(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】留置針組立体
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A61M25/06 512
(21)【出願番号】P 2021526885
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2020024010
(87)【国際公開番号】W WO2020256071
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2019112820
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】阪本 慎吾
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/162377(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/080525(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/133138(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外針ハブを基端側に有する外針と、該外針に対して該外針ハブの基端側から抜去可能に挿通される内針と、該内針に装着されて該内針の先端に移動して針先を覆う針先プロテクタとを、有する留置針組立体において、
前記針先プロテクタを収容するプロテクタハウジングに連結部が設けられて、該連結部において内周側へ向けて突出する係止爪が、該外針ハブ側に設けられた係止部に係止されており、
前記内針を前記外針から引き抜く方向に及ぼされる引抜操作力によって
、該係止爪の該係止部に対する当接反力で該連結部が外周側へ撓んで
該係止爪が該係止部を乗り越えて引抜方向へ移動されるようになっており、該係止爪の該係止部への係止が解除されることにより該プロテクタハウジングが該外針ハブ側から分離される留置針組立体。
【請求項2】
前記係止爪と前記係止部の係止部分を外周側において覆う保護部が設けられている請求項1に記載の留置針組立体。
【請求項3】
前記係止部が前記外針ハブに設けられていると共に、前記連結部が前記外針ハブの外周まで延び出して、前記係止爪が該係止部に係止されている請求項1又は2に記載の留置針組立体。
【請求項4】
前記係止部が前記外針ハブの基端部において外周へ向かって突出する雄ねじ部とされている請求項3に記載の留置針組立体。
【請求項5】
前記係止爪が周方向に延びており、該係止爪の周方向の長さが前記雄ねじ部における隣り合うねじ山間の周方向の距離よりも大きくされている請求項4に記載の留置針組立体。
【請求項6】
前記係止爪の針軸方向の基端面が、前記内針の前記外針に対する抜去に際して該係止爪が前記係止部を乗り越えるように案内する傾斜案内面とされている請求項1~5の何れか1項に記載の留置針組立体。
【請求項7】
前記外針ハブ側と前記プロテクタハウジングを周方向で相互に位置決めする位置決め機構が設けられている請求項1~6の何れか1項に記載の留置針組立体。
【請求項8】
前記プロテクタハウジングの前記連結部が、針軸方向に延びて相互に対向配置される一対の弾性片と、それら一対の弾性片から対向方向の内側へ向かってそれぞれ突出する前記係止爪とを備えている請求項
1~7の何れか1項に記載の留置針組立体。
【請求項9】
前記プロテクタハウジングにおける前記係止爪の内周側には、前記外針ハブ側へ挿入される筒状挿入部が設けられている請求項1~8の何れか1項に記載の留置針組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば血液透析や採血などを行う際に用いられる留置針組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、経皮的に血管に挿し入れられる外針の基端側に外針ハブが設けられており、外針から外針ハブに至る内部流路を、外針ハブにおいて外部流路に接続可能とした留置針が知られている。かかる留置針は、基端側に内針ハブを備えた穿刺用の内針と組み合わされて留置針組立体として医療現場へ提供されることも多い。留置針組立体は、外針に挿通された内針を患者の腕などの血管に穿刺し、内針を外針から抜去することによって、外針を血管に穿刺した状態で留置する。そして、例えば透析用の血液回路に導かれるチューブやシリンジなどの外部流路を外針ハブに接続して、血液透析や採血などの治療に使用される。
【0003】
また、留置針組立体は、内針を外針から引き抜く際に、引き抜かれた内針の針先に触れる危険を低減するために、外針から引き抜かれた内針の針先を保護する針先プロテクタを備える構造も知られている。針先プロテクタとしては、例えば、特開2003-199822号公報(特許文献1)に開示された金属ばねを用いた構造などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、針先プロテクタを収容するプロテクタハウジングは、特許文献1にも示されているように、コネクタキャップを介して外針ハブに連結されており、内針が外針に対して基端側へ引き抜かれる際に、内針の針先を保護した状態で外針ハブに螺着されたコネクタキャップから分離するようになっている。特許文献1では、針先を保護するストッパ部材に設けられた茎部が、ストッパ部材の針先保護位置への移動によって、コネクタキャップの係止孔から抜けることで、プロテクタハウジングのコネクタキャップに対する基端側への引抜きが許容される。
