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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ブレーキ動作検知装置及びブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 66/00 20060101AFI20240806BHJP
   F16D 65/16 20060101ALI20240806BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20240806BHJP
   B66B 11/08 20060101ALI20240806BHJP
   F16D 121/22 20120101ALN20240806BHJP
【FI】
F16D66/00 Z
F16D65/16
B60T17/22 C
B66B11/08 G
F16D121:22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023027162
(22)【出願日】2023-02-24
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】谷 佳典
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-216415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 66/00
F16D 65/16
B60T 17/22
B66B 11/08
F16D 121/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転を制動するブレーキ装置に設けられるブレーキ動作検知装置であって、
前記ブレーキ装置の可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、
回転可能に支持され、前記ロッドに押されて回転するスイッチと、
前記スイッチの回転を停止させるストッパーと
を備え、
前記スイッチは、前記ストッパーにより回転が停止されて前記ロッドに押圧されたか否かに応じて前記回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、前記ロッドに押圧されていない場合に、回転により前記ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻るブレーキ動作検知装置。
【請求項2】
回転体の回転を制動するブレーキ装置に設けられるブレーキ動作検知装置であって、
前記ブレーキ装置の可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、
前記ロッドが押圧する方向と平行に移動可能に支持され、前記ロッドに押されて移動するスイッチと、
前記スイッチの移動を停止させるストッパーと
を備え、
前記スイッチは、前記ストッパーにより移動が停止されて前記ロッドに押圧されたか否かに応じて前記回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、前記ロッドに押圧されていない場合に、前記ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻るブレーキ動作検知装置。
【請求項3】
前記ロッドは、ねじを有し、
前記ねじの回転量により、前記ロッドの端と前記スイッチとの距離を変更する請求項1又は2に記載のブレーキ動作検知装置。
【請求項4】
前記可動鉄心が前記ブレーキ装置の固定鉄心に吸引されたとき前記スイッチが前記ロッドに押圧されるように、前記スイッチの位置を保持する保持部と
をさらに備えた請求項1又は2に記載のブレーキ動作検知装置。
【請求項5】
回転体の回転を制動するブレーキ装置であって、
固定鉄心と、
前記固定鉄心に設けられた電磁コイルと、
前記固定鉄心と前記回転体との間に配置され、前記電磁コイルへの通電により前記固定鉄心に吸引される可動鉄心と、
前記回転体に対向して配置され、前記可動鉄心に支持されるブレーキ部と、
前記可動鉄心と前記固定鉄心との間に配置され、前記可動鉄心を付勢し、前記ブレーキ部を前記回転体に押し当てる付勢部と、
前記可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、
回転可能に支持され、前記ロッドに押されて回転するスイッチと、
前記スイッチの回転を停止させるストッパーと
を備え、
