(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】接続構造および建築物の屋根
(51)【国際特許分類】
E04B 7/04 20060101AFI20240806BHJP
E04B 7/02 20060101ALI20240806BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
E04B7/04 A
E04B7/04 B
E04B7/02 501H
E04B7/02 521E
E04B1/58 504L
(21)【出願番号】P 2022130184
(22)【出願日】2022-08-17
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】土方 和己
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠
(72)【発明者】
【氏名】高橋 靖曜
(72)【発明者】
【氏名】福元 大輝
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】江南 桃
(72)【発明者】
【氏名】大石 朋子
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-018032(JP,A)
【文献】特開平07-011729(JP,A)
【文献】特開2019-065640(JP,A)
【文献】特開平05-018033(JP,A)
【文献】特開2004-218324(JP,A)
【文献】特開平02-304155(JP,A)
【文献】特開2006-241753(JP,A)
【文献】特開2016-108890(JP,A)
【文献】特開2001-248258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/02
E04B 7/04
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1勾配梁の下端と第1骨組部材とを接続する第1接続構造を含み、
前記第1接続構造は、前記第1勾配梁の前記下端の第1端面に接触する第1金具を備え、
前記第1金具によって、前記第1勾配梁の下面が前記第1骨組部材の上面よりも上に位置するように前記第1勾配梁と前記第1骨組部材とが接続さ
れ、
前記第1金具は、
前記第1端面に接触する第1接続面と、
前記第1骨組部材の上面に接触し、前記第1接続面に垂直に交わる第2接続面と、を含む
接続構造。
【請求項2】
前記第1接続面に、前記第1端面に形成されるスリットに挿入される第1接続部が形成される
請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記第2接続面に、前記第1骨組部材の上面に形成される挿通孔に挿入される第2接続部が形成される
請求項1に記載の接続構造。
【請求項4】
前記第1勾配梁の上端と、前記第1骨組部材と平行に配置される第2骨組部材と、を接続する第2接続構造をさらに含み、
前記第2接続構造は、前記第1勾配梁の前記上端の第2端面に接触する第2金具を備え、
前記第2端面は、前記第1端面とは反対側の端面であって、
前記第2接続構造は、前記第2金具によって、前記第2端面の少なくとも一部が前記第2骨組部材の上面よりも上に位置するように、前記第1勾配梁と前記第2骨組部材とが接続される構造を含む
請求項1に記載の接続構造。
【請求項5】
建築物の屋根であって、
請求項1から4のいずれか一項に記載の接続構造を備える
屋根。
【請求項6】
建築物の屋根であって、
第1骨組部材と、
前記第1骨組部材と平行に配置される第2骨組部材と、
前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される第1勾配梁と、
前記第1勾配梁と平行に配置される垂木と、を備え、
前記第1勾配梁の下端と前記第1骨組部材とを接続する接続構造を含み、
前記接続構造は、請求項1に記載の接続構造を含み、
前記第1勾配梁は、前記第1勾配梁の上面が前記垂木の下面よりも上に位置するように前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される
屋根。
【請求項7】
前記第1勾配梁は、前記第1勾配梁の上面が、前記垂木の上面と同じ高さに位置するように、前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される
請求項6に記載の屋根。
【請求項8】
前記第1勾配梁に平行に配置される第2勾配梁をさらに備え、
前記第2勾配梁は、
前記第2勾配梁の上面が前記垂木の上面よりも下に位置するように前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される
請求項6または7に記載の屋根。
【請求項9】
前記第2勾配梁に交差するように配置され、かつ、前記第2勾配梁に支持されるけらば部材をさらに備える
請求項8に記載の屋根。
【請求項10】
建築物の屋根であって、
第1骨組部材と、
前記第1骨組部材と平行に配置される第2骨組部材と、
前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される第1勾配梁と、
前記第1勾配梁と平行に配置される垂木
と、
前記第1勾配梁に平行に配置される第2勾配梁と、
前記第2勾配梁に交差するように配置され、かつ、前記第2勾配梁に支持されるけらば部材と、を備え、
前記第1勾配梁は、前記第1勾配梁の上面が前記垂木の下面よりも上に位置するように前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続さ
れ、
前記第2勾配梁は、前記第2勾配梁の上面が前記垂木の上面よりも下に位置するように前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続され、
前記けらば部材は、前記けらば部材の上面が前記垂木の上面と面一に位置するように、配置される、
屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続構造および建築物の屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根の一例として次の屋根が知られている。屋根は、2個の骨組部材と、2個の骨組部材に掛けられる勾配梁と、2個の骨組部材に掛けられる垂木とを備える。骨組部材は、例えば、勾配梁が掛けられる梁または柱である。一例では、勾配梁は、金具によって骨組部材に接続される(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の勾配梁の接続構造(以下、従来の接続構造)では、勾配梁の下面が骨組部材の上面よりも下に位置するように勾配梁と骨組部材とが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屋根において垂木は骨組部材の上に掛けられる。このため、特許文献1に記載の従来の接続構造によって勾配梁が骨組部材に接続される場合、勾配梁は垂木の下に位置する。このようなことから、屋根をスリム化することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する接続構造は、第1勾配梁の下端と第1骨組部材とを接続する第1接続構造を含み、前記第1接続構造は、前記第1勾配梁の前記下端の第1端面に接触する第1金具を備え、前記第1金具によって、前記第1勾配梁の下面が前記第1骨組部材の上面よりも上に位置するように前記第1勾配梁と前記第1骨組部材とが接続される。
