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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20240806BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20240806BHJP
   H02K 11/27 20160101ALI20240806BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20240806BHJP
【FI】
F04B39/00 106A
F04B39/00 106Z
F04C29/00 S
F04C29/00 T
H02K11/27
H02K11/33
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021173196
(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公開番号】P2023062981
(43)【公開日】2023-05-09
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】内藤 篤志
(72)【発明者】
【氏名】岩▲瀬▼ 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】藤井 明夫
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164321(JP,A)
【文献】特開2020-58123(JP,A)
【文献】特開2013-160090(JP,A)
【文献】特開2020-105932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/00
H02K 11/27
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
低電圧電源からの電力によって駆動する駆動回路が実装された回路基板を有するとともに前記駆動回路の駆動により高電圧電源からの直流電力を交流電力に変換して前記電動モータに供給することで前記電動モータを駆動するインバータ装置と、
前記回路基板を収容するインバータ室を有するハウジングと、
前記高電圧電源の高電圧コネクタが接続される高電圧コネクタ接続部と、を備え、
前記高電圧コネクタ接続部は、
前記高電圧コネクタに設けられた検出用導電体の一端に接続可能な第1検出用配線と、
前記検出用導電体の他端に接続可能な第2検出用配線と、を有し、
前記第1検出用配線、前記検出用導電体、及び前記第2検出用配線は、前記高電圧コネクタ接続部と前記高電圧コネクタとの接続時に直列回路の導通状態となって、前記高電圧コネクタ接続部における前記高電圧コネクタとの接続状態を検出する検出回路と共に閉ループ回路を形成し、
前記インバータ室内には、前記高電圧コネクタ接続部から前記インバータ室内に延びる前記第1検出用配線及び前記第2検出用配線と前記検出回路とを電気的に接続するための接続コネクタが配置されている電動圧縮機であって、
前記接続コネクタと前記回路基板とは、前記回路基板の厚み方向で重なった状態で前記インバータ室内に配置されており、
前記第1検出用配線及び前記第2検出用配線は、前記回路基板の厚み方向に対して交差する方向から前記接続コネクタに接続されていることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記低電圧電源の低電圧コネクタが接続される低電圧コネクタ接続部を備え、
前記低電圧コネクタ接続部は、
前記低電圧コネクタに設けられるとともに前記検出回路に電気的に接続された第1検出用接続導電体に接続可能な第3検出用配線と、
前記低電圧コネクタに設けられるとともに前記検出回路に電気的に接続された第2検出用接続導電体に接続可能な第4検出用配線と、を有し、
前記接続コネクタは、前記第1検出用配線と前記第3検出用配線とを接続するとともに、前記第2検出用配線と前記第4検出用配線とを接続することを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記駆動回路は、
前記電動モータを駆動するための高電圧回路と、
前記高電圧回路を制御する低電圧回路と、を有し、
前記接続コネクタは、前記回路基板における前記低電圧回路が実装されている部位と前記回路基板の厚み方向で重なった状態で前記インバータ室内に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、圧縮部と、電動モータと、インバータ装置と、を備えている。圧縮部は、流体を圧縮する。電動モータは、圧縮部を駆動する。インバータ装置は、回路基板を有している。回路基板には、駆動回路が実装されている。駆動回路は、低電圧電源からの電力によって駆動する。また、電動圧縮機は、高電圧コネクタ接続部を備えている。高電圧コネクタ接続部には、高電圧電源の高電圧コネクタが接続される。そして、インバータ装置は、駆動回路の駆動により高電圧電源からの直流電力を交流電力に変換して電動モータに供給することで電動モータを駆動する。電動圧縮機のハウジングは、回路基板を収容するインバータ室を有している。
