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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】熱交換器及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20240806BHJP
   F24F 1/16 20110101ALI20240806BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20240806BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F24F1/16
F28D1/047 C
F28F9/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023004815
(22)【出願日】2023-01-17
(65)【公開番号】P2024101091
(43)【公開日】2024-07-29
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大野 士
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-325790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327343(US,A1)
【文献】特開2019-132549(JP,A)
【文献】実開平04-115281(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/00 - 99/00
F28D 1/00 - 13/00
F25B 39/00 - 39/04
F24F 1/00 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の伝熱管を有する複数の熱交換部を有し、
前記各熱交換部は、段方向に配置される前記複数の伝熱管の各々の一端が接続される第1ヘッダを有し、
前記各第1ヘッダ同士は段方向に垂直な向きで隣り合って配置され、
前記隣り合って配置された第1ヘッダの上端同士または下端同士の少なくとも一方に嵌合する嵌合部材を有し、
前記嵌合部材は、当該嵌合部材に嵌合する前記第1ヘッダと同数の嵌合部を備え、
少なくとも1つの前記嵌合部は、当該嵌合部に嵌合する前記第1ヘッダに接する突起部を有することを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記複数の熱交換部は列方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数の伝熱管は、内部に複数の冷媒の通路を有する扁平管であることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記各熱交換部における、列方向に隣り合う前記複数の伝熱管の各々の他端同士を接続する第2ヘッダを有することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記複数の熱交換部は、前記第1ヘッダと前記第2ヘッダの間で折り曲げられていることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
記嵌合部は、複数の前記第1ヘッダ同士間の距離を所定寸法に保持することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記嵌合部材は、弾性変形可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記嵌合部材は、前記第1ヘッダの動きを規制する規制部を有することを特徴とする請求項に記載の熱交換器。
【請求項9】
筐体を有する室外機を備え、
前記室外機は、請求項1からのいずれか1項に記載の熱交換器を前記筐体に固定する固定部材を有し、
前記熱交換器は、前記嵌合部材を介して前記固定部材によって前記筺体に固定されることを特徴とする空気調和機。
【請求項10】
前記嵌合部材は、絶縁材料で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、熱交換器及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内空間の空気調和を行う空気調和機が知られている。特許文献1には、この種の空気調和機を構成する室外機が開示されている。特許文献1の室外機には、複数の伝熱管とこれらの伝熱管に対して固定された放熱フィンとを備えた熱交換部が空気の流れる方向に2台並べられる熱交換器が配置されている。この熱交換部が空気の流れる方向に2台並べられる熱交換器はL字状に折り曲げられ、各熱交換部の一方の端部にはそれぞれの伝熱管に接続するヘッダが設けられ、各熱交換部の他方の端部には各熱交換部の伝熱管同士を連結する連結ヘッダが設けられる。
【0003】
通常、特許文献1に開示されたL字状に折り曲げられた熱交換器を形成する場合は、溶接等により接続された伝熱管と放熱フィンを備えた2台の平坦な熱交換部を製作し、2台の熱交換部における一方の端部のそれぞれにヘッダを接続し、2台の熱交換部の他方の端部同士を連結ヘッダで接続してから、2台の熱交換部を重ねた状態で折り曲げ加工を施す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO2016/052299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、2台の平坦な熱交換部を重ねた状態で折り曲げ加工を施すことによって、L字状に折り曲げられた熱交換器を形成した場合、2台の熱交換部における一方の端部のそれぞれに接続されたヘッダ同士の相対的な位置関係が設計上の位置関係と異なる場合が発生する。また、折り曲げ加工せずに2台の平坦な熱交換部を重ねた場合であっても、各部品の寸法公差やヘッダに多数の伝熱管を挿入する時の組付け誤差などにより、ヘッダ同士の相対的な位置関係が設計上の位置関係と異なる場合がある。ヘッダ同士の相対的な位置関係が設計上の位置関係と異なる状態で、熱交換器を室外機の筐体に組み付けて各ヘッダと冷媒回路の配管との溶接を行う場合、ヘッダ同士の間隔が設計上の位置関係となるように熱交換部に力を加えて各ヘッダと冷媒回路との接続個所を合わせる必要があり、溶接作業が困難となる。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、複数の熱交換部それぞれの一端側に配置されたヘッダを有する熱交換器における、ヘッダ同士の位置関係を適正にすることができる熱交換器及び空気調和機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の伝熱管を有する複数の熱交換部を有し、各熱交換部は、段方向に配置される複数の伝熱管の各々の一端が接続される第1ヘッダを有し、各第1ヘッダ同士は段方向に垂直な向きで隣り合って配置され、隣り合って配置された第1ヘッダの上端同士または下端同士の少なくとも一方に嵌合する嵌合部材を有し、嵌合部材は、当該嵌合部材に嵌合する第1ヘッダと同数の嵌合部を備え、少なくとも1つの嵌合部は、当該嵌合部に嵌合する第1ヘッダに接する突起部を有する熱交換器である。
