(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】受信装置および受信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/242 20110101AFI20240806BHJP
H04N 21/43 20110101ALI20240806BHJP
【FI】
H04N21/242
H04N21/43
(21)【出願番号】P 2023077654
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2021183026の分割
【原出願日】2016-01-29
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2015024603
(32)【優先日】2015-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北里 直久
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-111690(JP,A)
【文献】特開2016-054437(JP,A)
【文献】特開2015-015759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 ー 21/858
H04H 20/00 - 20/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送信機器からの第1の信号と、第2の送信機器からの第2の信号を受信する受信部を備え、
上記第1の信号は
、絶対時刻情報と
、第1の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎
の提示時刻
を示すための提示時刻情報と、上記絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、上記提示単位グループ毎の提示時刻を調整するタイミングを示すためのうるう秒制御情報とを含み、
上記第1の伝送メディアの提示単位グループ毎
の提示時刻
を上記うるう秒制御情報に基づいて
調整する処理
を制御する制御部をさらに備える
受信装置。
【請求項2】
上記提示時刻情報は、上記第1の信号において、MPテーブルの記述子に格納されている
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
上記第1の信号は、上記第1の伝送メディアをさらに含み、
上記制御部は、上記第1の信号に含まれる上記絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する処理と、該生成された絶対時刻情報と上記調整された第1の伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻とに基づいて上記第1の伝送メディアを提示する処理とをさらに制御する
請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
上記第2の信号は、第2の伝送メディアを含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項5】
受信部により、第1の送信機器からの第1の信号と、第2の送信機器からの第2の信号を受信する受信ステップを有し、
上記第1の信号は
、絶対時刻情報と
、第1の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎
の提示時刻
を示すための提示時刻情報と、上記絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、上記提示単位グループ毎の提示時刻を調整するタイミングを示すためのうるう秒制御情報とを含み、
上記第1の伝送メディアの提示単位グループ毎
の提示時刻
を上記うるう秒制御情報に基づいて
調整する処理
を制御する制御ステップをさらに有する
受信方法。
【請求項6】
上記提示時刻情報は、上記第1の信号において、MPテーブルの記述子に格納されている
請求項5に記載の受信方法。
【請求項7】
上記第1の信号は、上記第1の伝送メディアをさらに含み、
上記制御ステップでは、上記第1の信号に含まれる上記絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する処理と、該生成された絶対時刻情報と上記調整された第1の伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻とに基づいて上記第1の伝送メディアを提示する処理とがさらに制御される
請求項5または6に記載の受信方法。
【請求項8】
上記第2の信号は、第2の伝送メディアを含む
請求項5から7のいずれか一項に記載の受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置および受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の放送方式として、IPプロトコルをベースにMP4 ISO Base Media File Formatに基づいたコンテンツフォーマットで伝送するMMT等の伝送方式が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。提示同期のために参照時間軸として絶対時刻(UTC)を適用する場合、数年に1度生じるうるう秒が提示制御上問題となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Study of ISO/IEC CD 23008-1 MPEG Media Transport ,[online],[平成25年5月7日検索]、インターネット<URL: http://mpeg.chiariglione.org/standards/mpeg-h/mpeg-media-transport>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本技術の目的は、うるう秒の発生による受信側への影響を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の概念は、
外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部を備え、
上記時刻情報生成部は、上記外部から取得された絶対時刻情報で示されるうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせて時刻情報を生成し、
伝送メディアと上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報とを含む信号を送信する送信部をさらに備える
送信装置にある。
【0006】
本技術において、時刻情報生成部では、外部から取得された絶対時刻情報が参照される。例えば、絶対時刻情報は、NTP(Network Time Protocol)によりNTPサーバから、あるいはIEEE1588PTPにより他の装置から、NTPロングフォーマット(NTP long format)で取得される。
【0007】
時刻情報生成部では、外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報が生成される。この場合、時刻情報生成部では、外部から取得された絶対時刻情報で示されるうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせて時刻情報が生成される。
【0008】
送信部により、伝送メディアと時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報とを含む信号が送信される。この信号には、放送局からの放送信号、あるいは配信サーバからの配信信号などが含まれる。また、例えば、絶対時刻情報は、NTP形式の構造で含まれる。
【0009】
このように本技術においては、伝送メディアと共に送信される絶対時刻情報はうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせたものとされる。そのため、シフト後時刻が視聴への影響が少ない時刻とされることで、受信側ではうるう秒の発生による影響を抑制することが可能となる。
【0010】
なお、本技術において、例えば、時刻情報生成部で生成される絶対時刻情報には、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、この状態にあることを示すモード情報が付加される、ようにされてもよい。受信側ではこのモード情報によりうるう秒の発生時刻のシフト状態にあることを容易に認識可能となる。
【0011】
この場合、モード情報は、シフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更される、ようにされてもよい。これにより、受信側では、シフト後時刻を予め把握でき、うるう秒の発生のための準備を速やかに行うことが可能となる。
【0012】
また、本技術の他の概念は、
伝送メディアと絶対時刻情報とを含む信号を受信する受信部と、
上記受信部で受信された信号に含まれている上記絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
上記伝送メディアを、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて処理する処理部を備え、
上記受信部で受信された信号に含まれている絶対時刻情報には、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、該状態にあることを示すモード情報が付加されており、
上記モード情報は、シフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更され、
上記時刻情報生成部は、上記モード情報に基づいて、上記シフト後時刻にうるう秒を発生させる
受信装置にある。
【0013】
本技術において、受信部により、伝送メディアと絶対時刻情報とを含む信号が受信される。時刻情報生成部により、受信部で受信された信号に含まれている絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報が生成される。そして、処理部により、伝送メディアが、時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて処理される。
【0014】
受信部で受信された信号に含まれている絶対時刻情報には、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、この状態にあることを示すモード情報が付加されており、このモード情報は、シフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更される。時刻情報生成部では、モード情報に基づいて、シフト後時刻にうるう秒が発生される。
【0015】
このように本技術においては、絶対時刻情報に付加されて送られてくるモード情報に基づいてシフト後時刻にうるう秒を発生させるものである。モード情報はシフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更されることから、シフト後時刻を予め把握でき、シフト後時刻に確実にうるう秒を発生させることが可能となる。
【0016】
また、本技術の他の概念は、
外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻を、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて生成する提示時刻生成部と、
上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、該うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の上記提示単位グループを識別する識別情報を生成する識別情報生成部と、
上記伝送メディアと、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、上記提示時刻生成部で生成された提示単位グループ毎の提示時刻と、上記識別情報生成部で生成された識別情報とを含む信号を送信する送信部を備える
送信装置にある。
【0017】
本技術において、時刻情報生成部では、外部から取得された絶対時刻情報が参照される。例えば、絶対時刻情報は、NTP(Network Time Protocol)によりNTPサーバから、あるいはIEEE1588PTPにより他の装置から、NTPロングフォーマット(NTP long format)で取得される。
【0018】
時刻情報生成部では、外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報が生成される。提示時刻生成部により、伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻が、時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて生成される。識別情報生成部により、時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、このうるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報が生成される。
【0019】
送信部により、伝送メディアと、時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、提示時刻生成部で生成された提示単位グループ毎の提示時刻と、識別情報生成部で生成された識別情報とを含む信号が送信される。この信号には、放送局からの放送信号、あるいは配信サーバからの配信信号などが含まれる。また、例えば、絶対時刻情報は、NTP形式の構造で含まれる。
【0020】
例えば、信号は、伝送メディアを含む第1のパケットと、伝送メディアに関する情報を含む第2のパケットと、絶対時刻情報を含む第3のパケットを有し、提示単位グループ毎の提示時刻と識別情報とは、第2のパケットに挿入される、ようにされてもよい。
【0021】
このように本技術においては、伝送メディアなどと共に、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報が送信されるものである。そのため、受信側では、伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻をこの識別情報に基づいて調整でき、うるう秒の発生による影響を抑制することが可能となる。
【0022】
また、本技術の他の概念は、
伝送メディアと、絶対時刻情報と、上記伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻と、上記絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、該うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の上記提示単位グループを識別する識別情報とを含む信号を受信する受信部と、
上記受信部で受信された信号に含まれている絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部を備え、
上記時刻情報生成部は、上記絶対時刻情報のうるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報を生成し、
上記受信部で受信された信号に含まれている提示単位グループ毎の提示時刻のうち、上記受信部で受信された信号に含まれている識別情報で示される提示単位グループ以降の各提示単位グループの提示時刻を調整する提示時刻調整部と、
上記伝送メディアに、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報および上記提示時刻調整部で調整された提示単位グループ毎の提示時刻に基づいて、提示処理を施す処理部をさらに備える
受信装置にある。
【0023】
本技術において、受信部により、伝送メディアと、絶対時刻情報と、伝送メディアの所定数の提示単位からな提示単位グループ毎の提示時刻と、絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、このうるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報とを含む信号が受信される。
【0024】
時刻情報生成部により、受信部で受信された信号に含まれている絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報が生成される。この時刻情報生成部では、絶対時刻情報のうるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報が生成される。
【0025】
提示時刻調整部により、受信部で受信された信号に含まれている提示単位グループ毎の提示時刻のうち、受信部で受信された信号に含まれている識別情報で示される提示単位グループ以降の各提示単位グループの提示時刻が調整される。例えば、提示時刻調整部では、うるう秒の発生がうるう秒の挿入であるとき各提示時刻に1秒が加算され、うるう秒の発生がうるう秒の削除であるとき各提示時刻から1秒が減算される。
【0026】
処理部により、伝送メディアが、時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報および提示時刻調整部で調整された提示単位グループ毎の提示時刻に基づいて処理される。
