(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】管制装置、自動バレー駐車場、及び車両の特性に応じた行為を実施する方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20240806BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240806BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20240806BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20240806BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240806BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240806BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240806BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20240806BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/00 X
B60W30/06
B60W40/04
B60W60/00
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/35
(21)【出願番号】P 2022578043
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2021037164
(87)【国際公開番号】W WO2022163025
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2021014564
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 賢健
(72)【発明者】
【氏名】山浦 広大
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 貴雅
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190215(JP,A)
【文献】特開2016-134061(JP,A)
【文献】特開2016-105238(JP,A)
【文献】特開2003-077097(JP,A)
【文献】特開2000-293794(JP,A)
【文献】特開2020-185875(JP,A)
【文献】特開2019-061418(JP,A)
【文献】特開2019-046022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
B60W 30/00 ~ 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動バレー駐車場(1)に用いられる管制装置(60)であって、
前記管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリア(10)へ入庫しようとしている車両(9)の特性を示す特性情報及び前記車両の識別情報を、前記駐車エリアへの経路上の特定位置(32)に前記車両が到達する前に取得するように構成された事前取得部(611,S102)と、
前記特定位置に存在する前記車両の識別情報を取得するように構成された特定取得部(611,S106)と、
既に取得されている前記特性情報のうち、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報に対応する前記特性情報に基づいて、前記特定位置に存在する前記車両が前記駐車エリアへの入庫要件を満たすかを判定する判定部(611,S107)と、
前記特定位置に存在する前記車両の運転者に対し、既に取得されている前記特性情報のうち、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報に対応する前記特性情報に応じた行為をするように構成された行為部(611,S108~S110)と、
を備え、
前記事前取得部は、前記経路上の位置であって前記特定位置よりも前記駐車エリアから離れた位置に設けられた所定のエリアを、前記車両が走行しているときに、前記特性情報及び前記車両の識別情報を取得するように構成され、
前記行為部は、前記判定部により前記特定位置に存在する前記車両が前記入庫要件を満たすと判定された場合には、前記行為として、前記特定位置に存在する前記車両の運転者が視認可能な位置に設置されている表示装置(83)に入庫可能表示を行うよう指示し、前記判定部により前記特定位置に存在する前記車両が前記入庫要件を満たさないと判定された場合には、前記行為として、前記表示装置に入庫不可表示を行うよう指示するように構成され
、
前記入庫可能表示は、前記駐車エリアへの入庫が認められる旨を示す表示であり、前記入庫不可表示は、前記駐車エリアへの入庫が認められない旨を示す表示であって、前記経路から分岐された分岐道を通って前記自動バレー駐車場から退場するように促す表示である、管制装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管制装置であって、
前記事前取得部は、前記特性情報として、前記車両が備える自動バレー駐車システムの種類を示す情報を取得するように構成されている、管制装置。
【請求項3】
自動バレー駐車場(1)に用いられる管制装置(60)であって、
前記管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリア(10)へ入庫しようとしている車両(9)の特性を示す特性情報及び前記車両の識別情報を、前記駐車エリアへの経路上の特定位置(32)に前記車両が到達する前に取得するように構成された事前取得部(611,S102)と、
前記特定位置に存在する前記車両の識別情報を取得するように構成された特定取得部(611,S106)と、
前記特定位置に存在する前記車両の運転者に対し、既に取得されている前記特性情報のうち、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報に対応する前記特性情報に応じた行為をするように構成された行為部(611,S108~S110)と、
を備え、
前記事前取得部は、前記特性情報として、前記車両が備える自動バレー駐車システムの種類を示す情報を取得するように構成されている、管制装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の管制装置であって、
前記事前取得部は、前記特性情報として、前記管制装置が前記車両の位置を測定するための前記経路上の位置推定エリア(31)を走行している状態において前記車両が推定した前記車両自身の位置を示す情報、及び、当該位置に前記車両が存在した時刻を示す情報を取得するように構成されている、管制装置。
【請求項5】
自動バレー駐車場(1)に用いられる管制装置(60)であって、
前記管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリア(10)へ入庫しようとしている車両(9)の特性を示す特性情報及び前記車両の識別情報を、前記駐車エリアへの経路上の特定位置(32)に前記車両が到達する前に取得するように構成された事前取得部(611,S102)と、
