(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】二次電池の制御装置及び二次電池の制御システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20240806BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240806BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240806BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240806BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240806BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240806BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20240806BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20240806BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240806BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240806BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/633
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/42 P
B60W10/26 900
B60K1/04 Z
H02J7/04 P
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2022006982
(22)【出願日】2022-01-20
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】林 倫也
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072180(JP,A)
【文献】特表2014-512004(JP,A)
【文献】特開2003-272719(JP,A)
【文献】特開2009-277366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0062210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/633
H01M 10/6556
H01M 10/6568
H01M 10/42
B60W 10/26
B60K 1/04
H02J 7/04
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の制御装置であって、
前記二次電池の温度履歴に基づいて電解液透過量を算出する算出部と、
前記二次電池を収容する収容体の空き容積に対する前記電解液透過量の比と1又は複数の第1閾値とに基づいて、所定のガス含有量について判定する判定部と、
前記所定のガス含有量を肯定できるとき、所定の通知情報を作成する制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記二次電池に対する電気的な接続が解除されたことが肯定できるとき、前記通知情報を通知する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、さらに、前記電解液透過量から前記二次電池における電解液残留量を算出し、
前記判定部は、さらに、前記電解液残留量と、1又は複数の第2閾値とに基づいて前記二次電池に対する入出力量の減少の必要性を判定し、
前記制御部は、さらに、前記入出力量の減少の必要性を肯定できるとき、前記電解液残留量に基づいて前記二次電池の前記入出力量を減少させる、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、さらに、前記電解液残留量と、1又は複数の第3閾値と、に基づいて前記二次電池に対する冷却仕事量の増大の必要性を判定し、
前記制御部は、さらに、前記冷却仕事量の増大の必要性を肯定できるとき、前記電解液残留量に基づいて前記冷却仕事量を増大させる、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記1又は複数の第2閾値の少なくとも一部は、前記1又は複数の第3閾値のいずれよりも小さい、請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
二次電池の制御装置であって、
前記二次電池の温度履歴に基づいて電解液透過量を算出するとともに、前記電解液透過量から前記二次電池の電解液残留量を算出する算出部と、
前記電解液残留量と1又は複数の第2閾値とに基づいて、前記二次電池に対する入出力量の減少の必要性を判定する判定部と、
