(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】赤外線撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/14 20060101AFI20240806BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G02B13/14
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2021533994
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 JP2020027759
(87)【国際公開番号】W WO2021015106
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2019136421
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松下 佳雅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史雄
(72)【発明者】
【氏名】堀 信男
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-228539(JP,A)
【文献】米国特許第05446581(US,A)
【文献】中国特許出願公開第105044887(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に向かって順に、
負の屈折力を有する第1レンズと、
像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、
正の屈折力を有する像面側レンズ群と
から構成され、
前記像面側レンズ群は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズから構成され、
前記第2レンズと前記像面側レンズ群との間に開口絞りが配置され、
前記第1レンズ及び前記第2レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、
半画角が60°以上である、赤外線撮像レンズ。
【請求項2】
物体側から像面側に向かって順に、
負の屈折力を有する第1レンズと、
像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、
正の屈折力を有する第3レンズと、
正の屈折力を有する第4レンズから構成され、
前記第2レンズと前記第3レンズとの間に開口絞りが配置され、
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、
半画角が60°以上である、赤外線撮像レンズ。
【請求項3】
前記第1レンズは物体側に凸のメニスカスレンズである、請求項1または2に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項4】
物体側から像面側に向かって順に、
負の屈折力を有する第1レンズと、
像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、
正の屈折力を有する像面側レンズ群と
から構成され、
前記像面側レンズ群は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズから構成され、
前記第2レンズと前記像面側レンズ群との間に開口絞りが配置され、
前記第1レンズ及び前記第2レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、
前記第1レンズは物体側に凸のメニスカスレンズである、赤外線撮像レンズ。
【請求項5】
前記第4レンズは像面側に凸のメニスカスレンズである、請求項1から4のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項6】
物体側から像面側に向かって順に、
負の屈折力を有する第1レンズと、
像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、
正の屈折力を有する像面側レンズ群と
から構成され、
前記像面側レンズ群は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズから構成され、
前記第1レンズ及び前記第2レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、
前記第1レンズは物体側に凸のメニスカスレンズであり、
前記第4レンズは像面側に凸のメニスカスレンズである、赤外線撮像レンズ。
【請求項7】
物体側から像面側に向かって順に、
負の屈折力を有する第1レンズと、
像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、
正の屈折力を有する像面側レンズ群と
から構成され、
前記像面側レンズ群は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズから構成され、
