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特許7533571人流予測システム、人流予測方法および人流予測プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】人流予測システム、人流予測方法および人流予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q30/0201
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022510299
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020013887
(87)【国際公開番号】W WO2021192190
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】外川 遼介
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/008203(WO,A1)
【文献】特開2020-009124(JP,A)
【文献】今井 武晃,人流シミュレーションのパラメータ推定手法,第9回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム,日本,電子情報通信学会,2017年03月06日,p.1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測システムであって、
第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得する取得手段と、
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを用いて生成される予測モデルに対して、前記取得手段により取得される属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問数とを入力することにより、将来の前記複数の展示への訪問者の人流を予測する予測手段と
を備える人流予測システム。
【請求項2】
前記予測手段による予測結果と、予測の理由と、を表示するよう表示装置を制御する表示制御手段
をさらに備える請求項1に記載の人流予測システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第1の期間における前記複数の展示が展示されるエリアのマップ上に前記予測手段による予測結果を重畳表示するよう前記表示装置を制御する
請求項2に記載の人流予測システム。
【請求項4】
前記予測結果と、前記第1の期間における前記複数の展示それぞれを示すノードおよび前記ノード間を移動する訪問者がいることを示すエッジから成るグラフを示すグラフデータと、に基づいて、前記第1の期間における前記グラフ上の前記複数の訪問者の移動パターンの時系列変化を示すグラフ時系列データを生成するグラフ生成手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記グラフ生成手段により生成されるグラフ時系列データを含む予測結果を表示するよう前記表示装置を制御する
請求項2または3に記載の人流予測システム。
【請求項5】
前記予測結果への寄与度が他のエッジよりも高いエッジを抽出し、抽出したエッジの情報を基に、前記予測の理由を生成する予測レポート生成手段
をさらに備える請求項4に記載の人流予測システム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記グラフデータにおける各ノードに対応する展示に関する前記属性データを、前記グラフ生成手段により生成されるグラフ時系列データに合わせて示す表示データを表示するよう前記表示装置を制御する
請求項4または5に記載の人流予測システム。
【請求項7】
前記グラフ時系列データは、所定期間において、前記複数の訪問者それぞれが前記複数の展示それぞれを訪れる時刻と、前記複数の訪問者それぞれが前記複数の展示を訪れる順序と、前記複数の訪問者それぞれが訪れる展示の滞在時間と、の少なくとも一つを含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の人流予測システム。
【請求項8】
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、各展示への訪問者数を入力とする機械学習を用いて前記予測モデルを生成する予測モデル生成手段
をさらに備える請求項1から7のいずれか一項に記載の人流予測システム。
【請求項9】
複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測方法であって、
コンピュータが、
第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得し、
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを用いて生成される予測モデルに対して、前記第1の期間の属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを入力することにより、将来の前記複数の展示への訪問者の人流を予測する
人流予測方法。
【請求項10】
複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測プログラムを記録するプログラム記録媒体であって、
第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得する処理と、
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを用いて生成される予測モデルに対して、第1の期間の属性データと、前記複数の展示それぞれへ訪問者数とを入力することにより、将来の前記複数の展示への訪問者の人流を予測する処理と
をコンピュータに実行させる人流予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の流れを予測する技術に関するものであり、特に、予測結果を可視化する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
展示会場や店舗等において、展示品をどのように配置するかが、商談および購買等の有無に大きな影響を及ぼし得る。そのため、展示会場等のレイアウトを決める際に展示品の最適な配置を予測できることが望ましい。展示品の最適な配置を予測する技術としては、例えば、展示会場等における人の流れを基に、購買動向を予測する技術が用いられている。そのような、人流を基に購買動向を予測する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0003】
特許文献1のシミュレーション装置は、店舗等における売り上げを地点間の人の動きに基づいた人流情報と、商品またはサービスの購入額の情報を用いて購入モデルを生成し、施設内を移動する人の商品またはサービスの購入額を予測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/008203号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は次のような点で十分ではない。特許文献1のシミュレーション装置は、2地点間の人の流れと購入額を基に予測しているため、販売する商品やサービスの期間ごとの変化などによって、経路が変わる範囲が複数の地点に及ぶ場合の人流の変化を考慮した予測を行うことができない。そのため、特許文献1の技術では、商品や人流が時間とともに変化するような場合に、予測の精度が向上しない恐れがある。
【0006】
本発明は、状態が時間的に変化する場合でも予測精度を向上することができる人流予測システム、人流予測方法およびプログラム記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の人流予測システムは、複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測システムであって、取得部と、予測部を備えている。取得部は、第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得する。予測部は、第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における属性データと、第2の期間における複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、複数の展示それぞれへの訪問者数とを用いて生成される予測モデルに対して、取得部により取得される属性データと、複数の展示それぞれへの訪問者数とを入力することにより、将来の複数の展示への訪問者の人流を予測する。
