(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】磁気共鳴システムの電源又は信号ラインにおけるエラーの位置特定
(51)【国際特許分類】
G01R 31/08 20200101AFI20240806BHJP
【FI】
G01R31/08
(21)【出願番号】P 2021563102
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2020061437
(87)【国際公開番号】W WO2020221663
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】フェルニッケル ペーター
(72)【発明者】
【氏名】リップス オリバー
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0104730(US,A1)
【文献】特開2018-187228(JP,A)
【文献】特開平10-201028(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012018018(DE,A1)
【文献】特開2009-039247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0057227(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106597218(CN,A)
【文献】特開2009-048383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/08
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源
ライン又は信号ラインを有する磁気共鳴システムであって、前記電源
ライン又は信号ラインは、いくつかの相互接続されるサブユニットを有し、
所定の基準インピーダンス値をもつ追加のインピーダンスが、
相互接続の各領域において、前記電源
ライン又は信号ラインにおけるエラーを位置決めするために
前記電源ライン又は信号ラインに結合される、磁気共鳴システム。
【請求項2】
前記サブユニットはコネクタを有し、前記
追加のインピーダンスは、前記コネクタに一体化される、請求項1に記載の磁気共鳴システム。
【請求項3】
前記
追加のインピーダンスは、キャパシタ、抵抗、インダクタ及び/又は共振回路として提供される、請求項1乃至2の何れか一項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項4】
前記相互接続の領域において、前記
追加のインピーダンスは、前記電源
ライン又は信号ラインに並列に接続される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項5】
前記相互接続の領域において、前記
追加のインピーダンスは、前記電源
ライン又は信号ラインに直列に接続される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項6】
前記相互接続の各領域において、少なくとも1つの前記
追加のインピーダンスが、前記電源
ライン又は信号ラインに結合される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項7】
前記磁気共鳴システムは、電源と、前記電源に一体化されるインピーダンス測定装置とを備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載の磁気共鳴システム。
【請求項8】
前記相互接続の領域において、前記追加のインピーダンスは、前記電源
ライン又は信号ラインに結合される高抵抗検出ワイヤとして、又は前記電源
ライン又は信号ラインに結合される高抵抗検出ワイヤのネットワークとして提供される、請求項1に記載の磁気共鳴システム。
【請求項9】
磁気共鳴システムの電源
ライン又は信号ラインにおけるエラーを位置決めする方法であって、前記電源
ライン又は信号ラインは、いくつかの相互接続されるサブユニットを有し、
所定の基準インピーダンス値をもつ追加のインピーダンスが
、相互接続の各領域において、前記電源ライン又は信号ラインにおけるエラーを位置決めするために前記電源
ライン又は信号ラインに結合され、前記
方法は、
a)インピーダンスを測定するステップと、
b)前記測定されるインピーダンスを前記基準インピーダンス値と比較することによって前記エラーの位置を決定するステップと
を有する、方法。
【請求項10】
前記方法は、相互接続の領域において、前記電源
ライン又は信号ラインに前記
追加のインピーダンスを結合するステップをさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記インピーダンスを測定するステップは、前記電源
ライン又は信号ラインのインピーダンスを測定するステップを有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記インピーダンスを測定するステップは、高抵抗検出ワイヤと前記電源
