IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車載情報処理装置及び車載情報処理方法 図1
  • 特許-車載情報処理装置及び車載情報処理方法 図2
  • 特許-車載情報処理装置及び車載情報処理方法 図3
  • 特許-車載情報処理装置及び車載情報処理方法 図4
  • 特許-車載情報処理装置及び車載情報処理方法 図5
  • 特許-車載情報処理装置及び車載情報処理方法 図6
  • 特許-車載情報処理装置及び車載情報処理方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】車載情報処理装置及び車載情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20240806BHJP
   G06F 13/42 20060101ALI20240806BHJP
   G06F 11/14 20060101ALI20240806BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G06F13/38 320A
G06F13/42 310
G06F13/38 340A
G06F11/14 615
B60R16/023 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022569822
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2021043334
(87)【国際公開番号】W WO2022130932
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2020207608
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】児玉 雄一
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-179309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00-11/06
16/00-21/13
21/34-99/00
G06F 3/06-3/08
11/14
13/00-13/14
13/20-13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
並列的に処理を行う複数の処理部と、
前記複数の処理部がアクセス可能な共有記憶部と、
前記共有記憶部の異常を検出する検出部と
を備え、
前記処理部は、通信線を介した通信を行う通信部をそれぞれ有し、
前記複数の処理部及び前記共有記憶部が、1つの集積回路内に収められ、
前記複数の処理部は、
前記共有記憶部を介して情報の授受を行い、
前記検出部が前記共有記憶部の異常を検出した場合に、前記集積回路外の通信経路を介して前記通信部による通信により情報の授受を行う、
車載情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の処理部がそれぞれ有する前記通信部が、前記集積回路外に設けられた通信線に接続され、前記通信線を介して情報の授受を行う、
請求項に記載の車載情報処理装置。
【請求項3】
他の装置との通信を行う通信用集積回路を備え、
前記複数の処理部がそれぞれ有する前記通信部が、通信線を介して前記通信用集積回路にそれぞれ接続され、前記通信用集積回路を介して情報の授受を行う、
請求項1に記載の車載情報処理装置。
【請求項4】
前記通信用集積回路は、イーサネットの通信プロトコルに基づいて通信を行う通信用集積回路である、
請求項に記載の車載情報処理装置。
【請求項5】
前記通信用集積回路は、SPI(Serial Peripheral Interface)の通信プロトコルに基づいて通信を行う通信用集積回路である、
請求項に記載の車載情報処理装置。
【請求項6】
前記複数の処理部がそれぞれ有する前記通信部が、通信線を介して装置外の中継装置にそれぞれ接続され、前記中継装置を介して情報の授受を行う、
請求項1に記載の車載情報処理装置。
【請求項7】
並列的に処理を行う複数の処理部、及び、前記複数の処理部がアクセス可能な共有記憶部を備え、前記複数の処理部及び前記共有記憶部が1つの集積回路内に収められた車載情報処理装置が、
前記共有記憶部を介して前記複数の処理部の間の情報の授受を行い、
前記共有記憶部の異常を検出した場合に、前記集積回路外の通信経路を介した通信により前記複数の処理部の間の情報の授受を行う、
車載情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の処理部の間で情報の授受を行う車載情報処理装置及び車載情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、第1コア、第2コア及び共有メモリを備え、両コアが共有メモリを介して通信するマルチコア演算装置が記載されています。このマルチコア演算装置では、第1コアが制御対象である車両用駆動伝達装置の挙動変化の順序を示す挙動スケジュールを決定する挙動スケジュールアプリケーションを実行し、第2コアが車両用駆動伝達装置を動作させるアクチュエータを制御するアクチュエータ制御アプリケーション及び物理情報を取得して提供するセンシングアプリケーションを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-13843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1に記載の技術を超えて、複数の処理部の間の通信をより安定して行うことを可能とする車載情報処理装置及び車載情報処理方法が望まれる場合がある。
