(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
B41J2/17 203
(21)【出願番号】P 2023080281
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2019046385の分割
【原出願日】2019-03-13
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】依田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小室 新太郎
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-187888(JP,A)
【文献】特開2011-104920(JP,A)
【文献】特開2016-137656(JP,A)
【文献】特開2012-232520(JP,A)
【文献】特開2011-126115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、
前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、
前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、
前記ヘッド支持部に接続され、前記ヘッド支持部とは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、
前記廃液収容体に送られる廃液が通る廃液チューブと、
を備え、
前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置に配置され、
前記搬送方向に見て、前記チューブと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップ
し、
前記廃液チューブは、前記チューブの上方を前記チューブに沿って引き回される、ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、
前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、
前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、
前記ヘッド支持部に接続され、前記ヘッド支持部とは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、
を備え、
前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置に配置され、
前記搬送方向に見て、前記チューブと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップ
し、
前記搬送部が前記媒体を搬送する第1搬送経路の下方に、前記液体が噴射された後の前記媒体を前記搬送方向とは反対の方向である第2搬送方向に搬送する第2搬送経路を有し、
前記排出部は、前記媒体を前記搬送方向に途中まで排出したのち前記第2搬送方向に逆搬送することにより前記媒体を前記第2搬送経路へ送り、
前記保持部は、前記ヘッド支持部よりも前記搬送方向の下流の位置であって、且つ前記第2搬送経路の上方に位置する、ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、
前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、
前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、
前記ヘッド支持部に接続され、前記ヘッド支持部とは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、
を備え、
前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置に配置され、
前記搬送方向に見て、前記チューブと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップ
し、
前記保持部の下端は、前記チューブよりも下方に位置する、ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、
前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、
前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、
前記ヘッド支持部に接続され、前記ヘッド支持部とは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、
前記搬送方向において前記保持部よりも下流に配置された操作パネルと、
を備え、
前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置に配置され、
前記搬送方向に見て、前記チューブと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップ
し、
前記搬送方向に見て、前記操作パネルと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップし、
前記搬送方向に見て、前記操作パネルの領域に、前記保持部が収まる、ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、
前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、
前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、
前記ヘッド支持部に接続され、前記ヘッド支持部とは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、
前記搬送方向において前記保持部よりも下流に配置された操作パネルと、
を備え、
前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置に配置され、
前記搬送方向に見て、前記チューブと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップ
し、
前記搬送方向に見て、前記操作パネルの領域に、前記保持部に保持された前記廃液収容体が収まる、ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、
前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、
前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、
前記ヘッド支持部に接続され、前記ヘッド支持部とは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、
前記廃液収容体に送られる廃液が通る廃液チューブと、
前記廃液収容体に前記廃液を回収するポンプと、
前記搬送方向において前記保持部よりも下流に配置された操作パネルと、
を備え、
前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置に配置され、
前記搬送方向に見て、前記チューブと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップ
し、
前記搬送方向に見て、前記操作パネルと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップし、
前記ポンプは、前記搬送方向において、前記ヘッド支持部と前記操作パネルとの間に配置される、ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、
前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、
前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、
前記ヘッド支持部に接続され、前記ヘッド支持部とは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、
前記搬送部によって搬送される前記媒体を収容するカセットと、
を備え、
前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置に配置され、
前記搬送方向に見て、前記チューブと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップ
し、
前記保持部は、前記カセットの鉛直上方の位置に配置され、かつ、前記搬送方向と交差する幅方向において、前記カセットに収まる、ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
筐体と、
前記筐体の上部開口を覆う開閉可能なカバーと、
前記カバーに設けられ、かつ、原稿から画像を読み取る読取ユニットと、
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、
前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、
前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、
前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、
前記ヘッド支持部に接続され、前記ヘッド支持部とは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、
を備え、
前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置に配置され、
前記搬送方向に見て、前記チューブと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップ
し、
前記保持部は、前記廃液収容体の上端面が前記筐体から露出する状態で前記廃液収容体を保持し、
前記読取ユニットの底面は、前記カバーを閉めた状態において、前記保持部に保持される前記廃液収容体の上端面と対応する部分が上方へ凹む凹部を有する、ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項9】
前記搬送方向において前記保持部よりも下流に配置された操作パネルをさらに備え、
前記搬送方向に見て、前記操作パネルと、前記保持部に保持された前記廃液収容体と、がオーバーラップする、ことを特徴とする請求項1
、請求項2、請求項3、請求項7及び請求項8のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
前記搬送部によって搬送される前記媒体を収容するカセットをさらに備え、
前記保持部は、前記カセットの鉛直上方の位置に配置される、ことを特徴とする請求項1
、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6及び請求項8のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項11】
前記液体噴射ヘッド及び前記保持部を収容する筐体を備え、
前記筐体は、前記媒体が排出される排出口を有し、
前記保持部は、前記排出口よりも上方に配置される、ことを特徴とする請求項1~請求項
10のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項12】
前記排出口から排出された前記媒体を積載する排出トレイをさらに備え、
前記保持部は、前記筐体に収納された
前記排出トレイの鉛直上方の位置に配置される、ことを特徴とする請求項
11に記載の液体噴射装置。
【請求項13】
前記液体噴射ヘッド及び前記保持部を収容する筐体と、
前記筐体の上部開口を覆う開閉可能なカバーと、を備え、