ライン又は信号ラインとの間のインピーダンスを測定するステップを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気共鳴(MR)の分野に関し、特に、磁気共鳴システムの電源又は信号線におけるエラーの位置を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
EP 1 126 283 A1 は、光ファイバーケーブルを含むケーブルのケーブル断線の位置を特定する方法を記述している。ケーブルの導電性シールド又は外装は、通常はスプライスでセクションに分割されている。ステップ関数電圧が、導電性シールドの一端に印加される。各セクションの終端にあるリモートセンサーは、電圧と電流を時間の関数として、また定常状態で監視する。測定データは電流パルスとして符号化され、アーマに沿ってケーブルの端部に伝送される。ケーブル端のコンピュータは測定される電圧と電流から、シールドの各部分の静電容量を計算する。断面の静電容量の計算値と元の値を比較することにより、破断面を同定し、破断面の静電容量の計算値と元の値から、破断面に沿った距離を計算した。
【0003】
従来のMRコイルは信号増幅、コイル離調、A/D変換、信号処理、及びデジタル伝送などのMR特有の機能を提供するために、コイル内部の電子デバイスを使用する複雑な装置である。これらの特徴をサポートするために、所望の電圧及び/又は電力を供給するために、1つ又は複数の電源、すなわち、電源線又は信号ラインをコイルに接続する必要がある。電源又は信号ラインは、典型的には電源、患者テーブルのコイルコネクタ(ジャック)へのケーブル、場合によってはプラグを有するコイルケーブル、及びコイル内部の電子デバイスなどのいくつかのサブユニットからなる。
【0004】
病院におけるMRシステムのための厳しい環境のために、これらの電源ラインはエラーを起こしやすい。コイルの問題が発生した場合、それぞれの電源ラインの故障したサブユニットを配置し、サービス要員によって交換する必要がある。しかしながら、エラーが受動部品、すなわち、含まれるケーブル及びコネクタ内にある場合、エラーを位置決めする信頼できる方法はない。特に、部品交換に重要な2つのサブユニットの相互接続の直前又は直後に割り当てられたエラーを識別するために、これらの方法は十分に正確ではない。したがって、エラーが持続するかどうかを見るために、一方又は他方のサブユニットを交換することによって、煩わしい追加のテストを実行しなければならない。いくつかの相互接続されるサブユニットを含む信号ラインについても同様の問題が起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、簡略化される保守性のために、電源又は信号ラインに沿ってエラーを位置決めするための手段を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、独立請求項の主題によって対処される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
したがって、本発明によれば、電源又は信号ラインを備える磁気共鳴システムが提供され、電源又は信号ラインはいくつかの相互接続されるサブユニットからなり、相互接続の領域において、更なるインピーダンスが、電源又は信号ラインに結合される。好ましくは、電源又は信号ラインが1つ又は複数のMRコイルに電圧及び/又は電力を供給するための線、又は信号を伝達するための信号線である。
【0008】
さらに、本発明はまた、磁気共鳴システムのそのような電源又は信号ラインにおけるエラーを位置決めする方法に関し、電源又は信号ラインはいくつかの相互接続されるサブユニットからなり、相互接続の領域において、更なるインピーダンスが電源又は信号ラインに結合され、更なるインピーダンスは、
【0009】
a)インピーダンスを測定するステップと、
【0010】
b)測定されるインピーダンスを基準インピーダンス値と比較することによってエラーの位置を決定するステップとを含む。
【0011】
本発明の基本的な考え方は電源又は信号ライン内のエラーを位置決めするために、相互接続領域内の電源又は信号ラインに結合される更なるインピーダンスを使用することである。用語「更なるインピーダンス」は、更なるインピーダンスがMRシステムの動作能力のために、又は電源又は信号線自体の動作能力のために必要とされないことを示す。MRシステムの動作能力のために、又は電源又は信号ラインの動作能力のために必要とされるインピーダンスはMRシステムの動作のために、又は電源又は信号ラインの動作のために、専用の機能を実行する。好ましくは、更なるインピーダンスの専用の機能が電源又は信号ラインにおけるエラーの位置を特定するためのインピーダンスの定義される値を付加することである。従って、更なるインピーダンスは、所望の図形に予め設定され得る定義される基準値を提供する。好ましくは、更なるインピーダンスが電源機能、及び/又はMRシステム機能を妨害しないために選択される規定値を有する。
【0012】
サブユニットは、電源又は信号ラインに沿って互いに相互接続される。相互接続領域は例えば、2つのサブユニットが互いに相互接続される領域と、電源又は信号ラインの端部がMRシステムの他の部分、例えば、部分に接続される領域とを含む。
【0013】
