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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】伝送線路及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01P 3/08 20060101AFI20240806BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01P3/08 102
H01P3/08 200
H01P3/08 201
H05K1/02 P
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022565207
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2021041331
(87)【国際公開番号】W WO2022113739
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2020198384
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021064252
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池本 伸郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 哲聡
(72)【発明者】
【氏名】西尾 恒亮
(72)【発明者】
【氏名】荒木 啓介
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/130731(WO,A1)
【文献】特開昭63-200545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 3/08
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方向又は下方向の一方が第1方向であり、上方向又は下方向の他方が第2方向であり
複数の絶縁体層が上下方向に積層された構造を有している積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に直交する前後方向に延びている信号導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に見て、前記信号導体層と重な、前記信号導体層の前記第1方向に設けられている第1グランド導体層と、
を備えており、
第1中空部が前記積層体に設けられており
前記第1中空部は、前記信号導体層より前記第1方向に位置し、かつ、前記第1グランド導体層の前記第2方向に位置しており、
前記第1中空部は、上下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっており、
前記第1中空部に面する第1スペーサが前記積層体に設けられており、
前後方向に直交する断面において、前記第1中空部における前記第1スペーサと上下方向に重なる領域が第1重複領域であり、
前後方向に直交する断面において、前記第1中空部における前記第1スペーサと上下方向に重ならない領域が第1非重複領域であり、
前記第1重複領域における前記第1中空部の上下方向の長さは、前記第1非重複領域における前記第1中空部の上下方向の長さより短い、
伝送線路。
【請求項2】
前記第1中空部は、前記絶縁体層が存在しない空洞である、
請求項1に記載の伝送線路。
【請求項3】
前記第1スペーサは、前記第1中空部の前記第1方向に位置する面から前記第2方向に突出しており、
前記第1スペーサの前記第2方向に位置する端から前記第1中空部の前記第2方向に位置する面までの上下方向の長さは、前記第1非重複領域における前記第1中空部の上下方向の長さより短い、
請求項1又は請求項2に記載の伝送線路。
【請求項4】
前記第1スペーサは、前記第1中空部の前記第2方向に位置する面から前記第1方向に突出しており、
前記第1スペーサの前記第1方向に位置する端から前記第1中空部の前記第1方向に位置する面までの上下方向の長さは、前記第1非重複領域における前記第1中空部の上下方向の長さより短い、
請求項1又は請求項2に記載の伝送線路。
【請求項5】
前後方向に直交する断面において、前記第1スペーサの左及び前記第1スペーサの右には、前記第1中空部が存在している、
請求項又は請求項に記載の伝送線路。
【請求項6】
前後方向に直交する断面において、前記第1スペーサの右又は左のいずれか一方には、前記第1中空部が存在する、
請求項又は請求項に記載の伝送線路。
【請求項7】
前記第1スペーサは、前記第1中空部の左面に位置しており、又は、前記第1中空部の右面に位置している、
前後方向に直交する断面において、前記第1スペーサの上及び前記第1スペーサの下には、前記第1中空部が存在している、
請求項1又は請求項2に記載の伝送線路。
【請求項8】
前記第1スペーサの上面から前記第1中空部の上面までの上下方向の長さと前記第1スペーサの下面から前記第1中空部の下面までの上下方向の長さとの合計は、前記第1非重複領域における前記第1中空部の上下方向の長さより短い、
請求項に記載の伝送線路。
【請求項9】
前後方向に直交する断面において、前記第1スペーサの上下方向の長さは、前記第1中空部の上下方向の長さの最大値より短い、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項10】
前後方向に直交する断面の前後方向の位置に関わらず、前記第1スペーサの断面形状は、不変である、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項11】
前後方向に直交する断面における前記第1スペーサの形状は、前後方向において周期的に変化している、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項12】
前記第1スペーサは、上下方向に見て、メッシュ形状を有している、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項13】
前記第1スペーサは、上下方向に延びており、
上下方向に直交する方向において前記第1スペーサの周囲には、前記第1中空部が存在している、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項14】
前記伝送線路は、前後方向に直交する断面における前記第1スペーサの左右方向の幅が、前方向に行くにしたがって大きくなる区間、又は、前後方向に直交する断面における前記第1スペーサの左右方向の幅が、前方向に行くにしたがって小さくなる区間を有している、
請求項1又は請求項2に記載の伝送線路。
【請求項15】
前記伝送線路は、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に見て、前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の前記第2方向に設けられている第2グランド導体層と、
を更に備えており、
第2中空部が前記積層体に設けられており、
前記第2中空部は、前記絶縁体層が存在しない空洞であり、
前記第2中空部は、前記信号導体層より前記第2方向に位置し、かつ、前記第2グランド導体層の前記第1方向に位置しており、
前記第2中空部は、上下方向に見て、前記第2グランド導体層と重なっており、
前記第2中空部に面する第2スペーサが前記積層体に設けられており、
