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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】CPAP装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A61M16/16 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022069455
(22)【出願日】2022-04-20
(65)【公開番号】P2023159636
(43)【公開日】2023-11-01
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】服部 篤志
(72)【発明者】
【氏名】新 耕華
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0298962(US,A1)
【文献】特表2009-504278(JP,A)
【文献】国際公開第2021/205913(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧送する送風機と、
前記送風機が圧送した空気が流入可能であり、且つ水を貯留可能な内部空間を有する加湿タンクと、を備え、
前記加湿タンクは、
前記内部空間を区画する天壁、側壁及び底壁と、
前記送風機と前記内部空間とを連通する第1流通路と、
前記内部空間と前記加湿タンクの外部のうち前記送風機とは異なる箇所とを連通する第2流通路と、
前記第1流通路における前記加湿タンク側の開口を流入口とし、前記第2流通路における前記加湿タンク側の開口を流出口とし、前記流入口及び前記流出口を最短距離で結ぶ線分を仮想したとき、前記線分に交差する遮蔽部と、
を有し、
前記底壁に交差する特定の軸を上下軸とし、前記上下軸に沿う方向のうち前記天壁から前記底壁に向かう方向を下方向としたとき、
前記遮蔽部の前記下方向の端は、前記流入口から視て前記下方向側、且つ前記流出口から視て前記下方向側に位置しており、
前記遮蔽部は、筒状になっており、
前記遮蔽部は、当該遮蔽部によって囲まれた第1空間と、前記第1空間に対して前記遮蔽部を挟んで反対側の第2空間と、を連通する貫通孔を有しており、
前記貫通孔の下端は、前記流入口から視て前記下方向側、且つ前記流出口から視て前記下方向側に位置しており、
前記遮蔽部の内面は、前記貫通孔が向く方向において前記貫通孔に向かい合う対向面を有し、
前記上下軸に沿う方向を向いて視たときに、前記対向面は、前記貫通孔の開口面に対して傾斜している
CPAP装置。
【請求項2】
前記流入口は、前記側壁と向かい合っており、
前記上下軸に沿う方向を向いて視たときに、前記貫通孔は、前記流入口とは異なる方向を向いている
請求項に記載のCPAP装置。
【請求項3】
前記上下軸に沿う方向を向いて視たときに、前記遮蔽部の内面は、平行に向かい合っている箇所を有さない
請求項に記載のCPAP装置。
【請求項4】
前記上下軸に沿う方向のうち、前記底壁から視て前記第2流通路に向かう方向を上方向としたとき、
前記第2流通路は、前記流出口から下流側に向かうにつれて上方向に位置するように延びている
請求項1に記載のCPAP装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CPAP装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のCPAP装置は、送風機と加湿タンクとを備えている。送風機は、加湿タンクの内部に空気を圧送する。加湿タンクは、内部に水を貯留可能である。加湿タンクは、空気が流通するための第1流通路及び第2流通路を有している。第1流通路は、送風機と加湿タンクの内部とを繋いでいる。第2流通路は、加湿タンクの内部と外部とを繋いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-121502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のCPAP装置では、送風機から第1流通路を介して加湿タンク内に流入した空気は、加湿タンク内に貯留された水の水面上を沿って流れる。これにより、空気が加湿される。