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特許7533483画像処理装置、画像処理方法、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20240806BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240806BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20240806BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H04N23/63
H04N23/60
G03B17/18
G06T5/50
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021566877
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2020040892
(87)【国際公開番号】W WO2021131325
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2019238572
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】仙頭 一也
(72)【発明者】
【氏名】高原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】赤松 範彦
【審査官】吉田 千裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-247543(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101227(WO,A1)
【文献】特開2012-227839(JP,A)
【文献】特開2006-281830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/63
H04N 23/60
G03B 17/18
G06T 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮像装置で撮像された第1画像内で、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出する範囲検出部と、
前記第1画像に、前記範囲検出部で検出した撮像視野の範囲を示す撮像画角枠を合成する撮像画角枠合成部と、
前記第1画像内に、前記第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する合成処理を行う画像合成部と、を備え、
前記画像合成部は、前記第1画像内を複数のエリアに分割設定し、前記撮像画角枠が位置するエリアに応じて選択される計算式により前記第2画像の配置位置を設定する
画像処理装置。
【請求項2】
前記複数のエリアには、計算式の選択状態を維持する緩衝エリアが含まれる
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に対して所定距離関係で追従するように設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の水平方向の位置変化に対して所定の水平距離を保って追従するように設定する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の垂直方向の位置変化に対して所定の垂直距離を保って追従するように設定する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像合成部は、前記第1画像の座標空間において、前記第2画像の配置位置の座標値を、前記撮像画角枠の座標値を用いた演算で算出する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記撮像画角枠に対する前記第2画像の配置方向が変更されるように前記第2画像の配置位置を再設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記第2画像の配置位置を前記第1画像の範囲内方向にシフトさせるように、前記第2画像の配置位置を再設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記第2画像の合成処理を行わない
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
記第1画像内に前記第2の撮像装置の画像が含まれる状態を判定した場合、前記第2画像を表示画像として出力する制御を行
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記範囲検出部が前記第1画像内に前記第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出できない場合、
前記画像合成部は前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、予め設定された固定位置に設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記範囲検出部が前記第1画像内に前記第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出できない場合、
前記第1画像を表示画像として出力する制御を行う出力制御部を、更に備える
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像合成部は、前記撮像画角枠のサイズに応じて、前記第1画像に対して前記第2画像を合成するか否かを決定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記撮像画角枠合成部は、非長方形の前記撮像画角枠を前記第1画像に合成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項16】
第1の撮像装置で撮像された第1画像内で、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置のフォーカス枠の範囲を検出する範囲検出部と、
前記第1画像に、前記範囲検出部で検出した合焦領域を示すフォーカス枠を合成するフォーカス枠合成部と、
前記第1画像内に、前記第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する合成処理を行う画像合成部と、
を備え、
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記フォーカス枠の位置に応じて設定す
像処理装置。
【請求項17】
画像処理装置が、
第1の撮像装置で撮像された第1画像内で、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出する範囲検出処理と、
前記第1画像に、前記範囲検出処理で検出した撮像視野の範囲を示す撮像画角枠を合成する撮像画角枠合成処理と、
前記第1画像内に、前記第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する画像合成処理と、
を行い、
前記画像合成処理では、前記第1画像内を複数のエリアに分割設定し、前記撮像画角枠が位置するエリアに応じて選択される計算式により前記第2画像の配置位置を設定する
画像処理方法。
【請求項18】
第1の撮像装置で撮像された第1画像内で、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出する範囲検出処理と、
前記第1画像に、前記範囲検出処理で検出した撮像視野の範囲を示す撮像画角枠を合成する撮像画角枠合成処理と、
前記第1画像内に、前記第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する画像合成処理と、
を画像処理装置に実行させるとともに、
前記画像合成処理では、前記第1画像内を複数のエリアに分割設定し、前記撮像画角枠が位置するエリアに応じて選択される計算式により前記第2画像の配置位置を設定する処理を
画像処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は画像処理装置、画像処理方法、プログラムに関し、複数の撮像装置による画像の表示処理についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の撮像装置による撮像画像を、1つの画面上で表示した使用形態がある。
例えば下記特許文献1には、画角の異なる第1撮像光学系と第2撮像光学系により得られた比較的広い視野の画像と比較的狭い視野の高解像度画像を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-251783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが撮像を行う状況としては、周辺視野を広く確認しながら目標被写体を追いたいという場合がある。この場合、周辺視野を広く写した第1の撮像装置による画像と、目標被写体を写した第2の撮像装置の画像を同じ画面上に表示することが便利となる。
【0005】
このような表示のためには特許文献1に記載された技術が想定されるが、開示されている技術では、画角の異なる2つの画像を、画面領域を分割して表示している。
これにより表示に対するユーザの視線の移動が大きくなったり、動きがある被写体については広角画像と高解像度画像の視認が難しくなったりする場合がある。また特許文献1には高解像度画像内に広角画像を表示することも開示されているが、この場合、広角画像に現れる被写体の視認が困難になる場合がある。
【0006】
そこで本開示では、第1の撮像装置で撮像された比較的撮像視野の広い画像と、第2の撮像装置で撮像された比較的撮像視野の狭い画像を適切に表示する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術に係る画像処理装置は、第1の撮像装置で撮像された第1画像内に、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する合成処理を行う画像合成部を備える。
例えば第1の撮像装置の撮像視野の画像として比較的広い視野の第1画像内に、比較的狭い視野の第2画像を重畳した表示画像を生成する。
【0008】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記第1画像内で、前記第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出する範囲検出部と、前記第1画像に、前記範囲検出部で検出した撮像視野の範囲を示す撮像画角枠を合成する撮像画角枠合成部と、を備えることが考えられる。
即ち第1画像上で、第2の撮像装置で撮像されている被写体の範囲を撮像画角枠として示す画像を生成し、撮像画角枠を含む画像が表示されるようにする。
【0009】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定することが考えられる。
第1画像上に第2画像を合成する際に、その合成する位置を固定位置ではなく、撮像画角枠の位置に応じて設定するようにする。
【0010】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に対して所定距離関係で追従するように設定することが考えられる。
第1画像上に合成する第2画像の配置位置は、例えば撮像画角枠に対して一定距離を保つように、例えばフレーム毎に設定することで、第2画像が撮像画角枠に追従するような状態とする。
【0011】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の水平方向の位置変化に対して所定の水平距離を保って追従するように設定することが考えられる。
例えば第1画像内で撮像画角枠が水平方向(左右方向)に移動することに応じて、水平方向の一定距離を保って第2画像が移動するようにする。
【0012】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の垂直方向の位置変化に対して所定の垂直距離を保って追従するように設定することが考えられる。
例えば第1画像内で撮像画角枠が垂直方向(上下方向)に移動することに応じて、垂直方向の一定距離を保って第2画像が移動するようにする。
【0013】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像の座標空間において、前記第2画像の配置位置の座標値を、前記撮像画角枠の座標値を用いた演算で算出することが考えられる。
例えば撮像画角枠の中心や四隅の座標値を用いて、撮像画角枠と所定距離を保つような第2画像の配置位置の座標を計算する。
【0014】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像内を複数のエリアに分割設定し、前記撮像画角枠が位置するエリアに応じて選択される計算式により前記第2画像の配置位置を設定することが考えられる。
第1画像上に合成する第2画像の配置位置を、第1画像内で位置が変動する撮像画角枠に対応して設定する。この場合に、第1画像内を複数エリアに分割設定し、撮像画角枠(例えば撮像画角枠の中心)が位置するエリアに応じた計算式を選択して、第2画像の位置を設定する。
【0015】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記複数のエリアには、計算式の選択状態を維持する緩衝エリアが含まれることが考えられる。
第1画像上を複数のエリアに分割する場合に、全てのエリアについて、そのエリアに応じた計算式を用意するのではなく、それまでの計算式をそのまま用いる緩衝エリアも設定する。
【0016】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記撮像画角枠に対する前記第2画像の配置方向が変更されるように前記第2画像の配置位置を再設定することが考えられる。
例えば撮像画角枠に対する第2画像の配置方向が右側として第2画像の配置位置を設定したときに、第2画像が第1画像からはみ出るような状態となった場合は、撮像画角枠に対する第2画像の配置方向が左側となるように再設定を行う。
或いは撮像画角枠に対する第2画像の配置方向が上方側として第2画像の配置位置を設定したときに、第2画像が第1画像からはみ出るような状態となった場合は、撮像画角枠に対する第2画像の配置方向が下方側となるように再設定を行う。
【0017】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記第2画像の配置位置を前記第1画像の範囲内方向にシフトさせるように、前記第2画像の配置位置を再設定することが考えられる。
例えば撮像画角枠に対して設定した第2画像の配置位置が、第1画像からはみ出るような位置であった場合は、はみ出しを抑える方向に第2画像の配置方向をシフト移動させる。
【0018】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記第2画像の合成処理を行わないことが考えられる。
つまり第2画像の配置位置が第1画像からはみ出るような位置であった場合は、第2画像の表示が行われないようにする。
