
【0071】
まず、DCリッド47が閉じられた状態で車両が停車していることを想定する。時刻t1において、ユーザによりDCリッド47が開かれる。そして、ユーザは、DCインレット46にDC充電設備300のコネクタ320を接続し、時刻t2において乗降用ドアをロックするためのドアロック操作を行なう。このドアロック操作に伴なって、照合ECU70からボディECU65にドアロック指令が送られる。ボディECU65は、ドアロック指令に応じて、ドアロック装置80に加えて、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87もロック状態に移行させる。したがって、リッドロック装置87のロックピン87aが前進し、前進したロックピン87aによりDCリッド47を閉めることができなくなる。
【0072】
時刻t3において、ユーザによりDC充電を開始するための開始操作がなされる。これにより、DC充電設備300のコネクタロック装置が作動し、DCインレット46とコネクタ320との接続がロック状態になる。
【0073】
時刻t4において、DC充電が完了するとDCインレット46とコネクタ320との接続がアンロック状態となり、コネクタ320がDCインレット46から取り外される。
【0074】
時刻t5において、ユーザがDCリッド47を閉めようとする。しかしながら、リッドロック装置87がロック状態であるため、DCリッド47の閉操作がロックピン87aにより妨げられ、ユーザはDCリッド47を閉めることができない。リッドロック装置87をアンロック状態にするためには、乗降用ドアをアンロックするための操作を要する。DCリッド47を閉めるために別途の操作を要することは、ユーザの利便性を損ねてしまう。
【0075】
図6は、本実施の形態のタイミングチャートを示す図である。図6には、図5と同様、ユーザのDC充電に関する操作(充電操作)、リッドロック装置87の状態、DCリッド47の開閉状態、およびDCリッド47のロックイメージが記載されている。
【0076】
まず、DCリッド47が閉じられた状態で車両1が停車していることを想定する。時刻t10において、ユーザによりDCリッド47が開かれる。そして、ユーザは、DCインレット46にDC充電設備300のコネクタ320を接続し、時刻t11において乗降用ドアをロックするためのドアロック操作を行なう。このドアロック操作に伴なって、照合ECU70からボディECU65にドアロック指令が送られる。ボディECU65は、ドアロック指令に応じて、ドアロック装置80をロック状態に移行させる。しなしながら、ボディECU65は、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87はアンロック状態のままにする。すなわち、ドアロック操作によってリッドロック装置87がロック状態に移行しない。したがって、この段階においては、ユーザは、DCリッド47を閉めることができる。
【0077】
時刻t12において、ユーザによりDC充電を開始するための開始操作がなされる。これにより、ボディECU65は、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をロック状態に移行させる。また、DC充電設備300の不図示のコネクタロック装置が作動し、DCインレット46とコネクタ320との接続がロック状態になる。DC充電の実行中には、リッドロック装置82もロック状態になる。これにより、DC充電の実行中にACリッド42を開けることができなくなるので、DC充電の実行中におけるACリッド42および受電ポート部40に対する悪戯を抑制することができる。
【0078】
時刻t13において、DC充電が完了する。DC充電の完了により、DC充電設備300の不図示のコネクタロック装置が作動し、DCインレット46とコネクタ320との接続がアンロック状態になる。そして、ユーザにより、DCインレット46からコネクタ320が抜き取られる。
【0079】
また、DC充電の完了により、ボディECU65は、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をアンロック状態に移行させる。これにより、DCインレット46からコネクタ320を抜き取ったユーザは、時刻t14において、DCリッド47を閉めることができる。
【0080】
<フローチャート>
図7は、ドアロック指令に応じて実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、照合ECU70からドアロック指令を受信した際に、ボディECU65により開始される。なお、図7に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、ボディECU65によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部が、ボディECU65内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0081】
S1において、ボディECU65は、リッドスイッチ86の検出結果に基づいて、DCリッド47が開かれているか否かを判断する。なお、ボディECU65は、充電ECU60を介してリッド信号K2を受け、リッド信号K2に基づいてDCリッド47が開かれているか否かを判断してもよいし、リッドスイッチ86からリッド信号K2を受けた充電ECU60によって判断されたDCリッド47の開閉状態に基づいて、DCリッド47が開かれているか否かを判断してもよい。ボディECU65は、DCリッド47が開かれていると判断した場合(S1においてYES)、処理をS3に進める。ボディECU65は、DCリッド47が開かれていないと判断した場合(S1においてNO)、処理をS13に進める。
【0082】
S3において、ボディECU65は、ロックリレー101およびアンロックリレー103をOFFに維持する。すなわち、ボディECU65は、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をアンロック状態に維持する。なお、ボディECU65は、ドアロック指令に応答して、「ロックリレー100をON、かつ、アンロックリレー102をOFF」にして、ドアロック装置80をロック状態にし、乗降用ドアをロックする。
【0083】
S5において、ボディECU65は、DC充電が開始されたか否かを判断する。DC充電が開始されたか否かは、充電ECU60からボディECU65に伝えられる。たとえば、DC充電設備300に設けられた充電開始ボタンがユーザによって押されると、DC充電設備300と充電ECU60との間で通信が確立される。この通信の確立が充電ECU60からボディECU65に伝えられることにより、ボディECU65は、DC充電の開始を検知してもよい。ボディECU65は、DC充電が開始されていないと判断すると(S5においてNO)、DC充電が開始されるのを待つ。DC充電が開始されるまでは、ユーザは、DCリッド47を閉めることも可能である。ボディECU65は、DC充電が開始されたと判断すると(S5においてYES)、処理をS7に進める。
【0084】
S7において、ボディECU65は、「ロックリレー101をON、かつ、アンロックリレー103をOFF」にして、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をロック状態にする。これにより、DC充電の実行中には、ACリッド42のリッドロック装置82もロック状態になるので、ACリッド42を開けることができなくなる。よって、DC充電の実行中におけるACリッド42および受電ポート部40に対する悪戯を抑制することができる。