電源又は信号線におけるエラーは例えば、ケーブル断線のような開回路故障であってもよく、又は、短絡回路であってもよい。もちろん、このエラーは、サブユニットのいずれにおいても起こり得る。更なるインピーダンスの結合は、どのサブユニットにおいてエラーが発生したかを決定することを可能にする。エラーの位置を決定することは、インピーダンスを測定することによって達成され得る。インピーダンスを測定し、測定されるインピーダンスを更なるインピーダンスの基準値と比較することによって、エラーが位置するサブユニットを決定することが可能である。更なるインピーダンスは、相互接続部の領域において電源又は信号ラインに結合されるので、2つの隣接するサブユニットに割り当てられたエラーを確実に区別することが可能である。
【0014】
MRシステムの電源又は信号線は電源に接続可能であってもよく、又は電源は電源又は信号線のサブユニットであってもよい。さらに、電源又は信号ラインは、電源線又は信号伝送線又は両者の組合せとすることができる。MRシステムにおけるサブユニットの例は例えば、ケーブル、コイルコネクタ、プラグを有するコイルケーブル、又はコイル電子回路もしくはコイル電子回路の一部である。好ましくは、電源又は信号ラインのサブユニットが独立して交換可能であるように構成される。
【0015】
インピーダンスを測定するための装置が、MRシステムに組み込まれてもよい。あるいは、インピーダンスを測定するための装置が携帯型であってもよく、したがって、必ずしもMRシステムに組み込まれていなくてもよい。インピーダンスを測定するためのポータブル装置は例えば、技術者によって、又はサービス要員によって、電源又は信号ラインにおけるエラーの位置を位置決めするために使用することができる。インピーダンスを測定することによって、更なるインピーダンスの基準値と比較したインピーダンスの変化は、電源又は信号ラインにおけるエラーの位置を表す。したがって、エラーが持続するかどうかをチェックするために、一方又は他方のサブユニットを交換することによって煩わしい追加のテストを実行する必要がない。従って、インピーダンス測定によってエラーを確実に位置決めすることが可能であり、サービス性が高度に単純化される。エラーの位置を位置決めするために相互接続領域に更なるインピーダンスを使用するという基本的な考え方は、受動部品、例えばケーブル及びコネクタを介して電力を確実に伝達しなければならない装置及び/又はシステムに使用することができる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、サブユニットはコネクタを含み、更なるインピーダンスはコネクタに一体化される。好ましくは、コネクタがサブユニットを互いに相互接続し、及び/又は電源又は信号ラインをMRシステムのさらなる部分と相互接続する。従って、コネクタは、電源又は信号ラインの相互接続の領域に位置する。コネクタに更なるインピーダンスを積分すると、実装が容易になる。さらに、コネクタが容易にアクセス可能であるため、保守が簡単になる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、更なるインピーダンスは、キャパシタ、抵抗器、インダクタ、及び/又は共振回路として提供される。更なるインピーダンスは、追加のキャパシタンス、追加の抵抗、追加のインダクタンス及び/又は追加のLCの組み合わせとして実現することができる。更なるインピーダンスは、付加的なキャパシタンスとして実現され、キャパシタとして提供されることが好ましい。理想的なコンデンサは純粋に虚数のインピーダンスを有し、従って、印加される電力における電圧及び電流の位相角をシフトさせるだけである。より好ましくは特に、主に一定の電源電流を搬送する電源又は信号ラインに対して、コンデンサは100pF乃至1nFのオーダーの静電容量を有する。この容量の値はMRシステムの電源又は信号ラインの機能を妨害しないことを可能にし、エラーの信頼できる位置決めを可能にする。キャパシタは、コネクタ内に組み込まれてもよい。追加のLC組み合わせとして更なるインピーダンスを実現することは、掃引周波数インピーダンス測定と組み合わせる場合に特に有利である。電源又は信号ラインに沿ったエラーの位置は、共振周波数の数とLC組み合わせの共振周波数を考慮することにより決定できる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、更なるインピーダンスは、相互接続の領域において、電源又は信号ラインに並列に接続される。これは、更なるインピーダンスが電源又は信号ラインの単一の導電経路に沿って接続されず、並列に接続される、すなわち、更なるインピーダンスが電源又は信号ラインの複数の経路に沿って接続されることを示す。これは、更なるインピーダンスが更なるキャパシタンスとして実現され、キャパシタとして提供される場合、又は更なるインピーダンスが更なるLC組み合わせとして実現され、共振回路として提供される場合に有利である。この場合、ケーブル切断のような開路故障の位置を、電源又は信号ラインのエラーとして容易に決定することができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、更なるインピーダンスは、相互接続の領域において、電源又は信号ラインに直列に接続される。