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特許7533546電子機器、車両、表示制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電子機器、車両、表示制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G08G1/09 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022152863
(22)【出願日】2022-09-26
(65)【公開番号】P2024047314
(43)【公開日】2024-04-05
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】河野 崇
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-041961(JP,A)
【文献】特開2005-182268(JP,A)
【文献】特開2019-077344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型車両である自車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す、乗用車の第1制限速度と、前記自車両の位置とを取得する取得部と、
前記自車両の位置から特定される国又は地域における前記第1制限速度に対応し、かつ前記第1制限速度よりも低い、前記自車両に対応する第2制限速度を特定する特定部と、
前記第2制限速度を表示部に表示させる表示制御部と、
を有する電子機器。
【請求項2】
複数の国又は地域それぞれに関連付けられた複数の前記第1制限速度の範囲毎に対応する前記第2制限速度を記憶する記憶部をさらに有し、
前記特定部は、前記第1制限速度と前記自車両の位置から特定される国又は地域とに対応する前記第2制限速度を前記記憶部から取得することにより、前記第2制限速度を特定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記取得部は、前記自車両の車体情報を取得し、
前記特定部は、前記第1制限速度、前記自車両の位置から特定される国又は地域、及び前記自車両の車体情報に応じて、前記第2制限速度を特定する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
複数の国又は地域それぞれに関連付けられた、車両の重量及び乗車定員の少なくともいずれかに基づいて決定された車両を区分した複数の区分情報と、複数の前記第1制限速度の範囲に対応する前記第2制限速度とを記憶する記憶部をさらに有する、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記特定部は、前記記憶部に記憶された複数の前記第2制限速度のうちの、前記取得部が取得した前記車体情報に含まれた前記区分情報に対応する一の前記第2制限速度を特定する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記車体情報は、前記自車両の大きさ及び用途に基づいて決定される、前記自車両が装着するタイヤの区分情報を含み、
前記特定部は、前記区分情報にさらに基づいて前記第2制限速度を特定する、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2制限速度を前記自車両の最高速度に設定するための指示を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記指示に基づいて、前記第2制限速度を前記自車両の最高速度に設定する設定部と、をさらに有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
請求項1に記載の電子機器と、
前記撮像画像を生成する前記カメラと、
を有することを特徴とする車両。
【請求項9】
プロセッサが実行する、
大型車両である自車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す、乗用車の第1制限速度と、前記自車両の位置とを取得するステップと、
前記自車両の位置から特定される国又は地域における前記第1制限速度に対応し、かつ前記第1制限速度よりも低い、前記自車両に対応する第2制限速度を特定するステップと、
前記第2制限速度を表示部に表示させるステップと、
を有する表示制御方法。
【請求項10】
プロセッサに、
大型車両である自車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す、乗用車の第1制限速度と、前記自車両の位置とを取得するステップと、
前記自車両の位置から特定される国又は地域における前記第1制限速度に対応し、かつ前記第1制限速度よりも低い、前記自車両に対応する第2制限速度を特定するステップと、