【0027】
このように本技術においては、時刻情報生成部ではうるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報が生成され、また、伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻がうるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報に基づいて調整されるものである。そのため、うるう秒の発生による影響を抑制することが可能となる。
【0028】
また、本技術の他の概念は、
外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻を、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて生成する提示時刻生成部と、
上記提示時刻生成部で上記提示単位グループ毎の提示時刻を生成するときに参照された上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報の、他の送信機器における絶対時刻情報との時刻差を示す時刻差情報を生成する時刻差情報生成部と、
上記伝送メディアと、上記提示時刻生成部で生成された提示単位グループ毎の提示時刻と、上記時刻差情報生成部で生成された提示単位グループ毎の時刻差情報とを含む信号を送信する送信部を備える
送信装置にある。
【0029】
本技術において、時刻情報生成部では、外部から取得された絶対時刻情報が参照される。例えば、絶対時刻情報は、NTP(Network Time Protocol)によりNTPサーバから、あるいはIEEE1588PTPにより他の装置から、NTPロングフォーマット(NTP long format)で取得される。
【0030】
時刻情報生成部では、外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報が生成される。提示時刻生成部により、伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻が、時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて生成される。
【0031】
時刻差情報生成部により、提示時刻生成部で提示単位グループ毎の提示時刻を生成するときに参照された時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報の、他の送信機器における絶対時刻情報との時刻差を示す時刻差情報が生成される。
【0032】
送信部により、伝送メディアと、提示時刻生成部で生成された提示単位グループ毎の提示時刻と、時刻差情報生成部で生成された提示単位グループ毎の時刻差情報とを含む信号が送信される。この信号には、放送局からの放送信号、あるいは配信サーバからの配信信号などが含まれる。
【0033】
例えば、信号は、伝送メディアを含む第1のパケットと、伝送メディアに関する情報を含む第2のパケットを有し、提示単位グループ毎の提示時刻と提示単位グループ毎の時刻差情報とは、第2のパケットに挿入される、ようにされてもよい。
【0034】
このように本技術においては、伝送メディアなどと共に、提示単位グループ毎の提示時刻を生成するときに参照された絶対時刻情報の、他の送信機器における絶対時刻情報との時刻差を示す時刻差情報が送信されるものである。そのため、受信側では、伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻をこの時刻差情報に基づいて調整でき、伝送メディアの処理を他の送信機器からの絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報に基づいて良好に処理可能となる。
【0035】
また、本技術の他の概念は、
第1の送信機器からの第1の信号と、第2の送信機器からの第2の信号を受信する受信部を備え、
上記第1の信号は、第1の伝送メディアと、絶対時刻情報と、上記第1の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の第1の提示時刻とを含み、
上記第2の信号は、第2の伝送メディアと、該第2の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の第2の提示時刻と時刻差情報とを含み、
上記第1の信号に含まれる上記絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
上記第1の伝送メディアを、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、上記第1の信号に含まれている上記第1の伝送メディアの提示単位グループ毎の第1の提示時刻に基づいて処理し、上記第2の伝送メディアを、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、上記時刻情報調整部で調整された上記第2の伝送メディアの提示単位グループ毎の第2の提示時刻に基づいて処理する処理部をさらに備える
受信装置にある。
【0036】
本技術において、受信部により、第1の送信機器からの第1の信号と、第2の送信機器からの第2の信号が受信される。第1の信号には、第1の伝送メディアと、絶対時刻情報と、第1の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の第1の提示時刻とが含まれている。また、第2の信号には、第2の伝送メディアと、この第2の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の第2の提示時刻と時刻差情報とが含まれている。
【0037】
時刻情報発生部により、第1の信号に含まれる絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報が生成される。提示時刻調整部により、第2の信号に含まれる第2の伝送メディアの提示単位グループ毎の第2の提示時刻が、第2の信号に含まれる時刻差情報に基づいて調整される。
【0038】
処理部により、第1の伝送メディアが、時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、第1の信号に含まれている第1の伝送メディアの提示単位グループ毎の第1の提示時刻に基づいて処理される。また、処理部により、第2の伝送メディアが、時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、時刻情報調整部で調整された第2の伝送メディアの提示単位グループ毎の第2の提示時刻に基づいて処理される。
【0039】
このように本技術においては、第2の伝送メディアの提示単位グループ毎の第2の提示時刻が、時刻差情報に基づいて調整されるものである。そのため、第2の伝送メディアの処理を他の送信機器からの絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報に基づいて良好に処理でき、第1の伝送メディアと第2の伝送メディアの提示同期が可能となる。
【発明の効果】
【0040】
本技術によれば、うるう秒の発生による受信側への影響を抑制できる。なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】第1の実施の形態としての送受信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】送信・受信システムにおけるクロック同期と提示同期について説明するための図である。
【
図3】MMT方式のプロトコルスタックを示す図である。
【
図4】MMT方式放送ストリーム(放送信号)の構成例を示す図である。
【
図5】MMTPパケットおよびMMT拡張ヘッダの構成例を示す図である。
【
図6】MMTPペイロードおよびDUヘッダの構成例を示す図である。
【
図7】MMTファイルとMMTPペイロードとの対応関係の一例を示す図である。
【
図8】PAメッセージおよびMPテーブルの構成例を示す図である。
【
図9】PAメッセージの主要なパラメータの説明を示す図である。
【
図10】MPテーブルの主要なパラメータの説明を示す図である。
【
図11】MPUタイムスタンプ・デスクリプタの構造例を示す図である。
【
図12】MMT方式の放送ストリームにおける伝送順を説明するための図である。
【
図13】MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタの構造例を示す図である。
【
図14】受信側におけるデコード時刻DTおよび提示時刻PTの算出方法を示す図である。
【
図15】各提示単位のデコード時刻DTおよび提示時刻PTの算出式等を示す図である。
【
図16】MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタが挿入されるMPTとAV符号化データの遅延調整を説明するための図である。
【
図18】NTPデータの構造例におけるうるう秒指示子およびNTP動作モードを説明するための図である。
【
図19】うるう秒の挿入によるMMTPパケットの運用への影響を説明するための図である。
【
図20】うるう秒の削除によるMMTPパケットの運用への影響を説明するための図である。
【
図21】うるう秒の挿入による映像MPUの運用への影響を説明するための図である。
【
図22】うるう秒の削除による映像MPUの運用への影響を説明するための図である。
【
図23】うるう秒の挿入における放送送出システムの対応の一例を説明するための図である。
【
図24】うるう秒の削除における放送送出システムの対応の一例を説明するための図である。
【
図25】うるう秒制御信号が新規定義されたMPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタの構造例を示す図である。
【
図26】識別情報を構成するうるう秒制御信号を説明するための図である。
【
図27】うるう秒の挿入時におけるMPU提示同期処理の一例を示す図である。
【
図28】うるう秒の削除時におけるMPU提示同期処理の一例を示す図である。
【
図29】放送送出システムの構成例を示すブロック図である。
【
図31】第2の実施の形態としての送受信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図32】うるう秒の挿入がある場合のマルチストリームサービス1についての提示同期処理の一例を示す図である。
【
図33】うるう秒の挿入がある場合のマルチストリームサービス2についての提示同期処理の一例を示す図である。
【
図34】うるう秒の削除がある場合のマルチストリームサービス1についての提示同期処理の一例を示す図である。
【
図35】うるう秒の削除がある場合のマルチストリームサービス2についての提示同期処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明を以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.変形例
【0043】
<1.第1の実施の形態>
[送受信システムの構成例]
図1は、第1の実施の形態としての送受信システム10の構成例を示している。この送受信システム10は、放送送出システム100と、受信機200により構成されている。
【0044】
放送送出システム100は、ビデオ、オーディオなどの伝送メディアを含むIP(Internet Protocol)方式の放送信号を送信する。放送送出システム100は、絶対時刻情報を外部から取得する。例えば、NTP(Network Time Protocol)によりNTPサーバから、あるいはIEEE1588PTPにより他の装置から、NTPロングフォーマット(NTP long format)で取得する。
【0045】
放送送出システム100は、外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する。放送信号には、伝送メディアと共に、生成された絶対時刻情報と、伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻が含まれる。この提示時刻は、生成された絶対時刻情報に基づいて生成されたものである。
【0046】
放送送出システム100は、うるう秒の発生による受信側への影響を抑制するための対応を行う。この実施の形態では、第1の対応方式あるいは第2の対応方式の対応を行う。第1の対応方式では、外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成するにあたって、うるう秒の発生時刻をシフト後時刻、例えば視聴への影響が少ない時刻までシフトさせる。そして、この絶対時刻情報に、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、この状態にあることを示すモード情報を付加して送信する。このモード情報は、シフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更される。第2の対応方式では、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報を、伝送メディアなどと共に、送信する。
【0047】
受信機200は、放送送出システム100から送られてくる上述のIP方式の放送信号を受信する。受信機200は、放送信号に含まれている絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する。受信機200は、放送信号に含まれている伝送メディアを、生成された絶対時刻情報および放送信号に含まれている提示単位グループ毎の提示時刻に基づいて処理する。
【0048】
受信機200は、上述の放送送出システム100における対応に応じた対応を行う。第1の対応方式では、放送信号に含まれている絶対時刻情報に付加されているモード情報に基づいて、生成される絶対時刻情報にうるう秒を発生させる。第2の方式では、放送信号に含まれる絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成するに当たって、うるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報を生成する。また、放送信号に含まれているうるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報で示される提示単位以降の各提示単位グループの提示時刻を調整する。
【0049】
図1に示す送受信システム10においては、クロック同期と提示同期が実現されている。
図2を用いて、送信・受信システムにおけるクロック同期と提示同期について説明する。送信システム、受信システムは、それぞれ、例えば、上述の放送送出システム100、受信機200に対応する。送信システムは、2**nHzのシステムクロックを生成するクロック生成部11と、時刻情報を生成する時計部(時刻情報生成部)12を有している。また、送信システムは、エンコード処理部13と、パケット化/タイムスタンプ付加部14と、エンコードバッファ15を有している。
【0050】
エンコード処理部13では、ビデオ、オーディオなどの伝送メディアが符号化される。パケット化/タイムスタンプ付加部14では、符号化後の伝送メディアのパケット化が行われると共に、時計部12で生成される時刻情報に基づいて伝送メディアの所定数の提示単位の提示単位グループ毎に提示時刻情報が付加される。そして、伝送メディアのパケットは、エンコードバッファ15に一時的に蓄積され、適宜なタイミングで送信される。
【0051】
受信システムは、2**nHzのシステムクロックを生成するクロック生成部21と、時刻情報を発生する時計部(時刻情報生成部)22を有している。また、受信システムは、デコードバッファ23と、デパケット化/タイミング調整部24と、デコード処理部25を有している。
【0052】
デコードバッファ23では、受信された伝送メディアのパケットを一時的に蓄積する。デパケット化/タイミング調整部24では、デコードバッファ23に蓄積されている伝送メディアのパケットが、時計部22で生成される時刻情報が参照され、付加されている提示時刻に基づいたタイミングで取り出されてデパケット化される。デコード処理部25では、デパケット化により得られた伝送メディアが復号化され、ベースバンドの伝送メディアが得られる。
【0053】
クロック同期とは、基本的に、送信システムのクロック生成部11で生成されるシステムクロックの周波数と、受信システムのクロック生成部21で生成されるシステムクロックの周波数が、同一周波数となることを意味する。但し、必ずしも同一周波数でなくても、周波数が整数倍などの関係が保持されればよい。クロック同期が実現されていない場合、受信側で受信を継続しているうちにフレーム飛び等が発生するなどの破たんが起きる。
【0054】
また、提示同期とは、送信システムの時計部12の時刻情報と受信システムの時計部22の時刻情報を合わせ、かつ伝送メディアの提示単位毎の提示時刻情報を伝送メディアのパケットに付加することを意味する。なお、ここで、送信システムの時計部12の時刻情報に受信システムの時計部22の時刻情報を合わせる場合には、送信システムから受信システムへの伝送遅延が考慮される。提示同期が実現されていない場合、受信側でビデオ、オーディオの同期をとってバッファを破たんさせずに適切に提示するということができなくなる。
【0055】
図1に戻って、上述したように、放送送出システム100から受信機200には、IP方式の放送信号が送信される。この実施の形態において、IP方式の放送信号は、MMT(MPEG Media Transport)方式とされる。
【0056】
