IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

特許7533592フィルタ、フィルタモジュール及び電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】フィルタ、フィルタモジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/075 20060101AFI20240806BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20240806BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H03H7/075 Z
H01F27/00 S
H01F17/00 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022546155
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2021027682
(87)【国際公開番号】W WO2022049927
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2020149063
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 健一
(72)【発明者】
【氏名】三川 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】重松 悟史
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/199745(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/121038(WO,A1)
【文献】特開2006-186621(JP,A)
【文献】特開2013-070288(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235261(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/150881(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/152603(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/043155(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 5/00- 7/13
H01F 27/00
H01F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子対と第2端子対との間に直列接続された第1キャパシタと、
前記第1キャパシタに並列接続された第1インダクタと、
前記第1端子対と前記第2端子対との間に並列接続された第2インダクタと、
前記第2端子対と前記第1キャパシタとの間に接続された第2キャパシタと、
複数の絶縁体層を有する積層体と、
配線導体と、
を備え、
前記第1インダクタは前記積層体に形成された第1コイル状導体で構成され、
前記第2インダクタは前記積層体に形成された第2コイル状導体で構成され、
前記第1キャパシタは、前記複数の絶縁体層の積層方向に互いに対向する第1キャパシタ電極及び前記絶縁体層で構成され、
前記第2キャパシタは、前記複数の絶縁体層の積層方向に互いに対向する第2キャパシタ電極及び前記絶縁体層で構成され、
前記第1インダクタと前記第2インダクタとは磁界結合し、差動接続されており、
前記配線導体は、前記第2キャパシタ電極と前記第2端子対との間に直列接続され、前記積層体における前記第1コイル状導体と前記第2コイル状導体との間に配置される、
フィルタ。
【請求項2】
前記第1インダクタと前記第2インダクタとの結合係数は0.2以上である、
請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記第1インダクタと前記第2インダクタとの接続点に一端が接続された第3インダクタを備え、当該第3インダクタと前記第1インダクタとの直列回路が前記第1端子対と前記第2端子対との間に直列接続された、
請求項1又は2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記配線導体は、前記第1コイル状導体又は前記第2コイル状導体の少なくとも一方よりも導体幅が細い、
請求項1から3のいずれかに記載のフィルタ。
【請求項5】
前記第1コイル状導体と前記第1キャパシタ電極とは連続した導体パターンで形成されている、
請求項1から4のいずれかに記載のフィルタ。
【請求項6】
前記第1コイル状導体は第1コイル開口を有し、
前記第2コイル状導体は第2コイル開口を有し、
前記第1コイル状導体の巻回軸と、前記第2コイル状導体の巻回軸とは平行であり、前記第1コイル開口と前記第2コイル開口とは、前記巻回軸方向に視て重なる領域を有する、
請求項1から5のいずれかに記載のフィルタ。
【請求項7】
前記積層体は、前記複数の絶縁体層の積層方向に直交する第1側面及び第2側面のそれぞれ、前記複数の絶縁体層の積層方向に直交する短辺及び長辺のそれぞれを有する直方体形状であり、
前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれは、前記長辺と直交し、
前記第1端子対は、前記第1側面に設けられ、
前記第2端子対は、前記第2側面に設けられ、
前記第1コイル状導体は第1コイル開口を有し、
前記第2コイル状導体は第2コイル開口を有し、
前記第1コイル状導体の巻回軸と、前記第2コイル状導体の巻回軸とは平行であり、前記第1コイル開口と前記第2コイル開口とは、前記巻回軸方向に視て重なる領域を有し、
前記第1キャパシタ電極は、前記複数の絶縁体層の積層方向に視て、前記第1コイル開口及び前記第2コイル開口のそれぞれと重ならず、
前記第2キャパシタ電極は、前記複数の絶縁体層の積層方向に視て、前記第1コイル開口及び前記第2コイル開口のそれぞれと重ならない、
請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記積層体は、前記複数の絶縁体層の積層方向に直交する第1側面及び第2側面のそれぞれ、前記複数の絶縁体層の積層方向に直交する短辺及び長辺のそれぞれを有する直方体形状であり、
前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれは、前記長辺と直交し、
前記第1端子対は、前記第1側面に設けられ、
前記第2端子対は、前記第2側面に設けられ、
前記第1コイル状導体は第1コイル開口を有し、
前記第2コイル状導体は第2コイル開口を有し、
前記第1コイル状導体の巻回軸と、前記第2コイル状導体の巻回軸とは平行であり、前記第1コイル開口と前記第2コイル開口とは、前記巻回軸方向に視て重なる領域を有し、
前記第1キャパシタ電極は、前記複数の絶縁体層の積層方向に視て、前記第1コイル開口及び前記第2コイル開口のそれぞれと重ならず、
前記第2キャパシタ電極は、前記複数の絶縁体層の積層方向に視て、前記第1コイル開口及び前記第2コイル開口のそれぞれと重ならず、
前記配線導体は、前記複数の絶縁体層の積層方向に視て、前記第1コイル開口及び前記第2コイル開口のそれぞれと重ならない、
請求項2に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記配線導体は、前記第1コイル状導体又は前記第2コイル状導体の少なくとも一方よりも導体幅が細い、
