IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図1
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図2
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図3
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図4
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図5
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図6
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図7
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図8
  • 特許-調光シート、および、調光装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】調光シート、および、調光装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240806BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20240806BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240806BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240806BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20240806BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G02F1/13 505
E06B3/66
G02F1/1333 500
G02F1/1334
G02F1/1339 505
G02F1/1345
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021520808
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2020019868
(87)【国際公開番号】W WO2020235580
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2019096886
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】阿部 創平
(72)【発明者】
【氏名】福原 啓介
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097021(JP,A)
【文献】特開平06-095129(JP,A)
【文献】登録実用新案第3105679(JP,U)
【文献】特開2018-065540(JP,A)
【文献】特許第6405442(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/142050(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0368765(US,A1)
【文献】特開2004-093873(JP,A)
【文献】特開2007-004085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
E06B 3/66
G02F 1/1333
G02F 1/1334
G02F 1/1339
G02F 1/1345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光シートの表面を有し、透明電極層を備えた第1フィルムと、
前記調光シートの裏面を有し、透明電極層を備えた第2フィルムと、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に位置する液晶層と、
前記液晶層の縁部を被覆する封止材と、を備え、
前記液晶層は、液晶組成物と、前記液晶組成物が保持される空隙を有する高分子層を備え、
前記第2フィルムは、前記裏面とは反対側の面であって、前記液晶層と接する部分を含む第2フィルム接触面を備え、
前記表面と対向する位置から見て、
前記第2フィルム接触面は、前記液晶層の縁部に沿って、前記第1フィルム、および、前記液晶層とは重ならずに、前記表面と対向する前記位置に向けて臨む第2フィルム外周部を備え、
前記封止材は、前記第2フィルム外周部に支持され
前記液晶層は、前記第1フィルムと接する面である第1液晶接触面と、前記第2フィルムと接する面である第2液晶接触面と、前記液晶層の縁部において前記第1液晶接触面と前記第2液晶接触面とを接続する液晶縁面と、を備え、
前記液晶縁面は、前記表面と対向する位置から見て前記第1フィルムとは重ならず、前記表面と対向する位置に向けて臨む形状を有する
調光シート。
【請求項2】
調光シートの表面を有し、透明電極層を備えた第1フィルムと、
前記調光シートの裏面を有し、透明電極層を備えた第2フィルムと、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に位置する液晶層と、
前記液晶層の縁部を被覆する封止材と、を備え、
前記液晶層は、液晶組成物と、前記液晶組成物が保持される空隙を有する高分子層を備え、
前記第2フィルムは、前記裏面とは反対側の面であって、前記液晶層と接する部分を含む第2フィルム接触面を備え、
前記表面と対向する位置から見て、
前記第2フィルム接触面は、前記液晶層の縁部に沿って、前記第1フィルム、および、前記液晶層とは重ならずに、前記表面と対向する前記位置に向けて臨む第2フィルム外周部を備え、
前記封止材は、前記第2フィルム外周部に支持され、
前記第1フィルムは、前記第1フィルムの端面である第1フィルム端面を備え、
前記第1フィルム端面の全てが、前記表面と対向する位置に向けて臨む形状を有し、前記封止材が前記第1フィルム端面を覆う
調光シート。
【請求項3】
調光シートの表面を有し、透明電極層を備えた第1フィルムと、