前後方向に直交する断面において、前記第2中空部と上下方向に重なる領域が第2重複領域であり、前記第2中空部と上下方向に重ならない領域が第2非重複領域であり、
前記第2重複領域における前記第2中空部の上下方向の長さは、前記第2非重複領域における前記第2中空部の上下方向の長さより短い、
請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項16】
上方向又は下方向の一方が第1方向であり、上方向又は下方向の他方が第2方向であり、
伝送線路は、
複数の絶縁体層が上下方向に積層された構造を有している積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に直交する前後方向に延びている信号導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に見て、前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の前記第1方向に設けられている第1グランド導体層と、
を備えており、
前記伝送線路は、第1区間及び第2区間を含んでおり、
前記第1区間は、前記第2区間における上下方向に前記第2区間に対して折り曲げられており、
前記第1区間の曲率半径は、前記第2区間の曲率半径より小さく、
第1中空部が前記積層体に設けられており、
前記第1中空部は、前記信号導体層の前記第1方向に位置し、かつ、前記第1グランド導体層より前記第2方向に位置しており、
前記第1中空部は、前記絶縁体層が存在しない空洞であり、
前記第1中空部は、上下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっており、
前記第1区間において、前記第1中空部に面する第1スペーサが前記積層体に設けられており、
前記第1区間において、前記第1スペーサの上下方向の長さは、前記第1中空部の上下方向の最大値以下である、
伝送線路。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれかに記載の伝送線路を、
備えている、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号が伝送される伝送線路及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の伝送線路に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の信号伝送線路が知られている。この信号伝送線路は、積層体、信号導体及び補強用導体を備えている。積層体は、複数の樹脂層が上下方向に積層された構造を有している。積層体には、中空部が設けられている。信号導体は、上下方向に見て、中空部と重なっている。補強用導体は、中空部内において、上下方向に延びている。補強用導体の上端は、中空部の上面に接している。補強用導体の下端は、中空部の下面に接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6330977号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の信号伝送線路をより容易に折り曲げたいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、容易に折り曲げることができる伝送線路及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る伝送線路は、
上方向又は下方向の一方が第1方向であり、上方向又は下方向の他方が第2方向であり、
伝送線路は、
複数の絶縁体層が上下方向に積層された構造を有している積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に直交する前後方向に延びている信号導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に見て、前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の前記第1方向に設けられている第1グランド導体層と、
を備えており、
第1中空部が前記積層体に設けられており、
前記第1中空部は、前記絶縁体層が存在しない空洞であり、
前記第1中空部は、前記信号導体層より前記第1方向に位置し、かつ、前記第1グランド導体層の前記第2方向に位置しており、
前記第1中空部は、上下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっており、
前記第1中空部に面する第1スペーサが前記積層体に設けられており、
前後方向に直交する断面において、前記第1中空部における前記第1スペーサと上下方向に重なる領域が第1重複領域であり、
前後方向に直交する断面において、前記第1中空部における前記第1スペーサと上下方向に重ならない領域が第1非重複領域であり、
前記第1重複領域における前記第1中空部の上下方向の長さは、前記第1非重複領域における前記第1中空部の上下方向の長さより短い。
【0007】
本発明の一形態に係る伝送線路は、
上方向又は下方向の一方が第1方向であり、上方向又は下方向の他方が第2方向であり、
伝送線路は、
複数の絶縁体層が上下方向に積層された構造を有している積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に直交する前後方向に延びている信号導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、上下方向に見て、前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の前記第1方向に設けられている第1グランド導体層と、
を備えており、
前記伝送線路は、第1区間及び第2区間を含んでおり、
前記第1区間は、前記第2区間における上下方向に前記第2区間に対して折り曲げられており、
前記第1区間の曲率半径は、前記第2区間の曲率半径より小さく、
第1中空部が前記積層体に設けられており、
前記第1中空部は、前記信号導体層の前記第1方向に位置し、かつ、前記第1グランド導体層より前記第2方向に位置しており、
前記第1中空部は、前記絶縁体層が存在しない空洞であり、
前記第1中空部は、上下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっており、
前記第1区間において、前記第1中空部に面する第1スペーサが前記積層体に設けられており、
前記第1区間において、前記第1スペーサの上下方向の長さは、前記第1中空部の上下方向の最大値以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る伝送線路及び電子機器によれば、伝送線路を容易に折り曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、伝送線路10の分解斜視図である。
図2図2は、図1のA-Aにおける断面図である。
図3図3は、大きな曲率半径で伝送線路10が折り曲げられたときの伝送線路10の断面図である。
図4図4は、図3の伝送線路10の断面図である。
図5図5は、小さな曲率半径で伝送線路10が折り曲げられたときの伝送線路10の断面図である。
図6図6は、図5の伝送線路10の断面図である。
図7図7は、伝送線路10を備える電子機器1の内部構造の左面図である。
図8図8は、伝送線路10aの分解斜視図である。
図9図9は、図8のB-Bにおける断面図である。
図10図10は、伝送線路10bの分解斜視図である。
図11図11は、図10のC-Cにおける断面図である。
