(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】反力付与装置
(51)【国際特許分類】
B60K 26/02 20060101AFI20240806BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20240806BHJP
G05G 1/38 20080401ALI20240806BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20240806BHJP
G05G 5/04 20060101ALI20240806BHJP
G05G 1/44 20080401ALI20240806BHJP
【FI】
B60K26/02
G05G1/30 E
G05G1/38
G05G5/03 A
G05G5/04 B
G05G1/44
(21)【出願番号】P 2021172618
(22)【出願日】2021-10-21
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 秀之
(72)【発明者】
【氏名】針生 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】岩田 里佳
(72)【発明者】
【氏名】木野内 惣一
(72)【発明者】
【氏名】北 卓人
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-111379(JP,A)
【文献】特開2015-119566(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029503(WO,A1)
【文献】特開2001-310648(JP,A)
【文献】実開昭55-068627(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/02,26/04
G05G 1/30- 1/50,5/03
B60W 50/16
F02D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者により踏込操作されるペダル(120、140)と前記ペダルを回転可能に支持するペダルハウジング(110、130)とを備えるアクセル装置(100)の前記ペダルに対し前記運転者の踏込力に対する反力を付与可能な反力付与装置であって、
アクチュエータハウジング(20)と、
前記アクチュエータハウジングに設けられたアクチュエータ(30)と、
前記アクチュエータハウジングに設けられ、前記アクチュエータからの駆動力により回転し、前記ペダルまたは前記ペダルとともに回転するアーム(50)に当接し、前記運転者の踏込力に対する反力を前記ペダルに対し付与可能なレバー(40)と、
前記ペダルハウジングと前記アクチュエータハウジングとを離間して固定可能に形成され
、車両に取り付け可能な固定部材(60)と、
前記ペダルの回転軸(Ax1)と前記レバーの回転軸(Ax3)との間における、前記ペダルまたは前記アームと前記レバーとの当接位置(Pt1)を定める位置決め部(700)と、
を備える反力付与装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか一方に設けられたボス部(81)と前記ボス部を挿入可能なよう前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか他方に設けられた孔部(91)とからなる1つの位置規制部(710)、および、前記アクチュエータハウジングと前記固定部材とを締結する少なくとも1つの締結部(720)を有し、
前記位置規制部は、前記孔部に対する前記ボス部の相対回転、および、前記ボス部の軸に垂直な方向への前記孔部に対する前記ボス部の相対移動を規制し、前記固定部材に対する前記アクチュエータハウジングの相対位置を任意の位置に規制可能である請求項1に記載の反力付与装置。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか一方に設けられたボス部(81、82)と前記ボス部を挿入可能なよう前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか他方に設けられた孔部(91、92)とからなる複数の位置規制部(710)、および、前記アクチュエータハウジングと前記固定部材とを締結する少なくとも1つの締結部(720)を有し、
前記位置規制部は、前記孔部に対する前記ボス部の相対回転、または、前記ボス部の軸に垂直な方向への前記孔部に対する前記ボス部の相対移動を規制し、前記固定部材に対する前記アクチュエータハウジングの相対位置を任意の位置に規制可能である請求項1に記載の反力付与装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか一方に設けられたボス部(81、82)と前記ボス部を挿入可能なよう前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか他方に設けられた孔部(91、92)とからなる少なくとも1つの位置調整部(730)、および、前記アクチュエータハウジングと前記固定部材とを締結する少なくとも1つの締結部(720)を有し、
前記位置調整部は、前記孔部に対する前記ボス部の相対回転位置、または、前記ボス部の軸に垂直な方向における前記孔部に対する前記ボス部の相対位置を調整し、前記固定部材に対する前記アクチュエータハウジングの相対位置を任意の位置に調整可能である請求項1に記載の反力付与装置。
【請求項5】
前記位置決め部は、前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか一方に設けられたボス部(81)と前記ボス部を挿入可能なよう前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか他方に設けられた孔部(91)とからなる1つの位置調整部(730)、および、前記アクチュエータハウジングと前記固定部材とを締結する少なくとも1つの締結部(720)を有し、
前記位置調整部は、前記孔部に対する前記ボス部の相対回転を規制するとともに、前記ボス部の軸に垂直な方向における前記孔部に対する前記ボス部の相対位置を調整し、前記固定部材に対する前記アクチュエータハウジングの相対位置を任意の位置に調整可能である請求項1に記載の反力付与装置。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか一方に設けられたボス部(81、82)と前記ボス部を挿入可能なよう前記アクチュエータハウジングまたは前記固定部材のいずれか他方に設けられた孔部(91、92)とからなる複数の位置調整部(730)、および、前記アクチュエータハウジングと前記固定部材とを締結する少なくとも1つの締結部(720)を有し、
前記位置調整部は、前記ボス部の軸に垂直な方向における前記孔部に対する前記ボス部の相対位置を調整し、前記固定部材に対する前記アクチュエータハウジングの相対位置を任意の位置に調整可能である請求項1に記載の反力付与装置。
【請求項7】