前記スイッチは、前記ストッパーにより回転が停止され前記ロッドに押圧されたか否かに応じて前記回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、前記ロッドに押圧されていない場合に、回転により前記ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻るブレーキ装置。
【請求項6】
回転体の回転を制動するブレーキ装置であって、
固定鉄心と、
前記固定鉄心に設けられた電磁コイルと、
前記固定鉄心と前記回転体との間に配置され、前記電磁コイルへの通電により前記固定鉄心に吸引される可動鉄心と、
前記回転体に対向して配置され、前記可動鉄心に支持されるブレーキ部と、
前記可動鉄心と前記固定鉄心との間に配置され、前記可動鉄心を付勢し、前記ブレーキ部を前記回転体に押し当てる付勢部と、
前記可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、
前記ロッドが押圧する方向と平行に移動可能に支持され、前記ロッドに押されて移動するスイッチと、
前記スイッチの移動を停止させるストッパーと
を備え、
前記スイッチは、前記ストッパーにより移動が停止され前記ロッドに押圧されたか否かに応じて前記回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、前記ロッドに押圧されていない場合に、前記ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻るブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブレーキ動作検知装置及びブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーキ動作検知装置は、複数のボルトでスイッチ保持板に固定されるスイッチを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-216415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のブレーキ動作検知装置は、スイッチが複数のボルトで固定される。スイッチを固定した後、地震又は作業員の接触等の衝撃によりスイッチの位置がずれることがある。この場合、可動鉄心が固定鉄心に吸引されたときにスイッチがロッドに押圧されない、又は可動鉄心が固定鉄心に吸引されていないときにスイッチがロッドに押圧される等の不具合が生じる。この不具合を直すためには、作業員がスイッチの位置を所定の位置に戻し、再度固定しなければならないという課題があった。
【0005】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、スイッチに衝撃が与えられて移動したとしても、作業員がスイッチを固定し直すことなく、スイッチがブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻ることができるブレーキ動作検知装置及びブレーキ装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる第1のブレーキ動作検知装置は、回転体の回転を制動するブレーキ装置に設けられるブレーキ動作検知装置であって、ブレーキ装置の可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、回転可能に支持され、ロッドに押されて回転するスイッチと、スイッチの回転を停止させるストッパーとを備え、スイッチは、ストッパーにより回転が停止されてロッドに押圧されたか否かに応じて回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、ロッドに押圧されていない場合に、回転によりブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻る
本開示にかかる第2のブレーキ動作検知装置は、回転体の回転を制動するブレーキ装置に設けられるブレーキ動作検知装置であって、ブレーキ装置の可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、ロッドが押圧する方向と平行に移動可能に支持され、ロッドに押されて移動するスイッチと、スイッチの移動を停止させるストッパーとを備え、スイッチは、ストッパーにより移動が停止されてロッドに押圧されたか否かに応じて回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、ロッドに押圧されていない場合に、ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻る。
