(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240806BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240806BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240806BHJP
G07C 5/08 20060101ALI20240806BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240806BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240806BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B60W40/02
G05B23/02 R
G05B23/02 302N
G07C5/08
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y40/20
(21)【出願番号】P 2021165727
(22)【出願日】2021-10-07
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/213024(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/071993(WO,A1)
【文献】特開2020-086611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 40/02
G07C 5/08
G05B 23/02
G16Y 10/40
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
車両に設けられた作動部が作動した際の前記作動部の作動回数又は作動時間を取得し、
前記作動部が作動した際の前記車両の周辺の環境情報を取得し、
取得された前記環境情報が示す環境に対応する消耗係数を、取得された前記作動回数又は前記作動時間に掛けることによって、前記作動部の消耗度合いを算出
し、
ここで、前記作動部はハイブリッド制御用ECUであり、
前記環境情報は勾配情報である、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記消耗度合いと所定閾値との比較に基づいて、前記作動部を交換又はメンテナンスするか否かを判断する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記
制御部は、前記車両の位置情報
を取得し、
取得された前記位置情報が示す位置における前記環境情報を取得する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項
1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記勾配情報に基づいて、取得された前記作動回数又は前記作動時間の中から、勾配が所定値以上となる前記車両の走行経路における前記作動部の作動回数又は作動時間と、勾配が所定値未満となる前記車両の走行経路における前記作動部の作動回数又は作動時間とを特定し、
前記勾配が所定値以上となる前記走行経路における特定された前記作動回数又は前記作動時間に掛けられる消耗係数の値は、前記勾配が所定値未満となる前記走行経路における特定された前記作動回数又は前記作動時間に掛けられる消耗係数の値よりも大きい、情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記車両の種類又は運転者の運転技能若しくは運転癖に基づいて、前記消耗係数を算出する、情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置が実行する方法であって、
車両に設けられた作動部が作動した際の前記作動部の作動回数又は作動時間を取得すること、
前記作動部が作動した際の前記車両の周辺の環境情報を取得すること、及び
取得された前記環境情報が示す環境に対応する消耗係数を、取得された前記作動回数又は前記作動時間に掛けることによって、前記作動部の消耗度合いを算出すること、
を含
み、
ここで、前記作動部はハイブリッド制御用ECUであり、
前記環境情報は勾配情報である、方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の方法であって、
前記消耗度合いと所定閾値との比較に基づいて、前記作動部を交換又はメンテナンスするか否かを判断することを更に含む、方法。
【請求項8】
請求項
6又は
7に記載の方法であって、
前記車両の位置情報
を取得すること、及び
取得された前記位置情報が示す位置における前記環境情報を取得することを更に含む、方法。
【請求項9】
請求項
6乃至8の何れか一項に記載の方法であって、
前記勾配情報に基づいて、取得された前記作動回数又は前記作動時間の中から、勾配が所定値以上となる前記車両の走行経路における前記作動部の作動回数又は作動時間と、勾配が所定値未満となる前記車両の走行経路における前記作動部の作動回数又は作動時間とを特定することを更に含み、
前記勾配が所定値以上となる前記走行経路における特定された前記作動回数又は前記作動時間に掛けられる消耗係数の値は、前記勾配が所定値未満となる前記走行経路における特定された前記作動回数又は前記作動時間に掛けられる消耗係数の値よりも大きい、方法。
【請求項10】
請求項
6乃至
9の何れか一項に記載の方法であって、
前記車両の種類又は運転者の運転技能若しくは運転癖に基づいて、前記消耗係数を算出することを更に含む、方法。
【請求項11】
コンピュータに、
車両に設けられた作動部が作動した際の前記作動部の作動回数又は作動時間を取得すること、