【0008】
本発明の人流予測方法は、複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測方法である。本発明の人流予測方法は、第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得する。本発明の人流予測方法は、第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における属性データと、第2の期間における複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、複数の展示それぞれへの訪問者数を用いて生成される予測モデルに対して、第1の期間の属性データ複数の展示それぞれへ訪問者数とを入力することにより、将来の複数の展示への訪問者の人流を予測する。
【0009】
本発明のプログラム記録媒体は、複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測プログラムを記録する。人流予測プログラムは、第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得する処理をコンピュータに実行させる。人流予測プログラムは、第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における属性データと、第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、複数の展示それぞれへの訪問者数を用いて生成される予測モデルに対して、第1の期間の属性データと、複数の展示それぞれへの訪問者数とを入力することにより、将来の複数の展示への訪問者の人流を予測する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、状態が時間的に変化する場合の人流の予測精度を向上し、人流の予測結果によって展示物の出展等における費用対効果の向上や人流の最適化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態の人流予測システムの構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態において人流の予測を行う展示会場のレイアウトの例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態の予測モデル生成装置の構成を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態のグラフの例を模式的に示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態の予測装置の構成を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態における読取装置の配置の例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態におけるカメラの配置の例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態の予測モデル生成装置の動作フローを示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態の入力データの例を示す図である。
図10】本発明の第1の実施形態の入力データの例を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態の時系列移動データの例を示す図である。
図12】本発明の第1の実施形態の予測装置の動作フローを示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態の予測結果の例を示す図である
図14】本発明の第2の実施形態の人流予測システムの構成を示す図である。
図15】本発明の第2の実施形態において人流の予測を行う店舗のレイアウトの例を示す図である。
図16】本発明の第2の実施形態におけるカメラの配置の例を示す図である。
図17】本発明の第2の実施形態の予測モデル生成装置の動作フローを示す図である。
図18】本発明の第2の実施形態の入力データの例を示す図である。
図19】本発明の第2の実施形態の入力データの例を示す図である。
図20】本発明の第2の実施形態の入力データの例を示す図である。
図21】本発明の第2の実施形態の時系列移動データの例を示す図である。
図22】本発明の第2の実施形態のグラフの例を模式的に示す図である。
図23】本発明の第2の実施形態の予測装置の動作フローを示す図である。
図24】本発明の第2の実施形態の予測結果の例を示す図である。
図25】本発明の第3の実施形態の人流予測システムの構成を示す図である。
図26】本発明の第3の実施形態の人流予測システムの動作フローを示す図である。
図27】本発明の他の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の人流予測システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の人流予測システムは、予測システム100と、訪問者管理サーバ300を備えている。予測システム100と訪問者管理サーバ300は、ネットワークを介して接続されている。
【0013】
本実施形態の人流予測システムは、展示会および店舗等の人の移動経路が定まっていないエリアにおける人の流れ(人流)を予測するシステムである。人流とは、展示会および店舗等の人の移動経路が定まっていないエリアにおける人の流れのことをいう。人流には、複数の人の移動の傾向を示す情報が含まれていてもよい。以下の説明では、展示会における人の流れを予測するシステムを例に説明を行う。
【0014】
図2は、展示会の会場のレイアウトの例を模式的に示した図である。図2は、会場内の各場所に設置された8個のブースにおいて、サンプル品の展示、配布用のパンフレットの設置、デモンストレーション、ポスター展示およびセミナーの開催が行われている例を示している。図2において、展示会への各訪問者は、8個のブースの間を自由に移動できる。図2のかっこ内の数字は、各ブースを識別する番号を示している。展示会場のブースの数は、8個以外であってもよい。
【0015】
予測システム100の構成について説明する。予測システム100は、予測モデル生成装置10と、予測装置20を備えている。予測モデル生成装置10と、予測装置20は、ネットワークを介して接続されている。予測モデル生成装置10と、予測装置20は、一体の装置として形成されてもよい。
【0016】
予測モデル生成装置10の構成について説明する。図3は、予測モデル生成装置10の構成を示す図である。予測モデル生成装置10は、取得部11と、記憶部12と、グラフ生成部13と、予測モデル生成部14と、予測モデル記憶部15と、予測モデル出力部16を備えている。
【0017】
予測モデル生成装置10は、展示物の内容のデータ等から人流を予測する際に用いる予測モデルを生成する装置である。
【0018】
取得部11は、予測モデルの生成に用いる属性データを取得する。取得部11は、予測モデルの生成に用いる展示会の各ブースの属性データの入力を受け付ける。各ブースの展示内容のデータは、作業者によって入力されてもよく、ネットワークを介して他のサーバ等から取得されてもよい。展示会の各ブースの属性データとは、各ブースの展示の内容または状態を示すデータのことをいう。ブースの属性データには、例えば、展示形態、展示物の分野、時間ごとのセミナーの内容、展示の識別子、展示位置、出展形態、各ブースの出展者、出展者の業種、出展者の事業規模、出展者の過去の集客数、出展物の商品および出展物の売り上げ実績などの出展者または出展物の情報のうち、少なくとも1項目が用いられるが、展示の属性に関するデータであれば何でもよくこれらに限定されない。
【0019】
また、取得部11は、各ブースにおける訪問者数のデータを取得する。取得部11は、例えば、訪問者管理サーバ300から、時間帯ごとの訪問者数のデータを取得する。時間帯ごとの訪問数とは、各ブースを単位時間あたりに訪問した人の数のことをいう。時間帯ごとの訪問者数のデータには、時間帯ごとの滞留者数のデータが用いられてもよい。時間帯ごとの訪問数とは、各ブースに滞在している人数の時間帯ごとの平均値のことをいう。