前記保持部は、前記カバーを開けたときに前記廃液収容体を露出させた状態に保持する、ことを特徴とする請求項1~請求項
12のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項14】
前記ヘッド支持部は、前記媒体の搬送経路の上方の位置で前記搬送方向と交差する走査方向に往復移動可能なキャリッジであり、前記液体噴射ヘッドは、前記キャリッジと共に移動し、
前記保持部は、前記搬送方向に前記キャリッジよりも下流の位置に配置される、ことを特徴とする請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項15】
前記保持部に保持される前記廃液収容体の上端は、前記キャリッジの上端よりも上方に位置する、ことを特徴とする請求項14に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容する廃液収容体とを備える液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体噴射ヘッドを有する記録部を備えた複合機(液体噴射装置の一例)が開示されている。この複合機は、記録紙等の媒体を搬送する搬送機構を備え、搬送された媒体に対して液体噴射ヘッドからインク等の液体を吐出することで媒体に印刷する。複合機には、記録部の後方にメンテナンス装置によるメンテナンス作業時に液体噴射ヘッドのノズルから吐出されたインク廃液を吸収する廃液吸収部材が配設されている。つまり、この複合機では、筐体内の背面側に廃液吸収部材が配設されている。なお、廃液吸収部材は、廃液漏れ防止のため、容器に収容された廃液収容体として配設される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の複合機などの液体噴射装置では、筐体の後部に廃液収容体が配置される点で、廃液収容体の交換作業の作業性が悪いという課題がある。例えば、液体噴射装置が、その背面が壁となる状態で設置されている場合、廃液収容体を交換する作業スペースを確保するため、液体噴射装置の向きを変えたり液体噴射装置を移動させたりする必要があり、廃液収容体の交換時の作業性が悪い。そのため、廃液収容体の交換時の作業性が良好であることが要望されている。また、その一方で、液体噴射装置の大型化は極力避けたいという要望もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体噴射装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置であって、且つ前記排出部の上方の位置に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】読取ユニットを開けた状態にある液体噴射装置を示す平面図。
【
図3】筐体を取り外した状態にある液体噴射装置を示す斜視図。
【
図4】キャリッジユニット及びその走査領域の周辺を示す平面図。
【
図5】筐体を取り外した状態にある液体噴射装置を示す斜視図。
【
図6】キャリッジユニット及びその周辺を示すホーム位置側から見た側面図。
【
図8】キャリッジユニット及びその周辺を示す反ホーム位置側から見た側面図。
【
図10】キャリッジユニット及びその周辺を示す反ホーム位置側から見た側断面図。
【
図11】廃液ボックスを保持部材から取り外した状態にある液体噴射装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、液体噴射装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1では、液体噴射装置11が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は後述する液体噴射ヘッドの走査方向と平行な仮想軸であり、Y軸は印刷時の媒体の搬送方向と平行な仮想軸である。また、Z軸は鉛直方向Z1と平行な仮想軸である。Y軸と平行な一方向が、印刷時の媒体の搬送方向Y1である。なお、Y軸において筐体12における後述する操作パネルが配置される側の面を前面、前面とは反対側の面を背面ともいう。
【0008】
図1に示す液体噴射装置11は、シリアル印刷方式のインクジェットプリンターである。
図1に示すように、液体噴射装置11は、直方体状の筐体12と、筐体12の上部の開口12Aを覆う開閉可能なカバー13とを備える。カバー13は、筐体12の開口12A(
図2参照)を覆う閉状態と、筐体12の開口12Aを開放する開状態とにその背面側に位置する不図示の回動軸を中心に開閉可能に設けられている。液体噴射装置11は、一例として複合機であり、筐体12の大部分を占める印刷ユニット20と、筐体12の上端部及びカバー13とにより構成される読取ユニット30とを有する。
【0009】
筐体12の正面下部に設けられた凹部14には、用紙等の記録媒体M(以下、単に「媒体M」ともいう。)を収納するカセット21が着脱可能に挿着されている。カセット21には、複数の媒体Mが収容される。各カセット21の正面中央部には、ユーザーが指を引っ掛けて着脱できる被操作部21Aが設けられている。なお、
図1に示す例では、カセット21は鉛直方向Z1に並んで2段設けられている。カセット21の数は、1つでもよいし、3つ以上の複数でもよい。
【0010】
筐体12におけるカセット21の上方位置には、印刷された媒体Mが排出される排出口15が開口している。排出口15とカセット21の間には伸縮式の多段に構成された排出トレイ22が設けられている。排出トレイ22は、搬送方向Y1の下流へ伸長させた状態で使用され、排出口15から排出された印刷後の媒体Mは排出トレイ22上に積載される。また、筐体12には排出口15の上方位置に操作パネル24が設けられている。操作パネル24は、ユーザーが液体噴射装置11に指示を与える際に操作される複数のスイッチよりなる操作部25と、メニューや各種のメッセージ等が表示される表示部26とを備える。操作部25には、電源スイッチ25A及び選択スイッチ等が含まれる。ここで、表示部26をタッチパネルにより構成してもよく、その場合、表示部26の操作機能が操作部25の一部を兼ねてもよい。なお、図面では、X軸と平行な一方向を第1走査方向X1、第1走査方向X1と反対の方向を第2走査方向X2とする。
【0011】
また、
図1に示すように、カバー13は、本例では読取ユニット30により構成される。読取ユニット30は原稿台カバー31を備える。原稿台カバー31の上部には、複数枚の原稿を載置可能な原稿トレイ33を備えた自動原稿送り装置32(Auto Document Feeder)が装備されている。読取ユニット30は、エッジガイド33Aにより幅方向に位置決めされた原稿Dを原稿トレイ33から1枚ずつ給送して読み取るシートフィーダー型のスキャナー機能と、原稿台カバー31を開けると露出する原稿台に載置された原稿Dを読取るフラットベッド型のスキャナー機能とを備える。シートフィーダー型のスキャナー機能で一枚ずつ読取ユニット30により読み取られた原稿Dは原稿台カバー31上の排出トレイ31Aに積載される。
【0012】
このような複合機である液体噴射装置11は、インクジェット方式で媒体Mに印刷する印刷機能の他に、読取ユニット30が原稿Dを読み取るスキャナー機能と、読取ユニット30が読み取った原稿Dの画像を媒体Mに印刷するコピー印刷機能とを備える。
【0013】
図1に示すように、筐体12の前部一端部には、液体供給ユニット27が設けられている。液体供給ユニット27内には、インク等の液体をそれぞれ収容する複数の液体収容容器28(
図2も参照)が収容されている。複数の液体収容容器28は、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの色の異なるインクを収容する。液体収容容器28が収容する液体は、液体噴射装置11が媒体Mに噴射して印刷するために用いられる。液体供給ユニット27は、前面に液体収容容器28ごとの液量を視認可能な複数の窓部27Aを有している。液体収容容器28は、例えばインクタンクである。
【0014】
液体供給ユニット27は、上部に開閉可能な蓋部27Bを有している。例えば、窓部27Aを見て液量が少なくなると、ユーザーは蓋部27Bを開けて、液体収容容器28の供給口へ例えばインクボトル(いずれも図示略)からインク等の液体を注入することで補給する。なお、液体収容容器28は、液体を注入可能な注入式であることに限定されず、交換式のインクカートリッジ又はインクパックでもよい。
【0015】
筐体12内には、X軸に沿って往復移動可能なキャリッジユニット50が設けられている。キャリッジユニット50は、X軸に沿って往復移動可能に支持されたキャリッジ51と、キャリッジ51に搭載され、媒体Mに液体を噴射する液体噴射ヘッド52とを備える。本実施形態のキャリッジ51は、液体噴射ヘッド52を支持するヘッド支持部の一例を構成する。キャリッジユニット50は、キャリッジ51とは別の位置に配置された液体収容容器28から液体の供給を受ける、いわゆるオフキャリッジタイプである。また、筐体12内には、操作パネル24の裏面に相当する位置に廃液ユニット70が配置されている。廃液ユニット70は、液体噴射ヘッド52から印刷以外の目的で噴射又は排出されたインク等の液体を廃液として回収する。廃液ユニット70は、廃液収容体の一例として着脱式の廃液ボックス71を備える。液体噴射装置11は、印刷ユニット20及び読取ユニット30を制御する
図1に示す制御部100を備える。なお、本実施形態では、制御部100は、筐体12内のX軸に沿う方向において、
図1に示すキャリッジユニット50の待機位置寄りの端部位置に配置されているが、待機位置と反対側の端部位置に配置されていてもよい。
【0016】
図2、
図3は、読取ユニット30を開けた状態の液体噴射装置11を示す。
図3では、筐体12を取り外した状態の液体噴射装置11の内部構造を示す。
図2に示すように、読取ユニット30を開けた状態では、キャリッジユニット50、キャリッジユニット50の走査領域SA、廃液ユニット70などが露出する。また、走査領域SAの空間を通じてその奥方の底部に支持台16が露出する。筐体12内において操作パネル24の裏面と対向する位置にはX軸に沿って延びる長尺状のフロント部材23が配置されている。廃液ユニット70は、着脱式の廃液ボックス71を有する。廃液ボックス71は、液体噴射ヘッド52から排出された液体を廃液として収容可能である。廃液ボックス71は、フロント部材23の開口23Aからその上端面71Aが露出する状態で装着されている。フロント部材23の上面23Bは、カバー13を閉じた際に読取ユニット30を受ける受け面となる。
【0017】
図2、
図3に示すように、筐体12内における幅中央領域は、カセット21から供給された媒体Mが搬送される搬送領域FAとなっている。液体噴射装置11は、カセット21からの媒体Mの給送と、給送された媒体Mの搬送方向Y1への搬送と、印刷後の媒体Mの排出とを担う搬送機構40を備える。搬送機構40は、液体噴射装置11の後部にカセット21から媒体Mを1枚ずつ給送する給送部41と、媒体Mを搬送方向Y1に搬送する搬送部42と、液体が噴射された印刷後の媒体Mを排出する排出部43とを有する。搬送部42は、給送部41によって給送された媒体Mを、走査中の液体噴射ヘッド52と対向する印刷領域PAよりも搬送方向Y1の上流位置で搬送する。排出部43は、走査中の液体噴射ヘッド52と対向する印刷領域よりも搬送方向Y1の下流位置で印刷後の媒体Mを排出する。
【0018】
給送部41は、各カセット21に収容された媒体Mのうち最上位の一枚を送り出すピックアップローラー41Aと、送り出された媒体Mを外周に沿って搬送させることで反転させる中間ローラー44(いずれも
図7参照)とを有する。給送部41は、ピックアップローラー41Aの回転によりカセット21から後方へ送り出された媒体Mを、中間ローラー44の外周に沿って反転させたのち搬送方向Y1に搬送する。搬送領域FAにはキャリッジユニット50が印刷を施す対象の媒体Mを支持する前述の支持台16が配置されている。搬送部42は搬送経路に沿って媒体Mを搬送方向Y1に搬送する搬送ローラー対45を備える。
【0019】