前記第1レンズは物体側に凸のメニスカスレンズであり、
前記第4レンズは像面側に凸のメニスカスレンズであり、
前記第1レンズ及び前記第2レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、
半画角が60°以上である、赤外線撮像レンズ。
【請求項8】
物体側から像面側に向かって順に、
負の屈折力を有する第1レンズと、
像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、
正の屈折力を有する第3レンズと、
正の屈折力を有する第4レンズから構成され、
前記第1レンズは物体側に凸のメニスカスレンズであり、
前記第4レンズは像面側に凸のメニスカスレンズであり、
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、
半画角が60°以上である、赤外線撮像レンズ。
【請求項9】
前記ガラスが、カルコゲナイドガラスである、請求項1から8のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項10】
前記カルコゲナイドガラスは、波長10μmにおける屈折率が3.3以上である、請求項9に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項11】
前記カルコゲナイドガラスは、厚み2mmでの光透過率が20%となる赤外吸収端波長が20μm以上である、請求項9または10に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項12】
像面において光軸上領域に対する最大画角領域での周辺光量比が40%以上である、請求項1から11のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項13】
前記第1レンズは非球面レンズである、請求項1から12のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項14】
前記第2レンズは非球面レンズである、請求項1から13のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項15】
前記ガラスは、ガラス転移温度が200℃以下である、請求項1から14のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
【請求項16】
半画角が80°以上である、請求項1から15のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
遠赤外領域、特に生体検知に適した約8~14μmの波長領域の赤外線で被写体を撮影する赤外線カメラが、監視カメラや防犯カメラ、車載用ナイトビジョンに応用されている。これらの赤外線カメラに適用される赤外線撮像用レンズは、8~14μmの波長領域での透過率が比較的高い材料からなるレンズを用いて構成される。
【0003】
そのような材料として、ゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、カルコゲナイドガラスが用いられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開公報「WO2017/094744A1」
【文献】国際公開公報「WO2018/163831A1」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Ge、Si、ZnS、ZnSe等の材料は、結晶系とも呼称され、レンズ成形のための加工性に劣る。特に、プレス成型(モールド成形)による加工ができないため、レンズが高コストとなる他、工業的に非球面レンズを大量生産することが困難である。
【0006】
その点カルコゲナイドガラスはプレス成型により非球面レンズを量産することが可能である。しかしながら、従来のカルコゲナイドガラスは、遠赤外領域における屈折率が2.8未満であり、これら結晶系の材料と比較すると小さい。
【0007】
そのため、結晶系の材料、従来のカルコゲナイドガラスのいずれを適用しても、特に監視カメラや防犯カメラ等の用途において求められている広画角の赤外線撮像レンズを、低収差で、あるいは周辺光量の低下を抑制して実現することが困難であった。
【0008】
本発明の一態様は、上記課題に着目したものであり、広画角であるにも係わらず、低収差の、あるいは周辺光量の低下が抑制された、性能に優れた遠赤外領域の赤外線撮像レンズを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る赤外線撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズと、像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、正の屈折力を有する像面側レンズ群と、を配置して構成され、前記第1レンズ及び前記第2レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、半画角が60°以上である構成を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、広画角であるにも係わらず、低収差の、あるいは周辺光量の低下が抑制された、性能に優れた遠赤外領域の赤外線撮像レンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態について、数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、コマ収差を示す収差図である。