【0007】
本開示にかかる第1のブレーキ装置は、回転体の回転を制動するブレーキ装置であって、固定鉄心と、固定鉄心に設けられた電磁コイルと、固定鉄心と回転体との間に配置され、電磁コイルへの通電により固定鉄心に吸引される可動鉄心と、回転体に対向して配置され、可動鉄心に支持されるブレーキ部と、可動鉄心と固定鉄心との間に配置され、可動鉄心を付勢し、ブレーキ部を回転体に押し当てる付勢部と、可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、回転可能に支持され、ロッドに押されて回転するスイッチと、スイッチの回転を停止させるストッパーとを備え、スイッチは、ストッパーにより移動が停止されロッドに押圧されたか否かに応じて回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、ロッドに押圧されていない場合に、回転によりブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻る
本開示にかかる第2のブレーキ装置は、回転体の回転を制動するブレーキ装置であって、固定鉄心と、固定鉄心に設けられた電磁コイルと、固定鉄心と回転体との間に配置され、電磁コイルへの通電により固定鉄心に吸引される可動鉄心と、回転体に対向して配置され、可動鉄心に支持されるブレーキ部と、可動鉄心と固定鉄心との間に配置され、可動鉄心を付勢し、ブレーキ部を回転体に押し当てる付勢部と、可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、ロッドが押圧する方向と平行に移動可能に支持され、ロッドに押されて移動するスイッチと、スイッチの移動を停止させるストッパーとを備え、スイッチは、ストッパーにより移動が停止されロッドに押圧されたか否かに応じて回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、ロッドに押圧されていない場合に、ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻る。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかるブレーキ動作検知装置及びブレーキ装置は、スイッチに衝撃が与えられて移動したとしても、作業員がスイッチを固定し直すことなく、スイッチがブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1におけるエレベータ用巻上機の正面図である。
図2】実施の形態1におけるブレーキ装置の正面図である。
図3】実施の形態1におけるブレーキ装置のA-A’断面図である。
図4】実施の形態1におけるブレーキ動作検知装置の正面図である。
図5】実施の形態1におけるブレーキ動作検知装置がロッドに押圧されたときの正面図である。
図6】実施の形態1におけるブレーキ動作検知装置が回転したときの正面図である。
図7】実施の形態1における変形例を示すブレーキ動作検知装置の正面図である。
図8】実施の形態1における変形例を示すブレーキ動作検知装置の正面図である。
図9】実施の形態1における変形例を示すブレーキ動作検知装置の正面図である。
図10】実施の形態2におけるブレーキ動作検知装置の正面図である。
図11】実施の形態2におけるブレーキ動作検知装置がロッドに押圧されたときの正面図である。
図12】実施の形態3におけるエレベータ用巻上機の側面図である。
図13】実施の形態3における変形例を示すエレベータ用巻上機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下に実施の形態1にかかるブレーキ装置5に設けられるブレーキ動作検知装置70を詳細に説明する。なお、各図面における同一の符号は同一又は相当の構成を表している。
【0011】
図1に示すように、ブレーキ装置5は例えばエレベータ用巻上機1に設けられる。エレベータ用巻上機1は、フレーム2、綱車3、回転体であるブレーキドラム4、2つのブレーキ装置5及びモータ(図示せず)を備える。
【0012】
綱車3は、円板状に形成され、その外周面には、主ロープ(図示せず)が巻き掛けられる。ブレーキドラム4は、直径が綱車3よりも大きくなるように円板状に形成される。ブレーキドラム4は、綱車3と一体的に形成されている。モータは、綱車3及びブレーキドラム4を回転駆動させる。
【0013】
