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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】粉体分離装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 7/06 20060101AFI20240806BHJP
   B07B 11/08 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B07B7/06
B07B11/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022008620
(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公開番号】P2023107425
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶 秀行
(72)【発明者】
【氏名】宮司 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】上薗 知之
(72)【発明者】
【氏名】小田 桃香
(72)【発明者】
【氏名】大久保 壮吉
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-185564(JP,A)
【文献】実開平01-152775(JP,U)
【文献】実開昭52-011680(JP,U)
【文献】特開2022-015988(JP,A)
【文献】特開平05-177171(JP,A)
【文献】特開2007-301490(JP,A)
【文献】特開2021-082396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0318879(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
B04C 3/00
B04C 9/00
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の粉体が複合化された複合粉体が導入される円錐台状の上部側空間を規定する上部側部分、下部側空間を規定する下部側部分、および、前記上部側部分と前記下部側部分との間に配置され、前記複合粉体から少なくとも1つの粉体を分離するためのふるい部を含む本体部と、
前記複合粉体を前記上部側空間に導入するための導入部と、
前記下部側部分に接続され、前記本体部内の気体を吸引することで、前記本体部内に気流を発生させる吸引部と、
開状態と閉状態とを切り替え可能に前記上部側部分に設けられ、前記開状態において前記上部側空間に気体を導入する気体導入部と、を備え、
前記本体部内の気体を前記吸引部によって吸引している状態で、前記開状態と前記閉状態とを切り替えることにより、前記本体部内の前記気流の状態を変化させる、粉体分離装置。
【請求項2】
前記複合粉体は、電極活物質およびバインダを含む造粒体と、キャリア粒子とを含み、前記造粒体と前記キャリア粒子とは、静電結合している、請求項1に記載の粉体分離装置。
【請求項3】
前記キャリア粒子は、フェライトを主成分とする、請求項2に記載の粉体分離装置。
【請求項4】
前記本体部は、前記ふるい部と前記下部側部分との間に配置され、前記ふるい部を支持する支持部を含み、
前記ふるい部は、前記上部側部分の下端に接続される筒状の胴部と、前記胴部の下端側に設けられた第1メッシュ部とを含み、
前記支持部は、前記胴部の下端および前記下部側部分の上端を接続する筒状部と、前記筒状部に設けられた第2メッシュ部とを含み、
前記第2メッシュ部は、前記第1メッシュ部よりも粗い目を有し、かつ、前記第1メッシュ部を支持する、請求項1から3のいずれか1項に記載の粉体分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉体分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサイクロン分級機として、特開2021-20156号公報(特許文献1)には、ハウジングの上側部分に設けられた出口管に、逆円錐台の側面を有する気流調整装置を配置する技術が開示されている。