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特許7533507搬送システム、その制御方法、及び、制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】搬送システム、その制御方法、及び、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240806BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20240806BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G47/46 H
B25J13/00 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022039111
(22)【出願日】2022-03-14
(65)【公開番号】P2023133871
(43)【公開日】2023-09-27
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】谷重 崇未
(72)【発明者】
【氏名】松野 喜幸
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-211096(JP,A)
【文献】特開2005-247458(JP,A)
【文献】特開2000-233833(JP,A)
【文献】特開2018-103290(JP,A)
【文献】特開2020-189721(JP,A)
【文献】特開2017-030928(JP,A)
【文献】特開2015-039767(JP,A)
【文献】中国実用新案第212525012(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 47/46
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体が第1種類の物体であるか否かを識別する第1認識器と、
前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第1種類の物体として仕分け、且つ、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける、作業ロボットと、
を備えた、搬送システム。
【請求項2】
前記作業ロボットは、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、前記搬送容器内における、基準位置を基準とした当該対象物体の相対位置、に応じた種類の物体として仕分ける、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記作業ロボットは、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、前記搬送容器内において区分された複数の領域のうち当該対象物体が配置された領域、に応じた種類の物体として仕分ける、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬送容器内の領域は、ついたてによって前記複数の領域に区分されている、
請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記作業ロボットの設置された搬送先に搬送される前の前記対象物体の搬送元において、当該対象物体が前記第1種類の物体であるか否かを識別する第1搬送前認識器と、
前記第1搬送前認識器によって前記対象物体が前記第1種類の物体であると識別されなかった場合、前記対象物体が前記第1種類の物体でないことを通知する通知装置と、
前記対象物体を前記搬送元から前記搬送先まで搬送する搬送装置と、
をさらに備えた、請求項1~4の何れか一項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記作業ロボットの設置された搬送先に搬送される前の前記対象物体の搬送元において、当該対象物体が前記第1種類の物体であるか否かを識別する第1搬送前認識器と、
前記第1搬送前認識器によって前記対象物体が前記第1種類の物体であると識別されなかった場合、前記対象物体を前記搬送容器内の所定位置に配置するインスタンス情報付与装置と、
前記対象物体を前記搬送元から前記搬送先まで搬送する搬送装置と、
をさらに備えた、請求項1~4の何れか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記対象物体が第2種類の物体であるか否かを識別する第2認識器をさらに備え、
前記作業ロボットは、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第1種類の物体として仕分け、前記対象物体が前記第2認識器によって前記第2種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第2種類の物体として仕分け、且つ、前記対象物体が前記第1認識器及び前記第2認識器によって前記第1種類又は前記第2種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、前記搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける、