ここで、加湿タンク内において第1流通路から第2流通路へと最短距離で空気が流通し得る。このように最短距離で空気が流通した場合、第2流通路の近傍においても空気の流速は相当に速い。そして、第2流通路の近傍において空気の流速が速いと、第2流通路の近傍で水面が波打つことがある。そのため、水面の波が第2流通路内に乗り上げたり、波によって生じた水滴が第2流通路内に流入したりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、空気を圧送する送風機と、前記送風機が圧送した空気が流入可能であり、且つ水を貯留可能な内部空間を有する加湿タンクと、を備え、前記加湿タンクは、前記内部空間を区画する天壁、側壁及び底壁と、前記送風機と前記内部空間とを連通する第1流通路と、前記内部空間と前記加湿タンクの外部のうち前記送風機とは異なる箇所とを連通する第2流通路と、前記第1流通路における前記加湿タンク側の開口を流入口とし、前記第2流通路における前記加湿タンク側の開口を流出口とし、前記流入口及び前記流出口を最短距離で結ぶ線分を仮想したとき、前記線分に交差する遮蔽部と、を有し、前記底壁に交差する特定の軸を上下軸とし、前記上下軸に沿う方向のうち前記天壁から前記底壁に向かう方向を下方向としたとき、前記遮蔽部の前記下方向の端は、前記流入口から視て前記下方向側、且つ前記流出口から視て前記下方向側に位置しているCPAP装置である。
【0006】
上記構成によれば、流入口から流出口へと向かう空気の最短距離は遮蔽部で遮られる。したがって、空気の経路は、遮蔽部を迂回して流出口へ向かう経路となる。このように、空気の経路を迂回させた経路とすることで、第2流通路の近傍における空気の流速を遅くできる。これにより、第2流通路の近傍で水面が波打つことに起因して第2流通路内に水が流入することを防げる。
【発明の効果】
【0007】
加湿タンク内の水が流出口に流入することを抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、CPAP装置の使用状態を表す図である。
図2図2は、加湿タンクの斜視図である。
図3図3は、図4における3-3線の断面図である。
図4図4は、図3における4-4線の断面図である。
図5図5は、図4における5-5線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、CPAP装置の一実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0010】
<全体構成について>
図1に示すように、Continuous Airway Pressure装置(以下、CPAP装置と記載する。)の全体構成を説明する。
【0011】
図1に示すように、CPAP装置10は、送風機20と、加湿タンク30と、ホース91と、マスク92と、を備えている。
送風機20は、略箱状である。送風機20は、内部に空気を圧送するための送風ファンを格納している。送風機20は、箱の内外を空気が流通するための空気通路を有している。なお、図1においては、空気通路の図示を省略している。送風機20は、スイッチ21を有している。スイッチ21は、送風機20のうちの上面に位置している。スイッチ21を操作することにより、送風機20における送風ファンのオン・オフ等が制御される。
【0012】
加湿タンク30は、送風機20に接続されている。具体的には、加湿タンク30は、送風機20の空気通路に接続している。加湿タンク30は、内部に水を貯留可能である。加湿タンク30の内部には、送風機20の送風ファンから圧送された空気が流入可能である。
【0013】
ホース91は、加湿タンク30における送風機20の接続箇所と別の場所において、加湿タンク30に接続している。ホース91の内部は、加湿タンク30の内部を通過して加湿された空気が流通する。
【0014】
マスク92は、ホース91における加湿タンク30側の端とは反対の端に接続している。マスク92は、使用者93の鼻又は口を覆うようにして取り付けられる。すなわち、使用者93は、ホース91及びマスク92を介して加湿された空気を吸入する。
【0015】
<加湿タンクについて>
図2に示すように、加湿タンク30は、タンク部分31と、蓋部分32と、を有している。図4に示すように、タンク部分31及び蓋部分32は、加湿タンク30の内部空間Sを区画している。
