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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】通信装置、基地局装置、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/02 20090101AFI20240806BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20240806BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20240806BHJP
【FI】
H04W36/02
H04W84/06
H04W92/20
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021550600
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2020035199
(87)【国際公開番号】W WO2021065534
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2019183331
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】草島 直紀
【審査官】米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/097855(WO,A1)
【文献】Huawei, HiSilicon,Discussion on early data forwarding for CHO,3GPP TSG RAN WG2 #107 R2-1910516,2019年08月16日
【文献】Huawei, HiSilicon,RACH-less handover for NTN,3GPP TSG RAN WG2 #107 R2-1910570,2019年08月16日
【文献】Ericsson,On PDCP interruptions during handover for NTN,3GPP TSG RAN WG2 #107 R2-1910805,2019年08月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う通信装置であって、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を受信する無線通信部と、
前記継続情報に基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う制御部と、
を具備する通信装置。
【請求項2】
前記所定のデータは、誤り訂正符号化前のデータが同一のデータである、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記所定のデータは、誤り訂正符号化前のデータが同一のデータであり、かつRedundancy Versionが同一の値である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記所定のデータは、誤り訂正符号化前のデータが同一のデータであり、かつRedundancy Versionが異なる値である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記無線通信部は、ハンドオーバ前にハンドオーバ元の基地局装置へ送信していた前記所定のデータと同一のデータをハンドオーバ後にハンドオーバ先の無線通信基地局へ送信するように要求する要求情報を前記継続情報として受信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記無線通信部は、ハンドオーバ元の基地局装置から送信される前記要求情報を受信する、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記無線通信部は、ハンドオーバ先の基地局装置から送信される前記要求情報を受信する、
請求項5に記載の通信装置。
【請求項8】
前記無線通信部は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置に関する候補情報をハンドオーバ元の基地局装置から受信し、
前記制御部は、前記候補情報に基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記無線通信部は、ハンドオーバ前にハンドオーバ元の基地局装置からハンドオーバ後のConfigured grant configurationを受信し、
前記制御部は、前記Configured grant configurationに基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、ハンドオーバ元の基地局装置とはRandom access procedureを行う一方で、ハンドオーバ先の無線通信基地局とはRandom access procedureを行わない、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
前記制御部は、ハンドオーバ前とハンドオーバ後との双方で同一の所定のIDを用いて、前記繰り返し送信のデータをスクランブルする、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記所定のIDは、端末識別IDである、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記所定のIDは、ハンドオーバ後の基地局装置から付与される端末識別IDと異なる値である、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項14】
前記所定のIDは、ハンドオーバ前の基地局装置から付与される第1の端末識別IDと、ハンドオーバ後の基地局装置から付与される第2の端末識別IDとは別の情報である、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項15】
同一のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う端末装置と通信する基地局装置であって、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を生成するプロセッサと、
前記継続情報を前記端末装置へ送信する無線通信モジュールと、
を具備する基地局装置。
【請求項16】
同一のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う通信装置におけるデータ送信方法であって、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を受信し、
前記継続情報に基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う、
通信方法。
【請求項17】
同一のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う端末装置と通信する基地局装置における通信方法であって、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を生成し、
前記継続情報を前記端末装置へ送信する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、基地局装置、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-A Pro(LTE-Advanced Pro)、NR(New Radio)、NRAT(New Radio Access Technology)、EUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)、または、FEUTRA(Further EUTRA)と呼ばれる無線アクセス方式または無線ネットワークが、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において検討されている。以下の説明において、LTEは、LTE-A、LTE-A Pro及びEUTRAを含み、NRは、NRAT及びFEUTRAを含む。LTEでは無線通信基地局はeNodeB(evolved NodeB)と、NRでは無線通信基地局はgNodeBと、LTE及びNRでは無線通信端末はUE(User Equipment)と呼ばれることもある。また、セルラー移動通信における無線通信端末は、移動局と呼ばれることもある。LTE及びNRは、無線通信基地局がカバーするエリアがセル状に複数配置されたセルラー通信システムである。単一の無線通信基地局は複数のセルを管理してもよい。
【0003】
NRは、LTEに対する次世代の無線アクセス方式であり、LTEとは異なるRAT(Radio Access Technology)である。NRでは、広域カバレッジ、接続安定性等に対する要求の高まりから、空中や宇宙に浮遊する装置から無線ネットワークが提供される非地上波ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)の検討が開始されている。非地上波ネットワークでは、例えば、無線通信基地局として用いられる人工衛星(以下では「衛星基地局」、或いは単に「基地局」と呼ぶことがある。)を介して無線通信端末に無線ネットワークが提供される。また、地上波ネットワークと同一の無線アクセス方式を非地上波ネットワークに用いることで、地上波ネットワークと非地上波ネットワークとの間の統合的な運用が容易となる。
【0004】
ここで、非地上波ネットワークでは、無線通信端末と衛星基地局との間の電波の伝搬距離が長いため、無線通信端末から送信される信号の伝搬損失が大きくなって衛星基地局での受信レベルが低下する。そこで、無線通信端末は、同一のデータを衛星基地局へ繰り返し送信し、衛星基地局は、無線通信端末から受信した複数の同一データを合成することで受信品質を高めている。通常、数百個から数千個の同一データが合成されることで、衛星基地局での受信品質が、復号可能な所望の受信品質に達する。以下では、同一のデータが繰り返し送信される無線送信を「繰り返し送信(repetition送信)」と呼ぶことがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】R2-1910452, Intel Corporation, “Conditional Handover for Non-Terrestrial Networks,” 3GPP TSG RAN2 Meeting#107, Prague, Czech Republic, August, 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非地上波ネットワークにおける低軌道衛星等の衛星基地局は上空を高速で移動している。また、衛星基地局によって地上に形成されるセルも衛星基地局の移動にあわせて移動する。このため、非地上波ネットワークでは、地上の無線通信端末がたとえ静止している場合であっても、無線通信端末が属するセルの切替(つまり、ハンドオーバ)が頻繁に発生する可能性がある。これに対し、従来、繰り返し送信における同一データの合成は各々の衛星基地局毎に個別に行われているため、ハンドオーバが頻繁に発生すると、データ合成後の受信品質がいつまでたっても復号可能な所望の受信品質に達しないという事態が発生してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本開示では、品質の高い無線通信を実現できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示では、所定のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う通信装置において、無線通信部は、ハンドオーバ前後における繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を受信し、制御部は、継続情報に基づいて、ハンドオーバ後の繰り返し送信を行う。
【0009】
また、本開示では、所定のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う端末端末と通信する基地局装置において、制御部は、ハンドオーバ前後における繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を生成し、無線通信部は、継続情報を無線通信端末へ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る通信システムの概要を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
図3】通信システムが提供する無線ネットワークの一例を示す図である。
図4】通信システムが提供する衛星通信の概要を示す図である。
