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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20240806BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240806BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J29/38 101
B41J11/70
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022149843
(22)【出願日】2022-09-21
(65)【公開番号】P2024044354
(43)【公開日】2024-04-02
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂崎 尚之
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-154418(JP,A)
【文献】特開2018-001592(JP,A)
【文献】特開2004-291317(JP,A)
【文献】特開2006-139397(JP,A)
【文献】特開2021-070213(JP,A)
【文献】特開平11-001036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36
B41J 2/32
B41J 29/00 -29/42
B41J 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源スイッチへの第1の操作に基づいて所定の電源がオンまたはオフにされる電子機器であって、
筐体の前面に設けられ、帯状のテープが前記筐体の内部からテープ面が所定の方向を向けて繰り出される排出口と、
前記電源スイッチへの第2の操作であって前記第1の操作とは操作手順が異なる第2の操作に基づいて、前記筐体の内部に設けられた切断手段が前記テープを切断するように、前記切断手段を駆動制御する制御手段と、
を備え、
前記電源スイッチは、前記第2の操作での操作方向が、前記排出口に位置している部分の前記テープ面における法線方向に沿った方向になるように前記筐体の上面に設けられており、且つ、前記筐体の上面での配置位置が前記筐体の後面寄りになるように設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
電源スイッチへの第1の操作に基づいて所定の電源がオンまたはオフにされる電子機器であって、
縦方向よりも横方向が長い横長形状に筐体の前面に設けられ、帯状のテープが前記筐体の内部から繰り出される排出口と、
前記電源スイッチへの第2の操作であって前記第1の操作とは操作手順が異なる第2の操作に基づいて、前記筐体の内部に設けられた切断手段が前記テープを切断するように、前記切断手段を駆動制御する制御手段と、
を備え、
前記電源スイッチは、前記第2の操作での操作方向が、前記縦方向に沿った方向になるように前記筐体の上面に設けられており、且つ、前記筐体の上面での配置位置が前記筐体の後面寄りになるように設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記第2の操作は、前記電源スイッチを所定の時間内に複数回押圧する操作として設定されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電源スイッチへの前記第1の操作に基づいて所定の機能に係るデバイスの電源がオンまたはオフにされる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記所定の機能は通信機能である、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電源スイッチへの前記第1の操作に基づいて主電源がオンまたはオフにされる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯状の被印刷媒体にサーマルヘッドにより印刷するとともに、印刷後の被印刷媒体をカッターによりカットするラベルプリンターが開示されている。このカッターは、手動と電動のどちらでも動作する。手動の場合、使用者が機械的な押しボタンを下へ押し込むと、押しボタンの直線運動が伝動機構によって回動刃の回転運動に変換される。そのため、回動刃が後ろから前へ固定刃に近づいて、テープが可動刃と固定刃によって挟み切られる。
【0003】
特許文献1のラベルプリンターは、押しボタンのほかに、電気的な複数の操作キーを有する。使用者が操作キーを押すことによって、操作キーに割り当てられた入力、コマンド又は情報などをラベルプリンターに与えることができ、ラベルプリンターは、押された操作キーに割り当てられた入力、コマンド又は情報に対応した処理或いは動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-1036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ラベルプリンターの製造コストを削減するために、操作キーを削減することが考えられる。操作キーが削減されると、ラベルプリンターに与えられるコマンド等の種類が少なくなってしまう。それを解消すべく、複数種のコマンド等が1つの操作キーに割り当てられ、その操作キーに対する複数種の操作が複数種のコマンド等にそれぞれ割り当てることが考えられる。ところが、使用者にとっては、複数種の操作と複数種のコマンド等の対応関係が分からないことがある。
【0006】