【0006】
しかしながら、特許文献1は、プロテクタハウジングとコネクタキャップの連結構造が複雑になる。また、例えば、コネクタキャップの基端部分は、プロテクタハウジングが差し入れられることから、器具全体が軸方向に長くなってしまい、小型化という市場のニーズに応えることが難しい。
【0007】
本発明の解決課題は、簡単な操作によってプロテクタハウジングを外針ハブ側から離脱させることができ、更に軸方向において小型化することも可能とされる、新規な構造の留置針組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0009】
第1の態様は、外針ハブを基端側に有する外針と、該外針に対して該外針ハブの基端側から抜去可能に挿通される内針と、該内針に装着されて該内針の先端に移動して針先を覆う針先プロテクタとを、有する留置針組立体において、前記針先プロテクタを収容するプロテクタハウジングに連結部が設けられて、該連結部において内周側へ向けて突出する係止爪が、該外針ハブ側に設けられた係止部に係止されており、前記内針を前記外針から引き抜く方向に及ぼされる引抜操作力によって、該係止爪の該係止部に対する当接反力で該連結部が外周側へ撓んで該係止爪が該係止部を乗り越えて引抜方向へ移動されるようになっており、該係止爪の該係止部への係止が解除されることにより該プロテクタハウジングが該外針ハブ側から分離されるものである。
【0010】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、内針の針先を保護するプロテクタハウジングが、内針を外針から引き抜く方向に及ぼされる引抜操作力によって外針ハブ側から分離する。それ故、プロテクタハウジングを外針ハブ側から簡単に分離させることができる。特に、係止爪が連結部の内周側へ向けて突出しており、係止爪の係止部に対する当接反力で連結部が外周側へ撓んで係止爪が係止部を乗り越えて引抜方向へ移動されることで係止爪の外針ハブ側への係止が解除される。それ故、連結部の変形が十分に許容されて、係止爪の外針ハブ側への係止が有効に解除されると共に、連結部の内周側には、係止を解除するための特別なスペースが不要である。
【0011】
留置針組立体の製造に際して、プロテクタハウジングを外針ハブ側に連結する作業も容易である。即ち、連結部を外周へ撓ませながら外針ハブ側をプロテクタハウジングの連結部の内周へ差し入れることによって、係止爪を外針ハブ側に係止させて、プロテクタハウジングと外針ハブ側を連結することができる。
【0012】
また、連結部の内周側へ向けて突出した係止爪が外針ハブ側の部材に係止されることから、例えば特許文献1に記載のプロテクタハウジングがコネクタキャップに差し入れられた構造に対して、軸方向に小型化することも可能になる。
【0013】
第2の態様は、第1の態様に記載された留置針組立体において、前記係止爪と前記係止部の係止部分を外周側において覆う保護部が設けられているものである。
【0014】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、内針を外針に対して引き抜く方向へ操作する際に、誤って連結部を外周側から押えてしまうのを防ぐことができる。それ故、連結部の外周側への撓みが誤って阻止されることなく許容されて、係止爪と係止部の係止が安定して解除される。
【0015】
第3の態様は、第1又は2の態様に記載された留置針組立体において、前記係止部が前記外針ハブの基端部に設けられていると共に、前記連結部が前記外針ハブの外周まで延び出して、前記係止爪が該係止部に係止されているものである。
【0016】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、プロテクタハウジングと外針ハブが係止によって連結されることによって、外針ハブとプロテクタハウジングを繋ぐためのコネクタキャップなどの別部品が不要になる。それ故、留置針組立体の構造の簡略化が図られると共に、コネクタキャップなどの別部品を外針ハブから取り外す手間を省くこともできる。
【0017】
第4の態様は、第3の態様に記載された留置針組立体において、前記係止部が前記外針ハブの基端部において外周へ向かって突出する雄ねじ部とされているものである。
【0018】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、内針を抜去した外針ハブを外部流路に接続するための雄ねじ部に対して、プロテクタハウジングの係止爪が係止されることから、外針ハブとプロテクタハウジングが簡単な構造によって有効に連結される。
【0019】
第5の態様は、第4の態様に記載された留置針組立体において、前記係止爪が周方向に延びており、該係止爪の周方向の長さが前記雄ねじ部における隣り合うねじ山間の周方向の距離よりも大きくされているものである。
【0020】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、プロテクタハウジングを外針ハブから分離させる際に、雄ねじ部を乗り越えるプロテクタハウジングの係止爪の全体が、外針ハブの雄ねじ部の溝に入り込むのを防ぐことができる。
【0021】