【0019】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記範囲検出部が前記第1画像内に前記第2の撮像装置を検出した場合、前記第2画像を表示画像として出力する制御を行う出力制御部を、更に備えることが考えられる。
つまり第1の撮像装置の前に第2の撮像装置が位置し、第2の撮像装置の背面が第1画像に写されている状態である。この場合は、第1画像への第2画像の合成を行わず、第2画像のみがユーザに対して表示されるようにする。
出力制御部には、画像合成部が該当する場合がある。即ち画像合成部が第2画像を表示画像として出力する制御を行う場合である。また画像合成部を介さないで第2の撮像装置の第2画像が出力される場合も想定される。その場合、画像合成部以外で出力制御部としての機能が発揮されればよい。
【0020】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記範囲検出部が前記第1画像内に前記第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出できない場合、前記画像合成部は前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、予め設定された固定位置に設定することが考えられる。
例えば第1の撮像装置と第2の撮像装置の撮像視野方向が全く異なるような場合、第1画像内に第2の撮像装置の撮像視野の範囲が存在しないことになる。そのような場合は、第2画像が第1画像内の特定の位置に合成されて表示されるようにする。
【0021】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記範囲検出部が前記第1画像内に前記第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出できない場合、 前記第1画像を表示画像として出力する制御を行う出力制御部を、更に備えることが考えられる。
例えば第1の撮像装置と第2の撮像装置の撮像視野方向が全く異なり、第1画像内に第2の撮像装置の撮像視野の範囲が存在しないような場合は、第2画像を表示せず、第1画像が表示されるようにする。
この場合も、出力制御部には、画像合成部が該当する場合がある。即ち画像合成部が第1画像を表示画像として出力する制御を行う場合である。また画像合成部を介さないで第1の撮像装置の第1画像が出力される場合も想定される。その場合、画像合成部以外で出力制御部としての機能が発揮されればよい。
【0022】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記画像合成部は、前記撮像画角枠のサイズに応じて、前記第1画像に対して前記第2画像を合成するか否かを決定することが考えられる。
撮像画角枠のサイズは、第2の撮像装置の画角(ズーム状態)に応じて変化し、特に広角で撮像しているときは、第2の撮像装置の画角が第1の撮像装置の画角に近づき、第1画像内で撮像画角枠が占める範囲が広くなる。このような場合に第2画像を表示させないようにする。
【0023】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記撮像画角枠合成部は、非長方形の前記撮像画角枠を前記第1画像に合成することが考えられる。
例えば撮像画角枠を、第1,第2の撮像装置の視野方向の差などに応じた形状に表示させる。
【0024】
上記した本技術に係る画像処理装置においては、前記第1画像内で、前記第2の撮像装置のフォーカス枠の範囲を検出する範囲検出部と、前記第1画像に、前記範囲検出部で検出した合焦領域を示すフォーカス枠を合成するフォーカス枠合成部と、を備え、前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記フォーカス枠の位置に応じて設定することが考えられる。
即ち第1画像上で、第2の撮像装置のフォーカス枠が表示されるようにする。そして例えばフォーカス枠の中心の座標値を基準として、撮像画角枠と所定距離を保つような第2画像の配置位置の座標を計算する。
【0025】
本技術に係る画像処理方法は、画像処理装置が、第1の撮像装置で撮像された第1画像内に、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する合成処理を行う画像処理方法である。
これにより比較的広い撮像視野の第2画像内で第1画像の表示が行われるようにする。
本技術に係るプログラムは、上記画像処理方法の処理を画像処理装置に実行させるプログラムである。これにより本技術の画像処理装置を容易に実現できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本技術の実施の形態の構成例のブロック図である。
図2】実施の形態の2つの撮像装置の例及び使用状態の説明図である。
図3】実施の形態の2つの撮像装置の例の説明図である。
図4】実施の形態で表示される周辺視野画像、撮像画角枠、拡大画の説明図である。
図5】実施の形態の撮像装置のブロック図である。
図6】第1から第5の実施の形態の処理例のフローチャートである。
図7】第1の実施の形態の拡大画配置座標計算処理のフローチャートである。
図8】実施の形態の各種計算で用いるx-y座標系の説明図である。
図9】実施の形態の各種計算で用いる座標値の説明図である。
図10】第1の実施の形態のエリア分割と拡大画配置位置設定の説明図である。
図11】実施の形態の接眼状態となったときの表示画像の説明図である。
図12】実施の形態の拡大画の特定位置表示又は非表示の状態の説明図である。
図13】実施の形態の撮像画角枠のサイズによる拡大画の非表示の説明図である。
図14】実施の形態の拡大画のはみ出しの際の処理の説明図である。
図15】第2の実施の形態のフォーカス枠の説明図である。
図16】第2の実施の形態の拡大画配置座標計算処理のフローチャートである。
図17】第3の実施の形態の拡大画配置座標計算処理のフローチャートである。
図18】第4の実施の形態の拡大画配置設定の説明図である。
図19】第5の実施の形態の拡大画配置設定の説明図である。
図20】第5の実施の形態の拡大画配置座標計算処理のフローチャートである。
図21】第5の実施の形態のエリア分割設定の変形例の説明図である。
図22】第6の実施の形態の拡大画配置設定の説明図である。
図23】第6の実施の形態の撮像画角枠と拡大画の配置関係の説明図である。
図24】第6、第7の実施の形態の処理例のフローチャートである。
図25】第6の実施の形態の配置座標再計算処理のフローチャートである。
図26】第6の実施の形態の拡大画のはみ出しの際の左右変更の説明図である。
図27】第6の実施の形態の拡大画のはみ出しの際の水平シフトの説明図である。
図28】第7の実施の形態の拡大画配置設定の説明図である。
図29】第7の実施の形態の撮像画角枠と拡大画の配置関係の説明図である。
図30】第7の実施の形態の配置座標再計算処理のフローチャートである。
図31】第7の実施の形態の拡大画のはみ出しの際の垂直シフトの説明図である。
図32】実施の形態の撮像画角枠の表示態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.画像処理装置の構成>
<2.第1の実施の形態>
<3.第2の実施の形態>
<4.第3の実施の形態>
<5.第4の実施の形態>
<6.第5の実施の形態>
<7.第6の実施の形態>
<8.第7の実施の形態>
<9.撮像画角枠の表示>
<10.まとめ及び変形例>
【0028】
<1.画像処理装置の構成>
図1に実施の形態としての画像処理装置3の構成例を示す。この図1では、撮像装置1A、1B、表示装置2、及び画像処理装置3を示している。
【0029】
撮像装置1A、1Bは例えば別体の2台の画像撮像可能な機器を示している。この撮像装置1A、1Bは動画や静止画の撮像を行い、その記録を行うことのできる装置である。図2図3に撮像装置1A、1Bの例を示す。
【0030】
図2Aは一例として、ゴーグル型で表示及び撮像が可能な撮像装置1Aと、手持ち型の一般的なデジタルカメラとしての撮像装置1Bを示している。
例えばユーザは、ゴーグル型の撮像装置1Aを頭部に装着する。この撮像装置1Aは例えば撮像部32を有し、比較的広い撮像視野で画像撮像を行うことが可能とされるとともに、ゴーグル内の表示部(不図示)で撮像画像が表示されるような装置である。
撮像装置1Bは静止画や動画を撮像し、メモリカードなどの記録媒体に記録することができる装置である。
撮像装置1Aと撮像装置1Bは有線通信或いは無線通信で画像データやその他のデータの通信が可能とされている。
【0031】
撮像装置1A、1Bは、この図2Aのような組み合わせに限らず、各種の撮像装置の組み合わせが想定される。
例えば図3Aでは、撮像装置1A、1Bが共に手持ち型のデジタルカメラである場合を示している。
図3Bでは、撮像装置1Aが例えば魚眼レンズなどにより全周囲方向を撮像する全方位カメラであり、撮像装置1Bが撮像機能を有するスマートフォン等の携帯端末である例を示している。
図3Cでは、撮像装置1Aが監視カメラで、撮像装置1Bがビデオカメラである例を示している。
【0032】
これらのように、撮像装置1A、1Bの組み合わせは多様であり、例示した以外にも各種の組み合わせが想定される。
但し本実施の形態では少なくとも、撮像装置1Bは、撮像装置1Aの撮像視野内の一部の視野を撮像可能な装置とされているものとする。例えば図2Aの場合、ゴーグル型の撮像装置1Aは、広い撮像視野(画角)で周辺視野を撮像可能とされることで、ユーザは内部の表示部で周辺視野の光景を視認できる。そのうえで撮像装置1Bにより、当該周辺視野内の存在する目標被写体の撮像を行うことができる。
【0033】
図1では以上のような2台の撮像装置1A、1Bを示しているが、画像処理装置3、表示装置2は、撮像装置1A、1Bと別体の装置としてもよいし、それぞれ撮像装置1A又は撮像装置1Bに内蔵されるものでもよい。
例えば図2Aのようにゴーグル型の撮像装置1Aと、手持ち型のデジタルカメラである撮像装置1Bを想定した場合、図1の画像処理装置3と表示装置2は撮像装置1Aに内蔵されることが考えられる。
もちろん画像処理装置3と表示装置2が撮像装置1Bに内蔵されたり、画像処理装置3が撮像装置1Bに内蔵され表示装置2が撮像装置1Aに内蔵されたり、その逆に画像処理装置3が撮像装置1Aに内蔵され表示装置2が撮像装置1Bに内蔵されたりするような構成も想定される。
【0034】
以下では撮像装置1A、1Bは別体の装置として説明していくが、1台の撮像装置において2系統の撮像系(レンズ系やイメージセンサ等)を備えて、撮像視野の差を持つ2系統の画像撮像を行うことができる構成を想定した場合、その2系統の撮像系を、撮像装置1A、1Bに当てはめて考えることもできる。
【0035】
画像処理装置3は、その処理機能として、範囲検出部10、撮像画角枠合成部11、画像合成部12、表示制御部13としての機能を有する。
例えば画像処理装置3は、マイクロコンピュータ等の演算装置を有するビデオプロセッサとして構成され、ソフトウエアプログラムにより、CPU等の演算部において上記の範囲検出部10、撮像画角枠合成部11、画像合成部12、表示制御部13としての処理機能が実現される。
【0036】
画像処理装置3には、撮像装置1A、1Bにより撮像された画像データや、各種付加情報が供給される。
撮像装置1A、1Bから画像処理装置3に供給される画像データは、例えば撮像を行うユーザが被写体範囲を確認するための画像データである。このため、いわゆるスルー画としての比較的解像度を落とした画像データでもよいし、ロウ画像データ、或いはロウ画像を現像処理した画像データなどであって、比較的解像度の高いデータであってもよい。
撮像装置1A、1Bから画像処理装置3に供給される付加情報としては、例えば、撮像時のフォーカス制御位置や、ズームレンズ制御位置(或いは画角)の情報や、露光情報や、方位センサ、測距センサ、角速度センサ、加速度センサ、照度センサ、位置センサなどの撮像装置1A、1Bが搭載している各種センサの検出情報や、撮像装置1A又は撮像装置1Bに対するユーザの操作情報などが想定される。
【0037】
画像処理装置3における範囲検出部10は、撮像装置1Aで撮像された第1画像内で、撮像装置1Bの撮像視野の範囲を検出する処理を行う。例えば図2Aのようなゴーグル型の撮像装置1Aで周辺視野の撮像している場合に、その周辺視野の画像内で、撮像装置1Bで撮像している視野の範囲を検出する処理である。
例えば図4Aに周辺視野画像20として撮像装置1Aで撮像されている画像の例を示している。この中で撮像装置1Bが、撮像画角枠21で示す視野の範囲を撮像しているとする。範囲検出部10は、周辺視野画像20内において、このように撮像画角枠21で示される範囲を検出する処理を行うものである。
【0038】
範囲検出部10が検出する周辺視野画像20内での撮像装置1Bの撮像視野の位置は、撮像装置1Aと撮像装置1Bのそれぞれの視野方向に応じて変化する。また範囲検出部10が検出する周辺視野画像20内での撮像装置1Bの撮像視野のサイズは、撮像装置1Aと撮像装置1Bの画角の差に応じて変化する。例えば撮像装置1Bのズーム状態に応じて変化する。
従って例えばフレーム毎に範囲検出部10は、撮像装置1Aで撮像された第1画像内における撮像装置1Bの撮像視野の範囲を検出する。
【0039】
例えば範囲検出部10は、撮像装置1Aから周辺視野の画像データ、付加情報を取得し、撮像装置1Bからも撮像している視野範囲の画像データや付加情報を取得できる。範囲検出部10は、撮像装置1Aと撮像装置1Bの撮像条件の差分を検知し、周辺視野に対する撮像装置1Bの撮像視野を検出する。撮像条件の差分とは、例えば撮像方向差や、画角差(拡大率)である。撮像方向差と画角差を取得すれば、撮像装置1Aの周辺視野内における撮像装置1Bの撮像視野を計算により検出することができる。
【0040】
また範囲検出部10は、画像解析により周辺視野に対する撮像装置1Bの撮像視野を算出するようにしてもよい。例えば撮像装置1Bからの画像データにおける被写体と、撮像装置1Aからの周辺視野の画像データについて、いわゆるブロックマッチングや特徴点抽出及び特徴点マッチングなどの処理を行い、一致部分を検出することで、撮像装置1Aの周辺視野内における撮像装置1Bの撮像視野を検出することも可能である。
【0041】
撮像画角枠合成部11は範囲検出部10が検出した撮像視野の範囲を示す撮像画角枠21を合成する処理を行う。つまり図4Aに破線で示したような撮像画角枠21としての枠画像を、周辺視野画像20に合成する処理である。
これによりユーザが、撮像画角枠21が付加された周辺視野画像20を視認し、撮像装置1Bでどのあたりを撮像しているかを確認できるようにする。
上述のように範囲検出部10が検出する周辺視野画像20内での撮像装置1Bの撮像視野の位置やサイズはフレーム毎に変化するので、撮像画角枠合成部11はフレーム毎に、検出された範囲に撮像画角枠21の画像を合成するような処理を行うことになる。
【0042】
画像合成部12は、撮像装置1Aで撮像された第1画像(周辺視野画像20)内に、撮像装置1Bの撮像視野の画像である第2画像を重ね合わせるように配置する合成処理を行う。第2画像の例が図4Aに示す拡大画22である。撮像装置1Bで撮像されて拡大画22として表示される画像内容は、撮像画角枠21内の画像を拡大した画像内容となる。
これによりユーザが、撮像装置1Aによる周辺視野画像20を見ながら、撮像装置1Bによる撮像画像を詳細に視認できるようにする。
拡大画22のサイズは固定サイズとすればよいが、例えばユーザ操作により可変設定できるようにしてもよい。