前記調光シートの裏面を有し、透明電極層を備えた第2フィルムと、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に位置する液晶層と、
前記液晶層の縁部を被覆する封止材と、を備え、
前記液晶層は、液晶組成物と、前記液晶組成物が保持される空隙を有する高分子層を備え、
前記第2フィルムは、前記裏面とは反対側の面であって、前記液晶層と接する部分を含む第2フィルム接触面を備え、
前記表面と対向する位置から見て、
前記第2フィルム接触面は、前記液晶層の縁部に沿って、前記第1フィルム、および、前記液晶層とは重ならずに、前記表面と対向する前記位置に向けて臨む第2フィルム外周部を備え、
前記封止材は、前記第2フィルム外周部に支持され、
前記液晶層は、前記第1フィルムと接する面である第1液晶接触面と、前記第2フィルムと接する面である第2液晶接触面と、前記液晶層の縁部において前記第1液晶接触面と前記第2液晶接触面とを接続する液晶縁面と、を備え、
前記液晶縁面上の任意の二点を結ぶ仮想線と、前記第2液晶接触面とが形成する角度が90°未満である
調光シート。
【請求項4】
調光シートの表面を有し、透明電極層を備えた第1フィルムと、
前記調光シートの裏面を有し、透明電極層を備えた第2フィルムと、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に位置する液晶層と、
前記液晶層の縁部を被覆する封止材と、を備え、
前記液晶層は、液晶組成物と、前記液晶組成物が保持される空隙を有する高分子層を備え、
前記第2フィルムは、前記裏面とは反対側の面であって、前記液晶層と接する部分を含む第2フィルム接触面を備え、
前記表面と対向する位置から見て、
前記第2フィルム接触面は、前記液晶層の縁部に沿って、前記第1フィルム、および、前記液晶層とは重ならずに、前記表面と対向する前記位置に向けて臨む第2フィルム外周部を備え、
前記封止材は、前記第2フィルム外周部に支持され、
前記第1フィルムは、前記第1フィルムの端面である第1フィルム端面と、前記液晶層と接する面である第1フィルム接触面と、を備え、
前記表面と直交する断面において、前記第1フィルム端面上の任意の二点を結ぶ仮想線と、前記第1フィルム接触面とが形成する角度が90°未満であり、前記封止材が前記第1フィルム端面を覆う
調光シート。
【請求項5】
前記表面と直交する断面における前記第2フィルム外周部の幅が、前記第フィルムの厚さと前記液晶層の厚さとの総和以上である
請求項1から4のいずれか一項に記載の調光シート。
【請求項6】
前記第1フィルムは、前記第1フィルムの端面である第1フィルム端面を備え、
前記第1フィルム端面、および、前記液晶縁面が、溶断痕を有する
請求項1または3に記載の調光シート。
【請求項7】
前記表面と直交する断面において、前記第1フィルム端面と前記液晶縁面とが、単一の直線上に位置し、前記封止材が前記第1フィルム端面と前記液晶縁面とを覆う
請求項に記載の調光シート。
【請求項8】
前記第2フィルムは、前記第2フィルムの端面である第2フィルム端面を備え、
前記第2フィルム端面の全てが、前記表面と対向する位置に向けて臨む形状を有し、前記封止材が前記第2フィルム端面を覆う
請求項から7のいずれか一項に記載の調光シート。
【請求項9】
前記表面と直交する断面において、前記第2フィルム端面上の任意の二点を結ぶ仮想線と、前記裏面とが形成する角度が90°未満であり、前記封止材が前記第2フィルム端面を覆う
請求項に記載の調光シート。
【請求項10】
前記第1フィルムは、前記第1フィルムの端面である第1フィルム端面を備え、
前記調光シートは、前記第1フィルム端面よりも内側に位置する第1開口部および第2開口部を備え、
前記第1開口部は、前記裏面から前記第1フィルムが備える前記透明電極層まで達し、
前記第2開口部は、前記表面から前記第2フィルムが備える前記透明電極層まで達し、
前記封止材は、前記液晶層の縁部を全周にわたり被覆する
請求項1または3に記載の調光シート。
【請求項11】
前記第1開口部の側面が、前記裏面と対向する位置に向けて臨む形状を有し、前記第1開口部の側面が封止材によって覆われている
請求項1に記載の調光シート。
【請求項12】
前記第2開口部の側面が、前記表面と対向する位置に向けて臨む形状を有し、前記第2開口部の側面が封止材によって覆われている
請求項1または1に記載の調光シート。
【請求項13】
請求項1から1のいずれか一項に記載の調光シートと、
前記調光シートを支持する透明支持体と、
前記調光シートと前記透明支持体の間に介在する粘着層と、を備える
調光装置。
【請求項14】
請求項1から1のいずれか一項に記載の調光シートと、
前記調光シートの厚さ方向において、前記調光シートを挟む一対の透明支持体と、
各透明支持体と前記調光シートとの間に介在する粘着層と、を備える
調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光シート、および、調光シートを備えた調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、2つの透明フィルムと、透明フィルムの間に位置する液晶層とを備える。各透明フィルムは、透明電極層を備える。調光シートは、透明電極層間に電圧が印加されることによって、液晶分子の配向状態を変化させる。液晶分子の配向状態は、例えば、調光シートに入射した光を散乱する状態と、調光シートに入射した光を透過する状態とである(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上述した調光シートは、透光性を有した支持体に貼り付けられる。支持体は、例えば、建築物や移動体が備える窓ガラスなどである。支持体に貼り付けられた調光シートは、液晶層が外気に曝されないように、別途、調光シートの端部を封止材によって被覆される。これにより、液晶層と水分との接触による液晶層の特性劣化が抑えられる(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-187775号公報
【文献】特許第6405442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した液晶層の特性劣化は、窓ガラスなどに対して調光シートを貼り付けるための施工時にはじまるものではなく、調光シートの加工直後からはじまる。そのため、上述した調光シートには、調光シートを貼り付けるための施工時に先駆けて、調光シートの端部などを封止材によって被覆することが求められている。