本発明の課題は、テープの切断が電源スイッチに割り当てられることを使用者にとって分かりやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、電源スイッチへの第1の操作に基づいて所定の電源がオンまたはオフにされる電子機器であって、筐体の前面に設けられ、帯状のテープが前記筐体の内部からテープ面が所定の方向を向けて繰り出される排出口と、前記電源スイッチへの第2の操作であって前記第1の操作とは操作手順が異なる第2の操作に基づいて、前記筐体の内部に設けられた切断手段が前記テープを切断するように、前記切断手段を駆動制御する制御手段と、を備え、前記電源スイッチは、前記第2の操作での操作方向が、前記排出口に位置している部分の前記テープ面における法線方向に沿った方向になるように前記筐体の上面に設けられており、且つ、前記筐体の上面での配置位置が前記筐体の後面寄りになるように設けられている、ことを特徴とする電子機器が提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、電源スイッチへの第1の操作に基づいて所定の電源がオンまたはオフにされる電子機器であって、縦方向よりも横方向が長い横長形状に筐体の前面に設けられ、帯状のテープが前記筐体の内部から繰り出される排出口と、前記電源スイッチへの第2の操作であって前記第1の操作とは操作手順が異なる第2の操作に基づいて、前記筐体の内部に設けられた切断手段が前記テープを切断するように、前記切断手段を駆動制御する制御手段と、を備え、前記電源スイッチは、前記第2の操作での操作方向が、前記縦方向に沿った方向になるように前記筐体の上面に設けられており、且つ、前記筐体の上面での配置位置が前記筐体の後面寄りになるように設けられている、ことを特徴とする電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の各態様によれば、テープの切断が電源スイッチに割り当てられることを使用者にとって分かりやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、電子機器の外観を示す。
図2図2は、電子機器の内部構造を示す。
図3図3は、電子機器の各ブロックを示す。
図4図4は、使用者が電源スイッチの1回押しをした時の信号の変化を示す。
図5図5は、使用者が電源スイッチの長押しをした時の信号の変化を示す。
図6図6は、使用者が電源スイッチの2回押しをした時の信号の変化を示す。
図7図7は、電子機器の制御部が行う処理の流れを示す。
図8図8は、使用者が電源スイッチの2回押しをした時の信号の変化を示す。
図9図9は、使用者が電源スイッチの2回押しをした時の信号の変化を示す。
図10図10は、使用者が電源スイッチの2回押した後に1回押しをした時の信号の変化を示す。
図11図11は、電子機器の制御部が2回押しと判定しない場合の信号の変化を示す。
図12図12は、電子機器の制御部が2回押しと判定しない場合の信号の変化を示す。
図13図13は、電子機器の制御部が2回押しと判定しない場合の信号の変化を示す。
図14図14は、電子機器の制御部が2回押しと判定しない場合の信号の変化を示す。
図15図15は、変形例の電子機器の外観を示す。
図16図16は、変形例の電子機器の各ブロックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0012】
[1. 電子機器]
図1は、1の外観を示す斜視図である。図2は、電子機器1の内部を示す断面図である。図3は、電子機器1のブロック図である。
【0013】
電子機器1は、携帯型の印刷装置であり、より具体的にはサーマルプリンターであり、更に具体的にはラベルプリンターである。電子機器1は、筐体10、メインボード30、中継基板31、電源スイッチ32、光源33、搬送モーター40、カセット50、サーマルヘッド60、搬送ローラー65、ロータリーエンコーダー66、電動カッター70、主制御回路80、処理部91及びスイッチ回路92を備える。
【0014】
(1) 筐体
筐体10は、丸みを帯びた直方体箱状に成している。筐体10の幅は、筐体10の奥行き及び高さよりも小さい。筐体10の高さは、筐体10の奥行きにほぼ等しい。筐体10の奥行き方向、幅方向及び高さ方向は互いに直交し、奥行き方向が前後方向でもあり、幅方向は左右方向でもあり、高さ方向が上下方向でもある。上下方向は必ずしも鉛直方向ではない。
【0015】
筐体10は樹脂製である。筐体10は、第1の内部空間としての中空17をその内側に有する。筐体10は、その前面12の上下方向中央部に排出口18を有する。排出口18は横長なスロットである。つまり、横方向における排出口18の寸法は、縦方向における排出口18の寸法よりも長い。印刷済みの帯状のテープ55がこの排出口18から筐体10の外に排出される。排出口18の内側では、テープ55の幅方向が、通常、排出口18の横方向に対して平行である。なお、排出口18の横方向は、筐体10の幅方向に対して平行であり、排出口18の縦方向は、筐体10の高さ方向に対して平行である。
【0016】
筐体10は、その内側にカセット50を収容する。筐体10の一部が筐体10の他の部分に対して開閉可能又は着脱可能に設けられている。筐体10の一部が筐体10の他の部分に対して開かれ、又は外されると、カセット50が露出される。そのため、カセット50の着脱及び交換が可能となる。
【0017】
筐体10は、その上面11の後部に操作子22を有する。操作子22は押下可能である。操作子22の操作方向、つまり操作子22が押される方向は、排出口18の縦方向に対して平行であるとともに、排出口18内におけるテープ55の表面(ひょうめん)の法線に対して平行である。更に、操作子22の操作方向は、後述の電動カッター70の可動刃72が移動する方向に対して平行である。なお、テープ55の表面(ひょうめん)のことをテープ面ともいう。
【0018】
筐体10は、その上面11の後部に透明な窓23を有する。窓23は、操作子22の前に配置されている。
【0019】
筐体10は、その内側に少なくとも1つの電池99(図3参照)を収容する。電池99は、一次電池又は二次電池である。
【0020】
(2) 電源スイッチ、光源及び中継基板
電源スイッチ32は、筐体10の内側において操作子22の下に配置されている。電源スイッチ32は、例えば、筐体10の内側において筐体10に固定された回路基板に搭載されている。電源スイッチ32は、押しスイッチである。より具体的には、電源スイッチ32は、タクタイルスイッチ、モーメンタリースイッチ、ドームスイッチ、メンブレンスイッチ又は感圧スイッチである。電源スイッチ32は、操作子22とともに、使用者によって押される。電源スイッチ32が押されることによって電源スイッチ32がオンされる。電源スイッチ32は押しが解除されると、電源スイッチ32がオフされる。
【0021】
電源スイッチ32の操作方向、つまり電源スイッチ32が押される方向は、排出口18の縦方向に対して平行であるとともに、排出口18内におけるテープ55の表面の法線に対して平行である。更に、電源スイッチ32の操作方向は、後述の電動カッター70の可動刃72が移動する方向に対して平行である。従って、使用者は、電源スイッチ32の操作方向から、電動カッター70によるテープ55の切断方向を想起できる。ひいては、使用者は、電源スイッチ32の操作方向から電動カッター70によるテープ55の切断を想起できるとともに、テープ切断のコマンドが電源スイッチ32に割り当てられていることを直感的に分かりやすい。
【0022】