請求項1~4の何れか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記作業ロボットの設置された搬送先に搬送される前の前記対象物体の搬送元において、当該対象物体が前記第1種類の物体であるか否かを識別する第1搬送前認識器と、
前記搬送元において、当該対象物体が前記第2種類の物体であるか否かを識別する第2搬送前認識器と、
前記第1搬送前認識器及び前記第2搬送前認識器によって前記対象物体が前記第1種類及び前記第2種類の物体であると識別されなかった場合、前記対象物体が前記第1種類及び前記第2種類の物体でないことを通知する通知装置と、
前記対象物体を前記搬送元から前記搬送先まで搬送する搬送装置と、
をさらに備えた、請求項7に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記作業ロボットの設置された搬送先に搬送される前の前記対象物体の搬送元において、当該対象物体が前記第1種類の物体であるか否かを識別する第1搬送前認識器と、
前記搬送元において、当該対象物体が前記第2種類の物体であるか否かを識別する第2搬送前認識器と、
前記第1搬送前認識器及び前記第2搬送前認識器によって前記対象物体が前記第1種類及び前記第2種類の物体であると識別されなかった場合、前記対象物体を前記搬送容器内の所定位置に配置するインスタンス情報付与装置と、
前記対象物体を前記搬送元から前記搬送先まで搬送する搬送装置と、
をさらに備えた、請求項7に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記作業ロボットは、前記第1認識器によって前記対象物体が前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を、第1動作計画手法を用いて仕分け、前記対象物体を前記搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける場合、当該対象物体を、前記第1動作計画手法とは異なる第2動作計画手法を用いて仕分ける、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項11】
第1認識器と作業ロボットとを少なくとも備えた搬送システムの制御方法であって、
前記第1認識器を用いて、対象物体が第1種類の物体であるか否かを識別し、
前記作業ロボットを用いて、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第1種類の物体として仕分け、且つ、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける、
搬送システムの制御方法。
【請求項12】
第1認識器と作業ロボットとを少なくとも備えた搬送システムの制御プログラムであって、
前記第1認識器を用いて、対象物体が第1種類の物体であるか否かを識別する処理と、
前記作業ロボットを用いて、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第1種類の物体として仕分け、且つ、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける処理と、
をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、その制御方法、及び、制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、要求に従い物品を仕分けするロボットを備えたピッキング装置において、複数の物品を載置する載置面を有する在庫置き場と、載置面上の複数の物品毎の位置、又は位置と姿勢を検出する視覚センサと、検出された物品毎の位置、又は位置と姿勢に基づいて、物品を1つずつ把持するハンドを持つロボットと、ロボットにより把持された物品を仕分けるコンベア部と、を備えたピッキング装置が開示されている。ここで、視覚センサは、物品の位置又は位置と姿勢とともに、物品の種類を検出し、検出された結果に基づいて、ロボットの動作を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-103290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、視覚センサによって種類を検出できない物品(物体)については、仕分けを行うことができないため、当該物品を搬送対象から外さざるを得ないという課題があった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、認識器によって認識される物体だけでなく、認識器によって認識されない物体についても、仕分けを行うことを可能にして、搬送対象に含めることが可能な搬送システム、その制御方法、及び、制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様に係る搬送システムは、対象物体が第1種類の物体であるか否かを識別する第1認識器と、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第1種類の物体として仕分け、且つ、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける、作業ロボットと、を備える。この搬送システムは、認識器によって認識されない対象物体を搬送容器内の所定の位置に配置することにより、認識器によって認識される対象物体については、認識された種類の物体として仕分ける一方で、認識器によって認識されない対象物体についても、搬送容器内の位置情報に応じた種類の物体として仕分けることができる。即ち、この搬送システムは、認識器によって認識される物体だけでなく、認識器によって認識されない物体についても、仕分けを行うことを可能にして、搬送対象に含めることができる。また、この搬送システムでは、認識器によって認識されない物体に物理的にマーカ(例えば、バーコードやQRコード(登録商標)付きのシール)を付与する必要がないため、低コスト化を実現することができる。