第6の態様は、第1~5の何れか1つの態様に記載された留置針組立体において、前記係止爪の針軸方向の基端面が、前記内針の前記外針に対する抜去に際して該係止爪が前記係止部を乗り越えるように案内する傾斜案内面とされているものである。
【0022】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、係止爪を係止部に係止させて外針ハブ側とプロテクタハウジングを組み付ける作業が容易になると共に、プロテクタハウジングを外針ハブ側から引き抜いて係止爪と係止部の係止を解除することも容易になる。
【0023】
第7の態様は、第1~第6の何れか1つの態様に記載された留置針組立体において、前記外針ハブ側と前記プロテクタハウジングを周方向で相互に位置決めする位置決め機構が設けられているものである。
【0024】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、例えば、係止部の端面が螺旋状に傾斜する傾斜面である場合に、係止爪が係止部に対して周方向で特定の位置に位置決めされることによって、係止爪と係止部の係止位置が軸方向でばらつくことなく設定される。これにより、外針ハブ側とプロテクタハウジングを軸方向で安定して相互に位置決めすることができる。
【0025】
第8の態様は、第1~第7の何れか1つの態様に記載された留置針組立体において、前記プロテクタハウジングの前記連結部が、針軸方向に延びて相互に対向配置される一対の弾性片と、それら一対の弾性片から対向方向の内側へ向かってそれぞれ突出する前記係止爪とを備えているものである。
【0026】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、一対の弾性片が対向方向の外側へ弾性変形することによって、一対の弾性片に設けられた一対の係止爪の距離が大きくなることで、一対の弾性片の間に外針ハブ側を差し入れ易くなる。また、一対の係止爪が外針ハブ側に対して軸直角方向の両側において係止されることから、外針ハブ側とプロテクタハウジングの安定した連結が実現される。
【0027】
第9の態様は、第1~第8の何れか1つの態様に記載された留置針組立体において、前記プロテクタハウジングにおける前記係止爪の内周側には、前記外針ハブ側へ挿入される筒状挿入部が設けられているものである。
【0028】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、係止爪と係止部が係止された状態において、外針ハブ側の部材が係止爪と筒状挿入部の間に差し入れられた状態となる。それ故、係止爪及び筒状挿入部が設けられたプロテクタハウジングと、係止部が設けられた外針ハブ側とのがたつきなどが低減されて、プロテクタハウジングを含む内針側と外針ハブ側とが安定して位置決めされる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、留置針組立体において、簡単な操作によって針先プロテクタを外針ハブ側から離脱させることができ、更に軸方向において小型化することも可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態としての留置針組立体を示す斜視図
【
図2】
図1に示す留置針組立体の断面図であって、
図3のII-II断面図
【
図4】
図1に示す留置針組立体を構成する外針及び外針ハブの平面図
【
図6】
図1に示す留置針組立体を構成する針先プロテクタを収容したプロテクタハウジングの平面図
【
図10】
図2に示す留置針組立体において、プロテクタハウジングが外針ハブから分離した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0032】
図1~3には、本発明の第1の実施形態としての留置針組立体10が示されている。留置針組立体10は、外針12に内針14が抜去可能な態様で挿通された構造を有している。以下の説明において、軸方向とは、原則として、外針12及び内針14の針軸方向である
図2中の左右方向を言う。
【0033】
外針12は、合成樹脂などで形成された小径チューブ状とされている。外針12は、
図4,5に示すように、先端部分が先端に向けて次第に小径となるテーパ形状とされている。外針12の基端側には、外針ハブ16が設けられている。外針ハブ16は、全体として筒状とされており、針接合部18と流路接続部20が軟質チューブ22によって連結された構造を有している。
【0034】
針接合部18は、硬質の合成樹脂によって形成されている。針接合部18は、先端に向かって小径となるテーパ筒状とされている。外針12の基端部分が針接合部18の内周に挿入されて固着されている。これにより、外針12は、基端部分に針接合部18が固着されて、針接合部18から先端側へ延び出している。
【0035】
流路接続部20は、
図5に示すように、筒状のハウジング24に止血弁26と押し子28とフィルタ29が収容された構造を有している。ハウジング24は、筒状とされたカバー部材30の基端部分に、筒状とされた押し子ガイド32の先端部分が挿し入れられて、それらカバー部材30と押し子ガイド32が軸方向で連結されることによって構成されている。押し子ガイド32は、基端部分が略一定の断面形状で軸方向に延びていると共に、基端部には外周へ向けて突出する係止部としての雄ねじ部34が一体形成されている。雄ねじ部34には、周方向の一部において軸方向に貫通する係止溝36が形成されている。換言すれば、雄ねじ部34は、周方向で一周に満たない領域に設けられており、雄ねじ部34を周方向に外れた部分が軸方向へ直線的に延びる係止溝36とされている。本実施形態では、係止部が後述する外部流路を接続するための雄ねじ部34で構成されることにより、特別に係止部を設ける必要がない。しかも、外針ハブ16の内周面には係止部による凹凸が形成されず、外部流路をルアーテーパによって接続することができる。
