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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20240806BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240806BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240806BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20240806BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240806BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240806BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20240806BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240806BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240806BHJP
   B60L 8/00 20060101ALI20240806BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20240806BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20240806BHJP
   G16Y 40/35 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/40
H02J13/00 311A
H02J3/00 180
B60L55/00
B60L53/14
B60L53/12
B60L8/00
G16Y10/35
G16Y20/30
G16Y40/35
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022015661
(22)【出願日】2022-02-03
(65)【公開番号】P2023113350
(43)【公開日】2023-08-16
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江原 雅人
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智之
(72)【発明者】
【氏名】豊良 幸男
(72)【発明者】
【氏名】福岡 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】徐 梓丹
(72)【発明者】
【氏名】梁 文鋒
(72)【発明者】
【氏名】村田 宏樹
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-150988(JP,A)
【文献】特開2021-093802(JP,A)
【文献】特開2013-179723(JP,A)
【文献】特開2020-114155(JP,A)
【文献】特開2021-081261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 50/00-50/90
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 13/00
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
G16Y 10/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統における電力需給バランスを調整するためのDR(Demand Response)に参加可能に構成される車両であって、
蓄電装置と、
前記蓄電装置と前記車両の外部との間で、電力ケーブルを通じて電力を伝送可能とする第1方式と、前記車両の停車中に前記蓄電装置と前記車両の外部との間で、非接触で電力を伝送可能とする第2方式と、前記車両の走行中に前記蓄電装置と前記車両の外部との間で非接触で電力を伝送可能に構成される第3方式とのうちのいずれかの方式での電力伝送を可能とする電力伝送装置と、
前記電力伝送装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記DRに参加する場合、前記第1方式、前記第2方式、前記第3方式の優先順位で前記方式を選択して前記電力伝送を実施する、車両。
【請求項2】
前記車両、前記DRの要請地域と前記DRの要請時間帯とに対応する、停車中の前記車両との電力伝送が可能な施設の予約状況を取得する取得装置をさらに備え、
前記制御装置は、取得した前記予約状況を用いて前記要請地域における前記要請時間帯に施設を予約する場合には、前記第2方式よりも前記第1方式が実行可能な施設を優先して選択する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御装置は、開始時刻直前の前記DRの要請に対して、前記第1方式、前記第2方式、前記第3方式の優先順位で実施可能な前記方式を選択する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記DRの要請に参加しない場合に設定されるペナルティにより生じる損失額が、前記第1方式、前記第2方式および前記第3方式のいずれかを選択することにより生じる損失額よりも低い場合には、前記DRに参加しない、請求項1~3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