前記作動部が作動した際の前記車両の周辺の環境情報を取得すること、及び
取得された前記環境情報が示す環境に対応する消耗係数を、取得された前記作動回数又は前記作動時間に掛けることによって、前記作動部の消耗度合いを算出すること、
を実行させる
プログラムであって、
ここで、前記作動部はハイブリッド制御用ECUであり、
前記環境情報は勾配情報である、プログラム。
【請求項12】
請求項
11に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記消耗度合いと所定閾値との比較に基づいて、前記作動部を交換又はメンテナンスするか否かを判断することを更に実行させる、プログラム。
【請求項13】
請求項
11又は
12に記載のプログラムであって、
前記車両の位置情報
を取得すること、及び
取得された前記位置情報が示す位置における前記環境情報を取得することを更に含む、プログラム。
【請求項14】
請求項
11乃至13の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記勾配情報に基づいて、取得された前記作動回数又は前記作動時間の中から、勾配が所定値以上となる前記車両の走行経路における前記作動部の作動回数又は作動時間と、勾配が所定値未満となる前記車両の走行経路における前記作動部の作動回数又は作動時間とを特定することを更に実行させ、
前記勾配が所定値以上となる前記走行経路における特定された前記作動回数又は前記作動時間に掛けられる消耗係数の値は、前記勾配が所定値未満となる前記走行経路における特定された前記作動回数又は前記作動時間に掛けられる消耗係数の値よりも大きい、プログラム。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記車両の種類又は運転者の運転技能若しくは運転癖に基づいて、前記消耗係数を算出することを更に含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、年月経過後の車両の状態を把握する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、車両部品の消耗度合いを適切に把握する点で改善の余地がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、車両部品の消耗度合いを適切に把握する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
車両に設けられた作動部が作動した際の前記作動部の作動回数又は作動時間を取得し、
前記作動部が作動した際の前記車両の周辺の環境情報を取得し、
取得された前記環境情報が示す環境に対応する消耗係数を、取得された前記作動回数又は前記作動時間に掛けることによって、前記作動部の消耗度合いを算出する、
情報処理装置。
【0007】
本開示の一実施形態に係る方法は、
情報処理装置が実行する方法であって、
車両に設けられた作動部が作動した際の前記作動部の作動回数又は作動時間を取得すること、
前記作動部が作動した際の前記車両の周辺の環境情報を取得すること、及び
取得された前記環境情報が示す環境に対応する消耗係数を、取得された前記作動回数又は前記作動時間に掛けることによって、前記作動部の消耗度合いを算出すること、
を含む、方法。
【0008】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、
コンピュータに、
車両に設けられた作動部が作動した際の前記作動部の作動回数又は作動時間を取得すること、
前記作動部が作動した際の前記車両の周辺の環境情報を取得すること、及び
取得された前記環境情報が示す環境に対応する消耗係数を、取得された前記作動回数又は前記作動時間に掛けることによって、前記作動部の消耗度合いを算出すること、
を実行させる、プログラム。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、車両部品の消耗度合いを適切に把握する技術を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の第1の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の第2の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0012】
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。
【0013】
システム1は、車両10と、情報処理装置20と、を備える。車両10及び情報処理装置20は、ネットワーク30と通信可能に接続される。
【0014】
車両10は、例えば自動車であるが、これに限られず任意の車両であってもよい。自動車は、例えば、ガソリン自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、又は燃料電池自動車等であるが、これらに限られない。車両10は、運転手によって運転されてもよく、或いは任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。自動化のレベルは、例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)のレベル分けにおけるレベル1からレベル5の何れかである。車両10は、MaaS(Mobility as a Service)専用車両でもよい。
【0015】
情報処理装置20は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバ等のコンピュータである。
【0016】