【0005】
本開示は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の処理部の間の通信をより安定して行うことが期待できる車載情報処理装置及び車載情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本態様に係る車載情報処理装置は、車両に搭載され、並列的に処理を行う複数の処理部と、前記複数の処理部がアクセス可能な共有記憶部と、前記共有記憶部の異常を検出する検出部とを備え、前記処理部は、通信線を介した通信を行う通信部をそれぞれ有し、前記複数の処理部及び前記共有記憶部が、1つの集積回路内に収められ、前記複数の処理部は、前記共有記憶部を介して情報の授受を行い、前記検出部が前記共有記憶部の異常を検出した場合に、前記集積回路外の通信経路を介して前記通信部による通信により情報の授受を行う。
【0007】
本願は、このような特徴的な制御部を備える装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。これらの装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、これらの装置を含むその他の装置又はシステムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、より安定して複数の処理部の間の通信を行うことが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施の形態に係る車載情報処理装置の第1プロセッサ及び第2プロセッサの間の通信を説明するための模式図である。
図3】本実施の形態に係る車載情報処理装置の第1プロセッサ及び第2プロセッサの間の通信を説明するための模式図である。
図4】本実施の形態に係る車載情報処理装置が行うプロセッサ間通信におけるデータ送信の手順を示すフローチャートである。
図5】本実施の形態に係る車載情報処理装置が行うプロセッサ間通信におけるデータ受信の手順を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2に係る車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態3に係る車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施の形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0011】
(1)本態様に係る車載情報処理装置は、車両に搭載され、並列的に処理を行う複数の処理部と、前記複数の処理部がアクセス可能な共有記憶部と、前記共有記憶部の異常を検出する検出部とを備え、前記処理部は、通信線を介した通信を行う通信部をそれぞれ有し、前記複数の処理部は、前記共有記憶部を介して情報の授受を行い、前記検出部が前記共有記憶部の異常を検出した場合に、前記通信部による通信により情報の授受を行う。
【0012】
本態様にあっては、車載情報処理装置が並列的に処理を行う複数の処理部と、この複数の処理部がアクセス可能な共有記憶部とを備える。複数の処理部は、共有記憶部を介して情報の授受を行う。共有記憶部に異常を検出した場合、複数の処理部は、通信線を介した通信により情報の授受を行う。これにより、共有記憶部に異常が生じた場合であっても、複数の処理部は、通信線を介した通信により情報の授受を継続して行うことが期待できる。
【0013】
(2)前記複数の処理部及び前記共有記憶部が、1つの集積回路内に収められ、前記検出部が前記共有記憶部の異常を検出した場合に、前記集積回路外の通信経路を介して情報の授受を行うことが好ましい。
【0014】
本態様にあっては、複数の処理部及び共有記憶部が、1つの集積回路内に収められる。これにより、車載情報処理装置の小型化等が期待できる。また車載情報処理装置は、共有記憶部に異常を検出した場合には、集積回路外に設けられた通信線を介して複数の処理部が情報の授受を行う。これにより集積回路内に異常時用の通信経路を設ける必要がなく、共有記憶部に異常が生じた場合には集積回路外の通信経路を利用して複数の処理部が情報の授受を行うことができる。
【0015】
(3)前記複数の処理部がそれぞれ有する前記通信部が、前記集積回路外に設けられた通信線に接続され、前記通信線を介して情報の授受を行うことが好ましい。
【0016】
本態様にあっては、複数の処理部がそれぞれ有する通信部が、集積回路外に設けられた通信線に接続される。共有記憶部に異常が生じた場合、複数の処理部は集積回路外の通信線を介した通信を行うことにより情報の授受を行う。これにより、各処理部が有する通信部を利用して、通信部を通信線で接続する簡素な構成により、複数の処理部による情報の授受を実現できる。
【0017】
(4)他の装置との通信を行う通信用集積回路を備え、前記複数の処理部がそれぞれ有する前記通信部が、通信線を介して前記通信用集積回路にそれぞれ接続され、前記通信用集積回路を介して情報の授受を行うことが好ましい。
【0018】
