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  • 特許-測定制御装置及び測定制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】測定制御装置及び測定制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/013 20060101AFI20240806BHJP
   B60C 23/00 20060101ALI20240806BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01M17/013
B60C23/00 Z
G08C17/00 A
G08C17/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023043939
(22)【出願日】2023-03-20
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】今井 聡
(72)【発明者】
【氏名】目黒 貴之
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-093653(JP,A)
【文献】特開2005-329907(JP,A)
【文献】特開2014-091344(JP,A)
【文献】特開2008-080897(JP,A)
【文献】特表2011-518718(JP,A)
【文献】特開2017-009536(JP,A)
【文献】特開2006-327324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C23/00-99/00
G01M17/00-17/10
G08C13/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられた検出装置が検出した加速度を、前記検出装置から受信する通信部と、
前記車輪の装着後に前記車両が走行した走行距離に応じて、前記通信部が前記加速度を受信する周期を決定する決定部と、
前記車両において複数の車輪の各々が装着される複数の装着位置と、各装着位置に装着された各車輪を識別するための車輪識別情報とに基づいて、各装着位置に対応する前記車輪識別情報が変化したタイミングを示す装着タイミングを特定する特定部と、
を有し、
前記決定部は、前記装着タイミングの後の前記走行距離に応じて、前記加速度を取得する周期を決定する、
定制御装置。
【請求項2】
前記検出装置が所定の期間に検出した加速度に基づいて、前記車輪の装着状態に異常があると判定する判定部をさらに有する、
請求項1に記載の測定制御装置。
【請求項3】
前記車輪が装着された時刻を受け付ける受付部をさらに有し、
前記特定部は、前記受付部が受け付けた前記時刻を前記装着タイミングに特定する、
請求項に記載の測定制御装置。
【請求項4】
車両の車輪に設けられた検出装置が検出した加速度を、前記検出装置から受信する通信部と、
前記車輪の装着後に前記車両が走行した走行距離に応じて、前記通信部が前記加速度を受信する周期を決定する決定部と、
を有し、
前記決定部は、前記走行距離が閾値以下である場合は、前記周期を第1周期に決定し、前記走行距離が前記閾値より大きい場合は、前記周期を前記第1周期よりも大きい第2周期に決定する、
定制御装置。
【請求項5】
前記車両において複数の車輪の各々が装着される複数の装着位置の各々に対応した前記閾値を記憶する記憶部をさらに有し、
前記決定部は、前記記憶部を参照することにより、前記走行距離が各装着位置に対応した前記閾値より大きいか否かを判定することにより、前記各車輪の前記周期を決定する、
請求項に記載の測定制御装置。
【請求項6】
プロセッサが実行する、
車両の車輪に設けられた検出装置が検出した加速度を、前記検出装置から受信する受信工程と、
前記車輪の装着後に前記車両が走行した走行距離に応じて、前記受信工程において前記加速度を受信する周期を決定する決定工程と、
前記車両において複数の車輪の各々が装着される複数の装着位置と、各装着位置に装着された各車輪を識別するための車輪識別情報とに基づいて、各装着位置に対応する前記車輪識別情報が変化したタイミングを示す装着タイミングを特定する特定工程と、
を有し、
前記決定工程において、前記装着タイミングの後の前記走行距離に応じて、前記加速度を取得する周期を決定する、
定制御方法。
【請求項7】
プロセッサが実行する、
車両の車輪に設けられた検出装置が検出した加速度を、前記検出装置から受信する受信工程と、
前記車輪の装着後に前記車両が走行した走行距離に応じて、前記受信工程において前記加速度を受信する周期を決定する決定工程と、
を有し、
前記決定工程において、前記走行距離が閾値以下である場合は、前記周期を第1周期に決定し、前記走行距離が前記閾値より大きい場合は、前記周期を前記第1周期よりも大きい第2周期に決定する、