なお、撮像画角枠21のサイズは撮像装置1A、1Bの画角差によるので、場合によっては、撮像画角枠21のサイズが拡大画22と同等、もしくは拡大画22よりも大きくなってしまい、画像内容が拡大されたものとはいえない場合が生ずる可能性はあるが、本来は拡大画像の表示目的で表示させるため、説明上「拡大画22」と呼ぶ。なお後述するが、本実施の形態では、撮像画角枠21のサイズによって拡大画22の画像が「拡大」された状態とならない場合は、拡大画22を表示させないため、その意味では表示された拡大画22が拡大画像でない場合は生じないことになる。
【0043】
表示制御部13は、例えば図4Aのように合成された画像を表示装置2において表示させる制御を行う。
ユーザは表示装置2において図4Aのような画像を視認できる。従って周辺視野画像20内で、撮像装置1Bで撮像している範囲を撮像画角枠21で確認しつつ、さらに拡大画22で詳細に視認できることになる。
なお図では撮像画角枠21を破線とし、拡大画22の枠を実線で囲って示しているが、それぞれ異なる表示態様とすることで、ユーザにとって撮像画角枠21と拡大画22の区別がつきやすくなる。異なる表示態様は、枠の色を変えることとしたり、一方の画像をハイライトさせたり、カラー/モノクロの別としたり、輝度を異なるようにしたりするなど、多様な例が考えられる。
【0044】
図1のような構成を図2Aのように撮像装置1A、1Bで実現する場合、例えばゴーグル型の撮像装置1Aに画像処理装置3、表示装置2が内蔵されることが考えられる。
その場合の撮像装置1Aの構成例を図5に示す。
【0045】
撮像装置1Aは、撮像部32、画像信号処理部33、画像解析部34、制御部35、操作部36、センサ部37、表示制御部38、表示部39、記憶部40、外部入力部41を有する。
【0046】
撮像部32は撮像のための撮像光学系やイメージセンサを有する。イメージセンサは、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子とされ、撮像光学系を介して入射する被写体からの光を受光し、電気信号に変換して出力する。イメージセンサは、受光した光を光電変換して得た電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行う。そしてデジタルデータとしての画像データを、後段の画像信号処理部33に出力する。
【0047】
画像信号処理部33は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等により画像処理プロセッサとして構成される。画像信号処理部33は、撮像部32から入力される画像データに対して、各種の処理を施す。
例えば画像信号処理部33は、通常の可視光画像として画像信号を想定した場合、R(赤),G(緑),B(青)の黒レベルを所定のレベルにクランプするクランプ処理、R,G,Bの色チャンネル間の補正処理、各画素についての画像データが、R,G,B全ての色成分を有するようにするデモザイク処理、輝度(Y)信号および色(C)信号を生成(分離)する処理等を施す。
さらに画像信号処理部33は、各種の信号処理が施された画像信号に対して、必要な解像度変換処理、例えば記録用や通信出力用、或いはモニタ画像用の解像度変換を実行する場合もある。
また画像信号処理部33は、解像度変換された画像データについて、例えば記録用や通信用の圧縮処理、符号化処理等を行う場合もある。
【0048】
画像解析部34は、画像信号処理部33での所定の処理が行われた画像信号の各フレーム(又は間欠的なフレーム)を処理対象として画像解析処理を行う。例えばパターンマッチング等の手法により被写体としての物体の種別や動作状態の判定や、特徴量の計測のための物体の領域や属性の判定、或いはそれに基づく計測等を行うことができる。
画像解析部34で判定した情報は制御部35に供給され、計測のための一連の処理に用いられる。
なお画像解析部34はAI(artificial intelligence)エンジンとして構成され、機械学習、ディープラーニング等に基づく画像認識処理を行い、例えば物体の判定や、特徴点の認識ができるようにしてもよい。
【0049】
制御部35は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどを備えたマイクロコンピュータ(演算処理装置)により構成される。
CPUがROMやフラッシュメモリ等に記憶されたプログラムを実行することで、この撮像装置1Aの全体を統括的に制御する。
RAMは、CPUの各種データ処理の際の作業領域として、データやプログラム等の一時的な格納に用いられる。
ROMやフラッシュメモリ(不揮発性メモリ)は、CPUが各部を制御するためのOS(Operating System)や、画像ファイル等のコンテンツファイルの他、各種動作のためのアプリケーションプログラムや、ファームウエア等の記憶に用いられる。
【0050】
このような制御部35は、撮像部32におけるシャッタースピード、露光調整、フレームレート等の撮像動作に関する制御や、画像信号処理部33における各種信号処理のパラメータ制御、画像解析部34による解析処理の制御を行う。また制御部35は、ユーザの操作に応じた設定処理、撮像動作制御、表示動作制御等を行う。
なお、制御部35は画像解析部34の機能を含むものであってもよい。
【0051】
操作部36は、装置筐体に設けられるキー、スイッチ、ダイヤル等の操作子、或いはタッチパネルなどが想定される。この操作部36によっては、例えば電源オン/オフ操作、各種設定操作、目標値の入力操作、プログラムの起動等がユーザによって行われることを想定している。操作部36は入力された操作に応じた信号を制御部35へ送る。
【0052】
センサ部37は、必要に応じて設けられる各種センサを包括的に示している。例えば音声センサ、位置センサ、照度センサ、接触センサ、温度センサ、測距センサ、加速度センサ、角速度センサ、気圧センサ、高度センサ、圧力センサなど、各種のセンサが考えられる。
【0053】
表示部39はユーザ(撮像者等)に対して各種表示を行う表示部であり、例えばゴーグル型の撮像装置1Aにおいてゴーグル内に設けられるLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスで形成される。ユーザは撮像装置1Aを装着することで眼前の表示部39で被写体の画像を見ることができる。
表示制御部38は表示部39における表示動作を実行させる処理を行う。例えばキャラクタジェネレータや表示ドライバ等を有し、制御部35の制御に基づいて、表示部39に各種の表示、例えば図4Aのような画像表示を実行させる。
また表示制御部38は表示部39において、記録媒体に記録した静止画や動画を再生表示させたりするようにしてもよい。
また表示制御部38は制御部35の指示に基づいて、表示部39において各種操作メニュー、アイコン、メッセージ等、即ちGUI(Graphical User Interface)としての表示を画面上に実行させるようにしてもよい。
【0054】
記憶部40は、例えば不揮発性メモリからなり、例えば撮像部32で撮像された静止画データや動画データ等の画像ファイルや、画像ファイルの属性情報、サムネイル画像等を記憶する。
記憶部40の実際の態様は多様に考えられる。例えば記憶部40は、撮像装置1Aに内蔵されるフラッシュメモリでもよいし、撮像装置1Aに着脱できるメモリカード(例えば可搬型のフラッシュメモリ)と該メモリカードに対して記録再生アクセスを行うカード記録再生部による形態でもよい。また撮像装置1Aに内蔵されている形態として記憶部40はHDD(Hard Disk Drive)などとして実現されることもある。
【0055】
外部入力部41は、有線通信又は無線通信により外部機器からの情報を入力する。この場合、撮像装置1Bからの画像データや付加情報の入力を行うための通信部として構成されることが考えられる。
【0056】
以上の構成において、例えば画像信号処理部33、画像解析部34、制御部35、表示制御部38による機能の一部として、図1の画像処理装置3が実現される。また表示部39により図1の表示装置2が実現される。
なお図5は撮像装置1Aの構成として説明したが、撮像装置1Bにおいても通常のカメラとして機能する範囲で図5と概略同等の構成を備える。
【0057】
<2.第1の実施の形態>
以下、実施の形態の画像処理装置3の処理として各種の例を説明していく。
本実施の形態では、画像処理装置3(例えば画像処理装置3を内蔵する撮像装置1A)は、表示部39に図4Aのような表示を行うことで、ユーザが周辺視野画像20とともに、撮像画角枠21や拡大画22を見ることができる。
【0058】
拡大画22は、例えば周辺視野画像20内の固定位置に重ねて表示させることが考えられる。特に周辺視野画像20内に拡大画22を表示させることで、ユーザは、周辺視野画像20の全体と拡大画22の両方を、さほど視線移動させずに視認でき、両方、つまり周辺と目標被写体の確認に便利となる。もちろん撮像画角枠21も周辺視野画像20内となることで視認が容易で、ユーザは拡大画22に写される被写体の位置状態を認識し易い。
【0059】
但し、上述のように撮像画角枠21の位置やサイズは変動する。このため撮像画角枠21が拡大画22と重なってしまう位置やサイズとなる場合もある。その場合、撮像画角枠21と拡大画22の一方が見えにくくなることや、重なりにより視認性が悪化することが生ずる。
【0060】
そこで実施の形態では、撮像画角枠21に応じて拡大画22の配置位置が可変設定されるようにすることで、見やすい表示状態が維持されるようにする。
例えば図4Aのように、拡大画22が撮像画角枠21の右側に所定距離を開けて配置されるようにするが、撮像画角枠21が周辺視野画像20内の右側の位置になった場合、例えば図4Bのように、拡大画22が左側に所定距離を開けて配置されるようにする。
例えばこのようにすることで、撮像画角枠21の位置やサイズにかかわらず、撮像画角枠21と拡大画22の両方が視認し易い状態となりやすい。
【0061】
第1の実施の形態としての具体例を図6図7で説明する。図6図7は範囲検出部10、撮像画角枠合成部11、画像合成部12、表示制御部13の機能を有する画像処理装置3の処理である。
特にこの処理例は、撮像装置1Aで撮像されている周辺視野画像20を表示装置2において表示させているときに、撮像装置1Bで撮像されている画像(スルー画等)の撮像画角枠21や拡大画22を周辺視野画像20に重ねて表示させる場合の処理である。
この図6の処理は例えば撮像装置1Bで撮像される画像データの1フレーム毎に行う。なお間欠的なフレーム毎に行うようにしてもよい。
【0062】
図6のステップS101で画像処理装置3は、範囲検出部10の機能により、視野範囲検出を行う。この処理は、現在撮像装置1Bで撮像されたフレームの画像が、撮像装置1Aで撮像されている周辺視野画像20内のどの範囲に相当する画像であるかを検出する処理である。即ち撮像画角枠21を表示する範囲を検出することになる。
上述のように画像処理装置3は、撮像装置1Aと撮像装置1Bの撮像条件の差分を検知し、周辺視野に対する撮像装置1Bの撮像視野を検出する。或いは画像解析により周辺視野に対する撮像装置1Bの撮像視野を検出する。
【0063】
なお、周辺視野画像20としての視野は、撮像装置1Aの撮像方向やズーム状態により変動し、また、撮像装置1Bの撮像画像の視野も撮像方向やズーム状態により変動するため、このステップS101での視野範囲検出は、撮像装置1Aの現在のフレームの撮像画像内で、撮像装置1Bの現在のフレームの撮像画像に合致する画像の範囲を検出するものとなる。
【0064】
ステップS103で画像処理装置3は、周辺視野画像20内で撮像装置1Bの撮像視野が検出できたか否かにより処理を分岐する。例えば図2Bのように、撮像装置1Bが撮像装置1Aのレンズ前で視野を塞いでしまった場合や、図2Cのように撮像装置1A、1Bの撮像方向が大きく異なる場合など、周辺視野画像20内に撮像装置1Bの撮像視野が含まれなくなる場合もある。
一方、図2Aのように撮像装置1A、1Bがほぼ同じ撮像方向である場合や、若干撮像方向がずれている程度の場合は、周辺視野画像20内に撮像装置1Bの撮像視野が含まれ、ステップS101の検出が可能となる。
【0065】
まず、周辺視野画像20内において撮像装置1Bの撮像視野が検出できた場合について説明していく。
その場合、画像処理装置3はステップS102からステップS103に進み、表示する撮像画角枠21のサイズを判定する。即ちステップS101で検出した周辺視野画像20内に撮像装置1Bの撮像視野の範囲のサイズであり、例えばその面積である。
ステップS104では、撮像画角枠21のサイズが大きいと判定されるか否かにより処理を分岐する。この場合、例えば撮像画角枠21のサイズが拡大画22のサイズより大きいか否かを判定する。或いは撮像画角枠21のサイズが所定値より大きいか否かを判定する。このステップS103,S104及びサイズが大きいと判定される場合の処理については後述する。
【0066】
例えば撮像装置1A、1Bの画角の差が大きく、これによりステップS104でサイズ大と判定されなければ、画像処理装置3はステップS105に進んで拡大画配置座標計算を行う。
この拡大画配置座標計算の処理を図7に示している。
【0067】
ここで図7の説明に先立って、計算に用いる座標系について図8で説明しておく。
図8では、周辺視野画像20の中心座標を原点(0,0)としたx軸、y軸による座標系を示している。この周辺視野画像20の座標系において撮像画角枠21と拡大画22の位置を座標で表現する。
【0068】
即ち図9に示すように、撮像画角枠21の座標やサイズを次のように示す。
中心座標:(x0,y0)
左上隅座標:(xul,yul)
右上隅座標:(xur,yur)
左下隅座標:(xdl,ydl)
右下隅座標:(xdr,ydr)
垂直方向サイズ:H
水平方向サイズ:W
【0069】
また拡大画22の座標やサイズを次のように示す。
中心座標:(X0,Y0)
左上隅座標:(Xul,Yul)
右上隅座標:(Xur,Yur)
左下隅座標:(Xdl,Ydl)
右下隅座標:(Xdr,Ydr)
垂直方向サイズ:Hz
水平方向サイズ:Wz
【0070】
画像処理装置3は、拡大画配置座標計算として図7のステップS150で撮像画角枠情報を取得する。即ち図6のステップS101で求めた視野範囲の情報に基づき、図9に示した撮像画角枠21の中心や四隅の各座標値を取得する。
【0071】
ステップS151で画像処理装置3は、撮像画角枠21の中心、即ち中心座標(x0,y0)が位置するエリアを探索する。
ここで画像処理装置3は、周辺視野画像20内を分割した複数のエリアを設定している。一例として図10Aに、周辺視野画像20を境界線BD1,BD2で水平方向に3分割したエリアAR1,AR2,AR3を示している。
なお、各エリアは、同面積となるように分割してもよいが、図10Aでは中央のエリアAR2を狭くした例としている。
図7のステップS151のエリア探索では、中心座標(x0,y0)がエリアAR1,AR2,AR3のうちのいずれのエリアに位置するかを求めることになる。画像処理装置3は、各エリアAR1,AR2,AR3の範囲又は境界を座標値で把握していることで、この処理は座標値の簡易な比較計算により実行できる。
【0072】
ステップS152で画像処理装置3は、中心座標(x0,y0)がエリアAR3に位置するか否かにより処理を分岐する。
中心座標(x0,y0)がエリアAR1またはエリアAR2に位置する場合、画像処理装置3はステップS153に進み、エリアAR1,AR2用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
