(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240806BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022543226
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2020031483
(87)【国際公開番号】W WO2022038748
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 道彦
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181063(JP,A)
【文献】特開2015-121880(JP,A)
【文献】特開2008-112221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定地点ごとにおける道路を走行する車両の走行状態を示す車両情報に応じて、渋滞が発生している地点から当該渋滞が発生している地点に対応し当該渋滞が発生している地点から移動する対象となる地点である目標点まで移動する際の地点間速度を算出する地点間速度算出部と、
前記地点間速度算出部が算出した前記地点間速度を用いて、渋滞が発生している道路周辺の土地の価格を算出する価格算出部と、
前記価格算出部が算出した結果を出力する出力部と、
を有
し、
前記価格算出部は、前記地点間速度算出部が算出した前記地点間速度に応じて特定される渋滞の度合いに応じて土地の価格を修正することで無対策時における土地の価格を算出するとともに、所定の対策ごとにおける対策を行った際の効果を示す対策情報を用いて、または、予め学習済みのモデルを用いて、対策ごとに前記地点間速度を修正し、修正した前記地点間速度に応じて特定される各渋滞の度合いに応じて土地の価格を修正することで各対策後における土地の価格をそれぞれ算出し、
前記出力部は、前記価格算出部が算出した無対策時における土地の価格と、各対策後における土地の価格と、を出力するとともに、各対策を行う際にかかる費用と期間を示す情報を対策ごとに出力する
分析装置。
【請求項2】
前記価格算出部は、
渋滞が発生している時間の時間全体に対する割合を算出することで、
渋滞発生の有無に応じた
渋滞の度合いを判断する
請求項
1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記出力部による出力に応じた出資希望を受け付ける受付部を有する
請求項
1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記出力部は、出資希望の受付状況を示す情報を出力する
請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記受付部が受け付けた出資希望の額が予め定められた出力条件を満たした場合に、出資希望に応じた情報を自治体が有する情報処理装置に対して出力する出資情報出力部を有する
請求項3に記載の分析装置。
【請求項6】
情報処理装置が、
所定地点ごとにおける車両の走行状態を示す車両情報に応じて、渋滞が発生している地点から当該渋滞が発生している地点に対応し当該渋滞が発生している地点から移動する対象となる地点である目標点まで移動する際の地点間速度を算出し、
算出した前記地点間速度を用いて、渋滞が発生している地点に応じた土地の価格を算出し、
算出した結果を出力
し、
土地の価格を算出する際は、算出した前記地点間速度に応じて特定される渋滞の度合いに応じて土地の価格を修正することで無対策時における土地の価格を算出するとともに、所定の対策ごとにおける対策を行った際の効果を示す対策情報を用いて、または、予め学習済みのモデルを用いて、対策ごとに前記地点間速度を修正し、修正した前記地点間速度に応じて特定される各渋滞の度合いに応じて土地の価格を修正することで各対策後における土地の価格をそれぞれ算出し、
出力する際は、算出した無対策時における土地の価格と、各対策後における土地の価格と、を出力するとともに、各対策を行う際にかかる費用と期間を示す情報を対策ごとに出力する
情報処理方法。
【請求項7】
情報処理装置に、
所定地点ごとにおける車両の走行状態を示す車両情報に応じて、渋滞が発生している地点から当該渋滞が発生している地点に対応し当該渋滞が発生している地点から移動する対象となる地点である目標点まで移動する際の地点間速度を算出し、
算出した前記地点間速度を用いて、渋滞が発生している地点に応じた土地の価格を算出し、
算出した結果を出力
する処理を実現させ、
土地の価格を算出する際は、算出した前記地点間速度に応じて特定される渋滞の度合いに応じて土地の価格を修正することで無対策時における土地の価格を算出するとともに、所定の対策ごとにおける対策を行った際の効果を示す対策情報を用いて、または、予め学習済みのモデルを用いて、対策ごとに前記地点間速度を修正し、修正した前記地点間速度に応じて特定される各渋滞の度合いに応じて土地の価格を修正することで各対策後における土地の価格をそれぞれ算出し、
出力する際は、算出した無対策時における土地の価格と、各対策後における土地の価格と、を出力するとともに、各対策を行う際にかかる費用と期間を示す情報を対策ごとに出力する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、情報処理方法、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
交通渋滞や水害など、複数の人に影響を及ぼす土地に対する問題に対処する際に用いられる技術がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、交通渋滞に対処することなどを目的として交差点の健全度を計算するシステムが記載されている。特許文献1によると、システムは、交通量、交通速度、交通位置、日時、交通方向、交差点の位置などの交通データを記憶する。そして、システムは、交通データを用いて、交差点の健全度を計算する。
【0004】
また、関連する技術として、特許文献2、3、4のようなものがある。特許文献2、3には、渋滞の原因を特定するためのシステムが記載されている。また、特許文献4には、渋滞を解消するための対策を施す優先度を算出することが可能なシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2014-528118号公報
【文献】国際公開2019/189218号
【文献】国際公開2019/189216号
【文献】国際公開2019/189152号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
交通渋滞や水害など複数の人に影響を及ぼす土地に対する問題に対しては、一般的に、自治体などが対策を施している。しかしながら、自治体などにおける予算の制約などもあり、交通渋滞や水害などに対する対策はなかなか進まないことがあった。
【0007】
