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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】情報出力装置及び情報出力方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20240806BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240806BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01C21/28
G05D1/43
G08G1/16 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023037752
(22)【出願日】2023-03-10
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】笠井 勇希
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087339(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112013840(CN,A)
【文献】国際公開第2021/049231(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/179459(WO,A1)
【文献】特開2022-114388(JP,A)
【文献】特開2011-108084(JP,A)
【文献】特開2020-057307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された情報出力装置であって、
作成対象の占有格子地図を作成するために参照する参照占有格子地図を取得する第1取得部と、
前記作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域に重複している前記参照占有格子地図の複数の格子領域を特定し、当該所定の格子領域の基準点と当該複数の格子領域の基準点との間のずれに基づいて、当該複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを特定する特定部と、
前記複数の格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に当該複数の格子領域のそれぞれに対応する前記重みを乗じる重み付き平均により、前記所定の格子領域に前記障害物が存在する存在確率を算出する算出部と、
前記所定の格子領域と、前記算出部が算出した前記存在確率とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、
を備え
前記特定部は、前記所定の格子領域の前記基準点と、前記複数の格子領域のうちのいずれかの第1の格子領域と横方向において隣接する第2の格子領域の基準点とのずれの横方向成分を特定し、特定した前記所定の格子領域及び前記第2の格子領域に対応するずれの横方向成分と、前記第1の格子領域の前記基準点と前記第2の格子領域の前記基準点との距離との比の値を第1係数として特定し、前記所定の格子領域の前記基準点と、複数の格子領域のうちの前記第1の格子領域と縦方向において隣接する第3の格子領域の前記基準点とのずれの縦方向成分を特定し、特定した前記所定の格子領域及び前記第3の格子領域に対応するずれの縦方向成分と、前記第1の格子領域の基準点と前記第3の格子領域の基準点との距離との比の値を第2係数として特定し、特定した前記第1係数に前記第2係数を乗じることにより、前記第1の格子領域に障害物が存在する存在確率に対応する重みを特定する、
情報出力装置。
【請求項2】
前記車両の周囲を観測する観測装置による観測結果を取得する第2取得部と、
前記第2取得部が取得した前記観測結果に基づいて、前記所定の格子領域に対応する位置に前記障害物が存在するかを推定する推定部と、
前記推定部の推定結果に基づいて、前記算出部が算出した前記存在確率を再計算する再計算部と、
前記所定の格子領域と、前記再計算部が再計算した前記存在確率とを関連付けて出力する出力部と、
をさらに備える、請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記第1取得部は、第1観測装置の観測結果に基づいて作成された第1参照占有格子地図と、第2観測装置の観測結果に基づいて作成された第2参照占有格子地図とを前記参照占有格子地図としてそれぞれ取得し、
前記特定部は、前記所定の格子領域に対応する前記第1参照占有格子地図の複数の第1参照格子領域を特定し、当該所定の格子領域の基準点と当該複数の第1参照格子領域の基準点との間の前記ずれに基づいて、当該複数の第1参照格子領域のそれぞれに対応する第1重みを特定し、当該所定の格子領域に対応する前記第2参照占有格子地図の複数の第2参照格子領域を特定し、当該所定の格子領域の基準点と当該複数の第2参照格子領域の基準点との間の前記ずれに基づいて、当該複数の第2参照格子領域のそれぞれに対応する第2重みを特定し、
前記算出部は、前記複数の第1参照格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に当該複数の第1参照格子領域のそれぞれに対応する前記第1重みを乗じ、且つ、前記複数の第2参照格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に当該複数の第2参照格子領域のそれぞれに対応する前記第2重みを乗じる重み付き平均により、前記所定の格子領域に前記障害物が存在する存在確率を算出する、