【0006】
この構成によれば、第1勾配梁の下面が第1骨組部材の上面よりも上に位置するため、第1勾配梁を従来の接続構造の勾配梁よりも高い位置に配置できる。第1勾配梁の位置が高くなることによって屋根の厚みを薄くできる。このように、屋根をスリム化できる。
【0007】
(2)上記(1)に記載の接続構造において、前記第1金具は、前記第1端面に接触する第1接続面と、前記第1骨組部材の上面に接触し、前記第1接続面に垂直に交わる第2接続面と、を含む。この構成によれば、第1金具が第1勾配梁および第1骨組部材に接触できるため、第1金具によって第1勾配梁と第1骨組部材とを確実に接続できる。
【0008】
(3)上記(2)に記載の接続構造において、前記第1接続面に、前記第1端面に形成されるスリットに挿入される第1接続部が形成される。この構成によれば、第1接続部がスリットに挿入されることによって第1金具に対する第1勾配梁の移動が規制されるため、第1勾配梁と第1骨組部材とを正確な位置関係で接続できる。
【0009】
(4)上記(2)または(3)に記載の接続構造において、前記第2接続面に、前記第1骨組部材の上面に形成される挿通孔に挿入される第2接続部が形成される。この構成によれば、第2接続部が挿通孔に挿入されることによって第1骨組部材に対する第1金具の移動が規制されるため、第1勾配梁と第1骨組部材とを正確な位置関係で接続できる。
【0010】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の接続構造において、前記第1勾配梁の上端と、前記第1骨組部材と平行に配置される第2骨組部材と、を接続する第2接続構造をさらに含み、前記第2接続構造は、前記第1勾配梁の前記上端の第2端面に接触する第2金具を備え、前記第2端面は、前記第1端面とは反対側の端面であって、前記第2接続構造は、前記第2金具によって、前記第2端面の少なくとも一部が、前記第2骨組部材の上面よりも上に位置するように前記第1勾配梁と前記第2骨組部材とが接続される構造を含む。この構成によれば、第1接続構造および第2接続構造によって、第1勾配梁の上端から下端まで、第1勾配梁を従来の接続構造の勾配梁よりも高い位置に配置できるため、屋根がスリム化される。
【0011】
(6)建築物の屋根であって、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の接続構造を備える。この構成によれば、第1勾配梁を従来の接続構造の勾配梁よりも高い位置に配置できるため、屋根がスリム化される。
【0012】
(7)上記課題を解決する建築物の屋根は、建築物の屋根であって、第1骨組部材と、前記第1骨組部材と平行に配置される第2骨組部材と、前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される第1勾配梁と、前記第1勾配梁と平行に配置される垂木と、を備え、前記第1勾配梁は、前記第1勾配梁の上面が前記垂木の下面よりも上に位置するように前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される。
【0013】
この構成によれば、第1勾配梁の上面が垂木の下面よりも上に位置するように第1勾配梁が配置されるため、第1骨組部材に沿う方向から第1勾配梁および垂木を見た場合に、垂木の少なくとも一部が第1勾配梁と重なる。したがって、第1勾配梁および垂木による屋根の厚みを薄くできるため、屋根がスリム化される。
【0014】
(8)上記(7)に記載の建築物の屋根であって、前記第1勾配梁は、前記第1勾配梁の上面が、前記垂木の上面と同じ高さに位置するように、前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される。
【0015】
この構成によれば、第1勾配梁の上下方向における寸法が垂木の上下方向における寸法よりも大きい場合、第1骨組部材に沿う方向から見て、垂木の上下方向における全部が第1勾配梁と重なる。したがって、屋根の構成がさらにスリム化される。また、この構成によれば、第1勾配梁および垂木に野地板を取り付けできるため、屋根の剛性が向上する。
【0016】
(9)上記(7)または(8)に記載の建築物の屋根であって、前記第1勾配梁に平行に配置される第2勾配梁をさらに備え、前記第2勾配梁は、前記第2勾配梁の上面が前記垂木の上面よりも下に位置するように前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される。この構成によれば、屋根が、第1勾配梁とは異なるように配置される第2勾配梁を含むことによって、スリム化できる部分とスリム化しない部分とを設けることができる。
【0017】
(10)上記(9)に記載の建築物の屋根であって、前記第2勾配梁に交差するように配置され、かつ、前記第2勾配梁に支持されるけらば部材をさらに備える。この構成によれば、けらば部材を第2勾配梁によって支持できる。けらば部材が第2勾配梁に支持される構造によって、けらばを大きくできる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の接続構造および建築物は、屋根をスリム化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】
図3の4-4線に沿う屋根骨格の断面図である。
【
図9】第2実施形態の建築物の屋根骨格の斜視図である。
【
図11】
図10の11-11線に沿う屋根骨格の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1から
図8、
図10、および
図11を参照して、第1実施形態に係る接続構造20および建築物2の屋根1を説明する。
【0021】
<建築物>
図1を参照して、屋根1を備える建築物2を説明する。
図1に示されるように、屋根1は、建築物2の屋根1である。建築物2は、ピロティ空間PSを有するピロティ3を備える。ピロティ空間PSは、屋根1の下に設けられる。ピロティ空間PSは、建築物2の室外に設けられる。ピロティ空間PSは、平面視において、第1柱4A、第2柱4B、第3柱4C、および第4柱4Dによって囲まれる空間を含む。平面視において、第3柱4Cと第4柱4Dとは、第3柱4Cと第4柱4Dとを結ぶ線が第1柱4Aと第2柱4Bとを結ぶ線に平行となるように配置される。ピロティ3は、ベランダ、テラス、バルコニー、玄関ポーチとして構成されてもよい。ピロティ3の用途は、これらの例に限定されない。