このような交通渋滞や水害などは、特に、影響のある地域に住む住民にとって大きな関心事であるため、自治体などに任せず住民などが主体的に対策にあたることも考えられる。しかしながら、上述したような技術では住民に判断を促すことを想定していない。そのため、住民などが主体的に判断しようとしても、判断するために必要となる情報を取得することが難しかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、住民が主体的な判断を行うための情報を提供することが難しい、という課題を解決する分析装置、情報処理方法、記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本開示の一形態である分析装置は、
土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を前記対策ごとに算出する価格算出部と、
前記価格算出部が算出した結果を出力する出力部と、
を有する
という構成をとる。
【0010】
また、本開示の他の形態である情報処理方法は、
情報処理装置が、
土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を前記対策ごとに算出し、
算出した結果を出力する
という構成をとる。
【0011】
また、本開示の他の形態である記録媒体は、
情報処理装置に、
土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を前記対策ごとに算出し、
算出した結果を出力する
処理を実現するためのプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
上述したような各構成によると、住民が主体的な判断を行うための情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】分析システムの全体的な構成例を示す図である。
【
図10】地点間速度算出部が処理を行う際に参照する情報例を示す図である。
【
図13】分析装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の第2の実施形態における分析装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図15】分析装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について、
図1から
図13までを参照して説明する。
図1は、分析システム100の全体的な構成例を示す図である。
図2は、検出装置200の構成例を示すブロック図である。
図3は、分析装置300の構成例を示すブロック図である。
図4は、画像情報341の一例を示す図である。
図5は、車両情報342の一例を示す図である。
図6は、渋滞情報343の一例を示す図である。
図7は、無対策時価格情報344の一例を示す図である。
図8は、対策情報345の一例を示す図である。
図9は、対策時価格情報346の一例を示す図である。
図10は、地点間速度算出部354が処理を行う際に参照する情報例を示す図である。
図11、
図12は、分析装置300による出力例を示す図である。
図13は、分析装置300の動作例を示すフローチャートである。
【0015】
本開示の第1の実施形態においては、複数の人に影響を及ぼす土地に対する問題の一例として、交通渋滞の場合について説明する。具体的に、本実施形態においては、交通渋滞の発生地点付近の住民などに対して、渋滞対策を行うか否か、行う対策内容などについて主体的な判断を行うための情報を提供する分析システム100について説明する。後述するように、分析システム100は、渋滞を判定すると、渋滞無対策時の土地の参考価格を算出する。また、分析システム100は、渋滞対策を行った際の土地の参考価格を対策ごとに算出する。そして、分析システム100は、算出した各参考価格を出力する。このように、分析システム100は、対策を行った場合の経済的な価値を可視化するための情報を提供することで、住民が主体的な判断を行うことが出来るようにする。
【0016】
また、分析システム100は、出力の結果に応じた住民などからの出資希望を示す情報を取得して取りまとめる。そして、分析システム100は、取りまとめた出資額などを示す所定の情報を近隣の自治体などが有する情報処理装置や提案先装置400などに対して送信する。例えば、分析システム100は、対策ごとの出資件数、出資額、出資比率などの情報を送信する。このように、分析システム100は、出力した情報に対して受信した情報の取りまとめなどを行うことも出来る。なお、分析システム100が送信する情報は、送信先に応じて異なっていてよい。
【0017】
図1は、分析システム100の全体的な構成例を示している。
図1を参照すると、分析システム100は、例えば、複数の検出装置200と、分析装置300と、提案先装置400と、を有している。
図1で示すように、検出装置200と分析装置300とは、ネットワークなどを介して、互いに通信可能なよう接続されている。また、分析装置300と提案先装置400とは、ネットワークなどを介して、互いに通信可能なよう接続されている。
【0018】
なお、
図1では、分析システム100の構成例を開示している。しかしながら、分析システム100の構成は、
図1で例示する場合に限定されない。例えば、分析システム100が有する検出装置200の数、分析装置300の数、提案先装置400の数は、それぞれ
図1で例示する場合に限定されない。
【0019】
検出装置200は、道路や交差点などの道路状況、道路や交差点を通る車の状況などを示す情報である状況情報を取得する装置である。例えば、検出装置200は、監視カメラなどの撮像装置である。検出装置200は、道路脇や交差点付近などに予め設置されており、交差点や道路など検出装置200を設置した地点に応じた画像データを状況情報として取得する。
【0020】
図2は、検出装置200の構成例を示している。
図2を参照すると、検出装置200は、例えば、画像取得部210と送受信部220とを有している。例えば、検出装置200は、記憶装置に格納されたプログラムをCPUなどの演算装置が実行することで、上記各処理部を実現することができる。検出装置200は、ハードウェア、または、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせなどにより上記各処理部を実現してもよい。
【0021】
画像取得部210は、検出装置200が設置された地点付近の道路や交差点の画像を状況情報として取得する。例えば、画像取得部210は、所定間隔ごとに時系列の画像を取得する。なお、画像取得部210は、取得した画像に対して所定の画像処理を行ってもよい。本実施形態においては、画像取得部210が行う画像処理の内容については特に限定しない。
【0022】
送受信部220は、分析装置300などとの間でデータの送受信を行う。例えば、送受信部220は、画像取得部210が取得した画像と、検出装置200を識別するための識別情報(または、道路や交差点の識別情報)と、を対応付けて、分析装置300に対して送信する。
【0023】
なお、検出装置200は、撮像装置の代わりに、または、撮像装置とともに、車両の有無や速度などを計測するセンサを有してもよい。検出装置200がセンサを有する場合、検出装置200は、道路や交差点などの道路状況、道路や交差点を通る車の状況などを示す状況情報として、センサが計測した車両の速度などのデータを取得する。また、検出装置200は、センサが計測したデータである状況情報を分析装置300に対して送信する。
