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特許7533500情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/10 20060101AFI20240806BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240806BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20240806BHJP
   G01W 1/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01W1/10 D
G06Q50/26
G08G1/01 A
G01W1/02 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022023774
(22)【出願日】2022-02-18
(65)【公開番号】P2023120749
(43)【公開日】2023-08-30
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 豊和
(72)【発明者】
【氏名】相良 俊介
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-092396(JP,A)
【文献】特開2006-133121(JP,A)
【文献】特開2010-266204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0184393(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110389103(CN,A)
【文献】特開2002-032893(JP,A)
【文献】特開2009-176187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00- 1/18
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08G 1/00-99/00
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星が観測した、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスに関する第1情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降に前記所定のエリア内において新たに生じる車両の排気ガスに関する第2情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における気象に関する第3情報を取得することと、
前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報に基づいて、所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測することと、
を実行する制御部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記所定のタイミング以降の、前記所定のエリア内を走行する車両の交通量に基づいて、前記第2情報を生成すること、
をさらに実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記所定のエリア内を走行する車両の走行予定経路に基づいて、前記車両の交通量を算出すること、
をさらに実行する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記排気ガスの濃度に関する情報をユーザに関連する端末に送信すること、
をさらに実行する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される特定範囲を通過する予定の車両に対して、前記特定範囲を通過しない走行予定経路を含む情報を送信すること、
をさらに実行する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記排気ガスの濃度に基づいて、前記所定のエリア内における車両の燃料の価格を決定すること、
をさらに実行する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1情報は、前記所定のタイミングにおける前記所定のエリア内の排気ガスに関連する物質の濃度に関する情報である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
人工衛星が観測した、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスに関する第1情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降に前記所定のエリア内において新たに生じる車両の排気ガス
に関する第2情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における気象に関する第3情報を取得することと、
前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報に基づいて、所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測することと、
を含む、
情報処理方法。
【請求項9】
前記所定のタイミング以降の、前記所定のエリア内を走行する車両の交通量に基づいて、前記第2情報を生成すること、
をさらに含む、
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記所定のエリア内を走行する車両の走行予定経路に基づいて、前記車両の交通量を算出すること、
をさらに含む、
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記排気ガスの濃度に関する情報をユーザに関連する端末に送信すること、
をさらに含む、
請求項8から10のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される特定範囲を通過する予定の車両に対して、前記特定範囲を通過しない走行予定経路を含む情報を送信すること、
をさらに含む、
請求項8から11のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記排気ガスの濃度に基づいて、前記所定のエリア内における車両の燃料の価格を決定すること、
をさらに含む、