【0022】
<屋根>
図2、
図3、および
図5を参照して、建築物2の屋根1の構成を説明する。
図2および
図3に示されるように、屋根1は、第1骨組部材5と、第2骨組部材6と、第1勾配梁7と、垂木8と、を備える。第1骨組部材5、第2骨組部材6、第1勾配梁7および垂木8は、例えば、木材によって構成される。本実施形態では、第1骨組部材5は、第3柱4Cと第4柱4Dとを連結する水平梁である。第2骨組部材6は、第1骨組部材5よりも高い位置に配置される。第2骨組部材6は、第1骨組部材5と平行に配置される。本実施形態では、第2骨組部材6は、第1柱4Aと第2柱4Bを連結する水平梁である。
【0023】
屋根1は、傾斜するように建築物2に設けられる。第1骨組部材5は、屋根1の傾斜に関して下側に配置される。第2骨組部材6は、屋根1の傾斜に関して上側に配置される。
図1のように屋根1が切妻屋根構造を有する場合、第2骨組部材6は、建築物2の棟木2Aに対応してもよい。屋根1が下屋として構成される場合、第2骨組部材6は、屋根1と建築物2の外壁との接続箇所に配置される梁に対応してもよい。
【0024】
第1勾配梁7は、第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される。第1勾配梁7は、第1方向D1から見て、第1骨組部材5から第2骨組部材6にかけて斜め上に延びるように配置される。第1方向D1は、第1骨組部材5に沿う方向である。垂木8は、第1勾配梁7と平行に配置される。垂木8は、第1方向D1から見て、第1骨組部材5および第2骨組部材6の少なくとも1つに掛けられるように配置される。
【0025】
図5に示されるように、第1勾配梁7は、第1端面9および第2端面10を含む。第1端面9は、第1勾配梁7が第1骨組部材5に接続された場合に、下側に位置する端面である。第1端面9は、第1勾配梁7が第1骨組部材5に接続された場合において、横方向DHを向く面である。横方向DHは、第1方向D1および上下方向に直交する方向である。第1端面9は、第1勾配梁7が第1骨組部材5に接続された場合に、第1骨組部材5の側面に面さない。第2端面10は、第1勾配梁7が第2骨組部材6に接続された場合に、上側に位置する端面である。第2端面10は、第1端面9とは反対側の端面である。第2端面10は、第1勾配梁7が第2骨組部材6に接続された場合において、第1端面9と反対方向を向く面である。第2端面10の一部は、第1勾配梁7が第2骨組部材6に接続された場合に、第2骨組部材6に面する。
【0026】
図2に示されるように、屋根1は、第1繋ぎ梁11を備える。第1繋ぎ梁11は、例えば、木材によって構成される。第1繋ぎ梁11は、第1繋ぎ梁11の上面が第1勾配梁7の上面7Aと面一となり、かつ、第1繋ぎ梁11の下面が第1勾配梁7の下面7Bと面一となるように、第1勾配梁7の側面に接続される。第1繋ぎ梁11によって、屋根1の構成の自由度が向上する。第1繋ぎ梁11は、省略されてもよい。
【0027】
一例では、垂木8は、第1垂木8Aと第2垂木8Bとを含む。第1垂木8Aは、第1骨組部材5および第2骨組部材6に掛けられるように配置される。第2垂木8Bは、第2骨組部材6に掛けられず、第1骨組部材5および第1繋ぎ梁11に掛けられるように配置される。第2垂木8Bは、第1骨組部材5に掛けられず、第2骨組部材6に掛けられるように配置されてもよい。
【0028】
図5に示されるように、屋根1は、野地板12と天井部材13とを備える。野地板12は、第1勾配梁7の上面7Aおよび垂木8の上面8Cに取り付けられる。野地板12の上面には、屋根材が取り付けられる。天井部材13は、第1基準線R1に沿うように第1勾配梁7の下に配置され、屋根1の下面を形成する。第1基準線R1は、第1勾配梁7の下面7Bに応じて設定される。天井部材13が第1勾配梁7に取り付けられることによって、ピロティ空間PSの天井が構成される。天井部材13は、例えば、化粧板を含む。
【0029】
図4は、
図3の4-4線における断面図を示す。第1勾配梁7は、第1勾配梁7の上面7Aが垂木8の下面8Dよりも上に位置するように第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される。本実施形態では、第1勾配梁7は、第1勾配梁7の上面7Aが、垂木8の上面8Cと同じ高さに位置するように、第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される。
図4の断面図のように、第1勾配梁7の断面の上辺と垂木8の断面の上辺とが、仮想線Rに一致する。仮想線Rは、野地板12が配置される線である。
図4に示されるように、第1勾配梁7の上下方向における寸法L1は、垂木8の上下方向における寸法L2よりも大きい。
【0030】
図4に示されるように、第1勾配梁7の第1方向D1における寸法L3は、垂木8の第1方向D1における寸法L4よりも大きい。本実施形態では、第1方向D1における野地板12の端縁が第1勾配梁7に配置される。このように配置によれば、第1勾配梁7の寸法L3が垂木8の寸法L4よりも大きいことから、野地板12の端縁を垂木8に配置する場合よりも、第1方向D1における野地板12の寸法誤差が吸収され易くなる。具体的には、野地板12は、第1方向D1における野地板12の端縁が第1勾配梁7の上に位置するように配置される。この場合、野地板12の端縁が第1勾配梁7の上に位置するように配置されたときの重なりの面積を、野地板12の端縁が垂木8の上に位置するように配置されたときの重なりの面積よりも大きくできる。野地板12の端縁が第1勾配梁7の上に位置するように配置されたときの重なりの面積は、ビスを打つための面積として大きいことが好ましい。このため、第1勾配梁7に野地板12の端縁を配置することによって、野地板12にビスを打つための面積が確保され易い。
【0031】
本実施形態の建築物2の屋根1の作用を説明する。
図10および
図11は、従来の接続構造によって勾配梁62が取り付けられた屋根60の屋根骨格を示す。従来の屋根60では、勾配梁62の下端の端面は骨組部材63の側面に接続される。垂木64は、骨組部材63の上に載るように配置される。このため、勾配梁62の下端において、勾配梁62の下面が骨組部材63の上面よりも下に位置し、かつ、勾配梁62の上面が垂木64の下面と同じ高さに位置する。このように、従来の屋根60では、上下方向において垂木64と勾配梁62との位置が大きくずれている。このため、従来の構造では、第4方向D4から見た屋根60の厚みを、勾配梁62の上下方向における寸法L5と垂木64の上下方向における寸法L6との和よりも小さくすることが出来ない。第4方向D4は、