請求項8に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記第1端子対と前記第2端子対との間でハイパスフィルタ特性を示す、
請求項1から9のいずれかに記載のフィルタ。
【請求項11】
請求項1から9のいずれかに記載のフィルタと、当該フィルタの前記第1端子対と前記第2端子対との間からグランドに対してシャントに接続される経路に接続されたキャパシタとを備えた、
フィルタモジュール。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載のフィルタと、当該フィルタの前記第1端子対と前記第2端子対との間に直列接続されたインダクタとを備えた、
フィルタモジュール。
【請求項13】
請求項10に記載のフィルタとローパスフィルタ又はバンドパスフィルタとを備えた、フィルタモジュール。
【請求項14】
請求項1から10のいずれかに記載のフィルタ又は請求項11から13のいずれかに記載のフィルタモジュールを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波フィルタ回路が構成されたファイル、このフィルタと他のフィルタとで構成されるフィルタモジュール、及びそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入出力端子間に複数のキャパシタの直列回路が接続され、キャパシタの接続点とグランドとの間にLC直列共振回路が構成された、ハイパスフィルタが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-58044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のハイパスフィルタ回路では、その回路を実際の構造物であるフィルタとして構成したとき、複数のLC直列回路のインダクタにはそれぞれ並列に寄生容量が発生する。そのため、この寄生容量によりインダクタはある周波数で自己共振し、この自己共振周波数よりも高い周波数帯においては通過が抑制される。すなわち、このような高周波帯域で使用できないハイパスフィルタ、または通過域の狭いハイパスフィルタとなる。
【0005】
一方、最近の用途では、広帯域に亘って低挿入損失で通過させるフィルタが必要とされる傾向がある。例えば、5G(5th Generation)やUWB(Ultra Wide Band)といった高周波広帯域の周波数帯を通過させるフィルタでは、このような高周波帯域の通信信号を低挿入損失で通過させるフィルタが要求される。
【0006】
そこで、本発明の目的は、より高周波帯域においても低挿入損失特性を有するフィルタ、このフィルタと他のフィルタとで構成されるフィルタモジュール、及びそれを備える電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の一例としてのフィルタは、第1端子対と第2端子対との間に直列接続された第1キャパシタと、前記第1キャパシタに並列接続された第1インダクタと、前記第1端子対と前記第2端子対との間に並列接続された第2インダクタと、を備え、前記第1インダクタと前記第2インダクタとは磁界結合し差動接続されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、第1インダクタに第1キャパシタが並列接続されているので、第1インダクタの寄生容量は第1キャパシタに並列接続されることになり、第1インダクタの寄生容量の存在による高周波帯域での通過特性の劣化が回避される。
【0009】
(2)本開示の一例としてのフィルタモジュールは、(1)に記載のフィルタを備えて構成される。
【0010】
(3)本開示の一例としての電子機器は、(1)に記載のフィルタ又は(2)に記載のフィルタモジュールを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より高周波帯域においても低挿入損失特性を有するフィルタ、このフィルタと他のフィルタとで構成されるフィルタモジュール、及びそれを備える電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は第1の実施形態に係るハイパスフィルタ11の回路図である。
図2図2(A)、図2(B)、図2(C)、図2(D)は、図1に示したハイパスフィルタ11の記載形式を順次変化させた回路図である。
図3図3(A)は第2の実施形態に係るハイパスフィルタ12の回路図である。図3(B)は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との磁界結合により生じる相互インダクタンスを回路素子として表した等価回路図である。
図4図4は第3の実施形態に係るハイパスフィルタ13の回路図である。
図5図5(A)、図5(B)は、ハイパスフィルタ13の等価回路図である。
図6図6(A)、図6(B)は、ハイパスフィルタ13の透過係数の周波数特性を示す図である。
図7図7はハイパスフィルタ13の斜視図である。
図8図8はハイパスフィルタ13の各絶縁体層及びそれらに形成されている導体パターンを示す分解下面図である。
図9図9は第4の実施形態に係るバンドリジェクションフィルタ14Aの回路図である。
図10図10は、図2のハイパスフィルタ11の透過係数の周波数特性及び図9のバンドリジェクションフィルタ14Aの透過係数の周波数特性を示す図である。
図11図11は、ハイパスフィルタ13にキャパシタC3を追加したハイパスフィルタ14Bの等価回路図である。
図12図12は、図4のハイパスフィルタ13の透過係数の周波数特性及びハイパスフィルタ13にキャパシタC3を追加したハイパスフィルタの透過係数の周波数特性を示す図である。
図13図13は第4の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Cの回路図である。
図14図14(A)、図14(B)、図14(C)、図14(D)は、フィルタモジュールの構成を示すブロック図である。
図15図15は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。
図16図16は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。
図17図17は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。
図18図18は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。
図19図19は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。
図20図20は、図18のハイパスフィルタの透過係数の周波数特性、図18のハイパスフィルタの内のハイパスフィルタHPFのみの透過係数の周波数特性、及び、図18のハイパスフィルタの内の共振器(LC直列共振回路)の透過係数の周波数特性を示す図である。
図21図21は、図18のハイパスフィルタの内のハイパスフィルタHPFの斜視図である。
図22図22は、図21のハイパスフィルタHPFの分解図である。
図23図23は、図18の反共振器(LC並列共振回路)の斜視図である。
図24図24は、図23の反共振器(LC並列共振回路)の分解図である。
図25図25は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。
図26図26は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。
図27図27は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。
図28図28は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。