前記入出力量の減少の必要性を肯定できるとき、前記電解液残留量に応じて前記二次電池の入出力量を減少させる制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項7】
前記判定部は、さらに、前記電解液残留量と、1又は複数の第3閾値とに基づいて前記二次電池に対する冷却仕事量の増大の必要性を判定し、
前記制御部は、さらに、前記冷却仕事量の増大の必要性を肯定できるとき、前記電解液残留量に応じて前記冷却仕事量を増大させる、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記二次電池は、車両に搭載されている、請求項1~7のいずれかに記載の制御装置。
【請求項9】
二次電池と、
前記二次電池を制御する請求項1~8のいずれかに記載の制御装置と、
を備える、二次電池の制御システム。
【請求項10】
車両に搭載された二次電池の制御システムである、請求項9に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、二次電池の制御装置及び二次電池の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車輪の駆動などのために二次電池が搭載されている。二次電池は、例えば、多数個の二次電池セル(以下、単にセルともいう。)が収容体内に収容されて電池パックとして搭載されている。かかる二次電池においては、電池温度の上昇により各セルからシール材を介して電解液の排出(透過)が促進されることがある。この結果、セル内の電解液量が低下してセルの性能が低下したり、シール材が劣化したりすることがわかっている。このため、二次電池の劣化状態を判定する技術として、電池の温度履歴からセルから失われる電解液透過量を算出し、電解液透過量に基づいて、電池の劣化を評価する方法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セルからの電解液の透過は、二次電池を収容する収容体内における電解液に由来するガスの蓄積を生じさせることがある。また、電解液の透過量が増大すれば、二次電池内に残留している電解液が減少するため、二次電池の充放電効率の低下や冷却効率の低下を引き起こしかねない。
【0005】
本明細書は、セル外への電解液透過量を利用して、電解液の透過に起因する不具合を回避又は抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する二次電池の制御装置は、二次電池の温度履歴に基づいて電解液透過量を算出する算出部と、二次電池を収容する収容体の空き容積に対する電解液透過量の比と1又は複数の第1閾値とに基づいて、収所定のガス含有量について判定する判定部と、を備えている。さらに、この制御装置は、前記所定のガス含有量を肯定できるとき、所定の通知情報を作成する制御部を備えている。
【0007】
この制御装置によれば、例えば、電池パックなど、二次電池が収容された収容体から二次電池を回収し、分解し及び再利用するのに際して、収容体内のガス含有量を予め知得できる。
【0008】
二次電池からの電解液透過量又は二次電池を収容する収容体の空き容積に対する電解液透過量の比は、収容体内のガス含有量と関連性が高いため、高い確度で収容体内のガス含有量を知得できる。
【0009】
また、本明細書が開示する二次電池の制御装置は、二次電池の温度履歴に基づいて電解液透過量を算出する算出部と、電解液透過量に基づく電解液残留量と1又は複数の第2閾値とに基づいて、二次電池に対する入出力量の減少の必要性を判定する判定部と、を備えている。さらに、この制御装置は、入出力量の減少の必要性を肯定できるとき、電解液残留量に応じて二次電池に対する入出力量を減少させる制御部を備えている。
【0010】
この制御装置によれば、電解液残留量の減少に応じて二次電池に対する入出力量を減少させることができる。このため、電解液残留量の減少に応じて低下することがある二次電池の電池性能に合わせた利用が可能になるとともに、二次電池の劣化を抑制できる。
【0011】
また、二次電池における電解液残留量は、電池性能と関連性が高いため、二次電池の有効利用及び劣化の抑制に有効である。
【0012】
本明細書が開示する二次電池の制御装置は、二次電池の温度履歴に基づいて電解液透過量を算出する算出部と、電解液透過量に基づく電解液残留量と1又は複数の第3閾値とに基づいて、二次電池に対する冷却仕事量の増大の必要性を判定する判定部と、を備えている。さらに、この制御装置は、冷却仕事量の増大の必要性を肯定できるとき、電解液残留量に応じて冷却仕事量を増大させる制御部を備えている。
【0013】
この制御装置によれば、電解液残留量の減少に応じて二次電池に対する冷却仕事量を増大させることができる。このため、電解液残留量の減少に応じて低下することがある二次電池に対する冷却効率低下を克服して二次電池を冷却し、二次電池の劣化を抑制できる。
【0014】
また、二次電池における電解液残留量は、冷却効率と関連性が高いため、二次電池の効果的な冷却及び劣化の抑制に有効である。
【0015】
本明細書が開示する二次電池の制御システムは、二次電池と、上記制御装置のいずれかと、備えている。
【0016】
この制御システムによれば、二次電池における電解液透過量の増大に起因する不具合を回避又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】二次電池の制御装置を説明するブロック図である。