前記第2制限速度を表示部に表示させるステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制限速度を特定する電子機器、車両、表示制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両用制限速度表示装置は、撮像手段が生成した撮像データに基づいて制限速度情報を取得して表示する。また、車両用制限速度表示装置は、撮像データから制限速度情報を取得できない場合に、撮像データ及び位置情報の少なくとも一方に基づいて国を特定し、特定した国に対応する制限速度を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-215902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用制限速度表示装置は、撮像画像などから制限速度を取得できない場合に、車両が走行する国の制限速度を運転者に把握させることができる。一方で、撮像画像などから制限速度を取得できた場合は、当該制限速度を、車両に対する制限速度として認識する。しかしながら、トラック等の大型車の制限速度が乗用車の制限速度よりも低い道路を走行中に乗用車の制限速度の標識を撮像した場合、大型車の運転者が、大型車の制限速度よりも高い乗用車の制限速度を把握してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両に適した制限速度を運転者に把握させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る電子機器は、車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す第1制限速度と、前記車両の位置とを取得する取得部と、前記第1制限速度と前記車両の位置から特定される国又は地域とに応じて、前記車両に対応する第2制限速度を特定する特定部と、前記第2制限速度を表示部に表示させる表示制御部と、を有する。
【0007】
複数の国又は地域それぞれに関連付けられた複数の前記第1制限速度の範囲毎に対応する前記第2制限速度を記憶する記憶部をさらに有し、前記特定部は、前記第1制限速度と前記車両の位置から特定される国又は地域とに対応する前記第2制限速度を前記記憶部から取得することにより、前記第2制限速度を特定してもよい。
【0008】
前記取得部は、前記車両の車体情報を取得し、前記特定部は、前記第1制限速度、前記車両の位置から特定される国又は地域、及び前記車両の車体情報に応じて、前記第2制限速度を特定してもよい。
【0009】
複数の国又は地域それぞれに関連付けられた、前記車両の重量及び乗車定員の少なくともいずれかに基づいて決定された車両を区分した複数の区分情報と、複数の前記第1制限速度の範囲に対応する前記第2制限速度とを記憶する記憶部をさらに有してもよい。
【0010】
前記特定部は、前記記憶部に記憶された複数の前記第2制限速度のうちの、前記取得部が取得した前記車体情報に含まれた前記区分情報に対応する一の前記第2制限速度を特定してもよい。
【0011】
前記車体情報は、前記車両が装着するタイヤの、前記車両の大きさ及び用途に基づいて決定される区分情報を含み、前記特定部は、前記区分情報にさらに基づいて前記第2制限速度を特定してもよい。
【0012】
前記表示制御部は、前記第2制限速度を前記車両の最高速度に設定するか否かを問い合わせるためのメッセージを前記表示部に表示させてもよい。
【0013】
前記第2制限速度を前記車両の最高速度に設定するための指示を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記指示に基づいて、前記第2制限速度を前記車両の最高速度に設定する設定部と、をさらに有してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様に係る車両は、上記に記載の電子機器と、前記撮像画像を生成する前記カメラと、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の態様に係る表示制御方法は、プロセッサが実行する、車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す第1制限速度と、前記車両の位置とを取得するステップと、前記第1制限速度と前記車両の位置から特定される国又は地域とに応じて、前記車両に対応する第2制限速度を特定するステップと、前記第2制限速度を表示部に表示させるステップと、を有する。
【0016】
本発明の第4の態様に係るプログラムは、プロセッサに、車両が備えるカメラが生成した撮像画像に含まれる標識が示す第1制限速度と、前記車両の位置とを取得するステップと、前記第1制限速度と前記車両の位置から特定される国又は地域とに応じて、前記車両に対応する第2制限速度を特定するステップと、前記第2制限速度を表示部に表示させるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車両に適した制限速度を運転者に把握させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る車両Sの概要を説明するための図である。
図2】記憶部32に記憶された車両制限速度の一例を示す図である。
図3】記憶部32に記憶された車両制限速度の一例を示す図である。
図4】電子機器3における処理シーケンスの例を示す図である。
図5】記憶部32に記憶された交通規制に関する情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<車両Sの概要>
