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特許7533454蓄電デバイス、蓄電デバイス集合体、電動自動車及び蓄電デバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】蓄電デバイス、蓄電デバイス集合体、電動自動車及び蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/317 20210101AFI20240806BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/126 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240806BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240806BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240806BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20240806BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20240806BHJP
【FI】
H01M50/317 101
H01M50/35 101
H01M50/105
H01M50/126
H01M50/211
H01M50/244 Z
H01M50/249
H01M50/204 401H
B60K1/04
H01G11/10
H01G11/80
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2021524663
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2020006068
(87)【国際公開番号】W WO2020246072
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2019104888
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019104889
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019104890
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019104891
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019104892
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019104893
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 淳
(72)【発明者】
【氏名】望月 洋一
(72)【発明者】
【氏名】高萩 敦子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美帆
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-079521(JP,A)
【文献】中国実用新案第204793061(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0049737(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0067246(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0002992(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第105789518(CN,A)
【文献】特開2016-152231(JP,A)
【文献】特開2005-222788(JP,A)
【文献】特開2016-162491(JP,A)
【文献】特開平04-328241(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0003909(KR,A)
【文献】国際公開第2006/098242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/20-50/298
H01M 50/10-50/198
B60K 1/04
H01G 11/10
H01G 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記収納部の深さ方向において、前記第1部分の長さは前記第2部分の長さよりも長く、前記第1部分と前記第2部分との境界には段差が形成され、前記第2部分は、前記通気路内に形成されたピラーを有することを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項2】
前記第1方向の前記第2部分の長さは、前記収納部の深さ方向の前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第1方向の前記第2部分の長さは、前記収納部の深さ方向の前記第2部分の長さよりも長く、
前記第2部分は、前記通気路内に形成されたピラーを有することを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項4】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第2部分は前記第1方向の端部に近づくほど薄く形成された翼状延端部を有するとともに、前記通気路内に形成されたピラーを有することを特徴とす蓄電デバイス。
【請求項5】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第2部分の外表面には、周方向に延びる凸条部が少なくとも1つ形成されており、
前記第2部分は、前記通気路内に形成されたピラーを有することを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項6】
前記第1方向の前記通気路の長さは、前記収納部の深さ方向の前記通気路の長さよりも長いことを特徴とする請求項または請求項に記載の蓄電デバイス。
【請求項7】
前記通気路の断面形状は円形であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項8】
前記第2部分において、前記第1部分側とは反対側の端部の外周側の角が丸みを帯びていることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項9】
前記第2部分の外表面は梨地であることを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項10】
前記第2部分は前記通気路の中心軸に直交する断面の外形を多角形に形成され、前記多角形の角が丸みを帯びていることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項11】
前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方の外表面の少なくとも一部に平面が形成されていることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項12】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記収納部の深さ方向において、前記第1部分の長さは前記第2部分の長さよりも長く、前記第1部分と前記第2部分との境界には段差が形成され、
前記第1部分及び前記第2部分は異なる材料で構成されており、前記第1部分の材料の融点が前記第2部分の材料の融点よりも高いことを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項13】
前記第1方向の前記第2部分の長さは、前記収納部の深さ方向の前記第2部分の長さよりも長いことを特徴とする請求項12に記載の蓄電デバイス。
【請求項14】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第1方向の前記第2部分の長さは、前記収納部の深さ方向の前記第2部分の長さよりも長く、
前記第1部分及び前記第2部分は異なる材料で構成されており、前記第1部分の材料の融点が前記第2部分の材料の融点よりも高いことを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項15】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第2部分は前記第1方向の端部に近づくほど薄く形成された翼状延端部を有し、
前記第1部分及び前記第2部分は異なる材料で構成されており、前記第1部分の材料の融点が前記第2部分の材料の融点よりも高いことを特徴とす蓄電デバイス。
【請求項16】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第2部分の外表面には、周方向に延びる凸条部が少なくとも1つ形成され、
前記第1部分及び前記第2部分は異なる材料で構成されており、前記第1部分の材料の融点が前記第2部分の材料の融点よりも高いことを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項17】
前記第1方向の前記通気路の長さは、前記収納部の深さ方向の前記通気路の長さよりも長いことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の蓄電デバイス。
【請求項18】
前記通気路の断面形状は円形であることを特徴とする請求項12~請求項17のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項19】
前記第2部分において、前記第1部分側とは反対側の端部の外周側の角が丸みを帯びていることを特徴とする請求項12~請求項18のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項20】
前記第2部分の外表面は梨地であることを特徴とする請求項12~請求項19のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項21】
前記第2部分は前記通気路の中心軸に直交する断面の外形を多角形に形成され、前記多角形の角が丸みを帯びていることを特徴とする請求項12~請求項20のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項22】
前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方の外表面の少なくとも一部に平面が形成されていることを特徴とする請求項12~請求項21のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項23】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記弁装置の内端は前記収納部の外側端縁よりも外側に位置し、前記通気路の延びる方向に沿って視たときに、前記第1部分の外形は前記第2部分の外形から前記収納部の深さ方向においてはみ出しており、
前記周縁シール部の内側端縁は前記弁装置の近傍に位置して前記弁装置と交差する第1ラインと、前記周縁シール部の内側端縁の延びる方向に沿って前記第1ラインの両側にそれぞれ隣接する第2ライン及び第3ラインとを含み、前記第1ラインは、前記第2ライン及び前記第3ラインよりも外側に位置することを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項24】
熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備え、
前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記弁装置の内端は前記収納部の外側端縁よりも外側に位置し、前記第1部分は前記第2部分よりも前記通気路の延びる方向に直交する断面における断面積が大きく、
前記周縁シール部の内側端縁は前記弁装置の近傍に位置して前記弁装置と交差する第1ラインと、前記周縁シール部の内側端縁の延びる方向に沿って前記第1ラインの両側にそれぞれ隣接する第2ライン及び第3ラインとを含み、前記第1ラインは、前記第2ライン及び前記第3ラインよりも外側に位置することを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項25】
前記通気路の延びる方向に沿って視たときに、前記第1部分の外形は前記第2部分の外形から前記収納部の深さ方向においてはみ出していることを特徴とする請求項24に記載の蓄電デバイス。
【請求項26】
前記弁装置の内端は、少なくとも前記周縁シール部の内側端縁まで達していることを特徴とする請求項23~請求項25のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項27】
前記第1部分は前記周縁シール部の外側端縁よりも外側に位置することを特徴とする請求項23~請求項26のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項28】
前記弁装置の内端は、前記周縁シール部の内側端縁から前記収納部に向かって突出していることを特徴とする請求項23~請求項27のいずれかに記載の蓄電デバイス。
【請求項29】
請求項1~請求項28のいずれかに記載の蓄電デバイスを前記収納部の深さ方向に複数並設して外装容器に収納し、電動自動車に搭載される蓄電デバイス集合体において、複数の前記蓄電デバイスを並設した方向の長さが前記第2方向の長さよりも大きいことを特徴とする蓄電デバイス集合体。
【請求項30】
前記外装容器が載置される載置部材を備え、前記載置部材が温度調整機能を有することを特徴とする請求項29に記載の蓄電デバイス集合体。
【請求項31】
前記外装容器が載置される載置部材を備え、前記載置部材が液体吸収材により形成されることを特徴とする請求項29に記載の蓄電デバイス集合体。
【請求項32】
請求項29~請求項31のいずれかに記載の蓄電デバイス集合体と、前記蓄電デバイス集合体から電力供給される駆動モータと、前記駆動モータにより駆動される車輪とを備え、前記蓄電デバイス集合体が車体底部に高さ方向に1段で配置されることを特徴とする電動自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動自動車に搭載される蓄電デバイス及びその製造方法に関する。また本発明は蓄電デバイスを用いた蓄電デバイス集合体及び電動自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境対策や省資源化等の観点から、駆動力の少なくとも一部をモータが供給する電動自動車が注目されている。この電動自動車には、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等がある。電気自動車はモータのみを動力源とし、ハイブリッド自動車及びプラグインハイブリッド自動車はモータ及びエンジンを動力源とする。
【0003】
電動自動車に搭載される従来の蓄電デバイスは特許文献1に開示される。この蓄電デバイスは電池素子を外装部材により覆う平面視矩形の薄型二次電池から成っている。電池素子はセパレータを介して正極板と負極板とを対向配置し、正極板と負極板との間には電解質が配される。外装部材は金属箔を有した2つの積層体を熱接着性樹脂層により熱接着して電池素子を封入する。この時、正極板及び負極板にそれぞれ接続される端子が外装部材から突出する。
【0004】
蓄電デバイスは厚さ方向に積み重ねられるとともに平面視矩形の短手方向に並設され、複数の蓄電デバイスから成る組電池が形成される。また組電池は蓄電デバイスの厚さ方向に積み重ねられ、複数の組電池から成る複合組電池が電動自動車のフロア下に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3719235号公報(第4頁~第11頁、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の蓄電デバイスによると、車載時に高さ方向に積み重ねられるため下方の蓄電デバイスに上方の蓄電デバイスの重量が加わる。これにより、積層体から成る外装部材が変形し、車の振動等によって加重が大きくなると外装部材が破損する場合がある。このため、蓄電デバイス及び電動自動車の信頼性が低下する問題があった。
【0007】
本発明は、信頼性を向上できる蓄電デバイス、蓄電デバイス集合体及び電動自動車を提供することを目的とする。また本発明は信頼性を向上できる蓄電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、 熱接着性樹脂層を有する積層体の外装部材に蓄電素子を封入し、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が対向する前記熱接着性樹脂層を互いに熱接着した周縁シール部と、前記周縁シール部に対して所定の深さで形成されるとともに前記蓄電素子を収納する収納部とを有し、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、
少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記外装部材に取り付けられるともに、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置を更に備えたことを特徴としている。
【0009】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第2部分の内端が前記周縁シール部の内側端縁から前記収納部に向かう方向に突出することを特徴としている。
【0010】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記収納部が前記周縁シール部の前記内側端縁よりも内側に配置され、前記第2部分の内端が前記収納部の外側端縁よりも内側に位置することを特徴としている。
【0011】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記通気路の延びる方向に沿って視たときに、前記第1部分の外形は前記第2部分の外形から前記収納部の深さ方向においてはみ出していることを特徴としている。
【0012】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1部分は前記周縁シール部の外側端縁よりも外側に位置することを特徴としている。
【0013】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1部分は前記第2部分よりも前記通気路の延びる方向に直交する断面における断面積が大きいことを特徴としている。
【0014】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記収納部の深さ方向において、前記第1部分の長さは前記第2部分の長さよりも長く、前記第1部分と前記第2部分との境界には段差が形成されていることを特徴としている。
【0015】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1方向の前記第2部分の長さは、前記収納部の深さ方向の前記第2部分の長さよりも長いことを特徴としている。
【0016】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第1方向の前記第2部分の長さは、前記収納部の深さ方向の前記第2部分の長さよりも長いことを特徴としている。
【0017】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第2部分は前記第1方向の端部に近づくほど薄く形成された翼状延端部を有することを特徴としている。
【0018】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第2部分の外表面には、周方向に延びる凸条部が少なくとも1つ形成されていることを特徴としている。
【0019】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記通気路の断面形状は円形であることを特徴としている。
【0020】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1方向の前記通気路の長さは、前記収納部の深さ方向の前記通気路の長さよりも長いことを特徴としている。
【0021】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第2部分において、前記第1部分側とは反対側の端部の外周側の角が丸みを帯びていることを特徴としている。
【0022】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第2部分は、前記通気路内に形成されたピラーを有することを特徴としている。
【0023】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第2部分の外表面は梨地であることを特徴としている。
【0024】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第2部分は前記通気路の中心軸に直交する断面の外形を多角形に形成され、前記多角形の角が丸みを帯びていることを特徴としている。
【0025】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1部分及び前記第2部分の少なくとも一方の外表面の少なくとも一部に平面が形成されていることを特徴としている。
【0026】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1部分及び前記第2部分は異なる材料で構成されており、前記第1部分の材料の融点が前記第2部分の材料の融点よりも高いことを特徴としている。
【0027】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記弁装置の内端は前記収納部の外側端縁よりも外側に位置し、前記通気路の延びる方向に沿って視たときに、前記第1部分の外形は前記第2部分の外形から前記収納部の深さ方向においてはみ出していることを特徴としている。