図2に示すように、キャリッジユニット50は、第1ガイド部材17と第2ガイド部材18とにそれぞれ案内されることでX軸に沿って移動可能に支持されている。キャリッジユニット50は、各ガイド部材17,18に沿って走査方向X1,X2に往復移動する。
【0020】
図3に示すように、液体噴射装置11におけるキャリッジユニット50の移動経路の一端部後方には、キャリッジユニット50の駆動源となるキャリッジモーター53が配設されている。キャリッジモーター53の駆動力は無端状のタイミングベルト54を介してキャリッジユニット50に伝達される。タイミングベルト54は不図示の一対のプーリーに巻き掛けられてX軸に沿って延びるように第1ガイド部材17に沿って張設されている。一方のプーリーがキャリッジモーター53の出力軸に連結されている。キャリッジモーター53が正転駆動されると、キャリッジユニット50が第1走査方向X1に往動し、キャリッジモーター53が逆転駆動されると、キャリッジユニット50が第2走査方向X2に復動する。キャリッジ51は、搬送方向Y1と交差する走査方向X1,X2に往復移動可能である。
【0021】
図2、
図3では、キャリッジユニット50は、媒体Mに印刷を行わない非印刷時に待機する待機位置であるホーム位置HP(ホームポジション)に位置している。
図2に示すように、本例では、キャリッジユニット50が、液体供給ユニット27の配置位置と反対側の端部にあるときの第2走査方向X2の端部が、ホーム位置HPとなる。X軸においてホーム位置HPとは反対側となる端部の位置が、キャリッジ51の反ホーム位置AH(
図7も参照)である。キャリッジ51は、媒体Mに印刷する場合、ホーム位置HPと反ホーム位置AHとの間の移動可能範囲内のうち媒体Mの幅に応じた印刷領域で往復移動する。
【0022】
図2、
図3に示すように、液体収容容器28は、液体噴射ヘッド52(
図3参照)に供給する液体を収容可能であり、キャリッジ51とは別の位置に配置される。本例では、キャリッジユニット50に液体を供給する液体収容容器28が、キャリッジユニット50のホーム位置HPとは反対側の反ホーム位置AH側の端部に配置されている。液体噴射装置11は、キャリッジ51に接続され、液体収容容器28から液体噴射ヘッド52へ供給される液体が通るチューブ61を備える。チューブ61は、例えば可撓性を有する合成樹脂材料よりなる。
【0023】
液体供給ユニット27は液体収容容器28が挿着される供給管(図示略)を有する装着部29を有する。装着部29に一端部が接続されたチューブ61は、キャリッジユニット50の移動経路よりも搬送方向Y1の下流域においてX軸に沿って引き回されてその他端部がキャリッジユニット50に接続されている。こうして複数の液体収容容器28とキャリッジ51は、それぞれと対応する複数のチューブ61を通じて接続されている。複数のチューブ61は、鉛直方向Z1に一列に並べた状態に保持されたチューブ束60として引き回されている。なお、装着部29は、液体収容容器28から液体をキャリッジユニット50へ供給するポンプを備えてもよい。
【0024】
ここで、キャリッジユニット50が往復動するときにホーム位置HPから反ホーム位置AHへ向かう方向を第1走査方向X1、反ホーム位置AHからホーム位置HPへ向かう方向を第2走査方向X2とする。チューブ61は、液体収容容器28が装着される装着部29から第2走査方向X2に向かって延びたのちに媒体Mの搬送方向Y1の上流へ向かう方向である第2搬送方向Y2への変位を伴って湾曲する湾曲部62を形成して第1走査方向X1に折り返してキャリッジユニット50に接続される。チューブ61は、装着部29から所定の経路で延びたのち筐体12の前部内面に沿ってX軸に沿って真っ直ぐ引き回されたのちに、その全長の途中の部分で搬送方向Y1の下流側から上流側へ向かう変位を伴って湾曲して折り返すU字状の湾曲部62を有する。このようにチューブ61は、搬送方向Y1に変位を伴って水平に湾曲する湾曲部62を形成する。
【0025】
チューブ61内を液体がチューブ61の経路に沿って流れる方向を液体供給方向とする。チューブ61は、湾曲部62よりも液体供給方向の上流部分がX軸に沿って略水平に延びる第1直状部61Aと、湾曲部62よりも液体供給方向の下流部分がX軸に沿って略水平に延びる第2直状部61Bとを有する。第1直状部61Aと第2直状部61Bとのそれぞれの長さは、キャリッジユニット50の移動に伴って湾曲部62の形成位置が変化することで変化する。チューブ束60を構成する複数本のチューブ61は鉛直方向Z1に重なるように一列に配列されている。
【0026】
図4に示すように、チューブ61は、キャリッジ51が移動しても可動しない固定部61Cと、キャリッジ51の移動に伴って移動する湾曲部62を形成する可動部61Dと、を有する。チューブ61の第1直状部61Aのうちキャリッジユニット50の移動により変位しない固定部61Cは、廃液ボックス71を保持する保持部材72に固定されている。保持部材72は、廃液ボックス71を保持する保持部73を有する。チューブ61の固定部61Cは、保持部73と操作パネル24との間をX軸に沿って通る経路で引き回されている。
【0027】
チューブ束60は、その長手方向において固定部61Cよりも液体供給方向の下流部分を形成する変位可能な可動部61Dが、可撓性を有するフィルム又はシートよりなる支持部材63により支持されることで、自重による垂れ下りが抑制される。支持部材63は、可動部61Dにおける湾曲部62の外周面となる側の面を覆うように取り付けられている。支持部材63は、チューブ束60の可動部61Dに対してその長手方向に沿って間隔をおいて取着された複数の取着部材64を介して取り付けられている。
【0028】
本実施形態では、チューブ61の他端部は、搬送方向Y1においてキャリッジユニット50下流端部となる前端部に接続されている。このため、チューブ61の第1直状部61Aとキャリッジユニット50とは、搬送方向Y1において湾曲部62の曲率半径の約1.5倍~2倍の範囲内の所定距離を隔てて位置する。これにより、キャリッジユニット50の移動経路よりも搬送方向Y1の下流の領域には、湾曲部62がX軸に沿って移動できる移動領域TAが確保される。
【0029】
図4に示すキャリッジユニット50は、液体収容容器28からチューブ61を通じて供給される液体を、X軸に沿って往復動する途中で液体噴射ヘッド52から媒体Mに向かって噴射することで媒体Mに画像又は文書を印刷する。詳しくは、キャリッジユニット50がX軸に沿って移動する過程で液体噴射ヘッド52が液体を吐出して媒体Mに1走査分の印刷を施す記録動作と、搬送部42及び排出部43が媒体Mを次の印刷位置まで搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに印刷がなされる。印刷済みの媒体Mは、排出部43によって排出口15から排出され、排出トレイ22(
図1参照)上に積載される。
【0030】
また、
図3、
図5に示すように、液体噴射装置11は、キャリッジ51が移動経路の一端部であるメンテナンス位置で液体噴射ヘッド52(
図6参照)に対してメンテナンスを行うメンテナンス装置81を備える。本例のメンテナンス装置81は、ホーム位置HPをメンテナンス位置とする。メンテナンス装置81は、ホーム位置HPに位置するときのキャリッジユニット50の直下に配置されている。メンテナンス装置81は、液体噴射ヘッド52のノズル55(
図6参照)から印刷とは関係のないインク等の液体を強制的に排出することでノズル55をクリーニングにする。なお、本実施形態では、メンテナンス装置81の配置位置をホーム位置HPとしているが、ホーム位置HPに限らず、ホーム位置HPからずれた位置、または反ホーム位置AHあるいは反ホーム位置AHからずれた位置にあってもよい。
【0031】
印刷中に液体が吐出されないノズル55では、ノズル55内のインクが増粘した増粘インクがノズル目詰まりを引き起こす。また、液体噴射ヘッド52のノズル開口面52A(
図6参照)に付着した紙粉等の異物がノズル目詰まりを引き起こす場合がある。また、ノズル55内のインクに気泡が存在すると、液体噴射ヘッド52は液体の吐出ミスを招く。そのため、前回のクリーニングから所定時間が経過した場合、ホーム位置HPに位置する状態の液体噴射ヘッド52に対してメンテナンス装置81を駆動してノズル55のクリーニングを実施する。また、ノズル不良検査装置(図示略)を備えた液体噴射装置11では、ノズル不良を検出したときにメンテナンス装置81がノズル55のクリーニングを実施する。クリーニングによりノズル目詰まり等が予防又は解消される。
【0032】
図4に示すように、保持部73は、筐体12内においてキャリッジ51の移動方向にメンテナンス位置とは反対側となる片側に寄って位置する。つまり、保持部73は、筐体12の幅に沿う方向においてメンテナンス位置であるホーム位置HPとは反対側となる片側に寄っている。また、保持部73は、カバー13を開けたときに廃液ボックス71を露出させた状態に保持する。
【0033】
また、
図3、
図5に示すように、液体噴射装置11は、支持台16に対する液体噴射ヘッド52の高さ位置を変更して液体噴射ヘッド52と媒体Mとのギャップを調整するギャップ調整機構82を備える。ギャップ調整機構82は、キャリッジ51のうちガイド部材18に支持されている部分に対して液体噴射ヘッド52を支持する部分をZ軸に沿って移動させることで、液体噴射ヘッド52と支持台16との間のギャップを調整する。ギャップ調整機構82が駆動されることで、液体噴射ヘッド52と媒体Mとのギャップが、媒体Mの種類に応じた適切な値に調整される。なお、ギャップ調整機構82は、軸状のガイド部材17を偏心回動させることで液体噴射ヘッド52と支持台16との間のギャップを調整する構成でもよい。
【0034】
また、
図5に示すように、給送部41の一部として、複数段のカセット21から媒体Mを給送する給送機構87を備える。給送機構87は、ピックアップローラー41Aを駆動させる動力源である給送モーター88及びその動力をピックアップローラー41Aに伝達する動力伝達機構等を備える。本実施形態では、保持部73及び廃液ボックス71を筐体12の前部に配置して筐体12内の後方にできた空きスペースに、給送機構87を配置している。
【0035】
また、
図5に示すように、筐体12の背面部には、給送部41の給送経路で発生した媒体Mのジャムを解消する作業を行うときに開ける開閉式のメンテナンスカバー12Bと、ユーザーが手差しにより媒体Mを給送するための手差し式の給送機構89とが設けられている。
【0036】
図5に示すように、廃液ユニット70は、液体噴射ヘッド52から吐出又は排出され、印刷に使用されない液体を廃液として収容する前述の廃液ボックス71を備える。ここで、廃液には、液体噴射ヘッド52がノズル55内の液体をリフレッシュするために印刷とは関係のない液体をノズル55から噴射するフラッシング時に噴射された液体、及びクリーニング時に液体噴射ヘッド52のノズル55(
図6参照)から強制的に排出された液体が含まれる。廃液ユニット70は、廃液ボックス71を保持する前述の保持部73を備える。保持部73は保持部材72の一部として一体形成されている。
【0037】
図4に示すように、保持部73は、搬送方向Y1において液体供給用のチューブ61のうちの固定部61Cとキャリッジ51の走査領域SAとの間に配置されている。詳しくは、保持部73は、キャリッジユニット50が反ホーム位置AHにあるとき、搬送方向Y1において液体供給用のチューブ61のうちの第1直状部61Aと第2直状部61Bとの間に配置されている。保持部73に保持された廃液ボックス71は、筐体12内にキャリッジ51の移動方向において、ホーム位置HPに設定されたメンテナンス位置とは反対側となる片側に寄って位置する。換言すると、廃液ボックス71は、筐体12内のX軸に沿う方向においてホーム位置HPと反対側の位置、つまり、反ホーム位置AH寄りの位置に配置される。また、保持部73は、筐体12内にキャリッジ51の移動方向において液体収容容器28が配置される側と同じ側で片側に寄って位置する。保持部73は、筐体12内のX軸に沿う方向において液体収容容器28が位置する側と同じ側に位置する。
【0038】
図4に示すように、キャリッジ51がホーム位置HPにあるときにチューブ61の湾曲部62は、キャリッジ51の移動経路のうち
