(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】自動運転制御装置及び自動運転制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240806BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20240806BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W30/08
B60W60/00
(21)【出願番号】P 2022121375
(22)【出願日】2022-07-29
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2021143379
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160956(JP,A)
【文献】特開2007-062651(JP,A)
【文献】特開2020-163908(JP,A)
【文献】特開2015-141560(JP,A)
【文献】特開2016-193666(JP,A)
【文献】国際公開第2021/140917(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/075477(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 30/08
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両の進行方向に存在する合流エリア(CfA)の道路形状
として、前記合流エリアにて車線数が減少するか否かを
少なくとも把握する道路形状把握部(72)と、
前記合流エリアにおいて前記自律走行制御を継続するか否かを、前記合流エリア
が車線数の
減少する道路形状
か否かに応じて判断する継続判断部(63)と、
を備える自動運転制御装置。
【請求項2】
前記継続判断部は、
前記合流エリアが車線数の減少する道路形状である場合、前記自律走行制御の継続を制限し、
前記合流エリアが車線数の減少しない道路形状である場合、前記自律走行制御の継続を許可する請求項1に記載の自動運転制御装置。
【請求項3】
車線数の減少しない道路形状の前記合流エリアにて前記自律走行制御が継続される場合、前記自車両が走行する自車車線(Lns)への合流を試みる合流車両(Ac)の発生に基づき、当該合流車両の存在を示す報知を実施させる報知制御部(61)、をさらに備える請求項2に記載の自動運転制御装置。
【請求項4】
前記継続判断部は、
前記合流エリアが車線数の減少しない道路形状であり、かつ、前記自律走行制御の制御モードが渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御である場合、前記自律走行制御の継続を許可し、
前記合流エリアが車線数の減少しない道路形状であっても、前記制御モードが前記渋滞限定制御とは異なる場合、前記自律走行制御の継続を制限する請求項1~3のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
【請求項5】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両の進行方向に存在する合流エリア(CfA)の道路形状
として、前記合流エリアにて車線数が減少するか否かを
少なくとも把握し(S15,S38)、
前記合流エリアにおいて前記自律走行制御を継続するか否かを、前記合流エリア
が車線数の
減少する道路形状
か否かに応じて判断する(S16,S19,S39,S41,S42)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項6】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御によって前記自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、前記合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状
として、前記合流エリアにて前記合流車線が減少するか否かを
少なくとも把握する道路形状把握部(72)と、
前記自律走行制御を含む前記自車両の運転制御状態を、前記合流エリア
が前記合流車線の
減少する道路形状
か否かに応じて変更する継続判断部(63)と、
を備える自動運転制御装置。
【請求項7】
前記合流エリアにて複数の前記合流車線が前記本線車道と合流する道路形状である場合、複数の前記合流車線のうちで前記自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握する自車位置把握部(73)、をさらに備え、
前記継続判断部は、前記本線車道に隣接する前記合流車線が前記自車車線である場合と、前記本線車道から離間する前記合流車線が前記自車車線である場合とで、前記自車両の前記運転制御状態を変更する請求項
6に記載の自動運転制御装置。
【請求項8】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御によって前記自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、前記合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状を把握する道路形状把握部(72)と、
前記自律走行制御を含む前記自車両の運転制御状態を、前記合流エリアの道路形状に応じて変更する継続判断部(63)と、
前記合流エリアにて複数の前記合流車線が前記本線車道と合流する道路形状である場合、複数の前記合流車線のうちで前記自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握する自車位置把握部(73)と、を備え
、
前記継続判断部は、前記本線車道に隣接する前記合流車線が前記自車車線である場合と、前記本線車道から離間する前記合流車線が前記自車車線である場合とで、前記自車両の前記運転制御状態を変更する自動運転制御装置。
【請求項9】
前記継続判断部は、前記本線車道から離間する前記合流車線が前記自車車線である場合、前記本線車道に隣接する前記合流車線が前記自車車線である場合よりも、前記運転制御状態を前記ドライバへの依存度の高い状態に変更する請求項
7又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項10】
前記継続判断部は、前記合流エリアにて前記合流車線が減少する道路形状である場合、前記合流車線が減少しない道路形状である場合よりも、前記運転制御状態を前記ドライバへの依存度の高い状態に変更する請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項11】
前記継続判断部は、前記合流エリアにて前記合流車線が減少する道路形状である場合、前記合流車線が減少しない道路形状である場合よりも、前記ドライバに運転交代を要請する報知を早期に実施する請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項12】
前記合流車線が減少しない前記合流エリアでの前記自律走行制御の中断後、前記自律走行制御の再開が可能となった場合、前記自律走行制御が再開可能であることを前記ドライバに示す報知を実施させる報知制御部(61)、をさらに備える請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項13】
前記継続判断部は、前記合流エリアにて前記合流車線が減少する道路形状であり、かつ、前記本線車道への車線変更が実施されない場合、前記合流車線がなくなる位置よりも手前側にて前記自車両を停止させる停止制御を開始する請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項14】
前記継続判断部は、前記本線車道が渋滞している場合、前記本線車道が渋滞していない場合よりも、前記運転制御状態を前記ドライバへの依存度の高い状態に変更する請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項15】
前記継続判断部は、前記合流エリアの手前側にて前記合流車線が渋滞している場合、前記自律走行制御を継続しつつ、前記合流エリアにて前記自車両を合流させる請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項16】
前記継続判断部は、前記自律走行制御での走行を禁止する禁止エリアとされた前記合流エリアに接近する場合、前記合流エリアとは異なる道路区間に設定された前記禁止エリアに接近する場合よりも、前記自律走行制御を早期に終了させる請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項17】
前記継続判断部は、前記合流エリアにおける合流後、前記自車両に車線変更が予定されている場合、前記運転制御状態を前記ドライバへの依存度の低い状態に変更する処理の実施を制限する請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項18】
前記継続判断部は、前記合流エリアにて前記自律走行制御を継続する場合、前記合流エリアへの到達前に前記ドライバに許可される運転以外の特定行為の許容範囲を狭くする請求項6
又は8に記載の自動運転制御装置。
【請求項19】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御によって前記自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、前記合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状
として、前記合流エリアにて前記合流車線が減少するか否かを
少なくとも把握し(S38,S138)、
前記自律走行制御を含む前記自車両の運転制御状態を、前記合流エリア
が前記合流車線の
減少する道路形状
か否かに応じて変更する(S39~S43,S139~S143)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項20】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御によって前記自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、前記合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状を把握し(S38,S138)、
前記自律走行制御を含む前記自車両の運転制御状態を、前記合流エリアの道路形状に応じて変更
し、前記合流エリアにて複数の前記合流車線が前記本線車道と合流する道路形状である場合、複数の前記合流車線のうちで前記自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握し、前記本線車道に隣接する前記合流車線が前記自車車線である場合と、前記本線車道から離間する前記合流車線が前記自車車線である場合とで、前記自車両の前記運転制御状態を変更する(S39~S43,S139~S143)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項21】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両の進行方向に、車線数の増加する分岐エリア(BrA)が存在するか否かを把握する道路形状把握部(72)と、
前記自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握する自車位置把握部(73)と、
前記分岐エリアにて増加する車線である分岐車線(Lnb)と前記自車車線とが接している場合、前記自律走行制御を中断し、前記分岐車線と前記自車車線とが接していない場合、前記自律走行制御の継続を許可する継続判断部(63)と
、を備え
、
前記継続判断部は、
前記自車車線が前記分岐車線と接しており、かつ、前記自車両の予定経路が前記分岐車線に設定される場合、前記ドライバにステアリングの把持義務のある運転支援制御又は手動運転への遷移を決定し、
前記自車車線が前記分岐車線と接しており、かつ、前記予定経路が前記分岐車線に設定されない場合、前記ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御への遷移を決定する自動運転制御装置。
【請求項22】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両の進行方向に、車線数の増加する分岐エリア(BrA)が存在するか否かを把握し(S20)、
前記自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握し(S21)、
前記分岐エリアにて増加する車線である分岐車線(Lnb)と前記自車車線とが接している場合、前記自律走行制御を中断し、前記分岐車線と前記自車車線とが接していない場合、前記自律走行制御の継続を許可
し(S2
2)、
前記自車車線が前記分岐車線と接しており、かつ、前記自車両の予定経路が前記分岐車線に設定される場合、前記ドライバにステアリングの把持義務のある運転支援制御又は手動運転への遷移を決定し(S27)、
前記自車車線が前記分岐車線と接しており、かつ、前記予定経路が前記分岐車線に設定されない場合、前記ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御への遷移を決定する(S26)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【請求項23】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御による走行が許可された特定道路(HW)を前記自律走行制御によって走行する前記自車両の予定経路が前記特定道路の本線車道から分岐する分岐車線(Lnb)に設定される場合、当該分岐車線の先が前記特定道路からの出口であるか否かを把握する道路形状把握部(72)と、