図29図29は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。
図30図30は、ハイパスフィルタ400の等価回路図である。
図31図31は、ハイパスフィルタ500の等価回路図である。
図32図32は、ハイパスフィルタ500の斜視図である。
図33図33は、ハイパスフィルタ500の分解図である。
図34図34は第6の実施形態に係る電子機器201の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、実施形態を説明の便宜上、複数の実施形態に分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0014】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係るハイパスフィルタ11の回路図である。このハイパスフィルタ11は本発明に係る「フィルタ」の一例である。
【0015】
ハイパスフィルタ11は、第1端子対P1と第2端子対P2とを備える二端子対回路(四端子回路)である。第1端子対P1は第1端子T1とグランド端子GNDとで構成されていて、第2端子対P2は第2端子T2とグランド端子GNDとで構成されている。
【0016】
このハイパスフィルタ11は、第1端子対P1と第2端子対P2との間に直列接続された第1キャパシタC1と、第1キャパシタC1に並列接続された第1インダクタL1と、第1端子対P1と第2端子対P2との間に並列接続された第2インダクタL2と、を備える。そして、第1インダクタL1と第2インダクタL2とは磁界結合していて、差動接続されている。
【0017】
図2(A)、図2(B)、図2(C)、図2(D)は、図1に示したハイパスフィルタ11の記載形式を順次変化させた回路図である。図2(A)は図1に示したハイパスフィルタ11の記載形式を代えた回路図である。
【0018】
図2(B)は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との磁界結合により生じる相互インダクタンスMを回路素子として表した等価回路図である。この図2(B)に示すように、第1端子T1と第2端子T2との間に接続される回路を、インダクタLA,LB,LCによるT型等価回路で表すとき、相互インダクタンスMを表すインダクタLCは、シリーズ接続されたインダクタLA,LBの接続点と第2端子T2との間に接続される。第1インダクタL1と第2インダクタL2とは差動接続されているので、インダクタLAのインダクタンスは(L1-M)、インダクタLBのインダクタンスはM、インダクタLCのインダクタンスは(L2-M)である。第1インダクタL1と第2インダクタL2との結合係数は例えば0.2以上である。この場合、第1インダクタL1のインダクタンスをL1、第2インダクタL2のインダクタンスをL2、結合係数をkで表すと、M=k√(L1・L2)であるので、M≧0.2√(L1・L2)である。また、第1インダクタL1と第2インダクタL2との結合係数は例えば0.8以下である。
【0019】
図2(C)は、図2(B)に示したインダクタLA,LB,LCによるT型回路をπ型回路に変換した回路図である。すなわち、インダクタLA,LB,LCによるT型回路はインダクタL12,L1M,L2Mによるπ型回路で表される。回路変換前後の各インダクタのインダクタンスの関係は、各符号の表記をそのままインダクタンスとして表すと、次のとおりである。
【0020】
L1M=(LA・LB+LB・LC+LC・LA)/LC
L2M=(LA・LB+LB・LC+LC・LA)/LA
L12=(LA・LB+LB・LC+LC・LA)/LB
図2(D)は、図2(C)の記載形式を代えた回路図である。このように、図1に示したハイパスフィルタ11は、図2(D)に示す3段π型のハイパスフィルタとして表すことができる。
【0021】
本実施形態によれば、次のような作用効果を奏する。
【0022】
(1)図2(A)に示すように、第1インダクタL1と第1キャパシタC1とは並列接続されているため、第1インダクタL1に生じる寄生容量は第1キャパシタC1に並列接続される(取り込まれる)。したがって、第1インダクタL1に生じる寄生容量は有効に利用され、第1インダクタL1の自己共振による高周波帯域での通過特性の劣化は発生しない。
【0023】
(2)第1インダクタL1の寄生容量で第1キャパシタC1の一部を構成できるので、その分、スペースが削減できる。このことにより、小型化できる。または、スペースが削減した分、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を構成するコイル状導体の線幅を太くする、並列巻きする、などによりインダクタのQ値を上げることができる。そのことによりフィルタのQ値がさらに高まり、通過帯域での挿入損失をより低減することや阻止帯域での減衰をより深くすることができる。
【0024】
(3)第1インダクタL1と第2インダクタL2との磁界結合により発生する相互インダクタンスが1つの回路素子として作用するので、本実施形態のハイパスフィルタは、2段目で減衰極を生成する3段π型のハイパスフィルタと等価となる。一般的な3段π型ハイパスフィルタであれば、第1端子対と第2端子対との間に並列接続されたインダクタが2つ存在するため、この2か所(図2(D)のL12、L2Mにそれぞれ並列)に寄生容量が発生して、高周波帯域での通過特性が劣化するおそれがある。これに対し、本実施形態では、インダクタの1つを相互インダクタンスで構成しているので、寄生容量が問題となるのは1つのインダクタ(第2インダクタL2)のみである。つまり、図2(D)に示す等価回路上では、インダクタL2Mには並列に寄生容量が発生するが、インダクタL12には並列に寄生容量が発生しない。よって、高周波帯域での通過特性の劣化を抑制できる。
【0025】
また、結合係数が0.2以上であることにより、フィルタ回路における無損失の相互インダクタンスが大きくなる。このため、接続線路等のESR(等価直列抵抗)を考慮してもQ値の非常に高いインダクタを形成でき、通過帯域での挿入損失をより低減することや阻止帯域での減衰をより深くすることができる。また、インダクタ間を過剰に離す必要が無い。このため、スペースの削減による小型化でき、またはコイル状導体の線幅を太くする、並列巻きする、などによりインダクタのQ値を高めることができる。
【0026】
また、結合係数が0.8以下であれば、差動接続による等価的なインダクタンスの合計値(L1+L2-k√(L1×L2))の低下を抑制できる。このため、必要な大きさのインダクタンスを確保しやすくなって、スペースが過剰にならないことにより、小型化やインダクタのQ値向上が図れる。さらには、結合係数は0.5未満であることが好ましい。結合係数が0.5未満であれば、等価回路(図2(B))におけるインダクタLA、LB、LC、の値に互いに差を設けやすくなり、変換後の等価回路(図2(D))のインダクタンスの合計値(L1M+L2M+L12)をより大きくすることができる。このため、必要な大きさのインダクタンスを確保しやすくなって、スペースが過剰にならないことにより、小型化やインダクタのQ値向上が図れる。また、第1インダクタL1と第2インダクタL2との間の距離を十分に保てるようになり、インダクタ間の寄生容量による高周波帯域での通過特性の劣化の抑制、渦電流損によるインダクタのQ値の劣化の抑制が可能となる。
【0027】
(4)図2(B)に示すように、基本構成はT型接続のインダクタを用いているため、π型接続のインダクタと比較してインダクタンスの削減、相互インダクタの使用によるインダクタ素子数の削減等により、小型化やインダクタのQ値向上によるフィルタ特性向上(通過帯域での挿入損失が改善され、阻止帯域での減衰がより深くなる)につながる。