測定制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定制御装置及び測定制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車輪脱落検出装置は、車輪に設けられたセンサが検出した車軸方向の加速度の変化率が所定の変化率を超えた場合に、車輪の取り付けに異常があると判定し、表示装置に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-329907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のセンサは、所定の頻度(検出周期)で加速度を検出しているが、車輪の脱落等の異常が発生する蓋然性は、車両の状態に応じて変化する。このため、常にセンサが短い検出周期で加速度を検出すると、異常が発生する蓋然性が低いケースでも、センサが不必要に加速度を検出することになり、電力を消費してしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車輪の脱落等の異常が発生する蓋然性の度合いに適した頻度で加速度を測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る測定制御装置は、車両の車輪に設けられた検出装置が検出した加速度を、前記検出装置から受信する通信部と、前記車輪の装着後に前記車両が走行した走行距離に応じて、前記通信部が前記加速度を受信する周期を決定する決定部と、を有する。
【0007】
前記検出装置が所定の期間に検出した加速度に基づいて、前記車輪の装着状態に異常があると判定する判定部をさらに有してもよい。
【0008】
前記車両において複数の車輪の各々が装着される複数の装着位置と、各装着位置に装着された各車輪を識別するための車輪識別情報とに基づいて、各装着位置に対応する前記車輪識別情報が変化したタイミングを示す装着タイミングを特定する特定部をさらに有し、前記決定部は、前記装着タイミングの後の前記走行距離に応じて、前記加速度を取得する周期を決定してもよい。
【0009】
前記車輪が装着された時刻を受け付ける受付部をさらに有し、前記特定部は、前記受付部が受け付けた前記時刻を前記装着タイミングに特定してもよい。
【0010】
前記決定部は、前記走行距離が閾値以下である場合は、前記周期を第1周期に決定し、前記走行距離が前記閾値より大きい場合は、前記周期を前記第1周期よりも大きい第2周期に決定してもよい。
【0011】
前記車両において複数の車輪の各々が装着される複数の装着位置の各々に対応した前記閾値を記憶する記憶部をさらに有し、前記決定部は、前記記憶部を参照することにより、前記走行距離が各装着位置に対応した前記閾値より大きいか否かを判定することにより、前記各車輪の前記周期を決定してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様に係る測定制御方法は、プロセッサが実行する、車両の車輪に設けられた検出装置が検出した加速度を、前記検出装置から受信する受信工程と、前記車輪の装着後に前記車両が走行した走行距離に応じて、前記受信工程において前記加速度を受信する周期を決定する決定工程と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車輪の脱落等の異常が発生する蓋然性の度合いに適した頻度で加速度を測定するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る車両Sの概要を説明するための図である。
図2】測定制御装置10の構成を示す図である。
図3】装着タイミングを特定するための処理シーケンスである。
図4】加速度を受信する周期を決定するための処理シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<車両Sの概要>
図1は、本実施形態に係る車両Sの概要を説明するための図である。図1に示す車両Sは、操作部1と、検出装置2a、2bと、報知装置3と、測定制御装置10と、を備える。車両Sは、複数の車輪Wの各々の加速度を検出し、当該加速度に基づいて車輪Wの装着状態に異常があるか否かを検出する機能を有する。加速度は、例えば、車輪Wの車軸方向の加速度である。車輪Wの装着状態の異常は、例えば、車輪Wに設けられたホイールナットNの緩みである。
【0016】
操作部1は、車両SのステアリングHに設けられたスイッチ又はタッチパネルである。操作部1は、車両Sのインストルメントパネルに設けられていてもよい。
【0017】
検出装置2a、2b(以下、「検出装置2」という場合がある)は、車両Sに装着された複数の車輪Wに設けられており、車輪Wの加速度を検出して測定制御装置10に送信する処理を実行する。図1においては、車両Sの前進方向における左前に装着された車輪Wに検出装置2aが備えられ、車両Sの前進方向における左後に装着された車輪Wに検出装置2bが備えられている。