図12図12は、伝送線路10cの断面図である。
図13図13は、伝送線路10dの断面図である。
図14図14は、伝送線路10eの断面図である。
図15図15は、伝送線路10fの絶縁体層16a,16fの上面図である。
図16図16は、伝送線路10gの絶縁体層16a,16fの上面図である。
図17図17は、伝送線路10hの絶縁体層16a,16fの上面図である。
図18図18は、伝送線路10iの絶縁体層16a,16fの上面図である。
図19図19は、伝送線路10jの絶縁体層16a,16fの上面図である。
図20図20は、伝送線路10kの絶縁体層16a,16fの上面図である。
図21図21は、伝送線路10lの分解斜視図である。
図22図22は、図21のD-Dにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
[伝送線路の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る伝送線路10の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、伝送線路10の分解斜視図である。なお、図1では、複数の層間接続導体v1及び複数の層間接続導体v2の内の代表的な層間接続導体v1,v2にのみ参照符号を付した。図2は、図1のA-Aにおける断面図である。
【0011】
本明細書において、方向を以下のように定義する。伝送線路10の積層体12の積層方向を上下方向と定義する。また、伝送線路10の信号導体層22が延びている方向を前後方向と定義する。また、信号導体層22の線幅方向を左右方向と定義する。上下方向は、前後方向に直交する。左右方向は、上下方向及び前後方向に直交する。なお、上方向は、第1方向の一例である。下方向は、第2方向の一例である。この場合、第1方向に位置する端は、上端である。第2方向に位置する端は、下面である。第1方向に位置する面は、上面である。第2方向に位置する面は、下面である。第1方向に位置する主面は、上主面である。第2方向に位置する主面は、下主面である。なお、上方向は、第2方向であってもよい。下方向は、第1方向であってもよい。
【0012】
以下では、Xは、伝送線路10の部品又は部材である。本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。Xの前端とは、Xの前方向の端を意味する。Xの後端とは、Xの後方向の端を意味する。Xの左端とは、Xの左方向の端を意味する。Xの右端とは、Xの右方向の端を意味する。Xの上端とは、Xの上方向の端を意味する。Xの下端とは、Xの下方向の端を意味する。Xの前端部とは、Xの前端及びその近傍を意味する。Xの後端部とは、Xの後端及びその近傍を意味する。Xの左端部とは、Xの左端及びその近傍を意味する。Xの右端部とは、Xの右端及びその近傍を意味する。Xの上端部とは、Xの上端及びその近傍を意味する。Xの下端部とは、Xの下端及びその近傍を意味する。
【0013】
まず、図1を参照しながら、伝送線路10の構造について説明する。伝送線路10は、高周波信号を伝送する。伝送線路10は、スマートフォン等の電子機器において、2つの回路を電気的に接続するために用いられる。伝送線路10は、図1に示すように、積層体12、信号導体層22、第1グランド導体層24、第2グランド導体層26、信号端子28a,28b、複数の層間接続導体v1、複数の層間接続導体v2及び層間接続導体v3,v4を備えている。
【0014】
積層体12は、板形状を有している。従って、積層体12は、上主面及び下主面を有している。積層体12の上主面及び下主面は、前後方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。従って、積層体12の前後方向の長さは、積層体12の左右方向の長さより長い。
【0015】
積層体12は、図1に示すように、絶縁体層16a~16f,18a,18bを含んでいる。積層体12は、絶縁体層16a~16f,18a,18bが上下方向に積層された構造を有している。絶縁体層18a,16a~16f,18bは、上から下へとこの順に並んでいる。絶縁体層16a~16f,18a,18bは、上下方向に見て、積層体12と同じ長方形状を有している。絶縁体層16a~16fは、可撓性を有する誘電体シートである。絶縁体層16a~16fの材料は、例えば、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等の熱可塑性樹脂である。絶縁体層16a~16fの材料は、ポリイミドであってもよい。
【0016】
信号導体層22は、図1に示すように、積層体12に設けられている。本実施形態では、信号導体層22は、絶縁体層16dの上主面に設けられている。これにより、信号導体層22は、積層体12内に設けられている。信号導体層22は、線形状を有している。信号導体層22は、上下方向に直交する前後方向に延びている。信号導体層22は、絶縁体層16dの上主面の左右方向の中央に位置している。
【0017】
第1グランド導体層24は、図1に示すように、積層体12に設けられている。第1グランド導体層24は、上下方向に見て、信号導体層22と重なるように、信号導体層22の上に設けられている。第1グランド導体層24は、絶縁体層16aの上主面に設けられている。また、第1グランド導体層24は、絶縁体層16aの上主面の略全面を覆っている。
【0018】
第2グランド導体層26は、図1に示すように、積層体12に設けられている。第2グランド導体層26は、上下方向に見て、信号導体層22と重なるように、信号導体層22の下に設けられている。第2グランド導体層26は、絶縁体層16fの下主面に設けられている。また、第2グランド導体層26は、絶縁体層16fの下主面の略全面を覆っている。以上のような信号導体層22、第1グランド導体層24及び第2グランド導体層26は、ストリップライン構造を有している。
【0019】
複数の層間接続導体v1,v2は、第1グランド導体層24と第2グランド導体層26とを電気的に接続している。より詳細には、複数の層間接続導体v1,v2は、絶縁体層16a~16eを上下方向に貫通している。複数の層間接続導体v1,v2の上端は、第1グランド導体層24に接続されている。複数の層間接続導体v1,v2の下端は、第2グランド導体層26に接続されている。複数の層間接続導体v1は、信号導体層22の左に設けられている。複数の層間接続導体v1は、前後方向において等間隔に一列に並んでいる。複数の層間接続導体v2は、信号導体層22の右に設けられている。複数の層間接続導体v2は、前後方向において等間隔に一列に並んでいる。
【0020】
信号端子28aは、積層体12の上主面に設けられている。より詳細には、信号端子28aは、絶縁体層16aの上主面の前端部に設けられている。信号端子28aは、上下方向に見て、信号導体層22の前端部と重なっている。信号端子28aは、上下方向に見て、長方形状を有している。また、信号端子28aが第1グランド導体層24と絶縁されるように、第1グランド導体層24が信号端子28aと接していない。
【0021】
層間接続導体v3は、信号端子28aと信号導体層22とを電気的に接続している。具体的には、層間接続導体v3は、絶縁体層16a~16cを上下方向に貫通している。層間接続導体v3の上端は、信号端子28aに接続されている。層間接続導体v3の下端は、信号導体層22の前端部に接続されている。これにより、信号端子28aは、信号導体層22と電気的に接続されている。高周波信号は、信号端子28aを介して、信号導体層22に入出力する。
【0022】
なお、信号端子28b及び層間接続導体v4は、信号端子28a及び層間接続導体v3と前後対称な構造を有する。従って、信号端子28b及び層間接続導体v4の説明を省略する。