図3は、MMT方式のプロトコルスタックを示している。下位に物理レイヤ(PHY)がある。この物理レイヤには、変調方式、誤り訂正方式などが含まれる。この物理レイヤの上に、TLV(Type Length Value)の伝送パケットのレイヤがある。このTLVの伝送パケットの上にIPパケットが載る。
【0057】
このIPパケットの上に、さらに、UDP(User Datagram Protocol)が載る。一方、TLVの伝送パケットの上に、シグナリング(Signaling)情報としての伝送制御信号も載る。また、UDPの上に、MMTPパケットが載る。このMMTPパケットのペイロード部には、ビデオ、オーディオ等の伝送メディアの符号化データを含むMFU(MMT Fragment Unit)、あるいは伝送メディアに関する情報を含むシグナリングメッセージ(Signaling Message)が含まれる。なお、図示のように、UDPの上に、さらに時刻情報を含むNTP(Network Time Protocol)パケットが存在する。
【0058】
図4は、MMT方式放送ストリーム(放送信号)の構成例を示している。
図4(a)は、ビデオのエレメンタリストリーム(Video ES)を示している。このビデオのエレメンタリストリームは、所定の大きさの固まりに分割され、
図4(b)に示すように、MFUのペイロード部に配置される。
【0059】
図4(c)に示すように、MFUにMMTPペイロードヘッダ(MMTP payload header)が付加されてMMTPペイロード(MMTP payload)が構成される。そして、
図4(d)に示すように、このMMTPペイロードにさらにMMTヘッダ(MMT header)が付加されて、MMTPパケット(MMTP packet)が構成される。なお、ペイロード部に、シグナリングメッセージ(Signaling Message)を含むMMTPパケットも存在する。
図4(e)に示すように、MMTPパケットに、UDPヘッダ、IPヘッダおよびTLVヘッダが付加されて、MMT方式放送ストリームを構成するTLVパケット(TLV packet)が生成される。
【0060】
なお、TLVパケットには、NTPの時刻情報を含むNTPパケットも存在する。また、図示は省略されているが、TLVパケットとしては、さらに、オーディオ、字幕などのその他の伝送メディアのMMTPパケットを含むTLVパケットも存在する。このMMT方式放送ストリームは、伝送メディアを含む第1のパケット(MMTPパケット)と、シグナリング情報を含む第2のパケット(MMTPパケット)と、時刻情報を含む第3のパケット(NTPパケット)を持つものとなる。
【0061】
図5(a)は、MMTPパケットの構成例(Syntax)を示している。MMTPパケットは、MMTヘッダ(MMT header)と、MMTPペイロード(MMTP payload)とからなる。「C」の1ビットフラグ情報は、「packet_counter」のフィールドが存在するか否かを示す。図示の例では、「packet_counter」が存在している例を示している。“FEC”の2ビットフィールドは、FEC(forward error correction)のフォーマットを示す。
【0062】
“X”の1ビットフラグ情報は、MMT拡張ヘッダ、つまり「header_extension」のフィールドが存在しているか否かを示す。図示の例では、「header_extension」が存在している例を示している。“R”の1ビットフラグ情報は、ランダムアクセスポイント、従ってIピクチャを含んでいるか否かを示す。
【0063】
「type」の6ビットフィールドは、MMTPパケットのタイプを示す。例えば、「0x00」はペイロードにMPU(Media Processing Unit)を含むMMTPパケットであることを示し、「0x02」はペイロードにシグナリングメッセージ(Signaling message)を含むMMTPパケットであることを示す。
【0064】
「packet_id」の16ビットフィールドは、ビデオ、オーディオ等のアセット(Asset)を識別するための識別子である。「timestamp」の32ビットフィールドは、伝送のためのタイプスタンプ、すなわちMMTPパケットが送信側から出ていくときの時刻を示す。この時刻は、NTPショートフォーマット(NTP short format)で表される。「packet_sequence_number」は、同一の「packet_id」を持つMMTPパケットのシーケンス番号を示す。「packet_counter」の32ビットフィールドは、「packet_id」のに関係なく、全てのMMTPパケットのシーケンス番号を示す。
【0065】
上述の「X」の1ビットフラグ情報が「1」であるとき、「packet_counter」の32ビットフィールドの後に、MMT拡張ヘッダである「header_extension」のフィールドが配置される。その後に、MMTPペイロード(MMTP payload)を構成する「payload data」のフィールドが存在する。
【0066】
図5(b)は、MMT拡張ヘッダの構成例(Syntax)を示している。「type」の16ビットフィールドは、拡張ヘッダのタイプを示す。「length」の16ビットフィールドは、これ以降の拡張ヘッダのバイトサイズを示す。この拡張ヘッダのバイトサイズは、拡張ヘッダのタイプにより異なる。「header_extension_value」のフィールドに、拡張ヘッダの本体が挿入される。
【0067】
図6(a)は、上述のMMTPパケットの「payload data」のフィールドに配置されるMMTPペイロード(MMTP payload)の構成例(Syntax)を示している。なお、この例は、MMTヘッダの「type」が「0x00」であるMPUモードである場合を示している。最初にヘッダ情報が存在する。「length」の16ビットフィールドは、MMTPペイロード全体のバイトサイズを示す。“FT“の4ビットフィールドは、フィールドタイプを示す。 “0”は「MPU metadata」を含むことを示し、“1”は「Movie Fragment metadata」を含むことを示し、“2”は「MFU」を含むことを示す。
【0068】
ここで、MFU(MMT Fragment Unit)は、MPUが細分化、すなわちフラグメント(Fragment)化されたものである。例えば、ビデオの場合、このMFUを一つのNALユニットに相当するように設定できる。また、例えば、通信ネットワーク伝送路で送る場合、このMFUを一つまたは複数のMTUサイズ(MTU size)で構成することもできる。
【0069】
また、MPUは、ランダムアクセスポイント(RAP:Random Access Pint)から始まるものであり、一つまたは複数のアクセスユニット(AU:Access Unit)を含むものである。具体的には、例えば、一つのGOP(Group Of Picture)のピクチャが、一つのMPUの構成となることがある。このMPUは、アセット別に定義されるものとなっている。したがって、ビデオのアセットからはビデオデータのみを含むビデオのMPUが作成され、オーディオのアセットからはオーディオデータのみを含むオーディオのMPUが作成される。
【0070】
「T」の1ビットフラグ情報は、タイムドメディア(Timed Media)を伝送するか、ノンタイムドメディア(Non-Timed Media)を伝送するかを示す。“1”はタイムドメディアを示し、“0”はノンタイムドメディアを示す。この実施の形態では、タイムドメディア(Timed Media)の伝送を想定している。
【0071】
「f_i」の2ビットフィールドは、「DU payload」のフィールドに、整数個のデータユニット(DU:Data Unit)が入っているか、データユニットが断片化されて得られたフラグメント(Fragment)の最初(first)、中間、最後(last)のいずれが入っているかを示す。“0”は整数個のデータユニットが入っていることを示し、“1”は最初のフラグメントが入っていることを示し、“2”は中間のフラグメントが入っていることを示し、“3”は最後のフラグメントが入っていることを示す。
【0072】
「A」の1ビットフラグ情報は、「DU payload」のフィールドに、複数個のデータユニットが入っているか否かを示す。“1”は入っていることを示し、“0”は入っていないことを示す。「frag_counter」の8ビットフィールドは、「f_i」が1~3であるとき、何番目のフラグメントであるかを示す。
【0073】
「MPU_sequence_number」の32ビットフィールドは、MPUの順番を示す番号であり、MPUを識別する情報である。例えば、1つのGOPが1つのMPUを構成する場合、あるGOPの「MPU_sequence_number」が「i」であるとき、次のGOPの「MPU_sequence_number」は「i+1」となる。
【0074】
この「MPU_sequence_number」のフィールドの後に、「DU_length」、「DU_header」、「DU_payload」の各フィールドが配置される。「DU_length」の16ビットフィールドは、上述の「A=0」である場合、つまり「DU payload」のフィールドに複数個のデータユニットが入っていない場合は存在しない。また、「DU_header」のフィールドは、“FT=0/1”である場合、つまり「MPU metadata」や「Movie Fragment metadata」を含む場合は存在しない。
【0075】
図6(b)は、「DU_header」の構成例(Syntax)を示している。なお、この例は、「T=1」の場合、つまりタイムドメディア(Timed Media)を伝送する場合を示している。「movie_fragment_sequence_number」の32ビットフィールドは、MFU単位でのシーケンス番号を示す。例えば、Iピクチャを分割したとき、その一つ一つがMFUとなる。「sample_number」の32ビットフィールドは、例えばビデオの場合はピクチャ単位の番号を示す。「offset」の32ビットフィールドは、例えばビデオの場合はピクチャの先頭からのオフセット値(バイト値)を示す。
【0076】
MMT方式では、ビデオなどの伝送メディアを、フラグメント化されたISOBMFF(ISO Base Media File Format)に基づいたコンテンツフォーマットで伝送する。
図7は、一つのGOPのビデオデータを送るときのMMTファイル(MMT file)とMMTPペイロード(MMTP payload)との対応関係の一例を示している。
【0077】
MMTファイルの構成は、基本的には、MP4のファイル構成とほぼ同等である。最初に“styp”のボックス(Box)がある。続いて、セグメントインフォメーションとしての“sidx”のボックスがある。続いて、MMT独自の“mmpu”のボックスがある。続いて、ファイル全体のメタデータとしての“moov”のボックスがある。
【0078】
続いて、ムービーフラグメント(Movie Fragment)がある。このムービーフラグメントは、制御情報が入る“moof”ボックスと、ビデオの符号化データが入る“mdat”ボックスからなる。ここでは、一つのGOPが一つのMPUの構成となることを想定しているので、ムービーフラグメントは一組だけ存在する。
【0079】
“styp”,“mmpu”,“moov”の各ボックスのメタデータは、「MPU metadata」として、一つのMMTPパケットで伝送される。この場合、“FT=0”である。“moof”ボックスのメタデータは、「Movie Fragment metadata」として、一つのMMTPパケットで伝送される。この場合、“FT=1”である。“mdat”ボックスに含まれるビデオの符号化データは、「MFU」に断片化され、それぞれが一つのMMTPパケットで伝送される。この場合、“FT=2”である。
【0080】
次に、MPT(MMT Package Table)について説明する。MMTPパケットには、上述したように、ペイロードに、シグナリングメッセージ(Signaling message)を含むMMTPパケットも存在する。このシグナリングメッセージの一つとして、MPTを含むPAメッセージ(Package Access Message)がある。MPTは、一つの放送サービスがどのようなコンポーネント(アセット)で構成されているかを示す。
【0081】
図8は、PAメッセージ(Package Access Message)およびMPテーブル(MPT:MMT Package Table)の構成例を示している。また、
図9は、PAメッセージの主要なパラメータの説明を示し、
図10は、MPテーブルの主要なパラメータの説明を示している。
【0082】
「message_id」は、各種シグナリング情報において、PAメッセージを識別する固定値である。「version」は、PAメッセージのバージョンを示す8ビット整数値である。例えば、MPテーブルを構成する一部のパラメータでも更新した場合には、+1インクリメントされる。「length」は、このフィールドの直後からカウントされる、PAメッセージのサイズを示すバイト数である。
【0083】
「extension」のフィールドには、ペイロード(Payload)のフィールドに配置されるテーブルのインデックス情報が配置される。このフィールドには、「table_id」、「table_version」、「table_length」の各フィールドが、テーブル数だけ配置される。「table_id」は、テーブルを識別する固定値である。「table_version」は、テーブルのバージョンを示す。「table_length」は、テーブルのサイズを示すバイト数である。
【0084】
PAメッセージのペイロード(Payload)のフィールドには、MPテーブルと、所定数のその他のテーブル(Other table)が配置される。以下、MPTの構成について説明する。
【0085】
「table_id」は、各種シグナリング情報において、MPテーブルを識別する固定値である。「version」は、MPテーブルのバージョンを示す8ビット整数値である。例えば、MPテーブルを構成する一部のパラメータでも更新した場合には、+1インクリメントされる。「length」は、このフィールドの直後からカウントされる、MPテーブルのサイズを示すバイト数である。
【0086】
「pack_id」は、放送信号で伝送される全ての信号、ファイルを構成要素とする全体のパッケージとしての識別情報である。この識別情報は、テキスト情報である。「pack_id_len」は、そのテキスト情報のサイズ(バイト数)を示す。「MPT_descriptors」のフィールドは、パッケージ全体に関わる記述子の格納領域である。「MPT_dsc_len」は、そのフィールドのサイズ(バイト数)を示す。
【0087】
「num_of_asset」は、パッケージを構成する要素としてのアセット(信号、ファイルト)の数を示す。この数分だけ、以下のアセットループが配置される。「asset_id」は、アセットをユニークに識別する情報(アセットID)である。この識別情報は、テキスト情報である。「asset_id_len」は、そのテキスト情報のサイズ(バイト数)を示す。「gen_loc_info」は、アセットの取得先のロケーションを示す情報である。
【0088】
「asset_descriptors」のフィールドは、アセットに関わる記述子の格納領域である。「asset_dsc_len」は、そのフィールドのサイズ(バイト数)を示す。この「asset_descriptors」のフィールドに格納される記述子として、MPUタイムスタンプ・デスクリプタ(MPU_Timestamp_Descriptor)がある。このデスクリプタには、MPUの先頭の提示単位の提示時刻が記述される。
【0089】
図11は、MPUタイムスタンプ・デスクリプタの構造例(Syntax)を示している。「descriptor_tag」の16ビットフィールドは、デスクリプタタイプを示す。ここでは、MPUタイムスタンプ・デスクリプタであることを示す。「descriptor_length」の8ビットフィールドは、デスクリプタの長さ(サイズ)を示し、デスクリプタの長さとして、以降のバイト数を示す。
【0090】
そして、MPUの個数分だけ、「mpu_sequence_number」と、「mpu_presentation_time」の組が存在する。「mpu_sequence_number」の32ビットフィールドは、上述したように、MPUの順番を示す番号であり、MPUを識別する情報である。「mpu_presentation_time」の64ビットフィールドは、MPUの先頭の提示単位の提示時刻を示す。例えば、MPU=GOPである場合、この提示時刻は、GOPの先頭のピクチャの提示時刻を示す。この時刻は、NTPロングフォーマット(NTP long format)で表される。
【0091】
図12は、MMT方式の伝送順の一例を示している。図示では、一つのGOPのビデオデータからなるMPUを伝送する例を示している。最初に、MPテーブルを含むシグナリングメッセージをペイロードに持つMMTPパケットが伝送される。このMPテーブルには、上述したMPUタイムスタンプ・デスクリプタが挿入される。エンコーダでエンコードされる際に、GOPの先頭のピクチャの提示時刻が割出され、その提示時刻がMPUタイムスタンプ・デスクリプタに記述される。
【0092】
このMPテーブルを含むシグナリングメッセージをペイロードに持つMMTPパケットが伝送された後に、GOPをペイロードに持つMMTPパケットが伝送される。この場合、GOPが断片化されて、MFUの単位で伝送される。MFUの前にMMTPペイロードヘッダ(MMTP payload header)が付加されてMMTPペイロードが構成される。そして、このMMTPペイロード全体がMMTPパケットのペイロードデータとなる。
【0093】