【
図4】二次電池における電解液残留量の変化を示す図(a)~(c)である。
【
図5】ECUによって実行される二次電池の制御プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図6】ECUによって実行される二次電池の制御プロセスの他の一例を示すフローチャートである。
【
図7】ECUによって実行される二次電池の制御プロセスの他の一例を示すフローチャートである。
【
図8】ECUによって実行される二次電池の制御プロセスの他の一例を示すフローチャートである。
【
図9】ECUによって実行される二次電池の制御プロセスの他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に開示される二次電池の制御装置であって、電解液に由来するガスについて所定のガス含有量を通知することができる制御装置の一実施形態は、制御部は、前記二次電池に対する電気的な接続が解除されたことが肯定できるとき、所定のガス含有量に関する通知情報を通知する。こうすることで、二次電池を車両などから取り外したときなど、必要な時にのみ所定のガス含有量について通知することができる。
【0019】
また、本明細書に開示される制御装置の一実施形態は、判定部は、さらに、電解液透過量に基づく電解液残留量と1又は複数の第2閾値とに基づいて二次電池に対する入出力量の減少の必要性を判定し、制御部は、さらに、入出力量の減少の必要性を肯定できるとき、電解液残留量に応じて二次電池の入出力量を減少させる。こうすることで、電解液が減少した二次電池を有効利用しつつ、その劣化を抑制できる。
【0020】
また、上記制御装置の一実施形態は、判定部は、さらに、電解液残留量と、1又は複数の第3閾値と、に基づいて二次電池に対する冷却仕事量の増大の必要性を判定し、制御部は、さらに、冷却仕事量の増大の必要性を肯定できるとき、電解液残留量に応じて冷却仕事量を増大させる。こうすることで、電解液が減少した二次電池を効果的に冷却して、電池寿命を向上させることができる。
【0021】
これらの実施形態において、1又は複数の第2閾値の少なくとも一部は、1又は複数の第3閾値のいずれよりも小さい。こうした第2閾値を用いることで、二次電池に対する入出力の減少の必要性の判定に有効である。
【0022】
本明細書に開示される二次電池の制御装置の他の一実施形態は、二次電池の温度履歴に基づいて電解液透過量を算出する算出部と、電解液透過量に基づく電解液残留量と1又は複数の第2閾値とに基づいて、二次電池に対する入出力量の減少の必要性を判定する判定部と、入出力量の減少の必要性を肯定できるとき、電解液残留量に応じて前記二次電池の入出力量を減少させる制御部と、を備えることができる。こうすることで、二次電池の性能を有効利用しつつ、その劣化を抑制できる。
【0023】
本明細書に開示される二次電池の制御装置の他の一実施形態は、二次電池の温度履歴に基づいて電解液透過量を算出する算出部と、電解液透過量に基づく電解液残留量と1又は複数の第3閾値とに基づいて、二次電池に対する冷却仕事量の増大の必要性を判定する判定部と、冷却仕事量の増大の必要性を肯定できるとき、電解液残留量に応じて冷却仕事量を増大させる制御部と、を備えることができる。こうすることで、二次電池の性能を有効利用しつつ、その劣化を抑制できる。
【0024】
本明細書に開示されるこれらの二次電池の制御装置及び二次電池の制御システムの一実施形態は、車両に搭載された二次電池を備えている。車両においては、高容量の二次電池が使用されることが多く、また、長期にわたって使用されることが多いため、セルからの電解液透過に起因する不具合を抑制又は回避することが有意義である。
【0025】
以下、本明細書に開示される二次電池の制御装置及びこの制御装置による二次電池の制御プロセスについて適宜図面を参照して説明する。
図1には、本明細書に開示される二次電池とその制御装置を搭載した車両の構成の一例を示し、
図2には、電池パックの構成の一例を示し、
図3には、セルの一例を示し、
図4は、セルにおける余剰の電解液の状態を例示する。
図5~
図9は、二次電池の制御プロセスの例を示す。
【0026】
車両2は、図示しないエンジンを備えるいわゆるハイブリッド車(HEV)である。なお、車両2は、このほか、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、BEV(Battery Electric Vehicle)、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)などであってもよい。
図1に示すように、車両2は、二次電池パック(以下、単に、電池パックという。)10と、負荷30と、センサ40と、冷却回路50と、ECU(Electronic Control Unit)60と、を備えている。以下、説明の都合上、負荷30、センサ40及び冷却回路50を先に説明する。
【0027】
(負荷)
負荷30は、電池パック10からの電力を用いて車両2を駆動させるための駆動力を発生する走行用モータを含んでいる。また、負荷30は、走行用電動機の回生電力により、電池パック10のセル16を充電する。