前記分岐車線へ向かう前記自車両にて前記自律走行制御を終了する場合、前記分岐車線の先が前記出口であるか否かに応じて、前記自律走行制御の終了後における前記自車両の走行制御の内容を変更する制御変更部(77)と
、を備え
、
前記制御変更部は、
前記分岐車線の先が前記出口である場合、前記分岐車線の開始地点よりも手前側の区間にて、前記自律走行制御から、前記ドライバによる手動運転に切り替え、
前記分岐車線の先が前記出口でない場合、前記分岐車線の開始地点よりも手前側の区間にて、前記ドライバに少なくとも周辺監視義務のある運転支援制御に、前記自律走行制御から切り替える自動運転制御装置。
【請求項24】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御による走行が許可された特定道路(HW)を走行する前記自車両の予定経路が前記特定道路の本線車道から分岐する分岐車線(Lnb)に設定される場合、当該分岐車線の先が前記特定道路からの出口であるか否かを把握し(S25)、
前記分岐車線へ向かう前記自車両にて前記自律走行制御を終了する場合、前記分岐車線の先が前記出口であるか否かに応じて、前記自律走行制御の終了後における前記自車両の走行制御の内容を変更
し、
前記分岐車線の先が前記出口である場合、前記分岐車線の開始地点よりも手前側の区間にて、前記自律走行制御から、前記ドライバによる手動運転に切り替え(S27)、
前記分岐車線の先が前記出口でない場合、前記分岐車線の開始地点よりも手前側の区間にて、前記ドライバに少なくとも周辺監視義務のある運転支援制御に、前記自律走行制御から切り替える(S2
6)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、自動運転の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合流地点又は分岐地点を含む区間内を自車両が走行する場合に、自動運転モードでの走行を禁止する車両制御システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両制御システムのように、合流地点又は分岐地点を含む区間内を走行する場合に自動運転による走行が禁止されてしまうと、自動運転による走行の継続時間が短くなってしまう。その結果、ドライバに周辺監視義務のない自動運転を実現させたとしても、ドライバによる周辺監視がすぐに必要となってしまい、自動運転の利便性を損なう要因となっていた。
【0005】
本開示は、自動運転の利便性を確保可能な自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、自律走行制御によって走行する自車両の進行方向に存在する合流エリア(CfA)の道路形状として、合流エリアにて車線数が減少するか否かを少なくとも把握する道路形状把握部(72)と、合流エリアにおいて自律走行制御を継続するか否かを、合流エリアが車線数の減少する道路形状か否かに応じて判断する継続判断部(63)と、を備える自動運転制御装置とされる。
【0007】
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、自律走行制御によって走行する自車両の進行方向に存在する合流エリア(CfA)の道路形状として、合流エリアにて車線数が減少するか否かを少なくとも把握し(S15,S38)、合流エリアにおいて自律走行制御を継続するか否かを、合流エリアが車線数の減少する道路形状か否かに応じて判断する(S16,S19,S39,S41,S42)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0008】
これらの態様では、進行方向に存在する合流エリアの道路形状が把握され、合流エリアにおいて自律走行制御を継続するか否かは、合流エリアの道路形状に応じて判断される。以上によれば、合流エリアにおいても、道路形状によっては自律走行制御が継続され得るため、ドライバの周辺監視を不要にできる期間を長く確保できる。したがって、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0009】
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、自律走行制御によって自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状として、合流エリアにて合流車線が減少するか否かを少なくとも把握する道路形状把握部(72)と、自律走行制御を含む自車両の運転制御状態を、合流エリアが合流車線の減少する道路形状か否かに応じて変更する継続判断部(63)と、を備える自動運転制御装置とされる。
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、自律走行制御によって自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状を把握する道路形状把握部(72)と、自律走行制御を含む自車両の運転制御状態を、合流エリアの道路形状に応じて変更する継続判断部(63)と、合流エリアにて複数の合流車線が本線車道と合流する道路形状である場合、複数の合流車線のうちで自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握する自車位置把握部(73)と、を備え、継続判断部は、本線車道に隣接する合流車線が自車車線である場合と、本線車道から離間する合流車線が自車車線である場合とで、自車両の運転制御状態を変更する自動運転制御装置とされる。
【0010】
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、自律走行制御によって自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状として、合流エリアにて合流車線が減少するか否かを少なくとも把握し(S38,S138)、自律走行制御を含む自車両の運転制御状態を、合流エリアが合流車線の減少する道路形状か否かに応じて変更する(S39~S43,S139~S143)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、自律走行制御によって自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状を把握し(S38,S138)、自律走行制御を含む自車両の運転制御状態を、合流エリアの道路形状に応じて変更し、合流エリアにて複数の合流車線が本線車道と合流する道路形状である場合、複数の合流車線のうちで自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握し、本線車道に隣接する合流車線が自車車線である場合と、本線車道から離間する合流車線が自車車線である場合とで、自車両の運転制御状態を変更する(S39~S43,S139~S143)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0011】
これらの態様では、自律走行制御によって自車両が合流車線を走行する場合、本線車道へ合流する合流エリアの道路形状が把握され、自車両の運転制御状態は、合流エリアの道路形状に応じて変更される。以上によれば、合流エリアにおいても、道路形状に応じて、ドライバへの依存度が低い運転制御状態が継続され得る。その結果、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0012】
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、自律走行制御によって走行する自車両の進行方向に、車線数の増加する分岐エリア(BrA)が存在するか否かを把握する道路形状把握部(72)と、自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握する自車位置把握部(73)と、分岐エリアにて増加する車線である分岐車線(Lnb)と自車車線とが接している場合、自律走行制御を中断し、分岐車線と自車車線とが接していない場合、自律走行制御の継続を許可する継続判断部(63)と、を備え、継続判断部は、自車車線が分岐車線と接しており、かつ、自車両の予定経路が分岐車線に設定される場合、ドライバにステアリングの把持義務のある運転支援制御又は手動運転への遷移を決定し、自車車線が分岐車線と接しており、かつ、予定経路が分岐車線に設定されない場合、ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御への遷移を決定する自動運転制御装置とされる。
【0013】
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、自律走行制御によって走行する自車両の進行方向に、車線数の増加する分岐エリア(BrA)が存在するか否かを把握し(S20)、自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握し(S21)、分岐エリアにて増加する車線である分岐車線(Lnb)と自車車線とが接している場合、自律走行制御を中断し、分岐車線と自車車線とが接していない場合、自律走行制御の継続を許可し(S22)、自車車線が分岐車線と接しており、かつ、自車両の予定経路が分岐車線に設定される場合、ドライバにステアリングの把持義務のある運転支援制御又は手動運転への遷移を決定し(S27)、自車車線が分岐車線と接しており、かつ、予定経路が分岐車線に設定されない場合、ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御への遷移を決定する(S26)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0014】
これらの態様では、分岐エリアにて分岐車線と自車車線とが接している場合、自律走行制御が中断される一方で、分岐車線と自車車線とが接していない場合では、自律走行制御の継続が許可される。即ち、分岐車線から離れた車線を走行していれば、分岐エリアにおいても自律走行制御が継続され得る。以上によれば、ドライバの周辺監視を不要にできる期間を長く確保できるため、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0015】
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、自律走行制御による走行が許可された特定道路(HW)を自律走行制御によって走行する自車両の予定経路が特定道路の本線車道から分岐する分岐車線(Lnb)に設定される場合、当該分岐車線の先が特定道路からの出口であるか否かを把握する道路形状把握部(72)と、分岐車線へ向かう自車両にて自律走行制御を終了する場合、分岐車線の先が出口であるか否かに応じて、自律走行制御の終了後における自車両の走行制御の内容を変更する制御変更部(77)と、を備え、制御変更部は、分岐車線の先が出口である場合、分岐車線の開始地点よりも手前側の区間にて、自律走行制御から、ドライバによる手動運転に切り替え、分岐車線の先が出口でない場合、分岐車線の開始地点よりも手前側の区間にて、ドライバに少なくとも周辺監視義務のある運転支援制御に、自律走行制御から切り替える自動運転制御装置とされる。
【0016】
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、自律走行制御による走行が許可された特定道路(HW)を走行する自車両の予定経路が特定道路の本線車道から分岐する分岐車線(Lnb)に設定される場合、当該分岐車線の先が特定道路からの出口であるか否かを把握し(S25)、分岐車線へ向かう自車両にて自律走行制御を終了する場合、分岐車線の先が出口であるか否かに応じて、自律走行制御の終了後における自車両の走行制御の内容を変更し、分岐車線の先が出口である場合、分岐車線の開始地点よりも手前側の区間にて、自律走行制御から、ドライバによる手動運転に切り替え(S27)、分岐車線の先が出口でない場合、分岐車線の開始地点よりも手前側の区間にて、ドライバに少なくとも周辺監視義務のある運転支援制御に、自律走行制御から切り替えする(S26)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0017】
これらの態様では、自律走行制御によって走行する自車両の予定経路が分岐車線に設定される場合、分岐車線の先が高速道路からの出口であるか否かに応じて、自律走行制御の終了後における走行制御の内容が変更される。以上によれば、分岐車線の先での自律走行制御の実施可否に応じて、自動運転機能の動作状態を切り替えることが可能になる。その結果、ドライバは、分岐車線の先の走行に円滑に移行できる。したがって、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0018】
尚、上記及び特許請求の範囲における括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、特許請求の範囲において明示していない請求項同士の組み合せも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態による自動運転ECUを含む車載ネットワークの全体像を示す図である。
【
図2】自動運転ECUの詳細を示すブロック図である。
【
図4】合流エリアに接近するシーンの一例を示す図である。
【
図5】合流エリアに接近するシーンの別の一例を示す図である。
【
図6】合流エリアに接近するシーンのさらに別の一例を示す図である。
【
図7】分岐エリアに接近するシーンの一例を示す図である。
【
図8】分岐エリアに接近するシーンの別の一例を示す図である。
【
図9】分岐エリアに接近するシーンのさらに別の一例を示す図である。
【
図10】合流エリアにて本線車道に合流するシーンの一例を示す図である。
【
図11】合流エリアにて本線車道に合流するシーンの別の一例を示す図である。
【
図12】合流エリアにて本線車道に車線変更できないシーンを示す図である。
【
図13】合流車線が渋滞している場合の合流シーンを示す図である。
【
図14】合流車線が複数存在する合流エリアでの合流シーンの一例を示す図である。
【
図15】自動運転ECUによって実施される継続判定処理の詳細を、
図16と共に示すフローチャートである。
