(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】X線検出装置およびX線撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240806BHJP
A61B 6/08 20060101ALI20240806BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20240806BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
A61B6/08 503
A61B6/08 509B
A61B6/42 500W
G01T7/00 A
(21)【出願番号】P 2023086122
(22)【出願日】2023-05-25
(62)【分割の表示】P 2022093065の分割
【原出願日】2018-04-16
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 愛彦
(72)【発明者】
【氏名】八野 悠里
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-073706(JP,A)
【文献】特開2005-296499(JP,A)
【文献】特開2004-144830(JP,A)
【文献】実開平03-062340(JP,U)
【文献】特開2009-000252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0243667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
G01T 1/00 - 7/12
G03B 42/00 -42/08
H04N 5/30 - 5/325
H04N 25/00 -25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を検出する検出素子にX線を入射する面と、
前記面の縁部に設けられ、前記面の中心位置を通る中心線に対し対称的に配置された複数の発光部
であって、光強度が略同じである複数の発光部と、
を備えるX線検出装置と、
前記複数の発光部からの光を検知する光検知部と、
前記光検知部による検知結果に基づいて、前記X線検出装置の中心位置を検出する中心位置検出部と、
を備えるX線撮影装置。
【請求項2】
被検体および前記検出された前記X線検出装置の中心位置に基づいて、前記被検体の位置と前記X線検出装置の中心位置に関する情報を報知することを特徴とする請求項1に記載のX線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検出装置およびX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、X線を発生するX線管と、被検体(例えば、患者)が載置される天板と、被検体を挟んでX線管と対向配置されるX線検出部と、を備えたX線撮影装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
被検体は、X線撮影装置のある撮影室に移動する。操作者(例えば、放射線技師)は、被検体の位置を定めるだけでよい。その理由は、X線管とX線検出部との位置関係は、予め定められているためである。
【0004】
ところで、撮影室に被検体が移動できない場合がある。このような場合に用いられるX線撮影装置として、被検体の部屋まで移動可能な回診車が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
回診車によるX線撮影には、X線管から照射されたX線を検出するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-134295号公報
【文献】特開2003-220032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、回診車によるX線撮影においては、FPDは被検体とベッドとの間に配置される。すなわち、操作者は、FPDと被検体との位置合わせを行う必要がある。
【0008】
しかし、FPDは被検体の背後に配置されているため、作業者は、FPDが見づらい中で、FPDと被検体との位置合わせ作業を行う必要がある。これにより、位置合わせ作業が困難になるばかりか、位置合わせの精度が低下するおそれがある。なお、位置合わせの精度の低下は、再撮影の頻度が高まる要因になる。
【0009】