本態様にあっては、車載情報処理装置が他の装置との通信を行う通信用集積回路を備える。複数の処理部がそれぞれ有する通信部は、通信線を介して通信用集積回路にそれぞれ接続される。共有記憶部に異常が生じた場合、複数の処理部は通信用集積回路を介して情報の授受を行う。これにより、処理部が他の装置との通信を行うための通信経路中に設けられる通信用集積回路を利用して、複数の処理部による情報の授受を実現できる。
【0019】
(5)前記通信用集積回路は、イーサネットの通信プロトコルに基づいて通信を行う通信用集積回路であることが好ましい。
【0020】
本態様にあっては、通信用集積回路がイーサネットの通信プロトコルで通信を行う。これにより車載情報処理装置は、複数の処理部の間で安全且つ確実な情報の送受信を実現することが期待できる。
【0021】
(6)前記通信用集積回路は、SPI(Serial Peripheral Interface)の通信プロトコルに基づいて通信を行う通信用集積回路であることが好ましい。
【0022】
本態様にあっては、通信用集積回路がSPIの通信プロトコルで通信を行う。SPIの通信プロトコルに基づいて通信を行う通信用集積回路は、CANの通信プロトコルに基づいて通信を行う通信用集積回路又はイーサネットの通信プロトコルに基づいて通信を行う通信用集積回路に比べて、低コストである場合が多い。これにより車載情報処理装置は、部品コストの抑制と複数のプロセッサ間での安定した情報の送受信とを両立することが期待できる。
【0023】
(7)前記複数の処理部がそれぞれ有する前記通信部が、通信線を介して装置外の中継装置にそれぞれ接続され、前記中継装置を介して情報の授受を行うことが好ましい。
【0024】
本態様にあっては、複数の処理部がそれぞれ有する通信部は、車載情報処理装置の外部の中継装置に通信線を介してそれぞれ接続される。共有記憶部に異常が生じた場合、複数の処理部は外部の中継装置を介した通信を行うことで情報の授受を行う。これにより、車載情報処理装置内に異常時用の通信経路を設ける必要がなく、共有記憶部に異常が生じた場合には外部の中継装置を利用して複数の処理部が情報の授受を行うことができる。
【0025】
(8)本態様に係る車載情報処理方法は、並列的に処理を行う複数の処理部、及び、前記複数の処理部がアクセス可能な共有記憶部を備える車載情報処理装置が、前記共有記憶部を介して前記複数の処理部の間の情報の授受を行い、前記共有記憶部の異常を検出した場合に、通信線を介した通信により前記複数の処理部の間の情報の授受を行う。
【0026】
本態様にあっては、態様(1)と同様に、共有記憶部に異常が生じた場合であっても、複数の処理部は、通信線を介した通信により情報の授受を継続して行うことが期待できる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る車載情報処理装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
<実施の形態1>
<装置構成>
図1は、本実施の形態に係る車載情報処理装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る車載情報処理装置10は、車両100に搭載される例えばECU(Electronic Control Unit)又はGW(ゲートウェイ)等の種々の装置であり得る。車載情報処理装置10は、プログラムを実行することによって種々の演算処理を行う複数の処理部を備えている。本実施の形態に係る車載情報処理装置10は、図1に例示するように、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12の2つの処理部を備えている。
【0029】
第1プロセッサ11は、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置、及び、信号の入出力を行う入出力インタフェース等を有している。また第1プロセッサ11は、例えばイーサネット(登録商標)又はCAN(Controller Area Network)等の通信プロトコルに基づいて、車載情報処理装置10の外部の装置等との通信を行う通信部11aを有している。
【0030】
同様に、第2プロセッサ12は、CPU又はMPU等の演算処理装置、SRAM又はDRAM等の記憶装置、及び、信号の入出力を行う入出力インタフェース等を有している。また第2プロセッサ12は、例えばイーサネット又はCAN等の通信プロトコルに基づいて、車載情報処理装置10の外部の装置等との通信を行う通信部12aを有している。なお、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は、同じ機能、性能及び処理速度のプロセッサである必要はなく、機能、性能又は処理速度等が異なるプロセッサであってよい。
【0031】
第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は、独立して並列に処理を行うことができる。第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は、プロセッサ間通信によりデータ(情報)の授受を行うことができ、本実施の形態に係る車載情報処理装置10では共有メモリ13を用いたプロセッサ間通信を第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が行う。例えば第1プロセッサ11が共有メモリ13にデータを書き込み、このデータを第2プロセッサ12が読み出すことによって、第1プロセッサ11から第2プロセッサ12へのデータの送信が実現できる。
【0032】