前記レバーの回転を規制することで前記ペダルの回転を規制可能なロック部(41)をさらに備える請求項1~6のいずれか一項に記載の反力付与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反力付与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者により踏込操作されるペダルを備えるアクセル装置のペダルに対し、運転者の踏込力に対する反力を付与可能な反力付与装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1の反力付与装置は、アクセル装置のペダルとともに回転するアームに当接し、運転者の踏込力に対する反力をペダルに対し付与可能なレバーを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された反力付与装置において、アームとレバーとの当接点とアームの回転軸との距離をL1、アームとレバーとの当接点とレバーの回転軸との距離をL2とすると、反力付与装置が発生する反力すなわちトルクは、レバー比であるL1/L2倍でペダルに伝達される。そのため、アームとレバーとの当接点の位置が変化すると、レバー比が変化し、ペダルに付与する反力に影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
ところで、特許文献1に開示された反力付与装置は、アクセル装置から所定距離離れた位置において車両に取り付けられる。つまり、反力付与装置とアクセル装置とは、それぞれ車両のフロアの別の位置に取り付けられる。そのため、両者の取り付け位置精度が低い場合、アームとレバーとの当接位置である当接点が大きくずれてレバー比が変化し、反力付与装置から発生する反力が狙いの値から大きくずれるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、アクセル装置のペダルに付与する反力の精度を向上可能な反力付与装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、運転者により踏込操作されるペダル(120、140)と、ペダルを回転可能に支持するペダルハウジング(110、130)と、を備えるアクセル装置(100)のペダルに対し運転者の踏込力に対する反力を付与可能な反力付与装置であって、アクチュエータハウジング(20)と、アクチュエータ(30)と、レバー(40)と、固定部材(60)と、位置決め部(700)と、を備える。
【0009】
アクチュエータは、アクチュエータハウジングに設けられている。レバーは、アクチュエータハウジングに設けられ、アクチュエータからの駆動力により回転し、ペダルまたはペダルとともに回転するアーム(50)に当接し、運転者の踏込力に対する反力をペダルに対し付与可能である。
【0010】
固定部材は、ペダルハウジングとアクチュエータハウジングとを離間して固定可能に形成され、車両に取り付け可能である。位置決め部は、ペダルの回転軸(Ax1)とレバーの回転軸(Ax3)との間における、ペダルまたはアームとレバーとの当接位置(Pt1)を定める。
【0011】
そのため、ペダルハウジングおよびアクチュエータハウジングの車両への取り付け位置精度を向上でき、ペダルまたはアームとレバーとの当接位置である当接点のズレを抑制できる。これにより、レバー比の変化を抑制し、反力付与装置から発生する反力を狙いの値に近付けることができる。したがって、アクセル装置のペダルに付与する反力の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の反力付与装置、および、それを適用したアクセル装置を示す図。
【
図3】第1実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図4】第2実施形態の反力付与装置、および、それを適用したアクセル装置を示す図。
【
図6】第3実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図7】第4実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図8】第5実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図9】第5実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図10】第6実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図11】第6実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図12】第7実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図13】第8実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【
図14】第9実施形態の反力付与装置の一部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、複数の実施形態による反力付与装置、および、それを適用したアクセル装置を図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態による反力付与装置、および、それを適用したアクセル装置を
図1、2に示す。
【0015】
アクセル装置100は、車両1に搭載され、運転者により踏込操作されるペダル120の回転角に対応するアクセル開度を検出し、車両1の走行状態を制御するのに用いられる。アクセル装置100は、アクセルバイワイヤ方式を採用し、車両1のスロットル装置に機械的には連結されない。アクセル装置100は、ペダル120の回転角に対応するアクセル開度に関する情報を、図示しない電子制御ユニット(以下、「ECU」という)に伝達する。ECUは、アクセル装置100から伝達されたアクセル開度に基づき、スロットル装置を制御する。これにより、車両1の走行状態が制御される。
【0016】
反力付与装置10は、アクセル装置100とともに車両1に搭載され、アクセル装置100のペダル120に対し、運転者の踏込力F1に対する反力F2を付与可能である。反力付与装置10は、アクセル装置100のペダル120に対し反力を付与することにより、運転者に対する危険通知や燃費改善通知等のドライバ通知を行うことが可能である。また、反力付与装置10は、ペダル120の回転を規制することで、ペダル120をフットレスト化することが可能である。
【0017】
アクセル装置100は、ペダルハウジング110、ペダル120等を備える。ペダルハウジング110は、ハウジング本体111、ハウジング取付部112を有している。ハウジング本体111は、部品を収容可能な空間を内側に形成している。ハウジング取付部112は、ハウジング本体111から突出するよう、ハウジング本体111と一体に形成されている。本実施形態では、ハウジング取付部112は、例えば3つ形成されている(
図2参照)。ペダルハウジング110は、例えば取付ボルト3により、ハウジング取付部112が固定部材60(後述する)に固定され、固定部材60が車両1のフロアパネル2に固定されることにより、フロアパネル2に取り付けられる。
【0018】