請求項8から12のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記第1情報は、前記所定のタイミングにおける前記所定のエリア内の排気ガスに関連する物質の濃度に関する情報である、
請求項8から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
人工衛星が観測した、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスに関する第1情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降に前記所定のエリア内において新たに生じる車両の排気ガスに関する第2情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における気象に関する第3情報を取得することと、
前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報に基づいて、所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測することと、
を含む、
プログラム。
【請求項16】
前記情報処理方法は、
前記所定のタイミング以降の、前記所定のエリア内を走行する車両の交通量に基づいて、前記第2情報を生成すること、
をさらに含む、
請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記情報処理方法は、
前記所定のエリア内を走行する車両の走行予定経路に基づいて、前記車両の交通量を算出すること、
をさらに含む、
請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記情報処理方法は、
前記排気ガスの濃度に関する情報をユーザに関連する端末に送信すること、
をさらに含む、
請求項15から17のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項19】
前記情報処理方法は、
前記排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される特定範囲を通過する予定の車両に対して、前記特定範囲を通過しない走行予定経路を含む情報を送信すること、
をさらに含む、
請求項15から18のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項20】
前記情報処理方法は、
前記排気ガスの濃度に基づいて、前記所定のエリア内における車両の燃料の価格を決定すること、
をさらに含む、
請求項15から19のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、環境予測システムが開示されている。特許文献1に開示されている環境予測システムにおいて、複数の移動体において測定された環境データが移動体の測定位置データと対応付けて収集される。また、環境予測システムにおいて、測定された環境データが測定位置データに基づいて補正される。そして、環境予測システムにおいて、補正された環境データおよび測定位置データに基づいて、未来の時刻における空間的な環境予測が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-092396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、大気汚染への対策を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、
人工衛星が観測した、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスに関する第1情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降に前記所定のエリア内において新たに生じる車両の排気ガスに関する第2情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における気象に関する第3情報を取得することと、
前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報に基づいて、所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測することと、
を実行する制御部を備える。
【0006】
本開示の第2の態様に係る情報処理方法は、
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
人工衛星が観測した、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスに関する第1情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降に前記所定のエリア内において新たに生じる車両の排気ガスに関する第2情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における気象に関する第3情報を取得することと、
前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報に基づいて、所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測することと、
を含む。
【0007】
本開示の第3の態様に係るプログラムは、
コンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
人工衛星が観測した、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスに関する第
1情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降に前記所定のエリア内において新たに生じる車両の排気ガスに関する第2情報を取得することと、
前記所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における気象に関する第3情報を取得することと、
前記第1情報、前記第2情報、および前記第3情報に基づいて、所定のタイミング以降の前記所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測することと、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、大気汚染への対策が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る観測システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスの状況の一例を示す図である。