このとき、「MPU metadata」はGOPのデータの前に伝送されるが、「Movie fragment metadata」は、GOPのデータの後に伝送される。この「Movie fragment metadata」には、GOPの各ピクチャのデコード時刻(DT:Decoding time)、提示時刻(PT:presentation time)を算出するためのメタデータが含まれる。基本的に、GOPのデータをエンコードした後でないと、GOPの各ピクチャのDT,PTを算出するための情報が得られない。そのため、「Movie fragment metadata」は、GOPのデータの後に伝送される。
【0094】
デコーダでは、「Movie fragment metadata」を用いてGOPの各ピクチャのDT,PTを算出する場合、GOPのデータを、「Movie fragment metadata」が受信されるまで遅延することが必要となる。したがって、送信側で、GOPのデータを遅延させなくとも、受信側で遅延させることになる。
【0095】
[デコード時刻DT、提示時刻PTを得るための時刻取得情報の伝送]
この実施の形態においては、伝送メディアの提示単位(サンプル)毎のデコード時刻DT、提示時刻PTを得るための時刻取得情報(DT/PT情報)を、ペイロードにシグナリングメッセージ(Signaling message)を含むMMTPパケットに挿入して伝送する。これにより、受信側でデコード時刻および提示時刻による処理を行うための遅延を低く抑えることが可能となる。
【0096】
上述したように、MPUタイムスタンプ・デスクリプタ(MPU_Timestamp_Descriptor)に、MPUの先頭の提示単位の提示時刻が配置されている。そして、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタ(MPU_Extended_Timestamp_Descriptor)に、このMPUの先頭の提示単位の提示時刻を参照してMPUの各提示単位のデコード時刻および提示時刻を算出するための時間長情報が配置される。このMPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタは、MPテーブル(
図8参照)の「asset_descriptors」のフィールドに格納される。
【0097】
MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタに配置される時間長情報は、最初の提示単位の提示時刻からのオフセット時間長で示した最初に伝送される提示単位のデコード時刻情報と、各提示単位の時間長を示す情報と、各提示単位のデコード時刻からのオフセット時間長で示した提示時刻情報とからなる。
【0098】
図13は、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタの構造例(Syntax)を示している。「descriptor_tag」の16ビットフィールドは、デスクリプタタイプを示す。ここでは、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタであることを示す。「descriptor_length」の8ビットフィールドは、デスクリプタの長さ(サイズ)を示し、デスクリプタの長さとして、以降のバイト数を示す。
【0099】
「pts_offset_type」の2ビットフィールドは、同一MPU内における提示順で直前の提示単位(アクセスユニット)と現在の提示単位との提示時刻の差分を示す。“0”は、予め規定される固定値であることを示す。“1”は、本デスクリプタでデフォルト値として指定されることを示す。“2”は、本デスクリプタで提示単位毎に指定されることを示す。
【0100】
「timescale_flag」の1ビットフィールドは、後続のタイムスケールフィールドの有無を示す。“1”はタイムスケールフィールドが存在することを示し、“0”はタイムスケールフィールドが存在しないことを示す。「timescale_flag」が“1”であるとき、「timescale」の32ビットフィールドが存在する。このフィールドは、本デスクリプタにおける時間の単位を示す。1秒をタイムスケールで割った値が時間の単位となる。
【0101】
「pts_offset_type」が“1”であるとき、「default_pts_offset」の16ビットフィールドが存在する。このフィールドは、同一MPU内における提示順で直前の提示単位と現在の提示単位との提示時刻の差分としてのデフォルト値を、タイムスケールで示される時間単位で示す。
【0102】
そして、MPUの個数分だけ、「mpu_sequence_number」、「mpu_decoding_time_offset」などのフィールドが存在する。「mpu_sequence_number」の32ビットフィールドは、上述したように、MPUの順番を示す番号であり、MPUを識別する情報である。「mpu_decoding_time_offset」の16ビットフィールドは、MPUにおいて、デコード順で最初の提示単位のデコード時刻と、提示順で最初の提示単位の提示時刻の差分の絶対値を、タイムスケールで示される時間単位で示す。つまり、このフィールドは、最初の提示単位の提示時刻からのオフセット時間長で示した最初に伝送される提示単位のデコード時刻情報を示す。
【0103】
「num_of_au」の8ビットフィールドは、MPUを構成する提示単位(アクセスユニット)の個数を示す。この提示単位の個数分だけ、「dts_pts_offset」の16ビットフィールドが存在する。このフィールドは、提示単位のデコード時刻から提示時刻までの時間を、タイムスケールで示される時間単位で示す。つまり、このフィールドは、提示単位のデコード時刻からのオフセット時間長で示した提示時刻情報を示す。
【0104】
また、「pts_offset_type」が“2”であるとき、提示単位の個数分だけ、「pts_offset」の16ビットフィールドが存在する。このフィールドは、同一MPU内における提示順で直前の提示単位と現在の提示単位との提示時刻の差分を、タイムスケールで示される時間単位で示す。つまり、このフィールドは、提示単位毎の提示単位時間長を示す。
【0105】
図14は、受信側におけるデコード時刻DTおよび提示時刻PTの算出方法を示している。図示のように、シグナリングメッセージとしてのMPテーブルに含まれるMPUタイムスタンプ・デスクリプタの「MPU_presentation_time」のフィールドから、最初の提示単位の提示時刻mptが取得される。
【0106】
また、シグナリングメッセージとしてのMPテーブルに含まれるMPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタの「mpu_decoding_time_offset」のフィールドから、最初に伝送される提示単位(アクセスユニット)のデコード時刻情報mdtoが取得される。また、このデスクリプタの「dts_pts_offset」のフィールドから各提示単位(サンプル)の提示時刻情報dptoが取得される。
【0107】
さらに、このデスクリプタの記述情報に基づいて各提示単位の時間長を示す情報ptsoが取得される。すなわち、「pts_offset_type」が“0”である場合、各提示単位の時間長を示す情報ptsoは、予め規定される固定値とされる。また、「pts_offset_type」が“1”である場合、各提示単位の時間長を示す情報ptsoは、「default_pts_offset」のフィールドから取得される。さらに、また、「pts_offset_type」が“2”である場合、各提示単位の時間長を示す情報ptsoは、「pts_offset」のフィールドから取得される。
【0108】
受信側では、これらの取得情報に基づいて、各提示単位のデコード時刻DTkよび提示時刻PTkが、
図15(b)に示すように、以下の(1)式、(2)式、(3)式で、算出される。
DTk=mpt+((k-1)*ptso-mdto)*2N/ts ・・・(1)
DTk=mpt+(Σptsoi-mdto)*2N/ts ・・・(2)
PTk=DTk+dptok*2N/ts ・・・(3)
【0109】
なお、(1)式は、「pts_offset_type」が“0”または“1”の場合における各提示単位のデコード時刻DTkの算出式である。また、(2)式は、「pts_offset_type」が“2”の場合における各提示単位のデコード時刻DTkの算出式である。ここで、「Σptsoi」の項は、k=1の場合は0となり、k>1の場合はi=1からk-1までの和となる。
【0110】
また、各算出式は、DTk,PTkを、MPUタイムスタンプ・デスクリプタの「mpu_presentation_time」のフィールドから取得される最初の提示単位の提示時刻mptの単位、すなわち1/(2**N)秒に合致させた状態で得るようになっている(
図15(a)参照)。各式において、「2N/ts」の項では、「timescale」で示される単位をmptの単位に合わせるための換算を行っている。
【0111】
受信側では、後述するように送信側から送られてきた時刻情報に基づいて生成された時刻情報(NTP)と、上述のように算出されたデコード時刻DTkおよび提示時刻PTkとにより、伝送メディアの各提示単位のデコードおよび提示の制御が行われる(
図15(a)参照)。
【0112】
MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタの伝送順について説明する。MPUタイムスタンプ・デスクリプタがMPUのAVデータの前に配置されるのに対し、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタは、
図16に示すように、AV信号のエンコーダバッファ(Enc Buffer)入力以前のDT/PT決定時点で即時にMPTに配置されて放送ストリームで伝送される。
【0113】
AVデータはバッファでGOP分以上の遅延があるとすると、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタは上記遅延がないので、デコーダバッファ(Dec Buffer)出力時点では確実にDT/PT情報を受信機で利用可能な状態とすることが可能である。
【0114】
上述したように、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタにDT/PT情報を挿入して伝送することで、MPUのデータを遅延させることなく、各提示単位(サンプル)のデータの受信に対応して、その提示単位のデコード時刻および提示時刻を直ちに算出できる。そのため、受信側でデコード時刻および提示時刻による処理を行うための遅延を低く抑えることが可能となる。
【0115】
[うるう秒の発生による受信側への影響を抑制するための対応]
次に、るうるう秒の発生による受信側への影響を抑制するための対応について説明する。最初に、受信側におけるうるう秒の発生による影響について説明する。うるう秒は、数年に1度発生する。うるう秒の発生には、うるう秒の挿入(追加)とうるう秒の削除の2種類がある。例えば、NTPサーバから取得されるNTPデータには、うるう秒の発生を指示するうるう秒指示子が存在する。
【0116】
図17は、NTPデータ(Network_Time_Protocol_Data)の構造例(Syntax)を示している。「leap_indicator」の2ビットフィールドは、現在月の最後の1分に、うるう秒を挿入あるいは削除することを示すうるう秒指示子である。このうるう秒指示子は、
図18(a)に従って符号化される。“0”は警告無しを意味し、“1”は最後の1分が61秒を意味し、“2”は最後の1分が59秒を意味し、“3”は警告を意味する。
【0117】
「mood」の3ビットフィールドは、NTPの動作モードを示し、
図18(b)に従って符号化される。例えば、“4”はサーバーモードを示し、“5”はブロードキャストモードを示す。「transmit_timestamp」の64ビットフィールドは、送信する絶対時刻情報であり、NTPロングフォーマット(NTP long format)で表される。
【0118】
上述したようにうるう秒は現在月の最後の1分に挿入、削除されるものであり、具体的には、23:59:59が挿入、削除される。NTPは協定世界時(UTC)、つまりグリニッジ標準を示すので、上記の23:59:59は、日本では8:59:59を指す。以下の説明では、日本における場合を例にとって説明する。つまり、うるう秒の挿入、削除は、08:59:59を挿入、削除するものとして説明する。このように日本におけるうるう秒の発生時刻は午前9時直前であり、視聴への影響は大きいものと考えられ
【0119】
うるう秒の発生による受信側への影響としてMMTPパケットの運用への影響が考えられる。
図19は、うるう秒の挿入について示している。
図19(a)は、送信側におけるNTPの絶対時刻情報を示している。
図19(b)は、送信側で生成されるMMTPパケットを矩形枠で示している。また、矩形枠に付されている数字は、パケット・シーケンス・ナンバー(packet_sequence_number)であり、同一のパケットID(packet_id)を持つMMTPパケットのシーケンス番号を示している(
図5(a)参照)。
【0120】
各MMTPパケットには、
図19(a)に示す絶対時刻情報が参照されて、タイムスタンプ(timestamp)が付加されている(
図5(a)参照)。この場合、「3」、「4」と「5」、「6」のMMTPパケットには、秒以上部分に関しては“8:59:59”となるタイムスタンプが付加されることになる。
【0121】
図19(c)は、受信側で、タイプスタンプ(timestamp)を参照して、受信されたMMTPパケットを並べ替えた状態を示している。この場合、送信側で「3」、「4」、「5」、「6」で送り出されたものが、「3」、「5」、「6」、「4」のように順番が入れ替わる。つまり、受信側では、パケット順が変わることによる弊害が生じ得る。
【0122】
図20は、うるう秒の削除について示している。
図20(a)は、送信側におけるNTPの絶対時刻情報を示している。
図20(b)は、送信側で生成されるMMTPパケットを矩形枠で示している。また、矩形枠に付されている数字は、パケット・シーケンス・ナンバー(packet_sequence_number)であり、同一のパケットID(packet_id)を持つMMTPパケットのシーケンス番号を示している(
図5(a)参照)。
【0123】
各MMTPパケットには、
図20(a)に示す絶対時刻情報が参照されて、タイムスタンプ(timestamp)が付加されている(
図5(a)参照)。
図20(c)は、受信側で、タイプスタンプ(timestamp)を参照して、受信されたMMTPパケットを並べ替えた状態を示している。この場合、送信側で「3」、「4」、「5」、「6」で送り出されたものが並べ替えを行ってもそのままとなり、上述のうるう秒の挿入の場合とは異なり、パケット順が変わることによる弊害は生じない。
【0124】
また、うるう秒の発生による受信側への影響として映像MPUの運用への影響が考えられる。
図21は、うるう秒の挿入について示している。
図21(a)は、送信側におけるNTPの絶対時刻情報を示している。
図21(b)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の挿入が終了する“9:00:00”までは「01」にあり、それ以降は「00」となる。
【0125】
図21(c)は、送信側で生成される映像MPUを矩形枠で示している。ここでは、映像MPUは1つのGOP(0.5秒分)に対応するものとしている。矩形枠に付されている数字は、MPU・シーケンス・ナンバー(mpu_sequence_number)であり、MPUの順番を示している(
図6(a)参照)。
【0126】
各映像MPUに対応して、
図21(a)に示す絶対時刻情報が参照されて、先頭の提示単位(アクセスユニット)の提示時刻(mpu_presentation_time)が設定される。この提示時刻は、上述したように、MPテーブルのMPUタイムスタンプ・デスクリプタに記述される(
図11参照)。
【0127】
この提示時刻は、映像MPUの先頭の提示単位に対応した絶対時刻に、例えば、エンコードバッファとデコードバッファによる遅延がオフセットとして加算されたものとされる。図示の例では、例えばエンコードバッファおよびデコードバッファの遅延がそれぞれ1秒であるとして、2秒のオフセットが加算されている。この場合、「5」、「6」と「7」、「8」の映像MPUには、秒以上部分に関しては“9:00:01”となる提示時刻が設定されることになる。
【0128】
図21(d)は、受信側で受信される映像MPUを示している。この場合、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。
図21(e)は、映像MPUの表示タイミングを示している。
【0129】
ここで、「1」、「2」の映像MPUは、提示時刻が“8:59:59”に設定されているので、最初の“8:59:59”の時刻に提示される。また、「3」、「4」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:00”に設定されているので、“9:00:00”の時刻に提示される。つまり、2番目の“8:59:59”の時刻における映像MPUの提示が抜けたものとなる。また、「5」、「6」と、「7」、「8」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:01”に設定されているので、“9:00:01”における映像MPUの提示の重複が発生する。
【0130】
図22は、うるう秒の削除について示している。
図22(a)は、送信側におけるNTPの絶対時刻情報を示している。