請求項1又は2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記第1取得部は、前記障害物が存在する現在の存在確率を示す前記作成対象の占有格子地図を作成するために参照する過去に作成された前記参照占有格子地図を取得する、
請求項1又は2に記載の情報出力装置。
【請求項5】
コンピュータが実行する、
作成対象の占有格子地図を作成するために参照する参照占有格子地図を取得するステップと、
前記作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域に重複している前記参照占有格子地図の複数の格子領域を特定し、当該所定の格子領域の基準点と当該複数の格子領域の基準点との間のずれに基づいて、当該複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを特定するステップと、
前記複数の格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に当該複数の格子領域のそれぞれに対応する前記重みを乗じる重み付き平均により、前記所定の格子領域に前記障害物が存在する存在確率を算出するステップと、
前記所定の格子領域と、算出した前記存在確率とを関連付けて記憶部に記憶させるステップと、
を備え
前記重みを特定するステップでは、前記所定の格子領域の前記基準点と、前記複数の格子領域のうちのいずれかの第1の格子領域と横方向において隣接する第2の格子領域の基準点とのずれの横方向成分を特定し、特定した前記所定の格子領域及び前記第2の格子領域に対応するずれの横方向成分と、前記第1の格子領域の前記基準点と前記第2の格子領域の前記基準点との距離との比の値を第1係数として特定し、前記所定の格子領域の前記基準点と、複数の格子領域のうちの前記第1の格子領域と縦方向において隣接する第3の格子領域の前記基準点とのずれの縦方向成分を特定し、特定した前記所定の格子領域及び前記第3の格子領域に対応するずれの縦方向成分と、前記第1の格子領域の基準点と前記第3の格子領域の基準点との距離との比の値を第2係数として特定し、特定した前記第1係数に前記第2係数を乗じることにより、前記第1の格子領域に障害物が存在する存在確率に対応する重みを特定する、
情報出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行の妨げになる障害物に関する情報を出力する情報出力装置及び情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲の領域を小領域に分割し、外界センサの検出結果に基づき、各分割領域に障害物が存在する確率を算出し、算出した障害物の存在確率をそれぞれの分割領域の位置に関連付けて配列した占有格子地図を作成することが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、各センサによって新たな検出結果及び検出信号が入力される毎に、障害物の位置決め結果に基づき、各格子領域における障害物の存在確率を更新することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-137743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両が移動等した場合には、車両の移動に伴って格子の位置も移動する。このため、車両の移動中に占有格子地図を作成する際に、新たに作成する占有格子地図の格子の位置と、既に作成した占有格子地図の位置とが一致しないことがある。このため、既に作成した占有格子地図の格子領域における障害物の存在確率を参照して、新たに作成する占有格子地図の格子領域における障害物の存在確率を算出した場合に、障害物の存在確率の算出の精度が低下しやすいという問題があった。
【0005】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、占有格子地図の格子領域における障害物の存在確率を算出する精度が低下することを抑制することができる情報出力装置及び情報出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報出力装置は、車両に搭載された情報出力装置であって、作成対象の占有格子地図を作成するために参照する参照占有格子地図を取得する第1取得部と、前記作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域に対応する前記参照占有格子地図の複数の格子領域を特定し、当該所定の格子領域の基準点と当該複数の格子領域の基準点との間のずれに基づいて、当該複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを特定する特定部と、前記複数の格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に当該複数の格子領域のそれぞれに対応する前記重みを乗じる重み付き平均により、前記所定の格子領域に前記障害物が存在する存在確率を算出する算出部と、前記所定の格子領域と、前記算出部が算出した前記存在確率とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、を備える。
【0007】