【0028】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させる弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記弁装置の内端は前記収納部の外側端縁よりも外側に位置し、前記第1部分は前記第2部分よりも前記通気路の延びる方向に直交する断面における断面積が大きいことを特徴としている。
【0029】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記通気路の延びる方向に沿って視たときに、前記第1部分の外形は前記第2部分の外形から前記収納部の深さ方向においてはみ出していることを特徴としている。
【0030】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置の内端は、少なくとも前記周縁シール部の内側端縁まで達していることを特徴としている。
【0031】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1部分は前記周縁シール部の外側端縁よりも外側に位置することを特徴としている。
【0032】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置の内端は、前記周縁シール部の内側端縁から前記収納部に向かって突出していることを特徴としている。
【0033】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記周縁シール部の内側端縁は前記弁装置の近傍に位置して前記弁装置と交差する第1ラインと、前記周縁シール部の内側端縁の延びる方向に沿って前記第1ラインの両側にそれぞれ隣接する第2ライン及び第3ラインとを含み、前記第1ラインは、前記第2ライン及び前記第3ラインよりも外側に位置することを特徴としている。
【0034】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置している第1部分と、前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれている第2部分とを含み、前記周縁シール部は、前記第2部分を前記熱接着性樹脂層によって挟む挟持部分の外表面に凹凸を形成されていることを特徴としている。
【0035】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記凹凸は、前記挟持部分の外表面において前記弁装置の周方向に延びる凹条部によって構成されており、前記凹条部の深さは、0.05mm~0.1mmであることを特徴としている。
【0036】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記周縁シール部の一面に設けられた前記凹条部の位置と、他面に設けられた前記凹条部の位置とが、前記収納部の深さ方向に重ならないことを特徴としている。
【0037】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記凹凸は、前記挟持部分の外表面に形成された梨地によって構成されており、前記梨地の表面粗さRaは、1μm~20μmであることを特徴としている。
【0038】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記周縁シール部の一面に設けられた前記凹凸は、第1凹部と、前記第1凹部よりも前記収納部の深さ方向の外側に突出した第1凸部とを含み、
前記周縁シール部の他面に設けられた前記凹凸は、第2凹部と、前記第2凹部よりも前記収納部の深さ方向の外側に突出した第2凸部とを含み、
前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部が丸みを帯びていることを特徴としている。
【0039】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスを前記外装部材の外部へ排出する通気路が形成された筐体と、前記筐体に保持されるとともに前記外装部材の内部において発生した前記ガスに起因して前記外装部材の内圧が上昇した場合に前記ガスを前記通気路を介して前記外装部材の外部へ通過させる弁機構とを有し、前記筐体の外周面上には前記外装部材の外側に配される平行な第1平面及び第2平面が設けられることを特徴としている。
【0040】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記筐体は、前記外装部材に固定される取付部と、前記外装部材の外側に配置されて前記弁機構を保持する弁機能部と、前記取付部と前記弁機能部との間に配置されて前記第1平面及び前記第2平面を設けられる平行部とを有することを特徴としている。
【0041】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記筐体は、前記外装部材に固定される取付部と、前記外装部材の外側に配置されて前記弁機構を保持する弁機能部と、前記弁機能部の外側に配置されて前記第1平面及び前記第2平面を設けられる平行部とを有することを特徴としている。
【0042】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記筐体は、前記外装部材に固定される取付部と、前記外装部材の外側に配置されて前記弁機構を保持するとともに前記第1平面及び前記第2平面を設けられる弁機能部とを有することを特徴としている。
【0043】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記筐体は、前記外装部材に固定されて前記弁機構を保持する取付部を有し、前記第1平面及び前記第2平面が前記外装部材の外側の前記筐体上に配されることを特徴としている。
【0044】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記取付部の軸方向に垂直な断面形状が非円形であることを特徴としている。
【0045】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記取付部は、中央部から前記周縁シール部に沿った第1方向に向かうほど薄く形成された第1翼状部と、前記第1方向と反対の第2方向に向かうほど薄く形成された第2翼状部とを有することを特徴としている。
【0046】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1平面及び前記第2平面は、前記第1方向及び前記第2方向に平行または垂直であることを特徴としている。
【0047】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記弁装置は、前記外装部材に取り付けられる取付部と、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させるように構成される弁機能部と、前記取付部と前記弁機能部との間に設けられるとともに前記取付部内を通過したガスを前記弁機能部内へ通過させるように構成されたガス通過部とを有し、前記弁機能部が前記外装部材の外周よりも外側に位置することを特徴としている。
【0048】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記ガス通過部の長さが10mm以上であることを特徴としている。
【0049】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記ガス通過部が曲げ伸ばし可能な柔軟性を備えていることを特徴としている。
【0050】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記ガス通過部が内部に乾燥剤を保持することを特徴としている。
【0051】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、25℃環境において、JIS Z2331:2006の「ヘリウム漏れ試験方法」における「真空吹付け法(スプレー法)」に規定された方法に準拠して測定される、前記弁装置の二次側から一次側へのヘリウムリーク量が5.0×10-11Pa・m3/sec以上、5.0×10-6Pa・m3/sec以下であることを特徴としている。
【0052】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が前記収納部の深さ方向から見て略矩形を有し、前記第2方向の一端の底辺を除く3辺のいずれかに前記弁装置を取り付けられることを特徴としている。
【0053】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記外装部材が第1包装材及び第2包装材により形成され、前記積層体は、少なくとも、基材層、バリア層及び前記熱接着性樹脂層をこの順に有し、前記第1包装材と前記第2包装材とは、前記熱接着性樹脂層が互いに対向するように配置されていることを特徴としている。
【0054】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記収納部の前記第1方向の長さが前記第2方向の長さよりも大きいことを特徴としている。
【0055】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記収納部の前記第1方向の長さが前記第2方向の長さの2倍~30倍であることを特徴としている。
【0056】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1方向に延びる前記周縁シール部が折曲により前記収納部の周壁上に重ねられることを特徴としている。
【0057】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記外装部材の流れ方向が前記第1方向に直交することを特徴としている。
【0058】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記蓄電素子が第1電極端子及び第2電極端子を有し、前記第1電極端子及び前記第2電極端子が前記第2方向に延びる前記周縁シール部から突出することを特徴としている。
【0059】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスにおいて、前記第1電極端子及び前記第2電極端子が前記第1方向に対向する前記周縁シール部からそれぞれ突出することを特徴としている。
【0060】
また本発明は、上記各構成の蓄電デバイスを前記収納部の深さ方向に複数並設して外装容器に収納し、電動自動車に搭載される蓄電デバイス集合体において、複数の前記蓄電デバイスを並設した方向の長さが前記第2方向の長さよりも大きいことを特徴としている。
【0061】
また本発明は上記構成の蓄電デバイス集合体において、前記外装容器が載置される載置部材を備え、前記載置部材が温度調整機能を有することを特徴としている。
【0062】
また本発明は上記構成の蓄電デバイス集合体において、前記外装容器が載置される載置部材を備え、前記載置部材が液体吸収材により形成されることを特徴としている。
【0063】
また本発明の電動自動車は、上記構成の蓄電デバイス集合体と、前記蓄電デバイス集合体から電力供給される駆動モータと、前記駆動モータにより駆動される車輪とを備え、前記蓄電デバイス集合体が車体底部に高さ方向に1段で配置されることを特徴としている。
【0064】
また本発明は、電動自動車に駆動源として搭載される蓄電デバイスの製造方法において、熱接着性樹脂層を有する積層体の第1包装材及び第2包装材を有した外装部材を準備する工程と、前記第1包装材に所定の深さで形成された収納部に蓄電素子を収納するとともに前記第1包装材及び前記第2包装材の周縁部を周縁シール部により接合して前記外装部材により包装する工程とを備え、前記収納部と外部空間とを連通可能にする弁装置が少なくとも部分的に前記周縁シール部において前記第1包装材と前記第2包装材との間に挟まれて前記外装部材に取り付けられ、前記収納部の深さ方向及び前記収納部の深さ方向に直交する第1方向が電動自動車の前後方向または左右方向に配置されるとともに、前記収納部の深さ方向及び前記第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置され、前記収納部の前記第1方向の長さが前記第2方向の長さよりも大きいことを特徴としている。
【0065】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記収納部において発生したガスを前記外部空間へ排出する弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、前記第2部分の内端が前記周縁シール部の内側端縁から前記収納部に向かう方向に突出することを特徴としている。
【0066】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記収納部において発生したガスを前記外部空間へ排出する弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記収納部の深さ方向において、前記第1部分の長さは前記第2部分の長さよりも長く、前記第1部分と前記第2部分との境界には段差が形成されていることを特徴としている。
【0067】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記収納部において発生したガスを前記外部空間へ排出する弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第1方向の前記第2部分の長さは、前記収納部の深さ方向の前記第2部分の長さよりも長いことを特徴としている。
【0068】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記収納部において発生したガスを前記外部空間へ排出する弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第2部分は前記第1方向の端部に近づくほど薄く形成された翼状延端部を有することを特徴としている。
【0069】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記収納部において発生したガスを前記外部空間へ排出する弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、
前記第1部分は前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置しており、前記第2部分の少なくとも一部は前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれ、
前記第2部分の外表面には、周方向に延びる凸条部が少なくとも1つ形成されていることを特徴としている。
【0070】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記収納部において発生したガスを前記外部空間へ排出する弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、前記弁装置の内端は前記収納部の外側端縁よりも外側に位置し、前記通気路の延びる方向に沿って視たときに、前記第1部分の外形は前記第2部分の外形から前記収納部の深さ方向においてはみ出していることを特徴としている。
【0071】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記収納部において発生したガスを前記外部空間へ排出する弁機構を内部に形成された第1部分と、前記収納部において発生したガスを前記弁機構に誘導する通気路を内部に形成された第2部分とを有し、前記弁装置の内端は前記収納部の外側端縁よりも外側に位置し、前記第1部分は前記第2部分よりも前記通気路の延びる方向に直交する断面における断面積が大きいことを特徴としている。
【0072】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記収納部において発生したガスを前記外部空間へ排出する弁機構と、前記弁機構を内部に形成された筐体とを有し、前記弁装置の内端は前記収納部の外側端縁よりも外側で前記周縁シール部の内側端縁まで達しており、前記筐体の内端部には前記弁機構の閉状態において前記収納部に連通する開口が形成されることを特徴としている。
【0073】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記周縁シール部の外側の端縁よりも外側に位置している第1部分と、前記周縁シール部において前記熱接着性樹脂層に挟まれている第2部分とを含み、前記周縁シール部は、前記第2部分を前記熱接着性樹脂層によって挟む挟持部分の外表面に凹凸を形成されていることを特徴としている。
【0074】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記外装部材の内部において発生したガスを前記外装部材の外部へ排出する通気路が形成された筐体と、前記筐体に保持されるとともに前記外装部材の内部において発生した前記ガスに起因して前記外装部材の内圧が上昇した場合に前記ガスを前記通気路を介して前記外装部材の外部へ通過させる弁機構とを有し、前記筐体の外周面上には前記外装部材の外側に配される平行な第1平面及び第2平面が設けられることを特徴としている。
【0075】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記弁装置は、前記外装部材に取り付けられる取付部と、前記外装部材の内部において発生したガスに起因して前記外装部材の内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させるように構成される弁装置本体と、前記取付部と前記弁装置本体との間に設けられるとともに前記取付部内を通過したガスを前記弁装置本体内へ通過させるように構成されたガス通過部とを有し、前記弁装置本体が前記外装部材の外周よりも外側に位置することを特徴としている。
【0076】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記収納部の前記第1方向の長さが前記第2方向の長さの2倍~30倍であることを特徴としている。
【0077】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記外装部材により包装する工程が、前記熱接着性樹脂層の熱接着により前記外装部材を封止する周縁シール部を前記外装部材の周部に形成し、前記第2方向に延びる前記周縁シール部を折曲して前記収納部の周壁上に重ねることを特徴としている。
【0078】
また本発明は上記構成の蓄電デバイスの製造方法において、前記外装部材の流れ方向に対して前記第1方向が直交することを特徴としている。
【発明の効果】
【0079】
本発明によると、蓄電デバイスが外装部材の収納部の深さ方向及び深さ方向に直交する第1方向を電動自動車の前後方向または左右方向に配置される。また、収納部の深さ方向及び第1方向に直交する第2方向が電動自動車の高さ方向に配置される。これにより、複数の蓄電デバイスを積み重ねずに電動自動車に設置して所望の電力を供給することができる。従って、積み重ねた際の加重による外装部材の破損を防止することができ、蓄電デバイス、蓄電デバイス集合体及び電動自動車の信頼性を向上することができる。また、外装部材の周縁シール部に弁装置が取り付けられるため、ガス抜きを行う圧力の正確な制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】本発明の第1実施形態の電動自動車を示す側面図
図2】本発明の第1実施形態の電動自動車を示す上面図
図3】本発明の第1実施形態の電動自動車の蓄電デバイスパックを示す斜視図
図4】本発明の第1実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す分解斜視図
図5】本発明の第1実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す正面図
図6】本発明の第1実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す側面断面図
図7】本発明の第1実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの外装部材の包装材を示す断面図
図8図5のA-A断面図
図9図5のB-B断面図
図10】他の例の図5のB-B断面図
図11】本発明の第1実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図12図11のE-E断面図
図13図11のF-F断面図
図14図5のD-D断面図であり、弁装置の取付け状態を説明するための図
図15図5のH部拡大図
図16】他の例の図5のH部拡大図
図17】本発明の第1実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの製造手順を示すフローチャート
図18】本発明の第1実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を配置する動作を説明する図
図19】本発明の第2実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す分解斜視図
図20】本発明の第2実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す側面断面図
図21】本発明の第2実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを保護カバーで覆った状態を示す側面断面図
図22】本発明の第2実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを他の保護カバーで覆った状態を示す側面断面図
図23】本発明の第3実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す分解斜視図
図24】本発明の第4実施形態の電動自動車を示す上面図
図25】本発明の第5実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す横断面図
図26】本発明の第6実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す横断面図
図27】本発明の第7実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図28】本発明の第7実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す横断面図
図29】本発明の第8実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図30】本発明の第9実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図31】本発明の第9実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置の取付部を示す縦断面図