綱車3が回転すると、主ロープが移動し、主ロープの一端に接続されるかご(図示せず)及び主ロープの他端に接続される釣合おもり(図示せず)が昇降路内を昇降する。
【0014】
2つのブレーキ装置5は、フレーム2に固定され、図1の紙面において左右方向からブレーキドラム4を挟むように配置される。ブレーキ装置5は、後述する電磁コイル50に通電されていない非通電時に作動する無励磁作動型である。ブレーキ装置5は、後述するブレーキシュー30をブレーキドラム4の外周面に形成された制動面4aに押し当てて、ブレーキドラム4の回転を制動する。
【0015】
図2、3に、制動状態におけるブレーキ装置5の正面図及びA-A’断面図を示す。制動状態とは、ブレーキドラム4の回転が制動されている状態を指す。ブレーキ装置5は、固定鉄心10、可動鉄心20、ブレーキ部であるブレーキシュー30、付勢部であるバネ40、電磁コイル50、ガイド部60及びブレーキ動作検知装置70を備える。
【0016】
固定鉄心10は、磁性材料により形成され、可動鉄心20に対向して配置される。可動鉄心20は、磁性材料により形成され、固定鉄心10とブレーキシュー30との間に配置される。ブレーキシュー30は、ブレーキドラム4の制動面4aに対向して配置され、可動鉄心20に支持される。ブレーキシュー30は、バネ40が可動鉄心20を付勢することにより、制動面4aに押し当てられる。
【0017】
バネ40は、2つ設けられ、可動鉄心20と固定鉄心10との間に配置される。バネ40の一部は、固定鉄心10に形成された凹部(図示せず)に収納される。バネ40は、例えば圧縮コイルばねであり、可動鉄心20を付勢し、ブレーキシュー30を制動面4aに押し当てる。なお、バネの代わりに、例えば、ゴム、板バネ又は発泡ウレタン等の弾性部材を用いてもよい。また、バネ40は、1つ又は3つ以上設けてもよい。
【0018】
電磁コイル50は、固定鉄心10に設けられる。電磁コイル50は、例えば固定鉄心10に形成された溝(図示せず)に収納される。
【0019】
ガイド部60は、図2の紙面において左右方向に可動鉄心20が移動するように案内する部材である。ガイド部60は、2つ設けられ、固定鉄心10と可動鉄心20との間に配置される。ガイド部60は、例えば円柱状に形成され、一端が固定鉄心10に形成された凹部(図示せず)に収納され、他端が可動鉄心20に形成された凹部(図示せず)に収納される。以下の説明において、図2の紙面において左右方向、言い換えるとガイド部60が延びる方向を左右方向という。また、左右方向のうち、可動鉄心20から固定鉄心10に向かう方向を右方向といい、固定鉄心10から可動鉄心20に向かう方向を左方向という。
【0020】
ブレーキ動作検知装置70は、スイッチ71、ストッパー72及びロッド73を備える。
【0021】
図4に示すように、スイッチ71は、固定鉄心10に移動可能に支持される。具体的には、スイッチ71は、ボルト71aにより固定鉄心10に回転可能に支持される。スイッチ71は、ロッド73に押圧されたとき操作され、その操作に応じてブレーキドラム4の回転が制動されているか否かを検知する。具体的には、スイッチ71がロッド73に押圧されたとき、スイッチ71の接点が閉じられ、スイッチ71が非制動状態を検知する。そして、スイッチ71は、エレベータ制御装置等に非制動状態を検知したことを示す電気信号である非制動検知信号を出力する。一方で、スイッチ71がロッド73に押圧されていないとき、スイッチ71の接点が開いており、スイッチ71は非制動検知信号を出力しない。なお、非制動状態とは、ブレーキドラム4の回転が制動されていない状態を指す。
【0022】
ストッパー72は、スイッチ71の移動、つまりスイッチ71の回転を停止させるものである。図3に示すように、ストッパー72は、図3の紙面において固定鉄心10から下方に突出した板状の部材である。ストッパー72は、例えば固定鉄心10と一体成形されている。なお、ストッパー72として板状の部材を固定鉄心10に取り付けてもよいし、ストッパー72としてブレーキ装置5の周囲に配置された他の機器の一部を用いてもよい。
【0023】
ロッド73は、可動鉄心20の移動に連動して移動する。つまり、可動鉄心20が右方向に移動したとき、ロッド73も右方向に移動する。図4に示すように、ロッド73は左右方向に延びるように可動鉄心20に設けられる。ロッド73は、雄ねじであるボルト73a及び固定部材であるナット73bを有する。
【0024】
ボルト73aは、可動鉄心20から突出した取付台21に設けられる。ボルト73aは、取付台21の穴(図示せず)を貫通している。穴の内周面にボルト73aを受け入れるねじが切られている。なお、取付台21は、図3の紙面において可動鉄心20から下方に突出した板状の部材である。取付台21は、例えば可動鉄心20と一体成形されている。ナット73bは、ボルト73aの位置を固定するものである。