【0028】
(5)等価回路上で高いQ値が必要な個所を相互インダクタンスで構成することで、通過帯域での挿入損失改善や阻止帯域での減衰をより深くできる。
【0029】
ここで、第1インダクタL1、第2インダクタL2、結合係数kの導出方法について述べる。
【0030】
[方法1]構造的に求める方法
X線撮影や断面研磨等により、内部のインダクタの電極形状を確認し、ノイマンの公式やその他の方法により、インダクタの電極形状から第1インダクタL1、第2インダクタL2、相互インダクタンスMをそれぞれ計算する。また、結合係数kも算出する。
【0031】
または、構造シミュレーションにてインダクタの電極形状を再現し、数値計算により、電流(またはベクトルポテンシャル、磁界、磁束)の分布、もしくは端子対での回路網パラメータ(SパラメータやZパラメータなど)からL1,L2,Mを求め、kも算出する。
【0032】
[方法2]端子で測定できる電気的特性から求める方法
ネットワークアナライザにより、端子対での回路網パラメータからL1,L2,Mを求め、kも算出する。
【0033】
または、インピーダンスアナライザやLCRメータなどにより、各端子間の入力インピーダンスからL1,L2,Mを求め、kも算出する。このとき、寄生容量の影響が測定系に出ないように、低周波(100MHz~1GHz程度)で測定することが望ましい(但し、低周波過ぎるとインピーダンスが小さすぎるので測定できない)。
【0034】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、第3インダクタを備えるハイパスフィルタについて例示する。
【0035】
図3(A)は第2の実施形態に係るハイパスフィルタ12の回路図である。図3(B)は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との磁界結合により生じる相互インダクタンスMを回路素子として表した等価回路図である。
【0036】
このハイパスフィルタ12は、第1端子対P1と第2端子対P2との間に直列接続された第1キャパシタC1と、第1キャパシタC1に並列接続された第1インダクタL1と、第1端子対P1と第2端子対P2との間に一端が接続された第3インダクタL3と、を備える。第3インダクタL3と第1インダクタL1とで直列回路が構成され、この直列回路が第1端子対P1と第2端子対P2との間に直列接続されている。そして、第1インダクタL1と第2インダクタL2とは磁界結合していて、差動接続されている。
【0037】
図3(B)に示すように、第1インダクタL1と第2インダクタL2とによる回路をインダクタLA,LB,LCによるT型等価回路で表すとき、相互インダクタンスMを表すインダクタLCは、シリーズ接続されたインダクタLA,LBの接続点と第2端子T2との間に接続される。第1インダクタL1と第2インダクタL2とは差動接続されているので、インダクタLAのインダクタンスは(L1-M)、インダクタLBのインダクタンスはM、インダクタLCのインダクタンスは(L2-M)である。
【0038】
このように、第3インダクタL3はインダクタLBに等価的に直列接続される。これにより、インダクタLA,LB+L3,LCのQ値のバランスを任意に決めることができ、所望のフィルタ特性を満たすフィルタを構成できる。この構成により、ハイパスフィルタの特性を定めてもよい。
【0039】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、4段のハイパスフィルタについて例示する。
【0040】
図4は第3の実施形態に係るハイパスフィルタ13の回路図である。このハイパスフィルタ13は、第1端子対P1と第2端子対P2との間に直列接続された第1キャパシタC1と、第1キャパシタC1に並列接続された第1インダクタL1と、第1端子対P1と第2端子対P2との間に並列接続された第2インダクタL2と、第2端子対P2と第1キャパシタC1との間に接続された第2キャパシタC2とを備える。第1インダクタL1と第2インダクタL2とは磁界結合していて、差動接続されている。図5(A)、図5(B)は、ハイパスフィルタ13の等価回路図である。第1の実施形態で図1に示したハイパスフィルタ11とは第2キャパシタC2を備える点で異なる。
【0041】
図5(A)は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との磁界結合により生じる相互インダクタンスを回路素子として表した等価回路図である。図5(A)に示した等価回路において、各インダクタのQ値の違いによるハイパスフィルタ13の透過係数の差について示すと次のとおりである。
【0042】
図6(A)、図6(B)は、本実施形態のハイパスフィルタ13の透過係数の周波数特性を示す図である。図6(A)、図6(B)の横軸は周波数であり、縦軸は、透過係数S21の値である。図6(B)は図6(A)における長円で囲んだ部分の拡大図である。
【0043】
このハイパスフィルタ13は、図6(A)に示すように、通過周波数帯域がUWBとして使用されている6.24GHz帯及び8.2GHz帯であり、挿入損失が-3dBとなる遮断周波数が5.6GHzのハイパスフィルタとして作用する。図6(B)において、特性Aは、図5(A)に示したインダクタLAのQ値が低い場合の特性、特性Bは、図5(A)に示したインダクタLBのQ値が低い場合の特性、特性Cは、図5(A)に示したインダクタLCのQ値が低い場合の特性である。また、特性Nは、図5(A)に示したインダクタLA,LB,LCが無損失である場合の特性である。
【0044】
特性AとBとを比較すれば明らかなように、インダクタLBのQ値はインダクタLAのQ値に比べて挿入損失に、より影響を与える。また、減衰域から通過域にかけての急峻性に、より影響を与える。したがって、図5(A)に示したように、インダクタLBを無損失である相互インダクタンス(M)で構成することにより、通過域の広帯域に亘って挿入損失を低減できる。
【0045】
図5(B)は、図5(A)に示したインダクタLA,LB,LCによるT型回路をπ型回路に変換した回路図である。すなわち、インダクタLA,LB,LCによるT型回路はインダクタL12,L1M,L2Mによるπ型回路で表される。この構成により、4段のハイパスフィルタが構成される。
【0046】
図4に示したハイパスフィルタ13を構成する各素子の値、及び第1インダクタL1と第2インダクタL2との結合係数kは次のとおりである。
【0047】
L1:1.2nH
L2:0.9nH
C1:0.75pF
C2:0.56pF
k:0.32
このとき、図5(B)に示した等価回路における各素子の値は次のとおりである。
【0048】
L12:2.8nH
L1M:1.6nH
L2M:1.1nH
C1:0.75pF
C2:0.56pF
ここで、インダクタL12,L1M,L2Mの合計インダクタンスが5.6nHであるのに対し、第1インダクタL1と第2インダクタL2の合計インダクタンスは2.1nHである。したがって、合計インダクタンスは63%も削減できる。図5(B)に示した等価回路において、グランドに対してシャントに接続される経路の合計インダクタンスは3.9nHであるので、このシャント接続部だけ比較しても、インダクタンスは約半分に削減できる。このことにより、全体に小型化でき、減衰域における減衰量が高まる。本明細書において「グランド」とは、回路における基準電位部であり、電気的なグランドを意味する。
【0049】
図7はハイパスフィルタ13の斜視図である。ハイパスフィルタ13は、それぞれ矩形の複数の絶縁体層が積層されて構成される直方体形状の積層体1を備える。この積層体1の外面に、例えばめっきで構成された第1端子電極ET1、第2端子電極ET2、グランド端子電極(図7では後方に隠れている端子)、内部電極の層間接続のための浮き端子電極ENCが形成されている。
