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特許7533586人検知システム、サーバ装置、人検知方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】人検知システム、サーバ装置、人検知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022538535
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2020028329
(87)【国際公開番号】W WO2022018833
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 有希子
(72)【発明者】
【氏名】船田 純一
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-70248(JP,A)
【文献】特許第6704072(JP,B1)
【文献】特表2010-516298(JP,A)
【文献】特開2009-240368(JP,A)
【文献】国際公開第2019/124103(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置とサーバ装置とを備え、
前記検出装置は、
人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、
前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と、前記所持品についての所持品識別情報とのペアを、前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、
前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶装置を有し、
感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力し、
前記所持品はマスクであり、
前記所持品識別情報は、視認できないインクで前記マスクに印字された情報である、
人検知システム。
【請求項2】
前記所持品の位置は、前記所持品の所持品識別情報を検出した検出装置の識別情報で表される、
請求項に記載の人検知システム。
【請求項3】
前記検出装置は、撮像装置を有し、前記撮像装置の撮像範囲に含まれる複数のエリアにそれぞれ異なる位置識別情報が割り当てられており、
前記所持品の位置は、前記撮像装置で撮像される画像の中で前記所持品が含まれるエリアの位置識別情報で表される、
請求項に記載の人検知システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、
前記所持品識別情報の検出日時を表す日時情報を、前記ペアとともに前記記憶装置に記憶し、
前記特定した位置情報と同じハッシュ値を示し且つ前記日時情報が一致又は所定期間以内である他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する、
請求項1~のいずれか1項に記載の人検知システム。
【請求項5】
人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、前記ペアを受信した場合に前記ペアを記憶する記憶装置と、
感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する処理装置と、
を有し、
前記所持品はマスクであり、
前記所持品識別情報は、視認できないインクで前記マスクに印字された情報である、
サーバ装置。
【請求項6】
人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、サーバ装置が、前記ペアを受信する受信ステップと、
前記サーバ装置が、前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶ステップと、
前記サーバ装置が、感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する出力ステップと、
を備え
前記所持品はマスクであり、
前記所持品識別情報は、視認できないインクで前記マスクに印字された情報である、
人検知方法。
【請求項7】
コンピュータに、
人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、前記ペアを受信する受信ステップと、
前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶ステップと、
感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記所持品はマスクであり、
前記所持品識別情報は、視認できないインクで前記マスクに印字された情報である、
プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人検知システム、サーバ装置、人検知方法、コンピュータ可読媒体、及びマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
感染症の感染拡大を防ぐための対策の1つとして、感染が確認された人(感染症患者)と接触した人を把握できるようにすることが求められる。ここでいう接触とは、物理的に触れる場合に限定されず、所定距離以内に位置する場合や同じ店舗等の中にいる場合など、一定程度近接する場合も含まれる。例えば、感染症患者と接触した人を把握できるようにする方法の1つとして、感染症患者の移動履歴を得て、それを公表することが考えられる。
【0003】
感染症患者と接触した人を把握するシステムの例として、特許文献1には、位置を特定した物体と他の物体又は特定の場所との間の関連を、位置を特定した物体へのこれら他の物体の近接性に基づいて特定する位置特定システムが記載されている。ここで、物体の位置は、物体に連結された物体識別器から生成される信号に基づいて特定される。この位置特定システムでは、物体識別器を患者に取り付けることで病院全域における患者の動きが追跡可能となり、医療施設における接触感染性患者の移動を追跡することが可能となる。
【0004】
特許文献2には、感染症患者の行動履歴情報を収集・管理し、感染症患者のプライバシーを侵害することなく接触履歴を分析・確認できる、感染症患者行動履歴収集・分析システムが記載されている。特許文献2に記載のシステムでは、感染症患者の行動履歴との重なりが有ると判断されると、感染症患者との接触の可能性があることを個人端末に通知する。ここで通知される情報は接触の可能性だけであり、接触場所や日時といった個人情報にかかわる部分は、公共医療機関に出向いて、対面でしか入手できないようにすることで、個人情報が保護されている。