【0025】
ブレーキ動作検知装置70をブレーキ装置5に取り付ける際、ロッド73の端73cとスイッチ71との距離を調整する。このとき、ボルト73aを回転させることでボルト73aを左右方向に移動させ、ロッド73の端73cとスイッチ71との距離を調整する。その後、ナット73bでボルト73aの位置を固定する。なお、端73cとは、左右方向において、スイッチ71と最も距離が近いロッド73の端部である。
【0026】
図4、5を用いて、ブレーキ装置5及びブレーキ動作検知装置70の動作について説明する。
【0027】
制動状態では、電磁コイル50に通電されておらず、可動鉄心20がバネ40により付勢されてブレーキシュー30が制動面4aに押し当てられている。このとき、図4に示すように、スイッチ71とストッパー72とロッド73とは互いに接触していない。
【0028】
電磁コイル50に通電されると、固定鉄心10が磁化される。そして、可動鉄心20がバネ40から付勢される力に抗して固定鉄心10に吸引され、非制動状態となる。
【0029】
可動鉄心20が固定鉄心10に近づくように右方向に移動すると、ロッド73がそれに連動して移動する。そして、ロッド73の端73cがスイッチ71に接触する。
【0030】
図5に示すように、スイッチ71は、移動するロッド73に押されて、ボルト71aを軸として回転する。スイッチ71が所定の角度回転した後、ストッパー72により回転が停止されてロッド73に押圧される。このとき、スイッチ71の接点が閉じられるため、スイッチ71は非制動状態を検知し、非制動検知信号を出力する。
【0031】
このような実施の形態1にかかるブレーキ動作検知装置70及びブレーキ装置5にあっては、スイッチ71がブレーキ装置5に移動可能に支持され、移動するロッド73に押されて移動する。そして、スイッチ71は、ストッパー72により移動が停止されてロッド73に押圧されたとき操作され、操作に応じてブレーキドラム4の回転が制動されているか否かを検知する。地震又は作業員の接触等の衝撃がスイッチ71に与えられた場合、スイッチ71はボルト71aを軸として回転し、例えば図6に示すようにブレーキ装置5の動作を検知できない位置に移動する。しかし、スイッチ71が回転可能に支持されているため、スイッチ71の自重又は作業員がスイッチ71を回転させることにより、作業員がスイッチを固定し直すことなく、スイッチ71がブレーキ装置5の動作を検知できる位置に戻ることができる。したがって、作業員の手間を削減することができる。また、可動鉄心20が固定鉄心10に吸引されたときにスイッチ71がロッド73に押圧されない、又は可動鉄心20が固定鉄心10に吸引されていないときにスイッチ71がロッド73に押圧される等の不具合の発生を抑制することができる。なお、ブレーキ装置5の動作を検知できる位置とは、可動鉄心20が固定鉄心10に吸引されたときにスイッチ71がロッド73に押圧され、可動鉄心20が固定鉄心10に吸引されていないときにスイッチ71がロッド73に押圧されない位置である。
【0032】
さらに、このような実施の形態1にかかるブレーキ動作検知装置70及びブレーキ装置5にあっては、ボルト73aの回転量により、ロッド73の端73cとスイッチ71との距離を変更する。ボルト73aを回転させることにより、左右方向におけるボルト73aの位置を変えることができるため、ロッド73の端73cとスイッチ71との距離を安定的に変更することができる。また、ボルト73aの位置を細かく調整することができる。したがって、調整作業が容易であり、作業時間を短縮することができる。
【0033】
なお、ブレーキ装置5が2つ設けられる例について説明したが、1つ又は3つ以上であってもよい。また、2つのブレーキ装置5は、図1の紙面において上下方向からブレーキドラム4を挟むように配置してもよく、図1の紙面において上方又は下方に所定の角度を開けて配置してもよい。
【0034】
スイッチ71がブレーキ装置5の固定鉄心10に支持される例について説明したが、ブレーキ装置5の周囲に配置された他の機器、又はブレーキ装置5の周囲に設けられた壁等に支持されてもよい。
【0035】
ロッド73に押圧されていないとき接点を閉じ、ロッド73に押圧されたとき接点を開くスイッチ71であってもよい。この場合、スイッチ71は、ロッド73に押圧されていないときに制動状態を検知したことを示す電気信号である制動検知信号を出力する。一方で、スイッチ71がロッド73に押圧されているとき、スイッチ71の接点が開いており、スイッチ71は制動検知信号を出力しない。
【0036】