図1において、x軸は車両1の進行方向を示し、y軸は車幅方向を示し、z軸は鉛直上方向を示す。以下、特に断らない限り、車両1への取り付け状態におけるアクセル装置100および反力付与装置10の形状または構成について説明する。例えば、「上方」または「上側」は、アクセル装置100または反力付与装置10が車両1に取り付けられた状態における上方または上側を意味する。また、本実施形態では、フロアパネル2は、yz平面に平行な壁面7を有する。ここで、「車両に取り付けられた状態」とは、車両に直接取り付けられた状態のみならず、他の部材を介して間接的に車両に取り付けられた状態も含む意味である(以下、同じ)。
【0019】
ペダル120は、回転軸Ax1周りに回転するよう、一端がペダルハウジング110のハウジング本体111に回転可能に支持されている。ペダル120の他端には、運転者により踏み込まれるパッド121が設けられている。ハウジング本体111内には、回転軸Ax1上に、図示しないアクセル開度センサが設けられている。アクセル開度センサは、運転者の踏込操作により回転するペダル120の回転角に対応するアクセル開度を検出し、ECUに伝達する。なお、回転軸Ax1は、z軸およびx軸に対し直交し、y軸に対し平行になるよう設定されている。
【0020】
ペダルハウジング110のハウジング本体111内には、図示しないペダル付勢部材が設けられている。ペダル120は、ペダル付勢部材により、アクセル閉方向に付勢されている。ペダルハウジング110は、ペダル120のアクセル閉方向の回転を規制するストッパ、および、アクセル開方向の回転を規制するストッパを有している。ペダル120は、両ストッパに当接する範囲で回転可能である。
図1は、ペダル120がアクセル閉方向のストッパに当接している状態、すなわち、アクセル全閉の状態を示している。
【0021】
<1>
図1、2に示すように、反力付与装置10は、アクチュエータハウジング20と、アクチュエータ30と、レバー40と、固定部材60と、位置決め部700と、を備える。
【0022】
アクチュエータ30は、アクチュエータハウジング20に設けられている。レバー40は、アクチュエータハウジング20に設けられ、アクチュエータ30からの駆動力により回転し、ペダル120とともに回転するアーム50に当接し、運転者の踏込力に対する反力をペダル120に対し付与可能である。
【0023】
より詳細には、
図3に示すように、アクチュエータハウジング20は、ハウジング本体201、ハウジング延伸部211、ハウジング延伸部212、ハウジング締結部221、ハウジング締結部222、ハウジング締結部223等を有している。ハウジング本体201は、アクチュエータ30等を収容する空間を内側に形成している。
【0024】
ハウジング延伸部211、ハウジング延伸部212、ハウジング締結部221、ハウジング締結部222、ハウジング締結部223は、ハウジング本体201の外縁部から突出するよう形成されている。ハウジング締結部221、ハウジング締結部222、ハウジング締結部223には、締結穴部220が形成されている。
【0025】
アクチュエータハウジング20は、固定部材60(後述する)に固定され、固定部材60が車両1のフロアパネル2の壁面7に固定されることにより、フロアパネル2に取り付けられる。
【0026】
アクチュエータ30は、例えば電動モータであり、アクチュエータハウジング20のハウジング本体201内に収容されている。アクチュエータ30は、通電により駆動力としてのトルクを出力可能である。ECUは、アクチュエータ30への通電を制御し、アクチュエータ30の作動を制御可能である。ハウジング本体201内には、図示しない複数のギヤからなる減速機が設けられている。当該減速機は、アクチュエータ30のトルクを減速して出力可能である。
【0027】
レバー40は、回転軸Ax3周りに回転するよう、一端がアクチュエータハウジング20に回転可能に支持されている。レバー40の一端は、ハウジング本体201内の減速機に接続している。レバー40は、減速機から出力されるアクチュエータ30からの駆動力により、回転軸Ax3周りに回転する。
【0028】
本実施形態では、アクセル装置100にアーム50が設けられている。アーム50は、屈曲する棒状に形成され、一端がペダル120に固定されるようにしてペダル120に取り付けられている。これにより、アーム50は、ペダル120とともに回転可能である。そのため、アーム50の回転軸Ax2は、ペダル120の回転軸Ax1と一致する。
【0029】
レバー40の他端、すなわち、回転軸Ax3とは反対側の端部は、アーム50の他端、すなわち、ペダル120とは反対側の端部に当接可能である。レバー40は、アクチュエータ30からの駆動力により回転し、ペダル120とともに回転するアーム50の他端に当接し、運転者の踏込力F1に対する反力F2をアーム50に対し付与することにより、アーム50を経由して反力F2をペダル120に対し付与可能である。
【0030】
固定部材60は、ペダルハウジング110とアクチュエータハウジング20とを離間して固定可能に形成され、車両1に取り付け可能である。位置決め部700は、ペダル120の回転軸Ax1とレバー40の回転軸Ax3との間における、アーム50とレバー40との当接位置Pt1を定める。
【0031】
より詳細には、固定部材60は、固定部材本体61、固定部材壁部62を有している。固定部材本体61は、長尺の板状に形成されている。固定部材壁部62は、固定部材本体61の外縁部から垂直に板状に延びるよう形成されている。固定部材壁部62には、ハウジング対応穴部620が形成されている。ハウジング対応穴部620は、アクチュエータハウジング20のハウジング本体201の形状に対応する形状、かつ、ハウジング本体201を挿入したとき、ハウジング本体201との間に所定の隙間が形成される程度の大きさに形成されている。
【0032】
ペダルハウジング110は、例えば取付ボルト3により、ハウジング取付部112が固定部材60の固定部材本体61に固定される。また、アクチュエータハウジング20は、ハウジング本体201がハウジング対応穴部620に挿入された状態で固定部材60の固定部材壁部62に固定される。固定部材60は、例えば取付ボルト3により、固定部材本体61が車両1のフロアパネル2に固定されることにより、フロアパネル2に取り付けられる(
図1、2参照)。このように、固定部材60は、ペダルハウジング110とアクチュエータハウジング20とを離間して固定可能に形成され、車両1に取り付け可能である。
【0033】
<3>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる複数の位置規制部710、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0034】
位置規制部710は、孔部に対するボス部の相対回転、または、ボス部の軸に垂直な方向への孔部に対するボス部の相対移動を規制し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に規制可能である。
【0035】
より詳細には、位置決め部700は、2つの位置規制部710、および、3つの締結部720を有している。2つの位置規制部710のうち一方は、ボス部81と孔部91とからなる。ボス部81は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部211から円柱状に突出するよう形成されている(
図3参照)。孔部91は、固定部材60の固定部材壁部62を円形に貫くよう、ハウジング対応穴部620から所定距離離れた位置に形成されている(