【0024】
分析装置300は、検出装置200から受信した情報に基づいて交通渋滞を判定するとともに、住民が主体的な判断を行う際に必要となる判断用情報を出力する情報処理装置である。ここで、判断用情報は、例えば、対策の有無に対する経済的な価値を可視化するための情報である。例えば、分析装置300は、判断用情報として、渋滞無対策時や対策時の道路や交差点周辺の土地の参考価格などを算出して出力する。なお、分析装置300は、上記例示した以外の判断用情報を算出・出力してもよい。
【0025】
図3は、分析装置300の構成例を示している。
図3を参照すると、分析装置300は、主な構成要素として、例えば、操作入力部310と、画面表示部320と、通信I/F部330と、記憶部340と、演算処理部350と、を有している。なお、分析装置300は、操作入力部310や画面表示部320を有さないなど上記構成の一部のみから構成されてもよい。
【0026】
操作入力部310は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなる。操作入力部310は、分析装置300を操作する操作者の操作を検出して演算処理部350に出力する。
【0027】
画面表示部320は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)などの画面表示装置からなる。画面表示部320は、演算処理部350からの指示に応じて、記憶部340に格納された各種情報などを画面表示することが出来る。
【0028】
通信I/F部330は、データ通信回路からなる。通信I/F部330は、検出装置200や提案先装置400などとの間でデータ通信を行う。
【0029】
記憶部340は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部340は、演算処理部350における各種処理に必要な処理情報やプログラム348を記憶する。プログラム348は、演算処理部350に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム348は、通信I/F部330などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部340に保存されている。記憶部340で記憶される主な情報としては、例えば、画像情報341、車両情報342、渋滞情報343、無対策時価格情報344、対策情報345、対策時価格情報346、出資情報347などがある。
【0030】
画像情報341は、検出装置200が取得した画像を含んでいる。
図4は、画像情報341の一例を示している。
図4を参照すると、画像情報341では、例えば、検出装置200や交差点などの識別情報と、時系列の画像とが、対応付けて格納されている。
【0031】
なお、上述したように、検出装置200は、撮像装置の代わりに、または、撮像装置とともに、センサを有することがある。検出装置200がセンサを有する場合、記憶部340には、画像情報341の代わりに、または、画像情報341とともに、検出装置200や交差点などの識別情報とセンサが計測した時系列のデータとを対応づけた情報が格納される。
【0032】
車両情報342は、検出装置200が画像を取得する交差点や道路などの地点を通る車両の走行状態を示す車両状態情報を含んでいる。車両情報342に含まれる車両状態情報は、後述するように、車両情報取得部352が画像情報341などに基づいて取得して、記憶部340に格納する。
【0033】
図5は、車両情報342の一例を示している。
図5を参照すると、車両情報342では、例えば、検出装置200や交差点などの識別情報と、車両状態情報と、が対応付けて記憶されている。例えば、車両情報342には、10分ごとや30分ごとなど予め定められた所定時間ごとの車両状態情報が記憶されてもよい。
【0034】
ここで、車両情報342に含まれる車両状態情報には、例えば、単位時間あたりに通過する車両の数を示す交通量、車両の走行速度(または、走行速度の平均値である平均走行速度)、交差点などの所定範囲内における車両の待ち時間(または、待ち時間の平均値である平均待ち時間)、などのうちの少なくとも1つが含まれる。車両情報342に含まれる車両状態情報には、上記例示した以外の交差点や道路を走行する車両の走行状態に応じた情報が含まれてもよい。
【0035】
なお、後述するように、車両情報取得部352は、例えば車線ごとなど、画像をより細分化した状態で車両状態情報を取得することが出来る。そのため、車両情報342には、車線ごとの車両状態情報など、より細分化した状態の車両状態情報が記憶されていてもよい。
【0036】
渋滞情報343は、検出装置200が画像を取得する交差点や道路などの地点において、渋滞が発生しているか否かを示している。渋滞情報343は、後述するように、渋滞判定部353が車両情報342などに基づいて判定することで取得して、記憶部340に格納する。
【0037】
図6は、渋滞情報343の一例を示している。
図6を参照すると、渋滞情報343では、例えば、検出装置200や交差点などの識別情報と、渋滞の有無を示す情報である渋滞発生有無と、が対応付けて記憶されている。なお、渋滞情報343には、10分ごとや30分ごとなど予め定められた所定時間ごとの渋滞発生有無が記憶されてもよい。
【0038】
無対策時価格情報344は、何らかの対策を行わない場合における、渋滞発生地点周辺の土地の参考価格を示している。無対策時価格情報344は、後述するように、渋滞判定部353により渋滞が発生したと判定された地点周辺の土地の参考価格を価格算出部355が算出することで取得して、記憶部340に格納する。
【0039】
図7は、無対策時価格情報344の一例を示している。
図7を参照すると、無対策時価格情報344では、例えば、検出装置200や交差点などの識別情報と、無対策時の参考価格を示す情報である無対策時参考価格と、が対応付けて記憶されている。
【0040】
対策情報345は、渋滞に対する対策を示す対策情報を含んでいる。対策情報345は、例えば、通信I/F部330を介して予め取得する、操作入力部310を用いて予め入力する、などの方法により予め入力され、記憶部340に格納されている。
【0041】
図8は、対策情報345の一例を示している。
図8を参照すると、対策情報345では、例えば、対策の内容を示す対策内容情報と、対策を行った際の効果を示す効果情報と、対策の費用である対策費用を示す費用情報と、が対応づけられている。
【0042】
ここで、対策内容情報は、交通渋滞を解消するために取りうる内容を示している。対策内容情報には、例えば、信号機を設置する、信号機が変わるタイミングを変更する、歩車分離にするなど信号の制御方法を変更する、車線を増やす、歩道橋を設置する、などの対策の内容のうちの少なくとも1つが含まれている。対策内容情報には、上記例示した以外の交通状態を解消するために取りうる内容を含んでもよい。また、効果情報は、対策を実行した場合の効果を示している。具体的に、効果とは、例えば、対策実行時に上昇することが想定される車両の走行速度(速度の上昇幅)などである。効果情報が示す効果は、例えば、実際に過去に行われた事例に基づいて算出する、対策を行った際の状況をシミュレーションすることにより算出する、などの方法により予め算出されている。なお、対策を行った際の効果は、交通量の減少幅など上記例示した以外を含んでいてもよい。また、費用情報が示す対策費用は、対策を実行した場合にかかる費用を示している。費用情報が示す費用も、例えば、実際に過去に行われた事例に基づいて算出する、対策を行った際の状況をシミュレーションすることにより算出する、などの方法により予め算出されている。