図2の第1方向D1に対応する方向である。
【0032】
本実施形態の屋根1では、第1勾配梁7は、第1勾配梁7の下端において第1勾配梁7の下面7Bが第1骨組部材5の上面5Aよりも上に位置するように、第1骨組部材5に接続される。これによって、第1勾配梁7の上面7Aが垂木8の下面8Dよりも上に位置する。このため、第1方向D1から見て、垂木8の少なくとも一部が第1勾配梁7と重なる。したがって、この構成によれば、垂木8において、上下方向に第1勾配梁7と重なっている分だけ、従来の屋根60よりも、屋根60の厚みを薄くできる。さらに、第1勾配梁7の上面7Aは垂木8の上面8Cと同じ高さに位置してもよい。この場合、第1方向D1から見て、垂木8の上下方向における全部が第1勾配梁7と重なる。したがって、この構成によれば、垂木8の寸法L2の分だけ、従来の屋根60よりも屋根1の厚みを薄くできる。
【0033】
従来の屋根60では、野地板が垂木64のみに取り付けられる。勾配梁62の上面が垂木64の下面と同じ高さに位置するため、従来の屋根60では、勾配梁62に野地板を取り付けることができない構造になっている。これに対して、本実施形態の屋根1は、第1勾配梁7の上面7Aが垂木8の上面8Cと同じ高さに位置するため、第1勾配梁7および垂木8に野地板12を取り付けできる。屋根骨格である第1勾配梁7に野地板12を取り付けできるため、屋根1の剛性が向上する。
【0034】
<接続構造>
図4から
図6を参照して、第1勾配梁7の接続構造20を説明する。接続構造20は、第1勾配梁7の下端と第1骨組部材5とを接続する第1接続構造22を含む。
【0035】
図5および
図6に示されるように、屋根1において、接続構造20によって、第1勾配梁7は、第1骨組部材5および第2骨組部材6に対して上にオフセットされる。第1勾配梁7が上にオフセットされることによって、第1方向D1から見て、第1勾配梁7は、第2基準線R2が第1勾配梁7の上面7Aと下面7Bとの間に位置するように配置される。第2基準線R2は、第1骨組部材5および第2骨組部材6に垂木8を掛けた場合に、第1方向D1から見て、垂木8の下面8Dに沿う線である。
図10に示されるような従来の屋根60では、第1方向D1に対応する方向から見て、勾配梁62の上面が第2基準線R2に対応する線に一致する。
【0036】
第1接続構造22は、第1金具21を備える。第1接続構造22は、第1金具21によって第1勾配梁7の下端と第1骨組部材5とが接続される構造を含む。第1金具21は、第1勾配梁7の下端の第1端面9に接触する部分を有する。第1金具21は、第1勾配梁7の下端の第1端面9を支持する。第1接続構造22によって、第1勾配梁7の下面7Bが第1骨組部材5の上面5Aよりも上に位置するように、第1勾配梁7が第1骨組部材5に接続される。第1方向D1から見て、第1勾配梁7の下面7Bは、所定間隔を空けて第1骨組部材5の上面5Aから離隔する。本実施形態では、第1接続構造22によって、第1端面9が第1骨組部材5に対向しないように、第1勾配梁7と第1骨組部材5とが接続される。
【0037】
接続構造20は、第1勾配梁7の上端と第2骨組部材6とを接続する第2接続構造24をさらに含む。接続構造20は、第2金具23を備える。第2接続構造24は、第2金具23によって第1勾配梁7と第2骨組部材6とが接続される構造を含む。第2金具23は、第1勾配梁7の上端の第2端面10に接触する部分を有する。第2金具23は、第1勾配梁7の上端の第2端面10を支持する。第2接続構造24によって、第1方向D1から見て、第2端面10の少なくとも一部が第2骨組部材6の上面6Aよりも上に位置するように、第1勾配梁7が第2骨組部材6に接続される。本実施形態では、第2接続構造24によって、第1方向D1から見て第2端面10の下側部分が、第2骨組部材6の側面に対向するように、第1勾配梁7と第2骨組部材6とが接続される。
【0038】
本実施形態の接続構造20の作用を説明する。
本実施形態の屋根1では、第1勾配梁7の下端において、第1接続構造22によって第1勾配梁7の下面7Bが第1骨組部材5の上面5Aよりも上に位置する。このため、第1勾配梁7の下端は、従来の接続構造の勾配梁62の下端よりも高い位置に配置される。また、第1接続構造22および第2接続構造24によれば、第1勾配梁7が、第1勾配梁7の下端から上端にわたって、従来の接続構造の勾配梁62よりも高い位置に配置される。したがって、天井部材13を、より高い位置に配置できるため、従来の屋根60よりも屋根1の厚みを薄くできる。
【0039】
<第1金具>
図5から
図8を参照して、第1接続構造22を実現するための第1金具21を説明する。第1金具21は、第1勾配梁7の下面7Bが第1骨組部材5の上面5Aよりも上に位置するように第1勾配梁7と第1骨組部材5とを接続する。
【0040】
図7に示されるように、第1金具21は、第1接続面25と、第2接続面26と、を含む。第1接続面25は、第1勾配梁7の下端の第1端面9に接触するように構成される。第2接続面26は、第1骨組部材5の上面5Aに接触するように構成される。第2接続面26は、第1接続面25に垂直に交わる。第2接続面26は、第1接続面25の下端において第1接続面25に垂直に交わる。第1接続面25および第2接続面26は、連続的に形成される。
【0041】
図5に示されるように、第1金具21は、第1本体部27を含む。第1本体部27は、鉄、ステンレス鋼等によって構成される。第1本体部27は、第1接続面25が形成される第1部分27Aと、第2接続面26が形成される第2部分27Bとを含む。第1部分27Aは板状部材である。第2部分27Bは板状部材である。第1部分27Aおよび第2部分27Bは、1枚の板状部材を折り曲げて形成されてもよいし、2枚の板状部材を溶接によって接合して形成されてもよい。
【0042】
図7に示されるように、第1金具21は、第1支持部28Aと第2支持部28Bとを含む。第1支持部28Aおよび第2支持部28Bは、第1部分27Aが第2部分27Bに対して垂直に配置されるように第1部分27Aを支持する。第1支持部28Aおよび第2支持部28Bは、第2方向D2に並ぶように配置される。第2方向D2は、第1接続面25および第2接続面26に平行な方向である。第1金具21が第1勾配梁7と第1骨組部材5とを接続する状態において、第2方向D2は、第1方向D1に一致する。第1支持部28Aおよび第2支持部28Bは、鉄、ステンレス鋼等によって構成され、溶接等によって第1本体部27に接合される。
【0043】
図6に示されるように、第1金具21は第1接続部29をさらに含む。第1接続部29は第1接続面25に形成される。第1接続部29は、第1勾配梁7の下端の第1端面9に形成されるスリット9Aに挿入される。第1接続部29がスリット9Aに挿入されることによって、第1金具21に対する第1方向D1への第1勾配梁7の移動が規制される。