【0006】
一方、支持体が有する形状の多様化、および、様々な調光シートの利用場面に適応するべく、調光シートの薄膜化は進む一途であり、液晶層、および、透明フィルムは、1mmにも満たない厚さを有する。結果として、液晶層の縁部が有する面積、および、透明フィルムの端面が有する面積は、縁部および端面に対する封止材の配置において、当該縁部および端面は容易に被覆されがたい大きさを有する。
本発明の目的は、液晶層の縁部を封止材によって容易に被覆可能な調光シート、および、調光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための調光シートは、調光シートの表面を有し、透明電極層を備えた第1フィルムと、前記調光シートの裏面を有し、透明電極層を備えた第2フィルムと、前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に位置する液晶層と、前記液晶層の縁部を被覆する封止材とを備える。前記第2フィルムは、前記裏面とは反対側の面であって、前記液晶層と接する部分を含む第2フィルム接触面を備える。前記表面と対向する位置から見て、前記第2フィルム接触面は、前記液晶層の縁部に沿って、前記第1フィルム、および、前記液晶層とは重ならずに、前記表面と対向する前記位置に向けて臨む第2フィルム外周部を備え、前記封止材は、前記第2フィルム外周部に支持されている。
【0008】
上述した構成によれば、液晶層の縁部を被覆する封止材が、液晶層の縁部に加えて、当該端面から連続する第2フィルム外周部に支持される。液晶層の縁部と第2フィルム外周部とは、相互に連続して、相互に異なる方向に広がる面である。そのため、液晶層の縁部の面積が封止材で容易に被覆されがたい小さいものであっても、第2フィルム外周部が有する面積分だけ、調光シートと封止材との接する面積を拡大できる。この際、液晶層の縁部と第2フィルム外周部との広がる方向が相違する分だけ、調光シートの厚さを厚くすることなく、調光シートと封止材との接する面積を拡大できる。結果として、調光シートの端部を封止材によって被覆することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】調光装置の一実施形態における一部を拡大して示す平面図。
図2図1のII-II線に沿う断面図。
図3図1の調光シートと駆動部との接続部分を拡大した部分平面図。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図。
図5図3のV-V線に沿う断面図。
図6】(a)(b)(c)は調光シートと駆動部との接続方法の一例を示す平面図。
図7】第1変更例における調光装置の断面図。
図8】第2変更例における調光装置の断面図。
図9】第3変更例における調光装置の一部を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1および図2を参照して一実施形態における調光装置、および、調光シートを説明する。なお、図1では、調光シートが有する各層の端面を説明する便宜上、図1が含む拡大部分において封止材の一部を破断線によって切り欠いて示す。
【0011】
[調光装置]
図1に示すように、調光装置は、調光シート10、封止材21、透明粘着層22、透明支持体23、および、駆動部24を備える。調光シート10と対向する位置から見て、調光シート10は、例えば、矩形状を有する。調光シート10は、調光シート10と透明支持体23との間に介在する透明粘着層22によって、透明支持体23に貼り付けられている。
【0012】
なお、調光シート10の形状は、矩形状の他に、円形状などの幾何学形状、あるいは、不定形状に変更可能である。また、調光シート10の形状は、曲面状であってもよいし、平面状であってもよい。
【0013】
透明粘着層22は、可視光を透過する光透過性と、調光シート10と透明支持体23とを接着する接着性とを備える。透明粘着層22を形成する材料は、透明であり、かつ、接着性を有する材料であれば特に限定されない。透明粘着層22は、例えば、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、および、エポキシ系接着剤などである。透明粘着層22の一例は、OCAフィルム(Optical Clear Adhesiveフィルム)である。
【0014】
透明支持体23は、例えば、車両および航空機などの移動体が備える窓ガラスである。また、透明支持体23は、例えば、住宅、駅、および、空港などの建物が備える窓ガラスおよびスクリーン、オフィスなどに設置されたパーティション、店舗などに設置されたショーウインドウである。
【0015】
透明支持体23は、平面状、曲面状、および、不定形状などの各種の形状を有する。透明支持体23を形成する材料は、透明であり、かつ、調光シート10を支持可能な材料であれば特に限定されない。透明支持体23を形成する材料は、例えば、ガラス、アクリル樹脂、および、ポリカーボネート樹脂などである。
【0016】
駆動部24は、調光シート10が備える透明電極層11A,12A(図2を参照)に接続されている。駆動部24は、直流定電圧電源の出力電圧、あるいは、交流電源の出力電圧を調光シート10の駆動電圧に変換して、駆動電圧を調光シート10に印加する。
【0017】
調光シート10は、可視光の透過率を変更できるように構成されている。調光シート10の型式は、ノーマル型とリバース型とに分類される。ノーマル型の調光シート10は、駆動電圧の印加時に、相対的に高い透過率を有する。ノーマル型の調光シート10は、駆動電圧の非印加時に、相対的に低い透過率を有する。リバース型の調光シート10は、駆動電圧の印加時に、相対的に低い透過率を有する。リバース型の調光シート10は、駆動電圧の非印加時に、相対的に高い透過率を有する。
【0018】
[調光シート]
図1が示すように、調光シート10は、第1フィルム11、第2フィルム12、および、液晶層13を備える。液晶層13は、第1フィルム11と第2フィルム12とに挟まれている。