図32】本発明の第10実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図33】本発明の第10実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す横断面図
図34】本発明の第10実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す上面図
図35】本発明の第11実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す横断面図
図36】本発明の第12実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す横断面図
図37】本発明の第13実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す横断面図
図38】本発明の第14実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す横断面図
図39】本発明の第15実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの包装材を示す正面図
図40】本発明の第15実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの包装材の一部を示す上面図
図41】本発明の第16実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す正面図
図42図41のJ部拡大図
図43】他の例の図41のJ部拡大図
図44】本発明の第17実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す正面図
図45図44のG-G断面図であり、弁装置の取付け状態を説明するための図
図46】本発明の第17実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置の取付け状態を説明するための拡大図
図47】本発明の第17実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの製造工程に用いられるヒートシール装置の概略構成図
図48】本発明の第18実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図49】本発明の第18実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの製造工程に用いられるヒートシール装置の概略構成図
図50】本発明の第19実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置の取付け状態を説明するための拡大図
図51】本発明の第20実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す正面図
図52】本発明の第20実施形態の電動自動車の蓄電デバイスを示す側面断面図
図53図51のK-K断面図
図54】本発明の第20実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図55】本発明の第20実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す底面図
図56】本発明の第20実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す上面図
図57図55のM-M断面図
図58図55のN-N断面図
図59】本発明の第20実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を取り付ける作業を説明する図
図60】本発明の第20実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を取り付ける作業を説明する図
図61】本発明の第20実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を取り付ける作業を説明する図
図62】本発明の第21実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す側面断面図
図63】本発明の第21実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置のフィルムを示す平面図
図64】本発明の第22実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す底面図
図65】本発明の第23実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図66】本発明の第24実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す底面図
図67】本発明の第25実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す底面図
図68】本発明の第26実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す底面図
図69】本発明の第27実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す側面断面図
図70】本発明の第28実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す側面断面図
図71】本発明の第29実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す正面図
図72図71のV-V断面図
図73】本発明の第29実施形態の電動自動車の蓄電デバイスパックを示す側面断面図
図74】本発明の第30実施形態の電動自動車の蓄電デバイスパックを示す側面断面図
図75】本発明の第30実施形態の電動自動車の蓄電デバイスの弁装置を示す上面図
図76図75のW-W断面図
【発明を実施するための形態】
【0081】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1図2は第1実施形態の電動自動車1の側面図及び上面図を示している。電動自動車1は車輪2を駆動する動力源として駆動モータ3を備えている。電動自動車1の車体のフロア下の底部には駆動モータ3に電力を供給する駆動源として蓄電デバイスパック5(蓄電デバイス集合体)が設置される。
【0082】
図3は蓄電デバイスパック5の斜視図を示している。蓄電デバイスパック5は複数の蓄電デバイス10を並設し、外装容器6により覆われる。複数の蓄電デバイス10を包装した蓄電デバイスモジュールを複数並設して蓄電デバイスパック5を構成してもよい。
【0083】
各蓄電デバイス10には金属から成る正極の電極端子12及び負極の電極端子13(図4参照)が設けられる。電極端子12及び電極端子13は所定の順に電気接続され、一対の接続端子(不図示)が外装容器6から突出する。
【0084】
電極端子12、13を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。蓄電素子11がリチウムイオン電池である場合は、正極に接続される電極端子12は通常アルミニウム等によって構成され、負極に接続される電極端子13は通常銅、ニッケル等によって構成される。
【0085】
外装容器6は熱接着性樹脂層、金属箔及び基材層を積層した積層体により形成される。各蓄電デバイス10は外装容器6の熱接着性樹脂層を熱接着して密封される。尚、外装容器6を射出成形品により形成してもよく、金属製容器により形成してもよい。
【0086】
図4図5図6は蓄電デバイス10の分解斜視図、正面図及び側面断面図を示している。蓄電デバイス10は外装部材20に蓄電素子11を封入した二次電池から成っている。蓄電デバイス10として例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムイオン全固体電池、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル鉄蓄電池、ニッケル亜鉛蓄電池、酸化銀亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、全固体電池等が用いられる。
【0087】
蓄電素子11に異常が生じると、外装部材20内においてガスが発生し得る。蓄電デバイス10が全固体電池の場合は、例えば硫化物系の固体電解質によって硫化水素のガスが発生し得る。このため、詳細を後述するように、蓄電デバイス10にはガスを排気する弁装置50が設けられる。
【0088】
蓄電素子11は正極板と負極板(いずれも不図示)とを絶縁体のセパレータ(不図示)を介して対向配置して形成される。正極板及び負極板にはそれぞれ電極端子12、13が接続される。長尺状のセパレータ、正極板及び負極板を巻回して蓄電素子11を形成することができる。シート状の正極板、セパレータ、負極板、セパレータの順に複数段に積層して蓄電素子11を形成してもよい。また、長尺状のセパレータ、正極板及び負極板を折り畳みにより積層して蓄電素子11を形成してもよい。
【0089】
正極板と負極板との間には電解質が配される。本実施形態では電解質が電解液から成り、外装部材20の内部に充填される。電解質として固体電解質またはゲル電解質を用いてもよい。
【0090】
外装部材20は内面に熱接着性樹脂層38(図7参照)を有した積層体から成る包装材15(第1包装材)及び包装材25(第2包装材)を備えている。
【0091】
図7は包装材15の積層構造を示す断面図である。包装材25は包装材15と同じ積層構造になっている。包装材15及び包装材25は基材層34、バリア層36、熱接着性樹脂層38を順に積層して形成される。包装材15及び包装材25の厚みは強度を考慮して50μm以上が望ましく、蓄電デバイス10の軽量化を考慮して400μm以下が望ましい。包装材15及び包装材25の厚みとしてより好ましくは50μm~200μm程度、さらに好ましくは90μm~160μm程度が挙げられる。
【0092】
基材層34は包装材15、25の基材として機能する層であり、外装部材20の最外層側を形成する層である。基材層34は絶縁性を有し、ポリアミド、ポリエステル、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート及びこれらの混合物や共重合物等により形成される。基材層34をこれらの樹脂フィルムにより形成してもよく、これらの樹脂を塗布して形成してもよい。
【0093】
基材層34を形成する樹脂フィルムは未延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムとして、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムが挙げられ、二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムを形成する延伸方法として、例えば逐次二軸延伸法、インフレーション法、同時二軸延伸法等が挙げられる。
【0094】
更に、基材層34は単層であってもよく、2層以上の積層体により構成されていてもよい。基材層34が2層以上に構成されている場合、樹脂フィルムを接着剤等で積層した積層体であってもよく、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体であってもよい。樹脂フィルムを積層する接着剤としてポリウレタン系、アクリル系等の接着剤を用いることができる。
【0095】
また、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体を未延伸のまま基材層34としてもよく、一軸延伸または二軸延伸して基材層34としてもよい。耐ピンホール性、絶縁性等の向上のために、異なる素材の樹脂フィルムを複数積層して基材層34を形成してもよい。
【0096】
2層以上の樹脂フィルムの積層体により形成される基材層34の具体例として、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとの積層体、2層以上のナイロンフィルムの積層体、2層以上のポリエステルフィルムの積層体等が挙げられる。延伸ナイロンフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの積層体、2層以上の延伸ナイロンフィルムの積層体、2層以上の延伸ポリエステルフィルムの積層体が好ましい。
【0097】
例えば、基材層34が2層の場合、ポリエステルフィルムとポリエステルフィルムの積層体、ポリアミドフィルムとポリアミドフィルムの積層体、またはポリエステルフィルムとポリアミドフィルムの積層体が好ましい。より具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体、ナイロンフィルムとナイロンフィルムの積層体、ポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの積層体がより好ましい。また、ポリエステル樹脂は、基材層34の最外層に位置することが好ましい。
【0098】
基材層34の厚みは例えば、3~75μm程度に形成される。より好ましくは3~50μm程度、更に好ましくは10~35μmが挙げられる。本実施形態では、ポリエチレンテレフタレート(厚み12μm)とナイロン(厚み15μm)とを接着剤(厚み4μm)により積層して基材層34を形成している。
【0099】
バリア層36は金属箔により形成され、水蒸気、酸素、光等の侵入を防止する。バリア層36を形成する金属として、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン等を用いることができる。バリア層36の厚みは例えば、10~300μmに形成される。より好ましくは10~100μm程度、更に好ましくは20~80μm程度が挙げられる。
【0100】
各包装材の製造時に皺やピンホールが発生することを防止する観点から、バリア層36は焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、JIS H4000:2014 A8079P-O)等の軟質アルミニウム箔により形成するとより好ましい。本実施形態では厚み40μmの軟質アルミニウム箔によりバリア層36を形成している。
【0101】
尚、バリア層36を金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、及び、これらの蒸着膜を設けた樹脂フィルムにより形成してもよい。
【0102】
基材層34とバリア層36とはポリウレタン系、アクリル系等の接着剤(不図示)により接着される。接着剤は2液硬化型接着剤であってもよく、1液硬化型接着剤であってもよい。また、接着剤の接着機構は、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型及び熱圧着型等のいずれであってもよい。接着剤の厚みは、例えば1~10μm程度、好ましくは2~5μm程度が挙げられる。
【0103】
熱接着性樹脂層38は外装部材20の最内層を形成し、外装部材20の周縁において対向する熱接着性樹脂層38を熱接着することにより外装部材20を封止する。また、熱接着性樹脂が一定の膜厚以上でバリア層36を覆うことで、電解液とバリア層36の金属との絶縁性を保つことができる。
【0104】
熱接着性樹脂層38は熱接着性を有する樹脂であればよく、例えばポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン等の熱接着性樹脂により形成される。異なる素材の樹脂を複数積層して熱接着性樹脂層38を形成してもよい。
【0105】
ポリオレフィンとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。ポリエチレンとして、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリプロピレンとして、ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(たとえば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(たとえば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性または非晶性のポリプロピレンが挙げられる。
【0106】
また、酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであれば特に制限されない。好ましくは不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。
【0107】
熱接着性樹脂層38の厚みは例えば、10~100μmに形成される。より好ましくは15~90μm程度、さらに好ましくは30~80μm程度が挙げられる。熱接着性樹脂層38はバリア層36上に押出して形成される。
【0108】
本実施形態では、バリア層36上に酸変性ポリプロピレン(厚み40μm)、ポリプロピレン(厚み40μm)を順に押出して熱接着性樹脂層38を形成している。
【0109】
尚、熱接着性樹脂層38を形成するフィルムをバリア層36上に接着剤により接着してもよい。例えば、酸変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物の接着剤によりバリア層36と熱接着性樹脂層38とを接着することができる。酸変性ポリオレフィンは特に制限されないが、好ましくは不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。接着剤の厚みは例えば、1~50μm、好ましくは2~40μm程度が挙げられる。
【0110】
図4図5図6において、包装材25は矩形のシート状に形成される。包装材15は収納部16及びフランジ部17を有している。収納部16は一面に略矩形の開口部16aを開口し、蓄電素子11を収納する。フランジ部17は開口部16aの周縁から外周側に突出した環状に形成される。
【0111】
フランジ部17及び包装材25の対向する熱接着性樹脂層38(図7参照)を熱接着することにより、収納部16の周囲に沿う環状の周縁シール部21が形成される。この時、弁装置50が周縁シール部21に熱接着して固定され、電極端子12、13がタブフィルム12a、13aを介して周縁シール部21に熱接着して固定される。これにより、収納部16が周縁シール部21の内縁から所定の深さに形成され、周縁シール部21によって封止される。
【0112】
包装材15は冷間成形によってフランジ部17に対して収納部16を所定の深さに凹設して形成される。この時、収納部16は深さ方向に垂直な面内で一方向に延びた略矩形に形成される。フランジ部17は収納部16に沿って環状に設けられ、フランジ部17の外形は包装材25と略同じ大きさの略矩形に形成される。これにより、外装部材20は収納部16は深さ方向から見て略矩形に形成される。
【0113】
収納部16の深さは成形時のクラック等が発生しないように包装材15のバリア層36の厚みに応じて決められる。本実施形態では40μmの厚みのバリア層36に対して収納部16の深さを5mm~10mmに形成している。この時、収納部16の深さ方向に垂直な面内の各コーナーRは例えば約3mm、深さ方向に平行な面内の各コーナーRは例えば約1.5mmに形成される。尚、バリア層36の厚みを大きくすることにより、収納部16の深さを例えば、5mm~30mmに形成することができる。
【0114】
図8図5のA-A断面図を示している。電極端子12、13は外装部材20の後述する周縁シール部21上でタブフィルム12a、13aを介して包装材15、25に挟まれている。
【0115】
タブフィルム12a、13aは、接着性保護フィルムであり、包装材15、25及び金属の電極端子12、13の両方と接着するように構成されている。タブフィルム12a、13aを介することによって、金属製の電極端子12、13を包装材15、25で固定することができる。また、タブフィルム12a、13aは、特に高電圧で用いる場合、絶縁層、耐熱層あるいは耐熱成分を含み、短絡防止機能を有することが好ましい。
【0116】
図9図5のB-B断面図を示している。収納部16は周縁シール部21の内側端縁P2よりも内側に配置されており、フランジ部17の内側端縁P3から立ち上がる。従って、収納部16は周縁シール部21よりもY方向(図6参照)に膨出して形成されている。この例では、周縁シール部21の内側端縁P2とフランジ部17の内側端縁P3(言い換えると、収納部16の外側端縁)とは一致している。尚、図中、斜線の領域は周縁シール部21において熱接着されている部分である。
【0117】
図10は、他の例の外装部材20における図5のB-B断面図を示している。同図に示すように、周縁シール部21の内側端縁P2は、フランジ部17の内側端縁P3(言い換えると、収納部16の外側端縁)よりも外側に位置していてもよい。
【0118】
蓄電デバイス10は収納部16の深さ方向(Y方向)を電動自動車1の前後方向に配置される。また、収納部16の深さ方向に垂直な面内の長手方向(X方向、第1方向)を電動自動車1の左右方向に配置され、短手方向(Z方向、第2方向)を電動自動車1の高さ方向に配置される。即ち、収納部16の深さ方向に直交するX方向を電動自動車1の左右方向に配置され、収納部16の深さ方向及びX方向に直交するZ方向を電動自動車1の高さ方向に配置される。
【0119】
図11は弁装置50の正面図を示している。弁装置50は外装部材20の内部と連通し、外装部材20内で発生したガスに起因して外装部材20内の圧力が所定値以上となった場合に、ガスを外部に放出するように構成されている。即ち、弁装置50は外装部材20内の圧力を調整するためのガス抜き弁であり、繰り返しのガス抜きが可能な復帰弁である。
【0120】
弁装置50は、収納部16の深さ方向から見て略矩形に形成される外装部材20の上辺に取り付けられ、弁機能部52及び取付部62を備えている。詳細については後述するが、取付部62は少なくともその一部が包装材15、25(図4参照)に挟まれて固定されている。取付部62が熱接着されることで、取付部62の外側の周面と包装材15、25の最内層である熱接着性樹脂層38とは熱接着して接合された状態となる。
【0121】
弁機能部52及び取付部62はZ方向に並び、弁機能部52の下方に取付部62が配置される。取付部62は弁機能部52の下端部(内端部)に接続されている。弁機能部52及び取付部62の外形は、それぞれZ方向に平行な中心軸C1を有する略円柱形状であり、互いに同軸である。
【0122】