【0016】
図2示すように、タンク部分31は、一方が開放している有底の箱状である。すなわち、タンク部分31は、底壁41と、底壁41から立ち上がる下側壁42と、を有している。
【0017】
底壁41は、平板状である。底壁41は、底壁41に直交する方向を向いて視たときに、一方に長手の形状である。具体的には、底壁41に直交する方向を向いて視たときに、底壁41は、長方形の4つの角のうちの2つの角が面取りされたような形状である。したがって、底壁41に直交する方向を向いて視たときに、底壁41は、6つの辺を有する六角形状である。
【0018】
ここで、底壁41に直交する軸を第1軸Xとする。また、第1軸Xに直交する軸を第2軸Yとする。本実施形態では、第2軸Yは、底壁41の短手方向に沿う軸である。また、第1軸X及び第2軸Yの双方と直交する軸を第3軸Zとする。本実施形態では、第3軸Zは、底壁41の長手方向に沿う軸である。なお、第1軸Xに沿う2つの方向のうちの一方を第1正方向X1とし、第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。また、第2軸Yに沿う2つの方向のうち、一方を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。また、第3軸Zに沿う2つの方向のうち、一方を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1と反対方向を第3負方向Z2とする。そして、加湿タンク30は、第1正方向X1が上方向、第1負方向X2が下方向となる姿勢で、使用される。
【0019】
下側壁42は、底壁41の縁から、第1正方向X1に立ち上がっている。下側壁42は、底壁41の縁の全域に亘って延びている。具体的には、下側壁42は、第1下側壁42A、第2下側壁42B、第3下側壁42C、第4下側壁42D、第5下側壁42E、及び第6下側壁42Fを有している。
【0020】
第1下側壁42Aは、底壁41における第3正方向Z1側の縁から第1正方向X1に立ち上がっている。第1下側壁42Aは、第3軸Zに直交する壁である。
第2下側壁42Bは、底壁41における第2正方向Y1側の縁から第1正方向X1に立ち上がっている。第2下側壁42Bは、第2軸Yに直交する壁である。
【0021】
第3下側壁42Cは、底壁41における第2正方向Y1側の縁と第3負方向Z2側の縁との間の縁から第1正方向X1に立ち上がっている。すなわち、第3下側壁42Cは、底壁41の縁のうち、面取りされた箇所の縁から立ち上がっている。第3下側壁42Cは、第1軸Xに対して平行な壁である。また、第3下側壁42Cは、第2軸Y及び第3軸Zの双方に対して傾斜している。
【0022】
第4下側壁42Dは、底壁41における第3負方向Z2側の縁から第1正方向X1に立ち上がっている。第4下側壁42Dは、第3軸Zに直交する壁である。すなわち、第4下側壁42Dは、第1下側壁42Aと平行である。
【0023】
第5下側壁42Eは、底壁41における第3負方向Z2側の縁と第2負方向Y2側の縁との間の縁から第1正方向X1に立ち上がっている。すなわち、第5下側壁42Eは、底壁41の縁のうち、面取りされた箇所の縁から立ち上がっている。第5下側壁42Eは、第1軸Xに対して平行な壁である。また、第3下側壁42Cは、第2軸Y及び第3軸Zの双方に対して傾斜している。
【0024】
第6下側壁42Fは、底壁41における第2負方向Y2側の縁から第1正方向X1に立ち上がっている。第6下側壁42Fは、第2軸Yに直交する壁である。すなわち、第6下側壁42Fは、第2下側壁42Bと平行である。
【0025】
蓋部分32は、上蓋51と、上側壁52と、を有している。蓋部分32は、タンク部分31の第1正方向X1側の開口を塞いでいる。
上蓋51の外形は、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、底壁41の外形と同じ形状である。すなわち、底壁41は、長方形のうちの2つの角が面取りされた形状である。上蓋51は、底壁41と第1軸Xに沿う方向において向かい合っている。なお、本実施形態では、底壁41及び上蓋51に直交する第1軸Xは、上下軸である。上蓋51から底壁41に向かう方向は、下方向である。底壁41から上蓋51に向かう方向は、上方向である。