【0005】
なお、感染拡大を防ぐ他の対策も提案されている。例えば、特許文献3には、RFID技術及びその他の自動識別システムを利用して、感染の可能性のある人を識別、追跡及び隔離することによって、空気感染による伝染病の発生を検出及び抑制する機能を組み込んだフェイスマスクが記載されている。ここで、RFIDはRadio Frequency Identifierの略である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2004-536285号公報
【文献】特開2011-070248号公報
【文献】特表2010-516298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
感染症患者との接触を把握できるシステムを運用する際には、多くの人々に当該システムを利用してもらうことが好ましい。しかしながら、プライバシーの保護が不十分なシステムでは、システムの利用をためらう人が多く、利用者を増やすことが難しい。この点、特許文献1に記載のシステムは、患者の動きが把握できてしまうため、プライバシーの侵害となる恐れがある。また、特許文献2に記載のシステムでは、接触場所や日時といった個人情報に関わる部分は、復号可能又はパスワード認証により取得可能であって対面での入手が可能となっているため、プライバシーへの保護が十分とは言えない。また、特許文献3の技術では、感染者以外の人が感染者との近接の可能性を把握することはできない。
【0008】
本開示の目的は、人のプライバシーを保護しながら、感染症患者と接触した可能性のある人を検知することが可能な人検知システム、サーバ装置、人検知方法、コンピュータ可読媒体、及びマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様に係る人検知システムは、検出装置とサーバ装置とを備え、前記検出装置は、人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と、前記所持品についての所持品識別情報とのペアを、前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶装置を有し、感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する、ものである。
【0010】
本開示の第2の態様に係るサーバ装置は、人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、前記ペアを受信した場合に前記ペアを記憶する記憶装置と、感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する処理装置と、を有する、ものである。
【0011】
本開示の第3の態様に係る人検知方法は、人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、サーバ装置が、前記ペアを受信する受信ステップと、前記サーバ装置が、前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶ステップと、前記サーバ装置が、感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する出力ステップと、を備えた、ものである。
【0012】
本開示の第4の態様に係るコンピュータ可読媒体は、コンピュータに、人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、前記ペアを受信する受信ステップと、前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶ステップと、感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する出力ステップと、を実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本開示により、人のプライバシーを保護しながら、感染症患者と接触した可能性のある人を検知することが可能な人検知システム、サーバ装置、人検知方法、コンピュータ可読媒体、及びマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る人検知システムの一構成例を示す図である。
図2図1の人検知システムにおけるサーバ装置の一構成例を示すブロック図である。
図3図1の人検知システムにおける検出装置の一構成例を示すブロック図である。
図4図1の人検知システムにおけるサーバ装置での処理例を説明するためのフロー図である。
図5】実施形態2に係る人検知システムの一構成例を示す図である。
図6図5の人検知システムで用いられるマスクの一例を示す概略図である。
図7図5の人検知システムにおける撮像装置での撮影画像に対する位置識別情報の割当例について説明するための図である。
図8図5の人検知システムにおける処理例を説明するための模式図である。
図9図8における端末装置に表示される通知の一例を示す図である。
図10】実施形態3に係る人検知システムの一構成例を示す模式図である。
図11】装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0016】
<実施形態1>
実施形態1の構成例について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、実施形態1に係る人検知システム(以下、本システム)の一構成例を示す図である。また、図2は、本システムにおけるサーバ装置の一構成例を示すブロック図で、図3は、本システムにおける検出装置の一構成例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、本システムは、サーバ装置1と1又は複数の検出装置2-1,2-2,・・・,2-N(Nは1以上の整数)とを備える。検出装置2-1,2-2,・・・,2-Nは、それらの区別を行わない場合、検出装置2として説明する。各検出装置2は、サーバ装置1とネットワーク等を介して通信可能となっている。
【0018】
検出装置2は、人の所持品の識別情報(所持品識別情報)を検出する。つまり、検出装置2は、人を検出するのではなく、その代わりに所持品の識別情報を検出する。そして、検出装置2は、その所持品を検出した位置の識別情報(位置識別情報)のハッシュ値を示す位置情報と、その所持品についての所持品識別情報とのペアを、サーバ装置1へ送信する。このハッシュ値からは上記検出した位置を認識できないようになっている。
【0019】
