(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】キーユニット及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20240806BHJP
H01H 13/705 20060101ALI20240806BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
H01H13/705
G06F3/02 400
(21)【出願番号】P 2022166566
(22)【出願日】2022-10-18
(62)【分割の表示】P 2019231883の分割
【原出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 恭平
(72)【発明者】
【氏名】井上 晶
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-086591(JP,A)
【文献】特開2000-200134(JP,A)
【文献】特開2017-130370(JP,A)
【文献】特開2006-049274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
H01H 19/00 - 21/88
G06F 3/02 - 3/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから見て左右方向及び前後方向に配置された複数のキーと、
前記キーの前側と比較してユーザからの距離が遠い前記キーの後側を支点として前記前側を接離可能に支持するキー支持部と、を有し、
前記キー
の上面側に
形成されるキートップにおける前記後側の端部には、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第1傾斜部と、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第2傾斜部と、が設けられており、
前記キー
の底面側には
、変位した場合に基板に接触する接点部が形成されており、
前記複数のキーのうち、少なくとも一部の前記キーの前記接点部には、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第3傾斜部が設けられている、
キーユニット。
【請求項2】
前記複数のキーのうち、前記前後方向における中央側に複数列に配列された前記キーに対応する前記キートップの前記接点部に、前記第3傾斜部が設けられている、
請求項1に記載のキーユニット
。
【請求項3】
前記複数のキーのうち、前記第3傾斜部が設けられた前記キーとは異なる前記キーの前記キートップにおける前記接点部は平坦である、
請求項1又は2に記載のキーユニット。
【請求項4】
前記キーの前記キートップの前記上面側に設けられた前記第1傾斜部および前記第2傾斜部の角度と、前記少なくとも一部の前記キーの前記キートップの前記接点部に設けられた前記第3傾斜部の角度と、がそれぞれ異なる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のキーユニット。
【請求項5】
前記第1傾斜部は、前記キーのキートップにおける前記後側の右端部に、前記前側から前記後側に向かって低くなるとともに、左右方向における中央から右側に向かって低くなる傾斜面を有し、
前記第2傾斜部は、前記キーのキートップにおける前記後側の左端部に、前記前側から前記後側に向かって低くなるとともに、左右方向における中央から左側に向かって低くなる傾斜面を有する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のキーユニット。
【請求項6】
前記キーは天面を更に備え、
前記第1傾斜部と前記天面との境界は、前記後側から前記前側、左側から右側に向かって斜めになっており、前記第2傾斜部と前記天面との境界は、前記後側から前記前側、右側から左側に向かって斜めになっている、
請求項5に記載のキーユニット。
【請求項7】
前記キーは天面を更に備え、
前記第1傾斜部の傾斜面および前記第2傾斜部の傾斜面は、前記天面に対して傾斜するように設けられており、前記天面の前記前側における左右の幅は、前記天面の前記後側における左右の幅よりも広くなっている、
請求項5に記載のキーユニット。
【請求項8】
前記天面の平面は、前記第1傾斜部の傾斜面および前記第2傾斜部の傾斜面よりも緩い傾斜が設けられている、
請求項6又は7に記載のキーユニット。
【請求項9】
前記複数のキーは、左右方向においては前記キーの中心線が一列になるよう配置され、前後方向においては前記キーの左右方向における長さの半分に相当する量だけ前記キーの中心線が異なるように配置される、
請求項1に記載のキーユニット。
【請求項10】
キーシートが設けられた電子機器において、