【0003】
ところで、このような電動圧縮機においては、例えば特許文献1のように、高電圧コネクタ接続部における高電圧コネクタとの接続状態を検出する技術が従来から知られている。このような場合、例えば、高電圧コネクタ接続部は、第1検出用配線と、第2検出用配線と、を有している。第1検出用配線は、高電圧コネクタに設けられた検出用導電体の一端に接続可能である。第2検出用配線は、検出用導電体の他端に接続可能である。
【0004】
そして、第1検出用配線、検出用導電体、及び第2検出用配線は、高電圧コネクタ接続部と高電圧コネクタとの接続時に直列回路の導通状態となって、高電圧コネクタ接続部と高電圧コネクタとの接続状態を検出する検出回路と共に閉ループ回路を形成する。一方で、高電圧コネクタが高電圧コネクタ接続部に対して離脱状態となると、第1検出用配線、検出用導電体、及び第2検出用配線での直列回路が非導通となり、検出回路と共に閉ループ回路が形成されなくなる。そして、検出回路は、第1検出用配線、検出用導電体、及び第2検出用配線による直列回路が非導通であると、高電圧コネクタ接続部と高電圧コネクタとが離脱状態であることを示す離脱検知信号を、例えば、上位ECUに送信する。上位ECUは、検出回路から離脱検知信号を受信すると、高電圧コネクタ接続部と高電圧コネクタとが離脱状態であることをユーザに警告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-145848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような電動圧縮機において、インバータ室内には、高電圧コネクタ接続部からインバータ室内に延びる第1検出用配線及び第2検出用配線と検出回路とを電気的に接続するための接続コネクタが配置されている場合がある。ここで、回路基板の体格が一義的に決まっていると、第1検出用配線及び第2検出用配線における接続コネクタへの接続態様によっては、接続コネクタにおける回路基板に対する配置位置に制約が生じる場合がある。すると、インバータ室内において接続コネクタを配置するためのスペースを確保するために、電動圧縮機が大型化してしまう虞がある。したがって、インバータ室内を省スペース化して、電動圧縮機の小型化を図ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、低電圧電源からの電力によって駆動する駆動回路が実装された回路基板を有するとともに前記駆動回路の駆動により高電圧電源からの直流電力を交流電力に変換して前記電動モータに供給することで前記電動モータを駆動するインバータ装置と、前記回路基板を収容するインバータ室を有するハウジングと、前記高電圧電源の高電圧コネクタが接続される高電圧コネクタ接続部と、を備え、前記高電圧コネクタ接続部は、前記高電圧コネクタに設けられた検出用導電体の一端に接続可能な第1検出用配線と、前記検出用導電体の他端に接続可能な第2検出用配線と、を有し、前記第1検出用配線、前記検出用導電体、及び前記第2検出用配線は、前記高電圧コネクタ接続部と前記高電圧コネクタとの接続時に直列回路の導通状態となって、前記高電圧コネクタ接続部における前記高電圧コネクタとの接続状態を検出する検出回路と共に閉ループ回路を形成し、前記インバータ室内には、前記高電圧コネクタ接続部から前記インバータ室内に延びる前記第1検出用配線及び前記第2検出用配線と前記検出回路とを電気的に接続するための接続コネクタが配置されている電動圧縮機であって、前記接続コネクタと前記回路基板とは、前記回路基板の厚み方向で重なった状態で前記インバータ室内に配置されており、前記第1検出用配線及び前記第2検出用配線は、前記回路基板の厚み方向に対して交差する方向から前記接続コネクタに接続されている。
【0008】
これによれば、第1検出用配線及び第2検出用配線が、回路基板の厚み方向に対して交差する方向から接続コネクタに接続されている。このため、接続コネクタと回路基板とを、回路基板の厚み方向で重なった状態でインバータ室内に配置することが可能となる。したがって、例えば、接続コネクタと回路基板とが、回路基板の厚み方向で重なっていない状態でインバータ室内に配置されている場合に比べると、インバータ室内を省スペース化することができる。その結果、電動圧縮機の小型化を図ることができる。
【0009】
上記電動圧縮機において、前記低電圧電源の低電圧コネクタが接続される低電圧コネクタ接続部を備え、前記低電圧コネクタ接続部は、前記低電圧コネクタに設けられるとともに前記検出回路に電気的に接続された第1検出用接続導電体に接続可能な第3検出用配線と、前記低電圧コネクタに設けられるとともに前記検出回路に電気的に接続された第2検出用接続導電体に接続可能な第4検出用配線と、を有し、前記接続コネクタは、前記第1検出用配線と前記第3検出用配線とを接続するとともに、前記第2検出用配線と前記第4検出用配線とを接続するとよい。