共有メモリ13は、例えばSRAM又はDRAM等のメモリ素子を用いて構成される。なお共有メモリ13は、フラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されてもよい。共有メモリ13は、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が共にアクセス(データの書き込み及び読み出し)することが可能である。ただし共有メモリ13は、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12から同時にアクセス可能である必要はない。
【0033】
また本実施の形態に係る車載情報処理装置10では、上記の第1プロセッサ11、第2プロセッサ12及び共有メモリ13は、1つのIC(Integrated Circuit、集積回路)に収められた構成、いわゆるSoC(System on Chip)の構成をなしている。SoCの構成は、処理の高速化及び装置の小型化等が期待できる。ただし、第1プロセッサ11、第2プロセッサ12及び共有メモリ13は1チップに収められた構成でなくてもよく、例えば複数のチップを1つのパッケージに収めたSiP(System in a Package)の構成であってもよく、また例えば複数のICに分けられていてもよい。
【0034】
第1プロセッサ11の通信部11a及び第2プロセッサ12の通信部12aは、例えばイーサネットの通信プロトコルに基づいて、他の装置との通信を行う。通信部11a,12aは、他の装置へ送信する種々のデータを含むメッセージ又はデータフレーム等を生成して通信線に出力することでデータ送信を行うと共に、通信線を介して他の装置が送信したデータを受信する処理を行う。本実施の形態において通信部11a,12aは、車載情報処理装置10の通信IC(通信用集積回路)14にそれぞれ通信線を介して接続されている。本実施の形態においては、第1プロセッサ11、第2プロセッサ12及び共有メモリ13を含むSoCのICと、通信IC14とが回路基板上に実装され、この回路基板に配線パターンとして設けられた通信線を介してSoCのICの端子と通信IC14の端子とが電気的に接続される。
【0035】
通信IC14は、第1プロセッサ11、第2プロセッサ12及び共有メモリ13を含むSoCのICと通信線を介して接続され、且つ、車載情報処理装置10の外部の装置と通信線を介して接続され、車載情報処理装置10の内外の通信を仲介する。車載情報処理装置10が例えばイーサネットの通信プロトコルに基づいて通信を行う場合、通信IC14はイーサネットスイッチ等のICが用いられ得る。イーサネットスイッチは、例えばL2SW(レイヤ2スイッチ)又はL3SW(レイヤ3スイッチ等である。通信IC14は、複数の通信線が接続され、一の通信線にて受信したデータを適宜に他の通信線から送信することで、データの送受信を仲介する。
【0036】
通信IC14がイーサネットの通信プロトコルに基づいて通信を行うICである場合、本実施の形態に係る車載情報処理装置10は、例えばレイヤ4(トランスポート層)の通信プロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)又はUDP(User Datagram Protocol)を、送受信するデータの重要度に応じて使い分けることができる。車載情報処理装置10は、例えば重要度が高いデータをTCPの通信プロトコルで送受信し、重要度が低いデータをUDPの通信プロトコルで送受信する。このようなレイヤ4の通信プロトコルの使い分けを行うことによって、車載情報処理装置10は、重要なデータを正確に目的のプロセッサへ届けることが期待できる。
【0037】
データの重要度は、例えば自動車業界向けの機能安全規格であるISO26262に規定されたASIL(Automotive Safety Integrity Level)の安全性レベルに従って決定されてもよい。ASILには、安全性の基準が高い順に、D、C、B、A、QMの5段階の安全性レベルが定められている。例えば安全性レベルD、C、Bに関連するデータは重要度が高く、安全性レベルA、QMに関連するデータは重要度が低いと定めて、TCP又はUDPの通信プロトコルの使い分けを行うことができる。
【0038】
また車載情報処理装置が3つ以上のプロセッサを有する場合、プロセッサ間のデータの送受信を行う際、例えばデータの送信先の指定にIPアドレス又はMACアドレス等を用いることができる。これにより車載情報処理装置は、送信元のプロセッサから送信先のプロセッサへ、より確実にデータを届けることができる。
【0039】
また通信IC14がイーサネットの通信プロトコルに基づいて通信を行うICである場合、SSL(Secure Sockets Layer)又はTLS(Transport Layer Security)を使用して、暗号化されたデータを送受信することができる。SSL又はTLSを使用することによって、車載情報処理装置10は複数のプロセッサ間でデータを安全に送受信することができる。
【0040】
また通信IC14は、SPIの通信プロトコルに基づいて通信を行ってもよい。SPIの通信プロトコルに基づいて通信を行うICは、CANの通信プロトコルに基づいて通信を行うIC又はイーサネットの通信プロトコルに基づいて通信を行うICに比べて、低コストである場合が多い。よって、通信IC14としてSPIの通信プロトコルで通信を行うICを採用することにより、本実施の形態に係る車載情報処理装置10は部品コストの抑制と複数のプロセッサ間での安定したデータの送受信とを両立することが期待できる。