前記情報出力装置は、前記車両の周囲を観測する観測装置による観測結果を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した前記観測結果に基づいて、前記所定の格子領域に対応する位置に前記障害物が存在するかを推定する推定部と、前記推定部の推定結果に基づいて、前記算出部が算出した前記存在確率を再計算する再計算部と、前記所定の格子領域と、前記再計算部が再計算した前記存在確率とを関連付けて出力する出力部と、をさらに備えてもよい。
【0008】
前記特定部は、前記所定の格子領域の前記基準点と、前記複数の格子領域のうちのいずれかの第1の格子領域と横方向において隣接する第2の格子領域の基準点とのずれの横方向成分を特定し、特定した前記所定の格子領域及び前記第2の格子領域に対応するずれの横方向成分と、前記第1の格子領域の前記基準点と前記第2の格子領域の前記基準点との距離との比の値を第1係数として特定し、前記所定の格子領域の前記基準点と、複数の格子領域のうちの前記第1の格子領域と縦方向において隣接する第3の格子領域の前記基準点とのずれの縦方向成分を特定し、特定した前記所定の格子領域及び前記第3の格子領域に対応するずれの縦方向成分と、前記第1の格子領域の基準点と前記第3の格子領域の基準点との距離との比の値を第2係数として特定し、特定した前記第1係数に前記第2係数を乗じることにより、前記第1の格子領域に障害物が存在する存在確率に対応する重みを特定してもよい。
【0009】
前記第1取得部は、第1観測装置の観測結果に基づいて作成された第1参照占有格子地図と、第2観測装置の観測結果に基づいて作成された第2参照占有格子地図とを前記参照占有格子地図としてそれぞれ取得し、前記特定部は、前記所定の格子領域に対応する前記第1参照占有格子地図の複数の第1参照格子領域を特定し、当該所定の格子領域の基準点と当該複数の第1参照格子領域の基準点との間の前記ずれに基づいて、当該複数の第1参照格子領域のそれぞれに対応する第1重みを特定し、当該所定の格子領域に対応する前記第2参照占有格子地図の複数の第2参照格子領域を特定し、当該所定の格子領域の基準点と当該複数の第2参照格子領域の基準点との間の前記ずれに基づいて、当該複数の第2参照格子領域のそれぞれに対応する第2重みを特定し、前記算出部は、前記複数の第1参照格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に当該複数の第1参照格子領域のそれぞれに対応する前記第1重みを乗じ、且つ、前記複数の第2参照格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に当該複数の第2参照格子領域のそれぞれに対応する前記第2重みを乗じる重み付き平均により、前記所定の格子領域に前記障害物が存在する存在確率を算出してもよい。前記第1取得部は、前記障害物が存在する現在の存在確率を示す前記作成対象の占有格子地図を作成するために参照する過去に作成された前記参照占有格子地図を取得してもよい。
【0010】
本発明の第2の態様の情報出力方法は、コンピュータが実行する、作成対象の占有格子地図を作成するために参照する参照占有格子地図を取得するステップと、前記作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域に対応する前記参照占有格子地図の複数の格子領域を特定し、当該所定の格子領域の基準点と当該複数の格子領域の基準点との間のずれに基づいて、当該複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを特定するステップと、前記複数の格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に当該複数の格子領域のそれぞれに対応する前記重みを乗じる重み付き平均により、前記所定の格子領域に前記障害物が存在する存在確率を算出するステップと、前記所定の格子領域と、算出した前記存在確率とを関連付けて記憶部に記憶させるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、占有格子地図の格子領域における障害物の存在確率を算出する精度が低下することを抑制するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の情報出力装置が搭載された車両の構成を示す。
図2】車両の要部の構成を示す。
図3】参照占有格子地図及び作成対象の占有格子地図の例を示す。
図4】特定部による重みの特定方法の例を示す図である。
図5】特定部による重みの特定方法の例を示す図である。
図6】参照占有格子地図の別の例を示す。
図7】作成対象の占有格子地図を示す。
図8】情報出力装置による占有格子地図の作成の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[車両の概要]
図1は、本実施形態の情報出力装置2が搭載された車両100の構成を示す。車両100は、複数の観測装置1a,1b,1c,…、情報出力装置2、経路生成装置3、制御装置4を備える。
【0014】
観測装置1a及び1b,1c,…は、走行中の車両の周囲を観測する。観測装置1a及び1b,1c,…は、例えば、レーザ照射による散乱光を測定するLIDARである。観測装置1a,1b,1c,…は、カメラ又は深度センサであってもよい。観測装置1a及び1b,1c,…は、観測結果を情報出力装置2へ入力する。
【0015】