【0008】
本発明の他の態様は、筐体を有する室外機を備え、室外機は、本発明の一態様の熱交換器を筐体に固定する固定部材を有し、熱交換器は、嵌合部材を介して筺体に固定される空気調和機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の熱交換部それぞれの一端側に配置されたヘッダを有する熱交換器における、ヘッダ同士の位置関係を適正にすることができる熱交換器及び空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の冷媒回路図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の外観斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の内部の状態を前側から示す外観斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の内部の状態を後側から示す外観斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る室外熱交換器であり、折り曲げる前の状態を示す外観斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る室外熱交換器であり、折り曲げた後の状態を示す外観斜視図である。
図7】折り曲げ加工を施した際に第1熱交換部と第2熱交換部とに生ずる歪みの状態の例を示す模式図である。
図8】本発明の実施形態に係る室外熱交換器に嵌合部材を取り付けた状態を示す外観斜視図であり、(a)は嵌合部材が取り付けられた状態を示す室外熱交換器の全体斜視図、(b)は液側ヘッダとガス側ヘッダの下側に下側嵌合部材が取り付けられた状態を拡大して示す部分拡大図である。
図9】本発明の実施形態に係る室外熱交換器の嵌合部材を示す外観斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係る室外熱交換器に第1固定金具及び第2固定金具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る熱交換器及び空気調和機を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機1の冷媒回路図である。また図2は、本発明の実施形態に係る空気調和機1の室外機11の外観斜視図である。
【0012】
図1を用いて空気調和機1について説明する。空気調和機1は暖房運転及び冷房運転が可能であり、室内に配置される室内機5と屋外に設置される室外機11とが冷媒配管3を介して接続されている冷媒回路2を備えている。室外機11は、室外熱交換器13と室外熱交換器13に外気を送風するための室外送風機16と、圧縮機12と、アキュムレータ19と、四方弁15と、室外機側膨張弁14とを備えている。室外送風機16はファンモータによって駆動する。室内機5は、室内熱交換器7と、室内熱交換器7に室内の空気を送風するための送風機9とを備えている。
【0013】
冷媒回路2は、圧縮機12と、四方弁15と、室外熱交換器13と、室外機側膨張弁14と、室内熱交換器7と、アキュムレータ19とが冷媒配管3で接続されて構成されている。四方弁15と室外熱交換器13とに接続する冷媒配管3はガス側冷媒配管18となり、室外熱交換器13と室外機側膨張弁14とを接続する冷媒配管3は液側冷媒配管17となる。室外熱交換器13は本発明における熱交換器である。
【0014】
詳細は後述するが、本実施形態において、室外熱交換器13は、第1熱交換部21の一端側に設けられる第1ヘッダとしての液側ヘッダ23と、第2熱交換部22の一端側に設けられる第1ヘッダとしてのガス側ヘッダ24と、他端側に設けられる第2ヘッダとしての折り返しヘッダ25とを有している。また、本発明の実施形態における室外熱交換器13は上側から見てL字状に形成され、L字の長手部分が筐体背面に臨む位置に配置され、L字の短手部分が筐体の側面に臨む位置に配置されている。
【0015】
図1において、実線で示す矢印は冷房運転の場合の冷媒配管3における冷媒の流れを示し、破線で示す矢印は暖房運転の場合の冷媒配管3における冷媒の流れを示す。冷房運転の場合は、圧縮機12で圧縮されて高温高圧のガス相状態となった冷媒は四方弁15及びガス側冷媒配管18を介して室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した高温高圧のガス相状態の冷媒は、室外熱交換器13を流れる間に室外送風機16によって送風された外気と熱交換することによって凝縮し液相状態の冷媒となり室外熱交換器13から流出する。室外熱交換器13から流出した液相状態の冷媒は液側冷媒配管17を介して室外機側膨張弁14を通過する際に減圧され気液二相状態となる。減圧され気液二相状態となった冷媒は室内熱交換器7に流入し、室内熱交換器7を流れる間に送風機9によって送風された室内の空気と熱交換して蒸発しガス相状態の冷媒となり室内熱交換器7から流出する。室内熱交換器7から流出したガス相状態の冷媒はアキュムレータ19を介して圧縮機12に戻って圧縮され再び高温高圧のガス相状態となる。
【0016】