図5】衛星局が構成するセルの一例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る管理装置の構成例を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る基地局の構成例を示す図である。
図8】本開示の実施形態に係る基地局の他の構成例を示す図である。
図9】本開示の実施形態に係る基地局の他の構成例を示す図である。
図10】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図11】本開示の実施形態に係る通信システムにおける処理手順の一例を示す図である。
図12】本開示の実施形態に係る通信システムにおける処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位または同一の処理には同一の符号を付す。
【0012】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字又はアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて基地局20T、20Sのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、基地局20T、20Sを特に区別する必要が無い場合には、単に基地局20と称する。
【0013】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
[実施形態]
<1.通信システムの概要>
<2.通信システムの構成>
2-1.通信システムの全体構成
2-2.管理装置の構成
2-3.基地局の構成
2-4.端末装置の構成
<3.通信システムにおける処理>
<処理例1>
<処理例2>
<処理例3>
<処理例4>
<処理例5>
<処理例6>
<処理例7>
<処理例8>
<4.通信システムにおける処理手順>
<手順例1>
<手順例2>
<5.変形例>
[開示の技術の効果]
【0014】
[実施形態]
<1.通信システムの概要>
図1は、本開示の実施形態に係る通信システムの概要を示す図である。図1において、通信システム1は、端末装置50と、基地局20Sと、基地局20Tとを有する。
【0015】
端末装置50は地上に位置する通信装置である。基地局20S、20Tは、宇宙空間に位置する通信装置(例えば、衛星基地局)である。端末装置50は、基地局20S、20Tと通信可能である。また、基地局20Sと基地局20Tとは相互に通信可能である。
【0016】
基地局20S、20Tは、例えば高度100kmから2000kmの間の上空に位置し、例えば高度600kmの上空に位置する場合は、秒速7.6kmのスピードで軌道上を移動する。また、基地局20SはセルC1を地上に形成し、基地局20TはセルC2を地上に形成する。端末装置50は、セルC1に属している場合は基地局20Sと通信可能であり、セルC2に属している場合は基地局20Tと通信可能である。セルC1、C2の半径は、例えば数十kmから数百kmの範囲にある。セルは「ビーム」と呼ばれることもある。
【0017】
基地局20Sと基地局20Tとは一定の間隔を保ったまま上空を移動するため、端末装置50が移動していなくても、端末装置50が属するセル(以下では「所属セル」と呼ぶことがある)がセルC1からセルC2にハンドオーバすることがある。例えば、セルC1、C2の各々の直径が50kmであり、かつ、端末装置50が静止している場合には、所属セルがセルC1になってから約6~7秒後にセルC2へのハンドオーバが発生する。以下では、基地局20S、20Tを「基地局20」と総称することがある。
【0018】
<2.通信システムの構成>
以下、本実施形態に係る通信システム1を詳細に説明する。通信システム1は、非地上局を備え、端末装置に対して非地上波ネットワークを使用した無線通信を提供する。また、通信システム1は、地上波ネットワークを使用した無線通信を提供していてもよい。なお、通信システム1が備える非地上波ネットワーク、地上波ネットワークは、NRで規定される無線アクセス方式を使用した無線ネットワークに限られない。通信システム1が備える非地上波ネットワークは、LTE、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、cdma2000(Code Division Multiple Access 2000)等、NR以外の無線アクセス方式の無線ネットワークであってもよい。
【0019】
なお、本開示の実施形態において、地上局(地上基地局ともいう。)とは、地上に設置される基地局(中継局を含む。)のことをいう。「地上」は、地上(陸上)のみならず、地中、水上、水中も含む広義の地上である。
【0020】
また、いくつかの実施形態では、NRのユースケースの一つとしてNTNへの適用例について説明する。しかしながら、これらの実施形態の適用先はNTNには限定されず、他の技術やユースケース(e.g., URLLC)に適用されてもよい。
【0021】
なお、以下の説明では、基地局(以下、基地局装置ともいう。)という概念には、中継局(以下、中継装置(リレーノード)ともいう。)及び当該中継局に対して無線インタフェースを提供するドナー基地局が含まれていてもよい。また、基地局という概念には、基地局の機能を備えた構造物(Structure)のみならず、構造物に設置される装置も含まれる。構造物は、例えば、高層ビル、家屋、鉄塔、駅施設、空港施設、港湾施設、スタジアム等の建物である。なお、構造物という概念には、建物のみならず、トンネル、橋梁、ダム、塀、鉄柱等の構築物(Non-building structure)や、クレーン、門、風車等の設備も含まれる。また、構造物という概念には、地上(陸上)又は地中の構造物のみならず、桟橋、メガフロート等の水上の構造物や、海洋観測設備等の水中の構造物も含まれる。さらに、基地局は、複数の物理的又は論理的装置の集合で構成されていてもよい。例えば、本開示の実施形態において基地局は、BBU(Baseband Unit)及びRU(Radio Unit)の複数の装置に区別され、これら複数の装置の集合体として解釈されてもよい。
【0022】
また、本実施形態において基地局は、BBU及びRUのうちいずれか又は両方であってもよい。BBUとRUとは所定のインタフェース(e.g., eCPRI)で接続されていてもよい。また、RUはRemote Radio Unit (RRU) 又は Radio DoT (RD)と称されていてもよい。また、RUは後述するgNB-DUに対応していてもよい。また、BBUは、後述するgNB-CUに対応していてもよい。さらに又はこれに代えて、RUはアンテナと一体的に形成された装置であってもよい。基地局が有するアンテナ(e.g., RUと一体的に形成されたアンテナ)はAdvanced Antenna Systemを採用し、MIMO(e.g. FD-MIMO)やビームフォーミングをサポートしていてもよい。 Advanced Antenna Systemは、基地局が有するアンテナ(e.g., RUと一体的に形成されたアンテナ)は、例えば、64個の送信用アンテナポート及び64個の受信用アンテナポートを備えていてもよい。
【0023】
また、基地局は、移動可能に構成された基地局であってもよい。例えば、基地局は、移動体に設置される装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。移動体は、スマートフォンなどのモバイル端末や、地上(陸上)を移動する移動体(例えば、自動車、バス、トラック、列車、リニアモーターカー等の車両)であってもよいし、地中(例えば、トンネル内)を移動する移動体(例えば、地下鉄)であってもよい。また、移動体は、水上を移動する移動体(例えば、旅客船、貨物船、ホバークラフト等の船舶)であってもよいし、水中を移動する移動体(例えば、潜水艇、潜水艦、無人潜水機等の潜水船)であってもよい。また、移動体は、大気圏内を移動する移動体(例えば、飛行機、飛行船、ドローン等の航空機)であってもよいし、大気圏外を移動する宇宙移動体(例えば、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、探査機等の人工天体)であってもよい。
【0024】
なお、基地局は、複数が互いに接続されていてもよい。1つ又は複数の基地局は無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)に含まれていてもよい。すなわち、基地局は単にRAN、RANノード、AN(Access Network)、ANノードと称されてもよい。LTEにおけるRANはEUTRAN(Enhanced Universal Terrestrial RAN)と呼ばれる。NRにおけるRANはNGRANと呼ばれる。W-CDMA(UMTS)におけるRANはUTRANと呼ばれる。LTEの基地局は、eNodeB(Evolved Node B)又はeNBと称される。すなわち、EUTRANは1又は複数のeNodeB(eNB)を含む。また、NRの基地局は、gNodeB又はgNBと称される。すなわち、NGRANは1又は複数のgNBを含む。さらに、EUTRANは、LTEの通信システム(EPS)におけるコアネットワーク(EPC)に接続されたgNB(en-gNB)を含んでいてもよい。同様にNGRANは5G通信システム(5GS)におけるコアネットワーク5GCに接続されたng-eNBを含んでいてもよい。
【0025】
なお、基地局がeNB、gNBなどである場合、3GPP Accessと称されてもよい。また、基地局が無線アクセスポイント(Access Point)である場合、Non-3GPP Accessと称されてもよい。さらに又はこれに代えて、基地局は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる光張り出し装置であってもよい。また、基地局がgNBである場合、基地局は前述したgNB CU(Central Unit)とgNB DU(Distributed Unit)の組み合わせ又はこれらのうちいずれかと称されてもよい。gNB CU(Central Unit)は、UEとの通信のために、Access Stratumのうち、複数の上位レイヤ(e.g. RRC, SDAP, PDCP)をホストする。一方、gNB-DUは、Access Stratumのうち、複数の下位レイヤ(e.g. RLC, MAC, PHY)をホストする。すなわち、後述されるメッセージ・情報のうち、RRC signalling(準静的な通知)はgNB CUで生成され、一方でDCI(動的な通知)はgNB-DUは生成されてもよい。また、RRC configuration(準静的な通知)のうち、例えばIE:cellGroupConfigなど一部のconfigurationについてはgNB-DUで生成され、残りのconfigurationはgNB-CUで生成されてもよい。これらのconfigurationは、後述されるF1インタフェースで送受信されてもよい。基地局は、他の基地局と通信可能に構成されていてもよい。例えば、複数の基地局装置がeNB同士又はeNBとen-gNBの組み合わせである場合、当該基地局間はX2インタフェースで接続されてもよい。また、複数の基地局がgNB同士又はgn-eNBとgNBの組み合わせである場合、当該装置間はXnインタフェースで接続されてもよい。また、複数の基地局がgNB CU(Central Unit)とgNB DU(Distributed Unit)の組み合わせである場合、当該装置間は前述したF1インタフェースで接続されてもよい。後述されるメッセージ・情報(RRC signalling又はDCIの情報)は複数基地局間で(例えばX2、Xn、F1インタフェースを介して)通信されてもよい。
【0026】
また、LTEおよびNRでは、端末装置(移動局、移動局装置、又は端末ともいう。)はUE(User Equipment)と称されることがある。これに代えて、端末装置は、MS(Mobile Station)やWTRU(Wireless Transmission Reception Unit)と呼ばれてもよい。なお、端末装置は、無線通信装置の一種であり、移動局、移動局装置、又は端末とも称される。本開示の実施形態において、端末装置という概念には、携帯端末等の持ち運び可能な端末装置のみならず、例えば、構造物や移動体に設置される装置も含まれる。
【0027】
<2-1.通信システムの全体構成>
図2は、本開示の実施形態に係る通信システム1の構成例を示す図である。通信システム1は、管理装置10と、非地上基地局(以下、単に基地局と称する)20と、地上基地局(以下、単に基地局と称する)30と、中継装置(以下、単に基地局と称する)40と、端末装置50と、を備える。通信システム1は、通信システム1を構成する各無線通信装置が連携して動作することで、ユーザに対し、移動通信が可能な無線ネットワークを提供する。無線通信装置は、無線通信の機能を有する装置のことであり、図2の例では、基地局20、30、40、および端末装置50が該当する。
【0028】
