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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】印刷装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20240806BHJP
   B41J 11/04 20060101ALI20240806BHJP
   B41J 25/304 20060101ALI20240806BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20240806BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J11/04
B41J25/304 U
B41J29/13 103
B65H43/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023093593
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2019153836の分割
【原出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2023126211
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 直輝
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-037154(JP,A)
【文献】特開平02-137969(JP,A)
【文献】国際公開第2017/064980(WO,A1)
【文献】特開2014-124812(JP,A)
【文献】特開2013-184340(JP,A)
【文献】特開2016-034716(JP,A)
【文献】特開2010-221563(JP,A)
【文献】特開2014-188891(JP,A)
【文献】特開2013-121668(JP,A)
【文献】特開2016-034714(JP,A)
【文献】特開2018-065298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36
B41J 29/13
B41J 25/304
B65H 43/00
B41J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体を介して前記搬送部と圧接するように、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記モータの回転速度を検出する速度検出部と、
前記速度検出部により検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の残量の状態を判定する制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記速度検出部により検出した前記モータの回転速度が所定の速度範囲内であるか否かに応じて、前記被印刷媒体の残量の状態を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記速度検出部により検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の表面における異物の有無の状態を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
モータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を介して前記搬送部と圧接するように、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部とを備える印刷装置の制御方法であって、
前記モータの回転速度を検出することと、
検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の残量の状態を判定することと
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
モータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を介して前記搬送部と圧接するように、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部とを備える印刷装置に、
前記モータの回転速度を検出し、
