(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20240806BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20240806BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240806BHJP
H01R 13/46 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
B60R16/02 610A
H01R13/46 301M
(21)【出願番号】P 2022547509
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2021031675
(87)【国際公開番号】W WO2022054621
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2020152915
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小田 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】奥平 裕介
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-303463(JP,A)
【文献】特開平10-084078(JP,A)
【文献】特開2015-015275(JP,A)
【文献】特開2015-187963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H02G 3/14
B60R 16/02
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧用の高電圧回路及び低電圧用の低電圧回路を収容する筐体を備える車両用の電気接続箱であって、
前記筐体に設けられ、外部装置との接続を行う接続部を備え、
前記接続部は、前記高電圧回路と接続された高電圧端子及び前記低電圧回路と接続された低電圧端子を共に有
し、前記外部装置と係合する凹状の係合部を有し、
前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部は、前記係合部の底に形成された貫通孔を介して外部に露出されており、
前記底には、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間を遮る仕切り板が立設されている電気接続箱。
【請求項2】
前記仕切り板は複数であり、前記仕切り板同士間の間隔は1mm以上である請求項
1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記仕切り板には、前記高電圧端子の端部又は前記低電圧端子の端部との対向面に、前記底と平行にフィンが突設されている請求項
1又は
2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記フィンは複数であり、前記フィン同士間の間隔は1mm以上である請求項
3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記接続部は前記外部装置と係合する凹状の係合部を有し、
前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部は、前記係合部の底に形成された貫通孔を介して外部に露出されており、
前記底には、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間に、1mm以上の幅を有する溝が設けられている請求項1に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用の電気接続箱に関する。
本出願は、2020年9月11日出願の日本出願第2020-152915号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電源を負荷と接続する電気接続箱が普及しており、該電気接続箱は例えばECU(ElectronicControl Unit)を介して負荷と接続される。
【0003】
特許文献1には、電気接続箱が、自機に搭載されたECUを自機から離隔する方向に付勢するバネ部を有することによって、ECU側のコネクタ部が電気接続箱側のコネクタ嵌合部に嵌合した場合に生じるコネクタ部及びコネクタ嵌合部の間のガタ付きを吸収することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態に係る電気接続箱は、高電圧用の高電圧回路及び低電圧用の低電圧回路を収容する筐体を備える車両用の電気接続箱であって、前記筐体に設けられ、外部装置との接続を行う接続部を備え、前記接続部は、前記高電圧回路と接続された高電圧端子及び前記低電圧回路と接続された低電圧端子を共に有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1に係る電気接続箱の斜視図である。
【
図2】電気接続箱の内部構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】実施形態2に係る電気接続箱において、接続部の構成を説明する部分的断面図である。