当該特許文献1に記載のサイクロン分級機では、上記気流調整装置を設けることにより、ハウジングに設けられた入口管から導入される気体の気流を調整し、焼結磁石用の原料合金をジェットミルで粉砕することにより生成された粉末粒子を効率よく回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-20156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池に使用される電極シートを形成する際に、静電塗布法(FPS)を用いて、金属箔に電極層を成膜する。この場合には、たとえば、電極を構成する造粒体とキャリア粒子のように、サイズの異なる2以上の粉体を含む複合粉体が用いられる。成膜後に残留する複合粉体を回収して、回収された複合粉体を分離して再利用することが考えられる。このような場合には、複合粉体から少なくとも1つの粉体を簡素な構成で効率よく分離するための装置が要求される。
【0005】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、2以上の粉体が複合化された複合粉体から少なくとも1つ以上の粉体を簡素な構成で効率よく分離することができる粉体分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく粉体分離装置は、2つ以上の粉体が複合化された複合粉体が導入される円錐台状の上部側空間を規定する上部側部分、下部側空間を規定する下部側部分、および、上記上部側部分と上記下部側部分との間に配置され、上記複合粉体から少なくとも1つの粉体を分離するためのふるい部を含む本体部と、上記複合粉体を上記上部側空間に導入するための導入部と、上記下部側部分に接続され、上記本体部内の気体を吸引することで、上記本体部内に気流を発生させる吸引部と、開状態と閉状態とを切り替え可能に上記上部側部分に設けられ、上記開状態において上記上部側空間に気体を導入する気体導入部と、を備える。上記本体部内の気体を上記吸引部によって吸引している状態で、上記開状態と上記閉状態とを切り替えることにより、上記本体部内の上記気流の状態を変化させる。
【0007】
上記構成によれば、少なくとも上部側空間が円錐台状の空間を有することにより、上部側部分に設けられた気体導入部を閉状態にして吸引部で本体部内の気体を吸引した場合には、下方側に向かうように上部側空間内で旋回気流が生成される。これにより、導入部から上部側空間に導入された複合粉体を広範囲にわたってふるい部に導くことができる。この際、複合粉体のうち所定のサイズ以下の粉体がふるい部を通過し、複合粉体から少なくとも1つの粉体を分離することができる。このように、旋回気流を発生させ、ふるい部で複合粉体を分離することにより、簡素な構成で複合粉体を分離することができる。
【0008】
また、ふるい部で複合粉体を分離する際に、所定のサイズ以上の粉体がふるい部に堆積することにより、複合粉体のうち所定のサイズ以下の粉体がふるい部を通過しにくくなる。このような場合に、本体部内の気体を上記吸引部によって吸引している状態で、上部側部分に設けられた気体導入部を閉状態から開状態にすることにより、本体部内の上記気流の状態を変化させ、乱気流を発生させる。これにより、ふるい部に堆積していた所定のサイズ以上の粉体を移動させ、ふるい部の目詰まり状態を改善することができる。このように、気体導入部の開状態と閉状態とを切り替え、気流の状態を変化させながら、本体部内の気体を吸引していくことで、複合粉体から少なくと1つ以上の粉体を効率よく分離することができる。
【0009】
上記本開示に基づく粉体分離装置にあっては、上記複合粉体は、電極活物質およびバインダを含む造粒体と、キャリア粒子とを含んでいてもよい。この場合には、上記造粒体と上記キャリア粒子とは、静電結合していてもよい。
【0010】
上記のように、造粒体とキャリア粒子とが静電気力で強固に結合するような場合であっても、上記粉体分離装置によって効果的に造粒体とキャリア粒子とを分離することができる。
【0011】
上記本開示に基づく粉体分離装置にあっては、上記キャリア粒子は、フェライトを主成分としていてもよい。
【0012】
上記のように、キャリア粒子が、フェライトを主成分とし、重量の重い粉体であっても、上記のように気流の状態を変化させることで、ふるい部の目詰まり状態を改善し、複合粉体から少なくと1つ以上の粉体を効率よく分離することができる。
【0013】