【0036】
止血弁26は、全体として略円板形状とされており、樹脂エラストマやゴムなどの弾性体によって形成されている。止血弁26は、円板形状の中央部分に放射状の切込みが形成されており、中央部分の弾性変形によって切込みが開閉されるようになっている。止血弁26の外周部分は、カバー部材30の内周に保持された弁支持部材38と、押し子ガイド32の先端との間で軸方向に挟持されている。これにより、止血弁26がハウジング24によって支持されて、ハウジング24の内腔が止血弁26によって遮断されている。
【0037】
押し子28は、筒状とされており、押し子ガイド32の内周に挿入されている。押し子28は、基端部分が略一定の外径寸法とされていると共に、先端部分の外周面が先端側に向かって小径となるテーパ形状とされて、先端部分が先端に向かって薄肉とされている。先端部分の基端は、基端部分の先端よりも大径とされており、押し子28の外周面において先端部分と基端部分の間に段差が形成されている。この段差が押し子ガイド32の内周面に突出する突起に対して軸方向で係止されることにより、押し子28の押し子ガイド32から基端側への抜けが防止されている。
【0038】
針接合部18と流路接続部20をつなぐ軟質チューブ22は、塩化ビニル等の軟質樹脂、エラストマやゴムなどで形成されて湾曲変形可能とされていると共に、断面形状の変化も許容されている。即ち、例えば軟質チューブ22を曲げることができることから、針接合部18を患者の皮膚に固定した状態で、雄ねじ部34の位置を移動させることができる。それ故、後述する外部流路のコネクタを外針ハブ16に接続し易く、コネクタに意図しない方向の力が加わっても、外針12に力が及び難いことから外針12の固定状態を保ち易い。なお、軟質チューブ22を指やクランプによって挟んで押し潰すことにより、軟質チューブ22の内腔を遮断することも可能である。軟質チューブ22の先端部分は、針接合部18と外針12の間に差し入れられて固着されている。軟質チューブ22の基端部分は、流路接続部20のカバー部材30に挿入状態で取り付けられたチューブ連結部材39の内周へ差し入れられて固着されている。これにより、針接合部18と流路接続部20が軟質チューブ22で接続されており、針接合部18の内腔と流路接続部20の内腔が、軟質チューブ22の内腔を介して相互に連通されている。
【0039】
フィルタ29は、筒状とされており、カバー部材30と弁支持部材38及びチューブ連結部材39との径方向間で挟持されて、径方向に圧縮されている。フィルタ29は、例えば、血液の通過を阻止すると共に空気の通過を許容するものであって、空気で満たされたハウジング24の内腔に対する血液の浸入を許容しつつ、ハウジング24の内腔から外部への血液の漏れを防止する。
【0040】
外針12と針接合部18と軟質チューブ22と流路接続部20の各内腔には、
図2,3に示すように、内針14が基端側から挿通されている。内針14は、中空の金属針であって、先端面が傾斜面とされることで鋭角の針先が形成されている。内針14の先端部分には、後述する内針14の引抜きに際して収容部材58に係止される係合部が設けられている。この係合部としては、内針14の外周面に形成される凹凸などが採用可能であり、本実施形態では、内針14に部分的な大径部を設けることで構成されている。
【0041】
内針14の基端側には、内針ハブ40が取り付けられている。内針ハブ40は、内針14の基端部分が挿入状態で固着される台座部42を有しており、台座部42の基端側に基端接続部44が設けられていると共に、台座部42の先端側にプロテクタ収容部46が設けられている。
【0042】
基端接続部44は、筒状とされており、内針キャップ48が取外し可能に差し入れられて装着されている。内針キャップ48は、針軸方向の中間部分に段差が設けられた略段付き円筒形状とされている。内針キャップ48には、図示しない通気フィルタが設けられている。この通気フィルタは、気体は通過するが液体は通過しない性質を有しており、通気フィルタが内針キャップ48の内腔に設けられることで、内針14を通じての逆血が外部に漏れ出さないようになっている。なお、内針ハブ40や内針キャップ48を透明とすれば、逆血(フラッシュバック)によって血管への穿刺を容易に確認することができる。また、外針12、軟質チューブ22や外針ハブ16を透明乃至は半透明として、内針14を外針12から少し引き抜いた際に外針12から外針ハブ16へ流入する血液を目視することにより、外針12が血管へ正しく穿刺されているか否かを容易に確認することができる。
【0043】
プロテクタ収容部46は、筒状とされており、先端側に穿刺操作部50が一体形成されている。穿刺操作部50は、プロテクタ収容部46よりも大径の筒状とされており、内針14が外針12に挿通された状態において、外針ハブ16の一部の外周側を囲むように配されている。即ち、穿刺操作部50は、外針ハブ16の流路接続部20の基端よりも先端側まで延び出して、流路接続部20の外周まで達している。本実施形態の穿刺操作部50は、流路接続部20の先端よりも先端側まで延び出しており、軟質チューブ22の外周まで達している。穿刺操作部50は、10mm以上の長さを有していることが望ましい。