これは、更なるインピーダンスが電源又は信号ラインの単一の導電経路に沿って接続されていることを示している。これは、更なるインピーダンスが追加のインダクタンスとして実現され、インダクタとして提供される場合に有利である。この場合、短絡の位置を、電源ライン又は信号ラインにおけるエラーとして容易に決定することが可能である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、相互接続の各領域において、少なくとも1つの更なるインピーダンスが、電源又は信号ラインに結合される。したがって、更なるインピーダンスの数は、サブユニットの数のオーダーであるか、サブユニットの数に等しいか、又はサブユニットの数よりも大きいことが好ましい。これは、電源又は信号ラインのエラーの位置を特定するのに有利である。もちろん、電源ライン又は信号ラインにおけるエラーは、任意のサブユニットにおいて生じ得る。1つのサブユニットに割り当てられたエラーと、隣接するサブユニットに割り当てられたエラーとを区別し、エラーが発生した正確なサブユニットを決定するために、相互接続の各領域において、少なくとも1つの更なるインピーダンスを電源又は信号ラインに結合することが有利である。好ましくは、少なくとも1つの更なるインピーダンス、より好ましくは2つの更なるインピーダンスがすべてのサブユニットの電源又は信号ラインに結合される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記磁気共鳴システムは電源と、インピーダンス測定装置とを備え、前記インピーダンス測定装置は前記電源に一体化されている。サービス性が単純化される理由から、インピーダンス測定装置をMRシステムの電源に組み込むことは有利である。電源又は信号ラインを電源に接続することで、インピーダンス測定装置を使用してインピーダンスを測定することができる。従って、電源又は信号ラインの異常箇所を特定することができる。従って、サービス担当者が携帯式インピーダンス測定装置に沿って持ち込む必要はない。従って、インピーダンス測定デバイスの集積化は、携帯型インピーダンス測定デバイスを忘却するリスクを排除する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、更なるインピーダンスは、相互接続の領域において電源又は信号ラインに結合される高抵抗検出ワイヤとして、又は相互接続の領域において電源又は信号ラインに結合される高抵抗検出ワイヤのネットワークとして提供される。言い換えれば、更なるインピーダンスは、付加的な抵抗として実現されてもよい。好ましくは、高抵抗検出ワイヤが少なくとも1kΩ/mの抵抗を有する。この抵抗値はMRシステムのコイルの磁場によって検出ワイヤ内に過剰な電流が誘導されず、MRシステムを損傷したり、患者を傷つけたりする危険性が低減されるので、有利である。
【0023】
電源又は信号ラインにおけるエラーの位置を容易に特定するために、幾つかの異なる検出ラインを電源ライン又は信号ラインに結合することが好都合である。あるいは、高抵抗の検出ラインのネットワークが電源ライン又は信号ラインに結合されてもよい。更に、付加的な抵抗器を、高抵抗の検出ワイヤ又は高抵抗の検出ワイヤのネットワークに接続して、更なるインピーダンスを付加することができる。これは、電源又は信号ラインにおけるエラーの異なる場所に対する測定インピーダンスの差を増大させ、エラーの位置の決定を簡単にする。高抵抗検出ワイヤは例えば、低導電率を有する材料、好ましくは合金から作製されてもよく、又は非常に薄い導電性材料、例えば、非導電性材料及び/又はフィラメントを覆う導電性材料としての薄い金属表面から作製されてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、磁気共鳴システムの電源ライン又は信号ラインにおけるエラーを位置決めするための方法は、相互接続の領域において電源ライン又は信号ラインに更なるインピーダンスを結合するステップをさらに含む。1つのサブユニットに割り当てられたエラーと、隣接するサブユニットに割り当てられたエラーとを区別するために、いくつかの更なるインピーダンスを電源又は信号ラインに結合することが有利である。好ましくは、少なくとも1つの更なるインピーダンスが電源又は信号ラインの各サブユニット内、又は相互接続の各領域内の電源又は信号ラインに結合される。より好ましくは、2つの更なるインピーダンスが電源又は信号ラインの各サブユニット内の電源又は信号ラインに結合される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、インピーダンスを測定するステップは、電源又は信号ラインのインピーダンスを測定するステップを含む。好ましくは、インピーダンスの測定値がMRシステムの電源に統合される。より好ましくは、電源又は信号ラインのインピーダンスを測定するステップが電源又は信号ラインを電源に接続するステップと、電源又は信号ラインの電圧及び電流を時間の関数として測定するステップとを含む。更に、インピーダンスが供給電圧の上の正弦信号を連続的に使用することによって、供給電圧の小さなジャンプを連続的に使用し、時間応答を測定することによって、及び/又は周波数掃引を連続的に使用し、スペクトル応答を測定することによって、測定することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、インピーダンスを測定する工程は、高抵抗の検出ラインと電源又は信号ラインとの間のインピーダンスを測定することを含む。例えば、電圧は、高抵抗の検出ライン及び電源又は信号ラインを介して検出され、インピーダンス測定装置の入力インピーダンスが十分に高いことを保証することができる。あるいは、高抵抗検出ラインと電源ライン又は信号ラインとの間の抵抗を測定してもよい。サブユニットの1つに割り当てられた電源ライン又は信号ラインにエラーがある場合、異なるエラー割り当てに対して異なるインピーダンスが測定される。従って、電源又は信号ラインにおけるエラーの位置を決定することができる。