【0010】
これによれば、検出用導電体、第1検出用配線、第2検出用配線、第3検出用配線、第4検出用配線、第1検出用接続導電体、及び第2検出用接続導電体が、検出回路と共に閉ループ回路を形成する。したがって、検出回路と共に閉ループ回路を形成する際に、例えば、回路基板のパターンを経由する必要が無い。よって、閉ループ回路のためのパターンを形成することによる回路基板の大型化を招くことが無い。したがって、例えば、回路基板が不必要に大型化することが抑制されるため、インバータ室内を省スペース化することができる。その結果、電動圧縮機の小型化をさらに図ることができる。
【0011】
上記電動圧縮機において、前記駆動回路は、前記電動モータを駆動するための高電圧回路と、前記高電圧回路を制御する低電圧回路と、を有し、前記接続コネクタは、前記回路基板における前記低電圧回路が実装されている部位と前記回路基板の厚み方向で重なった状態で前記インバータ室内に配置されているとよい。
【0012】
これによれば、例えば、接続コネクタが、回路基板における高電圧回路が実装されている部位と回路基板の厚み方向で重なっている場合に比べると、接続コネクタと回路基板との絶縁距離を短くすることができる。したがって、接続コネクタと回路基板とを極力近付けることができるため、インバータ室内を省スペース化することができる。その結果、電動圧縮機の小型化をさらに図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、電動圧縮機の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態における電動圧縮機を説明するための側断面図である。
図2】電動圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図3】インバータ室内を平面視した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
(電動圧縮機10の全体構成)
図1に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、モータハウジング12と、吐出ハウジング13と、インバータハウジング14と、を有している。モータハウジング12、吐出ハウジング13、及びインバータハウジング14は、金属製であり、例えば、アルミニウム製である。
【0016】
モータハウジング12は、板状の端壁12aと、端壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bと、を有している。吐出ハウジング13は、筒状である。吐出ハウジング13は、モータハウジング12の周壁12bにおける端壁12aとは反対側の部位に連結されている。そして、吐出ハウジング13は、モータハウジング12における端壁12aとは反対側の開口を閉塞している。
【0017】
電動圧縮機10は、回転軸15を備えている。回転軸15は、モータハウジング12内に収容されている。また、電動圧縮機10は、圧縮部16と、電動モータ17と、インバータ装置30と、を備えている。インバータ装置30は、回路基板31を有している。
【0018】
圧縮部16は、回転軸15の回転によって駆動して流体としての冷媒を圧縮する。圧縮部16は、回転軸15の回転によって駆動する。圧縮部16は、モータハウジング12内に収容されている。圧縮部16は、例えば、モータハウジング12内に固定された図示しない固定スクロールと、固定スクロールに対向配置される図示しない可動スクロールとから構成されるスクロール式である。
【0019】
電動モータ17は、回転軸15を回転させて圧縮部16を駆動する。電動モータ17は、モータハウジング12内に収容されている。圧縮部16及び電動モータ17は、回転軸15の回転軸線が延びる方向である軸線方向に並んで配置されている。電動モータ17は、圧縮部16よりもモータハウジング12の端壁12a側に配置されている。そして、モータハウジング12内における圧縮部16と端壁12aとの間には、電動モータ17を収容するモータ室18が形成されている。
【0020】
電動モータ17は、筒状のステータ20と、ステータ20の内側に配置されるロータ21と、を有している。ロータ21は、回転軸15と一体的に回転する。ステータ20は、ロータ21を取り囲んでいる。ロータ21は、回転軸15に止着されたロータコア21aと、ロータコア21aに設けられた複数の永久磁石21bと、を有している。ステータ20は、筒状のステータコア20aと、ステータコア20aに巻回されたモータコイル20bと、を有している。
【0021】