【0020】
取得部11は、エリア内にいる人物の移動の時系列変化に関する時系列移動データを取得する。取得部11は、時系列の移動履歴のデータとして、展示会への訪問者が訪問したブースの履歴情報を訪問者管理サーバ300から取得する。訪問者が訪問したブースの履歴情報は、訪問者の識別情報と、訪問したブースの識別情報と、訪問した時刻の情報が紐付けられた情報である。訪問者が訪問したブースの履歴は、移動履歴ともいう。
【0021】
また、取得部11は、エリア内に設置されたセンサが、エリア内にいる人物が所持する又は身に着ける端末装置とWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの無線通信規格に則って通信することで、時系列移動データを取得することができる。ここで、エリア内にいる人物が所持又は身に着ける端末装置とは、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PC(Personal Computer)、ウェアラブルデバイス(例えば、腕時計型デバイス、指輪型デバイス、眼鏡型デバイス、コンタクトレンズ型デバイス、衣類型デバイス、ヒアラブルデバイスなど)などである。また、取得部11は、エリア内の所定領域を撮像可能な撮像装置から、エリア内にいる人物の時系列移動データを取得することができる。
【0022】
記憶部12は、取得部11から入力された各データを記憶する。
【0023】
グラフ生成部13は、人物ごとの時系列移動データを基にグラフのデータをグラフ時系列データとして生成する。グラフ時系列データとは、エリア内における展示をノード、各ノード間における人の移動をエッジとしたグラフ構造データのことをいう。グラフ時系列データは、移動履歴を取得した複数の人物の移動パターン、すなわち、時系列の移動の軌跡を示すデータである。また、グラフ時系列データは、移動パターンの時系列変化を含むデータである。移動パターンの時系列変化とは、例えば、展示の内容の変化など状態の変化によって、時系列で移動パターンが変動することをいう。グラフ生成部13は、訪問者が訪問したブースの履歴情報を基に、訪問者が訪問したブースをノードとし、訪問者のブース間の移動経路をエッジとしたグラフを生成する。図4は、グラフ生成部13が生成するグラフの例を模式的に示している。図4は、複数の訪問者の移動履歴をまとめて1つのグラフとして示している。図4の丸は、ノードとして設定されている各ブースを示している。丸の中に記載した数字は、ブースを識別する番号を示している。また、図4のノードである各ブース間を結ぶ直線は、エッジを示し、各ブース間に訪問者の移動があったことを示している。尚、グラフ生成部13により生成されるグラフは、図4のような複数の訪問者の時系列移動データをまとめたものに限らず、エリア内にいる人物それぞれのグラフであってもよい。
【0024】
予測モデル生成部14は、グラフ時系列データ、グラフの各ノードの属性データを基に、各ノードの属性データから人流を予測する予測モデルを生成する。予測モデル生成部14は、各ブースをノード、ノード間の訪問者の移動をエッジとしたグラフ時系列データと、各ノードの属性データと、ブースの訪問者数を入力とし、NN(Neural Network)やディープラーニング(深層学習)を用いた機械学習によって、グラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。予測モデルは、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習、強化学習など、どのような機械学習手法を用いて生成されてもよい。各ブースの属性データには、各ブースの展示形態、展示する商品またはサービスの分野およびその他の各ブースの特徴を表すデータが用いられる。また、教師あり学習を行う際のラベルのデータには、例えば、展示会への訪問者ごとの商談実施の有無、展示会場での滞在時間、訪問したブース数、アンケートでの満足度、特定の展示の訪問の有無、展示会への再来場の有無、商品の購入の有無、サンプル品の受領の有無のうち少なくとも1つを用いることができる。
【0025】
予測モデル生成部14は、例えば、人流を予測する対象となる展示会が行われる期間を第1の期間、過去に展示会が行われた期間を第2の期間とすると、第2の期間におけるグラフ時系列データ等を基に予測モデルを生成する。第2の期間におけるグラフ時系列データ等を基に生成された予測モデルは、第1の期間の展示会における人流の予測に用いられる。
【0026】
予測モデル生成部14は、生成した予測モデルの再学習を行って、予測モデルの更新を行ってもよい。予測モデル生成部14は、第1の期間について予測モデルを用いて人流を予測した結果に基づいて各ブースの属性が設定された展示会の実施結果を基に、予測モデルの再学習を行う。予測モデル生成部14は、人流の予測結果を用いた展示会における各ブースの属性データ、訪問者の移動履歴に基づいたグラフ時系列データ、各ブースの訪問者数を基に再学習を行う。再学習することにより、予測精度をさらに向上させることができる。また、予測モデル生成部14は、測した結果に基づいて各ブースの属性が設定された展示会の実施結果を基に新たに予測モデルを生成してもよい。
【0027】
予測モデル生成部14は、例えば、TGNet法によってグラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。TGNet法は、動的データおよび静的データと、ラベルデータを入力として機械学習を行い、学習済みモデルを生成する。TGNet法の詳細は、Qi Song, et al., "TGNet: Learning to Rank Nodes in Temporal Graphs", Proceedings of the 27th ACM International Conference on Information and Knowledge Management, p.97-106に記載されている。
【0028】
予測モデル生成部14は、STAR法によって予測モデルを生成してもよい。STAR法は、複数時刻におけるグラフのデータを入力として、グラフの特徴量を算出することで予測モデルを生成する。STAR法の詳細は、Dongkuan Xu et al., " Spatio-Temporal Attentive RNN for Node Classification in Temporal Attributed Graphs", Proceedings of the Twenty-Eighth International Joint Conference on Artificial Intelligence (IJCAI-19), [2020年2月27日検索] Internet <URL: https://www.ijcai.org/Proceedings/2019/0548.pdf>に記載されている。
【0029】
また、予測モデル生成部14は、例えば、Netwalk法などの特徴量を抽出する手法を用いて特徴量を抽出し、Gradient Boostingなどの予測アルゴリズムを用いて予測モデルを生成してもよい。Netwalk法の詳細は、Wenchao Yu, et al., "NetWalk: A Flexible Deep Embedding Approach for Anomaly Detection in Dynamic Networks", KDD 2018, p.2672-2681に記載されている。また、Gradient Boostingに代えて、InerHAT法を用いてもよい。InerHAT法の詳細は、Zeyu Li, et al., "Interpretable Click-Through Rate Prediction through Hierarchical Attention", WSDM 2020: The Thirteenth ACM International Conference on Web Search and Data Miningに記載されている。
【0030】
予測モデル記憶部15は、予測モデル生成部14が生成した予測モデルを記憶する。
【0031】
予測モデル出力部16は、予測モデル記憶部15に記憶されている予測モデルを予測装置20に出力する。
【0032】
取得部11、グラフ生成部13、予測モデル生成部14および予測モデル出力部16における各処理は、CPU(Central Processing Unit)上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。また、CPUにGPU(Graphics Processing Unit)が組み合わされていてもよい。