検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の残量の状態を判定する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、モータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部とを備えた印刷装置には、印刷部が被印刷媒体を介して搬送部と圧接した状態で被印刷媒体に対する印刷を行うものがある。例えば、サーマルプリンタでは、印刷部としてのサーマルヘッドが被印刷媒体を介して搬送部としてのプラテンローラと圧接した状態で、プラテンローラを回転させて被印刷媒体を搬送しながらサーマルヘッドによる被印刷媒体に対する印刷を行う。
【0003】
この種の印刷装置には、筐体に開閉可能な蓋体が取り付けられており、筐体の蓋体の近傍に、蓋体の開閉を検知する専用のセンサが設けられているものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-096389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筐体に開閉可能な蓋が取り付けられた上述の印刷装置には、蓋が完全に閉じていない状態で被印刷媒体に印刷を行うと、印刷品質の劣化や印刷の失敗が生じるものがある。このため、この種の印刷装置においては、被印刷媒体に印刷を行う際の蓋の開閉状態を正しく検知することが望まれる。
【0006】
一方、従来の印刷装置では蓋の開閉状態の検知に専用のセンサを用いる必要があった。また、印刷装置の他の状態を検知するために、蓋の開閉状態を検知する専用センサ以外の専用のセンサを用いて印刷装置の状態をセンシングする必要があった。
【0007】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、専用のセンサを用いなくても、印刷装置の状態を正しく検知することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る印刷装置は、モータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を介して前記搬送部と圧接するように、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、前記モータの回転速度を検出する速度検出部と、前記速度検出部により検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の残量の状態を判定する制御部とを備える。
【0010】
本発明の一態様に係る制御方法はモータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を介して前記搬送部と圧接するように、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部とを備える印刷装置の制御方法であって、前記モータの回転速度を検出することと、検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の残量の状態を判定することとを含む。
【0011】
本発明の一態様に係るプログラムは、モータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を介して前記搬送部と圧接するように、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部とを備える印刷装置に、前記モータの回転速度を検出し、検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の残量の状態を判定する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の態様によれば、専用のセンサを用いなくても、印刷装置の状態を正しく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る印刷装置1の平面図である。
図2図1の印刷装置1における蓋4と重なる部位の内部構成例を示す部分平面図である。
図3】蓋4の開閉動作と連動したサーマルヘッド701の動作を説明する図である。
図4】一実施形態に係る印刷装置1の機能構成を説明するブロック図である。
図5】印刷装置1の状態の判定に用いる速度情報の例を説明する図である。
図6】一実施形態に係る印刷処理を説明するフローチャートである。
図7図6のフローチャートにおける回転速度調整処理の一例を説明するフローチャートである。