また中心座標(x0,y0)がエリアAR3に位置する場合、画像処理装置3はステップS154に進み、エリアAR3用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0073】
例えば図10Bは撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR2に位置する場合、図10Cは撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR1に位置する場合をそれぞれ示している。いずれの場合も、撮像画角枠21の右側に所定の水平オフセット量offset_xをもって拡大画22が配置されるようにする。
一方、図10Dは撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR3に位置する場合を示している。この場合は、撮像画角枠21の左側に、同じく水平オフセット量offset_xをもって拡大画22が配置されるようにする。
【0074】
このように撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)が位置するエリアに応じて、拡大画22の配置位置が右側と左側で異なるようにする。その上で、拡大画22は撮像画角枠21に対して一定の水平オフセット量offset_xをもって配置されるようにする。
【0075】
このような拡大画22の配置のための配置座標計算としては各種の例が考えられるが、まずは一例として、撮像画角枠21の端辺を基準とする計算例を示す。
【0076】
・エリアAR1,AR2用の計算式
撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR1,AR2に位置する場合には、ステップS153の処理として画像処理装置3は、拡大画22の四隅の座標を次のように求める。
(Xul,Yul)=(xr+offset_x , y0+Hz/2)
(Xur,Yur)=(xr+offset_x+Wz , y0+Hz/2)
(Xdl,Ydl)=(xr+offset_x , y0-Hz/2)
(Xdr,Ydr)=(xr+offset_x+Wz , y0-Hz/2)
ここで“xr”は撮像画角枠21の右端辺のx座標値である(図10B図10C参照)。即ちxr=xur=xdrである。
【0077】
・エリアAR3用の計算式
撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR3に位置する場合には、ステップS154の処理として画像処理装置3は、拡大画22の四隅の座標を次のように求める。
(Xul,Yul)=(xl-offset_x-Wz , y0+Hz/2)
(Xur,Yur)=(xl-offset_x , y0+Hz/2)
(Xdl,Ydl)=(xl-offset_x-Wz , y0-Hz/2)
(Xdr,Ydr)=(xl-offset_x , y0-Hz/2)
また“xl”は撮像画角枠21の左端辺のx座標値である(図10D参照)。即ちxl=xul=xdlである。
【0078】
拡大画22の配置のための配置座標計算は、上記に代えて、撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)を基準とする計算例によっても以下のように可能である。
【0079】
・エリアAR1,AR2用の計算式
撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR1,AR2に位置する場合には、ステップS153の処理として画像処理装置3は、次のように拡大画22の中心座標(X0,Y0)を求める。
(X0,Y0)=(x0+W/2+offset_x+Wz/2 , y0)
そして拡大画22の四隅の座標値を次のように求める。
(Xul,Yul)=(X0-Wz/2 , Y0+Hz/2)
(Xur,Yur)=(X0+Wz/2 , Y0+Hz/2)
(Xdl,Ydl) =(X0-Wz/2 , Y0-Hz/2)
(Xdr,Ydr)=(X0+Wz/2 , Y0-Hz/2)
【0080】
・エリアAR3用の計算式
撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR3に位置する場合には、ステップS154の処理として画像処理装置3は、次のように拡大画22の中心座標(X0,Y0)を求める。
(X0,Y0)=(x0-W/2-offset_x-Wz/2 , y0)
そして拡大画22の四隅の座標値(Xul,Yul)(Xur,Yur)(Xdl,Ydl)(Xdr,Ydr)を上記同様に求める。
【0081】
例えば以上のような撮像画角枠21の端辺または中心を基準とする計算により、図7のステップS153又はステップS154で拡大画22の配置位置を計算したら、画像処理装置3は図6のステップS106に進む。
ステップS106で画像処理装置3は、拡大画22の配置状態として、周辺視野画像20からの許容外のはみ出しが生じているか否かを確認する。
はみ出しの確認に関する処理は後述する。
【0082】
拡大画22について、周辺視野画像20からの許容外のはみ出しが生じていないと判定した場合、画像処理装置3はステップS107に進み、周辺視野画像20内で撮像画角枠21と拡大画22の表示制御を行う。
これにより、表示装置2には図10B図10C、又は図10Dのような配置状態で、周辺視野画像20内において撮像画角枠21及び拡大画22が表示されることになる。
特に拡大画22は撮像画角枠21のエリアに応じた方向に、所定の水平オフセット量offset_xをもって表示されるため、撮像画角枠21と拡大画22は重複せず、また両方を視認し易い位置関係となる。
【0083】
ここまでは撮像画角枠21と拡大画22を適切に表示できる場合の処理となるが、これらが表示できない場合や、表示しない方がよい場合もある。
以下、このような例外的な処理について説明する。
【0084】
まず図6のステップS101で、周辺視野画像20内において撮像装置1Bの視野範囲が検出できない場合について述べる。
この場合、画像処理装置3はステップS102からステップS120に進み、接眼検知判定を行う。
ここでいう接眼とは、図2Bのようにユーザが撮像装置1Bを撮像装置1Aの直前(つまりユーザの眼前)に持ってきた場合のことである。
【0085】
画像処理装置3は、ステップS120で、このような接眼状態であることが検知されているか否かを判定する。
この判定手法は多様に考えられる。
例えば撮像装置1Aの測距センサを用いて、撮像部32のレンズ直前に他の物体が存在する場合は、接眼状態である可能性が高い。
また接眼状態では、撮像装置1Aによる周辺視野画像20は、例えば図11Aのように、画面の広範囲で撮像装置1Bの背面側が写されている(もしくはフォーカスの合わない状態となっている)ことが想定される。従って、画像解析により、撮像画像内に撮像装置1Bと推定される画像が広範囲で含まれている状態を接眼状態と判定することもできる。
また図2のように撮像装置1Bをユーザが手で持って撮像するものである場合、撮像装置1Bの角速度センサ、加速度センサ、姿勢センサ等の情報を取得し、撮像装置1Bが図2Bのような接眼状態の位置や姿勢になっていることを推定することもできる。
また、撮像装置1Aの前面に接触センサを設けて、撮像装置1B等の物体が触れることを検知してもよい。
更に撮像装置1A、1Bが高精度な位置センサを備える場合、その位置関係により接眼を検知できる。
画像処理装置3は、例えばこれらの手法の1又は複数の組み合わせにより、接眼状態の判定が可能である。
【0086】
接眼状態であると判定した場合、画像処理装置3はステップS121からステップS122に進み、拡大画22のみの表示制御を行う。
即ち表示装置2において、周辺視野画像20や撮像画角枠21の表示を行わせず、例えば図11Bのように拡大画22のみを、画面内の中央に表示させる。
【0087】
接眼状態で周辺視野画像20が例えば図11Aのようになると、周辺が適切に表示されなくなり、また撮像装置1Bの撮像視野の画像も含まれなくなる。また従って撮像画角枠21も表示できない。
そこで撮像装置1Bの撮像画像としての拡大画22のみを表示させることとする。特に図2Bのような姿勢の場合、ユーザは撮像装置1Bのビューファインダーを覗く感覚になるため、撮像装置1Bの撮像画像のみが表示されることも違和感を生じさせない。
【0088】
一方、ステップS120で接眼状態と判定されなかった場合は、画像処理装置3の処理はステップS121からステップS123に進む。
これは、例えば図2Cのように、撮像装置1A、1Bの撮像方向が大きく異なり、撮像装置1Bの撮像視野の画像が撮像装置1Aの撮像画像(周辺視野画像20)内に存在しない場合と考えられる。
【0089】
そこで画像処理装置3は、例えば図12Aのように、周辺視野画像20と拡大画22の表示が行われるように制御する。
この場合、当然ながら撮像画角枠21は表示されない。該当箇所が存在しないためである。拡大画22については、周辺視野画像20内の固定位置に表示させる。図12Aの例では、周辺視野画像20の右隅部分に拡大画22を重畳表示させる例としている。
【0090】
なお、このような場合、画像処理装置3は図12Bのように、周辺視野画像20のみを表示させるように制御してもよい。
図12Bの表示であれば、例えばユーザが図2Cのような姿勢をとったときに、概略自分の視野に相当する周辺視野画像20に対して、撮像装置1Bの視野が入らなくなった状態を認識し易い。
逆に図12Aの表示であれば、ユーザがどのような顔の向きで周辺視野を確認した場合でも、撮像装置1Bで撮像中の被写体を認識できる。
いずれも利点はあるため、ステップS123に進む場合に、図12Aのように拡大画22を固定表示するか、図12Bのように拡大画22を非表示とするかをユーザが選択できるようにしてもよい。
【0091】
続いて図6のステップS104の撮像画角枠21のサイズに関する処理について述べる。
画像処理装置3は、周辺視野画像20内の撮像画角枠21の範囲が判定できた場合でも、ステップS104で「サイズ大」と判定した場合は、ステップS110に進む。
この撮像画角枠21の「サイズ大」とは図13Aのような状態をいう。即ち拡大画22に比べて、撮像画角枠21で囲まれる範囲の方が大きくなるような場合である。
具体的にはステップS104では、
W×H≦Wz×Hz
であるか否かを判定すればよい。
なお拡大画22のサイズWz×Hzは固定サイズとすることが考えられる。
【0092】
W×H≦Wz×Hzでなければ、ステップS105に進み、上記の図10B図10C、又は図10Dのような表示が行われる。この場合は、撮像画角枠21より拡大画22の方が大きいため、拡大画22を表示する意味があるためである。つまり上述のようにユーザに詳細な撮像装置1Bの撮像画像を視認させることができる。
【0093】
一方、W×H≦Wz×Hzであるときは、そのまま同様に処理すると、図13Aのような表示になってしまい、拡大画22を表示する意味があまりなくなる。撮像画角枠21の範囲の画像(つまり撮像装置1Aの撮像画像の一部)により、撮像装置1Bの撮像画像を詳細に視認できるためである。
そこで画像処理装置3はステップS110に進み、拡大画22を非表示として周辺視野画像20と撮像画角枠21の表示制御を行う。つまり表示装置2において図13Bのような表示を実行させる。
【0094】
なお、このような状態になるのは、例えば撮像装置1Bが広角撮像を行うことで、撮像装置1A、1Bの画角差が小さくなった場合として想定される。
【0095】
またステップS104では、W×H≦Wz×Hzとして判定する以外にも、
W×H≦(閾値thS)
としての判定をおこなってもよい。即ち撮像画角枠21のサイズが所定面積以上となったら、ステップS110に進むようにしてもよい。
この場合の所定面積としての閾値thSは、拡大画22のサイズに限らない。例えば撮像画角枠21が若干、拡大画22より小さいものであっても、撮像画角枠21が比較的大きくなることで、拡大画22を表示させる意味が低下することもある。従って、撮像画角枠21がある程度以上のサイズとなって、枠内の被写体が十分詳細に視認できるサイズの場合は、ステップS110に進むようにし、拡大画22を非表示としてもよい。
【0096】
続いて図6のステップS106の処理について説明する。
ステップS105で撮像画角枠21の位置/サイズに応じて拡大画22の配置位置を計算すると、例えば図14Aに示すように、拡大画22が周辺視野画像20からはみ出す場合が生じ得る。このはみ出す程度も多様であり、図14Bのように拡大画22の1/2未満の領域がはみ出したり、図14Bのように拡大画22の1/2以上の領域がはみ出したりすることなどが生ずる。
基本的には上述のようにエリアAR1,AR2,AR3に応じて拡大画22を右側に配置するか左側に配置するかを設定するが、撮像画角枠21からのオフセット量offset_xを確保して配置位置を設定するため、撮像画角枠21のサイズが大きくなったときに図14A図14B図14Cのようなはみ出しが生じやすい。
【0097】
このようなはみ出しに対しては多様な考え方で許容範囲を設定することが想定される。
例えば拡大画22の領域の1/2未満のはみ出しを許容範囲とした場合、図14A図14Bのようなはみ出しは許容範囲として、ステップS107に進む。一方、図14Cのようなはみ出しは許容外として、ステップS110に進む。上記のようにステップS110では、拡大画22を非表示とする(図13B参照)。
これにより、拡大画22について許容外のはみ出しが生じた場合は、拡大画22を表示させないことで、体裁のよくない表示を行わないようにする。また、エリアAR1,AR2,AR3の設定や、それに応じた拡大画22の算出式が適正であれば、はみ出しが生ずるのは、撮像画角枠21のサイズがある程度大きくなったときともいえる。従って無理に拡大画22を表示させなくとも、撮像画角枠21の範囲の画像により、撮像装置1Bの撮像画像を確認しやすいという事情もある。
【0098】
以上の図6の処理が行われることにより、周辺視野画像20内での撮像画角枠21や拡大画22の表示が重なることなく適切に行われる。また周辺視野画像20、撮像画角枠21、拡大画22のそれぞれは、状況に応じて表示されることになる。
【0099】
<3.第2の実施の形態>
第2の実施の形態としてフォーカス枠を利用する例を説明する。
例えば図15Aのように、周辺視野画像20内において、撮像画角枠21に代えてフォーカス枠23を表示させる。
【0100】
画像処理装置3としては、上述した撮像画角枠21に関する処理をフォーカス枠23に関する処理に読み替えればよい。例えば画像処理装置3の機能構成としては、図1の撮像画角枠合成部11に代えて、図15Bのようにフォーカス枠合成部11Aを備える。
【0101】
処理は図6と概略同様で、撮像画角枠21に関する処理をフォーカス枠23に関する処理に読み替えればよい。
例えばステップS101では、撮像装置1Bからフォーカス枠の位置情報を取得し、それが周辺視野画像20内のどの範囲になるかを検出する。またステップS103はフォーカス枠のサイズを判定する。
そしてステップS107では、周辺視野画像20、フォーカス枠23、拡大画22の表示制御を行う。ステップS110では周辺視野画像20、フォーカス枠23の表示制御を行う。
【0102】
この場合、拡大画22の配置位置はフォーカス枠23を基準に算出することになる。このため図6のステップS105の拡大画配置座標計算では図16の処理を行う。
画像処理装置3はステップS160で周辺視野画像20内における撮像装置1Bのフォーカス枠の位置情報を取得する。そしてステップS161でフォーカス枠23の中心座標が位置するエリアを探索する。例えばフォーカス枠の中心がエリアAR1,AR2,AR3のいずれかに位置するかを判定する。