前記車両は、太陽光発電装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記DRの要請時間帯が、前記太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも大きくなる期間を含む場合には、前記第2方式および前記第3方式のうちの少なくともいずれかを前記第1方式よりも優先して選択する、請求項1~4のいずれかに記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置を搭載した車両の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場あるいは住宅に駐車する電動車両に搭載された蓄電装置などの小規模のエネルギーリソースを、サーバ等を用いて遠隔・統合制御することであたかも一つの発電所のように機能するバーチャルパープラント(以下、VPPと記載する)が公知である。このようなVPPにおいては、たとえば、電動車両に搭載された蓄電装置の充放電を行なうことにより電力網における電力の需要量を変化させて電力需要の平準化が可能になる。
【0003】
電動車両と電力網とは、たとえば、電動車両の外部に設けられる電力設備を介して車載の蓄電装置が充放電可能に接続される。
【0004】
このような電動車両として、たとえば、特開2015-95983号公報(特許文献1)には、商用電源に接続される電力設備と電力ケーブルを通じた電力の伝送(接触電力伝送)が可能な電気自動車と、電力設備との間を非接触で電力の伝送(非接触電力伝送)が可能な電気自動車とが開示される。また、非接触電力伝送を実施する場合には、車両は停車中に限定されるものではなく、走行中に実施することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-95983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなVPPにおいて、アグリゲータとなるサーバは、電力需給バランスを調整するためにデマンドレスポンス(DR:Demand Response)を実施する。具体的には、サーバは、複数の車両にDRへの参加を要請し、要請に応じた車両に対して電力伝送の指示を行なうことで電力網における電力需給バランスの調整を行なう。接触電力伝送と非接触電力伝送とが可能な車両がDRに参加する場合には、電力伝送施設の空き状況や走行中に目的地までの走行経路に走行中の非接触電力伝送が可能な経路を含めるなどの走行計画等を考慮して適切な電力伝送の方式を選択することが求められる。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電力需給バランスの調整に参加する車両において適切な電力伝送の方式を選択可能な車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に係る車両は、電力系統における電力需給バランスを調整するためのDR(Demand Response)に参加可能に構成される車両である。この車両は、蓄電装置と、蓄電装置と車両の外部との間で、電力ケーブルを通じて電力を伝送可能とする第1方式と、車両の停車中に蓄電装置と車両の外部との間で、非接触で電力を伝送可能とする第2方式と、車両の走行中に蓄電装置と車両の外部との間で非接触で電力を伝送可能に構成される第3方式とのうちのいずれかの方式での電力伝送を可能とする電力伝送装置と、電力伝送装置を制御する制御装置とを備える。制御装置は、DRに参加する場合、第1方式、第2方式、第3方式の優先順位で方式を選択して電力伝送を実施する。
【0009】
このようにすると、DR要請に対して、比較的効率が高い第1方式の電力伝送を優先して選択することでDR要請に対応して得られる対価を最大限にすることができる。さらに、第1方式の電力伝送が実施できない場合でも比較的効率が低い第3方式よりも第2方式を優先して選択することにより、DR要請に対応して得られる対価を第3方式が選択される場合よりも多くすることができる。さらに、第1方式および第2方式をいずれも実施できない場合でも第3方式を選択してDR要請に対応することにより、DRに参加しないことによるペナルティを受けることを回避することができる。
【0010】
ある実施の形態においては、車両、DRの要請地域とDRの要請時間帯とに対応する、停車中の車両との電力伝送が可能な施設の予約状況を取得する取得装置をさらに備える。制御装置は、取得した予約状況を用いて要請地域における要請時間帯に施設を予約する場合には、第2方式よりも第1方式が実行可能な施設を優先して選択する。
【0011】
このようにすると、事前に施設を予約しておくことで選択した方式で確実にDRに参加することができる。
【0012】
さらにある実施の形態においては、制御装置は、開始時刻直前のDRの要請に対して、第1方式、第2方式、第3方式の優先順位で実施可能な前記方式を選択する。
【0013】
このようにすると、急なDRの要請に対して効率の高い方式を優先して選択することでDR要請に対応して得られる対価を最大限にすることができる。
【0014】
さらにある実施の形態においては、制御装置は、DRの要請に参加しない場合に設定されるペナルティにより生じる損失額が、第1方式、第2方式および第3方式のいずれかを選択することにより生じる損失額よりも低い場合には、DRに参加しない。
【0015】
このようにすると、DRに参加する場合の損失額が大きい場合に、DRの要請に参加しないことで損失額が増加することを抑制することができる。
【0016】
さらにある実施の形態においては、車両は、太陽光発電装置をさらに備える。制御装置は、DRの要請時間帯が、太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも大きくなる期間を含む場合には、第2方式および第3方式のうちの少なくともいずれかを第1方式よりも優先して選択する。
【0017】
このようにすると、たとえば、第1方式の給電と、第2方式の給電とが可能な施設において第1方式の電力伝送しか実施できない車両のDRへの参加枠を増やすことができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、電力需給バランスの調整に参加する車両において適切な電力伝送の方式を選択可能な車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る車両を含む電力管理システムの概略的な構成を示す図である。
図2】車両の構成を示す図である。
図3】第1方式、第2方式、および、第3方式で電力伝送を実施しているときの状況を説明するための図である。