図1参照)。孔部91の内径は、ボス部81の外径より僅かに大きい。孔部91は、ボス部81を挿入可能に形成されている。
【0036】
2つの位置規制部710のうち他方は、ボス部82と孔部92とからなる。ボス部82は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部212から円柱状に突出するよう形成されている(
図3参照)。孔部92は、固定部材60の固定部材壁部62を角丸長方形状に貫くよう、ハウジング対応穴部620から所定距離離れた位置に形成されている(
図1参照)。ここで、「角丸長方形」とは、2つの等しい長さの平行線と2つの半円形からなる図形を意味する(以下、同じ)。孔部92は、長手方向に沿う線がyz平面に対し傾斜するよう形成されている。孔部92の短手方向の内径は、ボス部82の外径より僅かに大きい。孔部92は、ボス部82を挿入可能に形成されている。
【0037】
締結部720は、例えばボルトである。固定部材壁部62には、ハウジング本体201をハウジング対応穴部620に挿入した状態のアクチュエータハウジング20の締結穴部220に対応する位置にボルト穴が形成されている。締結部720は、当該ボルト穴を通り、アクチュエータハウジング20の締結穴部220に螺合することにより、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結可能である。
【0038】
図3は、孔部91にボス部81を挿入し、孔部92にボス部82を挿入したときの固定部材壁部62およびアクチュエータハウジング20の状態を示している。孔部91は、孔部91に対するボス部81の相対回転は許容するものの、孔部91に対するボス部81の径方向の相対移動は規制する。一方、孔部92は、孔部92に対するボス部82の相対回転、および、孔部92の長手方向における孔部92に対するボス部82の相対移動は許容するものの、孔部92の短手方向における孔部92に対するボス部82の相対移動は規制する。すなわち、位置規制部710は、ボス部81、82の軸に垂直な方向への孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動を規制する。
【0039】
図3において、破線の矢印は、位置規制部710によって許容される、孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動または相対回転の方向を示す。一点鎖線の矢印は、位置規制部710によって規制される、孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動または相対回転の方向を示す。
【0040】
図3に示すように、孔部91、92は、ボス部81、82のxz平面の面方向への移動、すなわち、並進を規制する。また、位置規制部710による規制方向は、少なくとも異なる方向をもち、同一の回転可能中心をもたない。
【0041】
本実施形態の反力付与装置10において、アーム50とレバー40との当接点すなわち当接位置Pt1とアーム50の回転軸Ax2との距離をL1、アーム50とレバー40との当接点とレバー40の回転軸Ax3との距離をL2とすると、反力付与装置10が発生する反力F2すなわちトルクは、レバー比であるL1/L2倍でペダル120に伝達される。
【0042】
<7>本実施形態は、レバー40の回転を規制することで、ペダル120の回転を規制可能なロック部41をさらに備える。
【0043】
より詳細には、ロック部41は、アクチュエータハウジング20のハウジング本体201内に設けられている。ロック部41は、ECUにより作動が制御され、レバー40の回転を規制可能である。これにより、例えばペダル120がアクセル全閉位置にあるとき、レバー40がアーム50に当接した状態でロック部41によりレバー40の回転を規制することで、ペダル120を確実にフットレスト化することができる。
【0044】
以上説明したように、<1>本実施形態では、位置決め部700は、ペダル120の回転軸Ax1とレバー40の回転軸Ax3との間における、アーム50とレバー40との当接位置Pt1を定める。
【0045】
そのため、ペダルハウジング110およびアクチュエータハウジング20の車両1への取り付け位置精度を向上でき、アーム50とレバー40との当接位置Pt1である当接点のズレを抑制できる。これにより、レバー比の変化を抑制し、反力付与装置10から発生する反力F2を狙いの値に近付けることができる。したがって、アクセル装置100のペダル120に付与する反力の精度を向上できる。
【0046】
また、<3>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる複数の位置規制部710、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部を有している。
【0047】
位置規制部710は、孔部に対するボス部の相対回転、または、ボス部の軸に垂直な方向への孔部に対するボス部の相対移動を規制し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に規制可能である。
【0048】
本実施形態では、位置決め部700が所定距離離れた複数の位置規制部710を有することにより、アーム50とレバー40との当接位置Pt1をより精度よく定めることができる。したがって、アクセル装置100のペダル120に付与する反力の精度をより向上できる。
【0049】
また、<7>本実施形態は、レバー40の回転を規制することで、ペダル120の回転を規制可能なロック部41をさらに備える。レバー40がアーム50に当接した状態でロック部41によりレバー40の回転を規制することで、ペダル120を確実にフットレスト化することができる。これにより、反力付与装置10に、ペダル120に対し反力を付与する機能に加え、ペダル120を確実にフットレスト化する機能をもたせることができ、反力付与装置10のバリエーション要求に適切に対応することができる。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態による反力付与装置およびアクセル装置を
図4、5に示す。第2実施形態は、アクセル装置100および固定部材60の構成等が第1実施形態と異なる。
【0051】
本実施形態では、アクセル装置100は、ペダルハウジング130、ペダル140等を備える。ペダルハウジング130は、ハウジング本体131、ハウジング取付部132を有している。ハウジング本体131は、部品を収容または設置可能に形成されている。ハウジング取付部132は、ハウジング本体131から突出するよう、ハウジング本体131と一体に形成されている。ペダルハウジング130は、ハウジング取付部132が固定部材60に固定され、固定部材60が車両1のフロアパネル2に固定されることにより、フロアパネル2に取り付けられる。
【0052】
本実施形態では、フロアパネル2は、yz平面に平行な壁面7と、壁面7に対し傾斜する壁面8とを有する。
【0053】
ペダル140は、回転軸Ax1周りに回転するよう、ペダルハウジング130のハウジング本体131に回転可能に支持されている。ペダル140には、運転者により踏み込まれる略矩形板状のパッド部141が設けられている。ハウジング本体131には、図示しないアクセル開度センサが設けられている。アクセル開度センサは、運転者の踏込操作により回転するペダル140の回転角に対応するアクセル開度を検出し、ECUに伝達する。なお、回転軸Ax1は、z軸およびx軸に対し直交し、y軸に対し平行になるよう設定されている。