【0028】
(センサ)
センサ40は、電池パック10内の二次電池セル(セル)16の温度を検出するものである。センサ40の構成は、特に限定するものではないが、例えば、複数のセル16毎に1つのセンサ40が備えられ、全体で複数個のセンサ40が備えられてる。また、個々のセンサ40は、例えば、セルの温度のほか、電圧、電流などを検出する。
【0029】
(冷却回路)
冷却回路50は、少なくとも電池パック10を冷却するほか、車両2の種々の要素を冷却しうる。
図2に示すように、冷却回路50は、特に限定するものではないが、電池パック10に対して水などの冷媒を移送する流路52及び冷媒により除熱するための熱伝導部材54を備えている。熱伝導部材54は、相対的に熱伝導性(熱伝導率)が高い部材である。
【0030】
熱伝導部材54は、後述する電池パック10の収容体14の内部に配設されている。熱伝導部材54は、例えば、電池モジュール12の下面に密着するように配設されている。流路52の少なくとも一部は、収容体14の内部に、熱伝導部材54と熱交換可能に、熱伝導部材54に密着するように配設される。冷却回路50は、このほか、電動ポンプ、ラジエータ、冷却ファン、チラー、冷却器、切り換え弁などを備えており、制御された温度と流量の冷媒で、電池パック10の収容体14に収容された電池モジュール12を冷却する。
【0031】
(電池パック)
電池パック10は、車両2の駆動輪に駆動力を発生させる駆動モータなどの負荷30に電力を供給し、負荷30から電力を供給される。電池パック10は、例えば、車両の2の車室の下部に、フロアパネルによって区画されて収容されている。
【0032】
図2に示すように、電池パック10は、電池モジュール(以下、単にモジュールともいう。)12とモジュール12を収容する収容体14とを備えている。モジュール12は、複数個のサブモジュール12aからなり、個々のサブモジュール12aは、複数個のセル16で構成されている。サブモジュール12aは、ケースなどに収容されていてもよい。セル16を構成する二次電池は、例えば、リチウムイオンやニッケル水素などの二次電池であるが、特に限定されない。
【0033】
収容体14は、ロアケース14aとアッパーカバー14bとで形成されており、高い気密性を保持してモジュール12を収容する。既述のとおり、収容体14内の底部には熱伝導部材54と流路52が配設されている。また、電池パック10は、収容体14内にモジュール12及びその他の構成部品によって占有されていない所定の空間(デッドスペース)を備えており、当該空間容積(空き容積)はVdである。
【0034】
図3に、セル16の一例であって、セル16の断面図を示す。セル16は、例えば、筐体18と、電極群20と、電解液22とを備える。筐体18の上部には、樹脂製などのシール材24を備えている。また、セル16は、図示しないガス排出弁、電流遮断機構(CID)などを備えている。
【0035】
筐体18内には、電極群20と、電解液22が収容されている。電極群20は、集電端子26と電気的に接続されている。さらに、集電端子26は、例えばバスバである外部端子28に電気的に接続されている。
【0036】
電極群20は、例えば、捲回型の電極群である。電極群20は、セパレータ、正極、セパレータ及び負極がこの順で積層されてなる帯状の積層体が、さらに捲回されて構成されている。なお、電極群20は、捲回型に限定するものではなく、例えば、積層型の電極群など、公知の他の電極群であってもよい。
【0037】
電解液22は、電極群20に含浸されるほか、電極群20には含浸されない余剰電解液22aが、筐体18内に存在しており、電極群20の外部に貯留されている。電解液22は、リチウム塩及び溶媒を含んでおり、溶媒は、N-メチルピロリドンなどの有機溶媒又はイオン交換水などである。
【0038】
ここで、
図4(a)~(c)を参照して、セル16における電解液22の状態について説明する。図(4)(a)に示すように、電解液22は、セル16の設置当初においては、筐体18内に貯留されており、例えば、液面Aまで到達している。電極群20に含浸してなお外部に貯留されている電解液22が余剰電解液22aである。この状態であると、電極群20に十分な電解液22が含浸されているため、電池性能は確保されている。余剰電解液22aは、筐体18外部の流路52、熱伝導部材54と、熱交換してモジュール12を冷却する目的及び動作環境下などにおいて、負極に形成されるSEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜を形成する目的のために、準備されている。
【0039】
電解液22は、気化及びシール材24での再液化及び毛細管現象によりセル16外部に徐々に透過する(排出される)。これにより、
図4(b)に示すように、電解液22は減少し、例えば、余剰電解液22aの液面は液面Bまで低下する。この状態でもなお、電極群20には十分な電解液22が含浸されているため、電池性能自体は確保されている。一方、余剰電解液22aの液面高さが減少するため、電極群20が、余剰電解液22aで熱交換するものの、空気を通じて熱交換する比率が高まり、熱抵抗が増加する傾向が大きくなる。
【0040】
さらに、電解液22の透過が進行すると、