取付部62の弁機能部52側とは反対側の先端(下端)の外周部にはコーナーR(例えば、R=0.2mm~2.0mm)が形成されている。即ち、取付部62の先端(下端)の外周側の角が丸みを帯びている。弁装置50の筐体51の形成時に面取り加工によりコーナーRを形成してもよく、樹脂成形加工により筐体51をコーナーRを備えた形状に形成してもよい。
【0123】
図12図11のE-E断面図であり、弁装置50の横断面図を示している。弁装置50の弁機能部52及び取付部62の外形は断面円形に形成される。取付部62は全体としては略円筒形状であり、取付部62の内部には通気路63が形成されている。通気路63は、Z方向に沿って延びる。通気路63は断面円形であり、通気路63の中心は中心軸C1上に配される。取付部62の中心軸C1を中心とする径方向の厚みは、周方向に沿って概ね一定である。尚、通気路63の断面形状を多角形に形成してもよい。
【0124】
収納部16(図6参照)の深さ方向(Y方向)における弁機能部52の長さL2は取付部62の長さL1よりも長い。中心軸C1に垂直な面内で収納部16(図5参照)の深さ方向に直交する方向(X方向)における弁機能部52の長さL2は取付部62の長さL1よりも長い。即ち、弁機能部52の外形の直径は取付部62の外形の直径よりも長く、中心軸C1に垂直な断面における弁機能部52の断面積は取付部62の断面積より大きい。
【0125】
また、弁装置50をZ方向に視たとき、取付部62の外形は弁機能部52の外形に包含される。言い換えると、弁装置50をZ方向に視たとき、弁機能部52は取付部62の外形から、収納部16(図5参照)の深さ方向を含む各方向にはみ出している。その結果、弁機能部52と取付部62との境界には段差51cが形成されている(図11参照)。この段差51cにより、弁装置50は取付部62から弁機能部52に向かって不連続に拡径する形状となる。
【0126】
図13は、図11のF-F断面図であり、弁装置50の縦断面図を示している。前述したように、取付部62の先端部(下端部)の外周面上には、コーナーRが形成されている。取付部62の内部には、上下方向(Z方向)に延びる通気路63が形成されている。通気路63は外装部材20内において発生したガスを弁機能部52へ誘導する。
【0127】
弁機能部52の内部には、外装部材20(図5参照)内において発生したガスを外装部材20外へ排出するように構成された弁機構が設けられている。具体的には、弁機能部52は、Oリング53と、ボール54と、バネ56と、メンブレン58とを含んでいる。即ち、弁機能部52には、ボールスプリング型の弁機構が設けられている。
【0128】
尚、本実施形態の弁装置50は繰り返しのガス抜きが可能な複雑な弁機構を必要とする復帰弁としているが、1回限りのガス抜きが可能なより簡便な弁機構で十分な破壊弁としてもよく、選択透過弁であってもよい。弁機能部52内に設けられる弁機構は、ガスに起因して上昇した外装部材20内の圧力を1回だけ或いは複数回にわたり繰り返し低減可能であれば特に制限されず、たとえば、ポペット型、ダックビル型、アンブレラ型、ダイヤフラム型等の弁機構であってもよい。
【0129】
弁装置50の筐体51は中心軸C1に沿って延びており、弁機能部52及び取付部62の外形を形成する。
【0130】
筐体51によって取付部62内に通気路63が形成され、弁機能部52内に通気路63に連通する空間S2が形成される。空間S2はZ方向に貫通し、筐体51の上面に排気口51bが開口する。
【0131】
空間S2内では、Oリング53、ボール54、バネ56及びメンブレン58が、上方に向かってこの順に配置されている。筐体51は空間S2に面する弁座51aを有する。弁座51aは上方に向かって拡径する円錐面に形成される。弁座51aはバネ56により付勢される弁体としてのボール54を支持する。ボール54がOリング53を介して弁座51a上に着座すると、弁機能部52の閉状態が形成される。
【0132】
Oリング53は中空円形のリングであり、例えばフッ素ゴムによって形成されている。Oリング53は弁座51aに着座したボール54と弁座51aとの隙間をなくし、閉状態の密閉性を高めるのを補助する。
【0133】
ボール54及びバネ56は、例えばステンレス鋼によって形成されている。尚、ボール54を樹脂により形成してもよい。
【0134】
メンブレン58は例えば0.01~1μm程度のポアー直径(pore diameter)を有したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によって形成されている。これにより、メンブレン58は電解液を漏らさず、ガスのみを透過(選択透過)する。尚、PTFEは柔らかい材質のため、強度が不足する場合はポリプロピレンやポリエステル等のメッシュや不織布と一体成型して補強したメンブレン58を用いることもできる。
【0135】
弁装置50が外装部材20に取り付けられた状態で、外装部材20内の圧力が所定圧力に達すると、通気路63から誘導されたガスがボール54をZ方向(上方)に押圧する。ボール54が押圧され、弁座51aから離れると、バネ56が縮み、弁機能部52の開状態が形成される。この開状態において、外装部材20内のガスは、ボール54とOリング53との間に形成された隙間を通り、メンブレン58を透過して、排気口51bから外装部材20の外部に排出される。ガスが排出され、ボール54をZ方向に押圧する力が弱まると、バネ56が延び、ボール54をZ方向(下方)に付勢する力がこれよりも大きくなる。その結果、再度、弁機能部52の閉状態が形成される。
【0136】
図14図5のD-D断面図であり、弁装置50の取付け状態を説明するための図である。図15図5のH部拡大図である。これらの図に示されるように、弁装置50の弁機能部52は周縁シール部21の外側端縁P1よりも外側に位置している。一方、弁装置50の取付部62の一部分は、周縁シール部21において包装材15の熱接着性樹脂層38と包装材25の熱接着性樹脂層38との間に挟まれている。そして、取付部62の外側の周面と、包装材15、25の最内層である熱接着性樹脂層38とは、互いに熱接着により接合された状態となっている。
【0137】
尚、図14は弁装置50が熱接着性樹脂層38と熱接着された状態であることを説明するため、熱接着性樹脂層38は便宜的に周縁シール部21付近のみに図示されるが、包装材15、25の全面に備えられている。
【0138】
取付部62が熱接着性樹脂層38に挟まれて弁装置50が外装部材20に取り付けられ、弁機能部52が周縁シール部21の外側に配される。弁機能部52が熱接着性樹脂層38に挟まれると、熱接着性樹脂層38の熱接着時に加えられる熱及び圧力によって弁機能部52内の弁機構が故障する可能性がある。このため、取付部62を熱接着性樹脂層38間に挟むことで熱接着時に弁機能部52に大きい圧力及び熱が加えられず、弁機構の故障を抑制することができる。
【0139】
また、取付部62の断面の直径が弁機能部52の断面の直径よりも短い。このため、周縁シール部21のY方向(収納部16の深さ方向)の取付部62上の長さL4と、取付部62を挟まれていない部分の長さL3との差を小さくできる。
【0140】
長さL4と長さL3との差が大きいと、取付部62の外側の周面と包装材15、25の最内層である熱接着性樹脂層38とを隙間なく接合するために熱接着時の圧力を大きくする必要が生じる。このため、熱接着のために外装部材20の周縁に加えられる圧力が大きくなり、取付部62上や電極端子12、13上の熱接着性樹脂層38が薄くなる可能性がある。その結果、蓄電デバイス10の絶縁破壊が生じる可能性がある。
【0141】
本実施形態では長さL4と長さL3との差を小さくすることにより、熱接着時に外装部材20の周縁全体に加えられる圧力を小さくできる。このため、蓄電デバイス10の絶縁破壊を防止しつつ、対向する熱接着性樹脂層38を適切に熱接着して取付部62を外装部材20に強固に固定することができる。
【0142】
図15に示すように、弁装置50の取付部62は周縁シール部21上に配される。弁機能部52の内端部は周縁シール部21の外側端縁P1に接しておらず、外側端縁P1から外側に間隔をあけて配される。
【0143】
取付部62の内端62aは周縁シール部21の内側端縁P2(フランジ部17の内側端縁P3に一致する)まで達し、そこからさらに収納部16に向かう方向に突出している。これにより、筐体51の内端部には弁機構の閉状態において収納部16に連通する開口が形成されている。
【0144】
取付部62の内端62aが周縁シール部21の内側端縁P2と面一または内側端縁P2よりも外側に位置すると、弁装置50の機能的な不具合が生じる。即ち、周縁シール部21の形成時に取付部62に加えられる熱や圧力のために、取付部62の内端部が変形する場合がある。また、溶融した包装材15、25の一部が取付部62の通気路63内に内端62a側から入り込み、通気路63が目詰まりする場合がある。これらの不具合が生じると、弁装置50が正常に機能せず、故障する。
【0145】
しかし、本実施形態では取付部62の内端62aが周縁シール部21の内側端縁P2よりも内側に存在する。このため、周縁シール部21の形成時に取付部62の内端部を保護して傷を防止し、弁装置50の故障を抑制することができる。
【0146】
尚、前述の図10に示すように、フランジ部17の内側端縁P3が周縁シール部21の内側端縁P2よりも内側に配される場合も同様に、取付部62の内端62aが周縁シール部21の内側端縁P2よりも内側に存在する。これにより、取付部62の内端部を保護して傷を防止し、弁装置50の故障を抑制することができる。
【0147】
この時、取付部62の内端62aがフランジ部17の内側端縁P3と周縁シール部21の内側端縁P2との間に配されてもよいが、フランジ部17の内側端縁P3から収納部16に向かう方向に突出するとより望ましい。これにより、弁装置50の故障をより確実に抑制することができる。
【0148】
また、取付部62の内端部の外周部にコーナーR(図11参照)が形成され、外周側の角が丸みを帯びている。これにより、取付部62の内端部が蓄電素子11に接触しても蓄電素子11を傷つける可能性を低くすることができる。また、取付部62の内端部の外周面上のコーナーRにより、取付部62の内端部との接触による包装材15、25の熱接着性樹脂層38の傷を防止することができる。
【0149】
尚、取付部62の内端部のコーナーRを省いてもよい。また、取付部62の内端部の内周面上にコーナーRを設けてもよい。これにより、取付部62の内周側の角が削れて樹脂片が外装部材20内に落下する可能性を低減することができる。
【0150】
図16は弁装置50の他の取り付け例を示し、図5のH部拡大図を示している。同図によると、弁機能部52の内端部が周縁シール部21の外側端縁P1に接して弁装置50が取り付けられる。この場合、弁機能部52と取付部62との間の段差51cを利用することにより、周縁シール部21に対する弁装置50の位置決めを確実に行うことができる。従って、Z方向の取付部62の長さを周縁シール部21のシール幅よりも長く設計しておくことで、取付部62の内端62aを周縁シール部21の内側端縁P2から確実に突出させることができる。
【0151】
前述したように、蓄電デバイス10は収納部16の深さ方向(Y方向)を電動自動車1の前後方向に配置される。また、収納部16の深さ方向に垂直な面内の長手方向(X方向、第1方向)を電動自動車1の左右方向に配置され、短手方向(Z方向、第2方向)を電動自動車1の高さ方向に配置される(図1図6参照)。
【0152】
収納部16は冷間成形により形成されるため深さを大きくすることが困難である。これに対して、収納部16は深さ方向に垂直な面内で直交する2方向の長さAx、Az(図4参照)を深さ方向の長さAy(図4参照)よりも容易に大きくすることができる。このため、収納部16の深さ方向(Y方向)を電動自動車1の前後方向に配置することにより、複数の蓄電デバイス10を積み重ねずに電動自動車1に設置して所望の電力を供給することができる。従って、積み重ねた際の加重による外装部材20の破損を防止することができ、蓄電デバイス10の信頼性を向上することができる。
【0153】
加えて、電解質が電解液からなる場合は、蓄電デバイス10を収納部16の深さ方向(Y方向)に積み重ねると包装材25が加重により撓むため電解液が周部に押し出される。このため、中央部の正極板と負極板との間の電解液が不足し、蓄電デバイス10のエネルギー密度が低下する。従って、収納部16の深さ方向(Y方向)を前後方向に配置し、電解液を含む蓄電デバイス10のエネルギー密度の低下を防止することができる。
【0154】
また、収納部16の深さ方向に垂直な面内の短手方向(Z方向)を高さ方向に配置するため、蓄電デバイス10の高さを小さくして電動自動車1の居住性を向上することができる。この時、収納部16はX方向に長く延びてX方向の長さAxがZ方向の長さAzよりも大きいため、高さを抑制して容量の大きい蓄電デバイス10を得ることができる。
【0155】
収納部16のX方向の長さAxはZ方向の長さAzの2倍~30倍に形成される。長さAxが長さAzの2倍よりも小さいと蓄電デバイス10の容量が小さくなる。このため、長さAxを長さAzの2倍以上に形成し、蓄電デバイス10の容量を大きくすることができる。また、長さAxが長さAzの30倍を超えると包装材15を容易に成形できないため歩留りが低下する。このため、長さAxを長さAzの30倍以下に形成し、包装材15の成形時の歩留りを向上することができる。
【0156】
また、X方向に延びる周縁シール部21は一点鎖線21’(図6参照)で示すように熱接着時にZ方向に突出し、下端の周縁シール部21が熱接着後に折曲して収納部16の周壁上に重ねられる。これにより、蓄電デバイス10の高さをより小さくすることができる。
【0157】
この時、積層体から成る包装材15、25の流れ方向(MD)はZ方向(X方向に直交)に配される。積層体を流れ方向に平行に折曲すると金属箔のクラックや樹脂フィルムのピンホールが発生する可能性が高くなる。包装材15、25の流れ方向がX方向に直交するため、X方向に延びる周縁シール部21を折曲した際に外装部材20のクラック及びピンホールの発生を抑制することができる。
【0158】
包装材15、25の流れ方向(MD)は、バリア層36の金属箔(アルミニウム合金箔等)の圧延方向(RD)に対応する。包装材15、25のTDは金属箔のTDに対応する。金属箔の圧延方向(RD)は圧延目により判別できる。
【0159】
また、包装材15、25の熱接着性樹脂層38の複数の断面を電子顕微鏡で観察して海島構造を確認し、熱接着性樹脂層38の厚み方向に垂直な方向の島の径の平均が最大であった断面と平行な方向をMDと判断することができる。金属箔の圧延目により包装材15、25のMDを特定できない場合に、この方法によりMDを特定することができる。
【0160】
具体的には、熱接着性樹脂層38の長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面と垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面上の個々の島について、熱接着性樹脂層38の厚み方向に垂直な方向の両端を結ぶ直線距離によって島の径dを計測する。次に、各断面毎に、大きい方から上位20個の島の径dの平均を算出する。そして、島の径dの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
【0161】
電極端子12及び電極端子13はZ方向に延びてX方向に対向する周縁シール部21からそれぞれ突出する。このため、蓄電デバイス10の高さをより低くすることができる。また、電極端子12及び電極端子13が接近すると電極端子12及び電極端子13の近傍の温度上昇が大きくなるため蓄電デバイス10が経年劣化し易い。このため、電極端子12及び電極端子13をX方向に離れて配置することにより、蓄電デバイス10の経年劣化を抑制することができる。
【0162】
蓄電デバイス10は、成形加工された外装部材20を準備する工程後、蓄電素子11を外装部材20により包装する包装工程を行って製造される。また、必要に応じて包装工程後に折曲工程が設けられる。
【0163】
外装部材20を成形加工する成形工程はロール状の積層体を所定長さで裁断し、冷間成形によりフランジ部17に対して収納部16を凹設して包装材15を形成する。この時、包装材15、25はロール状の積層体の流れ方向(MD)をZ方向に配して形成される。成形工程により外装部材20を準備してもよく、成形加工された外装部材20を入手して外装部材20を準備してもよい。
【0164】
図17は包装工程を示すフローチャートである。包装工程は所定の製造装置によって行われる。ステップ#11では製造装置は外装部材20内に各部品を配置する。例えば、タブフィルム12a、13a付きの電極端子12、13が溶接によって電気的に接続された蓄電素子11が包装材15内の収納部16に配置される。この時、包装材15のフランジ部17の上にタブフィルム12a、13a付き電極端子12、13が載置される。尚、包装材15の収納部16に蓄電素子11を配置した後にタブフィルム12a、13a付き電極端子12、13を蓄電素子11に溶接してもよい。
【0165】
次に、包装材15のフランジ部17上に弁装置50の取付部62が載置される。次に、包装材15上に包装材25が載置される。
【0166】
図18は包装材15のフランジ部17と包装材25との間に弁装置50を配する動作を示す図である。同図に示されるように、弁機能部52と取付部62との間には段差51cが形成されている。このため、取付部62を包装材15、25で挟む時に弁装置50を外装部材20側に押し込み過ぎたとしても、段差51cが包装材15、25の端部に引っ掛かる。
【0167】
従って、蓄電デバイス10の製造過程において、弁機能部52が誤って包装材15、25(熱接着性樹脂層38)に挟まれることを防止できる。即ち、取付部62から少なくともY方向に立ち上がる段差51cは、弁機能部52が包装材15、25の間に入り込まないようにするためのストッパーとして機能する。
【0168】
各部品の配置が完了すると、ステップ#12でヒートシール工程が行われる。ヒートシール工程は、外装部材20の周縁を熱接着する。即ち、製造装置はヒートシールバーにより外装部材20の周縁を挟み、外装部材20の周縁に圧力及び熱を加える。これにより、外装部材20の周縁において、対向する熱接着性樹脂層38が互いに融着し、周縁シール部21が形成される。この時、弁装置50が周縁シール部21に融着して固定され、電極端子12、13もタブフィルム12a、13aを介して周縁シール部21に融着して固定される。これにより、蓄電素子11が外装部材20内に密封される。
【0169】
尚、ヒートシール工程では、外装部材20の内部の脱気を行うことで、外装部材20の内部に不要なガスが含まれないようにすることができる。具体的には、全周を接合せずに一部に未接合状態の周縁を残しておき、この未接合状態の周縁から脱気する。この時、蓄電デバイス10が電解液を必要とする場合には、この未接合状態の周縁から電解液を注入する。その後、未接合状態の周縁に圧力及び熱を加えて、全周の周縁シール部21を完成させることができる。
【0170】
また、製造装置のヒートシールバーのうち、外装部材20の周縁を挟む面の形状を取付部62の外形に沿う形状とすることも有効である。この場合には、取付部62が挟まれた位置における熱接着性樹脂層38同士の接着がより強固になる。この場合、包装材15、25の変形や負荷を低減するために、後述するように取付部62の形状を扁平形状とすることが有効である。
【0171】
尚、各図面では、外装部材20の収納部16に蓄電素子11が収容されていることを理解し易く説明するため、便宜的に収納部16に対して蓄電素子11を小さいサイズで示している。しかし、製造工程において以上のとおり脱気する場合には、収納部16内の空間は縮小して蓄電素子11と略同じサイズとなる。このため、蓄電デバイス10の完成状態では、収納部16ほとんど隙間なく蓄電素子11により埋められている。
【0172】
折曲工程は積層体の流れ方向に垂直なX方向に延びた下方の周縁シール部21を折曲して収納部16の周壁上に重ねる。これにより、蓄電デバイス10が完成する。
【0173】
前述の図3において、蓄電デバイスパック5は複数の蓄電デバイス10をY方向に並設して形成され、高さ方向に1段で電動自動車1に設置される。尚、複数の蓄電デバイスパック5をX方向またはY方向に並べて電動自動車1に設置してもよい。
【0174】
蓄電デバイスパック5のZ方向の長さBzは蓄電デバイス10の収納部16のZ方向の長さAzと略同じ長さに形成される。蓄電デバイスパック5のX方向の長さBxは蓄電デバイス10のX方向の長さと略同じ長さに形成される。また、蓄電デバイス10をY方向に並設するため、蓄電デバイスパック5のY方向の長さByはZ方向の長さBzよりも大きくなっている。
【0175】
電動自動車1がセダンタイプまたはコンパクトカータイプの場合には、蓄電デバイスパック5の高さ(Z方向の長さBz)は例えば100mm以下に形成される。電動自動車1がSUVタイプまたはワンボックスタイプの場合には、蓄電デバイスパック5の高さ(Z方向の長さBz)は例えば150mm以下に形成される。
【0176】
本実施形態によると、蓄電デバイス10は外装部材20の収納部16の深さ方向(Y方向)が電動自動車1の前後方向に配置される。また、収納部16の深さ方向に直交するX方向(第1方向)が電動自動車1の左右方向に配置される。収納部16の深さ方向及びX方向に直交するZ方向(第2方向)が電動自動車1の高さ方向に配置される。即ち、収納部16の深さ方向に垂直な面内で直交するX方向(第1方向)及びZ方向(第2方向)がそれぞれ電動自動車1の左右方向及び高さ方向に配置される。
【0177】
これにより、複数の蓄電デバイス10を積み重ねずに電動自動車1に設置して所望の電力を供給することができる。従って、積み重ねた際の加重による外装部材20の破損を防止することができ、蓄電デバイス10の信頼性を向上することができる。また、蓄電デバイス10が電解液を含む場合に、収納部16の深さ方向(Y方向)を前後方向に配置して蓄電デバイス10のエネルギー密度の低下を防止することができる。
【0178】
また、外装部材20の周縁シール部21に弁装置50が取り付けられるため、ガス抜きを行う圧力の正確な制御が可能となる。
【0179】
また、弁装置50は弁機構を設けた弁機能部52(第1部分)と通気路63を設けた取付部62(第2部分)とを有し、弁装置50の取付部62(第2部分)の内端62aが周縁シール部21の内側端縁P2から収納部16に向かう方向に突出する。これにより、周縁シール部21の熱接着時において取付部62の内端部の変形や、溶融した包装材15、25による通気路63の目詰まりを防止できる。従って、弁装置50の故障を抑制することができる。
【0180】
また、収納部16が周縁シール部21の内側端縁P3よりも内側に配置され、取付部62の内端62aがフランジ部17の内側端縁P3(収納部16の外側端縁)よりも内側に位置してもよい。これにより、弁装置50の故障をより確実に抑制することができる。
【0181】