通信システム1は、管理装置10、基地局20、30、40、および端末装置50をそれぞれ複数備えていてもよい。図2の例では、通信システム1は、管理装置10として管理装置10、10等を備えている。また、通信システム1は、基地局20として基地局20、20等を備えており、基地局30として基地局30、30等を備えている。また、通信システム1は、基地局40として基地局40、40等を備えており、端末装置50として端末装置50、50、50等を備えている。なお、上述の通り、本開示の実施形態の適用先は非地上波通信(NTN)に限られない。すなわち、通信システムは、非地上局を含んでいなくてもよい。
【0029】
管理装置10は、無線ネットワークを管理する装置である。例えば、管理装置10は、MME(Mobility Management Entity)やAMF(Access and Mobility Management Function)として機能する装置である。MMEは、EUTRANとS1インタフェースで接続され、UEとの間のNAS(Non-Access Stratum)シグナリングの制御やUEのモビリティの管理を行う。AMFは、NGRANとNGインタフェースで接続され、UEとの間のNAS(Non-Access Stratum)シグナリングの制御やUEのモビリティの管理を行う。管理装置10は、コアネットワークCNに含まれていてもよい。コアネットワークCNは、例えば、EPC(Evolved Packet Core)や5GC(5G Core network)である。管理装置10は、複数の基地局20および複数の基地局30それぞれと接続される。管理装置10は、基地局20および基地局30の通信を管理する。コアネットワークは、管理装置10のようなコントロールプレーン(C-Plane)ノードのほかに、パケットデータネットワーク(PDN)又はデータネットワーク(DN)とRANとの間でユーザデータを転送する。ユーザプレーン(U-Plane)ノードを含んでいてもよい。EPCにおけるU-PlaneノードはServing Gateway(S-GW)やPDN-Gateway(P-GW)を含んでもよい。5GCにおけるU-Planeノードは、U-Plane Function(UPF)を含んでいてもよい。例えば、管理装置10は、通信システム1内の端末装置50(UE)が、どの位置に存在するかを、複数のセルからなるエリア単位(e.g. Tracking Area、RAN Notification Area)で端末装置50ごとに管理する。なお、管理装置10は、端末装置50がどの基地局(或いはどのセル)に接続しているか、どの基地局(或いはどのセル)の通信エリア内に存在しているか、等を端末装置50ごとにセル単位で把握して管理してもよい。
【0030】
基地局20は、端末装置50と無線通信する基地局である。図2の例では、基地局20は、基地局40と接続されており、基地局40を介して端末装置50と無線通信することも可能である。本実施形態では、基地局20は、空中又は宇宙を浮遊可能な基地局である。例えば、基地局20は、航空機局や衛星局等の非地上局装置である。
【0031】
航空機局は、例えば、航空機等、大気圏内を浮遊可能な無線通信装置である。航空機局は、例えば、航空機等に搭載される装置であってもよいし、航空機そのものであってもよい。なお、航空機という概念には、飛行機、グライダー等の重航空機のみならず、気球、飛行船等の軽航空機も含まれる。また、航空機という概念には、重航空機や軽航空機のみならず、ヘリコプターやオートジャイロ等の回転翼機も含まれる。なお、航空機局(又は、航空機局が搭載される航空機)は、ドローン(Aerial Vehicle)等の無人航空機であってもよい。なお、無人航空機という概念には、無人航空システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)、つなぎ無人航空システム(tethered UAS)も含まれる。また、無人航空機という概念には、軽無人航空システム(LTA:Lighter than Air UAS)、重無人航空システム(HTA:Heavier than Air UAS)が含まれる。その他、無人航空機という概念には、高高度無人航空システムプラットフォーム(HAPs:High Altitude UAS Platforms)も含まれる。さらに、航空機局がUEとして機能する場合、当該航空機局は、Aerial UEであってもよい。
【0032】
衛星局は、大気圏外を浮遊可能な無線通信装置である。衛星局は、人工衛星等の宇宙移動体に搭載される装置であってもよいし、宇宙移動体そのものであってもよい。衛星局となる衛星は、低軌道(LEO:Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO:Medium Earth Orbiting)衛星、静止(GEO:Geostationary Earth Orbiting)衛星、高楕円軌道(HEO:Highly Elliptical Orbiting)衛星の何れであってもよい。勿論、衛星局は、低軌道衛星、中軌道衛星、静止衛星、又は高楕円軌道衛星に搭載される装置であってもよい。
【0033】
基地局30は、端末装置50と無線通信する基地局である。図2の例では、基地局30は、基地局40と接続されており、基地局40を介して端末装置50と無線通信することも可能である。基地局30は、地上の構造物に配置される基地局であってもよいし、地上を移動する移動体に設置される基地局であってもよい。例えば、基地局30は、ビル等の構造物に設置されたアンテナおよびそのアンテナに接続する信号処理装置である。勿論、基地局30は、構造物や移動体そのものであってもよい。
【0034】
基地局40は、基地局の中継局となる装置である。基地局40は、基地局の一種である。基地局40は、基地局20と端末装置50との通信、又は基地局30と端末装置50との通信を中継する。基地局40は、地上局であってもよいし、非地上局であってもよい。基地局40は基地局20および基地局30とともに無線アクセスネットワークRANを構成してもよい。
【0035】
端末装置50は、例えば、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータである。また、端末装置50は、M2M(Machine to Machine)デバイス、又はIoT(Internet of Things)デバイスであってもよい(例えば、MTC UE、NB-IoT UE、Cat.M UEと呼ばれてもよい)。また、端末装置50は、移動体に設置される無線通信装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。なお、端末装置50は、衛星通信を中継する中継局であってもよいし、衛星通信を受信する基地局であってもよい。端末装置50は、地上波ネットワークと非地上波ネットワークの双方に対応する。そのため、端末装置50は、基地局30等の地上局装置のみならず、基地局20等の非地上局装置とも通信可能である。
【0036】
図3は、通信システム1が提供する無線ネットワークの一例を示す図である。基地局20および基地局30はそれぞれセルを構成する。セルとは基地局により無線通信がカバーされるエリアである。基地局20および基地局30により構成されるセルは、マクロセル、マイクロセル、フェムトセル、およびスモールセルの何れであってもよい。なお、通信システム1は、単一の基地局で複数のセルを管理するように構成されていてもよいし、複数の基地局で1つのセルを管理するように構成されていてもよい。基地局により提供されるセルはServing cellと呼ばれる。Serving cellはPCell(Primary Cell)及びSCell(Secondary Cell)を含む。Dual Connectivity (e.g. EUTRA-EUTRA Dual Connectivity、EUTRA-NR Dual Connectivity(ENDC)、EUTRA-NR Dual Connectivity with 5GC、NR-EUTRA Dual Connectivity(NEDC)、NR-NR Dual Connectivity)がUE(e.g. 端末装置50)に提供される場合、MN(Master Node)によって提供されるPCell及びゼロ又は1以上のSCell(s)はMaster Cell Groupと呼ばれる。さらに、Serving cellはPSCell(Primary Secondary Cell又はPrimary SCG Cell)を含んでもよい。すなわち、Dual Connectivity がUEに提供される場合、SN(Secondary Node)によって提供されるPSCell及びゼロ又は1以上のSCell(s)はSecondary Cell Group(SCG)と呼ばれる。特別な設定(e.g., PUCCH on SCell)がされていない限り、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)はPCell及びPSCellで送信されるが、SCellでは送信されない。また、Radio Link FailureもPCell及びPSCellでは検出されるが、SCellでは検出されない(検出しなくてよい)。このようにPCell及びPSCellは、Serving Cell(s)の中で特別な役割を持つため、Special Cell(SpCell)とも呼ばれる。1つのセルには、1つのDownlink Component Carrierと1つのUplink Component Carrier が対応付けられてもよい。また、1つのセルに対応するシステム帯域幅は、複数の帯域幅部分(Bandwidth Part)に分割されてもよい。この場合、1又は複数のBandwidth PartがUEに設定され、1つのBandwidth PartがActive BWPとして、UEに使用されてもよい。また、セル毎、コンポーネントキャリア毎又はBWP毎に、端末装置50が使用できる無線資源(例えば、周波数帯域、ヌメロロジー(サブキャリアスペーシング)、スロットフォーマット(Slot configuration)が異なっていてもよい。
【0037】
図3の例では、基地局30、30は地上波ネットワークTN1を構成し、基地局30、30、30は地上波ネットワークTN2を構成する。地上波ネットワークTN1および地上波ネットワークTN2は、例えば、電話会社等の無線通信事業者(Mobile Network Operator:MNO)により運営される地上波ネットワークである。地上波ネットワークTN1および地上波ネットワークTN2は、異なる無線通信事業者(i.e., PLMNが異なるMNO)により運営されてもよいし、同じ無線通信事業者により運営されてもよい。地上波ネットワークTN1と地上波ネットワークTN2とを1つの地上波ネットワークとみなすことも可能である。
【0038】
地上波ネットワークTN1と地上波ネットワークTN2はそれぞれコアネットワークに接続される。図3の例では、地上波ネットワークTN2を構成する基地局30は、管理装置10等により構成されるコアネットワークCNに接続される。地上波ネットワークTN2の無線アクセス方式がLTEなのであれば、コアネットワークCNはEPCである。また、地上波ネットワークTN2の無線アクセス方式がNRなのであれば、コアネットワークCNは5GCである。勿論、コアネットワークCNは、EPCや5GCに限られず、他の無線アクセス方式のコアネットワークであってもよい。なお、図3の例では、地上波ネットワークTN1はコアネットワークに接続されていないが、地上波ネットワークTN1はコアネットワークCNに接続されてもよい。また、地上波ネットワークTN1は、コアネットワークCNとは異なる不図示のコアネットワークに接続されてもよい。
【0039】
コアネットワークCNはゲートウェイ装置や関門交換機等を備え、ゲートウェイ装置を介して公衆ネットワークPNに接続されている。公衆ネットワークPNは、例えば、インターネット、地域IP網、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、等の公衆データネットワークである。ゲートウェイ装置は、例えば、インターネットや地域IP網等に繋がるサーバ装置である。関門交換機は、例えば、電話会社の電話網に繋がる交換機である。管理装置10がゲートウェイ装置や関門交換機としての機能を有していてもよい。
【0040】
図3に示す基地局20および基地局40は、何れも、衛星局や航空機局等の非地上局装置である。非地上波ネットワークを構成する衛星局群(又は単一の衛星局)はスペースボーンプラットフォーム(Spaceborne Platform)と称される。また、非地上波ネットワークを構成する航空機局群(又は単一の航空機局)はエアボーンプラットフォーム(Airborne Platform)と称される。図3の例では、基地局20、基地局40、および基地局40がスペースボーンプラットフォームSBP1を構成し、基地局20がスペースボーンプラットフォームSBP2を構成する。また、基地局20がエアボーンプラットフォームABP1を構成する。
【0041】