【
図3】本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、球面収差、非点収差、ディスト―ションを示す収差図である。
【
図4】本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、周辺光量比の入射角依存性を示すグラフである。
【
図5】本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、MTFの空間周波数依存性を示すグラフである。
【
図6】本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、MTFの入射角依存性を示すグラフである。
【
図7】本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、MTFの焦点移動依存性を示すグラフである。
【
図8】本発明の実施形態における、カルコゲナイドガラスの製造試験の結果(サンプルデータ)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0013】
〔実施例1〕
実施例1に係る赤外線撮像レンズ1は、少なくとも遠赤外領域の波長領域に対応した、イメージセンサ等の像面Sに被写体の像を結像するレンズ系である。
図1は、赤外線撮像レンズ1の概略構成を示す、光軸に沿った断面図である。
【0014】
<赤外線撮像レンズの概要>
赤外線撮像レンズ1の概要は以下の通りである。赤外線撮像レンズ1は、物体側から像面側に向かって順に、第1レンズL1、第2レンズL2、開口絞りA、像面側レンズ群Gが配置されて構成される。
図1に示されるように、像面側レンズ群Gと像面Sとの間には、平行平板Pが配置されている。平行平板Pは像面側にハーメチックシーリングで装荷される光学ウィンドーであり、シリコン、低酸素シリコンまたはゲルマニウムが使用される。材質や厚みは、どのイメージセンサを採用するかで決めることができる。
【0015】
実施例1における具体例として、像面側レンズ群Gは、物体側から像面側に向かって順に、第3レンズL3と第4レンズL4とから構成される。フォーカシングの際には、第1レンズL1から第4レンズL4までが、一律に光軸方向に移動する。
【0016】
第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、平行平板Pの表面には、反射防止(AR)コーティングが施される。このような遠赤外領域における反射防止コーティングには適宜の公知技術が適用され得る。
【0017】
第1レンズL1は、負の屈折力を有し、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を備える。第1レンズL1は非球面レンズであり、その物体側の面(第1面)は非球面であり、像面側の面(第2面)は球面である。
【0018】
第2レンズL2は、正の屈折力を有し、像面側に凸面を向けたメニスカス形状を備える。第2レンズL2は非球面レンズであり、その物体側の面(第3面)は非球面であり、像面側の面(第4面)は非球面である。なお、第2レンズL2の屈折力は、負、または0とすることもできる。
【0019】
像面側レンズ群Gは、正の屈折力を有している。実施例1における具体例として、第3レンズL3は、正の屈折力を有した両凸レンズである。第3レンズL3は非球面レンズであり、その物体側の面(第6面)は非球面であり、像面側の面(第7面)は球面である。第4レンズL4は、正の屈折力を有し、像面側に凸面を向けたメニスカス形状を備える。第4レンズL4は非球面レンズであり、その物体側の面(第8面)は球面であり、像面側の面(第9面)は非球面である。
【0020】
<第1レンズ及び第2レンズ>
赤外線撮像レンズ1は、特に第1レンズL1及び第2レンズL2において以下の特徴的な構成を備えている。そのような特徴的な構成によって、遠赤外領域の波長帯において、半画角ωが60°よりも大きいにも係わらず、収差の発生と周辺光量の低下が抑制された良好な結像特性が実現される。好ましくは、半画角ωは80°以上にもなる。
【0021】
第1レンズL1及び第2レンズL2は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上の、少なくとも8~14μmの遠赤外領域の波長帯において光透過性を有するガラスからなる材料で構成される。好ましくは、第1レンズL1及び第2レンズL2は、波長10μmにおける屈折率が3以上である。より好ましくは、第1レンズL1及び第2レンズL2は、波長10μmにおける屈折率が3.3以上である。屈折率の上限に関しては特に制限は無いが、現実的には4以下である。このように、第1レンズL1及び第2レンズL2の材料には、遠赤外領域の波長帯において良好な光透過性を有して、屈折率が大きい、新規のガラス、具体的にはカルコゲナイドガラスが適用される。