また、弁機能を内部に形成した弁機能部52(第1部分)の外形が通気路63を内部に形成した取付部62(第2部分)の外形から収納部16の深さ方向(Y方向)においてはみ出している。これにより、周縁シール部21のY方向(収納部16の深さ方向)の取付部62上の長さL4と、取付部62を挟まれていない部分の長さL3との差を小さくできる。このため、熱接着時に外装部材20の周縁全体に加えられる圧力を小さくできる。従って、蓄電デバイス10の絶縁破壊を防止しつつ、対向する熱接着性樹脂層38を適切に熱接着して取付部62を外装部材20に強固に固定することができる。
【0182】
また、弁機能部52(第1部分)は取付部62(第2部分)よりも通気路63の延びる方向に直交する断面における断面積が大きい。これにより、周縁シール部21のY方向(収納部16の深さ方向)の取付部62上の長さL4と、取付部62を挟まれていない部分の長さL3との差を小さくできる。このため、熱接着時に外装部材20の周縁全体に加えられる圧力を小さくできる。従って、蓄電デバイス10の絶縁破壊を防止しつつ、対向する熱接着性樹脂層38を適切に熱接着して取付部62を外装部材20に強固に固定することができる。
【0183】
尚、弁機能部52と取付部62との境界に段差51cを設けているが、段差51cが形成されていなくてもよい。たとえば、弁機能部52の直径と取付部62の直径とが同一であり、弁機能部52と取付部62とがフラットに繋がっていてもよい。
【0184】
また、取付部62が熱接着性樹脂層38に挟まれ、弁機能部52上で周縁シール部21が熱接着されないため、熱接着時に加えられる熱及び圧力による弁機構の故障を防止することができる。
【0185】
この時、収納部16の深さ方向(Y方向)において、弁機能部52の長さL2は取付部62の長さL1よりも長く、弁機能部52と取付部62との境界に段差51cが形成されている。これにより、蓄電デバイス10の製造時に弁装置50が包装材15、25の熱接着性樹脂層38間に押し込まれた際に、段差51cがストッパーとして機能する。従って、弁機能部52が包装材15、25の間に入り込まず、弁機能部52上の熱接着を確実に防止することができる。
【0186】
また、通気路63の断面形状が円形であるので、通気路63を容易に形成することができる。
【0187】
また、取付部62において、弁機能部52とは反対側の端部の外周側の角が丸みを帯びている。これにより、取付部62の内端部が蓄電素子11に接触しても蓄電素子11を傷つける可能性を低くすることができる。また、取付部62の内端部との接触による包装材15、25の熱接着性樹脂層38の傷を防止することができる。
【0188】
また、弁装置50が収納部16の深さ方向から見て略矩形に形成される外装部材20の上辺に取り付けられる。このため、弁装置50を備えた蓄電デバイス10を車両底部に容易に設置することができる。
【0189】
また、収納部16の深さ方向に垂直な面内の短手方向(Z方向)を高さ方向に配置するため、収納部16のX方向の長さAxがZ方向の長さAzよりも大きい。これにより、蓄電デバイス10の高さを低くして電動自動車1の居住性を向上できるとともに、容量の大きい蓄電デバイス10を得ることができる。
【0190】
また、収納部16のX方向の長さAxがZ方向の長さAzの2倍~30倍であるので、容量の大きい蓄電デバイス10を得られるとともに外装部材20の歩留りを向上することができる。
【0191】
また、X方向に延びる周縁シール部21が折曲により収納部16の周壁上に重ねられるので、蓄電デバイス10の高さをより低くすることができる。
【0192】
また、包装材15、25の流れ方向がX方向に直交するので、X方向に延びる周縁シール部21を折曲した際に外装部材20のクラック及びピンホールの発生を抑制することができる。
【0193】
また、電極端子12及び電極端子13がZ方向に延びる周縁シール部21から突出するので、蓄電デバイス10の高さをより低くすることができる。
【0194】
また、電極端子12及び電極端子13がX方向に対向する周縁シール部21からそれぞれ突出するので、蓄電デバイス10の経年劣化を抑制することができる。
【0195】
また、蓄電デバイスパック5(蓄電デバイス集合体)が蓄電デバイス10を収納部16の深さ方向(Y方向)に並設して形成され、蓄電デバイスパック5のY方向の長さByがZ方向の長さBzよりも大きい。これにより、蓄電デバイスパック5の高さを低くして所望の電力を供給することができる。
【0196】
また、電動自動車1の高さ方向に蓄電デバイスパック5が1段で設置されるため、電動自動車1の居住性を向上することができる。
【0197】
本実施形態において、弁機能部52及び取付部62は同一の材料(樹脂)の筐体51を有しているが、弁機能部52の筐体と取付部62の筐体とが異なる材料で構成されてもよい。この時、取付部62は、包装材15、25の最内層と同じ熱接着性を備えた材料(例えばポリオレフィン等の樹脂)から構成することができる。取付部62が高耐熱性を必要な場合等に熱接着性樹脂以外の材料を使用される場合は、上記タブフィルム12a、13a(図5参照)と同様の接着性保護フィルムを介在して熱接着する方法が有効である。
【0198】
また、弁機能部52の筐体の材質の融点を取付部62の材質の融点よりも高くするとよい。例えば、取付部62がポリプロピレン(PP)で構成され、弁機能部52の筐体がPPより融点が高い樹脂(たとえば、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル樹脂)や金属で構成されてもよい。弁機能部52の筐体に用いる樹脂として、バリア性の高いフッ素樹脂が好ましい。
【0199】
これにより、熱接着性樹脂層38の熱接着時に取付部62に圧力及び熱が加えられたとしても、弁機能部52の筐体の融点が高いため、弁機能部が熱によって変形する可能性が低い。従って、熱接着性樹脂層38の熱接着時における弁機能部52内の弁機構の故障を抑制することができる。
【0200】
また、弁装置50の筐体51は必ずしも樹脂製である必要はなく、例えば、金属(アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、鋼、チタン等)製であってもよい。この場合には、取付部62と熱接着性樹脂層38との間にタブフィルム12a、13aと同様の接着性保護フィルムが配置されてもよい。この接着性保護フィルムは、一方の面が少なくとも樹脂に接着して他方の面が少なくとも金属に接着するように構成され、公知の種々の接着性保護フィルムを採用することができる。
【0201】
<第2実施形態>
次に、図19図20は第2実施形態の蓄電デバイス10の分解斜視図及び側面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は包装材25の形状が第1実施形態と異なっており、その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0202】
包装材25は包装材15と同様に収納部26及びフランジ部27を有している。収納部26は一面に略矩形の開口部26aを開口する。包装材15の収納部16及び包装材25の収納部26に蓄電素子11が収納される。フランジ部27は開口部26aの周縁から外周側に突出した環状に形成される。
【0203】
フランジ部17及びフランジ部27の熱接着性樹脂層38(図7参照)を熱接着することにより、収納部16及び収納部26の周囲に沿う環状の周縁シール部21が形成される。これにより、周縁シール部21の内縁から所定の深さに形成される収納部16及び収納部26が周縁シール部21によって封止される。
【0204】
また、X方向に延びる周縁シール部21は熱接着時に一点鎖線21’で示すようにZ方向に突出し、熱接着後に折曲して収納部16または収納部26の周壁上に重ねられる。
【0205】
蓄電デバイス10は収納部16、26の深さ方向(Y方向)を電動自動車1の前後方向に配置される。また、収納部16、26の深さ方向に垂直な面内の長手方向(X方向)を電動自動車1の左右方向に配置され、短手方向(Z方向)を電動自動車1の高さ方向に配置される。
【0206】
これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、包装材15及び包装材25がそれぞれ収納部16及び収納部26を備えるので、蓄電素子11の体積を大きくして蓄電デバイス10の容量を大きくすることができる。従って、蓄電デバイスパック5(図3参照)を形成する蓄電デバイス10の数量を削減し、蓄電デバイスパック5の製造工数を削減することができる。
【0207】
図21に示すように、蓄電デバイス10は保護カバー8、9により覆われていてもよい。保護カバー8、9は射出成形により一面に開口を有した断面矩形の有底筒状に形成される。また、保護カバー9の外形が保護カバー8の開口よりも小さく形成される。
【0208】
外装部材20の周部に突出する下端の周縁シール部21は保護カバー9の周壁に沿って折曲され、保護カバー8が周縁シール部21に沿って保護カバー9に被嵌される。この時、保護カバー8と弁装置50との干渉を回避するために、保護カバー8には切り欠き8aが形成される。下方の周縁シール部21は収納部16、26の開口部16a、26a(図7参照)の周縁から離れた位置で折曲される。このため、周縁シール部21の折曲によるクラックやピンホールの発生を低減することができる。
【0209】
図22は、図21と異なる形状の保護カバー8、9により覆われた蓄電デバイス10を示している。保護カバー8、9は射出成形により略同一形状に形成され、一面に開口を有した有底筒状に形成される。蓄電デバイス10は折曲工程を省かれ、外装部材20の周部に突出した周縁シール部21を保護カバー8、9の周壁により挟んだ状態で保護カバー8、9が固定される。これにより、周縁シール部21が保護される。折曲工程が省かれるため、周縁シール部21の折曲によるクラックやピンホールの発生を低減することができる。
【0210】
尚、第1実施形態の蓄電デバイス10についても同様の保護カバー8、9により外装部材20を覆ってもよい。
【0211】
<第3実施形態>
次に、図23は第3実施形態の蓄電デバイス10の分解斜視図を示している。説明の便宜上、前述の図19図20に示す第2実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は包装材15及び包装材25が単一部材により形成される。その他の部分は第2実施形態と同様である。
【0212】
外装部材20は収納部16を有する包装材15(第1包装材)と、収納部26を有する包装材25(第2包装材)とがZ方向に連続して一体に形成される。包装材15のフランジ部17と包装材25のフランジ部27とは折り線20aを介して面一に形成される。
【0213】
収納部16または収納部26内に蓄電素子11を配した後、外装部材20はX方向に延びる折り線20a上で折曲される。そして、対向するフランジ部17、27を熱接着して周縁シール部21が形成される。
【0214】
本実施形態によると、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、包装材15及び包装材25が単一部材により形成されるので、蓄電デバイス10の部品点数を削減することができる。
【0215】
本実施形態において、開口部16a、26aを近接し、折り線20aを開口部16a、26aの周縁に沿って設けてもよい。これにより、蓄電デバイス10の下面を平坦に形成することができる。このため、蓄電デバイス10が設置される設置面と蓄電デバイス10との密着性が高くなり、蓄電デバイス10の放熱性を向上することができる。
【0216】
尚、第1、第2実施形態の包装材15と包装材25とを下端の折り線を介して連設される単一部材により形成してもよい。
【0217】
<第4実施形態>
次に、図24は第4実施形態の電動自動車1の上面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して蓄電デバイスパック5の配置が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0218】
蓄電デバイスパック5は電動自動車1の車体のフロア下に設置され、蓄電デバイス10の並設方向を電動自動車1の左右方向に配置される。これにより、蓄電デバイス10は収納部16(図4参照)の深さ方向(Y方向)を電動自動車1の左右方向に配置される。また、収納部16の深さ方向に垂直な面内の長手方向(X方向、第1方向)を電動自動車1の左右方向に配置され、短手方向(Z方向、第2方向)を電動自動車1の高さ方向に配置される。即ち、収納部16の深さ方向に直交するX方向を電動自動車1の前後方向に配置され、収納部16の深さ方向及びX方向に直交するZ方向を電動自動車1の高さ方向に配置される。
【0219】
これにより、複数の蓄電デバイス10を積み重ねずに電動自動車1に設置して所望の電力を供給することができる。従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、電動自動車1の走行時に前面のフロントグリルを介して内部に取り込まれた空気が後方に流通し、蓄電デバイスパック5の各蓄電デバイス10に接触する。このため、蓄電デバイス10を冷却することができる。
【0220】
尚、第2実施形態または第3実施形態の蓄電デバイス10を電動自動車1に設置し、蓄電デバイス10の並設方向を電動自動車1の左右方向に配置してもよい。
【0221】
<第5実施形態>
次に、図25は第5実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の横断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0222】
図25に示すように、取付部62の断面において、X方向(図4参照)の長さL5は、Y方向(図6参照)の長さL6よりも長い。より具体的には、取付部62の断面形状は、楕円形状である。
【0223】
取付部62の内部には通気路63が形成されている。通気路63も同様に、X方向の長さはY方向の長さよりも長い。より具体的には、通気路63の断面形状は楕円形状である。
【0224】
本実施形態によると、取付部62のX方向の長さL5がY方向(収納部16の深さ方向)の長さL6よりも長い。即ち、取付部62の断面形状が第1実施形態の円(面積は同一)である場合と比較して、Y方向における取付部62の長さが短い。これにより、周縁シール部21のY方向の取付部62上の厚み(長さL4、図14参照)と、取付部62を挟まれていない部分の厚み(長さL3、図14参照)との差をより小さくできる。従って、弁装置50の取付部62を外装部材20により強固に固定することができる。
【0225】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0226】
<第6実施形態>
次に、図26は第6実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の横断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0227】
図26に示すように、取付部62にはX方向の両端部に翼状延端部64が形成されている。各翼状延端部64はX方向の端部に近づくほど薄くなる形状を有している。また、別の観点からは、各翼状延端部64は取付部62の他の部分(円形部分)と比較して、Y方向(収納部16の深さ方向)の長さの変化が緩やかな部分ともいえる。
【0228】
本実施形態によると、翼状延端部64が設けられていない場合と比較して、周縁シール部21の取付部62が挟まれていない部分から挟まれている部分への厚み(Y方向の長さ)の変化が滑らかである。このため、熱接着時に取付部62の周面に容易に熱接着性樹脂層38を密着させることができ、外装部材20に取付部62をより強固に固定することができる。
【0229】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0230】
<第7実施形態>
次に、図27図28は第7実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の正面図及び横断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0231】
取付部62の通気路63内には、2本のピラー65が形成されている。各ピラー65はZ方向に延びてX方向に並設され、Y方向の両端を取付部62の内周に接続されている。尚、ピラー65の数は2本である必要はなく、少なくとも1本あればよい。
【0232】
本実施形態によると、通気路63内にピラー65が形成されているため、対向する熱接着性樹脂層38に挟まれた取付部62に圧力及び熱が加えられたとしても、通気路63の形状が維持される。従って、熱接着時の取付部62内の通気路63の破損を抑制することができる。
【0233】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0234】
<第8実施形態>
次に、図29は第8実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の正面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0235】
本実施形態に係る弁装置50の取付部62は外表面に粗面加工が施され、梨地に形成されている。これにより、取付部62は外表面の表面粗さRaは例えば、1μm~20μmになっている。
【0236】
本実施形態によると、取付部62の外表面が梨地であるため、取付部62に当接した位置において熱接着性樹脂層38との接着強度を向上することができる。従って、取付部62の外表面が滑らかな場合と比較して、弁装置50の取付部62を外装部材20に強固に固定することができる。
【0237】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0238】
<第9実施形態>
次に、図30図31は第9実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の正面図及び取付部62の縦断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0239】
取付部62の外表面には、周方向に連続して延びる凸条部66が形成されている。凸条部66は、軸方向に3本並設されている。尚、凸条部66は、必ずしも3本である必要はなく、少なくとも1本形成されていればよい。
【0240】
凸条部66の縦断面は半円形状に形成され、凸条部66の半径は例えば、0.05mm~1.0mmである。凸条部66上の取付部62の直径L12(X方向及びY方向の長さ)は、凸条部66が形成されていない部分の直径L11よりも長い。
【0241】
外装部材20の熱接着時に、凸条部66は熱接着性樹脂層38に確実に接するため、包装材15、25に融着しやすい。凸条部66は取付部62の外表面の周方向に連続して延びているため、取付部62の周方向一周において熱接着性樹脂層38と取付部とを融着させることができる。
【0242】
また、取付部62の外表面と熱接着性樹脂層38との接触面積が大きくなっているため、弁装置50の取付部62を包装材15、25に強固に固定することができる。
【0243】
凸条部66の形成位置は周方向に延びていれば一周全体に存在していなくてもよく、連続していなくてもよい。また、凸条部66は周方向に間欠的に形成することも可能である。
【0244】
例えば、第6実施形態のような翼状延端部64(図26参照)を備える場合には、翼状延端部64の全体または先端部分に凸条部66を設けない構成にしてもよい。
【0245】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0246】
<第10実施形態>
次に、図32図33は第10実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の正面図及び横断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の弁機能部52及び取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0247】
弁機能部52の断面形状はY方向の一端面が平面の半円形状に形成される。また、取付部62はX方向の両端部に翼状延端部64が設けられ、Y方向の一端面が平面に形成される。弁機能部52及び取付部62の外表面上のX方向に平行な平面は面一になっている。
【0248】
図34は、弁装置50の外装部材20への取り付け時の様子を示す図である。同図に示すように、弁装置50は外装部材20への取り付け際に、平面部分を包装材25の最内層の面上に載置される。この時、弁装置50が転がらないため弁装置50の位置決めを容易に行なうことができる。
【0249】
また、弁装置50による周縁シール部21が突出する方向と、収納部16が突出する方向とを同じにすることができる。このため、蓄電デバイスパック5(図3参照)のY方向の一端(図3の左端)に配される蓄電デバイス10が弁装置50によってY方向に突出することを回避できる。従って、蓄電デバイスパック5の小型化を図ることができる。
【0250】
本実施形態において、弁機能部52及び取付部62の一方のみに外表面にX方向に平行な平面を設けてもよい。
【0251】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0252】
<第11実施形態>
次に、図35は第11実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の横断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0253】
同図に示すように、取付部62の断面は、ひし形形状を有している。取付部のX方向の長さL7は、Y方向の長さL8よりも長い。これにより、周縁シール部21のY方向の取付部62上の長さL4(図14参照)と、取付部62を挟まれていない部分の長さL3(図14参照)との差をより小さくできる。従って、弁装置50の取付部62を外装部材20により強固に固定することができる。
【0254】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0255】
<第12実施形態>
次に、図36は第12実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の横断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0256】
同図に示すように、取付部62の断面は、ひし形をY方向の両端部で面取りした形状で、六角形に形成される。取付部のX方向の長さL9は、Y方向の長さL10よりも長い。これにより、周縁シール部21のY方向の取付部62上の長さL4(図14参照)と、取付部62を挟まれていない部分の長さL3(図14参照)との差をより小さくできる。従って、外装部材20に弁装置50の取付部62をより強固に固定することができる。