【0027】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。しかしながら、そのような実施形態は、必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために特許請求の範囲及び本明細書を参照される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】電源ラインを含む磁気共鳴システムの1つの可能な実施形態を概略的に示し、更なるインピーダンスは、キャパシタとして提供される。
【
図2】電源ラインを含む磁気共鳴システムの別の可能な実施形態を概略的に示す図であり、更なるインピーダンスは高抵抗の検出ワイヤとして提供される。
【
図3】信号ラインを含む磁気共鳴システムの別の可能な実施形態を概略的に示す図であり、更なるインピーダンスは、高抵抗の検出ワイヤのネットワークとして提供される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本明細書に開示される磁気共鳴システム10の1つの可能な実施形態を示す。MRシステム10は、信号増幅、コイル離調、A/D変換、信号処理、及びデジタル伝送などのMR固有の機能を提供するコイル内部のコイル電子回路20に電力を伝送するために使用される電源ライン12を備える。電源ライン12は、いくつかのサブユニット14、16、18、20からなる。この実施形態では、サブユニットが電源14、コイルコネクタケーブル16、コイルケーブル18、及びコイル電子回路20である。
【0030】
サブユニット14、16、18、20は相互接続され、すなわち、電源14はコイルコネクタケーブル16に接続され、コイルコネクタケーブル16はコイルケーブル18に接続され、コイルケーブル18はコイル電子回路20に接続される。2つのサブユニットの相互接続領域22において、すなわち、電源14がコイルコネクタケーブル16に接続される領域22において、コイルコネクタケーブル16がコイルケーブル18に接続される領域22において、及びコイルケーブル18がコイル電子回路20に接続される領域22において、更なるインピーダンス24が電源ライン12に結合される。
【0031】
図1に描かれた実施形態では、更なるインピーダンス24が付加的なキャパシタンスとして実現され、キャパシタ28として提供される。キャパシタ28は、相互接続22の領域において並列に電源ライン12に接続される。この実施形態ではサブユニット14、16、18、20はサブユニット14、16、18、20を互いに相互接続するためのコネクタ26を備える。キャパシタ12は、コネクタ26内に一体化されている。キャパシタ28はそれぞれ、100pFから1nFのオーダーのキャパシタンス、電源ライン12及びMRシステム10の機能を妨害しないほど十分に小さいキャパシタンス、及びエラーの信頼できる位置のために十分に高いキャパシタンスを有する。
【0032】
さらに、MRシステム10は、電源14に一体化されるインピーダンス測定装置34を備える。例えば、インピーダンス測定装置は、LCRメータ(インダクタンス(L)、キャパシタンス(C)、及び抵抗(R))とすることができる。LCRメータは部品のインダクタンス、抵抗及びキャパシタンスを測定することができ、これらの値から、任意の周波数におけるインピーダンスを決定することができる。例えば、電源ライン12のインピーダンスを測定するために、電源ライン12の電圧及び電流を時間の関数として測定することができる。電源ライン12のインピーダンスを測定することによって、電源ライン12におけるエラーの位置を決定することができる。
図1に示すMRシステム10の場合、理想的な(無損失の)コンポーネントを仮定すると、電源ライン12におけるエラーの位置と測定される容量との間の関係は例えば、次のようになる。
【表1】
【0033】
図2は、本明細書に開示される磁気共鳴システム10の別の可能な実施形態を示す。MRシステム10は、信号増幅、コイル離調、A/D変換、信号処理、及びデジタル伝送などのMR固有の機能を提供するコイル内部のコイル電子回路20に電力を伝送するために使用される電源ライン12を備える。電源ライン12はいくつかのサブユニット14、16、18、20から構成されており、この実施形態では、サブユニットが電源14、コイルコネクタケーブル16、コイルケーブル18、及びコイル電子回路20である。
【0034】