ネットワーク30は、インターネット、少なくとも1つのWAN(wide area network)、少なくとも1つのMAN(metropolitan area network)、又はこれらの任意の組合せを含む。ネットワーク30は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN(local area network)、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。
【0017】
【0018】
情報処理装置20の制御部21は、車両10に設けられた作動部14が作動した際の作動部14の作動回数又は作動時間を取得する。また、情報処理装置20の制御部21は、作動部14が作動した際の車両10の周辺の環境情報を取得する。また、情報処理装置20の制御部21は、取得された環境情報が示す環境に対応する消耗係数を、取得された作動回数又は作動時間に掛けることによって、作動部14の消耗度合いを算出する。
【0019】
このように、本実施形態によれば、車両10に設けられた作動部14の消耗度合いを算出するにあたって、作動部14の作動回数又は作動時間に加えて、車両10の周辺の環境に応じた消耗係数が考慮される。したがって、車両部品の消耗度合いを適切に把握する技術を改善することができる。これにより、車両部品の交換又はメンテナンスが適切なタイミングで推奨され得る。
【0020】
図2を参照して、本実施形態に係る車両10の構成を説明する。
【0021】
車両10は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、作動部14と、検出部15と、を備える。
【0022】
制御部11は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるが、これに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるが、これに限られない。制御部11は、車両10の各部を制御しながら、車両10の動作に関わる処理を実行する。また、制御部11は、作動部14の作動回数又は作動時間を計測する。
【0023】
通信部12は、少なくとも1つの通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応したインタフェースであってもよい。例えば、DCM(Data Communication Module)等の車載通信機が、通信部12として機能してもよい。通信部12は、車両10の動作に用いられるデータを受信し、また車両10の動作によって得られるデータを送信する。
【0024】
記憶部13は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(random access memory)又はROM(read only memory)である。RAMは、例えば、SRAM(static random access memory)又はDRAM(dynamic random access memory)である。ROMは、例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)である。記憶部13は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部13には、車両10の動作に用いられるデータと、車両10の動作によって得られたデータとが記憶される。車両10の動作に用いられるデータは、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及びデータベース等を含む。
【0025】
作動部14は、車両10に設けられた車両部品を含む。車両部品は、ECU(Electric Control Unit)を有する主要部品であってもよく、或いはECUを有しない構成部品であってもよい。作動部14は、例えば、ワイパー、車載カメラ、タイヤ、ハイブリッド制御用ECU、又はブレーキ等である。
【0026】
検出部15は、少なくとも1つのGNSS(global navigation satellite system)受信機を含む。GNSSは、例えば、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)、BDS(BeiDou Navigation Satellite System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、又はGalileoである。検出部15は、車両10の位置を検出する。
【0027】
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の構成を説明する。
【0028】
情報処理装置20は、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、を備える。
【0029】
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU若しくはGPU等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGAであるが、これに限られない。専用回路は、例えばASICであるが、これに限られない。制御部21は、情報処理装置20の各部を制御しながら、情報処理装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0030】
通信部22は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、移動体通信規格、有線LAN規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。通信部22は、情報処理装置20の動作に用いられるデータを受信し、また情報処理装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0031】