図8】一実施形態に係る印刷装置1が行うセルフチェック処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る印刷装置に関する実施形態を説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る印刷装置1の平面図である。図2は、図1の印刷装置1における蓋4と重なる部位の内部構成例を示す部分平面図である。図2のX方向及びY方向は図1のX方向及びY方向と一致する。なお、図2では、印刷装置1に設けられた入力装置3におけるキー(ボタン)の一部を省略している。
【0016】
図1及び図2に例示した印刷装置1は、長尺の感熱テープ12に印刷を行うサーマルヘッド701を備えたラベルプリンタである。感熱テープ12は、加熱することにより発色又は色が変化する感熱層と、該感熱層に積層された粘着層と、該粘着層を保護するセパレータ(剥離紙)とを含む。感熱テープ12は、被印刷媒体の一例である。感熱テープ12は、円筒形状の芯材に感熱テープ12を巻き付けたテープロール11から供給される。テープロール11は、媒体アダプタ10内に収容されており、芯材の軸心方向を回転軸として回転可能な状態で媒体アダプタ10に支持されている。図1及び図2の印刷装置1では、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向がテープロール11の芯材の軸心方向(すなわち被記録媒体11の回転軸)となる。テープロール11の感熱テープ12は、媒体アダプタ10に設けられた引き出し口(図示せず)から媒体アダプタ10の外部に繰り出され、該繰り出された部分に文字列等が印刷される。なお、図1及び図2における、下線が引かれた「9」という数字は、感熱テープ12の幅が9mmであることを示す。
【0017】
以降では、感熱テープ12に印刷をする感熱方式のラベルプリンタを印刷装置1の例として説明するが、印刷装置1の印刷方式は特に限定されない。例えば、印刷装置1は、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタであってもよい。
【0018】
印刷装置1は、装置筐体2と、入力装置3と、蓋4と、表示装置5とを備える。
【0019】
装置筐体2は、印刷装置1の動作を制御する制御回路の一部を含むプリント回路板(図示せず)、媒体アダプタ10、プラテンローラ6、印刷ユニット7、カッター8等を収容する。また、図示はしていないが、装置筐体2には、電源コード接続端子、外部機器接続端子、記録媒体挿入口等が設けられている。
【0020】
装置筐体2には、蓋4が開閉自在な状態で取り付けられている。蓋4は、閉じた状態であるときに装置筐体2に設けられた係止部材1301と係合する鍵状突出部401を有する。係止部材1301と鍵状突出部401とは蓋4の開く方向への移動を規制する態様で係合する。係止部材1301と鍵状突出部401との係合は、装置筐体2に設けられたオープンボタン1302に対して所定の操作をすることにより解除される。装置筐体2のうちの、蓋4が閉じた状態である場合に、XY平面視において蓋4と重ならない領域には、入力装置3が設けられている。入力装置3は、キーボード装置であり、文字の入力や設定項目の選択等、印刷装置1に対する各種情報の入力に利用する。また、蓋4には液晶ディスプレイ等の表示装置5が設けられており、該表示装置5には、入力装置3により入力された情報や印刷装置1の設定に関する各種情報等が表示される。
【0021】
装置筐体2のうちの、蓋4が閉じた状態である場合に、XY平面視において蓋4の下方となる領域(蓋4と重なる領域)には、アダプタ収容部2a、プラテンローラ6、印刷ユニット7、及びカッター8が設けられている。アダプタ収容部2aは、媒体アダプタ10を収容可能な空間を画成する凹形状の部位である。アダプタ収容部2aは、図1及び図2に示したような感熱テープ12の幅が9mmのテープロール11を収容する媒体アダプタ10に限らず、他の幅(例えば、6mm、12mm、及び18mm等)の感熱テープ12のテープロール11を収容する媒体アダプタ10も収容可能な形状に形成されている。
【0022】
プラテンローラ6は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12を搬送するローラである。プラテンローラ6は、図示しない搬送用モータ(例えば、DC(直流)モータ)と接続されており、該搬送用モータからの動力により回転する。印刷装置1では、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12を、プラテンローラ6と印刷ユニット7のサーマルヘッド701との間に狭持した状態でプラテンローラ6を回転させることにより、感熱テープ12を所望の搬送方向に搬送する。プラテンローラ6は、モータの動力により被印刷媒体(例えば、感熱テープ12)を搬送する搬送部の一例である。
【0023】