【
図16】継続判定処理の詳細を、
図15と共に示すフローチャートである。
【
図17】自動運転ECUによって実施される合流前遷移処理の詳細を、
図18と共に示すフローチャートである。
【
図18】合流前遷移処理の詳細を、
図17と共に示すフローチャートである。
【
図19】本線合流処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図20】合流後遷移処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図21】変形例1による合流前遷移処理の詳細を、
図18と共に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の一実施形態による自動運転制御装置の機能は、
図1に示す自動運転ECU(Electronic Control Unit)50bによって実現されている。自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aと共に車両(以下、自車両Am)に搭載されている。自動運転ECU50bは、運転支援ECU50a等と共に自車両Amの自動運転システム50を構成している。自動運転システム50の搭載により、自車両Amは、自動運転機能を備えた自動運転車両となり、自動運転機能によって走行可能となる。
【0021】
運転支援ECU50aは、自動運転システム50において、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を実現させる車載ECUである。運転支援ECU50aは、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、レベル2程度の高度運転支援又は部分的な自動運転を可能にする。運転支援ECU50aによって実施される自動運転は、ドライバの目視による自車周辺の監視が必要な周辺監視義務のある自動運転となる。
【0022】
自動運転ECU50bは、ドライバの運転操作を代行可能な自律走行機能を実現させる車載ECUである。自動運転ECU50bは、システムが制御主体となるレベル3以上の自律走行を実施可能である。自動運転ECU50bによって実施される自動運転は、自車周囲の監視が不要となる、即ち、周辺監視義務のないアイズオフの自動運転となる。
【0023】
自動運転システム50では、運転支援ECU50aによる周辺監視義務のある自動運転制御と、自動運転ECU50bによる周辺監視義務のない自動運転制御とを少なくとも含む複数のうちで、自動運転機能の制御状態が切り替えられる。以下の説明では、運転支援ECU50aによるレベル2以下の自動運転制御を「運転支援制御」と記載し、自動運転ECU50bによるレベル3以上の自動運転制御を「自律走行制御」と記載する。尚、自動運転ECU50bは、レベル4以上の自動運転を実施可能であってよい。さらに、自動運転ECU50bは、自律走行制御が一時的に中断されるシーンにおいて、運転支援ECU50aに代わって運転支援制御を実施可能であってもよい。
【0024】
自動運転ECU50bによる自律走行制御によって自車両Amが走行する自動走行期間では、予め規定された運転以外の特定の行為(以下、セカンドタスク)がドライバに許可され得る。セカンドタスクは、自動運転ECU50bが後述するHCU(Human Machine Interface Control Unit)100と連携して行う運転操作の実施要求、即ち、運転交代の要請が発生するまで、ドライバに法規的に許可される。例えば、動画コンテンツ等のエンターテイメント系のコンテンツの視聴、スマートフォン等のデバイス操作及び食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0025】
運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、自車両Amに搭載された車載ネットワーク1の通信バス99に、通信可能に接続されている。通信バス99には、
図1~
図3に示すように、周辺監視センサ30、ロケータ35、ナビゲーションECU38、車載通信機39、走行制御ECU40及びHCU100等が接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。これらECU等のうちの特定のノード同士は、相互に直接的に電気接続され、通信バス99を介することなく通信可能であってもよい。
【0026】
周辺監視センサ30は、自車両Amの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30には、例えばカメラユニット31、ミリ波レーダ32、ライダ33及びソナー34のうちの1つ又は複数が含まれている。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から移動物体及び静止物体を検出可能である。周辺監視センサ30は、自車周囲の物体の検出情報を運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0027】
ロケータ35は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサ等を含む構成である。ロケータ35は、GNSS受信機で複数の測位衛星から受信する測位信号、慣性センサの計測結果、及び通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、自車両Amの自車位置及び進行方向等を逐次測位する。ロケータ35は、3次元地図データ及び2次元地図データを格納した地図データベース(以下、地
図DB)36を有している。3次元地図データは、いわゆるHD(High Definition)マップであり、自律走行制御に必要な道路情報を含んでいる。具体的には、道路の3次元形状情報及び各レーンの詳細情報等が3次元地図データには含まれている。ロケータ35は、車載通信機39による車外通信により、3次元地図データ及び2次元地図データを最新の情報に更新可能である。ロケータ35は、現在位置周辺の地図データを地
図DB36から読み出し、自車両Amの自車位置情報及び方角情報と共に、ロケータ情報として運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0028】
ナビゲーションECU38は、HCU100から取得する操作情報に基づき、ドライバ等の乗員が指定する目的地の情報を取得する。ナビゲーションECU38は、自車位置情報及び方角情報をロケータ35から取得し、現在位置から目的地までの経路を設定する。ナビゲーションECU38は、目的地までの設定経路を示す経路情報を、運転支援ECU50a、自動運転ECU50b及びHCU100等に提供する。ナビゲーションECU38は、HMIシステム10と連携し、目的地までの経路案内として、画面表示及び音声メッセージ等を組み合わせ、交差点及び分岐点等にて自車両Amの進行方向をドライバに通知する。
【0029】
ここで、スマートフォン等のユーザ端末等が、車載ネットワーク1又はHCU100に接続されていてもよい。こうしたユーザ端末は、ロケータ35に替わって、自車位置情報、方角情報及び地図データ等を運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供してもよい。さらに、ユーザ端末は、ナビゲーションECU38に替わって、目的地までの経路情報を、運転支援ECU50a、自動運転ECU50b及びHCU100等に提供してもよい。
【0030】
車載通信機39は、自車両Amに搭載された車外通信ユニットであり、V2X(Vehicle to Everything)通信機として機能する。車載通信機39は、道路脇に設置された路側機との間で無線通信によって情報を送受信する。一例として、車載通信機39は、自車両Amの現在位置周辺及び進行方向(例えば、後述の合流エリアCfA)の渋滞情報、道路工事情報及び事故情報等を路側機から受信する。渋滞情報、道路工事情報及び事故情報等は、VICS(登録商標)情報等である。車載通信機39は、これらの受信情報を自動運転ECU50b及びHCU100等に提供する。
【0031】
走行制御ECU40は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。走行制御ECU40は、ブレーキ制御ECU、駆動制御ECU及び操舵制御ECUの機能を少なくとも有している。走行制御ECU40は、ドライバの運転操作に基づく操作指令、運転支援ECU50aの制御指令及び自動運転ECU50bの制御指令のいずれか一つに基づき、各輪のブレーキ力制御、車載動力源の出力制御及び操舵角制御を継続的に実施する。
【0032】
HCU100は、複数の表示デバイス、オーディオ装置24、アンビエントライト25及び操作デバイス26等と共にHMI(Human Machine Interface)システム10を構成している。HMIシステム10は、自車両Amのドライバ等の乗員による操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
【0033】
表示デバイスは、画像表示等により、ドライバの視覚を通じて情報を提示する。表示デバイスには、メータディスプレイ21、CID22及びヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)23等が含まれている。CID22は、タッチパネルの機能を有しており、ドライバ等による表示画面へのタッチ操作を検出する。
【0034】
オーディオ装置24は、運転席を囲む配置にて車室内に設置された複数のスピーカを有しており、報知音又は音声メッセージ等をスピーカによって車室内に再生させる。アンビエントライト25は、インスツルメントパネル及びステアリングホイール等に設けられている。アンビエントライト25は、発光色を変化させるアンビエント表示により、ドライバの周辺視野を利用した情報提示を行う。
【0035】
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば自動運転機能の作動及び停止に関連するユーザ操作等が入力される。一例として、運転支援制御から自律走行制御への移行を指示するドライバ入力が操作デバイス26には入力される。ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部に設けられた操作レバー、及びドライバの発話内容を認識する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
【0036】
HCU100は、提示制御装置として機能し、自動運転に関連する情報等のドライバへ向けた提示を統合的に管理する。HCU100は、自動運転ECU50bによる運転操作の実施要求に基づき、ドライバに運転交代を要請する。加えてHCU100は、自動運転ECU50bと連携してドライバによるセカンドタスクの実施を許容し、運転交代要請を妨げないかたちでセカンドタスクに関連した動画コンテンツ等を再生可能である。
【0037】
HCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、提示制御処理のための種々の処理を実行する。RAM12は、映像データ生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(提示制御プログラム等)が格納されている。HCU100は、記憶部13に記憶されたプログラムを処理部11によって実行することにより、複数の機能部を構築する。HCU100には、情報取得部81、情報連携部82及び提示制御部88等の機能部が構築される(
図3参照)。
【0038】
情報取得部81は、ユーザ操作の内容を示す操作情報をCID22及び操作デバイス26等から取得する。情報取得部81は、自動運転機能に関連するユーザ操作の操作情報を、情報連携部82を通じて、自動運転ECU50bに提供する。情報取得部81は、自車両Amの目的地を設定するユーザ操作の操作情報を、ナビゲーションECU38に提供する。
【0039】
情報連携部82は、自動運転ECU50bの情報連携部61(後述する)と連携し、自動運転システム50及びHCU100間での情報の共有を可能にする。情報連携部82は、情報取得部81にて把握される操作情報等を自動運転ECU50bに提供する。加えて情報連携部82は、自動運転機能の状態を示す制御ステータス情報の取得により、自動運転システム50による自動運転の動作状態を把握する。さらに、情報連携部82は、運転交代要請等のドライバへ向けた報知の実施要求を自動運転ECU50bから取得する。
【0040】
提示制御部88は、各表示デバイス、オーディオ装置24及びアンビエントライト25等を用いたドライバへの情報の提供を統合的に実施する。提示制御部88は、情報連携部82にて取得される制御ステータス情報及び実施要求に基づき、自動運転の動作状態に合わせたコンテンツ提供及び情報提示を実施する。例えば、提示制御部88は、自動運転ECU50bからの実施要求に基づき、後述する合流エリアCfA(
図4~
図6,
図10~
図14参照)及び分岐エリアBrA(
図7~
図9参照)における報知を実施する。
【0041】
次に、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bの各詳細を順に説明する。
【0042】
運転支援ECU50aは、処理部、RAM、記憶部、入出力インターフェース及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。運転支援ECU50aは、処理部でのプログラムの実行により、ACC(Adaptive Cruise Control)、LTC(Lane Trace Control)及びLCA(Lane Change Assist)等の運転支援機能を実現する。一例として、運転支援ECU50aは、ACC及びLTCの各機能の連携により、自車両Amを走行中の自車車線Lnsに沿って走行させる運転支援制御を実施する。
【0043】