前記キーシートは、ユーザから見て左右方向及び前後方向に配置された複数のキーと、
前記キーの前側と比較してユーザからの距離が遠い前記キーの後側を支点として前記前側を接離可能に支持するキー支持部と、を有し、
前記キー
の上面側に
形成されるキートップにおける前記後側の端部には、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第1傾斜部と、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第2傾斜部と、が設けられており、
前記キー
の底面側には
、変位した場合に基板に接触する接点部が形成されており、
前記複数のキーのうち、少なくとも一部の前記キーの前記接点部には、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第3傾斜部が設けられている、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーユニット及びこのキーユニットを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子辞書等の電子機器への入力部として、複数のキーがシート状に一体成形され、キートップの一方側を支点として他方側がストロークして接点に接触する簡易構造を有するキーシートが知られている。このようなキーシートにおいて、キー部を大型化して視認性や操作性を増すと共に、ダブルクリック等の不具合を防ぐための構造が各種提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-130370号公報
【文献】特開2019-121594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、複数のキーが配置されたキーユニット(キーシート)のキー部を大型化すると、ユーザにとってはキーを押し易くはなるものの、キー同士の間隔が狭くなることがあり、隣接するキーに触れてしまう場合があった。
【0005】
特に、上記のようなキーの一方側を支点として他方側がストロークする構造のキーユニットを有する電子機器では、キートップの中央よりも少し他方側を押してキー操作することが好ましいが、キートップの中央よりも他方側(端側)を押した場合、押したいキー以外の他のキーを間違えて押してしまうこともあり、正しくキー操作ができないという問題が生じる。
【0006】
本発明は、キーの一方側を支点として他方側がストロークする構造のキーが複数配置されたキーユニットにおいて、正しくキー操作できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様として、キーユニットは、ユーザから見て左右方向及び前後方向に配置された複数のキーと、前記キーの前側と比較してユーザからの距離が遠い前記キーの後側を支点として前記前側を接離可能に支持するキー支持部と、を有し、前記キーの上面側に形成されるキートップにおける前記後側の端部には、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第1傾斜部と、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第2傾斜部と、が設けられており、前記キーの底面側には接点部が形成されており、前記複数のキーのうち、少なくとも一部の前記キーの前記接点部には、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第3傾斜部が設けられている。
【0008】
本発明の一態様として、キーシートが設けられた電子機器において、前記キーシートは、ユーザから見て左右方向及び前後方向に配置された複数のキーと、前記キーの前側と比較してユーザからの距離が遠い前記キーの後側を支点として前記前側を接離可能に支持するキー支持部と、を有し、前記キーの上面側に形成されるキートップにおける前記後側の端部には、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第1傾斜部と、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第2傾斜部と、が設けられており、前記キーの底面側には接点部が形成されており、前記複数のキーのうち、少なくとも一部の前記キーの前記接点部には、前記前側から前記後側に向かって徐々に低くなる第3傾斜部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入力部であるキーシートのキーを大型化した場合であっても、隣接したキーに触れることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器を示す模式図である。
【
図2】同電子機器を