以降、ステップS152,S153,S154は図7と同様である。
【0103】
このようにフォーカス枠23を基準に拡大画22の配置位置設定を行うことと、フォーカス枠23と拡大画22を共に視認が良好な状態に表示できる。
【0104】
なお、以上では周辺視野画像20内にフォーカス枠23と拡大画22を表示するものとしたが、フォーカス枠23を表示せずに、撮像画角枠21を表示する場合に、拡大画22の配置位置を図16の処理でフォーカス枠23を基準に設定することも可能である。
また表示例としては、周辺視野画像20内に、撮像画角枠21、フォーカス枠23、拡大画22を表示させてもよい。
また周辺視野画像20内に撮像画角枠21、フォーカス枠23のいずれを表示させる場合でも、拡大画22の配置位置は、これら以外に、被写体の位置を検出できる情報を用いて算出することができる。例えば撮像装置1Bの被写体の特徴点、特定形状、色情報、被写体の移動予測位置などである。
【0105】
<4.第3の実施の形態>
第3の実施の形態として、第1の実施の形態のようにエリア分割して拡大画22の左右配置を決める場合に、拡大画22の左右配置が頻繁に切り替わらないようにする例を説明する。
【0106】
この場合、図6の処理は同様である。画像処理装置3は、図6のステップS105の拡大画配置座標計算の処理として図17の処理を行う。
画像処理装置3は、図17のステップS150で撮像画角枠情報を取得する。即ち図6のステップS101で求めた視野範囲の情報に基づき、図9に示した撮像画角枠21の中心や四隅の各座標値を取得する。
【0107】
図17のステップS151で画像処理装置3は、撮像画角枠21の中心、即ち中心座標(x0,y0)が位置するエリアを探索する。例えば図10AのエリアAR1,AR2,AR3のいずれであるかを探索する。
【0108】
中心座標(x0,y0)がエリアAR1であった場合は、画像処理装置3はステップS170,ステップS171を経てステップS173に進み、エリアAR1用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
エリアAR1用の計算式とは、第1の実施の形態でエリアAR1,AR2用の計算式として挙げた計算式である。
【0109】
中心座標(x0,y0)がエリアAR3に位置する場合、画像処理装置3はステップS170,ステップS171を経てステップS174に進み、エリアAR3用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。即ちエリアAR3用の計算式とは、第1の実施の形態と同様である。
【0110】
中心座標(x0,y0)が中央のエリアAR2に位置する場合、画像処理装置3はステップS170からステップS172に進み、前フレームで、エリアAR1用の計算式と、エリアAR3用の計算式のいずれを用いて配置座標計算を行ったかにより処理を分岐する。
即ち前フレームでエリアAR1用の計算式を用いた場合は、ステップS173に進み、エリアAR1用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
また前フレームでエリアAR3用の計算式を用いた場合は、ステップS174に進み、エリアAR3用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0111】
つまりこの例では、エリアAR2は左右配置切り替えにヒステリシスを持たせた緩衝エリアとして機能する。
例えば撮像画角枠21が或るフレームでエリアAR1に位置し、拡大画22が右側に表示されている状態から、フレーム毎に撮像画角枠21が徐々に右に移動していき、エリアAR2に入ったとしても、拡大画22が右側に表示されたままとなる。その後さらに撮像画角枠21が右に移動してエリアAR3に入ったときに拡大画22が左側に表示される。
また、撮像画角枠21が或るフレームでエリアAR3に位置し、拡大画22が左側に表示されている状態から、フレーム毎に撮像画角枠21が徐々に左に移動していき、エリアAR2に入ったとしても、拡大画22が左側に表示されたままとなる。その後さらに撮像画角枠21が左に移動してエリアAR1に入ったときに拡大画22が右側に表示される。
【0112】
このようにすることで、拡大画22の表示位置がエリア境界で頻繁に左右に切り替わってしまうことが防止される。これにより頻繁な左右切り替えにより見辛さを生じさせないものとなる。
【0113】
<5.第4の実施の形態>
第4の実施の形態を図18で説明する。
これは図18Aのように分割境界BD0により、エリアAR1、AR3の2つのエリアに分割した例である。この例では分割境界BD0を水平方向の中央よりやや右側の位置としている。
【0114】
撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR1内である場合、図18B図18Cのように、撮像画角枠21の右側に拡大画22が配置されるようにする。
また撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR3内である場合、図18Dのように、撮像画角枠21の左側に拡大画22が配置されるようにする。
つまり、これは第1の実施の形態のエリアAR1,AR2を、エリアAR1にまとめた考え方である。
このように最低限2つのエリアに分割することで、拡大画22を適切に左右に配置変更できる。
なお、第3の実施の形態のように左右変更にヒステリシスを持たせる場合は、例えば図18EのようにラインHTを設定し、エリアAR1内では、ラインHTより右側は、第3の実施の形態におけるエリアAR2と同様に扱うことが考えられる。
【0115】
<6.第5の実施の形態>
第5の実施の形態として、周辺視野画像20内を水平方向に3個、垂直方向に3個に分割して9分割する例を説明する。
例えば図19Aに示すように垂直方向の境界線BD1,BD2、水平方向の境界線BD3,BD4により、エリアAR1からエリアAR9を設定する。
【0116】
この場合も画像処理装置は、図6の処理を行えばよいが、ステップS105の拡大画配置座標計算の処理としては、9個のエリアAR1からエリアAR9のうちで、撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)が位置するエリアに応じた計算式を用いて、拡大画22の配置位置を計算することになる。
特にこの場合、拡大画22の左右の配置だけでなく上下方向の配置の切り替えも行うようにする。
【0117】
具体的には撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)が上下方向での中央のエリアであるエリアAR4、AR5、AR6のいずれかに属する場合は、撮像画角枠21の右側又は左側に水平オフセット量offset_xをもって拡大画22が配置されるようにする。図19Bは拡大画22が右側に配置された例を示している。
また撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)が上下方向での下側のエリアであるエリアAR7、AR8、AR9のいずれかに属する場合は、撮像画角枠21の右上側又は左上側に水平オフセット量offset_x及び垂直オフセット量offset_yをもって拡大画22が配置されるようにする。図19Cは拡大画22が右上側に配置された例を示している。
また撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)が上下方向での上側のエリアであるエリアAR1、AR2、AR3のいずれかに属する場合は、撮像画角枠21の右下側又は左下側に水平オフセット量offset_x及び垂直オフセット量offset_yをもって拡大画22が配置されるようにする。図19Dは拡大画22が右下側に配置された例を示している。
【0118】
このような配置のための図6のステップS105の処理例を図20に示す。
画像処理装置3は、図20のステップS150で撮像画角枠情報を取得する。即ち図6のステップS101で求めた視野範囲の情報に基づき、図9に示した撮像画角枠21の中心や四隅の各座標値を取得する。
【0119】
図20のステップS151で画像処理装置3は、撮像画角枠21の中心、即ち中心座標(x0,y0)が位置するエリアを探索する。例えば図19AのエリアAR1からエリアAR9のいずれであるかを探索する。
【0120】
中心座標(x0,y0)がエリアAR1、AR2、AR3のいずれかに位置する場合は、画像処理装置3はステップS201からステップS210に進む。
【0121】
そして中心座標(x0,y0)がエリアAR1に位置する場合は、画像処理装置3はステップS211を経てステップS213に進み、後述のエリアAR1用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0122】
また中心座標(x0,y0)がエリアAR3に位置する場合は、画像処理装置3はステップS211を経てステップS214に進み、後述のエリアAR3用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0123】
中心座標(x0,y0)が中央のエリアAR2に位置する場合、画像処理装置3はステップS210からステップS212に進み、前フレームで左エリア用計算式と右エリア用計算式のいずれを用いて配置座標計算を行ったかにより処理を分岐する。
この場合、左エリア用計算式とは、エリアAR1用の計算式、エリアAR4用の計算式、エリアAR7用の計算式を指す。
また右エリア用計算式とは、エリアAR3用の計算式、エリアAR6用の計算式、エリアAR9用の計算式を指す。
前フレームで左エリア用計算式を用いた場合は、ステップS213に進み、エリアAR1用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
また前フレームで右エリア用の計算式を用いた場合は、ステップS214に進み、エリアAR3用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0124】
中心座標(x0,y0)がエリアAR4、AR5、AR6のいずれかに属する場合は、画像処理装置3はステップS201、S202を経てステップS220に進む。
【0125】
そして中心座標(x0,y0)がエリアAR4に位置する場合は、画像処理装置3はステップS221を経てステップS223に進み、後述のエリアAR4用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0126】
また中心座標(x0,y0)がエリアAR6に位置する場合は、画像処理装置3はステップS221を経てステップS224に進み、後述のエリアAR6用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0127】
中心座標(x0,y0)が中央のエリアAR5に位置する場合、画像処理装置3はステップS220からステップS222に進み、前フレームで、左エリア用計算式と右エリア用計算式のいずれを用いて配置座標計算を行ったかにより処理を分岐する。
前フレームで左エリア用の計算式を用いた場合は、ステップS223に進み、エリアAR4用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
また前フレームで右エリア用計算式を用いた場合は、ステップS224に進み、エリアAR6用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0128】
中心座標(x0,y0)がエリアAR7、AR8、AR9のいずれかに属する場合は、画像処理装置3はステップS201、S202を経てステップS230に進む。
【0129】
そして中心座標(x0,y0)がエリアAR7に位置する場合は、画像処理装置3はステップS231を経てステップS233に進み、後述のエリアAR7用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0130】
また中心座標(x0,y0)がエリアAR9に位置する場合は、画像処理装置3はステップS231を経てステップS234に進み、後述のエリアAR9用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0131】
中心座標(x0,y0)が中央のエリアAR8に位置する場合、画像処理装置3はステップS230からステップS232に進み、前フレームで左エリア用計算式と右エリア用計算式のいずれを用いて配置座標計算を行ったかにより処理を分岐する。
前フレームで左エリア用計算式を用いた場合は、ステップS233に進み、エリアAR7用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
また前フレームで右エリア用計算式を用いた場合は、ステップS234に進み、エリアAR9用に設定された計算式を用いて拡大画22の配置座標計算を行う。
【0132】
各エリアに応じて拡大画22の四隅の座標を求める計算式は次のようになる。
まずは一例として、撮像画角枠21の端辺を基準とする計算例を示す。
なお各座標の定義は図9のとおりである。
また“xr”は撮像画角枠21の右端辺のx座標値、“xl”は撮像画角枠21の左端辺のx座標値、“yu”は撮像画角枠21の上端辺のy座標値、“yd”は撮像画角枠21の下端辺のy座標値である(図19B図19C図19D参照)。
【0133】
・エリアAR1用の計算式
(Xul,Yul)=(xr+offset_x , yd-offset_y)
(Xur,Yur)=(xr+offset_x+Wz , yd-offset_y)
(Xdl,Ydl)=(xr+offset_x , yd-offset_y-Hz)
(Xdr,Ydr)=(xr+offset_x+Wz , yd-offset_y-Hz)
【0134】
・エリアAR3用の計算式
(Xul,Yul)=(xl-offset_x-Wz , yd-offset_y)
(Xur,Yur)=(xl-offset_x , yd-offset_y)
(Xdl,Ydl)=(xl-offset_x-Wz , yd-offset_y-Hz)
(Xdr,Ydr)=(xl-offset_x , yd-offset_y-Hz)
【0135】
・エリアAR4用の計算式
(Xul,Yul)=(xr+offset_x , y0+Hz/2)
(Xur,Yur)=(xr+offset_x+Wz , y0+Hz/2)
(Xdl,Ydl)=(xr+offset_x , y0-Hz/2)
(Xdr,Ydr)=(xr+offset_x+Wz , y0-Hz/2)
【0136】
・エリアAR6用の計算式
(Xul,Yul)=(xl-offset_x-Wz , y0+Hz/2)
(Xur,Yur)=(xl-offset_x , y0+Hz/2)
(Xdl,Ydl)=(xl-offset_x-Wz , y0-Hz/2)
(Xdr,Ydr)=(xl-offset_x , y0-Hz/2)
【0137】
・エリアAR7用の計算式
(Xul,Yul)=(xr+offset_x , yu+offset_y+Hz)
(Xur,Yur)=(xr+offset_x+Wz , yu+offset_y+Hz)
(Xdl,Ydl)=(xr+offset_x , yu+offset_y)
(Xdr,Ydr)=(xr+offset_x+Wz , yu+offset_y)
【0138】
・エリアAR9用の計算式
(Xul,Yul)=(xl-offset_x-Wz , yu+offset_y+Hz)
(Xur,Yur)=(xl-offset_x , yu+offset_y+Hz)
(Xdl,Ydl)=(xl-offset_x-Wz , yu+offset_y)