【0022】
このような特徴を有するカルコゲナイドガラスは本出願人らにより新規に開発された。当該カルコゲナイドガラスを製造する方法等については後述する。
【0023】
カルコゲナイドガラスにおいて、遠赤外領域で光透過性が優れていることを示す指標として、「赤外吸収端波長」と「内部透過率」を用いることができる。ここで赤外吸収端波長とは、波長8μm以上の遠赤外領域における吸収端波長をいい、材料の厚み2mmにおける光透過率が20%となる波長で定義される。なお、内部透過率とは材料内部での透過率をいい、材料表面での反射損失は含まない。
【0024】
第1レンズL1及び第2レンズL2を構成する材料としてのカルコゲナイドガラスは、赤外吸収端波長が20μm以上である。従って、当該カルコゲナイドガラスは、波長12μmを超えるような赤外線をも透過し、少なくとも波長8~14μmの範囲に亘って透過率が良好である。また当該カルコゲナイドガラスの厚さ2mmでの内部透過率は、波長12μmにおいて90%以上である。
【0025】
当該カルコゲナイドガラスのアッベ数は180~300である。好ましくは、当該カルコゲナイドガラスのアッベ数は200~290である。このように、第1レンズL1及び第2レンズL2には、アッベ数が比較的大きく色収差を低減しやすい特徴的な材料が適用される。なお、本明細書におけるアッベ数については、後述の数値実施例にその定義が記載されている。
【0026】
第1レンズL1は屈折率が2.8以上と大きく、また物体側に凸面を向けた負メニスカス形状を備えるため、物体側から広い入射角までの光線を集めることができ、半画角ωが60°以上の広画角の赤外線撮像レンズを実現できる。好ましくは半画角ωが80°以上の構成とすることができる。
【0027】
また、第2レンズL2は屈折率が2.8以上と大きく、また像面側に凸面を向けた正メニスカス形状を備える。従って、入射角の大きい光線(像面周辺部)を外向きに広げることができ(第3面の有効径よりも第4面の有効径が大きい)、周辺像高における光束のケラレが減少し、周辺光量の低下を抑制することができる。
【0028】
第1レンズL1及び第2レンズL2が、このような条件の基に構成されることにより、半画角ωが60°よりも大きいにも係わらず、第3レンズL3に入射する光線の光軸からの角度が標準玉の範囲程度にまで狭められている。例えば半画角ωが90°程度であれば、第3レンズL3に入射する光線の光軸からの角度は最大40°程度とでき、極力収差の発生を抑制させることができる。好ましくは、第1レンズL1及び第2レンズL2の合成の屈折力は負または0であるように構成される。
【0029】
遠赤外領域を透過する材料として用いられている、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)のような結晶系の材料では、プレス成型が不可能である。そのため、複雑な形状を有する非球面レンズを大量生産することが困難である。よって民生用の低コストの非球面レンズをこれら結晶系の材料で実現することは困難である。
【0030】
また、従来のカルコゲナイドガラスでは、波長10μmにおける屈折率が2.8未満であり小さい。よってこれらの材料では、十分に収差を抑制し、あるいは周辺光量の低下を抑制した広画角の赤外線撮像レンズを実現することは困難であった。
【0031】
一方、第1レンズL1及び第2レンズL2は、プレス成型が可能なカルコゲナイドガラスを材料としているため、非球面レンズを量産性良く生産することができる。好ましくは、第1レンズL1及び第2レンズL2のガラス転移温度が200℃以下と低く、プレス成型がより容易であるとよい。なお、好ましくは、ガラス転移温度は180℃以下にもなる。第1レンズL1及び第2レンズL2を非球面レンズとすることにより、収差が抑制される。これらのレンズに非球面が適用し得ない場合、収差を抑制するためのレンズの構成は、レンズ枚数が増加したものとなってしまう。
【0032】
<像面側レンズ群>
第2レンズL2と像面側レンズ群Gとの間には、第5面としての開口絞りAが設けられる。そのため像面側レンズ群Gに入射する光線の高さを低くすることができ、コマ収差を抑制することができる。
【0033】
像面側レンズ群Gの実施例1における具体例としての第3レンズL3と第4レンズL4もまた第1レンズL1及び第2レンズL2と同様のカルコゲナイドガラスを材料として成形されている。この場合、第3レンズL3と第4レンズL4についても、非球面レンズとできるため、収差が有効に抑制される。
【0034】
なお、像面側レンズ群は、例えばGeを材料として構成することも可能である。その場合、非球面レンズを実現することが困難なため、像面側レンズ群Gを2枚の球面レンズで構成すると収差が数値実施例1のものよりも大きくなる。数値実施例1が対象とするよりも画素ピッチの大きいイメージセンサに対応する赤外線撮像レンズであれば、この様な構成でもよい。あるいは像面側レンズ群Gを3枚以上のレンズで構成すれば収差の改善は可能であるが、構成が複雑となり高コストとなる。
【0035】
また像面側レンズ群は、1枚のレンズで構成してもよい。その場合、収差が数値実施例1のものよりも大きくなる。数値実施例1が対象とするよりも画素ピッチの大きいイメージセンサに対応した赤外線撮像レンズであれば、この様な構成でもよい。