図3図3は、所定のタイミングより後の所定のエリア内の排気ガスの状況の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態における予測サーバの機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図5図5は、観測情報データベースに保持されている観測情報のテーブル構成の一例を示す図である。
図6図6は、経路情報データベースに保持されている経路情報のテーブル構成の一例を示す図である。
図7図7は、新規ガス情報データベースに保持されている新規ガス情報のテーブル構成の一例を示す図である。
図8図8は、気象情報データベースに保持されている気象情報のテーブル構成の一例を示す図である。
図9図9は、ユーザ情報データベースに保持されているユーザ情報のテーブル構成の一例である。
図10図10は、生成処理のフローチャートである。
図11図11は、通知処理のフローチャートである。
図12図12は、所定のエリア内の排気ガスの状況の一例を示す図である。
図13図13は、迂回提案処理のフローチャートである。
図14図14は、第3実施形態における観測システムの概略構成を示す図である。
図15図15は、第3実施形態における予測サーバの機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図16図16は、ガソリンスタンド情報データベースに保持されているガソリンスタンド情報のテーブル構成の一例を示す図である。
図17図17は、価格決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、大気汚染の予測に関連する情報処理装置である。ここで、人工衛星によって所定のエリア内の大気汚染の状況を観測する場合を想定する。この場合において、人工衛星は回帰日数を有するため、人工衛星によってリアルタイムで所定のエリア内の大気汚染の状況を観測し続けることは困難である。そのため、所定のタイミング以降の所定のエリア内における大気汚染の状況を把握することが困難となる。
【0011】
そこで、本開示の第1の態様に係る情報処理装置の制御部は、第1情報、第2情報、および第3情報を取得する。ここで、第1情報は、人工衛星が観測した、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスに関する情報である。また、第2情報は、所定のタイミング以降に所定のエリア内において新たに生じる車両の排気ガスに関する情報である。また、第3情報は、所定のタイミング以降の所定のエリア内における気象に関する情報である。
【0012】
情報処理装置の制御部は、第1情報を取得することによって、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスを把握することができる。また、制御部は、第2情報を取得することによって、所定のタイミング以降に所定のエリア内において新たに発生する車両の排気ガスを把握することができる。また、制御部は、第3情報を取得することによって、所定のタイミング以降の所定のエリア内における気象が所定のエリア内の排気ガスに与える影響について把握することができる。そこで、制御部は、第1情報、第2情報、および第3情報に基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測する。
【0013】
以上説明した通り、本開示の第1の態様に係る情報処理装置によって、所定のタイミング以降の所定のエリア内における大気汚染の状況を予測することが可能となる。その結果、予測された大気汚染の状況に基づいて、大気汚染への対策が可能となる。
【0014】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
<第1実施形態>
(システムの概略)
本実施形態における観測システム1について、図1から図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る観測システム1の概略構成を示す図である。観測システム1は、人工衛星100、予測サーバ200、車両300、ユーザ端末400、および気象サーバ500を含んで構成される。観測システム1においては、人工衛星100、予測サーバ200、複数の車両300、ユーザ端末400、および気象サーバ500がネットワークN1によって相互に接続される。ネットワークN1には、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)または、携帯電話等の電話通信網が採用されてもよい。
【0016】
(人工衛星)
人工衛星100は、大気汚染を観測するための人工衛星である。人工衛星100は、例えば、OMI(Ozone Monitoring Instrument)センサを有している。人工衛星100は、OMIセンサを用いることで、所定のエリア内における各地点における排気ガスに関連する物質の大気中の濃度(以下、単に「濃度」と称する場合がある。)を観測する。本実施形態において、人工衛星100は、排気ガスに関連する物質の濃度として、窒素酸化物の濃度を測定することができる。人工衛星100は、ネットワークN1を介して、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスに関する情報(以下、「観測情報」と称する場合がある。)を予測サーバ200に送信する。なお、人工衛星100が観測する窒素酸化物には、車両300以外の排気ガス(例えば、工場の排気ガス)に含まれる窒素酸化物が含まれていてもよい。
【0017】
なお、本実施形態においては、人工衛星100は、OMIセンサによって、排気ガスに関連する物質として、窒素酸化物の濃度を観測する。しかしながら、人工衛星100は、OMIセンサによって、排気ガスに関連する物質として、窒素酸化物以外の物質の濃度を
観測してもよい。人工衛星100は、例えば、OMIセンサによって、所定のエリア内における大気中の硫黄酸化物の濃度等を観測してもよい。また、人工衛星100は、必ずしも、OMIセンサを用いて大気中の排気ガスに関連する物質の濃度を観測しなくてもよい。人工衛星100は、例えば、光学センサを用いて排気ガスに関連する物質の濃度を観測してもよい。人工衛星100は、例えば、光学センサによって偏光を観測することにより、大気中のPM2.5などの粒子状物質の濃度を観測してもよい。また、人工衛星100は、排気ガスに関連する物質として、大気中の炭化水素の濃度を観測してもよい。また、人工衛星100は、排気ガスに関連する物質として、大気中の一酸化炭素の濃度を観測してもよい。
【0018】
(車両)
車両300は、所定のエリアを含む所定の地域内を走行する車両である。車両300が走行する際には排気ガスが発生する。そのため、車両300が走行することによって、所定の地域において大気汚染が発生する。