【0085】
S9において、ボディECU65は、DC充電が完了したか否かを判断する。DC充電は、条件が成立した場合に終了される。条件としては、たとえば、蓄電装置10が満充電になったこと、蓄電装置10のSOC(State Of Charge)が設定されたSOCに到達したこと、設定された充電時間が経過したこと、および、DC充電設備300に設けられた充電終了ボタンが押されたことのうちの少なくともいずれか1つを採用してもよい。ボディECU65は、DC充電が完了するのを待つ(S9においてNO)。ボディECU65は、DC充電が完了すると(S9においてYES)、処理をS11に進める。
【0086】
S11において、ボディECU65は、「ロックリレー101をOFF、かつ、アンロックリレー103をON」にして、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をアンロック状態にする。これにより、ユーザは、DCインレット46からコネクタ320を抜き取り、DCリッド47を閉めることができる。
【0087】
S13において、ボディECU65は、「ロックリレー101をON、かつ、アンロックリレー103をOFF」にして、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をロック状態にする。DCリッド47が開いていない場合には、DC充電は実行されないことが想定される。そのため、ボディECU65は、ドアロック指令に連動させて、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をロック状態にする。なお、ボディECU65は、ドアロック指令に応答して、「ロックリレー100をON、かつ、アンロックリレー102をOFF」にして、ドアロック装置80もロック状態にする。
【0088】
S15において、ボディECU65は、ドアアンロック指令を照合ECU70から受けたか否かを判断する。ボディECU65は、ドアアンロック指令を受けていないと判断した場合(S15においてNO)、ドアアンロック指令を受けるのを待つ。ボディECU65は、ドアアンロック指令を受けたと判断した場合(S15においてYES)、処理をS17に進める。
【0089】
S17において、ボディECU65は、「ロックリレー101をOFF、かつ、アンロックリレー103をON」にして、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87をアンロック状態にする。なお、ボディECU65は、ドアアンロック指令に応答して、「ロックリレー100をOFF、かつ、アンロックリレー102をON」にして、ドアロック装置80もアンロック状態にする。
【0090】
以上のように、本実施の形態に係る車両1においては、DCリッド47が閉状態である場合には、ドアロック指令にリレーボックス160(ロックリレー101およびアンロックリレー103)の制御を連動させる一方で、DCリッド47が開状態である場合には、ドアロック指令にリレーボックス160(ロックリレー101およびアンロックリレー103)の制御を連動させない。DCリッド47が閉状態である場合には、DC充電は実行されないことが想定される。この場合には、ドアロック操作に応じて、ドアロック装置80、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87を一括してロック状態に移行させることで、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0091】
一方、DCリッド47が開状態である場合には、DC充電が実行されることが想定される。この場合には、ドアロック指令にリレーボックス160の制御を連動させると、DC充電の完了後に、DCリッド47を閉めるために別途の操作(乗降用ドアをアンロックするための操作)を要することになり、ユーザの利便性を低下させてしまう。そこで、ドアロック指令にリレーボックス160の制御を連動させないことで、ユーザの利便性が低下することを抑制することができる。
【0092】
本実施の形態に係る車両1においては、DCリッド47が開状態である場合には、DC充電が開始されるまではリッドロック装置87をアンロック状態にし、DC充電の実行中にはリッドロック装置87をロック状態にし、DC充電が完了するとリッドロック装置87をアンロック状態にする。DC充電が完了するとリッドロック装置87がアンロック状態となるので、ユーザは別途の操作を要することなくDCリッド47を閉めることができる。
【0093】
また、DC充電の実行中には、リッドロック装置82もロック状態になる。すなわち、DC充電の実行中には、ACリッド42を開くことができなくなるので、DC充電の実行中におけるACリッド42および受電ポート部40に対する悪戯を抑制することができる。
【0094】
また、本実施の形態に係る車両1においては、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87の各々への作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーが共通化される。したがって、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87の各々に対して作動電力の供給および遮断を切り替えるリレーを個別に設ける必要がないので、回路を安価に構成することができる。
【0095】
[変形例]
実施の形態においては、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87の各々は、その機構としてロックピンと駆動装置とを備える例について説明した。しかしながら、リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87の各々の機構は、上記に限られるものではない。リッドロック装置82、コネクタロック装置83、およびリッドロック装置87の各々には、公知の種々の機構を採用することができる。
【0096】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
1 車両、10 蓄電装置、15 SMR、20 PCU、25 駆動装置、30 駆動輪、40 受電ポート部、41 ACインレット、42 ACリッド、45 受電ポート部、46 DCインレット、47 DCリッド、50 充電器、55,57 充電リレー、60 充電ECU、65 ボディECU、70 照合ECU、80 ドアロック装置、81 リッドスイッチ、82 リッドロック装置、82a ロックピン、82b 駆動装置、83 コネクタロック装置、83a ロックピン、83b 駆動装置、83c ロック検出スイッチ、86 リッドスイッチ、87 リッドロック装置、87a ロックピン、87b 駆動装置、90 携帯機、100,101 ロックリレー、101a 接点、101b コイル、102,103 アンロックリレー、103a 接点、103b コイル、150,160 リレーボックス、200 AC充電設備、210 充電ケーブル、220 コネクタ、300 DC充電設備、310 充電ケーブル、320 コネクタ、510 電源ノード、520 ボディアース、L1,L2 電力線、L4,L5 電線、S1,S2,S3 信号線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7