【0033】
記憶部12および予測モデル記憶部15は、例えば、ハードディスクドライブを用いて構成されている。記憶部12および予測モデル記憶部15は、不揮発性の半導体記憶装置または複数の種類の記憶装置の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0034】
予測装置20の構成について説明する。図5は、予測装置20の構成を示す図である。予測装置20は、取得部21と、予測モデル記憶部22と、予測部23と、グラフ生成部24と、予測理由生成部25と、表示制御部26を備えている。
【0035】
取得部21は、予測モデルを用いた人流の予測に用いるデータを取得する。取得部21には、予測モデルを用いた人流の予測に用いるデータとして、展示会の各ブースの展示内容のデータが入力される。
【0036】
予測モデル記憶部22は、予測モデル生成装置10が生成した予測モデルを記憶している。
【0037】
予測部23は、予測モデル記憶部22に記憶されている予測モデルに基づいて、入力データから人流を予測する。予測部23は、展示会における各ブースの展示内容のデータを入力とし、予測モデルを用いて展示会における人流を予測する。
【0038】
グラフ生成部24は、訪問者が訪問した展示を示すノードと、訪問順を示すエッジからなるグラフをグラフ時系列データとして生成する。尚、グラフ生成部24により生成されるグラフのエッジは、エリア内の人物の移動方向を示すように矢印で表現してもよいし、移動人数の大小に応じてエッジの太さを変化させてもよい。また、グラフ生成部24により生成されるグラフのノードは、訪問者の数に応じてその大きさを変化させてもよい。
【0039】
予測理由生成部25は、予測部23による予測の理由を生成する。
【0040】
表示制御部26は、予測の理由が付加された予測結果を表示するように予測装置20が有する表示部(不図示)または予測装置20の外部にある表示装置を制御する。また、表示制御部26は、予測結果を利用する利用者の端末に予測の理由を付加した予測結果を送信することで表示装置への表示を制御してもよいが、表示制御方法はこれに限定されない。これにより、本願発明は、人流の予測に加えてその理由を提示することにより展示会等の運営をより好適に支援することができる。
【0041】
尚、表示制御部26は、予測結果だけを表示装置に表示するように当該表示装置を制御してもよい。予測結果を表示するだけでも、人流の予測に加えてその理由を提示することにより、展示会等の運営を好適に支援することができる。
【0042】
取得部21、予測部23、グラフ生成部24、予測理由生成部25および表示制御部26における各処理は、CPU上でコンピュータプログラムを実行することで行われる。
【0043】
予測モデル記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブを用いて構成されている。予測モデル記憶部22は、不揮発性の半導体記憶装置または複数の種類の記憶装置の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0044】
図1において、訪問者管理サーバ300は、展示会場のエリア内での訪問者の時系列移動データを収集する。訪問者管理サーバ300は、例えば、各ブースの受付に備えられた訪問者の識別情報の読取装置から、訪問者が訪問したブースの情報を取得する。訪問者管理サーバ300は、訪問者の識別情報と、訪問したブースの識別情報および訪問日時の情報を紐付けて訪問履歴のデータとして保持する。訪問者管理サーバ300は、時系列移動データを予測モデル生成装置10に送信する。
【0045】
図6は、各ブースに読取装置30-1から読取装置30-8が1台ずつ設置された状態を模式的に示した図である。以下、読取装置30-1から読取装置30-8について共通の説明では、読取装置30-1から読取装置30-8を読取装置30として示す。読取装置30は、例えば、訪問者ごとに配布される入場者証にバーコードとして表示されている識別情報を読み取り、読み取った識別情報を訪問者管理サーバ300にネットワークを介して送信する。
【0046】
読取装置30は、訪問者が所持しているIC(Integrated Circuit)カードに記録されている識別情報を読み取ることで訪問者の識別情報を取得してもよい。また、読取装置30は、訪問者の生体情報を読み取る装置であってもよい。訪問者の生体情報を読み取る装置を用いる場合には、訪問者管理サーバ300は、訪問者ごとの特徴データをあらかじめ保持している。また、読取装置30は、訪問者が所持しているスマートフォンなどの通信端末装置から訪問者の情報を取得してもよい。
【0047】
また、訪問者が訪問したブースの情報は、展示会場内を撮影した画像を解析することによって取得されてもよい。図7は、各ブースの入り口にカメラ31-1からカメラ31-8が設置され、訪問者管理サーバ300に代えて、画像解析部32を備える訪問者管理サーバ301が設置されている状態を模式的に示す図である。訪問者管理サーバ301は、カメラ31-1からカメラ31-8において撮影された画像を取得し、画像解析部32において、各ブースを訪問した訪問者の顔の画像認識によって訪問者を特定する。展示会への訪問者の識別情報と、訪問者の顔写真データはあらかじめ登録されている。訪問者管理サーバ301は、訪問者が各ブースを訪問した時刻を訪問者の識別情報を関連付けて記憶し、訪問者の時系列移動データとして予測モデル生成装置10に送る。
【0048】
<学習フェーズ>
本実施形態の人流予測システムの動作について説明する。始めに、予測モデル生成装置10が予測モデルを生成する際の動作について説明する。図8は、予測モデル生成装置10が予測モデルを生成する際の動作フローを示す図である。
【0049】
取得部11は、ブースごとの展示内容、ブースごとの訪問者数、のデータを取得する(ステップS11)。各データは、作業者によって入力されてもよく、各データを有する他のサーバから取得されてもよい。各データを取得すると、取得部11は、取得した各データを記憶部12に記憶する。
【0050】
図9は、ブースごとの展示内容のデータの一例を示した図である。図9の例では、ブースの識別情報を示すブース番号および展示形態と、訪問者に提示する商品またはサービスの分野を示す情報である分類が紐付けられている。また、図10は、ブースごとの訪問者の訪問者数と、ブース6で開催されるセミナーの分類を時間ごとに示している。
【0051】
取得部11は、訪問者管理サーバ300から訪問者ごとのブースの時系列移動データを取得する(ステップS12)。時系列移動データを取得すると、取得部11は、取得した時系列移動データを記憶部12に記憶する。
【0052】
図11は、訪問者ごとのブースの訪問履歴のデータの例を示す図である。図11の例では、訪問者の識別情報、訪問したブースの番号および各ブースを訪問した時刻の情報が紐付けられている。
【0053】
記憶部12に訪問履歴のデータが記憶されると、グラフ生成部13は、ブースの訪問履歴のデータを基にグラフ時系列データを生成する(ステップS13)。グラフ生成部13は、訪問者が訪問したブースをノード、訪問者の移動経路をエッジとして、訪問の時系列に従ってノード間をエッジでつないだグラフ時系列データを生成する。グラフ時系列データを生成すると、グラフ生成部13は、生成したグラフのデータを予測モデル生成部14に送る。
【0054】
グラフ時系列データが入力されると、予測モデル生成部14は、予測モデルの生成に用いる各データを記憶部12から読み出す。各データを読み出すと、訪問者ごとの訪問履歴に基づいたグラフ時系列データと、ブースの展示内容と、各ブースへの訪問者数を入力データとして用いた機械学習によって、展示会の人流を予測するための予測モデルを生成する(ステップS14)。
【0055】
予測モデルを生成すると、予測モデル生成部14は、生成した予測モデルを予測モデル記憶部15に記憶する。予測モデルが記憶されると、予測モデル出力部16は、予測モデルを予測装置20に出力する(ステップS15)。予測装置20に入力された予測モデルは、予測モデル記憶部22に記憶される。
【0056】
予測モデル生成装置10が生成した予測モデルは、再学習によって更新されてもよい。例えば、予測モデル生成部14は、展示会における初期の期間の訪問者の時系列移動データから生成したグラフ時系列データ入力データ、展示の属性データおよびブースごとの訪問者数を用いて再学習を行って、予測モデル記憶部15の予測モデルを更新する。また、予測モデル出力部16は、予測モデルを予測装置20に出力する。このように再学習を行うことで、動的なデータを基に予測を行うことができるので、予測精度がより向上する。