情報出力装置2は、走行中の車両100の周辺に存在する障害物を表示する占有格子地図を作成する。この占有格子地図では、車両100の周囲を分割した複数の格子領域のそれぞれと、障害物がその格子領域に存在する確率とが関連付けられる。情報出力装置2は、障害物の現在の存在確率を示す作成対象の占有格子地図を作成するために参照する参照占有格子地図を取得する。参照占有格子地図は、例えば、作成対象の占有格子地図を作成するために参照される過去に作成された占有格子地図である。情報出力装置2は、作成対象の占有格子地図に含まれる格子領域のそれぞれに対応する参照占有格子地図の格子領域をそれぞれ特定する。
【0016】
参照占有格子地図において想定されている車両100の位置と、車両100が実際に走行している位置とがずれていることで、作成対象の占有格子地図に含まれる各格子領域の車両100に対する位置が、参照占有格子地図に含まれる各格子領域の車両100に対する位置と異なることがある。この場合、情報出力装置2は、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれの基準点と、参照占有格子地図の対応する複数の格子領域の基準点との間のずれを特定する。基準点は、例えば、格子領域の中心である。
【0017】
情報出力装置2は、特定した基準点間のずれに基づいて、参照占有格子地図の対応する複数の格子領域のそれぞれの重みを特定する。情報出力装置2は、作成対象の占有格子地図の複数の格子領域のそれぞれに対応する参照占有格子地図の複数の格子領域にそれぞれに障害物が存在する存在確率に、これらの複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを乗じる重み付き平均により、所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を算出する。
【0018】
情報出力装置2は、観測装置1a及び1b,1c,…の観測結果に基づいて、作成対象の占有格子地図に含まれるそれぞれの格子領域に対応する位置に障害物が存在するか否かを推定する。詳細については後述するが、情報出力装置2は、この推定結果に基づいて、作成対象の占有格子地図に含まれる格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率を再計算する。情報出力装置2は、複数の格子領域のそれぞれと、再計算した存在確率とを関連付けた占有格子地図を経路生成装置3へ出力する。
【0019】
経路生成装置3は、情報出力装置2が出力した占有格子地図に基づいて、車両100が障害物を回避して走行するための目標経路を生成する。経路生成装置3は、生成した目標経路を示す情報を制御装置4へ出力する。
【0020】
制御装置4は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)である。制御装置4は、車両100の走行を制御する。制御装置4は、経路生成装置3が生成した目標経路に追従するように、車両100の操舵角を変化させて車両100を走行させる。
【0021】
このようにして、情報出力装置2は、参照占有格子地図に含まれる複数の格子領域に障害物が存在する存在確率を重み付き平均することにより、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を算出する。このため、情報出力装置2は、作成対象の占有格子地図の格子領域に対応する参照占有格子地図の格子領域が複数存在する場合であっても、作成対象の占有格子地図の格子領域における障害物の存在確率を算出する精度が低下することを抑制することができる。
【0022】
[車両100の要部の構成]
図2は、車両100の要部の構成を示す。車両100は、観測装置1a,1b,1c,…、情報出力装置2及び記憶部5を備える。情報出力装置2は、第1取得部201、第2取得部202、特定部203、算出部204、記憶制御部205、推定部206、再計算部207及び出力部208を備える。
【0023】
記憶部5は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により構成される。記憶部5は、情報出力装置2が実行するための各種のプログラムを記憶している。記憶部5は、障害物が存在する現在の存在確率を示す作成対象の占有格子地図を作成するために特定部203が参照する参照占有格子地図を記憶している。
【0024】
第1取得部201は、障害物が存在する現在の存在確率を示す作成対象の占有格子地図を作成するために参照する参照占有格子地図を記憶部5から取得する。上述のとおり、参照占有格子地図は、例えば、作成対象の占有格子地図を作成するために参照される過去に作成された占有格子地図である。
【0025】
図3(a)及び図3(b)は、参照占有格子地図及び作成対象の占有格子地図の例を示す。図3(a)は、参照占有格子地図を示す。図3(a)の例では、参照占有格子地図は、時刻t―1の車両100の周囲を分割して配列された複数の格子領域を示す。図3(a)には示していないが、参照占有格子地図では、複数の格子領域のそれぞれと、その格子領域に障害物が存在する存在確率とが関連付けられている。
【0026】
図3(b)は、作成対象の占有格子地図を示す。図3(b)の例では、作成対象の占有格子地図は、現在(時刻t)の車両100の周囲を格子状に分割して配列された複数の格子領域を示す。図3(b)に示す時刻tのタイミングでは、図3(a)に示す時刻t-1のタイミングに比べて距離xだけ車両100が前進している。車両100の周囲の格子領域は、車両100の前進にともなって移動しているため、図3(a)に示す参照占有格子地図の格子領域と、図3(b)に示す作成対象の占有格子地図の格子領域とは完全には一致しない。第1取得部201は、取得した参照占有格子地図を特定部203へ出力する。