端末装置50は、基地局30と基地局20の双方と通信可能である。図3の例では、端末装置50は、地上波ネットワークTN1を構成する基地局30と通信可能である。また、端末装置50は、スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する基地局20と通信可能である。また、端末装置50は、エアボーンプラットフォームABP1を構成する基地局20とも通信可能である。なお、端末装置50は、他の端末装置50(図3の例では端末装置50)と直接通信可能であってもよい。
【0042】
基地局20は、中継局60を介して地上波ネットワーク又はコアネットワークと接続する。スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する基地局20は、中継局60を介して地上波ネットワークTN1に接続する。また、スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2、およびエアボーンプラットフォームABP1を構成する基地局20は、中継局60を介してコアネットワークCNに接続する。なお、基地局20は中継局60を介さずに基地局20同士で直接通信することも可能である。
【0043】
中継局60は、例えば、航空局や地球局である。航空局は、航空機局と通信を行うために、地上又は地上を移動する移動体に設置された無線局である。また、地球局は、衛星局(宇宙局)と通信するために、地球(空中を含む。)に位置する無線局である。地球局は、大型地球局であってもよいし、VSAT(Very Small Aperture Terminal)等の小型地球局であってもよい。なお、地球局は、VSAT制御地球局(親局、HUB局ともいう。)であってもよいし、VSAT地球局(子局ともいう。)であってもよい。また、地球局は、地上を移動する移動体に設置される無線局であってもよい。例えば、船舶に搭載される地球局として、船上地球局(ESV:Earth Stations on board Vessels)が挙げられる。また、地球局には、航空機(ヘリコプターを含む。)に設置され、衛星局と通信する航空機地球局が含まれていてもよい。また、地球局には、地上を移動する移動体に設置され、衛星局を介して航空機地球局と通信する航空地球局が含まれていてもよい。なお、中継局60は、衛星局や航空機局と通信する携帯移動可能な無線局であってもよい。中継局60は通信システム1の一部とみなすことが可能である。
【0044】
スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する各装置は、端末装置50と衛星通信を行う。衛星通信とは、衛星局と端末装置50との無線通信のことである。図4は、通信システム1が提供する衛星通信の概要を示す図である。衛星局は、主に、静止衛星局と低軌道衛星局とに分けられる。
【0045】
静止衛星局は、高度およそ35786kmに位置し、地球の自転速度と同じ速度で地球を公転する。図4の例であれば、スペースボーンプラットフォームSBP2を構成する基地局20が静止衛星局である。静止衛星局は地上の端末装置50との相対速度がほぼ0であり、地上の端末装置50からは静止しているかのように観測される。基地局20は、地球上に位置する端末装置50、50、50等と衛星通信を行う。
【0046】
低軌道衛星局は、静止衛星局や中軌道衛星局に比べて低い高度で周回する衛星局である。低軌道衛星局は、例えば、高度500kmから2000kmの間に位置する衛星局である。図4の例であれば、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する基地局20、20が低軌道衛星局である。なお、図4には、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局として基地局20と基地局20の2つしか示されていない。しかしながら、実際には、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局は、2以上(例えば、数十から数千)の基地局20によって低軌道衛星コンステレーションが形成されている。低軌道衛星局は、静止衛星局とは異なり、地上の端末装置50との相対速度があり、地上の端末装置50からは移動しているかのように観測される。基地局20、20はそれぞれセルを構成し、地球上に位置する端末装置50、50、50等と衛星通信を行う。
【0047】
図5は、衛星局が構成するセルの一例を示す図である。図5には、低軌道衛星局である基地局20が形成するセルC2が示されている。低軌道を周回する衛星局は、地上に所定の指向性を持って地上の端末装置50と通信を行う。例えば、図5に示す角度R1は40°である。図5の場合、基地局20が形成するセルC2の半径D1は、例えば、1000kmである。低軌道衛星局は、一定の速度をもって移動する。低軌道衛星局が地上の端末装置50に衛星通信を提供することが困難になった場合には、後続の低軌道衛星局が衛星通信を提供する。図5の例の場合、基地局20が地上の端末装置50に衛星通信を提供することが困難になった場合は、後続の基地局20が衛星通信を提供する。なお、上記した角度R1および半径D1の値はあくまで一例であり上記に限られない。
【0048】
上述したように、端末装置50は非地上波ネットワークを使った無線通信が可能である。また、通信システム1の基地局20および基地局40は、非地上波ネットワークを構成する。これにより、通信システム1は、地上波ネットワークがカバーできないエリアに位置する端末装置50へサービスを拡張することが可能になる。例えば、通信システム1は、IoT(Internet of Things)デバイスやMTC(Machine Type Communications)デバイス等の端末装置50に対し、パブリックセーフティ通信やクリティカル通信を提供することが可能になる。また、非地上波ネットワークを使用することによりサービス信頼性や復帰性が向上するので、通信システム1は、物理攻撃又は自然災害に対するサービスの脆弱性を低減することが可能になる。また、通信システム1は、飛行機の乗客やドローンなど航空機端末装置へのサービス接続や船や電車などの移動体端末装置へのサービス接続を実現できる。その他、通信システム1は、A/Vコンテンツ、グループ通信、IoTブロードキャストサービス、ソフトウェアダウンロードサービス、緊急メッセージなどの高効率マルチキャストサービス、高効率ブロードキャストサービス等の提供を実現できる。さらに、通信システム1は、地上波ネットワークと非地上波ネットワーク間のトラフィックオフロードも実現できる。これらの実現のため、通信システム1が提供する非地上波ネットワークは、通信システム1が提供する地上波ネットワークと、上位層で運用統合がなされることが望ましいがこれには限られない。また、通信システム1が提供する非地上波ネットワークは、通信システム1が提供する地上波ネットワークと、無線アクセス方式が共通であることが望ましいがこれには限られない。
【0049】
次に、本実施形態に係る通信システム1を構成する各装置の構成を具体的に説明する。
【0050】
<2-2.管理装置の構成>
管理装置10は、無線ネットワークを管理する装置である。例えば、管理装置10は基地局20、および基地局30の通信を管理する装置である。コアネットワークがEPCなのであれば、管理装置10は、例えば、MME(Mobility Management Entity)としての機能を有する装置である。また、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)としての機能を有する装置である。なお、管理装置10はゲートウェイの機能を有していてもよい。例えば、コアネットワークがEPCなのであれば、管理装置10は、S-GW(Serving Gateway)やP-GW(Packet Data Network Gateway)としての機能を有していてもよい。また、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、UPF(User Plane Function)としての機能を有していてもよい。なお、管理装置10は必ずしもコアネットワークを構成する装置でなくてもよい。例えば、コアネットワークがW-CDMAやcdma2000のコアネットワークなのであれば、管理装置10はRNC(Radio Network Controller)として機能する装置であってもよい。
【0051】
図6は、本開示の実施形態に係る管理装置10の構成例を示す図である。管理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。なお、図6に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、管理装置10の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。例えば、管理装置10は、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0052】
通信部11は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。通信部11は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、通信部11は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部11は、管理装置10の通信手段として機能する。通信部11は、制御部13の制御に従って基地局30や中継局60と通信する。
【0053】
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部12は、管理装置10の記憶手段として機能する。記憶部12は、例えば、端末装置50の接続状態を記憶する。例えば、記憶部12は、端末装置50のRRC(Radio Resource Control)の状態やECM(EPS Connection Management)の状態を記憶する。記憶部12は、端末装置50の位置情報を記憶するホームメモリとして機能してもよい。
【0054】
制御部13は、管理装置10の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部13は、管理装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、およびFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0055】
<2-3.基地局の構成>
次に、基地局の構成を説明する。通信システム1は、基地局として、基地局20と、基地局30と、基地局40と、を備える。基地局20~40は何れも移動可能であってもよい。以下、基地局の構成として基地局20の構成を説明する。なお、基地局30、基地局40の構成は、以下に示す基地局20の構成と同じであってもよい。
【0056】
図7は、本開示の実施形態に係る基地局20の構成例を示す図である。基地局20は、無線通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。なお、図7に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、基地局20の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0057】
無線通信部21は、他の無線端末装置(例えば、端末装置50や中継局60)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部21は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部21は、NRおよびLTEの双方に対応する。無線通信部21は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma2000に対応していてもよい。無線通信部21は、受信処理部211、送信処理部212、アンテナ213を備える。無線通信部21は、受信処理部211、送信処理部212、およびアンテナ213をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部21が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部21の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部211および送信処理部212は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。
【0058】
受信処理部211は、アンテナ213を介して受信された上りリンク信号の処理を行う。受信処理部211は、無線受信部211aと、多重分離部211bと、復調部211cと、復号部211dと、を備える。
【0059】