自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aよりも高い演算能力を備えており、ACC及びLTC等に相当する走行制御を少なくとも実施できる。自動運転ECU50bは、処理部51、RAM52、記憶部53、入出力インターフェース54及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部51は、RAM52へのアクセスにより、本開示の自動運転制御方法を実現するための種々の処理を実行する。記憶部53には、処理部51によって実行される種々のプログラム(自動運転制御プログラム等)が格納されている。処理部51によるプログラムの実行により、自動運転ECU50bには、自動運転機能を実現するための複数の機能部として、情報連携部61、環境認識部62、行動判断部63及び制御実行部64等が構築される(
図2参照)。
【0044】
情報連携部61は、HCU100の情報連携部82への情報提供と、情報連携部82からの情報取得とを実施する。これら情報連携部61,82の連携により、自動運転ECU50b及びHCU100は、それぞれが取得した情報を共有する。情報連携部61は、自動運転機能の動作状態を示す制御ステータス情報を生成し、生成した制御ステータス情報を情報連携部82に提供する。加えて情報連携部61は、情報連携部82へ向けた報知の実施要求の出力により、自動運転機能の動作状態に同期したHCU100による報知を可能にする。一方、情報連携部61は、ドライバの操作情報等を情報連携部82から取得する。情報連携部61は、操作情報に基づき、HMIシステム10等へ入力されるユーザ操作の内容を把握する。
【0045】
環境認識部62は、ロケータ35より取得するロケータ情報と、車載通信機39より取得する受信情報と、周辺監視センサ30より取得する検出情報等とを組み合わせ、自車両Amの走行環境を認識する。環境認識部62は、走行環境認識に関連するサブ機能部として、道路情報把握部72及び自車状態把握部73を有する。
【0046】
道路情報把握部72は、自車両Amが走行する道路に関する情報を把握する。道路情報把握部72は、ロケータ情報及び経路情報を用いて、自車両Amの走行する道路又は走行予定の道路を特定する。道路情報把握部72は、自車両Amの走行する道路又は走行予定の道路が予め設定された特定の自動運転可能エリア(以下、ADエリア)であるか否かを判別する。ADエリアは、3次元地図データ(HDマップ)が整備された道路であり、具体的には、高速自動車国道及び自動車専用道路等を含む高速道路HW(
図4~
図14参照)に設定される。高速道路HWは、走行できる車両が制限されており、交差点等が存在せず、一般道からの流入及び一般道への流出が制限されている道路である。
【0047】
道路情報把握部72は、高速道路HWの本線車道を自律走行制御によって自車両Amが走行する期間において、自車両Amの進行方向に車線数の増加するレーン増加エリアが存在するか否かを把握する。レーン増減エリアには、合流エリアCfA(
図4~
図6参照)及び分岐エリアBrA(
図7~
図9参照)が含まれている。さらに、道路情報把握部72は、本線車道と接続されるランプウェイ又はジャンクションを自律走行制御によって自車両Amが走行する期間においても、自車両Amの進行方向に位置する合流エリアCfA(
図10~
図14参照)の存在を把握する。
【0048】
合流エリアCfAは、高速道路HWの本線車道に合流車線Lnc及び登坂車線が接続される区間である。
図4~
図6に示すシーンにて、自車両Amは、合流車線Lncが接続される本線車道を走行している。一方、
図10~
図14に示すシーンにて、自車両Amは、本線車道に接続される合流車線Lncを走行している。合流車線Lncは、本線車道に合流する車両が加速を行う加速車線に相当する。合流車線Lnc又は登坂車線と本線車道との間で車線変更が可能になる地点が、合流エリアCfAの開始地点となる。
【0049】
合流エリアCfAは、2つの種類に類別できる。一方の合流エリアCfAでは、合流車線Lnc及び登坂車線が所定の距離で消失する。この場合(
図4及び
図10等参照)、合流車線Lnc及び登坂車線の終端が、合流エリアCfAの終了地点となる。対して、他方の合流エリアCfAでは、合流車線Lnc等がそのまま本線車道の1つの車線となる(
図5及び
図11等参照)。この場合、便宜的に、開始地点から所定距離(例えば、数百m~1km程度)の地点が合流エリアCfAの終了地点とされる。
【0050】
道路情報把握部72は、合流エリアCfAの道路形状を、合流エリアCfAに到達する以前に把握する。上述した一方の合流エリアCfAのように、合流車線Lnc又は登坂車線が無くなる場合、言い替えれば、一旦増加した車線数が増加前に戻る場合、道路情報把握部72は、合流エリアCfAが車線数の減少する道路形状であると判定する。一方、上述した他方の合流エリアCfAのように、合流車線Lnc又は登坂車線がそのまま本線車道の1つの車線となる場合、即ち、増加した車線数が維持される場合、道路情報把握部72は、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状であると判定する。
【0051】
分岐エリアBrA(
図7~
図9参照)は、自車両Amの走行する道路に分岐車線Lnbが発生する区間である。分岐車線Lnbは、ADエリアが設定された高速道路HWの本線車道から分岐する車線であり、本線車道から離脱する車両が減速を行う減速車線に相当する。分岐車線Lnbと本線車道との間で車線変更が可能になる地点が、分岐エリアBrAの開始地点となる。分岐車線Lnbと本線車道との間で車線変更ができなくなる地点が、分岐エリアBrAの終了地点となる。
【0052】
道路情報把握部72は、分岐車線Lnbの先の種別を把握し、分岐車線Lnbの先がADエリアであるか否かを判定する。道路情報把握部72は、高速道路HWから一般道、サービスエリア及びパーキングエリア等へ向かう出口が分岐車線Lnbの先にあることを把握した場合、分岐車線Lnbの先がMDエリアであると判定する。一方、分岐車線Lnbの先が別の高速道路HWであると把握した場合、即ち、分岐車線Lnbが他の高速道路HWへ向かうジャンクションである場合、道路情報把握部72は、分岐車線Lnbの先がADエリアであると判定する。
【0053】
自車状態把握部73は、自車両Amの走行状態を把握する。自車状態把握部73は、自車周囲の他車両の相対位置及び相対速度を示す情報と、自車両Amの現在の走行速度を示す車速情報とを組み合わせて、自車両Amの周囲の渋滞を把握する。一例として、現在の自車両Amの走行速度が渋滞速度(例えば、30km/h程度)以下であり、かつ、自車両Amと同一の車線を走行する前後の他車両が共に存在する場合、自車状態把握部73は、自車周囲が渋滞状態にあると判定する。
【0054】
加えて、自車両Amが合流車線Lncを走行している場合、自車状態把握部73は、合流車線Lnc及び本線車道における渋滞の発生を把握する(
図12及び
図13参照)。自車状態把握部73は、車載通信機39にて受信される渋滞情報に基づき、合流エリアCfAに到達する以前に、合流エリアCfAに発生している渋滞を把握してもよい。
【0055】
自車状態把握部73は、複数車線を含む道路を自車両Amが走行している場合、ロケータ情報及び区画線の検出情報等を組み合わせて、複数車線のうちで自車両Amが走行している自車車線Lnsの位置を把握する。自車状態把握部73は、道路情報把握部72にて進行方向の合流エリアCfAの存在が把握された場合、自車車線Lnsが合流車線Lncと接する車線(以下、隣接車線Lno,
図4等参照)か否かを判定する。加えて自車状態把握部73は、道路情報把握部72にて進行方向の分岐エリアBrAの存在が把握された場合、自車車線Lnsが分岐車線Lnbと接する隣接車線Lno(
図7等参照)か否かを判定する。自車状態把握部73は、自車車線Lnsが分岐車線Lnbと接する隣接車線Lnoである場合(
図8及び
図9参照)、経路情報を参照し、自車両Amの予定経路が分岐車線Lnbに設定されているか否かをさらに把握する。
【0056】
加えて、合流エリアCfAにて複数の合流車線Lncが本線車道と合流する道路形状である場合(
図14参照)、自車状態把握部73は、複数の合流車線Lncのうちで自車両Amが走行する自車車線Lnsの位置を把握する。具体的に、自車状態把握部73は、本線車道に隣接した合流車線Lnc(以下、隣接合流車線Lnc1)が自車車線Lnsであるのか、本線車道から離間した合流車線Lnc(以下、離間合流車線Lnc2)が自車車線Lnsであるのかを判別する。
【0057】
行動判断部63は、自車両Amにおける自律走行制御の実施の可否を判断し、自動運転機能の動作状態を制御する。行動判断部63は、上述したADエリア内の道路では、自律走行制御の実施を許可する。一方、ADエリアに含まれない手動運転エリア(以下、MDエリア)の道路では、行動判断部63は、自律走行制御での走行を原則的に禁止する。例えば、3次元地図データ(HDマップ)が未整備の一般道が、MDエリアに相当する。さらに、ADエリアであっても、道路工事情報及び事故情報が設定された道路区間は、自律走行制御での走行が禁止されたMDエリア(禁止エリア)とされる。行動判断部63は、自律走行制御の開始時及び終了時において、運転支援ECU50a及びHCU100と連携し、自動運転システム50及びドライバ間での運転交代を制御する。
【0058】
行動判断部63は、自動運転機能の動作状態を制御するサブ機能部として、制御切替部77を有する。制御切替部77は、運転支援ECU50aと連携し、ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御とを切り替える。具体的に、制御切替部77は、レベル3の自動運転(自律走行制御)を継続できない場合、レベル2以下となるハンズオフ又はハンズオン自動運転(運転支援制御)、或いは手動運転等への切り替えを実施する。こうした自律走行制御から運転支援制御等への切り替えは、自動運転レベルを下げる制御遷移であり、ドライバへの依存度の高い運転制御状態への変更となる。対して、運転支援制御から自律走行制御への切り替えは、自動運転レベルを上げる制御遷移であり、ドライバへの依存度の低い運転制御状態への変更となる。
【0059】
制御切替部77は、自律走行制御の実施が許可される場合、自律走行制御の制御モードを複数のうちで切り替える。自律走行制御の制御モードには、上述のADエリア内に限定して実施されるエリア限定制御(以下、エリアレベル3)と、ADエリア内での渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御(以下、渋滞時レベル3)と、が少なくとも含まれている。
【0060】
行動判断部63は、自動運転ECU50bに運転操作の制御権がある場合、環境認識部62による走行環境の認識結果に基づき、自車両Amを走行させる予定走行ラインを生成する。行動判断部63は、生成した予定走行ラインを制御実行部64に出力する。
【0061】
制御実行部64は、自動運転ECU50bに運転操作の制御権がある場合、走行制御ECU40との連携により、行動判断部63にて生成された予定走行ラインに従って、自車両Amの加減速制御及び操舵制御等を実行する。具体的に、制御実行部64は、予定走行ラインに基づく制御指令を生成し、生成した制御指令を走行制御ECU40へ向けて逐次出力する。
【0062】
ここまで説明した自動運転ECU50bによる自律走行制御は、上述の合流エリアCfA及び分岐エリアBrAを走行するシーンにおいて、制限されることがある。以下、合流エリアCfA及び分岐エリアBrAにおける自動運転制御の詳細を、
図4~
図14に基づき、
図1~
図3を参照しつつ、さらに説明する。
【0063】
<合流エリアCfAでの自動運転制御>
行動判断部63は、自律走行制御によって走行する自車両Amが合流エリアCfAに接近している場合、自律走行制御を継続するか否かを、自車車線Lnsの位置、合流エリアCfAの道路形状、及び実施中の自律走行制御の制御モードに応じて判断する。
【0064】
行動判断部63は、自車両Amが本線車道を走行しており、かつ、自車車線Lnsが非隣接車線Lnxである場合、実施中の自律走行制御の継続を許可する。非隣接車線Lnxは、合流車線Lnc等と接しない車線であり、隣接車線Lnoを挟んで合流車線Lnc等の反対側に位置する車線である。自車両Amが非隣接車線Lnxを走行している場合、行動判断部63は、合流エリアCfAの道路形状及び自律走行制御の制御モードに関わらず、自律走行制御の継続を許可できる。
【0065】
行動判断部63は、自車車線Lnsが隣接車線Lnoである場合、合流エリアCfAの道路形状に応じて、より詳細には、合流エリアCfAが車線数の減少する道路形状であるか否かに応じて、自律走行制御を継続するか否かを判定する。行動判断部63は、合流エリアCfAが車線数の減少する道路形状である場合(
図4参照)、自律走行制御の継続を制限する。合流車線Lncの終端が把握されている場合、行動判断部63は、実施中の自律走行制御の制御モードに関わらず、自律走行制御の中断を決定する。この場合、行動判断部63は、自律走行制御の実施を制限する制限区間TXS(
図4~
図6参照)を、隣接車線Lnoに設定する。
【0066】
制限区間TXSは、合流エリアCfAを含む範囲に設定される。制限区間TXSの開始地点は、合流エリアCfAの開始地点よりも手前側(自車側)に設定される。具体的に、制限区間TXSの開始地点は、合流エリアCfAの開始地点よりも500m程度手前側の地点、又は合流エリアCfAの開始地点への到達まで15秒程度となる地点に設定される。制限区間TXSの終了地点は、合流エリアCfAの終了地点と実質同一の地点か、又は合流エリアCfAの終了地点よりも僅かに奥側に設定される。
【0067】
制御切替部77は、行動判断部63によって自律走行制御の中断が決定されると、自車両Amの制限区間TXSへの進入後に、自律走行制御からハンズオフの運転支援制御への切り替えを実施する。このとき情報連携部61は、HCU100と連携し、周辺監視の再開を、制御移行前にドライバに要請する。加えて制御切替部77は、合流車線Lncを走行する並走車両(以下、合流車両Ac)が環境認識部62によって把握された場合、ハンズオフの運転支援制御からハンズオンの運転支援制御への切り替えを実施する。このとき情報連携部61は、HCU100と連携し、ステアリングホイールの把持の再開を、制御移行前にドライバに要請する。
【0068】
行動判断部63は、自車車線Lnsが隣接車線Lnoであり、かつ、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状である場合(
図5及び