【0044】
図1,3に示すように、穿刺操作部50の外面には、一対の支持面52,52が設けられている。支持面52は、穿刺操作部50の外周面において相互に対応する両側面に設けられて、軸方向に延びている。一対の支持面52,52は、内針14の針先の傾斜面が上向きとなる状態において、上下方向と直交する両側方に位置するように設けられている。支持面52には、穿刺操作部50の周方向に延びる滑止め54が設けられている。滑止め54は、支持面52に突設された突条であって、穿刺操作部50の軸方向に所定の間隔で複数が設けられている。尤も、滑止めの態様は限定されるものでなく、また、滑止めを設けなくても良い。支持面52は、平面状でなくても良く、例えば、内側に窪む曲面状であっても良い。
【0045】
内針ハブ40のプロテクタ収容部46には、プロテクタハウジング56が内周側に配されている。プロテクタハウジング56は、
図6~8に示すように、筒状の収容部材58と、収容部材58の先端側に取り付けられる接続部材60とを備えている。
【0046】
収容部材58は、先端部分が基端部分よりも大径とされており、
図7に示すように、外周面には一対の連結突起62,62が形成されている。大径とされた収容部材58の先端部分には、
図8に示すように、針先プロテクタ64が収容されている。針先プロテクタ64は、プロテクタハウジング56に収容された固定部材66と遮蔽部材68によって構成されている。固定部材66と遮蔽部材68は、軸直角方向で内針14を挟んで相互に離れて配置されている。固定部材66と遮蔽部材68は、何れか一方が磁石とされていると共に、何れか他方が磁石又は強磁性体とされており、それら固定部材66と遮蔽部材68の間に相互に引き合う磁気的な引力が作用している。固定部材66は、収容部材58の先端部に固定されている。遮蔽部材68は、固定部材66に対して接近方向へ変位可能とされており、
図3に示すように、固定部材66と遮蔽部材68の間に内針14が挿通された状態において、固定部材66側への移動が内針14によって阻止されている。
【0047】
接続部材60は、合成樹脂や金属で形成されている。接続部材60は、
図7,8に示すように、円環板形状とされた底壁部72を有していると共に、底壁部72の基端側に突出する一対の連結片74,74が設けられている。一対の連結片74,74に設けられた係止孔76,76に対して、収容部材58の一対の連結突起62,62が挿入されて軸方向で係止されることにより、接続部材60が収容部材58に連結されている。これにより、収容部材58の先端側の開口が接続部材60によって閉塞されており、針先プロテクタ64がプロテクタハウジング56に収容されている。
【0048】
プロテクタハウジング56の接続部材60は、筒状挿入部77を備えている。筒状挿入部77は、底壁部72の内周部分から先端側へ向かって突出している。筒状挿入部77の外周面は、押し子ガイド32の基端部分の内周面に対応するテーパ形状とされており、先端に向かって次第に小径となっている。筒状挿入部77は、後述する係止爪88,88の内周に位置している。
【0049】
プロテクタハウジング56の接続部材60は、連結部78を備えている。連結部78は、底壁部72から先端側へ向かって突出する一対の弾性片80,80を備えている。弾性片80は、周方向に半周に満たない長さで延びる板状とされている。弾性片80は、一対が軸直角方向で相互に対向して配置されている。弾性片80は、厚さ方向である軸直角方向の弾性的な曲げ変形を許容されている。要するに、連結部78は、一対の弾性片80,80において外周側へ撓み変形可能とされている。
【0050】
本実施形態では、
図6に示すように、一対の弾性片80,80の周方向間に一対の外挿片82,82が設けられている。一対の弾性片80,80と一対の外挿片82,82との周方向間には、それぞれスリット84が形成されている。これにより、一対の弾性片80,80が一対の外挿片82,82に拘束されることなく弾性変形可能とされている。また、一方の外挿片82には、
図8に示すように、内周へ向かって突出する係止突起86が設けられている。係止突起86は、一方の外挿片82の軸方向全長にわたって連続的に設けられている。
【0051】
一対の弾性片80,80には、
図7に示すように、それぞれ係止爪88が設けられており、連結部78が一対の弾性片80,80と一対の係止爪88,88とを備えている。係止爪88は、一対の弾性片80,80の対向方向の内側となる内周側に向かって、各弾性片80から突出している。係止爪88は、周方向(本実施形態では、リード角(連結部78の中心軸に直角な平面との為す角度)が略0度の方向)に延びており、本実施形態では弾性片80の周方向全長に亘って連続して設けられている。係止爪88は、突出先端に向かって次第に軸方向の幅寸法が小さくなる先細断面形状とされている。係止爪88の軸方向の両面は、突出先端から基端側に向かって針軸方向の両外側へ傾斜する挿入案内面90aと抜去案内面90bとされており、係止爪88が山形の断面形状を有している。
【0052】
そして、