図1は、本実施形態に係る車両Sの概要を説明するための図である。図1に示す車両Sは、カメラ1と、GPS(Global Positioning System)ユニット2と、電子機器3と、表示部4と、操作部5と、を備える。車両Sは、例えば、トラック等の大型車両である。車両Sは、道路に設置された標識が示す乗用車の制限速度と車両Sの位置とに基づいて大型車両の制限速度を特定し、ディスプレイ等の表示部4に表示させる機能を有する。
【0020】
カメラ1は、車両Sの進行方向前方を撮像して生成した撮像画像から乗用車の制限速度を示す標識を抽出し、抽出した標識が示す制限速度を電子機器3に送信する。
【0021】
GPSユニット2は、GPS衛星が送信する電波を受信し、受信した電波に含まれている情報に基づいて緯度・経度を算出する。GPSユニット2は、算出した緯度・経度を車両Sの位置情報として電子機器3に送信する。
【0022】
一部の国や地域の道路には、乗用車の制限速度の標識が設置されていても、大型車両の制限速度の標識が設置されていない場合がある。そして、大型車両の制限速度が、乗用車の制限速度と異なるケースがある(例えば、大型車両の制限速度は乗用車の制限速度よりも低い)。このようなケースでは、大型車両の運転者は、乗用車の制限速度の標識が示す制限速度に基づいて、自身が運転する大型車両の制限速度を認識する必要があった。しかしながら、撮像装置が撮影した撮像画像に含まれる制限速度の標識から制限速度の情報を抽出する従来の標識認識装置では、撮影された標識の制限速度を表示してしまうため、大型車両の運転者は、自車両の制限速度を適切に把握できないおそれがある。
【0023】
上記の問題に鑑み、電子機器3は、GPSユニット2から取得した位置情報に基づく国又は地域と、カメラ1から取得した乗用車の制限速度とに基づいて、当該国又は地域における乗用車の制限速度に対応する車両S(大型車両)の制限速度を特定する処理を実行する。電子機器3は、特定した車両Sの制限速度を表示部4に表示させる。電子機器3の形態は任意であり、電子部品を含む筐体を有していてもよく、電子部品が実装されたプリント基板であってもよい。
【0024】
表示部4は、速度、燃料の残量、時刻又は気温等を表示するディスプレイであり、車両Sに対応する制限速度を示すデータを電子機器3から取得して表示する。表示部4は、車両Sのインストルメンタルパネルに設けられているが、運転手が使用する情報端末に設けられていてもよい。
【0025】
操作部5は、運転者が操作するためのボタン又はタッチパネルであり、例えば、ステアリングスイッチである。操作部5は、例えば、電子機器3が特定した制限速度を車両Sの最高速度に設定するための操作を運転者から受け付ける。
【0026】
上記のように、電子機器3が、車両Sが位置する国又は地域における乗用車の制限速度に対応する車両Sの制限速度を特定することで、運転者は、車両Sのような大型車両の制限速度を示す標識が設置されていない場合であっても制限速度を把握できる。
以下、電子機器3の構成及び動作を詳細に説明する。
【0027】
<電子機器3の構成>
電子機器3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を有する。制御部33は、取得部331と、特定部332と、表示制御部333と、受付部334と、設定部335と、を有する。電子機器3は、後述するプロセッサや記憶媒体が実装された制御基板であるとする。
【0028】
通信部31は、ネットワーク又はデジタル信号伝送バスを介して情報を送受信するための通信デバイスを含む。通信デバイスは、例えば、CAN(Controller Area Network)コントローラである。
【0029】
記憶部32は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。記憶部32は、車両Sに対応する制限速度を特定し、表示部4に表示させるための各種の情報を記憶している。一例として、記憶部32は、道路の位置と国又は地域の位置とを示す位置情報を含む地図情報を記憶している。
【0030】
制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はECU(Electronic Control Unit)などの演算装置(プロセッサ)である。制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部331、特定部332、表示制御部333、受付部334及び設定部335として機能する。なお、制御部33は、複数のプロセッサや、電子部品との組み合わせにより構成されていてもよい。
以下、制御部33により実現される各部の構成を説明する。
【0031】
取得部331は、車両Sが備えるカメラ1が生成した撮像画像に含まれる標識が示す第1制限速度(以下、「標識制限速度」という)と、車両Sの位置とを取得する。標識制限速度は、乗用車等の小型車両に対応する制限速度である。例えば、取得部331は、カメラ1から標識制限速度を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶部32に記憶させる。取得部331は、GPSユニット2から車両Sの位置を示す位置情報を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶部32に記憶させる。
【0032】