暖房運転の場合は、冷媒は四方弁15によって冷房運転と逆の流れとなる。暖房運転時において、圧縮機12で圧縮されて高温高圧のガス相状態となった冷媒は室内熱交換器7に流入する。室内熱交換器7に流入した高温高圧のガス相状態の冷媒は、室内熱交換器7を流れる間に送風機9によって送風された室内の空気と熱交換することによって放熱され液相状態の冷媒となり室内熱交換器7から流出する。室内熱交換器7を通過する高温高圧の冷媒と熱交換をした室内の空気は暖められる。室内熱交換器7を通過した液相状態の冷媒は、室外機側膨張弁14を通過する際に減圧され気液二相状態となる。減圧され気液二相状態となった冷媒は液側冷媒配管17を介して室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13を流れる冷媒は、室外熱交換器13を流れる間に室外送風機16によって送風された外気と熱交換して蒸発しガス状態の冷媒となる。室外熱交換器13から流出したガス状態の冷媒は、ガス側冷媒配管18、アキュムレータ19を介して圧縮機12に戻って圧縮され高温高圧のガス相状態となる。
【0017】
次に図2に基づいて、本発明の実施形態における室外機11について説明する。室外機11は箱型の筐体6を備えている。すなわち、図2に示す室外機11のように、室外機11を水平面上に設置したときの鉛直方向(図面において上下方向)を縦とし、図2に示す室外機11を後述する正面板42から見た場合における左右方向を横と表す
【0018】
以下において説明する室外機については、図2に示す形状を有する室外機11を例に挙げる。但し室外機11については、図2等に示すような形状の他、筐体6の内部に取り付けられる各種機器の大きさや個数によってその形状(縦横比)を自由に設定することができる。
【0019】
なお以下においては、上下左右について、図2の矢印で示すように縦方向を上側、下側とし、横方向を左側、右側として説明する。また、上下方向と左右方向とに直交する方向として図面正面側を前側とし、背面側を後ろ側と表す。なお、図2以下の各図においても同様である。
【0020】
筐体6は、上側に位置する天板40と、圧縮機12や室外熱交換器13などを載置する底板41と、前側に位置する正面板42と、正面板42の反対側である後側に位置する背面板43と、正面板42の左側に位置する左側面板44と、正面板42の右側に位置する右側面板45の6面を有する。背面板43と左側面板44には図示しない吸込口が形成される。L字状の室外熱交換器13は背面板43と左側面板44に形成された吸込口に面するように配置されている。
【0021】
室外送風機16の回転によって吸込口から取り込まれた外気は、筐体6の後側、或いは、左側に示される矢印の向きに室外熱交換器13に流入する。筐体6の正面板42には吹出口46が形成され、吹出口46にはファンガード47が取り付けられている。室外送風機16の回転によって吹出口46からは室外熱交換器13で冷媒と熱交換した空気が、図2の矢印に示すように筐体6の前側に吹き出す。
【0022】
次に図3及び図4に基づいて、室外機11の内部について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る空気調和機1の室外機11の内部の状態を前側から示す外観斜視図である。また、図4は、本発明の実施形態に係る空気調和機1の室外機11の内部の状態を後側から示す外観斜視図である。
【0023】
室外機11の筐体6の内部には、筐体6の内部を左右に仕切る仕切板50が配置されている。仕切板50の前後方向の前端部は正面板42の内面に接続し、仕切板50の前後方向の後端部は背面板43の内面との間に後述する室外熱交換器13の長手部分が配置できる程度の隙間が形成されるように配置されている。筐体6の内部は仕切板50より左側の送風機室51と右側の機械室52とに仕切られる。
【0024】
送風機室51には室外熱交換器13と室外送風機16が配置される。上述したように本実施形態では、上側から見てL字状に形成された室外熱交換器13の長手部分が筐体6の背面板43に臨むように配置される。従って、室外熱交換器13の長手部分は仕切板50の後端部と背面板43の内面との間に形成された隙間に配置される。そのため、室外熱交換器13の長手部分の端部に設けられた液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24は機械室52を臨むように配置されている。
【0025】
また、室外熱交換器13の短手部分は筐体6の左側面板44に面するように配置される。そのため、室外熱交換器13の短辺側の端部に設けられた折り返しヘッダ25は正面板42を臨むように配置されている。
【0026】
室外送風機16は、送風機室51において室外熱交換器13の長手部分と正面板42との間であって室外熱交換器13より前側に配置されている。室外送風機16がこの位置に配置されているので、上述したように、室外送風機16が回転することによって筐体6の後側及び左側に設けられている吸込口から取り込まれた外気は、室外熱交換器13において冷媒との間で熱交換を行って前側の吹出口46から吹き出される。
【0027】
機械室52には、室外機側膨張弁14と、アキュムレータ19と、圧縮機12と、四方弁15とが配置されている。また、図4に示されているように、機械室52を臨むように配置されている室外熱交換器13の液側ヘッダ23には複数の熱交液管53が接続され、熱交液管53には、液側中継部57を介して液側冷媒配管17が接続されている。すなわち、液側冷媒配管17の一端は液側中継部57を介して各熱交液管53に、他端は室外機側膨張弁14に接続されている。
【0028】
液側中継部57は、図4に示されているように、個々の熱交液管53に接続される液枝管57aと、複数の液枝管57aが集約される分流器57bと、一端が分流器57bに接続され、他端が液側冷媒配管17に接続される液主管57cと、から構成される。図4に示すように液主管57cは、分流器57bからアキュムレータ19を避けるように延び、図3に示すように正面側に引き出され液側冷媒配管17と液側接続部55を介して接続される。
【0029】
ガス側ヘッダ24には熱交ガス管54が接続されている。図4に示すように、熱交ガス管54には、ガス側中継部58を介してガス側冷媒配管18が接続されている。ガス側中継部58とガス側冷媒配管18とは、ガス側接続部56で接続されている。つまりガス側冷媒配管18の一端は、ガス側中継部58を挟んで熱交ガス管54に接続され、ガス側冷媒配管18の他端には四方弁15が接続される。
【0030】