図7に示すように、第1接続部29は、ボルトおよびナットによって取り外し可能に、第1部分27Aに取り付けられる。第1接続部29が第1部分27Aから取り外し可能なため、第1勾配梁7の寸法に応じて、第1接続部29の大きさおよび形状を選択できる。第1接続部29は、第1部分27Aと一体に形成されてもよい。
【0044】
第1接続部29は、第1接続部分29Aと第2接続部分29Bとを含む。第1接続部分29Aおよび第2接続部分29Bは、第1勾配梁7と第1骨組部材5とが接続された状態において、厚さ方向が第2方向D2に一致する板状部材によって構成される。第1接続部分29Aおよび第2接続部分29Bは、第2方向D2に隙間をあけて並ぶように配置される。第1接続部分29Aおよび第2接続部分29Bは、第1勾配梁7と第1骨組部材5とが接続された状態において、第1接続面25から第1勾配梁7に沿って斜め上に延びるように形成される。第1接続部29は、第1金具21に対する第1骨組部材5に平行な方向への第1勾配梁7の移動を規制できれば、第1接続部分29Aおよび第2接続部分29Bに加えて、または、これらに代えて他の部材を含んでもよい。他の部材の例として軸部材が挙げられる。
【0045】
第1接続部29は、第1貫通孔30を含む。第1貫通孔30は、第1接続部分29Aおよび第2接続部分29Bに形成される。第1貫通孔30は、第1接続部29が第1勾配梁7の下端のスリット9Aに挿入された状態において、第1支持ピン30Aが挿通されるように構成される。第1支持ピン30Aは、例えばドリフトピンである。第1接続部29がスリット9Aに挿入された状態において、第1支持ピン30Aが第1貫通孔30に挿通することによって、第1接続部29が第1勾配梁7に強固に取り付けられる。また、第1支持ピン30Aが第1勾配梁7の貫通孔および第1接続部29の第1貫通孔30に挿通することによって、第1金具21に対する上下方向への第1勾配梁7の移動が規制される。
【0046】
第1金具21は第2接続部31をさらに含む。第2接続部31は第2接続面26に形成される。第2接続部31は、第1骨組部材5の上面5Aに形成される挿通孔5Bに挿入される。第2接続部31は、第1軸部31Aを含む。第1軸部31Aが挿通孔5Bに挿入されることによって、第1金具21の第1骨組部材5に対する水平な方向の移動が規制される。第2接続部31は、ボルトによって取り外し可能に、第2部分27Bに取り付けられてもよい。第2接続部31は、第2部分27Bと一体に形成されてもよい。
【0047】
第2接続部31は、第2貫通孔32を含む。第2貫通孔32は、第1軸部31Aに形成される。第2貫通孔32は、第2接続部31が第1骨組部材5の挿通孔5Bに挿入された状態において、第2支持ピン32Aが挿通可能に構成される。第2支持ピン32Aは、例えばドリフトピンである。第2接続部31が第1骨組部材5の挿通孔5Bに挿入された状態において、第2支持ピン32Aが第1骨組部材5の貫通孔および第2接続部31の第2貫通孔32に挿通することによって、第2接続部31が第1骨組部材5に強固に取り付けられる。第2支持ピン32Aが、第1骨組部材5に形成される貫通孔および第2接続部31の第2貫通孔32を貫通することによって、第1骨組部材5に対する第1金具21の上下方向の移動が規制される。
【0048】
本実施形態の第1金具21の作用を説明する。
第1金具21が第1骨組部材5の上面5Aに配置され、かつ、第1勾配梁7の第1端面9に接続されることによって、第1勾配梁7と第1骨組部材5とが接続される。第1接続面25は、第2接続面26から上に延びる。このため、第1金具21が第1勾配梁7と第1骨組部材5とを接続した状態において、第1接続面25は、第1骨組部材5の上面5Aから上に延びるように配置される。したがって、第1接続面25に第1勾配梁7の第1端面9が取り付けられることによって、第1勾配梁7が第1骨組部材5に対して上にオフセットされる。
【0049】
図6に示されるように、第1金具21は、上下方向において第1勾配梁7が第1骨組部材5と重ならないように第1勾配梁7と第1骨組部材5と接続できる。第1金具21が無ければ、第1勾配梁7を第1骨組部材5に対して上にオフセット接続するためには、上下方向において第1勾配梁7が第1骨組部材5と重なるように長手方向に第1勾配梁7を延長する必要がある。これに対して、第1金具21によれば、第1金具21によって第1勾配梁7を第1骨組部材5に対して上にオフセット接続することができるため、第1勾配梁7を延長する必要がない。要するに、第1金具21によって、従来の屋根60の勾配梁62をそのまま使用して第1接続構造22を構成できる。
【0050】
<第2金具>
図5から
図8を参照して、第2接続構造24を実現するための第2金具23を説明する。第2金具23は、第2端面10の少なくとも一部が、第2骨組部材6の上面6Aよりも上に位置するように第1勾配梁7と第2骨組部材6とを接続する。
【0051】
図8に示されるように、第2金具23は、第3接続面33と第4接続面34とを含む。第3接続面33は、第1勾配梁7の上端の第2端面10に接触するように構成される。第4接続面34は、第2骨組部材6の上面6Aに接触するように構成される。第4接続面34は、第3接続面33に垂直に交わる。第4接続面34は、第3接続面33の下端において第3接続面33に垂直に交わる。第3接続面33および第4接続面34は、連続的に形成される。
【0052】
図5に示されるように、第2金具23は、第2本体部35を含む。第2本体部35は、鉄、ステンレス鋼等によって構成される。第2本体部35は、第3接続面33が形成される第3部分35Aと、第4接続面34が形成される第4部分35Bとを含む。第3部分35Aは板状部材である。第4部分35Bは板状部材である。第3部分35Aおよび第4部分35Bは、一枚の板状部材を折り曲げて形成されてもよいし、2枚の板状部材を溶接によって接合して形成されてもよい。
【0053】
図8に示されるように、第2金具23は、第3支持部36Aと第4支持部36Bとを含む。第3支持部36Aおよび第4支持部36Bは、第3部分35Aが第4部分35Bに対して垂直に配置されるように第3部分35Aを支持する。第3支持部36Aおよび第4支持部36Bは、第3方向D3に並ぶように配置される。第3方向D3は、第3接続面33および第4接続面34に平行な方向である。第2金具23が第1勾配梁7と第2骨組部材6とを接続する状態において、第3方向D3は、第1方向D1に一致する。第3支持部36Aおよび第4支持部36Bは、鉄、ステンレス鋼等によって構成され、溶接等によって第2本体部35に接合される。
【0054】
図5および
図6に示されるように、第2金具23は第3接続部37をさらに含む。第3接続部37は第3接続面33に形成される。第3接続部37は、第1勾配梁7の上端の第2端面10に形成されるスリット10Aに挿入される。第3接続部37がスリット10Aに挿入されることによって、第2金具23に対する第1方向D1への第1勾配梁7の移動が規制される。第3接続部37は、ボルトおよびナットによって取り外し可能に、第3部分35Aに取り付けられる。第3接続部37が第3部分35Aから取り外し可能なため、第1勾配梁7の寸法に応じて、第3接続部37の大きさおよび形状を選択できる。第3接続部37は、第3部分35Aと一体に形成されてもよい。