【0041】
本実施の形態に係る車載情報処理装置10では、上述のように第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が並列的に処理を行っており、必要に応じて共有メモリ13を介したデータの授受を行う。第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が同じIC内に設けられた共有メモリ13を介してデータの授受を行うことで、高速なデータの授受が期待できる。ここで、共有メモリ13に異常が生じた場合、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12はデータの授受を行うことができず、処理を継続することができなくなる虞がある。そこで、本実施の形態に係る車載情報処理装置10では、共有メモリ13に異常が生じたことを検出した場合、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は自身が収められたICの外部に設けられた通信経路を介してデータの授受を行う。
【0042】
本実施の形態においては、共有メモリ13の異常の有無を、共有メモリ13に対するデータの書き込みが成功したか否かに基づいて検出する。例えば第1プロセッサ11は、第2プロセッサ12へ送信すべきデータを共有メモリ13に書き込み、書き込み終了後にこのデータを共有メモリ13から読み出し、書き込んだデータと読み出したデータとが一致するか否かを判定する。第1プロセッサ11は、両データが一致する場合には共有メモリ13に対するデータの書き込みが成功したと判断し、両データが一致しない場合にはデータの書き込みに失敗し、共有メモリ13に異常が生じたと判断する。ただし第1プロセッサ11は、共有メモリ13へのデータの書き込みを複数回試み、全ての書き込みで失敗した場合に異常が生じたと判断してもよい。なお、第2プロセッサ12が第1プロセッサ11へデータを送信する場合も同様である。
【0043】
本実施の形態においては、第1プロセッサ11、第2プロセッサ12及び共有メモリ13が収められたICの外部に設けられた通信経路として、通信IC14を介したデータの送受信を第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が行うことができる。共有メモリ13に異常が生じたことを検出した第1プロセッサ11は、第2プロセッサ12へ送信すべきデータを含むメッセージを通信部11aから送信する。通信部11aが送信したメッセージは通信線を介して通信IC14にて受信される。このメッセージには例えば送信先として第2プロセッサ12が設定されており、通信IC14は、受信したメッセージを送信先として設定された第2プロセッサ12の通信部12aに接続された通信線から送信する。通信IC14が送信したメッセージは通信部12aにて受信され、第2プロセッサ12は受信したメッセージに含まれるデータに基づく処理を行うことができる。なお、第2プロセッサ12が第1プロセッサ11へデータを送信する場合も同様である。
【0044】
また第1プロセッサ11は、共有メモリ13の異常を一度検出した後、以後に第2プロセッサ12へデータを送信する場合には、共有メモリ13へのデータの書き込みは行わずに、通信部11aによるIC外の通信経路を介した通信によりデータを送信してよい。ただし、第1プロセッサ11は、共有メモリ13の異常を一度検出した後も、以後に第2プロセッサ12へデータを送信する場合に共有メモリ13へのデータの書き込みを行って、書き込みに失敗した場合に通信部11aによるIC外の通信経路を介した通信によりデータを送信してもよい。なお、第2プロセッサ12が第1プロセッサ11へデータを送信する場合も同様である。
【0045】
<プロセッサ間通信処理>
図2及び図3は、本実施の形態に係る車載情報処理装置10の第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12の間の通信を説明するための模式図である。図示の例は第1プロセッサ11から第2プロセッサ12へデータを送信する場合の流れを示しており、図2には共有メモリ13に異常が生じていない場合を示し、図3には共有メモリ13に異常が生じた場合を示している。また図2及び図3には、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12についてプロセッサ間通信処理(共有メモリ13を用いる通信)及び外部通信処理(ICの外部の通信経路を用いる通史)と、共有メモリ13についてセマフォ(排他制御のための変数)及びメモリ(データの記憶)に関する処理との関係が示されている。プロセッサ間通信処理及び外部通信処理は、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12上で動作しているプロセス又はタスク等に相当するものである。
【0046】
なお本実施の形態に係る車載情報処理装置10では、共有メモリ13に対して第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が同時にアクセスすることを制限する排他処理(排他制御、相互排除、相互排他)が行われる。本例では排他処理にセマフォを用いるものとするが、これに限るものではなく、例えばモニタ又はミューテックス等が排他処理に用いられてもよい。なおセマフォは、どのようなハードウェア及びソフトウェアにより実現されてもよい。