このハッシュ値は検出装置2に予め記憶されていればよいが、検出装置2が予め記憶された位置識別情報から算出することもできる。予め記憶するハッシュ値を算出するハッシュ関数や検出装置2が算出に用いるハッシュ関数(一方向ハッシュ関数又は片方向ハッシュ関数などと称することもできる)は問わない。
【0020】
サーバ装置1は、位置識別情報と所持品識別情報のペアを検出装置2から受信し、具備された記憶装置(図2の記憶装置12)に記憶する。N個の検出装置2のそれぞれから検出がなされる度に上記ペアを受信し、記憶することができる。このようにして、人の移動履歴(位置履歴)の代わりに所持品の移動履歴(位置履歴)が記憶装置12に蓄積されていくことになる。なお、サーバ装置1は、単体で構成することができるが、分散システムとして構成することもでき、その場合、記憶装置12をサーバ装置1の本体とは別筐体で構成することもできる。
【0021】
サーバ装置1は、感染症患者の所持品についての所持品識別情報(以下、区別のために第1情報と称す)を受信した場合、その第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定する。例えば、感染症患者が医療機関で指定された後、外部装置又はサーバ装置1に具備された操作部から、その感染症患者についての所持品識別情報を、第1情報としてサーバ装置1に登録することができる。感染症の種類は問わず、接触感染、空気感染、飛沫感染などが懸念される感染症が挙げられ、より具体的には、例えばCOVID-19(coronavirus disease 2019)やインフルエンザなどが挙げられる。
【0022】
ここで、第1情報を受信した場合とは、外部装置又は上記操作部からサーバ装置1に送信又は入力されたものを受信した場合を指すことができるが、受信したペアに第1情報が含まれるとは判定できた場合も含むことができる。後者の場合、ペアとして記憶装置12に記憶されていない所持品識別情報を、外部装置又は上記操作部から感染症患者の所持品識別情報として(そのペアの受信前に)受信して登録される場合に該当する。その場合、サーバ装置1は、登録された感染症患者の所持品識別情報を含むようなペアを受信した段階で、第1情報を受信したと把握して、その第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定することができるようになる。
【0023】
次いで、サーバ装置1は、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する。ここで、2つの所持品識別情報に同一のハッシュ値が対応付けられていることは、2人の人物が同じ位置(例えば、同一の店舗内)に滞在していたことを意味する。そのため、ここで出力される所持品識別情報は、感染症患者と接触した可能性のある人(接触者)が所持している所持品の識別情報である。なお、本実施形態ではこの出力先は問わない。ここでいう接触とは、物理的に触れる場合に限定されず、例えば所定距離以内に位置する場合や同じ店舗等の中にいる場合など、一定程度近接する場合も含まれる。
【0024】
このように、サーバ装置1は、感染症患者の所持品の識別情報(第1情報)を受信したことに応じて、その識別情報と対応づけられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報と対応する所持品識別情報を出力する。
【0025】
図2に示すように、サーバ装置1は、処理装置11及び記憶装置12を備えることができる。その他、サーバ装置1は、検出装置2等の通信を行うための通信部(図示せず)を備えることができる。上述のように、記憶装置12は、検出装置2からペアを受信した場合にそのペアを記憶する装置である。処理装置11は、サーバ装置1の処理として上述したような処理を実行する。即ち、処理装置11は、第1情報を受信した場合、その第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する。
【0026】
処理装置11は、サーバ装置1の全体を制御する制御部として機能させることができ、記憶装置12に対する記憶制御についても処理装置11側で実行することができる。処理装置11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及び制御用のプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。なお、この記憶装置と記憶装置12は一つの装置とすることもできる。処理装置11はIC(Integrated Circuit)を含んで構成することができる。
【0027】
図3に示すように、本システムにおける検出装置2は、その全体を制御する制御部21、検出部22、及び通信部23を備えることができる。
【0028】
制御部21は、例えば、CPU、作業用メモリ、及び制御用のプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができ、ICを含んで構成することができる。検出部22は、所持品識別情報を検出する部位である。検出装置2の設置位置や検出部22の検出範囲などは、所持品の種類などを考慮して所持品識別情報の検出が適切に実行できるように決めておくとよい。通信部23は、サーバ装置1との通信を行う。通信部23やサーバ装置1側の通信部は通信インタフェース等で構成することができる。
【0029】
また、検出装置2は、単体の装置として構成することができるが、分散システムとして構築することもできる。その場合、複数の装置のそれぞれに制御部、検出部、及び通信部を備え、それぞれの検出部22で検出処理の一部を行い、1つの装置(又は検出部を備えない装置)に情報を送信して集約することができる。そして、その装置の制御部で総合的に所持品識別情報の検出の有無を判定し、その装置の通信部23がサーバ装置1へペアを送信すればよい。これにより、例えば、同一店舗内の検出部での検出であれば同じ検出位置として扱うことができる。
【0030】
次に、図4を参照しながら本システムの一処理例について説明する。図4は、本システムにおけるサーバ装置1での処理例を説明するためのフロー図である。
【0031】
まず、検出装置2が所持品識別情報を検出し、位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報とその所持品識別情報とのペアをサーバ装置1に送信する。サーバ装置1は、検出装置2からこのペアを受信し(ステップS1)、受信したペアを記憶装置12に記憶する(ステップS2)。
【0032】
サーバ装置1は、感染症患者の所持品についての所持品識別情報(つまり第1情報)を受信したか否かを判定し(ステップS3)、受信されるまで待つ。ステップS3の判定は、感染症患者が医療機関で指定されてその感染症患者についての所持品識別情報(第1情報)が指定されたことに応じて、そのことがサーバ装置1に登録されたか否かの判定とすることができる。或いは、ステップS3の判定は、所定期間毎に実行される、上記登録が済みであるか否かの判定とすることもできる。なお、所定期間毎に実行される場合、複数の感染症患者についての第1情報が登録されている場合もある。