前記特定位置に存在する前記車両の識別情報を取得するように構成された特定取得部(611,S106)と、
前記特定位置に存在する前記車両の運転者に対し、既に取得されている前記特性情報のうち、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報に対応する前記特性情報に応じた行為をするように構成された行為部(611,S108~S110)と、
を備え、
前記事前取得部は、前記特性情報として、前記管制装置が前記車両の位置を測定するための前記経路上の位置推定エリア(31)を走行している状態において前記車両が推定した前記車両自身の位置を示す情報、及び、当該位置に前記車両が存在した時刻を示す情報を取得するように構成されている、管制装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の管制装置であって、
前記特定位置は、前記車両が前記位置推定エリアを通過した後に通過する位置に設けられている、管制装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の管制装置であって、
前記行為部は、前記特定取得部により取得された前記特定位置に存在する前記車両の識別情報と、前記事前取得部により取得された前記車両の識別情報と、に基づいて、前記特定位置に存在する前記車両の前記特性情報を参照するように構成されている、管制装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の管制装置であって、
前記特定取得部は、前記特定位置に存在する前記車両を撮像可能な撮像装置(80,82)、又は、前記特定位置を通信可能エリアとする狭域通信装置(80)を用いて、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報を取得するように構成されている、管制装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の管制装置であって、
前記事前取得部は、前記特性情報及び前記車両の識別情報を、前記車両から無線通信により取得するように構成されている、管制装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の管制装置であって、
前記行為部は、前記行為として、前記駐車エリアへの進入制限に関する報知を行うように構成されている、管制装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の管制装置と、
前記駐車エリアへの前記車両の進入を制限可能なゲート(50)と、
を備え、
前記行為部は、前記行為として、前記ゲートの開閉状態の変更を行うように構成されている、自動バレー駐車場。
【請求項12】
自動バレー駐車場(1)に用いられる管制装置(60)が実行する、車両(9)の特性に応じた行為を実施する方法であって、
前記管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリア(10)へ入庫しようとしている前記車両の特性を示す特性情報及び前記車両の識別情報を、前記駐車エリアへの経路上の特定位置(32)に前記車両が到達する前に取得すること(611,S102)と、
前記特定位置に存在する前記車両の識別情報を取得すること(611,S106)と、
既に取得されている前記特性情報のうち、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報に対応する前記特性情報に基づいて、前記特定位置に存在する前記車両が前記駐車エリアへの入庫要件を満たすかを判定すること(611,S107)と、
前記特定位置に存在する前記車両の運転者に対し、既に取得されている前記特性情報のうち、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報に対応する前記特性情報に応じた行為をすること(611,S108~S110)と、
を備え、
前記特性情報及び前記車両の識別情報は、前記経路上の位置であって前記特定位置よりも前記駐車エリアから離れた位置に設けられた所定のエリアを、前記車両が走行しているときに取得され、
前記特定位置に存在する前記車両が前記入庫要件を満たすと判定した場合には、前記行為として、前記特定位置に存在する前記車両の運転者が視認可能な位置に設置されている表示装置(83)に入庫可能表示を行うよう指示し、前記特定位置に存在する前記車両が前記入庫要件を満たさないと判定した場合には、前記行為として、前記表示装置に入庫不可表示を行うよう指示
し、
前記入庫可能表示は、前記駐車エリアへの入庫が認められる旨を示す表示であり、前記入庫不可表示は、前記駐車エリアへの入庫が認められない旨を示す表示であって、前記経路から分岐された分岐道を通って前記自動バレー駐車場から退場するように促す表示である、車両の特性に応じた行為を実施する方法。
【請求項13】
自動バレー駐車場(1)に用いられる管制装置(60)が実行する、車両(9)の特性に応じた行為を実施する方法であって、
前記管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリア(10)へ入庫しようとしている前記車両の特性を示す特性情報及び前記車両の識別情報を、前記駐車エリアへの経路上の特定位置(32)に前記車両が到達する前に取得すること(611,S102)と、
前記特定位置に存在する前記車両の識別情報を取得すること(611,S106)と、
前記特定位置に存在する前記車両の運転者に対し、既に取得されている前記特性情報のうち、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報に対応する前記特性情報に応じた行為をすること(611,S108~S110)と、
を備え、
前記特性情報には、前記車両が備える自動バレー駐車システムの種類を示す情報が含まれる、車両の特性に応じた行為を実施する方法。
【請求項14】
自動バレー駐車場(1)に用いられる管制装置(60)が実行する、車両(9)の特性に応じた行為を実施する方法であって、
前記管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリア(10)へ入庫しようとしている前記車両の特性を示す特性情報及び前記車両の識別情報を、前記駐車エリアへの経路上の特定位置(32)に前記車両が到達する前に取得すること(611,S102)と、
前記特定位置に存在する前記車両の識別情報を取得すること(611,S106)と、
前記特定位置に存在する前記車両の運転者に対し、既に取得されている前記特性情報のうち、前記特定位置に存在する前記車両の識別情報に対応する前記特性情報に応じた行為をすること(611,S108~S110)と、
を備え、