【0007】
前記作業ロボットは、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、前記搬送容器内における、基準位置を基準とした当該対象物体の相対位置、に応じた種類の物体として仕分けてもよい。
【0008】
前記作業ロボットは、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、前記搬送容器内において区分された複数の領域のうち当該対象物体が配置された領域、に応じた種類の物体として仕分けてもよい。その場合、前記搬送容器内の領域は、例えばついたてによって前記複数の領域に区分されていてもよい。
【0009】
前記作業ロボットの設置された搬送先に搬送される前の前記対象物体の搬送元において、当該対象物体が前記第1種類の物体であるか否かを識別する第1搬送前認識器と、前記第1搬送前認識器によって前記対象物体が前記第1種類の物体であると識別されなかった場合、前記対象物体が前記第1種類の物体でないことを通知する通知装置と、前記対象物体を前記搬送元から前記搬送先まで搬送する搬送装置と、をさらに備えていてもよい。それにより、搬送元に設置された第1搬送前認識器によって対象物体が第1種類の物体であると識別されなかった場合、対象物体が第1種類の物体でないことが、本システムのユーザ(管理者、作業員など)に通知されるため、通知を受けたユーザは、その対象物体にマーカを付したり、その対象物体を搬送容器内の所定の位置に配置したりして、その対象物体にインスタンス情報(対象物体の種類に関する情報)を付与することができる。
【0010】
前記作業ロボットの設置された搬送先に搬送される前の前記対象物体の搬送元において、当該対象物体が前記第1種類の物体であるか否かを識別する第1搬送前認識器と、前記第1搬送前認識器によって前記対象物体が前記第1種類の物体であると識別されなかった場合、前記対象物体を前記搬送容器内の所定位置に配置するインスタンス情報付与装置と、前記対象物体を前記搬送元から前記搬送先まで搬送する搬送装置と、をさらに備えていてもよい。それにより、搬送元に設置された第1搬送前認識器によって対象物体が第1種類の物体であると識別されなかった場合、インスタンス情報付与装置が、その対象物体を搬送容器内の所定の位置に配置することにより、その対象物体にインスタンス情報(仕分けに関する情報)を付与することができる。
【0011】
前記対象物体が第2種類の物体であるか否かを識別する第2認識器をさらに備え、前記作業ロボットは、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第1種類の物体として仕分け、前記対象物体が前記第2認識器によって前記第2種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第2種類の物体として仕分け、且つ、前記対象物体が前記第1認識器及び前記第2認識器によって前記第1種類又は前記第2種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、前記搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分けてもよい。
【0012】
前記作業ロボットの設置された搬送先に搬送される前の前記対象物体の搬送元において、当該対象物体が前記第1種類の物体であるか否かを識別する第1搬送前認識器と、前記搬送元において、当該対象物体が前記第2種類の物体であるか否かを識別する第2搬送前認識器と、前記第1搬送前認識器及び前記第2搬送前認識器によって前記対象物体が前記第1種類及び前記第2種類の物体であると識別されなかった場合、前記対象物体が前記第1種類及び前記第2種類の物体でないことを通知する通知装置と、前記対象物体を前記搬送元から前記搬送先まで搬送する搬送装置と、をさらに備えていてもよい。それにより、搬送元に設置された第1搬送前認識器及び第2搬送前認識器によって対象物体が第1種類及び第2種類の物体であると識別されなかった場合、対象物体が第1種類及び第2種類の物体でないことが、本システムのユーザ(管理者、作業員など)に通知されるため、通知を受けたユーザは、その対象物体にマーカを付したり、その対象物体を搬送容器内の所定の位置に配置したりして、その対象物体にインスタンス情報(対象物体の種類に関する情報)を付与することができる。
【0013】