無線受信部211aは、上りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。多重分離部211bは、無線受信部211aから出力された信号から、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上りリンクチャネルおよび上りリンク参照信号を分離する。復調部211cは、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase shift Keying)等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復調部211cが使用する変調方式は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、又は256QAM等であってもよい。復号部211dは、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータおよび上りリンク制御情報は制御部23へ出力される。
【0060】
送信処理部212は、下りリンク制御情報および下りリンクデータの送信処理を行う。送信処理部212は、符号化部212aと、変調部212bと、多重部212cと、無線送信部212dと、を備える。
【0061】
符号化部212aは、制御部23から入力された下りリンク制御情報および下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部212bは、符号化部212aから出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。多重部212cは、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。無線送信部212dは、多重部212cからの信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、無線送信部212dは、高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部212で生成された信号は、アンテナ213から送信される。
【0062】
記憶部22は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部22は、基地局20の記憶手段として機能する。記憶部22は、切替情報を記憶する。切替情報は、端末装置50が基地局の切り替えに使用する情報である。切替情報には、例えば、リソース情報、トリガ情報、タイミングアドバンス情報等の情報が含まれる。
【0063】
リソース情報は、接続中の端末装置50が、移動可能に構成された切替先候補の基地局と無線通信するために用いる無線リソースに関する情報である。また、トリガ情報は、端末装置50が接続先の基地局を切り替えるか否かを判定するために用いる情報である。また、タイミングアドバンス情報は、端末装置50が切替先候補の基地局へ接続するためのタイミングアドバンスに関する情報である。リソース情報、トリガ情報、およびタイミングアドバンス情報については後に詳述する。
【0064】
制御部23は、基地局20の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部23は、基地局20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、およびFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0065】
なお、基地局20は、図8及び図9に示すように構成することも可能である。図8は、図1に示す基地局20Sの構成例であり、図9は、図1に示す基地局20Tの構成例である。基地局20Sも基地局20Tも基地局20の一例である。
【0066】
図8に示す基地局20Sは、無線通信部21Sと、記憶部22Sと、制御部23Sと、を有する。
【0067】
無線通信部21Sは、端末装置50が図1に示すセルC1に属する場合に、端末装置50から繰り返し送信される同一のデータが含まれる信号を受信し、受信した信号に所定の無線受信処理を施し、無線受信処理後のシンボルを制御部23Sへ出力する。制御部23Sは、無線受信処理後のシンボルを同一データ間で合成し、合成後のシンボルを復調及び復号することにより受信データを得る。
【0068】
また、制御部23Sは、継続情報を生成し、生成した継続情報を符号化及び変調し、変調後のシンボルを無線通信部21Sへ出力する。無線通信部21Sは、変調後のシンボルに所定の無線送信処理を施し、無線送信処理後の信号を端末装置50へ送信する。
【0069】
図9に示す基地局20Tは、無線通信部21Tと、記憶部22Tと、制御部23Tと、とを有する。
【0070】
無線通信部21Tは、端末装置50が図1に示すセルC2に属する場合に、端末装置50から繰り返し送信される同一のデータが含まれる信号を受信し、受信した信号に所定の無線受信処理を施し、無線受信処理後のシンボルを制御部23Tへ出力する。制御部23Tは、無線受信処理後のシンボルを同一データ間で合成し、合成後のシンボルを復調及び復号することにより受信データを得る。
【0071】
また、制御部23Tは、継続情報を生成し、生成した継続情報を符号化及び変調し、変調後のシンボルを無線通信部21Tへ出力する。無線通信部21Tは、変調後のシンボルに所定の無線送信処理を施し、無線送信処理後の信号を端末装置50へ送信する。
【0072】
<2-4.端末装置の構成>
次に、端末装置50の構成を説明する。図10は、本開示の実施形態に係る端末装置50の構成例を示す図である。端末装置50は、無線通信部51と、記憶部52と、ネットワーク通信部53と、入出力部54と、制御部55と、を備える。なお、図10に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、端末装置50の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。また、図10に示した構成は例示であり、無線通信部51と、記憶部52と、ネットワーク通信部53と、入出力部54と、制御部55とは全てが必須の構成要素ではない。例えば、本開示の実施形態の観点から、少なくともネットワーク通信部53と、入出力部54は必須野構成要素ではなくてもよい。
【0073】
無線通信部51は、他の無線通信装置(例えば、基地局20、30、40)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部51は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部51は、NRおよびLTEの双方に対応する。無線通信部51は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma2000に対応していてもよい。無線通信部51は、受信処理部511、送信処理部512、アンテナ513を備える。無線通信部51は、受信処理部511、送信処理部512、およびアンテナ513をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部51が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部51の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部511および送信処理部512は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。
【0074】
無線通信部51は、ハンドオーバ前の繰り返し送信とハンドオーバ後の繰り返し送信との継続(つまり、ハンドオーバ前後における繰り返し送信の継続)に関する情報(以下では「継続情報」と呼ぶことがある)が含まれる信号を基地局20から受信する。無線通信部51は、受信した信号に所定の無線受信処理を施し、無線受信処理後のシンボルを制御部55へ出力する。制御部55は、無線受信処理後のシンボルを復調及び復号することにより継続情報を取得してもよい。
【0075】
受信処理部511は、アンテナ513を介して受信された下りリンク信号の処理を行う。受信処理部511は、無線受信部511aと、多重分離部511bと、復調部511cと、復号部511dと、を備える。
【0076】
無線受信部511aは、下りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。多重分離部511bは、無線受信部511aから出力された信号から、下りリンクチャネル、下りリンク同期信号、および下りリンク参照信号を分離する。下りリンクチャネルは、例えば、PBCH(Physical Broadcast Channel)、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)等のチャネルである。復調部211cは、下りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復号部511dは、復調された下りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された下りリンクデータおよび下りリンク制御情報は制御部23へ出力される。
【0077】
送信処理部512は、上りリンク制御情報および上りリンクデータの送信処理を行う。送信処理部512は、符号化部512aと、変調部512bと、多重部512cと、無線送信部512dと、を備える。
【0078】
符号化部512aは、制御部55から入力された上りリンク制御情報および上りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部512bは、符号化部512aから出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。多重部512cは、各チャネルの変調シンボルと上りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。無線送信部512dは、多重部512cからの信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、無線送信部512dは、逆高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部512で生成された信号は、アンテナ513から送信される。
【0079】
記憶部52は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部52は、端末装置50の記憶手段として機能する。記憶部52は、切替情報を記憶する。切替情報は、基地局20、30、又は40から取得する情報であり、端末装置50が基地局の切り替えに使用する。切替情報には、例えば、リソース情報、トリガ情報、タイミングアドバンス情報等の情報が含まれる。リソース情報、トリガ情報、およびタイミングアドバンス情報については後に詳述する。
【0080】
ネットワーク通信部53は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部53は、NIC等のLANインタフェースである。ネットワーク通信部53は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部53は、端末装置50のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部53は、制御部55の制御に従って、他の装置と通信する。
【0081】
入出力部54は、ユーザと情報をやりとりするためのユーザインタフェースである。例えば、入出力部54は、キーボード、マウス、操作キー、タッチパネル等、ユーザが各種操作を行うための操作装置である。又は、入出力部54は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等の表示装置である。入出力部54は、スピーカー、ブザー等の音響装置であってもよい。また、入出力部54は、LED(Light Emitting Diode)ランプ等の点灯装置であってもよい。入出力部54は、端末装置50の入出力手段(入力手段、出力手段、操作手段又は通知手段)として機能する。
【0082】
制御部55は、端末装置50の各部を制御するコントローラである。制御部55は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部55は、端末装置50内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部55は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、およびFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0083】
なお、制御部55は、基地局20へ送信するデータ(以下では「送信データ」と呼ぶことがある。)が発生すると、送信データを繰り返し送信するために、送信データを記憶部52に一時的に記憶させてもよい。制御部55は、記憶部52から同一の送信データを繰り返し読み出し、読み出した送信データを符号化及び変調し、変調後のシンボルを無線通信部51へ出力してもよい。無線通信部51は、変調後のシンボルに所定の無線送信処理を施し、無線送信処理後の信号を基地局20へ送信してもよい。
【0084】
<3.通信システムにおける処理>