前記特性情報には、前記管制装置が前記車両の位置を測定するための前記経路上の位置推定エリア(31)を走行している状態において前記車両が推定した前記車両自身の位置を示す情報、及び、当該位置に前記車両が存在した時刻を示す情報が含まれる、車両の特性に応じた行為を実施する方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2021年2月1日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2021-14564号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2021-14564号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、自動バレー駐車場に用いられる管制装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動バレー駐車場は、管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリアを備える。例えば、特許文献1に記載の自動バレー駐車場では、駐車エリアの入口付近に設置された端末に車両の情報が入力されることにより、管制装置は、車両の情報を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
この種の管制装置は、例えば、駐車エリアへの経路上の特定位置に存在する車両の運転者に対し、車両の特性に応じた行為をすることが求められる場合がある。例えば、車両の特性に応じて駐車エリアへの進入制限が定まる場合には、管制装置は、上記行為として、駐車エリアへの進入制限に関する報知を行うことが求められるときがある。
【0006】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、次のような課題が見出された。すなわち、管制装置は、特定位置に車両が到達する前に、当該車両の特性を示す情報を取得する場合がある。このように車両の特性を示す情報が事前に取得される場合、管制装置は、特定位置に存在する車両が、事前に取得された上記情報のうちのいずれに係る車両かを特定することが難しい。このため、管制装置は、事前に取得された上記情報に基づいて、特定位置に存在する車両の運転者に対し、車両の特性に応じた行為をすることが難しい。
本開示の一局面は、車両の特性を示す情報が事前に取得される場合に、特定位置に存在する車両の運転者に対して車両の特性に応じた行為をすることができる技術を提供する。
【0007】
本開示の一態様は、自動バレー駐車場に用いられる管制装置であって、事前取得部と、特定取得部と、行為部と、を備える。事前取得部は、管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリアへ入庫しようとしている車両の特性を示す特性情報及び車両の識別情報を、駐車エリアへの経路上の特定位置に車両が到達する前に取得するように構成される。特定取得部は、特定位置に存在する車両の識別情報を取得するように構成される。行為部は、特定位置に存在する車両の運転者に対し、既に取得されている特性情報のうち、特定位置に存在する車両の識別情報に対応する特性情報に応じた行為をするように構成される。
このような構成によれば、車両の特性を示す情報が事前に取得される場合に、特定位置に存在する車両の運転者に対して車両の特性に応じた行為をすることができる。
【0008】
本開示の別の一態様は、自動バレー駐車場に用いられる管制装置が実行する、車両の特性に応じた行為を実施する方法である。当該方法は、管制装置の誘導に従った自動運転による駐車が行われる駐車エリアへ入庫しようとしている車両の特性を示す特性情報及び車両の識別情報を、駐車エリアへの経路上の特定位置に車両が到達する前に取得することと、特定位置に存在する車両の識別情報を取得することと、特定位置に存在する車両の運転者に対し、既に取得されている特性情報のうち、特定位置に存在する車両の識別情報に対応する特性情報に応じた行為をすることと、を備える。
このような構成によれば、車両の特性を示す情報が事前に取得される場合に、特定位置に存在する車両の運転者に対して車両の特性に応じた行為をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】自動バレー駐車場の構成を示す説明図である。
【
図2】管制システム及び車両の構成を表すブロック図である。
【
図3】管制システム及び車両が実行する入庫に関する処理を表すシーケンス図である。
【
図4】管制システム及び車両が実行する入庫に関する処理を表すシーケンス図である。
【
図5】管制装置が実行する入庫前処理を表すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
[1-1.自動バレー駐車場]
図1に示す自動バレー駐車場1は、駐車エリア10、複数の車室20、専用道30、分岐道40、及びゲート50を備える。
【0011】
駐車エリア10は、自動バレー駐車場1において、後述する管制装置60の誘導に従った自動運転による駐車が行われる領域である。駐車エリア10は、複数の駐車区画11、及び通路12を有する。駐車区画11は、車両9を駐車するための領域である。通路12は、車両9を駐車区画11に駐車する際に、管制装置60が誘導経路として選出可能な領域である。
【0012】
複数の車室20は、駐車エリア10での自動運転が開始される前に、自動バレー駐車場1のユーザ(以下、単にユーザという。)が車両9から降車する領域である。車室20は、1台の車両9を収容可能な大きさを有する。複数の車室20は、それぞれが駐車エリア10に隣接するように互いに並んでいる。車室20に入った車両9は、ユーザが降車した後、駐車エリア10に進むことができる。なお、ユーザには車両9の運転者が含まれる。また、複数の車室20は、駐車エリア10で自動運転が行われた後にユーザが車両9に乗車する領域を兼ねてもよい。
【0013】
専用道30は、自動バレー駐車場1の外部から複数の車室20に繋がる道路である。車両9は、ユーザの運転、すなわちマニュアル運転により、自動バレー駐車場1の外部から専用道30を通って複数の車室20のうちの1つに入ることができる。専用道30は、駐車エリア10への経路に含まれる。
【0014】
分岐道40は、専用道30から分岐され、自動バレー駐車場1の外部に繋がる道路である。本実施形態における分岐道40は、図示しない自動バレー駐車場1の外部の一般駐車場に繋がっている。本実施形態でいう一般駐車場とは、ユーザの運転による駐車が行われる領域を意味する。車両9は、ユーザの運転により、専用道30から分岐道40に進み、一般駐車場に入ることができる。本実施形態における分岐道40への分岐点は、専用道30におけるゲート50よりも車室20側の位置に設けられている。なお、本実施形態における分岐道40は、車両9が一般駐車場に向かう際に用いられるが、分岐道40は、例えば、駐車エリア10から出庫した車両9が自動バレー駐車場1から退場する際に用いられてもよい。
【0015】
ゲート50は、専用道30に設置された開閉式のゲートである。ゲート50は、バー、チェーン、フェンス、ポール等、専用道30における車両9の走行を物理的に妨げることができる構成を備える。ゲート50が開いている状態とは、バー等により専用道30における車両9の走行が妨げられない状態を指す。すなわち、ゲート50が開いている状態では、車両9は、ゲート50を通過することができる。ゲート50が閉じている状態とは、バー等により専用道30における車両9の走行が妨げられる状態を指す。すなわち、ゲート50が閉じている状態では、車両9は、ゲート50を通過することができない。
【0016】
専用道30は、ゲート50よりも手前の位置、すなわちゲート50よりも複数の車室20から離れた位置に、位置推定エリア31及びゲート前エリア32を備える。位置推定エリア31は、ゲート前エリア32よりも更に手前の位置、すなわちゲート前エリア32よりも複数の車室20から更に離れた位置に設けられている。したがって、駐車エリア10に向かう車両9は、位置推定エリア31、ゲート前エリア32、ゲート50の順に、これらを通過する。