図2に実線で示す端部に位置する。キャリッジ51が反ホーム位置AHにあるとき、湾曲部62はキャリッジ51の移動経路のうち
図2に二点鎖線で示す中央付近に位置する。つまり、キャリッジ51がホーム位置HPと反ホーム位置AHとの間を往復移動するとき、湾曲部62は
図2に実線で示す端部位置と同図に二点鎖線で示す中央位置との間を移動する。筐体12内において、湾曲部62は、搬送方向Y1にチューブ束60の第1直状部61Aとキャリッジ51の走査領域SAとの間にできる空間を、移動領域TAの範囲内で移動する。そして、この空間のうち移動領域TA以外の空間部分は、湾曲部62の移動に使用されないデッドスペースDSとなる。
【0039】
図4に示すように、保持部材72は、廃液ボックス71の配置領域に相当する部分に、上方が開放された四角箱状の保持部73を有する。保持部73は、搬送方向Y1において液体供給用のチューブ61の固定部61Cとキャリッジユニット50の走査領域SAとの間に位置する。保持部73は、チューブ61の移動領域TA外に配置される。詳しくは、チューブ61の固定部61Cが位置する部分と、キャリッジ51の走査領域SAとの間の空間のうち、チューブ61の移動領域TA外の空間は、キャリッジユニット50の移動過程でチューブ61のどの部分も位置することがないデッドスペースDSとなる。本実施形態では、このデッドスペースDSを利用して、保持部73及び保持部73に保持される廃液ボックス71を配置する。
【0040】
図6に示すように、メンテナンス装置81は、キャリッジユニット50がホーム位置HPにあるときに液体噴射ヘッド52と対向する位置にキャップ83を備える。キャップ83は、Z軸に沿って昇降可能に構成されている。キャップ83は、
図6に実線で示すように液体噴射ヘッド52のノズル55が開口するノズル開口面52Aに接触して、ノズル開口面52Aとキャップ83との間に閉空間を形成するキャッピング位置と、液体噴射ヘッド52のノズル開口面52Aから離間する退避位置との間を移動する。メンテナンス装置81は、吸引ポンプ84と、吸引ポンプ84を駆動する電動モーター85とを備える。キャップ83の下部に一端部が接続された状態で延びる廃液チューブ86は、吸引ポンプ84を経由して筐体12内を所定経路で引き回され、その他端部が保持部73に固定された供給機構91に接続されている。保持部73に保持された廃液ボックス71は、供給機構91を介して廃液チューブ86と接続される。
【0041】
図6に示すキャッピング状態の下で、電動モーター85の動力で吸引ポンプ84が駆動されることで、キャップ83内の空間から空気が吸引排出され、キャップ83とノズル開口面52Aとの間の閉空間が負圧となることで、液体噴射ヘッド52のノズル55から液体が強制的に吸引排出される。ノズル55から液体を強制的に排出するクリーニングによりノズル55内の増粘インクや気泡がインクと共にキャップ83内へ吸引排出される。キャップ内へ排出された液体はメンテナンス装置81から廃液として廃液チューブ86を通って供給機構91を介して廃液ボックス71に回収される。
【0042】
また、印刷中は、定期的にキャリッジユニット50がホーム位置HPに移動して液体噴射ヘッド52の全ノズル55から印刷とは関係のない液滴を噴射することで、ノズル55内の液体をリフレッシュするフラッシングが行われる。フラッシングによりキャップ83内に所定量以上の液体が溜まると、吸引ポンプ84が駆動されてキャップ83内の廃液が廃液ボックス71に回収される。
【0043】
図7に示すように、搬送機構40は、カセット21の媒体Mを給送する側の端部近傍にピックアップローラー41Aを含む給送部41を備える。また、搬送機構40は、給送部41から給送された媒体Mを受け取って搬送する中間ローラー44を備える。中間ローラー44の外周の一部を経由して搬送された媒体Mは搬送部42に受け取られる。
【0044】
図7、
図8に示すように、搬送部42は、液体噴射ヘッド52が液体を噴射する対象となる媒体Mを搬送する。搬送部42は、搬送方向Y1において液体噴射ヘッド52の走査領域よりも上流の位置で媒体Mを搬送する。搬送機構40は、媒体Mを印刷時に第1搬送方向Y1に搬送する第1搬送経路K1と、両面印刷時に第1面の印刷を終えた媒体Mを第1搬送方向Y1と反対の方向である第2搬送方向Y2に搬送する第2搬送経路K2とを備える。搬送機構40は、第1搬送経路K1の下方に液体が噴射された印刷後の媒体Mを搬送方向Y1とは反対の方向である第2搬送方向Y2に搬送する第2搬送経路K2を有する。保持部73は、キャリッジ51の走査領域SAよりも下流であって、且つ第2搬送経路K2の上方に位置する。
【0045】
図7、
図8に示すように、排出部43は、搬送方向Y1の異なる位置に配置された2つのローラー対46,47を備える。詳しくは、排出部43は、第1搬送経路K1に沿って第1搬送方向Y1の上流から下流へ向かって順に配置された、第1排出ローラー対46及び第2排出ローラー対47を有する。すなわち、排出部43は、搬送方向Y1において液体噴射ヘッド52よりも下流位置に配置された第1排出ローラー対46と、第1排出ローラー対46よりも搬送方向Y1の下流位置に配置された第2排出ローラー対47とを有する。保持部73は、2つのローラー対46,47のうち搬送方向Y1の下流側に位置する一方のローラー対47の上方位置に配置されている。
【0046】
図8に示すように、搬送ローラー対45は、搬送方向Y1において液体噴射ヘッド52の走査領域よりも上流位置に配置されている。第1排出ローラー対46と第2排出ローラー対47は、液体噴射ヘッド52の走査領域よりも搬送方向Y1の下流の位置に配置されている。第1排出ローラー対46よりも第2排出ローラー対47は搬送方向Y1の下流に位置する。各ローラー対45~47は、1つ又は複数の搬送モーター(図示略)の動力で駆動される。2つの排出ローラー対46,47は、搬送ローラー対45と共に駆動され、印刷中の媒体Mの搬送及び印刷を終えた媒体Mの排出を行う。また、第1搬送経路K1に沿う位置には、媒体Mを第1搬送経路K1に沿ってガイドする1つ以上の浮きローラー48が設けられている。チューブ束60は、第2排出ローラー対47の上方に湾曲部62が位置する状態で引き回されている。
【0047】
また、
図8に示すように、第1搬送経路K1と第2搬送経路K2との接続箇所が、第1排出ローラー対46と第2排出ローラー対47との間に設けられている。詳しくは、第1搬送経路K1と第2搬送経路K2との接続箇所は、第1搬送方向Y1において第2排出ローラー対47のニップ位置よりも少し上流に位置する。この接続箇所は、第2搬送経路K2へ誘導される媒体Mの入口となる。両面印刷を行うときに第1面に印刷された媒体Mは、排出ローラー対46,47により第1搬送方向Y1に途中まで排出され、その媒体Mの後端が第2搬送経路K2の入口を過ぎると、第2排出ローラー対47の回転を逆転させ、媒体Mが第2搬送方向Y2へ逆搬送されることで、スイッチバック搬送が行われる。スイッチバック搬送の結果、媒体Mは第2搬送経路K2へ誘導され、第2搬送経路K2に沿って第2搬送方向Y2に搬送される。第2搬送経路K2に沿う位置には反転ローラー対49が設けられている。反転ローラー対49により媒体Mは第2搬送経路K2を通って上流側へ搬送されたのち、中間ローラー44(
図7参照)の外周を経由して反転される。そして、反転された媒体Mは印刷済みの第1面と反対の面である第2面を、液体噴射ヘッド52と対向可能な向きで印刷位置へ向かって再給送される。
【0048】
図8に示すように、本実施形態の液体噴射装置11では、液体噴射ヘッド52よりも搬送方向Y1の下流に、第1排出ローラー対46と第2排出ローラー対47との二対を配置する。このため、排出ローラー対が1つのみ配置される構成に比べ、キャリッジユニット50の走査領域SAよりも下流域に、搬送方向Y1に広い空間が確保されている。そして、この広い空間をチューブ61の引き回しスペースに使用する。そして、第2排出ローラー対47の上方に湾曲部62が位置するようにチューブ61が引き回されている。チューブ61の液体供給方向の下流端部である先端部を、キャリッジ51の搬送方向Y1の下流端部に接続している。複数本のチューブ61の他端部は、キャリッジ51に接続されたのちキャリッジ51の上部に搭載された複数の液体貯留体56のそれぞれに連通している。そして、複数のチューブ61を通じて送られた液体は複数の液体貯留体56に一時貯留されてから液体噴射ヘッド52へ供給され、ノズル55から噴射される。
【0049】
また、
図7に示すように、本実施形態の液体噴射装置11では、第2排出ローラー対47の上方に位置する空間のうち、湾曲部62の移動領域TAとして使用されないデッドスペースDS(
図4参照)を保持部73の配置スペースとして利用している。そして、
図7、
図9に示すように、保持部73は、搬送方向Y1にキャリッジ51よりも下流の位置であって、且つ排出部43の上方に位置する。本例では、第2排出ローラー対47の上方に保持部73が位置する。保持部73は、搬送機構40が媒体Mを搬送する搬送経路K1,K2(
図8参照)より上方(
図7参照)で且つキャリッジ51の走査領域SAよりも搬送方向Y1の下流(
図4参照)に配置される。こうして、第2排出ローラー対47の上方に、保持部73と廃液ボックス71とを含む廃液ユニット70が配置される。保持部73は、液体噴射ヘッド52等と共に筐体12に収容される。また、保持部73は、筐体12に媒体Mを排出するために形成された排出口15よりも上方に配置される。
【0050】
ここで、
図8に示すように、筐体12内には、第1搬送経路K1に沿って位置する中間ローラー44,ローラー対45~47及び媒体ガイド部材等により第1搬送路R1が構成される。第1搬送路R1に沿って媒体Mが搬送されるときの経路が第1搬送経路K1である。第1搬送路R1は、中間ローラー44及びローラー対45~47のある範囲の搬送路であり、第1搬送路R1の搬送方向Y1の下流端に第2排出ローラー対が位置する。また、筐体12内には、第2搬送経路K2に沿って位置するローラー対47,49及び媒体Mガイド部材等により第2搬送路R2が構成される。第2搬送路R2に沿って媒体Mが搬送されるときの経路が第2搬送経路K2である。第2搬送路R2は、ローラー対47,49のある範囲の搬送路であり、第2搬送路R2の搬送方向Y1の下流端に第2排出ローラー対が位置する。そして、第1搬送路R1と第2搬送路R2は、第2排出ローラー対のニップ位置で接続される。保持部73が第2搬送経路K2の上方に位置するとは、第2搬送路R2の上方に位置すると同義である。保持部73が第1搬送経路K1の上方に位置する領域は、保持部73が第2搬送路R2の上方に位置する領域よりも、搬送方向Y1の下流域により広い。
【0051】
次に、
図4を参照して、キャリッジユニット50の移動過程におけるチューブ61の変位の様子を説明する。
図4に示すように、チューブ61は、キャリッジユニット50が第1走査方向X1又は第2走査方向X2に移動するのに伴い、湾曲部62がキャリッジユニット50の移動量の約半分の移動量でキャリッジユニット50と同じ方向に移動する。
【0052】
図4に示すように、キャリッジユニット50は、媒体Mに液体を噴射しないときに移動経路上の一端部であるホーム位置HPで待機し、ホーム位置HPにあるときに湾曲部62に最も近づく。また、
図4に示すように、キャリッジユニット50は、ホーム位置HPから離れる第1走査方向X1へ移動し、キャリッジ51が同図に二点鎖線で示す反ホーム位置AHにあるときに、湾曲部62から最も遠ざかる。
【0053】
チューブ61の固定部61Cとキャリッジユニット50の走査領域SAとの間に、廃液ボックス71が配置されている。キャリッジユニット50の移動過程において、キャリッジユニット50がホーム位置HPにあるときの
図4に実線で示す位置に湾曲部62が位置するときも、キャリッジユニット50が反ホーム位置AHにあるときの
図4に二点鎖線で示す筐体12内の幅中央付近に湾曲部62が位置するときも、湾曲部62は、保持部73と接触しない。
【0054】
次に、
図6~
図12を参照して、保持部材72及び廃液ボックス71について説明する。
図11、