図2,3に示すように、内針14に装着されたプロテクタハウジング56が、連結部78によって外針ハブ16に連結されている。即ち、プロテクタハウジング56を構成する接続部材60の一対の弾性片80,80及び一対の外挿片82,82の各対向間である内周側に、外針ハブ16の基端部分が挿入される。外針ハブ16の基端部分が挿入される際に、一対の弾性片80,80の係止爪88,88が、一対の弾性片80,80の弾性変形を伴って、外針ハブ16の基端部に設けられた雄ねじ部34を基端側から先端側へ乗り越える。これにより、
図2にも示すように、係止爪88,88が雄ねじ部34に対して軸方向で係止されて、外針ハブ16とプロテクタハウジング56が軸方向で連結される。
【0053】
外針ハブ16とプロテクタハウジング56が、雄ねじ部34と係止爪88,88の係止によって連結されることから、例えばプロテクタハウジング56が外針ハブ16に挿入状態で嵌合されて連結される場合に比して、軸方向寸法を小さくすることもできる。
【0054】
また、係止爪88,88は、一対の弾性片80,80から内周側へ向かって突出していることから、係止爪88,88と係止される雄ねじ部34は、外針ハブ16を構成する押し子ガイド32の外周面に突出している。それ故、押し子ガイド32の内周面形状の自由度を確保することができて、例えば、ルアーテーパを設定することもできる。
【0055】
さらに、係止爪88,88の内周に延び出した筒状挿入部77が、外針ハブ16の押し子ガイド32の内周へ挿入されている。そして、押し子ガイド32の基端部分が筒状挿入部77と係止爪88,88の間で挟まれている。これにより、筒状挿入部77及び係止爪88,88を備えるプロテクタハウジング56が、押し子ガイド32を含む外針ハブ16側に対して位置決めされて、プロテクタハウジング56の外針ハブ16に対するがたつきなどが防止されている。本実施形態では、筒状挿入部77の先端部分が、外針ハブ16側である押し子28と押し子ガイド32の径方向間に挿入されており、プロテクタハウジング56と外針ハブ16側との位置決めがより効果的に実現されている。なお、筒状挿入部77は、径方向で係止爪88,88よりも内周側に位置していれば良く、軸方向で係止爪88,88の位置まで達していなくても良い。
【0056】
このように、プロテクタハウジング56に設けられた連結部78によってプロテクタハウジング56が外針ハブ16に連結されることから、外針ハブ16とプロテクタハウジング56を連結するためにコネクタキャップのような他部品を設ける必要がない。それ故、留置針組立体10を構成する部品点数を少なくして、留置針組立体10の構造を簡略にすることができる。
【0057】
雄ねじ部34と係止爪88,88は、穿刺操作部50の内周において相互に係止されている。換言すれば、穿刺操作部50は、雄ねじ部34と係止爪88,88の係止部分を含む連結部78を外周側において覆っており、本実施形態では、穿刺操作部50が保護部を構成している。穿刺操作部50は、連結部78に対して外周に離れて設けられている。これにより、後述するように内針14が外針12から抜去される際に、雄ねじ部34と係止爪88,88の係止部分において連結部78が誤って把持されるなどして、連結部78の外周への撓み変形が阻害されるのを防ぐことができる。なお、保護部は、穿刺操作部50以外の部材に設けてもよい。
【0058】
外針ハブ16とプロテクタハウジング56を連結する際に、外針ハブ16の基端部を一対の弾性片80,80の対向間に挿入すると、各係止爪88の先端側の面である挿入案内面90aが雄ねじ部34に押し当てられる。これにより、各弾性片80に外周側への力が作用して、各弾性片80は先端側が外周へ移動するように撓み変形することから、各係止爪88が雄ねじ部34を乗り越え易くなっている。このように、係止爪88の先端面が挿入案内面90aとされていることにより、プロテクタハウジング56を外針ハブ16の基端側から接近させて先端側へ押し込むだけで、外針ハブ16とプロテクタハウジング56が簡単に連結される。
【0059】
また、
図9に示すように、プロテクタハウジング56の係止突起86は、外針ハブ16の係止溝36に差し入れられている。これにより、係止溝36の周方向両側の壁内面である雄ねじ部34の周方向端面が、係止突起86の周方向の両面と周方向で重ね合わされており、外針ハブ16とプロテクタハウジング56を周方向で相互に位置決めする位置決め機構が構成されている。その結果、プロテクタハウジング56の係止爪88,88が、雄ねじ部34の周方向の特定の位置に係止される。それ故、例えば雄ねじ部34の係止面が螺旋状に傾斜していても、外針ハブ16とプロテクタハウジング56が軸方向で略一定の相対的な位置関係で連結される。なお、雄ねじ部34の周方向端面と、係止突起86の周方向の両面は、当接状態で重ね合わされていても良いし、所定の隙間を有する離隔状態で重ね合わされていても良い。
【0060】
このような構造とされた留置針組立体10は、内針14が図示しない患者の腕などの血管に穿刺される。血管への穿刺を行う医療従事者は、留置針組立体10の穿刺操作部50を手指で持って適切に保持した状態で、内針14を患者の腕などに穿刺する。医療従事者は、一対の支持面52,52に手指を当てて穿刺操作部50を挟むように持つ。これにより、医療従事者は、内針14の先端の傾斜面が患者と反対側に向くように留置針組立体10を位置決めして持って、内針14を針先から患者に穿刺することができる。
【0061】
穿刺操作部50において医療従事者が指先で持つ部分が、一対の支持面52,52とされていることにより、穿刺操作部50が周方向において位置決めされた状態で保持され易い。また、一対の支持面52,52に滑止め54がそれぞれ設けられていることにより、医療従事者は穿刺方向の力を留置針組立体10に対して効率的に加えることができる。