【0043】
なお、対策情報345は、検出装置200の設置位置、道路、交差点など各地点共通の対策を示してもよいし、検出装置200の設置位置、道路、交差点などの地点ごと、または、検出装置200の設置位置、道路、交差点などの地点を複数のエリアに分けた際のエリアごと、などの対策を示してもよい。また、対策情報345には、工事期間など上記例示した以外の情報が含まれてもよいし、上記例示したうちの一部のみが含まれていてもよい。例えば、対策情報345は、効果情報や費用情報を含まなくてもよい。
【0044】
対策時価格情報346は、対策情報345が示す対策を行った場合における、渋滞発生地点周辺の土地の参考価格を示している。対策時価格情報346は、後述するように、渋滞判定部353により渋滞が発生したと判定された地点周辺の対策時の土地の価格を価格算出部355が算出することで取得して、記憶部340に格納する。
【0045】
図9は、対策時価格情報346の一例を示している。
図9を参照すると、対策時価格情報346では、例えば、検出装置200や交差点などの識別情報ごとに、実行した対策の内容を示す対策内容情報と、対策時の価格を示す対策時参考価格と、が対応付けて記憶されている。
【0046】
出資情報347は、分析装置300による出力に応じて受信した出資希望の額などを示す情報である。出資情報347に含まれる情報は、提案先装置400などから出資希望を受け付ける、操作入力部310を介して出資希望を入力される、などに応じて、適宜更新される。出資情報347には、例えば、受け付けた出資希望の件数を示す出資件数、受け付けた出資希望の額の合計値である出資額、合計値の対策費用に対する割合を示す出資率、などのうちの少なくとも1つが含まれる。出資情報347には、上記例示した以外の情報が含まれてもよい。後述するように、出資情報347に含まれる情報は、出資情報出力部358により画面表示部320に表示したり提案先装置400などに対して送信したりすることが出来る。
【0047】
演算処理部350は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有する。演算処理部350は、記憶部340からプログラム348を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム348とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部350で実現される主な処理部としては、例えば、画像取得部351、車両情報取得部352、渋滞判定部353、地点間速度算出部354、価格算出部355、提案出力部356、出資希望受付部357、出資情報出力部358などがある。
【0048】
画像取得部351は、通信I/F部330を介して、検出装置200が送信した画像を取得する。そして、画像取得部351は、取得した画像を、検出装置200や交差点などの識別情報と対応付けて、画像情報341として記憶部340に格納する。
【0049】
車両情報取得部352は、画像情報341に含まれる時系列の画像に基づいて、交差点や道路などを通る車両の走行状態を示す車両状態情報を取得する。そして、車両情報取得部352は、取得した車両状態情報を、検出装置200や交差点などの識別情報と対応付けて車両情報342として記憶部340に格納する。
【0050】
例えば、車両情報取得部352は、画像情報341に含まれる時系列の各画像に対して画像認識を行うことで、各画像において走行する車両を特定する。また、車両情報取得部352は、特定した結果を用いることで、車両状態情報を取得する。
【0051】
具体的には、例えば、車両情報取得部352は、複数の画像に対する画像認識の結果に基づいて、予め定められた範囲を走行する車両の速度を示す走行速度を算出する。車両情報取得部352は、走行する各車両について走行速度を算出してもよいし、所定時間内に走行した車両の走行速度に基づいて走行速度の平均値を算出してもよい。また、車両情報取得部352は、予め定められた所定範囲内に車両が滞在する長さを示す待ち時間を算出する。走行速度の場合と同様、車両情報取得部352は、車両ごとの待ち時間を算出してもよいし、所定時間内に走行した各車両の待ち時間に基づいて平均待ち時間を算出してもよい。また、車両情報取得部352は、単位時間あたりに所定場所を通過した車両の数を算出することで、交通量を算出する。例えば、以上のように、車両情報取得部352は、画像情報341に含まれる各画像に対して画像認識を行うことで、走行速度、待ち時間、交通量、などのうちの少なくとも1つを含む車両状態情報を取得する。
【0052】
なお、車両情報取得部352は、上記走行速度、待ち時間、交通量などの算出処理を、画像が示す地点ごとに行ってもよいし、車線ごとなどより細分化した単位で行ってもよい。換言すると、車両情報取得部352は、上記走行速度、待ち時間、交通量などの算出処理を、画像が示す道路の区間や交差点ごとに行ってもよいし、車線ごとなどより細分化した単位で行ってもよい。車線ごとなどより細分化した単位で上述した算出処理を行うと、車両情報342に含まれる車両状態情報もより細分化したものとなる。
【0053】
また、車両情報取得部352は、上述した算出処理の他に、道路上に停車する車両や停止物などの障害物を検知してもよい。車両情報取得部352は、検知した障害物を示す情報を記憶部340などに記憶してもよい。
【0054】
渋滞判定部353は、車両情報342に基づいて、画像が示す交差点や道路などの地点に渋滞が発生しているか否か判定する。そして、渋滞判定部353は、判定の結果を渋滞情報343として記憶部340に記憶する。なお、渋滞判定部353は、検出装置200が設置されている各地点について、渋滞が発生しているか否か判定する。渋滞判定部353は、検出装置200が設置されている各地点のうち予め定められた地点のみ渋滞が発生しているか否か判定してもよい。また、渋滞判定部353は、30分ごとなど予め定められた間隔で上記判定を行うことが出来る。
【0055】
例えば、渋滞判定部353は、車両情報342に含まれる各情報に基づいて渋滞が発生しているか否か判定することが出来る。例えば、渋滞判定部353は、平均走行速度が予め定められた速度閾値以下になった場合、渋滞が発生していると判定する。また、渋滞判定部353は、平均待ち時間が予め定められた時間閾値以上になった場合、渋滞が発生していると判定する。また、渋滞判定部353は、交通量が予め定められた量閾値以上となった場合、渋滞が発生していると判定する。例えば、以上のように、渋滞判定部353は、車両情報342に含まれる各情報そのものに基づいて渋滞が発生しているか否か判定することが出来る。なお、渋滞判定部353は、平均走行速度が速度閾値以下であり、かつ、平均待ち時間が時間閾値以上である場合に渋滞が発生していると判定するなど、上記例示した複数を組み合わせた判定を行ってもよい。