【0018】
報知装置3は、車輪Wの装着状態に異常がある場合に、異常があることを示す画像をディスプレイに表示したり、異常があることを示す警告音をスピーカに出力したりする処理(すなわち、報知する処理)を実行する。例えば、ディスプレイは、インストルメントパネルに設けられており、スピーカは、インストルメントパネルの周囲に設けられている。
【0019】
測定制御装置10は、検出装置2から受信した車輪Wの加速度に基づいて車輪Wの装着状態に異常があるか否かを判定し、異常があると判定した場合は報知装置3に異常があることを報知させる処理を実行する。測定制御装置10は、電子部品を含む筐体を有していてもよく、電子部品が実装されたプリント基板であってもよい。
【0020】
車輪WのホイールナットNの緩み等の異常は、一例として、車輪Wの脱着を行った際にホイールナットNを正しいトルクで締めていないことに起因する。ホイールナットNを正しいトルクで締めていない状態のまま車両Sが走行すると、ホイールナットNの緩みが発生する可能性がある。そして、ホイールナットNの緩みは、車輪Wの脱着を行った後の走行距離が所定距離(例えば100km)に達する前に発生する蓋然性が高い。ホイールナットNの緩みが発生すると、車輪Wが脱輪するおそれがある。一方、ホイールナットNを正しいトルクで締めた車両Sは、走行距離が長くてもホイールナットNの緩みが発生しないため車輪Wが脱輪しない。したがって、車輪Wに異常が発生する蓋然性は、車輪Wの装着後に車両Sが走行した走行距離が所定距離に達した場合は、走行距離が所定距離に達する前よりも低くなる。言い換えれば、車輪Wに異常が発生する蓋然性は、車輪Wの装着後に車両Sが走行した走行距離が長ければ長いほど低くなる。検出装置2が一定の周期で車輪Wの加速度を検出して測定制御装置10に送信すると、車両Sの走行距離が長くなればなるほど不必要に加速度を検出したり送信したりすることになり、検出装置2が備えるバッテリ(不図示)が蓄えた電力を消費してしまう。
【0021】
そこで、測定制御装置10は、車輪Wを装着した後の走行距離に応じて、検出装置2から車輪Wの加速度を受信する周期を決定する。例えば、測定制御装置10は、車輪Wを装着した後の走行距離が所定距離を超えたことを特定した場合に、車輪Wの加速度を受信する周期を長くする。これにより、測定制御装置10は、電力を消費することを抑制しつつ、車輪Wに異常が発生する蓋然性の度合いに適した頻度で車輪Wの加速度を取得できる。
以下、測定制御装置10の構成及び動作を詳細に説明する。
【0022】
<測定制御装置10の構成>
図2は、測定制御装置10の構成を示す図である。測定制御装置10は、記憶部11と、制御部12と、を有する。制御部12は、受付部121と、通信部122と、特定部123と、決定部124と、判定部125と、を有する。
【0023】
記憶部11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを記憶している。記憶部11は、検出装置2から車輪Wの加速度を受信する周期を決定するための各種の情報を記憶している。一例として、記憶部11は、検出装置2が検出した加速度を受信する周期を決定するための所定距離を記憶している。所定距離は、例えば、100kmである。
【0024】
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はECU(Electronic Control Unit)等のプロセッサである。制御部12は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部121、通信部122、特定部123、決定部124及び判定部125として機能する。なお、制御部12は、1つのプロセッサで構成されていてもよいし、複数のプロセッサ又は1以上のプロセッサと電子回路との組み合わせにより構成されていてもよい。
以下、制御部12により実現される各部の構成を説明する。
【0025】
受付部121は、車輪Wが装着された時刻を受け付ける。受付部121は、例えば、車輪Wを外して新たに装着した際に運転者が操作部1を用いて設定した時刻を車輪Wが装着された時刻として受け付ける。
【0026】
通信部122は、車両Sの車輪Wに設けられた検出装置2が検出した加速度を、検出装置2から受信する。通信部122は、例えば、後述する決定部124が決定した周期ごとに、加速度を要求するための要求信号(いわゆる割込み信号)を検出装置2に送信する。検出装置2は、通信部122から送信された要求信号を受信したことに応じて、加速度を示す情報を通信部122に送信する。
【0027】