記憶部23は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えばSRAM又はDRAMである。ROMは、例えばEEPROMである。記憶部23は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部23には、情報処理装置20の動作に用いられるデータと、情報処理装置20の動作によって得られたデータとが記憶される。本実施形態では、情報処理装置20の動作に用いられるデータは、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及びデータベース等を含む。
【0032】
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の第1の動作例について説明する。
【0033】
本例では、車両10の1トリップ中に、車両10の周辺の気象が晴れから雨又は雪に変化し、作動部14に相当するワイパーが作動したものとして説明する。ただし、本開示は、これに限られない。例えば、作動部14は、車載カメラ又はタイヤ等であってもよい。なお、車両10の1トリップは、車両10のイグニションスイッチ又はパワースイッチがオンにされてからオフにされるまでの間の車両10の走行移動を意味する。
【0034】
ステップS10:情報処理装置20の制御部21は、車両10に設けられた作動部14が作動した際の車両10の位置情報を取得する。
【0035】
具体的には、車両10の制御部11は、車両10に設けられた作動部14の作動を検知すると、検出部15を介して車両10の位置情報を取得する。次に、車両10の制御部11は、通信部12を介して、取得された車両10の位置情報を情報処理装置20に送信する。次に、情報処理装置20の制御部21は、通信部22を介して、車両10の位置情報を車両10から取得する。次に、情報処理装置20の制御部21は、取得された車両10の位置情報を記憶部23に格納する。
【0036】
ステップS11:情報処理装置20の制御部21は、車両10に設けられた作動部14が作動した際の車両10の周辺の環境情報に相当する、ステップS10で取得された車両10の位置情報が示す位置における気象情報を取得する。
【0037】
具体的には、情報処理装置20の制御部21は、通信部22を介して、気象情報を提供する事業者のサーバ等から、ステップS10で取得された車両10の位置情報が示す位置における気象情報を取得する。例えば、情報処理装置20の制御部21は、車両10の1トリップの走行経路上に所定間隔で設けられた複数の地点における気象情報を取得することによって、車両10の位置情報と気象情報とを紐付ける。次に、情報処理装置20の制御部21は、取得された気象情報を記憶部23に格納する。
【0038】
ステップS12:情報処理装置20の制御部21は、車両10に設けられた作動部14が作動した際の作動部14の作動回数を取得する。なお、作動回数に代えて作動時間が取得されてもよい。
【0039】
具体的には、車両10の制御部11は、車両10に設けられた作動部14の作動を検知すると、作動部14の作動回数を計測する。次に、車両10の制御部11は、通信部12を介して、ステップS10で取得された車両10の位置情報と計測された作動部14の作動回数とを紐付けて、情報処理装置20に送信する。次に、情報処理装置20の制御部21は、通信部22を介して、ステップS10で取得された車両10の位置情報と、これに紐付けられた作動部14の作動回数とを車両10から取得する。ここで、情報処理装置20の制御部21は、上記方法により取得された作動部14の作動回数の中から、ステップS11で取得された環境情報に相当する気象情報に基づいて、雨天時又は降雪時における作動部14の作動回数(以下、「雨天時又は降雪時における作動回数」と称する)と、晴天時における作動部14の作動回数(以下、「晴天時における作動回数」と称する)と、を特定してもよい。
【0040】
なお、情報処理装置20の制御部21は、上述したステップS10乃至S12の処理を所定のタイミングで実行する。所定のタイミングは、車両10の1トリップ終了時であってもよく、或いは1日に1回等であってもよいが、これらに限られない。
【0041】
ステップS13:情報処理装置20の制御部21は、ステップS11で取得された環境情報に相当する気象情報が示す気象に対応する消耗係数を取得する。
【0042】
具体的には、情報処理装置20の記憶部23には、任意の気象にそれぞれ対応する消耗係数が予め格納されている。情報処理装置20の制御部21は、記憶部23に格納された任意の気象にそれぞれ対応する消耗係数の中から、ステップS11で取得された気象情報が示す気象に対応する消耗係数を取得する。例えば、情報処理装置20の記憶部23には、雨天時又は降雪時における作動回数に掛けられる消耗係数(以下、「雨天時又は降雪時における消耗係数」と称する)と、晴天時における作動回数に掛けられる消耗係数(以下、「晴天時における消耗係数」と称する)とが予め格納されている。ここで、雨天時又は降雪時における消耗係数の値は、晴天時における消耗係数の値よりも大きくてもよい。例えば、雨天時又は降雪時における消耗係数の値は「2」等である。また、例えば、晴天時における消耗係数の値は「1」等である。これは、雨又は雪が多い地域では作動部14に相当するワイパーの消耗が激しく、晴れが多い地域に比べて約半分の期間でのメンテナンスが推奨されるからである。
【0043】
ステップS14:情報処理装置20の制御部21は、ステップS13で取得された消耗係数を、ステップS12で取得された作動回数に掛けることによって、作動部14の消耗度合いを算出する。
【0044】
具体的には、情報処理装置20の制御部21は、下記(1)式により消耗度合いを算出する。なお、消耗度合いは、トリップ毎に算出された消耗度合いの累積値であってもよい。
【0045】
【0046】