【0017】
位置推定エリア31は、走行している状態において車両9が車両9自身の位置を推定するための領域である。また、位置推定エリア31は、後述する路上カメラ81を用いて、管制装置60が車両9の位置を測定するための領域でもある。後述するように、管制装置60は、車両9の位置の測定結果を用いて、動的推定精度を算出する。したがって、位置推定エリア31は、管制装置60が車両9の動的推定精度を算出するための領域とも言い換えられる。なお、動的推定精度とは、走行している状態において車両9が推定した車両9自身の位置の精度を意味する。
【0018】
位置推定エリア31には、複数のマーカ33が設けられている。複数のマーカ33は、位置推定エリア31における車両9の進行方向に沿って並ぶように路面に描かれている。マーカ33同士の間隔は特に限定されないが、本実施形態の複数のマーカ33は、一定の間隔で設けられている。なお、ある時点において位置推定エリア31を走行している車両9は1台に限られず、2台以上の車両9が同時に位置推定エリア31を走行していてもよい。
【0019】
位置推定エリア31では、車両9の走行速度が規制されてもよい。具体的には、駐車エリア10における自動運転時の速度に近い低速で、位置推定エリア31を車両9が走行するように、位置推定エリア31における車両9の走行速度が規制されてもよい。管制装置60が動的推定精度を算出するにあたり、低速で走行している状態において車両9が推定した車両9自身の位置を用いることによって、より精度よく動的推定精度を算出することができる。
【0020】
ゲート前エリア32は、専用道30におけるゲート50の直前に位置する領域である。ゲート前エリア32には、1台の車両9が停車可能である。車両9がゲート前エリア32に到達したとき、ゲート50は閉じている状態であり、車両9はゲート前エリア32で一時停止する。そして、ゲート前エリア32において、車両9内のユーザに対し、駐車エリア10への進入制限に関する表示が行われる。
【0021】
後に詳述するように、本実施形態では、動的推定精度があらかじめ定められた基準精度を満たさない場合、駐車エリア10への車両9の進入が制限される。すなわち、車両9の動的推定精度によって、ゲート前エリア32でユーザに対して行われる表示が異なる。このため、ゲート前エリア32に車両9が到達したときに動的推定精度が算出されているように、位置推定エリア31は、専用道30におけるゲート前エリア32よりも手前の位置に設けられている。ゲート前エリア32において上記表示が行われてゲート50が開いた後、ユーザは、上記表示に従って車室20又は一般駐車場に向けて車両9を運転する。ゲート前エリア32は、駐車エリア10への経路上の特定位置に相当する。特定位置は、駐車エリア10に入庫しようとしている車両9が、動的推定精度を算出するための領域を通過した後に通過する地点とも言い換えられる。
【0022】
[1-2.管制システム]
図2に示す管制システム6は、自動バレー駐車場1に用いられるシステムである。管制システム6は、管制装置60、複数の個別端末70、及びインフラ80を備える。
【0023】
管制装置60は、制御部61、及び通信部62を備える。制御部61は、CPU611と、例えばROM又はRAM等の半導体メモリ(以下、メモリ612という。)と、を有するマイクロコンピュータを備える。制御部61の各機能は、CPU611が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ612が非遷移的実体的記録媒体に相当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部61は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。通信部62は、車両9と無線通信を行うことができる。
【0024】
複数の個別端末70のそれぞれは、1つの車室20に対応付けられている。それぞれの個別端末70は、対応する車室20又はその近辺に設置されている。個別端末70は、ユーザの操作を受け付ける。ユーザの操作としては、例えば、入庫要求操作、ユーザの識別情報の入力等が挙げられる。また、個別端末70は、表示部を備え、ユーザに対する情報を表示する。
【0025】
インフラ80は、自動バレー駐車場1内にあらかじめ設けられた設備である。インフラ80には、自動バレー駐車場1に設けられた複数のセンサが含まれる。複数のセンサは、例えば、カメラ、ライダ等である。複数のセンサは、例えば、駐車エリア10や車室20の天井又は壁面に取り付けられている。また、複数のセンサには、
図1に示す路上カメラ81,82のように、専用道30又はその近辺に設置されるものも含まれる。
【0026】
路上カメラ81,82は、車両9を撮像可能なカメラである。具体的には、路上カメラ81は、位置推定エリア31又はその近辺に設置されている。路上カメラ81は、位置推定エリア31に存在する車両9を撮像する。また、路上カメラ82は、ゲート前エリア32又はその近辺に設置されている。路上カメラ82は、ゲート前エリア32に存在する車両9を撮像する。
【0027】
管制装置60は、路上カメラ81,82を用いて、車両9の識別情報を取得することができる。具体的には、本実施形態における管制装置60は、路上カメラ81,82による撮像画像から、車両9の識別情報として、車両9の車両識別番号を示す情報を取得する。より詳細には、管制装置60は、路上カメラ81,82による撮像画像から車両9のナンバープレートに記載の車両登録番号を示す情報を取得し、図示しない車両管理センタに車両登録番号を問い合わせる。車両管理センタは、車両登録番号に対応する車両識別番号(例えばVIN)を示す情報を管制装置60に送信する。管制装置60は、当該車両識別番号示す情報を車両管理センタから受信する。なお、車両登録番号と車両識別番号との対応関係を示すデータベースがメモリ612にあらかじめ用意されている場合には、管制装置60は、路上カメラ81,82による撮像画像から車両9の車両登録番号を示す情報を取得した後、このデータベースを用いることにより、車両9の車両登録番号に対応する車両識別番号を取得してもよい。
また、管制装置60は、路上カメラ81,82を用いて、車両9の位置を測定することもできる。本実施形態でいう車両9の位置とは、車両9の絶対的な位置である。
【0028】
インフラ80には、車両9内のユーザに対して所定の行為をする複数の装置も含まれる。当該複数の装置には、例えば、
図1に示す表示装置83及びゲート装置84が含まれる。
【0029】
表示装置83は、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザが視認可能な位置に設置されている。表示装置83は、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対し、管制装置60の指示に応じた表示を行う。具体的には、表示装置83は、ディスプレイを備え、管制装置60の指示に応じて、当該ディスプレイに画像の表示を行う。
【0030】
ゲート装置84は、ゲート50に設けられている。ゲート装置84は、管制装置60の指示に従ってゲート50の開閉状態の変更を行う。
車両9は、自動バレー駐車機能(以下、AVP機能という。)を有する。AVP機能には、管制装置60の誘導に従って自動運転を行う機能が含まれる。車両9のAVP機能は、車両9が備える自動バレー駐車システム(以下、AVPシステムという。)の種類と、管制装置60のシステムの種類と、が整合する場合に発揮される。言い換えれば、車両9が備えるAVPシステム及び管制装置60のシステムにはそれぞれ複数の種類が存在し、車両9のAVP機能が発揮されるためには両者が整合する必要がある。