図12に示すように、保持部材72は、底板部74と、底板部74に対してその搬送方向Y1における下流端から垂立する側板部75と、底板部74上の一部に側板部と搬送方向Y1に所定の隙間を隔てて配置された前述の箱状の保持部73とを有する。保持部73は、底板部74上においてX軸に沿う方向の一方側に寄せた位置に配置されている。保持部73と側板部75との間は、チューブ束60を構成する複数のチューブ61が鉛直方向Z1に並ぶ縦向きの状態で保持される保持スペースとなっている。また、側板部75における保持部73と反対側の面は、操作パネル24が回動可能な状態で組み付けられる被組付面となっている。
【0055】
次に、
図6、
図7、
図9、
図10を参照して、保持部材72及び廃液ボックス71についてチューブ束60との高さの位置関係について説明する。
図6、
図7、
図9、
図10に示すように、保持部73の下端は、チューブ61よりも下方に位置する。すなわち、廃液ボックス71を保持する保持部73の下端である底面73Bは、チューブ束60の下端よりも鉛直方向Z1の下方に位置する。また、保持部73に保持された廃液ボックス71の上端面71Aは、フロント部材23の開口23Aから露出し、上面23Bとほぼ同じ高さに位置する。廃液ボックス71の上端面71Aは、チューブ束60の上端よりも鉛直方向Z1の上方に位置する。また、廃液ボックス71の上端面71Aは、チューブ束60の上端よりも上方に位置するキャリッジユニット50の上端面50Aよりも、さらに上方に位置する。このため、筐体12内に収容できる廃液ボックス71の高さ寸法を長く確保できる。
【0056】
さらに、
図9に示すように、保持部73に保持された廃液ボックス71の上端面71Aは平坦面となっており、フロント部材23の上面23Bとほぼ面一に露出する。読取ユニット30のカバー13を閉じたときに、フロント部材23の上面23Bが、読取ユニット30の底面30Aを受ける受け面となる。読取ユニット30の底面30Aは、カバー13を閉めた状態において廃液ボックス71の露出面及び上面23Bと対応する部分が上方へ凹む段差部30Bを有する。その段差部30Bの高さ分だけで、筐体12内に収容できる廃液ボックス71の高さ寸法を長く確保できる。これは、廃液ボックス71の廃液収容容積の増加に繋がる。なお、カバー13の底面30Aに段差部30Bに替え、凹部を設けてもよい。
【0057】
図11、
図12に示すように、保持部73の一端部には供給機構91が取り付けられている。供給機構91は、廃液チューブ86(
図11参照)の他端部に設けられた接続部の一例としての供給針92を備える。供給針92は、底板部74の上面からチューブ束60の高さ寸法よりも長い所定距離を上方に隔てた高さ位置に配置されている。このように保持部73は、メンテナンス装置81から延びる廃液チューブ86の一端に設けられた供給針92を有する。つまり、保持部73は、廃液ボックス71を廃液チューブ86に接続する供給針92を有する。また、保持部73の内側には供給機構91と同じ側の一端部に第1係止機構93が設けられている。
【0058】
図11、
図12に示すように、保持部73は、廃液ボックス71をキャリッジ51の移動方向である走査方向X1,X2にスライドさせることで、供給針92に対する廃液ボックス71の接続と取外しとが可能に、廃液ボックス71を保持部73に対して着脱する着脱機構90を備える。保持部73の底面には、廃液ボックス71の底部の不図示のガイド部と係合して廃液ボックス71をX軸に沿ってスライド可能に案内するガイド溝76が形成されている。
【0059】
保持部73と側板部75との対向する両面には、X軸に沿って複数対のリブ77が設けられている。複数のチューブ61の固定部61Cは、複数箇所でリブ77により挟持されることで、保持部73と側板部75との間を通る経路で保持部材72に保持されているまた、チューブ束60は、底板部74の少し上方の高さに引き回されている。チューブ束60が垂れた場合は、チューブ束60の下端が底板部74に接触することで、それ以上の垂れ下がりが抑制される。供給機構91を構成する供給針92から引き出された廃液チューブ86は、チューブ束60の可動部61Dの上方位置をチューブ61に沿って引き回されている。
【0060】
図10に示すように、液体噴射装置11は、液体収容容器28から液体を供給するチューブ61と、廃液チューブ86とを分ける隔壁部78を有する。詳しくは、
図10、
図12に示すように、側板部75には、保持部材72の長手方向において保持部73が位置する側と反対側となる一端部に、チューブ束60と廃液チューブ86とを上下に区画する隔壁部78が突設されている。隔壁部78は、保持部73に組み付けられた供給針92とおおよそ同じ高さに位置する。廃液チューブ86は隔壁部78の上に載るように引き回されることで、チューブ束60の上方に位置する。
【0061】
廃液ボックス71は、直方体形状を有し、その上部一端には板状の手掛け部71Bが上端面71Aと平行に延出している。廃液ボックス71は、保持部73側の供給針92と接続される被接続部の一例としての供給口部95を有する。詳しくは、廃液ボックス71の長手方向において手掛け部71Bと反対側となる一方の端面には、供給針92が穿刺される供給口部95が設けられている。廃液ボックス71は、供給口部95に供給針92が穿刺されることで廃液チューブ86と接続される。このため、廃液チューブ86を通じて廃液ボックス71に送られた廃液は接続箇所で漏れることがない。また、廃液ボックス71の端面下部には第2係止機構96が設けられている。廃液ボックス71をX軸に沿ってスライドさせると、第1係止機構93と第2係止機構96とが係止することで、廃液ボックス71は供給針92が供給口部95に穿刺された接続位置に位置規制される。このため、液体噴射装置11の振動などにより廃液ボックス71と供給針92との接続が外れることはない。
【0062】
図11、
図12に示すように、本実施形態では、着脱機構90は、第1係止機構93、第2係止機構96及びガイド溝76等により構成される。着脱機構90は、ユーザーが廃液ボックス71を、キャリッジ51の移動方向において湾曲部62が位置する側と反対側の方向である取外し方向へスライドさせることで取り外す。ユーザーが廃液ボックス71を取外し方向へ水平に引くと、第1係止機構93と第2係止機構96との係止が外れ、廃液ボックス71はガイド溝76に沿って供給針92と供給口部95とが外れるまでは水平に案内される。
【0063】
また、第1係止機構93には不図示の第1端子が設けられ、第2係止機構96には不図示の第2端子が設けられている。そして、廃液ボックス71が保持部73にセットされて第1係止機構93と第2係止機構96とが係止されると、第1端子と第2端子とが電気的に接続される。廃液ボックス71には、第2係止機構96の近傍に記憶素子97が設けられている。制御部100は、廃液ボックス71が保持部73にセットされた状態では、記憶素子97にアクセスしてデータの読取り及び書込みが可能となっている。記憶素子97には、廃液ボックス71に回収された廃液量に関するデータが書き込まれる。
【0064】
液体噴射装置11が内蔵する
図1に示す制御部100は、キャリッジモーター53、液体噴射ヘッド52及び搬送モーター等を制御する。液体噴射装置11は、ホスト装置(図示略)と通信可能に接続される。制御部100は、ホスト装置から受信した印刷データに基づいて印刷制御を行う。なお、ホスト装置は、例えば、パーソナルコンピューター、携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistants))、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話等のうちいずれか1つにより構成される。制御部100は、印刷データを基に液体噴射ヘッド52からメンテナンスを目的に噴射又は排出した液体の量を計測し、記憶素子97から読み出した液量に、計測した液量を加算することで、廃液ボックス71の廃液量を取得する。制御部100は、廃液ボックス71の最新の液量を定期的又は不定期に記憶素子97に書き込むことで更新する。制御部100は、廃液ボックス71の廃液量が上限値に達すると、ユーザーに交換時期の旨及び交換を促す旨のメッセージを表示部26又はホスト装置の表示部に表示させることで報知する。
【0065】
次に、液体噴射装置11の作用について説明する。
液体噴射装置11が印刷の指示を受け付けると、給送部41が駆動されてカセット21から給送された媒体Mは搬送領域FAを搬送方向Y1に搬送される。そして、キャリッジユニット50が第1走査方向X1又は第2走査方向X2に移動する途中で液体噴射ヘッド52が媒体Mに向けて液体を噴射して1走査分の印刷を行う印刷動作と、媒体Mを次の印刷位置までローラー対45~47により搬送する搬送動作とを交互に行うことで媒体Mへの印刷が進められる。
【0066】
図4に示すように、キャリッジユニット50の第1走査方向X1又は第2走査方向X2への移動に伴い、チューブ61の湾曲部62がキャリッジユニット50の移動量の約半分の移動量でキャリッジユニット50と同じ方向に移動する。また、印刷中において、キャリッジユニット50は定期的にホーム位置HPに移動して液体噴射ヘッド52の全ノズル55から印刷とは関係のない液体を吐出するフラッシングを行い、ノズル55内の液体をリフレッシュする。こうしてフラッシングの度に液体噴射ヘッド52のノズル55から液体がキャップ83に向かって噴射される。フラッシングが所定回数行われる度に、電動モーター85の動力で吸引ポンプ84が駆動されることで、キャップ83に溜まった廃液は廃液チューブ86を通じて廃液ボックス71に回収される。
【0067】
また、前回のクリーニング時から所定時間が経過したクリーニング時期になると、
図6に示すように、キャリッジユニット50がホーム位置HPにある状態で、キャップ83が液体噴射ヘッド52のノズル開口面52Aに接触するキャッピング状態の下で電動モーター85が駆動される。この電動モーター85の動力で吸引ポンプ84が駆動されることによりクリーニングが行われる。吸引ポンプ84の駆動によりノズル開口面52Aとキャップ83とに囲まれた閉空間が負圧となることで、液体噴射ヘッド52のノズル55から液体が強制的に排出される。排出された液体は、キャップ83に貯留されるとともに、キャップ83から廃液チューブ86を通じて廃液ボックス71内に回収される。
【0068】
廃液チューブ86と廃液ボックス71は、供給針92が供給口部95に穿刺されることで接続されているので、廃液チューブ86を通じて廃液ボックス71に送られた廃液は接続箇所で漏れることはない。廃液ボックス71内に回収された廃液は、液体吸収部材79に吸収される。
【0069】
制御部100は、フラッシング時に液体噴射ヘッド52のノズル55から噴射した液量及びクリーニング時にノズル55から排出した液量など廃液ボックス71に回収される液量を計測する。計測した液量は所定のタイミングで廃液ボックス71の記憶素子97に書き込まれる。このため、廃液ボックス71が交換されても、記憶素子97に記憶されたデータを読み込むことで、制御部100は、廃液ボックス71内に回収された廃液量を把握できる。
【0070】
制御部100は、廃液ボックス71内の廃液量が上限値を超えると、操作パネル24の表示部26又はホスト装置の表示部に、廃液ボックス71が交換時期である旨のメッセージを表示する。メッセージを見たユーザーは、廃液ボックス71を交換する。
【0071】
まず、ユーザーは読取ユニット30のカバー13を開ける。カバー13を開けると、
図2、
図3に示すように、筐体12の手前上部に廃液ボックス71が露出する。ユーザーがカバー80を
図13に二点鎖線で示すように開けると、
図14に示す手掛け部71Bが露出するので、その手掛け部71Bを把持して廃液ボックス71を、
図14に白抜き矢印Aで示す取り外し方向である第1走査方向X1へ所定距離だけスライドさせる(
図14参照)。廃液ボックス71のスライドにより第1係止機構93と第2係止機構96との係止が外れるとともに、供給口部95から供給針92が抜き取られる。このとき、供給口部95から供給針92が抜き取られるまで、廃液ボックス71はガイド溝76に案内されて水平にスライドする。このため、この抜き取り過程で供給針92に過度な負荷がかかる心配がない。このとき、不図示の第1端子と第2端子との接続が切りか離されることで、制御部100と記憶素子97との電気的な接続が切断される。