【0056】
また、渋滞判定部353は、車両情報342に含まれる各情報に対して所定の処理を行うことで、渋滞が発生しているか否か判定してもよい。例えば、渋滞判定部353は、車両情報342に含まれる各情報から渋滞度の度合いを示すパラメータである渋滞度を算出し、算出した渋滞度に基づいて渋滞が発生しているか否か判定してもよい。具体的には、例えば、渋滞判定部353は、平均走行速度が速度閾値以下になった場合、平均待ち時間が時間閾値以上になった場合、交通量が予め定められた量閾値以上となった場合などにおいて、渋滞度を加算する。そして、渋滞判定部353は、渋滞度が予め定められた渋滞閾値以上となった場合に、渋滞が発生していると判定する。なお、渋滞判定部353は、速度や待ち時間や交通量などの各閾値からの離れ具合に応じて(または、複数の閾値を設けることで)、段階的に渋滞度を加算してもよい。また、渋滞判定部353は、平均走行速度、平均待ち時間、交通量などに重み値を予め設定しておき、重み値に応じた渋滞度を加算してもよい。
【0057】
例えば、以上のように、渋滞判定部353は、車両情報342に基づいて、渋滞が発生しているか否か判定する。なお、渋滞判定部353は、車両情報取得部352の場合と同様に、画像が示す道路や交差点などの地点ごとに渋滞の判定を行ってもよいし、車線ごとなどより細分化した単位で渋滞の判定を行ってもよい。車線ごとなどより細分化した単位で渋滞の判定を行う場合、渋滞判定部353は、渋滞が発生した車線の数などに基づいて、画像が示す道路や交差点の地点全体に渋滞が発生しているか判定するよう構成してもよい。
【0058】
また、渋滞判定部353は、上記例示した以外の方法を用いて、渋滞の判定を行ってもよい。例えば、渋滞判定部353は、交通量に基づいて、所定時間における車両が存在した時間の割合を示す占有率を算出し、算出した占有率を交通量の代わりに用いて渋滞の判定を行ってもよい。
【0059】
地点間速度算出部354は、画像が示す道路や交差点などの地点Aから地点Aごとに予め定められた目標点Bへと走行した際の地点間速度を算出する。例えば、地点間速度算出部354は、車両情報342を参照して、地点Aと目標点Bとの間に存在する各地点における車両状態情報を取得する。そして、地点間速度算出部354は、取得した各車両状態情報に基づいて、地点間速度を算出する。
【0060】
例えば、地点間速度算出部354(または、記憶部340)は、
図10で示すような、検出装置200や交差点などの識別情報と、識別情報に応じた地点からの目標点と、間地点と、想定所要時間と、を対応付けた情報を有している。ここで、目標点は、駅や役場など検出装置200が設置された地点から移動対象となる主要場所であり、予め定められている。また、間地点は、識別情報に対応する地点から目標点までの間に存在する検出装置200を示す情報(識別情報など)を示している。また、想定所要時間は、識別情報に対応する地点から目標点まで法定速度で移動した場合にかかると想定される時間を示している。想定所要時間も法定速度など既知の情報に基づいて予め算出されている。
【0061】
地点間速度算出部354は、上記のような情報を参照することで、地点Aに対応する目標点Bを特定するとともに目標点Bまでの間に存在する検出装置200(地点)を把握する。そして、地点間速度算出部354は、車両情報342を参照することで、地点Aに対応する車両状態情報と把握した各地点に対応する車両状態情報とを取得して、取得した各車両状態情報に基づいて地点Aから目標点Bまでの地点間速度を算出する。具体的には、例えば、地点間速度算出部354は、取得した各車両状態情報に含まれる平均車両速度の平均値を算出することで地点間速度を算出する。地点間速度算出部354は、上記例示した以外の処理により地点間速度を算出してもよい。
【0062】
なお、地点間速度算出部354は、例えば、渋滞判定部353により渋滞が発生していると判定された地点について、地点間速度を算出する。地点間速度算出部354は、渋滞判定部353により渋滞が発生していると判定された地点のうち、操作入力部310に対する操作などにより特定された地点についてのみ地点間速度を算出してもよい。また、地点間速度算出部354は、30分ごと1日ごとなど予め定められた間隔で上記算出を行うことが出来る。地点間速度算出部354は、操作入力部310などを介して指示されたタイミングなどで上記算出を行ってもよい。
【0063】
価格算出部355は、地点間速度算出部354が算出した地点間速度を用いて、道路や交差点周辺の土地の参考価格を算出する。例えば、価格算出部355は、路線価などに基づいて算出した坪単価を渋滞の有無や渋滞の度合いなどに基づいて修正することで、無対策時の参考価格を算出する。そして、価格算出部355は、算出結果を無対策時価格情報344として記憶部340に記憶する。また、価格算出部355は、地点間速度などを対策情報345に含まれる効果情報などに基づいて修正して、修正結果を用いて坪単価に対する渋滞の有無や渋滞の度合いなどに応じた修正を行うことで、対策ごとの参考価格を算出する。そして、価格算出部355は、算出結果を対策時価格情報346として記憶部340に記憶する。
【0064】
例えば、価格算出部355は、地点Aから目的地Bまで法定速度で走行できるか否か、実際の走行速度と法定速度との離れ具合、24時間365日のうち渋滞が発生していると判断される時間の割合、などに基づいて、坪単価を修正する。具体的に、例えば、価格算出部355は、地点Aの土地の坪単価×資産価値指標を算出することで、参考価格を算出する。
【0065】
ここで、資産価値指標は、例えば、資産価値指標A×重みづけA+資産価値指標B×重みづけBを算出することで計算できる。ここで、重みづけAと重みづけBとは、合計で1となる数値である。例えば、重みづけAが0.9であり、重みづけBが0.1である。重みづけAと重みづけBとは、例えば、予め定められているが、動的に変更されてもよい。また、資産価値指標Aは、渋滞の有無に応じた指標であり、365日のうち渋滞が発生している時間の割合を示している。例えば、平日(260日)の毎朝2時間、夕方2時間の間渋滞が発生している場合、資産価値指標A={24時間×105日(休日)+(24時間-4時間)×260日(平日)}÷(24時間×365日)=0.88となる。また、渋滞が全く発生していない場合、(24×365)÷(24×365)=1(つまり、土地の価格は下がらない)となる。なお、価格算出部355は、例えば、渋滞情報343を参照することにより渋滞が発生している時間を把握可能である。例えば、渋滞情報343に1年間の情報が揃っていない場合などにおいて、価格算出部355は、1週間分の渋滞情報343などから1年分の時間を推測してもよい。また、資産価値指標Bは、渋滞の度合いに応じた指標であり、実速度と法定速度との関係など渋滞のひどさを示している。例えば、資産価値指標Bは、地点間速度算出部354が算出した地点間速度を地点Aから目標点Bまでの法定速度で割ることで算出することが出来る。例えば、地点間速度が20km/Hであり、法定速度が30km/Hである場合、資産価値指標B=20/30=0.66となる。以上より、例えば、重みづけAが0.9であり、重みづけBが0.1であり、資産価値指標Aが0.88であり、資産価値指標Bが0.66である場合、資産価値指標は、0.88×0.9+0.66×0.1=0.858となる。また、坪単価が100万であるとすると、無対策時参考価格は、100万×0.858=85万8000となる。なお、資産価値指標は、資産価値指標Aと資産価値指標Bのうちのいずれか一方のみを用いるなど、上記例示した以外の方法で算出してもよい。