【0027】
第2取得部202は、車両100の周囲を観測する観測装置1a及び1b,1c,…による観測結果を取得する。取得した観測結果は、障害物が存在するか否かを特定するために用いられる。第2取得部202は、取得した観測結果を推定部206へ出力する。
【0028】
特定部203は、作成対象の占有格子地図に関する情報を特定する。まず、特定部203は、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)に基づいて、車両100の位置を特定する。特定部203は、観測装置1a及び1b,1c,…の観測結果に基づいて、車両100の位置を特定してもよい。特定部203は、特定した車両100の位置に基づいて、作成対象の占有格子地図に含まれるそれぞれ格子領域の位置を特定する。
【0029】
特定部203は、作成対象の占有格子地図に含まれる格子領域のそれぞれに対応する参照占有格子地図の格子領域をそれぞれ特定する。以下、説明の簡略化のため、作成対象の占有格子領域に含まれる一部の格子領域(以下、所定の格子領域ともいう)の基準点と、参照占有格子地図に含まれる対応する複数の格子領域の基準点とのずれを特定部203が特定する方法について説明する。特定部203は、作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域に対応する参照占有格子地図の複数の格子領域を特定し、所定の格子領域の基準点と、対応する複数の格子領域の基準点との間のずれを特定する。基準点は、例えば、中心点である。特定部203は、特定した基準点間のずれに基づいて、対応する複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを特定する。
【0030】
より詳しくは、特定部203は、所定の格子領域の基準点と、複数の格子領域のうちのいずれかの格子領域(第1の格子領域に相当)と横方向において隣接する格子領域(第2の格子領域に相当)の基準点とのずれの横方向成分を特定する。特定部203は、特定した所定の格子領域及び第2領域に対応するずれの横方向成分と、第1の格子領域の基準点と第2の格子領域の基準点との距離との比の値を第1係数として特定する。
【0031】
特定部203は、所定の格子領域の基準点と、複数の格子領域のうちの第1の格子領域と縦方向において隣接する第3の格子領域の基準点とのずれの縦方向成分を特定する。特定部203は、特定した所定の格子領域及び第3の格子領域に対応するずれの縦方向成分と、第1の格子領域の基準点と第3の格子領域の基準点との距離との比の値を第2係数として特定する。特定部203は、特定した第1係数に第2係数を乗じることにより、第1の格子領域に障害物が存在する存在確率に対応する重みを特定する。
【0032】
図4及び図5は、特定部203による重みの特定方法の例を示す図である。図4中に示す複数の四角形は、参照占有格子地図に含まれる格子領域を示す。図4中の太線で示す四角形は、作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域を示す。この所定の格子領域中のハッチングを付した丸印は、所定の格子領域の中心点の位置を示す。図4の例では、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域は、参照占有格子地図の複数の格子領域と重複している。所定の格子領域と重複している参照占有格子地図の複数の格子領域に1から4の番号を付して示す。
【0033】
図5中には、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域の中心点の位置をハッチングを付した丸印で示す。所定の格子領域と重複している参照占有格子地図の複数の格子領域の中心点の位置を図5中の黒丸で示す。図5の例では、説明を簡略化するため、参照占有格子地図の隣接する複数の格子領域の中心点間の距離を1とする。
【0034】
まず、特定部203は、参照占有格子地図の番号1を付した第1の格子領域の中心点と、所定の格子領域の中心点とのずれの横方向成分(dx)と、このずれの縦方向成分(dy)とを特定する。図5中の縦方向及び横方向は、それぞれ参照占有格子地図の格子の縦方向及び横方向である。同様に、特定部203は、参照占有格子地図の番号2を付した第2の格子領域の中心点と所定の格子領域の中心点とのずれの横方向成分(1-dx)と、このずれの縦方向成分(dy)とを特定する。
【0035】
特定部203は、参照占有格子地図の番号3を付した第3の格子領域の中心点と所定の格子領域の中心点とのずれの横方向成分(dx)と、このずれの縦方向成分(1-dy)とを特定する。特定部203は、参照占有格子地図の番号4を付した第4の格子領域の中心点と所定の格子領域の中心点とのずれの横方向成分(1-dx)と、このずれの縦方向成分(1-dy)とを特定する。
【0036】
特定部203は、所定の格子領域の中心点と第2の格子領域の中心点とのずれの横方向成分(1-dx)を特定する。特定部203は、特定した所定の格子領域及び第2の格子領域に対応するずれの横方向成分(1-dx)と、第1の格子領域の中心点と第2の格子領域の中心点との距離(1)との比の値(1-dx)を第1係数として特定する。
【0037】