図1が含む拡大部分が示すように、第1フィルム11は、調光シート10の表面10Fと、第1フィルム11の端面である第1フィルム端面11Eとを備える。第2フィルム12は、第2フィルム12の端面である第2フィルム端面12Eと、第2フィルム12の外縁に位置する第2フィルム外周部12CDとを備える。第2フィルム12の外縁は、調光シート10の表面10Fと対向する位置から見て、第2フィルム12の端部、すなわち最外周を含む枠状を有した部分である。液晶層13は、液晶層13の縁部の表面である液晶縁面13Eを備える。液晶層13の縁部は、液晶層13の厚さ方向において対向する一対の面間に位置し、かつ、液晶層13の外周に沿った枠状を有する部分である。
【0019】
調光シート10の表面10Fと対向する位置から調光シート10を見たとき、液晶縁面13Eの全体は、第1フィルム端面11Eからはみ出している。表面10Fと対向する位置から調光シート10を見たとき、液晶縁面13Eは、第1フィルム11と重ならず、かつ、第1フィルム11の全周囲において、表面10Fと対向する位置に向けて臨む形状を有している。すなわち、第1フィルム11の最外周におけるいずれの位置と対向する視点から見ても、液晶縁面13Eは、第1フィルム11によって隠された部分を有しない。また言い換えれば、表面10Fに略垂直な方向から見て、液晶縁面13Eは第1フィルム11と重なっていない、すなわち、第1フィルム11よりも外側に位置する。
【0020】
表面10Fと対向する位置に向けて液晶縁面13Eが臨む分だけ、すなわち、液晶縁面13Eが第1フィルム11よりも外側に張り出す分だけ、2つの透明電極層11A,12Aの間が電気的に接続されることを抑えることが可能ともなる。
【0021】
調光シート10の表面10Fと対向する位置から調光シート10を見たとき、第2フィルム外周部12CDは、液晶層13からはみ出している。表面10Fと対向する位置から調光シート10を見たとき、第2フィルム外周部12CDは、第1フィルム11、および、液晶層13と重ならず、かつ、液晶縁面13Eの全周囲において、表面10Fと対向する位置に向けて臨む形状を有している。すなわち、液晶縁面13Eの第2フィルム12に接する最外周におけるいずれの位置と対向する視点から見ても、第2フィルム外周部12CDは、液晶縁面13Eによって隠された部分を有しない。
【0022】
第1フィルム端面11E、液晶縁面13E、および、第2フィルム外周部12CDによって、シート端部10Eが形成されている。シート端部10Eは、調光シート10の端部である。シート端部10Eは、封止材21によって被覆されている。封止材21は、調光シート10の表面10Fにおける端部、および、シート端部10Eの全体を覆い、これらと密着している。調光シート10の表面10Fにおける端部は、表面10Fと対向する位置から見た表面10Fの最外周を含む枠状を有した部分である。封止材21は、水分および酸素などを含む大気に対して高いガスバリア性を有し、かつ、大気中の水分および雨水などに対して低い吸水性を有する。
【0023】
封止材21を形成する材料は、熱硬化性樹脂、あるいは、光硬化性樹脂である。封止材21を形成する材料は、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン系樹脂、および、エポキシ系樹脂からならなる群から選択されるいずれか1種類である。アクリル系樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、および、メタクリルスチレン共重合体である。ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、および、スチレンブタジエンアクリロニトリル共重合体である。封止材21を形成する材料は、第1フィルム11、第2フィルム12、および、液晶層13との高い密着性が得られ、かつ、低い成形温度が得られる観点から、アクリル系樹脂であることが好ましい。また、封止材21を形成する材料は、調光シート10の縁を構成するうえで、高い曲げ強さと高い引っ張り強さとが得られる観点から、アクリル系樹脂であることが好ましい。言い換えれば、封止材21を形成する材料は、アクリル系樹脂であることが好ましい。アクリル系樹脂によれば、封止材21が調光シート10のシート端部10Eを覆うことによって、高い曲げ強さと高い引っ張り強さとを有した調光シート10の縁を得ることが可能である。なお、調光シート10の縁は、表面10Fと対向する位置から見て、調光シート10の最外周を含む枠状を有した部分である。
【0024】
図2が示すように、第1フィルム11は、透明電極層11Aと透明支持フィルム11Bとを備える多層体である。透明電極層12Aは、駆動部24に接続されている。
【0025】
第1フィルム11は、調光シート10の表面10Fと、第1フィルム端面11Eと、第1フィルム接触面11Cとを備える。第1フィルム端面11Eは、表面10Fを第1フィルム接触面11Cに接続する面である。第1フィルム端面11Eと第1フィルム接触面11Cとが形成する角度θ11はほぼ90°である。
【0026】
第1フィルム接触面11Cは、第1フィルム11において表面10Fの反対側に位置する。第1フィルム接触面11Cは、液晶層13の第1液晶接触面13C1に接する。第1フィルム11の厚さT1は、50μm以上500μm以下であり、例えば、100μmである。
【0027】
液晶層13は、第1液晶接触面13C1、第2液晶接触面13C2、および、液晶縁面13Eを備える。液晶縁面13Eは、第1液晶接触面13C1と、第2液晶接触面13C2とを接続する面である。すなわち、液晶縁面13Eは、第1液晶接触面13C1を第2液晶接触面13C2に接続する面である。表面10Fと直交する断面において、液晶縁面13Eと第2液晶接触面13C2との形成する角度θ13は90°未満である。液晶層13の厚さT3は、10μm以上100μm以下であり、例えば、20μm以下である。
【0028】
液晶層13は液晶分子を含む。液晶分子は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系からなる群から選択されるいずれか1種類である。なお、液晶層13は、所定の色を有し、液晶層13への駆動電圧の印加の有無に応じた液晶分子の運動を妨げない色素を含有可能である。
【0029】
液晶組成物の保持型式は、高分子ネットワーク型、高分子分散型、カプセル型からなる群から選択されるいずれか一種である。高分子ネットワーク型は、連続した液晶組成物の中に3次元の網目状を有した高分子ネットワークを備える。高分子ネットワーク型において、液晶層13が備える液晶組成物は、高分子ネットワークが有する空隙に保持されている。高分子分散型は、孤立した多数の空隙を高分子ネットワークのなかに備えて、高分子ネットワークに分散した空隙に液晶組成物を保持する。カプセル型は、カプセル状を有した液晶組成物を高分子ネットワークのなかに保持する。