【0019】
車両300は、ネットワークN1を介して、周期的に車両300の走行予定経路を含む情報を予測サーバ200に送信する。これにより、予測サーバ200は、車両300の走行予定経路を把握することができる。なお、予測サーバ200は、所定の地域内を走行する複数の車両300から、各車両300の走行予定経路を含む情報を受信する。
【0020】
(気象サーバ)
気象サーバ500は、所定のエリア内の気象に関する情報を保持するサーバである。気象サーバ500は、所定のエリア内の気象に関する情報(以下、「気象情報」と称する場合がある)を予測サーバ200に送信する。
【0021】
(サーバ)
予測サーバ200は、大気汚染の予測に関連するサーバである。予測サーバ200は、観測情報を人工衛星100から受信する。これにより、予測サーバ200は、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスの濃度を把握することができる。図2は、所定のタイミングにおける所定のエリア内の排気ガスの状況の一例を示す図である。図2に示すように、所定のタイミングの所定のエリアにおいては、道路の周囲において排気ガスの濃度が高くなっている。また、図2に示す例においては、道路から近ければ近いほど排気ガスの濃度が高くなっている。ここで、図2に示す例においては、大気中の窒素酸化物の濃度に応じて、排気ガス濃度が高、中、および低とレベル分けされている。
【0022】
ここで、人工衛星100が回帰日数の定まっている人工衛星である場合を想定する。この場合において、人工衛星100が所定のエリア内の排気ガスの濃度(窒素酸化物の濃度)を観測することができるのは、人工衛星100が所定のエリアの上空に存在する場合である。したがって、人工衛星100が回帰日数の定まっている人工衛星である場合、所定のエリア内の排気ガスの濃度を観測し続けることは困難となる。
【0023】
そこで、予測サーバ200は、所定のタイミング以降に所定のエリア内において新たに生じる車両300の排気ガス(以下、「新規ガス」と称する場合がある。)に関する新規ガス情報を取得する。これにより、予測サーバ200は、所定のタイミング以降に所定のエリア内において新たに生じる車両300の排気ガスを把握することができる。予測サーバ200が新規ガス情報を取得する方法の詳細については後述する。
【0024】
また、予測サーバ200は、所定のタイミング以降の所定のエリア内における気象に関する気象情報を取得する。予測サーバ200は、ネットワークN1を介して、気象サーバ500から気象情報を受信する。気象情報には、所定のタイミング以降の所定のエリア内
における風向きと風速とに関する情報が含まれている。これにより、予測サーバ200は、所定のタイミング以降の所定のエリア内における風が排気ガスに対して与える影響を把握することができる。
【0025】
図3は、所定のタイミングより後の所定のエリア内の排気ガスの状況の一例を示す図である。図3に示すように、所定のエリアにおいては、紙面上方から紙面下方に向けて風が吹いている。また、所定のエリアにおいては、所定のタイミング以降に新たに車両300の排気ガスが生じている。そのため、所定のエリアにおいて吹いている風と新たに生じた排気ガスとによって、図2に示す排気ガスの状況が図3に示すように変化している。そこで、予測サーバ200は、観測情報、新規ガス情報および気象情報に基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測する。予測サーバ200が所定のタイミング以降の所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測する方法の詳細については後述する。
【0026】
予測サーバ200は、プロセッサ210、主記憶部220、補助記憶部230、および通信インタフェース(通信I/F)240を有するコンピュータを含んで構成される。プロセッサ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)である。主記憶部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。補助記憶部230は、例えば、ROM(Read Only Memory)である。また、補助記憶部230は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、またはCD-ROM、DVDディスク、もしくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。また、補助記憶部230は、リムーバブルメディア(可搬記憶媒体)であってもよい。ここで、リムーバブルメディアとして、例えば、USBメモリまたはSDカードが例示される。通信I/F240は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、または無線通信のための無線通信回路である。
【0027】
予測サーバ200において、補助記憶部230には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。また、予測サーバ200において、プロセッサ210が、補助記憶部230に記憶されたプログラムを主記憶部220にロードして実行することによって、後述するような各種の機能を実現することができる。ただし、予測サーバ200における一部または全部の機能はASICまたはFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、予測サーバ200は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0028】
(ユーザ端末)
ユーザ端末400は、ユーザ40が使用する端末である。ユーザ端末400は、ユーザ40が使用する、コンピュータまたは携帯情報端末などである。ユーザ40は、排気ガスの状況をユーザ40に通知する情報(以下、「通知情報」と称する場合がある。)の提供を希望している者である。ユーザ40のユーザ端末400は、ネットワークN1を介して、所定のタイミング以降の所定のエリア内の通知情報を予測サーバ200から受信する。
【0029】
(機能構成)
次に、本実施形態に係る観測システム1を構成する、予測サーバ200の機能構成について、図4から図9に基づいて説明する。図4は、本実施形態における予測サーバ200の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。図4に示すように予測サーバ200は、制御部201、通信部202、観測情報データベース(観測情報DB)203、経路情報データベース(経路情報DB)204、新規ガス情報データベース(新規ガス情報DB)205、気象情報データベース(気象情報DB)206、およびユーザ情報データベ