特定部203は、所定の格子領域の基準点と第3の格子領域の基準点とのずれの縦方向成分(1-dy)を特定する。特定部203は、特定した所定の格子領域及び第3の格子領域に対応するずれの縦方向成分(1-dy)と、第1の格子領域の基準点と第3の格子領域の基準点との距離(1)との比の値(1-dy)を第2係数として特定する。特定部203は、特定した第1係数(1-dy)と第2係数(1-dy)との積を求めることにより、第1の格子領域に障害物が存在する存在確率に対応する重みw=(1-dx)(1-dy)を特定する。
【0038】
特定部203は、所定の格子領域の中心点と第1の格子領域の中心点とのずれの横方向成分(dx)を特定する。特定部203は、特定した所定の格子領域及び第1領域に対応するずれの横方向成分(dx)と、第1の格子領域の中心点と第2の格子領域の中心点とのずれの横方向成分(1)との比の値(dx)を第3係数として特定する。特定部203は、所定の格子領域の基準点と第4の格子領域の基準点とのずれの縦方向成分(1-dy)を特定する。
【0039】
特定部203は、特定した所定の格子領域及び第4の格子領域に対応するずれの縦方向成分(1-dy)と、第2の格子領域の基準点と第4の格子領域の基準点との距離(1)との比の値(1-dy)を第4係数として特定する。特定部203は、特定した第3係数(dx)と第4係数(1-dy)との積を求めることにより、第2の格子領域に障害物が存在する存在確率に対応する重みw=(dx)(1-dy)を特定する。
【0040】
特定部203は、同様にして、第3の格子領域に障害物が存在する存在確率に対応する重みw=(1-dx)(dy)を特定する。特定部203は、第4の格子領域に障害物が存在する存在確率に対応する重みw=(dx)(dy)を特定する。特定部203は、所定の格子領域の基準点と、第1の格子領域の基準点との距離(dx+dy0.5に基づいて、第1の格子領域に対応する重みwを特定してもよく、第2~第4の格子領域に対応する重みw~wも同様に特定してもよい。特定部203は、特定した重みw~wを算出部204へ出力する。
【0041】
算出部204は、参照占有格子地図に含まれる複数の格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを乗じる重み付き平均により、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率を算出する。例えば、算出部204は、作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を算出する。
【0042】
参照占有格子地図において第1の格子領域に障害物が存在する確率をP(1)とし、第2の格子領域に障害物が存在する確率をP(2)とし、第3の格子領域に障害物が存在する確率をP(3)とし、第4の格子領域に障害物が存在する確率をP(4)とする。作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に障害物が存在する存在確率P’は、以下の式
P’=w(1)+w(2)+w(3)+w(4)...(1)
により表される。算出部204は、式(1)により、所定の格子領域に障害物が存在する存在確率P’を算出する。このようにして、算出部204は、参照占有格子地図の格子領域に対し、作成対象の占有格子地図に含まれる格子領域が回転している場合であっても、この格子領域に障害物が存在する存在確率を精度よく算出することができる。
【0043】
記憶制御部205は、作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域と、算出部204が算出した存在確率とを関連付けて記憶部5に記憶させる。同様にして、記憶制御部205は、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれと、対応する存在確率とを関連付けて記憶部5に記憶させる。
【0044】
[異なる観測装置に対応する複数の参照占有格子地図を取得する変形例]
本実施形態では、第1取得部201は、作成対象の占有格子地図を作成するために参照される過去に作成された参照占有格子地図を取得する。第1取得部201は、異なる観測装置に対応する現在又は過去の複数の参照占有格子地図を取得してもよい。例えば、第1取得部201は、第1観測装置1aの観測結果に基づいて作成された第1参照占有格子地図と、第2観測装置1bの観測結果に基づいて作成された第2参照占有格子地図とを取得する。第1取得部201は、第1観測装置1a及び第2観測装置1b以外の1台以上の観測装置が車両100に搭載される場合には、それぞれの観測装置の観測結果に基づいて作成された参照占有格子地図をさらに取得してもよい。
【0045】
図6(a)及び図6(b)は、参照占有格子地図の別の例を示す。図6では搭載される観測装置が2つの場合を例として示す。図6(a)は、観測装置1aの測定結果に基づいて作成された第1参照占有格子地図の複数の第1参照格子領域を示す。図6(a)に示すように、観測装置1aは、車両100の左側前端に配置されている。図6(b)は、観測装置1bの測定結果に基づいて作成された第2参照占有格子地図の複数の第2参照格子領域を示す。図6(b)に示すように、観測装置1bは、車両100の右側前端に配置されている。第1参照格子地図と第2参照格子地図では、一部の格子領域が互いに重複する位置に配列されている。
【0046】
一方、図6(a)に示す第1参照格子地図に含まれる複数の第1参照格子領域のうち、車両100の左側の第1参照格子領域は、第2参照格子地図に含まれる第2参照格子領域とは重複していない。同様に、図6(b)に示す第2参照格子地図に含まれる複数の第2参照格子領域のうち、車両100の右側の第2参照格子領域は、第1参照格子地図に含まれる第1参照格子領域とは重複していない。