図6参照)、実施中の制御モードに応じて、自律走行制御を継続するか否かを判定する。行動判断部63は、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状であり、かつ、実施中の制御モードが渋滞時レベル3である場合(
図5参照)、自律走行制御の継続を許可する。これにより自車両Amは、渋滞時レベル3による自動運転を継続したまま、制限区間TXSを通過する。
【0069】
行動判断部63は、制限区間TXSの走行中に自車車線Lnsへの合流を試みる合流車両Acが環境認識部62によって認識された場合でも、渋滞時レベル3による自律走行を継続させる(
図5参照)。この場合、情報連携部61は、HCU100と連携し、合流車両Acの存在を示す合流車報知を実施させる。合流車報知は、例えばメータディスプレイ21に常時表示されるステータス画像を用いて実施される。ステータス画像は、自車アイコンを中心に形成されている。合流車報知は、合流車両Acを示す他車アイコンと、合流車線Lnc及び自車車線Lns間の区画線を示すラインアイコンとをステータス画像に追加する表示変化によって実施される。ドライバは、自車アイコンに関連付けて表示される他車アイコン及びラインアイコンにより、合流車線Lncの発生を把握できる。
【0070】
行動判断部63は、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状であっても、実施中の制御モードがエリアレベル3である場合(
図6参照)、自律走行制御の継続を制限する。この場合でも、制御切替部77は、自車両Amの制限区間TXSへの進入後に、自律走行制御からハンズオフの運転支援制御への切り替えを実施する。このとき情報連携部61は、ハンズオフの運転支援制御への移行に先行して、周辺監視の再開をドライバに要請する。また制御切替部77は、自車車線Lnsへの合流を試みる合流車両Acの把握に基づき、ハンズオフの運転支援制御からハンズオンの運転支援制御への切り替えを実施する。このとき情報連携部61は、ハンズオンの運転支援制御への移行に先行して、ステアリングホイールの把持の再開をドライバに要請する。
【0071】
<分岐エリアBrAでの自動運転制御>
行動判断部63は、自律走行制御によって本線車道を走行する自車両Amが分岐エリアBrAに接近している場合、自律走行制御を継続するか否かを、自車車線Lnsの位置に応じて判断する。行動判断部63は、自車車線Lnsが非隣接車線Lnxである場合(
図7参照)、実施中の自律走行制御の継続を許可する。非隣接車線Lnxは、分岐車線Lnb等と接しない車線であり、隣接車線Lnoを挟んで分岐車線Lnbの反対側に位置する車線である。非隣接車線Lnxを走行する自車両Amは、エリアレベル3又は渋滞時レベル3による自律走行を継続したまま、分岐エリアBrAを通過する。
【0072】
行動判断部63は、自車車線Lnsが隣接車線Lnoである場合(
図8及び
図9参照)、自律走行制御の継続を制限する。自車両Amが隣接車線Lnoを走行している場合、行動判断部63は、隣接車線Lnoにおいて分岐エリアBrAを含む範囲に、自律走行制御の制限区間TXSを設定する。制限区間TXSの開始地点は、合流エリアCfAの場合と同様に、分岐エリアBrAの開始地点よりも500m程度手前側の地点、又は分岐エリアBrAの開始地点への到達まで15秒程度となる地点に設定される。制限区間TXSの終了地点は、分岐エリアBrAの終了地点から所定距離(例えば、数十m程度)奥側に設定される。
【0073】
行動判断部63は、自車車線Lnsが隣接車線Lnoである場合、自車両Amの予定経路が分岐車線Lnbに設定されているかを判定する。自車両Amの予定経路が分岐車線Lnbではなく、本線車道に設定されている場合、制御切替部77は、自車両Amの制限区間TXSへの進入後に、自律走行制御からハンズオフの運転支援制御への切り替えを実施する。このとき情報連携部61は、HCU100と連携し、制御移行前に、周辺監視の再開をドライバに要請する。
【0074】
行動判断部63は、自車両Amの予定経路が分岐車線Lnbに設定されている場合、分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口であるか否かを判定する。行動判断部63は、分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口ではなく、分岐車線Lnbがジャンクションであると判定した場合(
図8参照)、運転支援制御による分岐車線Lnbの走行を許可する。一方、分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口であると判定した場合(
図9参照)、行動判断部63は、本線車道上におけるドライバへの運転交代の実施を決定する。
【0075】
制御切替部77は、行動判断部63の判断結果を参照し、分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口であるか否かに応じて、自律走行制御の終了後における自車両Amの走行制御の内容を変更する。具体的に、分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口ではない場合(
図8参照)、制御切替部77は、制限区間TXSへの進入後に、自律走行制御から周辺監視義務のあるハンズオンの運転支援制御に切り替える。加えて情報連携部61は、ハンズオンの運転支援制御への移行に先行して、周辺監視及びステアリングホイールの把持の再開をドライバに要請する。そして、周辺監視及びステアリングの把持を再開したドライバは、LCAの機能を利用して、隣接車線Lnoから分岐車線Lnbへの車線変更を実施し、ACC及びLTCの機能によって自車両Amを分岐車線Lnbに沿って走行させる。
【0076】
一方、分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口である場合(
図9参照)、制御切替部77は、自律走行制御からドライバによる手動運転に切り替える。この場合、情報連携部61は、自車両Amの制限区間TXSへの進入前に、HCU100と連携し、ドライバへ向けた運転交代予告を実施する。そして、行動判断部63は、自車両Amの制限区間TXSへの進入後に、ドライバへの運転交代のプロセスを開始する。以上により、ドライバは、本線車道上にて運転操作の制御権を取得したうえで、隣接車線Lnoから分岐車線Lnbへの車線変更を実施し、分岐車線Lnbに沿って自車両Amを走行させる。
【0077】
<自車両が合流するシーンでの自動運転制御>
行動判断部63は、自律走行制御によって自車両Amが合流車線Lncを走行しており、合流エリアCfAに接近している場合、自車両Amの運転制御状態を、合流エリアCfAの道路形状、渋滞の有無、及び自車車線Lnsの位置等に応じて変更する。行動判断部63は、合流エリアCfAにて車線数の減少がある場合(
図10参照)と、車線数の減少がない場合(
図11参照)とで、自動運転レベルの変化具合を変える。行動判断部63は、合流エリアCfAにて合流車線Lncが減少(消失)する道路形状である場合、合流車線Lncが減少しない道路形状である場合よりも、自動運転レベルを下げて、運転制御状態をドライバへの依存度の高い状態に変更する。
【0078】
図10に示すように、合流エリアCfAにて合流車線Lncの減少がある場合、行動判断部63は、自律走行制御の実施を制限する制限区間TXSを合流車線Lncに設定する。制限区間TXSは、合流エリアCfAを含む範囲に設定される。制限区間TXSの開始地点は、合流エリアCfAの開始地点よりも例えば500~600m程度手前側となる地点、又は合流エリアCfAの開始地点に到達するまで20秒程度となる地点に設定される。制限区間TXSの終了地点は、合流車線Lncの終端となる。
【0079】
制御切替部77は、行動判断部63にて自律走行制御の中断が決定されると、自車両Amの制限区間TXSへの進入後に、自動運転レベルを下げる制御遷移を実施する。具体的に、制御切替部77は、自律走行制御からハンズオフの運転支援制御への切り替えを実施する。ハンズオフの運転支援制御への制御移行が行われる場合、情報連携部61は、HCU100と連携し、周辺監視の再開を、制御移行前にドライバに要請する。
【0080】
図11に示すように、合流エリアCfAにて合流車線Lncの減少がない場合、行動判断部63は、自律走行制御の継続を決定する。この場合、行動判断部63は、自車両Amの合流エリアCfAへの接近に伴い、セカンドタスクの許容範囲を狭くする設定変更を行う。自律走行制御が継続される場合、セカンドタスクの制限は、緩く実施されてよい。一例として、映像コンテンツの再生が行われている場合、画面表示のみを消し、音声の再生を継続させる処理が実施される。
【0081】
行動判断部63は、セカンドタスクの実施を制限する制限区間TXSを、合流エリアCfAを含む範囲に設定する。情報連携部61は、HCU100と連携し、自車両Amの制限区間TXSへの進入後に、セカンドタスクの制限を開始する。情報連携部61は、自車両Amの制限区間TXSからの退出後に、セカンドタスクの制限を自動解除する。
【0082】
制限区間TXSの開始地点は、合流エリアCfAの開始地点よりも例えば300~400m程度手前側となる地点、又は合流エリアCfAの開始地点に到達するまで15秒程度となる地点に設定される。合流車線Lncの減少がない場合、合流車線Lncの減少がある場合(
図10参照)よりも、制限区間TXSの開始地点は、合流エリアCfAの開始地点に近い位置(奥側)に設定される。制限区間TXSの終了地点は、合流エリアCfAの終了地点よりも奥側に設定される。
【0083】
ここで、高速道路HWの本線車道(合流後車線)が自律走行制御の禁止エリア(MDエリア)である場合、行動判断部63は、合流エリアCfAの開始地点に到達する前に自律走行制御を中断し、自動運転レベルを下げる制御遷移を実施する。行動判断部63は、合流エリアCfAにて車線数が減少するか否かに関わらず、合流エリアCfAの手前にてドライバへの運転交代を実施する。
【0084】
加えて、禁止エリアとされた合流エリアCfAに接近する場合、行動判断部63は、合流エリアCfAとは異なる道路区間に設定された通常の禁止エリアに接近する場合よりも、自律走行制御を早期に終了させる。一例として、通常、禁止エリアの500m手前にて運転交代を行う設定の場合、合流エリアCfAが禁止エリアであるシーンにおいては、合流エリアCfAの600m手前にて、運転交代が開始される。
【0085】
図12に示すように、行動判断部63は、自車両Amが合流エリアCfAへ進入した後、環境認識部62にて認識される周辺監視センサ30の検出情報に基づき、合流先となる本線車道の混雑具合を把握する。本線車道が渋滞している場合、又は車線変更が困難となる程度に本線車道が混雑している場合、行動判断部63は、渋滞してない場合又は混雑してない場合よりも、自動運転レベルを下げる制御遷移を実施する。一例として、制御切替部77は、本線車道の渋滞等の把握に基づき、ハンズオフの運転支援制御から、ハンズオンの運転支援制御への切り替えを実施する。尚、車載通信機39の受信情報に基づき本線車道の混雑が早期に把握可能な場合、制御切替部77は、合流エリアCfAに自車両Amが進入する以前に、自動運転レベルを下げる制御遷移を実施してもよい。
【0086】
情報連携部61は、ハンズオンの運転支援制御への移行に伴い、HCU100と連携して、ステアリングホイールの把持の再開をドライバに要請する。このとき、HCU100は、メータディスプレイ21のステータス画像を用いて、本線車道が渋滞又は混雑していることを示す報知を実施する。
【0087】
行動判断部63は、合流エリアCfAにて合流車線Lncが減少する道路形状である場合、合流車線Lncがなくなる終端よりも手前側となる特定位置に、停止開始位置Psを設定する。合流車線Lncの終端から停止開始位置Psまでの距離は、自車両Amの走行速度が高く(大きく)なるほど、長くなるように調整されてもよい。
【0088】
情報連携部61は、本線車道が混雑しており、LCAによる本線車道への自動車線変更が困難な場合、合流エリアCfAへの進入後から停止開始位置Psに到達するまでの区間にて、HCU100と連携し、ドライバへ向けた運転交代要請を実施する。この運転交代要請では、手動運転による車線変更の実施が促される。そして、ドライバへの運転交代、及び本線車道への自動車線変更が共に実施されないまま自車両Amが停止開始位置Psに到達すると、行動判断部63は、自車両Amを自動停止させる停止制御を開始する。行動判断部63は、制御実行部64及び走行制御ECU40と連携し、合流車線Lncがなくなる位置よりも手前側にて、自車両Amを停止させる。自車両Amの停止後、制御切替部77は、自車両Amの運転制御状態を手動運転の状態に遷移させる。情報連携部61は、自車両Amの自動停止後、HCU100と連携して、周辺監視を促す報知を実施する。ドライバは、通常の運転操作により、自車両Amの走行を再開させることができる。
【0089】
図13に示すように、合流エリアCfAの手前側にて合流車線Lncが渋滞している場合、行動判断部63は、合流エリアCfAにて車線数が減少するか否かに関わらず、自律走行制御を継続しつつ、合流エリアCfAにて自車両Amを合流させる。自車状態把握部73は、カメラユニット31等の検出情報に基づき合流車線Lncの渋滞を把握してもよく、又は車載通信機39にて受信される渋滞情報に基づき合流車線Lncの渋滞を把握してもよい。制御切替部77は、自車状態把握部73による自車周囲の渋滞の把握に基づき、エリアレベル3から渋滞時レベル3へと制御モードを切り替える。これにより、自車両Amは、前方車両に追従しつつ、合流エリアCfAへと進入する。
【0090】
図14に示すように、合流車線Lncが複数ある場合、行動判断部63は、自律走行制御の実施を制限する制限区間TXSを、各合流車線Lncに設定する。制限区間TXSの開始地点は、隣接合流車線Lnc1及び離間合流車線Lnc2において互いに同一であってよく、又は離間合流車線Lnc2の方が隣接合流車線Lnc1よりも手前側に設定されてもよい。
【0091】
行動判断部63は、制限区間TXSへの進入後、自車車線Lnsの位置に応じて自車両Amの運転制御状態を変更する。行動判断部63は、離間合流車線Lnc2が自車車線Lnsである場合、隣接合流車線Lnc1が自車車線Lnsである場合よりも、運転制御状態をドライバへの依存度の高い状態に変更する。具体的に、制御切替部77は、自車両Amが離間合流車線Lnc2を走行する場合、制限区間TXSへの進入後に、自律走行制御からハンズオンの運転支援制御への制御変更を実施する。一方、制御切替部77は、自車両Amが隣接合流車線Lnc1を走行する場合、制限区間TXSへの進入後に、自律走行制御からハンズオフの運転支援制御への制御変更を実施する。