さらに、取得部331は、車両Sの車体情報を取得する。車体情報は、車両Sの重量及び車両Sの乗車定員の少なくともいずれかに基づいて決定された車両区分を示す区分情報、車両Sが装着するタイヤの、車両Sの大きさ及び用途に基づいて決定される区分情報の少なくともいずれかを含む。取得部331が車体情報を取得することにより、車両Sが、大型車両に対応する複数の車両区分のうち、どの車両区分に対応するかを特定できる。例えば、取得部331は、記憶部32に記憶された車体情報を取得し、特定部332に通知する。
【0033】
特定部332は、標識制限速度と車両Sの位置から特定される国又は地域とに応じて、車両Sに対応する第2制限速度(以下、「車両制限速度」という)を特定する。特定部332は、例えば、記憶部32に記憶された地図情報と取得部331が取得した車両Sの位置とに基づいて車両Sが位置する国又は地域を特定する。そして、特定部332は、標識制限速度と車両Sの位置から特定される国又は地域とに対応する車両制限速度を記憶部32から取得することにより、車両制限速度を特定する。
【0034】
なお、特定部332は、あらかじめ記憶部32に格納された地域情報を参照して、車両Sが位置する国又は地域を特定してもよい。地域情報は、表示部4に表示された複数の国又は地域を示す情報のうち、運転者が操作部5を操作することにより設定した情報である。
【0035】
図2は、記憶部32に記憶された車両制限速度の一例を示す図である。図2に示すように、記憶部32は、複数の国又は地域それぞれに関連付けられた複数の標識制限速度の範囲毎に対応する車両制限速度を記憶する。
【0036】
例えば、特定部332は、取得部331から標識制限速度「90km/h」を取得し、取得部331が取得した位置情報に基づいて、国・地域「A」を特定する。そして、特定部332は、図2に示す「車両制限速度」を参照することにより、国・地域「A」及び標識制限速度「80~110km/h」に対応する車両制限速度「70km/h」を特定する。特定部332がこのように動作することで、車両Sが位置する国又は地域における車両Sに対応する制限速度を特定できる。
【0037】
また、特定部332は、標識制限速度、車両Sの位置から特定される国又は地域、及び車両Sの車体情報に応じて、車両制限速度を特定してもよい。例えば、特定部332は、特定した国又は地域と、制限速度を含む標識制限速度の範囲とに関連付けられて記憶部32に記憶された複数の車両制限速度のうちの、取得部331が取得した車体情報に含まれた区分情報に対応する一の車両制限速度を特定する。
【0038】
図3は、記憶部32に記憶された車両制限速度の一例を示す図である。図3に示すように、記憶部32は、複数の国又は地域それぞれに関連付けられた、車両Sの重量及び乗車定員の少なくともいずれかに基づいて決定された車両Sを区分した複数の区分情報と、複数の標識制限速度の範囲に対応する車両制限速度とを記憶する。区分情報は、例えば、車両総重量が3.5tより大きく12.0t以下の車両Sであれば区分「N2」を示し、車両総重量が12.0tより大きい車両Sであれば区分「N3」を示す。
【0039】
例えば、特定部332は、取得部331から標識制限速度「90km/h」と区分「N3」を示す区分情報を含む車体情報とを取得し、取得部331が取得した位置情報に基づいて、国・地域「C」を特定する。そして、特定部332は、図3に示す「車両制限速度」を参照することにより、国・地域「C」、区分「N3」及び標識制限速度「80~110km/h」に対応する車両制限速度「70km/h」を特定する。特定部332がこのように動作することで、車両Sが位置する国又は地域における、車両Sの車両区分に対応する制限速度を特定できる。
【0040】
さらに、特定部332は、車両Sが装着するタイヤの、車両Sの大きさ及び用途に基づいて決定される区分情報にさらに基づいて車両制限速度を特定してもよい。タイヤの区分情報は、例えば、小型商用車用のタイヤであれば区分「C2」を示し、大型商用車用のタイヤであれば区分「C3」を示す。例えば、特定部332は、取得部331から標識制限速度とタイヤの区分情報を含む車体情報とを取得し、取得部331が取得した位置情報に基づいて国又は地域を特定する。特定部332は、記憶部32を参照することにより、国又は地域、区分情報が示す区分、及び標識制限速度に対応する車両制限速度を特定する。
【0041】
表示制御部333は、特定部332が特定した車両制限速度を表示部4に表示させる。例えば、表示制御部333は、車両制限速度に対応する標識を示す画像を表示部4に表示させる。また、表示制御部333は、表示部4に表示する制限速度が、標識制限速度と位置情報とに基づいて特定された車両制限速度であって、かつ、標識制限速度と異なるものである場合に、所定の通知をさらに表示させてもよい。所定の通知は、例えば、表示部4に表示した画像が車両制限速度に対応する画像であることを示すメッセージ又は画像である。これにより、運転者は、表示された制限速度情報が、標識制限速度であるか車両制限速度であるかを認識することができる。
【0042】
また、表示制御部333は、車両制限速度を車両Sの最高速度に設定するか否かを問い合わせるためのメッセージを表示部4に表示させてもよい。例えば、特定部332が車両制限速度を特定した場合、表示制御部333は、車両制限速度に対応する標識を示す画像とともに、「制限速度を変更しますか?」又は「最高速度を変更しますか?」というメッセージを表示部4に表示させる。
【0043】
受付部334は、操作部5から車両制限速度を車両Sの最高速度に設定するための指示を受け付ける。例えば、受付部334は、表示制御部333が車両制限速度を車両Sの最高速度に設定するか否かのメッセージを表示部4に表示させた後に、運転者が操作部5を操作したことによる指示を受け付ける。