【0030】
第2フィルム12は、透明電極層12Aと透明支持フィルム12Bとを備える多層体である。透明電極層12Aは、駆動部24に接続されている。
第2フィルム12は、調光シート10の裏面10Bと、第2フィルム端面12Eと、第2フィルム接触面12Cとを備える。第2フィルム端面12Eは、裏面10Bを第2フィルム接触面12Cに接続する面である。第2フィルム端面12Eと裏面10Bとの形成する角度θ12は90°である。第2フィルム接触面12Cは、第2フィルム12において裏面10Bの反対側に位置する。第2フィルム接触面12Cは、第2液晶接触面13C2と接する面を含む。すなわち、第2フィルム接触面12Cの一部が、第2液晶接触面13C2に接している。
表面10Fと対向する位置から見て、第2フィルム接触面12Cのうち、液晶層13からはみ出す領域が、第2フィルム外周部12CDである。
【0031】
第2フィルム外周部12CDは、表面10Fと対向する位置から見て、液晶層13の縁部に沿って位置し、第1フィルム11、および、液晶層13とは重ならず、表面10Fと対向する位置に向けて臨む形状を有している。表面10Fと対向する位置から見た第2フィルム外周部12CDの幅Lは、第1フィルム11の厚さT1と、液晶層13の厚さT3との総和以上である。第2フィルム外周部12CDの幅Lは、表面10Fと対向する位置から見た場合において、第2液晶接触面13C2の縁と、第2フィルム12の縁との間の距離である。
第2フィルム外周部12CDの幅を第1フィルム11の厚さT1と、液晶層13の厚さT3の総和以上とする分だけ、上述した被覆の容易性を高めることが可能であり、また、調光シート10の表面10Fと対向する位置から封止材21を配置する場合には、封止材21を配置することが容易ともなる。
上述したように、第1フィルム端面11Eと、液晶縁面13Eと、第2フィルム外周部12CDとが、調光シート10のシート端部10Eを形成している。
【0032】
例えば、大判の第1フィルム11、大判の第2フィルム12、および、これらに挟まれた大判の液晶層13を備えた1つの大判のシートから、複数の調光シート10が切り出される。シート端部10Eは、切り出された各調光シート10において、例えば、第1フィルム11の端部と、液晶層13の端部とを取り除くことによって形成される。第1フィルム11の端部は、表面10Fと対向する位置から見たときに、第1フィルム11の最外周を含む枠状を有した部分である。液晶層13の端部は、表面10Fと対向する位置から見たときに、液晶層13の最外周を含む枠状を有した部分である。
【0033】
各端部の取り除く際には、まず、第1フィルム11の端部において、表面10Fと対向する方向から切断刃が調光シート10に侵入し、第1フィルム11と液晶層13とが切断される。次に、調光シート10において、液晶層13と第2フィルム12との境界面に向けて切断刃が侵入し、切断された第1フィルム11の一部と液晶層13の一部とが、第2フィルム12から分離される。このとき、シート端部10Eは切断面から形成される。切断面は、切断時に生じる切断痕を有する。すなわち、シート端部10Eは切断痕を有する。切断痕は、例えば、表面10F、または、第2フィルム端面12Eにおける変形、および、シート端部10Eにおける擦過傷である。表面10Fまたは第2フィルム端面12Eにおける変形は、切断刃の押圧によって生じる。シート端部10Eにおける擦過傷は、切断刃の通過によって生じる。
【0034】
なお、上記切断刃をレーザーに変更することが可能である。切断刃をレーザーに変更した場合には、切断痕は、レーザーの照射やレーザーの通過によって生じる。例えば、表面10Fまたは第2フィルム端面12Eにおける変形は、レーザーの照射によって生じる。シート端部10Eにおける溶断痕は、レーザーの通過によって生じる。
【0035】
液晶層13は、第1フィルム11が備える透明電極層11Aと、第2フィルム12が備える透明電極層12Aとに挟まれている。透明電極層11A,12Aは、光透過性と導電性とを備える無機層、あるいは、有機層である。透明電極層11A,12Aを形成する材料は、例えば、錫ドープ酸化インジウム、酸化錫、フッ素ドープ酸化錫、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、銀合金薄膜からなる群から選択されるいずれか1種類である。
【0036】
透明支持フィルム11B,12Bは、透明樹脂製、あるいは、ガラス製である。透明支持フィルム11B,12Bは、可視光を透過する無色透明フィルム、あるいは、可視光の一部を透過する有色透明フィルムである。透明支持フィルム11B,12Bを形成する材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリサルホン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロースからなる群から選択されるいずれか1種類である。
【0037】
なお、第1フィルム11、および、第2フィルム12は、透明電極層11A,12A、および、透明支持フィルム11B,12B以外の機能層を有してもよい。
機能層の一例は、液晶層13および透明電極層11A,12Aを保護する。液晶層13および透明電極層11A,12Aを保護する機能層は、ガスバリア層および紫外線バリア層である。ガスバリア層は、透明支持フィルム11B,12Bと透明電極層11A,12Aとの間に位置する。機能層の一例は、光透過性の制御に寄与する。光透過性の制御に寄与する機能層は、配向層および偏光層である。配向層は、透明電極層11A,12Aと液晶層13との間に位置する。偏光層は、透明支持フィルム11B,12Bと透明電極層11A,12Aとの間に位置する。機能層の一例は、調光シート10の強度および耐熱性などを高める。当該機能層は、ハードコート層などである。ハードコート層は、透明支持フィルム11B,12Bの表面に位置する。さらに、機能層の一例は、第1フィルム11や第2フィルム12のなかの層間での接着性を高める層であってよい。
【0038】
[駆動部との接続構造]