使用者が電源スイッチ32に対して1回押し、2回押し及び長押しのような操作をすることによって、電源スイッチ32が操作の内容に応じた信号を処理部91及び制御部81に出力する。これにより、使用者は、操作を通じて、操作内容に応じたコマンドを処理部91及び制御部81に与えられる。具体的には、使用者が1回押しの操作をすれば、電源オンのコマンドを処理部91及び制御部81に与えられる。使用者が2回押しの操作をすれば、テープ切断のコマンドを処理部91及び制御部81に与えられる。使用者が長押しの操作をすれば、電源オフのコマンドを処理部91及び制御部81に与えられる。1回押しとは、電源スイッチ32が押された後に、その時から所定期間(例えば1秒間)経過する迄にその押しが解除されることをいう。2回押しとは、電源スイッチ32が2回押された後に、1回目の押し解除時から所定期間経過するまでに2回目の押しが解除されることをいう。長押しとは、電源スイッチ32が押された後に、その時から所定期間(例えば1秒間)経過した後にその押しが解除されることをいう。1回押し及び長押しは、電子機器1の主電源をオン及びオフするための第1操作であり、2回押しは、電子機器1にテープ切断動作を開始させるための第2操作である。
【0023】
光源33は、発光色が変更可能である。光源33は、互いに異なる発光色の2以上のLEDを有する。これらLEDの発光・消灯が個別に行われることによって、光源33が多彩な色に発光する。例えば、光源33が赤色LED及び緑色LEDを有する場合、赤色LEDと緑色LEDの両方が発光した場合の光源33の発光色が橙色であり、赤色LEDのみが発光した場合の光源33の発光色が赤色であり、緑色LEDのみが発光した場合の光源33の発光色が緑色である。
【0024】
電源スイッチ32及び光源33は、中継基板31に表面実装されている。中継基板31は、筐体10の内側において筐体10に取り付けられている。中継基板31は、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)、リード線及びワイヤーハーネス等のようなフレキシブル配線を介してメインボード30に接続されている。
【0025】
(3) 搬送モーター
搬送モーター40は筐体10内において筐体10に取り付けられている。搬送モーター40は伝動機構を介してトルクを後述の搬送ローラー65及び巻き取りリール58に出力する。
【0026】
(4) カセット
カセット50は、筐体10に対して着脱可能である。カセット50は、カセットケース51、元巻きリール52、元巻きリール53、巻き取りリール58、テープロール54及びリボンロール56を有する。
【0027】
リール52,53,58はこれらの中心軸が互いに平行となって、カセットケース51内に回転可能に取り付けられている。元巻きリール52がテープロール54の中央に装着されており、そのテープロール54がカセットケース51に収容されている。テープロール54は、被印刷媒体としてのテープ55が巻回されたものである。テープ55は、テープロール54からカセットケース51の上面の外側まで案内されている。テープ55は、基材、粘着材及びテープ本体が順にラミネートされたラミネートであり、粘着材は、基材から剥離可能である。元巻きリール53がリボンロール56の中央に装着されており、そのリボンロール56がカセットケース51に収容されている。リボンロール56は、熱転写用のインクリボン57が巻回されたものである。インクリボン57は、リボンロール56からカセットケース51の外側に案内されて、カセットケース51の外側においてテープ55に重ねられて、そこからカセットケース51の内側の巻き取りリール58まで案内されている。
【0028】
カセット50が筐体10内に収容されると、リール52,53,58が後ろから前へ順に配列され、テープ55がテープロール54から排出口18まで案内されるとともに、リール巻き取りリール58が伝動機構を介して搬送モーター40に接続される。搬送モーター40が巻き取りリール58を回転駆動すると、インクリボン57が元巻きリール53から巻き取りリール58の方へ引き出されて、巻き取りリール58に巻き取られる。
【0029】
(5) サーマルヘッド、搬送ローラー及びロータリーエンコーダー
サーマルヘッド60及び搬送ローラー65は筐体10の内側において排出口18から後ろに離れた箇所に取り付けられている。搬送ローラー65がサーマルヘッド60の上に配置されて、バネ等によってサーマルヘッド60に押し当てられる。カセット50が筐体10内に収容されると、テープ55とインクリボン57の互いに重なった部分が搬送ローラー65とサーマルヘッド60との間に挟まれる。
【0030】
搬送ローラー65が伝動機構を介して搬送モーター40に接続されている。搬送モーター40が搬送ローラー65を回転駆動すると、搬送力が搬送ローラー65からテープ55及びインクリボン57に与えられて、テープ55が排出口18の方へ搬送されるとともに、インクリボン57が巻き取りリール58の方へ搬送される。なお、搬送ローラー65のことをプラテンローラーともいう。
【0031】
サーマルヘッド60は、搬送ローラー65の回転軸に対して平行な方向に配列された複数の発熱体を有する。これら発熱体が個別に発熱することによって、発熱体によって加熱されたインクがインクリボン57からテープ55に転写される。これにより文字、数字、記号及び絵文字等の像がテープ55に、特にテープ本体の表面に印刷される。
【0032】
ロータリーエンコーダー66は搬送ローラー65に取り付けられている。ロータリーエンコーダー66は、搬送ローラー65が所定回転角だけ回転するたびにパルス信号を出力することによって、テープ55の搬送速度及び搬送距離を検出する。
【0033】
(6) 電動カッター
電動カッター70は、テープ55を切断する切断手段である。電動カッター70は、筐体10の内側において排出口18の近傍に設置されている。電動カッター70は、固定刃71、可動刃72及び駆動機構73を有する。固定刃71は、カセット50と排出口18の間において筐体10に固定されている。可動刃72は、カセット50と排出口18の間においてガイドを介して筐体10に取り付けられている。可動刃72は、固定刃71との間にテープ55を置いて固定刃71の上に配置され、ガイドによって上下に案内される。駆動機構73は、固定刃71に対して可動刃72を接離させるよう可動刃72を上下動させる。駆動機構73は、切断モーター74と、切断モーター74の回転運動を可動刃72の上下運動に変換する伝動機構と、を有する。駆動機構73が切断モーター74の動力により可動刃72を固定刃71の方へ往動させると、テープ55が可動刃72及び固定刃71によって切断される。駆動機構73が切断モーター74の動力により可動刃72を固定刃71から復動させると、可動刃72が固定刃71から上方に離れる。