図4(c)に示すように、電解液22はさらに減少し、例えば、余剰電解液22aの液面は液面Cまで低下し、余剰電解液22aは枯渇した状態となる。この状態では、電極群20には十分な電解液22が含浸されにくくなっており、電池性能が低下し始めるとともに、SEIを形成し難くなる。また、余剰電解液22aが枯渇しているため、電極群20と流路52等との熱交換は、空気が主体となり、熱抵抗が一層増大してしまう。
【0041】
さらに、電解液22の透過が進行すると、電極群20の内部における電解液22の枯渇が始まることになり、一層、冷却効率や電極群20の充放電効率が低下してくことになる。
【0042】
(ECU)
図1に示すように、ECU60は、ハイブリッド自動車である車両2におけるエンジン、負荷(モータ)30、冷却回路50及びモジュール12を含むシステムについて制御する。ECU60は、少なくとも一つのCPUとメモリとを備える、いわゆるコンピュータとして構成されている。ECU60は、センサ40から、セル16の温度を時間変化とともに、すなわち、温度履歴として取得する。温度履歴は、例えば、所定時間間隔毎(例えば、10分間隔毎)の最高温度などとして取得し、ECU60内のメモリに記憶する。ECU60は、車両2の運転中及び停止中も温度履歴をセンサ40から取得し記憶する。ECU60は、本明細書に開示される制御装置の一例である。
【0043】
ECU60は、例えば、メモリに記憶されるプロセッサをCPU上で実施することにより、実現される機能部として、算出部62と、判定部64と、制御部66とを含む。
【0044】
(算出部)
算出部62は、センサ40からの検出したセル16の温度履歴から、予め取得しメモリに記憶されたセル16の温度と電解液22のセル16からの透過速度との関係式と、センサ40から受信した電池温度履歴とに基づいて、セル16における電解液透過量Me(単位:mg)を算出する。
【0045】
具体的な算出方法は、特開2016-72180号公報に開示される。電解液22の透過速度kaと電池温度TBとの関係式は、例えば、ベンチ試験等によって、予め求められる。電解液22の透過速度kaの対数値(常用対数あるいは自然対数等の対数値)と電池温度TBの逆数との関係は、1次関数の数式で表すことができる。そのため、ベンチ試験等によって2点以上の電解液の透過速度kaと電池温度TBとの組み合わせを求めておくことにより、1次関数の数式の傾きと切片とが算出される。算出された傾きと切片とによって得られる1次関数の数式により、温度TBに対する電解液の透過速度kaの対数値が算出可能となる。電池温度TBが大きいほど(電池温度TBの逆数が小さいほど)、電解液の透過速度ka(透過速度kaの対数値)は大きくなる。
【0046】
さらに、セル16の温度における電解液22の透過速度kaと、当該温度における滞在時間tとを乗算した値に基づいて電解液透過量Meを算出する。具体的には、電解液透過量Me=Σ{t(TB(m))×ka(TB(m))}の式により電解液透過量Meを算出する。ただし、mは、履歴数を表す。以上の算出を、全てのセル16に対して実施してモジュール12全体における電解液透過量Meを算出する。以下、モジュール12全体における電解液透過量Me(単位:mg)を利用して説明する。
【0047】
(判定部)
判定部64は、電池パック10の収容体14におけるモジュール12を含む構成要素によって占有されていないデッドスペースの空間容積(空き容積)Vd(単位:L)に対する電解液透過量Meの比Rを用いて電池パック10の収容体14における電解液由来ガス含有量(濃度)に関して判定する。ガス含有量を判定するための閾値Kは、判定内容に基づいて予め設定されている。閾値Kは、前記比で設定されている。閾値は、単一であってもよいし、ガス含有量に基づいて複数設定されていてもよい。閾値を単一に設定する場合には、例えば、収容体14の開放時に電解液由来のガスがガスセンサ等で検知される程度であることを肯定できる程度のガス含有量に設定されている。
【0048】
また例えば、閾値Kを複数設定する場合、ガス含有量に応じて閾値K1、K2、K3などが適宜設定される。閾値KないしK1等は、本明細書に開示される第1閾値の一例である。
【0049】
なお、電池パック10におけるデッドスペースの空間容積Vdは予め決まっているため、電解液透過量Meを利用し、当該透過量で規定される閾値で判定することもできる。
【0050】
また、判定部64は、当初の電解液量Me0と電解液透過量Meとの差分である電解液残留量Mer(単位:mg)を用いてモジュール12に対する冷却仕事量の増強の必要性を判定する。冷却仕事量の増強の必要性を判定するための閾値は、判定内容に基づいて予め設定されている。閾値は、電解液残留量で設定される。閾値Lは、単一であってもよいし、冷却仕事量の増強程度に応じて複数設定されていてもよい。閾値Lを単一に設定する場合には、例えば、モジュール12に対する冷却仕事量を増強することを開始するタイミングに対応する電解液残留量に設定されている。例えば、余剰電解液22aがやや減少した状態となる電解液残留量(セル16内において余剰の電解液が枯渇した状態(例えば、
図4(a)及び同(b)に例示する状態の中間レベル))に設定される。
【0051】
また例えば、閾値Lを複数設定する場合、上記の単一の閾値L(L1ともいう。)に追加して、さらに電解液が減少していく過程におけるモジュール12に対する冷却仕事量の増強の必要性に基づいて予め設定されている。例えば、