図3に示すように、調光シート10は、表面10Fに開口する第1開口部11AHと、裏面10Bに開口する第2開口部12AHとを有する。調光シート10は、第1開口部11AHと第2開口部12AHとを通じて、駆動部24に接続されている。第1開口部11AHおよび第2開口部12AHは、第1フィルム端面11Eよりも内側に位置している。表面10Fと対向する位置から見て、第1フィルム11の最外周は枠状を有している。第1開口部11AHおよび第2開口部12AHは、表面10Fと対向する位置から見て、第1フィルム11の最外周には接しておらず、かつ、第1フィルム11によって囲まれる領域内に位置している。
【0039】
図4および図5に示すように、第1開口部11AHは、裏面10Bに開口し、第1フィルム11の透明電極層11Aまで達する有底孔である。すなわち、第1開口部11AHは、裏面10Bから第1フィルム接触面11Cまでにわたる有底孔である。第1開口部11AHは、調光シート10の裏面10Bと対向する方向から、第2フィルム12の一部分と、液晶層13の一部分とを取り除くことによって形成される。
【0040】
第2開口部12AHは、表面10Fに開口し、第2フィルム12の透明電極層12Aまで達する有底孔である。すなわち、第2開口部12AHは、表面10Fから第2フィルム接触面12Cまでにわたる有底孔である。第2開口部12AHは、調光シート10の表面10Fと対向する方向から、第1フィルム11の一部分と、液晶層13の一部分とを取り除くことによって形成される。
【0041】
封止材21は液晶縁面13Eの全周にわたり封止材21で覆いながらも、その封止材21と物理的に干渉することなく、各透明電極層11A,12Aと外部配線とを各開口部11AH,12AHを通じて接続させることができる。
【0042】
透明電極層11A,12Aは、導線部24A、および、接着部24Bを介して、駆動部24に接続されている。導線部24Aは、駆動部24に接続されている。接着部24Bは、導線部24Aを透明電極層11A,12Aに接着している。第1開口部11AH、および、第2開口部12AHには、封止材21が充填されている。導線部24Aは、例えば、フレキシブルプリント回路基板であって、接着部24Bは、例えば、異方性導電フィルムである。あるいは、導線部24Aは、例えば、リード線であって、接着部24Bは、例えば、半田である。
【0043】
上述した調光シート10では、液晶縁面13Eを被覆する封止材21が、液晶縁面13Eと、液晶縁面13Eに連続する第2フィルム外周部12CDとに支持される。液晶縁面13Eと第2フィルム外周部12CDとは、相互に連続する面である一方で、相互に異なる方向に広がる面である。そのため、例えば、液晶縁面13Eが有する面積が、液晶縁面13Eに向けた封止材21の配置では容易に被覆されがたい大きさであっても、第2フィルム外周部12CDが有する面積の分だけ、また、液晶縁面13Eと第2フィルム外周部12CDとの広がる方向が相違する分だけ、封止材21の配置は容易となる。
【0044】
言い換えれば、液晶層13の縁部を被覆する封止材21が、液晶層13の縁部に加えて、当該縁部から連続する第2フィルム外周部12CDに支持される。液晶層13の縁部と第2フィルム外周部12CDとは、相互に連続して、相互に異なる方向に広がる面である。そのため、液晶層13の縁部の面積が封止材21で容易に被覆されがたいほど小さくても、第2フィルム外周部12CDが有する面積の分だけ、調光シート10と封止材21との接する面積を拡大することができる。この際、液晶層13の縁部と第2フィルム外周部12CDとの広がる方向が相違する分だけ、調光シート10の厚さを厚くすることなく、調光シート10と封止材21との接する面積を拡大することができる。結果として、調光シート10の端部を封止材21によって被覆することが容易となる。
【0045】
また、液晶縁面13Eと第2フィルム外周部12CDとが、表面10Fと対向する位置に向かって臨む形状を有するため、液晶縁面13Eに対する封止材21による被覆作業を、表面10Fと対向する位置のみから、調光シート10の全周にわたって実行可能ともなる。
【0046】
以上、上記実施形態によれば、以下に列記する効果が得られる。
(1)液晶縁面13Eを被覆する封止材21が、液晶縁面13Eと、液晶縁面13Eと連続する第2フィルム外周部12CDとに支持される。液晶縁面13Eと第2フィルム外周部12CDとは、相互に連続する面である一方で、相互に異なる方向に広がる面である。そのため、第2フィルム外周部12CDが有する面積の分だけ、調光シート10と封止材21との接する面積を拡大することができる。また、液晶縁面13Eと第2フィルム外周部12CDとの広がる方向が相違する分だけ、調光シート10の厚さを厚くすることなく、調光シート10と封止材21との接する面積を拡大することができる。結果として、第2フィルム外周部12CDを備えた加工直後の状態から、液晶層13の特性劣化を抑えることが可能となる。
【0047】
(2)第2フィルム外周部12CDの幅を第1フィルム11の厚さと液晶層13の厚さとの総和以上とする分だけ、液晶縁面13Eを封止材21によって被覆することが容易である。
【0048】
(3)表面10Fと対向する位置のみから、調光シート10の全周にわたって封止材21を配置することが可能であるから、封止材21を被覆する作業の負荷が軽減される。また、封止材21を被覆する作業の精度が向上可能でもあるため、調光シート10の普及に際して、より有益な効果を奏する。
【0049】
(4)表面10Fと対向する位置から見て、液晶縁面13Eは、第1フィルム11とは重ならず、かつ、第1フィルム11の周囲から、表面10Fと対向する位置に向けて臨んでいる。また、第1液晶接触面13C1の端点と第1フィルム端面11E上の任意の点とを結ぶ仮想線と、第1液晶接触面13C1とが形成する角度θ11が90°以下であり、かつ、液晶縁面13Eと第2液晶接触面13C2とが形成する角度θ13が90°未満である。これにより、第1フィルム端面11Eと第2フィルム外周部12CDとの間の距離を延長することが可能であって、透明電極層11Aと透明電極層12Aとの間での意図しない短絡を抑えることが可能となる。
【0050】
(5)表面10Fと対向する位置から見て、液晶縁面13Eと第2フィルム外周部12CDとが、表面10Fと対向する位置に向けて臨む形状を有するため、表面10Fと対向する方向のみから、調光シート10の全周にわたって、封止材21を配置することが可能ともなる。
【0051】
(6)調光シート10は、第1フィルム11の外縁より内側に開口部を備え、開口部を通じて、透明電極層11A,12Aと駆動部24とが接続される。そのため、シート端部10Eの封止を保ちつつ、調光シート10と駆動部24とを接続することが可能ともなる。