図22(b)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の削除が終了する“9:00:00”までは「10」にあり、それ以降は「00」となる。
【0131】
図22(c)は、送信側で生成される映像MPUを矩形枠で示している。ここでは、映像MPUは1つのGOP(0.5秒分)に対応するものとしている。矩形枠に付されている数字は、MPU・シーケンス・ナンバー(mpu_sequence_number)であり、MPUの順番を示している(
図6(a)参照)。
【0132】
各映像MPUに対応して、
図22(a)に示す絶対時刻情報が参照されて、先頭の提示単位(アクセスユニット)の提示時刻(mpu_presentation_time)が設定される。この提示時刻は、上述したように、MPテーブルのMPUタイムスタンプ・デスクリプタに記述される(
図11参照)。
【0133】
この提示時刻は、映像MPUの先頭の提示単位に対応した絶対時刻に、例えば、エンコードバッファとデコードバッファによる遅延がオフセットとして加算されたものとされる。図示の例では、例えばエンコードバッファおよびデコードバッファの遅延がそれぞれ1秒であるとして、2秒のオフセットが加算されている。
【0134】
図22(d)は、受信側で受信される映像MPUを示している。この場合、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。
図22(e)は、映像MPUの表示タイミングを示している。
【0135】
ここで、「1」、「2」の映像MPUは、提示時刻が“8:59:58”に設定されているので、“8:59:58”の時刻に提示される。また、「3」、「4」の映像MPUは、提示時刻が“8:59:59”に設定されているが、該当時刻がないので提示できない。また、「5」、「6」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:00”に設定されているので、“9:00:00”の時刻に提示される。また、「7」、「8」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:02”に設定されているので、“9:00:02”の時刻に提示される。つまり、“9:00:01”の時刻における映像MPUの提示が抜けたものとなる。
【0136】
次に、うるう秒の発生による受信側への影響を抑制するための対応について説明する。
【0137】
「対応方式1」
最初に、対応方式1について説明する。放送送出システム100は、外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成するにあたって、うるう秒の発生時刻をシフト後時刻、例えば視聴への影響が少ない時刻までシフトさせる。例えば、シフト後時刻は、深夜で伝送メディアとして静止映像が伝送されている時刻とされてもよい。
【0138】
また、放送送出システム100は、この絶対時刻情報に、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、この状態にあることを示すモード情報を付加して送信する。この実施の形態においては、このモード情報として、NTPデータの「mood」のフィールドが利用される。すなわち、
図18(b)に示すように、“7”がブロードキャストうるう秒シフトモードを示すものとして新規定義される。
【0139】
このモード情報は、シフト後時刻の一定時間前に、ブロードキャストうるう秒シフトモードから通常状態、つまりブロードキャストモードに変更される。これは、受信側において、シフト後時刻を予め把握可能とし、うるう秒の発生のための準備を速やかに行うことを可能ならしめるためである。
【0140】
受信機200は、上述のように放送送出システム100でうるう秒の発生時刻がシフトされることで、本来のうるう秒の発生時刻における影響を回避できる。また、受信機200は、モード情報に基づいてシフト後時刻を予め把握し、例えば、シフト後時刻にうるう秒の発生を速やかに行うことができる。
【0141】
図23は、うるう秒の挿入における放送送出システム100の対応の一例を示している。
図23(a)は、放送送出システム100の時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の挿入が、本来の“8:59:59”から深夜の“2:59:59”にシフトされている。このシフト後時刻は、
図23(d)に示すように、例えば、番組の放送がされておらず、静止画映像伝送期間に含まれている。
【0142】
図23(c)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の挿入が終了する“3:00:00”までは「01」にあり、それ以降は「00」となる。つまり、このうるう秒指示子では、受信側は、シフト後時刻を予め把握することはできない。
【0143】
図23(b)は、NTP動作モードを示している。この例では、シフト後のうるう秒の挿入時刻の1秒前に、ブロードキャストうるう秒シフトモードからブロードキャストモードに変更されている。この場合、受信側は、シフト後時刻の1秒まえにその時刻を把握できる。
【0144】
図24は、うるう秒の削除における放送送出システム100の対応の一例を示している。
図24(a)は、放送送出システム100の時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の削除が、本来の“8:59:59”から深夜の“2:59:59”にシフトされている。このシフト後時刻は、
図24(d)に示すように、例えば、番組の放送がされておらず、静止画映像伝送期間に含まれている。
【0145】
図24(c)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の削除が終了する“3:00:00”までは「10」にあり、それ以降は「00」となる。つまり、このうるう秒指示子では、受信側は、シフト後時刻を予め把握することはできない。
【0146】
図24(b)は、NTP動作モードを示している。この例では、シフト後のうるう秒の削除時刻の1秒前に、ブロードキャストうるう秒シフトモードからブロードキャストモードに変更されている。この場合、受信側は、シフト後時刻の1秒まえにその時刻を把握できる。
【0147】
「対応方式2」
次に、対応方式2について説明する。放送送出システム100は、外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成するにあたって、上述の対応方式1とは異なり、うるう秒の発生時刻をシフトすることは行わない。また、放送送出システム100は、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報を、伝送メディアなどと共に、送信する。
【0148】
この実施の形態においては、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタに、そのリザーブドビットを利用して、識別情報を構成するうるう秒制御信号(leap_control)を新規定義する。
図25は、うるう秒制御信号が新規定義されたMPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタ(MPU_Timestamp_Descriptor)の構造例(Syntax)を示している。
【0149】
「leap_control」の3ビットフィールドは、うるう秒制御信号を示す。このうるう秒制御信号は、
図26に従って符号化される。この場合、ビット2「b2」は、受信NTPによる時計に基づくタイムスタンプを表す“1”とされる。そして、ビット1,0「b1b0」に関しては、以下の意味を持つように定義される。すなわち、“01”は、うるう秒挿入時をベースとして提示時刻(PTS)が設定されたMPUであることを示す。“10”は、うるう秒削除時をベースとして提示時刻(PTS)が設定されたMPUであることを示す。“11”は、通常のMPUであることを示す。
【0150】
受信機200は、放送信号に含まれる絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成するに当たって、うるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報を生成する。この場合、受信機200の時計はずれたままとなるが、例えば、他のチャネルに切り替えた場合、電源がオフとされた場合などにリセットされる。うるう秒の発生で問題になるのは、このうるう秒を挟んで同一チャネルの処理が続く場合であるので、チャネル切換えなどでリセットされるのは問題ない。
【0151】
また、受信機200は、上述のうるう秒制御信号に基づいて、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPU(提示単位グループ)以降の各MPUの提示時刻を調整する。具体的には、うるう秒の発生がうるう秒の挿入であるとき各提示時刻に1秒を加算し、うるう秒の発生がうるう秒の削除であるとき各提示時刻から1秒を減算する。
【0152】
受信機200は、上述のようにうるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報を生成し、また、うるう秒制御信号に基づいて提示時刻を調整することで、うるう秒の発生があっても各提示単位グループの提示同期処理への影響を抑制できる。
【0153】
図27は、うるう秒の挿入時におけるMPU提示同期処理の一例を示している。
図27(a)は、放送送出システム100の時計である絶対時刻情報(NTP時刻)を示しており、うるう秒の挿入が行われている。
図27(b)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の挿入が終了する“9:00:00”までは「01」にあり、それ以降は「00」となる。
【0154】
図27(c)は、放送送出システム100で生成される映像MPUを矩形枠で示している。ここでは、映像MPUは1つのGOP(0.5秒分)に対応するものとしている。矩形枠に付されている数字は、MPU・シーケンス・ナンバー(mpu_sequence_number)であり、MPUの順番を示している(
図6(a)参照)。
【0155】
各映像MPUに対応して、
図27(a)に示す絶対時刻情報が参照されて、先頭の提示単位(アクセスユニット)の提示時刻(mpu_presentation_time)が設定される。この提示時刻は、上述したように、MPテーブルのMPUタイムスタンプ・デスクリプタに記述される(
図11参照)。
【0156】
この提示時刻は、映像MPUの先頭の提示単位に対応した絶対時刻に、例えば、エンコードバッファとデコードバッファによる遅延がオフセットとして加算されたものとされる。図示の例では、例えばエンコードバッファおよびデコードバッファの遅延がそれぞれ1秒であるとして、2秒のオフセットが加算されている。
【0157】
図27(d)は、受信機200の時計である絶対時刻情報(NTP時刻+α)を示している。この絶対時刻情報は、うるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で生成される。すなわち、“8:59:59”の次は“9:00:00”となる。
図27(e)は、受信機200で受信される映像MPUを示している。この場合、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。
【0158】
図27(f)は、受信される映像MPUのそれぞれに対応したうるう秒制御信号(leap_control)を示している。このうるう秒制御信号は、「6」の映像MPUまでは“111”とされているが、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の映像MPUである「7」の映像MPUでは「101」とされ、また、「8」の映像MPUからは再び「111」とされている。
【0159】
図27(g)は、映像MPUの表示タイミングを示している。ここで、「1」、「2」の映像MPUは、提示時刻が“8:59:59”に設定されているので、“8:59:59”の時刻に提示される。また、「3」、「4」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:00”に設定されているので、“9:00:00”の時刻に提示される。また、「5」、「6」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:01”に設定されているので、“9:00:01”の時刻に提示される。
【0160】
また、「7」の映像MPUに対応してうるう秒制御信号が“101”とされ、うるう秒の発生(挿入)後の絶対時刻情報を参照した最初の映像MPUであることが示されているので、「7」以降の映像MPUの提示時刻は1秒加算される。そのため、「7」、「8」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:01”に設定されているが、“9:00:02”に調整され、“9:00:02”の時刻に提示される。また、「9」、「10」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:02”に設定されているが、“9:00:03”に調整され、“9:00:03”の時刻に提示される。以下、同様である。
【0161】
このように、受信機200においては、映像MPUの提示の抜けや重複が発生することなく、提示同期処理が適切に行われる。なお、本例では「7」のMPUのみうるう秒制御信号を「101」としているが、受信エラーを考慮して、「7」以降の複数のMPUに対して「101」を付与してもよい。
【0162】
図28は、うるう秒の削除時におけるMPU提示同期処理の一例を示している。
図28(a)は、放送送出システム100の時計である絶対時刻情報(NTP時刻)を示しており、うるう秒の削除が行われている。
図28(b)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の削除が終了する“9:00:00”までは「10」にあり、それ以降は「00」となる。
【0163】
図28(c)は、放送送出システム100で生成される映像MPUを矩形枠で示している。ここでは、映像MPUは1つのGOP(0.5秒分)に対応するものとしている。矩形枠に付されている数字は、MPU・シーケンス・ナンバー(mpu_sequence_number)であり、MPUの順番を示している(
図6(a)参照)。
【0164】
各映像MPUに対応して、
図28(a)に示す絶対時刻情報が参照されて、先頭の提示単位(アクセスユニット)の提示時刻(mpu_presentation_time)が設定される。この提示時刻は、上述したように、MPテーブルのMPUタイムスタンプ・デスクリプタに記述される(
図11参照)。
【0165】
この提示時刻は、映像MPUの先頭の提示単位に対応した絶対時刻に、例えば、エンコードバッファとデコードバッファによる遅延がオフセットとして加算されたものとされる。図示の例では、例えばエンコードバッファおよびデコードバッファの遅延がそれぞれ1秒であるとして、2秒のオフセットが加算されている。
【0166】
図28(d)は、受信機200の時計である絶対時刻情報(NTP時刻+α)を示している。この絶対時刻情報は、うるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で生成される。すなわち、“8:59:58”の次は“8:59:59”となる。
図28(e)は、受信機200で受信される映像MPUを示している。この場合、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。
【0167】
図28(f)は、受信される映像MPUのそれぞれに対応したうるう秒制御信号(leap_control)を示している。このうるう秒制御信号は、「6」の映像MPUまでは“111”とされているが、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の映像MPUである「7」の映像MPUでは「110」とされ、また、「8」の映像MPUからは再び「111」とされている。
【0168】
図28(g)は、映像MPUの表示タイミングを示している。ここで、「1」、「2」の映像MPUは、提示時刻が“8:59:58”に設定されているので、“8:59:58”の時刻に提示される。また、「3」、「4」の映像MPUは、提示時刻が“8:59:59”に設定されているので、“8:59:59”の時刻に提示される。また、「5」、「6」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:00”に設定されているので、“9:00:00”の時刻に提示される。
【0169】
また、「7」の映像MPUに対応してうるう秒制御信号が“110”とされ、うるう秒の発生(削除)後の絶対時刻情報を参照した最初の映像MPUであることが示されているので、「7」以降の映像MPUの提示時刻は1秒減算される。そのため、「7」、「8」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:02”に設定されているが、“9:00:01”に調整され、“9:00:01”の時刻に提示される。また、「9」、「10」の映像MPUは、提示時刻が“9:00:03”に設定されているが、“9:00:02”に調整され、“9:00:02”の時刻に提示される。以下、同様である。
【0170】
このように、受信機200においては、映像MPUの提示の抜けや、該当時刻がないなどということなく、提示同期処理が適切に行われる。なお、本例では「7」のMPUのみうるう秒制御信号を「110」としているが、受信エラーを考慮して、「7」以降の複数のMPUに対して「110」を付与してもよい。