【0050】
第1インダクタL1は、複数の絶縁体層の積層体1に形成された第1コイル状導体CL1で構成されていて、第2インダクタL2は、複数の絶縁体層の積層体1に形成された第2コイル状導体CL2で構成されている。第1インダクタL1の第1コイル状導体CL1は第1コイル開口CP1を有し、第2インダクタL2の第2コイル状導体CL2は第2コイル開口CP2を有する。
【0051】
第1コイル状導体CL1の巻回軸と、第2コイル状導体CL2の巻回軸とは平行であり、第1コイル状導体CL1のコイル開口CP1と第2コイル状導体CL2のコイル開口CP2とは、巻回軸方向に視て重なる領域を有する。この構造により、第1インダクタL1と第2インダクタL2とは磁界結合する。
【0052】
第1キャパシタC1は、複数の絶縁体層の積層方向に互いに対向する第1キャパシタ電極EC1及びこれら第1キャパシタ電極で挟まれる絶縁体層で構成されている。また、第2キャパシタC2は、複数の絶縁体層の積層方向に互いに対向する第2キャパシタ電極EC2及びこれら第2キャパシタ電極で挟まれる絶縁体層で構成されている。
【0053】
図8はハイパスフィルタ13の各絶縁体層及びそれらに形成されている導体パターンを示す分解下面図である。
【0054】
積層体1は絶縁体層S1~S12の積層により形成されている。図8においては、各絶縁体層を実装端子側から視た図として表している。絶縁体層S1は最上層の絶縁体層であり、絶縁体層S12は最下層の絶縁体層である。絶縁体層S2~S11は、最上層の絶縁体層S1と最下層の絶縁体層S12との間にある絶縁体層である。
【0055】
絶縁体層S1~S12には側部端子電極E1,E2,E3,E4が形成されている。各基材層に形成されている側部端子電極E1,E2,E3,E4は同一符号の端子電極同士で導通する。側部端子電極E1,E2,E3は、図7に示した第1端子電極ET1、第2端子電極ET2、浮端子電極ENCにそれぞれ導通する。また、側部端子電極E4は、グランド端子電極に導通する。
【0056】
絶縁体層S1~S4に形成されている第2コイル状導体CL2a,CL2b,CL2c,CL2dによって、図7に示した第2コイル状導体CL2が構成される。同様に、絶縁体層S8~S11に形成されている第1コイル状導体CL1a,CL1b,CL1c,CL1dによって第1コイル状導体CL1が構成される。
【0057】
絶縁体層S1~S3に形成されている第1キャパシタ電極EC1a,EC1b,EC1c、絶縁体層S9,S10に形成されている第1キャパシタ電極EC1d,EC1eによって第1キャパシタC1が構成される。また、絶縁体層S5,S6,S7に形成されている第2キャパシタ電極EC2a,EC2b,EC2cによって第2キャパシタC2が構成される。
【0058】
第2コイル状導体CL2a,CL2bの一端はそれぞれ側部端子電極E4に導通している。第2コイル状導体CL2cの一端は第1キャパシタ電極EC1cを介して側部端子電極E3に導通していて、第2コイル状導体CL2dの一端は側部端子電極E3に導通している。
【0059】
第1コイル状導体CL1aの一端は側部端子電極E3に導通していて、第1コイル状導体CL1bの一端はキャパシタ電極EC1dを介して側部端子電極E3に導通している。第1コイル状導体CL1cの一端はキャパシタ電極EC1eを介して側部端子電極E1に導通していて、第1コイル状導体CL1dの一端は側部端子電極E1に導通している。
【0060】
このように、第1コイル状導体CL1b,CL1cと第1キャパシタ電極EC1d,EC1eとは連続した導体パターンで形成されている。この構造により、第1コイル状導体CL1bと第1コイル状導体CL1cとの間に生じる寄生容量を第1キャパシタC1の一部として流用できる。したがって、第1キャパシタ電極EC1d,EC1eのサイズを縮小化でき、その分、全体を小型化できる。または、スペースが削減した分、第1インダクタを構成するコイル状導体の線幅を太くすることができ、そのことにより第1インダクタのQ値が向上してフィルタ特性が向上する(通過帯域での挿入損失が改善でき、阻止帯域での減衰をより深くできる)。
【0061】
このように、第1コイル状導体CL1b,CL1cと第1キャパシタ電極EC1d,EC1eとは連続した導体パターンで形成されている。この構造により、第1コイル状導体CL1bと第1コイル状導体CL1cとの間に生じる寄生容量を第1キャパシタC1の一部として流用できる。したがって、第1キャパシタ電極EC1d,EC1eのサイズを縮小化でき、その分、全体を小型化できる。または、スペースが削減した分、第1インダクタを構成するコイル状導体の線幅を太くすることができ、そのことによりフィルタのQ値がさらに高まり、挿入損失がより低減できる。
【0062】
第2キャパシタ電極EC2bと側部端子電極E2との間には配線導体WCが形成されている。この配線導体WCは第2キャパシタC2と第2端子T2との間に直列接続される導体である。このように、配線導体WCがコイル状導体CL1,CL2から積層方向に離れていることにより、配線導体WCと、コイル状導体CL1,CL2(特に第2コイル状導体CL2)との間に生じる寄生容量が抑制される。また、コイル状導体CL1,CL2から発生される磁束を配線導体WCが妨げて、第1インダクタL1や第2インダクタL2のQ値が低下するのを抑制する。
【0063】
また、配線導体WCは、第1コイル状導体CL1a,CL1b,CL1c,CL1d又は第2コイル状導体CL2a,CL2b,CL2c,CL2dの少なくとも一方よりも導体幅が細い。この構造により、配線導体WCと、それに積層方向に隣接する他の導体との間に生じる寄生容量がさらに抑制される。また、コイル状導体CL1,CL2が発生する磁束を配線導体WCが妨げて、第1インダクタL1や第2インダクタL2のQ値が低下することが抑制される。
【0064】
図7図8で示されているように、第1コイル状導体CL1の端部(E1側)と第2コイル状導体CL2の端部(E2側)は、第1コイル状導体CL1と第2コイル状導体CL2及びその接続部を間に挟み離れている。このためコイルの端部同士は近接せず、かつコイル自体がシールドとして作用するので、コイル間の寄生容量及びその影響が抑制される。このため高周波帯域での通過特性の劣化が抑制される。
【0065】
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、フィルタモジュールについて例示する。
【0066】
図9は第4の実施形態に係るバンドリジェクションフィルタ14Aの回路図である。このバンドリジェクションフィルタ14Aは、図2(A)に示したハイパスフィルタ11にキャパシタC3を設けた構成である。キャパシタC3は、グランドに対してシャントに接続される経路に設けられている第2インダクタL2に直列接続されている。これにより、直列共振回路がグランドに対してシャントに接続された構成となる。この直列共振回路により特定の周波数でグランドに電流が流れるので、全体としてバンドリジェクションフィルタとして機能する。
【0067】
図10は、図2のハイパスフィルタ11の透過係数の周波数特性及び図9のバンドリジェクションフィルタ14Aの透過係数の周波数特性を示す図である。図10に示すように、図9のバンドリジェクションフィルタ14Aでは、2個の減衰極が出現することによって、バンドリジェクションフィルタとして機能していることが分かる。
【0068】
図11は、ハイパスフィルタ13にキャパシタC3を追加したハイパスフィルタ14Bの等価回路図である。図12は、図4のハイパスフィルタ13の透過係数の周波数特性及びハイパスフィルタ13にキャパシタC3を追加したハイパスフィルタ14Bの透過係数の周波数特性を示す図である。これにより、ハイパスフィルタ11にキャパシタC3を追加したハイパスフィルタ14Bは、2個の減衰極を有するハイパスフィルタとして機能する。