以下、通信システムにおける処理の一例として、処理例1~8について説明する。以下では、基地局20Sがハンドオーバ元の無線通信基地局であり、基地局20Tがハンドオーバ先の無線通信基地局である場合を一例に挙げて説明する。
【0085】
<処理例1>
処理例1では、ハンドオーバ元の基地局20Sの制御部23Sが、基地局20Tを含むハンドオーバ先の候補の基地局(以下では「候補基地局」と呼ぶことがある)に関する情報(以下では「候補情報」と呼ぶことがある)を動的または準静的にハンドオーバ前に端末装置50へ通知する。動的な通知にはDCIによる通知が含まれ、準静的な通知には、System informationやRRC signalingによる通知が含まれる。端末装置50の制御部55は、通知された候補情報に基づいて繰り返し送信を行う。複数の衛星基地局は予め定められた軌道上を一定の間隔を保って移動するため、候補情報を受信した端末装置50は、端末装置50が今後接続をする可能性のある衛星基地局を推測することが可能となる。
【0086】
なお、候補基地局が複数存在する場合は、制御部23Sは、複数の候補基地局に関する情報を候補情報として端末装置50へ通知しても良い。
【0087】
また、制御部23Sは、候補基地局が複数存在する場合は、接続順に関する情報を候補情報に含めても良い。
【0088】
また、制御部23Sは、候補基地局と、上りリンクにおける送信タイミングとの対応付けに関する情報を候補情報に含めても良い。例えば、制御部23Sは、端末装置50が5秒後にデータを送信する場合は、候補基地局のうち衛星基地局Aに端末装置50が接続され、端末装置50が10秒後にデータを送信する場合は、候補基地局のうち衛星基地局Bに端末装置50が接続されるという情報を候補情報に含めても良い。
【0089】
また、候補情報には、例えば、以下の情報1~13の少なくとも一つが含まれても良い。
情報1:候補基地局のPRACH送信リソース
情報2:候補基地局のPRACH送信Preambleシーケンス
情報3:候補基地局のセルID
情報4:候補基地局の上りリンク及び下りリンクのキャリア周波数
情報5:候補基地局の帯域幅
情報6:ハンドオーバ後の端末装置50の端末識別ID(C-RNTI)
情報7:ハンドオーバ後のRadio Resource Configuration
情報8:ハンドオーバに関する情報セットを更新する条件
情報9:ハンドオーバを実施するためのトリガ情報
情報10:候補基地局のタイミングアドバンス情報
情報11:候補基地局のSSB index
情報12:送信重みに関する情報
情報13:Random access procedureのスキップに関する情報
【0090】
<処理例2>
処理例2では、ハンドオーバ先の基地局20Tの制御部23Tが、ハンドオーバ前に基地局20Sへ送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後に基地局20Tへ送信するように端末装置50に要求する情報(以下では「同一データ要求情報」と呼ぶことがある)を継続情報としてハンドオーバ後に端末装置50へ通知する。端末装置50の制御部55は、ハンドオーバ後に通知された同一データ要求情報に基づいて、ハンドオーバ前に基地局20Sへ送信していたデータと同一のデータを、ハンドオーバ後に基地局20Tへ送信して繰り返し送信を継続する。
【0091】
制御部23Tは、RRC signalingやSystem information等で準静的に同一データ要求情報を端末装置50へ通知しても良い。また、制御部23Tは、端末装置50がハンドオーバ前に送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後に送信するか否かについての情報を準静的に端末装置50へ通知しても良い。
【0092】
また、制御部23Tは、同一データ要求情報として、HARQ process numberを端末装置50へ通知しても良い。HARQ process numberを通知された制御部55は、通知されたHARQ process numberでのみ、ハンドオーバ前に送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後に送信する。HARQ process number は、HARQ process IDまたはHARQ IDと呼ばれることもある。
【0093】
なお、制御部23Tは、ハンドオーバ前のHARQ process numberまたはハンドオーバ後のHARQ process numberの何れか一方だけを通知しても良いし、ハンドオーバ前のHARQ process number及びハンドオーバ後のHARQ process numberの双方を通知しても良い。制御部23Tは、ハンドオーバ前のHARQ process numberを、ハンドオーバ前に基地局20Sから受信する。
【0094】
また、制御部23Tは、DCIで同一データ要求情報を通知しても良い。制御部23TがDCIで同一データ要求情報を通知する場合、新たな通知用フィールドがDCIに設けられても良い。例えば、制御部23Tは、1ビットの通知用フィールドを使用して、ハンドオーバ前に端末装置50が送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後に端末装置50が送信するか否かを端末装置50へ通知する。例えば、通知用フィールドで“1”が通知された場合は、端末装置50は、ハンドオーバ前と同一のデータをハンドオーバ後に送信するように要求され、通知用フィールドで“0”が通知された場合は、端末装置50は、ハンドオーバ前と異なる新たなデータをハンドオーバ後に送信するように要求される。ハンドオーバ前と同一のデータをハンドオーバ後に送信するように要求された端末装置50の制御部55は、例えば、制御部23Tから別のフィールドで通知されたHARQ process numberを参照し、通知をされたHARQ process numberを用いて、ハンドオーバ前のHARQ process numberのデータと同一のデータをハンドオーバ後に送信する。
【0095】
また例えば、制御部23Tは、複数ビットを使用して、ハンドオーバ前のどのHARQ process number を継続するか通知しても良い。例えば、制御部55は、HARQ process number として“0001”が通知された場合、ハンドオーバ前のHARQ process number “0001”を継続して用いて繰り返し送信を継続する。
【0096】
また、ハンドオーバ後に用いられるHARQ process number は、ハンドオーバ前に用いられていたHARQ process numberと異なっていても良い。例えば、ハンドオーバ前に用いられていたHARQ process numberが“0001”の場合に、ハンドオーバ後には、“0010”のHARQ process numberで繰り返し送信が継続されても良い。
【0097】
また、DCIの複数ビットのうち1ビットが、ハンドオーバ前の送信データと同一のデータの送信を継続するか否かのフラグとして使用されても良い。
【0098】
また、制御部23Tは、NDI(New data indicator ) で同一データ要求情報を通知しても良い。例えば、制御部55は、ハンドオーバ後に同一データの送信を継続すると通知され、ハンドオーバ前後のHARQ process numberが同一で、かつ、NDIが再送を表している場合は、ハンドオーバ前に繰り返し送信していたデータと同一のデータでハンドオーバ後の繰り返し送信を継続する。
【0099】
また、制御部55は、ハンドオーバ前に繰り返し送信に用いていたHARQ process numberと、ハンドオーバ後に制御部23Tから通知されたHARQ process numberとが同一の場合に、ハンドオーバ前と同一のデータをハンドオーバ後に繰り返し送信しても良い。DCIでは、HARQ process numberの領域で、どのHARQ processのデータが送信されているかが通知される。また例えば、制御部55は、RRC signaling等でハンドオーバ前に送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後に継続して送信することが通知され、かつ、通知されたHARQ process numberでハンドオーバ前に送信していたデータの送信が完了していない場合、ハンドオーバ後に同一のデータの繰り返し送信を継続する。
【0100】
<処理例3>
処理例3では、ハンドオーバ元の基地局20Sの制御部23Sが、同一データ要求情報を継続情報としてハンドオーバ前に端末装置50へ通知する。端末装置50の制御部55は、ハンドオーバ前に通知された同一データ要求情報に基づいて、ハンドオーバ前に基地局20Sへ送信していたデータと同一のデータを、ハンドオーバ後に基地局20Tへ送信して繰り返し送信を継続する。このように、ハンドオーバ前に事前に端末装置50へ同一データ要求情報が通知されることにより、制御部55は、ハンドオーバが発生しても、記憶部52に一時的に記憶された送信データを記憶部52から消去しない。このため、制御部55は、ハンドオーバ前の同一のデータをハンドオーバ後に繰り返し送信するにあたり、同一のデータを改めて生成することなく、繰り返し送信を継続することができる。よって、端末装置50の処理負荷を軽減することができる。
【0101】
制御部23Sは、RRC signalingやSystem information等で準静的に同一データ要求情報を端末装置50へ通知しても良い。また、制御部23Sは、端末装置50が基地局20Sに対して送信中のデータの送信が完了しておらず、かつ、ハンドオーバが発生する場合に、端末装置50がハンドオーバ前に送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後に送信するか否かについての情報を準静的に端末装置50へ通知しても良い。
【0102】
また、制御部23Sは、同一データ要求情報として、HARQ process numberを端末装置50へ通知しても良い。HARQ process numberを通知された制御部55は、基地局20Sに対して送信中のデータの送信が完了しておらず、かつ、ハンドオーバが発生する場合に、通知されたHARQ process numberでのみ、ハンドオーバ前に送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後に送信する。
【0103】
また、制御部23Sは、DCIで同一データ要求情報を通知しても良い。制御部23SがDCIで同一データ要求情報を通知する場合、新たな通知用フィールドがDCIに設けられても良い。例えば、制御部23Sは、端末装置50が基地局20Sに対して送信中のデータの送信が完了しておらず、かつ、ハンドオーバが発生する場合に、1ビットの通知用フィールドを使用して、ハンドオーバ前に端末装置50が送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後に端末装置50が送信するか否かを端末装置50へ通知する。例えば、通知用フィールドで“1”が通知された場合は、端末装置50は、ハンドオーバ前と同一のデータをハンドオーバ後に送信するように要求され、通知用フィールドで“0”が通知された場合は、端末装置50は、ハンドオーバ前と異なる新たなデータをハンドオーバ後に送信するように要求される。ハンドオーバ前と同一のデータをハンドオーバ後に送信するように要求された端末装置50の制御部55は、例えば、制御部23Sから別のフィールドで通知されたHARQ process numberを参照し、通知をされたHARQ process numberを用いて、ハンドオーバ前のHARQ process numberのデータと同一のデータをハンドオーバ後に送信する。
【0104】
また、制御部23Sは、MAC CE(Control element)で同一データ要求情報を通知しても良い。
【0105】
<処理例4>
処理例4では、端末装置50の制御部55が、繰り返し送信のデータをConfigured grantに基づいて送信する。制御部55は、Configured grantでの繰り返し送信の最中にハンドオーバが発生した場合は、ハンドオーバ後も、ハンドオーバ前と同一のデータの送信を繰り返す。また、制御部55は、ハンドオーバ前の繰り返し送信の既送信回数をハンドオーバ後に引き継ぐ。
【0106】
また、基地局20Sの制御部23Sは、ハンドオーバ後のConfigured grant configurationをハンドオーバ前に事前に端末装置50へ通知する。このように、ハンドオーバ後のConfigured grant configurationをハンドオーバ前に制御部23Sから端末装置50へ事前に通知しておくことで、ハンドオーバ後に制御部23TからのConfigured grant configurationの端末装置50への通知が不要となるため、端末装置50は、ハンドオーバ後にすぐにデータ送信を継続することが可能となる。ハンドオーバ前に端末装置50へ通知されるConfigured grant configurationには、ハンドオーバ先のセルであるセルC2のセルID情報、及び、セルC2のSynchronization Signal Block(SSB)index情報が含まれる。