ース(ユーザ情報DB)207を含んで構成される。
【0030】
制御部201は、予測サーバ200の制御をするための演算処理を行う機能を有する。制御部201は、予測サーバ200におけるプロセッサ210によって実現できる。通信部202は、予測サーバ200をネットワークN1に接続する機能を有する。通信部202は、予測サーバ200における通信I/F240によって実現できる。
【0031】
観測情報DB203は、観測情報を保持する機能を有する。観測情報DB203は、予測サーバ200における補助記憶部230によって実現できる。制御部201は、通信部202によって、観測情報を人工衛星100から受信する。制御部201は、受信した観測情報を観測情報DB203に格納する。
【0032】
図5は、観測情報DB203に保持されている観測情報のテーブル構成の一例を示す図である。図5に示すように、観測情報は、位置フィールドと濃度フィールドとを有する。位置フィールドには、所定のエリア内における各位置の情報が入力される。具体的には、位置フィールドには、所定のエリア内における各地点の緯度および経度が入力される。濃度フィールドには、位置フィールドに入力されている位置の情報に対応する地点の、所定のタイミングにおける排気ガスの濃度が入力される。制御部201は、観測情報DB203に保持されている観測情報を取得することによって、所定のタイミングにおける所定のエリア内の各位置の排気ガスの濃度を把握することができる。
【0033】
制御部201は、通信部202によって、複数の車両300から走行予定経路を含む情報を受信する。制御部201は、複数の車両300から受信した走行予定経路を含む情報を経路情報DB204に格納する。経路情報DB204は、経路情報を格納する機能を有する。経路情報は、複数の車両300の走行予定経路を含む情報である。経路情報DB204は、予測サーバ200における補助記憶部230によって実現できる。
【0034】
図6は、経路情報DB204に保持されている経路情報のテーブル構成の一例を示す図である。図6に示すように、車両IDフィールド、出発地点フィールド、到着地点フィールド、日時フィールド、および位置フィールドを有する。
【0035】
車両IDフィールドには、車両300を特定するための識別子(車両ID)が入力される。出発地点フィールドには、車両IDフィールドに入力されている車両IDに対応する車両300の走行予定経路において、車両300が出発する予定の地点に関する情報が入力される。到着地点フィールドには、車両IDフィールドに入力されている車両IDに対応する車両300の走行予定経路において、車両300が到着する予定の地点に関する情報が入力される。日時フィールドには、車両IDフィールドに入力されている車両IDに対応する車両300が走行を予定している期間における各日時が入力される。位置フィールドには、日時フィールドに入力されている日時における車両300の位置が入力される。
【0036】
新規ガス情報DB205は、新規ガス情報を保持する機能を有する。新規ガス情報DB205は、予測サーバ200における補助記憶部230によって実現できる。制御部201は、経路情報DB204に保持されている経路情報に基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における車両300の交通量(各地点を通過する車両300の台数)を算出する。そして、制御部201は、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における車両300の交通量に基づいて、新規ガスの量を算出する。具体的には、制御部201は、所定のタイミング以降の各日時における所定のエリア内の各地点の車両300の交通量に、一台の車両300が走行することで排出する窒素酸化物の量を乗じることで、各日時における各地点で新たに生じる排気ガス(新規ガス)の量を算出する。そ
して、制御部201は、算出した各日時における各地点の新規ガスの量に基づいて新規ガス情報を生成し、新規ガス情報DB205に格納する。
【0037】
図7は、新規ガス情報DB205に保持されている新規ガス情報のテーブル構成の一例を示す図である。図7に示すように、新規ガス情報は、日時フィールド、位置フィールド、および新規ガスフィールドを有する。日時フィールドには、所定のタイミング以降の各日時が入力される。位置フィールドには、所定のエリア内における各位置を示す情報が入力される。具体的には、位置フィールドには、所定のエリア内における各地点の緯度および経度が入力される。新規ガスフィールドには、日時フィールドに入力されている各日時における、位置フィールドに入力されている各位置の新規ガスの量が入力される。
【0038】
制御部201は、通信部202によって、気象情報を気象サーバ500から受信し、気象情報DB206に格納する。気象情報DB206は、気象情報を保持する機能を有する。気象情報DB206は、予測サーバ200における補助記憶部230によって実現できる。
【0039】
図8は、気象情報DB206に保持されている気象情報のテーブル構成の一例を示す図である。図8に示すように、気象情報は、日時フィールド、位置フィールド、風向きフィールド、および風速フィールドを有する。日時フィールドには、日時フィールドには、所定のタイミング以降の各日時が入力される。位置フィールドには、所定のエリア内における各位置を示す情報が入力される。具体的には、位置フィールドには、所定のエリア内における各地点の緯度および経度が入力される。風向きフィールドには、日時フィールドに入力されている日時に、各位置において吹いている風の向きに関する情報が入力される。風速フィールドには、日時フィールドに入力されている日時に、各位置において吹いている風の風速が入力される。
【0040】
制御部201は、観測情報DB203に保持されている観測情報、新規ガス情報DB205に保持されている新規ガス情報、および気象情報DB206に保持されている気象情報を各データベースから取得する。制御部201は、取得した観測情報、新規ガス情報、および気象情報に基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内における排気ガスの濃度を予測する。具体的には、制御部201は、観測情報と気象情報とに基づいて、所定のタイミングにおいて所定のエリア内において観測された排気ガスが風によって拡散する様子をシミュレートする。また、制御部201は、新規ガス情報と気象情報とに基づいて、新規ガスが風によって拡散する様子をシミュレートする。そして、制御部201は、所定のタイミングにおいて所定のエリア内において観測された排気ガスの拡散の様子と、新規ガスの拡散の様子とに基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における排気ガスの濃度の推移を予測する。