ステップS15:情報処理装置20の制御部21は、ステップS14で算出された消耗度合いと所定閾値との比較に基づいて、作動部14を交換するか否かを判断する。
【0047】
具体的には、情報処理装置20の制御部21は、ステップS14で算出された消耗度合いが所定閾値を超える場合、作動部14を交換すると判断する。なお、所定閾値は、任意の方法により予め設定され、情報処理装置20の制御部21が本ステップを実行するにあたって参照可能なよう記憶部23に予め格納されてもよい。
【0048】
ステップS16:情報処理装置20の制御部21は、ステップS15の判断結果を出力する。
【0049】
具体的には、情報処理装置20の制御部21は、ステップS15で作動部14を交換すると判断した場合、通信部22を介して、その判断結果を車両10又は任意のユーザ端末に通知する。これによって、例えば雨又は雪が多い地域での作動部14に相当するワイパーの適切な交換時期をユーザに通知することができる。
【0050】
図5を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の第2の動作例について説明する。
【0051】
本例では、車両10に相当するハイブリッド車の1トリップ中に、車両10が平地及び坂道を走行するものとして説明する。また、本例では、作動部14がハイブリッド制御用ECUであるものとして説明する。ただし、本開示は、これらに限られない。例えば、車両10は、ハイブリッド車以外の車両であってもよい。また、作動部14は、ブレーキ又はタイヤ等であってもよい。なお、坂道は、例えば勾配が4度以上である上り勾配又は下り勾配となる車道として定義されてもよい。また、平地は、例えば勾配が4度未満である車道として定義されてもよい。
【0052】
ステップS20:情報処理装置20の制御部21は、車両10に設けられた作動部14が作動した際の車両10の位置情報を取得する。
【0053】
具体的には、車両10の制御部11は、車両10に設けられた作動部14の作動を検知すると、検出部15を介して車両10の位置情報を取得する。次に、車両10の制御部11は、通信部12を介して、取得された車両10の位置情報を情報処理装置20に送信する。次に、情報処理装置20の制御部21は、通信部22を介して、車両10の位置情報を車両10から取得する。次に、情報処理装置20の制御部21は、取得された車両10の位置情報を記憶部23に格納する。
【0054】
ステップS21:情報処理装置20の制御部21は、車両10に設けられた作動部14が作動した際の車両10の周辺の環境情報に相当する、ステップS20で取得された車両10の位置情報が示す位置における勾配情報を取得する。
【0055】
具体的には、情報処理装置20の制御部21は、ステップS20で取得された車両10の位置情報が示す位置の時間的な推移を解析することによって、車両10の走行経路を特定する。次に、情報処理装置20の制御部21は、通信部22を介して、3次元地図情報を提供する事業者のサーバ等から、特定された走行経路上の任意の2地点の標高を示す標高情報を取得する。次に、情報処理装置20の制御部21は、取得された標高情報から上記走行経路における任意の2地点間(例えば所定の微小区間等)の勾配を算出する。次に、情報処理装置20の制御部21は、算出された勾配が示す勾配情報を記憶部23に格納する。
【0056】
ステップS22:情報処理装置20の制御部21は、車両10に設けられた作動部14が作動した際の作動部14の作動時間を取得する。なお、作動時間に代えて作動回数が取得されてもよい。
【0057】
具体的には、車両10の制御部11は、車両10に設けられた作動部14の作動を検知すると、作動部14の作動時間を計測する。次に、車両10の制御部11は、通信部12を介して、ステップS20で取得された車両10の位置情報と計測された作動部14の作動時間とを紐付けて、情報処理装置20に送信する。次に、情報処理装置20の制御部21は、通信部22を介して、ステップS20で取得された車両10の位置情報と、これに紐付けられた作動部14の作動時間とを車両10から取得する。ここで、情報処理装置20の制御部21は、上記方法により取得された作動部14の作動時間の中から、ステップS21で取得された環境情報に相当する勾配情報に基づいて、勾配が所定値以上となる車両10の走行経路における作動部14の作動時間(以下、「坂道における作動時間」と称する)と、勾配が所定値未満となる車両10の走行経路における作動部14の作動時間(以下、「平地における作動時間」と称する)と、を特定してもよい。
【0058】
なお、情報処理装置20の制御部21は、上述したステップS20乃至S22の処理を所定のタイミングで実行する。所定のタイミングは、車両10の1トリップ終了時であってもよく、或いは1日に1回等であってもよいが、これらに限られない。
【0059】
ステップS23:情報処理装置20の制御部21は、ステップS21で取得された環境情報に相当する勾配情報が示す勾配に対応する消耗係数を取得する。
【0060】
具体的には、情報処理装置20の記憶部23には、任意の勾配にそれぞれ対応する消耗係数が予め格納されている。情報処理装置20の制御部21は、記憶部23に格納された任意の勾配にそれぞれ対応する消耗係数の中から、ステップS21で取得された勾配情報が示す勾配に対応する消耗係数を取得する。例えば、情報処理装置20の記憶部23には、勾配が所定値以上となる車両10の走行経路における作動時間に掛けられる消耗係数(以下、「坂道における消耗係数」と称する)と、勾配が所定値未満となる車両10の走行経路における作動時間に掛けられる消耗係数(以下、「平地における消耗係数」と称する)とが予め格納されている。ここで、坂道における消耗係数の値は、平地における消耗係数の値よりも大きくてもよい。例えば、坂道における消耗係数の値は「2」等である。また、例えば、平地における消耗係数の値は「1」等である。これは、例えばハイブリッド車では、平地よりも坂道のほうがハイブリッド制御用ECUの消耗が顕著になる傾向があるからである。