通信部122は、複数の車輪Wの各々が備える検出装置2の各々が検出した加速度を受信する。通信部122は、例えば、複数の検出装置2の各々から、検出装置2を備える車輪Wが装着された装着位置(例えば、車両の左前、左後、右前、右後)と、車輪Wを識別するための車輪識別情報(以下、「車輪ID」という)と、検出装置2が検出した加速度とを受信する。
【0028】
特定部123は、車輪Wの着脱に伴い各車輪Wの各装着位置が変化したタイミングを示す装着タイミングを特定する。一例として、特定部123は、車両Sにおいて複数の車輪Wの各々が装着される複数の装着位置と、各装着位置に装着された各車輪Wの車輪IDとに基づいて、各装着位置に対応する車輪IDが変化したタイミングを示す装着タイミングを特定する。
【0029】
具体的には、特定部123は、各車輪Wにおいて、現在の時刻に通信部122が受信した装着位置と車輪IDとの組合せが、現在の時刻よりも前の時刻に受信した当該組合せと異なるか否かを判定する。1以上の車輪Wにおいて組合せが異なると判定した場合、特定部123は、現在の時刻を装着タイミングに特定する。特定部123は、特定した装着タイミングと、装着タイミングとして特定した時刻に複数の車輪Wの各々から受信した装着位置及び車輪IDと、現在の時刻における車両Sの走行距離とを記憶部11に記憶させる。
【0030】
他の例として、特定部123は、受付部121が受け付けた時刻を装着タイミングに特定してもよい。特定部123は、特定した装着タイミングと、装着タイミングを特定した時刻における車両Sの走行距離とを記憶部11に記憶させる。
【0031】
決定部124は、車輪Wの装着後に車両Sが走行した走行距離に応じて、通信部122が加速度を受信する周期を決定する。周期は、例えば周波数であるが、時間であってもよい。決定部124は、例えば、装着タイミングを特定した時刻における車両Sの走行距離と現在の時刻の走行距離との差である装着タイミングの後の走行距離に応じて、通信部122が加速度を受信する周期を決定する。
【0032】
例えば、決定部124は、装着タイミングの後の走行距離が閾値以下である場合は、周期を第1周期に決定し、当該走行距離が閾値より大きい場合は、周期を第1周期よりも大きい第2周期に決定する。例えば、閾値は100kmであり、第1周期は100Hzであり、第2周期は50Hzである。決定部124がこのように動作することで、走行距離が閾値以下であるまでは、高い頻度で加速度を受信できるため、車輪Wの異常を高い精度で検出できる。一方、走行距離が閾値に達した後は、車輪Wの異常が発生する蓋然性が低いため、加速度を受信する頻度を低くすることにより電力を消費することを抑制できる。
【0033】
ところで、ホイールナットNは、ホイールナットNの頭部から見て時計回りに回すと締まる右ねじである。また、車両Sが走行する場合、車両Sの進行方向における左側の車輪Wは反時計回りに回転し、車両Sの進行方向における右側の車輪Wは時計回りに回転する。その結果、車両Sの前進方向における左側の車輪Wは、車両Sの前進方向における右側の車輪WよりもホイールナットNが緩みやすい。さらに、車両Sは、前進時の旋回においては車両Sの前輪に沿って旋回するため、後輪に力がかかりやすく、前輪のホイールナットNよりも後輪のホイールナットNが緩みやすくなる。したがって、車両Sの車輪の位置によって、ホイールナットNの緩みが発生する蓋然性が高い走行距離の範囲が異なる。
【0034】
そこで、決定部124は、複数の車輪Wの各々が装着される位置に応じた閾値を用いて、通信部122が加速度を受信する周期を決定してもよい。決定部124は、記憶部11に記憶された、車両Sにおいて複数の車輪Wの各々が装着される複数の装着位置の各々に対応した閾値を参照することにより、各装着位置に対応する閾値を特定する。ホイールナットNの緩みが発生する蓋然性が高い走行距離は、車両Sの左側、かつ、前進方向における後側に装着された車輪で最も大きく、車両Sの右側、かつ、前側に装着された車輪で最も小さい。車輪の装着位置に応じて閾値を設定することによって、車輪Wに異常が発生する蓋然性が高い装着位置ほど加速度を検出する周期が小さい期間を長くできる。
【0035】
続いて、決定部124は、装着タイミングの後の走行距離が各装着位置に対応した閾値より大きいか否かを判定することにより、各車輪Wの周期を決定する。決定部124がこのように動作することで、車輪Wの装着位置により、異常が発生する蓋然性の度合いが異なる場合であっても、複数の車輪Wの各々に適した周期で加速度を受信することができる。その結果、電力の消費を抑制できる。
【0036】
判定部125は、検出装置2が所定の期間に検出した加速度に基づいて、車輪Wの装着状態に異常があると判定する。一例として、判定部125は、所定の期間に検出した複数の加速度の積算値が閾値以上である場合に、車輪Wの装着状態に異常がある(すなわち、ホイールナットNが緩んでいる可能性がある)と判定する。判定部125は、例えば、複数の車輪Wの各々において異常があるか否かを判定し、1以上の車輪Wに異常があると判定した場合は、報知装置3に報知させる。