【0041】
ユーザ情報DB207は、ユーザ情報を保持する機能を有する。ユーザ情報は、ユーザ40のユーザ端末400に関する情報である。ユーザ情報DB207は、予測サーバ200の補助記憶部230によって実現できる。
【0042】
図9は、ユーザ情報DB207に保持されているユーザ情報のテーブル構成の一例である。図9に示すように、ユーザ情報は、ユーザIDフィールド、端末IDフィールド、送信先フィールドを有する。ユーザIDフィールドには、ユーザ40を特定するための識別子(ユーザID)が入力される。端末IDフィールドには、ユーザ40のユーザ端末400を特定するための識別子(端末ID)が入力される。送信先フィールドには、ユーザ端末400に対して通知情報を送信するための送信先の情報が入力される。なお、制御部201は、ユーザ40がユーザ端末400を予測サーバ200に登録することによってユーザ40に関するユーザ情報をユーザ情報DB207に格納する。
【0043】
制御部201は、予測した、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における排気ガスの状況に関する通知情報を生成する。ここで、通知情報は、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における排気ガスの濃度の推移についての情報が含まれる。そして、制御部201は、ユーザ情報DB207に保持されているユーザ情報に基づいて、通信部202によって通知情報をユーザ端末400に送信する。
【0044】
(生成処理)
次に、観測システム1において、予測サーバ200における制御部201によって実行される生成処理について、図10に基づいて説明する。図10は、生成処理のフローチャートである。生成処理は、新規ガス情報を生成するための処理である。生成処理は、後述の通知処理が実行される前に実行される。
【0045】
生成処理においては、まずS101において、経路情報が経路情報DB204から取得される。次に、S102において、経路情報に基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における車両300の交通量が算出される。次に、S103において、算出された交通量に基づいて、新規ガスの量が算出される。次に、S104において新規ガス情報が生成され、新規ガス情報DB205に格納される。そして、生成処理は終了される。
【0046】
(通知処理)
次に、観測システム1において、予測サーバ200における制御部201によって実行される通知処理について、図11に基づいて説明する。図11は、通知処理のフローチャートである。通知処理は、通知情報をユーザ端末400に送信するための処理である。通知処理は、予測サーバ200が人工衛星100から観測情報を受信した後に実行が開始される。
【0047】
通知処理においては、まずS201において、観測情報が観測情報DB203から取得される。また、S202において、新規ガス情報が新規ガス情報DB205から取得される。また、S203において、気象情報が気象情報DB206から取得される。次に、S204において、観測情報、新規ガス情報、気象情報に基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における排気ガスの濃度の推移が予測される。次に、S205において、予測された排気ガスの濃度の推移に基づいて、通知情報が生成される。次に、S206において、ユーザ情報DB207に保持されているユーザ情報に基づいて通知情報がユーザ端末400に送信される。そして、通知処理は終了される。
【0048】
以上説明した通り、観測システム1によって、所定のタイミング以降の所定のエリア内における大気汚染の状況を予測される。そして、通知情報がユーザ端末400に送信される。これにより、ユーザ端末400のユーザ40は、所定のタイミング以降の所定のエリア内における大気汚染の状況を把握することができる。これにより、ユーザ40は、特定の時間に大気汚染の状況が悪くなると予測されている場所(排気ガスの濃度が高くなると予測されている場所)へ行くことを控えるなどの、大気汚染への対策をすることが可能となる。
【0049】
(変形例)
本実施形態においては、予測サーバ200は、各車両300の走行予定経路に関する情報(経路情報)に基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内の車両300の交通量を算出する。しかしながら、予測サーバ200は、必ずしも、経路情報に基づいて車両300の交通量を算出しなくてもよい。予測サーバ200は、例えば、道路における車両の交通量を予測する外部装置から、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点にお
ける車両300の交通量の予測値を取得してもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、気象情報は、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点の風向きおよび風速の情報を含んでいる。しかしながら、気象情報は、大気中の排気ガスに影響を与える気象に関する情報であれば、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点の風向きおよび風速以外の情報を含んでいてもよい。例えば、所定のエリア内において雨が降っている場合、所定のエリア内における排気ガスが雨水に溶け込むことによって、排気ガスの濃度が低下することが想定される。そこで、気象情報は、例えば、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点の降水量の情報を含んでいてもよい。この場合において、予測サーバ200は、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点の降水量の情報に基づいて、所定のタイミング以降の所定のエリア内の排気ガスの濃度を予測する。
【0051】
<第2実施形態>
本実施形態においては、予測サーバ200が、所定のタイミング以降の所定のエリア内の排気ガスの濃度に基づいて、車両300の走行予定経路を変更する提案を行う。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。
【0052】