FPDと被検体との位置合わせを補助するために、FPDの周辺に磁場を発生させるデバイスを配置し、発生させた磁場を解析することで、FPDの位置や傾きを検出する方法が知られている。しかし、磁場の発生は、ベッドフレームなどの周囲環境に大きく依存するため、周囲環境が制限される。また、FPDの重量の増加や、FPDの大型化などで、位置合わせ作業が困難になるおそれがある。
【0010】
本発明は、位置決合わせ作業を容易にし、かつ、位置合わせの精度を向上することが可能なX線検出装置およびX線撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明におけるX線検出装置は、
X線を検出する検出素子にX線を入射する面と、
前記面の縁部に設けられ、前記面の中心位置を通る中心線に対し対称的に配置された複数の発光部であって、光強度が略同じである複数の発光部と、
を備えるX線検出装置と、
前記複数の発光部からの光を検知する光検知部と、
前記光検知部による検知結果に基づいて、前記X線検出装置の中心位置を検出する中心位置検出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置決合わせ作業を容易にし、かつ、位置合わせの精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2A】本発明の実施の形態に係るFPDを表側から見た平面図
【
図3】本発明の実施の形態におけるX線撮影装置の構成を示すブロック図
【
図4】被検体の背後からの漏れ光のうち特定の光強度を示す漏れ光パターンを表した図
【
図5】FPDのX方向の中心位置の検出を説明するための図
【
図6】被検体の背後からの漏れ光のうち特定の光強度を示す漏れ光パターンを表した図
【
図7】FPDのZ軸回りの傾きの検出を説明するための図
【
図9】変形例1におけるX線撮影装置の構成を示すブロック図
【
図10】変形例2におけるX線撮影装置の構成を示すブロック図
【
図11A】FPDのX軸回り、Y軸回りおよびZ軸回りのそれぞれの傾きを示す図
【
図11B】FPDおよびX線管のX軸回り、Y軸回りおよびZ軸回りのそれぞれの傾きを示す図
【
図11C】FPDおよびX線管のX軸回りの傾きを示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
本実施の形態では、回診車2と可搬型のX線検出装置100(FPD)とにより構成されるX線撮影装置1について説明する。
図1は、回診車2およびFPD100を概略的に示す図である。
【0016】
図1に示すように、回診車2は、X線管3およびコンソール4(本発明の「報知部」に対応)等が搭載されている。回診車2は、手術室や集中治療室(ICU)等に移動できる。回診車2によるX線撮影には、FPD100が用いられる。
【0017】
FPD100は、被検体10とベッド20との間に差し込まれる。操作者は、FPD100と被検体10との位置合わせを行う。本実施の形態においては、FPD100と被検体10との位置合わせは、被検体10の位置とFPD100の中心位置とを合わせることをいう。
【0018】
また、操作者は、FPD100とX線管3との位置合わせを行う。本実施の形態においては、FPD100とX線管3との位置合わせは、X線管3の傾きとFPD100の傾きとを合わせること(X線管3とFPD100とを正対させること)をいう。なお、本実施の形態では、X線管3の位置とFPD100の中心位置とは合っているものとして説明する。
【0019】
図1にX軸、Y軸およびZ軸が描かれている。以下の説明において、
図1における左右方向をX方向又は横方向といい、左方向を「+X方向」又は「左側」、右方向を「-X方向」又は「右側」という。また、
図1における上下方向をY方向又は表裏方向といい、上方向を「+Y方向」、「表側」、下方向を「-Y方向」又は「裏側」という。また、
図1において紙面に直交する方向をZ方向又は縦方向といい、手前方向を「+Z方向」又は「手前側」、奥方向を「-Z方向」又は「奥側」という。
【0020】
本実施の形態では、FPD100には、表側(+Y方向)から順番に、上カバー110、シンチレータ層120(
図2A参照)、X線検出素子(図示略)、基板(図示略)、支持体(図示略)および下カバー130が設けられている。シンチレータ層120は、X線エネルギーを光に変換する。X線検出素子は、シンチレータ層120からの光を検出する。シンチレータ層120の裏側(-Y方向)には、X線検出素子が配列されている。
【0021】