周壁12bには、吸入口12hが形成されている。吸入口12hは、周壁12bにおける端壁12a側に位置する部分に形成されている。吸入口12hは、モータ室18に連通している。吸入口12hには、外部冷媒回路25の一端が接続されている。吐出ハウジング13には、吐出口13hが形成されている。吐出口13hには、外部冷媒回路25の他端が接続されている。
【0022】
外部冷媒回路25から吸入口12hを介してモータ室18内に吸入された冷媒は、圧縮部16の駆動により圧縮部16で圧縮されて、吐出口13hを介して外部冷媒回路25へ流出する。そして、外部冷媒回路25へ流出した冷媒は、外部冷媒回路25の熱交換器や膨張弁を経て、吸入口12hを介してモータ室18内に還流する。電動圧縮機10及び外部冷媒回路25は、車両空調装置26を構成している。
【0023】
インバータハウジング14は、板状の端壁14aと、端壁14aの外周部から筒状に延びる周壁14bと、を有している。インバータハウジング14は、周壁14bにおける端壁14aとは反対側の開口がモータハウジング12の端壁12aに閉塞された状態で、モータハウジング12の端壁12aに取り付けられている。インバータハウジング14の端壁14aの厚み方向は、回転軸15の軸線方向に一致している。
【0024】
そして、インバータハウジング14の端壁14a及び周壁14bとモータハウジング12の端壁12aとによって、インバータ室32が区画されている。したがって、ハウジング11は、インバータ室32を有している。インバータ室32内には、インバータ装置30が収容されている。圧縮部16、電動モータ17、及びインバータ装置30は、この順序で、回転軸15の軸線方向に並んで配置されている。
【0025】
(高電圧コネクタ接続部40について)
図2及び図3に示すように、電動圧縮機10は、高電圧コネクタ接続部40を備えている。高電圧コネクタ接続部40は、インバータハウジング14の端壁14aからインバータハウジング14の外部へ突出している。高電圧コネクタ接続部40には、高電圧電源41の高電圧コネクタ42が接続される。また、高電圧コネクタ接続部40は、バスバー40aを有している。バスバー40aは、高電圧電源41と回路基板31とを電気的に接続する。
【0026】
(低電圧コネクタ接続部50について)
電動圧縮機10は、低電圧コネクタ接続部50を備えている。低電圧コネクタ接続部50は、インバータハウジング14の端壁14aからインバータハウジング14の外部へ突出している。低電圧コネクタ接続部50には、低電圧電源51の低電圧コネクタ52が接続される。また、低電圧コネクタ接続部50は、バスバー50aを有している。バスバー50aは、低電圧電源51と回路基板31とを電気的に接続する。
【0027】
(インバータ装置30の構成)
回路基板31は、インバータ室32内に収容されている。したがって、インバータ室32は、回路基板31を収容する。回路基板31は、回路基板31の厚み方向が回転軸15の軸線方向に一致した状態で、インバータ室32内に収容されている。回路基板31は、インバータハウジング14の端壁14aに沿って延びている。
【0028】
回路基板31には、駆動回路33が実装されている。駆動回路33は、電動モータ17を駆動するための高電圧回路34と、高電圧回路34を制御する低電圧回路35と、を有している。高電圧回路34は、例えば、電動モータ17を駆動するためにスイッチング動作を行うスイッチング素子や、ノイズを低減するフィルタ素子などを有している。低電圧回路35は、例えば、スイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御回路を有している。
【0029】
駆動回路33は、低電圧電源51からの電力によって駆動する。低電圧回路35には、低電圧電源51からの電力がバスバー50aを介して供給される。そして、低電圧回路35は、上位ECUである車両ECU74からの制御信号に基づいたスイッチング素子のスイッチング動作の制御を行う。これにより、低電圧電源51からの制御信号に基づいた駆動回路33の駆動が行われる。
【0030】
さらに、インバータ装置30においては、高電圧電源41からバスバー40aを介して高電圧回路34に供給される直流電力が、スイッチング素子のスイッチング動作により、交流電力に変換される。そして、交流電力が電動モータ17に供給されることにより、電動モータ17が駆動する。したがって、インバータ装置30は、駆動回路33の駆動により高電圧電源41からの直流電力を交流電力に変換して電動モータ17に供給することで電動モータ17を駆動する。
【0031】
(第1検出用配線61及び第2検出用配線62について)
高電圧コネクタ接続部40は、第1検出用配線61と、第2検出用配線62と、を有している。第1検出用配線61は、高電圧コネクタ42に設けられた検出用導電体70の一端に接続可能である。第2検出用配線62は、検出用導電体70の他端に接続可能である。第1検出用配線61及び第2検出用配線62は、高電圧コネクタ接続部40からインバータ室32内に延びている。第1検出用配線61及び第2検出用配線62は、ハーネスである。高電圧コネクタ接続部40からインバータ室32内に延びた第1検出用配線61及び第2検出用配線62は、接続端子65に電気的に接続されている。