【0054】
ペダルハウジング130のハウジング本体131には、図示しないペダル付勢部材が設けられている。ペダル140は、ペダル付勢部材により、アクセル閉方向に付勢されている。ペダルハウジング130は、ペダル140のアクセル閉方向の回転を規制するストッパ、および、アクセル開方向の回転を規制するストッパを有している。ペダル140は、両ストッパに当接する範囲で回転可能である。
図4は、ペダル140がアクセル閉方向のストッパに当接している状態、すなわち、アクセル全閉の状態を示している。
【0055】
本実施形態では、固定部材60の固定部材本体61は、フロアパネル2の壁面7、壁面8の形状に対応するよう、屈曲する板状に形成されている。固定部材壁部62の構成、および、位置決め部700の構成は、第1実施形態と同様である。
【0056】
ペダルハウジング130は、ハウジング取付部132が固定部材60の固定部材本体61の下部に固定される。また、アクチュエータハウジング20は、第1実施形態と同様、ハウジング本体201がハウジング対応穴部620に挿入された状態で固定部材60の固定部材壁部62に固定される。固定部材60は、例えば取付ボルト3により、固定部材本体61が車両1のフロアパネル2の壁面7、壁面8に固定されることにより、フロアパネル2に取り付けられる(
図4、5参照)。このように、固定部材60は、ペダルハウジング130とアクチュエータハウジング20とを離間して固定可能に形成され、車両1に取り付け可能である。
【0057】
本実施形態では、アクセル装置100には、アーム50は設けられていない。レバー40の回転軸Ax3とは反対側の端部は、ペダル140のパッド部141の回転軸Ax1とは反対側の端部に当接可能である。レバー40は、アクチュエータ30からの駆動力により回転し、ペダル140のパッド部141に当接し、運転者の踏込力F1に対する反力F2をペダル140に対し付与可能である。
【0058】
本実施形態では、位置決め部700は、ペダル140の回転軸Ax1とレバー40の回転軸Ax3との間における、ペダル140とレバー40との当接位置Pt1を定める。
【0059】
以上説明したように、本実施形態は、第1実施形態と同様の位置決め部700を備えている。そのため、ペダルハウジング130およびアクチュエータハウジング20の車両1への取り付け位置精度を向上でき、ペダル140とレバー40との当接位置Pt1である当接点のズレを抑制できる。したがって、第1実施形態と同様、アクセル装置100のペダル140に付与する反力の精度を向上できる。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態による反力付与装置の一部を
図6に示す。第3実施形態は、位置規制部710の構成が第1実施形態と異なる。
【0061】
本実施形態では、ボス部82は、ボス部82の軸に垂直な面による断面形状が角丸長方形状となるよう形成されている。ボス部82は、ボス部82の断面における長手方向に沿う線がyz平面に対し傾斜するよう形成されている。孔部92の長手方向に沿う線は、ボス部82の断面における長手方向に沿う線と略一致する。孔部92の短手方向の内径は、ボス部82の断面における短手方向の外径より僅かに大きい。孔部92の長手方向の内径は、ボス部82の断面における長手方向の外径より大きい。孔部92は、ボス部82を挿入可能に形成されている。
【0062】
図6は、孔部91にボス部81を挿入し、孔部92にボス部82を挿入したときの固定部材壁部62およびアクチュエータハウジング20の状態を示している。孔部91は、孔部91に対するボス部81の相対回転は許容するものの、孔部91に対するボス部81の径方向の相対移動は規制する。一方、孔部92は、孔部92に対するボス部82の孔部92の長手方向の相対移動は許容するものの、孔部92に対するボス部82の孔部92の短手方向の相対移動、および、孔部92に対するボス部82の相対回転は規制する。すなわち、位置規制部710は、ボス部81、82の軸に垂直な方向への孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動を規制し、孔部92に対するボス部82の相対回転を規制する。
【0063】
図6において、破線の矢印は、位置規制部710によって許容される、孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動または相対回転の方向を示す。一点鎖線の矢印は、位置規制部710によって規制される、孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動または相対回転の方向を示す。
【0064】
図6に示すように、孔部91、92は、ボス部81、82のxz平面の面方向への移動、すなわち、並進を規制する。また、孔部92は、ボス部82の回転位置を規制する。また、位置規制部710による規制方向は、少なくとも異なる方向をもち、同一の回転可能中心をもたない。
【0065】
(第4実施形態)
第4実施形態による反力付与装置の一部を
図7に示す。第4実施形態は、位置規制部710の構成が第3実施形態と異なる。
【0066】
本実施形態では、孔部91は、固定部材60の固定部材壁部62を角丸長方形状に貫くよう形成されている。孔部91は、長手方向に沿う線がx軸に対し平行となるよう形成されている。ボス部81は、ボス部81の軸に垂直な面による断面形状が角丸長方形状となるよう形成されている。ボス部81は、ボス部81の断面における長手方向に沿う線がx軸に対し平行となるよう形成されている。孔部91の長手方向に沿う線は、ボス部81の断面における長手方向に沿う線と略一致する。孔部91の短手方向の内径は、ボス部81の断面における短手方向の外径より僅かに大きい。孔部91の長手方向の内径は、ボス部81の断面における長手方向の外径より大きい。孔部91は、ボス部81を挿入可能に形成されている。
【0067】
孔部92は、長手方向に沿う線がz軸に対し平行となるよう形成されている。ボス部82は、ボス部82の断面における長手方向に沿う線がz軸に対し平行となるよう形成されている。
【0068】
図7は、孔部91にボス部81を挿入し、孔部92にボス部82を挿入したときの固定部材壁部62およびアクチュエータハウジング20の状態を示している。孔部91は、孔部91の長手方向における孔部91に対するボス部81の相対移動は許容するものの、孔部91の短手方向における孔部91に対するボス部81の相対移動、および、孔部91に対するボス部81の相対回転は規制する。一方、孔部92は、孔部92の長手方向における孔部92に対するボス部82の相対移動は許容するものの、孔部92の短手方向における孔部92に対するボス部82の相対移動、および、孔部92に対するボス部82の相対回転は規制する。すなわち、位置規制部710は、ボス部81、82の軸に垂直な方向への孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動を規制し、孔部91、92に対するボス部81、82の相対回転を規制する。
【0069】