【0026】
上側壁52は、上蓋51の縁から、第1負方向X2側に立ち上がっている。上側壁52は、上蓋51の縁の全域に亘って延びている。具体的には、上側壁52は、第1上側壁52A、第2上側壁52B、第3上側壁52C、第4上側壁52D、第5上側壁52E、及び第6上側壁52Fを有している。
【0027】
第1上側壁52Aは、上蓋51における第3正方向Z1側の縁から第1負方向X2側に立ち上がっている。第1上側壁52Aは、第3軸Zに直交する壁である。
第2上側壁52Bは、上蓋51における第2正方向Y1側の縁から第1負方向X2側に立ち上がっている。第2上側壁52Bは、第2軸Yに直交する壁である。
【0028】
第3上側壁52Cは、上蓋51における第2正方向Y1側の縁と第3負方向Z2側の縁との間の縁から第1負方向X2側に立ち上がっている。すなわち、第3上側壁52Cは、上蓋51のうち、面取りされた箇所の縁から立ち上がっている。第3上側壁52Cは、第1軸Xに平行な壁である。また、第3上側壁52Cは、第2軸Y及び第3軸Zの双方に対して傾斜している。
【0029】
第4上側壁52Dは、上蓋51における第3負方向Z2側の縁から第1負方向X2側に立ち上がっている。第4上側壁52Dは、第3軸Zに直交する壁である。すなわち、第4上側壁52Dは、第1上側壁52Aと平行である。
【0030】
第5上側壁52Eは、上蓋51における第3負方向Z2側の縁と第2負方向Y2側の縁との間の縁から第1負方向X2側に立ち上がっている。すなわち、第5上側壁52Eは、上蓋51の縁のうち、面取りされた箇所の縁から立ち上がっている。
【0031】
第6上側壁52Fは、上蓋51における第2負方向Y2側の縁から第1負方向X2側に立ち上がっている。第6上側壁52Fは、第2軸Yに直交する壁である。すなわち、第6上側壁52Fは、第2上側壁52Bと平行である。
【0032】
なお、上側壁52の第1負方向X2側の端は、下側壁42の第1正方向X1側の端と接続している。具体的には、第1上側壁52Aは、第1下側壁42Aと接続している。第2上側壁52Bは、第2下側壁42Bと接続している。第3上側壁52Cは、第3下側壁42Cと接続している。第4上側壁52Dは、第4下側壁42Dと接続している。第5上側壁52Eは、第5下側壁42Eと接続している。第6上側壁52Fは、第6下側壁42Fと接続している。なお、上側壁52と下側壁42とで加湿タンク30の側壁を構成している。
【0033】
<流通路について>
図3に示すように、蓋部分32は、第1流通路61と、第2流通路62と、を有している。
【0034】
第1流通路61は、筒状である。第1流通路61は、第1上側壁52Aを貫通している。つまり、第1流通路61は、送風機20と加湿タンク30の内部空間Sとを連通する流路である。なお、第1流通路61は、蓋部分32と別の材質である。
【0035】
図1に示すように、第1流通路61の第1端61Aは、第1上側壁52A~第6上側壁52Fによって区画される空間の外部に位置している。第1流通路61の第1端61Aにおける開口の形状は、略円形状である。第1流通路61の第1端61Aの開口は、第3正方向Z1を向いている。なお、第1流通路61の第1端61Aは、送風機20に接続される。
【0036】
なお、開口の向く方向は以下のように決定する。先ず、外部側から視て当該開口の見た目の開口面積が最大となる視点を決定する。そして、その視点から視た開口の幾何中心から、当該視点に向かう方向を、開口の向く方向とする。
【0037】
図4に示すように、第1流通路61の第2端61Bは、加湿タンク30の内部空間Sに位置している。第1流通路61の第2端61Bの開口形状は、略四角形状である。第1流通路61の第2端61Bの開口は、第2正方向Y1を向いている。つまり、図3に示すように、第1流通路61は、第1端61Aから第2端61Bに向かって90度曲がっている。第1流通路61の第2端61Bの開口は、第2上側壁52Bと向かい合っている。なお、第1流通路61の第2端61Bの開口、すなわち内部空間S側の開口は、空気の流入口である。
【0038】
図4に示すように、第2流通路62は、筒状である。第2流通路62は、上蓋51を貫通している。つまり、第2流通路62は、加湿タンク30の内部空間Sと加湿タンク30の外部のうち送風機20とは異なる箇所とを連通する流路である。
【0039】