【0107】
<処理例5>
端末装置50と基地局20との間の距離は、基地局20の移動に伴って変化することなく、ほぼ一定であるか、または、予測可能であるため、上りリンクの同期をとるために行われるRandom access procedureはハンドオーバ後には省略(スキップ)可能である。そこで、処理例5では、端末装置50の制御部55は、ハンドオーバ元の基地局20SとはRandom access procedureを行う一方で、ハンドオーバ先の基地局20TとはRandom access procedureを行わない。つまり、制御部55は、ハンドオーバ後は、Random access procedureを行うことなく、基地局20Tへのデータ送信を開始する。また、制御部55は、Random access procedureを行うことなく基地局20Tへのデータ送信を開始する場合、Timing advanceについては、ハンドオーバ前に基地局20Sとの通信に使用していた値をハンドオーバ後にも継続して使用するか、または、事前に通知された情報に基づいて取得される値を使用すると良い。また、制御部55は、ハンドオーバ前の送信電力値をハンドオーバ後に引き継いでハンドオーバ後の送信電力制御を行う。
【0108】
<処理例6>
ハンドオーバ元の基地局20Sの制御部23Sは、例えば、候補基地局の登録の要求(以下では「候補登録要求」と呼ぶことがある)、ハンドオーバ実行の要求(以下では「ハンドオーバ要求」と呼ぶことがある)、ハンドオーバ前の合成済データ等を、ハンドオーバ前に事前にハンドオーバ先の基地局20Tへ送信する。また、制御部23Sは、ハンドオーバ後に端末装置50がハンドオーバ前と同一のデータを継続して基地局20Tへ送信することができるように、HARQ process number、ハンドオーバ前での同一データの既送信回数、C-RNTI等の端末識別ID、Scrambling シーケンスの生成で必要となる設定値(例えば、data Scrambling Identity PUSCH や data Scrambling Identity PDSCH等)、Physical layer cell identity等を、ハンドオーバ前に事前にハンドオーバ先の基地局20Tへ通知しても良い。
【0109】
一方で、ハンドオーバ先の基地局20Tの制御部23Tは、例えば、候補登録要求に対するACKまたはNACK、ハンドオーバ要求に対するACKまたはNACKを基地局20Sへ送信する。
【0110】
<処理例7>
処理例7では、繰り返し送信における同一データの送信回数が、端末装置50のアンテナゲイン、基地局20のアンテナゲイン、端末装置50と基地局20との間の距離、端末装置50の周辺の干渉量、基地局20の周辺の干渉量等に基づいて、端末装置50または基地局20によって決定される。例えば、制御部23T,23Sは、端末装置50から通知された端末装置50のCapability情報や、端末装置50の位置情報等に基づいて、繰り返し送信における同一データの送信回数を決定し、決定した送信回数を端末装置50へ通知しても良い。また、制御部23Tは、ハンドオーバ後に継続された繰り返し送信において合成済データの復号に成功した時点で制御部55に繰り返し送信を中止させても良い。制御部23Tは、端末装置50へACKを送信したり、次の送信データのGrantを送信することにより、合成済データの復号に成功したことを端末装置50へ通知すると良い。
【0111】
<処理例8>
端末装置50でのデータ送信、及び、基地局20でのデータ受信では、端末装置50に与えられる端末識別ID(例えば、C-RNTI等)を使用してスクランブルやデスクランブルの処理が行われる。ハンドオーバ前とハンドオーバ後との間において、端末装置50に与えられる端末識別IDが異なると、ハンドオーバ前の合成済データに、ハンドオーバ後のデータを合成することが困難になる。そこで、処理例8では、基地局20Sの制御部23Sは、ハンドオーバ前の繰り返し送信において端末装置50に与えられていた端末識別IDを基地局20Tへ通知する。そして、基地局20Tの制御部23Tは、基地局20Sから通知された端末識別ID、つまり、ハンドオーバ前に使用されていた端末識別IDと同一の端末識別IDを用いて、ハンドオーバ後の繰り返し送信におけるデータ合成を行う。一方で、端末装置50の制御部55は、ハンドオーバ前とハンドオーバ後との双方で同一の端末識別IDを用いて、繰り返し送信のデータをスクランブルする。また、制御部55は、繰り返し送信でハンドオーバ前に送信していたデータの送信がハンドオーバ後に完了した場合、新たなデータの送信には、ハンドオーバ後に与えられる新たな端末識別IDを使用する。
【0112】
なお、端末装置50でのデータ送信、及び、基地局20でのデータ受信には、端末識別IDの他に、data Scrambling Identity PUSCHやdata Scrambling Identity PDSCH等の設定値、及び/または、Physical layer cell identity等のパラメータが使用されることもある。よって、端末識別IDの上記のような使用方法と同様にして、これらのパラメータが使用されても良い。また、端末識別IDやこれらのパラメータ以外にも、データの送受信に必要となるパラメータを、端末識別IDの上記のような使用方法と同様にして使用しても良い。また、データの送受信に必要となる処理は、スクランブルやデスクランブルに限定されない。
【0113】
例えば、同一軌道上の複数の衛星基地局を複数のグループに分け、同一のグループ内では同一の専用の端末識別IDを使用することで、ハンドオーバ時の端末装置50及び基地局20の処理負荷を軽減することができる。
【0114】
以上、処理例1~8について説明した。
【0115】
<4.通信システムにおける処理手順>
図11及び図12は、本開示の実施形態に係る通信システムにおける処理手順の一例を示す図である。以下、通信システムにおける処理手順の一例として、手順例1及び手順例2について説明する。
【0116】
<手順例1(図11)>
図11において、ステップS101では、基地局20Sの制御部23Sが、端末装置50との下りリンクの同期を確立した後、セルC1のセルIDを端末装置50へ送信し、端末装置50の制御部55が、セルC1のセルIDを受信する。
【0117】
次いで、ステップS103では、制御部23Sと制御部55との間でRandom access procedureが行われる。
【0118】
次いで、ステップS105では、制御部23Sが、候補登録要求を基地局20Tへ送信し、基地局20Tの制御部23Tが、候補登録要求を受信する。
【0119】
次いで、ステップS107では、制御部23Tが、ステップS105で受信した候補登録要求に対するACKを基地局20Sへ送信し、制御部23SがACKを受信する。
【0120】
次いで、ステップS109では、ステップS107でACKを受信した制御部23Sが、候補情報を端末装置50へ送信し、制御部55が候補情報を受信する。
【0121】
次いで、ステップS111では、制御部55において送信データAが発生したものとする。そこで、ステップS113では、制御部55は、スケジューリング要求を基地局20Sへ送信し、制御部23Sがスケジューリング要求を受信する。
【0122】
次いで、ステップS115では、ステップS113でスケジューリング要求を受信した制御部23Sが、Uplink Grantを端末装置50へ送信し、制御部55がUplink Grantを受信する。
【0123】
次いで、ステップS117~S121では、制御部55が、ステップS115で受信したUplink Grantに基づいて、基地局20Sに対して同一のデータAを繰り返し送信し、制御部23Sが、データAを繰り返し受信する。ここでは、制御部55が行う繰り返し送信における最大送信回数がM回に予め定められており、制御部55がステップS117~S121においてM回中の1回目~N回目の送信を完了したときに、制御部23Sでは、N個のデータAが合成されている。
【0124】
次いで、ステップS123では、制御部23Sがハンドオーバが必要と判定したものとする。
【0125】
次いで、ステップS125では、ステップS123でハンドオーバが必要と判定した制御部23Sが、ハンドオーバ要求を基地局20Tへ送信し、制御部23Tがハンドオーバ要求を受信する。
【0126】
次いで、ステップS127では、ステップS125でハンドオーバ要求を受信した制御部23Tが、ハンドオーバ要求に対するACKを基地局20Sへ送信し、制御部23SがACKを受信する。
【0127】
次いで、ステップS129では、ステップS127でACKを受信した制御部23Sが、N個のデータAが合成されている合成済データを基地局20Tへ送信し、制御部23Tが合成済データを受信する。
【0128】
次いで、ステップS131では、ステップS129で合成済データを受信した制御部23Tが、合成済データに対するACKを基地局20Sへ送信し、制御部23SがACKを受信する。
【0129】
次いで、ステップS133では、ステップS131でACKを受信した制御部23Sが、基地局20Tへのハンドオーバ指示と継続情報とを端末装置50へ送信し、制御部55がハンドオーバ指示及び継続情報を受信する。制御部55は、ステップS133で受信したハンドオーバ指示に従って、端末装置50の接続先を基地局20Sから基地局20Tへ切り替える。
【0130】
次いで、ステップS135では、基地局20Tの制御部23Tが、端末装置50との下りリンクの同期を確立した後、セルC2のセルIDを端末装置50へ送信し、制御部55が、セルC2のセルIDを受信する。
【0131】
次いで、ステップS137では、制御部55は、スケジューリング要求を基地局20Tへ送信し、制御部23Tがスケジューリング要求を受信する。
【0132】
ここで、ステップS135とステップS137との間において、制御部23Tと制御部55との間でのRandom access procedureは行われない。つまり、制御部55は、ハンドオーバ元の基地局20SとはRandom access procedureを実行する一方で(ステップS103)、ハンドオーバ先の基地局20TとはRandom access procedureを実行しない。
【0133】
次いで、ステップS139では、ステップS137でスケジューリング要求を受信した制御部23Tが、Uplink Grantを端末装置50へ送信し、制御部55がUplink Grantを受信する。
【0134】
次いで、ステップS141~S145では、制御部55が、ステップS133で受信した継続情報、及び、ステップS139で受信したUplink Grantに基づいて、基地局20Tに対して同一のデータAを繰り返し送信し、制御部23Tが、データAを繰り返し受信する。制御部55は、ステップS117~S121においてM回中のN回目までデータAの送信が完了しているため、ステップS141~S145では、N+1回目~M回目のデータAを基地局20Tへ送信する。よって、制御部55がステップS141~S145においてM回中のN+1回目~M回目の送信を完了したときに、制御部23Tでは、M個のデータAが合成される。
【0135】
<手順例2(図12)>
以下では、手順例1と相違する処理について説明し、手順例1と同一の処理についての説明は省略する。
【0136】
図12では、図11に比べ、ステップS201の処理が追加されている一方で、ステップS113、S115、S137、S139の処理が削除されている。
【0137】
ステップS201では、制御部23Sが、ステップS109での候補情報の送信に続けて、基地局20SのConfigured grant configuration、及び、基地局20TのConfigured grant configurationを端末装置50へ送信する。端末装置50の制御部55は、基地局20SのConfigured grant configuration、及び、基地局20TのConfigured grant configurationを受信する。
【0138】
そして、ステップS117~S121では、制御部55が、ステップS201で受信した基地局20SのConfigured grant configurationに基づいて、基地局20Sに対して同一のデータAを繰り返し送信する。
【0139】
また、ステップS141~S145では、制御部55が、ステップS201で受信した基地局20TのConfigured grant configuration、及び、ステップS133で受信した継続情報に基づいて、基地局20Tに対して同一のデータAを繰り返し送信する。
【0140】
以上、手順例1、2について説明した。
【0141】
なお、開示の技術は、低軌道の衛星基地局だけでなく、大気圏内または大気圏外を浮遊する様々な無線通信基地局に適用可能である。例えば、大気圏内を浮遊する無線通信基地局の一例として、飛行機、ドローン、気球等が挙げられる。また例えば、大気圏外を浮遊する無線通信基地局の一例として、低軌道(LEO:Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO:Medium Earth Orbiting)衛星、高楕円軌道(HEO:Highly Elliptical Orbiting)衛星等が挙げられる。