【0057】
<予測フェーズ>
次に予測装置20において、展示会の人流を予測する際の動作について説明する。図12は、予測装置20において、展示会の人流を予測する際の動作フローを示す図である。
【0058】
展示会における人流の予測が開始されると、取得部21は、予測の対象となる展示会の各ブースの展示の属性データと、各ブースの訪問者数を取得する(ステップS21)。各データを取得すると、予測部23は、予測モデルを用いて、各ブースの展示の属性データと、訪問者数を入力として展示会の人流を予測する(ステップS22)。展示会の人流を予測すると、予測部23は、展示会の人流の予測結果をグラフ生成部24に送る。予測結果を受け取ると、グラフ生成部24は、グラフ時系列データを生成する(ステップS23)。グラフ生成部24は、訪問者が訪問した展示を示すノードと、訪問順を示すエッジからなるグラフ時系列データを生成する。
【0059】
グラフ時系列データが生成されると、予測理由生成部25は、予測結果から予測の理由を抽出する(ステップS24)。予測理由生成部25は、例えば、予測結果から、予測モデルを用いて予測した際に、予測された訪問順に対する寄与度が他のエッジ、すなわち、人流が他よりも多い高いエッジを抽出する。予測結果への寄与度が高いエッジを抽出すると、予測理由生成部25は、抽出したエッジの両端のノード間の属性データを、2つのノード間の人流が他のノード間よりも多かったことの予測の理由として抽出する。予測の理由を抽出すると、予測理由生成部25は、予測の理由を表示制御部26に出力する。
【0060】
予測結果と予測の理由を受け取ると、表示制御部26は、表示装置を制御して予測結果と予測の理由を当該表示装置に表示する(ステップS25)。表示制御部26は、予測結果を利用する利用者の端末の表示装置に予測結果と予測の理由が表示されるように、利用者の端末への予測結果と予測の理由のデータの送信を制御してもよい。
【0061】
図13は、予測結果の表示データの一例を示す図である。図13の例では、展示会のエリアマップ上に、訪問者のノード間の移動が細い矢印で示され、そのうち人流が他よりも多いノード間が太い矢印で示されている。また、図13では、各ブースにブースの属性データであるデモ等の展示形態が表示されている。図13の属性データの表示にマウスカーソルを合わせることで、ブースの他の属性データが表示されるようにしてもよい。図13の属性データをクリックまたはタップすることにより、ブースの他の属性データが表示されるようにしてもよい。
【0062】
図13の各ブースは、グラフ時系列データのノードを示し、ブース間の移動経路を示す矢印は、グラフ時系列データのエッジを示している。また、図13の例では、ブース6と、ブース7間を移動した人が多く、ブース6でIT(Information Technology)分野のセミナーが実施されているときに、ブース6と、ブース7間を移動した人が多い人流となることが理由として示されている。
【0063】
予測の理由には、予測に用いた属性データがそのまま用いられてもよい。予測結果に対して、展示形態がデモであることの寄与が大きいとき、予測理由生成部25は、例えば、デモが実施されていることを予測の理由として抽出してもよい。また、予測理由生成部25は、あらかじめ定義されたテンプレートを基に予測理由を提示してもよい。例えば、予測理由生成部25は、例えば、「セミナーの内容がXXであるため」というテンプレートを保持し、人流が多いと予測した時間帯のセミナーが「IT」であったときに「セミナーの内容がITであるため」という予測の理由を生成してもよい。
【0064】
予測理由生成部25は、予測の理由に加えて展示物の配置の変更案を生成してもよい。例えば、ブース6と、ブース7間の人流が多いとき、予測理由生成部25は、ブース6とブース7の距離を広げて配置することを配置の変更案として生成してもよい。また、予測理由生成部25は、配置の変更案に、変更の提案の理由を付加してもよい。例えば、予測理由生成部25は、ブース6と、ブース7間の人流が多いため、間に配置されるブースへの訪問者が増えることが期待されるとの配置の変更案の理由を付加する。また、配置の変更案は、予測の理由に応じて複数、提示されてもよい。予測結果と予測の理由とともに、配置の変更案を提示することで、予測結果の利用者により効果の高い展示物の配置を、理解しやすい形式で提示することができる。配置の変更案は、表示制御部26によって、表示装置に表示される。
【0065】
また、図13のような予測結果の表示を行う際に、利用者が各ブースの位置をマウス操作で変更すると、変更後の配置に基づいて人流の予測が再度、行われるようにしてもよい。また、予測結果に変更後の配置についての予測結果が含まれている場合には、表示データの更新のみが行われてもよい。
【0066】
上記の説明では、予測モデルの生成と、予測モデルを用いた予測の際にエッジの情報として、訪問者の順序の情報を用いているが、そのような情報に代えて、訪問者の移動経路、各ブースを訪問者が訪れる時刻、各ブースにおける訪問者の滞在時間、各ブースの滞留者数、各ブース間の移動時間のうち、少なくとも1項目が用いられてもよい。
【0067】
予測の理由には、各ブース間の移動の傾向に代えて、各ブースにおける展示の形態、展示の内容、時間帯ごとの展示の内容、各ブースへの訪問者数、各ブースの滞留者数、各ブース間の移動者の数、出展者の属性、訪問者の属性、訪問者の購入実績または訪問者の購入商品のうち、少なくとも1項目が用いられてもよい。
【0068】
予測モデルを生成する際に用いるデータを取得する展示会のエリアと、予測モデルを用いた予測の対象となるエリアは、異なってもよい。例えば、予測モデルを用いた予測の対象となるエリアを第1のエリア、予測モデルを生成する際に用いるデータを取得する展示会のエリアを第2のエリアとしたとき、第1のエリアと第2のエリアは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。予測モデルを生成する際に用いるデータは、複数の展示会で取得されたデータであってもよい。予測モデルを生成する際に用いるデータが複数の展示会で取得される場合に、会場または展示内容の一方、または、両方が異なっていてもよい。
【0069】
本実施形態の人流予測システムは、予測モデル生成装置10において、展示会への訪問者の移動履歴を基にグラフ時系列データを生成している。予測モデル生成装置10は、グラフ時系列データ、各ブースの属性データおよび各ブースの訪問者数を入力とした機械学習を行って、展示会における人流を予測する予測モデルを生成している。また、予測装置20は、予測モデル生成装置10が生成した予測モデルを用いて、展示会における人流を予測している。また、予測モデル生成装置10は、期間ごとに変化する情報を基に予測モデルを生成している。そのため、本実施形態の人流予測システムは、時間とともに状態が変化する場合にも精度の高い予測を行うことができる。よって、本実施形態の人流予測システムは、状態が時間的に変化する場合の人流の予測精度を向上し、人流の予測結果によって展示物の出展等における費用対効果の向上や人流の最適化を行うことができる。
【0070】
また、本実施形態の人流予測システムは、予測結果を出力する際に人流を視覚的に示している。そのため、本実施形態の人流予測システムは、人流に基づいた1つ以上の配置の変更案とその理由についての情報を、利用者が直感的に理解しやすい形式で提供することができる。
【0071】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図14は、本実施形態の人流予測システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の予測システムは、予測システム100と、POS(Point of sale)サーバ400、店内監視サーバ500を備えている。予測システム100、POSサーバ400および店内監視サーバ500は、ネットワークを介して互いに接続されている。
【0072】
第1の実施形態は、展示会のブースで受け付けを行った際の情報を基に来場者の時系列移動データを取得し、展示会における人流の予測ための予測モデルの生成と予測を行っている。本実施形態の人流予測システムは、店舗内においてカメラで撮影した情報を基に、来店者の経路を特定したデータを基に予測モデルを生成し、購入額の向上への寄与度が高い人の流れを予測することを特徴とする。
【0073】
図15は、店舗内の商品棚のレイアウトの例を模式的に示した図である。図15では、店舗内の各場所に6個の商品棚が置かれている例を示している。各商品棚には、販売する商品が陳列されている。図15において、店舗への来店者は、6個の商品棚の間を自由に移動できる。図15のかっこ内の数字は、商品棚を識別する番号を示している。商品棚の数は、6個以外であってもよい。