なお、本実施の形態において、シンチレータ層120の上側面を「検出面」とする。また、上カバー110の外枠112を「検出面の周囲」とする。以下の説明において、検出面120における横方向(X方向)の中心軸を、「横方向中心軸」という。また、検出面120における縦方向(Z方向)の中心軸を、「縦方向中心軸」という。
【0022】
図2Aは、FPD100を表側から見た平面図である。
図2Aに示すように、検出面120の周囲112は、左側縁114L、右側縁114R、手前側縁114F、および、奥側縁114Bを有している。左側縁114Lは、横方向中心軸A1より左側に配置され、縦方向に延在する。右側縁114Rは、横方向中心軸A1より右側に配置され、縦方向に延在する。左側縁114Lと右側縁114Rとは、横方向中心軸A1に対し対称的に配置されている。
【0023】
手前側縁114Fは、縦方向中心軸A2より手前側に配置され、横方向に延在する。奥側縁114Bは、縦方向中心軸A2より奥側に配置され、横方向に延在する。手前側縁114Fと奥側縁114Bとは、縦方向中心軸A2に対し対称的に配置されている。
【0024】
FPD100は、発光部140を備えている。発光部140は、面発光するように、検出面120の周囲112に並べられている。発光部140は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)又は有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro Luminescence:OEL)である。発光部140の上面側には拡散板が配置されている。LEDの指向性は、有機ELの指向性より強い。このため、拡散板は、LED光を拡散させるために効果的に用いられる。
【0025】
左側縁114Lに配置される左側発光部140Lは、左側縁114Lの表側面全体に配置されている。
【0026】
右側縁114Rに配置される右側発光部140Rは、右側縁114Rの表側面全体に配置されている。
【0027】
手前側縁114Fに配置される手前側発光部140Fは、手前側縁114Fの表側面全体に配置されている。
【0028】
奥側縁114Bに配置される奥側発光部140Bは、奥側縁114Bの表面全体に配置されている。
【0029】
発光部140は、検出面120の中心位置を通る中心線に対し対称的に配置されている。具体的には、左側発光部140Lと右側発光部140Rとは、横方向中心軸A1に対し対称的に配置されている。また、手前側発光部140Fと奥側発光部140Bとは、縦方向中心軸A2に対し対称的に配置されている。
【0030】
回診車2は、
図3に示すように、漏れ光検知部210、抽出部220、中心位置検出部230、および、傾き検出部235を備えている。
【0031】
漏れ光検知部210は、X線管3側に配置されている(
図1参照)。漏れ光検知部210は、例えば、CCD等のイメージセンサーである。漏れ光検知部210は、発光部140の光強度に応じて電気信号を生成する。
【0032】
本実施の形態では、漏れ光検知部210は、被検体10の上方向(+Y方向)に配置されるものとする。発光部140の拡散光および面発光によって、被検体10の背後から漏れ光が生じる。漏れ光検知部210は、被検体10の背後からの漏れ光を検知する。
【0033】
図2Bは、FPD100の表側(+Y方向)に被検体10などの遮蔽物がない場合において、発光部140の光強度を横方向(X方向)に沿って表した図である。なお、
図2Bに示す各位置a,b,c,d,e,f,mは、
図2Aに示す横方向における各位置a,b,c,d,e,f,mに対応する。位置aは、左側発光部140Lの左側端(左側縁114L)の位置である。位置bは、左側発光部140Lの右側端の位置である。位置cは、右側発光部140Rの左側端の位置である。位置dは、右側発光部140Rの右側端(右側縁114R)の位置である。位置mは、PDF100の中心位置である。
【0034】
図2Aに示すように、a-b間の領域およびc-d間の領域は、光強度が最も高い領域である。これらの領域は、発光部140に対応する領域である。
図2Aに、左側発光部140L、右側発光部140R、手前側発光部140F、および、奥側発光部140Bのそれぞれの漏れ光における特定の光強度を示す左側漏れ光パターンPLL、右側漏れ光パターンPLR、手前側漏れ光パターンPLF、および、奥側漏れ光パターンPLBを示す。
【0035】
位置aより左側(+X方向)の領域は、左側発光部140L側の漏れ光の光強度を示す領域である。また、位置dより右側(-X方向)の領域は、右側発光部140R側の漏れ光の光強度を示す領域である。