【0066】
また、価格算出部355は、地点間速度を対策情報345が示す効果情報に基づいて修正した結果を用いて資産価値指標を算出することで、対策後の対策時参考価格を算出する。例えば、価格算出部355は、地点Aにおける走行速度を効果情報に基づいて修正した結果を用いて再度地点間速度を算出する。そして、価格算出部355は、再度算出した地点間速度を用いて資産価値指標を算出することで、対策時参考価格を算出する。なお、価格算出部355は、対策ごとの資産価値指標を算出することで対策ごとの対策時参考価格を算出してよい。
【0067】
なお、価格算出部355は、例えば、対策に対して対策による速度上昇効果をラベル付けすることで生成した教師データを用いて学習したモデルを用いることで、対策実行時の地点間速度を算出してもよい。つまり、対策時参考価格を算出する際に用いる修正値は、必ずしも事前に算出されていなくてもよい。また、価格算出部355は、例えば、対策に対して対策による渋滞発生頻度減少効果をラベル付けすることで生成した教師データを用いて学習したモデルを用いる、対策による渋滞発生頻度をシミュレーションする、などの方法により、資産価値指標Aの値も対策に応じて修正してもよい。
【0068】
また、
図10で示す間地点のように、地点Aと目標点Bとの間には複数の地点が含まれることがある。価格算出部355は、複数の地点で対策をした場合の対策時参考価格なども算出してもよい。複数の地点で対策をした場合の対策時参考価格なども同様の方法で算出することが出来る。
【0069】
例えば、以上のように、価格算出部355は、地点間速度や対策情報345などを用いることで、無対策時参考価格や対策時参考価格を算出する。なお、価格算出部355は、上記例示した以外の方法を用いて無対策時参考価格や対策時参考価格を算出してもよい。例えば、価格算出部355は、地点間速度の代わりに、車両情報342の車両状態情報に含まれる平均走行速度を用いて無対策時参考価格を算出したり、平均走行速度を効果に応じて修正した結果を用いて対策時参考価格を算出したりしてもよい。このように構成する場合、分析装置300は地点間速度算出部354を有さなくてもよい。また、価格算出部355は、交通量などを用いて無対策時参考価格や対策時参考価格を算出するなど上記例示した以外の情報を用いた算出処理を行ってもよい。
【0070】
提案出力部356は、無対策時価格情報344に含まれる無対策時参考価格や対策時価格情報346に含まれる対策時参考価格などを出力する。例えば、提案出力部356は、無対策時価格情報344に含まれる無対策時参考価格や対策時価格情報346に含まれる対策時参考価格などを、画面表示部320に表示する、提案先装置400に対して送信する、などの方法を用いて出力する。
【0071】
図11は、提案出力部356による出力例を示している。
図11を参照すると、提案出力部356は、例えば、住所や周辺主要建物を示す情報などの算出対象の場所を示す情報、無対策時参考価格を示す現在の参考価格、対策時参考価格を示す対策後の参考価格、などを出力する。提案出力部356は、
図11で示すように、無対策時価格情報344に含まれる無対策時参考価格や対策時価格情報346に含まれる対策時参考価格などのほか、参考価格を下げている原因を示す情報や対策ごとの対策費用や工事期間などの対策情報345に含まれる情報などを出力してもよい。なお、提案出力部356による出力では、例えば、出力先の提案先装置400などにおいて算出対象の場所を示す情報をクリックすることなどにより、対応する周辺地図を表示するように構成してもよい。また、提案出力部356による出力では、出力先の提案先装置400などにおいて現在の参考価格をクリックすることにより、無対策時参考価格の算出方法や算出する際の処理の詳細などを表示するように構成してもよい。また、出力は、対策ごとに出資希望の受付状況を確認可能なよう構成してもよい。例えば、
図12は、出資希望の受付状況を示す情報例を示している。出資希望の受付状況は、例えば、
図11で示す出資の項目をクリックすることなどにより表示可能としてよい。
図12で示すように、出資希望の受付状況では、例えば、出資件数、出資額、出資率などを対策ごとに表示してよい。例えば、以上のように、提案出力部356による出力には、無対策時参考価格や対策時参考価格以外が含まれてもよい。
【0072】
なお、提案出力部356は、提案先装置400のうち、渋滞が発生している地点から所定範囲内に存在する提案先装置400に対してのみ出力を行うよう構成してもよい。提案出力部356は、すべての提案先装置400に対して同様の出力を行うよう構成してもよい。
【0073】
また、提案出力部356による出力が行われた後、予め定められた終了条件を満たすまでの間、分析装置300は、住民などからの出資希望を受け付けることが出来る。ここで、終了条件には、例えば、所定時間経過など時間面での条件、費用情報が示す額を出資希望額が超えるなど価格面での条件、自治体からの終了要請など外部からの条件、などを含むことが出来る。条件は、上記例示したもの以外であってもよい。なお、提案出力部356による出力は、終了条件を満たすまでの間、例えば、定期的に行うなど続けられてよい。
【0074】
出資希望受付部357は、提案出力部356による出力が行われた後、上述した条件を満たすまでの間、住民などから出資希望を受け付ける。例えば、出資希望受付部357は、操作入力部310に対する入力や通信I/F部330を介して提案先装置400から受け付けるなどの方法により、住民などから出資希望を受け付ける。そして、出資希望受付部357は、受け付けた出資希望に含まれる出資希望の額などを出資情報347に記憶する。また、出資希望受付部357は、出資件数の更新などを行う。
【0075】
出資情報出力部358は、出資情報347に含まれる出資希望の額などを自治体が有する情報処理装置などの外部装置に対して出力する。例えば、出資情報出力部358は、
図11や
図12を参照して説明した提案出力部356による出力と同様の出力を行うことが出来る。出資情報出力部358は、出資希望の詳細を示す情報を含めた出力を行うなど、提案出力部356による出力よりもより詳細な情報を出力してもよい。なお、出資情報出力部358は、例えば、出資情報347に含まれる出資希望の額が必要額を超えた、出資情報347に含まれる出資希望の額が予め定められた所定額を超えたなど、出資情報347に含まれる出資希望の額が出力条件を満たした場合に、出資希望の額などを外部装置に対して出力する。出資情報出力部358は、上記場合に限られず、例えば定期的に出資希望の額などを外部装置に対して出力してもよい。
【0076】