【0033】
サーバ装置1は、ステップS3でYESとなった場合、その第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定する(ステップS4)。次いで、サーバ装置1は、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する(ステップS5)。ステップS4,S5は感染症患者毎に(つまり第1情報毎に)実行されることができる。
【0034】
図4では、ステップS3の判定を、所持品識別情報を受信して記憶する毎に実行するように説明したが、例えば、ステップS1~S2の処理とステップS3~S5の処理を並列で実行するなどしてもよい。なお、ステップS1,ステップS2,ステップS3~S5は、それぞれ受信ステップ、記憶ステップ、出力ステップと称することができる。
【0035】
以上のように、本システムでは、人の代わりにその所持品に基づき感染症患者との接触者を検知することが可能であり、個人を特定せずに済み、人のプライバシーを保護することができる。また、接触者に関する所持品識別情報の出力先を人が閲覧可能な出力先とすることで、プライバシーに配慮しつつ、感染症患者と接触した可能性のある人(接触者として検知された人)が、そのことを容易に把握できるようになる。さらに、本システムでは、人の所持品を検出した位置の位置識別情報(つまり人の移動情報)をハッシュ化してサーバ装置1に送信しているため、秘匿性が高く上記検出した位置を認識できず、人の行動の観点からも人のプライバシーを保護することができる。これらのプライバシー保護を実現した本システムでは、接触者を検知する他のシステムに比べ、その導入をためらう人を少なくすることができるため、システムの利用者を増やすことができる。また、本システムでは、検出装置2を高密度で配置することで、接触者特定の正確性を向上させることができる。
【0036】
なお、上述のように、本システムは、感染症患者の所持品の検出状況、その他の人の所持品の検出状況に基づいて、感染症患者と同じ又は近隣の検出装置で検出された人を感染症患者との接触者として検知することができる。よって、本システムは、感染症患者追跡システム、接触者検知システム、所持品識別システム、人追跡システムなどと称することができる。
【0037】
<実施形態2>
実施形態2について、図5図9を併せて参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。図5は、実施形態2に係る人検知システム(以下、本システム)の一構成例を示す図である。図6は、図5の人検知システムで用いられるマスクの一例を示す概略図である。
【0038】
図5に示すように、本システムは、サーバ装置5と複数の撮像装置7とを備える。
サーバ装置5はサーバ装置1の一例であり、処理装置11に相当する制御部51と、記憶装置12に相当する記憶部52と、撮像装置7等との通信を行う通信部53と、を備える。
【0039】
撮像装置7は、検出装置2の一例であり、可視光カメラ、赤外線カメラなど、様々な種類のものを適用することができる。撮像装置7は、制御部21に相当する制御部71と、検出部22の一例である撮像部72と、通信部23に相当する通信部73と、を備える。なお、本実施形態は、撮像に特化された例を除き、撮像装置以外の検出装置であっても適用できる。
【0040】
以下、本システムについて、所持品の一例としてマスク(フェイスマスク)6を挙げて説明する。マスク6は、図6に示すように、その本体61に所持品識別情報62が印字されている。所持品識別情報62はマスクIDと称することもできる。特に、マスク6は、人が視認できないインク(以下、不可視インク)で所持品識別情報62が本体61等に印字されたものとすることが好ましい。そして、所持品識別情報62と所持品との対応(例えば、マスクIDとそのマスクIDが印字されているマスク6との対応)は、当該所持品を所持する人以外に公表されないことが望ましい。なお、図6では、簡略化のため所持品識別情報62が星形のマークのように図示されているが、人に固有の情報であれば二次元バーコード、数字や文字や記号の配列など、どのような表記法を採用してもよい。
【0041】
上記の不可視インクは、人が視認できないインクとすることが好適である。但し、不可視インクは、特定の道具を利用したりすることで人が視認可能なものであってもよい。また、不可視インクを利用する場合、撮像装置7は当該不可視インクを検出できるように構成される。例えば、不可視インクとして赤外線反射顔料を利用する場合、撮像装置7は、赤外線カメラを用いて実現されること、或いは、赤外線カメラ及び赤外光を照射する装置を用いて実現されることができる。
【0042】
その他、所持品識別情報62は、本体61の表面を押圧するなどして形成した凹凸で表される情報とすることもでき、このような凹凸によっても少なくとも装着時には他人から読み取れないようにすることができる。
【0043】
次に、本システムにおける撮像装置7での処理例について説明する。
撮像部72は、図5に示すように人9が取り付けているマスク6を撮影し、その撮影により得られた画像を内部のメモリに記憶する。制御部71は、その画像から所持品識別情報62を検出する。なお、撮像部72は、動画像と静止画像のいずれか一方又は双方を取得する。また、撮像装置7は、図示しない人感センサを備えるなどして、人が検知された場合に撮像を開始し、人が検知されなくなった場合に撮像を終了するようにしておくこともできる。
【0044】
撮像装置7の制御部71は、その所持品を検出した位置の位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報とその所持品についての所持品識別情報とのペアを、通信部73を介してサーバ装置5へ送信する。
【0045】
この位置識別情報は、撮像装置7を識別するための装置識別情報とすることができる。つまり、所持品(この例ではマスク6)の位置は、その所持品の所持品識別情報(この例では所持品識別情報62)を検出した撮像装置7の識別情報で表すことができる。このような装置識別情報を用いることで、位置識別情報を、撮像装置7等の検出装置に一意に決めておくことができる。但し、同一店舗内であれば同じ検出位置として扱いたい場合には、店舗に設けられている複数の撮像装置7に同じ位置識別情報を割り当てておけばよい。
【0046】
また、撮像装置7は、その撮像範囲が感染症患者との接触とみなせる範囲より広くなるように、設置及び設定しておくことができる。なお、ここでの設定とは撮影倍率や撮影角度などの設定である。そのため、撮像範囲を複数のエリア(部分撮像領域)に分け、エリア毎に異なる検出位置を割り当てることもできる。このような例について図7を参照しながら説明する。図7は、本システムにおける撮像装置7での撮影画像に対する位置識別情報の割当例について説明するための図である。