図7において、破線の矢印は、位置規制部710によって許容される、孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動または相対回転の方向を示す。一点鎖線の矢印は、位置規制部710によって規制される、孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動または相対回転の方向を示す。
【0070】
図7に示すように、孔部91、92は、ボス部81、82のxz平面の面方向への移動、すなわち、並進を規制する。また、孔部91、92は、ボス部81、82の回転位置を規制する。また、位置規制部710による規制方向は、少なくとも異なる方向をもち、同一の回転可能中心をもたない。
【0071】
(第5実施形態)
第5実施形態による反力付与装置の一部を
図8、9に示す。第5実施形態は、位置決め部700の構成が第4実施形態と異なる。
【0072】
<2>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる1つの位置規制部710、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0073】
位置規制部710は、孔部に対するボス部の相対回転、および、ボス部の軸に垂直な方向への孔部に対するボス部の相対移動を規制し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に規制可能である。
【0074】
より詳細には、位置決め部700は、1つの位置規制部710、および、3つの締結部720を有している。位置規制部710は、ボス部81と孔部91とからなる。ボス部81は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部211から突出するよう形成されている。
【0075】
本実施形態では、孔部91は、固定部材60の固定部材壁部62を角丸長方形状に貫くよう形成されている。孔部91は、長手方向に沿う線がx軸に対し平行となるよう形成されている。ボス部81は、ボス部81の軸に垂直な面による断面形状が角丸長方形状となるよう形成されている。ボス部81は、ボス部81の断面における長手方向に沿う線がx軸に対し平行となるよう形成されている。孔部91の長手方向に沿う線は、ボス部81の断面における長手方向に沿う線と略一致する。孔部91の短手方向の内径は、ボス部81の断面における短手方向の外径より僅かに大きい。孔部91の長手方向の内径は、ボス部81の断面における長手方向の外径より僅かに大きい。孔部91は、ボス部81を挿入可能に形成されている。
【0076】
本実施形態では、アクチュエータハウジング20は、ハウジング延伸部212を有していない。
【0077】
図9は、孔部91にボス部81を挿入したときの固定部材壁部62およびアクチュエータハウジング20の状態を示している。孔部91は、孔部91に対するボス部81の孔部91の長手方向の相対移動、孔部91に対するボス部81の孔部91の短手方向の相対移動、および、孔部91に対するボス部81の相対回転を規制する。すなわち、位置規制部710は、ボス部81の軸に垂直な方向への孔部91に対するボス部81の相対移動を規制し、孔部91に対するボス部81の相対回転を規制する。
【0078】
図9において、一点鎖線の矢印は、位置規制部710によって規制される、孔部91に対するボス部81の相対移動または相対回転の方向を示す。
【0079】
以上説明したように、<2>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる1つの位置規制部710、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0080】
位置規制部710は、孔部に対するボス部の相対回転、および、ボス部の軸に垂直な方向への孔部に対するボス部の相対移動を規制し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に規制可能である。
【0081】
本実施形態では、比較的簡単な構成で、反力付与装置10の固定部材60上の位置を決めることができ、アーム50とレバー40との当接位置Pt1を精度よく定めることができる。
【0082】
(第6実施形態)
第6実施形態による反力付与装置の一部を
図10、11に示す。第6実施形態は、位置決め部700の構成が第1実施形態と異なる。
【0083】
<4>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる少なくとも1つの位置調整部730、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0084】
位置調整部730は、孔部に対するボス部の相対回転位置、または、ボス部の軸に垂直な方向における孔部に対するボス部の相対位置を調整し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0085】
より詳細には、位置決め部700は、2つの位置調整部730、および、3つの締結部720を有している。2つの位置調整部730のうち一方は、ボス部81と孔部91とからなる。ボス部81は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部211から円柱状に突出するよう形成されている(
図11参照)。孔部91は、固定部材60の固定部材壁部62を円形に貫くよう、ハウジング対応穴部620から所定距離離れた位置に形成されている(
図10参照)。孔部91の内径は、ボス部81の外径より僅かに大きい。孔部91は、ボス部81を挿入可能に形成されている。
【0086】
2つの位置調整部730のうち他方は、ボス部82と孔部92とからなる。ボス部82は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部212から円柱状に突出するよう形成されている(
図11参照)。孔部92は、固定部材60の固定部材壁部62を円弧状に貫くよう、ハウジング対応穴部620から所定距離離れた位置に形成されている(
図10参照)。孔部92は、孔部92に沿う円弧の中心がボス部81の中心に一致するよう形成されている。孔部92の円弧の径方向における大きさは、ボス部82の外径より僅かに大きい。孔部92は、ボス部82を挿入可能に形成されている。
【0087】
図11は、孔部91にボス部81を挿入し、孔部92にボス部82を挿入したときの固定部材壁部62およびアクチュエータハウジング20の状態を示している。孔部91は、孔部91に対するボス部81の相対回転は許容するものの、孔部91に対するボス部81の径方向の相対移動は規制する。一方、孔部92は、ボス部81の中心を回転中心とする孔部92に対するボス部82の相対移動(回転)は許容するものの、孔部92の円弧の径方向における孔部92に対するボス部82の相対移動は規制する。すなわち、位置調整部730は、孔部91、92に対するボス部81、82の相対回転位置を調整可能に構成されている。本実施形態では、ボス部81の中心を回転中心とし、固定部材壁部62に対しアクチュエータハウジング20を相対回転させることにより、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0088】