【0171】
図29は、放送送出システム100の構成例を示している。この放送送出システム100は、NTPクロック生成部(時計部)111と、信号送出部112と、ビデオエンコーダ113と、オーディオエンコーダ114と、MMTシグナリングエンコード部115を有している。また、この放送送出システム100は、TLVシグナリング発生部116と、N個のIPサービス・マルチプレクサ117-1~117-Nと、TLV・マルチプレクサ118と、変調/送信部119を有している。
【0172】
NTPクロック生成部(時計部)111では、外部から取得されたNTP時刻情報に同期した絶対時刻情報を持つNTPデータが生成され、このNTPデータを含むIPパケットがIPサービス・マルチプレクサ117-1に送られる。第1の対応方式が採用される場合、NTPクロック生成部(時計部)111では、うるう秒の発生時刻がシフト後時刻までシフトされる。また、この絶対時刻情報に、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、NTPデータの「mood」のフィールドが利用され、この状態にあることを示すモード情報が付加される。
【0173】
信号送出部112は、例えば、TV局のスタジオとか、VTR等の記録再生機であり、伝送メディアとしてのビデオ、オーディオなどのベースバンド信号を送出するシステムである。ビデオエンコーダ113では、信号送出部112から送出されるビデオ信号が符号化され、さらにパケット化されて、ビデオのMMTPパケットを含むIPパケットがIPサービス・マルチプレクサ117-1に送られる。オーディオエンコーダ114では、信号送出部112から送出されるオーディオ信号が符号化され、さらにパケット化されて、オーディオのMMTPパケットを含むIPパケットがIPサービス・マルチプレクサ117-1に送られる。
【0174】
MMTシグナリングエンコード部115では、シグナリングメッセージが発生され、ペイロード部にこのシグナリングメッセージが配置されたMMTPパケットを含むIPパケットがIPサービス・マルチプレクサ117-1に送られる。このシグナリングメッセージには、MPテーブル(MMT Package Table)が含まれる。このMPテーブルには、MPUタイムスタンプ・デスクリプタ(MPU_timestamp_descriptor)、さらにはMPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタ(MPU_extended_timestamp_descriptor)が挿入される。
【0175】
MPUタイムスタンプ・デスクリプタには、MPUの先頭の提示単位の提示時刻が配置される。また、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタには、このMPUの先頭の提示単位の提示時刻を参照してMPUの各提示単位のデコード時刻および提示時刻を算出するための時間長情報が配置される。また、第2の対応方式が採用される場合、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタには、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPUを識別する識別情報を構成するうるう秒制御信号(leap_control)が配置される。
【0176】
IPサービス・マルチプレクサ117-1では、各エンコーダから送られてくるIPパケットの時分割多重化が行われる。この際、IPサービス・マルチプレクサ117-1では、各IPパケットにUDPヘッダおよびTLVヘッダが付加されて、TLVパケットとされる。IPサービス・マルチプレクサ117-1では、一つのトランスポンダの中に入れる一つのチャネル部分が構成される。IPサービス・マルチプレクサ117-2~117-Nでは、IPサービス・マルチプレクサ117-1と同様の機能を持ち、その一つのトランスポンダの中にいれる他のチャネル部分が構成される。
【0177】
TLVシグナリング発生部116では、シグナリング(Signaling)情報が発生され、このシグナリング(Signaling)情報をペイロード部に配置するTLVパケットが生成される。TLV・マルチプレクサ118では、IPサービス・マルチプレクサ117-1~117-NおよびTLVシグナリング発生部116で生成されるTLVパケットが多重化されて、MMT方式の放送ストリーム(
図4(e)参照)が生成される。変調/送信部119では、TLV・マルチプレクサ118で生成されるMMT方式の放送ストリームに対して、RF変調処理が行われて、RF伝送路に送出される。
【0178】
図30は、受信機200の構成例を示している。この受信機200は、チューナ/復調部201と、デマルチプレクサ202と、NTPクロック再生部(時計部)203と、システム制御部204とを有している。また、この受信機200は、ビデオ制御部205と、ビデオデコードバッファ206と、ビデオデコーダ207と、オーディオ制御部208と、オーディオデコードバッファ209と、オーディオデコーダ210を有している。
【0179】
チューナ/復調部201では、図示しないアンテナからの中間周波信号が受信され、復調処理が行われて、MMT方式の放送ストリーム(
図4(e)参照)が得られる。デマルチプレクサ202では、この放送ストリームに対して、デマルチプレクス処理およびデパケット化処理が行われて、NTP時刻情報、シグナリング情報、さらにはビデオ、オーディオの符号化データ、ビデオ、オーディオのDT/PT情報が取り出される。
【0180】
デマルチプレクサ202では、MMT-SIフィルタ部202aでフィルタリングされてMMTのシグナリング情報(シグナリングメッセージ)が取り出され、システム制御部204に送られる。また、デマルチプレクサ202では、TLV-SIフィルタ部202bでフィルタリングされてTLVシグナリング情報を取り出され、システム制御部204に送られる。
【0181】
デマルチプレクサ202で取り出されるNTPデータは、NTPクロック再生部203に送られる。NTPクロック再生部203では、NTPデータに含まれる絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報が再生(生成)される。第1の対応方式が採用される場合、モード情報に基づいて、シフト後時刻に、うるう秒が発生される。このように再生された絶対時刻情報は、ビデオ制御部205およびオーディオ制御部208に送られる。また、第2の対応方式が採用される場合、うるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報が発生される。
【0182】
デマルチプレクサ202で取り出されるビデオの符号化データは、ビデオデコードバッファ206に一時的に蓄積される。また、デマルチプレクサ202で取り出されるオーディオの符号化データは、オーディオデコードバッファ209に一時的に蓄積される。
【0183】
システム制御部204では、MPテーブルのビデオ、オーディオのMPUタイムスタンプ・デスクリプタから、ビデオ、オーディオのMPUの最初の提示単位の提示時刻が取り出され、それぞれ、ビデオ制御部205、オーディオ制御部208に送られる。
【0184】
また、システム制御部204では、MPテーブルのビデオ、オーディオのMPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタから、MPUの先頭の提示単位の提示時刻を参照してMPUの各提示単位のデコード時刻および提示時刻を算出するための時間長情報が取り出され、それぞれ、ビデオ制御部205、オーディオ制御部208に送られる。
【0185】
また、システム制御部204では、第2の対応方式が採用される場合、MPテーブルのビデオ、オーディオのMPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタから、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPUを識別する識別情報を構成するうるう秒制御信号(leap_control)が取り出され、それぞれ、ビデオ制御部205、オーディオ制御部208に送られる。
【0186】
ビデオ制御部205では、MPUの最初の提示単位の提示時刻と、MPUの各提示単位のデコード時刻および提示時刻を算出するための時間長情報に基づいて、各提示単位のデコード時刻DTおよび提示時刻PTが求められる。ここで、第2の対応方式が採用される場合、上述のうるう秒制御信号に基づいて、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPU以降の各MPUの提示時刻が調整される。
【0187】
ビデオ制御部205では、ビデオデコーダ207に対して、ビデオデコードバッファ206に蓄積されている各サンプル(提示単位)の符号化ビデオに対する、デコードおよび提示の指示が行われる。この場合、ビデオ制御部205では、それらの指示が、NTPクロック再生部203から供給されるNTP時刻情報が参照され、上述したように求められたデコード時刻DTおよび提示時刻PTのタイミングで行われる。
【0188】
ビデオデコーダ207では、ビデオ制御部205からの指示に基づいて、ビデオデコードバッファ206に蓄積されている各サンプル(提示単位)の符号化ビデオのデコード処理が行われる。そして、このビデオデコーダ207から、各サンプル(提示単位)のビデオが提示時刻PTのタイミングで順次出力される。
【0189】
また、オーディオ制御部208では、MPUの最初の提示単位の提示時刻と、MPUの各提示単位のデコード時刻および提示時刻を算出するための時間長情報に基づいて、各提示単位のデコード時刻DTおよび提示時刻PTが求められる。ここで、第2の対応方式が採用される場合、上述のうるう秒制御信号に基づいて、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPU以降の各MPUの提示時刻が調整される。
【0190】
オーディオ制御部208では、オーディオデコーダ210に対して、オーディオデコードバッファ209に蓄積されている各提示単位の符号化オーディオに対する、デコードおよび提示の指示が行われる。この場合、オーディオ制御部208では、それらの指示が、NTPクロック再生部203から供給されるNTP時刻情報が参照され、上述したように求められたデコード時刻DTおよび提示時刻PTのタイミングで行われる。
【0191】
オーディオデコーダ210では、オーディオ制御部208からの指示に基づいて、オーディオデコードバッファ209に蓄積されている各提示単位の符号化オーディオのデコード処理が行われる。そして、このオーディオデコーダ210から、各提示単位のオーディオが提示時刻PTのタイミングで順次出力される。
【0192】
上述したように、
図1に示す送受信システム10においては、伝送メディアと共に送信される絶対時刻情報はうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせたものとされる。そのため、シフト後時刻が視聴への影響が少ない時刻とされることで、受信側では、うるう秒の発生による影響を抑制できる。
【0193】
また、
図1に示す送受信システム10においては、伝送メディアと共に送信される絶対時刻情報がうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせたものである場合、この絶対時刻情報には、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、この状態にあることを示すモード情報が付加される。そのため、受信側では、このモード情報によりうるう秒の発生時刻のシフト状態にあることを容易に認識できる。
【0194】
また、
図1に示す送受信システム10においては、伝送メディアと共に送信される絶対時刻情報がうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせたものであって、この絶対時刻情報に付加されるモード情報は、シフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更される。そのため、受信側では、シフト後時刻を予め把握でき、うるう秒の発生のための準備を速やかに行うことができる。
【0195】
また、
図1に示す送受信システム10においては、伝送メディアなどと共に、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報が送信される。そのため、受信側では、伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻をこの識別情報に基づいて調整でき、うるう秒の発生による影響を抑制できる。
【0196】
<2.第2の実施の形態>
[送受信システムの構成例]
図31は、第2の実施の形態としての送受信システム10Aの構成例を示している。この送受信システム10Aは、マルチストリームサービス(放送通信連携)のシステムであり、放送送出システム100A,100Bと、配信装置100Cと、受信機200Aにより構成されている。
【0197】
放送送出システム100A,100Bは、ビデオ、オーディオなどの伝送メディアを含むIP(Internet Protocol)方式の放送信号を送信する。放送送出システム100Aは、外部から取得された絶対時刻情報に基づいて絶対時刻情報を生成する時計部(時刻情報生成部)151Aと、映像・音声などの伝送メディアにエンコード処理を施す映像・音声エンコーダ152Aと、時計部151Aで生成された絶対時刻情報(NTPデータ)と、映像・音声エンコーダ152Aでエンコード処理された伝送メディアを放送伝送路で送信する送出装置153Aを有している。
【0198】
この放送送出システム100Aは、詳細説明は省略するが、上述の送受信システム10における放送送出システム100と同様に構成される。放送信号には、伝送メディアと共に、生成された絶対時刻情報と、伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻が含まれる。放送送出システム100Aは、上述の送受信システム10における放送送出システム100と同様に、うるう秒の発生による受信側への影響を抑制するために、第1の対応方式あるいは第2の対応方式の対応を行う。
【0199】
放送送出システム100Bは、外部から取得された絶対時刻情報に基づいて絶対時刻情報を生成する時計部(時刻情報生成部)151Bと、映像・音声などの伝送メディアにエンコード処理を施す映像・音声エンコーダ152Bと、この映像・音声エンコーダ152Bでエンコード処理された伝送メディアを放送伝送路で送信する送出装置153Bを有している。
【0200】
この放送送出システム100Bは、詳細説明は省略するが、時計部151Bで生成された絶対時刻情報(NTPデータ)を送らないことを除き、上述の送受信システム10における放送送出システム100と同様に構成される。放送信号には、伝送メディアと共に、伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻が含まれる。放送送出システム100Bは、上述の送受信システム10における放送送出システム100と同様に、うるう秒の発生による受信側への影響を抑制するために、第1の対応方式あるいは第2の対応方式の対応を行う。
【0201】
この放送送出システム100Bにおいて、放送信号には、上述の送受信システム10における放送送出システム100からの放送信号とは異なり、提示単位グループ毎の提示時刻を生成するときに参照された時計部(時刻情報生成部)151Bの絶対時刻情報の、放送送出システム100Aにおける時計部(時刻情報生成部)151Aの絶対時刻情報との時刻差を示す時刻差情報が含まれる。
【0202】
うるう秒の発生による受信側への影響を抑制するための対応方式が異なる場合、あるいは同じ対応方式1の場合であってもシフト後時刻が異なる場合などでは、時計部151Bの絶対時刻情報に、時計部151Aの絶対時刻情報に対して1秒の進みあるいは遅れが生じる期間が発生する。そのため、受信側において、放送送出システム100Aの時計部151Aからの絶対時刻情報に基づいて当該放送送出システム100Bからの伝送メディアの提示制御を行う場合に提示時刻を調整する必要が生じる。時刻差情報は、受信側において、この提示時刻の調整に使用される。
【0203】
放送送出システム100Bは、MPU拡張タイムスタンプ・デスクリプタに、そのリザーブドビットを利用して、時刻差情報を構成するうるう秒制御信号(leap_control)を新規定義する(
図25参照)。この場合、「leap_control」の3ビットフィールドは、
図26に従って符号化される。
【0204】
すなわち、ビット2「b2」は、受信NTP以外の時計に基づくタイムスタンプを表す“0”とされる。そして、ビット1,0「b1b0」に関しては、以下の意味を持つように定義される。すなわち、“01”は、受信NTPに比べて1秒進んだ時計に基づくタイムスタンプであることを示す。“10”は、受信NTPに比べて1秒遅れた時計に基づくタイムスタンプであることを示す。“11”は、受信NTPと合った時計に基づくタイムスタンプであることを示す。
【0205】
配信装置100Cは、外部から取得された絶対時刻情報に基づいて絶対時刻情報を生成する時計部(時刻情報生成部)151Cと、映像・音声などの伝送メディアにエンコード処理を施す映像・音声エンコーダ152Cと、この映像・音声エンコーダ152Cでエンコード処理された伝送メディアをインターネットなどの通信伝送路で送信するリアルタイム配信サーバ153Cを有している。
【0206】