【0074】
予測システム100の構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、以下の説明において、予測システム100に関する説明は、図3および図5も参照して行う。
【0075】
POSサーバ400は、店舗における売り上げデータおよび商品在庫等のデータを管理するサーバである。POSサーバ400は、来店者ごとの商品の購入額の情報を、来店者ごとに割り当てた識別情報とともに予測モデル生成装置10に送る。また、POSサーバ400は、来店者が会計を行った際に、来店者の画像データを取得し、来店者ごとに割り当てた識別情報を、会計を行った来店者の画像データに付加する。POSサーバ400は、会計を行った来店者の識別情報と画像データを店内監視サーバ500に送る。
【0076】
店内監視サーバ500は、来店者の店内における移動経路を特定する。例えば、店内監視サーバ500は、来店者が立ち止まった棚の番号を記録し、履歴データを生成する。店内監視サーバ500は、画像解析部51において、画像データから来店者を特定する。また、店内監視サーバ500は、POSサーバ400から受信する会計を行った人物の顔の画像データと、その人物の識別情報を取得する。店内監視サーバ500は、会計を行った人物と一致する履歴データを特定する。店内監視サーバ500は、来店者の移動履歴と来店者の識別情報を紐付けて履歴データを生成する。店内監視サーバ500は、生成した履歴データを予測モデル生成装置10に送る。
【0077】
図16は、店舗内の各箇所にカメラ50-1からカメラ50-6が設置された状態を模式的に示した図である。以下、カメラ50-1からカメラ50-6について共通の説明では、カメラ50-1からカメラ50-6をカメラ50として示す。カメラ50は、各商品棚の前に立つ来店者を撮影できるように設置されている。カメラ50は、各商品棚に取り付けられていてもよい。カメラ50は、撮影した画像データをネットワークを介して店内監視サーバ500に送信する。
【0078】
<学習フェーズ>
本実施形態の人流予測システムの動作について説明する。始めに、来店者の購入額が高い移動経路を予測する予測モデルを予測モデル生成装置10が生成する際の動作について説明する。図17は、予測モデル生成装置10が予測モデルを生成する際の動作フローを示す図である。
【0079】
取得部11は、各商品棚に陳列される商品の分類、特設コーナーの商品の分類および来店者ごとの購入額のデータをPOSサーバ400から取得する(ステップS31)。各データを取得すると、取得部11は、取得した各データを記憶部12に記憶する。
【0080】
また、取得部11は、店内監視サーバ500から来店者の識別情報と、店内での移動履歴を示す時系列移動データを取得する(ステップS32)。来店者の識別情報と時系列移動データを取得すると、取得部11は、取得した来店者の識別情報と時系列移動データを記憶部12に記憶する。
【0081】
図18は、商品棚ごとの陳列されている商品の種類のデータの例を示している。図18は、商品棚として示されている商品棚の識別番号と、陳列されている商品の種類が紐付けられている。また、図19は、図18の商品棚6の特設コーナーに期間ごとに陳列される商品のデータの例を示している。図19では、期間と、その期間において特設コーナーに陳列されている商品が紐付けられている。また、図20は、来店者ごとの商品の購入額のデータの例を示している。図20では、来店者の識別情報と、購入額が紐付けられている。
【0082】
記憶部12に取得した来店者の識別情報と時系列移動データが記憶されると、グラフ生成部13は、来店者の時系列移動データを基にグラフを生成する。グラフ生成部13は、商品棚をノード、来店者のノード間の移動経路をエッジとしてグラフを生成する。移動経路は、来店者の移動元と移動先のノードの関係を示す情報であり、店舗内に複数ある経路のうち、来店者が実際にどの経路を動いて移動したかは問わない。グラフを生成すると、グラフ生成部13は、生成したグラフ構造データを予測モデル生成部14に送る。
【0083】
図21は、来店者の時系列移動データの例を示す図である。図21では、来店者の識別情報、来店日および来店者が立ち寄った商品棚の情報が紐付けられている。また、図22は、グラフ生成部13が生成するグラフの例を模式的に示した図である。図22は、図21に示した複数の来店者の移動履歴をまとめて1つのグラフとして示している。図22の丸は、ノードとして設定されている各商品棚を示している。丸の中に記載した数字は、商品棚を識別する番号を示している。また、図22のノードである各商品棚間を結ぶ直線は、エッジとして設定されている来店者の移動を示している。
【0084】
グラフ構造データが入力されると、予測モデル生成部14は、予測モデルの生成に用いる各データを記憶部12から読み出す。各データを読み出すと、予測モデル生成部14は、来店者ごとの移動履歴のグラフ時系列データ、商品棚で扱われる商品の分類、時間ごとの特設コーナーの商品を入力データ、来店者ごとの購入額をラベルとして、購入額の高い来店者の行動を予測するための予測モデルを生成する(ステップS34)。予測モデル生成部14は、第1の実施形態と同様の手法を用いて予測モデルを生成する。
【0085】
予測モデルを生成すると、予測モデル生成部14は、生成した予測モデルを予測モデル記憶部15に記憶する。予測モデルが記憶されると、予測モデル出力部16は、予測モデルを予測装置20に出力する(ステップS35)。予測装置20に入力された予測モデルは、予測モデル記憶部22に記憶される。
【0086】
予測モデル生成部14は、第1の実施形態と同様に再学習によって予測モデルを更新してもよい。例えば、予測モデル生成部14は、当日の来店者の時系列移動データから生成したグラフ時系列データを入力、来店者ごとの購入額をラベルとして再学習を行って予測モデルを更新する。
【0087】
<予測フェーズ>
次に予測装置20において、購入額の高い来店者の行動を予測する際の動作について説明する。図23は、予測装置20が購入額の高い来店者の行動を予測する際の動作フローを示す図である。
【0088】
取得部21は、商品棚で扱われる商品の種類、特設コーナーで扱う商品のデータを取得する(ステップS41)。データを取得すると、予測部23は、商品棚で扱われる商品の種類および特設コーナーで扱う商品のデータを入力として、予測モデルを用いて、購入額の高い人流を予測する(ステップS42)。
【0089】
購入額の高い人の流れを予測すると、予測部23は、予測結果をグラフ生成部24に送る。予測結果を受け取ると、グラフ生成部24は、グラフ時系列データを生成する(ステップS43)。グラフ生成部24は、来店者が立ち寄った商品棚を示すノードと、商品棚間の移動順を示すエッジからなるグラフ時系列データを生成する。
【0090】
グラフ時系列データが生成されると、予測理由生成部25は、予測結果から予測の理由を抽出する(ステップS44)。予測理由生成部25は、例えば、予測結果のデータから予測モデルが購入額が人流を予測した際に、他のエッジよりも予測結果への寄与度が高いエッジを抽出する。予測結果への寄与度が高いエッジを抽出すると、予測理由生成部25は、そのエッジに対応する経路とその経路の両端の商品棚の種類を、購入額が高い人流の予測の理由として抽出する。予測の理由を抽出すると、予測理由生成部25は、予測の理由を表示制御部26に出力する。
【0091】
予測結果と予測の理由を受け取ると、表示制御部26は、表示装置を制御して予測結果と予測の理由を当該表示装置に表示する(ステップS45)。表示制御部26は、予測結果を利用する利用者の端末の表示装置に予測結果と予測の理由が表示されるように、利用者の端末への予測結果と予測の理由のデータの送信を制御してもよい。
【0092】
図24は、予測結果の表示データの一例を示す図である。図24の例では、店舗内のマップ上に、購入額の高い来店者の移動経路が細い矢印で示され、そのうち、購入額の向上の寄与度の高い移動経路が太い矢印で示されている。また、図24の例では、特設コーナーにデザートが売られているとき、商品棚5から商品棚6に移動する人の購入額が高いことが理由として示されている。
【0093】