上記本開示に基づく粉体分離装置にあっては、前記本体部は、前記ふるい部と前記下部側部分との間に配置され、前記ふるい部を支持する支持部を含んでいてもよい。また、上記ふるい部は、上記上部側部分の下端に接続される筒状の胴部と、上記胴部の下端側に設けられた第1メッシュ部とを含んでいてもよい。上記支持部は、上記胴部および上記下部側部分の上端を接続する筒状部と、上記筒状部に設けられた第2メッシュ部とを含んでいてもよい。この場合には、上記第2メッシュ部は、上記第1メッシュ部よりも粗い目を有し、かつ、上記第1メッシュ部を支持することが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、第1メッシュ部よりも粗い目を有する第2メッシュ部によって第1メッシュ部を支持することにより、第1メッシュ部の目開きにほぼ影響を与えずに、第1メッシュ部を補強することができる。
【0015】
上記本開示に基づく粉体分離装置にあっては、上記気体導入部は、上記上部側部分に設けられた開口部と、上記開口部を開閉可能に封鎖するシャッター部とを含んでいてもよい。
【0016】
上記構成によれば、開口部をシャッター部で開閉することにより、気体導入部の開状態と閉状態とを容易に切り替えることができる。
【0017】
上記本開示に基づく粉体分離装置にあっては、上記上部側部分は、上記導入部に接続される接続口を有していてもよく、上記導入部は、上記接続口に着脱可能に設けられていてもよい。この場合には、上記気体導入部は、上記接続口と上記導入部によって構成されていてもよい。さらにこの場合には、上記導入部が上記接続口に装着された状態において、上記接続口が閉じられることにより上記閉状態となり、上記導入部が上記接続口から取り外された状態において、上記接続口から記上部側空間に気体が導入されるように上記開状態となることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、導入部の着脱状態を切り替えることで、気体導入部の開状態と閉状態とを容易に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、2以上の粉体が複合化された複合粉体から少なくとも1つ以上の粉体を簡素な構成で効率よく分離することができる粉体分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1に係る粉体分離装置の概略図である。
図2】実施の形態1に係る本体部の概略断面図である。
図3】実施の形態1に係る粉体分離装置のふるい部および支持部を示す概略図である。
図4】実施の形態1に係る粉体分離装置において、気体導入部を閉状態とした場合の本体部内の気流を示す図である。
図5】実施の形態1に係る粉体分離装置において、気体導入部を開状態とした場合の本体部内の気流を示す図である。
図6】実施の形態2に係る粉体分離装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る粉体分離装置の概略図である。図2は、実施の形態1に係る本体部の断面を示す図である。図1および図2を参照して、実施の形態1に係る粉体分離装置100について説明する。
【0023】
粉体分離装置100は、2つ以上の粉体が複合化された複合粉体から少なくとも1つの粉体を分離するための装置である。
【0024】
複合粉体としては、電極活物質およびバインダを含む造粒体と、キャリア粒子とを含むものを採用することができる。なお、複合粉体は、上記に限定されず、後述するふるい部30によって分離可能でありあれば、特に限定されない。
【0025】
上記造粒体としては、たとえば、正極活物質、バインダ、および導電材を含む正極用の造粒体であってもよい。この場合において、正極活物質としては、コバルト酸リチウム等に代表される公知の正極活物質を適宜用いることができる。具体的には、正極活物質としては、NCM(ニッケルコバルトマンガン酸リチウム)を採用することができる。また、バインダとしては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有樹脂を用いることができる。導電材としては、気相成長炭素繊維(VGCF)やアセチレンブラック等の公知の導電材を用いることができる。これら、正極活物質、導電材、およびバインダの組成比としては、たとえば、正極活物質:導電材:バインダ=90:5:5(wt%)としてもよい。なお、組成比は上記に限定されるものではない。
【0026】
上記の正極用の造粒体は、たとえば、正極活物質、導電材、およびバインダの3種類の粉体をMPミキサ(日本コークス業社製)を用いて複合化し、複合化されたものを所定の温度で熱処理することで得られる。
【0027】