【0047】
図7に示すように、撮像装置7は、その全撮像範囲70を2つのエリア70a,70bに分けるように設定しておくことができる。撮像装置7では、エリア70a、エリア70bに対し、それぞれ全撮像範囲70に対応する画像の左半分、右半分が得られることとなる。ここで、エリア70aとエリア70bにはそれぞれ、異なる位置識別情報が割り当てられる。そして、制御部71は、エリア70aに対応する左半分の画像、エリア70bに対応する右半分の画像のそれぞれについて所持品識別情報の検出を実行する。制御部71は、左半分の画像から所持品識別情報を検出した場合には、エリア70aに割り当てられた位置識別情報のハッシュ値を使用して、その所持品識別情報とのペアを生成する。一方、制御部71は、右半分の画像から所持品識別情報を検出した場合には、エリア70bに割り当てられた位置識別情報のハッシュ値を使用して、その所持品識別情報とのペアを生成する。
【0048】
図7の例では、それぞれ異なるマスクをした人がエリア70a,70bに同時に存在しているため、制御部71は、通信部73を介し、ハッシュ値が異なり且つ所持品識別情報も異なる2種類のペアをサーバ装置5に送信することになる。これに対し、エリア70a,70bの設定を行わず、全撮像範囲70に1つの位置識別情報を用いる場合、図7の場面では、制御部71は、通信部73を介し、ハッシュ値を共通とし且つ所持品識別情報が異なる2種類のペアをサーバ5に送信することになる。
【0049】
このように、撮像装置7の撮像範囲に含まれる複数のエリアにそれぞれ異なる位置識別情報を割り当てられることができる。そして、所持品(この例ではマスク6)の位置は、撮像装置7で撮像される画像の中でその所持品が含まれるエリアの位置識別情報で表されることができる。これにより、エリアが異なれば、異なるハッシュ値として記憶されるため、隣り合うエリアに感染症患者が存在したとしても接触者であると検知されないで済む。
【0050】
また、撮像装置7は、具備された操作部(図示せず)又は外部装置からこのようなエリアの設定が可能なように構成しておくことが好ましく、特にエリアの数や分割方法を設定可能にしておくことが好ましい。
【0051】
図7を参照しながら、複数のエリアが撮像装置7の全撮像範囲を分割して設定される例を挙げたが、他の設定方法を採用することもできる。また、例えばマスク6であればマスク6が床に落ちている場面も想定できるため、床側をどのエリアにも含めないなど、全撮像範囲のある部分についてはどのエリアにも含まれないように設定することもできる。なお、撮像装置7の装置識別情報を利用する場合にも、同様の考え方で、全撮像範囲のうち一部のエリアにのみ上記装置識別情報を割り当て、他のエリアには装置識別情報を割り当てないことができる。これにより、装置識別情報が割り当てられている範囲に位置する所持品についてのみ、当該所持品の所持品識別情報と装置識別情報(位置識別情報)とのペアが送信されるようにすることができる。
【0052】
次に、本システムにおけるサーバ装置5での処理例を説明する。
上述のように撮像装置7から送信されたペアは、サーバ装置5で受信されて記憶部52記憶されることになる。そして、制御部51は、第1情報を受信した場合、その第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する。
【0053】
このようにして出力される所持品識別情報は、感染症患者が検出された際の位置情報と同じハッシュ値をもつペアの所持品識別情報であるため、日時に関係なく感染症患者と同じ位置に居ただけで接触者として判定されることになる。感染症の原因となるウィルスや細菌等の病原体の残存期間が長い場合には、テーブルやドア等の物体に病原体が長時間残ることもあるため、このような日時に関係のない判定であっても有益である場合も想定できる。
【0054】
しかし、病原体の残存期間がそれほど長くない場合も想定されうるため、近接の日時をさらに考慮して接触者の判定を行ってもよい。
【0055】
このように日時をさらに考慮する場合、例えばサーバ装置5は、次のような処理を実行するとよい。即ち、サーバ装置5は、所持品識別情報の検出日時を表す日時情報を、位置情報と関連付けて記憶部52に記憶する。例えば検出日時は、サーバ装置5が位置情報を受信した日時によって定められることができる。そして、サーバ装置5は、位置情報の特定処理を行った後、特定した位置情報と同じハッシュ値を示し且つ日時情報が一致又は所定期間以内である他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する。なお、この処理の手順としては、制御部51は、日時情報を加味せずに出力した所持品識別情報の中から、日時情報が一致又は所定期間以内であるものを抽出し、最終的な出力対象の所持品識別情報とするようにしてもよい。
【0056】
日時情報は、撮像装置7によって取得されてもよい。この場合、撮像装置7は、ペアとともに、所持品識別情報が検出された日時を示す日時情報を、サーバ装置5に送信する。サーバ装置5は、撮像装置7から受信した日時情報をペアとともに記憶部52に記憶しておく。そして、サーバ装置5は、位置情報の特定処理を行った後、特定した位置情報と同じハッシュ値を示し且つ日時情報が一致又は所定期間以内である他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力すればよい。
【0057】
これらの手法のように日時情報はハッシュ化しなくても位置情報さえハッシュ化しておけばプライバシーの保護を図ることができる。但し、日時情報もハッシュ化しておくこともできる。例えば、他の代替手法として、撮像装置7が、位置情報に含めて、検出した日時を示す日時情報をサーバ装置5に送信してもよい。つまり、撮像装置7は、位置情報及び日時情報が含まれる情報をハッシュ化して、サーバ装置5に送信してもよい。この場合、日時に幅を持たせるために、日時情報を日付と時間帯とを示す情報としておくこともできる。
【0058】
次に、サーバ装置5における所持品識別情報の出力例について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、本システムにおける処理例を説明するための模式図で、図9は、図8における端末装置に表示される通知の一例を示す図である。
【0059】