サブユニット14、16、18、20は相互接続され、すなわち、電源14はコイルコネクタケーブル16に接続され、コイルコネクタケーブル16はコイルケーブル18に接続され、コイルケーブル18はコイル電子回路20に接続される。2つのサブユニットの相互接続領域22において、すなわち、電源14がコイルコネクタケーブル16に接続される領域22において、コイルコネクタケーブル16がコイルケーブル18に接続される領域22において、及びコイルケーブル18がコイル電子回路20に接続される領域22において、更なるインピーダンス24が電源ライン12に結合される。
【0035】
図2に描かれた実施形態では、更なるインピーダンス24が付加的な抵抗として実現され、高抵抗の検出ワイヤ30として提供される。この実施形態では、1つの高抵抗検出ワイヤ30が相互接続22の各領域に結合され、したがって、3つの高抵抗検出ワイヤ30が電源ライン12内のエラーの位置を特定するために使用される。高抵抗の検出ワイヤ30は、電源ライン12の1つの経路に結合される。しかしながら、電源ライン12の各経路には、高抵抗の検出ライン30が装備されていることが可能である。MRシステム10のエラー解析は特に、同軸ケーブルのような非対称の電源ライン12が使用される場合に、エラーに対する尤度が、電源ライン12の他方への一方の経路に対して異なることを示すことができる。
【0036】
更に、
図2に示される実施形態では、付加的な抵抗器が更なるインピーダンスを付加するために、高抵抗検出ワイヤ30に直列に接続されている。これは、電源ライン12におけるエラーの異なる場所について測定されるインピーダンスの差を増大させる。高抵抗の検出ライン30の抵抗はMRシステム10のコイルの磁場によって高抵抗の検出ライン30に過剰な電流が誘導されないことを確実にするために、>1kΩ/mであることが好ましい。エラーの位置を決定するために、高抵抗検出ワイヤ30と電源ライン12との間のインピーダンスを測定することができる。例えば、高抵抗検出ライン30及び電源ライン12を介して電圧を検出することができ、インピーダンス測定装置の入力インピーダンスが十分に高くなることを確実にする。サブユニット14、16、18、20の1つに割り当てられた電源ライン12にエラーがある場合、異なるエラー割り当てに対して異なるインピーダンスが測定される。このようにして、電源ライン12におけるエラーの位置を決定することができる。したがって、エラーが持続するか否かを見るために、電源ライン12の一方又は他方のサブユニット14、16、18、20を交換することによって、煩わしい追加のテストを実行する必要がない。
【0037】
図3に示されるさらなる実施形態では、MRシステム10がコイル電子回路20からのMR信号をコイルの内側で送信するために使用される信号ライン12を備える。信号ライン12はいくつかのサブユニット14、16、18、20からなり、この実施形態では、サブユニットが第1の信号伝送ライン14、患者テーブル内の第2の信号伝送ライン16、第3の信号伝送ライン18、及びコイル電子回路20である。
図2に示す実施形態と同様に、サブユニット14、16、18、20は相互接続されている。2つのサブユニット14、16、18、20の相互接続領域22では、更なるインピーダンス24が信号ライン12に結合されている。
【0038】
図3に描かれた実施形態では、更なるインピーダンス24が付加的な抵抗として実現され、高抵抗の検出ライン30のネットワークとして提供される。この実施形態では、高抵抗検出ワイヤ30のネットワークが信号ライン12のエラーの位置を特定するために、相互接続22の各領域に結合される。高抵抗の検出ライン30のネットワークは、信号ライン12の1つの経路に結合され、付加的な抵抗器がさらに更なるインピーダンスを付加するために、高抵抗の検出ライン30のネットワークに接続される。これにより、信号ラインにおけるエラーの異なる場所に対する測定インピーダンスの差が増大する。エラーの位置を決定するために、高抵抗の検出ライン30と信号ライン12との間のインピーダンスを測定することができる。
【0039】
本発明は図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されてきたが、そのような図示及び説明は例示的又は例示的であり、限定的ではないと考えられるべきであり、本発明は開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する他の変形は図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。特許請求の範囲において、単語「有する」は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、明確にするために、図面中のすべての要素に参照符号を付しているわけではない。
【符号の説明】
【0040】
10 磁気共鳴システム
12 電源又は信号ライン
14 サブユニット、電源、第1の信号伝送ライン
16 サブユニット、コイルコネクタケーブル、第2の信号伝送ライン
18 サブユニット、コイルケーブル、第3の信号伝送ライン
20 サブユニット、コイル電子回路
22 相互接続領域
24 更なるインピーダンス
26 コネクタ
28 コンデンサ
30 抵抗、高抵抗検出ライン
32 電源
インピーダンス測定装置