詳細は図8を用いて後述するが、本発明の実施形態における室外熱交換器13の液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24には、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の位置を矯正するための嵌合部材30が取り付けられている。このうち、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の上端には、室外熱交換器13の液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の各上端に嵌合する上側嵌合部材31が配置され、また、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の各下端には、これらの各下端に嵌合する下側嵌合部材32が配置されている。
【0031】
図4に示すように、第1固定金具60は室外熱交換器13の上下方向にわたって設けられており、第1固定金具60の上端は上側嵌合部材31の上面を覆うように配置されている。一方、第1固定金具60の下端は、下側嵌合部材32の下側に回り込み、機械室52の底板41に固定されている。従って嵌合部材30(上側嵌合部材31、下側嵌合部材32)は図3、或いは、図4においては見えていない。
【0032】
また板状の第2固定金具61が、室外熱交換器13の上下方向にわたって配置され、上側嵌合部材31の配置位置に近い第2固定金具61の一端は、仕切板50に固定されている。一方その他端は、機械室52の底板41に固定されている。
【0033】
そして、第1固定金具60の上端及び下端がそれぞれ第2固定金具61に固定されることによって、室外熱交換器13が筐体6に固定される。また、上述したように、上側嵌合部材31及び下側嵌合部材32を挟み込むように第1固定金具60が配置されていることから、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24から上側嵌合部材31及び下側嵌合部材32が外れて液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24が直接室外熱交換器13の鉄材で形成されている部分に接触することがない。
【0034】
なお、第1固定金具60及び第2固定金具61は例えばアルミ材(アルミ合金)で形成されている。このように第1固定金具60及び第2固定金具61がアルミ材で形成されていることによって、例えば、振動や落下等によって室外熱交換器13にこれらの固定金具が接触したとしても電食が発生することを防止することができる。
【0035】
なお、第1固定金具60及び第2固定金具61は、本発明における固定部材である。また、詳細は後述するが、上側嵌合部材31及び下側嵌合部材32はそれぞれ絶縁性を有する材料で形成されている。
【0036】
室外熱交換器13は、図3、及び、図4に示されるように、並設される2つの熱交換部である第1熱交換部21と第2熱交換部22を備える。第1熱交換部21と第2熱交換部22は、それぞれ、上下方向である段方向に多段に配置されるとともに内部に冷媒の通路が形成された複数の伝熱管26と、段方向に隣り合う伝熱管26の間を空気が流れる複数の通風路を区画する複数のフィン27(図3以降の各図では一部のみを描画している)とを有する。
【0037】
各伝熱管26は内部に複数の冷媒の通路を有する扁平管である。第1熱交換部21と第2熱交換部22は、室外機11の内部に配置されたときに、第1熱交換部21が後側、第2熱交換部22が前側になるように、前後方向である列方向に配置される。
【0038】
後述する図5に示すように、第1熱交換部21の一端側には第1ヘッダとしての液側ヘッダ23が設けられ、第1熱交換部21の伝熱管26各々の一端が液側ヘッダ23に接続される。そして液側ヘッダ23からは上述したように、液側ヘッダ23に複数の熱交液管53の一端がそれぞれ接続される。一方、第2熱交換部22の一端側には第1ヘッダとしてのガス側ヘッダ24が設けられ、第2熱交換部22の伝熱管26各々の一端がガス側ヘッダ24に接続される。そしてガス側ヘッダ24からは上述したように、ガス側ヘッダ24に複数の熱交ガス管54の一端がそれぞれ接続される。第1熱交換部21と第2熱交換部22とは列方向(前後方向)に配置されていることから、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24とは、例えば図3に示すように、前後方向で隣り合って配置される。
【0039】
第1熱交換部21及び第2熱交換部22の他端側には第2ヘッダとしての折り返しヘッダ25が設けられ、第1熱交換部21の伝熱管26の各々の他端と第2熱交換部22の伝熱管26の各々の他端とが折り返しヘッダ25に接続される。室外熱交換器13を構成する伝熱管26、フィン27、液側ヘッダ23、ガス側ヘッダ24、折り返しヘッダ25は、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金で形成される。
【0040】
次に、本発明の実施形態における室外熱交換器13の製造の流れについて図面を用いて説明するとともに、嵌合部材30についても説明する。図5は、本発明の実施形態に係る室外熱交換器13であり、L字状に折り曲げる前の状態を示す外観斜視図である。また図6は、本発明の実施形態に係る室外熱交換器13であり、折り曲げた後の状態を示す外観斜視図である。
【0041】
まず、伝熱管26、フィン27、液側ヘッダ23、ガス側ヘッダ24、折り返しヘッダ25、熱交液管53、及び、熱交ガス管54という室外熱交換器13を構成する各部材を組み付ける。各部材の表面にはろう層(クラッド層)が設けられており、組み付け後に加熱してろう層を溶融させ各部材を接合する。
【0042】
この状態では、図5に示すように第1熱交換部21及び第2熱交換部22のいずれも折り曲げられておらず直線状のままである。第1熱交換部21と第2熱交換部22とは、その段方向の長さ(上下方向の高さ)は等しいものの、左右方向の長さは異なるように形成されている。
【0043】
このように第1熱交換部21及び第2熱交換部22の左右方向の長さが異なるように形成されているのは、後述するような折り曲げ加工が施された際に液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の位置を揃えるためである。本発明の実施形態においては、図3に示すように折り返しヘッダ25が筐体6の正面(前側)を向くように折り曲げられるので、折り曲げられた際に内側となる第2熱交換部22の左右方向の長さの方が第1熱交換部21の左右方向の長さよりも短くなるように形成されている。
【0044】
そして、第1熱交換部21及び第2熱交換部22それぞれの伝熱管26の他端は折り返しヘッダ25に接続されている。すなわち折り返しヘッダ25によって第1熱交換部21と第2熱交換部22の他端が固定される。一方、第1熱交換部21の一端には液側ヘッダ23が、第2熱交換部22の一端にはガス側ヘッダ24がそれぞれ接続されているものの、両者は固定されていない。