前記作業ロボットの設置された搬送先に搬送される前の前記対象物体の搬送元において、当該対象物体が前記第1種類の物体であるか否かを識別する第1搬送前認識器と、前記搬送元において、当該対象物体が前記第2種類の物体であるか否かを識別する第2搬送前認識器と、前記第1搬送前認識器及び前記第2搬送前認識器によって前記対象物体が前記第1種類及び前記第2種類の物体であると識別されなかった場合、前記対象物体を前記搬送容器内の所定位置に配置するインスタンス情報付与装置と、前記対象物体を前記搬送元から前記搬送先まで搬送する搬送装置と、をさらに備えていてもよい。それにより、搬送元に設置された第1搬送前認識器及び第2搬送前認識器によって対象物体が第1種類及び第2種類の物体であると識別されなかった場合、インスタンス情報付与装置が、その対象物体を搬送容器内の所定の位置に配置することにより、その対象物体にインスタンス情報(対象物体の種類に関する情報)を付与することができる。
【0014】
前記作業ロボットは、前記第1認識器によって前記対象物体が前記第1物体であると識別された場合、当該対象物体を、第1動作計画手法を用いて仕分け、前記対象物体を前記搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける場合、当該対象物体を、前記第1動作計画手法とは異なる第2動作計画手法を用いて仕分けてもよい。
【0015】
本発明の一実施態様に係る搬送システムの制御方法は、第1認識器と作業ロボットとを少なくとも備えた搬送システムの制御方法であって、前記第1認識器を用いて、対象物体が第1種類の物体であるか否かを識別し、前記作業ロボットを用いて、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第1種類の物体として仕分け、且つ、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける。この搬送システムの制御方法は、認識器によって認識されない対象物体を搬送容器内の所定の位置に配置することにより、認識器によって認識される対象物体については、認識された種類の物体として仕分ける一方で、認識器によって認識されない対象物体についても、搬送容器内の位置情報に応じた種類の物体として仕分けることができる。即ち、この搬送システムの制御方法は、認識器によって認識される物体だけでなく、認識器によって認識されない物体についても、仕分けを行うことを可能にして、搬送対象に含めることができる。
【0016】
本発明の一実施態様に係る制御プログラムは、第1認識器と作業ロボットとを少なくとも備えた搬送システムの制御プログラムであって、前記第1認識器を用いて、対象物体が第1種類の物体であるか否かを識別する処理と、前記作業ロボットを用いて、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体を前記第1種類の物体として仕分け、且つ、前記対象物体が前記第1認識器によって前記第1種類の物体であると識別されない物体である場合、前記対象物体を、搬送容器内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける処理と、をコンピュータに実行させる。この制御プログラムは、認識器によって認識されない対象物体を搬送容器内の所定の位置に配置することにより、認識器によって認識される対象物体については、認識された種類の物体として仕分ける一方で、認識器によって認識されない対象物体についても、搬送容器内の位置情報に応じた種類の物体として仕分けることができる。即ち、この制御プログラムは、認識器によって認識される物体だけでなく、認識器によって認識されない物体についても、仕分けを行うことを可能にして、搬送対象に含めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、認識器によって認識される物体だけでなく、認識器によって認識されない物体についても、仕分けを行うことを可能にして、搬送対象に含めることが可能な搬送システム、その制御方法、及び、制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施の形態1に係る搬送システムの一例を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態1に係る搬送システムに用いられる搬送容器内に配置された対象物体の識別方法の一例を説明するための図である。
図3図3は、実施の形態1に係る搬送システムに用いられる搬送容器内に配置された対象物体の識別方法の一例を説明するための図である。
図4図4は、実施の形態1に係る搬送システムに用いられる搬送容器内に配置された対象物体の識別方法の他の例を説明するための図である。
図5図5は、実施の形態1に係る搬送システムに用いられる搬送容器内に配置された対象物体の識別方法の他の例を説明するための図である。
図6図6は、実施の形態1に係る搬送システムの動作を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態1に係る搬送システムの変形例を示す概略図である。
図8図8は、実施の形態2に係る搬送システムを示す概略図である。
図9図9は、実施の形態3に係る搬送システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0020】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る搬送システム1の一例を示す概略図である。搬送システム1は、認識器によって認識されない対象物体を搬送容器内の所定の位置に配置することにより、認識器によって認識される対象物体については、認識された種類の物体として仕分ける一方で、認識器によって認識されない対象物体についても、搬送容器内の位置情報に応じた種類の物体として仕分けることができる。即ち、この搬送システムは、認識器によって認識される物体だけでなく、認識器によって認識されない物体についても、仕分けを行うことを可能にして、搬送対象に含めることができる。以下、具体的に説明する。