【0034】
(7) メインボード、スイッチ回路、処理部及び主制御回路
メインボード30は、筐体10に収容されている。
【0035】
スイッチ回路92、処理部91及び主制御回路80は、メインボード30に搭載されている。なお、処理部91が中継基板31に搭載されていてもよい。スイッチ回路92の全体又はその一部が中継基板31に搭載されてもよい。
【0036】
スイッチ回路92は、例えば電解効果トランジスタ及びバイポーラトランジスタ等のような少なくとも1つのトランジスターを有する。スイッチ回路92は、電池99から主制御回路80までの電力供給路に設けられている。スイッチ回路92は電池99から主制御回路80への電力供給を許容・遮断する。スイッチ回路92は、オンされることによって、電力が電池99から主制御回路80への電力供給を許容する。スイッチ回路92は、オフされることによって、電池99から主制御回路80への電力供給を遮断する。
【0037】
主制御回路80は、制御部81、記憶部82、ドライバー83、ヘッド駆動回路84、モータードライバー85、信号処理回路86、モータードライバー87、インターフェース回路88及び無線機89を有する。
【0038】
ドライバー83は、制御部81によって制御されて、光源33を駆動する。制御部81が光源33の点灯、消灯、点滅及び発光色の指定に関する信号をドライバー83に出力し、ドライバー83は制御部81から入力した信号に従って光源33を動作させる。なお、処理部91が光源33の点灯、消灯、点滅及び発光色指定に関する信号をドライバー83に出力し、ドライバー83は処理部91から入力した信号に従って光源33を動作させてもよい。
【0039】
ヘッド駆動回路84は、制御部81によって制御されて、サーマルヘッド60を駆動する。ヘッド駆動回路84は、制御部81から入力した信号に基づいてサーマルヘッド60の発熱体への通電を行う。
【0040】
モータードライバー85は、制御部81によって制御されて、搬送モーター40を駆動する。つまり、制御部81が搬送モーター40の作動、停止、回転速度及び回転方向に関する信号をモータードライバー85に出力し、モータードライバー85は制御部81から入力した信号に従って搬送モーター40を動作させる。
【0041】
モータードライバー87は、制御部81によって制御されて、切断モーター74を駆動する。
【0042】
信号処理回路86は、ロータリーエンコーダー66が出力するパルス信号を処理して、処理後の信号を制御部81に出力する。
【0043】
無線機89は、例えばアンテナ、送信機及び受信機等を有するデバイスである。無線機89は、制御部81によって制御されて、例えば無線LAN規格及びBluetooth(登録商標)規格等のような所定規格の電波を送受する。無線機89は、制御部81から入力した信号に従って電波を変調させる。無線機89は、他の機器から受信した電波を信号に復調させて、その信号を制御部81に出力する。なお、他の機器は、例えば、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピューター、ノート型パーソナルコンピューター、据置型パーソナルコンピューター及びゲーム装置のような情報処理装置である。
【0044】
インターフェース回路88は、例えばUSB(Universal Serial Bus)コントローラーを有する。インターフェース回路88は、制御部81によって制御されて、他の機器とデータを送受する。
【0045】
無線機89又はインターフェース回路88を通じた他の機器との通信は、他の機器から電子機器1への印刷データの転送と、電子機器1から他の機器へのデータの転送と、他の機器による電子機器1の設定とに利用される。
【0046】
制御部81は、電子機器1の全体の制御を司る制御手段である。制御部81は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサーを含む。記憶部82は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部82のRAMは、記憶領域又は作業領域を制御部81に提供する。例えば、無線機89又はインターフェース回路88を通じて他の機器から受信した印刷データは、記憶部82のRAMに記憶される。記憶部82のROMには、制御部81に実行させるプログラムが格納される。制御部81は、プログラムを実行することによって、ドライバー83、ヘッド駆動回路84、モータードライバー85、信号処理回路86、モータードライバー87、無線機89及びインターフェース回路88の管理と制御を行う。
【0047】
制御部81の信号入力端子が電源スイッチ32に接続され、電源スイッチ32が電池99に接続されている。そのため、電源スイッチ32のオンオフ動作に伴う信号が制御部81に入力される。電源スイッチ32が押されてオンされると、ハイレベルの信号が制御部81に入力される。電源スイッチ32が押し解除されてオフされると、ローレベルの信号が制御部81に入力される。制御部81は、記憶部82に格納されたプログラムを実行することによって、使用者が電源スイッチ32を通じて与えたコマンドを認識する。
【0048】
処理部91は、電池99に接続され、常時動作している。そのため、主制御回路80が動作していなくても、処理部91が待機電力を消費する。処理部91の消費電力は、制御部81の消費電力よりも十分に小さい。
【0049】
処理部91の信号入力端子が電源スイッチ32に接続され、電源スイッチ32が電池99に接続されている。そのため、電源スイッチ32のオンオフ動作に伴う信号が処理部91に入力される。電源スイッチ32が押されてオンされると、ハイレベルの信号が制御部81に入力される。電源スイッチ32が押し解除されてオフされると、ローレベルの信号が処理部91に入力される。
【0050】
処理部91はマイコン及びROM等を有する。処理部91は、マイコンにとって実行可能なプログラムをROMに記憶する。処理部91は、そのプログラムをマイコンによって実行することによって、使用者が電源スイッチ32を通じて与えたコマンドを認識する。
【0051】
処理部91は信号線を介して制御部81に接続されている。処理部91は、信号線を通じて制御部81の状態を監視する。制御部81の状態とは、(A)制御部81が後述の起動処理を実行すること、(B)制御部81が後述のシャットダウン処理を実行すること、(C)制御部81がテープ切断処理を実行すること、(D)電池99の電力が制御部81に供給されずに停止していること(つまり、制御部81が電源OFF状態であること)、(E)制御部81が上記(A)~(D)の何れに該当せずに通常状態であること、をいう。