【0023】
以上のような信号導体層22、第1グランド導体層24、第2グランド導体層26及び信号端子28a,28bは、例えば、絶縁体層16a~16fの上主面又は下主面に設けられた金属箔にエッチングが施されることにより形成されている。金属箔は、例えば、銅箔である。また、層間接続導体v1~v4は、例えば、ビアホール導体である。ビアホール導体は、絶縁体層16a~16fに貫通孔を形成し、貫通孔に導電性ペーストを充填し、導電性ペーストを焼結させることにより作製される。層間接続導体v1~v4は、例えば、スルーホール導体であってもよい。スルーホール導体は、絶縁体層16a~16fの一部又は全部を貫通する貫通孔を形成し、貫通孔にメッキを施すことにより作製される。
【0024】
絶縁体層18a,18bは、保護層である。ただし、絶縁体層18a,18bの材料は、絶縁体層16a~16fの材料と異なる。絶縁体層18a,18bは、レジスト層である。従って、絶縁体層18a,18bは、樹脂シートが絶縁体層16aの上主面及び絶縁体層16fの下主面に貼り付けられることにより形成されてもよいし、液体状の樹脂が絶縁体層16aの上主面及び絶縁体層16fの下主面に塗布され、固化されることにより形成されてもよい。絶縁体層18aは、図1に示すように、第1グランド導体層24を覆っている。ただし、絶縁体層18aには、開口ha~hfが設けられている。開口ha~hcは、絶縁体層18aの前端部に設けられている。開口hb,ha,hcは、左から右へとこの順に並んでいる。開口hd~hfは、絶縁体層18aの後端部に設けられている。開口he,hd,hfは、左から右へとこの順に並んでいる。そして、信号端子28a,28bの少なくとも一部分のそれぞれは、開口ha,hdを介して伝送線路10から外部に露出している。第1グランド導体層24の一部分は、開口hb,hc,he,hfを介して伝送線路10から外部に露出している。
【0025】
次に、図1ないし図3を参照しながら第1中空部Ha及び第2中空部Hbについて説明する。第1中空部Haが積層体12に設けられている。第1中空部Haは、絶縁体層16a~16fが存在しない空洞である。第1中空部Haは、信号導体層22より上に位置し、かつ、第1グランド導体層24の下に位置している。本明細書において、「第1中空部Haが信号導体層22より上に位置する」とは、第1中空部Haが信号導体層22の真上に位置する場合、及び、第1中空部Haが信号導体層22の斜め上に位置する場合の両方を含む。第1中空部Haが信号導体層22の斜め上に位置する場合には、第1中空部Haは、上下方向に見て、信号導体層22と重なっていてもよいし、信号導体層22と重なっていなくてもよい。本実施形態では、第1中空部Haは、上下方向に見て、信号導体層22と重なっている。また、本明細書において、「第1中空部Haが第1グランド導体層24の下に位置している」とは、第1中空部Haが第1グランド導体層24の真下に位置する場合である。従って、第1中空部Haは、上下方向に見て、第1グランド導体層24と重なっている。なお、第1中空部Haと信号導体層22との位置関係、及び、第1中空部Haと第1グランド導体層24との位置関係を例に挙げて2つの部材の位置関係について説明を行ったが、例示した部材以外の位置関係についても上記定義を適用することが可能である。また、上下方向以外の方向に対しても、上記定義を適用することが可能である。
【0026】
第1中空部Haは、貫通孔H1~H3を含んでいる。貫通孔H1は、絶縁体層16bを上下方向に貫通している。貫通孔H1は、上下方向に見て、長方形状を有している。貫通孔H1の長辺は、前後方向に延びている。貫通孔H1は、上下方向に見て、絶縁体層16bの左右方向の中央に位置している。これにより、貫通孔H1は、上下方向に見て、信号導体層22と重なっている。ただし、貫通孔H1は、信号導体層22の前端部及び信号導体層22の後端部とは重なっていない。
【0027】
貫通孔H2は、絶縁体層16aを上下方向に貫通している。貫通孔H2は、上下方向に見て、長方形状を有している。貫通孔H2の長辺は、前後方向に延びている。貫通孔H2は、上下方向に見て、絶縁体層16aの左部に位置している。貫通孔H2は、上下方向に見て、貫通孔H1と重なっている。従って、貫通孔H2は、貫通孔H1と繋がっている。貫通孔H2は、上下方向に見て、信号導体層22と重なっていない。
【0028】
貫通孔H3は、絶縁体層16aを上下方向に貫通している。貫通孔H3は、上下方向に見て、長方形状を有している。貫通孔H3の長辺は、前後方向に延びている。貫通孔H3は、上下方向に見て、絶縁体層16aの右部に位置している。貫通孔H3は、上下方向に見て、貫通孔H1と重なっている。従って、貫通孔H3は、貫通孔H1と繋がっている。貫通孔H3は、上下方向に見て、信号導体層22と重なっていない。
【0029】
第1中空部Haが以上の構造を有することにより、第1中空部Haに面する第1スペーサPaが積層体12に設けられている。第1スペーサPaの表面は、第1中空部Haの内周面の一部である。第1中空部Ha内周面とは、第1中空部Haを形成している積層体12の内側壁面である。第1スペーサPaは、第1中空部Haの上面SUaから下方向に突出している。第1スペーサPaは、下方向を向く下面を有している。上面SUaは、伝送線路10の前後方向に直交する断面における第1中空部Haの上端に位置する面である。例えば、図2では、上面SUaは、貫通孔H2の上面及び貫通孔H3の上面である。第1スペーサPaは、積層体12において貫通孔H1の上に位置し、かつ、積層体12において上面SUaより下に位置する部分である。前後方向に直交する断面において、第1スペーサPaの左及び第1スペーサPaの右には、第1中空部Haが存在している。より詳細には、貫通孔H2は、第1スペーサPaの左に位置している。貫通孔H3は、第1スペーサPaの右に位置している。また、前後方向に直交する断面の前後方向の位置に関わらず、第1スペーサPaの断面形状は、不変である。
【0030】
ここで、前後方向に直交する断面において、第1中空部Haにおける第1スペーサPaと上下方向に重なる領域が第1重複領域A11である。前後方向に直交する断面において、第1中空部Haにおける第1スペーサPaと上下方向に重ならない領域が第1非重複領域A12である。第1重複領域A11における第1中空部Haの上下方向の長さh1は、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さh2より短い。第1重複領域A11における第1中空部Haの上下方向の長さh1とは、第1重複領域A11における第1中空部Haの上端と下端との上下方向の長さである。第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さh2とは、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上端と下端との上下方向の長さである。換言すれば、第1スペーサPaの下端から第1中空部Haの下面SDaまでの上下方向の長さd1は、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さh2より短い。前後方向に直交する断面において、第1スペーサPaの上下方向の長さは、第1中空部Haの上下方向の最大値hamaxより短い。最大値hamaxは、第1中空部Haの上端から下端までの上下方向の長さである。
【0031】
第2中空部Hbは、第1中空部Haと上下対称な構造を有している。第2中空部Hbが積層体12に設けられている。第2中空部Hbは、絶縁体層16a~16fが存在しない空洞である。第2中空部Hbは、信号導体層22より下に位置し、かつ、第2グランド導体層26の上に位置している。従って、第2中空部Hbは、上下方向に見て、第2グランド導体層26と重なっている。