【0045】
そして図5に示すような平坦な状態の第1熱交換部21及び第2熱交換部22を、一端側に設けられた液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24と他端側に設けられた折り返しヘッダ25との間で折り曲げる。この結果、図6に示すように、室外熱交換器13は上側から見てL字状に形成される。すなわち、室外熱交換器13の液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24が設けられた一端側がL字の長手部分であり、折り返しヘッダ25が設けられ他端側がL字の短手部分である。
【0046】
2つの平坦な状態の第1熱交換部21と第2熱交換部22を重ねた状態で折り曲げ加工を施す場合、第1熱交換部21及び第2熱交換部22の他端側同士は折り返しヘッダ25で接続されているため、平坦な状態の第1熱交換部21と第2熱交換部22の他端側の相対的な位置は折り曲げ加工前と折り曲げ加工後とでずれが生ずることは少ない。
【0047】
一方、第1熱交換部21及び第2熱交換部22それぞれの一端側には、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24が別々に接続されているため、折り曲げ加工による歪みが第1熱交換部21及び第2熱交換部22に生ずる可能性がある。この折り曲げ加工による歪みについては、例えば、図7に示す状態が考えられる。
【0048】
図7は、折り曲げ加工を施した際に第1熱交換部21と第2熱交換部22とに生ずる歪みの状態の例を示す模式図である。図7(a)ないし図7(d)においては、右側が第1熱交換部21、左側が第2熱交換部22であり、第1熱交換部21と第2熱交換部22を液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24側(右側)から見た状態が示されている。
【0049】
なお、本来であれば、折り曲げ加工が施された室外熱交換器13であれば、図7に示すような方向で第1熱交換部21と第2熱交換部22を見ると折り曲げられたL字状の短手部分が見えているが、ここでは当該短手部分の描画を省略している。また、熱交液管53及び熱交ガス管54についてもそれらの描画を省略している。
【0050】
まず図7(a)は第1熱交換部21と第2熱交換部22とに歪みが出ていない状態を示している。室外熱交換器13に折り曲げ加工が施された際に歪みが生じなければ、図7(a)に示すように、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24との相対的な位置関係は、第1熱交換部21と第2熱交換部22の前後方向の間隔が概ね設計通りの寸法となりつつ、第1熱交換部21と第2熱交換部22の上下方向も概ね同じ高さで配置される。なお、図7では描画されていないが、左右方向も概ね設計通りの位置関係となっている。
【0051】
なお、ここで「歪み」と表しているのは、上述したように、第1熱交換部21と第2熱交換部22の他端側同士は折り返しヘッダ25において固定されていることに起因して生じうる「歪み」を示している。従って、例えば第1熱交換部21と第2熱交換部22とを折り曲げた際に、左右方向に液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24がずれる可能性も考えられるが、ここでの「歪み」には含めない。
【0052】
一方、図7(b)ないし図7(d)は、室外熱交換器13の折り曲げ加工の際に第1熱交換部21や第2熱交換部22に歪みが生じた場合を示している。図7(b)の場合、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24は、上下方向にずれが生じている。一方、図7(c)の場合、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24との間の間隔が上側よりも下側の方が大きくなっている。図7(d)の場合は、正常な場合を示す図7(a)の場合と比べて液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24との間隔が開いている。
【0053】
図7(b)ないし図7(d)に示した、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24のずれは以下の要因で生じる。すなわち、第1熱交換部21と第2熱交換部22とを重ねて折り曲げ加工を行うと、第1熱交換部21と第2熱交換部22の他端側同士は折り返しヘッダ25において固定されており、伝熱管26が折り曲げの方向に幅広な扁平管であることから歪みが生じ得る。そのため、第1熱交換部21の液側ヘッダ23と第2熱交換部22のガス側ヘッダ24との相対的な位置関係は、設計上の位置関係とは異なる可能性がある。
【0054】
また、折り曲げ加工の精度が悪く液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24のずれが生ずる可能性も考えられるが、折り曲げ加工を精度よく行えたとしても、室外熱交換器13を構成する各部品の寸法公差や、液側ヘッダ23やガス側ヘッダ24に多数の伝熱管26を挿入する時の組付け誤差などにより、第1熱交換部21の液側ヘッダ23と第2熱交換部22のガス側ヘッダ24との相対的な位置関係が設計上の位置関係とは異なる可能性がある。このように、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24との相対的な位置関係が設計上の位置関係と異なる状態のままで室外熱交換器13を液側冷媒配管17やガス側冷媒配管18と接続して室外機11の筐体6に組み付ける場合、次のような問題が生じていた。
【0055】
すなわち、液側ヘッダ23に接続されている熱交液管53(液側中継部57)と冷媒回路2の液側冷媒配管17を接続する場合、或いは、ガス側ヘッダ24に接続されている熱交ガス管54(ガス側中継部58)と冷媒回路2のガス側冷媒配管18を接続する場合、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の間隔が設計上の位置関係と異なっていると、上述した各配管の接続箇所を作業者が力を加えて位置を合わせる必要がある。
【0056】