【0031】
図2に示すように、車両9は、制御部91、通信部92、車載カメラ93、及び車載センサ94を備える。制御部91は、車両9の各部を制御する。AVP機能は、制御部91が行う制御により実現される。
【0032】
通信部92は、管制装置60と無線通信を行うことができる。これにより、車両9は、管制装置60から後述する地図情報及び誘導経路を取得することができる。車両9は、管制装置60から取得した地図情報及び誘導経路を、例えば、自動運転を行う際に使用する。
【0033】
車載カメラ93は、例えば車両9の前方を撮像可能なカメラである。車両9は、車載カメラ93を用いて、自動バレー駐車場1に設けられたマーカを含む範囲を撮像する。車両9は、撮像画像におけるマーカの相対的な位置に基づき、マーカと車両9自身との相対的な位置を測定することができる。具体的には、車両9は、管制装置60から取得した地図情報からマーカの絶対的な位置を読み取る。そして、車両9は、マーカと車両9自身との相対位置と、マーカの絶対的な位置と、から車両9自身の位置を推定する。車両9は、AVP機能を用いた駐車、すなわち管制装置60の誘導に従った自動運転による駐車を行うとき、上記の方法で繰り返し車両9自身の位置を推定する。
【0034】
車載センサ94は、AVP機能を用いた駐車、自動運転、又はその両方のために使用されるセンサである。車載センサ94は、例えば、カメラ、ライダ、ミリ波センサ等である。なお、車載カメラ93は、車載センサ94の一部であってもよいし、車載センサ94とは別のものであってもよい。車載センサ94は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0035】
[2.処理]
まず、管制システム6及び車両9が実行する入庫に関する処理について、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0036】
図3に示すA1では、ユーザの運転により専用道30を走行している車両9が、位置推定エリア31に到達する。
A2では、管制装置60が、位置推定エリア31に到達した車両9に対して、位置推定エリア31の地図情報を送信する。位置推定エリア31の地図情報は、位置推定エリア31に設けられた複数のマーカ33それぞれの種類及び位置を特定している。車両9は、管制装置60から位置推定エリア31の地図情報を受信する。
【0037】
また、管制装置60は、位置推定エリア31に到達した車両9に対して情報の送信を要求する。ここで要求される情報には、次の(a)~(d)の情報が含まれる。
(a)車両9の識別情報。
(b)車両9が備えるAVPシステムの種類を示す情報。
(c)走行している状態において車両9が推定した車両9自身の位置を示す情報。
(d)上記(c)の情報に係る車両9の位置に車両9自身が存在した時刻を示す情報。
【0038】
本実施形態における上記(a)の情報は、前述したように、車両9の車両識別番号を示す情報である。上記(b)及び(c)の情報は、車両9の特性を示す特性情報に該当する。
【0039】
なお、A2における管制装置60と車両9との間の無線通信は、例えば、LTE(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に基づく無線通信を利用し、位置推定エリア31内に存在する車両9に対して管制装置60が情報を送信する方法により、実現することができる。
【0040】
A3では、車両9が、位置推定エリア31を走行している状態において車両9自身の位置を推定する。具体的には、車両9は、車載カメラ93を用いて、位置推定エリア31に設けられたマーカ33を含む範囲を撮像する。そして、車両9は、撮像画像におけるマーカ33の相対的な位置に基づき、マーカ33と車両9との相対的な位置を測定する。また、車両9は、管制装置60から受信した位置推定エリア31の地図情報から、マーカ33の絶対的な位置を読み取る。車両9は、マーカ33と車両9自身との相対的な位置と、マーカ33の絶対的な位置と、から車両9自身の位置を推定する。この推定方法は、車両9がAVP機能を用いた駐車を行うときに車両9自身の位置を推定する方法と同一である。
【0041】
A4では、車両9が、上記(a)~(d)の情報を管制装置60に送信する。上記(c)の情報としては、A3で車両9が推定した車両9自身の位置を示す情報が送信される。上記(d)の情報としては、A3で車両9が車両9自身の位置を推定するにあたり、車載カメラ93を用いて、位置推定エリア31に設けられたマーカ33を含む範囲を撮像した時刻を示す情報が送信される。管制装置60は、車両9から上記(a)~(d)の情報を受信する。
【0042】
なお、A3~A4で、管制装置60からの要求に応じて車両9が車両9自身の位置を推定し、管制装置60に情報を送信することは、車両9が駐車エリア10へ入庫しようとしていることを示すものである。
【0043】
A5では、管制装置60が、路上カメラ81を用いて、位置推定エリア31を走行している車両9の位置を測定する。具体的には、管制装置60は、路上カメラ81による撮像画像のうち、車両9から受信した上記(d)の情報が示す時刻と同じ時刻t1における撮像画像を用いて、車両9の位置を測定する。時刻t1において路上カメラ81が車両9を撮像していなかった場合には、管制装置60は、時刻t1よりも前の時刻における撮像画像と、時刻t1よりも後の時刻における撮像画像と、を用いて、補間計算により時刻t1における車両9の位置を測定する。
【0044】
A6では、管制装置60が、動的推定精度を算出する。具体的には、管制装置60は、A4で車両9から受信した上記(c)の情報が示す、車両9自身により推定された車両9の位置と、A5で測定した車両9の位置と、の差に基づいて、動的推定精度を算出する。差が小さいほど、動的推定精度は高い。
【0045】
A7では、管制装置60が、A4で受信した車両9が備えるAVPシステムの種類を示す情報(すなわち、上記(b)の情報)及びA6で算出した動的推定精度を示す情報を、A4で受信した車両9の識別情報(すなわち、上記(a)の情報)に対応させてメモリ612に記録する。言い換えれば、管制装置60は、A4で受信した車両9が備えるAVPシステムの種類を示す情報及びA6で算出した動的推定精度を示す情報と、A4で受信した車両9の識別情報と、を紐づけて、これらをメモリ612に記録する。
【0046】
A8では、車両9が、ゲート前エリア32に到達して一時停止する。
A9では、管制装置60が、路上カメラ82を用いてゲート前エリア32に存在する車両9のナンバープレートを撮像し、ゲート前エリア32に存在する車両9の識別情報(すなわち、上記(a)の情報)を取得する。
【0047】
A10では、管制装置60が、ゲート前エリア32に存在する車両9について、駐車エリア10への入庫要件(以下、単に入庫要件という。)を満たすかを判定する。本実施形態では、入庫要件として、次の(i)及び(ii)の要件が定められている。入庫要件を満たさない場合には、駐車エリア10への車両9の入庫は認められず、駐車エリア10への車両9の進入が制限される。
【0048】
(i)車両9が備えるAVPシステムの種類が、自動バレー駐車場1が備えるシステムの種類と整合すること。
(ii)車両9の動的推定精度が、あらかじめ定められた基準精度を満たすこと。
【0049】