【0021】
図1に示すように、搬送システム1は、搬送元A1から搬送先A2に多種の対象物体Tgを搬送するシステムであって、認識器11と、作業ロボット12と、搬送装置13と、を少なくとも備える。
【0022】
搬送装置13は、ベルト131を回転させることで対象物体Tgを搬送するベルトコンベアである。作業員U1(或いは図示しない作業ロボット)は、搬送元A1に位置するベルト131の載置面131aに、任意の対象物体Tgが収納された搬送容器14を載置する。そして、搬送装置13は、ベルト131を回転させることにより、ベルト131の載置面131aに載置された搬送容器14を、搬送容器14に収納された任意の対象物体Tgとともに、搬送先A2に位置するベルト131の載置面131bまで搬送する。
【0023】
認識器11は、搬送先A2に設置されている。認識器11は、搬送装置13によって搬送先A2に搬送された対象物体Tgについて、認識器11によって予め学習された種類の物体であるか否かを識別する。本実施の形態では、認識器11が、搬送装置13によって搬送先A2に搬送された対象物体Tgについて、認識器11によって予め学習された第1種類及び第2種類の物体の何れであるか否かを識別する場合を例に説明する。
【0024】
作業ロボット12は、搬送先A2に設置されている。作業ロボット12は、搬送装置13によって搬送先A2に搬送された対象物体Tgが認識器11によって第1種類の物体であると識別された場合、当該対象物体Tgを第1種類の物体として仕分ける。また、作業ロボット12は、搬送装置13によって搬送先A2に搬送された対象物体Tgが認識器11によって第2種類の物体であると識別された場合、当該対象物体Tgを第2種類の物体として仕分ける。
【0025】
なお、このとき、作業ロボット12は、第1動作計画手法を用いた仕分けを行う。第1動作計画手法を用いた仕分けとは、作業ロボット12による、特定の種類の対象物体Tg(本例では第1種類及び第2種類の対象物体Tg)専用の把持手法を用いた仕分け、のことである。例えば、認識器11は、事前に、第1種類及び第2種類のそれぞれの対象物体Tgに関する学習データを用いた訓練(学習)を行っておく。それにより、認識器11は、第1種類及び第2種類のそれぞれの対象物体Tgを識別することが可能になるとともに、第1種類及び第2種類のそれぞれの対象物体Tgの位置及び姿勢などを特定することが可能になる。そして、作業ロボット12は、訓練後の認識器11によって認識された第1種類又は第2種類の対象物体Tgを、その位置及び姿勢に基づいて把持し、仕分けを行う。
【0026】
それに対し、認識器11によって予め学習されていない種類の対象物体Tg(換言すると、認識器11によって種類を識別できない対象物体Tg)は、搬送元A1において、例えば作業員U1(或いは図示しない作業ロボット)によって、インスタンス情報を付与される。インスタンス情報とは、対象物体Tgの種類を示す情報である。具体的には、認識器11によって予め学習されていない種類の対象物体Tgは、搬送元A1において、例えば作業員U1によって、マーカ(例えばバーコードやQRコード付きのシール)を付与されたり、搬送容器14内の所定位置に配置されたりする。それにより、搬送先A2において、作業ロボット12は、マーカが付与された対象物体Tgを、マーカに記された種類の物体として仕分けたり、搬送容器14内の所定位置に配置された対象物体Tgを、搬送容器14内における位置情報に応じた種類の物体として仕分けたりすることができる。なお、インスタンス情報の付与の仕方として、対象物体Tgを搬送容器内14の所定位置に配置することは、対象物体Tgに物理的にマーカを付与すること比較して、低コスト化を実現することができる。
【0027】
なお、このとき、作業ロボット12は、第1動作計画手法とは異なる第2動作計画手法を用いた仕分けを行う。第2動作計画手法を用いた仕分けとは、作業ロボット12による、特定の種類に限定されない対象物体Tg(本例では第1種類及び第2種類以外の対象物体Tg)の把持手法を用いた仕分け、のことである。例えば、認識器11は、事前に、特定の種類に限定されない複数の対象物体Tgに関する学習データを用いた訓練を行っておく。それにより、認識器11は、種類を識別できない対象物体Tgの位置及び姿勢を特定することが可能になる。そして、作業ロボット12は、訓練後の認識器11によって種類を識別できない対象物体Tgを、その位置及び姿勢に基づいて把持し、搬送容器14内における位置情報に応じた種類の物体として仕分けを行う。
【0028】
図2及び図3は、搬送容器14内に配置された対象物体Tgの識別方法の一例を説明するための図である。例えば、作業ロボット12は、対象物体Tgが認識器11によって第1種類又は第2種類の物体であると識別されない物体である場合(即ち、対象物体Tgが認識器11によって第1種類又は第2種類の物体であると識別されなかった場合)、当該対象物体Tgを、搬送容器14内における、基準位置BPを基準とした対象物体Tgの相対位置、に応じた種類の物体として仕分ける。
【0029】