図4】ECUとサーバとの各々で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図5】変形例におけるECUとサーバとの各々で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を繰り返さない。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る車両を含む電力管理システム10の概略的な構成を示す図である。図1を参照して、電力管理システム10は、電力系統PGと、電力リソース群400と、サーバ600と、サーバ700とを含む。
【0022】
電力系統PGは、送配電設備によって構築される。電力系統PGは、その運用者である電力会社により保守および管理される。
【0023】
電力リソース群400は、車両群500を含む。車両群500は、各々がバッテリ130を搭載する複数の車両50を含む。各車両50は、電力系統PGと電気的に接続可能に構成されており、分散型電源として機能する電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)である。電力リソース群400は、HEMS(Home Energy Management System)などの他の電力システムを含んでもよい。電力リソース群400の各電力リソースのユーザ(所有者)は、当該電力リソースがアグリゲータ(後述)によりDRへの参加を要請された場合にはDRに参加することができるようにアグリゲータと事前に契約を結んでいるものとする。
【0024】
各車両50は、車両外部に設けられる電力設備と電力伝送を実行可能に構成される。この電力伝送は、たとえば、車両50が電力設備からの電力を用いてバッテリ130を充電する外部充電により実行されたり、あるいは、車両50がバッテリ130に蓄えられた電力を電力設備に給電する外部給電により実行されたりする。
【0025】
各車両50が外部充電を実行するとなると、電力系統PGから各車両50への電力供給が要求されるため、電力系統PGにおける電力の需要量が増加することとなる。一方、各車両50が外部給電を実行するとなると、各車両50から電力系統PGに電力が供給可能となり、電力系統PGにおける電力の需要量が減少することとなる。そのため、各車両50は、外部充電や外部給電などの電力伝送を実行することによって電力系統PGにおける電力の需要量の調整に参加することができる。以下、このような電力の需要量の調整をDR(Demand Response)と記載する場合がある。
【0026】
電力系統PGにおける需要量を増加させる「上げDR」に車両50が参加する場合には、外部充電を実行する車両数を増加させたり、外部給電を実行する車両数を減少させたり、外部充電を実行する車両50における充電電力量を増加させたり、あるいは、外部給電を実行する車両50における給電電力量を減少させたりすることにより電力の需要量を増加させることができる。上げDRは、たとえば、電力系統PGにおける供給可能な電力量が電力の需要量よりも多い場合に実施される。
【0027】
あるいは、電力系統PGにおける需要量を減少させる「下げDR」に車両50が参加する場合には、外部充電を実行する車両数を減少させたり、外部給電を実行する車両数を増加させたり、外部充電を実行する車両50における充電電力量を減少させたり、あるいは、外部給電を実行する車両50における給電電力量を増加させたりすることにより電力の需要量を減少させることができる。下げDRは、たとえば、電力系統PGにおける電力の需要量が供給可能な電力量よりも多い場合に実施される。
【0028】
サーバ700は、電力会社に帰属するコンピュータであって、アグリゲータのサーバ600と通信可能に構成される。サーバ700は、電力系統PGにおける電力需給バランスを予め定められた期間(時間帯)ごとに予測し、その予測結果に従って、サーバ600に電力需給バランスの調整要求AREを出力する。調整要求AREは、対象の期間において電力の需要量と供給可能な電力量とのうちのいずれが多いかの予測結果と、その期間中に電力系統PGにおける電力の需要量を調整するために要求される電力の調整量(以下、調整要求電力量と記載する)RAとを含む。
【0029】
電力の需要量が供給可能な電力量よりも多い場合、調整要求電力量RAは、電力系統PGにおいて調達(供給)を要する電力量または電力系統PGにおいて低減を要する電力量を示す。他方、供給可能な電力量が電力の需要量よりも多い場合、調整要求電力量RAは、電力系統PGにおいて消費を要する電力量を示す。
【0030】
サーバ600は、アグリゲータに帰属しており、電力リソース群400を管理するように構成される。アグリゲータは、電力リソース群400を用いて電力系統PGにおける電力の需要量を調整する電気事業者である。アグリゲータは、電力系統PGにおける電力の需要量の調整に成功すると、電力会社から報酬を得ることができる。他方、アグリゲータは、電力系統PGにおける電力の需要量の調整をし損なう(たとえば、調整要求電力量RAを調達、増加または低減し損なう)と、電力会社からのペナルティを受けることがある。
【0031】
サーバ600は、処理装置605と、記憶装置620と、通信装置630とを備える。処理装置605は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリとを含む。記憶装置620は、たとえば、処理装置605により実行されるプログラム、ならびに処理装置605により用いられる種々の情報およびデータを格納する。通信装置630は、各種の通信インターフェースであり、車両群500の複数の車両50の各々にDR信号(後述)を送信可能に構成される。
【0032】
サーバ600は、サーバ700から調整要求AREを受信すると、車両群500の中の、アグリゲータがDRへの参加を要請する車両50にDR信号S1を送信する。
【0033】
DR信号S1は、DRへの参加を車両50に要請するための信号である。DR信号S1は、DRの種類(たとえば、上げDRまたは下げDRのいずれであるか)と、車両50がDRに参加するように要請される時間帯(要請時間帯)とを含む。
【0034】