【0036】
<数値実施例1>
次に、実施例1における赤外線撮像レンズ1の数値実施例を示す。数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの断面図は、
図1に示された通りである。数値実施例1において、rは曲率半径、dは光軸上の面間の距離、EDは有効径(直径)を表す。長さの単位は(mm)である。面番号の数字の後の*(アスタリスク)は非球面であることを表す。以下に、面データ、非球面データ、各種データを示す。
【表1】
屈折率及びアッベ数の定義は以下の通りである:
屈折率n8:波長8μmにおける屈折率
屈折率n10:波長10μmにおける屈折率
屈折率n12:波長12μmにおける屈折率
アッベ数ν10: ν10=(n10-1)/(n8-n12)
【表2】
非球面形状の定義は以下の通りである:
【数1】
h:光軸からの高さ
R:頂点曲率半径
k:円錐定数
An:n次の
非球面係数(n:4以上の偶数)
Z:hにおける非球面上の点から非球面頂点の接平面までの距離
【表3】
次に、数値実施例1の赤外線撮像レンズの諸性能を示す。
図2は、最大半画角である入射角91°までの、各入射角におけるコマ収差を、タンジェンシャル(メリジオナル)方向とサジタル(
ラジアル)方向に分けて示す収差図である。
図3は、球面収差、非点収差、ディストーションを示す収差図である。
図2及び
図3に示されるように、数値実施例1に係る赤外線撮像レンズによれば、諸収差が良好に補正されている。
【0037】
図4は、数値実施例1の赤外線撮像レンズの、入射角に対する周辺光量比の関係を示したグラフである。ここで周辺光量比とは、像面において光軸上領域(像面中央領域)に対する、ある領域での照度の比をいう。
図4に示されるように、最大半画角91°にもなる赤外線撮像レンズであるにもかかわらず、入射角91°(最大画角領域)での周辺光量比が約41%と、十分な周辺光量が得られている。なお、一般的な縦横比3:4の赤外線用イメージセンサを用いると、撮像面左右端中央に相当する入射角は約76°である。そこでの周辺光量比は約52%となる。
【0038】
図5は、MTF(Modulation Transfer function)の空間周波数依存性を示したグラフである。また
図6は、MTFの入射角依存性を示したグラフである。なお、
図5から
図7においては、各入射角に関するタンジェンシャル方向についての結果が実線で、サジタル方向の結果が破線で示されている。遠赤外領域用として一般的な画素ピッチ17μmのイメージセンサのナイキスト周波数は29.4cycle/mmに対応する。空間周波数29.4cycle/mmの時に、撮像面中央(入射角0°)でのMTFが48%となった。
【0039】
最大半画角91°にもなる赤外線撮像レンズであるにもかかわらず、入射角91°でのMTFがサジタル方向とタンジェンシャル方向の平均として23%となった。撮像面左右端中央(入射角は約76°)において空間周波数29.4cycle/mmでのMTFがサジタル方向とタンジェンシャル方向の平均として29%となった。このように最大半画角91°にもなる広画角の赤外線撮像レンズにも係わらず、良好なMTFが得られている。
図7は、焦点移動に対するMTFの変化を示したグラフである。
【0040】
<カルコゲナイドガラス>
次に、本実施形態の赤外線撮像レンズ1に適用されるカルコゲナイドガラスについて説明する。
【0041】
当該カルコゲナイドガラスは、必須成分として、カルコゲン元素であるテルル(Te)を含有する。Teはガラス骨格を形成し、赤外線透過率を高める成分である。Teの含有量(モル分率)は20~90%である。好ましくは、30~88%、40~84%、50~82%であり、特に60~80%であることが好ましい。
【0042】
Teの含有量が少なすぎると、ガラス化しにくくなり、赤外線透過率が低下しやすくなる。一方、Teの含有量が多すぎるとガラスの熱的安定性(ガラス化の安定性)が低下しやすく、またTe系の結晶が析出しやすくなる。なお、他のカルコゲン元素であるセレン(Se)や硫黄(S)は、Teより赤外線透過率を向上させにくく、赤外吸収端波長が短くなりやすい。
【0043】
そのため、Seの含有量は0~40%、0~20%、0~10%、0~5%であることが好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。また、Sの含有量は0~40%、0~20%、0~10%、0~5%であることが好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。なお、本明細書において、「実質的に含有しない」とは、意図的に原料中に含有させないという意味であり、不純物レベルの混入を排除するものではない。客観的には、各成分の含有量が0.1%未満であることが好ましい。
【0044】
上記必須成分以外の含有成分は、以下に示す元素の中から選択され、当該カルコゲナイドガラスの全成分の含有量(モル分率)が100%になるように構成される。
【0045】