【0072】
廃液ボックス71は、所定距離のスライドを終えると、ガイド溝76との係合が外れる。このため、廃液ボックス71の水平以外の方向への移動が可能になる。ユーザーは手掛け部71Bを持ち上げて、
図15に示すように、廃液ボックス71を傾ける。そして、ユーザーは、
図11に示すように廃液ボックス71は保持部73から取り外す。このように廃液ボックス71の手掛け部71Bを把持して水平にスライドさせたのちに手掛け部71Bを上へ持ち上げて廃液ボックス71を傾け、保持部73から取り外す。
【0073】
次に、ユーザーは新しい廃液ボックス71を、先ほどの取り外し過程と逆の手順で保持部73にセットする。すなわち、廃液ボックス71を供給口部95側の端部を先にして保持部73に斜めに傾けた状態をとし、その底部をガイド溝76に係合させる。その後、廃液ボックス71を傾斜姿勢から水平姿勢とし、水平姿勢の状態で
図14に二点鎖線矢印Bで示す装着方向である第2走査方向X2へスライドさせ、最後に押し込む。この押し込み過程で、供給口部95に供給針92が突き刺さるとともに、第1係止機構93と第2係止機構96とが係止される。こうして廃液ボックス71は供給針92を介して廃液チューブ86に対して液漏れのない状態に連結される。
【0074】
また、
図4に示すように、筐体12内には、搬送方向Y1に、チューブ束60の固定部61Cと、キャリッジユニット50の走査領域SAとの間にできる空間のうち湾曲部62がX軸に沿って移動する移動領域TA外の領域に、湾曲部62の移動に使用されないデッドスペースDSができる。本例では、このデッドスペースDSに、保持部73及び保持部73に保持された廃液ユニット70が配置される。このため、キャリッジユニット50がホーム位置HPと反ホーム位置AHとの間をX軸に沿って移動する全移動範囲において、湾曲部62は、保持部73及び廃液ユニット70と接触しない。すなわち、キャリッジユニット50がその移動経路上のどの位置にあっても、チューブ61の湾曲部62は保持部73及び廃液ボックス71と接触しない。
【0075】
また、
図7、
図9に示すように、保持部73に保持された廃液ボックス71の上端はチューブ束60よりも上方に位置し、廃液ボックス71の下端はチューブ束60よりも下方に位置する。また、保持部73に保持された廃液ボックス71の上端面71Aは、キャリッジユニット50の上端面50Aよりも高くに位置する。このため、筐体12内に収容できる廃液ボックス71の高さ寸法を長く確保できる。これは、廃液ボックス71の廃液収容容積の増加に繋がる。
【0076】
さらに、
図8に示すように、読取ユニット30のカバー13を閉じたときに、廃液ボックス71の上端面71Aが露出するフロント部材23の上面23Bが、読取ユニット30の底面30Aを受ける受け面となる。読取ユニット30の底面30Aは、カバー13を閉めた状態において廃液ボックス71の露出面及び上面23Bと対応する部分が上方へ凹む段差部30Bを有する。その段差部30Bの高さ分だけで、筐体12内に収容できる廃液ボックス71の高さ寸法を長く確保できる。これは、廃液ボックス71の廃液収容容積のさらなる増加に繋がる。
【0077】
廃液ボックス71を保持する保持部73は、キャリッジ51の走査領域SAよりも搬送方向Y1に下流の位置であり、且つ排出部43の上方の位置に配置される。保持部73は、排出部43のうち搬送方向Y1の下流部分の上方に位置する。保持部73は、排出部43を構成する2つの排出ローラー対46,47のうち搬送方向Y1の下流に位置する側の一方の第2排出ローラー対47の上方に位置する。また、保持部73は、第2搬送経路K2の上方に位置する。本実施形態では、筐体12内に、排出部43がキャリッジ51の走査領域SAよりも搬送方向Y1の下流域まで延びた部分の上方に空間ができる。キャリッジ51の走査領域SAよりも搬送方向Y1に下流の領域、且つ排出部43の上方の領域にできた空間を利用して、保持部73及び廃液ボックス71が配置される。このため、保持部73を配置する専用の空間を設けたときに問題となる液体噴射装置11の大型化を回避できる。
【0078】
本実施形態では、両面印刷を行うために第1面の印刷を終えた媒体Mを反転させるために、第1搬送経路K1の下方に媒体Mを第2搬送方向Y2へ搬送するための第2搬送経路K2を設けた。そして、排出部43は、搬送方向Y1において液体噴射ヘッド52の下流位置で媒体Mの搬送及び排出を行う第1排出ローラー対46に加え、第1排出ローラー対46よりも搬送方向Y1の下流位置に、媒体Mの排出又はスイッチバック搬送を行う第2排出ローラー対47を設けた。両面印刷時は、第1面が印刷された媒体Mが2つの排出ローラー対46,47により途中まで排出されたのち第2排出ローラー対47が逆回転されることで、媒体Mは第1搬送方向Y1から第2搬送方向Y2へスイッチバック搬送される。スイッチバック搬送された媒体Mは、第2搬送経路K2へ誘導される。第2搬送経路K2を経由して反転ローラー対49により逆搬送された媒体Mは中間ローラー44の外周を経由して反転され、第2面を液体噴射ヘッド52と対向可能な向きで搬送ローラー対45により印刷領域に向かって搬送される。そして、第2面に印刷された媒体Mは2つの排出ローラー対46,47により排出口15から排出され、排出トレイ22上に積載される。
【0079】
本実施形態の液体噴射装置11は、キャリッジユニット50の走査領域SAよりも搬送方向Y1の下流域に、第2排出ローラー対47を備える。すなわち、第1排出ローラー対46よりも搬送方向Y1の下流位置に、媒体Mをスイッチバック搬送させて第2搬送経路K2へ誘導する第2排出ローラー対47が設けられている。このため、筐体12内には、キャリッジユニット50の走査領域SAよりも搬送方向Y1の下流域、つまり第2排出ローラー対47の上方に、比較的広い空間が生じる。本実施形態では、この空間を利用して搬送方向Y1の変位を伴って水平に湾曲する湾曲部62を形成する引き回し経路でチューブ束60が引き回されている。
【0080】
チューブ61の湾曲部62は、チューブの流路が潰れないように所定以上の曲率半径を必要とする。また、キャリッジユニット50が全走査範囲を移動するとき、湾曲部62は筐体12内の上方空間のうちホーム位置HP寄りの約半分の範囲で移動する。そのため、空間のうち湾曲部62の移動領域TA以外の空間部分は、デッドスペースDSとなる。このデッドスペースDSを利用して、保持部73及び廃液ボックス71が配置される。また、保持部73及び廃液ボックス71を筐体12内の前部に配置したことによって筐体12の後部にできた空間に他の機構を配置する。本例では、筐体12の後部にできた空間に
図5に示す給送機構87を配置する。よって、保持部73及び廃液ボックス71を筐体12内の前部に配置しても、液体噴射装置11の大型化に繋がらない。
【0081】
また、筐体12内の前部に組み付けられた、
図12に示す保持部73が一体に形成された保持部材72は、保持部73と側板部75との間にチューブ束60の引き回し経路を形成するうえ、その引き回したチューブ束60を挟んで保持する複数対のリブ77を有する。また、その引き回されたチューブ束60の第1直状部61Aは仮に垂れ下がっても底板部74に接触してそれ以上の垂れ下がりが防止される。例えば、垂れ下がったチューブ束60に、排出口15に向かって搬送される媒体Mが接触する事態及びその接触が原因で発生するジャムを回避できる。
【0082】
上記実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)液体噴射装置11は、媒体Mを搬送方向Y1に搬送する搬送部42と、媒体Mに液体を噴射する液体噴射ヘッド52と、液体噴射ヘッド52を支持するキャリッジ51(ヘッド支持部の一例)と、液体噴射ヘッド52に供給する液体を収容する液体収容容器28と、液体が噴射された媒体Mを排出する排出部43と、を備える。液体噴射装置11は、液体噴射ヘッド52から排出された液体を廃液として収容可能な廃液ボックス71を保持する保持部73と、を備える。保持部73は、搬送方向Y1にキャリッジ51よりも下流の位置であって、且つ排出部43の上方の位置に配置される。よって、排出部43の上方の空間のうちヘッド支持部を避けた空間を利用して、廃液ボックス71を保持する保持部73を配置することができる。排出部43の上方のうちヘッド支持部を避けた箇所は、液体噴射装置11の後部に比べ、ユーザーがアクセスし易い位置である。このため、液体噴射装置11の大型化を極力抑えつつ、廃液ボックス71の交換時の作業性を高めることができる。
【0083】
(2)排出部43は、搬送方向Y1に異なる位置に配置された2つのローラー対46,47を備える。保持部73は、2つのローラー対46,47のうち搬送方向Y1の下流側に位置する一方のローラー対47の上方位置に配置される。よって、保持部73は、排出部43を構成する2つのローラー対46,47のうち搬送方向Y1の下流側に位置する一方のローラー対47の上方に位置する。一方のローラー対47の上方の空間を利用して保持部73を配置できる。
【0084】
(3)液体噴射装置11は、搬送経路K1の下方に、液体が噴射された後の媒体Mを搬送方向Y1とは反対の方向である第2搬送方向Y2に搬送する第2搬送経路K2を有する。排出部43は、媒体Mを搬送方向Y1に途中まで排出したのち第2搬送方向Y2に逆搬送することにより媒体Mを第2搬送経路K2へ送る。保持部73は、キャリッジ51よりも搬送方向Y1の下流の位置であって、且つ第2搬送経路K2の上方に位置する。よって、液体が噴射された後の媒体Mを第2搬送方向Y2に搬送する第2搬送経路K2を備える。このため、媒体Mを第1搬送方向Y1に排出するだけの構成に比べ、媒体Mの第1搬送方向における後端を第2搬送経路K2の入口に誘導できる位置まで媒体Mを第1搬送方向に途中まで一旦排出させる必要があるため、排出部43の搬送経路が搬送方向に長くなり、第2搬送経路K2の第1搬送方向Y1における下流域部分の上方に空間ができ易い。この空間を利用して保持部73を配置できる。
【0085】
(4)キャリッジ51は、媒体Mの搬送経路K1,K2の上方の位置で搬送方向Y1と交差する走査方向に往復移動可能であり、液体噴射ヘッド52は、キャリッジ51と共に移動する。保持部73は、搬送方向Y1にキャリッジ51よりも下流の位置であって、且つ排出部43の上方位置に配置される。よって、キャリッジ51の移動を妨げることなく排出部43の上方の空間を利用して保持部73を配置できる。このため、廃液ボックス71の交換時の作業性が高まるとともに、液体噴射装置11の大型化を抑制できる。
【0086】
(5)保持部73は、筐体12が有する排出口15よりも上方に配置される。よって、保持部73と、排出口15に向かって排出される媒体Mとの接触を避けつつ、廃液ボックス71の廃液収容容積を多く確保できる。
【0087】
(6)液体噴射装置11は、上部に開口12Aを有する筐体12と、筐体12の開口12Aを覆う開閉可能なカバー13とを備える。保持部73は、カバー13を開けたときに廃液ボックス71を露出させた状態に保持する。よって、カバー13を開けると、筐体12内に廃液ボックス71が露出するので、廃液ボックス71を交換する作業性が向上する。
【0088】
(7)液体噴射装置11は、キャリッジ51の移動経路の一端部であるメンテナンス位置にキャリッジ51が位置する状態で液体噴射ヘッド52に対してメンテナンスを行うメンテナンス装置81を備える。保持部73は、筐体12内にキャリッジ51の移動方向においてメンテナンス位置とは反対側となる片側に寄って位置する。よって、メンテナンス位置と反対側となる片側に寄って保持部73を配置できるデッドスペースDSが形成されるようにチューブ61の移動領域TAを設定してチューブ61が引き回される。この場合、キャリッジ51がホーム位置HPにあるとき、湾曲部62がキャリッジ51の近くに位置するため、湾曲部62が垂れ下がりにくい。
【0089】
(8)保持部73は、筐体12内にキャリッジ51の移動方向において液体収容容器28が配置される側と同じ側で片側に寄って位置する。よって、液体収容容器28から延びるチューブ61を液体収容容器28と反対側に湾曲部62を形成するように引き回しできる。保持部73をチューブ61の移動領域TA外のデッドスペースDSに配置できる。
【0090】