【0257】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0258】
<第13実施形態>
次に、図37は第13実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の横断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0259】
同図に示すように、取付部62はひし形形状を有し、X方向の両端部に翼状延端部64が形成されている。各翼状延端部64はX方向の端部に近づくほど薄くなる形状を有している。また、別の観点からは、各翼状延端部64は取付部62の他の部分(ひし形部分)と比較して、Y方向(収納部16の深さ方向)の長さの変化が緩やかな部分ともいえる。
【0260】
本実施形態によると、翼状延端部64が設けられていない場合と比較して、周縁シール部21の取付部62が挟まれていない部分から挟まれている部分へのY方向の長さの変化が滑らかである。このため、熱接着時に取付部62の周面に容易に熱接着性樹脂層38を密着させることができ、外装部材20に取付部62をより強固に固定することができる。
【0261】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0262】
<第14実施形態>
次に、図38は第14実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の横断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0263】
同図によると、取付部62の断面は六角形(多角形)形状を有している。六角形の各コーナーには、コーナーR(例えば、R=0.2mm~2.0mm)が形成されている。
【0264】
本実施形態によると、多角形の取付部62の各コーナーにコーナーRを設けたので、取付部62の熱接着性樹脂層38に挟まれた部分が熱接着性樹脂層38を傷つける可能性を低くすることができる。このため、熱接着性樹脂層38の絶縁性低下を防止することができる。
【0265】
尚、本実施形態の弁装置50を第2~第4実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に設けてもよい。
【0266】
<第15実施形態>
次に、図39図40は第15実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の包装材15の正面図及び要部を拡大した上面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はフランジ部17に弁装置配置部17aが設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0267】
フランジ部17に形成された弁装置配置部17aは半円形状を有している。弁装置配置部17aの半円形状の直径は、取付部62の直径よりも僅かに長い。弁装置配置部17aに取付部62が配置された状態で、外装部材20の周縁の熱接着が行なわれる。これにより、熱接着時の包装材15の変形が抑制され、取付部62付近でピンホールや破れが生じる可能性を低減することができる。
【0268】
尚、弁装置配置部17aは包装材25に設けられてもよい。この場合であっても、弁装置配置部17aが包装材15に設けられた場合と同様の効果を得ることができる。
【0269】
<第16実施形態>
次に、図41は第16実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の正面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は周縁シール部21の弁装置50が取付けられる部分の形状が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0270】
図42図41のJ部拡大図を示している。同図に示すように、弁装置50の取付部62は周縁シール部21上に配される。弁機能部52の内端部は周縁シール部21の外側端縁P1に接しておらず、外側端縁P1から外側に間隔をあけて配される。周縁シール部21は取付部62の近傍において、外側に窪む凹部21aを有する。より具体的には、周縁シール部21の内側端縁P2(図9参照)は取付部62の近傍において内側端縁P2の延びる方向に沿って互いに隣接する3つのラインK1~K3上に配される。
【0271】
ラインK1(第1ライン)は取付部62と交差する。ラインK2(第2ライン)はラインK1の一端に連続し、ラインK3(第3ライン)はラインK1の他端に連続する。ラインK2及びラインK3は、Z方向に同じ位置でX方向に延びている。ラインK1はラインK2の端部から外側に向かって斜め方向に延びてX方向に屈曲して取付部62を跨ぎ、内側に向かって斜め方向に延びてラインK3に連結される。
【0272】
即ち、ラインK1はラインK2及びラインK3よりも外側に位置し、ラインK2とラインK3との間において両ラインK2、K3よりも外側をX方向に延びている。その結果、外装部材20は蓄電素子11が配置される収納部16内の空間S1から、取付部62の近傍において取付部62に向かって外側に突出する空間S3を有する。
【0273】
取付部62の内端62aはフランジ部17の内側端縁P3(収納部16の外側端縁、図9参照)よりも外側に位置する。このため、取付部62の内端部が収納部16内に配置される蓄電素子11に接触する可能性が低くなり、蓄電素子11を傷つけることを抑制することができる。
【0274】
また、取付部62の内端62aは周縁シール部21の内側端縁P2(図9参照)まで達しており、そこからさらに収納部16に向かって突出している。これにより、筐体51の内端部には弁機構の閉状態において収納部16に連通する開口が形成されている。尚、取付部62の内端62aは空間S3内に位置し、収納部16の内部には達していない。
【0275】
また、取付部62の内端62aがフランジ部17の内側端縁P3(収納部16の外側端縁)よりも外側であっても、蓄電デバイス10の使用状況によって蓄電素子11に接触する可能性がある。このため、取付部62の内端部の外周部には第1実施形態と同様にコーナーR(図11参照)が形成される。
【0276】
図43は弁装置50の他の取り付け例を示し、図41のJ部拡大図を示している。同図によると、弁機能部52の内端部が周縁シール部21の外側端縁P1に接して弁装置50が取り付けられる。この場合、弁機能部52と取付部62との間の段差を利用することにより、周縁シール部21に対する弁装置50の位置決めを確実に行うことができる。従って、Z方向の取付部62の長さを周縁シール部21のシール幅よりも長く設計しておくことで、空間S3内において取付部62の内端62aを周縁シール部21の内側端縁P2から確実に突出させることができる。
【0277】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、収納部16の深さ方向に垂直な面内で直交するX方向(第1方向)及びZ方向(第2方向)がそれぞれ電動自動車1の左右方向及び高さ方向に配置される。これにより、複数の蓄電デバイス10を積み重ねた際の加重による外装部材20の破損を防止することができる。また、外装部材20の周縁シール部21に弁装置50が取り付けられるため、ガス抜きを行う圧力の正確な制御が可能となる。
【0278】
また、取付部62の内端62aがフランジ部17の内側端縁P3(収納部16の外側端縁)よりも外側に位置する。このため、取付部62の内端部が、収納部16内に配置される蓄電素子11に接触する可能性が低くなり、蓄電素子11を傷つけることを抑制することができる。
【0279】
この時、弁機能部52(第1部分)の外形が取付部62(第2部分)の外形から収納部16の深さ方向(Y方向)においてはみ出している。また、弁機能部52(第1部分)は取付部62(第2部分)よりも通気路63の延びる方向に直交する断面における断面積が大きい。これにより、上記と同様に、蓄電デバイス10の絶縁破壊を防止しつつ、対向する熱接着性樹脂層38を適切に熱接着して取付部62を外装部材20に強固に固定することができる。
【0280】
また、弁装置50の内端はフランジ部17の内側端縁P3(収納部16の外側端縁)よりも外側で周縁シール部21の内側端縁P2まで達し、筐体51の内端部には弁機構の閉状態において収納部16に連通する開口が形成されている。このため、周縁シール部21の形成時に溶融した包装材15、25の一部が開口を介して通気路63内に入り込むことによる通気路63の目詰まりを防止できる。
【0281】
また、弁装置50が外装部材20の周縁シール部21の内側端縁P2から収納部16に向かって突出している。すなわち、弁装置50の内端部が周縁シール部21から距離をあけている。そのため、周縁シール部21の形成時に、周縁シール部21に加わる熱や圧力等の弁装置50を故障させる原因が弁装置50の内端部に作用し難くなる。従って、弁装置50の取り付け時の故障を抑制することができる。
【0282】
尚、第2~第15実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に本実施形態と同様の凹部21aを設けてもよい。
【0283】
<第17実施形態>
次に、図44は第17実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の正面図を示している。図45図44のG-G断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は周縁シール部21の弁装置50が取付けられる部分の形状が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0284】
弁装置50の弁機能部52は周縁シール部21よりも外側に位置した外側部分を形成する。弁装置50の取付部62は周縁シール部21において包装材15、25の熱接着性樹脂層38(図7参照)に挟まれる。周縁シール部21の取付部62を挟む挟持部分の外表面には、凹条部23及び凸条部24によって凹凸が設けられる。
【0285】
図46は周縁シール部21の取付部62が挟まれている部分を示す拡大図である。凹条部23は周縁シール部21が延びた方向(X方向)に沿って弁装置50の周方向に延び、周縁シール部21の外面上に凹設される。凹条部23の深さD1は包装材15、25の厚みに応じて例えば、0.05mm~0.1mmである。凹条部23の底部はYZ断面上で半円状のコーナーRを形成され、丸みを帯びている。
【0286】
また、凹条部23はZ方向に複数並設され、複数の凹条部23間に凸条部24が形成される。これにより、凸条部24は収納部16(図45参照)の深さ方向(Y方向)の外側に突出している。即ち、包装材15上の凸条部24(第1凸部)は凹条部23(第1凹部)よりも収納部16(図45参照)の深さ方向の一方の外側に突出している。包装材25上の凸条部24(第2凸部)は凹条部23(第2凹部)よりも収納部16(図45参照)の深さ方向の他方の外側に突出している。
【0287】
周縁シール部21はヒートシール工程(図17参照)において、ヒートシール装置により形成される。図47はヒートシール装置80の概略構成図を示している。ヒートシール装置80は包装材15、25の周縁上の弁装置50を設けた辺に圧力及び熱を加えて熱接着し、周縁シール部21を形成する。尚、弁装置50を設けていない辺は、後述する凸条部82aを省いた他のヒートシール装置により周縁シール部21が形成される。
【0288】
ヒートシール装置80は、基部81上にヒートシールヘッド82を設けたヒートシールバーと、加熱部83とを備えている。加熱部83は、外部電源から供給される電力を用いることによってヒートシールヘッド82を加熱するように構成されている。加熱部83としては、公知のヒートシール装置に用いられている種々の構成を採用することができる。
【0289】
ヒートシールヘッド82は包装材15、25の周縁に沿ってX方向に延び、周縁シール部21と対向する面(挟み面)には複数の凸条部82aが設けられている。複数の凸条部82a間に凹部が形成されるため、ヒートシールヘッド82上に凹凸が設けられる。各凸条部82aはX方向に延び、各凸条部82aの先端にはYZ断面上で半円状のコーナーRが形成されている。また、各凸条部82aの高さH1は例えば、0.05mm~1mmに形成される。
【0290】
周縁シール部21上の包装材15、25の取付部62を挟む部分がヒートシールヘッド82によって挟まれると、各凸条部82aが包装材15、25を取付部62側に押し込む。ヒートシールヘッド82によって押し込まれた位置において包装材15、25と取付部62とが接合される。この時、凸条部82aによって深く押し込まれて形成された凹条部23の位置において包装材15、25と取付部62とがより強固に接合される。即ち、ヒートシールヘッド82によって、必要以上に強い圧力を加えなくても凹条部23において包装材15、25と取付部62とを強固に接合することができる。
【0291】
従って、取付部62の周囲における密封性の低下を抑制することができ、外装部材20の密封性を維持することができる。また、熱接着性樹脂層38を形成する熱接着性樹脂が凹条部23によって区分けされるため、熱接着性樹脂が必要以上に流れない。このため、蓄電デバイス10において熱接着性樹脂層38全体(Z方向にわたる全体)が必要以上に薄くならない。その結果、取付部62の周囲、特に取付部62の先端部における取付部62と包装材15とのシール部において絶縁破壊が生じる可能性を抑制することができる。
【0292】
また、ヒートシールヘッド82の凸条部82aによって形成される凹条部23の底部には半円状のコーナーR(例えば、R=0.02mm~1mm)が形成されている。即ち、蓄電デバイス10の製造過程において、周縁シール部21の外表面への凹条部23の付与時に鋭利な部材は用いられていない。従って、蓄電デバイス10の製造過程における外装部材20の外表面の劣化を抑制することができる。
【0293】
本実施形態によると、周縁シール部21は弁装置50の取付部62を挟む挟持部分の外表面に凹凸(凹条部23及び凸条部24)を形成される。周縁シール部21上の凹凸はヒートシール装置80のヒートシールヘッド82に設けた凸条部82aによって容易に形成することができる。凸条部82aによる凹凸の形成により、ヒートシールヘッド82によって必要以上に強い圧力を加えなくても包装材15、25の熱接着性樹脂層38と取付部62とを強固に接合できる。
【0294】
従って、取付部62の周囲における密封性の低下を抑制することができ、外装部材20の密封性を維持することができる。また、熱接着性樹脂層38を形成する熱接着性樹脂が凹条部23によって区分けされるため、熱接着性樹脂が必要以上に流れない。このため、蓄電デバイス10において熱接着性樹脂層38全体(Z方向にわたる全体)が必要以上に薄くならない。その結果、取付部62の周囲、特に取付部62の先端部における取付部62と包装材15とのシール部において絶縁破壊が生じる可能性を抑制することができる。
【0295】
また、周縁シール部21上の凹凸は弁装置50の周方向に延びる凹条部23により形成され、凹条部23の深さは0.05mm~0.1mmに形成される。これにより、熱接着性樹脂層38と取付部62とを確実に接合できるとともに、周縁シール部21形成時の包装材15、25の破損を防止することができる。
【0296】
また、周縁シール部21の一面に設けられた凹凸は、凹条部23(第1凹部)と、凹条部23よりも収納部16の深さ方向(Y方向)の一方の外側に突出した凸条部24(第1凸部)とを含む。周縁シール部21の他面に設けられた凹凸は、凹条部23(第2凹部)と、凹条部23よりも収納部16の深さ方向(Y方向)の他方の外側に突出した凸条部24(第2凸部)とを含む。そして、凹条部23(第1凹部及び第2凹部)の底部が丸みを帯びている。このため、周縁シール部21の熱接着時に鋭利な部材が用いられず、製造過程における外装部材20の外表面の劣化を抑制することができる。
【0297】
尚、第2~第16実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に本実施形態と同様の凹条部23を設けてもよい。
【0298】
<第18実施形態>
次に、図48は第18実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の正面図を示している。説明の便宜上、前述の図44図46に示す第17実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第17実施形態に対して弁装置50を配した周縁シール部21の構成が異なっている。その他の部分は第17実施形態と同様である。
【0299】
蓄電デバイス10の周縁シール部21は弁装置50が配置されている一辺において、外表面に梨地22による凹凸が形成されている。梨地22は外装部材20のY方向の両面に形成されている。梨地22の表面粗さRaは例えば1μm~20μmである。
【0300】
図49は本実施形態の周縁シール部21を形成するヒートシール装置80の概略構成図を示している。ヒートシール装置80のヒートシールヘッド82の周縁シール部21と対向する面(挟み面)は粗面加工を施され、梨地82bによる凹凸が形成されている。梨地82bの表面粗さRaは例えば1μm~20μmである。
【0301】
周縁シール部21上の包装材15、25の取付部62を挟む部分がヒートシールヘッド82によって挟まれると、包装材15、25が梨地82bによって取付部62側に押し込まれる。ヒートシールヘッド82によって押し込まれた位置において包装材15、25と取付部62とが接合される、この時、梨地82bの突出部分が包装材15、25を取付部62側に深く押し込む。これにより、梨地82bの突出部分によって深く押し込まれて形成された梨地22の凹み部分の位置において、包装材15、25と取付部62とが強固に接合される。
【0302】
本実施形態によると、梨地22による凹凸の凹み部分により、ヒートシールヘッド82によって必要以上に強い圧力を加えなくても包装材15、25の熱接着性樹脂層38と取付部62とを強固に接合できる。従って、取付部62の周囲における密封性の低下を抑制することができ、外装部材20の密封性を維持することができる。
【0303】
尚、第2~第16実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に本実施形態と同様の梨地22を設けてもよい。
【0304】
<第19実施形態>
次に、図50は第19実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の周縁シール部21の取付部62が挟まれている部分を示す拡大図である。説明の便宜上、前述の図44図46に示す第17実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第17実施形態に対して弁装置50を配した周縁シール部21の構成が異なっている。その他の部分は第17実施形態と同様である。
【0305】
第17実施形態と同様に、周縁シール部21のうち、取付部62が包装材15、25によって挟まれている部分の外表面には、凹条部23及び凸条部24によって凹凸が形成されている。
【0306】
包装材15に形成された凹条部23及び凸条部24のZ方向の位置と、包装材25に形成された凹条部23及び凸条部24のZ方向の位置とが異なる。即ち、包装材15上の凹条部23の位置と、包装材25上の凹条部23の位置とが、収納部16(図45参照)の深さ方向(Y方向)に重ならないように配置される。
【0307】
このため、周縁シール部21の形成時に包装材15、25に加えられる力が分散されるため、取付部62や包装材15、25に加えられる部分的なダメージを抑制することができる。
【0308】
尚、第2~第16実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10に本実施形態と同様の凹条部23を設けてもよい。
【0309】
<第20実施形態>
次に、図51図52は第20実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の正面図及び側面断面図を示してる。また、図53図51のK-K断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の構成が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0310】
弁装置50の筐体51(図54参照)は弁機能部52、取付部62及び平行部72を有している。平行部72は取付部62と弁機能部52との間に配置され、平行な第1平面Q1及び第2平面Q2(図55参照)を有している。
【0311】
図54図55図56は弁装置50の正面図、底面図及び上面図を示している。また、図57図55のM-M断面図及びN-N断面図を示している。取付部62は包装材15、25に挟まれて周縁シール部21に固定される。弁機能部52及び平行部72は周縁シール部21の外側に配置され、包装材15、25(図52参照)に挟まれていない。本実施形態では、外装部材20の内側から外側に向かう方向(Z方向)に取付部62、弁機能部52、平行部72の順に連続して配置される。
【0312】
また、弁機能部52が周縁シール部21の外側に配置されるため、取付部62を熱接着した際の熱によって弁機構の構成部品が変形することによる弁機構の破損を低減することができる。
【0313】
取付部62、弁機能部52及び平行部72はそれぞれZ方向に平行な中心軸C1を有する筒状であり、互いに同軸である。筐体51内には中心軸C1上にZ方向に延びる通気路63が設けられる。通気路63は断面円形に形成され、第1通路部63a、第2通路部63b及び第3通路部63cを有している。
【0314】
第1通路部63aは取付部62に設けられ、取付部62の先端(下端)に流入口51dが開口する。第3通路部63cは平行部72に設けられ、第1通路部63aに連続する。第2通路部63bは弁機能部52に設けられて第3通路部63cに連続し、弁機能部52の先端(上端)に排気口51bが開口する。即ち、第3通路部63cは、第2通路部63bよりも外装部材20の内部側に配置され、第3通路部63cよりも更に外装部材20の内部側に第1通路部63aが配置される。
【0315】
弁機能部52の外形は、概ね中心軸C1を中心とする円柱形状である。平行部72の外形は、概ね中心軸C1を中心とする円柱の一部を切り欠いた形状を有する。より具体的には、平行部72の外形は、概ね中心軸C1を中心とする円柱を中心軸C1からY方向に一定の距離を空けた平行(略平行である場合を含む)な第1平面Q1及び第2平面Q2で切り欠いた形状を有する。
【0316】
第1平面Q1及び第2平面Q2は中心軸C1に平行(略平行な場合を含む)である。また、本実施形態では第1平面Q1及び第2平面Q2は周縁シール部21が延びる方向に平行(略平行な場合を含む)である。
【0317】