【
図5】実施形態3に係る電気接続箱において、接続部の構成を説明する部分的断面図である。
【
図6】実施形態4に係る電気接続箱において、接続部の構成を説明する部分的断面図である。
【
図7】実施形態1の変形例を示す部分的断面図である。
【
図8】実施形態2の変形例を示す部分的断面図である。
【
図9】実施形態3の変形例を示す部分的断面図である。
【
図10】実施形態4の変形例を示す部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
近年、30V超過の高電圧用の高電圧回路及び30V以下の低電圧用の低電圧回路を併せ持つ電気接続箱のニーズが増えている。しかし、高電圧回路をECUのような外部装置と接続する高電圧端子と、低電圧回路を他の外部装置と接続する低電圧端子とが互いに接近している場合はこれらの間で電流が漏洩するいわゆるリークが発生するおそれがある。斯かる問題に備え、高電圧端子のみを有する接続部及び低電圧端子のみを有する接続部が夫々隔てて設けられている。
【0008】
一方、上述の如く、高電圧端子を有する接続部及び低電圧端子を有する接続部を夫々隔てて設ける場合、電気接続箱の構成が複雑になって製造工程の作業性が劣るうえ、電気接続箱のコンパクト化の妨げになるという問題が生じていた。
しかし、特許文献1の電気接続箱は、低電圧回路のみを有するものであって、高電圧回路及び低電圧回路を併せ持つ場合については考慮されておらず、上述の問題を解決できない。
【0009】
そこで、高電圧端子及び低電圧端子を共に有する接続部を備え、構成を簡素化及びコンパクト化できる電気接続箱を提供することを目的とする。
【0010】
[本開示の効果]
本開示によれば、高電圧端子及び低電圧端子を共に有する接続部を備え、電気接続箱の構成を簡単化及びコンパクト化できる。
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、高電圧用の高電圧回路及び低電圧用の低電圧回路を収容する筐体を備える車両用の電気接続箱であって、前記筐体に設けられ、外部装置との接続を行う接続部を備え、前記接続部は、前記高電圧回路と接続された高電圧端子及び前記低電圧回路と接続された低電圧端子を共に有する。
【0013】
本実施形態にあっては、一つの接続部が、前記高電圧回路と接続された高電圧端子及び前記低電圧回路と接続された低電圧端子を共に有する。従って、前記高電圧端子のみを有する接続部と、前記低電圧端子のみを有する接続部とを別に設けた場合に比べて前記筐体をコンパクト化できる。
【0014】
(2)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記接続部は前記外部装置と係合する凹状の係合部を有し、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部は、前記係合部の底に形成された貫通孔を介して外部に露出されており、前記底には、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間を遮る仕切り板が立設されている。
【0015】
本実施形態にあっては、前記係合部の底に形成された貫通孔を介して、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部が外部に露出されており、前記底には、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間を遮る仕切り板が立設されている。従って、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間の沿面距離を確保し、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間を絶縁させることができる。
【0016】
(3)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記仕切り板は複数であり、前記仕切り板同士間の間隔は1mm以上である。
【0017】
本実施形態にあっては、前記係合部の底に、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間を遮る複数の仕切り板が互いに1mm以上の間隔を隔てて立設されている。従って、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間の沿面距離をより長く確保でき、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間をより確実に絶縁させることができる。
【0018】
(4)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記仕切り板には、前記高電圧端子の端部又は前記低電圧端子の端部との対向面に、前記底と平行にフィンが突設されている。
【0019】
本実施形態にあっては、前記仕切り板には、前記高電圧端子の端部又は前記低電圧端子の端部との対向面に、フィンが突設されている。従って、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間の沿面距離をより長く確保でき、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間をより確実に絶縁させることができる。