【0052】
[2. 電子機器の使用方法及び動作]
電子機器1の使用方法について説明する。さらに、使用者が電子機器1を使用する際の電子機器1の動作について説明する。さらに、図4図14を参照して、電子機器1の制御部81及び処理部91がプログラムに従って実行する処理の流れについて説明する。
【0053】
ここで、図4図6及び図8図14は、電源スイッチ32から制御部81及び処理部91に入力される信号の変化を示したタイミングチャートである。使用者が電源スイッチ32を押していれば、信号がハイレベルであり、使用者が電源スイッチ32の押しを解除すれば、信号がローレベルである。図7は、スイッチ回路92がオンされている時に制御部81が実行する処理の流れを示したフローチャートである。
【0054】
(1) 起動
スイッチ回路92がオフされている時、つまり、電池99から主制御回路80への電力供給が遮断されている時、使用者が電源スイッチ32に対して1回押しの操作をすることによって、処理部91に電源オンのコマンドを与える。処理部91は、以下のようにして電源オンのコマンドを認識する。
【0055】
使用者が電源スイッチ32を押すと、図4に示すように、電源スイッチ32から処理部91に入力される信号がローからハイに立ち上がる。そうすると、処理部91は、その立ち上がりをトリガーとして、電源オンのコマンドの認識用のプログラムを開始する。そのプログラムは、立ち下がり判定処理を処理部91に継続的に実行させる。立ち下がり判定処理とは、処理部91が電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がったか否かを判定する処理である。
【0056】
電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がった場合には、処理部91が電源オンのコマンドを認識するとともに、処理部91がスイッチ回路92をオンする。そうすると、スイッチ回路92が電池99から主制御回路80への電力供給を許容し、制御部81が記憶部82内のプログラムに従って起動処理を実行する。また、処理部91が発光色の指定及び点灯の信号をドライバー83に出力すると、ドライバー83が、指定された発光色、例えば橙色で光源33を点灯させる。その後、制御部81が起動処理によりドライバー83、ヘッド駆動回路84、モータードライバー85,87、信号処理回路86、インターフェース回路88及び無線機89を管理・制御可能な通常状態になったら、制御部81がその旨の信号を処理部91に出力する。そうすると、処理部91が、発光色の指定及び点灯の信号をドライバー83に出力する。この際に指定された発光色は、先に処理部91が指定した発光色と異なる。そのため、ドライバー83が光源33の発光色を例えば橙色から緑色に変更する。なお、制御部81がドライバー83に発光色の指定及び点灯の信号をドライバー83に出力することによって、光源33の発光色が変更されてもよい。
【0057】
制御部81が起動処理を実行する間に使用者が電源スイッチ32に対して1回押し、2回押し又は長押しの操作をしても、処理部91及び制御部81がその操作を無効と判定する。つまり、処理部91及び制御部81は、起動処理の間、電源スイッチ32からの信号を無視する。
【0058】
制御部81が通常状態になって、処理部91又は制御部81が光源33の発光色を変更させた後に、制御部81が起動処理を終了するとともに、電源オンのコマンドの認識用のプログラムが終了する。その後も、スイッチ回路92がオン状態を維持する。
【0059】
なお、処理部91は、電源スイッチ32から入力される信号がハイからローに立ち下がることなく、その信号の立ち上がり時から所定時間(例えば、1秒間)を経過したら、電源オンのコマンドの認識用のプログラムを終了させてもよい。この場合、使用者が電源スイッチ32の長押しをしても、主制御回路80に電力が投入されない。
【0060】
(2) 印刷
続いて、電子機器1の起動後の電子機器1の印刷動作について説明する。
【0061】
使用者が、電子機器1に接続された情報処理装置の入力デバイスを用いて情報処理装置に印刷開始のコマンドを情報処理装置に与える。情報処理装置が印刷開始のコマンドを認識して取得すると、情報処理装置が印刷データを生成する。そして、情報処理装置が印刷データを電子機器1に転送する。電子機器1では、制御部81が印刷データの受信処理をインターフェース回路88又は無線機89に実行させることによって、印刷データを情報処理装置からインターフェース回路88又は無線機89を介して取得する。そうすると、制御部81がモータードライバー85を駆動することによって、搬送モーター40が搬送ローラー65及び巻き取りリール58を回転駆動する。そうすると、テープ55がテープロール54から排出口18へ搬送され、インクリボン57がリボンロール56から巻き取りリール58へ搬送される。テープ55及びインクリボン57の搬送中、制御部81が印刷データに従ってヘッド駆動回路84を駆動することによって、サーマルヘッド60がインクリボン57からテープ55に像を熱転写する。そのため、像がテープ55に印刷される。その後、搬送モーター40が停止して、テープ55及びインクリボン57の搬送が止まる。その後、制御部81がモータードライバー87を駆動する。そうすると、電動カッター70の切断モーター74が可動刃72を固定刃71の方へ移動させて、テープ55が固定刃71及び可動刃72によって切断される。その後、電動カッター70の切断モーター74が可動刃72を固定刃71から離間させる。以上により、電子機器1の印刷動作が終了する。
【0062】
(3) テープ切断及びシャットダウン
続いて、電子機器1の起動後の電子機器1のテープ切断動作及びシャットダウン動作について説明する。
【0063】
スイッチ回路92がオンされている時、つまり、電力が電池99から主制御回路80に供給されている時、制御部81がドライバー83を制御することによって、ドライバー83が光源33を例えば緑色に点灯させている。その際、使用者が電源スイッチ32に対して2回押しの操作をすることによって、制御部81にテープ切断のコマンドを与える。或いは、使用者が電源スイッチ32に対して長押しの操作をすることによって、制御部81に電源オフのコマンドを与える。制御部81は、以下のようにしてテープ切断及び電源オフのコマンドを認識する。
【0064】
使用者が電源スイッチ32を押すと、図5及び図6に示すように、電源スイッチ32から制御部81に入力される信号がローからハイに立ち上がる。そうすると、制御部81は、その立ち上がりをトリガーとして、テープ切断及び電源オフのコマンドの認識用のプログラムを開始する。そのプログラムが制御部81に実行させる処理の流れが図7に示されている。なお、以下では、テープ切断及び電源オフのコマンドの認識用のプログラムのことを判別プログラムという。