上記造粒体としては、たとえば、負極活物質、およびバインダを含む負極用の造粒体であってもよい。この場合において、負極活物質としては、たとえば、グラファイト等を含む公知の力ーボン系負極合材を用いることができる。また、バインダとしては、上述同様に、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有樹脂を用いることができる。これら負極活物質およびバインダの組成比としては、たとえば、負極活物質:バインダ=97.5:2.5(wt%)としてもよい。なお、組成比は上記に限定されるものではない。また、負極用の造粒体は、アセチレンブラック等の公知の導電材を含んでいてもよい。
【0028】
上記負極用の造粒体は、たとえば、負極活物質およびバインダの2種類の粉体をハイスピードミキサで複合化することで得られる。
【0029】
キャリア粒子としては、たとえば、主としてフェライトによって構成されるものを用いることができる。キャリア粒子は、上記正極用の造粒体および負極用の造粒体よりも粒子径が大きく、また、重量も重い。
【0030】
これら正極用の造粒体、または負極用の造粒体、および上記キャリア粒子をロールミルで撹拌することで、複合粉体を得ることができる。
【0031】
図1および図2に示すように、実施の形態1に係る粉体分離装置100は、本体部1、導入部50、吸引部60、および気体導入部70を備える。本体部1は、上部側部分10、下部側部分20、ふるい部30および支持部40を有する。
【0032】
上部側部分10は、本体部1の外郭の上部側を構成し、上部側空間S1を規定する。上部側空間S1は、円錐台形状を有する。上部側部分10は、上端11および下端12を有し、上端11側に向かうにつれて先細る筒状形状を有する。上端11には、導入部50が接続される接続口11aが設けられている。下端12には、ふるい部30の内部に連通する開口部が設けられている。
【0033】
上部側部分10の側面には、気体導入部70が設けられている。気体導入部70は、開状態と閉状態とを切り替え可能に設けられている。開状態の場合には、気体導入部70によって、上部側空間S1に気体を導入可能となる。一方、閉状態の場合には、気体導入部70によって上部側空間S1に気体を導入不能となる。なお、上部側空間S1に導入される気体は、外気であってもよいし、不図示の供給配管を介して供給される気体であってもよい。
【0034】
気体導入部70は、当該上部側部分10の側面に設けられた開口部13および当該開口部13を開閉可能に封鎖するシャッター部14によって構成されている。シャッター部14が開いた状態が、上記開状態となる。また、シャッター部14が閉じた状態が、上記閉状態となる。シャッター部14の開閉動作は、たとえば、不図示の駆動源を駆動させることで実施することができる。
【0035】
下部側部分20は、本体部1の外郭の下部側を構成し、下部側空間S2を規定する。下部側空間S2は、逆円錐台形状を有する。下部側部分20は、上端22および下端21を有し、下端21側に向かうにつれて先細る筒状形状を有する。下端21には、吸引部60に連通する開口部21aが設けられている。
【0036】
ふるい部30は、上部側部分10と下部側部分20との間に配置されている。上記複合粉体がふるい部30を通過する際に、ふるい部30は、複合粉体から少なくとも1つの粉体を分離する。
【0037】
支持部40は、ふるい部30と下部側部分20との間に配置されている。支持部40は、ふるい部30を支持する。なお、ふるい部30と支持部40の詳細については、図3を用いて後述する。
【0038】
導入部50は、複合粉体を上部側空間S1に導入するための部分である。導入部50は、複合粉体が流れる流路を形成している。導入部50は、略筒状形状を有する。導入部50は、上記接続口11aに接続されている。
【0039】
吸引部60は、下部側部分20に接続され、本体部1内の気体を吸引することで、本体部1内に気流を発生させる。吸引部60は、上記下部側部分20の開口部21aに接続されている。
【0040】
図3は、実施の形態1に係る粉体分離装置のふるい部および支持部を示す概略図である。
【0041】
図3に示すように、ふるい部30は、胴部31および第1メッシュ部32を有する。胴部31は、筒状形状を有する。胴部31は、上部側部分10の下端12に接続されている。胴部31の内側空間は、上部側空間S1と連通している。第1メッシュ部32は、胴部31の下端側に第1メッシュ部32が設けられている。第1メッシュ部32は、上記複合粉体のうち少なくとも1つが通過不能となるように形成されている。具体的には、第1メッシュ部32は、正極用の造粒体、または負極用の造粒体は通過できるが、キャリア粒子は通過できないように形成されている。
【0042】