図11において、破線の矢印は、位置調整部730によって許容される、孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動または相対回転の方向を示す。一点鎖線の矢印は、位置調整部730によって規制される、孔部91、92に対するボス部81、82の相対移動または相対回転の方向を示す。
【0089】
以上説明したように、<4>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる少なくとも1つの位置調整部730、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0090】
位置調整部730は、孔部に対するボス部の相対回転位置、または、ボス部の軸に垂直な方向における孔部に対するボス部の相対位置を調整し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0091】
本実施形態では、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対回転位置を調整しながら、アクチュエータハウジング20を固定部材60に固定できる。そのため、アーム50とレバー40との当接位置Pt1をより精度よく定めることができる。したがって、アクセル装置100のペダル120に付与する反力の精度をより向上できる。
【0092】
(第7実施形態)
第7実施形態による反力付与装置の一部を
図12に示す。第7実施形態は、位置決め部700の構成が第6実施形態と異なる。
【0093】
<4>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる1つの位置調整部730、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0094】
位置調整部730は、孔部に対するボス部の相対回転位置、または、ボス部の軸に垂直な方向における孔部に対するボス部の相対位置を調整し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0095】
より詳細には、位置決め部700は、1つの位置調整部730、および、3つの締結部720を有している。位置調整部730は、ボス部82と孔部92とからなる。ボス部82は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部212から突出するよう形成されている。
【0096】
本実施形態では、孔部92は、固定部材60の固定部材壁部62を円弧状に貫くよう形成されている。孔部92は、孔部92に沿う円弧の中心がレバー40の回転軸Ax3に一致するよう形成されている。ボス部82は、ボス部82の軸に垂直な面による断面形状が円弧状となるよう形成されている。孔部92の円弧の径方向における大きさは、ボス部82の円弧の径方向における大きさより僅かに大きい。孔部92の円弧の周方向における大きさは、ボス部82の円弧の周方向における大きさより大きい。孔部92は、ボス部82を挿入可能に形成されている。
【0097】
本実施形態では、アクチュエータハウジング20は、ハウジング延伸部211を有していない。
【0098】
図12は、孔部92にボス部82を挿入したときの固定部材壁部62およびアクチュエータハウジング20の状態を示している。孔部92は、レバー40の回転軸Ax3を回転中心とする孔部92に対するボス部82の相対移動(回転)は許容するものの、孔部92の円弧の径方向における孔部92に対するボス部82の相対移動、および、孔部92に対するボス部82の相対回転は規制する。本実施形態では、レバー40の回転軸Ax3を回転中心とし、固定部材壁部62に対しアクチュエータハウジング20を相対回転させることにより、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0099】
図12において、破線の矢印は、位置調整部730によって許容される、孔部92に対するボス部82の相対移動または相対回転の方向を示す。一点鎖線の矢印は、位置調整部730によって規制される、孔部92に対するボス部82の相対移動または相対回転の方向を示す。
【0100】
以上説明したように、<4>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる1つの位置調整部730、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0101】
そのため、第6実施形態と同様、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対回転位置を調整しながら、アクチュエータハウジング20を固定部材60に固定できる。したがって、アクセル装置100のペダル120に付与する反力の精度をより向上できる。
【0102】
(第8実施形態)
第8実施形態による反力付与装置の一部を
図13に示す。第8実施形態は、位置決め部700の構成が第7実施形態と異なる。
【0103】
<5>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる1つの位置調整部730、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0104】
位置調整部730は、孔部に対するボス部の相対回転を規制するとともに、ボス部の軸に垂直な方向における孔部に対するボス部の相対位置を調整し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0105】
より詳細には、位置決め部700は、1つの位置調整部730、および、3つの締結部720を有している。位置調整部730は、ボス部81と孔部91とからなる。ボス部81は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部211から突出するよう形成されている。
【0106】
本実施形態では、孔部91は、固定部材60の固定部材壁部62を角丸長方形状に貫くよう形成されている。孔部91は、長手方向に沿う線がx軸に対し平行となるよう形成されている。ボス部81は、ボス部81の軸に垂直な面による断面形状が角丸長方形状となるよう形成されている。ボス部81は、ボス部81の断面における長手方向に沿う線がx軸に対し平行となるよう形成されている。孔部91の長手方向に沿う線は、ボス部81の断面における長手方向に沿う線と略一致する。孔部91の短手方向の内径は、ボス部81の断面における短手方向の外径より僅かに大きい。孔部91の長手方向の内径は、ボス部81の断面における長手方向の外径より大きい。孔部91は、ボス部81を挿入可能に形成されている。
【0107】
図13は、孔部91にボス部81を挿入したときの固定部材壁部62およびアクチュエータハウジング20の状態を示している。孔部91は、孔部91の長手方向における孔部91に対するボス部81の相対移動は許容するものの、孔部91の短手方向における孔部91に対するボス部81の相対移動、および、孔部91に対するボス部81の相対回転は規制する。本実施形態では、孔部91の長手方向において、固定部材壁部62に対しアクチュエータハウジング20を相対移動させることにより、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0108】