【0055】
第3接続部37は、第3接続部分37Aと第4接続部分37Bとを含む。第3接続部分37Aおよび第4接続部分37Bは、第1勾配梁7と第2骨組部材6とが接続された状態において、厚さ方向が第3方向D3に一致する板状部材によって構成される。第3接続部分37Aおよび第4接続部分37Bは、第3方向D3に隙間をあけて並ぶように配置される。第3接続部分37Aおよび第4接続部分37Bは、第1勾配梁7と第2骨組部材6とが接続された状態において、第3接続面33から第1勾配梁7に沿って斜め下に延びるように形成される。第3接続部37は、第2金具23に対する第2骨組部材6に平行な方向への第1勾配梁7の移動を規制できれば、第3接続部分37Aおよび第4接続部分37Bに加えて、または、これらに代えて他の部材を含んでもよい。他の部材の例として軸部材が挙げられる。
【0056】
第3接続部37は、第3貫通孔38を含む。第3貫通孔38は、第3接続部分37Aおよび第4接続部分37Bに形成される。第3貫通孔38は、第3接続部37が第1勾配梁7の上端のスリット10Aに挿入された状態において、第3支持ピン38Aが挿通されるように構成される。第3支持ピン38Aは、例えばドリフトピンである。第3接続部37がスリット10Aに挿入された状態において、第3支持ピン38Aが第3貫通孔38に挿通することによって、第3接続部37が第1勾配梁7に強固に取り付けられる。また、第3支持ピン38Aが、第1勾配梁7の貫通孔および第3接続部37の第3貫通孔38に挿通することによって、第2金具23に対する上下方向への第1勾配梁7の移動が規制される。
【0057】
第2金具23は第4接続部39をさらに含む。第4接続部39は第4接続面34に形成される。第4接続部39は、第2骨組部材6の上面6Aに形成される挿通孔6Bに挿入される。第4接続部39は、第2軸部39Aを含む。第2軸部39Aが挿通孔6Bに挿入されることによって、第2骨組部材6に対する水平な方向への第2金具23の移動が規制される。第4接続部39は、ボルトによって取り外し可能に、第4部分35Bに取り付けられてもよい。第4接続部39は、第4部分35Bと一体に形成されてもよい。
【0058】
第4接続部39は、第4貫通孔40を含む。第4貫通孔40は、第2軸部39Aに形成される。第4貫通孔40は、第4接続部39が第2骨組部材6の挿通孔6Bに挿入された状態において、第4支持ピン40Aが挿通可能に構成される。第4支持ピン40Aは、例えばドリフトピンである。第4接続部39が第2骨組部材6の挿通孔6Bに挿入された状態において、第4支持ピン40Aが第2骨組部材6の貫通孔および第4接続部39の第4貫通孔40を貫通することによって、第4接続部39が第2骨組部材6に強固に取り付けられる。第4支持ピン40Aが、第2骨組部材6に形成される貫通孔および第4接続部39の第4貫通孔40を貫通することによって、第2骨組部材6に対する上下方向への第2金具23の移動が規制される。
【0059】
図7および
図8に示されるように、第2接続部31は、複数の第2貫通孔32を含む。第4接続部39は、複数の第4貫通孔40を含む。複数の第4貫通孔40のピッチは、複数の第2貫通孔32のピッチと等しい。
【0060】
本実施形態の第2金具23の作用を説明する。
第2金具23が第2骨組部材6の上面6Aに配置され、かつ、第1勾配梁7の第2端面10に接続されることによって、第1勾配梁7と第2骨組部材6とが接続される。第3接続面33は、第4接続面34から上に延びる。このため、第2金具23が第1勾配梁7と第2骨組部材6とを接続した状態において、第3接続面33は、第2骨組部材6の上面6Aから上に延びるように配置される。したがって、第3接続面33に第1勾配梁7の第2端面10が取り付けられることによって、第1勾配梁7が第2骨組部材6に対して上にオフセットされる。
【0061】
図6に示されるように、第2金具23は、上下方向において第1勾配梁7が第2骨組部材6と重ならないように第1勾配梁7と第2骨組部材6と接続できる。第2金具23が無ければ、第1勾配梁7を第2骨組部材6に対して上にオフセット接続するためには、上下方向において第1勾配梁7が第2骨組部材6と重なるように、長手方向に第1勾配梁7を延長する必要がある。これに対して、第2金具23によれば、第2金具23によって第1勾配梁7を第2骨組部材6に対して上にオフセット接続することができるため、第1勾配梁7を延長する必要がない。要するに、第2金具23によって、従来の屋根60の勾配梁62をそのまま使用して、第2接続構造24を構成できる。
【0062】
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)接続構造20は、第1勾配梁7の下端と第1骨組部材5とを接続する第1接続構造22を含む。第1接続構造22は、第1勾配梁7の下端の第1端面9に接触する第1金具21を備える。第1接続構造22は、第1金具21によって、第1勾配梁7の下面7Bが第1骨組部材5の上面5Aよりも上に位置するように第1勾配梁7と第1骨組部材5とが接続される構造を含む。
【0063】
この構成によれば、第1勾配梁7の下面7Bが第1骨組部材5の上面5Aよりも上に位置するため、第1勾配梁7を従来の接続構造の勾配梁62よりも高い位置に配置できる。第1勾配梁7の位置が高くなるため、第1方向D1から見て第1勾配梁7が垂木8に重なる。これにより、第1勾配梁7の下面7Bと垂木8の下面8Dとの段差が、従来の屋根60の勾配梁62の下面と垂木64の下面との段差よりも小さくなる。このため、屋根1の厚みを薄くできるため、屋根1をスリム化できる。したがって、従来の屋根60よりも天井の意匠性を向上できる。
【0064】
(1-2)第1金具21は、第1勾配梁7の第1端面9に接触する第1接続面25と、第1骨組部材5の上面5Aに接触し、第1接続面25に垂直に交わる第2接続面26と、を含む。この構成によれば、第1金具21が第1勾配梁7および第1骨組部材5に接触するため、第1金具21によって第1勾配梁7と第1骨組部材5とを確実に接続できる。
【0065】
(1-3)第1接続面25に、第1勾配梁7の第1端面9に形成されるスリット9Aに挿入される第1接続部29が形成される。この構成によれば、第1接続部29がスリット9Aに挿入されることによって第1金具21に対する第1勾配梁7の移動が規制されるため、第1勾配梁7と第1骨組部材5とを、正確な位置関係で接続できる。
【0066】
(1-4)第2接続面26には、第1骨組部材5の上面5Aに形成される挿通孔5Bに挿入される第2接続部31が形成される。この構成によれば、第2接続部31が挿通孔5Bに挿入されることによって第1骨組部材5に対する第1金具21の移動が規制されるため、第1勾配梁7と第1骨組部材5とを、正確な位置関係で接続できる。