本システムは、図8で示すように、撮像装置7(7-1,7-2,・・・,7-N)のいずれかでマスク6や自身が撮像される可能性がある人が使用する端末装置8を含んで構築することができる。端末装置8としては、例えば携帯電話機(スマートフォンと称されるものも含む)やモバイルPC(Personal Computer)などが挙げられる。端末装置8は、その全体を制御する制御部81、情報を表示する表示部82、及び、サーバ装置5等と通信する通信部83を備えることができる。制御部81は、例えば、CPU、作業用メモリ、及び制御用のプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができ、例えばICを含んで実現することができる。
【0060】
図8で示すシステムでは、サーバ装置5における所持品識別情報の出力先を、サーバ装置5にネットワークを介して接続される端末装置8とすることができる。出力先は、サーバ装置5に通知先として予め記憶部52等に登録した全ての端末装置8とすることができる。これにより、サーバ装置5でユーザの端末装置8とそのユーザが使用する所持品の所持品識別情報とを関連付ける必要なく、ユーザが接触の可能性を知ることができる。
【0061】
具体例を挙げる。人9aと人9bが撮像装置7-1の設置場所に同時期に居たとする。その場合、撮像装置7-1は2人のマスクの所持品識別情報を撮像した画像に基づき得る(ステップS11)。そして、撮像装置7-1は、人9aと人9bのそれぞれについて、位置識別情報(例えば撮像装置7-1の装置識別情報)及び日時情報のハッシュ値と所持品識別情報とのペアをサーバ装置5に送信する(ステップS12)。これにより、サーバ装置5はこのペアを記憶する。なお、ここでは日時情報も位置識別情報とともにハッシュ化される例のみを挙げるが、他の手法で日時を考慮してもよい。
【0062】
その後、又はそれ以前に、病院にて人9bが感染症検査で陽性とされ(区別のため感染症患者9bxと表記)、保健所等の公衆衛生機関に登録されたとする(ステップS13)。公衆衛生機関は、撮像装置7-1が設置された空間に居た感染症患者9bxが使用するマスクの所持品識別情報(マスクID)を自機関が提供するサイトで公開するか、或いはサーバ装置5に送信する(ステップS14)。サイトで公開される場合、公開された情報に基づきサーバ装置5でそのマスクIDを登録すればよい。
【0063】
サーバ装置5は、このマスクIDを受信するとこのマスクIDに陽性フラグを立てるなどして、陽性フラグが立てられたマスクIDとペアをなす位置情報の特定を行い、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報のマスクIDを抽出する。抽出されたマスクIDは、接触者が使用するマスクのマスクIDとなる。そして、サーバ装置5は、抽出したマスクIDを、通知先が登録された全ての端末装置8に送信する(ステップS15)。
【0064】
端末装置8のユーザが、サーバ装置5から端末装置8で受信したマスクIDとユーザ自身のマスクのマスクIDとを比較することで、自身が接触者であるか否かを判断することができる。また、上記サイトでマスクIDが公開される場合には、ユーザはそのサイトを端末装置8等で閲覧して、自身のIDと比較することもできる。或いは、端末装置8が、内部に事前登録しておいた自身のマスクのマスクIDとサーバ装置5から受信した所持品識別情報とを比較してもよい。その場合、人9aが使用する端末装置8ではそれらのマスクIDが一致するため、図9に示すように、制御部81が表示部82にポップアップメッセージ84を表示させるとよい。ここで例示するポップアップメッセージ84では、感染症患者(感染者)との接触可能性とともにその日時も含めており、これによりユーザは自身の記憶を辿って接触場所も把握することができる。なお、日時を含める場合には日時情報のハッシュ化がなされていない例に適用できる。但し、日時情報は通知する内容に含まなくてもよい。
【0065】
また、端末装置8のユーザが接触者であるか否かを知るためには、サーバ装置が次のような処理を行うようにしてもよい。即ち、サーバ装置5は、端末装置8から所持品識別情報を含む問合せ(クエリ)を受信した場合、その問合せに含まれる所持品識別情報が、出力対象の所持品識別情報と一致するか否かを判定し、判定した結果を返信する。ここで、端末装置8は、例えばそのようなクエリを所定間隔で自動的に(又はユーザ操作に従い)送信するアプリケーションプログラムを実行可能に記憶しておけばよい。
【0066】
また、本システムは、複数種類の感染症のそれぞれに対応できるように構築することもできる。具体的に説明すると、まず、上述したように、サーバ装置5は、外部装置又は具備された操作部から感染症患者を指定することが可能に構成されることができる。サーバ装置5は、感染症を区別できるように感染症の種類毎に処理を行う、或いは、感染症の種類を示す情報とともにペアを記憶しておくなどすることで、感染症の種類毎に所持品識別情報を出力するようにしてもよい。
【0067】
サーバ装置5において感染症を区別できるように感染症の種類毎に処理を行う例としては、例えば次のようなものが挙げられる。即ち、日時情報についての所定期間を感染症の種類に応じて異ならせることで種類毎の処理を行うことができる。また、撮像装置7でのエリア割り当てを変えることにより、種類毎の処理を行うことができる。例えば、撮像装置7は、撮像範囲を12分割しておき、感染症Aについては12つのエリアとして処理し、感染症Bについては隣り合う4つのエリアを統合して3つのエリアとして処理することで、エリア割り当てを変えることができる。
【0068】
<実施形態3>
実施形態3について、図10を併せて参照しながら実施形態2との相違点を中心に説明するが、実施形態1,2で説明した様々な例が適用できる。図10は、実施形態3に係る人検知システム(以下、本システム)の一構成例を示す模式図である。
【0069】
図10に示すように、本システムは、検出装置として、実施形態2で撮像装置7として説明した撮像装置(例えば赤外線カメラ)7aと、RFIDリーダ7bと、スマートタグリーダ7cと、を備える。本システムでは、撮像装置7a、RFIDリーダ7b、及びスマートタグリーダ7cは、実施形態2におけるサーバ装置5に対応するサーバ装置5aにネットワークを介して接続されている。
【0070】
撮像装置7aは、人9a,9bが装着するマスク6aのマスクIDを検出し、検出したマスクIDのそれぞれについて、マスクIDと装置識別情報のハッシュ値を示す位置情報とのペアをサーバ装置5aに送信する。RFIDリーダ7bは、人9c,9dが装着するマスク6bに埋め込まれたRFIDタグのRFIDコードからマスクIDを検出する。そして、RFIDリーダ7bは、検出したマスクIDのそれぞれについて、マスクIDと装置識別情報のハッシュ値を示す位置情報とのペアをサーバ装置5aに送信する。スマートタグリーダ7cは、人9e,9fが所持するBluetooth(登録商標)スマートタグ6cを検知してタグIDを検出する。そして、スマートタグリーダ7cは、検出したタグIDのそれぞれについて、タグIDと装置識別情報のハッシュ値を示す位置情報とのペアをサーバ装置5aに送信する。
【0071】