【0047】
図7は、作成対象の占有格子地図を示す。特定部203は、図7に示す占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれに対応する図6(a)に示す第1参照占有格子地図の第1参照格子領域を特定する。同様にして、特定部203は、図7に示す占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれに対応する図6(b)に示す第2参照占有格子地図の第2参照格子領域を特定する。特定部203は、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に対応する第1参照占有格子地図の複数の第1参照格子領域を特定し、この所定の格子領域に対応する第2参照占有格子地図の複数の第2参照格子領域も特定する。
【0048】
特定部203は、所定の格子領域の基準点と複数の第1参照格子領域の基準点との間のずれを特定する。特定部203は、特定した所定の格子領域及び第1参照格子領域の基準点間のずれに基づいて、複数の第1参照格子領域のそれぞれに対応する第1重みをそれぞれ特定する。同様にして、特定部203は、所定の格子領域の基準点と複数の第2参照格子領域の基準点との間のずれを特定し、特定した所定の格子領域及び第2参照格子領域の基準点間のずれに基づいて、複数の第2参照格子領域のそれぞれに対応する第2重みをそれぞれ特定する。同様にして、特定部203は、第1観測装置1a及び第2観測装置1b以外の観測装置に対応する参照占有格子地図を取得した場合には、この参照占有格子地図に含まれる複数の参照格子領域に対応する重みをそれぞれ特定する。
【0049】
このとき、算出部204は、複数の第1参照格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率に複数の第1参照格子領域のそれぞれに対応する第1重みを乗じ、且つ、複数の第2参照格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率に複数の第2参照格子領域のそれぞれに対応する第2重みを乗じる重み付き平均により、所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を算出してもよい。
【0050】
また、算出部204は、複数の第1参照格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率に複数の第1参照格子領域のそれぞれに対応する第1重みを乗じ、複数の第2参照格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率に複数の第2参照格子領域のそれぞれに対応する第2重みを乗じることに加えて、第1観測装置1a及び第2観測装置1b以外の観測装置に対応する複数の参照格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率に当該参照格子領域に対応する重みを乗じる重み付き平均により、所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を算出してもよい。
【0051】
図2の推定部206は、第2取得部202が取得した観測結果に基づいて、作成対象の占有格子地図の格子領域のそれぞれに対応する位置に障害物が存在するかを推定する。例えば、推定部206は、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に対応する位置に障害物が存在するか否かを推定する。推定部206は、作成対象の占有格子地図の複数の格子領域のそれぞれに対応する位置に障害物が存在する存在確率を推定してもよい。
【0052】
推定部206は、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれに対応する位置に障害物が存在するか否かの推定結果、又は、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれに対応する位置に障害物が存在する存在確率の推定結果を再計算部207へ出力する。
【0053】
[存在確率の再計算]
再計算部207は、推定部206の推定結果に基づいて、算出部204が算出した存在確率を再計算する。例えば、再計算部207は、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に対応する位置に障害物が存在すると推定部206が推定した場合に、記憶制御部205がこの所定の格子領域に関連付けて記憶部5に記憶させた存在確率に所定の調整値を加算する。調整値は、例えば、観測装置1a及び1b,1c,…の観測結果においてノイズが生じる可能性が高いほど、小さな値である。一方、再計算部207は、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に対応する位置に障害物が存在しないと推定部206が推定した場合に、記憶制御部205がこの所定の格子領域に関連付けて記憶部5に記憶させた存在確率からこの調整値を減算する。
【0054】