(Xdr,Ydr)=(xl-offset_x , yu+offset_y)
【0139】
また拡大画22の配置のための配置座標計算は、上記に代えて、撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)を基準とする計算例によっても可能である。
各エリアについて次のように撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)から拡大画22の中心座標(X0,Y0)を求める。
【0140】
・エリアAR1用の計算式
(X0,Y0)=(x0+W/2+offset_x+Wz/2 ,y0-H/2-offset_y-Hz/2)
・エリアAR3用の計算式
(X0,Y0)=(x0-W/2-offset_x-Wz/2 ,y0-H/2-offset_y-Hz/2)
・エリアAR4用の計算式
(X0,Y0)=(x0+W/2+offset_x+Wz/2 ,y0)
・エリアAR6用の計算式
(X0,Y0)=(x0-W/2-offset_x-Wz/2 ,y0)
・エリアAR7用の計算式
(X0,Y0)=(x0+W/2+offset_x+Wz/2 ,y0+H/2+offset_y+Hz/2)
・エリアAR9用の計算式
(X0,Y0)=(x0-W/2-offset_x-Wz/2 ,y0+H/2+offset_y+Hz/2)
【0141】
そして各場合において、次の式で拡大画22の四隅の座標を求める。
(Xul,Yul)=(X0-Wz/2 , Y0+Hz/2)
(Xur,Yur)=(X0+Wz/2 , Y0+Hz/2)
(Xdl,Ydl) =(X0-Wz/2 , Y0-Hz/2)
(Xdr,Ydr)=(X0+Wz/2 , Y0-Hz/2)
【0142】
以上の例の計算式を用いて図20の処理が行われることで、拡大画22は次のように配置される。
【0143】
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR1内にあるとき、拡大画22は、撮像画角枠21の右端辺から水平オフセット量offset_x及び下端辺から垂直オフセット量offset_yをもった右下側に配置される。
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR3内にあるとき、拡大画22は、撮像画角枠21の左端辺から水平オフセット量offset_x及び下端辺から垂直オフセット量offset_yをもった左下側に配置される。
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR2内にあるとき、拡大画22は、以上の右下側配置か左下側配置のいずれかの状態となる。
【0144】
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR4内にあるとき、拡大画22は、撮像画角枠21の右端辺から水平オフセット量offset_xをもった右側に配置される。
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR6内にあるとき、拡大画22は、撮像画角枠21の左端辺から水平オフセット量offset_xをもった左側に配置される。
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR5内にあるとき、拡大画22は、以上の右側配置か左側配置のいずれかの状態となる。
【0145】
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR7内にあるとき、拡大画22は、撮像画角枠21の右端辺から水平オフセット量offset_x及び上端辺から垂直オフセット量offset_yをもった右上側に配置される。
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR9内にあるとき、拡大画22は、撮像画角枠21の左端辺から水平オフセット量offset_x及び上端辺から垂直オフセット量offset_yをもった左上側に配置される。
・撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)がエリアAR8内にあるとき、拡大画22は、以上の右上側配置か左上側配置のいずれかの状態となる。
【0146】
例えば以上のように拡大画22の配置位置が設定されることで、周辺視野画像20内での撮像画角枠21や拡大画22の表示が重なることなく適切に行われる。特に拡大画22が撮像画角枠21に対して、エリアに応じて上下左右に配置されること、及びオフセット量offset_x、offset_yとしての所定の距離を保って配置されることで、ユーザに対して視認性のよい表示状態となる。
また左右位置の方向について水平方向の中央のエリアAR2,AR5,AR8が拡大画22の左右配置切り替えにヒステリシスを持たせた緩衝エリアとして機能することで、頻繁な左右切り替わりがなく、視認性向上に適している。
なお、上下方向の配置の切り替わりについてヒステリシスを持たせるようにしてもよい。
【0147】
なお図6のステップS103,S104,S106,S110,ステップS120からS123の処理も行われることで、この第5の実施の形態でも例外的な処理として、拡大画22が非表示となったり、周辺視野画像20が非表示となったり、拡大画のみの表示となったりもする。これにより撮像装置1A、1Bの視野状態や撮像方向に応じて適した表示が実行される。
【0148】
図21にはエリア分割の変形例を示している。
この例はエリアAR5を楕円形にした例であるが、このように曲線を用いてエリア分割設定をしてもよい。もちろんエリア分割の例は他にも多様に考えられる。
【0149】
<7.第6の実施の形態>
第6の実施の形態としては、以上の第1から第5の実施の形態のようなエリア分割設定を伴わない例を説明する。
但し、撮像画角枠21に対して、拡大画22を一定間隔空いた位置に配置することや、撮像画角枠21が移動すると、水平方向に追従するように拡大画22を配置することは同様である。
但し、拡大画22を撮像画角枠21の左右のいずれに配置するかは、基本的には前フレームと同様とし、特定の条件で左右切り替えを行う。
【0150】
図22Aは、撮像画角枠21の右側に拡大画22が配置されている状態を示している。
図22Bは、撮像画角枠21が右側にシフトしたときに、拡大画22も追従して右側にシフトした位置に配置されている状態を示している。
このいずれの場合も、撮像画角枠21と拡大画22は、図23Aに示すように水平オフセット量offset_xをもった位置関係となっている。
【0151】
ある時点で、拡大画22の配置位置が不適切になったと判定されると、拡大画22の配置位置が左右変更され、例えば図22Cのように、撮像画角枠21の左側に拡大画22が配置されるようになる。
この場合も、撮像画角枠21と拡大画22は、図23Bに示すように水平オフセット量offset_xをもった位置関係となっている。
【0152】
このように拡大画22が撮像画角枠21に水平オフセット量offset_xを維持しながら追従しつつ、撮像画角枠21の位置に応じて左右配置が変更されること自体は、第1の実施の形態と概略同様であるが、この場合、左右配置の変更がエリア分割設定に基づかない。
【0153】
この第6の実施の形態の画像処理装置3の処理例を図24に示す。
なお図24において図6と同様の処理は同一のステップ番号を付し、重複説明を避ける。図6と異なるのは、ステップS105Aとして、拡大画配置座標計算の処理が、前フレームと同様に行われることと、それにより拡大画配置座標が適切ではないと判定された場合にステップS131で拡大画配置座標の再計算が行われることである。
【0154】
ステップS105Aでは、拡大画配置座標計算を行う。この場合、前フレームで拡大画22を撮像画角枠21の右側に配置していた場合、現フレームでも、右側配置で計算を行う。即ち、
(X0,Y0)=(x0+W/2+offset_x+Wz/2 , y0)
として拡大画22の中心座標(X0,Y0)を求める。
そして拡大画22の四隅の座標値を次のように求める。
(Xul,Yul)=(X0-Wz/2 , Y0+Hz/2)
(Xur,Yur)=(X0+Wz/2 , Y0+Hz/2)
(Xdl,Ydl) =(X0-Wz/2 , Y0-Hz/2)
(Xdr,Ydr)=(X0+Wz/2 , Y0-Hz/2)
【0155】
またステップS105Aの時点で、前フレームで拡大画22を撮像画角枠21の左側に配置していた場合、現フレームでも、左側配置で計算を行う。即ち、
(X0,Y0)=(x0-W/2-offset_x-Wz/2 , y0)
として拡大画22の中心座標(X0,Y0)を求める。
そして拡大画22の四隅の座標値(Xul,Yul)(Xur,Yur)(Xdl,Ydl)(Xdr,Ydr)を上記同様に求める。
【0156】
これによりステップS107の表示制御で例えば図22A図22B図22Cのような表示が実現される。
但し、ステップS105Aの計算では、拡大画22の配置位置が不適切になる場合がある。即ち、拡大画22が周辺視野画像20からはみ出してしまう場合がある。
その場合、画像処理装置3はステップS130からステップS131に進み、図25に示すような配置座標再計算の処理を行う。
なお、この第6の実施の形態では、水平方向(左右方向)のはみ出しのみを考慮した例としている。配置座標再計算の際に、垂直方向(上下方向)のはみ出しのみを考慮した例は第7の実施の形態として後述する。
【0157】
ステップS105Aで計算した拡大画22の配置位置が、周辺視野画像20からはみ出すものとなって、ステップS131に進んだ場合、最初は図25のステップS301からステップS302に進む。
この場合、拡大画22の配置位置を左右反転して再計算する。例えば上記の右側配置で計算したときにはみ出してしまった場合であるときは、上記の左側配置で再計算する。
そして「c1」で示すように図24のステップS130に戻る。このように左右反転することで、拡大画22が周辺視野画像20からはみ出さない状態になれば、拡大画配置位置OKとしてステップS107に進む。
図26Aは、例えばステップS105Aで計算した状態で拡大画22の配置位置が周辺視野画像20からはみ出している状態を示しているが、図26Bは、拡大画22の配置位置を左右反転することで、周辺視野画像20内となった状態を示している。
【0158】
ところが、左右反転しても、拡大画22の配置位置が未だ適切な位置とならないことも有り得る。
その場合、画像処理装置3は再びステップS130からステップS131に進み、図25の処理を行う。この場合、既に左右反転は実行ずみであるため、画像処理装置3はステップS301からステップS303に進む。そして、まだシフト実行済でないため、ステップS304で拡大画22の配置位置をシフトするように配置位置の再計算を行う。
例えば水平オフセット量offset_xの値を小さくしたうえで上記右側配置の式又は左側配置の式で再計算を行う。
即ち
offset_x=offset_x-Δx
として水平オフセット量offset_xの値を変更して再計算を行う。
Δxの値は、固定値でもよいし、x軸方向のはみ出し量としてもよい。
【0159】
そして「c1」で示すように図24のステップS130に戻る。このように水平方向シフトを行うことで、拡大画22が周辺視野画像20からはみ出さない状態になれば、拡大画配置位置OKとしてステップS107に進む。
図27Aは、例えば再計算で左右反転しても拡大画22の配置位置が周辺視野画像20の左側にはみ出している場合に、右への水平方向シフトを行うことで、拡大画22の配置位置をはみ出さない位置に変更していることを示している。
図27Bは、例えば再計算で左右反転しても拡大画22の配置位置が周辺視野画像20の右側にはみ出している場合に、左への水平方向シフトを行うことで、拡大画22の配置位置をはみ出さない位置に変更していることを示している。
【0160】
ただし、以上のように左右反転及びシフトを行っても、拡大画22の配置位置が不適切な場合もありえる。その場合、3たびステップS131に進むことになるが、その場合は図25のステップS303から「c2」で示すように図24のステップS110に進む。この場合は、拡大画22を非表示として周辺視野画像20と撮像画角枠21の表示制御を行うこととする。
【0161】
このように第6の実施の形態では、撮像画角枠21に追従させる拡大画22が周辺視野画像20からはみ出る状態となったときに、左右反転させ、さらにそれでもはみ出る場合はシフトさせることで対応する。
なお、拡大画22が少しでも周辺視野画像20からはみ出すときに、ステップS131の再計算を行うものとしてもよいが、若干のはみ出しはステップS130で許容範囲としてもよい。
【0162】
<8.第7の実施の形態>
第7の実施の形態は、第6の実施の形態に加えて、撮像画角枠21が垂直方向に移動した場合は、拡大画22の配置位置が反対方向に移動するようにする例である。
【0163】
例えば図8の座標系において、撮像画角枠21の中心座標(x0,y0)=(x0,0)の場合は、拡大画22の中心座標(X0,Y0)=(X0,0)となり、図22A図22B図22Cのように撮像画角枠21の真横方向に拡大画22の配置位置が設定される。
一方で、撮像画角枠21の垂直方向位置がy座標値=0より上方にずれた場合、拡大画22の配置位置は、図28Aに示すように同等のずれ分だけ下方にずれるようにする。ただし、図29Aのように水平オフセット量offset_xは維持される。
また、撮像画角枠21の垂直方向位置がy座標値=0より下方にずれた場合、拡大画22の配置位置は、図28Bに示すように同等のずれ分だけ上方にずれるようにする。この場合も図29Bのように水平オフセット量offset_xは維持される。
【0164】
このようにする場合も処理は図24と同様であるが、ステップS105Aの拡大画配置座標計算の処理では、例えば次のような計算を行う。
【0165】
ステップS105Aの拡大画配置座標計算の際に、前フレームで拡大画22を撮像画角枠21の右側に配置していた場合、現フレームでも、右側配置で計算を行う。即ち、
(X0,Y0)=(x0+W/2+offset_x+Wz/2 , 0-y0)
として拡大画22の中心座標(X0,Y0)を求める。
つまり中心座標(X0,Y0)におけるY座標値Y0の計算が第6の実施の形態と異なる。
そして拡大画22の四隅の座標値を次のように求める。
(Xul,Yul)=(X0-Wz/2 , Y0+Hz/2)
(Xur,Yur)=(X0+Wz/2 , Y0+Hz/2)
(Xdl,Ydl) =(X0-Wz/2 , Y0-Hz/2)
(Xdr,Ydr)=(X0+Wz/2 , Y0-Hz/2)
【0166】
またステップS105Aの時点で、前フレームで拡大画22を撮像画角枠21の左側に配置していた場合、現フレームでも、左側配置で計算を行う。即ち、
(X0,Y0)=(x0-W/2-offset_x-Wz/2 , 0-y0)
として拡大画22の中心座標(X0,Y0)を求める。
そして拡大画22の四隅の座標値(Xul,Yul)(Xur,Yur)(Xdl,Ydl)(Xdr,Ydr)を上記同様に求める。
【0167】
これにより、図28のように左右に追従し、上下に反転追従するように拡大画22の配置位置が設定される。
拡大画22が周辺視野画像20からはみ出る場合は、画像処理装置3はステップS131での配置座標再計算の処理は図25に代えて図30のように行う。
【0168】
現フレームにおいて最初に配置座標再計算の処理を行う場合、画像処理装置3はステップS320を経てステップS321で、先にステップS105Aで計算した拡大画22の配置位置において、水平方向のはみ出しが生じているか否かを確認する。