特に、熱交ガス管54やガス側冷媒配管18は、熱交液管53や液側冷媒配管17と比べて配管径が大きいことに起因して硬いため、大きな力を加えて接続箇所を合わせることになり、その上で溶接などの接続作業を行うのは容易ではない。
【0057】
このように溶接作業を行うこと自体が困難であるとともに、力を掛けて位置を合わせ溶接を行っているので、配管のいずれかに溶接後も過剰な応力が掛かってしまいかねない。そして溶接後にも過度な応力が掛かり続けることで、例えば輸送等において衝撃が加わった場合に配管における応力が掛かっている箇所にクラック等が入る、という問題が生じかねない。つまり、過度な応力が掛かる箇所に対する衝撃や配管へのストレスによる強度の劣化によってこのような問題が生じうる。
【0058】
そこで、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24との相対的な位置関係が設計上の位置関係とは異なっているときに生じる恐れがある、溶接などの接続作業の困難性の改善や過剰な応力に起因する配管の破損を防ぐために、本発明の実施形態における室外機11では、次に説明する解決手段を用いた。
【0059】
すなわち、図6に示すように折り曲げ加工が施された室外熱交換器13に対しては、次に、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の位置を矯正するための嵌合部材30が取り付けられる。
【0060】
図8は、室外熱交換器13に嵌合部材30を取り付けた状態を示す外観斜視図である。また図8は、図8(a)と図8(b)とに分かれており、図8(a)は上側嵌合部材31と下側嵌合部材32とからなる嵌合部材30が取り付けられた状態を示す室外熱交換器13の全体斜視図、図8(b)は液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の下側に下側嵌合部材32が取り付けられた状態を拡大して示す部分拡大図である。
【0061】
図8(a)に示すように、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の上端には上側嵌合部材31が取り付けられており、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の下端には下側嵌合部材32が取り付けられている。
【0062】
なお、本実施形態では、上側嵌合部材31及び下側嵌合部材32は互いに鏡面対称となるように形成されている。そこで以下においては、両者に共通する説明を行う際には適宜「嵌合部材30」と表し、その他の場合には下側嵌合部材32を例に挙げて説明し、上側嵌合部材31の詳細な説明は省略する。
【0063】
図8(a)に示されているように、それぞれ折り曲げ加工が施された第1熱交換部21の液側ヘッダ23の上端と第2熱交換部22のガス側ヘッダ24の上端には上側嵌合部材31が取り付けられている。また、第1熱交換部21の液側ヘッダ23の下端と第2熱交換部22のガス側ヘッダ24の下端には下側嵌合部材32が取り付けられている。これら嵌合部材30は、折り曲げ加工による歪みによって生じる第1熱交換部21と第2熱交換部22の設計上の位置関係からのずれ、より具体的には、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24とのずれを矯正するために用いられる。
【0064】
液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の上端及び下端に嵌合部材30を嵌め込む。その具体例として図8(b)に示されているように、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の下端に、下側嵌合部材32に形成されている凹部(後述する第1嵌合部35及び第2嵌合部36)を嵌め込む。このように液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24に嵌合部材30を嵌め込むことによって、第1熱交換部21と第2熱交換部22の位置ずれを矯正して設計時の位置とすることができ、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24との相対的な位置関係が設計上の位置関係となる。
【0065】
次に、嵌合部材30について詳細に説明する。なおここでは上述したように下側嵌合部材32を例に挙げる。図9は、本発明の実施形態に係る室外熱交換器13の嵌合部材30(下側嵌合部材32)を示す外観斜視図である。
【0066】
図9に示すように、下側嵌合部材32は、下側嵌合部材32に液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24を嵌め込むことができるように凹状に形成されている。すなわち、液側ヘッダ23の下端が挿入される第1嵌合部35とガス側ヘッダ24の下端が挿入される第2嵌合部36が設けられている。具体的には、第1嵌合部35の内周形状は液側ヘッダ23の外周形状に沿うように形成され、第2嵌合部36の内周形状はガス側ヘッダ24の外周形状に沿うように形成されている。
【0067】
第1嵌合部35と第2嵌合部36は下側嵌合部材32が液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の下端に取り付けられた場合に、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の下端部の前後方向の間隔が設計上の位置関係となるように保たれ、かつ、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の下端部の上下方向の位置が揃う。従って、下側嵌合部材32には、当該下側嵌合部材32に嵌合するヘッダの数と同数の嵌合部が備えられている。なお、第1嵌合部35の寸法及び形状は、液側ヘッダ23の下端部の外周の寸法及び形状よりわずかに小さくなるように形成されており、第1嵌合部35が弾性変形することで液側ヘッダ23の下端部に密着する。また、第2嵌合部36の寸法及び形状は、ガス側ヘッダ24の下端部の外周の寸法及び形状よりわずかに小さくなるように形成されており、第2嵌合部36が弾性変形することでガス側ヘッダ24の下端部に密着する。このような形状に形成されていることから、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24から下側嵌合部材32が脱落しにくくされている。
【0068】