印刷ユニット7は、感熱テープ12に対する印刷を行うものであり、サーマルヘッド(印刷ヘッド)701を含む。サーマルヘッド701は、感熱テープ12の搬送方向に直交する主走査方向(すなわち感熱テープ12の幅方向と平行な方向)に配列された複数の発熱素子を有し、発熱素子で感熱テープ12を加熱することにより1ラインずつ印刷を行う。サーマルヘッド701は、被印刷媒体(例えば、感熱テープ12)に印刷を行う印刷部の一例である。本実施形態の印刷装置1におけるサーマルヘッド701は、後述するように、蓋4の開閉動作と連動してプラテンローラ6に対する相対位置が変化する。
【0024】
カッター8は、感熱テープ12をカット(切断)する切断装置であり、例えば、感熱テープ12における印刷が行われた領域をラベルとして個片化することに用いられる。
【0025】
図3は、蓋4の開閉動作と連動したサーマルヘッド701の動作を説明する図である。図3の(a)には、蓋4が開いている状態(蓋オープン状態)である場合の、プラテンローラ6とサーマルヘッド701との位置関係を模式的に示している。また、図3の(b)には、蓋4が閉じている状態(蓋クローズ状態)である場合の、プラテンローラ6とサーマルヘッド701との位置関係を模式的に示している。なお、本明細書における蓋オープン状態は、蓋4の鍵状突出部401と装置筐体2の係止部材1301とが蓋4の開く方向への移動を規制する係合をしていない状態、すなわち、装置筐体2のオープンボタン1302を操作することなく、蓋4の開閉操作を行うことができる状態とする。また、本明細書における蓋クローズ状態は、蓋4の鍵状突出部401が装置筐体2の係止部材1301と係合しており、蓋4の開く方向への移動が規制されている状態とする。
【0026】
蓋4を開く操作は、例えば、装置筐体2のアダプタ収容部2aに媒体アダプタ10を収容するときに行われる。このとき、印刷装置1の利用者は、媒体アダプタ10の外部に引き出された感熱テープ12がプラテンローラ6とサーマルヘッド701との間を通るように媒体アダプタ10を収容する。このため、蓋オープン状態である場合には、図3の(a)に示したように、サーマルヘッド701とプラテンローラ6との距離D0を感熱テープ12の厚さD1よりも長くする。これにより、プラテンローラ6とサーマルヘッド701との間に感熱テープ12を挿入しやすくなる。また、挿入時に感熱テープ12がプラテンローラ6やサーマルヘッド701と接触して外力を受けることにより感熱テープ12が折れてしまうことや、感熱テープ12の表面やサーマルヘッド701の表面に傷がついてしまうことを防げる。
【0027】
一方、印刷装置1で感熱テープ12に印刷をする場合には、図3の(b)に示したように、サーマルヘッド701の表面を感熱テープ12と確実に接触させ、かつ感熱テープ12を安定した搬送速度で搬送する必要がある。また、感熱テープ12に対する印刷は、一般に、蓋クローズ状態で行う。このため、印刷装置1には、蓋オープン状態と蓋クローズ状態とでプラテンローラ6に対するサーマルヘッド701の相対位置を変更させる機構が設けられている。この機構は、蓋オープン状態ではサーマルヘッド701とプラテンローラ6との距離が感熱テープ12の厚さD1よりも長くなり、蓋クローズ状態ではサーマルヘッド701とプラテンローラ6との距離が感熱テープ12の厚さD1よりも短くなるように構成される。すなわち、印刷装置1は、蓋クローズ状態では、サーマルヘッド701がプラテンローラ6と感熱テープ12を介して圧接するように構成されている。
【0028】
このようにサーマルヘッド701とプラテンローラ6との間に感熱テープ12が介在している場合、蓋クローズ状態の印刷装置1では、プラテンローラ6が感熱テープ12を介してサーマルヘッド701からの押圧荷重Fを受ける。このため、図示していないDCモータの動力によりプラテンローラ6を回転させた場合、プラテンローラ6が受ける押圧荷重Fが負荷となり、プラテンローラ6(DCモータ)の回転速度がDCモータに印加した電圧と対応する回転速度よりも小さくなる。したがって、印刷装置1では、速度検出部2603によりDCモータの回転速度を検出し、検出したDCモータの回転速度と、感熱テープ12の搬送速度に応じた回転速度の目標値とに基づいて、DCモータに印加する電圧を調整している。速度検出部2603は、エンコーダを利用して回転速度を検出する。回転速度の目標値は、1ライン分の印刷に対するサーマルヘッド701の印刷制御が後続の1ラインの印刷に影響しないように、サーマルヘッド701による1ライン分の印刷制御と同期する感熱テープ12の搬送速度と対応するモータの回転速度である。言い換えると、回転速度の目標値は、サーマルヘッド701による1ライン分の印刷が行われる期間に感熱テープ12を1ライン分だけ搬送する感熱テープ12の搬送速度と対応するモータの回転速度である。回転数の目標値は、例えば、印刷中のサーマルヘッド701の発熱素子の温度変化、感熱テープ12を介してサーマルヘッド701から受ける押圧荷重Fの大きさ等に基づいて設定される。