【0032】
第2中空部Hbは、貫通孔H4~H6を含んでいる。貫通孔H4は、絶縁体層16eを上下方向に貫通している。貫通孔H4は、上下方向に見て、長方形状を有している。貫通孔H4の長辺は、前後方向に延びている。貫通孔H4は、上下方向に見て、絶縁体層16eの左右方向の中央に位置している。これにより、貫通孔H4は、上下方向に見て、信号導体層22と重なっている。ただし、貫通孔H4は、信号導体層22の前端部及び信号導体層22の後端部とは重なっていない。
【0033】
貫通孔H5は、絶縁体層16fを上下方向に貫通している。貫通孔H5は、上下方向に見て、長方形状を有している。貫通孔H5の長辺は、前後方向に延びている。貫通孔H5は、上下方向に見て、絶縁体層16fの左部に位置している。貫通孔H5は、貫通孔H4と重なっている。従って、貫通孔H5は、貫通孔H4と繋がっている。貫通孔H5は、上下方向に見て、信号導体層22と重なっていない。
【0034】
貫通孔H6は、絶縁体層16fを上下方向に貫通している。貫通孔H6は、上下方向に見て、長方形状を有している。貫通孔H6の長辺は、前後方向に延びている。貫通孔H6は、上下方向に見て、絶縁体層16fの右部に位置している。貫通孔H6は、貫通孔H4と重なっている。従って、貫通孔H6は、貫通孔H4と繋がっている。貫通孔H6は、上下方向に見て、信号導体層22と重なっていない。
【0035】
第2中空部Hbが以上の構造を有することにより、第2中空部Hbに面する第2スペーサPbが積層体12に設けられている。第2スペーサPbの表面は、第2中空部Hbの内周面の一部である。第2スペーサPbは、第2中空部Hbの下面SDbから上方向に突出している。第2スペーサPbは、上方向を向く上面を有している。下面SDbは、伝送線路10の前後方向に直交する断面における第2中空部Hbの下端に位置する面である。例えば、図2では、下面SDbは、貫通孔H5の下面及び貫通孔H6の下面である。第2スペーサPbは、積層体12において貫通孔H4の下に位置し、かつ、積層体12において下面SDbより上に位置する部分である。前後方向に直交する断面において、第2スペーサPbの左及び第2スペーサPbの右には、第2中空部Hbが存在している。より詳細には、貫通孔H5は、第2スペーサPbの左に位置している。貫通孔H6は、第2スペーサPbの右に位置している。また、前後方向に直交する断面の前後方向の位置に関わらず、第2スペーサPbの断面形状は、不変である。
【0036】
ここで、前後方向に直交する断面において、第2中空部Hbにおける第2スペーサPbと上下方向に重なる領域が第2重複領域A21である。前後方向に直交する断面において、第2中空部Hbにおける第2スペーサPbと上下方向に重ならない領域が第2非重複領域A22である。第2重複領域A21における第2中空部Hbの上下方向の長さh3は、第2非重複領域A22における第2中空部Hbの上下方向の長さh4より短い。第2重複領域A21における第2中空部Hbの上下方向の長さh3とは、第2重複領域A21における第2中空部Hbの上端と下端との上下方向の長さである。第2非重複領域A22における第2中空部Hbの上下方向の長さh3とは、第2非重複領域A22における第2中空部Hbの上端と下端との上下方向の長さである。換言すれば、第2スペーサPbの上端から第2中空部Hbの上面SUbまでの上下方向の長さd2は、第2非重複領域A22における第2中空部Hbの上下方向の長さh4より短い。前後方向に直交する断面において、第2スペーサPbの上下方向の長さは、第2中空部Hbの上下方向の最大値hbmaxより短い。最大値hbmaxは、第2中空部Hbの上端から下端までの上下方向の長さである。
【0037】
次に、伝送線路10の折り曲げについて図面を参照しながら説明する。図3は、大きな曲率半径で伝送線路10が折り曲げられたときの伝送線路10の断面図である。図4は、図3の伝送線路10の断面図である。図5は、小さな曲率半径で伝送線路10が折り曲げられたときの伝送線路10の断面図である。図6は、図5の伝送線路10の断面図である。図3及び図5は、左右方向に直交する断面図である。図4及び図6は、前後方向に直交する断面である。
【0038】
伝送線路10は、図3及び図5に示すように、折り曲げられる。「伝送線路10が折り曲げられる」とは、伝送線路10に外力が加えられることにより伝送線路10が変形して曲がっていることを意味する。変形は、弾性変形でもよいし、塑性変形でもよいし、弾性変形及び塑性変形でもよい。
【0039】
図3及び図4に示すように、伝送線路10が大きな曲率半径で折り曲げられた場合、第1スペーサPaの下端は、第1中空部Haの下面SDaには接していない。第2スペーサPbの上端は、第2中空部Hbの上面SUbには接していない。
【0040】
図5及び図6に示すように、伝送線路10が小さな曲率半径で折り曲げられた場合、第1スペーサPaの下端は、第1中空部Haの下面SDaに接している。これにより、第1スペーサPaは、第1中空部Haが大きく変形することを抑制する。第2スペーサPbの上端は、第2中空部Hbの上面SUbに接している。これにより、第2スペーサPbは、第2中空部Hbが変形しすぎることを抑制するスペーサとして機能する。
【0041】
[電子機器の構造]
次に、伝送線路10を備える電子機器1の構造について図面を参照しながら説明する。図7は、伝送線路10を備える電子機器1の内部構造の左面図である。電子機器1は、例えば、携帯無線通信端末である。電子機器1は、例えば、スマートフォンである。
【0042】
伝送線路10は、第1区間A2及び第2区間A1,A3を含んでいる。第1区間A2は、伝送線路10が折り曲げられる区間である。第2区間A1,A3は、伝送線路10が折り曲げられない区間である。すなわち、第1区間の曲率半径は、第2区間の曲率半径より小さい。従って、第2区間A1,A3においても伝送線路10が折り曲げられてもよい。そして、電子機器1におけるx軸、y軸及びz軸を以下の様に定義する。x軸は、第2区間A1での前後方向である。y軸は、第2区間A1での左右方向である。z軸は、第2区間A1での上下方向である。第2区間A1、第1区間A2及び第2区間A3は、x軸の正方向に向かってこの順に並んでいる。
【0043】
図7に示すように、第1区間A2は、z軸方向(第2区間A1における上下方向)に第2区間A1に対して折り曲げられている。従って、上下方向及び前後方向は、図7に示すように、伝送線路10の位置によって異なる。積層体12が折り曲げられていない第2区間A1(例えば、(1)の位置)では、上下方向及び前後方向のそれぞれは、z軸方向及びx軸方向と一致する。一方、積層体12が折り曲げられている第1区間A2(例えば、(2)の位置)では、上下方向及び前後方向のそれぞれは、z軸方向及びx軸方向と一致しない。
【0044】
電子機器1は、図7に示すように、伝送線路10、コネクタ32a,32b,102a,102b、回路基板100,110を備えている。
【0045】
回路基板100,110は、板形状を有している。回路基板100は、主面S5,S6を有している。主面S5は、主面S6よりz軸の負方向側に位置する。回路基板110は、主面S11,S12を有している。主面S11は、主面S12よりz軸の負方向側に位置する。回路基板100,110は、図示しない配線導体層やグランド導体層、電極等を含んでいる。
【0046】
コネクタ32a,32bのそれぞれは、第2区間A1及び第2区間A3のz軸の正方向側の主面(上主面)に実装されている。より詳細には、コネクタ32aは、信号端子28a及び第1グランド導体層24に実装される。コネクタ32bは、信号端子28b及び第1グランド導体層24に実装される。