なお、第2流通路62は、上蓋51との一体成型物である。また、第2流通路62の外面のうちの一部は、第2軸Yに沿う方向において底壁41と向かい合っている。すなわち、第2流通路62は、上蓋51と共に、加湿タンク30の天壁を構成している。
【0040】
第2流通路62の第1端62Aは、加湿タンク30の内部空間Sに位置している。第2流通路62の第1端62Aにおける開口の形状は、略四角形状である。第2流通路62の第1端62Aの開口は、第2負方向Y2を向いている。なお、第2流通路62の第1端62Aの開口、すなわち第2流通路62の加湿タンク30側の開口は、空気の流出口である。
【0041】
第2流通路62の第2端62Bは、加湿タンク30の外部に位置している。第2流通路62の第2端62Bにおける開口形状は、略円形状である。第2流通路62の第2端62Bの開口は、第1正方向X1を向いている。つまり、第2流通路62は、第1端62Aから第2端62Bに向かって90度曲がっている。したがって、第2流通路62は、第1端62Aから第2端62Bに向かうにつれて、徐々に第1正方向X1に位置するように延びている。なお、第2流通路62の第2端62Bは、ホース91に接続される。
【0042】
また、図5に示すように、第2流通路62の第3負方向Z2側の外面は、円弧状になっている。また、第2流通路62の外面から第3上側壁52Cまでの最短距離、第2流通路62の外面から第4上側壁52Dまでの最短距離、及び第2流通路62の外面から第5上側壁52Eまでの最短距離は、いずれも略同じ長さになっている。
【0043】
<遮蔽部について>
図4に示すように、加湿タンク30は、遮蔽部70を有している。遮蔽部70は、第1軸Xに沿って延びる筒状である。遮蔽部70は、第2流通路62の外面から第1負方向X2側に延びている。なお、上述したとおり、第2流通路62は、加湿タンク30の天壁の一部である。したがって、遮蔽部70は、天壁から第1負方向X2側に向かって延びている。そして、遮蔽部70は、内部空間Sを当該遮蔽部70によって囲まれた第1空間SP1と、遮蔽部70を挟んで反対側の第2空間SP2と、に分けている。換言すると、第1空間SP1は、遮蔽部70の筒の内部空間である。そして、第2空間SP2は、遮蔽部70の筒の外部空間である。
【0044】
ここで、図3に示すように、第1流通路61の第2端61B及び第2流通路62の第1端62Aを最短距離で結ぶ仮想線分LVを仮想する。遮蔽部70は、仮想線分LVに交差している。
【0045】
図4に示すように、遮蔽部70の第1負方向X2側の端は、上側壁52と、下側壁42との接続位置よりも第1負方向X2側に位置している。すなわち、遮蔽部70の第1負方向X2側の端は、第1流通路61の第2端61Bから視て第1負方向X2側に位置している。また、遮蔽部70の第1負方向X2側の端は、第2流通路62の第1端62Aから視て第1負方向X2側に位置している。なお、CPAP装置10の使用時に想定する加湿タンク30の満水状態まで水を貯留した場合、遮蔽部70の第1負方向X2側の端を含む一部は、水に浸かる。
【0046】
図3に示すように、遮蔽部70は、略三角筒状である。具体的には、遮蔽部70は、第1平板71、第2平板72、及び第3平板73を有している。第1平板71は、第2流通路62の第1端62Aから第1負方向X2側に向かって延びている。第1平板71は、第2軸Yに直交する平板である。
【0047】
第2平板72は、第2流通路62の下面から第1負方向X2に向かって延びている。第2平板72は、第3軸Zに直交する平板である。第2平板72は、第1平板71の第3負方向Z2側の端に繋がっている。
【0048】
第3平板73は、第2流通路62の下面から第1負方向X2に向かって延びている。第3平板73は、第1軸Xに対して平行な平板である。第3平板73は、第2軸Y及び第3軸Zの双方に対して傾斜している。第3平板73の第3負方向Z2側の端は、第2平板72の第2正方向Y1側の端に繋がっている。第3平板73の第3正方向Z1側の端は、第1平板71の第3正方向Z1側の端に繋がっている。なお、第3平板73における第2平板72との接続箇所近傍は、第2正方向Y1側が凸となるように湾曲している。
【0049】