この配信装置100は、詳細説明は省略するが、時計部151Bで生成された絶対時刻情報(NTPデータ)を送らないことおよび送信伝送路が異なることを除き、上述の送受信システム10における放送送出システム100と同様に構成される。配信信号には、伝送メディアと共に、伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻が含まれる。配信装置100Cは、上述の送受信システム10における放送送出システム100と同様に、うるう秒の発生による受信側への影響を抑制するために、第1の対応方式あるいは第2の対応方式の対応を行う。
【0207】
この配信装置100Cにおいて、配信信号には、上述の放送送出システム100Bにおける放送信号と同様に、提示単位グループ毎の提示時刻を生成するときに参照された時計部(時刻情報生成部)151Cの絶対時刻情報の、放送送出システム100Aにおける時計部(時刻情報生成部)151Aの絶対時刻情報との時刻差を示す時刻差情報が含まれる。
【0208】
受信機200Aは、放送送出システム100A,100Bから送られてくる放送信号を受信すると共に、配信装置100Cから送られてくる配信信号を受信する。受信機200Aは、各信号を、上述した送受信システム10における受信機200と同様に処理する。
【0209】
受信機200Aは、放送送出システム100Aから送られてくる伝送メディアに関しては、当該伝送メディアの各提示単位グループ(MPU)の提示を、放送送出システム100Aから送られてくる絶対時刻情報(NTPデータ)に基づいて生成された絶対時刻情報と、放送送出システム100Aから送られてくる当該伝送メディアの各提示単位グループ(MPU)の提示時刻を参照して制御する。この際、受信機200Aは、放送送出システム100Aで採られているうるう秒の発生による受信側への影響を抑制するため対応(第1の対応方式あるいは第2の対応方式)に応じた対応を行う。
【0210】
また、受信機200Aは、放送送出システム100Bあるいは配信装置100Cから送られてくる伝送メディアに関しても、基本的には、放送送出システム100Aから送られてくる伝送メディアと同様の提示制御を行う。ただし、放送送出システム100Aから送られてくる絶対時刻情報(NTPデータ)に基づいて生成された絶対時刻情報を用いる他、送られてくる伝送メディアの各提示単位グループ(MPU)の提示時刻を、時刻差情報に基づいて調整して用いる。
【0211】
この場合、時刻差情報、つまり「leap_contorl」のフィールドが“001”であるときには、提示時刻から1秒だけ減算して用いる。また、時刻差情報、つまり「leap_contorl」のフィールドが“010”であるときには、提示時刻に1秒だけ加算して用いる。
【0212】
このように提示時刻が調整されることで、放送送出システム100Bあるいは配信装置100Cから送られてくる伝送メディアの処理を、放送送出システム100Aからの絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報に基づいて良好に処理可能となる。これにより、受信機200Aでは、放送送出システム100Aからの伝送メディアと放送送出システム100Bや配信装置100Cから送られてくる伝送メディアの提示同期が可能となり、合成による提示も違和感なく行うことができる。
【0213】
マルチストリームサービスにおける上述の提示同期処理の具体例について説明する。ここでは、放送送出システム100Aからの放送ストリームと配信装置100Cからのネット配信ストリームの2ストリームの場合を例にとって説明する。
【0214】
図32は、うるう秒の挿入がある場合のマルチストリームサービス1についての提示同期処理の一例を示している。この例の場合、放送ストリームはうるう秒シフトモードベース、ネット配信ストリームは通常のうるう秒ベースである。
【0215】
図32(a)は、放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の挿入が、本来の“8:59:59”から深夜の“2:59:59”にシフトされている。
図32(c)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の挿入が終了する“3:00:00”までは「01」にあり、それ以降は「00」となる。
【0216】
図32(b)は、NTP動作モードを示している。この例では、シフト後のうるう秒の挿入時刻の1秒前に、ブロードキャストうるう秒シフトモードからブロードキャストモードに変更されている。この場合、受信側は、シフト後時刻の1秒前にうるう秒のシフト後時刻を把握できる。
【0217】
図32(d)は、受信機200Aで受信されるMPU(放送MPU)を矩形枠で示している。このMPUは、例えば、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。また、
図32(e)は、その受信MPUのそれぞれに対応した、識別情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)を示している。このうるう秒制御信号は、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPUでは“101”とされ、その他のMPUでは“111”とされている。
【0218】
図32(f)は、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の挿入が、本来の“8:59:59”で行われている。
図32(g)は、受信機200Aで受信されるMPU(ネット配信MPU)を矩形枠で示している。このMPUは、例えば、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。
【0219】
図32(h)は、その受信MPUのそれぞれに対応した時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)を示している。放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報(
図32(a)参照))と、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報(
図32(f)参照))とは、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報でうるう秒の挿入に係る2番目の“8:59:59”から“2:59:58”の期間で、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報が、放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報から1秒だけ遅れた状態にある。
【0220】
そのため、
図32(h)の時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)は、その期間に対応したMPUでは“010”とされ、その他のMPUでは“011”とされている(
図26参照)。従って、受信機200Aは、この時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)に基づいて、配信装置100Cからの伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻を調整することで、放送送出システム100Aと配信装置100Cの双方からの伝送メディアの提示同期をとることが可能となる。
【0221】
図33は、うるう秒の挿入がある場合のマルチストリームサービス2についての提示同期処理の一例を示している。この例の場合、放送ストリームは通常のうるう秒ベース、ネット配信ストリームはうるう秒シフトモードベースである。
【0222】
図33(a)は、放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の挿入が、本来の“8:59:59”で行われている。
図33(c)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の挿入が終了する“9:00:00”までは「01」にあり、それ以降は「00」となる。
図33(b)は、NTP動作モードを示している。この例では、ブロードキャストモードのままにおかれる。
【0223】
図33(d)は、受信機200Aで受信されるMPU(放送MPU)を矩形枠で示している。このMPUは、例えば、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。また、
図33(e)は、その受信MPUのそれぞれに対応した、識別情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)を示している。このうるう秒制御信号は、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPUでは“101”とされ、その他のMPUでは“111”とされている。
【0224】
図33(f)は、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の挿入が、本来の“8:59:59”から深夜の“2:59:59”にシフトされている。
図33(g)は、受信機200Aで受信されるMPU(ネット配信MPU)を矩形枠で示している。このMPUは、例えば、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。
【0225】
図33(h)は、その受信MPUのそれぞれに対応した時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)を示している。放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報(
図33(a)参照))と、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報(
図33(f)参照))とは、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報で“9:00:00”から1番目の“2:59:59”の期間で、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報が、放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報から1秒だけ進んだ状態にある。
【0226】
そのため、
図33(h)の時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)は、その期間に対応したMPUでは“001”とされ、その他のMPUでは“011”とされている(
図26参照)。従って、受信機200Aは、この時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)に基づいて、配信装置100Cからの伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻を調整することで、放送送出システム100Aと配信装置100Cの双方からの伝送メディアの提示同期をとることが可能となる。
【0227】
図34は、うるう秒の削除がある場合のマルチストリームサービス1についての提示同期処理の一例を示している。この例の場合、放送ストリームはうるう秒シフトモードベース、ネット配信ストリームは通常のうるう秒ベースである。
【0228】
図34(a)は、放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の削除が、本来の“8:59:59”から深夜の“2:59:59”にシフトされている。
図34(c)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の削除が終了する“3:00:00”までは「10」にあり、それ以降は「00」となる。
【0229】
図34(b)は、NTP動作モードを示している。この例では、シフト後のうるう秒の削除時刻の1秒前に、ブロードキャストうるう秒シフトモードからブロードキャストモードに変更されている。この場合、受信側は、シフト後時刻の1秒前にうるう秒のシフト後時刻を把握できる。
【0230】
図34(d)は、受信機200Aで受信されるMPU(放送MPU)を矩形枠で示している。このMPUは、例えば、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。また、
図34(e)は、その受信MPUのそれぞれに対応した、識別情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)を示している。このうるう秒制御信号は、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPUでは“110”とされ、その他のMPUでは“111”とされている。
【0231】
図34(f)は、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の削除が、本来の“8:59:59”で行われている。
図34(g)は、受信機200Aで受信されるMPU(ネット配信MPU)を矩形枠で示している。このMPUは、例えば、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。
【0232】
図34(h)は、その受信MPUのそれぞれに対応した時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)を示している。放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報(
図34(a)参照))と、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報(
図34(f)参照))とは、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報でうるう秒の挿入に係る2番目の“8:59:59”から“2:59:58”の期間で、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報が、放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報から1秒だけ進んだ状態にある。
【0233】
そのため、
図34(h)の時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)は、その期間に対応したMPUでは“001”とされ、その他のMPUでは“011”とされている(
図26参照)。従って、受信機200Aは、この時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)に基づいて、配信装置100Cからの伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻を調整することで、放送送出システム100Aと配信装置100Cの双方からの伝送メディアの提示同期をとることが可能となる。
【0234】
図35は、うるう秒の削除がある場合のマルチストリームサービス2についての提示同期処理の一例を示している。この例の場合、放送ストリームは通常のうるう秒ベース、ネット配信ストリームはうるう秒シフトモードベースである。
【0235】
図35(a)は、放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の挿入が、本来の“8:59:59”で行われている。
図35(c)は、うるう秒指示子(leap_indicator)の値を示している。この場合、うるう秒指示子は、うるう秒の削除が終了する“9:00:00”までは「10」にあり、それ以降は「00」となる。
図35(b)は、NTP動作モードを示している。この例では、ブロードキャストモードのままにおかれる。
【0236】
図35(d)は、受信機200Aで受信されるMPU(放送MPU)を矩形枠で示している。このMPUは、例えば、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。また、
図35(e)は、その受信MPUのそれぞれに対応した、識別情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)を示している。このうるう秒制御信号は、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初のMPUでは“110”とされ、その他のMPUでは“111”とされている。
【0237】
図35(f)は、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報を示している。この場合、うるう秒の削除が、本来の“8:59:59”から深夜の“2:59:59”にシフトされている。
図35(g)は、受信機200Aで受信されるMPU(ネット配信MPU)を矩形枠で示している。このMPUは、例えば、エンコードバッファの遅延による1秒分だけ遅延された状態にある。
【0238】
図35(h)は、その受信MPUのそれぞれに対応した時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)を示している。放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報(
図35(a)参照))と、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報(
図35(f)参照))とは、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報で“9:00:00”から“2:59:58”の期間で、配信装置100Cの時計における絶対時刻情報が、放送送出システム100Aの時計における絶対時刻情報から1秒だけ遅れた状態にある。