具体的には、管制装置60は、A10で、既に取得されている情報のうち、A9で取得した車両9の識別情報(すなわち、上記(a)の情報)に対応する情報に基づいて、車両9が入庫要件を満たすかを判定する。既に取得されている情報とは、既にメモリ612に記録されている情報、すなわち事前にメモリ612に記録された情報を指す。管制装置60は、より詳細には、A9で取得した上記(a)の情報と、A2で事前に取得した上記(a)の情報と、に基づいて、ゲート前エリア32に存在する車両9についての上記(b)の情報をメモリ612から参照し、車両9が入庫要件を満たすかを判定する。管制装置60は、A9で取得した上記(a)の情報に対応する、車両9が備えるAVPシステムの種類を示す情報(すなわち、上記(b)の情報)に基づいて、車両9が上記(i)の要件を満たすかを判定する。また、管制装置60は、A9で取得した上記(a)の情報に対応する、動的推定精度を示す情報に基づいて、車両9が上記(ii)の要件を満たすかを判定する。
【0050】
A10で、ゲート前エリア32に存在する車両9が入庫要件を満たさない、すなわち上記(i)及び(ii)の要件の少なくとも一方を満たさないと判定された場合、後述するA11~A15の処理が行われる。一方、A10で、ゲート前エリア32に存在する車両9が入庫要件を満たす、すなわち上記(i)及び(ii)の要件の双方を満たすと判定された場合、後述するA16~A32の処理が行われる。
【0051】
なお、本実施形態では、入庫要件として上記(i)及び(ii)の要件が定められているため、上記A2にて、管制装置60は、上記(a)~(d)の情報の送信を車両9に要求した。しかし、入庫要件として、例えば、上記(i)及び(ii)の要件のうちの一方のみ、あるいは他の要件が定められている場合、上記A2ではその要件の判定のために必要な情報、例えば上記(a)~(d)の情報のうちの一部についてのみ、車両9に送信を要求してもよい。
【0052】
A11では、管制装置60が、インフラ80に含まれる表示装置83に、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対して入庫不可表示を行うよう指示する。入庫不可表示とは、駐車エリア10への入庫が認められない旨を示す表示である。入庫不可表示は、駐車エリア10への進入制限に関する報知に相当する。
【0053】
A12では、表示装置83が、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対して入庫不可表示を行う。具体的には、表示装置83は、駐車エリア10ではなく一般駐車場に向かうように促す画像の表示を行う。表示装置83は、駐車エリア10へ入庫できないことを示す画像の表示を行ってもよい。
【0054】
A13では、管制装置60が、インフラ80に含まれるゲート装置84に、ゲート50の開閉状態の変更を行うよう指示する。具体的には、管制装置60は、閉じている状態のゲート50を開けること、及び車両9の通過後にゲート50を閉じることを、ゲート装置84に指示する。
【0055】
A14では、ゲート装置84が、管制装置60の指示に従ってゲート50の開閉状態の変更を行う。
A15では、ゲート50を通過した車両9が、分岐道40を通って自動バレー駐車場1から退場し、一般駐車場に入る。
【0056】
図4に示すA16では、管制装置60が、インフラ80に含まれる表示装置83に、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対して入庫可能表示を行うよう指示する。入庫可能表示とは、駐車エリア10への入庫が認められる旨を示す表示である。入庫可能表示も、駐車エリア10への進入制限に関する報知に相当する。
【0057】
A17では、表示装置83が、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対して入庫可能表示を行う。具体的には、表示装置83は、複数の車室20のいずれかに入るように促す画像の表示を行う。表示装置83は、車両9が入るべき車室20を示す画像の表示を行ってもよい。車両9が入るべき車室20を示す画像とは、例えば、車両9が入るべき車室20の位置を示す画像や、車両9が入るべき車室20に対応する車室番号を示す画像である。
【0058】
A18では、管制装置60が、前述したA13と同様に、インフラ80に含まれるゲート装置84に、ゲート50の開閉状態の変更を行うよう指示する。
A19では、ゲート装置84が、管制装置60の指示に従ってゲート50の開閉状態の変更を行う。
【0059】
A20では、ゲート50を通過した車両9が、専用道30を通って複数の車室20の1つに入り、停車する。そして、車両9からユーザが降車する。
車両9から降車したユーザは、個別端末70に情報を入力する。ここで入力される情報には、駐車区画11への入庫を要求する入庫要求が含まれる。なお、ユーザは、ユーザ自身が携帯しているスマートフォンに情報を入力してもよい。この場合、スマートフォンに入力された情報は、スマートフォンと管制装置60との間の無線通信により、あるいはスマートフォンの携帯電話通信網とサーバとを介して、管制装置60に入力される。
【0060】
A21では、個別端末41が、ユーザにより入力された情報を管制装置60に送信する。なお、スマートフォンが、ユーザにより入力された情報を管制装置60に送信してもよい。管制装置60は、個別端末41又はスマートフォンから、ユーザにより入力された情報を受信する。
【0061】
A22では、管制装置60が、車両9を誘導する駐車区画11を選定する。以下、A22で選定された駐車区画11を目標駐車位置という。
A23では、管制装置60が、目標駐車位置までの誘導経路を算出する。
【0062】
A24では、管制装置60が、駐車エリア10の地図情報及びA23で算出した誘導経路を車両9に送信する。車両9は、駐車エリア10の地図情報及び誘導経路を受信する。また、管制装置60は、車両9にイグニッションオン指示を送信する。イグニッションオン指示とは、イグニッションをオンにすることを指示するものである。車両9は、イグニッションオン指示に応じてイグニッションをオンにする。
【0063】
A25では、車両9が、イグニッションオン通知を管制装置60に送信する。イグニッションオン通知とは、イグニッションが既にオンになったことを表す通知である。
A26では、車両9が、目標駐車位置に向かう自動運転を行い、車両9の現在位置を示す現在位置情報を管制装置60に送信する。車両9の現在位置とは、車両9が推定した、現時点における車両9自身の位置である。管制装置60は、車両9から現在位置情報を受信する。
【0064】
A27では、管制装置60が、A26で受信した現在位置情報に基づき、交通管理を行う。管制装置60は、必要に応じて、車両9に対し、停止、発進及びリルートを指示する。車両9は、指示に応じて、停止、発進及びリルートを行う。
【0065】
A28では、車両9が、目標駐車位置に車両9自身が到着したか否かを判定する。A28で車両9が目標駐車位置に未だ到着していないと判定された場合、本処理はA26に戻る。A28で車両9が目標駐車位置に到着したと判定された場合、本処理はA29に進む。
【0066】
A29では、車両9が、到着通知を管制装置60に送信する。到着通知とは、車両9が目標駐車位置に到着したことを表す通知である。管制装置60は、車両9から到着通知を受信する。
【0067】
A30では、管制装置60が、イグニッションオフ指示を車両9に送信する。イグニッションオフ指示とは、イグニッションをオフにすることを指示するものである。車両9は、イグニッションオフ指示に応じてイグニッションをオフにする。