DR信号S1は、アグリゲータが各電力リソース(たとえば、車両50)に電力系統PGに供給または電力系統PGにおいて消費もしくは節約するように依頼する電力量であるDR量を(以下、DR要請量とも記載する)示す情報をさらに含む。たとえば、車両50が電力系統PGの電力を電力設備を用いて消費すること(外部充電など)によってDRに参加する場合、DR量は、電力設備が車両50に対して送電する送電電力量を示す。他方、車両50が電力設備を通じて電力系統PGに電力を供給すること(外部給電など)によってDRに参加する場合、DR量は、電力設備が車両50から受電する受電電力量を示す。電力リソース群400において送電電力量あるいは受電電力量が実現されることによって調整要求電力量RAを実現することができる。
【0035】
サーバ600は、車両50から承認信号S11を受信するように構成される。承認信号S11は、車両50によるDRへの参加が車両50のユーザにより承認された場合に、車両50からサーバ600に送信される。
【0036】
サーバ600が承認信号S11を受信すると、車両50のユーザとアグリゲータとの間で契約が成立する。この契約は、DR期間と、DRの種類と、DR量とを示す情報を含む。この契約の内容を示す契約情報は、承認信号S11に含まれており、車両50の記憶装置およびサーバ600の記憶装置620に格納される。
【0037】
電力リソース群400に含まれる車両50は、アグリゲータであるサーバ600からのDRの参加要請を受けてDRに参加し、サーバ600からの要請に応じた電力伝送を実施することによって、アグリゲータから報酬を得ることができる。他方、車両50は、DRに参加し、サーバ600からの要請に応じた電力伝送を実施できない場合には、アグリゲータから報酬を得ることができなかったり、ペナルティを受けたりする場合がある。
【0038】
図2は、車両50の構成を示す図である。図2を参照して、車両50は、インレット110と、送受電装置123と、バッテリ130と、ECU(Electronic Control Unit)150と、HMI(Human Machine Interface)装置170と、通信装置180とを備える。
【0039】
インレット110は、車両50の外部の電力スタンド40から受電するように構成される。送受電装置123は、コイル124を含む。送受電装置123は、車両50の外部の送受電設備45からコイル124を通じて非接触で受電したり、送受電設備45に非接触で送電したりすることができる。インレット110と送受電装置123とによって「電力伝送装置」が構成される。
【0040】
バッテリ130は、二次電池であって、たとえば、ニッケル水素電池であってもよいし、あるいは、液体または固体の電解質を有するリチウムイオン電池であってもよい。
【0041】
HMI装置170は、入力装置172と、表示装置174とを含む。入力装置172は、ユーザ操作(たとえば、車両50がDRに参加可能な時間帯、車両50がその時間帯において実行可能な電力伝送の態様、および車両50の目的地を入力するための操作)を受ける。表示装置174は、各種画面を表示する。
【0042】
通信装置180は、各種機器(たとえば、サーバ600またはユーザ端末(図示せず))と無線で通信するように構成される。通信装置180は、たとえば、サーバ600からDR信号S1(図1)を受信したり、サーバ600に承認信号S11を送信したりする。さらに、通信装置180は、たとえば、ユーザ端末に車両50の走行計画等の予め定められた情報を送信する。
【0043】
ECU150は、送受電装置123、HMI装置170、および通信装置180などの各種装置を制御する。ECU150は、たとえば、電力スタンド40または送受電設備45に電力伝送の開始要求もしくは電力伝送の停止要求を出力することによって車両50の外部充電や外部給電などの電力伝送を制御する。車両50の目的地が設定されている場合、ECU150は、現在地および目的地に従って車両50の走行ルートを設定することもできる。
【0044】
送受電設備45は、たとえば、駐車スペースや車線の地面下に設置される。送受電設備45は、通信装置46と、制御装置47と、コイル48とを含む。コイル48は、インバータ(図示せず)を通じて電力系統PGに接続される。コイル48は、電力系統PGから供給される電力を用いて車両50に非接触で(より詳細には、電磁界を通じてコイル124に)給電したり、車両50から非接触で受電したりするように構成される。
【0045】
制御装置47は、DRの要請期間中に送受電設備45と車両50との間の電力伝送を制御する。通信装置46は、サーバ600やユーザ端末などの外部機器と通信するように構成される。通信装置46は、制御装置47によって制御される。
【0046】
電力スタンド40は、制御装置41と、電力ケーブル42と、コネクタ43と、電源回路44と、通信装置49とを含む。
【0047】
電力ケーブル42は、電力スタンド40から車両50へ電力を供給する。電力ケーブル42は、車両50からの電力を電力スタンド40に供給することもできる。
【0048】
コネクタ43は、電力ケーブル42の先端に設けられ、車両50のインレット110に挿入可能に構成される。
【0049】
電源回路44は、たとえば、電力系統PGから供給される電力を変換して、変換後の電力を電力ケーブル42に出力したり、電力ケーブル42からの電力を変換して、変換後の電力を電力系統PGに出力したりする。
【0050】
通信装置49は、サーバ600やユーザ端末などの外部機器と通信するように構成される。
【0051】
制御装置41は、通信装置49および電源回路44を制御する。制御装置41は、サーバ600から送信される電力伝送計画に従って、DRの要請時間帯に電力スタンド40から車両50に対して送電する送電処理を実行可能に構成される。送電処理の実行によって車両50の外部充電が実行される。さらに、制御装置41は、電力伝送計画に従って、DRの要請時間帯に電力スタンド40が車両50から受電する受電処理を実行可能にも構成される。受電処理の実行によって車両50の外部給電が実行される。
【0052】
このような構成を有する電力管理システム10においては、車両50と電力系統PGとの間で複数の方式で電力伝送が実施可能となる。すなわち、車両50と電力系統PGとの間での実施可能な電力伝送の方式としては、たとえば、接触電力伝送方式(以下、第1方式と記載する)と、停車中における非接触電力伝送方式(以下、第2方式と記載する)と、走行中における非接触電力伝送方式(以下、第3方式と記載する)とを含む。
【0053】
図3は、第1方式、第2方式、および、第3方式で電力伝送を実施しているときの状況を説明するための図である。
【0054】