【0065】
まず、制御部81は計時を開始する(ステップS1)。この計時のことを1回目の計時という。
その後、制御部81は、1回目の計時の開始時からの時間(以下、1回目の計時時間という。)が第1所定時間(例えば、1秒)に至ったか否かを判定するとともに(ステップS2)、電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がったか否かを判定する(ステップS3)。1回目の計時時間が第1所定時間に至るまで(ステップS2:YES)、又は、電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がるまで(ステップS3:YES)、制御部81はステップS2及びステップS3の判定処理を繰り返し実行する(ステップS2:NO、ステップS3:NO)。
【0066】
(3-1) 長押しの場合
制御部81がステップS2及びステップS3の判定処理を繰り返し実行している際に、使用者が電源スイッチ32を押した状態を継続することにより、図5に示すように、電源スイッチ32からの信号が第1所定時間だけハイに保たれていれば、制御部81は、1回目の計時時間が第1所定時間に至ったと判定する(ステップS2:YES)。そうすると、制御部81が電源オフのコマンドを認識するとともに、シャットダウン処理を実行する(ステップS4)。制御部81がシャットダウン処理を実行する間に使用者が電源スイッチ32に対して1回押し、2回押し又は長押し等の操作をしても、処理部91及び制御部81がその操作を無効と判定する。つまり、制御部81は、シャットダウン処理の間、電源スイッチ32からの信号を無視する。
【0067】
シャットダウン処理では、制御部81が発光色の指定及び点灯の信号をドライバー83に出力すると、ドライバー83が指定された発光色で光源33を点灯させる。この際に指定された発光色は、制御部81が図7に示す処理を開始する前の発光色と異なり、例えば橙色である。そのため、光源33の発光色が変わる。また、制御部81がシャットダウン処理によりヘッド駆動回路84、モータードライバー85,87、信号処理回路86、インターフェース回路88及び無線機89を停止させたら、他に実行する処理も強制的に終了させた上で、スイッチ回路92をオフにする。スイッチ回路92は、オフされることによって電池99から主制御回路80への電力供給を遮断する。勿論、ドライバー83にも電力が供給されないため、光源33が消灯する。
【0068】
(3-2) 2回押しの場合
制御部81がステップS2及びステップS3の判定処理を繰り返し実行している最中、1回目の計時時間が第1所定時間に至る前に使用者が1回目の電源スイッチ32の押しを解除したら、図6に示すように、電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がる。そのため、制御部81は、電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がったと判定する(ステップS3:YES)。その立ち下がりをトリガーとして、制御部81が、1回目の計時時間をリセットした上で、計時を再度開始する(ステップS5)。以下では、再度開始した計時のことを2回目の計時といい、2回目の計時の開始時からの時間のことを2回目の計時時間という。
【0069】
その後、制御部81が、電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がったか否かを判定するとともに(ステップS6)、2回目の計時時間が第2所定時間(例えば、1秒)に至ったか否かを判定する(ステップS7)。
【0070】
ここで、使用者が電源スイッチ32の2回目の押しを行うと、図6に示すように電源スイッチ32から制御部81に入力される信号がローからハイに立ち上がるため、その立ち上がりをトリガーとして、制御部81が、テープ切断及び電源オフのコマンドの認識用の判別プログラムを別途開始する。そのため、制御部81は、先に開始した判別プログラムに基づく一連の処理と、別途開始した判別プログラムに基づく一連の処理とを並行して実行する。制御部81が先に開始した判別プログラムに基づく一連の処理のことを第1タスクといい、制御部81が遅れて開始した判別プログラムに基づく一連の処理のことを第2タスクという。第1タスクにおける2回目の押しは、第2タスクにおける1回目の押しに相当する。第2タスクについては、後に詳細に説明する。
【0071】
制御部81が第1タスクのステップS6及びステップS7の判定処理を繰り返し実行している最中、2回目の計時時間が第2所定時間に至る前に使用者が2回目の電源スイッチ32の押しを解除したら、図6に示すように、電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がる。そのため、制御部81は、電源スイッチ32からの信号がハイからローに立ち下がったと判定する(ステップS6:YES)。そうすると、制御部81がテープ切断のコマンドを認識するとともに、切断処理を実行する(ステップS8)。制御部81が切断処理を実行する間に使用者が電源スイッチ32に対して1回押し、2回押し又は長押し等の操作をしても、処理部91及び制御部81が電源スイッチ32からの信号を無視して、その操作を無効と判定する。図8に示すように、たとえ2回目の計時時間が第2所定時間に至る前に、使用者が3回目の電源スイッチ32の押し及びその解除を行っても、処理部91及び制御部81が3回目の電源スイッチ32の押し及びその解除を無効と判定する。
【0072】
切断処理では、制御部81が第2タスクを強制的に終了させる。また、切断処理では、制御部81が点滅用の信号をドライバー83に出力すると、ドライバー83が光源33を例えば緑色で点滅させる。また、制御部81がモータードライバー85を駆動することによって、搬送モーター40が搬送ローラー65及び巻き取りリール58を回転駆動する。そうすると、テープ55がテープロール54から排出口18へ搬送され、インクリボン57がリボンロール56から巻き取りリール58へ搬送される。テープ55及びインクリボン57の搬送中、制御部81が、ロータリーエンコーダー66によって検出されたテープ55の搬送距離が所定値に至ったら、制御部81がモータードライバー85を制御して、搬送モーター40を停止させる。その後、制御部81がモータードライバー87を駆動する。そうすると、電動カッター70の切断モーター74が可動刃72を固定刃71の方へ移動させて、テープ55が固定刃71及び可動刃72によって切断される。その後、電動カッター70の切断モーター74が可動刃72を固定刃71から離間させる。モータードライバー87の駆動後、制御部81が発光色の指定及び点灯の信号をドライバー83に出力すると、ドライバー83が、指定された発光色、例えば緑色で光源33を点灯させる。以上により、制御部81の切断処理が終了して、第1タスクが終了する。