【0142】
また、開示の技術は、空中や宇宙に浮遊する無線通信基地局だけでなく、地上に設置された無線通信基地局(以下では「地上局」と呼ぶことがある)にも適用可能である。例えば、端末装置50が高速移動する場合には、複数の地上局間において頻繁にハンドオーバが発生する可能性がある。
【0143】
また、開示の技術は、セル間のハンドオーバが行われる場合だけでなく、ビームの変更、コンポーネントキャリアの変更、Band width part(BWP)の変更等が行われる場合にも適用可能である。
【0144】
<5.変形例>
また、基地局20Sでの上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを制御部23Sに実行させることによって実現してもよい。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムが記憶部22Sに記憶され、プログラムが制御部23Sによって記憶部22Sから読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介して基地局20Sに接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから基地局20Sにダウンロードされて実行されたり、基地局20Sが読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。
【0145】
また、基地局20Tでの上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを制御部23Tに実行させることによって実現してもよい。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムが記憶部22Tに記憶され、プログラムが制御部23Tによって記憶部22Tから読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介して基地局20Tに接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから基地局20Tにダウンロードされて実行されたり、基地局20Tが読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。
【0146】
端末装置50での上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを制御部55に実行させることによって実現してもよい。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムが記憶部52に記憶され、プログラムが制御部55によって記憶部52から読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介して端末装置50に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから端末装置50にダウンロードされて実行されたり、端末装置50が読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。
【0147】
端末装置50及び基地局20が読み取り可能な記録媒体には、例えば、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD、及び、Blu-ray(登録商標)ディスク等の可搬の記憶媒体が含まれる。また、プログラムは、任意の言語や任意の記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。また、プログラムは必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールや複数のライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものも含む。
【0148】
その他、本実施形態の管理装置10、基地局20~40、端末装置50を制御する情報処理装置(制御装置)は、専用のコンピュータシステム、又は汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
【0149】
例えば、上述の動作を実行するための通信プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって情報処理装置を構成する。このとき、情報処理装置は、管理装置10、基地局20~40、端末装置50の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、情報処理装置は、管理装置10、基地局20~40、端末装置50の内部の装置(例えば、制御部13、23、34、44、55内部のプロセッサ)であってもよい。
【0150】
また、上記通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0151】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0152】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0153】
また、上述の実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上述の実施形態のフローチャートに示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0154】
また、例えば、本実施形態は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0155】
なお、本実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0156】
また、例えば、本実施形態は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0157】
[開示の技術の効果]
以上のように、本開示に係る端末装置(実施形態における端末装置50)は、無線通信部(実施形態における無線通信部51)と、制御部(実施形態における制御部55)とを有する。無線通信モジュールは継続情報を受信し、制御部は、受信された継続情報に基づいて、ハンドオーバ後の繰り返し送信を行う。
【0158】
こうすることで、無線通信端末は、ハンドオーバ前に繰り返し送信していたデータと同一のデータをハンドオーバ後にハンドオーバ先の無線通信基地局(実施形態における基地局20T)へ繰り返し送信することができる。このため、ハンドオーバ先の無線通信基地局は、ハンドオーバ元の基地局(実施形態における基地局20S)で合成されたデータと同一のデータを継続して合成することができる。よって、開示の技術によれば、品質の高い無線通信を実現できる。
【0159】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があっても良い。
【0160】
また、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
所定のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う通信装置であって、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を受信する無線通信部と、
前記継続情報に基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う制御部と、
を具備する通信装置。
(2)
前記所定のデータは、誤り訂正符号化前のデータが同一のデータである、
前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記所定のデータは、誤り訂正符号化前のデータが同一のデータであり、かつRedundancy Versionが同一の値である、
前記(1)に記載の通信装置。
(4)
前記所定のデータは、誤り訂正符号化前のデータが同一のデータであり、かつRedundancy Versionが異なる値である、
前記(1)に記載の通信装置。
(5)
前記無線通信部は、ハンドオーバ前にハンドオーバ元の基地局装置へ送信していた前記所定のデータと同一のデータをハンドオーバ後にハンドオーバ先の無線通信基地局へ送信するように要求する要求情報を前記継続情報として受信する、
前記(1)~(4)のいずれか1項に記載の通信装置。
(6)
前記無線通信部は、ハンドオーバ元の基地局装置から送信される前記要求情報を受信する、
前記(5)に記載の通信装置。
(7)
前記無線通信部は、ハンドオーバ先の基地局装置から送信される前記要求情報を受信する、
前記(5)に記載の通信装置。
(8)
前記無線通信部は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置に関する候補情報をハンドオーバ元の基地局装置から受信し、
前記制御部は、前記候補情報に基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う、
前記(1)~(7)のいずれか1項に記載の通信装置。
(9)
前記無線通信部は、ハンドオーバ前にハンドオーバ元の基地局装置からハンドオーバ後のConfigured grant configurationを受信し、
前記制御部は、前記Configured grant configurationに基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う、
前記(1)~(8)のいずれか1項に記載の通信装置。
(10)
前記制御部は、ハンドオーバ元の基地局装置とはRandom access procedureを行う一方で、ハンドオーバ先の無線通信基地局とはRandom access procedureを行わない、
前記(1)~(9)のいずれか1項に記載の通信装置。
(11)
前記制御部は、ハンドオーバ前とハンドオーバ後との双方で同一の所定のIDを用いて、前記繰り返し送信のデータをスクランブルする、
前記(1)~(10)のいずれか1項に記載の通信装置。
(12)
前記所定のIDは、端末識別IDである、
前記(11)に記載の通信装置。
(13)
前記所定のIDは、ハンドオーバ後の基地局装置から付与される端末識別IDと異なる値である、
前記(11)に記載の通信装置。
(14)
前記所定のIDは、ハンドオーバ前の基地局装置から付与される第1の端末識別IDと、ハンドオーバ後の基地局装置から付与される第2の端末識別IDとは別の情報である、
前記(11)に記載の通信装置。
(15)
同一のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う端末装置と通信する基地局装置であって、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を生成するプロセッサと、
前記継続情報を前記端末装置へ送信する無線通信モジュールと、
を具備する基地局装置。
(16)
同一のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う通信装置におけるデータ送信方法であって、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を受信し、
前記継続情報に基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う、
通信方法。
(17)
同一のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う端末装置と通信する基地局装置における通信方法であって、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を生成し、
前記継続情報を前記端末装置へ送信する、
通信方法。
(18)
所定のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う通信装置が有するコンピュータに、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を受信し、
前記継続情報に基づいて、ハンドオーバ後の前記繰り返し送信を行う、
処理を実行させるためのプログラム。
(19)
同一のデータが繰り返し送信される繰り返し送信を行う端末装置と通信する基地局装置が有するコンピュータに、
ハンドオーバ前後における前記繰り返し送信の継続に関する情報である継続情報を生成し、
前記継続情報を前記無線通信端末へ送信する、
処理を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0161】
20、20S、20T 基地局
50 端末装置
21、21S、21T、51 無線通信部
22、22S、22T、52 記憶部
23、23S、23T、55 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12