第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、遮蔽部70において、第1平板71と第2平板72とは、平行に向かい合っていない。同様に、第1平板71と第3平板73とは、平行に向かい合っていない。さらに、第2平板72と第3平板73とは、平行に向かい合っていない。すなわち、遮蔽部70の内面は、平行に向かい合っている箇所を有していない。
【0050】
遮蔽部70は、貫通孔74を有している。貫通孔74は、第2平板72の第2軸Yに沿う方向の中央に位置している。貫通孔74は、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する。貫通孔74の形状は、第1軸Xに沿って延びる溝状である。貫通孔74は、第2平板72の第1軸Xに沿う方向の全体に亘っている。なお、上述したとおり、遮蔽部70の第1負方向X2側の端は、第1流通路61の第2端61Bから視て第1負方向X2側に位置している。したがって、貫通孔74の第1負方向X2側の端は、第1流通路61の第2端61Bから視て第1負方向X2側に位置している。同様に、貫通孔74の第1負方向X2側の端は、第2流通路62の第1端62Aから視て第1負方向X2側に位置している。
【0051】
第1軸Xに沿う方向を向いて視たとき、貫通孔74は、第3負方向Z2を向いている。したがって、貫通孔74は、第1流通路61の第2端61B側の開口とは異なる方向を向いている。また、第3平板73は、貫通孔74が向く第3軸Zに沿う方向において、貫通孔74に向かい合う対向面である。第1軸Xに沿う方向を向いて視たとき、第3平板73は、貫通孔74の開口面に対して傾斜している。
【0052】
<本実施形態の作用について>
CPAP装置10を使用する際には、当該CPAP装置10の第1正方向X1が上方向と一致し、且つ当該CPAP装置10の第1負方向X2が下方向と一致するように、CPAP装置10を机の上等に載置する。また、CPAP装置10を使用する際には、加湿タンク30の内部空間Sに水を貯留する。このとき、遮蔽部70の第1負方向X2側の端が水中に没する程度の量の水を入れる。
【0053】
スイッチ21を押すと、送風機20が駆動して、送風ファンから圧縮した空気が圧送される。当該空気は、加湿タンク30の第1流通路61を通過して、加湿タンク30内に流入する。
【0054】
加湿タンク30内に流入した空気は、加湿タンク30の内部空間Sのうち、水面から視て第1正方向X1側の空間を流れる。このとき、図3に示すように、第1流通路61の第2端61Bの流入口から流入した空気は、第2下側壁42B及び第2上側壁52Bに衝突する。その後、空気の流れは、第3負方向Z2側に流れる経路Pと第3正方向Z1側に流れる経路Qとに分かれる。
【0055】
上述したように、流入口から流出口までの最短距離を示す仮想線分LV上に遮蔽部70が存在する。したがって、経路P側に放出された空気は、最短経路を通らず、遮蔽部70を迂回して流れる。なお、迂回する経路は、大きく2つの経路がある。2つの経路は、遮蔽部70から視て第3正方向Z1側の経路P1、加湿タンク30の下側壁42及び上側壁52と遮蔽部70との間の経路P2である。
【0056】
また、経路Q、経路P1、経路P2のうち、経路Qにおいて流路断面積が最も大きくなっている。流路断面積が広い箇所では、空気の流速は遅く、圧力が比較的に高いため、空気が流れ込みにくくなっている。したがって、経路Qよりも、経路P1及び経路P2の方に多くの空気が流れ込む。また、経路P2では、その流路断面積が大きく変化しない。そのことから、経路P2を流れる空気に、設計上意図しない乱流等が生じにくい。
【0057】
<本実施形態の効果について>
(1)上記実施形態によれば、空気の経路は、遮蔽部70を迂回して第2流通路62の第1端62Aへ向かう経路となる。このように、空気の経路を迂回させた経路とすることで、第2流通路62の近傍における空気の流速を遅くできる。これにより、第2流通路62の近傍で水面が波打つことに起因して第2流通路62内に水が流入することを防げる。
【0058】
(2)上記実施形態によれば、遮蔽部70の第1負方向X2側の端は、第1流通路61の第2端61Bから視て第1負方向X2側、且つ第2流通路62の第1端62Aから視て第1負方向X2側に位置している。このような構成であれば、遮蔽部70の下端が没するように、加湿タンク30内に水を入れることができる。そして、このような状態であれば、空気は、遮蔽部70と水面との間を通過することができない。つまり、空気の経路として、確実に遮蔽部70を迂回した経路を形成できる。