【0067】
(1-5)接続構造20は、第1勾配梁7の上端と第2骨組部材6とを接続する第2接続構造24をさらに含む。第2接続構造24は、第1勾配梁7の上端の第2端面10に接触する第2金具23を備える。第2金具23によって、第2端面10の少なくとも一部が、第1骨組部材5と平行に配置される第2骨組部材6の上面6Aよりも上に位置するように第1勾配梁7と第2骨組部材6とが接続される。
【0068】
この構成によれば、第1接続構造22および第2接続構造24によって、第1勾配梁7の上端から下端まで、第1勾配梁7を従来の接続構造の勾配梁62よりも高い位置に配置できるため、屋根1の構成がスリム化される。
【0069】
(1-6)建築物2の屋根1であって、接続構造20を備える。この構成によれば、第1勾配梁7が従来の接続構造の勾配梁62よりも高い位置に配置されるため、屋根1の構成がスリム化される。また、従来の屋根60よりも、天井部材13を高い位置に配置できるため、従来の屋根60よりも天井の意匠性を向上できる。
【0070】
(1-7)建築物2の屋根1であって、第1骨組部材5と、第1骨組部材5と平行に配置される第2骨組部材6と、第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される第1勾配梁7と、第1勾配梁7と平行に配置される垂木8と、を備える。第1勾配梁7は、第1勾配梁7の上面7Aが垂木8の下面8Dよりも上に位置するように第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される。
【0071】
この構成によれば、第1勾配梁7の上面7Aが垂木8の下面8Dよりも上に位置するように第1勾配梁7が配置されるため、第1骨組部材5に沿う第1方向D1から第1勾配梁7および垂木8を見た場合に、垂木8の少なくとも一部が第1勾配梁7と重なる。したがって、第1勾配梁7および垂木8による屋根1の厚みを薄くできる。これによって、屋根1の構成がスリム化される。
【0072】
(1-8)第1勾配梁7は、第1勾配梁7の上面7Aが、垂木8の上面8Cと同じ高さに位置するように、第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される。この構成によれば、第1勾配梁7の上下方向における寸法L1が垂木8の上下方向における寸法L2よりも大きい場合、第1骨組部材5に沿う第1方向D1から見て、垂木8の上下方向における全部が第1勾配梁7と重なる。したがって、第1勾配梁7の寸法と垂木8の寸法とによる屋根1の厚みを薄くできる。このため、屋根1の構成がスリム化される。
【0073】
また、この構成によれば、第1勾配梁7および垂木8に野地板12を取り付けできる。野地板12が第1勾配梁7に取り付けられることによって、屋根1の剛性が向上する。屋根1の剛性が向上することによって、建築物2の剛性を向上するための構成を従来の建築物61よりも少なくできるため、建築物2の構成の自由度が向上する。建築物2の剛性を向上するための構成は、例えば、耐力壁、火打等である。
【0074】
<第2実施形態>
図9を参照して、第2実施形態に係る建築物2の屋根1を説明する。本実施形態の建築物2の屋根1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0075】
<屋根>
屋根1は、第1勾配梁7に平行に配置される第2勾配梁50をさらに備える。第2勾配梁50は、例えば、木材によって構成される。第2勾配梁50の寸法は、第1勾配梁7の寸法と等しい。第2勾配梁50の寸法は、第1勾配梁7の寸法と異なっていてもよい。第2勾配梁50は、第2勾配梁50の上面50Aが第1勾配梁7の上面7Aよりも下に位置するように配置される。第2勾配梁50は、第1方向D1から見て、第2勾配梁50の上側部分が第1勾配梁7に重なるように第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される。
【0076】
第2勾配梁50は、第2勾配梁50の下端の端面が第1骨組部材5の側面に接触するように、第1骨組部材5に接続される。第2勾配梁50は、第2勾配梁50の上端の端面が第2骨組部材6の側面に接触するように、第2骨組部材6に接続される。第2勾配梁50は、第2勾配梁50の上面50Aが垂木8の上面8Cよりも下に位置するように第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される。第2勾配梁50は、第1方向D1から見て、第2勾配梁50の上面50Aが第2基準線R2に一致するように配置される。
【0077】
屋根1は、第2繋ぎ梁51と追加垂木52とを備える。第2繋ぎ梁51および追加垂木52は、例えば、木材によって構成される。第2繋ぎ梁51の第1端は、第2繋ぎ梁51の上面が第2勾配梁50の上面50Aと面一となるように、第2勾配梁50の側面に接続される。第2繋ぎ梁51の第2端は、第2繋ぎ梁51の上面が第1勾配梁7の上面7Aよりも下に位置するように、第1勾配梁7の下に配置される勾配梁に接続される。第1勾配梁7の下に配置される勾配梁は、例えば従来の接続構造の勾配梁である。追加垂木52は、屋根1を上側から見て、第1方向D1において第1勾配梁7と第2勾配梁50との間に配置される。追加垂木52は、追加垂木52の上面が垂木8の上面8Cと面一となるように、配置される。追加垂木52は、第1骨組部材5、第2骨組部材6および第2繋ぎ梁51に、ビス等によって取り付けられる。
【0078】
屋根1は、第2勾配梁50に交差するように配置されるけらば部材53をさらに備える。けらば部材53は、第2勾配梁50に支持される。けらば部材53は、第2勾配梁50の上に配置される。けらば部材53は、例えば、木材によって構成される。けらば部材53は、建築物2のけらば54を構成する。けらば部材53は、例えば、一端が追加垂木52に接続される持ち出し梁53Aを含む。けらば部材53は、けらば部材53の下面が第1勾配梁7の下面7Bと同じ高さに位置するように追加垂木52に接続される。けらば部材53は、けらば部材53の上面が追加垂木52の上面と面一となるように追加垂木52に接続される。
【0079】
本実施形態の屋根1の作用を説明する。
本実施形態の建築物2は、第1勾配梁7に加えて、第2勾配梁50をさらに備える。けらば部材53を第2勾配梁50によって支持できるため、けらば54を大きく構成できる。第2勾配梁50によって、第1勾配梁7によるスリムな天井と、第2勾配梁50による大きなけらば54とを有する建築物2を構成できる。
【0080】
本実施形態の効果を説明する。
(2-1)第1勾配梁7に平行に配置される第2勾配梁50をさらに備える。第2勾配梁50は、第2勾配梁50の上面50Aが垂木8の上面8Cよりも下に位置するように第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続される。
【0081】