(9)液体噴射装置11は、キャリッジ51に接続され、キャリッジ51とは別の位置に配置された液体収容容器28から液体噴射ヘッド52へ供給される液体が通るチューブ61を備える。保持部73の下端は、チューブ61よりも下方に位置する。よって、廃液ボックス71の高さ寸法を稼ぐことができ、廃液ボックス71の廃液収容容積を多く確保できる。
【0091】
(10)保持部73に保持される廃液ボックス71の上端面71Aは、キャリッジ51の上端面50Aよりも上方に位置する。よって、廃液ボックス71の高さ寸法を長く確保でき、廃液ボックス71の廃液収容容積を多く確保できる。
【0092】
(11)液体噴射装置11は、キャリッジ51とは別の位置に配置された液体収容容器28から液体噴射ヘッド52へ供給される液体が通るチューブ61と、メンテナンス装置81から廃液ボックス71に送る廃液が通る廃液チューブ86と、チューブ61と廃液チューブ86とを分ける隔壁部78と、を有する。よって、液体収容容器28から供給される液体が通るチューブ61と廃液チューブ86とが交差しないように隔壁部78で分けられるので、液体供給用のチューブ61が移動する際に廃液チューブ86に絡むなどの不具合を回避できる。
【0093】
(12)保持部73は、廃液ボックス71を廃液チューブ86に接続する供給針92を有する。保持部73は、廃液ボックス71をキャリッジ51の移動方向にスライドさせることで供給針92に対する廃液ボックス71の接続と取外しとが可能に、廃液ボックス71を保持部73に対して着脱する着脱機構90を備える。よって、着脱機構90によって廃液ボックス71が供給針92に接続されることで、廃液ボックス71と廃液チューブ86との間での廃液の漏れを防止できる。廃液ボックス71をスライドさせることで、供給針92に対する廃液ボックス71の着脱が可能である。着脱時のスライド方向がキャリッジ51の移動方向と同じなので、廃液ボックス71をスライドしても、廃液ボックス71がチューブ61と接触しにくい。
【0094】
(13)チューブ61は、搬送方向Y1に変位を伴う向きに湾曲して折り返す湾曲部62を形成するとともにキャリッジ51の移動に伴って湾曲部62の形成位置を移動させるように設けられる。着脱機構90は、廃液ボックス71が、キャリッジ51の移動方向において湾曲部62が位置する側と反対側の方向へスライドされると、廃液ボックス71を取り外す。よって、廃液ボックス71を取り外すときにチューブ61の湾曲部62と接触しにくい。また、湾曲部62側へスライドさせて取り外す構成であると、デッドスペースDS内に湾曲部62側へスライドさせる際のストローク分のスペースを確保する必要がある。これに対して、本実施形態の構成であれば、デッドスペースDS内に廃液ボックス71のスライドストローク分のスペースを確保する必要がないので、デッドスペースDS内に保持部73及び廃液ボックス71の一層大きな占有体積を確保し、廃液ボックス71の廃液収容容積を多く確保できる。
【0095】
(14)液体噴射装置11は、キャリッジ51に接続され、液体収容容器28から液体噴射ヘッド52へ供給される液体が通るチューブ61を備える。チューブ61は、搬送方向Y1に変位を伴う向きに湾曲する湾曲部62を形成するとともにキャリッジ51の移動に伴って湾曲部62の形成位置が移動する可動部と、可動しない固定部とを有する。保持部73は、搬送方向Y1において固定部61Cとキャリッジ51の走査領域SAとの間に配置される。キャリッジ51の移動に伴ってチューブ61の湾曲部62は、キャリッジ51の移動量の約半分の移動量で移動する。保持部73及び廃液ボックス71は、湾曲部62の移動領域TA以外の残り約半分の領域、つまりキャリッジ51の走査領域SAとチューブ61の固定部61Cとの間にできる湾曲部62の移動に使用されないデッドスペースDSに配置される。このため、保持部73及び廃液ボックス71は、キャリッジ51の移動及びチューブ61の移動を妨げない。また、キャリッジ51の走査領域SAと固定部61Cとの間の箇所は、液体噴射装置11の後部に比べ、ユーザーにとってアクセス性が良好である。よって、液体噴射装置11の大型化を極力抑えつつ廃液ボックス71の交換時の作業性を高めることができる。
【0096】
(15)保持部73は、筐体12内においてチューブ61の移動領域TA外に配置される。よって、チューブ61の移動を妨げることなくチューブ61の移動領域として使用されないデッドスペースを利用して保持部73及び廃液ボックス71を配置できる。このため、液体噴射装置11の大型化を極力抑制しつつ、廃液ボックス71の交換時の作業性が良くなる。
【0097】
(16)保持部73は、筐体12内において搬送機構40が媒体Mを搬送する搬送経路K1,K2より上方で且つキャリッジ51の走査領域SAよりも搬送方向Y1における下流に配置される。よって、保持部73は、搬送経路より上方で且つキャリッジ51の走査領域SAよりも搬送方向Y1における下流に配置されるので、廃液ボックス71の交換時の作業性が良くなる。
【0098】
(17)液体噴射装置11は、キャリッジ51の移動経路の一端部であるメンテナンス位置にキャリッジ51が位置する状態で液体噴射ヘッド52に対してメンテナンスを行うメンテナンス装置81を備える。保持部73は、メンテナンス装置81から延びる廃液チューブ86の一端に設けられた供給針92を有する。廃液ボックス71は、供給針92と接続される供給口部95を有する。よって、廃液ボックス71を保持部73に装着すると、供給針92と供給口部95とが接続される。このため、メンテナンス装置81が液体噴射ヘッド52から排出させた液体を廃液チューブ86を通じて廃液ボックス71に回収することができる。このとき、供給針92と供給口部95との接続を通じて廃液が廃液ボックス71に回収されるので、接続箇所での廃液漏れを抑制できる。
【0099】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0100】
・チューブ61の湾曲部62をキャリッジユニット50に対して反ホーム位置AH側に配置するチューブ61の引き回し経路を採用してもよい。例えば、前記実施形態において、液体収容容器28をホーム位置HP側に配置するとともに、チューブ61の引き回し経路を前記実施形態と筐体12の幅中心を通る垂線に対して線対称にレイアウトする。この場合、ホーム位置HPと反ホーム位置AHとを反対に位置設定してもよい。また、この場合、廃液ボックス71をデッドスペースDSに配置するとよい。また、前記実施形態のチューブ61の引き回し経路で、ホーム位置HPと反ホーム位置AHとを反対に位置設定してもよい。
【0101】
・前記実施形態では、キャリッジ51とは別の位置に液体収容容器28が配置される、いわゆるオフキャリッジタイプの液体噴射装置11に適用したが、キャリッジ51が液体収容容器28を搭載する、いわゆるオンキャリッジタイプでもよい。つまり、液体噴射装置11は、液体供給用のチューブ61を備えない構成でもよい。この場合、チューブ61のデッドスペースDSを利用しなくても、キャリッジ51よりも搬送方向Y1の下流域且つ排出部43の上方位置に保持部73を配置できる。保持部73は、筐体12において幅と平行な方向におけるどの位置であってもよい。例えば、保持部73がメンテナンス位置側に寄っていてもよい。さらに、この場合、液体収容容器28が、ホーム位置HP側に配置されてもよい。また、液体収容容器28は、注入式であっても、パック形式であってもよい。
【0102】
・前記実施形態において、排出ローラー対を1つにしてもよい。また、排出ローラー対は3つ以上の複数でもよい。
・廃液ボックス71を保持部73から取り外す際に湾曲部62に向かう方向にスライドさせてもよい。
【0103】
・保持部73をホーム位置HP側の片側に寄せて配置してもよい。この場合、チューブ61の湾曲部62が反ホーム位置AH側に位置するようにチューブ61の引き回し経路を前記実施形態と反対とする。
【0104】
・第2搬送経路K2がなくてもよい。搬送方向Y1にキャリッジ51の走査領域SAよりも下流域に第1搬送経路K1が所定長さ以上に亘り延在していれば、第1搬送経路K1の上方の位置に保持部73を配置すればよい。
【0105】
・排出部43を構成するローラー対は、キャリッジ51等のヘッド支持部よりも下流の位置であれば1つでもよい。この1つのローラー対の上方の空間を利用して保持部73配置してもよい。
【0106】
・排出部43は、ローラー搬送方式に替え、ベルト搬送方式でもよい。排出部43を構成する搬送方向に位置の異なる2つのローラーは、搬送ベルトが巻き掛けられたローラーであってもよい。
【0107】
・廃液ボックス71の着脱機構90は、廃液ボックス71を水平方向にスライドさせて着脱する構成に替え、鉛直方向Z1にスライドさせて着脱する方式でもよい。
・着脱機構90は、廃液ボックス71を前後にスライドさせて着脱する構成でもよい。この場合、取り外し時に廃液ボックス71を前方へスライドさせたのち鉛直方向Z1に抜き取る構成でよい。また、筐体の前面に保持部73に相当する位置にカバーを設け、カバーを開けた後、廃液ボックス71を前方へスライドさせて取り出す構成でよい。
【0108】
・着脱機構90は、筐体12の側面から廃液ボックス71を湾曲部62側と反対側へ水平にスライドさせて抜き取る構成でもよい。この場合、筐体12の側面にカバーを設けてもよいし、筐体12の側面に廃液ボックス71の端面が露出してもよい。また、保持部73は、筐体12の側面と対向する向きに開口73Aを有する箱体であってもよい。
【0109】
・キャリッジ51よりも搬送方向Y1の上流の空間にチューブ61を引き回してもよい。この場合、固定部61Cとキャリッジ51の走査領域SAとの間に保持部73を配置すればよい。この構成でも、カバー13を開けて廃液ボックス71を着脱できる。
【0110】
・カバー13を開けたときに廃液ボックス71が露出しない構成でもよい。例えば、カバーを開けると、内カバーで廃液ボックス71が覆われ、内カバーを開けて廃液ボックス71を着脱する構成でもよい。なお、カバー13を開けたときに廃液ボックス71を露出させた方が、廃液ボックス71の高さ寸法を長くできるので、廃液収容容積を多くできる。また、廃液ボックス71がフロント部材23に覆われてその下方に保持され、フロント部材23を取り外して廃液ボックス71を着脱する構成でもよい。
【0111】
・供給機構91を廃止してもよい。つまり、廃液ボックス71と廃液チューブ86とを供給針92等で接続せず、廃液チューブ86から廃液ボックス71内の液体吸収部材79に廃液を滴下してもよい。この場合、廃液の漏れ防止機構や漏れた廃液を回収する機構を設けることが好ましい。
【0112】
・廃液ユニット70とチューブ束60とが鉛直方向Z1に同じ高さに配置される部分があればよい。つまり、チューブ束60の全部が鉛直方向Z1に廃液ユニット70と同じ高さにある必要はない。例えば、廃液ボックス71の上端がチューブ束60の上端と同じ又はより低く位置してもよい。また、例えば、保持部73の下端となる底面73Bが、チューブ束60の下端と同じ又はより高く位置してもよい。
【0113】
・湾曲部62が湾曲する向き、すなわちチューブ61が搬送方向Y1に変位を伴って湾曲する向きは、水平に限定されない。チューブ61が湾曲する向きが、媒体Mの搬送面と平行な向きであればよい。例えば、液体噴射ヘッド52が対向する部分の搬送面が水平に対して所定角度で傾斜する傾斜面である場合、湾曲部62は水平に対して所定角度で傾斜した向きにチューブ61を湾曲させたものでもよい。
【0114】
・保持部73は、排出部43を構成する2つのローラー対46,47のうち搬送方向Y1の下流に位置する一方のローラー対47の上方の位置から搬送方向Y1に外れて位置してもよい。この場合でも、保持部73が第2搬送経路K2の上方に位置すればよい。
【0115】
・廃液ユニット70とチューブ束60とが鉛直方向Z1に同じ高さに配置される部分が無くてもよい。このように廃液ボックス71とチューブ束60とが鉛直方向Z1に位置が異なれば、チューブ束60の湾曲部62が移動してもチューブ束60と廃液ボックス71とが接触する心配がないので、保持部73をデッドスペースDSに限定されず自由にレイアウトできる。例えば、筐体12内の幅全域に近い長さを有する長尺状の廃液ボックス71を湾曲部62よりも上方の高さに配置してもよい。