【0059】
(3)上記実施形態によれば、加湿タンク30内の水面が貫通孔74の下端から視て上側に位置している場合、第1空間SP1にも水が入っている。この状態では、加湿タンク30内で生じた水面の波が、第2空間SP2から第1空間SP1にも伝播する。こうして第1空間SP1に入った波は、第1空間SP1で互いに干渉して打ち消し合う。つまり、上記構成によれば、遮蔽部70は、加湿タンク30内の水面の波を減衰させる機能を発揮できる。
【0060】
(4)上記実施形態によれば、第1流通路61の第2端61Bの流入口から加湿タンク30内に流入した空気は、第2下側壁42B及び第2上側壁52Bに当たり、加湿タンク30の底壁41側に向けて流れる。このとき、第1流通路61の第2端61Bの流入口と第2下側壁42B及び第2上側壁52Bとの間の水面が底壁41側に向けて押し下げられる。このような水面の動きから、加湿タンク30内には、第1流通路61の第2端61Bの流入口が向く第2軸Yに対して交差する方向に進行する波が生じる。上記構成によれば、遮蔽部70の貫通孔74は、第1流通路61の第2端61Bの流入口とは異なる方向を向いている。そのため、第2軸Yに対して交差する方向に進行する波が貫通孔74を通過して第1空間SP1に伝播しやすい。
【0061】
(5)上記実施形態によれば、貫通孔74を介して第1空間SP1に伝播した波は、第3平板73に当たって反射する。このとき、反射した波は、貫通孔74が存在する方向とは異なる方向に向かう。したがって、反射した波が貫通孔74を介して遮蔽部70の外部へと伝播することを防げる。
【0062】
(6)上記実施形態において、遮蔽部70の内面は、平行に向かい合っている箇所を有していない。したがって、貫通孔74を介して第1空間SP1に伝播した波は、遮蔽部70の内面にあたって様々な方向に反射される。そのため、反射した波が互いに干渉しやすい。結果、反射した波が効率的に減衰する。
【0063】
(7)上記実施形態において、第2流通路62は、第1端62A側の開口である流出口から下流側に向うにつれて、徐々に第1正方向X1に位置するように延びている。この構成によれば、第2流通路62に水が入っても、水が自重によって加湿タンク30の内部へと流れる。
【0064】
(8)上記実施形態において、経路P2における流路断面積は、大きく変化しない。したがって、上述したように、経路P2を流れる空気に、設計上意図しない乱流等が生じにくい。
【0065】
<変更例>
本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・上記実施形態において、CPAP装置10は、送風機20及び加湿タンク30を有するものであれば任意の構成でよい。また、CPAP装置10全体の形状も限定されない。
・上記実施形態において、加湿タンク30の構成は限定されない。例えば、タンク部分31と蓋部分32とが一体成形されていて、タンク部分31の側壁の一部が開口するような構成でもよい。
【0067】
・上記実施形態において、第1軸Xに沿う方向から視たときに、加湿タンク30は四角形状であってもよいし、円形状であってもよい。
・上記実施形態において、第1流通路61は、蓋部分32の一体成型物であってもよい。
【0068】
・上記実施形態において、第1流通路61は、内部を空気が流通可能であれば、形状は問わない。例えば、第1流通路61の流路断面が第1端61Aから第2端61Bまで、一定であってもよい。また、第1流通路61の流路の一部が上蓋51によって形成されていてもよい。また、第1流通路61が直線状に延びていてもよい。
【0069】
・上記実施形態において、第2流通路62は、内部を空気が流通可能であれば、形状は問わない。例えば、第2流通路62の流路断面が第1端62Aから第2端62Bまで、一定であってもよい。また、第2流通路62が、上蓋51と平行に、直線状に延びていてもよい。すなわち、第2流通路62の第2端62Bが、タンク部分31の側壁から突出していてもよい。また、第2流通路62の第1端62Aから下流側にかけて、第1負方向X2側に曲がっていてもよい。
【0070】
・上記実施形態において、遮蔽部70の第1負方向X2側の端は、底壁41まで達していてもよい。