提案先装置400は、分析装置300による出力を受け付ける情報処理装置である。提案先装置400は、例えば、住民などが有している。提案先装置400は、分析装置300が送信した出力を受信すると、受信した情報を画面表示部などに表示する。また、提案先装置400は、表示した情報に応じた住民からの入力を受け付ける。そして、提案先装置400は、分析装置300による出力に応じて住民などが入力した出資希望を示す情報などを、分析装置300に対して送信することが出来る。
【0077】
本実施形態において、提案先装置400の構成については特に限定しない。提案先装置400は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなど、一般的な情報処理装置であってよい。
【0078】
以上が、分析システム100の構成例である。続いて、
図13を参照して、分析装置300の動作例について説明する。なお、分析装置300の動作は
図13で例示する場合に限定されない。
【0079】
図13を参照すると、渋滞判定部353は、車両情報342に基づいて、画像が示す交差点や道路などの地点に渋滞が発生しているか否か判定する(ステップS101)。
【0080】
地点間速度算出部354は、渋滞判定部353により渋滞が発生していると判定された地点である地点Aから当該地点Aに対応する目標点Bまで走行した際の地点間速度を算出する。例えば、地点間速度算出部354は、地点Aと目標点Bとの間に存在する各地点における車両状態情報が示す車両の走行速度に基づいて、地点間速度を算出する。
【0081】
価格算出部355は、地点間速度算出部354が算出した地点間速度を用いて、無対策時の参考価格である無対策時参考価格を算出する(ステップS103)。例えば、価格算出部355は、渋滞の有無に応じた指標である資産価値指標Aと地点間速度を用いて算出する渋滞の度合いに応じた指標である資産価値指標Bとを予め定めた重みづけに応じて反映させた資産価値指標と、坪単価と、を乗算することで、無対策時参考価格を算出する。
【0082】
また、価格算出部355は、地点間速度などを対策に応じて修正した結果を用いて参考価格を算出することで、対策ごとに対策時参考価格を算出する(ステップS104)。
【0083】
なお、ステップS103の処理とステップS104の処理は並列で行われてもよいし、ステップS103の前にステップS104が行われてもよい。
【0084】
提案出力部356は、ステップS103の処理で算出した無対策時参考価格やステップS104の処理で算出した対策時参考価格などを出力する(ステップS105)。提案出力部356は、上記情報とともに、対策情報345に含まれる費用情報が示す額、対策時参考価格と費用情報が示す額とに基づいて算出する費用対効果を示す情報、坪単価や路線価などを出力してもよい。例えば、提案出力部356は、
図11で例示するような情報を出力してもよい。
【0085】
出資希望受付部357は、住民などからの出資希望を受け付ける(ステップS106)。
【0086】
受け付けた出資希望が示す額が必要額を超えるなど出力条件を満たす場合(ステップS107、Yes)、出資情報出力部358は、出資情報347などを自治体が有する情報処理装置などに対して出力する。一方、条件を満たさない場合(ステップS107、No)において、出資希望の受付開始から所定時間経過するなど終了条件を満たす場合(ステップS109、Yes)、処理を終了する。また、終了条件を満たさない場合(ステップS109、No)、ステップS107に戻る。なお、出資情報出力部358は、出力条件にかかわらず自治体が有する情報処理装置などに対して出力するよう構成してもよい。
【0087】
以上が、分析装置300の動作例である。
【0088】
このように、分析装置300は、価格算出部355と提案出力部356とを有している。このような構成によると、提案出力部356は、価格算出部355による算出結果を出力することが出来る。これにより、住民などが渋滞対策を行うか否か主体的に判断するための情報を出力することが出来る。
【0089】
また、価格算出部355は、無対策時参考価格と対策時参考価格とを算出するよう構成されている。このような構成によると、提案出力部356は、無対策時参考価格と対策時参考価格とを出力することが出来る。このように、対策を行った際と行わなかった際の参考価格を算出、出力することにより、主体的な判断のための情報をより手厚く出力することが出来る。
【0090】
なお、本実施形態においては、価格算出部355が無対策時参考価格と対策時参考価格とを算出する場合について例示した。しかしながら、価格算出部355は、対策時参考価格のみを算出してもよい。このように、構成する場合、提案出力部356は、無対策時参考価格を出力しなくてもよい。
【0091】
また、
図3では、1台の情報処理装置により分析装置300としての機能を実現する場合について例示した。しかしながら、分析装置300としての機能は、例えば、ネットワークを介して接続された複数台の情報処理装置により実現されてもよい。例えば、分析装置300としての機能は、渋滞判定部353としての機能を有する判定装置と、地点間速度算出部354と価格算出部355としての機能を有する算出装置と、提案出力部356と出資希望受付部357と出資情報出力部358としての機能を有する受付装置と、など、複数の情報処理装置により実現されてもよい。
【0092】
また、本実施形態においては、複数の人に影響を及ぼす土地に対する問題の一例として、交通渋滞の場合について説明した。しかしながら、本発明は、交通渋滞に限らず、様々な土地に対する問題に対して適用可能である。例えば、本発明は、洪水などの水害による影響があると判断される地域の住民などに対して、水害対策を行うか否かや行う対策内容などについて主体的な判断を行うための情報を提供するために活用されてもよい。本発明を水害対策に活用する場合、例えば、システムは、浸水が想定される深さなど水害発生時の想定被害に基づいて水害発生後の土地の価格や建物の価格を算出する。また、システムは、堤防の強化や川幅の拡張などの対策ごとに、対策により変化する想定被害を算出し算出した想定被害に基づく水害発生後の土地の価格などを算出する。その後、システムは、算出した価格などを出力する。例えば、以上のように動作する。なお、本発明は、上記例示した以外の複数の人に影響を及ぼす土地に対する問題に対して適用してもよい。
【0093】
[第2の実施形態]
次に、
図14、
図15を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、分析装置500の構成の概要について説明する。
【0094】
図14は、分析装置500のハードウェア構成例を示している。
図14を参照すると、分析装置500は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)501(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)502(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)503(記憶装置)
・RAM503にロードされるプログラム群504
・プログラム群504を格納する記憶装置505
・情報処理装置外部の記録媒体510の読み書きを行うドライブ装置506
・情報処理装置外部の通信ネットワーク511と接続する通信インタフェース507
・データの入出力を行う入出力インタフェース508
・各構成要素を接続するバス509