【0073】
なお、図9及び図10に示すように、使用者が2回目の電源スイッチ32を押すのが早かろうが遅かろうが、また、使用者が2回目の電源スイッチ32の押しを解除するのが早かろうが遅かろうが、計時時間が第2所定時間に至る前に使用者が2回目の電源スイッチ32の押しを解除しさえすれば、制御部81が切断処理を実行する。
【0074】
(3-3) 1回押し後に押しが解除されることなく、2回目の計時時間が第2所定時間に至った場合
制御部81が第1タスクのステップS6及びステップS7の判定処理を繰り返し実行している最中、図11及び図12に示すように使用者が2回目の電源スイッチ32の押しを解除することなく、2回目の計時時間が第2所定時間に至ったら、制御部81は、2回目の計時時間が第2所定時間に至ったと判定する(ステップS7:YES)。そうすると、制御部81が第1タスクを終了させる。そのため、第1タスクでは、制御部81がテープ切断及び電源オフのコマンドを認識しない。
【0075】
(3-3-1) 第2タスク
ところで、制御部81が第1タスクにおいてテープ切断及び電源オフのコマンドを認識することなく、第1タスクが終了した後も、制御部81は第2タスクを継続して実行する。具体的には、制御部81が第2タスクのステップS2及びステップS3の判定処理を繰り返し実行する。図11に示すように、第2タスクのステップS1で開始した1回目の計時の時間が第1所定時間に至る前に使用者が2回目の電源スイッチ32の押しを解除したら(ステップS3:YES)、第2タスクがステップS3からステップS5に移行する。その後、使用者が電源スイッチ32を操作しなければ、制御部81は信号の立ち下がりを有りと判定することなく(ステップS6:NO)、第2タスクにおける2回目の計時時間が第2所定時間を経過したとして判定するため(ステップS7:YES)、制御部81が第2タスクを終了させる。そのため、第2タスクでも、制御部81がテープ切断及び電源オフのコマンドを認識することがない。なお、第2タスクがステップS3からステップS5に移行した後、使用者が電源スイッチ32を第2所定時間よりも短い時間だけ電源スイッチ32を押したら(図11中、2点鎖線の信号波形参照)、制御部81が信号の立ち下がりを有りと判定する(ステップS6:YES)。第2タスクでは、制御部81がテープ切断のコマンドを認識する。
【0076】
一方、図12に示すように、使用者が2回目の電源スイッチ32の押し(この押しは第2タスクにおける1回目の押しに相当する。)を解除することなく、第2タスクのステップS1で開始した1回目の計時の時間が第1所定時間に至ったら、制御部81がそのことを判定すると(ステップS2:YES)、第2タスクがステップS2からステップS4に移行する。そのため、制御部81は、電源オフのコマンドを認識して、シャットダウン処理を実行した上で、第2タスクを終了させる。
【0077】
(3-4) 2回目の押しが無い場合又は2回目の押しが遅い場合
制御部81が第1タスクのステップS2及びステップS3の判定処理を繰り返し実行している最中、1回目の計時時間が第1所定時間に至る前に使用者が1回目の電源スイッチ32の押しを解除したら、上述のように制御部81が計時を再度開始する(ステップS5)。その後、制御部81が第1タスクのステップS6及びステップS7の判定処理を繰り返し実行する。図13及び図14に示すように、使用者が2回目の電源スイッチ32の押しをすることなく、2回目の計時時間が第2所定時間に至ったら、制御部81は、2回目の計時時間が第2所定時間に至ったと判定する(ステップS7:YES)。そうすると、制御部81が第1タスクを終了させる。この場合、使用者が2回目の電源スイッチ32の押しを行っていないので、制御部81が第2タスクを実行していない。
【0078】
その後、図14に示すように、使用者が電源スイッチ32を押したら、制御部81が再び第1タスクを開始する。
【0079】
(3-5) 変形例
上述の説明では、使用者が1回目の電源スイッチ32の押しを行って、電源スイッチ32の信号がローからハイに立ち上がったら、制御部81がテープ切断及び電源オフのコマンドの認識用の判別プログラムを開始する。それに対して、処理部91が、テープ切断及び電源オフのコマンドの認識用の判別プログラムを開始してもよい。この場合、処理部91がステップS1,S2,S3,S5.S6,S7の処理を実行する。ステップS4では、処理部91が電源オフのコマンドを認識した上で、処理部91がシャットダウンの指令を制御部81に出す。そうすると、制御部81が上述のようなシャットダウンの処理を実行する。また、ステップS8では、処理部91がテープ切断のコマンドを認識した上で、処理部91がテープ切断の指令を制御部81に出す。そうすると、制御部81が上述のような切断処理を実行する。
【0080】
[3. 電子機器の変形例]
(1) 変形例1
図15は、変形例の電子機器101の斜視図である。図16は、変形例の電子機器101のブロック図である。電子機器101は、電子機器1の構成要素と同じ構成要素に加えて、更に第2の電源スイッチ35及び第2の操作子25を備える。
【0081】
図15に示すように、押下可能な第2の操作子25は、筐体10の上面11の後部に設けられている。第2の電源スイッチ35は、筐体10の内側において操作子25の下に配置されている。第2の電源スイッチ35及び操作子25の操作方向、つまり第2の電源スイッチ35及び操作子25が押される方向は、排出口18の縦方向に対して平行であるとともに、排出口18内におけるテープ55の表面の法線に対して平行である。更に、第2の電源スイッチ35及び操作子25の操作方向は、電動カッター70の可動刃72が移動する方向に対して平行である。従って、使用者は、電源スイッチ32の操作方向から、電動カッター70によるテープ55の切断方向を想起できる。ひいては、使用者は、電源スイッチ32の操作方向から電動カッター70によるテープ55の切断を想起できるとともに、テープ切断のコマンドが電源スイッチ32に割り当てられていることを直感的に分かる。
【0082】