【0061】
ステップS24:情報処理装置20の制御部21は、ステップS23で取得された消耗係数を、ステップS22で取得された作動時間に掛けることによって、作動部14の消耗度合いを算出する。
【0062】
具体的には、情報処理装置20の制御部21は、下記(2)式により消耗度合いを算出する。なお、消耗度合いは、トリップ毎に算出された消耗度合いの累積値であってもよい。
【0063】
【0064】
ステップS25:情報処理装置20の制御部21は、ステップS24で算出された消耗度合いと所定閾値との比較に基づいて、作動部14をメンテナンスするか否かを判断する。
【0065】
具体的には、情報処理装置20の制御部21は、ステップS24で算出された消耗度合いが所定閾値を超える場合、作動部14をメンテナンスすると判断する。なお、所定閾値は、任意の方法により予め設定され、情報処理装置20の制御部21が本ステップを実行するにあたって参照可能なよう記憶部23に予め格納されてもよい。
【0066】
ステップS26:情報処理装置20の制御部21は、ステップS25の判断結果を出力する。
【0067】
具体的には、情報処理装置20の制御部21は、ステップS25で作動部14をメンテナンスすると判断した場合、通信部22を介して、その判断結果を車両10又は任意のユーザ端末に通知する。これによって、例えば坂が多い地域で使用されるハイブリッド車等の適切なメンテナンス時期をユーザに通知することができる。
【0068】
以上述べたように、本実施形態に係る情報処理装置20の制御部21は、車両10に設けられた作動部14が作動した際の作動部14の作動回数又は作動時間を取得する。また、情報処理装置20の制御部21は、作動部14が作動した際の車両10の周辺の環境情報を取得する。また、情報処理装置20の制御部21は、取得された環境情報が示す環境に対応する消耗係数を、取得された作動回数又は作動時間に掛けることによって、作動部14の消耗度合いを算出する。
【0069】
かかる構成によれば、車両10に設けられた作動部14の消耗度合いを算出するにあたって、作動部14の作動回数又は作動時間に加えて、車両10の周辺の環境に応じた消耗係数が考慮される。したがって、車両部品の消耗度合いを適切に把握する技術を改善することができる。これにより、車両部品の交換又はメンテナンスが適切なタイミングで推奨され得る。
【0070】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部、ステップ、又は動作例等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0071】
一変形例として、情報処理装置20の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。また、例えば、情報処理装置20の一部又は全部の構成要素を車両10に設けた実施形態も可能である。
【0072】
一変形例として、上述したステップS15又はS25に代えて、情報処理装置20の制御部21は、ステップS14又はS24で算出された消耗度合いの累積の仕方に基づいて、作動部14の交換時期又はメンテナンス時期を推測してもよい。例えば、情報処理装置20の制御部21は、前々回の車検から前回の車検までの間の消耗度合いの増え方と現在の消耗度合いとに基づいて、次回の車検から次々回の車検までの間に消耗度合いが所定閾値を超えると推測した場合、次回の車検において作動部14を交換又はメンテナンスすると判断してもよい。
【0073】
一変形例として、上述したステップS15及びS16に代えて、又はステップS25及びS26に代えて、情報処理装置20の制御部21は、ステップS14又はS24で算出された消耗度合いを出力してもよい。
【0074】
一変形例として、情報処理装置20の制御部21は、車両10の種類又は運転者の運転技能若しくは運転癖に基づいて、消耗係数を算出してもよい。例えば、情報処理装置20の制御部21は、任意の機械学習技術を用いて、車両10の種類又は運転者の運転技能若しくは運転癖と、作動部14の交換頻度又はメンテナンス頻度との対応付けを学習する。次に、情報処理装置20の制御部21は、この学習結果に基づいて、車両10の種類又は運転者の運転技能若しくは運転癖に応じた消耗係数を算出する。例えば、作動部14に相当するタイヤ又はブレーキについては、重量が重い車両10、運転技能が低い運転者の車両10、又は急ブレーキの頻度が多い運転者の車両10のほうが、重量が軽い車両10、運転技能が高い運転者の車両10、又は急ブレーキの頻度が少ない運転者の車両10よりも、交換頻度又はメンテナンス頻度が高くなる傾向があるので、消耗係数が大きく設定される。次に、情報処理装置20の制御部21は、算出された消耗係数を記憶部23に格納する。これにより、消耗係数が車種又は運転者の運転技能若しくは運転癖に応じてカスタマイズされる。
【0075】
一変形例として、汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る情報処理装置20として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る情報処理装置20の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本実施形態に係る発明は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 システム
10 車両
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
14 作動部
15 検出部
20 情報処理装置
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
30 ネットワーク