再計算部207は、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を推定部206が推定した場合には、記憶制御部205が所定の格子領域に関連付けて記憶部5に記憶させた存在確率と、推定部206が推定した所定の格子領域に障害物が存在する存在確率との重み付き平均により、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を再計算してもよい。重み付き平均に用いる重みは、例えば、障害物として想定されている物体が移動する速度又は移動頻度に応じて定められる。同様にして、再計算部207は、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率を再計算する。再計算部207は、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれと、再計算した存在確率とを関連付けて出力部208へ出力する。
【0055】
[占有格子地図の出力]
出力部208は、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれと、再計算部207による再計算後の存在確率とを関連付けて経路生成装置3へ出力する。例えば、出力部208は、作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域と、再計算部207が再計算した存在確率とを関連付けて経路生成装置3へ出力する。
【0056】
[情報出力装置2による占有格子地図の作成の処理手順]
図8は、情報出力装置2による占有格子地図の作成の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、例えば、車両100の走行中に開始する。まず、第1取得部201は、作成対象の占有格子地図を作成するために参照する参照占有格子地図を記憶部5から取得する(S101)。第2取得部202は、車両100の周囲を観測する観測装置1a及び1bによる観測結果を取得する(S102)。特定部203は、作成対象の占有格子地図に含まれる一つの格子領域(所定の格子領域に相当)に対応する参照占有格子地図の複数の格子領域を特定し、所定の格子領域の基準点と、特定した複数の格子領域の基準点との間のずれを特定する(S103)。
【0057】
特定部203は、特定した基準点間のずれに基づいて、参照占有格子地図の複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを特定する(S104)。算出部204は、参照占有格子地図に含まれる複数の格子領域にそれぞれに障害物が存在する存在確率に複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを乗じる重み付き平均により、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれに障害物が存在する存在確率を算出する(S105)。
【0058】
推定部206は、第2取得部202が取得した観測結果に基づいて、作成対象の占有格子地図の格子領域のそれぞれに対応する位置に障害物が存在するか否かをそれぞれ推定する(S106)。再計算部207は、推定部206の推定結果に基づいて、作成対象の占有格子地図の格子領域のそれぞれに対応する位置に障害物が存在する存在確率を再計算する(S107)。出力部208は、作成対象の占有格子地図に含まれる複数の格子領域のそれぞれと、再計算部207が再計算した存在確率とを関連付けて経路生成装置3へ出力する(S108)。
【0059】
出力部208は、車両100の走行が終了したか否かを判定する(S109)。出力部208は、車両100の走行が終了したと判定した場合に(S109のYES)、処理を終了する。出力部208は、S109の判定において車両100の走行が終了していないと判定した場合に(S109のNO)、S101の処理に戻る。
【0060】
[本実施形態の情報出力装置2による効果]
算出部204は、参照占有格子地図に含まれる複数の格子領域に障害物が存在する存在確率を重み付き平均することにより、作成対象の占有格子地図の所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を算出する。このため、算出部204は、作成対象の占有格子地図の格子領域における障害物の存在確率を算出する精度が低下することを抑制することができる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0062】
1a 観測装置
1b 観測装置
2 情報出力装置
3 経路生成装置
4 制御装置
5 記憶部
100 車両
201 第1取得部
202 第2取得部
203 特定部
204 算出部
205 記憶制御部
206 推定部
207 再計算部
208 出力部
【要約】
【課題】占有格子地図の格子領域における障害物の存在確率を算出する精度が低下することを抑制する。
【解決手段】作成対象の占有格子地図を作成するために参照する参照占有格子地図を取得する第1取得部201と、作成対象の占有格子地図に含まれる所定の格子領域に対応する参照占有格子地図の複数の格子領域を特定し、所定の格子領域の基準点と複数の格子領域の基準点との間のずれに基づいて、複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを特定する特定部203と、複数の格子領域にそれぞれに障害物が存在する確率に複数の格子領域のそれぞれに対応する重みを乗じる重み付き平均により、所定の格子領域に障害物が存在する存在確率を算出する算出部204と、所定の格子領域と、算出部204が算出した存在確率とを関連付けて記憶部5に記憶させる記憶制御部205と、を備える。
【選択図】図2


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8