検出装置の設置場所(検出場所)や対象者に応じて、適切な検知方法を選択して、それに対応する種類の検出装置を設置しておくことが望ましい。なお、図10では、異なる場所に各種の検出装置が備えられた例を挙げているが、検出する場所毎に複数種類の検出装置が備えられていてもよい。
【0072】
ペア送信後の処理は、実施形態2と基本的に同様であり、これらの3種類のペアがサーバ装置5aに記憶され、3種類を区別なく処理して又は種類毎に処理して、接触者が所持する所持品の所持品識別情報が出力されることになる。
【0073】
<他の実施形態>
各実施形態において、人検知システムについて説明したが、そのシステム構成や処理手順等は例示したものに限らない。また、各実施形態で説明した各装置は、次のようなハードウェア構成を有していてもよい。図11は、装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0074】
図11に示す装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース(I/F)103を有することができる。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。各実施形態で説明した各装置における機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、他の装置との情報の送受はI/F103としての通信インタフェースを介して行うことができる。装置100が検出装置である場合には、検出用のセンサ等のための入出力はI/F103としての入出力インタフェースを介して行うことができる。
【0075】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0076】
さらに、上述した各実施形態において、人検知方法の手順を例示したように、本開示は、上述した受信ステップ、記憶ステップ、及び出力ステップを備えた人検知方法としての形態も採り得る。なお、その他の例については、各実施形態で説明した通りである。また、上記プログラムは、コンピュータに(サーバ装置として機能させるコンピュータに)、上述したような人検知方法における各ステップを実行させるためのプログラムであると言える。
【0077】
なお、本開示は上記の各実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0078】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0079】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
検出装置とサーバ装置とを備え、
前記検出装置は、
人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、
前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と、前記所持品についての所持品識別情報とのペアを、前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、
前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶装置を有し、
感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する、
人検知システム。
(付記2)
前記所持品はマスクであり、
前記所持品識別情報は、前記マスクに印字された情報である、
付記1に記載の人検知システム。
(付記3)
前記所持品識別情報は、視認できないインクで前記マスクに印字された情報である、
付記2に記載の人検知システム。
(付記4)
前記所持品の位置は、前記所持品の所持品識別情報を検出した検出装置の識別情報で表される、
付記1~3のいずれか1項に記載の人検知システム。
(付記5)
前記検出装置は、撮像装置を有し、前記撮像装置の撮像範囲に含まれる複数のエリアにそれぞれ異なる位置識別情報が割り当てられており、
前記所持品の位置は、前記撮像装置で撮像される画像の中で前記所持品が含まれるエリアの位置識別情報で表される、
付記1~3のいずれか1項に記載の人検知システム。
(付記6)
前記サーバ装置は、
前記所持品識別情報の検出日時を表す日時情報を、前記ペアとともに前記記憶装置に記憶し、
前記特定した位置情報と同じハッシュ値を示し且つ前記日時情報が一致又は所定期間以内である他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する、
付記1~5のいずれか1項に記載の人検知システム。
(付記7)
前記サーバ装置は、予め登録された端末装置に出力対象の所持品識別情報を送信する、
付記1~6のいずれか1項に記載の人検知システム。
(付記8)
前記サーバ装置は、端末装置から前記所持品識別情報を含む問合せを受信した場合、前記問合せに含まれる所持品識別情報が、出力対象の所持品識別情報と一致するか否かを判定し、判定した結果を返信する、
付記1~7のいずれか1項に記載の人検知システム。
(付記9)
人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、前記ペアを受信した場合に前記ペアを記憶する記憶装置と、
感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する処理装置と、
を有する、
サーバ装置。
(付記10)
前記所持品はマスクであり、
前記所持品識別情報は、前記マスクに印字された情報である、
付記9に記載のサーバ装置。
(付記11)
前記所持品識別情報は、視認できないインクで前記マスクに印字された情報である、
付記10に記載のサーバ装置。
(付記12)
前記所持品の位置は、前記所持品の所持品識別情報を検出した検出装置の識別情報で表される、
付記9~11のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記13)
前記検出装置は、撮像装置を有し、前記撮像装置の撮像範囲に含まれる複数のエリアにそれぞれ異なる位置識別情報が割り当てられており、
前記所持品の位置は、前記撮像装置で撮像される画像の中で前記所持品が含まれるエリアの位置識別情報で表される、
付記9~11のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記14)
前記処理装置は、
前記所持品識別情報の検出日時を表す日時情報を、前記ペアとともに前記記憶装置に記憶し、
前記特定した位置情報と同じハッシュ値を示し且つ前記日時情報が一致又は所定期間以内である他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する、