【0047】
コネクタ102a,102bのそれぞれは、回路基板100の主面S5及び回路基板110の主面S11に実装されている。コネクタ102a,102bのそれぞれは、コネクタ32a,32bに接続されている。これにより、伝送線路10は、回路基板100と回路基板110とを電気的に接続している。
【0048】
以上のような電子機器1では、図4又は図6に示すように、第1区間A2において、第1スペーサPaの上下方向の長さは、第1中空部Haの上下方向の最大値hamax以下である。最大値hamaxは、第1中空部Haの上端から下端までの上下方向の長さである。同様に、第1区間A2において、第2スペーサPbの上下方向の長さは、第2中空部Hbの上下方向の最大値hbmax以下である。最大値hbmaxは、第2中空部Hbの上端から下端までの上下方向の長さである。
【0049】
[効果]
伝送線路10によれば、伝送線路10を容易に折り曲げることができる。より詳細には、伝送線路10が折り曲げられると、第1中空部Haが変形する。そのため、伝送線路10を容易に折り曲げることができるためには、第1中空部Haが変形しやすければよい。そこで、伝送線路10では、第1重複領域A11における第1中空部Haの上下方向の長さh1は、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さh2より短い。この場合、第1スペーサPaの下端は、第1中空部Haの下面SDaに接していない。そのため、伝送線路10が大きな曲率半径で折り曲げられたときに、第1スペーサPaの下端が第1中空部Haの下面SDaに接しにくい。従って、第1スペーサPaが第1中空部Haの変形を阻害しにくくなる。なお、第2スペーサPbも、第1スペーサPaと同じ理由により、第2中空部Hbの変形を阻害しにくい。すなわち、伝送線路10が折り曲げられることが阻害されにくい。以上より、伝送線路10によれば、伝送線路10を容易に折り曲げることができる。
【0050】
伝送線路10によれば、信号導体層22に発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンス(例えば、50Ω)から変化することが抑制される。より詳細には、伝送線路10が折り曲げられた際に、第1中空部Haが大きく変形すると、信号導体層22の周囲の誘電率が大きく変化する。その結果、信号導体層22に発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから大きく変化する可能性がある。
【0051】
そこで、伝送線路10では、第1重複領域A11における第1中空部Haの上下方向の長さh1は、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さh2より短い。そのため、伝送線路10が小さな曲率半径で折り曲げられたときに、第1スペーサPaの下端が第1中空部Haの下面SDaに接する。これにより、第1スペーサPaは、第1中空部Haが変形することを妨げるスペーサとして機能する。その結果、第1中空部Haが大きく変形しにくくなる。なお、第2スペーサPbも、第1スペーサPaと同じ理由により、第2中空部Hbが大きく変形することを妨げる。これにより、信号導体層22の周囲の誘電率が大きく変化することが抑制される。ここでの「大きく」とは、第1スペーサPaが無かった場合の変形量が、第1スペーサPaがある場合の変形量と比較して大きいことを意図する。変形量とは、第1中空部Haの上下方向の長さのことである。以上より、伝送線路10によれば、信号導体層22に発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変化することが抑制される。
【0052】
伝送線路10では、信号導体層22に発生する誘電損失を低減できる。より詳細には、第1中空部Haは、信号導体層22より上に位置している。第1中空部Haは、空洞である。従って、第1中空部Haにおける誘電率は、絶縁体層16a~16fにおける誘電率より低い。同様に、第1中空部Haにおける誘電正接は、絶縁体層16a~16fにおける誘電正接より低い。これにより、第1中空部Haの周囲の誘電率及び誘電正接が低くなる。同じ理由により、第2中空部Hbの周囲の誘電率及び誘電正接が低くなる。その結果、信号導体層22に発生する誘電損失が低減される。
【0053】
(第1変形例)
次に、第1変形例に係る伝送線路10aについて図面を参照しながら説明する。図8は、伝送線路10aの分解斜視図である。図9は、図8のB-Bにおける断面図である。
【0054】
伝送線路10aは、第1区間A2の断面構造と第2区間A1,A3の断面構造とが異なる点において伝送線路10と相違する。より詳細には、第1区間A2では、伝送線路10aは、図2の断面構造を有する。従って、第1区間A2では、第1スペーサPa及び第2スペーサPbが積層体12に設けられている。一方、第2区間A1,A3では、伝送線路10aは、図9の断面構造を有する。従って、第2区間A1,A3では、第1スペーサPa及び第2スペーサPbが積層体12に設けられていない。伝送線路10aのその他の構造は、伝送線路10と同じであるので説明を省略する。
【0055】
伝送線路10aは、伝送線路10と同じ作用効果を奏する。また、伝送線路10aは、信号導体層22に発生する誘電損失をより低減できる。より詳細には、伝送線路10aは、第2区間A1,A3において折り曲げられない。従って、第1スペーサPa及び第2スペーサPbは、第2区間A1,A3において積層体12に設けられていなくてもよい。これにより、第2区間A1,A3において、第1中空部Haの体積及び第2中空部Hbの体積が大きくなる。そのため、第2区間A1,A3において、信号導体層22の周囲の誘電率及び誘電正接が低くなる。その結果、第2区間A1,A3において、信号導体層22に発生する誘電損失が低減される。
【0056】
(第2変形例)
次に、第2変形例に係る伝送線路10bについて図面を参照しながら説明する。図10は、伝送線路10bの分解斜視図である。図11は、図10のC-Cにおける断面図である。
【0057】
伝送線路10bは、第1スペーサPa及び第2スペーサPbの構造において伝送線路10aと相違する。より詳細には、第1区間A2では、伝送線路10bは、図11の断面構造を有する。第1区間A2では、第1スペーサPaL,PaR及び第2スペーサPbL,PbRが積層体12に設けられている。第1スペーサPaLは、第1中空部Haの左上に設けられている。そのため、前後方向に直交する断面において、第1スペーサPaLの右には、第1中空部Haが存在する。第1スペーサPaRは、第1中空部Haの右上に設けられている。そのため、前後方向に直交する断面において、第1スペーサPaRの左には、第1中空部Haが存在する。第2スペーサPbLは、第2中空部Hbの左下に設けられている。そのため、前後方向に直交する断面において、第2スペーサPbLの右には、第2中空部Hbが存在する。第2スペーサPbLは、第2中空部Hbの右下に設けられている。そのため、前後方向に直交する断面において、第2スペーサPbRの左には、第2中空部Hbが存在する。伝送線路10bのその他の構造は、伝送線路10aと同じであるので説明を省略する。伝送線路10bによれば、伝送線路10aと同じ作用効果を奏する。
【0058】
(第3変形例)
次に、第3変形例に係る伝送線路10cについて図面を参照しながら説明する。図12は、伝送線路10cの断面図である。
【0059】