図4(b)に例示する状態に対応する閾値L2、さらに電解液が枯渇して、
図4(c)に例示する状態に対応する閾値L3など、適宜設定される。なお、閾値LないしL1等は、は、本明細書に開示される第3閾値の一例である。
【0052】
なお、セル16における当初電解液量Me0は予め決まっているため、電解液透過量Meを利用し、当該透過量で規定される閾値で当該必要性を判定することもできる。
【0053】
また、判定部64は、取得した電解液残留量Merを用いてモジュール12に対する入出力量の減少の必要性を判定する。入出力量の減少の必要性を判定するための閾値は、判定内容に基づいて予め設定されている。閾値は、電解液残留量で設定される。閾値Mは、単一であってもよいし、入出力量の減少程度に応じて複数設定されていてもよい。閾値Mを単一に設定する場合には、例えば、モジュール12に対する入出力量を減少することを開始すべきタイミングに対応する電解液残留量に設定されている。例えば、余剰電解液量が0となる電解液残留量(セル16内において余剰の電解液が枯渇した状態(例えば、
図4(c)に例示する状態))に設定される。また例えば、閾値Mを複数設定する場合、さらに電解液が減少していく過程におけるモジュール12に対する入出力量の制限の必要性に基づいて予め設定されている。例えば、
図4(c)に例示する状態に対応する閾値M1、さらに電解液が枯渇して、入出力量の減少レベルを増強する必要性を肯定する閾値M2、M3など、適宜設定される。なお、閾値MないしM1等は、本明細書に開示される第2閾値の一例である。なお、セル16における当初電解液量Me0は予め決まっているため、電解液透過量Meを利用し、当該透過量で規定される閾値で当該必要性を判定することもできる。
【0054】
電解液残留量Merに基づいて判定する場合、概して、入出力量に関する閾値Mは、冷却仕事量に関する閾値Lよりも小さい。入出力量を減少させる必要性は、冷却仕事量を増強させる必要性が生じる場合よりも一層、電解液残留量Merが少ない(例えば、枯渇した)状態で生じてくるからである。したがって、入出力量に関して複数個の閾値M1~M3などが存在しているとき、複数の閾値M1~M3などの少なくともいくつかは、全ての可能性ある閾値Lよりも小さく設定しておくことが有用である。こうした閾値の数値設定は、電解液残留量Merとそれによる不都合の実情に合っており、合理的な制御が可能である。
【0055】
(制御部)
制御部66は、判定部64のガス含有量に関する判定に基づき、ガス含有量に関する通知情報を作成する。通知情報は、所定のガス含有量が肯定されたときの閾値に予め関連付けられている。制御部66は、例えば、かかる通知情報をメモリに記憶し、車両2の表示パネル等に表示及び/又は警告音をスピーカーなどから発信するための制御信号として出力する。
【0056】
また、制御部66は、判定部64のモジュール12に対する冷却仕事量の増強に関する判定に基づき、モジュール12に対する冷却仕事量を増強する制御指令を冷却回路50に出力する。増強の程度等は、判定の基準に用いた閾値に対して予め関連付けされている。制御部66は、その時点におけるモジュール12の温度及び制御すべき温度に応じて、冷媒温度及び流量を規定する。この結果、制御部66は、例えば、冷却回路50のポンプの出力を大きくしたり、チラーにおける冷却を強化する制御信号をこれらの機器に出力する。
【0057】
また、制御部66は、判定部64のモジュール12の入出力量の減少に関する判定に基づき、モジュール12に入力電力(充電電力)の上限値及び出力電力(充電電力)の最大値を減少させる。減少させる程度等は、判定の基準に用いた閾値に対して予め関連付けされている。制御部66は、制御部66が別に算出されたモジュール12のSOC(%)に応じた入力電力の上限値及び出力電力の上限値を減少させる信制御号を、モジュール12に対するモータからの入出力量を規定するMG-ECU(Moter Generator Elevtronic Control Unit)などに出力する。
【0058】
次に、
図5~
図8を参照して、ECU60が行う、電解液透過量Me等に基づく、電解液に由来するガス含有量を判定するプロセスP1、モジュール12に対する冷却仕事量、モジュール12に対する入出力量に関してそれぞれ制御するプロセスP2、P3について説明する。
図5に示すフローは、ECU60のCPUが行う、電解液透過量Meを用いたガス含有量及びモジュール12に関する一例のプロセスの一例である。
【0059】
なお、以下のプロセスでは、ガス含有量に関する閾値としては、容体14の開放時にガスがガスセンサ等で検知できる可能性がある程度の濃度(所定の閾値)として閾値K2が設定されている。また、モジュール12に対する冷却仕事量に関する閾値としては、電解液残留量に応じてL1~L3が設定されており、初期値は閾値L1であり、プロセスにおいて必要に応じてL2及びL3に順次更新される。また、モジュール12に対する入出力量に関する閾値としては、電解液残留量に応じてM1~M3が設定され、初期値は閾値M1であり、プロセスにおいて必要に応じてM2及びM3に順次更新される。
【0060】
(ガス含有量判定プロセス)