【0069】
図13は第4の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Cの回路図である。このバンドパスフィルタ14Cは、図2(A)に示したハイパスフィルタにインダクタL4を設けた構成である。インダクタL4は、信号ラインに対してシリーズに接続される経路に設けられているキャパシタC1に直列接続されている。これにより、直列共振回路が信号ラインにシリーズに接続された構成となる。この直列共振回路により特定の周波数で通過するので、全体としてバンドパスフィルタとして機能する。
【0070】
なお、図9図12及び図13は、図2(A)に示した回路を基にして、キャパシタ又はインダクタを付加することによってフィルタモジュールを構成したが、これらは一例である。その他に、例えば、図4において、信号ラインに対してシリーズに接続される経路にインダクタL4を設けてバンドパスフィルタを構成してもよい。
【0071】
《第5の実施形態》
第5の実施形態では、フィルタモジュールの他の例について示す。
【0072】
図14(A)はバンドパスフィルタの構成を示すブロック図である。このバンドパスフィルタは、ハイパスフィルタHPFとローパスフィルタLPFとが縦続接続されて構成されている。このハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。
【0073】
図14(B)はバンドリジェクションフィルタの構成を示すブロック図である。このバンドリジェクションフィルタは、ハイパスフィルタHPFとローパスフィルタLPFとがパラレルに接続されて構成されている。このハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。
【0074】
図14(C)はダイプレクサの構成を示すブロック図である。このダイプレクサは、ハイパスフィルタHPFとローパスフィルタLPFとを備え、一端が共通接続されている。このハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。
【0075】
図14(D)はトリプレクサの構成を示すブロック図である。このトリプレクサは、ハイパスフィルタHPFとバンドパスフィルタBPFとローパスフィルタLPFとを備え、一端が共通接続されている。このハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。
【0076】
なお、図14(C)、図14(D)に示す例と同様にしてマルチプレクサを構成することができる。
【0077】
図15は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。このハイパスフィルタは、2個のハイパスフィルタHPFが縦続接続されている。2個のハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。また、2個のハイパスフィルタHPFの一方は、第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタ以外のハイパスフィルタでもよい。
【0078】
図16は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。このハイパスフィルタは、ハイパスフィルタHPF及びキャパシタCを含んでいる。キャパシタCはハイパスフィルタHPFの一方の端子対の一端に直列接続されている。つまり、このハイパスフィルタは、ハイパスフィルタHPFと、直列接続されたキャパシタCとが縦続接続されている。ハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。
【0079】
図17は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。このハイパスフィルタは、ハイパスフィルタHPF及びインダクタLを含んでいる。インダクタLの一端は、ハイパスフィルタHPFの一方の端子対の一端に接続されている。インダクタLの他端は、グランドに接続、つまりハイパスフィルタHPFの一方の端子対の他端に接続されている。つまり、このハイパスフィルタは、ハイパスフィルタHPFと、並列接続されたインダクタLとが縦続接続されている。ハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。
【0080】
図18は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。このハイパスフィルタは、ハイパスフィルタHPF及び反共振器(LC並列共振回路)を含んでいる。反共振器(LC並列共振回路)はインダクタLとキャパシタCとの並列接続回路で構成されている。反共振器(LC並列共振回路)はハイパスフィルタHPFの一方の端子対の一端に直列接続されている。つまり、このハイパスフィルタは、ハイパスフィルタHPFと、直列接続された反共振器(LC並列共振回路)とが縦続接続されている。ハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。
【0081】
図19は、ハイパスフィルタの構成を示すブロック図である。このハイパスフィルタは、ハイパスフィルタHPF及び共振器(LC直列共振回路)を含んでいる。共振器(LC直列共振回路)はインダクタLとキャパシタCとの直列接続回路で構成されている。共振器(LC直列共振回路)の一端は、ハイパスフィルタHPFの一方の端子対の一端に接続されている。共振器(LC直列共振回路)の他端は、グランドに接続、つまりハイパスフィルタHPFの一方の端子対の他端に接続されている。つまり、このハイパスフィルタは、ハイパスフィルタHPFと、並列接続された共振器(LC直列共振回路)とが縦続接続されている。ハイパスフィルタHPFは第1、第2の実施形態で示したハイパスフィルタで構成されている。
【0082】
ここで、図20は、図18のハイパスフィルタの透過係数の周波数特性、図18のハイパスフィルタの内のハイパスフィルタHPFのみの透過係数の周波数特性、及び、図18のハイパスフィルタの内の直列接続された反共振器(LC並列共振回路)のみの透過係数の周波数特性を示す図である。
【0083】
図20に示すように、図18のハイパスフィルタの内のハイパスフィルタHPFのみの透過係数の周波数特性、及び、図18のハイパスフィルタの内の直列接続された反共振器(LC並列共振回路)の透過係数の周波数特性のそれぞれでは、減衰極が一つだけしか形成されない。一方、図18のハイパスフィルタの透過係数の周波数特性では、減衰極が2個形成される。
【0084】
図21は、図18のハイパスフィルタの内のハイパスフィルタHPFの斜視図である。図22は、図21のハイパスフィルタHPFの分解図である。図23は、図18の反共振器(LC並列共振回路)の斜視図である。図24は、図23の反共振器(LC並列共振回路)の分解図である。
【0085】
図21及び図22に示すように、第1インダクタL1は、ハイパスフィルタHPFの積層体の下部に位置している。インダクタL1は、絶縁体層S7~S11の左部及び中央部に形成されている。インダクタL1は、絶縁体層S7~S11に設けられている導体層が層間接続導体v14~v17により接続された構造を有している。第1インダクタL1は、第1端子電極ET1と第1キャパシタC1とに接続されている。
【0086】
第2インダクタL2は、第1インダクタL1の上に位置している。インダクタL2は、絶縁体層S1~S4の左部に形成されている。インダクタL2は、絶縁体層S1~S4に設けられている導体層が層間接続導体v11~v13により接続された構造を有している。第2インダクタL2は、グランド端子EG1と第1端子電極ET1とに接続されている。
【0087】