ゲルマニウム(Ge)は赤外線透過率を低下させることなく、ガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Geの含有量は0~50%である。好ましくは、1~40%、3~35%、5~30%、7~25%であり、特に10~20%であることが好ましい。Geの含有量が多すぎると、Ge系の結晶が析出しやすくなるとともに、原料コストが高くなる傾向がある。
【0046】
ガリウム(Ga)は赤外線透過率を低下させることなく、ガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Gaの含有量は0~50%である。好ましくは、1~30%、2~20%、3~15%、特に4~10%であることが好ましい。Gaの含有量が多すぎると、Ga系の結晶が析出しやすくなるとともに、原料コストが高くなる傾向がある。
【0047】
銀(Ag)は、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Agの含有量は0~50%である。好ましくは、0超~50%、1~45%、2~40%、3~35%、4~30%、5~25%、特に5~20%であることが好ましい。Agの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。
【0048】
アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、インジウム(In)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、クロム(Cr)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)は赤外線透過特性を低下させることなく、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Al+Ti+Cu+In+Sn+Bi+Cr+Sb+Zn+Mnの含有量(Al、Ti、Cu、In、Sn、Bi、Cr、Sb、Zn及びMnの合量)は0~40%である。好ましくは、2~35%、4~30%であり、特に5~25%であることが好ましい。
【0049】
Al+Ti+Cu+In+Sn+Bi+Cr+Sb+Zn+Mnの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。なかでもガラスの熱的安定性を高める効果が特に大きいという点でAl、Cu、及び/またはSnを使用することが好ましい。
【0050】
フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)もガラスの熱的安定性を高める成分である。F+Cl+Br+Iの含有量(F、Cl、Br及びIの合量)は0~40%である。好ましくは、1~40%、1~30%、1~25%であり、特に1~20%であることが好ましい。
【0051】
F+Cl+Br+Iの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなるとともに、耐候性が低下しやすくなる。なかでもIは、元素原料を使用可能であり、ガラスの熱的安定性を高める効果が特に大きいという点で好ましい。
【0052】
シリコン(Si)は、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Siの含有量は0~50%である。好ましくは0超~50%、1~45%、2~40%、3~35%、4~30%、5~25%、特に5~20%であることが好ましい。Siの含有量が多すぎると、Si起因の赤外吸収が発生しやすくなり、赤外線が透過しにくくなる。
【0053】
また、当該カルコゲナイドガラスは、カドミウム(Cd)、タリウム(Tl)及び鉛(Pb)を実質的に含有しないことが好ましい。
【0054】
本実施形態の赤外線撮像レンズ1に適用されるカルコゲナイドガラスは以下のように作製される。はじめに、上記のガラス組成となるように、原料を混合し、原料バッチを得る。次に、石英ガラスアンプルを加熱しながら真空排気した後、原料バッチを入れ、酸素バーナーで石英ガラスアンプルを封管する。石英ガラスアンプル中には酸素ガス(O2)が存在しなければよく、例えば、不活性ガスに置き換えてもよい。不活性ガスとしては、安価で安全性が高いという理由から、窒素ガス(N2)を用いることが好ましい。
【0055】
次に、封管された石英ガラスアンプルを溶融炉内で10~40℃/時間の速度で650~1000℃まで昇温後、6~12時間保持する。保持時間中、必要に応じて、石英ガラスアンプルの上下を反転し、溶融物を攪拌する。
【0056】
このように、石英ガラスアンプル中には酸素ガス(O2)が存在しない状態で溶融することで、遠赤外領域に吸収ピークを持つGe-O結合(13.0μm)、Se-O結合(11.0μm)、As-O結合(12.7μm)、Si-O結合(8.9μm、14.2μm)、Ga-O結合(17.5μm)等が生じにくいため、赤外線透過率の低下を抑制しやすい。
【0057】
また、カルコゲナイドガラス中に酸素(O)が取り込まれると、脈理やGa酸化物等の酸化物のブツが生成しやすくなる。このような脈理やブツも赤外線透過特性の低下を引き起こす。しかし、本実施形態の赤外線撮像レンズ1に適用されるカルコゲナイドガラスは、これらの現象が抑止されて生成されることで赤外線透過特性が良好である。また、本実施形態の赤外線撮像レンズ1に適用されるカルコゲナイドガラスでは、特定の組成で均一に構成されていることと相まって、2.8以上の高い屈折率が実現される。