【0062】
穿刺操作部50は、内針14の基端部に固着された内針ハブ40に一体形成されていることから、穿刺操作部50に対する内針14のがたつきなどが生じ難く、穿刺操作部50を持って穿刺を行うことによって正確な穿刺を実現し易くなる。しかも、穿刺操作部50は、外針ハブ16の外周まで延び出していることから、内針14の針先により近い位置で内針14側を持って穿刺を行うことができる。
【0063】
内針14及び外針12が患者の血管に穿刺された後、
図10に示すように外針12から内針14が抜去されることにより、外針12及び外針ハブ16が患者の血管に挿入された状態で留置される。具体的には、例えば、一方の手で外針12又は外針ハブ16を押さえ、他方の手で一対の支持面52,52を持って、内針14を外針12から引き抜く方向に移動させることで、内針14を外針12から抜去する。
【0064】
外針12から引き抜かれた内針14は、針先が針先プロテクタ64によって覆われる。即ち、内針14が外針12に対して基端側に引かれると、内針14は、外針12に連結されたプロテクタハウジング56に対して基端側へ相対変位する。そして、内針14の先端が遮蔽部材68よりも基端側まで移動することにより、遮蔽部材68の固定部材66への接近変位が許容されて、遮蔽部材68が内針14の先端側を塞ぐように配置される。これにより、内針14は、針先プロテクタ64に対して先端側への移動が制限されて、プロテクタハウジング56に収容された内針14の針先が外部に露出しなくなる。
【0065】
さらに、外針12から引き抜かれた内針14に設けられた図示しない係合部が、プロテクタハウジング56の収容部材58の基端部に対して軸方向で係止されることにより、内針14からプロテクタハウジング56に対して内針14を外針12から引き抜く方向の引抜操作力が伝達される。そして、プロテクタハウジング56が内針14と共に外針ハブ16に対して基端側へ引かれて移動することにより、プロテクタハウジング56の係止爪88と外針ハブ16の雄ねじ部34との係止が解除されて、プロテクタハウジング56が外針ハブ16から分離される。これにより、針先プロテクタ64が装着された内針14が、外針12及び外針ハブ16から抜去可能とされる。
【0066】
このように、プロテクタハウジング56は、内針14を外針12に対して基端側へ引くだけで、外針ハブ16から分離されるようになっている。また、プロテクタハウジング56が取り外された外針ハブ16は、コネクタキャップなどの別部品の取外しを要することなく、雄ねじ部34が露出した状態とされる。それ故、外針12から内針14を引き抜いて、外針ハブ16からプロテクタハウジング56を分離させるだけで、雄ねじ部34が図示しない外部流路を構成するチューブやシリンジのコネクタを取付可能な状態とされる。
【0067】
プロテクタハウジング56を外針ハブ16から分離させる際に、各係止爪88の基端側の面である傾斜案内面としての抜去案内面90bが雄ねじ部34に押し当てられる。これにより、各弾性片80に外周側への力が作用して、各弾性片80は先端側が外周へ移動するように撓み変形することから、各係止爪88が雄ねじ部34を乗り越え易くなっている。このように、係止爪88の基端面が抜去案内面90bとされていることにより、プロテクタハウジング56を外針ハブ16から基端側へ引くだけで、外針ハブ16とプロテクタハウジング56が簡単に分離される。
【0068】
係止爪88の突出先端部分の周方向(リード角が0の周方向)の長さL(
図9参照)は、雄ねじ部34の隣り合うねじ山間の周方向(リード角が0の周方向)の距離D(
図4参照)よりも大きくされている。これにより、係止爪88が雄ねじ部34を乗り越える際に、係止爪88の先端部分の全体が雄ねじ部34のねじ山間に入り込むのを防ぐことができる。それ故、係止爪88がねじ溝へ嵌まり込む等して雄ねじ部34へ引っ掛かることによって外針ハブ16とプロテクタハウジング56が分離困難等になることがなく、操作性や信頼性の向上が図られる。また、係止爪88の雄ねじ部34への係止による外針ハブ16とプロテクタハウジング56との連結力の向上を図りつつ、プロテクタハウジング56を外針ハブ16から分離させる際の作動の信頼性も両立して実現することができる。なお、係止爪88の突出先端の軸方向の厚さ寸法を、雄ねじ部34の隣り合うねじ山間の軸方向の距離よりも大きくすることによっても、或いは係止爪88の周方向に延びるリード角を雄ねじ部34のネジリード角と異ならせることによっても、係止爪88が雄ねじ部34を乗り越える際の引っ掛かりを軽減したり防いだりすることができる。要するに、係止爪88の突出先端部分の全体が、雄ねじ部34の隣り合うねじ山の間に同時に入り込まないで、ねじ山の頂部(外周面)に乗り上げたままで雄ねじ部34を軸方向に乗り越えるように移動可能とされていることが望ましい。
【0069】
なお、留置された外針ハブ16(
図5参照)の流路接続部20に設けられた雄ねじ部34に対して、図示しない外部流路を構成するチューブやシリンジのコネクタが取り付けられる。これにより、外針12及び外針ハブ16の内腔が、外部流路に接続される。このように、外針ハブ16の雄ねじ部34は、プロテクタハウジング56の外針ハブ16への連結と、外部流路の外針ハブ16への連結との両方に用いられる。
【0070】