・上記実施形態において、遮蔽部70の形状は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1軸Xに沿う方向から視たとき、遮蔽部70が、円形状、四角形状であってもよい。また、遮蔽部70の内面において貫通孔74に向かい合う対向面は、貫通孔74の向く方向に対して平行であってもよい。
【0071】
・上記実施形態において、遮蔽部70は、上蓋51から第1負方向X2側に延びていてもよい。遮蔽部70が、底壁41と向かい合う天壁から延びていれば、遮蔽部70と天壁との隙間を空気が流れることはない。
【0072】
・上記実施形態において、遮蔽部70は、筒状でなくてもよい。例えば、遮蔽部70は板状であってもよい。遮蔽部70が板状の場合においても、仮想線分LVを交差するように遮蔽部70が配置されていればよい。
【0073】
・上記実施形態において、貫通孔74の遮蔽部70に対する位置は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、貫通孔74は、第1流通路61の第2端61B側の開口と同じ方向を向いていてもよい。
【0074】
・上記実施形態において、貫通孔74は、遮蔽部70の第1軸Xに沿う方向の第1負方向X2側の端まで到達していなくてもよい。なお、CPAP装置10の使用時に、水面が貫通孔74の第1負方向X2側の端に対して第1正方向X1側に位置できるように、加湿タンク30内が水を貯留できればよい。
【0075】
・上記実施形態において、貫通孔74の開口の形状は問わない。例えば、貫通孔74の向く方向から視たときに、貫通孔74は、円形状、楕円形状等でもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術思想について記載する。
【0076】
[1]空気を圧送する送風機と、前記送風機が圧送した空気が流入可能であり、且つ水を貯留可能な内部空間を有する加湿タンクと、を備え、前記加湿タンクは、前記内部空間を区画する天壁、側壁及び底壁と、前記送風機と前記内部空間とを連通する第1流通路と、前記内部空間と前記加湿タンクの外部のうち前記送風機とは異なる箇所とを連通する第2流通路と、前記第1流通路における前記加湿タンク側の開口を流入口とし、前記第2流通路における前記加湿タンク側の開口を流出口とし、前記流入口及び前記流出口を最短距離で結ぶ線分を仮想したとき、前記線分に交差する遮蔽部と、を有し、前記底壁に交差する特定の軸を上下軸とし、前記上下軸に沿う方向のうち前記天壁から前記底壁に向かう方向を下方向としたとき、前記遮蔽部の前記下方向の端は、前記流入口から視て前記下方向側、且つ前記流出口から視て前記下方向側に位置しているCPAP装置。
【0077】
[2]前記遮蔽部は、筒状になっており、前記遮蔽部は、当該遮蔽部によって囲まれた第1空間と、前記第1空間に対して前記遮蔽部を挟んで反対側の第2空間と、を連通する貫通孔を有しており、前記貫通孔の下端は、前記流入口から視て前記下方向側、且つ前記流出口から視て前記下方向側に位置している[1]に記載のCPAP装置。
【0078】
[3]前記流入口は、前記側壁と向かい合っており、前記上下軸に沿う方向を向いて視たときに、前記貫通孔は、前記流入口とは異なる方向を向いている[2]に記載のCPAP装置。
【0079】
[4]前記遮蔽部の内面は、前記貫通孔が向く方向において前記貫通孔に向かい合う対向面を有し、前記上下軸に沿う方向を向いて視たときに、前記対向面は、前記貫通孔の開口面に対して傾斜している[2]または[3]に記載のCPAP装置。
【0080】
[5]前記上下軸に沿う方向を向いて視たときに、前記遮蔽部の内面は、平行に向かい合っている箇所を有さない[2]から[4]のいずれか1つに記載のCPAP装置。
[6]前記上下軸に沿う方向のうち、前記底壁から視て前記第2流通路に向かう方向を上方向としたとき、前記第2流通路は、前記流出口から下流側に向かうにつれて上方向に位置するように延びている[1]から[5]のいずれか1つに記載のCPAP装置。
【符号の説明】
【0081】
S…内部空間
LV…仮想線分
10…CPAP装置
20…送風機
30…加湿タンク
41…底壁
42…下側壁
52…上側壁
61…第1流通路
61B…第2端
62…第2流通路
62A…第1端
70…遮蔽部
74…貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5