【0032】
(第3検出用配線63及び第4検出用配線64について)
低電圧コネクタ接続部50は、第3検出用配線63と、第4検出用配線64と、を有している。第3検出用配線63は、低電圧コネクタ52に設けられた第1検出用接続導電体71に接続可能である。第4検出用配線64は、低電圧コネクタ52に設けられた第2検出用接続導電体72に接続可能である。第3検出用配線63及び第4検出用配線64は、低電圧コネクタ接続部50からインバータ室32内に突出するリードである。なお、第1検出用接続導電体71及び第2検出用接続導電体72は、電動圧縮機10の外部に設けられた検出回路73に電気的に接続されている。また、検出回路73は、車両ECU74と電気的に接続されている。
【0033】
(接続コネクタ80の構成)
インバータ室32内には、高電圧コネクタ接続部40からインバータ室32内に延びる第1検出用配線61及び第2検出用配線62と検出回路73とを電気的に接続するための接続コネクタ80が配置されている。接続コネクタ80は、コネクタケース81と、端子82と、を有している。コネクタケース81は、樹脂製である。端子82は、コネクタケース81内に収容されている。端子82は、第3検出用配線63及び第4検出用配線64における低電圧コネクタ接続部50からインバータ室32内に突出している部位それぞれと電気的に接続されている。
【0034】
コネクタケース81は、接続端子65が接続される接続口81aを有している。接続口81aには、端子82が臨んでいる。接続コネクタ80は、接続口81aが回路基板31の厚み方向に対して直交する方向に向いた状態で、インバータ室32内に配置されている。そして、接続端子65は、回路基板31の厚み方向に対して直交する方向から接続口81aに接続されている。これにより、第1検出用配線61及び第2検出用配線62が接続端子65を介して接続コネクタ80の端子82に電気的に接続されている。したがって、第1検出用配線61及び第2検出用配線62は、回路基板31の厚み方向に対して直交する方向から接続コネクタ80に接続されている。
【0035】
接続コネクタ80は、第1検出用配線61と第3検出用配線63とを接続するとともに、第2検出用配線62と第4検出用配線64とを接続する。そして、検出用導電体70、第1検出用配線61、第2検出用配線62、第3検出用配線63、第4検出用配線64、第1検出用接続導電体71、及び第2検出用接続導電体72が、検出回路73と共に閉ループ回路を形成する。したがって、第1検出用配線61、検出用導電体70、及び第2検出用配線62は、高電圧コネクタ接続部40と高電圧コネクタ42との接続時に直列回路の導通状態となって、検出回路73と共に閉ループ回路を形成する。
【0036】
(接続コネクタ80と回路基板31との関係について)
接続コネクタ80と回路基板31とは、回路基板31の厚み方向で重なった状態でインバータ室32内に配置されている。具体的には、接続コネクタ80は、回路基板31における低電圧回路35が実装されている部位と回路基板31の厚み方向で重なった状態でインバータ室32内に配置されている。高電圧回路34は、低電圧回路35に比べて、接続コネクタ80から離れた位置に配置されている。接続コネクタ80は、その一部分が、回路基板31と重なっている。
【0037】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
検出回路73は、高電圧コネクタ接続部40における高電圧コネクタ42との接続状態を検出する。検出回路73は、第1検出用配線61、検出用導電体70、及び第2検出用配線62による直列回路が非導通であると、高電圧コネクタ接続部40と高電圧コネクタ42とが離脱状態であることを示す離脱検知信号を車両ECU74に送信する。車両ECU74は、検出回路73から離脱検知信号を受信すると、例えば、警告灯を点灯させて、高電圧コネクタ接続部40と高電圧コネクタ42とが離脱状態であることを、運転者等の乗員であるユーザに警告する。
【0038】
(効果)
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)第1検出用配線61及び第2検出用配線62が、回路基板31の厚み方向に対して直交する方向から接続コネクタ80に接続されている。このため、接続コネクタ80と回路基板31とを、回路基板31の厚み方向で重なった状態でインバータ室32内に配置することが可能となる。したがって、例えば、接続コネクタ80と回路基板31とが、回路基板31の厚み方向で重なっていない状態でインバータ室32内に配置されている場合に比べると、インバータ室32内を省スペース化することができる。その結果、電動圧縮機10の小型化を図ることができる。
【0039】