図2Bに示すように、左側発光部140L側の漏れ光の光強度は、位置aより左側に向かって低下する。また、右側発光部140R側の漏れ光の光強度は、位置dから右側に向かって低下する。なお、位置aより左側に距離L1だけ離間した位置における特定の光強度、および、位置dより右側に距離L1だけ離間した位置における特定の光強度は、実験の結果またはシミュレーションにより求められる。
【0036】
被検体10の位置とFPD100の中心位置とを合わせるには、X方向の位置合わせと、Z方向の位置合わせとがある。両方の位置合わせにおいては、方向性は異なるが、位置合わせの方法は同じである。そのため、以下、X方向の位置合わせについて説明し、Z方向の位置合わせるについての説明を省略する。
【0037】
また、FPD100の傾きとX線管3との傾きとを合わせるには、X軸回りの傾き合わせと、Z軸回りの傾き合わせとがある。両方の傾き合わせにおいては、傾き軸は異なるが、傾き合わせの方法が同じである。そのため、以下、Z軸回りの傾き合わせについて説明し、X軸回りの傾き合わせについての説明を省略する。
【0038】
図4は、被検体10の背後からの漏れ光のうち特定の光強度を示す漏れ光パターンを表した図である。
図4に、FPD100の表側(+Y方向)に被検体10がある場合を示す。この場合、抽出部220は、左側発光部140L側の漏れ光のうち特定の光強度を示す左側漏れ光パターンPLLを抽出する。抽出部220は、右側発光部140R側の漏れ光のうち特定の光強度を示す右側漏れ光パターンPLRを抽出する。
【0039】
中心位置検出部230は、左側漏れ光パターンPLLおよび右側漏れ光パターンPLRに基づいて、FPD100のX方向の中心位置を検出する。
【0040】
中心位置検出部230によるFPD100のX方向の中心位置の検出について、
図5を参照して説明する。
図5に示すように、左側漏れ光パターンPLLから右側に距離L1だけ離間した所(左側縁114Lの位置)をPaとする。右側漏れ光パターンPLRから左側に距離L1だけ離間した所(右側縁114Rの位置)をPdとする。これにより、FPD100のX方向の中心位置Pmは、次の式(1)により表される。
Pm=(Pa+Pd)/2・・・(1)
【0041】
次に、X線管3とFPD100との相対的な傾き検出について
図6を参照して説明する。
図6は、被検体10の背後からの漏れ光のうち特定の光強度を示す漏れ光パターンを表した図である。傾き検出部235は、左側漏れ光パターンPLLと右側漏れ光パターンPLRとが左右対称であるかどうかについて検出する。傾き検出部235は、
図6に示すように、左側漏れ光パターンPLLと右側漏れ光パターンPLRとが非対称になる場合、X線管3がFPD100に対してZ軸回りに傾いていることを検出する。
【0042】
次に、X線管3とFPD100との相対的な傾き角度の検出について、
図7を参照して説明する。
図7に示すように、左側漏れ光パターンPLLと右側漏れ光パターンPLRとの間の距離をL3とする。X線管3とFPD100との相対的なZ軸回りの傾きがない場合、左側漏れ光パターンPLLと右側漏れ光パターンPLRとの間の距離は、FPD100のX方向の長さL0(設計値)と2つの距離L1とを加算した数値(L0+2L1)である。これにより、X線管3とFPD100との相対的なZ軸回りの傾き角度θは、次の式(2)により表される。
θ=cos
-1(L3/(L0+2×L1))・・・(2)
【0043】
傾き検出部235は、左側漏れ光パターンPLLと右側漏れ光パターンPLRとの間の距離L3に基づいて、X線管3とFPD100との相対的なZ軸回りの傾き角度θを検出する。
【0044】
コンソール4には、中心位置検出部230により検出されたFPD100のX方向の中心位置、および、傾き検出部235により検出されたX線管3とFPD100との相対的な傾き角度が表示される。
【0045】
回診車2による胸部X線撮影においては、FPD100は、被検体10とベッド20との間に差し込まれて用いられる。つまり、FPD100は、被検体10の裏側に隠れる。操作者は、FPD100と被検体10との位置合わせを行う。位置合わせが十分に行われず、位置合わせの精度が低下すると、再撮影の頻度が高まる要因になる。
【0046】
上記実施の形態に係るFPD100によれば、左側発光部140Lと右側発光部140Rとが横方向中心軸A1に対し対称的に配置されている。これにより、操作者は、左側発光部140L側の漏れ光の強さ、および、右側発光部140R側の漏れ光の強さに基づいて、被検体10に対するFPD100の横方向の位置ずれの有無を視認することが可能である。