【0068】
A31では、車両9が、イグニッションオフ通知を管制装置60に送信する。イグニッションオフ通知とは、イグニッションがオフになったことを表す通知である。管制装置60は、車両9からイグニッションオフ通知を受信する。
【0069】
A32では、管制装置60が駐車完了通知を個別端末70に送信する。駐車完了通知とは、駐車区画11への車両9の駐車が完了したことを表す通知である。なお、管制装置60は、駐車完了通知をスマートフォンに送信してもよい。管制装置60から駐車完了通知が送信されると、本処理は終了する。
【0070】
次に、前述したA2~A18において管制装置60が実行する入庫前処理について、
図5を用いて説明する。
管制装置60は、次のS101を繰り返す。S101で、管制装置60は、位置推定エリア31に到達した車両9に対して情報の送信を要求する。ここで要求される情報には、上記(a)~(d)の情報が含まれる。S101は、前述したA2の処理に該当する。
【0071】
S101と並行して、管制装置60は、次のS102~S105を繰り返す。
S102で、管制装置60は、車両9から上記(a)~(d)の情報を受信する。S102は、前述したA4の処理に該当する。
【0072】
S103で、管制装置60は、位置推定エリア31を走行している車両9の位置を測定する。S103は、前述したA5の処理に該当する。
S104で、管制装置60は、S102で受信した上記(c)の情報及びS103で測定した車両9の位置に基づいて、動的推定精度を算出する。S104は、前述したA6の処理に該当する。
【0073】
S105で、管制装置60は、S102で受信した上記(b)の情報及びS104で算出した動的推定精度を示す情報を、S102で受信した上記(a)の情報に対応させてメモリ612に記録する。S105は、前述したA7の処理に該当する。
【0074】
S101~S105と並行して、管制装置60は、次のS106~S110を繰り返す。
S106で、管制装置60は、路上カメラ81を用いてゲート前エリア32に存在する車両9のナンバープレートを撮像し、当該車両9の識別情報(すなわち、上記(a)の情報)を取得する。S106は、前述したA9の処理に該当する。
【0075】
S107で、管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9が入庫要件を満たすかを判定する。具体的には、既に取得されている情報のうち、S106で取得した上記(a)の情報にそれぞれ対応する上記(b)の情報及び動的推定精度を示す情報に基づいて、管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9が上記(i)及び(ii)の要件の双方を満たすかを判定する。S107は、前述したA10の処理に該当する。
【0076】
S107でゲート前エリア32に存在する車両9が入庫要件を満たすと判定した場合、管制装置60は、S108で、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対して入庫可能表示を行うよう、表示装置83に指示する。S108は、前述したA16の処理に該当する。
【0077】
一方、S107でゲート前エリア32に存在する車両9が入庫要件を満たさないと判定した場合、管制装置60は、S109で、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対して入庫不可表示を行うよう、表示装置83に指示する。S109は、前述したA11の処理に該当する。
【0078】
S108又はS109の処理が終了すると、管制装置60は、S110で、ゲート装置84に、ゲート50の開閉状態の変更を行うよう指示する。S110は、前述したA13及びA18の処理に該当する。
【0079】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対し、既に取得されている、車両9が備えるAVPシステムの種類を示す情報及び動的推定精度を示す情報のうち、ゲート前エリア32に存在する車両9の識別情報に対応する情報に応じた行為をする。
【0080】
このような構成によれば、管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9が、事前に取得された特性情報のうちのいずれに係る車両9か、を特定することができる。したがって、車両9の特性情報が事前に取得される場合に、管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対して、車両9の特性に応じた行為をすることができる。また、事前に特性情報を取得していることから、管制装置60は、特定位置に存在している車両6についての駐車エリア10への入庫可否を速やかに判定することができる。
【0081】
(3b)管制装置60は、車両9の特性情報及び識別情報を、車両9から無線通信により取得する。このような構成によれば、管制装置60は、例えば走行している状態における車両9の特性情報に基づいて、ゲート前エリア32に存在する車両9内のユーザに対して、車両9の特性に応じた行為をすることができる。
【0082】
(3c)管制装置60は、車両9の特性に応じた行為として、駐車エリア10への進入制限に関する報知、具体的には表示を行う。このような構成によれば、ゲート前エリア32において、すなわち駐車エリア10よりも手前の位置において、車両9内のユーザに対して駐車エリア10への進入制限を報知することができるため、自動バレー駐車場1を円滑に運用することができる。
なお、上記実施形態では、S102が事前取得部としての処理に相当し、S106が特定取得部としての処理に相当し、S107が判定部としての処理に相当し、S108~S110が行為部としての処理に相当する。
【0083】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0084】
(4a)上記実施形態では、自動バレー駐車場1は、ゲート50及びゲート前エリア32を1つずつ備えるが、例えば、自動バレー駐車場1は、複数のゲート50及び各ゲート50に対応する複数のゲート前エリア32を備えてもよい。
【0085】
(4b)上記実施形態では、管制装置60は、路上カメラ82を用いて、ゲート前エリア32に存在する車両9の識別情報を取得する。しかし、ゲート前エリア32に存在する車両9の識別情報を管制装置60が取得する方法は、これに限定されない。管制装置60は、例えば、インフラ80に含まれる狭域通信装置を用いて、ゲート前エリア32に存在する車両9の識別情報を取得してもよい。ここでいう狭域通信装置とは、ゲート前エリア32を通信可能エリアとする装置である。
【0086】
例えば自動バレー駐車場1が複数のゲート前エリア32を備える場合、ゲート前エリア32同士が隣接して設けられることも考えられる。このような場合であっても、インフラ80に含まれる狭域通信装置を用いることにより、あるいは上記実施形態のように路上カメラ82を用いることにより、管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9について、隣接するゲート前エリア32に存在する車両9と混同せずに、識別情報を取得することができる。
【0087】