(2)検出用導電体70、第1検出用配線61、第2検出用配線62、第3検出用配線63、第4検出用配線64、第1検出用接続導電体71、及び第2検出用接続導電体72が、検出回路73と共に閉ループ回路を形成する。したがって、検出回路73と共に閉ループ回路を形成する際に、例えば、回路基板31のパターンを経由する必要が無い。よって、閉ループ回路のためのパターンを形成することによる回路基板31の大型化を招くことが無い。したがって、例えば、回路基板31が不必要に大型化することが抑制されるため、インバータ室32内を省スペース化することができる。その結果、電動圧縮機10の小型化をさらに図ることができる。
【0040】
(3)接続コネクタ80は、回路基板31における低電圧回路35が実装されている部位と回路基板31の厚み方向で重なった状態でインバータ室32内に配置されている。これによれば、例えば、接続コネクタ80が、回路基板31における高電圧回路34が実装されている部位と回路基板31の厚み方向で重なっている場合に比べると、接続コネクタ80と回路基板31との絶縁距離を短くすることができる。したがって、接続コネクタ80と回路基板31とを極力近付けることができるため、インバータ室32内を省スペース化することができる。その結果、電動圧縮機10の小型化をさらに図ることができる。
【0041】
(変更例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
○ 実施形態において、検出回路73と共に閉ループ回路を形成する際に、例えば、回路基板31のパターンを経由するような構成にしてもよい。
○ 実施形態において、検出回路73が、回路基板31に実装されていてもよい。この場合、検出用導電体70、第1検出用配線61、第2検出用配線62、回路基板31のパターンが、検出回路73と共に閉ループ回路を形成する。したがって、第3検出用配線63、第4検出用配線64、第1検出用接続導電体71、及び第2検出用接続導電体72を省略した構成とすることができる。例えば、第1検出用配線61、検出用導電体70、及び第2検出用配線62による直列回路が非導通であったとする。すると、検出回路73は、高電圧コネクタ接続部40と高電圧コネクタ42とが離脱状態であることを示す離脱検知信号を、回路基板31に実装されたマイコンに送信する。そして、マイコンは、車両ECU74と通信して、車両ECU74へ離脱検知信号を送信する。
【0043】
○ 実施形態において、接続コネクタ80全体が、回路基板31と重なっていてもよい。第1検出用配線61及び第2検出用配線62が、回路基板31の厚み方向に対して直交する方向から接続コネクタ80に接続されているため、接続コネクタ80全体を、回路基板31と重なるように配置することが可能である。したがって、接続コネクタ80の配置位置に関係無く、回路基板31の体格を大きくすることができる。
【0044】
○ 実施形態において、接続コネクタ80が、回路基板31における高電圧回路34が実装されている部位と回路基板31の厚み方向で重なっていてもよい。この場合、接続コネクタ80と回路基板31との絶縁距離を十分確保する必要がある。
【0045】
○ 実施形態において、第1検出用配線61及び第2検出用配線62が、回路基板31の厚み方向に対して斜めから接続コネクタ80に接続されていてもよい。この場合、接続コネクタ80は、接続口81aが回路基板31の厚み方向に対して斜めに向いた状態で、インバータ室32内に配置されている。要は、第1検出用配線61及び第2検出用配線62は、回路基板31の厚み方向に対して交差する方向から接続コネクタ80に接続されていればよい。
【0046】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、例えば、インバータ装置30が、ハウジング11に対して回転軸15の径方向外側に配置されている構成であってもよい。要は、圧縮部16、電動モータ17、及びインバータ装置30が、この順序で、回転軸15の軸線方向に並んで配置されていなくてもよい。
【0047】
○ 実施形態において、圧縮部16は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置26を構成していたが、これに限らない。電動圧縮機10は、例えば、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部16により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…電動圧縮機、11…ハウジング、16…圧縮部、17…電動モータ、30…インバータ装置、31…回路基板、32…インバータ室、33…駆動回路、34…高電圧回路、35…低電圧回路、40…高電圧コネクタ接続部、41…高電圧電源、42…高電圧コネクタ、50…低電圧コネクタ接続部、51…低電圧電源、52…低電圧コネクタ、61…第1検出用配線、62…第2検出用配線、63…第3検出用配線、64…第4検出用配線、70…検出用導電体、71…第1検出用接続導電体、72…第2検出用接続導電体、73…検出回路、80…接続コネクタ。
図1
図2
図3