付記9~13のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記15)
前記処理装置は、予め登録された端末装置に出力対象の所持品識別情報を送信する、
付記9~14のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記16)
前記処理装置は、端末装置から前記所持品識別情報を含む問合せを受信した場合、前記問合せに含まれる所持品識別情報が、出力対象の所持品識別情報と一致するか否かを判定し、判定した結果を返信する、
付記9~15のいずれか1項に記載のサーバ装置。
(付記17)
人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、サーバ装置が、前記ペアを受信する受信ステップと、
前記サーバ装置が、前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶ステップと、
前記サーバ装置が、感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する出力ステップと、
を備えた、人検知方法。
(付記18)
前記所持品はマスクであり、
前記所持品識別情報は、前記マスクに印字された情報である、
付記17に記載の人検知方法。
(付記19)
前記所持品識別情報は、視認できないインクで前記マスクに印字された情報である、
付記18に記載の人検知方法。
(付記20)
前記所持品の位置は、前記所持品の所持品識別情報を検出した検出装置の識別情報で表される、
付記17~19のいずれか1項に記載の人検知方法。
(付記21)
前記検出装置は、撮像装置を有し、前記撮像装置の撮像範囲に含まれる複数のエリアにそれぞれ異なる位置識別情報が割り当てられており、
前記所持品の位置は、前記撮像装置で撮像される画像の中で前記所持品が含まれるエリアの位置識別情報で表される、
付記17~19のいずれか1項に記載の人検知方法。
(付記22)
前記記憶ステップは、前記所持品識別情報の検出日時を表す日時情報を、前記ペアとともに記憶し、
前記出力ステップは、前記特定した位置情報と同じハッシュ値を示し且つ前記日時情報が一致又は所定期間以内である他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する、
付記17~21のいずれか1項に記載の人検知方法。
(付記23)
前記出力ステップは、予め登録された端末装置に出力対象の所持品識別情報を送信する、
付記17~22のいずれか1項に記載の人検知方法。
(付記24)
前記出力ステップは、前記サーバ装置が、端末装置から前記所持品識別情報を含む問合せを受信した場合、前記問合せに含まれる所持品識別情報が、出力対象の所持品識別情報と一致するか否かを判定し、判定した結果を返信する、
付記17~23のいずれか1項に記載の人検知方法。
(付記25)
コンピュータに、
人の所持品の識別情報である所持品識別情報を検出し、前記所持品を検出した位置の識別情報である位置識別情報のハッシュ値を示す位置情報と前記所持品についての所持品識別情報とのペアを送信する検出装置から、前記ペアを受信する受信ステップと、
前記検出装置から受信したペアを記憶する記憶ステップと、
感染症患者の所持品についての所持品識別情報である第1情報を受信した場合、前記第1情報にペアとして対応付けられている位置情報を特定し、特定した位置情報と同じハッシュ値を示す他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記26)
前記所持品はマスクであり、
前記所持品識別情報は、前記マスクに印字された情報である、
付記25に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記27)
前記所持品識別情報は、視認できないインクで前記マスクに印字された情報である、
付記26に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記28)
前記所持品の位置は、前記所持品の所持品識別情報を検出した検出装置の識別情報で表される、
付記25~27のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記29)
前記検出装置は、撮像装置を有し、前記撮像装置の撮像範囲に含まれる複数のエリアにそれぞれ異なる位置識別情報が割り当てられており、
前記所持品の位置は、前記撮像装置で撮像される画像の中で前記所持品が含まれるエリアの位置識別情報で表される、
付記25~27のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記30)
前記記憶ステップは、前記所持品識別情報の検出日時を表す日時情報を、前記ペアとともに記憶し、
前記出力ステップは、前記特定した位置情報と同じハッシュ値を示し且つ前記日時情報が一致又は所定期間以内である他の位置情報にペアとして対応付けられている所持品識別情報を出力する、
付記25~29のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記31)
前記出力ステップは、予め登録された端末装置に出力対象の所持品識別情報を送信する、
付記25~30のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記32)
前記出力ステップは、端末装置から前記所持品識別情報を含む問合せを受信した場合、前記問合せに含まれる所持品識別情報が、出力対象の所持品識別情報と一致するか否かを判定し、判定した結果を返信する、
付記25~31のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記33)
付記3に記載の人検知システムで利用する、人に視認できないインクで所持品識別情報が印字されたマスク。
【符号の説明】
【0080】
1、5、5a サーバ装置
2、2-1、2-2、2-N 検出装置
6、6a、6b マスク
6c スマートタグ
7、7a、7-1、7-2、7-N 撮像装置
7b RFIDリーダ
7c スマートタグリーダ
8 端末装置
9、9a、9b、9c、9d、9e、9f 人
9bx 感染症患者
11 処理装置
12 記憶装置
21 制御部
22 検出部
23 通信部
51 制御部
52 記憶部
53 通信部
61 マスクの本体
62 所持品識別情報
70 撮像範囲
70a、70b エリア
71 制御部
72 撮像部
73 通信部
81 制御部
82 表示部
83 通信部
84 ポップアップメッセージ
100 装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 I/F
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11