【0058】
続いて、石英ガラスアンプルを溶融炉から取り出し、室温まで急冷することによりカルコゲナイドガラスを作製する。
【0059】
なお、溶融炉内を不活性ガス雰囲気にすれば、石英ガラスアンプルを封管せずに溶融することができ、カルコゲナイドガラスを連続溶融することが可能になる。また、溶融ガラス中に不活性ガスをバブリングしても構わない。バブリングすることによりガラスを攪拌できるため、ガラスの均質化を促進できる。その結果、脈理等の発生を抑制できる。
【0060】
次に、精密加工を施した金型中にカルコゲナイドガラスを投入して軟化状態となるまで加熱しながらプレス成型し、金型の表面形状をカルコゲナイドガラスに転写させる。このようにして、赤外線撮像レンズ1に適用される所要の形状のカルコゲナイドガラスレンズを作製することが可能である。
【0061】
図8は、種々の原料比率で上記製造工程により製造された、カルコゲナイドガラス(サンプル番号1~24)の評価結果を示す。
図8には、屈折率n10、アッベ数ν10、赤外吸収端波長が併せて示されている。
【0062】
これらのカルコゲナイドガラスは、波長10μmにおける屈折率が2.8以上である。これらによって、3.24~3.92の範囲の屈折率と、230~285の範囲のアッベ数を有するカルコゲナイドガラスの実現が現に実証された。
【0063】
当該カルコゲナイドガラスの赤外吸収端波長は24.1μm以上であり、少なくとも波長8~14μmの範囲に亘っては透過率が良好であった。また当該カルコゲナイドガラスの厚さ2mmでの内部透過率は、波長12μmにおいて90%以上であった。当該カルコゲナイドガラスのガラス転移点は200℃以下であり小さく、プレス加工によるレンズ成形が容易であった。
【0064】
また、本実施形態の赤外線撮像レンズ1に、より好ましく適用されるカルコゲナイドガラスは、屈折率が3.3以上である。
図8におけるサンプル番号1~24のサンプルのうち、サンプル番号23を除いて、波長10μmにおける屈折率n10として3.3以上が得られた。
【0065】
サンプル番号23を除く各サンプルは、それぞれが本実施形態の赤外線撮像レンズ1に、より好ましく適用されるカルコゲナイドガラスの一例である。これらによって、3.32~3.92の範囲の屈折率と、243~285の範囲のアッベ数を有するカルコゲナイドガラスの実現が現に実証された。この場合には、少なくともGeの含有量が3~45%の範囲、少なくともGaの含有量が2~17.5%の範囲、少なくともIの含有量が0~5%の範囲で、所要の特性(屈折率3.3以上)が得られることが実証された。
【0066】
特許文献2の赤外線撮像レンズに適用される従来技術のカルコゲナイドガラスでは、波長10μmにおける屈折率n10が2.585と2.8未満であった。このように本発明に適用される新規のカルコゲナイドガラスは、従来のカルコゲナイドガラスと比較すると、その屈折率が非常に大きい。またアッベ数も適当である。そのため、
図2~7に示される良好な性能を有する広画角の赤外線撮像レンズ1が実現された。
【0067】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る赤外線撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズと、像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、正の屈折力を有する像面側レンズ群と、を配置して構成され、前記第1レンズ及び前記第2レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、半画角が60°以上である、構成を備えている。
【0068】
上記の構成によれば、半画角60°以上の広画角にも係わらず、収差が抑制され、または周辺光量の低下が抑制された良好な結像特性が実現された遠赤外領域の赤外線撮像レンズが実現できる。
【0069】
本発明の態様2に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1において、前記ガラスが、カルコゲナイドガラスである構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、少なくとも8~14μmの波長帯で光透過性の良好な赤外線撮像レンズが実現できる。
【0070】
本発明の態様3に係る赤外線撮像レンズは、上記態様2において、前記カルコゲナイドガラスは、波長10μmにおける屈折率が3.3以上である構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、より良好に収差が抑制され、または周辺光量の低下がより抑制され得る。
【0071】
本発明の態様4に係る赤外線撮像レンズは、上記態様2または3において、前記カルコゲナイドガラスは、厚み2mmでの光透過率が20%となる赤外吸収端波長が20μm以上である構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、少なくとも8~14μmの波長帯域で光透過性の良好な、明るい赤外線撮像レンズが実現できる。