【0020】
(5)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記フィンは複数であり、前記フィン同士間の間隔は1mm以上である。
【0021】
本実施形態にあっては、前記仕切り板には、前記高電圧端子の端部又は前記低電圧端子の端部との対向面に、複数のフィンが突設されている。また、前記フィン同士間の間隔は1mm以上である。従って、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間の沿面距離をより長く確保できる。
【0022】
(6)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記接続部は前記外部装置と係合する凹状の係合部を有し、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部は、前記係合部の底に形成された貫通孔を介して外部に露出されており、前記底には、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間に、1mm以上の幅を有する溝が設けられている。
【0023】
本実施形態にあっては、前記係合部の底には、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間に、1mm以上の幅を有する溝が設けられている。従って、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間の沿面距離をより長く確保でき、前記高電圧端子の端部及び前記低電圧端子の端部の間をより確実に絶縁させることができる。
【0024】
[本発明の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電気接続箱を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
(実施形態1)
以下においては、図面に基づいて、本開示の実施形態に係る車両用の電気接続箱を説明する。
【0026】
図1は、実施形態1に係る電気接続箱100の斜視図である。
電気接続箱100は電源からの電力を車両の各種負荷に供給する。電気接続箱100は、略直方体形状の筐体50を備えており、筐体50は例えば樹脂のような絶縁材からなる。筐体50の天板30には、ECU等の外部装置と接続するための接続部20が設けられている。
【0027】
図2は、電気接続箱100の内部構成を模式的に示す断面図である。
筐体50は、30V超過の高電圧用の高電圧回路10と、30V以下の低電圧用の低電圧回路40とを備えている。例えば、高電圧回路10はエアコン等の負荷に高電圧を印加し、低電圧回路40はリレー、ライド等の負荷に低電圧を印加する。
【0028】
接続部20は、外部装置と係合する凹状の係合部21を有している。係合部21は横断面視矩形であり、天板30の上面に設けられている。係合部21は、例えば筐体50(天板30)と一体形成されている。係合部21の内側には、高電圧の電流が流れる高電圧端子11と、低電圧の電流が流れる低電圧端子41とが設けられている。
【0029】
高電圧端子11及び低電圧端子41は、導電性の金属板からなり、細長い長方形である。高電圧端子11は高電圧回路10の基板12に接続されており、低電圧端子41は低電圧回路40の基板42に接続されている。
【0030】
図3は、
図2の一部分を拡大して示す拡大図である。
図3は、
図2にて点線で囲まれた部分を拡大して示している。
【0031】
係合部21の底22には、貫通孔221,222が形成されている。貫通孔221は高電圧端子11の断面形状に倣う形状を有しており、貫通孔222は低電圧端子41の断面形状に倣う形状を有している。貫通孔221及び貫通孔222は適宜隔てて形成されている。
【0032】
高電圧端子11は筐体50の内側から貫通孔221に挿通され、高電圧端子11の一端部111が外側に露出されている。低電圧端子41は筐体50の内側から貫通孔222に挿通され、低電圧端子41の一端部411が外側に露出されている。この際、高電圧端子11の一端部111と、低電圧端子41の一端部411とは対向している。
【0033】
係合部21の底22の一面には、高電圧端子11の一端部111と低電圧端子41の一端部411との間に、矩形板形状を有する仕切り板23が立設されている。仕切り板23は、絶縁性を有しており、筐体50と一体形成されている。仕切り板23は、一端部111と一端部411との対向方向と交差する方向に延びて、一端部111と一端部411との間を遮る。底22に垂直な方向の寸法(以下、高さと称する)は、仕切り板23の高さが一端部111及び一端部411の高さよりも少し低い。
【0034】
底22において前記一面と反対側の面には、仕切り板23と対応する位置に、仕切り板23よりも大きい矩形板形状を有する仕切り壁24が突設されている。仕切り壁24は、絶縁性を有しており、底22の厚み方向に延びている。仕切り壁24は、高電圧端子11における一端部111を除く残り部分と、低電圧端子41における一端部411を除く残り部分との間を遮る。仕切り壁24の高さは高電圧端子11の前記残り部分及び低電圧端子41の前記残り部分の高さと略等しい。
【0035】