図7に示すように、ロッド73は、ボルト73a、ナット73b及び円筒部73dを有してもよい。円筒部73dは、可動鉄心20から右方向に突出するように取付台21に設けられ、固定される。円筒部73dに形成された穴(図示せず)の内周面には、ボルト73aを受け入れるねじが切られている。ボルト73aの一部が円筒部73dの穴に挿入される。ナット73bは、ボルト73aの位置を固定する。なお、円筒部73dを取付台21と一体成形してもよい。このような実施例であっても、ボルト73aを回転させることでボルト73aを左右方向に移動させ、ロッド73の端73cとスイッチ71との距離を変更することができる。
【0037】
図8に示すように、ロッド73は、ボルト73a、ナット73b及び雌ねじである円筒部73eを有していてもよい。ボルト73aは、取付台21の穴(図示せず)を貫通し、ナット73bに位置を固定される。円筒部73dに形成された穴(図示せず)の内周面には、ボルト73aを受け入れるねじが切られている。円筒部73eの穴にボルト73aの一部が挿入されるように、円筒部73eをボルト73aに取り付ける。このような実施例では、円筒部73eを回転させることで円筒部73eを左右方向に移動させ、ロッド73の端73cとスイッチ71との距離を変更することができる。したがって、ロッド73は、雄ねじ及び雌ねじのうちいずれかのねじの回転量により、ロッド73の端73cとスイッチ71との距離を変更することができる。
【0038】
図9に示すように、ブレーキ動作検知装置70は、スイッチ71、ストッパー72、ロッド73及び保持部74を備えていてもよい。保持部74は、可動鉄心20が固定鉄心10に吸引されたときスイッチ71がロッド73に押圧されるように、スイッチ71の位置を保持する。保持部74は、ストッパー72と同様に、固定鉄心10から突出した板状の部材である。保持部74は、例えば固定鉄心10と一体成形されている。なお、保持部74として板状の部材を固定鉄心10に取り付けてもよいし、保持部74としてブレーキ装置5の周囲に配置された他の機器の一部を用いてもよい。スイッチ71が保持部74に接触することにより、スイッチ71がブレーキ装置5の動作を検知できない位置に移動することが抑制される。したがって、不具合の発生を抑制することができる。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態2にかかるブレーキ動作検知装置70は、ロッド73に押されて左右方向に移動する点で実施の形態1と相違する。以下、その相違点について説明する。
【0040】
図10に示すように、ブレーキ動作検知装置70は、スイッチ71、ストッパー72及びロッド73を備える。スイッチ71は、固定鉄心10に移動可能に支持される。具体的には、スイッチ71は、ボルト71aにより固定鉄心10に左右方向に移動可能に支持される。スイッチ71には、ボルト71aを挿入するための穴(図示せず)が形成されている。該穴の直径よりも小さい直径のボルト71aを該穴に挿入し、スイッチ71を固定鉄心10に支持させることにより、スイッチ71が左右方向に移動可能となる。ストッパー72は、スイッチ71の左右方向の移動を停止させるものである。ロッド73は、可動鉄心20の移動に連動して移動する。
【0041】
図10、11を用いて、ブレーキ装置5及びブレーキ動作検知装置70の動作について説明する。
【0042】
電磁コイル50に通電されると、固定鉄心10が磁化される。そして、可動鉄心20がバネ40から付勢される力に抗して固定鉄心10に吸引され、非制動状態となる。
【0043】
可動鉄心20が固定鉄心10に近づくように右方向に移動すると、ロッド73がそれに連動して移動する。そして、ロッド73の端73cがスイッチ71に接触する。
【0044】
図11に示すように、スイッチ71は、移動するロッド73に押されて、右方向に移動する。そして、ストッパー72により右方向への移動が停止されてロッド73に押圧される。このとき、スイッチ71の接点が閉じられるため、スイッチ71は非制動状態を検知し、非制動検知信号を出力する。
【0045】
このような実施の形態2にかかるブレーキ動作検知装置70及びブレーキ装置5にあっても、実施の形態1にかかるブレーキ動作検知装置70及びブレーキ装置5と同様に、スイッチ71が移動可能に支持されているため、スイッチ71の自重又は作業員がスイッチ71を移動させることにより、作業員がスイッチ71を固定し直すことなく、スイッチ71がブレーキ装置5の動作を検知できる位置に戻ることができる。したがって、作業員の手間を削減することができる。また、不具合の発生を抑制することができる。
【0046】
実施の形態3.