【0047】
図2に示すように、第1プロセッサ11は、第2プロセッサ12へプロセッサ間通信によりデータを送信する必要が生じた場合、まず共有メモリ13に対するアクセス権に相当するセマフォの獲得を行う。セマフォの獲得に成功した場合、第1プロセッサ11は、共有メモリ13の所望のアドレスが示す記憶領域にデータの書き込みを行う。第1プロセッサ11は、データの書き込みを正常に行うことができた後、セマフォを開放して、第2プロセッサ12にデータの書き込みが完了したことを通知する。
【0048】
第1プロセッサ11からデータの書込完了通知を例えば割込み処理等により受け付けた第2プロセッサ12は、共有メモリ13にアクセスするためにセマフォの獲得を行う。セマフォの獲得に成功した場合、第2プロセッサ12は、共有メモリ13から第1プロセッサ11が書き込んだデータを読み出した後、セマフォを開放する。共有メモリ13からデータを読み出した第2プロセッサ12は、読み出したデータを用いた処理を実行することができる。
【0049】
なお、例えば第2プロセッサ12がセマフォを獲得した後に、第1プロセッサ11がデータを書き込むためにセマフォの獲得を試みた場合、既に第2プロセッサ12がセマフォを獲得しているため第1プロセッサ11はセマフォを獲得することができず、セマフォが解放されるまで待機することとなる。その後、第2プロセッサ12がセマフォを開放することで第1プロセッサ11はセマフォを獲得することができ、共有メモリ13へのデータの書き込みを行うことができる。第1プロセッサ11は、データの書き込み終了後にセマフォを開放する。
【0050】
図3に示すように、第1プロセッサ11がセマフォを獲得して共有メモリ13へのデータ書き込みを行い、書き込みに失敗した場合、本実施の形態において第1プロセッサ11はセマフォを開放する。その後、第1プロセッサ11は、書き込みに失敗したデータを外部の通信経路を介して第2プロセッサ12へ送信する。このときに第1プロセッサ11では、プロセッサ間通信処理のプロセスから外部通信処理のプロセスへデータの送信要求が与えられ、この送信要求に応じて外部通信処理のプロセスは通信部11aによる外部の通信経路(通信線及び通信IC14の通信経路)を介して第2プロセッサ12へデータを送信する。
【0051】
第1プロセッサ11から外部の通信経路を介して送信されたデータは、第2プロセッサ12にて受信される。このときに第2プロセッサ12では、外部通信処理のプロセスが通信部12aにて受信したデータを取得し、取得したデータをプロセッサ間通信処理のプロセスへ与える処理が行われる。第2プロセッサ12は、外部の通信経路を介して受信したデータを用いた処理を実行することができる。
【0052】
<フローチャート>
図4は、本実施の形態に係る車載情報処理装置10が行うプロセッサ間通信におけるデータ送信の手順を示すフローチャートである。なお以下の説明では、第1プロセッサ11がデータ送信の処理を行うものとして記載するが、第2プロセッサ12がデータ送信の処理を行う場合も同じ手順であってよい。本実施の形態に係る車載情報処理装置10の第1プロセッサ11は、第2プロセッサ12へデータを送信する必要が生じた場合、共有メモリ13に対する第2プロセッサ12のアクセスを制限する排他処理を行う(ステップS1)。排他処理にセマフォを利用する場合、ステップS1の排他処理は、セマフォを獲得する処理に相当する。
【0053】
次いで第1プロセッサ11は、共有メモリ13に対するデータの書き込みを行う(ステップS2)。第1プロセッサ11は、例えば書き込んだデータを読み出してデータを比較することにより、データの書き込みに成功したか否かを判定する(ステップS3)。データの書き込みに成功した場合(S3:YES)、第1プロセッサ11は、共有メモリ13に対するアクセスの制限を解除する排他終了処理を行う(ステップS4)。排他処理にセマフォを利用する場合、ステップS4の排他終了処理は、セマフォを開放する処理に相当する。その後、第1プロセッサ11は共有メモリ13に対するデータの書き込み完了を第2プロセッサ12へ通知して(ステップS5)、処理を終了する。
【0054】
データの書き込みに失敗した場合(S3:NO)、第1プロセッサ11は、共有メモリ13に対するアクセスの制限を解除する排他終了処理を行う(ステップS6)。その後、第1プロセッサ11は、通信部11aにて通信IC14を介した通信により、第2プロセッサ12へデータを送信し(ステップS7)、処理を終了する。
【0055】
図5は、本実施の形態に係る車載情報処理装置10が行うプロセッサ間通信におけるデータ受信の手順を示すフローチャートである。なお以下の説明では、第2プロセッサ12がデータ受信の処理を行うものとして記載するが、第1プロセッサ11がデータ受信の処理を行う場合も同じ手順であってよい。本実施の形態に係る車載情報処理装置10の第2プロセッサ12は、第1プロセッサ11から共有メモリ13に対するデータの書込完了の通知を受けたか否かを判定する(ステップS21)。
【0056】
第1プロセッサ11から書込完了の通知を受けた場合(S21:YES)、第2プロセッサ12は、共有メモリ13に対する第1プロセッサ11のアクセスを制限する排他処理を行う(ステップS22)。その後、第2プロセッサ12は、共有メモリ13から第1プロセッサ11が書き込んだデータを読み出す(ステップS23)。このときに第2プロセッサ12がデータを読み出す共有メモリ13のアドレスは、例えば書込完了通知と共に第1プロセッサ11から与えられてもよく、また例えば予め定められたアドレスであってもよい。データを読み出した後、第2プロセッサ12は、共有メモリ13に対するアクセスの制限を解除する排他終了処理を行って(ステップS24)、処理を終了する。