【0029】
しかしながら、印刷装置1では、例えば、印刷中に蓋クローズ状態から蓋オープン状態になってしまうことがある。印刷中に蓋オープン状態になると、サーマルヘッド701がプラテンローラ6から遠ざかる方向に移動するため、感熱テープ12の搬送速度及びサーマルヘッド701と感熱テープ12との接触が不安定となり、感熱テープ12に正しく印刷することができない。同様に、見かけ上は蓋クローズ状態であっても実際には蓋オープン状態である印刷装置1において印刷を開始してしまった場合にも、感熱テープ12に正しく印刷することができない。このため、従来の印刷装置1では、蓋4の開閉状態を検知する専用のセンサを設け、該センサの出力に基づいて蓋オープン状態であると判定した場合には印刷を中止する等の制御を行うことがある。しかしながら、このような蓋4の開閉状態のみを検知する専用のセンサを設けることは、印刷装置1の製品コストの上昇につながる。
【0030】
本実施形態に係る印刷装置1は、蓋クローズ状態と蓋オープン状態とでプラテンローラ6(DCモータ)にかかる負荷が異なることを利用し、速度検出部2603により検出されるDCモータの回転速度に基づいて蓋4の開閉状態を検知する。
【0031】
図4は、一実施形態に係る印刷装置1の機能構成を説明するブロック図である。図5は、印刷装置1の状態の判定に用いる速度情報の例を説明する図である。
【0032】
図4に例示したように、本実施形態に係る印刷装置1は、機能構成の観点では、制御部21と、入力部22と、表示部23と、記憶部24と、テープ種別検知部25と、搬送処理部26と、印刷処理部27と、切断処理部28とを備える。
【0033】
制御部21は、後述する印刷処理を含む、印刷装置1において実行可能な各種処理を制御する。制御部21が制御する処理は、後述するセルフチェック処理を含んでもよい。印刷装置1においては、例えば、該印刷装置1が備えるCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサが、各種プログラムを実行することにより制御部21として機能する。
【0034】
入力部22は、感熱テープ12に印刷する文字や図形等の入力、各種処理に係る設定値や実行命令の入力等を受け付ける。入力部22は、例えば、図1に示した入力装置3が持つ機能の1つである。表示部23は、入力部22からの入力に対応する文字や図形、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等を表示する。表示部23は、例えば、図1に示した表示装置5が持つ機能の1つである。
【0035】
記憶部24は、印刷装置1において各種処理を実行する際に必要となるプログラムや情報を記憶する。印刷装置1においては、該印刷装置1が備えるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の記憶装置が、記憶部24として機能する。本実施形態の印刷装置1における記憶部24に記憶させる情報は、図5に例示したような速度情報30を含む。速度情報30は、印刷装置1による印刷が可能なテープ種別毎の正常印刷時の速度範囲とテープ切れ時の速度範囲とを含む。テープ種別は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12の種別であり、例えば、感熱テープ12の幅に基づく種別を含む。正常印刷時の速度範囲は、蓋クローズ状態であり、かつ感熱テープ12を適切な搬送速度で搬送しながら印刷しているときの、DCモータ2601の回転速度の範囲である。正常印刷時の速度範囲は、上述した回転速度の目標値を含む。テープ切れ時の速度範囲は、蓋クローズ状態であり、かつテープロール11の感熱テープ12を使い切った状態(言い換えると、サーマルヘッド701とプラテンローラ6との間に感熱テープ12が介在していない状態)であるときの、DCモータ2601の回転速度の範囲である。
【0036】
テープ種別検知部25は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12の種別を検知する。テープ種別検知部25は、例えば、感熱テープ12の幅を検知する。テープ種別検知部25は、アダプタ収容部2aに媒体アダプタ10が収容されているか否かの検知、及び媒体アダプタ10がどのテープ幅のテープロール11の収容に適したものであるかの検知等を行ってもよい。
【0037】