また、第2嵌合部36には、下側嵌合部材32が液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の下端に取り付けられた場合に、ガス側ヘッダ24を液側ヘッダ23側へ押し付けるように作用する突起部37が設けられている。突起部37により第2嵌合部36に嵌め込まれたガス側ヘッダ24は、液側ヘッダ23側へと押されるので、図7(c)や図7(d)に示したように液側ヘッダ23の下端部とガス側ヘッダ24の下端部とが前後方向に開く方向にずれている場合にこのずれを矯正することができる。
【0069】
また、第1嵌合部35と第2嵌合部36との間には規制部38が設けられている。当該規制部38はガス側ヘッダ24に接触し、突起部37の働きによって必要以上にガス側ヘッダ24が液側ヘッダ23側に移動することを規制して、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24同士の間隔が当初に予定していた設計上の間隔を維持し、当該間隔より小さくなってしまうことを抑制する。また、規制部38により液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24同士の間隔が近づきすぎないようにすることで、第1熱交換部21のフィン27と第2熱交換部22のフィン27とが接触しないようにしている。従って、規制部38により第1嵌合部35と第2嵌合部36が、複数の第1ヘッダ同士(液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24)間の距離を所定寸法に保持する。
【0070】
なお本実施形態では、上述したように、下側嵌合部材32の第1嵌合部35及び第2嵌合部36は凹状に形成されているが、凹状でなく貫通穴状に形成されていても構わない。また、突起部37は、第2嵌合部36にではなく第1嵌合部35に設けられていても構わない。
【0071】
さらに嵌合部材30は、絶縁材料で形成されている。上述したように、室外熱交換器13は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で製造される。また、室外熱交換器13を筐体6に固定するために用いられる第1固定金具60及び第2固定金具61も、アルミ材(アルミ合金)で形成されている。但し、例えば、第1固定金具60及び第2固定金具61が鉄材で形成されているような場合には、室外熱交換器13を第1固定金具60及び第2固定金具61に直接接触させて挟み込んで筐体6に固定すると、室外熱交換器13に電食が生じてしまう。
【0072】
そこで、本発明の実施形態における空気調和機1では、室外熱交換器13を筐体6に固定するに当たって、室外熱交換器13とそれを固定するために用いられる第1固定金具60及び第2固定金具61との間に絶縁材料で形成される嵌合部材30を配置し、第1固定金具60及び第2固定金具61を室外熱交換器13に直接ではなく当該嵌合部材30に接触させる。このような構造を採用することによって、第1固定金具60及び第2固定金具61の材質如何に拘わらず電食が生じることを回避することができる。
【0073】
このように嵌合部材30には絶縁材料が用いられるが、絶縁材料としてどのような素材を選択するかは任意である。また、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24とのずれを矯正するという機能に鑑みれば、弾性変形が可能であることが望ましいことから、例えば、ゴム素材が好適に採用される。またゴム素材であれば液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24を傷つけることも防ぐことができる。
【0074】
なお、嵌合部材30をゴム素材よりも硬質な絶縁材料(例えば、絶縁性を有する熱硬化性樹脂)で嵌合部材30を形成する場合は、本実施形態の突起部37及び規制部38は設けなくてもよい。嵌合部材30を硬質な材料で形成した場合は、これまで説明したような、突起部37によるガス側ヘッダ24の位置を正規の位置に配置するとともに、規制部38によるガス側ヘッダ24の液側ヘッダ23への寄りすぎを規制する必要がないため、突起部37及び規制部38がなくても液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24との間隔が当初に予定していた設計上の間隔に維持できる。
【0075】
ここまでの本実施形態の説明で、折り曲げ加工が施された室外熱交換器13の液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の上端、下端の両方に嵌合部材30が嵌め込まれた。次に、室外熱交換器13を筐体6に固定するための第1固定金具60及び第2固定金具61を取り付ける。
【0076】
図10は、本発明の実施形態に係る室外熱交換器13に第1固定金具60及び第2固定金具61を取り付けた状態を示す斜視図である。上述したように、第1固定金具60及び第2固定金具61は、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24同様、室外熱交換器13の上下方向に延びるように形成されている。
【0077】
そして第1固定金具60の上端は上側嵌合部材31を、その下端は下側嵌合部材32をそれぞれ覆うように形成されている。第1固定金具60がこのような形状に形成されていることによって、第1固定金具60が接触するのは上側嵌合部材31及び下側嵌合部材32である。従って、たとえ第1固定金具60や第2固定金具61とが鉄材で形成されている場合であっても、室外熱交換器13を構成する液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24などのアルミニウム或いはアルミニウム合金で形成された部材と接触しないので、両者の間に電食が生じることはない。
【0078】
第1固定金具60の下端は筐体6の底板41に固定される。一方、第1固定金具60の上端のうちの機械室52側が第2固定金具61の上端に固定され、第1固定金具60の上端のうちの筐体6の外部側が背面板43に固定される。また、第2固定金具61の上端のうち上述した第1固定金具60が固定される箇所以外の箇所が仕切板50に固定され、第2固定金具61の下端は底板41に固定されている。従って、電食が生ずることを避けつつ第1固定金具60及び第2固定金具61を用いることによって室外熱交換器13を筐体6に固定することができる。
【0079】