(4c)上記実施形態では、管制装置60は、ゲート前エリア32に車両9が到達する前に、無線通信により車両9から当該車両9の情報を取得する。しかし、管制装置60が事前に車両9の情報を取得する方法は、車両9からの無線通信に限定されず、例えば、スマートフォン等の携帯端末からの無線通信であってもよい。また例えば、駐車エリア10への経路上に管制装置60との有線通信が可能な端末が設けられ、当該端末に車両9の情報が入力される場合、管制装置60は、当該端末からの有線通信により車両9の情報を取得してもよい。
【0088】
(4d)上記実施形態では、管制装置60は、車両9の識別情報として、車両9の車両識別番号を示す情報を取得するが、車両9の識別情報は、これに限定されない。例えば、上記実施形態のように撮像装置を用いて管制装置60が車両9の識別情報を取得する場合、車両9の識別情報は、車両9の大きさ、色、車種等、車両9の外観から識別可能な車両9の他の要素を示す情報であってもよい。また例えば、インフラ80に含まれる狭域通信装置を用いて管制装置60が車両9の識別情報を取得する場合、車両9の識別情報は、管制システム6において車両9に割り振られたIDや、車両9の入庫予約番号等を示す情報であってもよい。
【0089】
(4e)上記実施形態では、管制装置60は、車両9の特性情報として、車両9が備えるAVPシステムの種類を示す情報、及び走行している状態において車両9が推定した車両9自身の位置を示す情報を取得する。そして、これらの情報に基づいて、具体的には上記(i)及び(ii)の要件を満たすかどうかによって、管制装置60は、駐車エリア10への車両9の進入を制限する。
【0090】
しかし、車両9の特性情報は、上記実施形態で例示した情報に限定されない。車両9の特性情報は、例えば、駐車エリア10への車両9の入庫予約の有無、車両9の大きさ、車両9のガソリン残量等を示す情報であってもよい。そして、上記(i)及び(ii)の要件に加えて、又は少なくとも一方の要件に代えて、例えば、駐車エリア10への車両9の入庫予約が行われていること、車両9の大きさが所定の大きさ以下であること、車両9のガソリン残量が所定の基準量以上であること等の要件が設定されてもよい。管制装置60は、設定された要件を満たすかどうかによって、駐車エリア10への車両9の進入制限を判定してもよい。例えば、管制装置60は、入庫予約を行っていない車両9の駐車エリア10への進入を制限してもよいし、大きさ又はガソリン残量等の基準を満たさない車両9の駐車エリア10への進入を制限してもよい。
【0091】
(4f)上記実施形態では、管制装置60は、事前に取得した車両9の特性情報に基づいて駐車エリア10への車両9の入庫可否、すなわち駐車エリア10への車両9の進入制限の有無を判定した。しかし、管制装置60は、例えば、駐車エリア10への車両9の進入制限の程度を判定してもよい。具体的には、例えば、駐車エリア10における一部の領域のみが大型車に対応している場合、管制装置60は、車両9の大きさに応じて駐車エリア10における車両9を入庫可能な領域を判定してもよい。
【0092】
(4g)上記実施形態では、管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9について、入庫要件を満たすかを判定する。すなわち、管制装置60は、車両9がゲート前エリア32に到達した後に、当該車両9が入庫要件を満たすかを判定する。しかし、管制装置60は、車両9がゲート前エリア32に到達する前に、当該車両9が入庫要件を満たすかを判定してもよい。具体的には、管制装置60は、位置推定エリア31に到達した車両9に対して情報の送信を要求し、当該車両9から情報を取得した後、当該車両9が位置推定エリア31からゲート前エリア32に向けて走行している間に、当該車両9が入庫要件を満たすかを判定してもよい。そして、管制装置60は、車両9から事前に取得した車両9の識別情報に対応させて、その判定結果をメモリ612に記録してもよい。
【0093】
このような構成によれば、車両9がゲート前エリア32に到達した時点で既に上記判定結果が出されているため、管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9の識別情報を取得すると直ちに、メモリ612に記録された判定結果のうち当該識別情報に対応する上記判定結果に基づいて、車両9の特性情報に応じた行為を行うことができる。つまり、自動バレー駐車場1を円滑に運用することができる。
【0094】
(4h)上記実施形態では、ゲート50は、専用道30における分岐道40への分岐点よりも手前の位置に設けられているが、例えば、ゲート50は、当該分岐点よりも後の位置、すなわち当該分岐点よりも複数の車室20に近い位置に設けられてもよい。具体的には、例えば、ゲート前エリア32が分岐道40への分岐点となるように構成されてもよい。
【0095】
このような構成によれば、ゲート50が閉じている状態でも入庫不可表示により車両9を一般駐車場に向わせることができるため、例えば、ゲート前エリア32に存在する車両9が入庫要件を満たす場合にのみゲート50を開け、当該車両9が入庫要件を満たさない場合にはゲート50が閉じている状態を維持することができる。つまり、入庫要件を満たさない車両9が駐車エリア10に進入することを、当該車両9を運転するユーザの自主性に任せず、強制的に制限することができる。なお、このような構成におけるゲート50は、駐車エリア10への車両9の進入を物理的に制限可能なゲートに相当する。
【0096】
(4i)上記実施形態では、ゲート50は、車両9の走行を物理的に妨げることができる構成、具体的にはバー等を備える。しかし、ゲート50は、例えば、路面又は空間に投影された画像として構成されてもよい。この場合、ゲート50が開いている状態及び閉じている状態は、文字(例えば、入庫可能、入庫不可といった文字等)や図形(例えば、車室20に向かう矢印、壁のような画像)等により表現される。このような画像を用いることにより、車両9を運転しているユーザに対し、多様な表現で駐車エリア10への進入制限に関する報知を行うことができる。
【0097】
(4j)上記実施形態では、自動バレー駐車場1は、ゲート50を備えるが、必ずしもゲート50を備えなくてもよい。また、ゲート前エリア32で車両9が一時停止しない構成としてもよい。この場合、管制装置60は、ゲート前エリア32を通過中の車両9に対して、当該車両9の特性情報に応じた行為、例えば報知を行う。管制装置60は、車両9がゲート前エリア32に到達する前に車両9の特性情報を取得するため、車両9がゲート前エリア32に到達してから初めて車両9の特性情報を取得する場合と比較して、車両9を円滑に通過させることができる。つまり、自動バレー駐車場1を円滑に運用することができる。
【0098】
(4k)上記実施形態では、管制装置60は、位置推定エリア31及びゲート前エリア32のそれぞれにおいて、車両9の識別情報を取得する。しかし、例えば、位置推定エリア31からゲート前エリア32まで車両9を追跡する場合、ゲート前エリア32において車両9の識別情報を取得しなくても、管制装置60は、ゲート前エリア32に存在する車両9の識別情報を特定可能である。管制装置60が車両9を追跡する方法としては、インフラ80に含まれるライダ等により車両9を検出し続ける方法、車両9から現在位置情報を取得し続ける方法等が挙げられる。
【0099】
(4l)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0100】
(4m)本開示は、前述した管制装置60の他、管制装置60を構成要素とする管制システム6、管制装置60としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体など、種々の形態で実現することができる。