まず、図2の例では、搬送容器14内の領域B1,B2のうち、基準位置BPを基準として、x軸方向プラス側、且つ、y軸方向プラス側、の領域B1に配置された対象物体Tgが、第1種類及び第2種類以外のその他の種類の物体であると識別される。そのため、作業ロボット12は、対象物体Tgである対象物体Tg_1,Tg_2のうち、領域B1に配置された対象物体Tg_1を、第1種類及び第2種類以外のその他の種類の物体として仕分ける。
【0030】
また、図3の例では、搬送容器14内の領域B1~B3のうち、領域B1に配置された対象物体Tgが、第1種類及び第2種類以外の第3種類の物体であると識別され、基準位置BPを基準として、x軸方向マイナス側、且つ、y軸方向プラス側、の領域B3に配置された対象物体Tgが、第1種類及び第2種類以外の第4種類の物体であると識別される。そのため、作業ロボット12は、対象物体Tgである対象物体Tg_1~Tg_3のうち、領域B1に配置された対象物体Tg_1を第3種類の物体として仕分け、領域B3に配置された対象物体Tg_3を第4種類の物体として仕分ける。
【0031】
図4及び図5は、搬送容器14内に配置された対象物体Tgの識別方法の他の例を説明するための図である。例えば、作業ロボット12は、対象物体Tgが認識器11によって第1種類又は第2種類の物体であると識別されない物体である場合(即ち、対象物体Tgが認識器11によって第1種類又は第2種類の物体であると識別されなかった場合)、当該対象物体Tgを、搬送容器14内において区分された複数の領域のうち当該対象物体Tgが配置された領域、に応じた種類の物体として仕分ける。
【0032】
まず、図4の例では、ついたて141によって区分された領域C1,C2のうち、領域C1に配置された対象物体Tgが、第1種類及び第2種類以外のその他の種類の物体であると識別される。そのため、作業ロボット12は、対象物体Tgである対象物体Tg_1,Tg_2のうち、領域C1に配置された対象物体Tg_1を、第1種類及び第2種類以外のその他の種類の物体として仕分ける。
【0033】
また、図5の例では、ついたて141によって区分された領域C1~C3のうち、領域C1に配置された対象物体Tgが、第1種類及び第2種類以外の第3種類の物体であると識別され、領域C3に配置された対象物体Tgが、第1種類及び第2種類以外の第4種類の物体であると識別される。そのため、作業ロボット12は、対象物体Tgである対象物体Tg_1~Tg_3のうち、領域C1に配置された対象物体Tg_1を第3種類の物体として仕分け、領域C3に配置された対象物体Tg_3を第4種類の物体として仕分ける。
【0034】
(搬送システム1の動作)
続いて、図6を用いて、搬送システム1の動作を説明する。
図6は、搬送システム1の動作を示すフローチャートである。
【0035】
まず、搬送システム1では、搬送装置13によって対象物体Tgが搬送元A1から搬送先A2に搬送される(ステップS101)。なお、対象物体Tgは、搬送容器14内に収納されたうえで搬送装置13によって搬送される。
【0036】
その後、搬送先A2において、認識器11は、対象物体Tgが第1種類の物体であるか否かを識別する(ステップS102)。
【0037】
例えば、認識器11によって対象物体Tgが第1種類の物体であると識別された場合(ステップS102のYES)、作業ロボット12は、当該対象物体Tgを第1種類の物体として仕分ける(ステップS105)。それに対し、認識器11によって対象物体Tgが第1種類の物体であると識別されない場合(ステップS102のNO)、認識器11は、次に、対象物体Tgが第2種類の物体であるか否かを識別する(ステップS103)。
【0038】
例えば、認識器11によって対象物体Tgが第2種類の物体であると識別された場合(ステップS103のYES)、作業ロボット12は、当該対象物体Tgを第2種類の物体として仕分ける(ステップS105)。それに対し、認識器11によって対象物体Tgが第2種類の物体であると識別されない場合(ステップS103のNO)、即ち、認識器11によって対象物体Tgが第1種類及び第2種類の何れの物体であるとも識別されない場合、作業ロボット12は、搬送容器14内の所定位置に配置された対象物体Tgを、搬送容器14内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける(ステップS104のYES→ステップS105)。なお、対象物体Tgが搬送容器14内の所定位置に配置されていない場合(ステップS104のNO)、作業ロボット12による仕分けは行われない(ステップS106)。
【0039】
このように、本実施の形態にかかる搬送システム1は、認識器11によって認識されない対象物体Tgを搬送容器14内の所定の位置に配置することにより、認識器11によって認識される対象物体Tgについては、認識された種類の物体として仕分ける一方で、認識器11によって認識されない対象物体Tgについても、搬送容器14内の位置情報に応じた種類の物体として仕分けることができる。即ち、本実施の形態にかかる搬送システム1は、認識器11によって認識される物体だけでなく、認識器11によって認識されない物体についても、仕分けを行うことを可能にして、搬送対象に含めることができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、作業ロボット12が、対象物体Tgが認識器11によって第1種類及び第2種類の何れの物体であるとも識別されなかった場合に、当該対象物体Tgを搬送容器14内における位置情報に応じた種類の物体として仕分ける場合を例に説明したが、それに限られない。