はみ出しは水平方向と垂直方向に生ずる可能性がある。
【0169】
垂直方向のみにはみ出しが生じている場合は、画像処理装置3はステップS324に進み、拡大画22の配置位置を垂直方向にシフトするように配置位置の再計算を行う。
例えば図31Aのように上方にはみ出ている場合は、
(X0,Y0)=(x0-W/2-offset_x-Wz/2 , 0-y0-Δy)
また図31Bのように下方にはみ出ている場合は、
(X0,Y0)=(x0-W/2-offset_x-Wz/2 , 0-y0+Δy)
とする。
Δyの値は、固定値でもよいし、図31A図31Bに示すy軸方向のはみ出し量としてもよい。
そして「c1」で示すように図24のステップS130に戻る。
【0170】
一方、水平方向のはみ出しがある場合は、画像処理装置3は図30のステップS321からステップS325に進み、先にステップS105Aで計算した拡大画22の配置位置において、垂直方向のはみ出しが生じているか否かを確認する。
垂直方向のはみ出しが生じていなければ、画像処理装置3はステップS326に進み、拡大画22の配置位置を左右反転して再計算する。例えば上記の右側配置で計算したときにはみ出してしまった場合であるときは、上記の左側配置で再計算する。
そして「c1」で示すように図24のステップS130に戻る。
【0171】
図30のステップS325で垂直方向のはみ出しが生じている場合、つまり水平方向、垂直方向の両方にはみ出ている場合は、画像処理装置3はステップS327に進み、拡大画22の配置位置を左右反転し、かつ垂直方向にシフトするように再計算する。
そして「c1」で示すように図24のステップS130に戻る。
【0172】
以上のように左右反転と垂直方向シフトの一方又は両方を行うことで、拡大画22が周辺視野画像20からはみ出さない状態になれば、拡大画配置位置OKとして図24のステップS107に進む。
ところが、左右反転,垂直方向シフトの一方又は両方を行っても、拡大画22の配置位置が未だ適切な位置とならないことも有り得る。
その場合、画像処理装置3は再び図24のステップS130からステップS131に進み、図30の処理を行う。
この場合、既に左右反転は実行ずみであるため、画像処理装置3はステップS320からステップS323に進む。そして、まだ水平方向シフトは実行済でないため、ステップS329で拡大画22の配置位置を水平方向シフトするように配置位置の再計算を行う。
例えば水平オフセット量offset_xの値を小さくしたうえ(例えばoffset_x=offset_x-Δxとする)で上記右側配置の式又は左側配置の式で再計算を行う。
【0173】
そして「c1」で示すように図24のステップS130に戻る。このように水平方向シフトを行うことで、拡大画22が周辺視野画像20からはみ出さない状態になれば、拡大画配置位置OKとしてステップS107に進む。
ただし、以上のように左右反転、垂直方向シフト、及び水平方向シフトを行っても、拡大画22の配置位置が不適切な場合もありえる。その場合、3たびステップS131に進むことになるが、その場合は図30のステップS323から「c2」で示すように図24のステップS110に進む。この場合は、拡大画22を非表示として周辺視野画像20と撮像画角枠21の表示制御を行うこととする。
【0174】
以上のように第7の実施の形態では、拡大画22の配置位置は、撮像画角枠21に対して水平方向に追従、垂直方向に反転追従し、また周辺視野画像20からはみ出す場合は垂直方向シフト、左右反転、水平方向シフトで対応する。
なお図30のような垂直及び水平方向のはみ出しを考慮した配置座標再計算の処理は、第6の実施の形態の場合でも採用できる。
【0175】
<9.撮像画角枠の表示>
以上の各実施の形態においては、撮像画角枠21は長方形で示していたが必ずしも長方形でなくてもよい。例えば図32Aに非長方形の撮像画角枠21を示している。
【0176】
特に撮像装置1Aと撮像装置1Bの撮像方向が異なる場合、その視野方向の差に応じた形状とされることで、撮像装置1Bの撮像方向が立体的に視認できるようにしてもよい。
例えば図32Bのように、視点Eを撮像装置1Bの位置としたときに、撮像画角枠21を、撮像装置1Bの画角を視点Eから投影した形状とすることが考えられる。
【0177】
なお、このように撮像画角枠21が長方形でなくても、図32Bのように擬似的な長方形として扱い、垂直方向サイズH、水平方向サイズW、中心座標(x0,y0)を定義すれば、上述の各実施の形態の手法で拡大画22の配置位置を算出できる。
【0178】
<10.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態では次のような効果が得られる。
第1から第7の実施の形態の画像処理装置3は、撮像装置1Aで撮像された周辺視野画像20(第1画像)内に、撮像装置1Aの撮像視野内の一部の視野を撮像可能な撮像装置1Bの撮像視野の画像である拡大画22(第2画像)を配置する合成処理を行う画像合成部12を備える。
撮像装置1Aで撮像した比較的広い視野の周辺視野画像20上で、撮像装置1Bによる比較的狭い撮像視野の画像である拡大画22が表示されることで、周辺視野内で一部を拡大した状態で、撮像装置1Bの撮像対象を確認できることになる。従ってユーザは、周辺視野を確認しながら、撮像装置1Bにより被写体を追うようなことが容易になる。
【0179】
例えば広い光景内で人や動物などの一部の被写体を追って撮像する場合や、モータースポーツなどで非常に速く動く被写体を追う場合などでは、被写体のズーム画のみを確認していると、被写体を追うことが困難となる。実施の形態のように撮像装置1Aによる周辺視野画像20内に、撮像装置1Bの撮像視野を示す拡大画22を表示させることで、ユーザは広い視野の範囲を確認しながらズームして目標の被写体を追うことができ、上記のような撮像シチュエーションにおいて好適となる。
【0180】
また撮像装置1Bでターゲットとする被写体については、拡大画22として周辺の他の被写体よりも精細に表示されるため、目標被写体自体の状態の確認にも好適である。
また、より広角の周辺視野画像20内で拡大画22を表示させることで、周辺の状況と目標被写体を同時に確認したいユーザは、表示に対する視線の移動が少なくなり、見やすいものとなる。
また拡大画22内に周辺視野画像20を表示するのではなく、周辺視野画像20内に拡大画22を表示することで、周辺視野画像20が無闇に小さくならずに、周辺状況の確認にも適している。
【0181】
なお、拡大画22は、撮像装置1Bにより撮像された画像データを用いて、撮像装置1Aで撮像された周辺画像の画像データに対して合成するが、撮像装置1Bにより撮像された画像データを用いなくてもよい。例えば周辺画像の画像データにおける撮像画角枠21の範囲の画像データを抽出し、補間処理を行って拡大画像データを生成し、その拡大画像データが周辺画像の画像データ上に重畳表示されるように合成処理をおこなってもよい。即ち拡大画22(第2画像)は、撮像装置1Bの撮像視野の画像、即ち撮像装置1Bで撮像されている視野範囲を示す画像であればよい。
【0182】
第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態では、画像処理装置3は、周辺視野画像20内で、撮像装置1Bの撮像視野の範囲を検出する範囲検出部10と、周辺視野画像20に、範囲検出部10で検出した撮像視野の範囲を示す撮像画角枠21を合成する撮像画角枠合成部11とを備えたものとした。
周辺視野画像20内で撮像画角枠21が示されることで、周辺視野画像20内で撮像装置1Bがどの範囲を撮像しているかを確認できることになり、ユーザにとっては、より目標被写体を追いやすくなる。
また、撮像画角枠21と拡大画22が表示されることで、周辺視野画像20内で目標被写体の位置を確認しながら、撮像装置1Bで撮像している目標被写体の画像(目標被写体の詳細な状況)も確認できる。
特に周辺視野画像20内に撮像画角枠21と拡大画22が表示されることで、ユーザの視線の移動も小さく、周辺と目標被写体を同時に確認しやすくなる。
【0183】
第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、撮像画角枠21の位置に応じて設定するものとした。
周辺視野画像20内で撮像画角枠21と拡大画22が表示されることで、ユーザは周辺視野画像20内で撮像装置1Bがどの範囲を撮像しているかを確認しながら目標被写体の撮像状況を確認できるが、これらがそれぞれ適切に配置されて表示されることが重要となる。
ところが、周辺視野画像20内での撮像画角枠21の位置は、撮像装置1Aと撮像装置1Bのそれぞれの視野方向に応じて変化し、また撮像画角枠21のサイズは、撮像装置1Bのズーム状態(画角)に応じて変化するため、拡大画22の表示位置を固定していると、撮像画角枠21と拡大画22が重なってしまうことも生ずる。
そこで各実施の形態で述べたように、周辺視野画像20内における拡大画22の位置が、撮像画角枠21の位置に応じて可変設定されるようにしている。これにより撮像画角枠21と拡大画22が、撮像装置1A,1Bの視野方向の変化にも関わらず、重ならずにそれぞれ見やすい状態に配置されて表示され、同時に視認できることになる。
【0184】
第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、撮像画角枠21の位置に対して所定距離関係で追従するように設定する例を示した。
周辺視野画像20内で、拡大画22が撮像画角枠21に対して所定の距離関係を保って追従するようにすることで、拡大画22と撮像画角枠21が重なることがなくなるとともに、表示上で一定距離の関係で配置されるため、ユーザは拡大画22と撮像画角枠21の両方を視認しやすくなる。
【0185】
第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、撮像画角枠21の水平方向の位置変化に対して所定の水平距離を保って追従するように設定する例を示した。
周辺視野画像20内で、拡大画22が撮像画角枠21に対して所定の水平方向の距離関係を保って追従するようにすることで、ユーザは拡大画22と撮像画角枠21の両方を水平方向の一定の間隔で視認できる。
【0186】
第5の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、前記撮像画角枠の垂直方向の位置変化に対して所定の垂直距離を保って追従するように設定する例を示した。
周辺視野画像20内で、拡大画22が撮像画角枠21に対して所定の垂直方向の距離関係を保って追従するようにすることで、ユーザは拡大画22と撮像画角枠21の両方を垂直方向の一定の間隔で視認できる。
【0187】
第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20の座標空間において、拡大画22の配置位置の座標値を、撮像画角枠21の座標値を用いた演算で算出する例を述べた。
例えば撮像画角枠の中心や四隅の座標値を用いて、撮像画角枠21と所定距離を保つような拡大画22の配置位置の座標を計算する。
これにより簡易な演算で拡大画22の配置位置座標値を求めることができる。
【0188】
第1,第3,第4,第5の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20内を複数のエリアに分割設定し、撮像画角枠21が位置するエリアに応じて選択される計算式により拡大画22の配置位置を設定する例を述べた。
周辺視野画像20内で、拡大画22が撮像画角枠21の両者を適度な位置に表示させたいが、単に拡大画22を撮像画角枠21に追従させると、例えば両者が右或いは左に寄りすぎたり、拡大画22が表示できなくなったりする。そこで周辺視野画像20内を左右方向や上限方向にエリア分割し、エリア毎に適切な配置がなされるように、異なる計算式を用いて拡大画22の配置位置設定を行う。これにより、撮像画角枠21の位置に関わらず、ユーザは拡大画22と撮像画角枠21を周辺視野画像20内の適切な位置に視認できることになる。
なお図10では水平方向に分割した場合、図19では垂直及び水平方向に分割した場合を示したが、もちろん垂直方向に分割する場合も考えられる。エリアの分割数、各エリアの面積なども多様に考えられる。
【0189】
第3,第5の実施の形態では、周辺視野画像20を分割した複数のエリアには、計算式の選択状態を維持する緩衝エリアが含まれる例を述べた。
例えば第3の実施の形態におけるエリアAR2や、第5の実施の形態におけるエリアAR2,AR5,AR8が、緩衝エリアに該当する。これらは前回の計算式を維持する(図17のステップS172、図20のステップS212,S222,S232参照)。
このような、計算式の選択状態を維持する緩衝エリアにより、例えば用いる計算式がフレーム毎に頻繁に切り替わってしまうことが防止される。従って、拡大画22の表示位置が左右方向に頻繁に切り替わるようなチャタリング現象が防止され、ユーザにとって好適な視認状態を提供できることになる。
【0190】
第6,第7の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、撮像画角枠21の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、拡大画22の全部又は一部が周辺視野画像20の範囲外となる場合は、撮像画角枠21に対する拡大画22の配置方向が変更されるように拡大画22の配置位置を再設定する例を述べた。
周辺視野画像20内で、拡大画22の配置位置を撮像画角枠21に応じて設定するようにすると、拡大画22が周辺視野画像20の表示範囲外となってはみ出してしまう状態となることが生ずる。その場合は拡大画22の配置位置が撮像画角枠21に対して左右方向に反転するようにする。即ち計算式を変更して再計算する(図24のステップS131,図25のステップS302、図26から図30参照)。これにより撮像画角枠21の位置に関わらず、ユーザにとっては、周辺視野画像20内において拡大画22が欠けることなく、しかも撮像画角枠21に対して適切に距離を保った位置で視認できる状態となる。
なお、左右方向の反転とともに、或いは左右方向の反転に代えて上下方向に反転又は位置変化するようにすることも考えられる。
【0191】
第6,第7の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、撮像画角枠21の位置に応じて設定するとともに、その配置位置が、拡大画22の全部又は一部が周辺視野画像20の範囲外となる場合は、拡大画22の配置位置を周辺視野画像20の範囲内方向にシフトさせるように、拡大画22の配置位置を再設定する例を述べた。
周辺視野画像20内で、拡大画22の配置位置を撮像画角枠21に追従するようにすると、拡大画22が周辺視野画像20の表示範囲外となってはみ出してしまう状態となることが生ずる。その場合は拡大画22の配置位置を、はみ出しが抑制される方向にシフトさせることで、はみ出しを解消できる場合がある(図24のステップS131,図25のステップS304参照)。これにより撮像画角枠21の位置に関わらず、ユーザにとっては、周辺視野画像20内において拡大画22が欠けることなく視認できる状態となる。
水平方向のシフト、或いは水平方向と垂直方向のシフトを行う場合を説明したが、もちろん垂直方向のシフトのみが行われる例も想定される。
【0192】
第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態では、画像合成部12は、周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、撮像画角枠21の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、拡大画22の全部又は一部が周辺視野画像20の範囲外となる場合は、拡大画22の合成処理を行わない例を述べた。