また、平行部72の外周面は第1平面Q1及び第2平面Q2の両端をそれぞれ連結する湾曲面Q3及び湾曲面Q4を有している。湾曲面Q3、Q4は中心軸C1に垂直な断面上で中心軸C1を中心とする円弧状であり、弁機能部52の外形にZ方向に重なる。平行部72は一対の第1平面Q1及び第2平面Q2が形成されるように円筒形の部材の外周面を切削することにより形成することができる。
【0318】
取付部62の外形は中心軸C1に垂直な断面形状が非円形である。より具体的には、取付部62は中心軸C1に垂直な断面においてX方向の中央部から一方(第1方向)に向かうほど薄く形成された第1翼状部68と、他方(第2方向)に向かうほど薄く形成された第2翼状部69とを有する。これにより、取付部62は蓄電デバイス10の長手方向(X方向)の中央部に近づくほど厚くなり、端部に近づくほど薄くなる。
【0319】
本実施形態では第1翼状部68及び第2翼状部69により、取付部62の外周面は包装材15、25に覆われるそれぞれの面において滑らかな湾曲面を描いている。このため、取付部62が円筒形の場合と比べて周縁シール部21の取付部62を挟まない部分から挟む部分への厚みの変化が滑らかになる。その結果、取付部62周辺の周縁シール部21において包装材15、25に無理な力が加わらないため、取付部62を周縁シール部21に強固に固定することができる。
【0320】
また、弁装置50をZ方向に視たとき、取付部62の外形は弁機能部52及び平行部72の外形に包含される。言い換えると、弁装置50をZ方向に視たとき、弁機能部52及び平行部72は取付部62の外形から、収納部16(図5参照)の深さ方向を含む各方向にはみ出している。その結果、平行部72と取付部62との境界には段差51cが形成されている。この段差51cにより、弁装置50は取付部62から平行部72に向かって不連続に拡径する形状となる。
【0321】
以上のとおり、本実施形態では取付部62、弁機能部52及び平行部72の外形はそれぞれに割り当てられている役割に応じて中心軸C1に垂直な断面形状が異なる。
【0322】
弁機能部52の内部に設けられる弁機構は外装部材20の内部において発生したガスに起因して外装部材20内の圧力が上昇した際に第2通路部63bを開く。そして、第1通路部63a及び第3通路部63cを通過したガスを第2通路部63bに導き、排気口51bを介して外装部材20の外部へ排気する。
【0323】
即ち、弁機能部52には、弁装置50のガス抜き弁としての機能を発揮するための主な構造を有する部分が保持される。本実施形態では、弁機構は弁機能部52の内部の第2通路部63b内に設けられ、バネ56、ボール54及びバルブシート55を備えている。
【0324】
また、筐体51の弁機能部52は、下面に嵌合孔59aを有した筒部59と、嵌合孔59aに挿入される挿入部70とを有している。挿入部70は平行部72及び取付部62と一体に形成される。
【0325】
弁機能部52内には流入口51dから排気口51bに向かって順に、挿入部70、バルブシート55、ボール54、バネ56が配置されている。本実施形態では、筒部59、バルブシート55及び挿入部70が別部材として構成されているが、これらの少なくとも一部を一体に形成してもよい。また、挿入部70が平行部72及び取付部62と一体に形成されているが、これらの少なくとも一部を別部材として形成してもよい。
【0326】
バネ56はコイルバネにより形成され、ボール54を下方に付勢する。バネ56を板バネにより形成してもよい。バルブシート55はバネ56により外側から付勢される弁体としてのボール54を支持する。ボール54がバルブシート55上に着座すると、弁装置50の閉状態が形成される。これにより、弁機構はボールスプリング型の逆止弁を構成する。
【0327】
取付部62は外装部材20の内部において発生したガスが第1通路部63aに流入するように、周縁シール部21に固定される。即ち、取付部62の内部の第1通路部63aは、外装部材20の内部の収納部16(図6参照)に連通している。
【0328】
外装部材20内が所定の圧力に達すると、外装部材20に連通する第1通路部63a及び第3通路部63cを通過したガスがボール54を上方に押圧する。ガスにより押圧されたボール54はバネ56に抗して排気口51b側へ移動するとバルブシート55から離れ、弁装置50の開状態が形成される。この開状態においてガスはボール54とバルブシート55との間に形成された隙間を通り、排気口51bから外部空間に排出される。
【0329】
ガスが排出され、ボール54をZ方向に押圧する力が弱まると、バネ56が延び、ボール54をZ方向(下方)に付勢する力がガスによる力よりも大きくなる。その結果、再度、弁装置50の閉状態が形成される。
【0330】
弁装置50は閉状態において、外装部材20の内部への大気の進入を防止することができる。一方、開状態においては、外装部材20内の圧力が外部空間内の圧力よりも高いまたは同等の状態が維持される。このため、開状態においても、外装部材20の内部への大気の進入は生じ難い。これにより、弁装置50は外装部材20内への大気の進入を効果的に防止し、大気に含まれる水分等による蓄電素子11の劣化を防止することができる。
【0331】
弁装置50の各部を構成する材料は、特に限定されない。取付部62、弁機能部52及び平行部72を同じ材料で形成してもよく、異なる材料で形成してもよい。例えば、取付部62、弁機能部52の筒部59、挿入部70及び平行部72を、アルミニウム合金、ステンレス、鋼、チタン等の金属製とすることができる。
【0332】
取付部62、弁機能部52の筒部59、挿入部70及び平行部72を樹脂により形成してもよい。この時、上記したように、取付部62は、包装材15、25の最内層と直に接着する材料が好ましい。また、弁機能部52の筒部59の材質の融点を取付部62の材質の融点よりも高くするとよい。
【0333】
弁機能部52内部に設けられる弁機構の材質の好ましい例として、ボール54をフッ素樹脂製とし、バルブシート55をフッ素ゴム製とすることができる。また、バネ56をステンレス等の金属製とし、弁機能部52の筒部59を金属製とすることができる。
【0334】
バルブシート55と挿入部70とは接着剤により接着することができ、この接着剤は特に限定されない。例えば、バルブシート55をフッ素ゴム製として挿入部70をアルミニウム等の金属製とした場合、酸変性ポリオレフィン及びエポキシ樹脂から成る接着剤を好適に用いることができる。
【0335】
このような接着剤は、例えば変性シリコン樹脂製の接着剤が使用される場合に比べて、電解液による接着性能の劣化を抑制することができる点で優れる。また、弁装置50の開封防止の観点から、その他の様々な箇所にも適宜接着剤を塗布することができる。例えば、弁機能部52の筒部59の下端面と平行部72の上面との間に接着剤を塗布することができる。
【0336】
また、取付部62の表面には、特に耐電解液性の観点から、腐食防止剤のコーティングを施して腐食防止被膜層を形成することが好ましい。特に取付部62をアルミニウム等の金属製とした場合に耐電解液性効果が大きいが、その他の材料から構成する場合にも耐電解液性を向上できる。
【0337】
このようなコーティングは、取付部62を腐食防止剤の液体中に浸漬することにより施すことができる。これにより、取付部62の外側表面及び第1通路部63aに面する内側表面に腐食防止被膜層を形成することができる。このため、外装部材20内のガスによる外側表面の腐食及び第1通路部63aを通るガスによる内側表面の腐食を防止することができる。腐食防止剤の材料は特に限定されないが、耐酸性のものが好ましくリン酸クロメート処理等により形成することができる。
【0338】
また、取付部62だけでなく、平行部72、弁機能部52の筒部59及び挿入部70の表面にも、同様のコーティングを施して腐食防止被膜層を形成してもよい。電解液による取付部62と包装材15、25との接着性能の劣化を抑制する観点からは、このようなコーティングは特に取付部62に施すことが有効である。
【0339】
図59図61はヒートシール工程の弁装置50の取り付け時の状態を説明する図である。これらの図において、包装材15の収納部16を省略している。図59に示すように、包装材15、25は固定具(不図示)によって対面した状態に固定される。弁装置50は治具91の把持部92により把持される。この時、把持部92は弁装置50の平行部72の第1平面Q1及び第2平面Q2を挟持する。平行な第1平面Q1及び第2平面Q2によって把持部92は第1平面Q1及び第2平面Q2の全面に容易に接触し、平行部72を確実に挟み込むことができる。
【0340】
次に、治具91によって弁装置50が搬送され、図60に示すように互いに対面する包装材15、25間に弁装置50の取付部62が進入して設置される。この時、弁装置50は平行部72が包装材15、25の隙間に入り込まないように搬送される。これにより、弁装置50の筐体51の取付部62が包装材15、25の外周部に挟まれる。この時、弁装置50を配した辺の周縁シール部21が延びる方向(X方向)が第1平面Q1及び第2平面Q2とが平行になるように弁装置50が設置される。
【0341】
次に、図61に示すように、一対の加熱されたヒートシールバー93が包装材15、25の外周部分を外側から挟み込む。その結果、包装材15、25の外周部分がヒートシールバー93からの熱を受けて熱接着され、周縁シール部21が形成される。
【0342】
以上により、弁装置50の取付部62のみが包装材15、25に挟み込まれるようにして、弁装置50が周縁シール部21に固定される。この時、取付部62に含まれる第1、第2翼状部68、69(図55参照)は、両者の先鋭な端部を結ぶ線が周縁シール部21の延びる方向(X方向)に対して傾くことなく固定される。その後、一対のヒートシールバー93が所定の位置に退避するとともに、把持部92が弁装置50を解放し、所定の位置に退避する。
【0343】
以上の工程では、把持部92は一対の平行な第1平面Q1及び第2平面Q2により、弁装置50をしっかりと把持することができる。このため、包装材15、25に対して弁装置50を所望の位置まで正確に搬送することができる。また、ヒートシール加工中に包装材15、25に対して弁装置50を所望の位置にしっかりと固定することができる。即ち、弁装置50を外装部材20に対して正確に位置合わせすることができる。ここでいう位置合わせには、X方向、Y方向及びZ方向の位置だけでなく、中心軸C1周りの角度を調整することが含まれる。従って、弁装置50の外装部材20への取り付けを容易にすることができる。
【0344】
本実施形態によると、弁装置50の筐体51の外周面上には外装部材20の外側に配される平行な第1、第2平面Q1、Q2が設けられる。このため、ヒートシール工程で弁装置50を容易に把持して搬送や位置決めを行うことができる。従って、弁装置50を外装部材20に容易に取り付けることができる。
【0345】
また、筐体51は、第1平面Q1及び第2平面Q2を設けた平行部72が取付部62と弁機能部52との間に配置される。これにより、第1平面Q1及び第2平面Q2を把持部92により把持して包装材15、25の外側に配し、弁装置50を容易に設置できるとともに、把持する際の加圧力による弁機構の損傷を防止することができる。
【0346】
また、取付部62の軸方向に垂直な断面形状が非円形であるので、通気路63を形成する取付部62内の第1通路部63aの断面積を確保してY方向の取付部62の厚みを小さくできる。従って、外装部材20に取付部62を強固に固定することができる。
【0347】
また、取付部62が中央部から周縁シール部21に沿ったX方向の一方(第1方向)に向かうほど薄く形成された第1翼状部68と、X方向の他方(第1方向と反対の第2方向)に向かうほど薄く形成された第2翼状部69とを有する。これにより、取付部62の外周面は包装材15、25に覆われるそれぞれの面において滑らかな湾曲面を描いている。このため、周縁シール部21の取付部62を挟まない部分から挟む部分への厚みの変化が滑らかになる。従って、外装部材20に取付部62をより強固に固定することができる。
【0348】
また、第1平面Q1及び第2平面Q2がX方向(第1方向及び第2方向)に平行であるので、把持部92を容易に移動させることができ、弁装置50の取り付け時の作業性をよくすることができる。
【0349】
尚、第2~第19実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50に本実施形態と同様の第1、第2平面Q1、Q2を設けてもよい。
【0350】
<第21実施形態>
次に、図62は第21実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の側面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図51図61に示す第20実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第20実施形態の弁装置50はガス抜きを繰り返し可能なボールスプリング型の逆止弁であったが、本実施形態の弁装置50は1回限りのガス抜きが可能破壊弁を構成する。その他の部分は第20実施形態と同様である。
【0351】
弁装置50は通気路63を閉塞する薄板またはフィルムから成る破壊弁57を備えている。破壊弁57は例えば、排気口51bを覆うように筐体51に樹脂製の薄板またはラミネートフィルムを熱接着して形成される。
【0352】
外装部材20の内部の圧力が上昇すると、通気路63を流通するガスが破壊弁57を押圧する。これにより、破壊弁57である薄板またはラミネートフィルムが筐体51から剥離することにより開弁する。
【0353】
本実施形態において、破壊弁57をアルミニウム等の金属製の薄板により形成して筐体51に接着してもよい。この時、図63に示すように、破壊弁57には中心付近から放射状に延びる溝部57aを形成するとより好ましい。溝部57aは破壊弁57を厚み方向に貫通しておらず、破壊弁57は他の部位に比べて溝部57a上で薄く形成されている。この場合、外装部材20内の圧力が上昇すると、破壊弁57が破断することによって開弁する。
【0354】
尚、弁装置50は、ポペット型、ダックビル型、アンブレラ型、ダイヤフラム型等であってもよい。また、弁装置50は逆止弁及び破壊弁のいずれかであってもよく、逆止弁及び破壊弁の両方を含んでいてもよい。
【0355】
<第22実施形態>
次に、図64は第22実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の底面図示している。説明の便宜上、前述の図51図61に示す第20実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第20実施形態に対して弁装置50の平行部72の向きが異なっている。その他の部分は第20実施形態と同様である。
【0356】
弁装置50の筐体51は第20実施形態と同様に外装部材20の内側から外側に向かって取付部62、平行部72、弁機能部52の順に配される。取付部62は外装部材20に取り付けられ、弁機能部52は内部に弁機構を設けられる。平行部72の第1平面Q1及び第2平面Q2は、周縁シール部21が延びる方向(X方向)に垂直(略垂直の場合を含む)に配される。湾曲面Q3、Q4は第1、第2平面Q1、Q2の両端をそれぞれ連結し、弁機能部52の外形にZ方向に重なる。
【0357】
本実施形態によると、第1平面Q1及び第2平面Q2が外装部材20の外側に配され、X方向(第1方向及び第2方向)に垂直である。このため、把持部92を容易に移動させることができ、弁装置50の取り付け時の作業性をよくすることができる。
【0358】
尚、第1平面Q1及び第2平面Q2はX方向に平行または垂直に限られず、弁装置50の取り付け時の作業性が低下するが、様々な方向に向けて配することができる。
【0359】
尚、第2~第19実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50に本実施形態と同様の第1、第2平面Q1、Q2を設けてもよい。
【0360】
<第23実施形態>
次に、図65は第23実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の正面図を示している。説明の便宜上、前述の図51図61に示す第20実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第20実施形態に対して弁装置50の構成が異なっている。その他の部分は第20実施形態と同様である。
【0361】
弁装置50の筐体51は外装部材20の内側から外側に向かって取付部62、弁機能部52、平行部72の順に配される。取付部62は外装部材20に取り付けられる。弁機能部52は内部に弁機構を設けられる。平行部72はX方向に平行な第1平面Q1及び第2平面Q2を設けられる。
【0362】
本実施形態によると、弁機構を有した弁機能部52の外側に、第1、第2平面Q1、Q2を有した平行部72が配置される。これにより、第1平面Q1及び第2平面Q2を把持部92により把持して包装材15、25の外側に配し、弁装置50を容易に設置できるとともに、把持する際の加圧力による弁機構の損傷を防止することができる。
【0363】
尚、第22実施形態と同様に、平行部72の第1平面Q1及び第2平面Q2を、周縁シール部21が延びる方向(X方向)に垂直に配してもよい。
【0364】
また、第2~第19実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50に本実施形態と同様の第1、第2平面Q1、Q2を設けてもよい。
【0365】
<第24~第25実施形態>
次に、図66図67は第24実施形態及び第25実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の底面図を示している。説明の便宜上、前述の図51図61に示す第20実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。これらの実施形態は第20実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第20実施形態と同様である。
【0366】
図66に示す弁装置50の筐体51は取付部62の外形の軸方向に垂直な断面形状を非円形の六角形に形成される。図67に示す弁装置50の筐体51は取付部62の外形の軸方向に垂直な断面形状を非円形の四角形に形成される。
【0367】
これらの実施形態においても上記と同様に、筐体51が外装部材20の外側に配される第1、第2平面Q1、Q2を有するので、弁装置50を外装部材20に容易に取り付けることができる。尚、取付部62の外形の軸方向に垂直な断面形状は四角形、六角形に限られず、他の多角形でもよい。
【0368】
<第26実施形態>
次に、図68は第26実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の底面図を示している。説明の便宜上、前述の図51図61に示す第20実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第20実施形態に対して弁装置50の取付部62の形状が異なっている。その他の部分は第20実施形態と同様である。
【0369】
弁装置50の筐体51は取付部62の外形の軸方向に垂直な断面形状を円形に形成される。本実施形態においても上記と同様に、筐体51が外装部材20の外側に配される第1、第2平面Q1、Q2を有するので、弁装置50を外装部材20に容易に取り付けることができる。尚、取付部62の外形の軸方向に垂直な断面形状を長軸がX方向に平行な楕円形に形成してもよい。
【0370】
<第27実施形態>
次に、図69は第27実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の側面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図51図61に示す第20実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第20実施形態に対して弁装置50の構造が異なっている。その他の部分は第20実施形態と同様である。
【0371】
弁装置50の筐体51は弁機構を設けた弁機能部52(図54参照)が取付部62と一体化され、取付部62内に弁機構が設けられる。これにより、外装部材20の内側から外側に向かって取付部62、平行部72の順に配される。取付部62は外装部材20に取り付けられ、内部に弁機構を設けられる。平行部72の第1平面Q1及び第2平面Q2は外装部材20の外側に配置され、周縁シール部21が延びる方向(X方向)に平行に配される。
【0372】
本実施形態においても上記と同様に、筐体51が外装部材20の外側に配される第1、第2平面Q1、Q2を有するので、弁装置50を外装部材20に容易に取り付けることができる。第22実施形態と同様に、平行部72の第1平面Q1及び第2平面Q2を、周縁シール部21が延びる方向(X方向)に垂直に配してもよい。
【0373】
尚、弁機構を取付部62に設けると、外装部材20の熱接着時にヒートシールバー93(図59参照)の熱及び圧力によって弁機構を損傷する虞がある。このため、他の実施形態のように、弁機構を外装部材20の外側に配置するとより望ましい。
【0374】
<第28実施形態>
次に、図70は第28実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の側面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図51図61に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第20実施形態に対して弁装置50の構造が異なっている。その他の部分は第20実施形態と同様である。
【0375】
弁装置50の筐体51は弁機構を設けた弁機能部52(図54参照)に第1、第2平面Q1、Q2が設けられる。これにより、外装部材20の内側から外側に向かって取付部62、弁機能部52の順に配される。取付部62は外装部材20に取り付けられる。弁機能部52の第1平面Q1及び第2平面Q2は外装部材20の外側に配置され、周縁シール部21が延びる方向(X方向)に平行に配される。
【0376】
本実施形態においても上記と同様に、筐体51が外装部材20の外側に配される第1、第2平面Q1、Q2を有するので、弁装置50を外装部材20に容易に取り付けることができる。第22実施形態と同様に、平行部72の第1平面Q1及び第2平面Q2を、周縁シール部21が延びる方向(X方向)に垂直に配してもよい。
【0377】
尚、第20~第26実施形態の弁装置50の平行部72に設けられる第1、第2平面Q1、Q2が、弁機能部52の弁機構上を通るXY面内まで上方に延びて形成されてもよい。
【0378】
第20~第28実施形態において、通気路63の軸方向に垂直な断面形状を多角形、楕円、長円等により形成してもよい。弁機能部52の軸方向に垂直な断面形状を多角形、楕円、長円等により形成してもよい。
【0379】