【0116】
・搬送方向Y1にチューブ束60よりも下流の領域に保持部73を配置してもよい。この場合、保持部73が、キャリッジ51等のヘッド支持部よりも搬送方向Y1の下流域且つ排出部43の上方に位置すれば、排出部43の上方の空間を利用して廃液ボックス71を配置でき、廃液ボックス71の交換時の作業性が良くなる。
【0117】
・チューブ61は、複数本を束ねたチューブ束の構成に限らず、1本のみの構成でもよい。例えば、黒1色で印刷する液体噴射装置11において1本のチューブ61を備えた構成において適用してもよい。また、チューブ束を構成する場合、4本以外の複数本でもよい。
【0118】
・液体噴射装置11は、媒体としての用紙又はフィルムに印刷する印刷装置に限定されず、布に印刷する捺染装置でもよい。
・液体噴射装置は、キャリッジユニット50が走査方向X1,X2に往復移動するシリアルプリンターに限定されず、キャリッジユニット50が主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターでもよい。
【0119】
・液体噴射装置11は、ラインプリンターでもよい。ラインプリンターの場合、そのラインヘッドは、複数の吐出ヘッドを配列してなるマルチヘッドタイプでもよいし、媒体Mの搬送方向と交差する幅方向に亘る印刷領域の全域に一定のピッチでノズル55が配列されてなる複数のノズル列を有する1つの長尺状のラインヘッドを備えた構成でもよい。ラインプリンターの場合、ラインヘッドが液体噴射ヘッドに相当し、ラインヘッドはヘッド支持部に支持される。
【0120】
・液体噴射装置は、複合機に限定されず、読取ユニット30を搭載しないカバー13を有するプリンターでもよい。
・媒体Mは、用紙に限らず、可撓性のプラスチックフィルムや、布、不織布などであってもよい。
【0121】
・液体噴射装置は、印刷用のプリンターに限定されない。例えば、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体を噴射し、媒体の一例である基板に電気配線パターン、又は、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)及び面発光などの各種の方式のディスプレイの画素を製造するものでもよい。さらに未硬化の樹脂液を噴射して立体物を形成する三次元造形用の液体噴射装置でもよい。
【0122】
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
液体噴射装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを支持するヘッド支持部と、前記液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器と、前記液体が噴射された前記媒体を排出する排出部と、前記液体噴射ヘッドから排出された液体を廃液として収容可能な廃液収容体を保持する保持部と、を備え、前記保持部は、前記搬送方向に前記ヘッド支持部よりも下流の位置であって、且つ前記排出部の上方の位置に配置される、ことを特徴とする。この構成によれば、排出部の上方の空間のうちヘッド支持部を避けた空間を利用して、廃液収容体を保持する保持部を配置することができる。排出部の上方のうちヘッド支持部を避けた箇所は、液体噴射装置の後部に比べ、ユーザーがアクセスし易い位置である。このため、液体噴射装置の大型化を極力抑えつつ、廃液収容体の交換時の作業性を高めることができる。
【0123】
上記液体噴射装置において、前記排出部は、前記搬送方向に異なる位置に配置された2つのローラーを備え、前記保持部は、当該2つのローラーのうち前記搬送方向の下流側に位置する一方のローラーの上方位置に配置されてもよい。
【0124】
この構成によれば、保持部は、排出部を構成する2つのローラーのうち搬送方向の下流側に位置する一方のローラーの上方に位置する。一方のローラーの上方の空間を利用して保持部を配置できる。
【0125】
上記液体噴射装置において、前記搬送部が前記媒体を搬送する第1搬送経路の下方に、前記液体が噴射された後の前記媒体を前記搬送方向とは反対の方向である第2搬送方向に搬送する第2搬送経路を有し、前記排出部は、前記媒体を前記搬送方向に途中まで排出したのち前記第2搬送方向に逆搬送することにより前記媒体を前記第2搬送経路へ送り、前記保持部は、前記ヘッド支持部よりも前記搬送方向の下流の位置であって、且つ前記第2搬送経路の上方に位置してもよい。
【0126】
この構成によれば、液体が噴射された後の媒体を第2搬送方向に搬送する第2搬送経路を備えるため、媒体を第1搬送方向に排出するだけの構成に比べ、媒体の第1搬送方向における後端を第2搬送経路の入口に誘導できる位置まで媒体を第1搬送方向に途中まで一旦排出させる必要があるため、排出部の搬送経路が搬送方向に長くなり、第2搬送経路の第1搬送方向における下流域部分の上方に空間ができ易い。この空間を利用して保持部を配置できる。
【0127】
上記液体噴射装置において、前記ヘッド支持部は、前記媒体の搬送経路の上方の位置で前記搬送方向と交差する走査方向に往復移動可能なキャリッジであり、前記液体噴射ヘッドは、前記キャリッジと共に移動し、前記保持部は、前記搬送方向に前記キャリッジよりも下流の位置であって、且つ前記排出部の上方位置に配置されてもよい。
【0128】
この構成によれば、キャリッジの移動を妨げることなく排出部の上方の空間を利用して保持部を配置できる。このため、廃液収容体の交換時の作業性が高まるとともに、液体噴射装置の大型化を抑制できる。
【0129】
上記液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッド及び前記保持部を収容する筐体を備え、前記筐体は、前記媒体が排出される排出口を有し、前記保持部は、前記排出口よりも上方に配置されてもよい。
【0130】
この構成によれば、保持部と、排出される媒体との接触を避けつつ、廃液収容体に収容される廃液の収容容積を多く確保できる。
上記液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッド及び前記保持部を収容する筐体と、前記筐体の上部開口を覆う開閉可能なカバーと、を備え、前記保持部は、前記カバーを開けたときに前記廃液収容体を露出させた状態に保持してもよい。
【0131】
この構成によれば、カバーを開けると、筐体内に廃液収容体が露出するので、廃液収容体を交換する作業性が向上する。
上記液体噴射装置において、前記キャリッジの移動経路の一端部であるメンテナンス位置に前記キャリッジが位置する状態で前記液体噴射ヘッドに対してメンテナンスを行うメンテナンス装置を備え、前記保持部は、前記筐体内に前記キャリッジの移動方向において前記メンテナンス位置とは反対側となる片側に寄って位置してもよい。
【0132】
この構成によれば、キャリッジの移動に伴ってキャリッジの移動量のおよそ半分の移動量で移動するチューブの移動領域以外の残りおよそ半分の領域を利用して保持部を配置できる。よって、キャリッジの移動及びチューブの移動を妨げない位置に、保持部を配置できる。
【0133】
上記液体噴射装置において、前記保持部は、前記筐体内に前記キャリッジの移動方向において前記液体収容容器が配置される側と同じ側で片側に寄って位置してもよい。
この構成によれば、液体収容容器から延びるチューブを液体収容容器と反対側に湾曲部を形成するように引き回しできる。保持部をチューブの移動領域外のデッドスペースに配置できる。
【0134】
上記液体噴射装置は、前記キャリッジに接続され、前記キャリッジとは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブを備え、前記保持部の下端は、前記チューブよりも下方に位置してもよい。
【0135】
この構成によれば、廃液収容体の高さ寸法を稼ぐことができ、廃液収容体の収容容積を多く確保できる。
上記液体噴射装置において、前記保持部に保持される前記廃液収容体の上端は、前記キャリッジの上端よりも上方に位置してもよい。
【0136】
この構成によれば、廃液収容体の高さ寸法を稼ぐことができ、廃液収容体の収容容積を多く確保できる。
上記液体噴射装置において、前記キャリッジとは別の位置に配置された前記液体収容容器から前記液体噴射ヘッドへ供給される液体が通るチューブと、前記メンテナンス装置から前記廃液収容体に送る廃液が通る廃液チューブと、前記チューブと前記廃液チューブとを分ける隔壁部と、を有してもよい。
【0137】
この構成によれば、液体収容容器から供給される液体が通るチューブと廃液チューブとが交差しないように隔壁部で分けられるので、液体供給用のチューブが移動する際に廃液チューブに絡むなどの不具合を回避できる。
【0138】
上記液体噴射装置において、前記保持部は、前記廃液収容体を前記廃液チューブに接続する接続部を有し、前記保持部は、前記廃液収容体を前記キャリッジの移動方向にスライドさせることで前記接続部に対する前記廃液収容体の接続と取外しとが可能に、前記廃液収容体を前記保持部に対して着脱する着脱機構を備えてもよい。
【0139】
この構成によれば、着脱機構によって廃液収容体が接続部に接続されることで、廃液収容体と廃液チューブとの間での廃液の漏れを防止できる。廃液収容体をスライドさせることで、接続部に対する廃液収容体の着脱が可能である。着脱時のスライド方向がキャリッジの移動方向と同じなので、廃液収容体をスライドしても、廃液収容体がチューブと接触しにくい。
【0140】
上記液体噴射装置において、前記チューブは、前記搬送方向に変位を伴う向きに湾曲して折り返す湾曲部を形成するとともに前記キャリッジの移動に伴って前記湾曲部の形成位置を移動させるように設けられ、前記着脱機構は、前記廃液収容体が、前記キャリッジの移動方向において前記湾曲部が位置する側と反対側の方向へスライドされることで、当該廃液収容体を取り外してもよい。
【0141】
この構成によれば、廃液収容体を取り外すときに湾曲部と接触しにくい。また、湾曲部と接触しないようにスライドストローク分のスペースを確保して湾曲部側へスライドさせて取り外す構成に比べ、廃液収容体の廃液収容容積を多く確保できる。
【符号の説明】
【0142】
11…液体噴射装置、12…筐体、12A…開口、13…カバー、15…排出口、16…支持台、17…第1ガイド部材、18…第2ガイド部材、20…印刷ユニット、21…カセット、22…排出トレイ、23…フロント部材、23A…開口、24…操作パネル、25…操作部、26…表示部、27…液体供給ユニット、28…液体収容容器、29…装着部、30…読取ユニット、32…自動原稿送り装置、33…原稿トレイ、40…搬送機構、41…給送部、42…搬送部、43…排出部、44…中間ローラー、45…搬送ローラー対、46…一対のローラーの一例を構成する第1排出ローラー対、47…一対のローラーの一例を構成するとともに一方のローラーの一例としての第2排出ローラー対、49…反転ローラー対、50…キャリッジユニット、50A…キャリッジの上端の一例としての上端面、51…ヘッド支持部の一例としてのキャリッジ、52…液体噴射ヘッド、53…キャリッジモーター、55…ノズル、56…液体貯留体、60…チューブ束、61…チューブ、61A…第1直状部、61B…第2直状部、61C…固定部、61D…可動部、62…湾曲部、63…支持部材、71…廃液ボックス、71A…上端の一例としての上端面、73…保持部、73A…開口、73B…下端の一例としての底面、74…底板部、75…側板部、76…ガイド溝、78…隔壁部、81…メンテナンス機構、82…ギャップ調整機構、83…キャップ、84…吸引ポンプ、85…電動モーター、86…廃液チューブ、87…給送機構、90…着脱機構、91…供給機構、92…接続部の一例としての供給針、93…第1係止機構、95…被接続部の一例としての供給口部、96…第2係止機構、97…記憶素子、100…制御部、D…原稿、M…媒体、HP…ホーム位置、AH…反ホーム位置、K1…搬送経路の一例としての第1搬送経路、K2…搬送経路の一例としての第2搬送経路、R1…第1搬送路、R2…第2搬送路、SA…走査領域、TA…湾曲部の移動領域、X1…第1走査方向、X2…第2走査方向、Y1…第1搬送方向(搬送方向)、Y2…第2搬送方向、Z1…鉛直方向。