図16に示すように、制御部81の信号入力端子が第2の電源スイッチ35に接続され、第2の電源スイッチ35が電池99に接続されている。そのため、第2の電源スイッチ35のオンオフ動作に伴う信号が制御部81に入力される。第2の電源スイッチ35が押されてオンされると、ハイレベルの信号が制御部81に入力される。第2の電源スイッチ35が押し解除されてオフされると、ローレベルの信号が制御部81に入力される。制御部81は、記憶部82に格納されたプログラムを実行することによって、使用者が第2の電源スイッチ35を通じて与えたコマンドを認識する。
【0083】
ここで、電源スイッチ32は、上述のように、主電源用、つまり主制御回路80の電力投入・電力遮断用のスイッチである。それに対して、第2の電源スイッチ35は副電源用のスイッチである。つまり、第2の電源スイッチ35は、主制御回路80の何れかの構成要素の電力投入・電力遮断用のスイッチである。より具体的には、第2の電源スイッチ35は、無線機89の電力投入・電力遮断用のスイッチである。従って、第2の電源スイッチ35は、通信機能オン・オフ用のスイッチともいえる。
【0084】
なお、上述のように電源スイッチ32が印刷開始のために兼用されているのと同様に、第2の電源スイッチ35も印刷開始のために兼用される。
【0085】
制御部81が電池99から無線機89への電力を遮断している時に、つまり電力が無線機89に供給されていない時に、使用者が第2の電源スイッチ35に対して1回押しの操作をすることによって、通信用電源オンのコマンドを制御部81に与える。制御部81が通信用電源オンのコマンドを認識したら、制御部81が電池99から無線機89への電力供給を許容する。制御部81が第2の電源スイッチ35の信号に基づいて通信用電源オンのコマンドを認識するための処理及びプログラムは、処理部91が電源スイッチ32の信号に基づいて電源オンのコマンドを認識するための処理及びプログラムと同じである。
【0086】
制御部81が電池99から無線機89への電力供給を許容している時に、つまり電力が無線機89に供給されている時に、使用者が第2の電源スイッチ35に対して2回押しの操作をすることによって、テープ切断のコマンドを制御部81に与える。制御部81がテープ切断のコマンドを認識したら、制御部81がモータードライバー85,87を介してモーター40,79を制御することによって、テープ55が一定量送られて切断される。
【0087】
制御部81が電池99から無線機89への電力供給を許容している時に、使用者が第2の電源スイッチ35に対して長押しの操作をすることによって、通信用電源オフのコマンドを制御部81に与える。制御部81が電池99から無線機89への電力を遮断する。
【0088】
制御部81が第2の電源スイッチ35の信号に基づいてテープ切断及び通信用電源オフのコマンドを認識するための処理及びプログラムは、制御部81又は処理部91が電源スイッチ32の信号に基づいてテープ切断及び電源オフのコマンドを認識するための処理及びプログラムと同じである。
【0089】
(2) 変形例2
操作子22及び窓23が筐体10の上面の前部、つまり排出口18に寄って配置され、電源スイッチ32及び光源33が操作子22及び窓23の下にそれぞれ配置されていてもよい。変形例1における第2の電源スイッチ35及び操作子25についても同様である。
【0090】
(3) 変形例3
電源スイッチ32は押しスイッチではなく、スライドスイッチであってもよい。その場合、電源スイッチ32は筐体10の前面12、左側面、右側面又は後面に設けられていて、電源スイッチ32のスライド方向が上下方向である。つまり、電源スイッチ32のスライド方向は、排出口18の縦方向に対して平行であるとともに、排出口18内におけるテープ55の表面の法線に対して平行である。従って、使用者は、電源スイッチ32のスライド方向から、電動カッター70によるテープ55の切断方向を想起できる。なお、使用者が電源スイッチ32が下にスライドすると、電源スイッチ32がオンされ、使用者が電源スイッチ32を離して電源スイッチ32が上にスライドするよう元に戻ると、電源スイッチ32がオフされる。
【0091】
(4) 変形例4
上記実施形態では、主電源に係る電源オン、主電源に係る電源オフ及びテープ切断のコマンドが電源スイッチ32に割り当てられ、電源スイッチ32の1回押しという操作が電源オンのコマンドに割り当てられ、電源スイッチ32の長押しという操作が電源オフのコマンドに割り当てられ、電源スイッチ32の2回押しという操作がテープ切断のコマンドに割り当てられている。それに対して、電源スイッチ32に割り当てられるコマンドの種類と操作の種類は、上記のものに限るものではない。
【0092】
[4. まとめ]
(1) 電源スイッチ32への操作方向が、横長形状に形成された排出口18の縦方向に対して平行であり、排出口18内におけるテープ55の表面の法線に対しても平行である。即ち、帯状のテープをテープ面に向かって押し切る場合の動作方向と平行になるように、電源スイッチ32への操作方向が設定されている。従って、使用者は、電源スイッチ32への操作方向から、電動カッター70によるテープ55の切断方向を想起できる。使用者は、電源スイッチ32の操作方向から電動カッター70によるテープ55の切断を想起できるとともに、テープ切断のコマンドが電源スイッチ32に割り当てられていることを直感的に分かりやすい。変形例1における電源スイッチ35についても同様なことがいえる。
【0093】
(2) 電源スイッチ32が主電源用のスイッチであり、使用者が電源スイッチ32の用途・使用目的を主電源用として気づきやすい。ところが、使用者は、電源スイッチ32の用途・使用目的をテープ切断用として気づくにくい。そうであったとしても、電源スイッチ32の操作方向が電動カッター70によるテープ55の切断方向を想起させるものであるため、電源スイッチ32の操作方向は、電源スイッチ32の用途・使用目的をテープ切断用として使用者に気づかせるきっかけとなる。変形例1における電源スイッチ35についても同様なことがいえる。
【0094】
(3) 使用者によって操作される対象が操作子22及び電源スイッチ32だけであり、他の押しボタン等が電子機器1に設けられていなくてもよい。変形例1の電子機器101の場合、使用者によって操作される対象が操作子22,25及び電源スイッチ32、35だけであってもよい。そうした場合、電子機器1,101の部品点数が少なく、電子機器1、101の製造コストの削減が図れる。また、電子機器1、101の外観がシンプルであり、電子機器1,101のデザイン性が高い。
【符号の説明】
【0095】
1 電子機器
10 筐体
18 排出口
32 電源スイッチ
55 テープ
70 電動カッター(切断手段)
81 制御部(制御手段)
89 無線機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16