ところが、高電圧端子と低電圧端子とが近接して配置された場合、いわゆるリークが発生するおそれがある。このような問題を防ぐ為に、一般には高電圧端子のみを有する接続部及び低電圧端子のみを有する接続部が夫々隔てて設けられている。しかし、この場合、電気接続箱の構成が複雑になって製造工程の作業性が劣るうえ、電気接続箱のコンパクト化の妨げになる。
【0036】
これに対して、実施形態1の電気接続箱100では、上述の如く、高電圧端子11と低電圧端子41とが互いに離隔して配置されており、高電圧端子11と低電圧端子41との間に、仕切り板23及び仕切り壁24が設けられ、高電圧端子11と低電圧端子41との間を遮っている。
【0037】
よって、高電圧端子11と低電圧端子41とは、十分な空間距離及び沿面距離を確保することができ、高電圧端子11と低電圧端子41との間の絶縁を達成できる。即ち、高電圧端子11と低電圧端子41との間に仕切り板23及び仕切り壁24が設けられているので、高電圧端子11と低電圧端子41との間の沿面距離が大きく増加する。従って、仕切り板23及び仕切り壁24が無い場合に比べて、より確実に高電圧端子11を低電圧端子41から絶縁させることができる。
【0038】
このような構成を有するので、実施形態1の電気接続箱100は、一つの接続部20が高電圧端子11及び低電圧端子41を併せ持つことができる。よって、電気接続箱100の構成が簡単になり、電気接続箱100をコンパクト化できる。
【0039】
以上においては、仕切り板23の高さが高電圧端子11の一端部111及び低電圧端子41の一端部411の高さより少し低い場合を例にして説明したが、これに限定されるものではない。仕切り板23の高さが、一端部111及び一端部411の高さと同じ、又は、一端部111及び一端部411の高さよりも高くなるように構成しても良い。この場合、高電圧端子11(一端部111)及び低電圧端子41(一端部411)の間の沿面距離を更に増やすことができ、絶縁性がより高まる。
【0040】
また、以上においては、仕切り壁24の高さが高電圧端子11の前記残り部分及び低電圧端子41の前記残り部分の高さと略等しい場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。仕切り壁24の高さが高電圧端子11の前記残り部分及び低電圧端子41の前記残り部分の高さよりも高くなるように構成しても良い。この場合、高電圧端子11(前記残り部分)及び低電圧端子41(前記残り部分)との間の沿面距離を更に増やすことができ、絶縁性がより高まる。
【0041】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る電気接続箱100において、接続部20の構成を説明する部分的断面図である。
【0042】
実施形態2の電気接続箱100も、実施形態1と同様に、接続部20を備えている。接続部20では、係合部21の底22に貫通孔221,222が形成されており、貫通孔221を介して高電圧端子11の一端部111が外側に露出されており、貫通孔222を介して低電圧端子41の一端部411が外側に露出されている。
【0043】
係合部21の底22の前記一面には、高電圧端子11の一端部111と低電圧端子41の一端部411との間に、2つの仕切り板25が立設されている。仕切り板25は、矩形板形状を有しており、筐体50と一体形成されている。2つの仕切り板25は絶縁性を有しており、一端部111と一端部411との対向方向と交差する方向に延びて、一端部111と一端部411との間を遮る。仕切り板25同士間の間隔L1は1mmよりも広く、例えば3mm以下である。各仕切り板25の高さが一端部111及び一端部411の高さよりも低い。
【0044】
底22において前記一面と反対側の面には、2つの仕切り板25の間と対応する位置に仕切り壁24が突設されている。仕切り壁24は、絶縁性を有しており、筐体50と一体形成されている。
【0045】
実施形態2の電気接続箱100では、上述の如く、高電圧端子11と低電圧端子41とが互いに離隔して配置されており、高電圧端子11と低電圧端子41との間に、2つの仕切り板25及び仕切り壁24が設けられ、高電圧端子11と低電圧端子41との間を遮っている。
【0046】
よって、高電圧端子11と低電圧端子41とは、十分な空間距離及び沿面距離を確保することができ、高電圧端子11と低電圧端子41との間の絶縁を達成できる。特に、高電圧端子11と低電圧端子41との間に2つの仕切り板25が1mmより広い間隔を隔てて設けられているので、高電圧端子11と低電圧端子41との間の沿面距離が大きく増加している。従って、より確実に高電圧端子11と低電圧端子41との間を絶縁できる。
【0047】
このような構成を有するので、実施形態2の電気接続箱100は、一つの接続部20が高電圧端子11及び低電圧端子41を併せ持つことができ、電気接続箱100の構成を簡素化し、かつ電気接続箱100をコンパクト化できる。
【0048】
以上においては、高電圧端子11の一端部111と低電圧端子41の一端部411との間に、2つの仕切り板25が設けられている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、3つ以上の仕切り板25が設けられても良い。
【0049】
また、以上においては、仕切り板25の高さが、高電圧端子11の一端部111及び低電圧端子41の一端部411の高さより低い場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、一端部111及び一端部411の高さと同じ、又は、一端部111及び一端部411の高さより高くなるように構成しても良い。この場合、高電圧端子11(一端部111)及び低電圧端子41(一端部411)の間の沿面距離を更に増やすことができ、絶縁性がより高まる。