CPUは、センサ40からモジュール12の総電圧を取得する(ステップS100)。次いで、総電圧が0かどうかを判定する(ステップS110)。モジュール12の総電圧が0であるとき、モジュール12を含む電池パック10が車両2から取り出されたものとして、ガス含有量判定プロセスP1に移行する。
【0061】
図6に示すように、ガス含有量判定プロセスP1では、CPUは、取得したセル16の温度履歴と、予め取得しているセル16の温度と電解液の透過速度との関係式から、モジュール12の電解液透過量Meを算出する(ステップS200)。
【0062】
次いで、電解液透過液量Me/電池パック10のデッドスペースの空間容積Vdの比Rと、閾値K2とを対比して、比Rが閾値K2以上かどうかを判定する(ステップS210)。比Rが閾値K2以上であるとき、収容体14の開放時に電解液由来のガスがガスセンサ等で検知される可能性がある所定濃度であることを肯定し、ガス含有量の閾値とセンサ等による検知可能性を通知するなど所定の通知情報を作成し、車両2のインストルメントルパネルなどの表示装置に対して当該通知情報を表示するとともに警告音を鳴らす制御信号を表示装置及びスピーカーに出力する(ステップS220)して、このプロセスP1を終了するとともに、この全体プロセスを終了する。比Rが閾値K2未満であるときには、通知すべき状況ではないとして、このプロセスP1及び全体プロセスを終了する。
【0063】
一方、CPUは、モジュール12の総電圧が0でないときには、電池パック10は車両2に搭載されているとして、冷却仕事量制御プロセスP2に移行する。
【0064】
(冷却仕事量制御プロセス)
冷却仕事量制御プロセスP2を
図7に示す。
図7に示すように、CPUは、まず、冷却仕事量の増強を判定するための閾値を取得する(ステップ300)。閾値は、ECU60内のメモリに準備されている。更新されていない閾値初期状態では、閾値L1を取得する。
【0065】
次いで、CPUは、ガス含有量判定プロセスと同様にして電解液透過量Meを算出する(ステップS310)。
【0066】
CPUは、電解液透過量Meと当初の電解液量Me0との差分である電解液残留量Merと閾値L1とを対比して、電解液残留量Merが閾値L1以下であるかどうかを判定する(ステップS320)。電解液残留量Merが閾値L1を超えているときには、電解液残留量Merは、冷却仕事量を増強する必要性を肯定できないとして、次の入出力量制御プロセスP3に移行する。
【0067】
電解液残留量Merが閾値L1以下であるときには、冷却仕事量を増強する必要性を肯定できるとして、モジュール12に対する冷却仕事量(冷媒温度及び/又は流量)を増強する内容を含む制御信号を冷却回路50のチラーやポンプに出力する(ステップS330)。より具体的には、例えば、センサ40から現在のセル温度を参照して、目標とするセル温度とするための冷却仕事量を増強させる制御信号を出力する。
【0068】
次いで、CPUは、引き続き冷却仕事量の増強の必要性について判定するための閾値L1を閾値L2に更新して(ステップS340)、このプロセスP2を終了して、モジュール12の入出力量制御プロセスP3に移行する。
【0069】
(入出力量制御プロセス)
入出力量制御プロセスP3を
図8に示す。
図8に示すように、CPUは、まず、入出力量の減少を判定するための閾値を取得する(ステップ400)。閾値は、ECU60内のメモリに準備されている。更新されていない閾値初期状態では、閾値M1を取得する。
【0070】
次いで、CPUは、電解液残留量Merと、閾値M1とを対比して、電解液残留量Merが閾値M1以下であるかどうかを判定する(ステップS410)。電解液残留量Merが閾値M1を超えているときには、モジュール12の入出力量を減少する必要性を肯定できないとして、このプロセスP3を終了し、一連のプロセスを終了する。
【0071】
電解液残留量Merが閾値M1以下であるときには、モジュール12の入出力量の減少の必要性を肯定できるとして、モジュール12に対する入出力量(SOC(%)に応じて)を減少する内容での制御信号を出力する(ステップS420)。より具体的には、例えば、モジュール12のSOC(%)を取得して、SOC(%)に応じて入力電力の最大値及び出力電力の最大値をそれぞれ減少する制御信号をMG-ECUに出力する。
【0072】
次いで、CPUは、さらに、引き続き入出力量の減少の必要性について判定するために、閾値M1を閾値M2に更新して(ステップS430)、このプロセスP3を終了し、一連のプロセスを終了する。
【0073】
CPUは、一連の電解液透過量Meに基づく制御プロセスを、一定の時間間隔で実施する。
【0074】
なお、以上のガス含有量判定プロセスでは、モジュール12の総電圧が0であるかどうかを判定して、電池パック10が車両2から取り外された時にのみ、プロセスを実施するものとしたが、これに限定するものではない。例えば、
図9に示すように、電池パック10の取り外しに関わらず、ガス含有量判定プロセスを実施することとし、ガス含有量について所定の通知内容の存在を肯定できるときには、ガス含有量通知情報を作成してメモリに記憶しておいてもよい(ステップS500~S520)。そして、別途、電池パック10の総電圧が0になったときに起動されるガス含有量通知プロセスで、ガス含有量通知情報の有無を参照して、ガス含有量通知情報があるときには、通知内容を表示又は警告音で明示するようにしてもよい。