【0047】
次に、FPD100の位置ずれについて
図8を参照して説明する。
図8は、被検体10の背後からの漏れ光の強さ示す図である。
図8に示すように、左側発光部140L側の漏れ光の強く、右側発光部140R側の漏れ光の弱いことから、操作者は、被検体10に対するFPD100の左方向の位置ずれを視認することができる。
【0048】
上記実施の形態に係るX線撮影装置1によれば、被検体10の背後からX線管3側に漏れる発光部140の漏れ光を検知する漏れ光検知部210と、漏れ光のうち予め定められた光強度を示す漏れ光パターンを抽出する抽出部220と、漏れ光パターンに基づいて、FPD100の中心位置を検出する中心位置検出部230と、中心位置検出部230により検出されたFPD100のX方向の中心位置を報知するコンソール4とを備えている。これにより、操作者は、報知されたFPD100のX方向の中心位置に基づいて、被検体10の位置とFPD100のX方向の中心位置とを容易に合わせることが可能となる。
【0049】
次に、本実施の形態に係るX線撮影装置1の第1変形例について説明する。なお、変形例1においても、X線管3の位置とFPD100のX方向の中心位置とを合わせることについて説明する。
【0050】
第1変形例に係るX線撮影装置1は、
図9に示すように、学習部240を備えている。
例えば、部屋の照明がFPD100で反射する状態によっては、漏れ光検知部210が漏れ光を検知し難くなるため、中心位置検出部230がFPD100のX方向の中心位置を誤検出する原因となる。その結果、例えば、被検体10の位置とFPD100のX方向の中心位置との間のずれが許容範囲を超える場合がある。この場合、FPD100のX方向の中心位置は、補正される。
【0051】
学習部240は、漏れ光パターンと補正されたFPD100のX方向の中心位置とを対応させて記憶する。
【0052】
中心位置検出部230は、抽出部220により抽出される漏れ光パターンと、学習部240に記憶されている漏れ光パターンとを比較して、両方の漏れ光パターンが類似している場合、学習部240に記憶されている漏れ光パターンと対応するFPD100の中心位置(FPD100の補正された中心位置)を検出する。
【0053】
上記の変形例1によれば、漏れ光検知部210が漏れ光を検知するときの周囲環境に拘わらず、FPD100の中心位置が正確に検出されるため、FPD100と被検体10との位置合わせの精度をさらに向上することができる。
【0054】
次に、変形例2について
図10および
図11Aから
図11Cを参照して説明する。
図11Aは、FPD100のX軸回り、Y軸回りおよびZ軸回りのそれぞれの傾きを示す図である。
図11Bは、FPD100およびX線管3のX軸回り、Y軸回りおよびZ軸回りのそれぞれの傾きを示す図である。
図11Cは、FPD100およびX線管3のX軸回りの傾きを示す図である。
【0055】
上記実施の形態では、X線管3とFPD100との相対的な傾き角度は、傾き検出部235により検出されたが、本発明はこれに限らない。変形例2に係るX線撮影装置1は、
図10に示すように、第1角度センサー310、第2角度センサー320、角度差分検出部330および制御部340を備えている。
【0056】
第1角度センサー310は、
図11Aに示すように、FPD100のX軸回り傾き角度θx、Y軸回り傾き角度θyおよびZ軸回りの傾き角度θzを検出する。第1角度センサー310としては、加速度センサーや磁気センサーなどの公知のセンサーが用いられる。
【0057】
第2角度センサー320は、
図11Aおよび
図11Bに示すように、X線管3のX軸回りの傾き角度φx、Y軸回り回りの傾き角度φyおよびZ軸回りの傾き角度φzを検出する。第2角度センサー320としては、第1角度センサー310と同様に、加速度センサーや磁気センサーなどの公知のセンサーが用いられる。
【0058】
角度差分検出部330は、第1角度センサー310により検出されたFPD100のX軸回りの傾き角度θxと第2角度センサー320により検出されたX線管3のX軸回り傾き角度φxとの差分に基づいて、X線管3のFPD100に対するX軸回りの傾きを検出する。
【0059】
角度差分検出部330は、第1角度センサー310により検出されたFPD100のY軸回りの傾き角度θyと第2角度センサー320により検出されたX線管3のY軸回り傾き角度φyとの差分に基づいて、X線管3のFPD100に対するY軸回りの傾きを検出する。
【0060】