実施の形態3にかかるブレーキ動作検知装置70は、回転体であるブレーキディスク6の回転を制動するブレーキ装置5に設けられる点で実施の形態1と相違する。以下、その相違点について説明する。
【0047】
図12に示すように、ブレーキ装置5は例えばエレベータ用巻上機1に備えられる。エレベータ用巻上機1は、綱車3、回転体であるブレーキディスク6、ブレーキ装置5、モータ7及び回転軸8を備える。
【0048】
綱車3は、円板状に形成され、その外周面には、主ロープ(図示せず)が巻き掛けられる。綱車3及びブレーキディスク6は、例えば回転軸8にそれぞれ取り付けられ、回転軸8の回転に連動して回転する。モータ7は、回転軸8を回転させることにより、綱車3及びブレーキディスク6を回転駆動させる。
【0049】
ブレーキ装置5は、後述するブレーキパッド80をブレーキディスク6の制動面6aに押し当てて、ブレーキディスク6の回転を制動する。
【0050】
ブレーキ装置5は、固定鉄心10、可動鉄心20、ブレーキ部であるブレーキパッド80、付勢部であるバネ40、電磁コイル(図示せず)、ガイド部60、ブレーキ動作検知装置70及びプレート90を備える。
【0051】
固定鉄心10は、磁性材料により形成され、可動鉄心20に対向して配置される。可動鉄心20は、磁性材料により形成され、固定鉄心10とブレーキパッド80との間に配置される。プレート90は、ブレーキディスク6を挟んで可動鉄心20に対向して配置される。2つのブレーキパッド80は、ブレーキディスク6の制動面6aに対向して配置され、可動鉄心20及びプレート90にそれぞれ支持される。ブレーキパッド80は、バネ40が可動鉄心20を付勢することにより、制動面6aに押し当てられる。
【0052】
バネ40は、可動鉄心20を付勢し、ブレーキパッド80を制動面6aに押し当てる。電磁コイルは、固定鉄心10に設けられる。電磁コイルは、例えば固定鉄心10に形成された溝(図示せず)に収納される。
【0053】
ガイド部60は、図12の紙面において左右方向に可動鉄心20が移動するように案内する部材である。以下の説明において、図12の紙面において左右方向、言い換えるとガイド部60が延びる方向を左右方向という。また、左右方向のうち、可動鉄心20から固定鉄心10に向かう方向を左方向といい、固定鉄心10から可動鉄心20に向かう方向を右方向という。
【0054】
ブレーキ動作検知装置70は、スイッチ71、ストッパー72及びロッド73を備える。スイッチ71は、固定鉄心10に回転可能に支持される。スイッチ71は、ロッド73に押圧されたとき操作され、その操作に応じてブレーキドラム4の回転が制動されているか否かを検知する。ストッパー72は、スイッチ71の移動、つまりスイッチ71の回転を停止させるものである。ロッド73は、可動鉄心20の移動に連動して移動する。
【0055】
このような実施の形態3にかかるブレーキ動作検知装置70及びブレーキ装置5にあっても、実施の形態1にかかるブレーキ動作検知装置70及びブレーキ装置5と同様に、スイッチ71が移動可能に支持されているため、スイッチ71の自重又は作業員がスイッチ71を移動させることにより、作業員がスイッチ71を固定し直すことなく、スイッチ71がブレーキ装置5の動作を検知できる位置に戻ることができる。したがって、作業員の手間を削減することができる。また、不具合の発生を抑制することができる。
【0056】
なお、スイッチ71が固定鉄心10に回転可能に支持される例について説明したが、スイッチ71がプレート90に回転可能に支持されてもよい。プレート90に固定されたブラケット91にスイッチ71を取り付けることで、スイッチ71が回転可能に支持される。ストッパー72は、L字状の部材であり、プレート90と一体成形されている。ロッド73のボルト73aは、可動鉄心20に設けられる。例えば、ボルト73aは、可動鉄心20及びブレーキディスク6に形成された穴(図示せず)を貫通する。ロッド73の端73cは、プレート90に形成された穴(図示せず)に収納される。ナット73bにより、ボルト73aの位置が固定される。
【0057】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
回転体の回転を制動するブレーキ装置に設けられるブレーキ動作検知装置であって、
前記ブレーキ装置の可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、
回転可能に支持され、前記ロッドに押されて回転するスイッチと、
前記スイッチの回転を停止させるストッパーと
を備え、
前記スイッチは、前記ストッパーにより回転が停止されて前記ロッドに押圧されたか否かに応じて前記回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、前記ロッドに押圧されていない場合に、回転により前記ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻るブレーキ動作検知装置。