【0092】
尚、合流エリアCfAにて複数の合流車線Lncが本線車道と合流し、かつ、車線数の減少しない道路形状である場合でも、行動判断部63は、自車車線Lnsが隣接合流車線Lnc1か否かによって、自車両Amの運転制御状態を変更可能である。一例として、自車両Amが隣接合流車線Lnc1を走行する場合、行動判断部63は、セカンドタスクの許容範囲を狭めつつ、自律走行制御による走行を継続させる。一方で、自車両Amが離間合流車線Lnc2を走行する場合、行動判断部63は、セカンドタスクの許容範囲を変更することなく、自律走行制御による走行を継続させる。
【0093】
次に、ここまで説明した合流エリアCfA及び分岐エリアBrAでの制御を実現する継続判定処理、合流前遷移処理、本線合流処理、及び合流後遷移処理の各詳細を、
図15~
図20に基づき、
図1~
図14を参照しつつ、以下説明する。
【0094】
図15及び
図16に示す継続判定処理は、自律走行制御の起動に基づき開始され、自律走行制御の終了まで自動運転ECU50bによって継続的に実施される。継続判定処理のS11では、道路情報把握部72が、自車両Amの進行方向の地図データを取得する。S12では、S11にて取得した地図データに基づき、本線車道を走行する自車両Amの進行方向の特定範囲(例えば、1~数km程度の範囲)に合流エリアCfAがあるか否かを判定する。S12にて、合流エリアCfAの存在が把握された場合、S13に進む。
【0095】
S13では、自車状態把握部73が、自車車線Lnsの位置を把握する。S14では、S13にて把握した自車車線Lnsが合流車線Lncに隣接する隣接車線Lnoであるか否かを判定する。S14にて、自車車線Lnsが非隣接車線Lnxであると判定した場合、S11に戻る。この場合、周辺監視義務のない自律走行制御が継続される。一方、S14にて、自車車線Lnsが隣接車線Lnoであると判定した場合、S15に進む。自車両Amの走行する道路が片側一車線の道路である場合も、S14からS15に進む。
【0096】
S15では、S11にて取得した地図データに基づき、道路情報把握部72が、進行方向に存在する合流エリアCfAの道路形状を把握する。S16では、S15にて把握した合流エリアCfAの道路形状について、車線数の減少する道路形状であるか否かを判定する。S16にて、合流エリアCfAが車線数の減少する道路形状であると判定した場合、S19に進み、自律走行制御の継続を制限し、今回の継続判定処理を終了する。具体的に、S19では、行動判断部63が、自律走行制御の中断と、自律走行制御から運転支援制御への移行とを決定する。
【0097】
一方、S16にて、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状であると判定した場合、S17に進む。S17では、行動判断部63が、実施中の制御モードを把握する。S18では、S17での把握情報に基づき、実施中の制御モードが渋滞時レベル3か否かを判定する。S18にて、渋滞時レベル3が実施中であると判定した場合、S11に戻る。このように、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状であり、かつ、自律走行制御の制御モードが渋滞時レベル3である場合、自律走行制御の継続が許可される。
【0098】
対して、S18にて、エリアレベル3が実施中であると判定した場合、S19に進み、自律走行制御の中断と、自律走行制御から運転支援制御への移行とが決定される。このように、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状であっても、自律走行制御の制御モードがエリアレベル3である場合、自律走行制御の継続が制限される。
【0099】
上述のS12にて、合流エリアCfAの存在が把握されない場合、S20に進む。S20では、S11にて取得する地図データに基づき、進行方向の特定範囲に分岐エリアBrAがあるか否かを判定する。S20にて、分岐エリアBrAが把握されない場合、S11に戻る。この場合、周辺監視義務のない自律走行制御が継続される。一方、S20にて、分岐エリアBrAが把握された場合、S21に進む。
【0100】
S21では、S13と同様に、自車車線Lnsの位置を把握する。S22では、S21にて把握した自車車線Lnsが分岐車線Lnbに隣接する隣接車線Lnoであるか否かを判定する。S22にて、自車車線Lnsが非隣接車線Lnxであると判定した場合、S11に戻る。この場合、周辺監視義務のない自律走行制御が継続される。一方、S22にて、自車車線Lnsが隣接車線Lnoであると判定した場合、S23に進む。自車両Amの走行する道路が片側一車線の道路である場合も、S22からS23に進む。
【0101】
S23では、自車状態把握部73が、自車両Amの予定経路を把握する。S24では、S23にて把握した予定経路が分岐車線Lnbに設定されているか否かを判定する。S24にて、予定経路が本線車道に設定されていると判定した場合、S26に進む。S26では、行動判断部63が、自律走行制御の中断と、自律走行制御から運転支援制御への移行とを決定する。一方、S24にて、予定経路が分岐車線Lnbに設定されていると判定した場合、S25に進む。
【0102】
S25では、道路情報把握部72が、分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口であるか否かを把握する。分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口ではなく、分岐車線Lnbがジャンクション等である場合、S25からS26に進み、行動判断部63が、自律走行制御から運転支援制御への切り替えを決定する。対して、分岐車線Lnbの先が高速道路HWの出口である場合、S25からS27に進み、行動判断部63が、自律走行制御から手動運転への切り替えを決定する。
【0103】
図17及び
図18に示す合流前遷移処理は、自律走行制御による合流車線Lncの走行が開始されたことにより、自動運転ECU50bによって開始される。合流前遷移処理のS31では、道路情報把握部72が、自車両Amの進行方向の地図データ、及び車載通信機39による受信情報等を取得する。S32では、S31にて取得した地図データ等に基づき、合流車線Lncを走行する自車両Amの進行方向の特定範囲(例えば、1km程度の範囲)に合流エリアCfAがあるか否かを判定する。S32にて、合流エリアCfAの存在が把握された場合、S33に進む。
【0104】
S33では、道路情報把握部72が、地図データ及び受信情報に基づき、合流先となる本線車道について、禁止エリアとなっているか否かを判定する。S33にて、本線車道が禁止エリアであると判定した場合、S34にて、合流エリアCfAの手前側に、早期に運転交代を行うための要請開始位置を設定し、S43に進む。一方、S33にて、本線車道が禁止エリアでなく、ADエリアであると判定した場合、S35に進む。
【0105】
S35では、自車状態把握部73が、合流前の合流車線Lncに渋滞が発生しているか否かを判定する。S35にて、合流車線Lncが渋滞していると判定した場合、S36にて、例えば車速情報に基づき、渋滞区間に進入したか否かをさらに判定する。S36にて、自車両Amが渋滞区間に進入したと判定した場合、S37にて、制御切替部77が、エリアレベル3から渋滞時レベル3への制御モードの切り替えを実施する。
【0106】
S35にて、合流車線Lncが渋滞していないと判定した場合、S38にて、道路情報把握部72が、合流エリアCfAの道路形状を把握する。S39では、S38にて把握した道路形状について、合流車線Lncが減少する道路形状であるか否かを判定する。S39にて、車線数が減少しない道路形状であると判定した場合、S41にて、自律走行制御(レベル3の自動運転)の継続を決定する。S41では、セカンドタスクの制限内容及び制限区間TXSが設定される。そして、S44にて、自車両Amが制限区間TXSに到達したと判定されると、S45にて、セカンドタスクの許容範囲を狭める制限が開始される。
【0107】
S39にて、車線数が減少する道路形状であると判定した場合、S40にて、自車状態把握部73が、離間合流車線Lnc2を走行しているか否かを判定する。S40にて、自車状態把握部73は、複数の合流車線Lncが本線車道と合流する道路形状であるか否かをまず判定する。さらに、自車状態把握部73は、合流車線Lncが複数あると判定した場合、自車車線Lnsが隣接合流車線Lnc1か否かをさらに判定する。
【0108】
S40にて、合流車線Lncが1つであると判定した場合、又は自車両Amが隣接合流車線Lnc1を走行していると判定した場合、S42にて、行動判断部63が、ハンズオフの運転支援制御への制御移行を決定する。S42では、ハンズオフの運転支援制御への移行スケジュール、具体的には、周辺監視の再開要請を開始する要請開始位置と、制限区間TXSの開始位置及び終了位置とが設定される。対して、S40にて、合流車線Lncが複数あり、かつ、自車両Amが離間合流車線Lnc2を走行していると判定した場合、S43にて、行動判断部63は、ハンズオンの運転支援制御への制御移行を決定する。S43では、ハンズオンの運転支援制御への移行スケジュール、具体的には、ステアリングホイールの把持及び周辺監視の再開要請を開始する要請開始位置と、制限区間TXSの開始位置及び終了位置とが設定される。
【0109】
S46では、S34、S42又はS43にて設定した運転交代の要請開始位置に自車両Amが到達したか否かを判定する。S46にて、自車両Amが要請開始位置に到達したと判定した場合、S47にて、情報連携部61及びHCU100の連携による運転交代等を要請する報知が開始される。
【0110】
S48では、自律走行制御の終了位置、言い替えれば、制限区間TXSの開始位置に自車両Amが到達したか否かを判定する。S48にて、制限区間TXSの開始位置に自車両Amが到達したと判定した場合、S49にて、予め決定された運転制御状態(自動運転レベル)への変更が実施される。
【0111】
図19に示す本線合流処理は、合流エリアCfAにて合流車線Lncの減少する道路形状である場合に、運転支援制御への移行を実施する合流前遷移処理の完了に基づき、自動運転ECU50bによって開始される。自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aと連携して、本線合流処理を実施してもよい。
【0112】
本線合流処理のS51では、自車状態把握部73が、合流先となる本線車道が渋滞しているか否かを判定する。S51にて、本線車道が渋滞していると判定した場合、制御切替部77は、自動運転レベルを下げる変更を実施する。一例として、S52では、ハンズオフの運転支援制御から、ハンズオンの運転支援制御への変更が実施される。
【0113】
S53では、運転支援制御(LCA)による自動車線変更が可能か否かを判定する。S53にて、自動車線変更が可能であると判定した場合、S54にて、本線車道への車線変更が実行される。一方、本線車道の渋滞又は混雑によって自動車線変更が開始できない場合、S55にて、手動運転への交代要請が開始される。S55にて開始される運転交代要請により、ドライバが運転操作を開始した場合、本線合流処理は終了される。この場合、本線車道への車線変更は、ドライバに委ねられる。
【0114】
S57では、車線変更がタイムアウトとなったか否かを判定する。自動車線変更を開始できないまま、運転交代も行われず、自車両Amが停止開始位置Ps(
図12参照)に到達した場合、行動判断部63は、車線変更がタイムアウトとなったと判定する。この場合、行動判断部63は、S58にて、自車両Amを自動停止させる停止制御を開始する。さらに、S59にて、制御切替部77は、自車両Amの停止後、運転制御状態を手動運転の状態に移行させる。以上により、自車両Amは、合流車線Lncの終端手前にて、ドライバの運転操作再開による発進を待機した状態となる。
【0115】
図20に示す合流後遷移処理は、合流エリアCfAでの合流完了後に自動運転ECU50bによって開始される。合流後遷移処理のS61では、行動判断部63が、経路情報に基づき、直近の自車両Amの将来経路を把握する。行動判断部63は、S62にて、把握した将来経路を参照し、合流後の所定距離以内又は所定時間以内に車線変更が発生するか否かを判定する。S62にて、車線変更の予定があると判定した場合、行動判断部63は、S63にて、予定された車線変更の完了まで、自動運転レベルを上げる制御移行を制限(禁止)する。具体的には、ハンズオンの運転支援制御からハンズオフの運転支援制御への移行、及びハンズオフの運転支援制御から自律走行制御への移行が、共に実施されなくなる。尚、S63では、ハンズオフの運転支援制御から自律走行制御への移行が制限される一方で、ハンズオンの運転支援制御からハンズオフの運転支援制御への移行は、許可されてもよい。
【0116】
S62にて、車線変更の予定がないと判定した場合、S64にて、自律走行制御(レベル3自動運転)を実行中か否かが判定される。S64にて、自律走行制御が実行中であると判定した場合、合流後遷移処理は終了される。一方、S64にて、自律走行制御が実行中でないと判定した場合、S65にて、行動判断部63は、合流後の走行距離が所定距離を超えたか否かを判定する。行動判断部63は、S65にて、合流後の経過時間が所定時間を超えたか否かを判定してもよい。S65にて、合流後の走行距離が所定距離を超えたと判定した場合、S66にて、情報連携部61は、HCU100と連携し、自律走行制御の再開が可能であることをドライバに示す報知を実施する。一例として、HCU100は、ステアリングホイールに設けられたアンビエントライト25を特定の発光色(例えば、青色)等で点灯又は点滅させる報知により、自律走行制御の再開が可能になっていることをドライバに気付かせる。
【0117】
ここまで説明した本実施形態では、進行方向に存在する合流エリアCfAの道路形状が把握され、合流エリアCfAにおいて自律走行制御を継続するか否かは、合流エリアCfAの道路形状に応じて判断される。以上によれば、合流エリアCfAにおいても、道路形状によっては自律走行制御が継続され得るため、ドライバの周辺監視を不要にできる期間を長く確保できる。したがって、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0118】