上述したように、室外機の組立において、従来の室外熱交換器の場合、折り曲げ加工を施すことによって、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24同士の相対的位置関係が当初に予定していた設計上の位置関係と異なってしまっていた。そのため、液側冷媒配管17と熱交液管53との接続箇所の位置、及び、ガス側冷媒配管18と熱交ガス管54との接続箇所の位置の各々が設計上の位置からずれることがあり、室外熱交換器13を冷媒回路に接続する際に各々の接続位置のずれを作業者が矯正する(一方の配管を動かして接続箇所を合わせる)必要があった。この際、特にガス側接続部56でのガス側冷媒配管18と熱交ガス管54との接続については、ガス側冷媒配管18や熱交ガス管54の配管径が太くて硬いため矯正作業が容易ではなかった。
【0080】
しかし、本発明の実施形態に係る室外熱交換器13では、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の上端及び下端にそれぞれ嵌合部材30を取り付けることで、折り曲げ加工によって液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24との相対的位置関係が当初に予定していた設計上の位置関係と異なっていても、両ヘッダの相対的位置関係を設計上の位置関係に矯正することができる。
【0081】
そのため、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の間隔が当初に予定していた設計上の位置関係となるように第1の熱交換部21及び第2の熱交換部22に作業者が力を加えるという作業を行うことなく、液側冷媒配管17と熱交液管53との接続、及び、ガス側冷媒配管18と熱交ガス管54との接続を容易に行うことができる。その結果、溶接作業の効率化を図ることができるとともに、溶接時や溶接後に加わる応力によって配管が破損することを防ぐことができる。
【0082】
また上述したように、配管において過度な応力が掛かる箇所に対する衝撃や配管へのストレスによる強度の劣化によって、例えば輸送等において衝撃が加わった場合にこのような箇所にクラック等が入ることを防止することができる。
【0083】
さらに、本発明の実施形態に係る室外熱交換器13では、液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24はアルミニウム製である。また、室外熱交換器13を筐体6に固定するために用いる第1固定金具60及び第2固定金具61もアルミ材(アルミ合金)である。しかしながら、例えば、第1固定金具60や第2固定金具61が、例えば鉄製であるような場合には、室外熱交換器13と直接接触するとアルミニウム製の室外熱交換器13で電食が生じてしまう。
【0084】
そこで、上側嵌合部材31及び下側嵌合部材32を絶縁性を有するゴム製とし、当該上側嵌合部材31及び下側嵌合部材32に間に挟んで第1固定金具60及び第2固定金具61が室外熱交換器13を筐体6に固定することとした。このことにより、たとえ第1固定金具60及び第2固定金具61が鉄製であったとしても、アルミニウム製である液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24との異種間金属による電食を抑えることができる。
【0085】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0086】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0087】
すなわち例えば、本発明の実施形態における室外熱交換器13は、上述したようにL字状に形成されているが、室外熱交換器13の形状は、例えば、M字状、或いは、2つの平坦な熱交換部を重ねた状態で折り曲げ加工されず、2つの平坦な熱交換部を重ねた状態等、様々な室外熱交換器の形状を採用することができる。
【0088】
また、本発明の実施形態において室外熱交換器13は、第1熱交換部21と第2熱交換部22とから構成されることを前提に説明した。但し、室外熱交換器13を構成する熱交換部の個数は2つに限定されず3つ以上であっても良い。この場合には、熱交換部の一端も3つ以上となることから、嵌合部材30の形状もこれらの位置を矯正することが可能な形状に形成される。
【0089】
さらに、本発明の実施形態では、室外熱交換器13の一端側に設けられた液側ヘッダ23及びガス側ヘッダ24の上端及び下端の両方に嵌合部材30を取り付けたが、必ずしも、上端及び下端の両方に嵌合部材30を取り付ける必要はない。すなわち図7を用いて説明したように、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24における位置ずれの状態によって、適宜上側嵌合部材31、下側嵌合部材32の両方、或いは、一方を用いれば良い。例えば、図7(c)のようにガス側ヘッダ24の下端が前側にずれているような場合には、下側嵌合部材32のみを用いてその位置を矯正すれば良い。
【0090】
また、上側嵌合部材31と下側嵌合部材32の形状は、いずれも同じ形状に形成されていることを前提にこれまで説明したが、例えば、液側ヘッダ23とガス側ヘッダ24の上側と下側とで形状が異なることに合わせて上側嵌合部材31と下側嵌合部材32の形状を異ならせても良い。
【符号の説明】
【0091】
1…空気調和機、2…冷媒配管3…冷媒配管、5…室内機、6…筐体、7…室内熱交換器、9…送風機、11…室外機、12…圧縮機、13…室外熱交換器、14…室外機側膨張弁、15…四方弁、16…室外送風機、17…液側冷媒配管、18…ガス側冷媒配管、19…アキュムレータ、20…熱交換部、21…第1熱交換部、22…第2熱交換部、23…液側ヘッダ、24…ガス側ヘッダ、25…折り返しヘッダ、26…伝熱管、27…フィン、30…嵌合部材、31…上側嵌合部材、32…下側嵌合部材、35…第1嵌合部、36…第2嵌合部、37…突起部、38…規制部、40…天板、41…底板、42…正面板、43…背面板、44…左側面板、45…右側面板、46…吹出口、47…ファンガード、50…仕切板、51…送風機室、52…機械室、53…熱交液管、54…熱交ガス管、55…液側接続部、56…ガス側接続部、57…液側中継部、57a…液枝管、57b…分流器、57c…液主管、58…ガス側中継部、60…第1固定金具、61…第2固定金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10