【0239】
そのため、
図35(h)の時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)は、その期間に対応したMPUでは“010”とされ、その他のMPUでは“011”とされている(
図26参照)。従って、受信機200Aは、この時刻差情報としてのうるう秒制御信号(leap_control)に基づいて、配信装置100Cからの伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻を調整することで、放送送出システム100Aと配信装置100Cの双方からの伝送メディアの提示同期をとることが可能となる。
【0240】
上述したように、
図31に示す送受信システム10Aにおいては、放送送出システム100Bおよび配信装置100Cに関しては、伝送メディアなどと共に、提示単位グループ毎の提示時刻を生成するときに参照された絶対時刻情報の、放送送出システム100Aにおける絶対時刻情報との時刻差を示す時刻差情報が送信される。そのため、受信側では、伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻をこの時刻差情報に基づいて調整でき、伝送メディアの処理を放送送出システム100Aからの絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報に基づいて良好に処理できる。
【0241】
<3.変形例>
なお、上述実施の形態では、MMT方式の放送ストリームを取り扱う例を示した。詳細説明は省略するが、本技術は、同様の放送ストリームを取り使う場合にも同様に適用できることが勿論である。
【0242】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部を備え、
上記時刻情報生成部は、上記外部から取得された絶対時刻情報で示されるうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせて時刻情報を生成し、
伝送メディアと上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報とを含む信号を送信する送信部をさらに備える
送信装置。
(2)上記時刻情報生成部で生成される絶対時刻情報には、上記うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、該状態にあることを示すモード情報が付加される
前記(1)に記載の送信装置。
(3)上記モード情報は、シフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更される
前記(2)に記載の送信装置。
(4)上記信号は、放送伝送路を用いて伝送される放送信号または通信伝送路を用いて伝送される配信信号である
前記(1)から(3)のいずれかに記載の送信装置。
(5)外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成ステップを有し、
上記時刻情報生成ステップでは、上記外部から取得された絶対時刻情報で示されるうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせて時刻情報を生成し、
送信部により、伝送メディアと上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報とを含む信号を送信する送信ステップをさらに有する
送信方法。
(6)伝送メディアと絶対時刻情報とを含む信号を受信する受信部と、
上記受信部で受信された信号に含まれている上記絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
上記伝送メディアを、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて処理する処理部を備え、
上記受信部で受信された信号に含まれている絶対時刻情報には、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、該状態にあることを示すモード情報が付加されており、
上記モード情報は、シフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更され、
上記時刻情報生成部は、上記モード情報に基づいて、上記シフト後時刻にうるう秒を発生させる
受信装置。
(7)受信部により、伝送メディアと絶対時刻情報とを含む信号を受信する受信ステップと、
上記受信ステップで受信された信号に含まれている上記絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成ステップと、
上記伝送メディアを、上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報に基づいて処理する処理ステップを有し、
上記受信ステップで受信された信号に含まれている絶対時刻情報には、うるう秒の発生時刻のシフト状態にあるとき、該状態にあることを示すモード情報が付加されており、
上記モード情報は、シフト後時刻の一定時間前に通常状態にあることを示すように変更され、
上記時刻情報生成ステップでは、上記モード情報に基づいて、上記シフト後時刻にうるう秒を発生させる
受信方法。
(8)外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻を、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて生成する提示時刻生成部と、
上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、該うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の上記提示単位グループを識別する識別情報を生成する識別情報生成部と、
上記伝送メディアと、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、上記提示時刻生成部で生成された提示単位グループ毎の提示時刻と、上記識別情報生成部で生成された識別情報とを含む信号を送信する送信部を備える
送信装置。
(9)上記信号は、上記伝送メディアを含む第1のパケットと、上記伝送メディアに関する情報を含む第2のパケットと、上記絶対時刻情報を含む第3のパケットを有し、
上記提示単位グループ毎の提示時刻と上記識別情報とは、上記第2のパケットに挿入される
前記(8)に記載の送信装置。
(10)上記信号は、放送伝送路を用いて伝送される放送信号または通信伝送路を用いて伝送される配信信号である
前記(8)または(9)に記載の送信装置。
(11)外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成ステップと、
伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻を、上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報に基づいて生成する提示時刻生成ステップと、
上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、該うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の上記提示単位グループを識別する識別情報を生成する識別情報生成ステップと、
送信部により、上記伝送メディアと、上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報と、上記提示時刻生成ステップで生成された提示単位グループ毎の提示時刻と、上記識別情報生成ステップで生成された識別情報とを含む信号を送信する送信ステップを有する
送信方法。
(12)伝送メディアと、絶対時刻情報と、上記伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻と、上記絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、該うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の上記提示単位グループを識別する識別情報とを含む信号を受信する受信部と、
上記受信部で受信された信号に含まれている絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部とを備え、
上記時刻情報生成部は、上記絶対時刻情報のうるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報を生成し、
上記受信部で受信された信号に含まれている提示単位グループ毎の提示時刻のうち、上記受信部で受信された信号に含まれている識別情報で示される提示単位グループ以降の各提示単位グループの提示時刻を調整する提示時刻調整部と、
上記伝送メディアを、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報および上記提示時刻調整部で調整された提示単位グループ毎の提示時刻に基づいて処理する処理部をさらに備える
受信装置。
(13)上記提示時刻調整部は、上記うるう秒の発生がうるう秒の挿入であるとき各提示時刻に1秒を加算し、上記うるう秒の発生がうるう秒の削除であるとき各提示時刻から1秒を減算する
前記(12)に記載の受信装置。
(14)受信部により、伝送メディアと、絶対時刻情報と、上記伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻と、上記絶対時刻情報でうるう秒の発生があるとき、該うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の上記提示単位グループを識別する識別情報とを含む信号を受信する受信ステップと、
上記受信ステップで受信された信号に含まれている絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成ステップを有し、
上記時刻情報生成ステップでは、上記絶対時刻情報のうるう秒の発生時刻でも連続した時間軸で絶対時刻情報を生成し、
上記受信ステップで受信された信号に含まれている提示単位グループ毎の提示時刻のうち、上記受信ステップで受信された信号に含まれている識別情報で示される提示単位グループ以降の各提示単位グループの提示時刻を調整する提示時刻調整ステップと、
上記伝送メディアを、上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報および上記提示時刻調整ステップで調整された提示単位グループ毎の提示時刻に基づいて処理する処理ステップをさらに有する
受信方法。
(15)外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻を、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報に基づいて生成する提示時刻生成部と、
上記提示時刻生成部で上記提示単位グループ毎の提示時刻を生成するときに参照された上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報の、他の送信機器における絶対時刻情報との時刻差を示す時刻差情報を生成する時刻差情報生成部と、
上記伝送メディアと、上記提示時刻生成部で生成された提示単位グループ毎の提示時刻と、上記時刻差情報生成部で生成された提示単位グループ毎の時刻差情報とを含む信号を送信する送信部を備える
送信装置。
(16)上記信号は、上記伝送メディアを含む第1のパケットと、上記伝送メディアに関する情報を含む第2のパケットを有し、
上記提示単位グループ毎の提示時刻と、上記提示単位グループ毎の時刻差情報とは、上記第2のパケットに挿入される
前記(15)に記載の送信装置。
(17)上記信号は、放送伝送路を用いて伝送される放送信号または通信伝送路を用いて伝送される配信信号である
前記(15)または(16)に記載の送信装置。
(18)外部から取得された絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成ステップと、
伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の提示時刻を、上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報に基づいて生成する提示時刻生成ステップと、
上記提示時刻生成ステップで上記提示単位グループ毎の提示時刻を生成するときに参照された上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報の、他の送信機器における絶対時刻情報との時刻差を示す時刻差情報を生成する時刻差情報生成ステップと、
送信部により、上記伝送メディアと、上記提示時刻生成ステップで生成された提示単位グループ毎の提示時刻と、上記時刻差情報生成ステップで生成された提示単位グループ毎の時刻差情報とを含む信号を送信する送信ステップを有する
送信方法。
(19)第1の送信機器からの第1の信号と、第2の送信機器からの第2の信号を受信する受信部を備え、
上記第1の信号は、第1の伝送メディアと、絶対時刻情報と、上記第1の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の第1の提示時刻とを含み、
上記第2の信号は、第2の伝送メディアと、該第2の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の第2の提示時刻と時刻差情報とを含み、
上記第1の信号に含まれる上記絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成部と、
上記第2の信号に含まれる上記第2の伝送メディアの提示単位グループ毎の第2の提示時刻を上記第2の信号に含まれる時刻差情報に基づいて調整する提示時刻調整部と、
上記第1の伝送メディアを、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、上記第1の信号に含まれている上記第1の伝送メディアの提示単位グループ毎の第1の提示時刻に基づいて処理し、上記第2の伝送メディアを、上記時刻情報生成部で生成された絶対時刻情報と、上記時刻情報調整部で調整された上記第2の伝送メディアの提示単位グループ毎の第2の提示時刻に基づいて処理する処理部をさらに備える
受信装置。
(20)受信部により、第1の送信機器からの第1の信号と、第2の送信機器からの第2の信号を受信する受信ステップを有し、
上記第1の信号は、第1の伝送メディアと、絶対時刻情報と、上記第1の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の第1の提示時刻とを含み、
上記第2の信号は、第2の伝送メディアと、該第2の伝送メディアの所定数の提示単位からなる提示単位グループ毎の第2の提示時刻と時刻差情報とを含み、
上記第1の信号に含まれる上記絶対時刻情報に同期した絶対時刻情報を生成する時刻情報生成ステップと、
上記第2の信号に含まれる上記第2の伝送メディアの提示単位グループ毎の第2の提示時刻を上記第2の信号に含まれる時刻差情報に基づいて調整する提示時刻調整ステップと、
上記第1の伝送メディアを、上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報と、上記第1の信号に含まれている上記第1の伝送メディアの提示単位グループ毎の第1の提示時刻に基づいて処理し、上記第2の伝送メディアを、上記時刻情報生成ステップで生成された絶対時刻情報と、上記時刻情報調整ステップで調整された上記第2の伝送メディアの提示単位グループ毎の第2の提示時刻に基づいて処理する処理ステップをさらに有する
受信方法。
【0243】
本技術の主な特徴は、伝送メディアと共に送信される絶対時刻情報をうるう秒の発生時刻をシフト後時刻までシフトさせたものとすることで、うるう秒の発生による受信側への影響を抑制したことである(
図23、
図24参照)。また、本技術の主な特徴は、伝送メディアなどと共に、うるう秒の発生後の絶対時刻情報を参照した最初の提示単位グループを識別する識別情報を送信することで、受信側では、伝送メディアの提示単位グループ毎の提示時刻をこの識別情報に基づいて調整し、うるう秒の発生による影響を抑制可能としたことである(
図27、
図28参照)。
【符号の説明】
【0244】
10,10A・・・送受信システム
100,100A,100B・・・放送送出システム
100C・・・配信装置
151A,151B,151C・・・時計部(時刻情報生成部)
152A,152B.152C・・・映像・音声エンコーダ
153A,153B・・・送出装置
153C・・・リアルタイム配信サーバ
111・・・NTPクロック生成部
112・・・信号送出部
113・・・ビデオエンコーダ
114・・・オーディオエンコーダ
115・・・MMTシグナリングエンコード部
116・・・TLVシグナリング発生部
117-1~117-N・・・IPサービス・マルチプレクサ
118・・・TLV・マルチプレクサ
119・・・変調/送信部
200・・・受信機
201,200A・・・チューナ/復調部
202・・・デマルチプレクサ
202a・・・MMT-SIフィルタ部
202b・・・TLV-SIフィルタ部
203・・・NTPクロック再生部
204・・・システム制御部
205・・・ビデオ制御部
206・・・ビデオデコードバッファ
207・・・ビデオデコーダ
208・・・オーディオ制御部
209・・・オーディオデコードバッファ
210・・・オーディオデコーダ