【0057】
書込完了の通知を受けていない場合(S21:NO)、第2プロセッサ12は、第1プロセッサ11からICの外部に設けられた通信経路を介して通信部12aがデータを受信したか否かを判定する(ステップS25)。通信部12aにてデータを受信していない場合(S25:NO)、第2プロセッサ12は、ステップS21へ処理を戻す。第1プロセッサ11からのデータを受信した場合(S25:YES)、第2プロセッサ12は、通信部12aにて受信した第1プロセッサ11からのデータを取得して(ステップS26)、処理を終了する。
【0058】
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る車載情報処理装置10は、並列的に処理を行う第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12と、この複数のプロセッサがアクセス可能な共有メモリ13とを備えている。第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は、共有メモリ13を介してデータの授受を行う。共有メモリ13に異常を検出した場合、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は、通信線を介した通信によりデータの授受を行う。これにより、共有メモリ13に異常が生じた場合であっても、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は、通信線を介した通信によりデータの授受を継続して行うことが期待できる。
【0059】
また本実施の形態に係る車載情報処理装置10は、第1プロセッサ11、第2プロセッサ12及び共有メモリ13が1つのIC内に収められる。これにより車載情報処理装置10の小型化等が期待できる。また車載情報処理装置10は、共有メモリ13に異常を検出した場合には、IC外に設けられた通信経路を介して第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12がデータの授受を行う。これによりIC内に異常時用の通信経路を設ける必要がなく、共有メモリ13に異常が生じた場合にはIC外の通信経路を利用して第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12がデータの授受を行うことができる。
【0060】
また本実施の形態に係る車載情報処理装置10は、他の装置との通信を行う通信IC14を備える。第1プロセッサ11の通信部11a及び第2プロセッサ12の通信部12aは、通信線を介して通信IC14にそれぞれ接続される。共有メモリ13に異常が生じた場合、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は通信IC14を介してデータの授受を行う。これにより第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が他の装置との通信を行うための通信経路中に設けられる通信IC14を利用して、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12によるデータの授受を実現できる。
【0061】
なお本実施の形態において第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が行う処理は、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12上で動作するアプリケーションプログラムが行ってもよく、OS(Operating System)等のシステムプログラムが行ってもよく、ハードウェアが行ってもよい。また本実施の形態において通信線には、回路基板上にパターンとして形成された配線を含む。
【0062】
<実施の形態2>
図6は、実施の形態2に係る車載情報処理装置10の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る車載情報処理装置10は、1つのIC内に収められた第1プロセッサ11の通信部11aと第2プロセッサ12の通信部12aとが、IC外において通信線214を介して直接的に接続されている。例えば、通信部11aを通信線に接続するためのICの端子と、通信部12aを通信線に接続するためのICの端子とが、このICが実装される回路基板に設けられた配線パターンを介して電気的に接続される。これにより第1プロセッサ11の通信部11a及び第2プロセッサ12の通信部12aは、通信線214を介して直接的に通信を行うことができる。
【0063】
実施の形態2に係る車載情報処理装置10は、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が共有メモリ13を介してデータの授受を行う。例えば共有メモリ13に対するデータの書き込みが失敗した場合など、共有メモリ13に異常が生じた場合には、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は、通信部11a及び通信部12aによる通信線214を介した通信を行うことによりデータの授受を行う。通信部11a及び通信部12aによる通信線214を介した通信は、例えばイーサネット、CAN、LIN(Local Interconnect Network)又はSPI等の種々の通信プロトコルが採用され得る。