また、第1、第2平面Q1、Q2の両端をそれぞれ連結する湾曲面Q3、Q4を平面により形成してもよく、屈曲した複数の平面により形成してもよい。これにより、第1、第2平面Q1、Q2を設けた平行部72または弁機能部52の軸方向に垂直な断面形状は、四角形、六角形、八角形等の多角形により形成される。
【0380】
また、第2~第19実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50に本実施形態と同様の第1、第2平面Q1、Q2を設けてもよい。
【0381】
<第29実施形態>
次に、図71図72は第29実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50の正面図及び正面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1図18に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対して弁装置50の構成が異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0382】
弁装置50は、弁機能部52、ガス通過部61及び取付部62を備えている。弁機能部52、ガス通過部61及び取付部62は、一体で構成されてもよく、別体で構成されてもよい。それぞれを別体で構成すると、各部の材料として異なる材料を選択することが可能となる。
【0383】
弁機能部52、ガス通過部61及び取付部62はZ方向に並び、弁機能部52の下方にガス通過部61を介して取付部62が配置される。弁機能部52、ガス通過部61及び取付部62の外形は、それぞれZ方向に平行な中心軸を有する略円柱形状であり、互いに同軸である。
【0384】
弁装置50の筐体51の弁機能部52部分は例えば金属、樹脂等により筒状に形成される。取付部62は管状の金属、樹脂等で構成され、外装部材20に取り付けられる。上記したように、取付部62は包装材15、25の最内層と直に接着する材料が好ましい。また、弁機能部52の筐体51の材質の融点を取付部62の材質の融点よりも高くするとよい。
【0385】
取付部62の弁機能部52側とは反対側の先端(下端)の外周部にはコーナーR(例えば、R=0.2mm~2.0mm)が形成されている。これにより、蓄電素子11を傷つける可能性を低くできるとともに、包装材15、25の熱接着性樹脂層38の傷を防止することができる。尚、取付部62の先端の内周面上にコーナーRを設けてもよい。
【0386】
ガス通過部61は例えば金属製パイプ、樹脂製パイプ等の管状部材により形成されている。ガス通過部61は取付部62と弁機能部52との間に設けられ、取付部62内を通過したガスを弁機能部52内へ通過させるように構成されている。ガス通過部61の長手方向の長さは、例えば10mm以上である。ガス通過部61の長手方向の長さを十分確保することによって、弁装置50が外装部材20に取り付けられた際に弁機能部52が外装部材20の外周よりも外側に離れて配置される。
【0387】
弁装置50の弁機能部52、ガス通過部61及び取付部62の外形は断面円形に形成される。ガス通過部61及び取付部62は全体としては略円筒形状であり、ガス通過部61及び取付部62の内部には通気路63が形成されている。通気路63は、Z方向に沿って延びる。通気路63は断面円形である。ガス通過部61及び取付部62の径方向の厚みは、周方向に沿って概ね一定である。
【0388】
弁機能部52の外形の直径はガス通過部61及び取付部62の外形の直径よりも大きい。即ち、弁装置50をZ方向に視たとき、弁機能部52はガス通過部61及び取付部62の外形から、収納部16(図6参照)の深さ方向を含む各方向にはみ出している。その結果、弁機能部52とガス通過部61との境界には段差51cが形成されている。この段差51cにより、弁装置50はガス通過部61から弁機能部52に向かって不連続に拡幅された形状となる。
【0389】
即ち、弁機構を有する弁機能部52から管状のガス通過部61が導出され、弁機能部52がガス通過部61に対して拡幅される。このため、ガス通過部61は必要な断面積の通気路63を形成する最小限の外径を有していればよく、弁装置50を備えた蓄電デバイスパック5の軽量化が図られている。尚、筐体51から導出されるガス通過部61は必ずしも直線状である必要はなく、例えばL字形状であってもよい。
【0390】
上述のように、弁装置50は外装部材20内で発生したガスに起因して外装部材20内の圧力が所定値以上となった場合に、外装部材20内のガスを外部に放出するように構成されている。仮に弁装置50の密封性が必要以上に高い場合には、外装部材20内の圧力が所定値以上となったとしても弁装置50が機能しない可能性がある。一方、弁装置50の密封性が必要以上に低い場合には、平常時(外装部材20内の圧力が所定値未満の時)に外部環境から外装部材20内へ水蒸気(水分)が侵入する可能性が高い。
【0391】
本実施形態は弁装置50のヘリウムリーク量を調整することによって、弁装置50の高度な密封性と、外装部材20内への水蒸気の侵入の高度な抑制とを両立している。
【0392】
具体的には、25℃環境において、JIS Z2331:2006の「ヘリウム漏れ試験方法」における「真空吹付け法(スプレー法)」に規定された方法に準拠して測定される、弁装置50の二次側から一次側へのヘリウムリーク量が5.0×10-11Pa・m3/sec以上、5.0×10-6Pa・m3/sec以下にしている。これにより、弁装置50の高度な密封性と、外装部材20内への水蒸気の侵入の高度な抑制とを両立することができる。
【0393】
尚、弁装置50の二次側とは、弁装置50が外装部材20に取り付けられた場合における外装部材20の外側を示す。また、弁装置50の一次側とは、弁装置50が外装部材20に取り付けられた場合における外装部材20の内側を示す。
【0394】
弁装置50において、ヘリウムリーク量の上限として、好ましくは約4.5×10-6Pa・m3/sec以下、より好ましくは約1.0×10-6Pa・m3/sec以下、さらに好ましくは約1.0×10-7Pa・m3/sec以下、さらに好ましくは約1.0×10-8Pa・m3/sec以下が挙げられる。
【0395】
これにより、ヘリウムリーク量の好ましい範囲として、5.0×10-11Pa・m3/secから4.5×10-6Pa・m3/sec程度、5.0×10-11Pa・m3/secから1.0×10-6Pa・m3/sec程度、5.0×10-11Pa・m3/secから1.0×10-7Pa・m3/sec程度、5.0×10-11Pa・m3/secから1.0×10-8Pa・m3/sec程度が挙げられる。
【0396】
ヘリウムリーク量が上記の上限を充足することにより、外部環境から外装部材20内への水蒸気(水分)の侵入を高度に抑制することができる。また、ヘリウムリーク量が上記の下限を充足することにより、外装部材20内でガスが発生した場合に当該ガスを外部に放出することができる。尚、ヘリウムリーク量が小さすぎる場合には、外装部材20内で発生したガスを安定的に外装部材20の外部に放出することが難しい。また、そのような弁装置50が長期間開放されずに蓄電デバイス10が使用され続けると、内圧が設計値まで上昇した場合にも弁装置50が適切に開放されない可能性が高まる。
【0397】
更に、弁装置50において、ヘリウムリーク量が5.0×10-11Pa・m3/secから2.0×10-10Pa・m3/sec程度の範囲、さらには5.0×10-11Pa・m3/secから1.5×10-10Pa・m3/sec程度の範囲に設定されていると、外部環境から外装部材20への水蒸気(水分)の侵入を、特に高度に抑制することができる。このようなヘリウムリーク量に設定するためには、後述の通り、従来の逆止弁では行われていない高水準にて、弁機構の弁座51aとボール54とが接する部分の形状を極めて精度高く設計・加工する必要がある。
【0398】
具体的にヘリウムリーク試験は試験装置として、ヘリウムリークディテクターを用いる。また、弁装置50のガス弁(弁機能部52)をリークテスト用治具(ガス弁が塞がっているダミー弁装置を入れた場合には、ヘリウムリークが無い事を確認した治具)に設置して、テストポートを介してヘリウムリークディテクターに設置する。治具とヘリウムリークディテクター間でも、ヘリウムリークがないことを確認する。
【0399】
その後、弁装置50の一次側から13Paに真空引きし、弁装置50の二次側から99.99%のヘリウムガスをスプレーし、測定を開始する。スプレーは1~2秒間、待機時間は2~4秒間として、評価結果を記録する。なお、念の為、JIS Z2331:2006「ヘリウム漏れ試験方法」の「真空外覆法(真空フード法)」に規定された方法に準拠して、同じ弁装置50について、容積50mLのフードを被せて20秒間待機させ、測定結果が同様であることを確認してもよい。測定環境温度は、いずれも25℃である。
【0400】
弁装置50において、一次側と二次側の差圧(すなわち、弁装置50の開放圧力)としては、下限については、好ましくは約0.05MPa以上、より好ましくは約0.1MPa以上が挙げられる。上限については、好ましくは約1MPa以下、より好ましくは約0.3MPa以下が挙げられる。これにより、好ましい範囲としては、0.05~1MPa程度、0.05~0.3MPa程度、0.1~1MPa程度、0.1~0.3MPa程度が挙げられる。
【0401】
これらの差圧を充足することにより、外装部材20の内部でガスが発生した場合には、当該ガスを外部に好適に放出することができ、かつ、外部環境からの水蒸気(水分)の侵入を高度に抑制することができる。
【0402】
弁装置50が取り付けられた蓄電デバイス10(外装部材20)の内部の設定圧力としては、一定圧力以下に設定されていることが好ましい。内圧の設定値は、弁装置付き包装体の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは約0.1MPa以下、より好ましくは約1.0×10-2MPa以下である。下限については例えば約1.0×10-10MPa以上が挙げられる。これにより、当該内部圧力の好ましい範囲としては、1.0×10-10~0.1MPa程度、1.0×10-10~1.0×10-2MPa程度が挙げられる。
【0403】
弁装置50において、ヘリウムリーク量は、公知の方法により設定することができる。例えば、弁装置50の弁機能部52(弁機構)を構成している部材(例えば、ボール54、弁座51a、バネ56、排気口51b)の材料、形状、大きさ、さらにはバネ56によるボール54を押しつける力などを設計することによって、ヘリウムリーク量を調整することができる。
【0404】
例えば、弁機構のボール54または弁座51aの一方に弾性体を用い、他方に金属等の高硬度の部材を用いることにより、ヘリウムリーク量を5.0×10-11Pa・m3/sec以上、5.0×10-6Pa・m3/sec以下の範囲に設定しやすくなる。
【0405】
ヘリウムリーク量を小さくするためには、例えば弁機構のボール54及び弁座51aの両方に弾性体を用いることが有効である。しかし、前述したように、ヘリウムリーク量が小さくなりすぎると、外装部材20内で発生したガスを適切に外部に放出することが難しくなる。このため、弁機構を構成する部材の材料、形状、大きさ等については適宜調整する。例えば、弁機構において、ボール54と接触する弁座51aがボール54の表面形状に沿う形状であると、ヘリウムリーク量を上記範囲に設計しやすい。
【0406】
即ち、弁装置50において、ヘリウムリーク量を5.0×10-11Pa・m3/secから2.0×10-10Pa・m3/sec程度の範囲、さらには5.0×10-11Pa・m3/secから1.5×10-10Pa・m3/sec程度の範囲に設定するためには、従来の逆止弁では行われていない高水準にて、弁機構の弁座51aとボール54とが接する部分の形状を極めて精度高く設計・加工する必要がある。
【0407】
例えば、弁座51aのボール54と接触する箇所及びボール54表面の表面平均粗さを20μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下とすること等が有効である。ただし、あまり高精度なもの同士を接触させた場合には弁装置50が適切に作動しない(弁機能部52が開放しない)という問題が生じ得る。このため、表面粗さは、ヘリウムリーク量が上記範囲となるように調整する必要がある。
【0408】
図73は蓄電デバイスパック5の側面断面図を示している。蓄電デバイスパック5は複数の蓄電デバイス10がY方向に並設され、外装容器6内に収容される。尚、外装容器6内で複数の蓄電デバイス10を直に接触するように並設してもよく、蓄電デバイス10相互間に部材を挟んで並設してもよい。
【0409】
外装容器6には、各蓄電デバイス10の弁装置50が貫通する孔(不図示)が形成されている。弁装置50の少なくとも弁機能部52は、該孔から外装容器6の外側に突出している。即ち、各弁装置50において、ガス通過部61の長手方向の長さとしては、弁機能部52が外装容器6の外周よりも外側に位置する程度の長さが確保されている。
【0410】
これにより、蓄電デバイスパック5において複数の弁装置50のいずれかが作動した際に、弁装置50から放出されたガスは外装容器6から離れた位置で放出される。従って、ガスが外装容器6の外側に放出されるため、ガスが外装容器6内に充満して外装部材20(図6参照)の外層を劣化させる事態を抑制することができる。
【0411】
また、蓄電デバイス10のY方向の長さが弁機能部52のY方向の長さよりも短い場合に、蓄電デバイス10をY方向に並べると、隣接する弁機能部52が干渉する。この時、ガス通過部61の長手方向の長さがある程度確保されているため、複数の弁装置50が扇状に広がる。これにより、外装部材20を互いに接触した状態で蓄電デバイス10を並べることができる。このため、弁機能部52のY方向の長さが長い場合に蓄電デバイスパック5の大型化を抑制することができる。
【0412】
本実施形態によると、弁装置50が取付部62と弁機能52との間にガス通過部61を有し、弁機能52が外装部材20の外周よりも外側に位置する。これにより、弁装置50から放出されたガスが外装部材20から離れた位置で放出されるため、外装部材20に当たりにくくなる。従って、外装部材20の外層の劣化を抑制することができる。
【0413】
また、ガス通過部の長さが10mm以上であるので、弁機能52が外装部材20の外周よりも外側に位置する蓄電デバイス10を容易に実現することができる。
【0414】
尚、ガス通過部61の形状、長さを適宜設定することによって、弁装置50によってガスが放出される場所をコントロールすることができる。
【0415】
また、弁装置50ヘリウムリーク量を5.0×10-11Pa・m3/sec以上、5.0×10-6Pa・m3/sec以下にしている。これにより、外装部材20内の圧力が所定値以上となった際に弁装置50により確実に排気することができる。一方、平常時(外装部材20内の圧力が所定値未満の時)に外部環境から外装部材20内への水蒸気(水分)の侵入を防止することができる。
【0416】
尚、第2~第28実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50に本実施形態と同様のガス通過部61を設けてもよい。
【0417】
<第30実施形態>
次に、図74は第30実施形態の電動自動車1の蓄電デバイスパック5の側面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図71図73に示す第29実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第29実施形態に対して弁装置50の構造が異なっている。その他の部分は第29実施形態と同様である。
【0418】
前述の第29実施形態は、蓄電デバイスパック5に含まれる蓄電デバイス10と同数の弁装置50が使用される。このため、弁装置50の数が増えると平常時に弁装置50の二次側から一次側に水蒸気(水分)が侵入する可能性が高くなる。言い換えると、1つの蓄電デバイス10当たりに浸入する水分の量が増える。また、弁装置50の数が増えると蓄電デバイスパック5のコストが増加する。これに対して本実施形態は複数の蓄電デバイス10に対して1つの弁装置50が設けられる。
【0419】
蓄電デバイスパック5は複数の蓄電デバイス10と、外装容器6とを含んでいる。蓄電デバイスパック5においては、複数の蓄電デバイス10に対して弁装置50が1つだけ設けられている。
【0420】
図75は弁装置50の上面図を示し、図76図75のW-W断面図を示している。弁装置50は、弁機能52と、複数のガス通過部61と、複数の取付部62とを含んでいる。ガス通過部61はガス通過部61a、ガス通過部61b、ガス通過部61c及びガス通過部61dを含んでいる。弁機能52、ガス通過部61及び取付部62は一体で構成されてもよく、別体で構成されてもよい。
【0421】
弁機能52は、例えば金属、樹脂等で構成される筐体51内に上記と同様の弁機構が設けられる。弁機能52の下端部の筐体51内には通気路51eが複数(図76では4つ)に分岐して形成される。各通気路51eにはガス通過部61(61a~61d)が接続されており、各ガス通過部61(61a~61d)にはそれぞれ取付部62が連設されている。各取付部62は各蓄電デバイス10に取り付けられる。各ガス通過部61の形状は取り付け先の蓄電デバイス10の蓄電デバイスパック5内における位置に応じて適宜設定されている。
【0422】
これにより、弁装置50は、複数の蓄電デバイス10にそれぞれ取り付けられる複数の取付部62を一の弁機能52から分岐して設けられる。尚、弁機能52(弁装置50)のヘリウムリーク量は、第29実施形態の弁装置50のヘリウムリーク量と同様である。
【0423】
蓄電デバイスパック5のいずれかの蓄電デバイス10内の圧力が所定圧力に達すると、取付部62及びガス通過部61内を誘導されたガスがボール54を排気口51b側に押圧する。ボール54が押圧されてバネ56が縮むと、蓄電デバイス10内のガスはボール54と弁座51aとの間に形成された隙間を通る。ボール54と弁座51aとの間を通るガスはメンブレン58を透過し、排気口51bから蓄電デバイスパック5の外部に排出される。
【0424】
本実施形態によると、弁装置50は複数の蓄電デバイス10にそれぞれ取り付けられる複数の取付部62を一の弁機能52から分岐して設けられる。これにより、蓄電デバイスパック5の弁機能52の数が減るため、弁装置50における微小な隙間から蓄電デバイス10内に水蒸気が浸入する可能性を低減することができる。言い換えると、1つの蓄電デバイス10当たりに浸入する水分の量を減らすことができる。また、弁装置50の数が減るため、蓄電デバイスパック5のコストを抑制することができる。
【0425】
第29、第30実施形態において、ガス通過部61の内部に乾燥剤が保持されていてもよい。例えば、ガス通過部61の内壁面上にシリカ等の乾燥剤が保持されると、弁装置50の二次側から一次側へ水蒸気が侵入した場合に該水蒸気の影響を低減することができる。
【0426】
また、ガス通過部61、例えば、曲げ伸ばし可能な柔軟性を備えたフレキシブルチューブ等により構成されてもよい。これにより、ガスの排出場所をより自由に調整することができる。
【0427】
尚、第2~第28実施形態の電動自動車1の蓄電デバイス10の弁装置50に本実施形態と同様のガス通過部61を設けてもよい。
【0428】
第1~第30実施形態において、弁装置50及び電極端子12、13の位置関係を変更することができる。例えば、弁装置50が外装部材20の上辺に取り付けられるが、弁装置50を外装部材20のX方向に対向する側辺に取り付けてもよい。即ち、外装部材20がY方向の一端の底辺を除く3辺のいずれかに弁装置50を取り付けられていればよい。この時、X方向に対向する両側辺に電極端子12、13を配して電極端子12、13の一方と同じ辺に弁装置50を設けると、蓄電デバイスパック5の高さを抑制することができる。
【0429】
また、両方の電極端子12、13が外装部材20の周縁の同一の辺に配置され、弁装置50が2つの電極端子12、13の間に配置されてもよい。また、両方の電極端子12、13が外装部材20の周縁の同一の辺に配置され、電極端子12、13が配置された辺以外の辺に弁装置が配置されてもよい。
【0430】
また、蓄電デバイスパック5の外装容器6を温度調整機能を有した載置部材上に載置してもよい。例えば、載置部材を金属プレートにより形成して蓄電デバイスパック5の熱を放熱し、蓄電デバイス10の温度上昇を抑制することができる。この時、載置部材に循環水を流通してもよい。また、蓄電デバイス10が全固体電池等の場合に載置部材にヒータを設け、ヒータのオンオフによって蓄電デバイス10を適温に維持してもよい。
【0431】
また、蓄電デバイスパック5の外装容器6を液体吸収材により形成される載置部材上に載置してもよい。例えば、載置部材を不織布により形成し、蓄電デバイスパック5から電解液が漏れた際に載置部材により吸収することができる。
【0432】
また、駆動モータ3に電力を供給する蓄電デバイス10が二次電池から成るが、電気二重層コンデンサ(EDLC)、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタであってもよい。蓄電デバイス10がキャパシタの場合は、キャパシタにおける化学反応に起因して外装部材20内においてガスが発生し得る。
【産業上の利用可能性】
【0433】
本発明によると、蓄電デバイスを搭載した電動自動車に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0434】
1 電動自動車
2 車輪
3 駆動モータ
5 蓄電デバイスパック
6 外装容器
8、9 保護カバー
10 蓄電デバイス
11 蓄電素子
12、13 電極端子
12a、13a タブフィルム
15、25 包装材
16、26 収納部
16a、26a 開口部
17、27 フランジ部
17a 弁装置配置部
20 外装部材
20a 折り線
21 周縁シール部
21a 凹部
22 梨地
23 凹条部
24 凸条部
34 基材層
36 バリア層
38 熱接着性樹脂層
50 弁装置
51 筐体
51a 弁座
51b 排気口
51c 段差
51d 流入口
51e 通気路
52 弁機能部
53 Oリング
54 ボール
56 バネ
55 バルブシート
57 破壊弁
57a 溝部
58 メンブレン
59 筒部
61、61a、61b、61c ガス通過部
62 取付部
62a 内端
63 通気路
63a 第1通路部
63b 第2通路部
63c 第3通路部
64 翼状延端部
65 ピラー
66 凸条部
68 第1翼状部
69 第2翼状部
70 挿入部
72 平行部
80 ヒートシール装置
81 基部
82 ヒートシールヘッド
82a 凸条部
82b 梨地
83 加熱部
91 治具
92 把持部
93 ヒートシールバー
K1~K3 ライン
P1 外側端縁
P2、P3 内側端縁
Q1 第1平面
Q2 第2平面
Q3、Q4 湾曲面
S1、S2、S3 空間
図1
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