【0050】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係る電気接続箱100において、接続部20の構成を説明する部分的断面図である。
【0052】
実施形態3の電気接続箱100も、実施形態1と同様に、接続部20を備えている。接続部20では、係合部21の底22に貫通孔221,222が形成されており、貫通孔221を介して高電圧端子11の一端部111が外側に露出されており、貫通孔222を介して低電圧端子41の一端部411が外側に露出されている。
【0053】
係合部21の底22の前記一面には、高電圧端子11の一端部111と低電圧端子41の一端部411との間に、矩形板形状を有する仕切り板23が立設されている。仕切り板23は、絶縁性を有しており、筐体50と一体形成されている。仕切り板23は一端部111と一端部411との対向方向と交差する交差方向に延びて、一端部111と一端部411との間を遮る。仕切り板23の高さは一端部111及び一端部411の高さよりも少し低い。
【0054】
仕切り板23では、一端部111と面する一の主面231(対向面)と、一端部411と面する他の主面232(対向面)とに、夫々一対のフィン26が突設されている。一対のフィン26は互いに平行であり、底22の前記一面と平行に、前記交差方向に延びている。各フィン26は、前記交差方向(長手方向)の寸法が、仕切り板23の寸法と等しい。また、フィン26同士間の間隔L2は1mmより広く、例えば3mm以下である。
【0055】
底22において前記一面と反対側の面には、仕切り板23と対応する位置に仕切り壁24が突設されている。例えば、フィン26、仕切り板23及び仕切り壁24は筐体50と一体形成されている。
【0056】
実施形態3の電気接続箱100では、上述の如く、高電圧端子11と低電圧端子41とが互いに離隔して配置されており、高電圧端子11と低電圧端子41との間に、仕切り板23及び仕切り壁24が設けられ、高電圧端子11と低電圧端子41との間を遮っている。更に、仕切り板23では、主面231及び主面232に夫々一対のフィン26が設けられている。
【0057】
よって、高電圧端子11と低電圧端子41とは、十分な空間距離及び沿面距離を確保することができ、高電圧端子11と低電圧端子41との間の絶縁を達成できる。特に、仕切り板23では、主面231及び主面232に、夫々一対のフィン26が1mmより広い間隔を空けて設けられているので、高電圧端子11と低電圧端子41との間の沿面距離が大きく増加している。従って、より確実に高電圧端子11と低電圧端子41との間を絶縁できる。
【0058】
このような構成を有するので、実施形態3の電気接続箱100は、一つの接続部20が高電圧端子11及び低電圧端子41を併せ持つことができ、電気接続箱100の構成を簡素化し、かつ電気接続箱100をコンパクト化できる。
【0059】
以上においては、仕切り板23の主面231及び主面232に、夫々一対のフィン26が設けられている場合を例にして説明したが、これに限定されるものではない。フィン26は1つであっても良く、3つ以上であっても良い。
【0060】
また、以上においては、仕切り板23の主面231及び主面232の両面にフィン26が設けられている場合を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、主面231又は主面232の何れか一方にのみフィン26が設けられた構成であっても良い。
【0061】
また、以上においては、仕切り板23の主面231及び主面232に、フィン26を設けることによって沿面距離を増加させることについて説明したが、これに限定されるものではない。仕切り板23の主面231及び主面232に、凹部を形成することによって沿面距離を増加させても良い。
【0062】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
(実施形態4)
図6は、実施形態4に係る電気接続箱100において、接続部20の構成を説明する部分的断面図である。
【0064】
実施形態4の電気接続箱100も、実施形態1と同様に、接続部20を備えている。接続部20では、係合部21の底22に貫通孔221,222が形成されており、貫通孔221を介して高電圧端子11の一端部111が外側に露出されており、貫通孔222を介して低電圧端子41の一端部411が外側に露出されている。
【0065】
係合部21の底22の前記一面には、高電圧端子11の一端部111と低電圧端子41の一端部411との間に、溝部27が形成されている。溝部27は、一端部111と一端部411との対向方向と交差する方向に延びている。溝部27は幅L3が1mmよりも広く、例えば3mm以下である。
【0066】
底22において前記一面と反対側の面には、溝部27と対応する位置に仕切り壁24が突設されている。例えば、仕切り壁24は筐体50と一体形成されている。
【0067】
実施形態4の電気接続箱100では、上述の如く、高電圧端子11と低電圧端子41とが互いに離隔して配置されており、高電圧端子11と低電圧端子41との間に溝部27が形成されている。
【0068】