図3の上段の車両50は、電力スタンド40を用いて第1方式で電力伝送を実施することによってDRに参加する場合(ケースA)の車両50を示す。ケースAにおける車両50を車両50Aとし、ケースAにおけるバッテリ130をバッテリ130Aとする。
【0055】
図3の上段に示すように、第1方式は、車両50A(バッテリ130A)と電力スタンド40との間で電力ケーブル42を経由して電力を伝送する方式である。
【0056】
図3の中段の車両50は、駐車スペースの地面下に設置された送受電設備45を用いて第2方式で電力伝送を実施することによってDRに参加する場合(ケースB)の車両50を示す。ケースBにおける車両50を車両50Bとし、ケースBにおけるバッテリ130をバッテリ130Bとし、ケースBにおける送受電設備45を送受電設備45Bとする。
【0057】
図3の中段に示すように、第2方式は、車両50Bが駐車スペースに停止しているときに車両50Bと駐車スペースの地面下に設置された送受電設備45Bとの間を非接触で電力を伝送する方式である。
【0058】
図3の下段の車両50は、車線の地面下に設置された複数の送受電設備45を用いて第3方式で電力伝送を実施することによってDRに参加する場合(ケースC)の車両50を示す。ケースCにおける車両50を車両50Cとし、ケースCにおけるバッテリ130をバッテリ130Cとし、ケースCにおける複数の送受電設備45を複数の送受電設備45Cとする。以下の説明においては、車線における地面下に複数の送受電設備45が設置された区間を給電レーンと記載する。
【0059】
図3の下段に示すように、第3方式は、車両50Cが給電レーンを走行しているときに車両50Cと車線の地面下に設置された複数の送受電設備45Cの各々との間を非接触で電力を伝送する方式である。車両50Cの走行中において送受電装置123に対向する位置の送受電設備45Cとの間で非接触での電力伝送が実施される。
【0060】
上述したような車両50がDRに参加する場合には、電力伝送施設の空き状況や走行計画等を考慮して第1方式、第2方式および第3方式のうちの適切な電力伝送の方式を選択することが求められる。
【0061】
そこで、本実施の形態においては、車両50のECU150が、DRに参加する場合に、第1方式、第2方式、第3方式の優先順位で方式を選択して電力伝送を実施するものとする。
【0062】
図3におけるケースA~Cにおける電力伝送効率を比較すると、ケースAにおける電力伝送効率が最も高くなり、ケースCにおける電力伝送効率が最も低くなる。これは、ケースA~CにおいてケースCにおける電力損失が他のケースよりも高くなり、ケースAにおける電力損失が他のケースよりも低くなるためである。その結果、ケースBにおける電力伝送効率は、ケースAにおける電力伝送効率よりも低く、かつ、ケースCにおける電力伝送効率よりも高くなる。
【0063】
そのため、DR要請に対して、比較的伝送効率が高い第1方式の電力伝送を優先して選択することでDR要請に対応することにより得られる対価を最大限にすることができる。さらに、第1方式の電力伝送が実施できない場合でも比較的伝送効率が低い第3方式よりも第2方式を優先して選択することにより、DR要請に対応して得られる対価を第3方式が選択される場合よりも多くすることができる。さらに、第1方式および第2方式をいずれも実施できない場合でも第3方式を選択してDR要請に対応することにより、DRに参加しないことによるペナルティを受けることを回避することができる。
【0064】
以下、図4を参照して、車両50(具体的には、ECU150)とアグリゲータであるサーバ600との各々で実行される処理について説明する。図4は、ECU150とサーバ600との各々で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図4の左側には、ECU150で実行される処理を示すフローチャートが示される。なお、図4には、サーバ600からDR要請として電力放電要請を受ける場合の処理の一例が示される。
【0065】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU150は、電力放電要請を含むDR信号S1を受信するか否かを判定する。ECU150は、サーバ600からDR信号S1を受信し、かつ、受信したDR信号S1に電力放電要請を示す情報が含まれる場合に、電力放電要請を含むDR信号S1を受信したと判定する。DR信号S1を受信したと判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。
【0066】
S102にて、ECU150は、DRの要請時間帯の給電施設の予約情報を取得する。ECU150は、受信したDR信号S1に含まれるDRの要請時間帯を取得し、取得された要請時間帯における給電施設の予約情報を取得する。予約情報は、給電施設の利用が予約されていない時間帯の情報(予約の空き情報)を含む。給電施設としては、第1方式の電力伝送が可能な給電施設(以下、接触給電施設と記載する)と第2方式の電力伝送が可能な給電施設(以下、非接触給電施設と記載する)とが含まれる。ECU150は、たとえば、サーバ600から給電施設の予約情報を取得してもよいし、サーバ600と異なる、給電施設の予約を管理する管理サーバから給電施設の予約情報を取得してもよいし、あるいは、ユーザ端末から給電施設の予約情報を取得してもよい。また、ECU150は、現在位置に直近の接触給電施設および非接触給電施設の予約情報を取得するようにしてもよいし、あるいは、現在位置に近い予め定められた数の接触給電施設および非接触給電施設の予約情報を取得するようにしてもよい。なお、ECU150は、たとえば、GPS(Global Positioning System)等の図示しない位置検出装置を用いて現在位置を取得する。
【0067】
S104にて、ECU150は、接触給電施設に予約の空きがあるか否かを判定する。ECU150は、給電施設の予約情報のうちの接触給電施設の予約の空き情報を用いてDRの要請時間帯に予約の空きがあるか否かを判定する。ECU150は、たとえば、予約が空いている時間帯にDRの要請時間帯が含まれる場合に、DRの要請時間帯に予約の空きがあると判定する。接触給電施設に予約の空きがあると判定される場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。