例えば、第1種類及び第2種類以外の種類の対象物体Tgが搬送容器14内の所定位置に配置されることが明らかである場合、作業ロボット12は、当該対象物体Tgを、認識器11を経由せずに、搬送容器内14内における位置情報に応じた種類の物体として仕分けてもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、認識器11が第1種類及び第2種類の物体の何れであるかを識別する場合を例に説明したが、それに限られない。認識器11は、対象物体Tgが第1種類の物体であるか否かのみを識別するように構成されていてもよいし、対象物体Tgが3種類以上の物体の何れであるかを識別するように構成されていてもよい。また、図7の変形例に示すように、第1種類及び第2種類の物体の何れであるかを識別する認識器11の代わりに、対象物体Tgが第1種類の物体であるか否かを識別する認識器11_1と、対象物体Tgが第2種類の物体であるか否かを識別する認識器11_2と、が個別に設けられてもよい。
【0042】
<実施の形態2>
図8は、実施の形態2にかかる搬送システム2の構成例を示す概略図である。
搬送システム2は、搬送システム1と比較して、搬送元A1に、搬送前認識器21及び通知装置22をさらに備える。搬送システム2のその他の構成については、搬送システム1と同様である。
【0043】
搬送前認識器21は、認識器11と同様の機能を有し、搬送前の対象物体Tgについて、搬送前認識器21によって予め学習された種類の物体であるか否かを識別する。本実施の形態では、搬送前認識器21は、認識器11と同様に、対象物体Tgが第1種類及び第2種類の物体の何れであるかを識別するように構成されている。
【0044】
通知装置22は、搬送前認識器21によって対象物体Tgが第1種類及び第2種類の何れの物体であるとも識別されなかった場合、対象物体Tgが第1種類及び第2種類の何れの物体でもないことを通知する。換言すると、通知装置22は、搬送前認識器21によって対象物体Tgが第1種類及び第2種類の何れの物体であるとも識別されなかった場合、対象物体Tgが搬送前認識器21(認識器11)によって認識されない物体であることを通知する。
【0045】
それにより、通知装置22による通知をうけた本システムのユーザ(管理者、作業員など)は、その対象物体Tgにマーカを付したり、その対象物体Tgを搬送容器14内の所定の位置に配置したりして、その対象物体Tgにインスタンス情報(対象物体Tgの種類に関する情報)を付与することができる。その結果、搬送先A2において、作業ロボット12は、認識器11によって認識されない対象物体Tgについても、例えば搬送容器14内の位置情報に応じた種類の物体として速やかに仕分けることができる。
【0046】
本実施の形態では、搬送前認識器21が第1種類及び第2種類の物体の何れであるかを識別する場合を例に説明したが、それに限られない。搬送前認識器21は、対象物体Tgが第1種類の物体であるか否かのみを識別するように構成されていてもよいし、対象物体Tgが3種類以上の物体の何れであるかを識別するように構成されていてもよい。また、第1種類及び第2種類の物体の何れであるかを識別する搬送前認識器21の代わりに、対象物体Tgが第1種類の物体であるか否かを識別する搬送前認識器21と、対象物体Tgが第2種類の物体であるか否かを識別する搬送前認識器21と、が個別に設けられてもよい。
【0047】
<実施の形態3>
図9は、実施の形態3にかかる搬送システム3の構成例を示す概略図である。
搬送システム3は、搬送システム2と比較して、搬送元A1に、通知装置22の代わりに作業ロボット(インスタンス情報付与装置)32を備える。搬送システム3のその他の構成については、搬送システム2と同様である。
【0048】
作業ロボット32は、搬送前認識器21によって対象物体Tgが第1種類及び第2種類の何れの物体であるとも識別されなかった場合、当該対象物体Tgを搬送容器14内の所定の位置に配置することにより、当該対象物体Tgにインスタンス情報(対象物体Tgの種類に関する情報)を付与する。その結果、搬送先A2において、作業ロボット12は、認識器11によって認識されない対象物体Tgについても、搬送容器14内の位置情報に応じた種類の物体として速やかに仕分けることができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0050】
さらに、本開示は、搬送システムにおける制御処理の一部又は全部を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0051】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0052】
1 搬送システム
2 搬送システム
3 搬送システム
11 認識器
11_1,11_2 認識器
12 作業ロボット
13 搬送装置
14 搬送容器
21 搬送前認識器
22 通知装置
32 作業ロボット(インスタンス情報付与装置)
131 ベルトコンベア
131a 載置面
131b 載置面
A1 対象物体の搬送元
A2 対象物体の搬送先
Tg 対象物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9