上記の説明では、予測モデルの生成の際および予測モデルを用いて予測する際に、ノードの属性データとして、各商品棚に陳列される商品の種類および特設コーナーにおける期間ごとの商品を入力データとして用いている。属性データには、そのようなデータに加え、商品カテゴリ、商品名、商品ブランド、商品の製造メーカー、製造メーカーの規模、製造メーカーの知名度、商品のコマーシャルの実施の有無、商品棚内における配置位置、商品ごとの売り上げ実績、来店者の年齢、来店者の性別、同伴している来店者数などの商品のその他の情報または来店者の情報のうち、少なくとも1項目以上が含まれていてもよいが、商品棚に配置される商品の属性に関するデータであれば何でもよくこれらに限定されない。例えば、商品が食料品の場合、原料やアレルギー表示も属性データに含まれる 。商品カテゴリとは、例えば食料品であれば、「肉」や「野菜」や「魚」などのカテゴリを指す。また、特設ブースに期間ごとに置かれる商品を入力データとしているが、1日の中での時刻ごとに変化するデータが入力されてもよい。例えば、弁当の残数などのデータが入力データとして用いられてもよい。
【0094】
また、上記の説明では、ラベルとして購入額を用いたが、購入額に代えて、立ち寄った商品棚の数、商品の購入数、特定の商品の購入の有無、特定の種類の商品の組み合わせでの購入の有無、クーポンの使用の有無および来店回数などの指標データのうち、少なくとも1項目が用いられてもよい。
【0095】
予測モデルを生成する際に用いるデータを取得する店舗と、予測モデルを用いた予測の対象となる店舗は、第1の実施形態と同様に異なっていもよい。予測モデルを生成する際に用いるデータは、同一の店舗において異なる商品配置のときに取得されたデータであってもよい。また、第1の実施形態と同様に学習の先にラベルを用いずに店舗内の人流の予測モデルの生成と、予測モデルを用いた人流の予測が行われてもよい。
【0096】
本実施形態のカメラ50が撮影した画像データから来店者の移動履歴のデータを取得する構成は、第1の実施形態において展示会への訪問者の移動履歴のデータを取得する際に用いてもよい。
【0097】
本実施形態の人流予測システムは、カメラ50が撮影した画像データから取得した来店者の移動履歴からグラフを生成し、グラフ構造データを基にした学習により予測モデルを生成している。そのため、来店者が識別情報を読み取らせる行動をしない場合にも、移動履歴から生成した予測モデルを基に精度の高い予測を行うことができる。
【0098】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図25は、本実施形態の人流予測システムの構成を示す図である。また、図26は、本実施形態の人流予測システムの動作フローを示す図である。
【0099】
本実施形態の人流予測システムは、複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測システムであって、取得部61と、予測部62を備えている。取得部61と予測部62は単一の装置に備えられてもよいし、それぞれが異なる装置に備えられてもよい。
【0100】
取得部61は、第1の期間における、複数の展示に関する属性データを取得する。取得部61の一例は、第1の実施形態の予測装置20の取得部21である。
【0101】
予測部62は、第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における属性データと、第2の期間における複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、各展示への訪問者数を入力とする機械学習を用いて生成される予測モデルに対して、取得部61により取得される属性データを入力することにより、将来の複数の展示への人流を予測する。具体的に、第1の期間とは、予測を行う展示会が実施される期間のことをいう。また、第2の期間とは、予測モデルの生成に用いる属性データと、グラフ時系列データが取得される期間、すなわち、過去に展示会が開催された期間のことをいう。予測部62の一例は、第1の実施形態の予測装置20の予測部23である。
【0102】
本実施形態の人流予測システムの動作について説明する。始めに取得部61は、複数の展示物が展示される展示会場の第1の期間における、複数の展示に関する属性データを取得する(ステップS51)。属性データを取得すると、予測部62は、予測モデルに対して、取得部61により取得される属性データを入力することにより、将来の複数の展示への訪問者の人流を予測する(ステップS52)。予測モデルは、第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における属性データと、第2の期間における複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、を基に生成される。具体的に、訪問者の移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データとは、訪問者が展示会場の展示を訪問した履歴を、訪問した展示の情報と、訪問した展示を時系列に示す情報とによって示すデータのことをいう。
【0103】
本実施形態の人流予測システムは、取得部61が第1の期間の展示の属性データを取得し、予測部62が過去の期間である第2の期間の展示の属性データと、展示への訪問者の移動パターンのグラフ時系列データを基に生成された予測モデルと、第1の期間の展示の属性データから、第1の期間の人流を予測している。本実施形態の人流予測システムは、訪問者の時系列の移動履歴を基にした予測モデルを用いているので、複数の地点間の移動経路を考慮した予測を行うことができるため、展示内容等が変化するような場合においても予測を行うことができる。そのため、本実施形態の人流予測システムは、状態が変化する場合でも予測精度を向上することができる。よって、本実施形態の人流予測システムは、状態が時間的に変化する場合の人流の予測精度を向上し、人流の予測結果によって展示物の出展等における費用対効果の向上や人流の最適化を行うことができる。
【0104】
第1および第2の実施形態の予測モデル生成装置10および予測装置20における各処理、並びに第3の実施形態における取得部61および予測部62における各処理は、コンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって行うことができる。図27は、予測モデル生成装置10、予測装置20、取得部61および予測部62における各処理を行うコンピュータプログラムを実行するコンピュータ70の構成の例を示したものである。コンピュータ70は、CPU71と、メモリ72と、記憶装置73と、入出力I/F(Interface)74と、通信I/F75を備えている。また、第1の実施形態の訪問者管理サーバ300、第2の実施形態のPOSサーバ400および店内監視サーバ500における各処理も同様に、コンピュータ70のような構成のコンピュータで、コンピュータプログラムを実行することによって行うことができる。
【0105】
CPU71は、記憶装置73から各処理を行うコンピュータプログラムを読み出して実行する。コンピュータプログラムを実行する演算処理部は、CPU71に代えて、CPUとGPUとの組み合わせによって構成されていてもよい。メモリ72は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、CPU71が実行するコンピュータプログラムや処理中のデータが一時記憶される。記憶装置73は、CPU71が実行するコンピュータプログラムを記憶している。記憶装置73は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。記憶装置73には、ハードディスクドライブ等の他の記憶装置が用いられてもよい。入出力I/F74は、作業者からの入力の受付および表示データ等の出力を行うインタフェースである。通信I/F75は、人流予測システム内の各装置および利用者の端末等との間でデータの送受信を行うインタフェースである。
【0106】
また、各処理の実行に用いられるコンピュータプログラムは、記録媒体に格納して頒布することもできる。記録媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記録媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスクを用いることもできる。不揮発性の半導体記憶装置を記録媒体として用いてもよい。
【0107】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0108】
[付記1]
複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測システムであって、
第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得する取得手段と、