この構成によれば、屋根1が、第1勾配梁7とは異なるように配置される第2勾配梁50を含むことによって、スリム化できる部分とスリム化しない部分とを設けることができる。また、屋根1が、第1勾配梁7とは異なるように配置される第2勾配梁50を含むため、屋根1の構成の自由度が向上する。例えば、従来の屋根60において、勾配梁62に代えてまたは加えて、第1勾配梁7を追加できる。この場合、第1勾配梁7の部分では、第2勾配梁50が配置されていないため、屋根1の構成をスリム化できる。また、野地板12を第1勾配梁7に取り付けることによって、従来の屋根60よりも剛性を向上できる。
【0082】
(2-2)第2勾配梁50に交差するけらば部材53をさらに備える。けらば部材53は、第2勾配梁50によって支持される。この構成によれば、けらば部材53を第2勾配梁50によって支持できるため、けらば54を大きくできる。また、けらば54を大きく構成できるため、屋根1の意匠性を向上できる。
【0083】
<変形例>
上記各実施形態は、接続構造20および建築物2の屋根1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。接続構造20および建築物2の屋根1は、上記各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、各実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、各実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施形態の変形例を示す。
【0084】
(1)接続構造20を備える屋根1は、ピロティ3の上に配置される屋根でなくてもよい。接続構造20を備える屋根1は、例えば、建築物2の室内の上に配置される屋根であってもよい。
【0085】
(2)柱が、第1骨組部材5でもよい。柱は、第3柱4Cまたは第4柱4Dを含む。要するに、第1接続構造22は、第1金具21によって、第1勾配梁7の下面7Bが柱の上面よりも上に位置するように第1勾配梁7と柱とが接続される構造を有してもよい。
【0086】
(3)第1勾配梁7は、第1勾配梁7の上面7Aが垂木8の上面8Cよりも下に位置するように、第1骨組部材5および第2骨組部材6に接続されてもよい。この場合であっても、第1勾配梁7の上面7Aが垂木8の下面8Dよりも上に位置していれば、第1勾配梁7の下面7Bが高い位置に配置されるため、屋根1の構成を、従来の屋根60よりもスリム化できる。
【0087】
(4)第1勾配梁7は、第1勾配梁7の下面7Bが垂木8の下面8Dと同じ高さになるように配置されてもよい。この場合であっても、第1勾配梁7の下面7Bが高い位置に配置されるため、屋根1の構成を、従来の屋根60よりもスリム化できる。
【0088】
(5)第1金具21は、第1接続面25および第2接続面26を有していれば、その形状は限定されない。第1金具21は、例えば、第1接続面25および第2接続面26を有する立方体、直方体等として形成されてもよい。
【0089】
(6)第2金具23は、第3接続面33および第4接続面34を有していれば、その形状は限定されない。第2金具23は、例えば、第3接続面33および第4接続面34を有する立方体、直方体等として形成されてもよい。
【0090】
(7)第2接続構造24によって、平面視において第1勾配梁7が第2骨組部材6と重なるように、第1勾配梁7と第2骨組部材6とが接続されてもよい。この場合、第2接続構造24によって、第1勾配梁7の下面7Bが第2骨組部材6の上面6Aよりも上に位置するように、第1勾配梁7が第2骨組部材6に接続されてもよい。
【0091】
本明細書には以下の技術が開示される。
[付記1]
第1勾配梁の下端と第1骨組部材とを接続する第1接続構造を含み、前記第1接続構造は、前記第1勾配梁の前記下端の第1端面に接触する第1金具を備え、前記第1金具によって、前記第1勾配梁の下面が前記第1骨組部材の上面よりも上に位置するように前記第1勾配梁と前記第1骨組部材とが接続される接続構造。
【0092】
[付記2]
前記第1金具は、前記第1端面に接触する第1接続面と、前記第1骨組部材の上面に接触し、前記第1接続面に垂直に交わる第2接続面と、を含む付記1に記載の接続構造。
【0093】
[付記3]
前記第1接続面に、前記第1端面に形成されるスリットに挿入される第1接続部が形成される付記2に記載の接続構造。
【0094】
[付記4]
前記第2接続面に、前記第1骨組部材の上面に形成される挿通孔に挿入される第2接続部が形成される付記2または3に記載の接続構造。
【0095】
[付記5]
前記第1勾配梁の上端と、前記第1骨組部材と平行に配置される第2骨組部材と、を接続する第2接続構造をさらに含み、前記第2接続構造は、前記第1勾配梁の前記上端の第2端面に接触する第2金具を備え、前記第2端面は、前記第1端面とは反対側の端面であって、前記第2接続構造は、前記第2金具によって、前記第2端面の少なくとも一部が、前記第2骨組部材の上面よりも上に位置するように前記第1勾配梁と前記第2骨組部材とが接続される構造を含む付記1から4のいずれか一項に記載の接続構造。
【0096】
[付記6]
建築物の屋根であって、付記1から5のいずれか一項に記載の接続構造を備える屋根。
【0097】
[付記7]
建築物の屋根であって、第1骨組部材と、前記第1骨組部材と平行に配置される第2骨組部材と、前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される第1勾配梁と、前記第1勾配梁と平行に配置される垂木と、を備え、前記第1勾配梁は、前記第1勾配梁の上面が前記垂木の下面よりも上に位置するように前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される屋根。
【0098】
[付記8]
前記第1勾配梁は、前記第1勾配梁の上面が、前記垂木の上面と同じ高さに位置するように、前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される付記7に記載の屋根。
【0099】
[付記9]
前記第1勾配梁に平行に配置される第2勾配梁をさらに備え、前記第2勾配梁は、前記第2勾配梁の上面が前記垂木の上面よりも下に位置するように前記第1骨組部材および前記第2骨組部材に接続される付記7または8に記載の屋根。
【0100】
[付記10]
前記第2勾配梁に交差するように配置され、かつ、前記第2勾配梁に支持されるけらば部材をさらに備える付記9に記載の屋根。
【符号の説明】
【0101】
1…屋根、2…建築物、5…第1骨組部材、6…第2骨組部材、7…第1勾配梁、8…垂木、9…第1端面、9A…スリット、10…第2端面、10A…スリット、20…接続構造、21…第1金具、22…第1接続構造、23…第2金具、24…第2接続構造、25…第1接続面、26…第2接続面、29…第1接続部、31…第2接続部、50…第2勾配梁、53…けらば部材。