(付記2)
回転体の回転を制動するブレーキ装置に設けられるブレーキ動作検知装置であって、
前記ブレーキ装置の可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、
前記ロッドが押圧する方向と平行に移動可能に支持され、前記ロッドに押されて移動するスイッチと、
前記スイッチの移動を停止させるストッパーと
を備え、
前記スイッチは、前記ストッパーにより移動が停止されて前記ロッドに押圧されたか否かに応じて前記回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、前記ロッドに押圧されていない場合に、前記ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻るブレーキ動作検知装置。
(付記
前記ロッドは、ねじを有し、
前記ねじの回転量により、前記ロッドの端と前記スイッチとの距離を変更する付記1に記載のブレーキ動作検知装置。
(付記
前記可動鉄心が前記ブレーキ装置の固定鉄心に吸引されたとき前記スイッチが前記ロッドに押圧されるように、前記スイッチの位置を保持する保持部と
をさらに備えた付記1から3のいずれか1つに記載のブレーキ動作検知装置。
(付記
回転体の回転を制動するブレーキ装置であって、
固定鉄心と、
前記固定鉄心に設けられた電磁コイルと、
前記固定鉄心と前記回転体との間に配置され、前記電磁コイルへの通電により前記固定鉄心に吸引される可動鉄心と、
前記回転体に対向して配置され、前記可動鉄心に支持されるブレーキ部と、
前記可動鉄心と前記固定鉄心との間に配置され、前記可動鉄心を付勢し、前記ブレーキ部を前記回転体に押し当てる付勢部と、
前記可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、
回転可能に支持され、前記ロッドに押されて回転するスイッチと、
前記スイッチの回転を停止させるストッパーと
を備え、
前記スイッチは、前記ストッパーにより回転が停止され前記ロッドに押圧されたか否かに応じて前記回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、前記ロッドに押圧されていない場合に、回転により前記ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻るブレーキ装置。
(付記6)
回転体の回転を制動するブレーキ装置であって、
固定鉄心と、
前記固定鉄心に設けられた電磁コイルと、
前記固定鉄心と前記回転体との間に配置され、前記電磁コイルへの通電により前記固定鉄心に吸引される可動鉄心と、
前記回転体に対向して配置され、前記可動鉄心に支持されるブレーキ部と、
前記可動鉄心と前記固定鉄心との間に配置され、前記可動鉄心を付勢し、前記ブレーキ部を前記回転体に押し当てる付勢部と、
前記可動鉄心の移動に連動して移動するロッドと、
前記ロッドが押圧する方向と平行に移動可能に支持され、前記ロッドに押されて移動するスイッチと、
前記スイッチの移動を停止させるストッパーと
を備え、
前記スイッチは、前記ストッパーにより移動が停止され前記ロッドに押圧されたか否かに応じて前記回転体の制動状態または非制動状態を検知したことを示す信号の出力有無を切り替え、前記ロッドに押圧されていない場合に、前記ブレーキ装置の動作を検知できる位置に戻るブレーキ装置。
【符号の説明】
【0058】
1 エレベータ用巻上機、4 ブレーキドラム、5 ブレーキ装置、6 ブレーキディスク、10 固定鉄心、20 可動鉄心、30 ブレーキシュー、40 バネ、50 電磁コイル、70 ブレーキ動作検知装置、71 スイッチ、72 ストッパー、73 ロッド、73a ボルト、73c 端、74 保持部、80 ブレーキパッド
【要約】
【課題】スイッチ71に衝撃が与えられて移動したとしても、作業員がスイッチ71を固定し直すことなく、スイッチ71がブレーキ装置5の動作を検知できる位置に戻ることができるブレーキ動作検知装置70及びブレーキ装置5を得る。
【解決手段】回転体4の回転を制動するブレーキ装置5に設けられたブレーキ動作検知装置70は、スイッチ71、ストッパー72及びロッド73を備える。ロッド73は、ブレーキ装置5の可動鉄心20の移動に連動して移動する。スイッチ71は、移動可能に支持され、移動するロッド73に押されて移動する。ストッパー72は、スイッチ71の移動を停止させる。スイッチ71は、ストッパー72により移動が停止されてロッド73に押圧されたとき操作され、操作に応じて回転体4の回転が制動されているか否かを検知する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13