図1におけるA-A線で矢視した断面図である。
【
図3】同電子機器に組み込まれたキーシートの要部を示す平面図である。
【
図5】同キーシートの要部を
図4におけるB-B線で矢視した断面図である。
【
図6】同電子機器に組み込まれたキーシートのキーを示す説明図である。
【
図7】同キーシートの第1変形例の要部を
図6におけるC-C線で矢視した断面図である。
【
図8】同電子機器に組み込まれたキーシートのキーを示す説明図である。
【
図9】同キーシートの第2変形例の要部を
図8におけるD-D線で矢視した断面図である。
【
図10】同電子機器に組み込まれたキーシートのキーを示す説明図である。
【
図11】同キーシートの第3変形例の要部を
図10におけるE-E線で矢視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る電子機器100を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器100を示す模式図、
図2は電子機器100を
図1におけるA-A線で矢視した断面図、
図3は電子機器100に組み込まれたキーシート20の要部を示す平面図、
図4はキーシート20のキートップ32を示す説明図、
図5は電子機器100に組み込まれたキーシート20の要部を
図4におけるB-B線で矢視した断面図、である。
【0013】
図1に示すように、電子機器100は、第1筐体2と、第2筐体4と、ヒンジ部6とを備える。第1筐体2と第2筐体4はヒンジ部6を軸として回動し、電子機器100は第1筐体2と第2筐体4が重なった状態に折り畳まれる。電子機器100は、例えば電子辞書である。第1筐体2及び第2筐体4は、例えば、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の絶縁性の樹脂から作製される。
【0014】
第1筐体2には、
図2、3に示すように、基板10と、基板10の上に配置されたキーシート20とが配置される。第2筐体4は、
図1に示すように、表示部8が配置される。表示部8は、例えば液晶ディスプレイであり、ユーザからの入力、検索結果等を表示する。
【0015】
基板10は、配線、接点、電極等を有する回路基板である。後述するキーシート20のキー部30が、基板10の接点に接触することにより、基板10の配線が導通する。これにより、電子機器100への入力が実行される。
【0016】
キーシート20は、電子機器100のユーザによる入力を受ける入力部である。キーシート20は、
図1、2に示すように、複数のキー部30と、ベース板40と、座屈部(キー支持部)50と、シート基部60とを有する。
【0017】
キー部30は、ユーザによって押圧されて、後端側を支点にし、前端側が下方へ変位する。本実施形態では、
図1、2に示すように、左右方向及び前後方向に複数配列された複数のキー部30が第1筐体2の1つの開口部3から突出している。また、電子機器100が折り畳まれ、第1筐体2と第2筐体4が重なった状態において、第1筐体2の開口部3から突出したキー部30が、第2筐体4に対向する。
【0018】
ベース板40はシート基部60に覆われる。座屈部50は、キー部30を弾性的に支持し、キー部30が押圧された場合に座屈する。シート基部60は、ベース板40を覆い、座屈部50を介してキー部30を支持する。
【0019】
キー部30は、
図5に示すように、上面側にキートップ32、底面側に接点部39を有する。キー部30とベース板40と座屈部50とシート基部60は、一体的に成形される。キー部30と座屈部50とシート基部60は、シリコンゴム、エラストマ等の絶縁性の弾性材料から構成され、ベース板40は、比較的曲げ剛性が大きい材料、例えば、ステンレス、アルミニウム合金等の金属、ポリカーボネート等の樹脂から構成される。
【0020】
図2に示すように、キーシート20は、左右方向に並ぶ複数のキーで構成されるキーグループが、前後方向に3列(P1~P3)に配置されたキー部30を備えている。前後方向における第1の位置P1で左右方向に並ぶ複数のキー部30(キーグループP1)と、前後方向が第1の位置P1に隣接する第2の位置P2で左右方向に並ぶ複数のキー部30(キーグループP2)とは、左右方向の位置がキーピッチの半分だけ互い違いにずれた千鳥状に配置されている。前後方向における第2の位置P2で左右方向に並ぶ複数のキー部30(キーグループP2)と、前後方向が第2の位置P2に隣接する第3の位置P3で左右方向に並ぶ複数のキー部30(キーグループP3)についても同様である。
【0021】
したがって、
図3に示すように、第1の位置P1に位置する特定のキー部30と、このキー部30の手前側であって、第2の位置P2に位置する2つのキー部30とは、第1の位置P1に位置する特定のキー部30の中央部に、第2の位置P2に位置する2つのキー部30のそれぞれ左端または右端が対向している。
【0022】