【0052】
(7)透明電極層11Aに通じる第1開口部11AHが、調光シート10の裏面10Bに開口し、かつ、透明電極層11Aに通じる第2開口部12AHが、調光シート10の表面10Fに開口する。そのため、透明電極層11Aと駆動部24とが接続される際には、透明電極層11Aが透明支持フィルム11Bに支持される。また、透明電極層12Aと駆動部24とが接続される際には、透明電極層12Aが透明支持フィルム12Bに支持される。すなわち、各透明電極層11A,12Aに向けた接続用の押圧力は、液晶層13などの他の層を圧し潰すことがない。それゆえに、各透明電極層11A,12Aと駆動部24との接続に十分な押圧力を加えることが可能ともなる。
【0053】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
・第2フィルム外周部12CDの幅Lは、第1フィルム11の厚さT1と液晶層13の厚さT3の厚さとの総和未満であってもよい。要は、第2フィルム接触面12Cが第2フィルム外周部12CDを備えていれば、上記(1)に準じた効果を得ることは可能である。
【0054】
・液晶縁面13Eと第2液晶接触面13C2とが形成する角度θ13が、液晶縁面13E上の各点において等しい構成に限らず、液晶縁面13E上の任意の二点を結ぶ仮想線と、第2液晶接触面13C2とが形成する角度θ13が90°未満であれば、上記(4)に準じた効果を得ることは可能である。すなわち、液晶縁面13E上の任意の二点を結ぶ仮想線と、第2液晶接触面13C2とが形成する角度θ13が90°未満である分だけ、2つの透明電極層11A,12Aが電気的に接続されることを抑えることが可能ともなる。
【0055】
例えば、液晶縁面13E上の任意の二点を結ぶ仮想線と、第2液晶接触面13C2とが形成する角度が90°未満であることを第1条件とする。液晶縁面13Eは、表面10Fと直交する断面において、この第1条件が満たされる範囲内で、調光シート10の外側に向けて緩やかに張り出す円弧状を有してもよく、調光シート10の内側に向けて緩やかに窪む円弧状を有してもよい。
【0056】
・封止材21は、シート端部10Eの全体を覆わなくともよく、シート端部10Eのうち封止材21によって被覆された領域の周囲から、第2フィルム外周部12CDの一部が封止材21から露出してもよい。すなわち、封止材21が液晶縁面13Eと液晶縁面13Eに隣接する領域とを被覆していれば、上記(1)~(7)に準じた効果を得ることは可能である。ただし、シート端部10Eと封止材21との間の接触面積を広げることによって、シート端部10Eを封止材21によって容易に被覆することを可能とするという観点からすれば、封止材21がシート端部10Eの全体を覆うことが好ましい。
【0057】
・調光シート10と駆動部24との接続は、図6(a)、図6(b)、および、図6(c)に示すように行ってもよい。すなわち、まず、図6(a)に示すように、裏面10Bと対向する方向から加工線Aによって区画される領域において、第2フィルム12の一部と液晶層13の一部とを取り除く。また、表面10Fと対向する方向から加工線Bによって区画される領域において、第1フィルム11の一部と液晶層13の一部とを取り除く。これにより、図6(b)に示すように、透明電極層11A,12Aの一部が露出される。そして、図6(c)に示すように、調光シート10に駆動部24を接続する。最後に、封止材21によって、シート端部10Eと、露出させた透明電極層11A,12Aの一部とを被覆する。なお、図6(c)では、裏面10Bと対向する位置に向けて露出した透明電極層11Aを被覆する封止材21にドットが付されている。
【0058】
上述した方法であれば、上記(5)の効果に代えて、以下の効果を得ることが可能である。すなわち、上述した開口部11AH,12AHを調光シート10に形成する方法と比べて、透明電極層11A,12Aの一部分を、さらに容易に露出させることが可能となる。
【0059】
なお、図6(c)に示すように、上述した構成では、シート端部10Eの切断面C、および、切断面C’にて、封止材21による被覆が不連続となる。そのため、シート端部10Eでの封止性を高める観点では、調光シート10が上述した開口部11AH,12AHを備えることが好ましい。
【0060】
・第1開口部11AHは、調光シート10の表面10Fと対向する位置から見て、透明支持フィルム11Bのみを取り除くことによって形成され、それによって、第1開口部11AHは、表面10Fから透明電極層11Aまで達する有底孔として具体化されてもよい。また、第2開口部12AHは、調光シート10の裏面10Bと対向する位置から見て、透明支持フィルム12Bのみを取り除くことによって形成され、それによって、第2開口部12AHは、裏面10Bから透明電極層12Aまで達する有底孔として具体化されてもよい。この変更例であっても、上記(5)に準じた効果を得ることは可能である。
【0061】
図7に示すように、表面10Fと直交する断面において、第1フィルム端面11Eと第1フィルム接触面11Cとが形成する角度θ11が90°であり、かつ、液晶縁面13Eと第2液晶接触面13C2とが形成する角度θ13が90°であってもよい。すなわち、表面10Fと直交する断面において、第1フィルム端面11Eと液晶縁面13Eとは、表面10Fと直交する単一の直線上に位置してもよい。
【0062】
この変更例によれば、シート端部10Eの形成を容易に行うことが可能ともなる。また、第1フィルム端面11Eが有する面積分だけ、また、第1フィルム端面11Eと液晶縁面13Eとが単一の平面と見なせる分だけ、液晶縁面13Eを擬似的に広げること、ひいては、調光シート10の端部を封止材21によって被覆することが、さらに容易となる。
【0063】
図8に示すように、第1フィルム端面11Eの全体が、表面10Fと対向する位置に向けて臨む形状を有してもよい。言い換えれば、表面10Fの最外周におけるいずれの位置から見ても、第1フィルム端面11Eの全体が、表面10Fよりも外側に張り出していてもよい。すなわち、表面10Fと直交する断面において、第1フィルム端面11Eと第1フィルム接触面11Cとが形成する角度θ11は、90°未満であってもよい。この際、表面10Fと直交する断面において、第1フィルム端面11Eと液晶縁面13Eとは、表面10Fに対して傾斜した単一の直線上に位置してもよい。
【0064】