よって、高電圧端子11と低電圧端子41とは、空間距離及び沿面距離を確保することができ、高電圧端子11と低電圧端子41との間の絶縁を達成できる。特に、高電圧端子11と低電圧端子41との間に溝部27が形成されているので、高電圧端子11と低電圧端子41との間の沿面距離が大きく増加する。従って、より確実に高電圧端子11と低電圧端子41との間を絶縁できる。
【0069】
このような構成を有するので、実施形態4の電気接続箱100は、一つの接続部20が高電圧端子11及び低電圧端子41を併せ持つことができ、電気接続箱100の構成を簡素化し、かつ電気接続箱100をコンパクト化できる。
【0070】
以上においては、高電圧端子11の一端部111と低電圧端子41の一端部411との間に、1つの溝部27が形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、2つ以上の溝部27が形成されても良い。
【0071】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0072】
図7は実施形態1の変形例を示す部分的断面図である。
上述した実施形態1では、接続部20が1つの高電圧端子11と、1つの低電圧端子41とを有し、1つの高電圧端子11と1つの低電圧端子41との間に仕切り板23及び仕切り壁24が形成されることによって、高電圧端子11と低電圧端子41との間の沿面距離を大きく増加させることについて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。接続部20が複数の高電圧端子11と、複数の低電圧端子41とを有する構成であっても良い。
【0073】
例えば、接続部20(係合部21)の底22に、2つの貫通孔221と、2つの貫通孔222を形成し、筐体50の内側から、2つの高電圧端子11が夫々の貫通孔221を貫通して外側まで延び、2つの低電圧端子41が夫々の貫通孔222を貫通して外側まで延びるように構成しても良い。
図7に示すように、2つの高電圧端子11及び2つの低電圧端子41の間には仕切り板23及び仕切り壁24が形成されている。2つの低電圧端子41と、2つの高電圧端子11とは、仕切り板23(仕切り壁24)との対向方向、即ち、仕切り板23(仕切り壁24)の厚み方向に沿って、並設されている。仕切り板23及び仕切り壁24については既に説明しており、詳しい説明は省略する。
【0074】
以上では、仕切り板23(仕切り壁24)の厚み方向に、2つの低電圧端子41が並設され、2つの高電圧端子11が並設された場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、仕切り板23(仕切り壁24)の厚み方向と交差する方向に、2つの低電圧端子41が並設され、2つの高電圧端子11が並設されるように構成しても良い。
【0075】
また、以上では、2つの高電圧端子11及び2つの低電圧端子41の間に仕切り板23(仕切り壁24)が形成されている場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。高電圧端子11同士の間、及び、低電圧端子41同士の間にも、仕切り板23(仕切り壁24)が形成された構成であっても良い。
【0076】
図8は実施形態2の変形例を示す部分的断面図である。
上述した実施形態2では、接続部20が1つの高電圧端子11と、1つの低電圧端子41とを有し、1つの高電圧端子11と1つの低電圧端子41との間に2つの仕切り板25が立設され、1つの仕切り壁24が形成されることによって、高電圧端子11と低電圧端子41との間の沿面距離を大きく増加させることについて説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではない。接続部20が複数の高電圧端子11と、複数の低電圧端子41とを有する構成であっても良い。
【0077】
例えば、接続部20(係合部21)の底22に、2つの貫通孔221と、2つの貫通孔222を形成し、筐体50の内側から、2つの高電圧端子11が夫々の貫通孔221を貫通して外側まで延び、2つの低電圧端子41が夫々の貫通孔222を貫通して外側まで延びるように構成しても良い。
図8に示すように、2つの高電圧端子11及び2つの低電圧端子41の間には2つの仕切り板25が立設され、1つの仕切り壁24が形成されている。2つの低電圧端子41と、2つの高電圧端子11とは、仕切り板25同士の対向方向、即ち、仕切り板25(仕切り壁24)の厚み方向に沿って、並設されている。仕切り板25及び仕切り壁24については既に説明しており、詳しい説明は省略する。
【0078】
以上では、仕切り壁24の厚み方向に、2つの低電圧端子41が並設され、2つの高電圧端子11が並設された場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、仕切り壁24の厚み方向と交差する方向に、2つの低電圧端子41が並設され、2つの高電圧端子11が並設されるように構成しても良い。
【0079】
また、以上では、2つの高電圧端子11及び2つの低電圧端子41の間に2つの仕切り板25が立設され、1つの仕切り壁24が形成されている場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。高電圧端子11同士の間、及び、低電圧端子41同士の間にも、2つの仕切り板25が立設され、1つの仕切り壁24が形成された構成であっても良い。
【0080】