搬送処理部26は、感熱テープ12を所定の搬送方向に所定の搬送量(搬送長さ)だけ搬送する処理を行う。搬送処理部26は、DCモータ及びプラテンローラ6を含む搬送機構が持つ機能の1つである。搬送処理部26は、DCモータ2601を駆動する駆動部2602と、速度検出部2603とを含む。駆動部2602は、感熱テープ12の搬送方向と、該感熱テープ12の適切な搬送速度に基づいて設定した回転速度の目標値と、速度検出部2603で検出したDCモータ2601の回転速度とに基づいて、DCモータ2601に印加する電圧を調整する。速度検出部2603は、エンコーダの周期からDCモータ2601の回転速度を検出する。
【0038】
印刷処理部27は、感熱テープ12に熱エネルギーを印加し感熱テープ12に文字や図形を印刷する処理を行う。印刷処理部27は、サーマルヘッド701を含む印刷ユニット7が持つ機能の1つである。切断処理部28は、感熱テープ12をカット(切断)する処理を行う。切断処理部28は、カッター8を含む切断機構が持つ機能の1つである。
【0039】
本実施形態の印刷装置1では、既知の印刷装置と同様の手順により印刷データを作成することができる。印刷データは、感熱テープ12に印刷する文字や図形の位置、大きさ等を示す情報と、印刷回数(作成するラベルの枚数)と、切断位置を示す情報とを含む。印刷データが作成され、入力部23からの印刷実行を指示する情報を制御部21で受け付けると、印刷装置1は、印刷データに基づく印刷処理を実行する。本実施形態の印刷装置1は、印刷処理として、例えば、図6のフローチャートに沿った処理を行う。図6は、一実施形態に係る印刷処理を説明するフローチャートである。
【0040】
印刷処理を開始すると、印刷装置1は、DCモータの回転を開始させ(ステップS1)、該DCモータの回転が安定するのを待つ(ステップS2)。ステップS1及びS2の処理は、制御部21による制御のもと搬送処理部26が行う。搬送処理部26は、駆動部2602が回転速度の目標値に基づいてDCモータ2601を駆動させた後、該DCモータ2601の回転速度が安定するのを待つ。DCモータ2601の回転速度が安定したか否かの判定は、例えば、速度検出部2603により検出した回転速度が安定したか否かで判定する。DCモータ2601の回転速度が安定したか否かの判定は、例えば、回転を開始させてからの経過時間により判定してもよい。
【0041】
DCモータの回転が安定すると、印刷装置1は、回転速度調整処理(ステップS3)を行う。回転速度調整処理は、速度検出部2603で検出したDCモータ2601の回転速度と、回転速度の目標値とに基づいて、DCモータ2601の回転速度を調整する処理である。回転速度の目標値は、上述したように、サーマルヘッド701による1ライン分の印刷が行われる期間に感熱テープ12を1ライン分だけ搬送する感熱テープ12の搬送速度と対応するモータの回転速度である。なお、本実施形態の印刷装置1が行う回転速度調整処理は、検出したDCモータ2601の回転速度と速度情報30とに基づいて、蓋オープン状態及びテープ切れを検知する処理を含む。本実施形態に係る回転速度調整処理の具体例は後述する。
【0042】
回転速度調整処理を終えると、印刷装置1は、自装置の状態が蓋オープン状態又はテープ切れの状態であるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の判定は、例えば、制御部21が行う。回転速度調整処理において自装置の状態が蓋オープン状態であること又はテープ切れの状態であることを検知した場合(ステップS4;YES)、制御部21は、印刷を中止する(ステップS8)。
【0043】
自装置の状態が蓋オープン状態及びテープ切れの状態のどちらでもない場合(ステップS4;NO)、印刷装置1は、1ライン分の印刷を実施する(ステップS5)。ステップS5の処理は、制御部21による制御のもと搬送処理部26及び印刷処理部27が行う。ステップS5において、印刷装置1は、既知の印刷装置と同様の手順で1ライン分の印刷を行う。なお、ステップS5の処理は、例えば、1ライン分の印刷を行っている間、或いはその前後に、感熱テープ12をカットする処理を含んでもよい。
【0044】
1ライン分の印刷が完了すると、印刷装置1は、次の印刷データがあるか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6の判定は、制御部21が行う。制御部21は、作成した印刷データに基づいて印刷の対象に指定された感熱テープ12上の全てのラインに対し、ステップS5の印刷が実施されたか否かを判定する。ステップS5の印刷が実施されていないラインがある場合に、印刷装置1は、次の印刷データがあると判定する。次の印刷データがある場合(ステップS5;YES)、印刷装置1は、ステップS3以降の処理を行う。
【0045】