角度差分検出部330は、第1角度センサー310により検出されたFPD100のZ軸回りの傾き角度θzと第2角度センサー320により検出されたX線管3のZ軸回り傾き角度φzとの差分に基づいて、X線管3のFPD100に対するZ軸回りの傾きを検出する。
【0061】
以下、FPD100とX線管3との相対的な傾きについて
図11Cを参照して説明する。
図11Cは、FPD100のX軸回りの傾き角度θzおよびX線管3のX軸回りの傾き角度φzを示す図である。
【0062】
図11Cに示すように、傾き角度θxと傾き角度φxとの差分があり(θx-φx=α)、傾き角度θyと傾き角度φyとの差分がなく(θy-φy=0)、傾き角度θzと傾き角度φzとの差分がない場合(θz-φz=0)、角度差分検出部330は、X線管3のFPD100に対するX軸回りの傾きαを検出する。制御部340は、X線管3のFPD100に対する傾きαの情報をコンソール4に報知させる。操作者は、報知された情報を基づいてX線管3を傾ける。
【0063】
θx-φx=0、θy-φy=0、θz-φz=0の場合、制御部340は、X線管3のFPD100に対する傾きがない旨の情報をコンソール4に報知させる。
【0064】
上記の変形例2によれば、操作者は、X線管3とFPD100との相対的な傾きに基づいて、X線管3をFPD100に正対させることができる。
【0065】
次に、変形例3について説明する。上記実施の形態では、中心位置検出部230は、漏れ光パターンに基づいてFPD100の中心位置を検出する。仮に、X線管3が被検体10に正対していない場合、換言すれば、例えばX線管3が被検体10の真上にない場合、X線管3側に配置された漏れ光検知部210が、被検体10の背後から漏れる漏れ光を真上から検知できないため、漏れ光パターンを誤検知するおそれがある。
【0066】
そこで、変形例3における回診車2は、被検体10を撮像する被検体撮像部を備える。被検体撮像部の撮像面は、X線管3のX線照射面と同一方向に向けられている。被検体撮像部により撮像された画像の中心に被検体10がいるかどうかに基づいて、漏れ光検知部210が被検体10の背後から漏れる漏れ光を真上から検知できるかどうかについて容易に確認することが可能となる。これにより、漏れ光パターンを誤検知するおそれがない。
【0067】
変形例3によれば、被検体撮像部を設けることにより、漏れ光パターンの誤検知を防止することができるため、被検体10の位置とFPD100の中心位置とをより容易に合わせることが可能となる。
【0068】
なお、変形例3における被検体撮像部は、漏れ光検知部210であってもよい。また、制御部340は、X線管3を被検体10に正対させるための(X線管3を被検体10の真上に位置させるための)案内情報をコンソール4に報知させてもよい。
【0069】
なお、上記実施の形態では、X線管3の位置とFPD100の中心位置とは合っているものとして説明した。上記変形例3における被検体撮像部を用いることにより、X線管3の位置とFPD100の中心位置とを容易に合わせることが可能である。以下の理由による。被検体撮像部により撮像された被検体10の画像を用いることにより、X線管3を被検体10の真上に位置させることができる。左側漏れ光パターンPLLおよび右側漏れ光パターンPLRに基づいて、被検体10の位置とFPD100の中心位置とを合わせることができる。これにより、X線管3の位置とFPD100の中心位置とを合わせることが可能となる。
【0070】
上記実施の形態および各変形例においては、発光部140は、横方向中心軸A1に対し対称的に配置されるが、本発明はこれに限らず、例えば、発光部140は、検出面120の周囲に配置される。この場合、中心位置検出部230は、発光部140の予め定められた配置位置に基づいて、FPD100の中心位置を検出する。
【0071】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 X線撮影装置
2 回診車
3 X線管
4 コンソール
10 被検体
20 ベッド
100 FPD
110 上カバー
112 外枠
114B 奥側縁
114F 手前側縁
114L 左側縁
114R 右側縁
120 検出面(シンチレータ層)
130 下カバー
140 発光部
140B 奥側発光部
140F 手前側発光部
140L 左側発光部
140R 右側発光部
210 漏れ光検知部
220 抽出部
230 中心位置検出部
235 傾き検出部
240 学習部
310 第1角度センサー
320 第2角度センサー
330 角度差分検出部
340 制御部