伝送線路10cは、第1スペーサPaL,PaR及び第2スペーサPbL,PbRの構造において伝送線路10bと相違する。より詳細には、前後方向に直交する断面において、第1スペーサPaLの左及び右には、第1中空部Haが存在する。前後方向に直交する断面において、第1スペーサPaRの左及び右には、第1中空部Haが存在する。前後方向に直交する断面において、第2スペーサPbLの左及び右には、第2中空部Hbが存在する。前後方向に直交する断面において、第2スペーサPbRの左及び右には、第2中空部Hbが存在する。伝送線路10cのその他の構造は、伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。伝送線路10cによれば、伝送線路10bと同じ作用効果を奏する。
【0060】
(第4変形例)
次に、第4変形例に係る伝送線路10dについて図面を参照しながら説明する。図13は、伝送線路10dの断面図である。
【0061】
伝送線路10dは、第1スペーサPa及び第2スペーサPbの構造において伝送線路10aと相違する。第1スペーサPaは、第1中空部Haの下面SDaから上方向に突出している。第1スペーサPaの上端から第1中空部の上面SUaまでの上下方向の長さd1は、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さh2より短い。第2スペーサPbは、第1スペーサPaと上下対称な構造を有するので、説明を省略する。伝送線路10dのその他の構造は、伝送線路10aと同じであるので説明を省略する。伝送線路10dによれば、伝送線路10aと同じ作用効果を奏する。
【0062】
(第5変形例)
次に、第5変形例に係る伝送線路10eについて図面を参照しながら説明する。図14は、伝送線路10eの断面図である。
【0063】
伝送線路10eは、第1スペーサPaL,PaR及び第2スペーサPbL,PbRの構造において伝送線路10bと相違する。より詳細には、第1スペーサPaLは、第1中空部Haの左面に位置している。そして、第1スペーサPaLは、第1中空部Haの左面において右方向に突出している。第1スペーサPaRは、第1中空部Haの右面に位置している。そして、第1スペーサPaRは、第1中空部Haの右面において左方向に突出している。前後方向に直交する断面において、第1スペーサPaL,PaRの上及び第1スペーサPaL,PaRの下には、第1中空部Haが存在している。これにより、第1スペーサPaLの上面から第1中空部Haの上面SUaまでの上下方向の長さd11と第1スペーサPaLの下面から第1中空部Haの下面SDaまでの上下方向の長さd12との合計は、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さh2より短い。これにより、第1重複領域A11における第1中空部Haの上下方向の長さは、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さより短い。第1スペーサPaの上面から第1中空部Haの上面SUaまでの上下方向の長さd13と第1スペーサPaの下面から第1中空部Haの下面SDaまでの上下方向の長さd14との合計は、第1非重複領域A12における第1中空部Haの上下方向の長さh2より短い。これにより、第重複領域A11における第2中空部Hの上下方向の長さは、第非重複領域A12における第2中空部Hの上下方向の長さより短い。
【0064】
なお、第2スペーサPbL,PbRは、第1スペーサPaL,PaRと上下対称な構造を有するので説明を省略する。また、伝送線路10eのその他の構造は、伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。伝送線路10eは、伝送線路10bと同じ作用効果を奏する。
【0065】
(第6変形例)
次に、第6変形例に係る伝送線路10fについて図面を参照しながら説明する。図15は、伝送線路10fの絶縁体層16a,16fの上面図である。図15において、導体層については省略した。
【0066】
伝送線路10fは、絶縁体層16a,16fの構造において、伝送線路10bと相違する。より詳細には、絶縁体層16aは、上下方向に見て、第1区間A2においてメッシュ形状を有している。これにより、第1スペーサPaは、上下方向に見て、メッシュ形状を有している。同様に、絶縁体層16fは、上下方向に見て、第1区間A2においてメッシュ形状を有している。これにより、第2スペーサPbは、上下方向に見て、メッシュ形状を有している。伝送線路10fのその他の構造は、伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。伝送線路10fは、伝送線路10bと同じ作用効果を奏する。
【0067】
(第7変形例)
次に、第7変形例に係る伝送線路10gについて図面を参照しながら説明する。図16は、伝送線路10gの絶縁体層16a,16fの上面図である。図16において、導体層については省略した。
【0068】
伝送線路10gは、絶縁体層16a,16fの構造において伝送線路10bと相違する。より詳細には、前後方向に直交する断面における第1スペーサPaL,PaRの形状は、前後方向において周期的に変化している。より詳細には、第1スペーサPaL,PaRの左右方向の幅は、前後方向において増減を繰り返している。これにより、貫通孔H11の形状は、上下方向に見て、ジグザグ形状を有している。なお、第2スペーサPbL,PbRは、第1スペーサPaL,PaRと上下対称な構造を有しているので、説明を省略する。伝送線路10gのその他の構造は、伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。伝送線路10gは、伝送線路10bと同じ作用効果を奏する。
【0069】
(第8変形例)
次に、第8変形例に係る伝送線路10hについて図面を参照しながら説明する。図17は、伝送線路10hの絶縁体層16a,16fの上面図である。図17において、導体層については省略した。
【0070】
伝送線路10hは、絶縁体層16a,16fの構造において伝送線路10bと相違する。より詳細には、複数の貫通孔H11が絶縁体層16aに設けられている。複数の貫通孔H11は、前後方向に一列に並んでいる。そして、第1スペーサPaは、隣り合う2つの貫通孔H11の間に位置している。これにより、複数の貫通孔H11及び複数の第1スペーサPaは、前後方向に交互に並んでいる。
【0071】
ここで、伝送線路10hにおいて、第1重複領域A11を定義するための断面は、第1スペーサPaを通過し、かつ、貫通孔H11を通過しない断面である。第1非重複領域A12を定義するための断面は、第1スペーサPaを通過せず、かつ、貫通孔H11を通過する断面である。このように、第1重複領域A11を定義するための断面は、第1非重複領域A12を定義するための断面と一致していなくてもよい。
【0072】
なお、第2スペーサPbは、第1スペーサPaと上下対称な構造を有しているので、説明を省略する。伝送線路10hのその他の構造は、伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。伝送線路10hは、伝送線路10bと同じ作用効果を奏する。
【0073】
(第9変形例)
次に、第9変形例に係る伝送線路10iについて図面を参照しながら説明する。図18は、伝送線路10iの絶縁体層16a,16fの上面図である。図18において、導体層については省略した。
【0074】