キーシート20のキー部30は、押圧されていない状態において、第1筐体2の開口部3から突出しており、押圧されて、
図2における下方(基板10のキーシート20との対向面の法線方向に沿ってキーシート20側から基板10側への向き)へ変位する。また、キー部30は、押圧が除かれた場合に、第1筐体2の開口部3から突出する位置に変位する。
【0023】
キー部30のキートップ32は、ユーザによって押圧される部位であり、キー部30の接点部39の上に設けられる。キートップ32は、平面視で略矩形状に形成されている。キートップ32の押圧面には、電子機器100への入力に対応する文字、記号、機能を表す文字等が印刷される。キートップ32は、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等から構成される。
【0024】
第1筐体2の前後方向における中央部に3列に配列されたキー部30では、接点部39の面39aは、
図2に示すように、ヒンジ部6側に向かって基板10に近づくように、傾斜している。また、キートップ32は、前側から後側に僅かに傾斜して形成される。なお、これら3列以外の他のキー部30では、接点部39の面39aは、基板10に対して平行になっている。
【0025】
図3に示すように、キートップ32は、直方体状のベース部32aを有している。このベース部32aは、中央上面に台形状の中央平面部32Hを有している。さらに、ベース部32aには、中央平面部32Hから、左右方向における中央部32bから後側の左右端32c,32dに向かって低くなる傾斜が形成され、左側傾斜部32Lおよび右側傾斜部32Rが設けられている。
【0026】
キー部30の接点部39は、座屈部50とシート基部60とに支持される。また、接点部39のキー部30が変位した場合に基板10に対向する面39aに設けられる。接点部39の面39aに設けられた導電性膜は、キー部30が変位した場合に、基板10の接点に接触する。なお、接点部39の面39aには、導電性膜に代えて、導電性を付与する表面処理が施されてもよい。
【0027】
キーシート20のベース板40は、
図2に示すように、配列されたキー部30の位置に対応する位置に開口部42を有する平板である。
【0028】
キーシート20の座屈部50は、
図2、3に示すように、キー部30の接点部39からスカート状に延びて接点部39とシート基部60とを接続する。また、座屈部50は、接点部39をシート基部60に対して第1筐体2の開口部3から突出する方向に、弾性的に支持する。座屈部50は、キー部30が押圧された場合に座屈し、キー部30から押圧が除かれた場合に復元する。
【0029】
キーシート20のシート基部60は、基板10の上に配置され、座屈部50を介してキー部30を支持する。
【0030】
以上説明したように、後端を支点にして、前端が変位するキー部30において、キートップ32の後側の左右端が他の部分よりも低くなっているので、ユーザは、後側の左側傾斜部32Lおよび右側傾斜部32Rではなく、正しい押し位置である前側の中央平面部32Hを押しやすくなる。また、第1の位置P1で左右方向に並ぶ複数のキー部30と、前後方向が第1の位置P1に隣接する第2の位置P2で左右方向に並ぶ複数のキー部30とは、第1の位置P1のキーの中央平面部32Hと第2の位置P2のキーの左側傾斜部32Lおよび右側傾斜部32Rが対応する位置に配置されており、第2の位置P2のキーの左側傾斜部32Lおよび右側傾斜部32Rが第1の位置P1のキーの中央部32bよりも低い位置にあることから、第1の位置P1のキーの中央平面部32Hを押した際に、第2の位置P2のキーに触れる可能性が低くなる。あるいは、第2の位置P2のキーの中央平面部32Hに触れた場合であっても、第2の位置P2のキーのストロークは小さく接点が接触するまでには至らない。
【0031】
あるいは、第2の位置P2のキーの接点が接触する場合であっても、第1の位置P1のキーの接点が接触するタイミングの方が早く、誤ったキーが入力されることを防ぐことができる。したがって、前端が変位するキー部30において、ユーザが正しい押し位置である前側の中央平面部32Hを押す場合に、他のキーを誤って押してしまわないようにユーザが注意しなくとも正しいキーが入力される。このように、後端を支点にして、前端が変位するキー部30において、ユーザがキートップ32の正しい押し位置で操作し、かつ、誤入力の少ない正しいキー操作を行うことが可能になるので操作性が向上し、ユーザにとって電子機器100の使い勝手が向上する。なお、平面視においてキートップ32の形状は矩形状を維持するため、視認性は維持されている。
【0032】
また、第2の位置P2のキーの左側傾斜部32Lおよび右側傾斜部32Rは、キートップ32の中央平面部32Hに対し、緩やかな下りの傾斜面となっているので、キートップ32を押したときに自然にキートップ32の中央平面部32Hに違和感なく触れることになり、自然に誤入力を防止することができる。