【0072】
本発明の態様5に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から4のいずれかにおいて、像面において光軸上領域に対する最大画角領域での周辺光量比が40%以上である構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、周辺光量の低下が抑制され、良好な結像特性が実現された遠赤外領域の赤外線撮像レンズが実現できる。
【0073】
本発明の態様6に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記第1レンズは物体側に凸のメニスカスレンズである構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、広画角にもかかわらず、良好に収差が抑制された遠赤外領域の赤外線撮像レンズが実現できる。
【0074】
本発明の態様7に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記第1レンズは非球面レンズである構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、良好に収差が抑制された赤外線撮像レンズが、生産性良く実現できる。
【0075】
本発明の態様8に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記第2レンズは非球面レンズである構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、良好に収差が抑制された赤外線撮像レンズが、生産性良く実現できる。
【0076】
本発明の態様9に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から8のいずれかにおいて、前記第2レンズと前記像面側レンズ群との間に開口絞りが配置される構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、像面側レンズ群に入射する光線の高さを低くすることができ、コマ収差を抑制することができる。
【0077】
本発明の態様10に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から9のいずれかにおいて、前記像面側レンズ群は、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズとを備えていてもよい。上記の構成によれば、像面側レンズ群がより具体的に実現される。
【0078】
本発明の態様11に係る赤外線撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズと、像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、を配置して構成され、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、半画角が60°以上である構成を備えている。
【0079】
上記の構成によれば、像面側レンズ群がより具体的に実現されており、半画角60°以上の広画角にも係わらず、収差が抑制され、良好な結像特性が実現された遠赤外領域の赤外線撮像レンズが実現できる。
【0080】
本発明の態様12に係る赤外線撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズと、像面側に凸のメニスカスである第2レンズと、正の屈折力を有する像面側レンズ群と、を配置して構成され、前記第1レンズ及び前記第2レンズの材料は、波長10μmにおける屈折率が2.8以上のガラスであり、前記第1レンズは物体側に凸のメニスカスレンズである構成を備えている。
【0081】
上記の構成によれば、良好に収差が抑制され、周辺光量の低下が抑制された良好な結像特性が実現された遠赤外領域の赤外線撮像レンズが実現できる。
【0082】
本発明の態様13に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から12のいずれかにおいて、前記ガラスは、ガラス転移温度が200℃以下である構成を備えていてもよい。上記の構成によれば、容易にプレス加工によりレンズ成形が可能であり、量産性に優れ、また非球面化による収差の抑制が可能な遠赤外領域の赤外線撮像レンズが実現できる。
【0083】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、明細書中にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、明細書中にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 赤外線撮像レンズ
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
A 開口絞り
G 像面側レンズ群
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
P 平行平板
S 像面