予測サーバ200における制御部201は、経路情報DB204に保持されている経路情報を取得する。これにより、制御部201は、所定のタイミング以降に所定のエリア内を走行する300が各日時にどこを走行する予定であるかを把握することができる。図12は、所定のエリア内の排気ガスの状況の一例を示す図である。図12においては、車両300の走行予定経路が点線矢印によって示されている。また、図12においては、所定のエリア内において、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される範囲(以下、「特定範囲」と称する場合がある。)が斜線部によって示されている。
【0053】
ここで、車両300が特定範囲を通過する場合、車両300が特定範囲を通過しない場合よりも、車両300の排気ガスによって特定範囲における排気ガスの濃度が高くなることが想定される。そこで、制御部201は、特定範囲を通過する予定の車両300(以下、「特定車両300」と称する場合がある。)を特定する。そして、制御部201は、特定範囲を通過しない走行予定経路(以下、「迂回経路」と称する場合がある。)を含む情報(以下、「迂回情報」と称する場合がある。)を特定車両300に送信する。なお、図12において、迂回経路が実線矢印によって示されている。
【0054】
特定車両300は、迂回情報を予測サーバ200から受信すると、特定車両300の搭乗者に対して走行予定経路を迂回経路に変更することを提案する。これにより、特定車両300の搭乗者に特定車両300が特定範囲を通過しないようにすることが促される。
【0055】
(迂回提案処理)
次に、観測システム1において、予測サーバ200における制御部201によって実行される迂回提案処理について、図13に基づいて説明する。図13は、迂回提案処理のフローチャートである。迂回提案処理は、迂回情報を車両300に送信するための処理である。迂回提案処理は、所定のタイミングに実行が開始される。なお、迂回提案処理のS201からS204の処理は、第1実施形態における通知処理のS201からS204の処理と同様であるため説明を省略する。
【0056】
迂回提案処理においては、S204の処理が実行された後、S301において、所定のタイミング以降の所定のエリア内における排気ガスの濃度に基づいて、特定範囲が特定される。また、S302において、経路情報が経路情報DB204から取得される。次に、
S303において、経路情報における各車両300の走行予定経路に関する情報に基づいて、特定車両300が特定される。次に、S304において、特定車両300に対する迂回経路が決定される。次に、S305において、迂回情報が特定車両300に送信される。そして、迂回提案処理が終了される。
【0057】
以上説明した通り、観測システム1によって、所定のタイミング以降の所定のエリア内における大気汚染の状況が予測される。そして、迂回情報が特定車両300に送信される。そうすると、特定車両300の搭乗者に迂回経路を走行することが促されることで、特定車両300が特定範囲を通過することが抑制される。その結果、特定車両300が特定範囲を通過することによって、特定範囲において排気ガスの濃度が高くなってしまうことを抑制することができる。このようにして、大気汚染への対策をすることが可能となる。
【0058】
<第3実施形態>
本実施形態においては、所定のタイミング以降の所定のエリア内における排気ガスの濃度に基づいて、所定のエリア内における車両の燃料の価格が決定される。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。
【0059】
(システムの概略)
本実施形態における観測システム2について、図14に基づいて説明する。図14は、本実施形態における観測システム2の概略構成を示す図である。観測システム2は、人工衛星100、予測サーバ200、車両300、気象サーバ500、およびガソリンスタンドサーバ600を含んで構成される。観測システム2においては、人工衛星100、予測サーバ200、車両300、気象サーバ500、およびガソリンスタンドサーバ600がネットワークN1によって相互に接続される。
【0060】
(ガソリンスタンドサーバ)
ガソリンスタンドサーバ600は、所定のエリア内における車両の燃料の価格(以下、「燃料価格」と称する場合がある。)を設定するためのサーバである。ガソリンスタンドサーバ600において燃料価格を変更されることによって、所定のエリア内における各ガソリンスタンドにおいて販売される燃料価格が変更される。
【0061】
(機能構成)
次に、本実施形態に係る観測システム2を構成する、予測サーバ200の機能構成について、図15および図16に基づいて説明する。図15は、本実施形態における予測サーバ200の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。図15に示すように、予測サーバ200は、制御部201、通信部202、観測情報DB203、経路情報DB204、新規ガス情報DB205、気象情報DB206、およびガソリンスタンド情報DB208を含んで構成される。
【0062】
制御部201は、通信部202によって、所定のエリア内における各ガソリンスタンドにおける燃料価格に関する情報をガソリンスタンドサーバ600から定期的に受信する。制御部201は、例えば、毎日決まった時間にガソリンスタンドサーバ600から所定のエリア内における各ガソリンスタンドにおける燃料価格に関する情報を受信する。制御部201は、所定のエリア内における各ガソリンスタンドにおける燃料価格に関する情報に基づいて、ガソリンスタンド情報DB208に保持されているガソリンスタンド情報を更新する。
【0063】
ガソリンスタンド情報DB208は、ガソリンスタンド情報を保持する機能を有する。ガソリンスタンド情報は、所定のエリア内における各ガソリンスタンドに関する情報である。ガソリンスタンド情報DB208は、予測サーバ200における補助記憶部230に
よって実現できる。
【0064】
図16は、ガソリンスタンド情報DB208に保持されているガソリンスタンド情報のテーブル構成の一例を示す図である。図16に示すように、ガソリンスタンド情報は、ガソリンスタンドIDフィールド、位置フィールド、および価格フィールドを有する。ガソリンスタンドIDフィールドには、所定のエリア内に存在するガソリンスタンドを特定するための識別子(ガソリンスタンドID)が入力される。位置フィールドには、ガソリンスタンドIDフィールドに入力されているガソリンスタンドIDに対応するガソリンスタンドが存在する位置の情報が入力される。具体的には、位置フィールドには、所定のエリア内における各地点の緯度および経度が入力される。
【0065】
価格フィールドには、ガソリンスタンドIDフィールドに入力されているガソリンスタンドIDに対応するガソリンスタンドにおける燃料価格が入力される。ここで、制御部201は、ガソリンスタンドサーバ600から受信した、所定のエリア内における各ガソリンスタンドにおける燃料価格に関する情報に基づいて、価格フィールドに各ガソリンスタンドの燃料価格を入力することで、ガソリンスタンド情報を更新する。
【0066】