【0033】
また、第2の位置P2のキーの左右端32c,32dは、キートップ32の中央平面部32Hとは異なる角度の傾斜面を有する左側傾斜部32L、右側傾斜部32Rが設けられており、中央平面部32Hと左側傾斜部32L、右側傾斜部32Rとの境界が斜めになっているため、デザイン的にも優れている。
【0034】
図6は、キーシート20Aのキー部30Aを示す説明図、
図7は、電子機器100に組み込まれたキーシート20Aの第1変形例の要部を
図6におけるC-C線で矢視した断面図、である。これらの図において、
図4,5と同一機能部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】
キー部30Aは、キートップ33を備えている。キートップ33は、直方体状のベース部33aを有している。このベース部33aは、中央上面に矩形状の中央平面部33Hを有している。さらに、ベース部33aは、中央平面部33Hから、左右方向における中央部32bから左右側の左右端33c,33dに向かって低くなる傾斜が形成され、左側傾斜部33Lおよび右側傾斜部33Rが設けられている。さらに、中央部33bから後端33eに向かって低くなる傾斜が形成され、後端傾斜部33Kが設けられている。
【0036】
本変形例に係るキーシート20Aにおいても、上述した実施形態に係るキーシート20と同様の効果を得ることができる。
【0037】
図8は、キーシート20Bのキー部30Bを示す説明図、
図9は、電子機器100に組み込まれたキーシート20Bの第2変形例の要部を
図8におけるD-D線で矢視した断面図である。これらの図において、
図4,5と同一機能部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0038】
キー部30Bは、キートップ34を備えている。キートップ34は、直方体状のベース部34aを有している。このベース部34aは、中央上面に五角形状の中央平面部34Hを有している。さらに、ベース部34aには、中央平面部34Hの左右方向における中央部34bから後側の左右端34c,34dに向かって低くなる傾斜が形成され、左側傾斜部34Lおよび右側傾斜部34Rが設けられている。キートップ32との差異は、中央平面部34Hと、左側傾斜部34Lおよび右側傾斜部34Rとの境界位置、すなわち低くなり始めの位置が後端側に寄っている点である。
【0039】
本変形例に係るキーシート20Bにおいても、上述した実施形態に係るキーシート20と同様の効果を得ることができる。
【0040】
図10は、キーシート20Cのキー部30Cを示す説明図、
図11は、電子機器100に組み込まれたキーシート20Cの第3変形例の要部を
図10におけるE-E線で矢視した断面図、である。これらの図において、
図4,5と同一機能部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0041】
キー部30Cは、キートップ35を備えている。キートップ35は、直方体状のベース部35aを有している。このベース部35aは、中央上面に矩形状の中央平面部35Hを有している。さらに、ベース部35aには、中央平面部35Hの左右方向における中央部35bから後側の左右端35c,35dに向かって低くなる傾斜が形成され、左側傾斜部35Lおよび右側傾斜部35Rが設けられている。さらに、ベース部35aには、中央平面部35Hから、中央部35bから前端35eに向かって低くなる傾斜が形成され、前端傾斜部(他側傾斜部)35Fが設けられている。
【0042】
本変形例に係るキーシート20Cおいても、上述した実施形態に係るキーシート20と同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、前後の行配置が千鳥状に配置されているものを説明したが、千鳥状ではなくマトリクス状になっているものについても適用可能である。
【0044】
また、上述した実施の形態においては、キー部30のキートップ32における前端側には、前端側から後端側に向かって低くなる傾斜と、左右方向における中央から右側に向かって低くなる傾斜と、左右方向における中央から左側に向かって低くなる傾斜とが設けられているものについて説明したが、これに限られるものではない。例えば、後端側における左右端が後端における左右方向の中央部よりも低く、かつ、後端側における左右端が前端側における左右方向の中央部よりも低く形成されているようにしてもよい。
【0045】
また、上述した例では、複数のキーがシート状に一体成型されたキーシートに適用したが、特に、シート状や一体成型には限らず、複数のキーが左右方向及び前後方向に複数配置される一般的なキーユニットに適用してもよい。
【0046】
また、上述した例では、ユーザ側から見てキーの後側を支点として前側がストロークする形態のキーに適用したが、キーの前側を支点として後側がストロークする形態のキーに適用してもよい。