さらに、第2フィルム端面12Eの全体が、表面10Fと対向する位置に向けて臨む形状を有してもよい。言い換えれば、第2フィルム接触面12Cの最外周におけるいずれの位置から見ても、第2フィルム端面12Eの全体が、第2フィルム接触面12Cよりも外側に張り出していてもよい。すなわち、表面10Fと直交する断面において、第2フィルム端面12Eと裏面10Bとが形成する角度θ12が90°未満であってもよい。
【0065】
これらの変更例によれば、第1フィルム端面11E上の仮想線と第1フィルム接触面11Cとが形成する角度θ11が90°である構成と比べて、調光シート10と封止材21との接触する面積がさらに広がるため、調光シート10と封止材21との密着性をさらに高めることが可能ともなる。そして、液晶縁面13E、および、第2フィルム端面12Eに関しても、同様の効果が得られる。
また、各変更例によれば、調光シート10と封止材21との接触面積をさらに広げて、調光シート10と封止材21との密着性をさらに高めることが可能ともなる。
【0066】
・表面10Fと直交する断面において、第1フィルム端面11Eと液晶縁面13Eとは、相互に連続した直線状を形成しなくともよい。すなわち、第1フィルム端面11Eが第1フィルム接触面11Cと形成する角度θ11と、液晶縁面13Eと第2液晶接触面13C2とが形成する角度θ13とが異なる構成であっても、上記各効果に準じた効果を得ることは可能である。
【0067】
・第1フィルム端面11Eと第1液晶接触面13C1とが形成する角度θ11が、第1フィルム端面11E上の各点において等しい、すなわち90°である場合に限らず、調光シート10は、第1フィルム端面11E上の任意の二点を結ぶ仮想線と、第1フィルム接触面11Cとが形成する角度が、90°未満である部分を含んでもよい。この際、第1フィルム端面11E上の任意の二点を結ぶ仮想線と、第1フィルム接触面11Cとが形成する角度が90°未満である範囲では、第1フィルム端面11Eは、表面10Fと直交する断面において、外側に向けて緩やかに張り出す円弧状を有してもよく、内側に向けて緩やかに窪む円弧状を有してもよい。この場合においても、上記効果に準じた効果を得ることは可能である。
またこの場合には、調光シート10と封止材21との接触面積をさらに広げ、結果として、調光シート10と封止材21との密着性をさらに高めることが可能ともなる。
【0068】
・第2フィルム端面12Eと裏面10Bとが形成する角度θ12が、第2フィルム端面12E上の各点において等しい、すなわち90°である場合に限らず、調光シート10は、第2フィルム端面12E上の任意の二点を結ぶ仮想線と、第2フィルム接触面12Cとが形成する角度が90°未満である部分を含んでもよい。この際、第2フィルム端面12E上の任意の二点を結ぶ仮想線と、第2フィルム接触面12Cとが形成する角度が90°未満である範囲では、第2フィルム端面12Eは、表面10Fと直交する断面において、外側に向けて緩やかに張り出す円弧状を有してもよく、内側に向けて緩やかに窪む円弧状を有してもよい。この場合においても、上記効果に準じた効果を得ることは可能である。
またこの場合には、調光シート10と封止材21との接触面積をさらに広げ、結果として、調光シート10と封止材21との密着性をさらに高めることが可能ともなる。
【0069】
・表面10Fと直交する断面において、各開口部11AH,12AHの内側の側面、すなわち各開口部11AH,12AHを区画する側面は、図2、または、図8に示すシート端部10Eと同様に、液晶層13の端面、および、フィルム11,12の端面が、各透明電極層11A,12Aに対して傾斜した形状であってもよい。すなわち、第1開口部11AHと対向する位置から見て、第1開口部11AHの側面における少なくとも一部が当該位置に向けて臨んでもよい。すなわち、第1開口部11AHの側面における少なくとも一部が、裏面10Bに位置する第1開口部11AHの開口よりも内側に張り出してもよい。また、第2開口部12AHと対向する位置から見て、第2開口部12AHの側面における少なくとも一部が当該位置に向けて臨んでもよい。すなわち、第2開口部12AHの側面における少なくとも一部が、表面10Fに位置する第2開口部12AHの開口よりも内側に張り出してもよい。
【0070】
このとき、第1開口部11AHの側面は、液晶層13、および、第2フィルム12の切断面である。切断面は、液晶層13の一部、および、第2フィルム12の一部が取り除かれることによって形成された面である。また、第2開口部12AHの側面は、第1フィルム11、および、液晶層13の切断面である。切断面は、第1フィルム11の一部、および、液晶層13の一部が取り除かれることによって形成された面である。
【0071】
上述した構成によれば、各開口部11AH,12AHの側面が各透明電極層11A,12Aに対して傾く分だけ、開口部11AH,12AHに充填された封止材21と、各開口部11AH,12AHの側面との接触する面積が広がる。結果として、封止材21と調光シート10との密着性を、各開口部11AH,12AHにおいても高めることが可能である。
【0072】
またこの場合には、各開口部11AH,12AHの側面と各開口部11AH,12AHを被覆する封止材21との密着性を向上させることが可能となる。ひいては、各透明電極層11A,12Aと外部配線との接続に要する開口部11AH,12AHにおいても、液晶層13の封止性を高めることが可能ともなる。
【0073】
図9が示すように、調光シート10は、一対の透明支持体23に挟まれることによって、一対の透明支持体23の間に位置する透明粘着層22に内包されてもよい。
透明粘着層22は、接着力と光透過性とを備えた材料から形成される。透明粘着層22を形成する材料は、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)、または、ポリビニルブチラール(PVB)である。透明粘着層22は、可塑剤を含んでいる。調光シート10を一対の透明支持体23によって挟むとき、調光シート10は、一方の透明支持体23に形成された透明粘着層22と、他方の透明支持体23に形成された透明粘着層22とに挟まれた後に加熱圧着される。加熱された一対の透明粘着層22は、互いに溶融することによって、調光シート10を内包する。この変更例においても、上述した効果に準じた効果を得ることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9