【0044】
設定部335は、受付部334が受け付けた指示に基づいて、車両制限速度を車両Sの最高速度に設定する。例えば、設定部335は、受付部334が車両制限速度を車両Sの最高速度に設定する指示を受け付けた場合は、記憶部32に記憶された最高速度を車両制限速度に上書きする。設定部335は、受付部334が車両制限速度を車両Sの最高速度に設定しない指示を受け付けた場合は、記憶部32に記憶された最高速度を車両制限速度に上書きしない。
【0045】
<電子機器3における処理シーケンス>
図4は、電子機器3における処理シーケンスの例を示す図である。図4に示す処理シーケンスは、一例として、標識制限速度を取得してから車両Sの最高速度の設定を変更するまでの動作を示している。本処理シーケンスは、標識制限速度を取得したことに応じて実行されるものとして説明するが、カメラ1による撮像画像の取得処理や、標識制限速度の認識処理は、車両Sが起動(いわゆるイグニッションオン)した後に繰り返し実行されるとする。
【0046】
取得部331は、カメラ1が生成した撮像画像に含まれる標識が示す制限速度(標識制限速度)を取得し(S11)、GPSユニット2から車両Sの位置を示す位置情報を取得する(S12)。特定部332は、記憶部32に記憶された地図情報と取得部331が取得した車両Sの位置情報とに基づいて、車両Sが位置する国又は地域を特定する(S13)。
【0047】
取得部331は、記憶部32を参照することにより、車両Sの車体情報を取得する(S14)。特定部332は、取得部331が取得した車体情報に含まれる区分情報が示す車両区分を特定する(S15)。そして、特定部332は、特定した国又は地域と区分情報とに対応する複数の標識制限速度の範囲のうち、取得部331が取得した標識制限速度が含まれる一の範囲を特定し、特定した範囲に対応する車両制限速度を特定する(S16)。
【0048】
表示制御部333は、特定部332が特定した車両制限速度を示す標識に対応する画像を表示部4に表示させるとともに、車両制限速度を車両Sの最高速度に設定するか否かを問い合わせるメッセージを表示部4に表示させる(S17)。受付部334は、車両制限速度を車両Sの最高速度に設定しない操作を操作部5から受け付けた場合(S18のNO)、処理を終了する。一方、受付部334が、車両制限速度を車両Sの最高速度に設定する操作を操作部5から受け付けた場合(S18のYES)、記憶部32に記憶された最高速度を車両制限速度に上書きすることにより、車両制限速度を最高速度に設定する(S19)。
【0049】
<変形例>
以上の説明においては、電子機器3が、標識制限速度と車両Sが位置する国又は地域と車両Sの車両区分とに基づいて、車両Sに対応する車両制限速度を特定する動作を例示したが、これに限らない。電子機器3は、例えば、車両Sが位置する国又は地域を特定することにより、当該国又は地域における制限速度以外の交通規制を特定してもよい。制限速度以外の交通規制は、例えば、車両が通行する車線(左側通行又は右側通行)、環状交差点における優先車両(交差点内の車両優先又は交差点外の車両優先)である。
【0050】
図5は、記憶部32に記憶された交通規制に関する情報の一例を示す図である。図5においては、国又は地域に対応する「通行車線」及び「環状交差点の優先車両」を示す。例えば、特定部332は、取得部331が取得した車両Sの位置情報と記憶部32に記憶された地図情報とに基づいて、車両Sが位置する国又は地域を特定する。そして、特定部332は、図5に示す「通行車線」及び「環状交差点の優先車両」を参照することにより、車両Sが走行すべき車線と、環状交差点において優先すべき車両とを特定する。表示制御部333は、特定部332が特定した、車両Sが走行すべき車線、及び環状交差点において優先すべき車両を表示部4に表示させる。上記のように電子機器3が動作することで、車両Sが位置する国又は地域が走行中に変化した場合であっても車両Sの位置に適した交通規制を表示させることができる。
【0051】
<電子機器3による効果>
以上説明したように、電子機器3は、車両Sが備えるカメラ1が生成した撮像画像に含まれる標識が示す標識制限速度(第1制限速度)と、車両Sの位置とを取得する取得部331と、標識制限速度と車両Sの位置から特定される国又は地域とに応じて、車両Sに対応する車両制限速度(第2制限速度)を特定する特定部332と、車両制限速度を表示部4に表示させる表示制御部333と、を有する。
【0052】
電子機器3がこのように構成されることで、大型車両である車両Sが走行する国又は地域と標識が示す乗用車の標識制限速度とに基づいて、大型車両の車両制限速度を特定し、表示部4に表示させることができる。その結果、運転者は、大型車両の制限速度に関する標識が設置されていない道路であっても、走行する国又は地域に対応する、当該道路に適した車両制限速度を把握することができる。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0054】
1 カメラ
2 GPSユニット
3 電子機器
4 表示部
5 操作部
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 取得部
332 特定部
333 表示制御部
334 受付部
335 設定部
図1
図2
図3
図4
図5