【0047】
このようなキーユニットを備える電子機器100は、電子辞書に限らず、電卓、携帯電話機、PCのキーボード等であってもよい。また、傾斜の組み合わせは上述したもの以外も含まれると共に、傾斜を組み合わせてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
左右方向及び前後方向に配置された複数のキーと、
前記キーの前側と後側のうちのいずれか一方側を支点として他方側を接離可能に支持するキー支持部と、を有し、
前記キーのキートップにおける前記一方側の端部には、前記他方側から前記一方側に向かって低くなる傾斜と、左右方向における中央から右側に向かって低くなる傾斜と、左右方向における中央から左側に向かって低くなる傾斜とが設けられている、
キーユニット。
[付記2]
前記キーのキートップにおける前記一方側の右端部には、前記他方側から前記一方側に向かって低くなるとともに、左右方向における中央から右側に向かって低くなる傾斜面を有する右側傾斜部が設けられ、
前記キーのキートップにおける前記一方側の左端部には、前記他方側から前記一方側に向かって低くなるとともに、左右方向における中央から左側に向かって低くなる傾斜面を有する左側傾斜部が設けられている、
[付記1]に記載のキーユニット。
[付記3]
前記キートップの中央部には、前記右側傾斜部の傾斜面および前記左側傾斜部の傾斜面とは異なる角度の平面を有する中央平面部が設けられており、前記右側傾斜部と前記中央平面部との境界は、前記一方側から前記他方側、左側から右側に向かって斜めになっており、前記左側傾斜部と前記中央平面部との境界は、前記一方側から前記他方側、右側から左側に向かって斜めになっている、
[付記2]に記載のキーユニット。
[付記4]
前記キートップの中央部には、平面を有する中央平面部が設けられ、前記右側傾斜部の傾斜面および前記左側傾斜部の傾斜面は、前記中央平面部の平面に対して傾斜するように設けられており、前記中央平面部の前記他方側における左右の幅は、前記中央平面部の前記一方側における左右の幅よりも広くなっている、
[付記2]に記載のキーユニット。
[付記5]
前記中央平面部の平面は、前記他方側から前記一方側に向かって低くなる傾斜であって、前記右側傾斜部の傾斜面および前記左側傾斜部の傾斜面よりも緩い傾斜が設けられている、
[付記3]又は[付記4]に記載のキーユニット。
[付記6]
前記キートップにおける前記他方側の端部には、前記一方側から前記他方側に向かって低くなる傾斜が設けられていない、[付記1]乃至[付記5]のいずれか一項に記載のキーユニット。
[付記7]
前記キートップにおける前記他方側の端部には、前記一方側から前記他方側に向かって低くなる傾斜を有する他方側傾斜部が設けられており、前記他方側傾斜部における前後の幅は、前記右側傾斜部における前後の幅および前記左側傾斜部における前後の幅よりも狭い、
[付記2]乃至[付記6]のいずれか一項に記載のキーユニット。
[付記8]
左右方向及び前後方向に配置された複数のキーと、
前記キーの前側と後側のうちのいずれか一方側を支点として他方側を接離可能に支持するキー支持部と、を有し、
前記キーのキートップは、前記一方側における左右端が前記一方側における左右方向の中央部よりも低く、かつ、前記一方側における左右端が前記他方側における左右方向の中央部よりも低く形成されている、
キーユニット。
[付記9]
前記複数のキーは、左右方向に並ぶ複数のキーで構成されるキーグループが、前後方向に複数配置され、かつ、前後方向に並ぶ複数のキーグループそれぞれに含まれる複数のキーは、キーグループ毎に左右方向の位置が互い違いにずれた千鳥状に配置されている、[付記1]乃至[付記8]のいずれか一項に記載のキーユニット。
[付記10]
キーシートが設けられた電子機器において、
前記キーシートは、左右方向及び前後方向に配置された複数のキーと、
前記キーの前側と後側のうちのいずれか一方側を支点として他方側を接離可能に支持するキー支持部と、を有し、
前記キーのキートップにおける前記一方側の端部には、前記他方側から前記一方側に向かって低くなる傾斜と、左右方向における中央から右側に向かって低くなる傾斜と、左右方向における中央から左側に向かって低くなる傾斜とが設けられている、
電子機器。
【符号の説明】
【0049】
2…第1筐体、3…開口部、4…第2筐体、6…ヒンジ部、8…表示部、10…基板、20,20A,20B,20C…キーシート、30,30A,30B,30C…キー部、32,33,34,35…キートップ、32H,33H,34H,35H…中央平面部、32L,33L,34L,35L…左側傾斜部、32R,33R,34R,35R…右側傾斜部、33K…後端傾斜部、35F…前端傾斜部、39…接点部、40…ベース板、42…開口部、50…座屈部、60…シート基部、100…電子機器、P1…第1の位置、P2…第2の位置。