制御部201は、予測した、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における排気ガスの濃度に基づいて、所定のエリア内における各ガソリンスタンドの燃料価格を決定する。具体的には、制御部201は、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される所定の範囲を特定する。ここで、所定の範囲は、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になる予測される各地点を含む範囲である。制御部201は、例えば、排気ガスの濃度が所定の時間以上所定のレベル以上になると予測される地点を、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される地点として特定する。
【0067】
制御部201は、例えば、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される地点を含む所定のエリア内の行政区画などを所定の範囲として特定する。また、制御部201は、例えば、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される地点から所定の距離以内の範囲を所定の範囲として特定する。ここで、所定の距離は、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される地点に対して、車両300の排気ガスが影響を与えると想定される距離である。
【0068】
ここで、車両300が所定の範囲内を走行することによって、車両300が所定の範囲内を走行しない場合よりも、所定の範囲内の排気ガスの濃度が上昇することが想定される。そうすると、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される地点における排気ガスの濃度も高くなり、大気汚染の状況が悪化することが想定される。そこで、本実施形態においては、車両300が所定の範囲内を走行することを抑制するために、所定の範囲内に存在するガソリンスタンド(以下、「特定ガソリンスタンド」と称する場合がある。)における燃料価格が高くなるように燃料価格を変更する。そうすると、特定ガソリンスタンドの燃料価格が高くなることによって、車両300の搭乗者が所定の範囲内において車両300を走行させることを躊躇うことが想定される。その結果、車両300が所定の範囲内を走行することが抑制される。
【0069】
具体的には、制御部201は、所定の範囲内に存在するガソリンスタンドを特定ガソリンスタンドとして特定する。制御部201は、ガソリンスタンド情報における価格フィールドに入力されている特定ガソリンスタンドの燃料価格より高くなるように特定ガソリンスタンドの燃料価格を決定する。制御部201は、例えば、特定ガソリンスタンドの燃料価格を一定割合増加させることによって、特定ガソリンスタンドの燃料価格を決定する。
そして、制御部201は、通信部202によって、特定ガソリンスタンドにおける燃料価格を示す情報である価格情報をガソリンスタンドサーバ600に送信する。ガソリンスタンドサーバ600は、予測サーバ200から受信した価格情報に基づいて、所定のエリア内におけるガソリンスタンドの価格を変更する。
【0070】
(価格決定処理)
次に、観測システム2において、予測サーバ200における制御部201によって実行される価格決定処理について、図17に基づいて説明する。図17は、価格決定処理のフローチャートである。価格決定処理は、価格情報を車両300に送信するための処理である。価格決定処理は、所定のタイミングに実行が開始される。なお、価格決定処理のS201からS204の処理は、第1実施形態における通知処理のS201からS204の処理と同様であるため説明を省略する。
【0071】
価格決定処理においては、S204の処理の後、S401において、予測された、所定のタイミング以降の所定のエリア内の各地点における排気ガスの濃度に基づいて、所定のタイミング以降に排気ガスの濃度が所定のレベル以上になると予測される各地点を含む所定の範囲が特定される。次に、S402において、所定の範囲内に存在する特定ガソリンスタンドが特定される。次に、S403において、特定ガソリンスタンドにおける燃料価格が決定される。次に、S404において、価格情報がガソリンスタンドサーバ600に送信される。そして、価格決定処理は終了される。
【0072】
以上説明した通り、観測システム1によって、所定のタイミング以降の所定のエリア内における大気汚染の状況が予測される。そして、価格情報がガソリンスタンドサーバ600に送信される。これにより、特定ガソリンスタンドの燃料価格が高くなる。このとき、所定の範囲内の特定ガソリンスタンドの燃料価格が高くなることによって車両300の搭乗者が所定の範囲内において車両300を走行させることを躊躇うことで、車両300が所定の範囲内を走行することが抑制される。その結果、車両300が所定の範囲内を走行することによって、所定の範囲において排気ガスの濃度が高くなってしまうことを抑制することができる。このようにして、大気汚染への対策をすることが可能となる。
【0073】
<その他の実施形態>
上述の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理および手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0074】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0075】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、またはハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、またはブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格
納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0076】
1・・観測システム
2・・観測システム
100・・人工衛星
200・・予測サーバ
201・・制御部
202・・通信部
203・・観測情報DB
204・・経路情報DB
205・・新規ガス情報DB
206・・気象情報DB
207・・ユーザ情報DB
208・・ガソリンスタンド情報DB
210・・プロセッサ
220・・主記憶部
230・・補助記憶部
240・・通信I/F
300・・車両
40・・ユーザ
400・・ユーザ端末
500・・気象サーバ
600・・ガソリンスタンドサーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17