図9は実施形態3の変形例を示す部分的断面図である。
上述した実施形態3では、接続部20が1つの高電圧端子11と、1つの低電圧端子41とを有し、1つの高電圧端子11と1つの低電圧端子41との間に仕切り板23及び仕切り壁24が設けられることによって、高電圧端子11と低電圧端子41との間の沿面距離を大きく増加させることについて説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではない。接続部20が複数の高電圧端子11と、複数の低電圧端子41とを有する構成であっても良い。
【0081】
例えば、接続部20(係合部21)の底22に、2つの貫通孔221と、2つの貫通孔222を形成し、筐体50の内側から、2つの高電圧端子11が夫々の貫通孔221を貫通して外側まで延び、2つの低電圧端子41が夫々の貫通孔222を貫通して外側まで延びるように構成しても良い。
図9に示すように、2つの高電圧端子11及び2つの低電圧端子41の間には仕切り板23及び仕切り壁24が形成されている。2つの低電圧端子41と、2つの高電圧端子11とは、仕切り板23(仕切り壁24)との対向方向、即ち、仕切り板23(仕切り壁24)の厚み方向に沿って、並設されている。
【0082】
仕切り板23は、絶縁性を有し、筐体50と一体形成されている。仕切り板23は、上述の如く、矩形板形状をなしており、2つの高電圧端子11の一端部111と、2つの低電圧端子41の一端部411との間を遮る。仕切り板23及び仕切り壁24については既に説明しており、詳しい説明は省略する。
【0083】
仕切り板23の先端部には、一端部111と面する一の主面231(対向面)と、一端部411と面する他の主面232(対向面)とに、夫々フィン26Aが突設されている。各フィン26Aは、底22の前記一面と平行に、前記交差方向に延びている。各フィン26Aは、前記交差方向(長手方向)の寸法が、仕切り板23の寸法と等しい。
【0084】
以上では、仕切り板23(仕切り壁24)の厚み方向に、2つの低電圧端子41が並設され、2つの高電圧端子11が並設された場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、仕切り板23(仕切り壁24)の厚み方向と交差する方向に、2つの低電圧端子41が並設され、2つの高電圧端子11が並設されるように構成しても良い。
【0085】
また、以上では、2つの高電圧端子11及び2つの低電圧端子41の間に仕切り板23(仕切り壁24)が形成されている場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。高電圧端子11同士の間、及び、低電圧端子41同士の間にも、仕切り板23(仕切り壁24)が形成された構成であっても良い。
【0086】
図10は実施形態4の変形例を示す部分的断面図である。
上述した実施形態4では、接続部20が1つの高電圧端子11と、1つの低電圧端子41とを有し、1つの高電圧端子11と1つの低電圧端子41との間に溝部27及び仕切り壁24が形成されることによって、高電圧端子11と低電圧端子41との間の沿面距離を大きく増加させることについて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。接続部20が複数の高電圧端子11と、複数の低電圧端子41とを有する構成であっても良い。
【0087】
例えば、接続部20(係合部21)の底22に、2つの貫通孔221と、2つの貫通孔222を形成し、筐体50の内側から、2つの高電圧端子11が夫々の貫通孔221を貫通して外側まで延び、2つの低電圧端子41が夫々の貫通孔222を貫通して外側まで延びるように構成しても良い。
図10に示すように、2つの高電圧端子11及び2つの低電圧端子41の間には溝部27及び仕切り壁24が形成されている。2つの低電圧端子41及び2つの高電圧端子11は、溝部27の幅方向、又は、仕切り壁24の厚み方向に沿って、並設されている。溝部27及び仕切り壁24については既に説明しており、詳しい説明は省略する。
【0088】
以上では、溝部27の幅方向、又は、仕切り壁24の厚み方向に、2つの低電圧端子41が並設され、2つの高電圧端子11が並設された場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、溝部27の幅方向又は仕切り壁24の厚み方向と交差する方向に、2つの低電圧端子41が並設され、2つの高電圧端子11が並設されるように構成しても良い。
【0089】
また、以上では、2つの高電圧端子11及び2つの低電圧端子41の間に溝部27(仕切り壁24)が形成されている場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。高電圧端子11同士の間、及び、低電圧端子41同士の間にも、溝部27(仕切り壁24)が形成された構成であっても良い。
【0090】
実施形態1-4で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
10 高電圧回路
11 高電圧端子
12 基板
20 接続部
21 係合部
22 底
23 仕切り板
24 仕切り壁
25 仕切り板
26 フィン
27 溝部
30 天板
40 低電圧回路
41 低電圧端子
42 基板
50 筐体
100 電気接続箱
111 一端部
221,222 貫通孔
231,232 主面
411 一端部