周辺視野画像20内で、拡大画22の配置位置を撮像画角枠21に追従するようにすると、拡大画22が周辺視野画像20の表示範囲外となってはみ出してしまう状態となることが生じ、またはみ出しを修正できない場合もある。そのような場合は拡大画22の合成を行わず、拡大画22が表示されないようにする(図6のステップS106,S110、図25のステップS303又は図30のステップS323から図24のステップS110参照)。
これにより拡大画22が適切に表示できないときは、そもそも表示しないこととし、不適切な状態でユーザに視認させないようにすることができる。
【0193】
第1から第7の実施の形態では、範囲検出部10が周辺視野画像20内に撮像装置1Bを検出した場合、例えば撮像装置1Bが写り込んでいる状態を検出した場合、拡大画22を表示画像として出力する制御を行う例を述べた。
周辺視野画像20内に撮像装置1Bの背面が写し込まれた場合、撮像装置1Bの視野範囲の画像の全部が周辺視野画像20内に写らなくなる可能性が高い。つまり撮像装置1Bが邪魔になって、撮像装置1Bで撮像している光景が、周辺視野画像20内に現れない状態である。そのような場合、撮像装置1Bで撮像されている画像を、そのまま拡大画22として表示させる(図6及び図24のステップS120,S121,S122参照)。
ユーザにとっては、周辺視野画像20が、撮像装置1Bが邪魔になって見づらくなっている画像を視認することはなくなる。
また例えば図2のようなゴーグルカメラとしての撮像装置1Aを装着していることを想定すると、図2Bの状態は、ユーザにとって撮像装置1Bを通常に眼前に持ってきてビューファインダーを覗いているような挙動になるため、その状態で撮像装置1Bの撮像画像が表示上で視認されることに違和感が生じないばかりか、逆に、ビューファインダーを覗いている状態が再現されることになるため、ユーザの撮像動作にも適していることになる。
なお拡大画を出力する制御を行うのは、画像合成部12が行うようにしてもよいし、画像合成部12を介さないで撮像装置1Bで撮像された画像が表示装置2に出力されるような構成も考えられる。従って、拡大画22を出力する出力制御部としての機能が、画像処理装置3において画像合成部12もしくは他の機能モジュールにより構成されればよい。
【0194】
第1から第7の実施の形態では、範囲検出部10が周辺視野画像20内に撮像装置1Bの撮像視野の範囲を検出できない場合、画像合成部12は周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、予め設定された固定位置に設定する例を述べた。
周辺視野画像20内に撮像装置1Bの撮像視野の範囲が存在しないことで撮像画角枠21の表示位置が検出できない場合、拡大画22を周辺視野画像20内の特定位置に合成して表示させるようにする(図6及び図24のステップS123参照)。例えば図2Cのような状況で、このような状態が生ずる。
この場合、周辺視野画像20内の特定位置に拡大画22を表示させることで、ユーザが周辺視野画像20外の撮像装置1Bの撮像視野の画像を確認できるようにする。特にこの場合では撮像画角枠21が表示できないため、撮像画角枠21と拡大画22が重なってしまうことはなく、視認性悪化は生じない。
なお拡大画22を表示させる特定位置は、常に固定位置としてもよいが、ユーザが任意の位置を指定できるようにしてもよい。
【0195】
第1から第7の実施の形態では、範囲検出部10が周辺視野画像20内に撮像装置1Bの撮像視野の範囲を検出できない場合、周辺視野画像20を表示画像として出力する制御を行う例を述べた。
周辺視野画像20内に撮像装置1Bの撮像視野の範囲が存在しないことで撮像画角枠21の表示位置が検出できない場合、拡大画22を合成していない周辺視野画像20を表示させるようにしてもよい(図6及び図24のステップS123参照)。つまり拡大画22を非表示とする。
例えば図2のようなゴーグルカメラとしての撮像装置1Aを装着していることを想定すると、図2Bのように撮像装置1A、1Bの撮像視野方向が全く異なる状態では、ユーザにとって撮像装置1Bの画像に意識していない状況が多いとも考えられる。そこで拡大画22については表示しないことで、周辺視野画像20の全体を視認しやすくすることも好適である。
なお、ステップS123の処理では、ユーザの選択操作に応じて、拡大画22を特定位置に合成して表示させる処理を行うか、或いは拡大画22を表示させないようにするかを切り替えるようにしてもよい。
また拡大画を出力する制御を行うのは、画像合成部12が行うようにしてもよいし、画像合成部12を介さないで撮像装置1Aで撮像された画像が表示装置2に出力されるような構成も考えられる。従って、周辺視野画像20を出力する出力制御部としての機能が、画像処理装置3において画像合成部12もしくは他の機能モジュールにより構成されればよい。
【0196】
第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態では、画像合成部12は、撮像画角枠21のサイズに応じて、周辺視野画像20に対して拡大画22を合成するか否かを決定する例を述べた。
撮像装置1Bが広角で撮像して撮像画角枠21が拡大画22より大きくなるような場合や、拡大画22と比較しなくとも撮像画角枠21がある程度大きい場合は、拡大画22を表示する意味があまりなくなる。ユーザは撮像画角枠21で囲まれた範囲として、撮像装置1Bの撮像視野を詳細に確認できるためである。また撮像画角枠21が大きくなると、撮像画角枠21とともに拡大画22を適切に並べて表示することが困難になるとともに、かえって拡大画22が邪魔になることもある。
そこで、例えば撮像画角枠21のサイズが拡大画22のサイズより大きくなる場合は、拡大画22を表示させないようにする(図6及び図24のステップS104,S110参照)。或いは、撮像画角枠21のサイズが所定サイズ以上となる場合に拡大画22を表示させないようにしてもよい。
これによりユーザによる撮像装置1Bの撮像視野の確認が撮像画角枠21でできる状態で、拡大画22を表示よる視認性の悪化を防止や、周辺視野を見やすくすることができる。
【0197】
第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態における撮像画角枠合成部11としては、非長方形の撮像画角枠21を周辺視野画像20に合成する例をのべた(図32参照)。
例えば撮像画角枠21を、撮像装置1Bの視点Eからの投影範囲などとして表示させることで、撮像装置1Bの視野を周辺視野画像20内で立体的に確認できるようになる。
【0198】
第2の実施の形態では、周辺視野画像20内で、撮像装置1Bのフォーカス枠の範囲を検出する範囲検出部10と、周辺視野画像20に、範囲検出部10で検出した合焦領域を示すフォーカス枠を合成するフォーカス枠合成部11Aと、を備え、画像合成部12は、周辺視野画像20内における拡大画22の配置位置を、フォーカス枠23の位置に応じて設定する例を述べた。
周辺視野画像20内でフォーカス枠23が示されることで、周辺視野画像20内で撮像装置1Bがどの範囲にフォーカスして撮像しているかを確認できることになり、ユーザにとっては、より目標被写体を追いやすくなる。
また、撮像画角枠21と拡大画22が表示されることで、周辺視野画像20内で目標被写体の位置を確認しながら、撮像装置1Bで撮像している目標被写体の画像(目標被写体の詳細な状況)も確認できる。
そしてこの場合、フォーカス枠23と拡大画22が重ならないような位置設定が可能となり、視認性が向上される。
なお、このフォーカス枠23を表示させる例において、第1,第3,第4,第5,第6,第7の実施の形態における撮像画角枠21に関する処理をそのままフォーカス枠23に適用して実行することもできる。つまりフォーカス枠23を表示させる場合に、拡大画22の配置に関する各実施の形態の処理を適用できる。
【0199】
なお実施の形態においては、撮像装置1A、1Bは別体の撮像装置であるとして説明したが、一大の撮像装置として第1の撮像系、第2の撮像系が設けられるものでもよい。例えば第1の撮像系は広角レンズを備えて周辺視野画像20を撮像し、第2の撮像系はより狭い画角で目標被写体を撮像するような撮像装置において、実施の形態の処理が適用できる。
【0200】
実施の形態のプログラムは、図6図7図16図17図20図24図25図30のいずれか又は複数の処理を、例えばCPU、DSP等、或いはこれらを含むデバイスに実行させるプログラムである。
即ち実施の形態のプログラムは、撮像装置1Aで撮像された周辺視野画像20内に、撮像装置1Aの撮像視野内の一部の視野を撮像可能な撮像装置1Bの撮像視野の画像である拡大画22を配置する合成処理を画像処理装置3に実行させるプログラムである。
このようなプログラムにより、上述した画像処理装置3を実現できる。
【0201】
このようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0202】
またこのようなプログラムによれば、実施の形態の画像処理装置3の広範な提供に適している。例えばパーソナルコンピュータ、携帯型情報処理装置、携帯電話機、ゲーム機器、ビデオ機器、PDA(Personal Digital Assistant)等にプログラムをダウンロードすることで、当該パーソナルコンピュータ等を、本開示の画像処理装置3として機能させることができる。
【0203】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0204】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
第1の撮像装置で撮像された第1画像内に、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する合成処理を行う画像合成部を備える
画像処理装置。
(2)
前記第1画像内で、前記第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出する範囲検出部と、
前記第1画像に、前記範囲検出部で検出した撮像視野の範囲を示す撮像画角枠を合成する撮像画角枠合成部と、を備えた
上記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定する
上記(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に対して所定距離関係で追従するように設定する
上記(2)又は(3)に記載の画像処理装置。
(5)
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の水平方向の位置変化に対して所定の水平距離を保って追従するように設定する
上記(4)に記載の画像処理装置。
(6)
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の垂直方向の位置変化に対して所定の垂直距離を保って追従するように設定する
上記(4)又は(5)に記載の画像処理装置。
(7)
前記画像合成部は、前記第1画像の座標空間において、前記第2画像の配置位置の座標値を、前記撮像画角枠の座標値を用いた演算で算出する
上記(4)から(6)のいずれかに記載の画像処理装置。
(8)
前記画像合成部は、前記第1画像内を複数のエリアに分割設定し、前記撮像画角枠が位置するエリアに応じて選択される計算式により前記第2画像の配置位置を設定する
上記(2)から(7)のいずれかに記載の画像処理装置。
(9)
前記複数のエリアには、計算式の選択状態を維持する緩衝エリアが含まれる
上記(8)に記載の画像処理装置。
(10)
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記撮像画角枠に対する前記第2画像の配置方向が変更されるように前記第2画像の配置位置を再設定する
上記(2)から(9)のいずれかに記載の画像処理装置。
(11)
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記第2画像の配置位置を前記第1画像の範囲内方向にシフトさせるように、前記第2画像の配置位置を再設定する
上記(2)から(10)のいずれかに記載の画像処理装置。
(12)
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記撮像画角枠の位置に応じて設定するとともに、設定した配置位置が、前記第2画像の全部又は一部が前記第1画像の範囲外となる場合は、前記第2画像の合成処理を行わない
上記(2)から(11)のいずれかに記載の画像処理装置。
(13)
前記範囲検出部が前記第1画像内に前記第2の撮像装置を検出した場合、
前記第2画像を表示画像として出力する制御を行う出力制御部を、更に備える
上記(2)から(12)のいずれかに記載の画像処理装置。
(14)
前記範囲検出部が前記第1画像内に前記第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出できない場合、
前記画像合成部は前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、予め設定された固定位置に設定する
上記(2)から(13)のいずれかに記載の画像処理装置。
(15)
前記範囲検出部が前記第1画像内に前記第2の撮像装置の撮像視野の範囲を検出できない場合、
前記第1画像を表示画像として出力する制御を行う出力制御部を、更に備える
上記(2)から(13)のいずれかに記載の画像処理装置。
(16)
前記画像合成部は、前記撮像画角枠のサイズに応じて、前記第1画像に対して前記第2画像を合成するか否かを決定する
上記(2)から(15)のいずれかに記載の画像処理装置。
(17)
前記撮像画角枠合成部は、非長方形の前記撮像画角枠を前記第1画像に合成する
上記(2)から(16)のいずれかに記載の画像処理装置。
(18)
前記第1画像内で、前記第2の撮像装置のフォーカス枠の範囲を検出する範囲検出部と、
前記第1画像に、前記範囲検出部で検出した合焦領域を示すフォーカス枠を合成するフォーカス枠合成部と、
を備え、
前記画像合成部は、前記第1画像内における前記第2画像の配置位置を、前記フォーカス枠の位置に応じて設定する
上記(1)に記載の画像処理装置。
(19)
画像処理装置が、第1の撮像装置で撮像された第1画像内に、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する合成処理を行う
画像処理方法。
(20)
第1の撮像装置で撮像された第1画像内に、前記第1の撮像装置の撮像視野内の一部の視野を撮像可能な第2の撮像装置の撮像視野の画像である第2画像を配置する合成処理を、
画像処理装置に実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0205】
1A,1B 撮像装置
2 表示装置
3 画像処理装置
4 撮像部
10 範囲検出部
11 撮像画角枠合成部
11A フォーカス枠合成部
12 画像合成部
13 表示制御部
20 周辺視野画像
21 撮像画角枠
22 拡大画
23 フォーカス枠
32 撮像部
33 画像信号処理部
34 画像解析部
35 制御部
36 操作部
37 センサ部
38 表示制御部
39 表示部
40 記憶部
41 外部入力部
図1
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