【0068】
S106にて、ECU150は、接触給電施設を予約する。ECU150は、たとえば、DR信号S1に含まれる要請時間帯の接触給電施設の利用を予約する予約処理を行なう。予約処理としては、たとえば、利用を予約する時間帯についての情報を、給電施設の予約を管理するサーバに送信することにより行なわれるが、周知の技術を用いればよくその詳細な説明は行なわない。ECU150は、たとえば、要請時間帯の始期に対応する時刻を開始時刻として、周期を終了時刻として接触給電施設の利用を予約してもよい。あるいは、ECU150は、要請時間帯の始期から予め定められた時間だけ遡った時刻を開始時刻として給電施設の利用を予約してもよい。あるいは、ECU150は、要請時間帯の周期から予め定められた時間だけ経過した時刻を終了時刻として給電施設の利用を予約してもよい。ECU150は、予約対象となる接触給電施設が複数ある場合には、車両50の現在位置に直近の接触給電施設の利用を予約してもよいし、あるいは、目的地が設定されている場合には、目的地までの走行経路に直近の接触給電施設の利用を予約してもよい。その後処理はS114に移される。なお、接触給電施設に予約の空きがないと判定される場合(S104にてNO)、処理はS108に移される。
【0069】
S108にて、ECU150は、非接触給電施設に予約の空きがあるか否かを判定する。ECU150は、給電施設の予約情報のうちの非接触給電施設の予約の空き情報を用いてDRの要請時間帯に予約の空きがあるか否かを判定する。非接触給電施設に予約の空きがあると判定される場合(S108にてYES)、処理はS110に移される。
【0070】
S110にて、ECU150は、非接触給電施設を予約する。予約の方法等については、接触給電施設の予約と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。その後処理はS114に移される。なお、非接触給電施設に予約の空きがないと判定される場合(S108にてNO)、処理はS112に移される。
【0071】
S112にて、ECU150は、給電レーンの設置位置を取得する。ECU150は、たとえば、ECU150の記憶装置153や図示しないナビゲーションシステムに記憶された給電レーンの位置情報を読み出すことにより給電レーンの設置位置を取得してもよい。あるいは、ECU150は、サーバ600やサーバ600と異なる図示しないサーバから給電レーンの位置情報を受信することにより給電レーンの設置位置を取得してもよい。ECU150は、車両の現在位置から直近の給電レーンの設置位置を取得してもよいし、あるいは、車両の現在位置に近い予め定められた数(たとえば、3つ)の給電レーンの設置位置を取得してもよい。その後処理はS114に移される。
【0072】
S114にて、ECU150は、走行計画を設定する。ECU150は、たとえば、現在位置から予約された給電施設までの距離や平均移動速度等を考慮して出発時刻を設定するようにしてもよい。あるいは、ECU150は、給電施設と異なる充電可能な場所(たとえば、自宅あるいは充電施設)で駐車している場合には、DRの要請時間帯での給電量を確保するための充電を実施する時間帯を設定してもよいし、さらに、要請時間帯の後に目的地が設定されている場合には、DRの要請時間帯での給電量と目的地までの移動に必要となる電力量とを加算した分だけ充電するための時間帯を設定してもよい。あるいは、ECU150は、給電施設が予約されていない場合には、DRの要請時間帯に設置位置が取得された給電レーンを通過するように走行経路を設定するとともに、DRの要請時間帯に給電レーンに到達するための出発時刻を設定するようにしてもよい。ECU150は、設定された走行計画についての情報をユーザ端末に送信してもよい。さらに、ECU150は、走行計画の設定後に承認信号S11をサーバ600に送信してもよい。なお、電力放電要請を含むDR信号S1を受信しないと判定される場合(S100にてNO)、この処理は終了される。
【0073】
次に、図4の右側のフローチャートを用いてサーバ600で実行される処理について説明する。
【0074】
S200にて、サーバ600は、DR要請を要するか否かを判定する。サーバ600は、たとえば、サーバ700から調整要求AREを受信する場合にDR要請を要すると判定してもよい。あるいは、サーバ600は、調整要求AREに含まれる調整要求電力量RAの大きさがしきい値よりも大きい場合にDR要請を要すると判定してもよい。DR要請を要すると判定される場合(S200にてYES)、処理はS202に移される。
【0075】
S202にて、サーバ600は、調整要求電力量RAを実現するために電力リソース群400に対してDR要請量を割り当てる。サーバ600は、電力リソース群400のうちのDRに参加可能な複数の車両の各々に対するDR要請量を設定するとともに、電力リソース群400のうちのDRに参加可能な複数の固定式の蓄電装置等に対するDR要請量を設定する。
【0076】
S204にて、サーバ600は、設定されたDR要請量についての情報を含むDR信号S1を電力リソース群400の各リソースに送信する。サーバ600は、たとえば、設定されたDR要請量が放電要請に対応する値である場合には、放電要請を含むDR信号S1を電力リソース群400の各リソースに送信する。なお、DR要請を要しないと判定される場合(S200にてNO)、この処理は終了される。
【0077】
以上のような構造およびフローチャートに基づくECU150の動作について説明する。
【0078】
たとえば、サーバ600がサーバ700から調整要求AREを受信するなどしてDR要請を要すると判定される場合(S200にてYES)、調整要求AREに含まれる調整要求電力量RAを実現するために電力リソース群400の各蓄電装置に対してDR要請量を割り当てる(S202)。そして、サーバ600は、電力リソース群400の各蓄電装置の充放電を制御する制御装置に対してDR信号S1を送信する(S204)。
【0079】
車両50において、放電要請が含まれるDR信号S1が受信される場合には(S100にてYES)、DRの要請時間帯の給電施設の予約状況が取得される(S102)。
【0080】
<接触給電施設に予約の空きがある場合>