また、第1キャパシタC1は、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の右に位置している。第1キャパシタC1は、絶縁体層S1~S11のそれぞれに形成された長方形状の複数の導体層が上下方向に重なっている。第1キャパシタC1は、第2端子電極ET2と浮端子電極ENCとに接続されている。なお、絶縁体層S1~S12の四隅には、層間接続導体が設けられている。
【0088】
図23及び図24に示すように、キャパシタC2は、左右に分離されている。キャパシタC2は、絶縁体層S1~S11の左部及び右部のそれぞれに形成された長方形状の複数の導体層が上下方向に重なっている。第1キャパシタC1は、端子電極T1とインダクタL3とに接続されている。
【0089】
インダクタL3は、キャパシタC2の間に配置されている。インダクタL3は、絶縁体層S1~S10の中央部に形成されている。インダクタL3は、絶縁体層S1~S10に設けられている導体層が層間接続導体v21~v25により接続された構造を有している。第1インダクタL1は、端子電極T2と第1キャパシタC1とに接続されている。なお、絶縁体層S1~S12の四隅には、層間接続導体が設けられている。
【0090】
ハイパスフィルタHPF、反共振器(LC並列共振回路)ともにインダクタLとなるコイルの開口に重なるようなコンデンサ電極を配置していない。これにより、コンデンサ電極に起因する渦電流によるインダクタLの損失を抑制し、インダクタLのQ値を高くすることができる。ハイパスフィルタHPFはコイルの巻回軸方向から見て、コイルの外側においてコイル電極と同層にコンデンサ電極を配置している。反共振器(LC並列共振回路)は各層のコイル電極の最も外周を巻回する部分がコンデンサ電極も兼ねるように、他の部分よりも太く形成されている。これにより、コイル電極とコンデンサ電極とを一体化することで、コイル電極とコンデンサ電極との間隔が不要となり、コイル形状を大きく形成できるため、インダクタLのQ値を高くすることができる。よってこれらの構成で、ハイパスフィルタHPF及び反共振器(LC並列共振回路)のインダクタのQ値を高くすることが容易なので、通過帯域における高周波信号の損失が少なく、かつ、通過帯域外における高周波信号の損失が大きくなる。更に、減衰極が深くなる。
【0091】
図25は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。ハイパスフィルタ300は、基板310及びハイパスフィルタHPFを備えている。ハイパスフィルタHPFは、基板310に実装されている。反共振器(LC並列共振回路)は、基板310内に設けられている導体層及び層間接続導体により形成されている。ハイパスフィルタHPFと反共振器(LC並列共振回路)とが基板310の積層方向に視て重ならないので、ハイパスフィルタHPFのインダクタ及び反共振器(LC並列共振回路)のインダクタのQ値の低下が抑制される。
【0092】
図26は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。ハイパスフィルタ300は、基板310、ハイパスフィルタHPF及びキャパシタを備えている。ハイパスフィルタHPF及びキャパシタは、基板310に実装されている。キャパシタは、例えば、積層セラミックコンデンサである。インダクタは、基板310内に設けられている導体層及び層間接続導体により形成されている。そして、キャパシタ及びインダクタは、反共振器(LC並列共振回路)を形成している。反共振器(LC並列共振回路)の一部を実装部品とすることにより、容量が大きいキャパシタを用いることができるので、ハイパスフィルタ300の設計自由度が高くなる。また、インダクタのQ値が高くなる。
【0093】
図27は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。ハイパスフィルタ300は、基板310、ハイパスフィルタHPF及びインダクタを備えている。ハイパスフィルタHPF及びインダクタは、基板310に実装されている。キャパシタは、基板310内に設けられている導体層により形成されている。そして、キャパシタ及びインダクタは、反共振器(LC並列共振回路)を形成している。反共振器(LC並列共振回路)の一部を実装部品とすることにより、インダクタンスが大きいインダクタを用いることができるので、ハイパスフィルタ300の設計自由度が高くなる。また、インダクタのQ値が高くなる。
【0094】
図28は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。ハイパスフィルタ300は、基板310及びハイパスフィルタHPFを備えている。ハイパスフィルタHPFは、基板310に実装されている。反共振器(LC並列共振回路)は、基板310内に設けられている導体層及び層間接続導体により形成されている。反共振器(LC並列共振回路)は、基板310の積層方向に視て、ハイパスフィルタHPFと重なっている。これにより、反共振器(LC並列共振回路)のインダクタは、反共振器(LC並列共振回路)のインダクタと磁界結合している。その結果、ハイパスフィルタ300の設計自由度が高くなる。また、ハイパスフィルタ300のL値を小さくすることが可能となり、Q値の高いような構造(並列巻きや太巻きなど)にインダクタを設計できる。
【0095】
図29は、図18のハイパスフィルタ300の断面図の一例である。ハイパスフィルタ300は、基板310、ハイパスフィルタHPF及びキャパシタを備えている。ハイパスフィルタHPF及びキャパシタは、基板310に実装されている。インダクタは、基板310内に設けられている導体層及び層間接続導体により形成されている。反共振器(LC並列共振回路)は、インダクタ及びキャパシタにより形成されている。インダクタは、基板310の積層方向に視て、ハイパスフィルタHPFと重なっている。これにより、反共振器(LC並列共振回路)のインダクタは、反共振器(LC並列共振回路)のインダクタと磁界結合している。その結果、ハイパスフィルタ300の設計自由度が高くなる。また、ハイパスフィルタ300のL値を小さくすることが可能となり、Q値の高いような構造(並列巻きや太巻きなど)にインダクタを設計できる。
【0096】
図30は、ハイパスフィルタ400の等価回路図である。図31は、ハイパスフィルタ500の等価回路図である。図30のハイパスフィルタ400は、5段トランスHPF回路である。ハイパスフィルタ400は、4つの外部端子を備えている。しかしながら、ハイパスフィルタ400は、5個の節点を備えている。そのため、節点の数は、外部端子の数より多い。節点p1,p2,Gは、外部回路に接続される。そのため、残り1つの外部端子及び内部接続により節点N1,N2を構成することになる。よって節点N1,N2のどちらかは、内部で層間接続される構造又は層間接続無しの構造のいずれかになる。
【0097】
内部で層間接続される場合、層間接続導体、ビア受け導体層、層間接続導体及び他の導体層のスペースが必要となる。このため、ESLの増加及びESRの増加、スペースが狭くなることによるQ値の劣化により、フィルタ特性が大幅に劣化する恐れがある。そこで、このような特性劣化を避けるために、層間接続無しの構造を備えるハイパスフィルタ400を検討した。
【0098】
更に、高い結合係数(k=0.4~0.9など)が必要な場合、2つのインダクタを単に上下に配置させるだけだと、結合係数を高めるために2つのインダクタ間の層間を狭くする必要があり、2つのインダクタ同士が近接するため、インダクタのQ値が低くなる。結合係数を高めつつ、Q値の劣化が小さい構造も検討する。
【0099】
そこで、ハイパスフィルタ500は、図31に示す等価回路を有している。これにより、層間接続導体の数を減らすことができる。その結果、インダクタのQ値の低下が抑制される。
【0100】