図13において、破線の矢印は、位置調整部730によって許容される、孔部91に対するボス部81の相対移動または相対回転の方向を示す。一点鎖線の矢印は、位置調整部730によって規制される、孔部91に対するボス部81の相対移動または相対回転の方向を示す。
【0109】
以上説明したように、<5>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる1つの位置調整部730、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0110】
位置調整部730は、孔部に対するボス部の相対回転を規制するとともに、ボス部の軸に垂直な方向における孔部に対するボス部の相対位置を調整し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0111】
本実施形態では、比較的簡単な構成で、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を調整しながら、アクチュエータハウジング20を固定部材60に固定できる。そのため、アーム50とレバー40との当接位置Pt1をより精度よく定めることができる。したがって、アクセル装置100のペダル120に付与する反力の精度をより向上できる。
【0112】
(第9実施形態)
第9実施形態による反力付与装置の一部を
図14に示す。第9実施形態は、位置決め部700の構成が第8実施形態と異なる。
【0113】
<6>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる複数の位置調整部730、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0114】
位置調整部730は、ボス部の軸に垂直な方向における孔部に対するボス部の相対位置を調整し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0115】
より詳細には、位置決め部700は、2つの位置調整部730、および、3つの締結部720を有している。2つの位置調整部730のうち一方は、ボス部81と孔部91とからなる。ボス部81は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部211から円柱状に突出するよう形成されている。孔部91は、固定部材60の固定部材壁部62を角丸長方形状に貫くよう形成されている。孔部91は、長手方向に沿う線がx軸に対し平行となるよう形成されている。孔部91の短手方向の内径は、ボス部81の外径より僅かに大きい。孔部91は、ボス部81を挿入可能に形成されている。
【0116】
2つの位置調整部730のうち他方は、ボス部82と孔部92とからなる。ボス部82は、アクチュエータハウジング20のハウジング延伸部212から円柱状に突出するよう形成されている。孔部92は、固定部材60の固定部材壁部62を角丸長方形状に貫くよう形成されている。孔部92は、長手方向に沿う線がx軸に対し平行となるよう形成されている。孔部92の短手方向の内径は、ボス部82の外径より僅かに大きい。孔部92は、ボス部82を挿入可能に形成されている。
【0117】
図14は、孔部91にボス部81を挿入し、孔部92にボス部82を挿入したときの固定部材壁部62およびアクチュエータハウジング20の状態を示している。孔部91は、孔部91に対するボス部81の相対回転、および、孔部91の長手方向における孔部91に対するボス部81の相対移動は許容するものの、孔部91の短手方向における孔部91に対するボス部81の相対移動は規制する。一方、孔部92は、孔部92に対するボス部82の相対回転、および、孔部92の長手方向における孔部92に対するボス部82の相対移動は許容するものの、孔部92の短手方向における孔部92に対するボス部82の相対移動は規制する。すなわち、位置調整部730は、ボス部81、82の軸に垂直な方向における孔部91、92に対するボス部81、82の相対位置を調整可能に構成されている。本実施形態では、孔部91、92の長手方向において、固定部材壁部62に対しアクチュエータハウジング20を相対移動させることにより、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0118】
以上説明したように、<6>本実施形態では、位置決め部700は、アクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか一方に設けられたボス部とボス部を挿入可能なようアクチュエータハウジング20または固定部材60のいずれか他方に設けられた孔部とからなる複数の位置調整部730、および、アクチュエータハウジング20と固定部材60とを締結する少なくとも1つの締結部720を有している。
【0119】
位置調整部730は、ボス部の軸に垂直な方向における孔部に対するボス部の相対位置を調整し、固定部材60に対するアクチュエータハウジング20の相対位置を任意の位置に調整可能である。
【0120】
本実施形態では、位置決め部700が所定距離離れた複数の位置調整部730を有することにより、アーム50とレバー40との当接位置Pt1をより一層精度よく定めることができる。したがって、アクセル装置100のペダル120に付与する反力の精度をより一層向上できる。
【0121】
(他の実施形態)
上述の複数の実施形態は、構成上の阻害要因がない限り、組み合わせて実施してもよい。例えば、第2実施形態のアクセル装置と第3~9実施形態の反力付与装置とを組み合わせるといった具合である。
【0122】
また、上述の実施形態では、アクチュエータハウジングまたは固定部材のいずれか一方であるアクチュエータハウジングにボス部を設け、アクチュエータハウジングまたは固定部材のいずれか他方である固定部材に孔部を設ける例を示した。これに対し、<2><3><4><5><6>他の実施形態では、アクチュエータハウジングまたは固定部材のいずれか一方である固定部材にボス部を設け、アクチュエータハウジングまたは固定部材のいずれか他方であるアクチュエータハウジングに孔部を設けてもよい。
【0123】
また、他の実施形態では、位置決め部は、位置規制部を1つまたは2つに限らず、3つ以上有することとしてもよい。また、位置決め部は、位置調整部を1つまたは2つに限らず、3つ以上有することとしてもよい。
【0124】
また、上述の実施形態では、反力付与装置が、レバーの回転を規制することでペダルの回転を規制可能なロック部を備える例を示した。これに対し、他の実施形態では、反力付与装置は、ロック部を備えていなくてもよい。
【0125】
また、他の実施形態では、反力付与装置およびアクセル装置が取り付けられる車両のフロアパネルの壁面は、yz平面に対し平行となるよう形成されていなくてもよい。つまり、フロアパネルの壁面は、車両に対しどのような角度で形成されていてもよい。
【0126】
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 車両、10 反力付与装置、20 アクチュエータハウジング、30 アクチュエータ、40 レバー、50 アーム、60 固定部材、100 アクセル装置、110、130 ペダルハウジング、120、140 ペダル、700 位置決め部、Ax1 (ペダルの)回転軸、Ax3 (レバーの)回転軸、Pt1 当接位置