取得された予約情報から接触給電施設に予約の空きがあると判定される場合には(S104にてYES)、DRの要請時間帯に接触給電施設における第1方式での電力伝送が可能な駐車スペースの利用の予約が行なわれる(S106)。そして、DR要請時間帯に接触給電施設において給電(送電)が行なわれることを予定として含まれる走行計画が設定される(S114)。
【0081】
たとえば、車両50が自宅で充電ケーブルに接続されている場合には、DRの要請時間帯の開始時刻までに接触給電施設に到着するための出発時刻が設定されるとともに、DRの要請時間帯においてDR要請量の送電が可能になるようにバッテリ130の充電が予約される。設定された走行計画がユーザ端末に送信されることにより、ユーザに車両50の走行計画についての情報を共有することができる。ユーザは、設定された出発時刻に予約された接触給電施設の駐車スペースに車両50を移動させて、到着後に電力ケーブル42をインレット110に接続する。ECU150は、DRの要請時間帯になるとDR要請量に応じてバッテリ130から電力ケーブル42を経由して電力スタンド40への送電が開始される。電力スタンド40に送電される電力は電力系統PGに供給される。電力リソース群400からの各蓄電装置から設定されたDR要請量の給電によって調整要求電力量RAが実現されることとなる。
【0082】
<接触給電施設に予約の空きがなく、非接触給電施設に予約の空きがある場合>
DRの要請時間帯において接触給電施設に予約の空きがないと判定される場合には(S104にてNO)、取得された予約情報から非接触給電施設に予約の空きがあるか否かが判定される(S108)。非接触給電施設に予約の空きがあると判定される場合には(S108にてYES)、DRの要請時間帯に非接触給電施設における第2方式での電力伝送が可能な駐車スペースの利用の予約が行なわれる(S110)。そして、DR要請時間帯に非接触給電施設において給電(送電)が行なわれることを予定として含まれる走行計画が設定される(S114)。
【0083】
たとえば、車両50が自宅で充電ケーブルに接続されている場合には、DRの要請時間帯の開始時刻までに非接触給電施設に到着するための出発時刻が設定されるとともに、DRの要請時間帯においてDR要請量の送電が可能になるようにバッテリ130の充電が予約される。設定された走行計画がユーザ端末に送信されることにより、ユーザに車両50の走行計画についての情報を共有することができる。ユーザは、設定された出発時刻に予約された非接触給電施設の駐車スペースに車両50を移動させる。駐車スペースにおいては、地面下に送受電設備45が設置されるため、DR要請時間帯になるとDR要請量に応じてバッテリ130から送受電装置123を経由して送受電設備45への送電が開始される。送受電設備45に送電される電力は電力系統PGに供給される。電力リソース群400からの各蓄電装置から設定されたDR要請量の給電によって調整要求電力量RAが実現されることとなる。
【0084】
<給電施設に予約の空きがない場合>
DRの要請時間帯において接触給電施設に予約の空きがなく(S104にてNO)、さらに、非接触給電施設にも予約の空きがないと判定される場合(S108にてNO)、車両50の現在位置に近い1つまたは複数の給電レーンの設置位置が取得される(S112)。そして、DRの要請時間帯に、取得された給電レーンの設置位置を通過するように走行経路が設定されるとともに、DRの要請時間帯に給電レーンに到達するための出発時刻が設定されることにより背負う項計画が設定される(S114)。
【0085】
設定された走行経路についての情報と、出発時刻についての情報とがユーザ端末に送信される。ユーザは、受信した走行経路と出発時刻にしたがって車両50を走行させる。そして、DR要請時間帯に給電レーンを車両50が通過すると、バッテリ130から送受電装置123を経由して複数の送受電設備45のうちの車両50の下面に対向する送受電設備45への送電を開始する。複数の送受電設備45に送電される電力は電力系統PGに供給される。電力リソース群400からの各蓄電装置からのDR要請量の給電によって調整要求電力量RAが実現されることとなる。
【0086】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両50によると、DR要請に対して、最初に接触給電施設の予約の空きの有無が判定され、予約に空きがあれば接触給電施設の予約が行なわれるので、接触給電施設における第1方式の電力伝送が第2方式の電力伝送および第3方式の電力伝送よりも優先して選択されることとなる。さらに、接触給電施設に予約の空きがない場合には、非接触給電施設の予約の空きの有無が判定され、予約に空きがあれば非接触充電施設の予約が行なわれるので、非接触給電施設における第2方式の電力伝送が第3方式の電力伝送よりも優先して選択されることとなる。すなわち、DR要請に対して、比較的伝送効率が高い(損失が少ない)第1方式の電力伝送を優先して選択することでDR要請に対応することにより得られる対価を最大限にすることができる。さらに、第1方式の電力伝送が行なわない場合でも、比較的伝送効率が低い(損失が多い)第3方式よりも第2方式を優先して選択することにより、DR要請に対応することにより得られる対価を第3方式が選択される場合よりも多くすることができる。さらに、第1方式および第2方式がいずれも選択できない場合でも第3方式を選択してDR要請に対応することができるため、DR要請に参加しないことによるペナルティを受けることを回避することができる。したがって、電力需給バランスの調整に参加する車両において適切な電力伝送の方式を選択可能な車両を提供することができる。
【0087】
さらに、事前に利用する施設を予約しておくことで確実に選択した方式でDRに参加することができる。
【0088】
<変形例>
上述の実施の形態では、DRの要請に対して、第1方式、第2方式、第3方式の優先順位で方式を選択するものとして説明したが、たとえば、要請時間帯の開始時刻直前(たとえば、開始時刻から予め定められた時間だけ遡った時刻から開始時刻までの期間)のDRの要請に対してこのような優先順位で方式を選択してもよい。このようにすると、急なDRの選択に対して比較的効率の高い方式を優先して選択されるので、DR要請に対応することにより得られる対価の減少を抑制することができる。
【0089】