以下に、図31のハイパスフィルタ500の構造について図面を参照しながら説明する。図32は、ハイパスフィルタ500の斜視図である。図33は、ハイパスフィルタ500の分解図である。
【0101】
図31及び図32に示すように、ハイパスフィルタ500は、内部の電極層及びその間の絶縁体層と層間接続導体が上下対称な構造を有している。インダクタL1a,Lga、キャパシタC1a,C2a及びキャパシタC0の半分は、ハイパスフィルタ500の上半分に位置している。インダクタL1b,Lgb、キャパシタC1b,C2b及びキャパシタC0の半分は、ハイパスフィルタ500の下半分に位置している。図31に示すように、ハイパスフィルタ500は、図30に示すハイパスフィルタ400の回路の節点N1からp2までの二端子対回路を分割し、互いに並列接続した回路となっている。分割した回路はキャパシタのキャパシタンスが半分、インダクタのインダクタンスが2倍、結合係数は同じの回路となる。つまり、C1a=C1b=C1/2、C2a=C2b=C2/2、L1a=L1b=L1×2、Lga=Lgb=Lg×2、となる。
【0102】
キャパシタC0は、絶縁体層S1~S4,S8~S11の左半分に形成されている。インダクタLgaは、絶縁体層S1,S2の右半分に形成されている。インダクタLgaは、絶縁体層S1に設けられている導体層と絶縁体層S2に設けられている導体層とが層間接続導体v1により接続された構造を有している。
【0103】
キャパシタC1aは、絶縁体層S4,S5の左半分に形成されている。キャパシタC1aは、絶縁体層S4に設けられている導体層と絶縁体層S5に設けられている導体層との間に形成されている。キャパシタC2aは、絶縁体層S5,S6の左半分に形成されている。キャパシタC2aは、絶縁体層S5に設けられている導体層と絶縁体層S6に設けられている導体層との間に形成されている。
【0104】
インダクタL1aは、絶縁体層S4,S5の右半分に形成されている。インダクタL1aは、絶縁体層S4に設けられている導体層と絶縁体層S5に設けられている導体層とが層間接続導体v2により接続された構造を有している。
【0105】
インダクタLgbは、絶縁体層S10,S11の右半分に形成されている。インダクタLgbは、絶縁体層S10に設けられている導体層と絶縁体層S11に設けられている導体層とが層間接続導体v3により接続された構造を有している。
【0106】
キャパシタC1bは、絶縁体層S7,S8の左半分に形成されている。キャパシタC1aは、絶縁体層S4に設けられている導体層と絶縁体層S5に設けられている導体層との間に形成されている。キャパシタC2aは、絶縁体層S5,S6の左半分に形成されている。キャパシタC2aは、絶縁体層S5に設けられている導体層と絶縁体層S6に設けられている導体層との間に形成されている。
【0107】
インダクタL1aは、絶縁体層S4,S5の右半分に形成されている。インダクタL1aは、絶縁体層S4に設けられている導体層と絶縁体層S5に設けられている導体層とが層間接続導体v4により接続された構造を有している。なお、絶縁体層S1~S12の四隅には、層間接続導体が設けられている。以上のようなハイパスフィルタ500は、例えば、フォトリソグラフィ工程が繰り返されることにより作製される。
【0108】
以上のようなハイパスフィルタ500では、絶縁体層S5に設けられている導体層は、キャパシタC1aとなる導体層とキャパシタC2aとなる導体層とを兼ねている。そのため、キャパシタC1aとキャパシタC2aとを接続するための層間接続導体が不要となる。これにより、ハイパスフィルタ500は、インダクタに設けられている層間接続導体以外に層間接続導体が存在しない構成となる。また、インダクタL1a,L1bは、インダクタLgaとインダクタLgbとの間に位置するので、インダクタL1aとインダクタL1bとの結合係数を高めつつ、各コイル間の層間を離すことができ、高いインダクタQを実現できる。
【0109】
《第6の実施形態》
第6の実施形態では、以上に示したフィルタ回路デバイス又はフィルタ回路モジュールを備える電子機器について例示する。
【0110】
図34は第6の実施形態に係る電子機器201の構成を示すブロック図である。この電子機器201は、例えばいわゆるスマートフォンや携帯電話器である。この電子機器201は、デュプレクサ53、アンテナ54、制御回路50、インターフェイス及びメモリ51、周波数シンセサイザ52を備える。送信系は、送話器61、送信信号処理回路62、送信ミキサ63、送信フィルタ64及びパワーアンプ65で構成されている。受信系は、ローノイズアンプ71、受信フィルタ72、受信ミキサ73、受信信号処理回路74及び受話器75で構成されている。パワーアンプ65から出力される送信信号はデュプレクサ53を介してアンテナ54へ出力される。また、アンテナ54で受信された信号はデュプレクサ53を介してローノイズアンプ71で増幅される。なお、通話ではなくデータ通信などの場合には、制御回路50は受信信号を処理する。
【0111】
送信フィルタ64や受信フィルタ72には、本発明のフィルタ又はフィルタモジュールを適用できる。また、デュプレクサ53の高周波数側のフィルタに本発明のフィルタ又はフィルタモジュールを適用できる。
【0112】
また、パワーアンプ65の前後、ローノイズアンプ71の前後、送信ミキサ63の前後、受信ミキサ73等の前後にフィルタを設ける場合に、それらのフィルタに、本発明のフィルタ又はフィルタモジュールを適用できる。
【0113】
また、現在のスマートフォンや携帯電話器は、複数のアンテナや、複数の周波数帯で使用されるので、バンドパスフィルタや分波器が多用されるが、これらバンドパスフィルタや分波器として、第5の実施形態で示したバンドパスフィルタ、ダイプレクサ、トリプレクサ、マルチプレクサ等を用いることもできる。
【0114】
最後に、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。当業者によって適宜変形及び変更が可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変形及び変更が含まれる。
【符号の説明】
【0115】
C1…第1キャパシタ
C2…第2キャパシタ
C3…キャパシタ
CL1…第1コイル状導体
CL1a,CL1b,CL1c,CL1d…第1コイル状導体
CL2…第2コイル状導体
CL2a,CL2b,CL2c,CL2d…第2コイル状導体
CP1…第1コイル開口
CP2…第2コイル開口
E1,E2,E3,E4…側部端子電極
EC1…第1キャパシタ電極
EC1a,EC1b,EC1c,EC1d,EC1e…第1キャパシタ電極
EC2…第2キャパシタ電極
EC2a,EC2b,EC2c…第2キャパシタ電極
ENC…浮き端子電極
ET1…第1端子電極
ET2…第2端子電極
ET1,ET2…端子電極
GND…グランド端子
HPF…ハイパスフィルタ
L1…第1インダクタ
L2…第2インダクタ
L3…第3インダクタ
L4…インダクタ
L12,L1M,L2M…インダクタ
LA,LB,LC…インダクタ
LPF…ローパスフィルタ
P1…第1端子対
P2…第2端子対
S1~S12…絶縁体層
T1…第1端子
T2…第2端子
WC…配線導体
1…積層体
11,12,13…ハイパスフィルタ
14A…バンドリジェクションフィルタ
14C…バンドパスフィルタ
50…制御回路
51…メモリ
52…周波数シンセサイザ
53…デュプレクサ
54…アンテナ
61…送話器
62…送信信号処理回路
63…送信ミキサ
64…送信フィルタ
65…パワーアンプ
71…ローノイズアンプ
72…受信フィルタ
73…受信ミキサ
74…受信信号処理回路
75…受話器
201…電子機器
400,500…ハイパスフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34