加えて本実施形態では、合流エリアCfAが車線数の減少する道路形状である場合、合流車両Acの割り込みリスクが高くなるため、自律走行制御の継続が制限される。一方で、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状である場合、合流車両Acの割り込みリスクが低くなるため、自律走行制御の継続は許可される。以上のように、合流エリアCfAでの割り込みリスクを考慮して、自律走行制御の継続を許可すれば、自律走行制御による走行で合流エリアCfAを通過できる確実性が高くなる。その結果、自動運転の利便性が向上し得る。
【0119】
また本実施形態では、車線数の減少しない道路形状の合流エリアCfAにて自律走行制御が継続される場合、自車車線Lnsへの合流を試みる合流車両Acの発生に基づき、この合流車両Acの存在を示す合流車報知が実施される。故に、ドライバは、周辺監視を実施していなくても、自車周囲のリスク対象である合流車両Acの存在を、合流車報知を通じて把握し得る。このように、ドライバの情報把握を支援する提示を実施することによれば、自動運転の利便性は、いっそう向上し得る。
【0120】
さらに本実施形態では、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状であっても、自律走行制御の制御モードがエリアレベル3である場合、自律走行制御の継続は制限される。このように、エリアレベル3が実施されている場合、自車両Am及び自車周囲の他車両の走行速度が高くなり易い。故に、自律走行制御の継続を制限することで、自律走行制御が突然中断されてしまう事態の発生を回避することができる。
【0121】
一方、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状であり、かつ、自律走行制御の制御モードが渋滞時レベル3である場合、渋滞時レベル3の継続が許可される。このように、渋滞時レベル3が実施されている場合、自車両Am及び自車周囲の走行速度は、高くなり難い。故に、自律走行制御の継続を許可しても、自律走行制御が突然中断されてしまう事態は発生し難い。以上のように、渋滞時レベル3に限定して合流エリアCfAでの継続を許可することで、自動運転の利便性は、いっそう向上し得る。
【0122】
加えて本実施形態では、自律走行制御によって自車両Amが合流車線Lncを走行する場合、本線車道へ合流する合流エリアCfAの道路形状が把握され、自車両Amの運転制御状態は、合流エリアCfAの道路形状に応じて変更される。以上によれば、合流エリアCfAにおいても、道路形状に応じて、自律走行制御等のドライバへの依存度が低い運転制御状態が継続され得る。その結果、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0123】
また本実施形態では、合流エリアCfAにて合流車線Lncが減少する道路形状である場合、合流車線Lncが減少しない道路形状である場合よりも、ドライバへの依存度の高い状態に運転制御状態が変更される。具体的には、合流車線Lncがなくなる場合、自動運転レベルを下げる制御変更が実施される。以上によれば、合流エリアCfAにて、車線変更が必要でない合流シーンでは、自律走行制御の継続により、ドライバの利便性が確保され得る。一方、車線変更が必要となる合流シーンでは、ドライバへの制御権の一部移譲により、確実な本線車道への合流が可能となる。
【0124】
さらに本実施形態では、合流エリアCfAにて自律走行制御が中断された後、自律走行制御の再開が可能となった場合、情報連携部82は、HCU100と連携し、自律走行制御が再開可能であることをドライバに示す報知を実施する。故に、ドライバは、自律走行制御の使用を早期に再開できる。その結果、周辺監視を不要にできる期間を長く確保できるため、自動運転の利便性は、いっそう向上し得る。
【0125】
加えて本実施形態では、合流エリアCfAにて合流車線Lncが減少する道路形状であり、かつ、本線車道への車線変更が実施されない場合、合流車線Lncがなくなる位置よりも手前側にて、自車両Amを停止させる停止制御が開始される。故に、本線車道への車線変更が実行できないケースであっても、システムからドライバへの運転交代を安定した状態で実施することが可能になる。
【0126】
また本実施形態では、本線車道が渋滞している場合、本線車道が渋滞していない場合よりも、運転制御状態は、ドライバへの依存度の高い状態に変更される。即ち、本線車道の渋滞が把握されると、自動運転レベルを下げる制御変更が実施される。故に、システムによる車線変更が難しいシーンでも、ドライバの判断に基づき、本線車道への車線変更を確実に行うことが可能になる。
【0127】
さらに本実施形態では、合流エリアCfAの手前側にて合流車線Lncが渋滞している場合、自律走行制御を継続しつつ、合流エリアCfAにて自車両Amの合流が実施される。以上のように、合流車線Lncが渋滞していれば、自車両Amの走行速度が低くなるため、渋滞時レベル3による合流が可能になる。その結果、周辺監視を不要にできる期間を長く確保できるため、自動運転の利便性がさらに向上し得る。
【0128】
加えて本実施形態では、複数の合流車線Lncが本線車道と合流する道路形状である場合、自車状態把握部73にて、複数の合流車線Lncのうちで自車両Amの走行する自車車線Lnsの位置が把握される。そして、本線車道に隣接する隣接合流車線Lnc1が自車車線Lnsである場合と、本線車道から離間する離間合流車線Lnc2が自車車線Lnsである場合とで、自車両Amの運転制御状態が変更される。以上によれば、合流車線Lncが複数存在する合流エリアCfAにおいても、自動運転レベルの変化具合が自車両Amの走行位置に応じて適切に変更され得る。その結果、円滑な合流が可能になる。
【0129】
また本実施形態では、離間合流車線Lnc2が自車車線Lnsである場合、隣接合流車線Lnc1が自車車線Lnsである場合よりも、運転制御状態は、ドライバへの依存度の高い状態に変更される。こうした制御によれば、複数回の車線変更が必要となる合流シーンにおいても、ドライバに制御権を適切に移譲することで、円滑な合流が可能になる。
【0130】
さらに本実施形態では、禁止エリアとされた合流エリアCfAに接近する場合、合流エリアCfAとは異なる道路区間に設定された禁止エリアに接近する場合よりも、自律走行制御が早期に終了される。これにより、ドライバは、合流エリアCfAにて余裕を持った対応を行うことができる。
【0131】
加えて本実施形態では、合流エリアCfAにおける合流後、自車両Amに車線変更が予定されている場合、運転制御状態をドライバへの依存度の低い状態に変更する処理の実施が制限される。以上によれば、次の車線変更に際して、運転制御状態の再度の変更は、生じ難くなる。その結果、システムとドライバとの煩雑なやり取りを回避できるため、自動運転の利便性は、より確保され易くなる。
【0132】
また本実施形態では、合流エリアCfAにて自律走行制御を継続する場合、合流エリアCfAへの到達前にセカンドタスクの許容範囲が狭くされる。このように、セカンドタスクの実施を緩く制限したうえで、自律走行制御の継続を許可すれば、自動運転の利便性は、いっそう確保され易くなる。
【0133】
さらに本実施形態では、分岐エリアBrAにて分岐車線Lnbと自車車線Lnsとが接している場合、自律走行制御が中断される一方で、分岐車線Lnbと自車車線Lnsとが接していない場合では、自律走行制御の継続が許可される。即ち、分岐車線Lnbから離れた車線を走行していれば、分岐エリアBrAにおいても自律走行制御が継続され得る。以上によれば、ドライバの周辺監視を不要にできる期間を長く確保できるため、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0134】
加えて本実施形態では、自律走行制御によって走行する自車両Amの予定経路が分岐車線Lnbに設定される場合、分岐車線Lnbの先が高速道路HWからの出口であるか否かに応じて、自律走行制御の終了後における走行制御の内容が変更される。以上によれば、分岐車線Lnbの先での自律走行制御の実施可否に応じて、自動運転機能の動作状態を切り替えることが可能になる。その結果、ドライバは、分岐車線Lnbの先の走行に円滑に移行できる。したがって、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0135】
具体的に、分岐車線Lnbの先が高速道路HWの出口でない場合、自律走行制御から、ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御への切り替えが実施される。このように、分岐車線Lnbの先が出口でない場合、分岐車線Lnbの通過後、自律走行制御を再開できる可能性がある。故に、自律走行制御の終了後も、運転支援制御での走行を継続させることで、分岐車線Lnbの先にて、自律走行制御の再開を円滑に実施することが可能になる。
【0136】
一方、分岐車線Lnbの先が高速道路HWの出口である場合、自律走行制御から、ドライバによる手動運転への切り替えが実施される。このように、分岐車線Lnbの先が出口であり、自車両Amが一般道等の出るシーンでは、自律走行制御を再開できる可能性は低くなる。故に、自律走行制御の終了後、手動運転に移行させることで、ドライバは、分岐車線Lnbの先での走行を円滑に開始できる。このように、自律走行制御から手動運転への移行が早期に実施されれば、自動運転の利便性は、いっそう向上し得る。
【0137】
尚、上記実施形態では、高速道路HWが「特定道路」に相当し、情報連携部61が「報知制御部」に相当し、行動判断部63が「継続判断部」に相当する。さらに、道路情報把握部72が「道路形状把握部」に相当し、自車状態把握部73が「自車位置把握部」に相当し、制御切替部77が「制御変更部」に相当し、自動運転ECU50bが「自動運転制御装置」に相当する。また、セカンドタスクが「運転以外の特定行為」に相当する。
【0138】
(他の実施形態)
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0139】
上記実施形態の変形例1では、合流前遷移処理(
図21参照)の詳細が、上記の合流前遷移処理(
図17参照)と異なっている。変形例1では、合流車線Lncを走行する場合、合流エリアCfAの道路形状に関わらず、自律走行制御は一旦中断される。具体的に、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状である場合(S139:NO)、行動判断部63は、ハンズオフの運転支援制御への制御移行を決定し、その移行スケジュールを設定する(S141)。
【0140】
一方、合流エリアCfAが車線数の減少する道路形状である場合(S139:YES)、自車状態把握部73は、離間合流車線Lnc2を走行中か否かを判定する(S140)。唯一の合流車線Lnc又は隣接合流車線Lnc1を自車両Amが走行している場合(S140:NO)、行動判断部63は、ハンズオンの運転支援制御への制御移行を決定し、その移行スケジュールを設定する(S142)。対して、自車両Amが離間合流車線Lnc2を走行している場合(S140:YES)、行動判断部63は、自動運転レベル1の運転支援制御(ACC)又は手動運転への移行を決定し、その移行スケジュールを設定する(S143)。
【0141】
そして、各処理にて設定された移行スケジュールに基づき、自律走行制御を中断する移行制御が実施される(
図18 S46~S49)。このとき、ドライバに運転交代を要請する報知(S47)は、合流エリアCfAにて合流車両Acが減少する道路形状である場合、合流車線Lncが減少しない道路形状である場合よりも、早期に実施される。
【0142】
ここまで説明した変形例1でも、上記実施形態と同様の効果を奏し、合流エリアCfAの道路形状に応じて、ドライバへの依存度が低い運転制御状態が継続され得る。その結果、自動運転の利便性が確保可能となる。加えて変形例1では、合流車線Lncの減少がある場合(
図10参照)、運転交代の要請が早期に開始される。故に、ドライバは、運転操作の制御権を早期に取得し、本線車道への車線変更に備えることができる。
【0143】
また変形例1では、合流車線Lncが減少しない合流エリアCfAにて自律走行制御が中断された場合(
図11参照)、自律走行制御が再開可能であることをドライバに示す報知が実施される(
図20 S66)。故に、ドライバは、中断されたセカンドタスクを早期に再開できる。その結果、自動運転の利便性は、いっそう向上し得る。
【0144】
上記実施形態の変形例2では、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状である場合、エリアレベル3が実施されていても、自律走行制御の継続が許可される。即ち、変形例2では、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状である場合、自律走行制御の制御モードに関わらず、自律走行制御の継続が許可される。
【0145】
上記実施形態の変形例3では、自律走行制御に複数の制御モードが設定されていない。自動運転ECU50bは、上記実施形態の渋滞時レベル3に相当する自律走行制御を、ADエリア内の渋滞環境下でのみ実施できる。こうした変形例3でも、合流エリアCfAが車線数の減少しない道路形状である場合、自律走行制御の継続が許可される。
【0146】
上記実施形態の変形例4では、自律走行制御を継続したまま合流エリアCfAを走行中に合流車両Acが認識されると、自律走行制御の中断と、ハンズオフの運転支援制御への移行とが決定される。この場合、合流車両Acの把握に基づき、ドライバに周辺監視の再開が要請される。こうした合流車両Acの情報は、合流車線Lncを検出対象とする路側機によって生成され、自車両Amに搭載された車載通信機に送信されてもよい。
【0147】
上記実施形態における合流車報知の様態は、適宜変更されてよい。一例として、メータディスプレイ21とは異なる表示デバイス及びアンビエントライト25が、合流車報知に使用されてもよい。さらに、合流車報知、周辺監視及びステアリング把持の再開要請、並びに運転交代要請等に用いるコンテンツの表示色、表示サイズ、表示輝度、並びにアニメーション及び点滅の有無等は、適宜変更されてよい。加えて、音声メッセージの再生が、各情報提示において実施されてもよい。