さらに上述の実施の形態では、DR信号S1を受信する場合には、第1方式、第2方式および第3方式のうちのいずれかで電力伝送を実施するものとして説明したが、たとえば、DRの要請に参加しない場合に設定されるペナルティにより生じる損失額が、第1方式、第2方式および第3方式のいずれかを選択することにより生じる損失額よりも低い場合には、ECU150は、DRの要請に車両50が参加しないようにしてもよい。
【0090】
たとえば、接触給電施設および非接触給電施設のいずれにおいても予約に空きがないと判定される場合には、給電レーンの設置位置を取得し、DRの要請時間帯に車両50が給電レーンを通過するように走行計画を設定する場合を想定する。このとき、DRの要請に参加しない場合に設定されるペナルティにより生じる損失額が、車両50が給電レーンに到達するまでに消費する電力量や給電レーンの通過中の給電によって生じる電力の損失量等を考慮して算出される損失額よりも低い場合には、ECU150は、DRの要請に車両50が参加しないようにしてもよい。
【0091】
このようにすると、DRに参加する場合の損失額が大きい場合に、DRの要請に参加しないことで損失額が増加することを抑制することができる。
【0092】
さらに上述の実施の形態では、図4を用いて放電要請を含むDR信号S1を受信した場合に、接触給電施設または非接触給電施設を予約し、予約できない場合に給電レーンを通過する走行計画を設定するものとして説明したが、たとえば、充電要請を含むDR信号S1を受信した場合には、接触充電施設または非接触充電施設を予約し、予約できない場合に走行中に非接触電力伝送を用いて充電可能な充電レーンを通過する走行計画を設定するようにしてもよい。充電要請を含むDR信号S1を受信した場合のECU150の動作は、放電要請を含むDR信号S1を受信した場合のECU150の動作と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0093】
さらに上述の実施の形態においては、DRの要請に対して、第1方式、第2方式、第3方式の優先順位で方式を選択するものとして説明したが、蓄電装置の充電状態に応じて優先順位を変更してもよい。
【0094】
たとえば、車両50に太陽光発電装置(図示せず)が搭載される場合において、DRの要請時間帯に太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも大きい期間を含む場合には、第2方式および第3方式のうちの少なくともいずれかを第1方式よりも優先して選択してもよい。
【0095】
以下、この変形例におけるECU150で実行される処理について図5を用いて説明する。図5は、変形例におけるECU150とサーバ600との各々で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0096】
図5の右側に示すサーバ600で実行される処理の一例を示すフローチャートは、図4の右側に示すサーバ600で実行される処理の一例を示すフローチャートと同じである。そのため、サーバ600で実行される処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0097】
さらに、図5の左側に示すECU150で実行される処理の一例を示すフローチャートは、図4の左側に示すECU150で実行される処理の一例を示すフローチャートに含まれる処理と同じ処理を含み、同じステップ番号が付与される。そのため、その処理内容についても以下に説明する場合を除き同じである。そのため、それらの処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0098】
接触給電施設に予約の空きがあると判定される場合(S104にてYES)、処理はS300に移される。
【0099】
S300にて、ECU150は、非接触給電施設に予約があるか否かを判定する。判定方法については、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。非接触給電施設に予約があると判定される場合(S300にてYES)、処理はS302に移される。
【0100】
S302にて、ECU150は、給電量に余裕があるか否かを判定する。具体的には、ECU150は、たとえば、DRの要請時間帯に太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも大きい期間を含む場合には、給電量に余裕があると判定する。しきい値は、たとえば、DR要請量からバッテリ130の給電可能量(たとえば、SOC(State Of Charge)が下限値になるまでの放電可能な電力量)と給電レーンを通過する走行経路を走行する場合に消費する電力量とを減算して設定される。給電量に余裕があると判定される場合(S302にてYES)、処理はS110に移される。一方、給電量に余裕がないと判定される場合(S302にてNO)、処理はS106に移される。
【0101】
なお、接触給電施設に予約の空きがあると判定され(S104にてYES)、かつ、非接触給電施設に予約の空きがないと判定される場合(S300にてNO)、処理はS106に移される。
【0102】
このようにすると、たとえば、接触給電施設と非接触給電施設とが利用可能な場合に給電量に余裕がある場合には、非接触給電施設の利用が予約されるので、第1方式の電力伝送しか実施できない車両のDRへの参加枠を増やすことができる。
【0103】
この変形例においては、給電量に余裕があると判定される場合(S302にてYES)、処理がS110に移され、非接触給電施設が予約されるものとして説明したが、たとえば、処理がS112に移され、給電レーンを通過するように走行計画が設定されるようにしてもよい。
【0104】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
10 電力管理システム、40 電力スタンド、41,47 制御装置、42 電力ケーブル、43 コネクタ、44 電源回路、45,45B,45C 送受電設備、46,49,180,630 通信装置、48,124 コイル、50,50A,50B,50C 車両、110 インレット、123 送受電装置、130,130A,130B,130C バッテリ、150 ECU、153,620 記憶装置、170 HMI装置、172 入力装置、174 表示装置、400 電力リソース群、500 車両群、600,700 サーバ、605 処理装置。
図1
図2
図3
図4
図5