【0037】
なお、判定部125は、車輪Wの装着状態に異常があることを示す情報を、通信部122を介して、ネットワーク上に設けられたクラウドサーバに出力してもよい。クラウドサーバに設けられた車両Sの管理装置(不図示)は、車輪Wの装着状態に異常があることを示す情報を受信した場合、定められた管理者が使用する情報処理装置(不図示)に当該情報を通知する。また、管理装置は、車輪Wの装着状態に異常があることを示す情報を記憶媒体に記憶してもよい。判定部125及び管理装置がこのように動作することで、管理者は車輪Wの装着状態に関する情報をモニタリングできる。
【0038】
<測定制御装置10における処理シーケンス>
図3及び図4は、測定制御装置10における処理シーケンスの例を示す図である。図3に示す処理シーケンスは、装着タイミングを特定するための処理シーケンスであり、図4に示す処理シーケンスは、加速度を受信する周期を決定するための処理シーケンスである。
【0039】
まず、装着タイミングを特定する動作を説明する。図3において、受付部121が操作部1から時刻を受け付けた場合(S11のYES)、特定部123は、当該時刻を装着タイミングに特定する(S12)。受付部121が操作部1から時刻を受け付けていない場合(S11のNO)、特定部123は、通信部122が複数の車輪Wの各々から受信した、車輪Wの取付位置と車輪IDとを取得する(S13)。
【0040】
特定部123は、各車輪IDにおいて、記憶部11に記憶された車輪IDに対応する取付位置と、S13において取得した車輪IDに対応する取付位置とが異なるか否かを判定する。1以上の車輪IDにおいて異なると判定した場合、特定部123は、車輪Wの取付が発生したことを特定する。全ての車輪IDにおいて同じであると判定した場合、特定部123は、車輪Wの取付が発生していないことを特定する。
【0041】
車輪の取付が発生していない場合(S14のNO)、測定制御装置10は、S11からS13の処理を繰り返す。車輪の取付が発生した場合(S14のYES)、特定部123は、現在の時刻を特定し(S15)、当該時刻を装着タイミングに特定する(S12)。特定部123は、車輪の取付が発生した場合、S13において取得した複数の車輪Wの各々の取付位置及び車輪IDを記憶部11に記憶させる。
【0042】
次に、加速度を受信する周期を決定する動作を説明する。図4において、特定部123は、装着タイミングに特定した時刻における車両Sの走行距離を記憶部11に記憶させる(S21)。決定部124は、一定の周期で走行距離を取得し、当該走行距離と記憶部11に記憶させた走行距離との差が、記憶部11に記憶された閾値以下であるか否かを特定する(S22)。走行距離の差が閾値以下である場合(S22のYES)、決定部124は、加速度を受信する周期を第1周期に決定する(S23)。走行距離の差が閾値より大きい場合(S22のNO)、決定部124は、加速度を受信する周期を、第1周期よりも大きい第2周期に決定する(S24)。
【0043】
<変形例>
以上の説明においては、判定部125が車輪Wの車軸方向の加速度に基づいて、車輪Wの装着状態に異常があるか否かを判定する動作を説明したが、これに限らない。判定部125は、検出装置2が検出した車輪Wの鉛直方向の加速度と車輪Wの周方向の加速度とに基づいて、車両Sが走行する路面の状態を判定してもよい。路面の状態は、例えば、路面が舗装されているか否か、及び路面が乾燥しているか否かの少なくともいずれかである。
【0044】
<測定制御装置10による効果>
以上説明したように、測定制御装置10は、車両Sの車輪Wに設けられた検出装置2が検出した加速度を、検出装置2から受信する通信部122と、車輪Wの装着後に車両Sが走行した走行距離に応じて、通信部122が加速度を受信する周期を決定する決定部124と、を有する。
【0045】
測定制御装置10がこのように構成されることで、車輪Wに異常が発生する蓋然性の度合いに適した周期で車輪Wの加速度を取得することができる。その結果、電力の消費を抑制しつつ、車輪Wの装着状態に異常があるか否かを判定できる。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0047】
1 操作部
2a 検出装置
2b 検出装置
3 報知装置
10 測定制御装置
11 記憶部
12 制御部
121 受付部
122 通信部
123 特定部
124 決定部
125 判定部
【要約】
【課題】車輪の脱落等の異常が発生する蓋然性の度合いに適した頻度で加速度を測定する。
【解決手段】測定制御装置10は、車両の車輪に設けられた検出装置2が検出した加速度を、検出装置2から受信する通信部122と、車輪の装着後に車両が走行した走行距離に応じて、通信部122が加速度を受信する周期を決定する決定部124と、を有する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4