支持部40は、筒状部41および第2メッシュ部42を有する。筒状部41は、胴部31の下端および下部側部分20の上端22を接続する。筒状部41の内部空間は、上記胴部31の内部空間および下部側空間S2に連通している。第2メッシュ部42は、第1メッシュ部32よりも粗い目を有し、かつ、第1メッシュ部32を支持する。これにより、第1メッシュ部32の目開きにほぼ影響を与えずに、第1メッシュ部32を補強することができる。上述のようにキャリア粒子が、フェライトを主成分とし、重量が重くなる場合には、堆積したキャリア粒子の重量で第1メッシュ部32が歪むことを抑制することができる。
【0043】
図4は、実施の形態1に係る粉体分離装置において、気体導入部を閉状態とした場合の本体部内の気流を示す図である。
【0044】
図4に示すように、気体導入部70を閉状態にして吸引部60が駆動した場合には、本体部1の内部は、旋回流が生成される。具体的には、上部側空間S1内では、下方に向かうにつれて径が大きくなるような旋回流が生成され、下部空間S2内では、下方に向かうにつれて径が小さくなるような旋回流が生成される。
【0045】
上部側空間S1内で上述のような旋回流が生成されることにより、導入部50から上部側空間S1に導入された複合粉体を広範囲にわたってふるい部30(より特定的には、第1メッシュ部32)に導くことができる。また、複合粉体がふるい部30を通過する際に、第1メッシュ部32を通過不能な粉体が、他の粉体から分離される。具体的には、キャリア粒子が、造粒体から分離され、キャリア粒子が、第1メッシュ部32上に残る。
【0046】
上記閉状態で所定の時間継続して吸引部60を駆動させた場合には、第1メッシュ部32にキャリア粒子が堆積していく。このような場合には、複合粉体のうち所定のサイズ以下の粉体がふるい部30を通過しにくくなる。
【0047】
図5は、実施の形態1に係る粉体分離装置において、気体導入部を開状態とした場合の本体部内の気流を示す図である。
【0048】
図5に示すように、吸引部60が駆動した状態で気体導入部70を開状態とした場合には、気体導入部70から気体が上部側空間S1に導入される。この際、本体部1内の気流の状態が変化し、乱気流が発生する。具体的には、たとえば、矢印AR2、AR3に示すような気流が発生する。このような気流によって、ふるい部30(第1メッシュ部32)に堆積していた所定のサイズ以上の粉体を移動させることができ、ふるい部30の目詰まり状態を改善することができる。
【0049】
以上のように、気体導入部70の開状態と閉状態とを切り替え、気流の状態を変化させながら、本体部1内の気体を吸引していくことで、複合粉体から少なくと1つ以上の粉体を効率よく分離することができる。また、上述のように、旋回気流を発生させ、ふるい部30で複合粉体を分離することにより、簡素な構成で複合粉体を分離することができる。
【0050】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る粉体分離装置の概略図である。図6を参照して、実施の形態2に係る粉体分離装置100Aについて説明する。
【0051】
図6に示すように、粉体分離装置100Aは、実施の形態1に係る粉体分離装置100と比較した場合に、気体導入部70Aの構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0052】
実施の形態2では、気体導入部70Aは、接続口11aと導入部50とよって構成されている。導入部50は、接続口11aに着脱可能に設けられている。具体的には、導入部50は、不図示の駆動源によって、上下方向(矢印DR1方向)に移動可能に設けられている。
【0053】
導入部50が接続口11aに装着された状態において、接続口11aが閉じられることにより、気体導入部70Aは閉状態となる。一方で、導入部50が接続口11aから取り外された状態において、気体導入部70は開状態となり、接続口11aから上部側空間S1に気体が導入される。
【0054】
このように構成される場合であっても、実施の形態2に係る粉体分離装置100Aにあっては、実施の形態1に係る粉体分離装置100とほぼ同様の効果が得られる。
【0055】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 本体部、10 上部側部分、11 上端、11a 接続口、12 下端、13 開口部、14 シャッター部、20 下部側部分、21 下端、21a 開口部、22 上端、30 ふるい部、31 胴部、32 第1メッシュ部、40 支持部、41 筒状部、42 第2メッシュ部、50 導入部、60 吸引部、70,70A 気体導入部、100,100A 粉体分離装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6