【0148】
上記実施形態の変形例5では、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bの各機能は、一つの自動運転ECUによって提供されている。即ち、変形例5の自動運転ECU50bには、運転支援ECU50aの機能が実装されている。こうした変形例5では、統合された自動運転ECUが「自動運転制御装置」に相当する。さらに、自動運転ECUに、HCU100の機能がさらに実装されていてもよい。こうした形態では、提示制御部88が「報知制御部」に相当する。
【0149】
上記実施形態にて、運転支援ECU、自動運転ECU及びHCUによって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
【0150】
上記実施形態の各処理部は、RAMと結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。こうした処理部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA等に実装された構成であってもよい。
【0151】
また、各種プログラム等を記憶する記憶媒体(持続的有形コンピュータ読み取り媒体,non-transitory tangible storage medium)の形態も、適宜変更されてよい。こうした記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、自動運転ECU又はHCU等の制御回路に電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、自動運転ECU又はHCUへのプログラムのコピー基又は配信元となる光学ディスク又はハードディスクドライブ等であってもよい。
【0152】
上記の自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。また、自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による情報提示制御及び自動運転制御は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化されてよい。
【0153】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0154】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
(技術的思想1)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両の進行方向に存在する合流エリア(CfA)の道路形状を把握する道路形状把握部(72)と、
前記合流エリアにおいて前記自律走行制御を継続するか否かを、前記合流エリアの道路形状に応じて判断する継続判断部(63)と、
を備える自動運転制御装置。
(技術的思想2)
前記継続判断部は、
前記合流エリアが車線数の減少する道路形状である場合、前記自律走行制御の継続を制限し、
前記合流エリアが車線数の減少しない道路形状である場合、前記自律走行制御の継続を許可する技術的思想1に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想3)
車線数の減少しない道路形状の前記合流エリアにて前記自律走行制御が継続される場合、前記自車両が走行する自車車線(Lns)への合流を試みる合流車両(Ac)の発生に基づき、当該合流車両の存在を示す報知を実施させる報知制御部(61)、をさらに備える技術的思想2に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想4)
前記継続判断部は、
前記合流エリアが車線数の減少しない道路形状であり、かつ、前記自律走行制御の制御モードが渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御である場合、前記自律走行制御の継続を許可し、
前記合流エリアが車線数の減少しない道路形状であっても、前記制御モードが前記渋滞限定制御とは異なる場合、前記自律走行制御の継続を制限する技術的思想1~3のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想5)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両の進行方向に存在する合流エリア(CfA)の道路形状を把握し(S15,S38,S138)、
前記合流エリアにおいて前記自律走行制御を継続するか否かを、前記合流エリアの道路形状に応じて判断する(S16,S19,S39~S43,S139~S143)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
(技術的思想6)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御によって前記自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、前記合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状を把握する道路形状把握部(72)と、
前記自律走行制御を含む前記自車両の運転制御状態を、前記合流エリアの道路形状に応じて変更する継続判断部(63)と、
を備える自動運転制御装置。
(技術的思想7)
前記継続判断部は、前記合流エリアにて前記合流車線が減少する道路形状である場合、前記合流車線が減少しない道路形状である場合よりも、前記運転制御状態を前記ドライバへの依存度の高い状態に変更する技術的思想6に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想8)
前記継続判断部は、前記合流エリアにて前記合流車線が減少する道路形状である場合、前記合流車線が減少しない道路形状である場合よりも、前記ドライバに運転交代を要請する報知を早期に実施する技術的思想6又は7に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想9)
前記合流車線が減少しない前記合流エリアでの前記自律走行制御の中断後、前記自律走行制御の再開が可能となった場合、前記自律走行制御が再開可能であることを前記ドライバに示す報知を実施させる報知制御部(61)、をさらに備える技術的思想6~8のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想10)
前記継続判断部は、前記合流エリアにて前記合流車線が減少する道路形状であり、かつ、前記本線車道への車線変更が実施されない場合、前記合流車線がなくなる位置よりも手前側にて前記自車両を停止させる停止制御を開始する技術的思想6~9のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想11)
前記継続判断部は、前記本線車道が渋滞している場合、前記本線車道が渋滞していない場合よりも、前記運転制御状態を前記ドライバへの依存度の高い状態に変更する技術的思想6~10のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想12)
前記継続判断部は、前記合流エリアの手前側にて前記合流車線が渋滞している場合、前記自律走行制御を継続しつつ、前記合流エリアにて前記自車両を合流させる技術的思想6~11のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想13)
前記合流エリアにて複数の前記合流車線が前記本線車道と合流する道路形状である場合、複数の前記合流車線のうちで前記自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握する自車位置把握部(73)、をさらに備え、
前記継続判断部は、前記本線車道に隣接する前記合流車線が前記自車車線である場合と、前記本線車道から離間する前記合流車線が前記自車車線である場合とで、前記自車両の前記運転制御状態を変更する技術的思想6~12のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想14)
前記継続判断部は、前記本線車道から離間する前記合流車線が前記自車車線である場合、前記本線車道に隣接する前記合流車線が前記自車車線である場合よりも、前記運転制御状態を前記ドライバへの依存度の高い状態に変更する技術的思想13に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想15)
前記継続判断部は、前記自律走行制御での走行を禁止する禁止エリアとされた前記合流エリアに接近する場合、前記合流エリアとは異なる道路区間に設定された前記禁止エリアに接近する場合よりも、前記自律走行制御を早期に終了させる技術的思想6~14のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想16)
前記継続判断部は、前記合流エリアにおける合流後、前記自車両に車線変更が予定されている場合、前記運転制御状態を前記ドライバへの依存度の低い状態に変更する処理の実施を制限する技術的思想6~15のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想17)
前記継続判断部は、前記合流エリアにて前記自律走行制御を継続する場合、前記合流エリアへの到達前に前記ドライバに許可される運転以外の特定行為の許容範囲を狭くする技術的思想6~16のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想18)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御によって前記自車両が合流車線(Lnc)を走行する場合、前記合流車線と本線車道とが合流する合流エリア(CfA)の道路形状を把握し(S38,S138)、
前記自律走行制御を含む前記自車両の運転制御状態を、前記合流エリアの道路形状に応じて変更する(S39~S43,S139~S143)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
(技術的思想19)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両の進行方向に、車線数の増加する分岐エリア(BrA)が存在するか否かを把握する道路形状把握部(72)と、
前記自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握する自車位置把握部(73)と、
前記分岐エリアにて増加する車線である分岐車線(Lnb)と前記自車車線とが接している場合、前記自律走行制御を中断し、前記分岐車線と前記自車車線とが接していない場合、前記自律走行制御の継続を許可する継続判断部(63)と、
を備える自動運転制御装置。
(技術的思想20)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御によって走行する前記自車両の進行方向に、車線数の増加する分岐エリア(BrA)が存在するか否かを把握し(S20)、
前記自車両が走行する自車車線(Lns)の位置を把握し(S21)、
前記分岐エリアにて増加する車線である分岐車線(Lnb)と前記自車車線とが接している場合、前記自律走行制御を中断し、前記分岐車線と前記自車車線とが接していない場合、前記自律走行制御の継続を許可する(S22,S26,S27)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
(技術的思想21)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自律走行制御による走行が許可された特定道路(HW)を前記自律走行制御によって走行する前記自車両の予定経路が前記特定道路の本線車道から分岐する分岐車線(Lnb)に設定される場合、当該分岐車線の先が前記特定道路からの出口であるか否かを把握する道路形状把握部(72)と、
前記分岐車線へ向かう前記自車両にて前記自律走行制御を終了する場合、前記分岐車線の先が前記出口であるか否かに応じて、前記自律走行制御の終了後における前記自車両の走行制御の内容を変更する制御変更部(77)と、
を備える自動運転制御装置。
(技術的思想22)
前記制御変更部は、前記分岐車線の先が前記出口でない場合、前記自律走行制御から、前記ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御に切り替える技術的思想21に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想23)
前記制御変更部は、前記分岐車線の先が前記出口である場合、前記自律走行制御から、前記ドライバによる手動運転に切り替える技術的思想21又は22に記載の自動運転制御装置。
(技術的思想24)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自律走行制御による走行が許可された特定道路(HW)を走行する前記自車両の予定経路が前記特定道路の本線車道から分岐する分岐車線(Lnb)に設定される場合、当該分岐車線の先が前記特定道路からの出口であるか否かを把握し(S25)、
前記分岐車線へ向かう前記自車両にて前記自律走行制御を終了する場合、前記分岐車線の先が前記出口であるか否かに応じて、前記自律走行制御の終了後における前記自車両の走行制御の内容を変更する(S26,S27)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【符号の説明】
【0155】
Am 自車両、Ac 合流車両、HW 高速道路(特定道路)、BrA 分岐エリア、CfA 合流エリア、Lnb 分岐車線、Lnc 合流車線、Lns 自車車線、50b 自動運転ECU(自動運転制御装置)、51 処理部、61 情報連携部(報知制御部)、63 行動判断部(継続判断部)、72 道路情報把握部(道路形状把握部)、73 自車状態把握部(自車位置把握部)、77 制御切替部(制御変更部)