【0075】
以上のプロセスによれば、電解液透過量Meを用いて、電池パック10を開放しなくても、電解液22の状態を推定できる。このため、非接触でかつ簡易に、電解液22がセル16外へ透過して収容体14に蓄積するガスの含有量を予め知得できるとともに、モジュール12の冷却仕事量の効率性の低下や性能低下を回避又は抑制することができる。この結果、モジュール12の劣化を抑制し、電池寿命を向上させることができる、例えば、これらのプロセスによれば、長期及び/又は高頻度でモジュール12を使用した場合でも、電池パック10を開放することなく電池パック10及びモジュール12の健全性ないし問題を簡易に判定できる。
【0076】
比Rないし電解液透過量Meに基づく収容体14内のガス含有量は、収容体14の開放時のガス検知と高く関連付けられるため、これらを指標とすることで高い確度でガスが検知されるかどうかを知得できる。
【0077】
また、電解液透過量Meないし電解液残留量Merは、モジュール12の冷却効率と高く関連付けられる。このため、これらを指標として冷却仕事量を制御することで、モジュール12を効果的に速やかに冷却でき、モジュール12の性能維持や寿命を延長できる。
【0078】
また、電解液透過量Meないし電解液残留量Merは、モジュール12の性能と高く関連付けられる。このため、これらを指標としてモジュール12の入出力量を制御することで、モジュール12の性能が低下したときにでも、電池を保護して電池寿命を延長することができる。
【0079】
以上説明した制御装置においては、ガス含有量判定プロセスと、冷却仕事量制御プロセスと、入出力量制御プロセスとを一連のプロセスで実行するものとしたが、これに限定されない。これらのプロセスは、個別に実施してもよいし、ガス含有量判定プロセスと、入出力量制御プロセスとを組み合わせて実施してもよいし、ガス含有量判定プロセスと、冷却仕事量制御プロセスとを組み合わせて実施してもよいし、入出力量制御プロセスと冷却仕事量制御プロセスとを組み合わせて実施してもよい。また、プロセスを実施する順序も特に限定するものではない。
【0080】
以上の制御装置においては、モジュール12は、ハイブリッド車である車両2に搭載するものとし、負荷(モータ)30からの回生電力によりモジュール12を充電するものとしたがこれに限定されない。例えば、モジュール12は、外部充電機器や設備など、モータ以外で充電できるものであってもよいし、必ずしも車両用でなくても定置型のモジュール12であってもよい。
【0081】
以上の制御装置における冷却回路50は、収容体14内部に冷却回路50の流路52及び熱伝導部材54を備えるものとしたがこれに限定するものではない。収容体14の内部に熱伝導部材54を備え、流路52及び追加の熱伝導部材54を収容体14の底部の外部に装備して冷却するものであってもよい。さらに、モジュール12は、電池パック10及びモジュール12に適用される種々の冷却回路によって冷却されうる。例えば、自然空冷、強制空冷などの空冷式、ラジエータ、クーラ、ラジエータとクーラとのハイブリッド式の各種水(冷却液)冷式、冷媒による直冷式、冷却液浸漬式などである。
【0082】
以上の制御装置においては、モジュール12の全体において冷却仕事量を増強する構成としたが、かかる構成に限定するものではない。センサ40から取得したセル16の温度履歴に基づく電解液透過量に基づいて、1又は複数のサブモジュール12a毎の電解液透過量に基づいて、一部のサブモジュール12aのみの冷却仕事量を増強するようにしてもよい。同様に、モジュール12の全体において入出力電力量を減少させる構成としたが、これに限定するものではなく、一部のサブモジュール12aのみの入出力量を減少させるようにしてもよい。
【0083】
以上の制御装置においては、モジュール12の入出力量の減少を、電力量で制御するものとしたが、これに限定するものではなく、モジュール12への入力電流及び出力電流などで制限するものであってもよい。
【0084】
以上の説明では、閾値に基づく判定に関し、「以上」、「以下」、「超」及び「未満」を用いたが、これに限定するものではなく、用いる指標(電解液透過量Me、比R、電解液残留量Mer)や閾値の数値に応じて適切な対比判定を行うことができる。
【0085】
以上の説明では、本開示の制御装置の実施形態について記載したが、上記記載は、上記した制御装置と電池パックとを備える二次電池の制御システム及び二次電池の制御方法の実施形態とを含んでいる。以上の変形例も、二次電池の制御システム及び制御方法に適用される。
【0086】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書、又は、図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0087】
2 車両、10 電池パック、12 二次電池モジュール、12a 二次電池サブモジュール、14 収容体、14a ロアケース、14b アッパーカバー、16 二次電池セル、20 電極群、22 電解液、22a 余剰電解液、24 シール材、26 集電端子、28 外部端子、30 負荷、40 センサ、50 冷却回路、52 流路、54 熱伝導部材、60 ECU、62 算出部、64 判定部、66 制御部