【0064】
以上の構成の実施の形態2に係る車載情報処理装置10は、第1プロセッサ11の通信部11a及び第2プロセッサ12の通信部12aがIC外に設けられた通信線214に接続される。共有メモリ13に異常が生じた場合、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12はIC外の通信線214を介した通信を行うことによりデータの授受を行う。これにより、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が有する通信部11a及び通信部12aを利用して、通信部11a及び通信部12aを通信線214で接続する簡素な構成により、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12によるデータの授受を実現できる。
【0065】
なお、実施の形態2に係る車載情報処理装置10のその他の構成は、実施の形態1に係る車載情報処理装置10と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0066】
<実施の形態3>
図7は、実施の形態3に係る車載情報処理装置10の構成を示すブロック図である。実施の形態3に係る車載情報処理装置10は、第1プロセッサ11の通信部11a及び第2プロセッサ12の通信部12aが、それぞれ別の通信線を介して車載情報処理装置10の外部に設けられたGW(ゲートウェイ)314に接続されている。GW314は、車載情報処理装置10とは別に車両100の適所に設けられている。GW314は、複数の通信線が接続され、これら複数の通信線の間で通信を中継する処理を行う装置である。
【0067】
実施の形態3に係る車載情報処理装置10は、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12が共有メモリ13を介してデータの授受を行う。例えば共有メモリ13に対するデータの書き込みが失敗した場合など、共有メモリ13に異常が生じた場合には、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は、通信部11a及び通信部12aによりGW314を介した通信を行うことによりデータの授受を行う。
【0068】
このときに例えば第1プロセッサ11は、通信部11aからGW314へデータを送信する。GW314は、通信部11aから受信したデータを中継して通信部12aへ送信する。第2プロセッサ12は、GW314から送信されたデータを受信し、受信したデータに基づいて処理を行う。第2プロセッサ12から第1プロセッサ11へデータを送信する場合も同様である。
【0069】
以上の構成の実施の形態3に係る車載情報処理装置10では、第1プロセッサ11の通信部11a及び第2プロセッサ12の通信部12aが、車載情報処理装置10の外部のGW314に通信線を介してそれぞれ接続される。共有メモリ13に異常が生じた場合、第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12は通信部11a及び通信部12aにより外部のGW314を介した通信を行うことによりデータの授受を行う。これにより、車載情報処理装置10内に異常時用の通信経路を設ける必要がなく、共有メモリ13に異常が生じた場合には外部のGW314を利用して第1プロセッサ11及び第2プロセッサ12がデータの授受を行うことができる。
【0070】
なお実施の形態3においては、第1プロセッサ11の通信部11a及び第2プロセッサ12の通信部12aの通信を中継する外部の装置としてGW314を挙げたが、外部の装置はGW314に限らず、例えばイーサネットスイッチ等の装置であってもよく、また例えばこれら以外のどのような装置であってもよい。また第1プロセッサ11の通信部11a及び第2プロセッサ12の通信部12aの通信を複数の外部の装置が中継してもよい。
【0071】
また、実施の形態3に係る車載情報処理装置のその他の構成は、実施の形態1に係る車載情報処理装置と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0072】
車載情報処理装置は、マイクロプロセッサ、ROM及びRAM等を含んで構成されるコンピュータを備える。マイクロプロセッサ等の演算処理部は、図2図5に示すような、シーケンス図又はフローチャートの各ステップの一部又は全部を含むコンピュータプログラムを、ROM、RAM等の記憶部からそれぞれ読み出して実行してよい。これら複数の装置のコンピュータプログラムは、それぞれ、外部のサーバ装置等からインストールすることができる。また、これらのコンピュータプログラムは、それぞれ、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通する。
【0073】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
10 車載情報処理装置
11 第1プロセッサ(処理部、検出部)
11a 通信部
12 第2プロセッサ(処理部、検出部)
12a 通信部
13 共有メモリ(共有記憶部)
14 通信IC(通信用集積回路)
100 車両
214 通信線
314 GW(ゲートウェイ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7