外針ハブ16に図示しない外部流路が接続されると、押し子28が外部流路によって先端側へ押し込まれる。押し込まれた押し子28が止血弁26に押し当てられて止血弁26を変形させることにより、止血弁26の切込みが開放される。これにより、外針12及び外針ハブ16の内腔を通じて、患者の血管と外部流路が接続されて、血液透析や採血、薬液の投与などの治療を行うことができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態の連結部78は、プロテクタハウジング56の接続部材60に設けられていたが、例えば、連結部78は、プロテクタハウジング56の収容部材58に設けられていても良い。
【0072】
連結部78の具体的な構造は、適宜に設定されるものであって、一対の弾性片80,80にそれぞれ係止爪88が設けられた前記実施形態の連結部78に限定されるものではない。具体的には、例えば、連結部として、1つの弾性片80に係止爪88が設けられた構造や、3つ以上の弾性片80のそれぞれに係止爪88が設けられた構造も採用され得る。また、係止構造や材質などによっては、弾性片も必須でなく、例えば周方向に連続した筒状の連結部を採用して、連結部78の内周面の全周に亘って連続して或いは周方向で部分的に設けられた係止爪が、引抜操作力の作用による連結部78の径方向の弾性的な変形に基づいて、外針ハブ16側への係止を解除されるようになっていても良い。また、連結部78や弾性片80の外周側への弾性的な変形に加えて、係止爪88も変形することで、外針ハブ16側への係止の解除が実現されるようになっていても良い。
【0073】
係止爪88による外針ハブ16とプロテクタハウジング56の係止構造は、必ずしも外部流路と外針ハブ16を接続する際に用いられる雄ねじ部34を利用するものに限定されない。例えば、外針ハブ16の雄ねじ部34よりも先端側や基端側、或いは外針ハブ16の係止溝36に対して、係止爪88が係止される突起や凹所を形成するなどしても良い。なお、係止爪88が乗り越える突起や段差は、少ない方が望ましい。
【0074】
前記実施形態では、係止部としての雄ねじ部34が外針ハブ16に設けられているが、例えば、外針ハブとプロテクタハウジングの間にそれらを連結するコネクタキャップが設けられた構造であれば、コネクタキャップの外周面に係止部を設けても良い。そして、係止爪と係止部の係止によって、プロテクタハウジングとコネクタキャップを分離可能に連結することができる。この場合には、プロテクタハウジングとコネクタキャップを引抜操作力によって容易に分離させることができると共に、コネクタキャップの内周面に係止部を設ける必要がないことから、軸方向長さを短くすることができる。要するに、外針ハブ側とは、必ずしも外針ハブ自体に限定されず、外針ハブに螺着されるコネクタキャップなど、外針ハブに取り付けられる他の部材を含む。
【0075】
係止爪88の挿入案内面90aと抜去案内面90bは、必須ではない。具体的には、例えば、係止爪88の基端側の面を軸直角方向に広がる面とすることにより、外針ハブ16とプロテクタハウジング56の意図しない分離が生じ難くなるようにもできる。なお、先端側の挿入案内面90aと基端側の抜去案内面90bの傾斜角度は、互いに同じであっても良いし、互いに異なる角度とされることで、例えば、連結時に嵌め易く、分離時に抜け難いように設定することもできる。
【0076】
針先プロテクタの構造は、限定されない。例えば、針先プロテクタとして、特開2018-117807号公報に開示されているような、金属製の弾性材で形成された中空体を採用することもできる。
【0077】
前記実施形態に示すような外針ハブ16の外周まで延び出す内針ハブ40の穿刺操作部50は、必須ではない。また、前記実施形態において示した止血弁26や押し子28、押し子ガイド32などは、何れもなくても良い。
【0078】
外針ハブは、前記実施形態に示すような軟質チューブ22を有する構造に限定されず、例えば、針接合部と流路接続部が軟質チューブを介することなく一体的に設けられた構造であっても良い。
【0079】
前記実施形態では、内針14の係合部がプロテクタハウジング56の収容部材58に引っ掛かることによって、内針14に作用する引抜操作力がプロテクタハウジング56に伝達されて、プロテクタハウジング56が内針14と共に基端側へ移動するようになっている。しかしながら、内針14に及ぼされる引抜操作力をプロテクタハウジング56に伝達する構造は、特に限定されるものではなく、例えば、内針ハブ40とプロテクタハウジング56を紐状や筒状などの接続体によって相互に接続することにより、接続体を介して引抜操作力を伝達させることもできる。
【符号の説明】
【0080】
10 留置針組立体
12 外針
14 内針
16 外針ハブ
18 針接合部
20 流路接続部
22 軟質チューブ
24 ハウジング
26 止血弁
28 押し子
29 フィルタ
30 カバー部材
32 押し子ガイド
34 雄ねじ部(係止部)
36 係止溝
38 弁支持部材
39 チューブ連結部材
40 内針ハブ
42 台座部
44 基端接続部
46 プロテクタ収容部
48 内針キャップ
50 穿刺操作部
52 支持面
54 滑止め
56 プロテクタハウジング
58 収容部材
60 接続部材
62 連結突起
64 針先プロテクタ
66 固定部材
68 遮蔽部材
72 底壁部
74 連結片
76 係止孔
77 筒状挿入部
78 連結部
80 弾性片
82 外挿片
84 スリット
86 係止突起
88 係止爪
90a 挿入案内面
90b 抜去案内面(傾斜案内面)