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを用いて生成される予測モデルに対して、前記取得手段により取得される属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問数とを入力することにより、将来の前記複数の展示への訪問者の人流を予測する予測手段と
を備える人流予測システム。
【0109】
[付記2]
前記予測手段による予測結果と、予測の理由と、を表示するよう表示装置を制御する表示制御手段
をさらに備える付記1に記載の人流予測システム。
【0110】
[付記3]
前記表示制御手段は、前記第1の期間における前記複数の展示が展示されるエリアのマップ上に前記予測手段による予測結果を重畳表示するよう前記表示装置を制御する
付記2に記載の人流予測システム。
【0111】
[付記4]
前記予測結果と、前記第1の期間における前記複数の展示それぞれを示すノードおよび前記ノード間を移動する訪問者がいることを示すエッジから成るグラフを示すグラフデータと、に基づいて、前記第1の期間における前記グラフ上の前記複数の訪問者の移動パターンの時系列変化を示すグラフ時系列データを生成するグラフ生成手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記グラフ生成手段により生成されるグラフ時系列データを含む予測結果を表示するよう前記表示装置を制御する
付記2または3に記載の人流予測システム。
【0112】
[付記5]
前記予測結果への寄与度が他のエッジよりも高いエッジを抽出し、抽出したエッジの情報を基に、前記予測の理由を生成する予測レポート生成手段
をさらに備える付記4に記載の人流予測システム。
【0113】
[付記6]
前記表示制御手段は、前記グラフデータにおける各ノードに対応する展示に関する前記属性データを、前記グラフ生成手段により生成されるグラフ時系列データに合わせて示す表示データを表示するよう前記表示装置を制御する
付記4または5に記載の人流予測システム。
【0114】
[付記7]
前記グラフ時系列データは、所定期間において、前記複数の訪問者それぞれが前記複数の展示それぞれを訪れる時刻と、前記複数の訪問者それぞれが前記複数の展示を訪れる順序と、前記複数の訪問者それぞれが訪れる展示の滞在時間と、の少なくとも一つを含む、
付記1から6のいずれか一項に記載の人流予測システム。
【0115】
[付記8]
前記属性データは、展示の識別子と、展示位置と、出展形態と、出展物の分野と、出展者と、出展者の業種と、出展者の事業規模と、出展者の過去の集客数と、出展物の商品または出展物の売上実績と、出展物の製造メーカーと、のうち少なくとも1つを含む
付記1から7のいずれか一項に記載の人流予測システム。
【0116】
[付記9]
前記グラフ時系列データの生成に用いる前記訪問者それぞれの時系列の移動パターンのデータを、前記複数の展示を撮影した映像データに基づいて生成する画像解析手段を
さらに備える付記1から8のいずれか一項に記載の人流予測システム。
【0117】
[付記10]
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、各展示への訪問者数を入力とする機械学習を用いて前記予測モデルを生成する予測モデル生成手段
をさらに備える付記1から9のいずれか一項に記載の人流予測システム。
【0118】
[付記11]
前記予測モデル生成手段は、前記第1の期間における予測結果に基づいて、前記予測モデルを再学習する
付記10に記載の人流予測システム。
【0119】
[付記12]
複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測方法であって、
第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得し、
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを用いて生成される予測モデルに対して、前記第1の期間の属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを入力することにより、将来の前記複数の展示への訪問者の人流を予測する
人流予測方法。
【0120】
[付記13]
人流の予測結果と、予測の理由と、を表示するよう表示装置への出力を制御する
付記12に記載の人流予測方法。
【0121】
[付記14]
前記第1の期間における前記複数の展示が展示されるエリアのマップ上に前記予測結果を重畳表示するよう前記表示装置への出力を制御する
付記13に記載の人流予測方法。
【0122】
[付記15]
前記予測結果と、前記第1の期間における前記複数の展示それぞれを示すノードおよび前記ノード間を移動する訪問者がいることを示すエッジから成るグラフを示すグラフデータと、に基づいて、前記第1の期間における前記グラフ上の前記複数の訪問者の移動パターンの時系列変化を示すグラフ時系列データを生成し、
生成されるグラフ時系列データを表示するよう前記表示装置への出力を制御する
付記13または14に記載の人流予測方法。
【0123】
[付記16]
前記予測結果への寄与度が他のエッジよりも高いエッジを抽出し、抽出したエッジの情報を基に、前記予測の理由を生成する付記15に記載の人流予測方法。
【0124】
[付記17]
前記グラフデータにおける各ノードに対応する展示に関する前記属性データを、前記グラフ時系列データに合わせて表示するよう前記表示装置への出力を制御する
付記15または16に記載の人流予測方法。
【0125】
[付記18]
前記グラフ時系列データは、所定期間において、前記複数の訪問者それぞれが前記複数の展示それぞれを訪れる時刻と、前記複数の訪問者それぞれが前記複数の展示を訪れる順序と、前記複数の訪問者それぞれが訪れる展示の滞在時間と、の少なくとも一つを含む
付記12から17のいずれか一項に記載の人流予測方法。
【0126】
[付記19]
前記属性データは、展示の識別子と、展示位置と、出展形態と、出展物の分野と、出展者と、出展者の業種と、出展者の事業規模と、出展者の過去の集客数と、出展物の商品または出展物の売上実績と、出展物の製造メーカーと、のうち少なくとも1つを含む
付記12から18のいずれか一項に記載の人流予測方法。
【0127】
[付記20]
前記グラフ時系列データを、前記複数の展示を撮影した映像データに基づいて生成する
付記12から19のいずれか一項に記載の人流予測方法。
【0128】
[付記21]
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関すると、各展示への訪問者数を入力とする機械学習を用いて前記予測モデルを生成する
付記12から20のいずれか一項に記載の人流予測方法。
【0129】
[付記22]
前記第1の期間における予測結果に基づいて、前記予測モデルを再学習する
付記21に記載の人流予測方法。
【0130】
[付記23]
複数の展示物が展示される展示会場の人流を予測する人流予測プログラムを記録するプログラム記録媒体であって、
第1の期間における、複数の展示に関する属性データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを取得する処理と、
前記第1の期間よりも過去の期間である第2の期間における前記属性データと、前記第2の期間における前記複数の展示への複数の訪問者それぞれの移動パターンの時系列変化に関するグラフ時系列データと、前記複数の展示それぞれへの訪問者数とを用いて生成される予測モデルに対して、第1の期間の属性データと、前記複数の展示それぞれへ訪問者数とを入力することにより、将来の前記複数の展示への訪問者の人流を予測する処理と
をコンピュータに実行させる人流予測プログラムを記録したプログラム記録媒体。
【0131】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0132】
10 予測モデル生成装置
11 取得部
12 記憶部
13 グラフ生成部
14 予測モデル生成部
15 予測モデル記憶部
16 予測モデル出力部
20 予測装置
21 取得部
22 予測モデル記憶部
23 予測部
24 グラフ生成部
25 予測理由生成部
26 表示制御部
30 読取装置
32 画像解析部
50 カメラ
51 画像解析部
61 取得部
62 予測部
70 コンピュータ
71 CPU
72 メモリ
73 記憶装置
74 入出力I/F
75 通信I/F
100 予測システム
300 訪問者管理サーバ
400 POSサーバ
500 店内監視サーバ
図1
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