伝送線路10iは、絶縁体層16a,16fの構造において伝送線路10bと相違する。より詳細には、伝送線路10iでは、複数の第1スペーサPaL,PaRが、絶縁体層16aに設けられている貫通孔H11内に設けられている。複数の第1スペーサPaL,PaRは、上下方向に見て、長方形状を有している。そして、複数の第1スペーサPaLは、貫通孔H11の左部において前後方向に一列に並んでいる。複数の第1スペーサPaRは、貫通孔H11の右部において前後方向に一列に並んでいる。複数の第1スペーサPaRのそれぞれは、左右方向に見て、複数の第1スペーサPaLと重なっている。以上のような複数の第1スペーサPaL,PaRは、上下方向に延びている。そして、上下方向に直交する方向において複数の第1スペーサPaL,PaRの周囲には、第1中空部Haが存在している。
【0075】
なお、第2スペーサPbL,PbRは、第1スペーサPaL,PaRと上下対称な構造を有しているので、説明を省略する。伝送線路10iのその他の構造は、伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。伝送線路10iは、伝送線路10bと同じ作用効果を奏する。
【0076】
(第10変形例)
次に、第10変形例に係る伝送線路10jについて図面を参照しながら説明する。図19は、伝送線路10jの絶縁体層16a,16fの上面図である。図19において、導体層については省略した。
【0077】
伝送線路10jは、絶縁体層16a,16fの構造において伝送線路10iと相違する。より詳細には、伝送線路10iでは、複数の第1スペーサPaRのそれぞれは、左右方向に見て、複数の第1スペーサPaLと重なっている。一方、伝送線路10jでは、複数の第1スペーサPaRのそれぞれは、左右方向に見て、複数の第1スペーサPaLと重なっていない。複数の第1スペーサPaRのそれぞれは、左右方向に見て、複数の第1スペーサPaLの間に位置している。
【0078】
なお、第2スペーサPbL,PbRは、第1スペーサPaL,PaRと上下対称な構造を有しているので、説明を省略する。伝送線路10jのその他の構造は、伝送線路10iと同じであるので説明を省略する。伝送線路10jは、伝送線路10iと同じ作用効果を奏する。
【0079】
(第11変形例)
次に、第11変形例に係る伝送線路10kについて図面を参照しながら説明する。図20は、伝送線路10kの絶縁体層16a,16fの上面図である。図20において、導体層については省略した。
【0080】
伝送線路10kは、第1スペーサPaL,PaRの形状及び第2スペーサPbL,PbRの形状において伝送線路10iと相違する。より詳細には、第1スペーサPaL,PaRは、上下方向に見て、円形状を有している。なお、第2スペーサPbL,PbRは、第1スペーサPaL,PaRと上下対称な構造を有しているので、説明を省略する。伝送線路10kのその他の構造は、伝送線路10iと同じであるので説明を省略する。伝送線路10kは、伝送線路10iと同じ作用効果を奏する。
【0081】
(第12変形例)
次に、第12変形例に係る伝送線路10lについて図面を参照しながら説明する。図21は、伝送線路10lの分解斜視図である。図22は、図21のD-Dにおける断面図である。
【0082】
伝送線路10lは、第1スペーサPaL,PaRの形状及び第2スペーサPbL,PbRの形状において、伝送線路10bと相違する。より詳細には、伝送線路10lは、前後方向に直交する断面における第1スペーサPaL,PaRの左右方向の幅w1,w2が、前方向に行くにしたがって大きくなる区間A101、及び、前後方向に直交する断面における前記第1スペーサPaL,PaRの左右方向の幅w1,w2が、前方向に行くにしたがって小さくなる区間A102を有している。区間A101,A102は、第1区間A2に位置している。区間A101は、第2区間A1に接している。区間A102は、第2区間A3に接している。
【0083】
なお、第2スペーサPbL,PbRは、第1スペーサPaL,PaRと上下対称な構造を有しているので、説明を省略する。伝送線路10lのその他の構造は、伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。伝送線路10lは、伝送線路10bと同じ作用効果を奏する。また、伝送線路10lでは、第1スペーサPaL,PaRの左右方向の幅w1,w2が、連続的に変化する。これにより、信号導体層22に発生する特性インピーダンスは、区間A101,A102において連続的に変化するようになる。その結果、高周波信号は、第1区間A2と第2区間A1との境界、及び、第1区間A2と第2区間A3との境界において反射しにくくなる。
【0084】
(その他の実施形態)
本発明に係る伝送線路は、伝送線路10,10a~10lに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。なお、伝送線路10,10a~10lの構成を任意に組み合わせてもよい。
【0085】
なお、伝送線路10,10a~10lは、複数本の信号導体層を備えていてもよい。この場合、複数本の信号導体層は、例えば、差動伝送線路を形成していてもよい。また、複数本の信号導体層は、同じ絶縁体層上に設けられていなくてもよい。
【0086】
なお、伝送線路10,10a~10lにおいて、信号端子28a,28bは、積層体12の下主面に設けられてもよい。
【0087】
なお、伝送線路10,10a~10lは、ストリップライン線路に加えて、他の回路を更に備えていてもよい。
【0088】
なお、伝送線路10,10a~10lには、コネクタ32a,32b以外に電子部品が実装されてもよい。電子部品は、例えば、チップインダクタやチップコンデンサ等である。
【0089】
なお、伝送線路10,10a~10lにおいて、第2グランド導体層26は、必須の構成ではない。この場合、信号導体層22及び第1グランド導体層24は、マイクロストリップライン構造を構成する。
【0090】
なお、伝送線路10,10a~10lにおいて、複数の絶縁体層16a~16fの内の1以上の絶縁体層の材料は多孔質材料であってもよい。
【0091】
なお、伝送線路10,10a~10lにおいて、第1中空部Haは、上下方向に見て、信号導体層22と重なっていなくてもよいが、重なっている方が、信号特性上好ましい。
【0092】
なお、伝送線路10eにおいて、第1中空部HaL又は第1中空部HaRのいずれか一方のみが設けられていてもよい。同様に、第2中空部HbL又は第2中空部HbRのいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0093】
なお、伝送線路10eにおいて、第1スペーサPaL又は第1スペーサPaRのいずれか一方のみが設けられていてもよい。同様に、第2スペーサPbL又は第2スペーサPbRいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0094】
なお、伝送線路10lは、区間A101又は区間A102のいずれか一方のみを有していてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1:電子機器
10,10a~10l:伝送線路
12:積層体
16a~16f,18a,18b:絶縁体層
22:信号導体層
24:第1グランド導体層
26:第2グランド導体層
A1,A3:第2区間
A101,A102:区間
A11:第1重複領域
A12:第1非重複領域
A21:第2重複領域
A22:第2非重複領域
A2:第1区間
H1~H6,H11:貫通孔
Ha,HaL,HaR:第1中空部
Hb,HbL,HbR:第2中空部
Pa,PaL,PaR:第1スペーサ
Pb,PbL,PbR:第2スペーサ
SDa,SDb:下面
SUa,SUb:上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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図22