【0095】
また、分析装置500は、プログラム群504をCPU501が取得して当該CPU501が実行することで、
図15に示す価格算出部521、出力部522としての機能を実現することが出来る。なお、プログラム群504は、例えば、予め記憶装置505やROM502に格納されており、必要に応じてCPU501がRAM503などにロードして実行する。また、プログラム群504は、通信ネットワーク511を介してCPU501に供給されてもよいし、予め記録媒体510に格納されており、ドライブ装置506が該プログラムを読み出してCPU501に供給してもよい。
【0096】
なお、
図14は、分析装置500のハードウェア構成例を示している。分析装置500のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、分析装置500は、ドライブ装置506を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0097】
価格算出部521は、土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を対策ごとに算出する。例えば、価格算出部521は、土地に対する所定の問題である渋滞に対して対策を実行した際の土地の価格を対策ごとに算出する。価格算出部521は、土地に対する所定の問題である水害などに対して対策を実行した際の土地の価格を対策ごとに算出してもよい。
【0098】
出力部522は、価格算出部521が算出した結果を出力する。
【0099】
このように、分析装置500は、価格算出部521と出力部522とを有している。このような構成により、出力部522は、価格算出部521が算出した結果を出力することが出来る。その結果、住民などが渋滞対策を行うか否か主体的に判断するための情報を出力することが出来る。
【0100】
なお、上述した分析装置500は、当該分析装置500に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、分析装置500などの情報処理装置に、土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を対策ごとに算出し、算出した結果を出力する処理を実現するためのプログラムである。
【0101】
また、上述した分析装置500により実行される情報処理方法は、分析装置500などの情報処理装置が、土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を対策ごとに算出し、算出した結果を出力する、という方法である。
【0102】
上述した構成を有する、プログラム(または記録媒体)、または、情報処理方法、の発明であっても、上記分析装置500と同様の作用・効果を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
【0103】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における分析装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0104】
(付記1)
土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を前記対策ごとに算出する価格算出部と、
前記価格算出部が算出した結果を出力する出力部と、
を有する
分析装置。
(付記2)
前記価格算出部は、問題発生の有無に応じた指標を算出し、算出結果を用いて前記対策ごとの土地の価格を算出する
付記1に記載の分析装置。
(付記3)
前記価格算出部は、問題が発生している時間の時間全体に対する割合を算出することで、問題発生の有無に応じた指標を算出する
付記2に記載の分析装置。
(付記4)
前記価格算出部は、問題の度合いに応じた指標を算出し、算出結果を用いて前記対策ごとの土地の価格を算出する
付記1から付記3までのうちのいずれか1項に記載の分析装置。
(付記5)
前記価格算出部は、対策を実行した際の問題が発生した土地の価格を算出するとともに、対策を実行しなかった際の土地の価格を算出する
付記1から付記4までのうちのいずれか1項に記載の分析装置。
(付記6)
土地に対する所定の問題が発生しているか否か判定する判定部を有し、
前記価格算出部は、前記判定部による判定結果に応じて土地の価格を算出する
付記1から付記5までのうちのいずれか1項に記載の分析装置。
(付記7)
前記出力部による出力に応じた出資希望を受け付ける受付部を有する
付記1から付記6までのうちのいずれか1項に記載の分析装置。
(付記8)
前記受付部が受け付けた出資希望に応じた出力を行う出資情報出力部を有する
付記7に記載の分析装置。
(付記9)
前記価格算出部は、土地に対する所定の問題である渋滞に対して対策を実行した際の価格を前記対策ごとに算出する
付記1から付記8までのいずれか1項に記載の分析装置。
(付記10)
前記価格算出部は、渋滞発生地点から当該渋滞発生地点ごとに予め定められた目標点まで車両が走行した際の地点間速度を用いて、対策ごとの土地の価格を算出する
付記9に記載の分析装置。
(付記11)
走行する車両の状態を示す車両状態情報に基づいて前記地点間速度を算出する地点間速度算出部を有し、
前記価格算出部は、前記地点間速度算出部による算出の結果を用いて、対策ごとの土地の価格を算出する
付記10に記載の分析装置。
(付記12)
情報処理装置が、
土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を前記対策ごとに算出し、
算出した結果を出力する
情報処理方法。
(付記13)
情報処理装置に、
土地に対する所定の問題に対して対策を実行した際の土地の価格を前記対策ごとに算出し、
算出した結果を出力する
処理を実現するためのプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【0105】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0106】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
【符号の説明】
【0107】
100 分析システム
200 検出装置
210 画像取得部
220 送受信部
300 分析装置
310 操作入力部
320 画面表示部
330 通信I/F部
340 記憶部
341 画像情報
342 車両情報
343 渋滞情報
344 無対策時価格情報
345 対策情報
346 対策時価格情報
347 出資情報
348 プログラム
350 演算処理部
351 画像取得部
352 車両情報取得部
353 渋滞判定部
354 地点間速度算出部
355 価格算出部
356 提案出力部
357 出資希望受付部
358 出資情報出力部
400 提案先装置
500 分析装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 プログラム群
505 記憶装置
506 ドライブ装置
507 通信インタフェース
508 入出力インタフェース
509 バス
510 記録媒体
511 通信ネットワーク
521 価格算出部
522 出力部