次の印刷データがない場合(ステップS5;NO)、印刷装置1は、感熱テープ12の印刷済みの部分を排出しDCモータ2601を停止する(ステップS7)。ステップS7の処理は、制御部21による制御のもと搬送処理部26及び切断処理部28が行う。ステップS7において、搬送処理部26は、感熱テープ12における印刷済みの部分と次回以降の印刷処理において印刷に使用する部分(余白となる先端部分)との境界を、切断処理部28により切断可能な位置まで搬送してDCモータ2601を停止させる。切断処理部28は、感熱テープ12における上記の境界が切断可能な位置に到来すると感熱テープ12を切断する。
【0046】
ここで、蓋オープン状態又はテープ切れの状態が検知された場合の処理の説明に戻る。蓋オープン状態又はテープ切れの状態である場合、印刷装置1は、感熱テープ12に正しく印刷をすることができない。このため、印刷装置1は、上述のように印刷を中止する(ステップS8)。印刷を中止した場合、印刷装置1は、感熱テープ12の印刷済みの部分を排出しDCモータ2601を停止する(ステップS7)。ステップS5の処理を1回も行っていない段階で印刷を中止した場合には、感熱テープ12には印刷済みの部分が存在しないので、印刷装置1は、ステップS7においてDCモータ2601を停止させる処理のみを行う。一方、ステップS5の処理を1回以上行った後で印刷を中止した場合には、印刷装置1は、例えば、印刷を中止した時点で印刷の対象となっているラインまでを印刷済みの部分として切断し排出する。
【0047】
図7は、図6のフローチャートにおける回転速度調整処理の一例を説明するフローチャートである。
【0048】
回転速度調整処理(ステップS3)では、印刷装置1は、まず、DCモータ2601の回転速度を検出する(ステップS301)。DCモータ2601の回転速度は、速度検出部2603が検出する。速度検出部2603は、エンコーダの周期に基づいてDCモータ2601の回転速度を検出する。
【0049】
次に、印刷装置1は、検出した回転速度がテープ切れ時の速度範囲内であるか否かを判定する(ステップS302)。ステップS302の判定は、例えば、制御部21が行う。制御部21は、記憶部24に記憶させた速度情報30を参照し、速度検出部2603で検出した回転速度Vrがテープ切れ時の速度範囲内(V1≦Vr≦V2)であるか否かを判定する。検出した回転速度Vrがテープ切れ時の速度範囲内である場合(ステップS302;YES)、印刷装置1は、現在の自装置の状態がテープ切れの状態であると認識し(ステップS309)、回転速度調整処理を終了する。この場合、回転速度調整処理においてテープ切れの状態であることが検知されたことになる。このため、回転速度調整処理を終了した後、印刷装置1は、印刷を中止する(ステップS8)。
【0050】
検出した回転速度がテープ切れ時の速度範囲内ではない場合(ステップS302;NO)、印刷装置1は、次に、検出した回転速度が上述した目標値よりも大きいか否かを判定する(ステップS303)。検出した回転速度が目標値以下である場合(ステップS303;NO)、印刷装置1は、DCモータ2601を加速させる(ステップS304)。ステップS304において、印刷装置1は、検出した回転速度と目標値との差分と、DCモータ2601における印加電圧と回転速度との関係とに基づいて、DCモータ2601に印加する電圧を高くする。なお、検出した回転速度が目標値と等しい場合、ステップS304において、印刷装置1は、DCモータ2601に印加する電圧を現在の電圧に維持する(加速度0で加速する)。
【0051】
一方、検出した回転速度が目標値よりも大きい場合(ステップS303;YES)、印刷装置1は、次に、検出した回転速度が正常印刷時の速度範囲内であるか否かを判定する(ステップS305)。ステップS305の判定は、例えば、制御部21が行う。制御部21は、記憶部24に記憶させた速度情報30を参照し、検出した回転速度が現在印刷を行っている感熱テープ12についての正常印刷時の速度範囲内であるか否かを判定する。例えば、現在印刷を行っている感熱テープ12のテープ種別が、図5の速度情報30におけるテープ種別Aである場合、制御部21は、検出した回転速度VrがVA1≦Vr≦VA2であるか否かを判定する。検出した回転速度が正常印刷時の速度範囲内である場合(ステップS305;YES)、印刷装置1は、DCモータ2601を減速させる(ステップS306)。ステップS306において、印刷装置1は、検出した回転速度と目標値との差分と、DCモータ2601における印加電圧と回転速度との関係とに基づいて、DCモータ2601に印加する電圧を低くする。
【0052】
ステップS304及びステップS306のいずれかを行った場合、印刷装置1は、現在の自装置の状態が蓋オープン状態ではないと認識し(ステップS307)、回転速度調整処理を終了する。この場合、回転速度調整処理では蓋オープン状態及びテープ切れの状態のどちらも検知されていない。このため、回転速度調整処理が終了した後、印刷装置1は、1ライン分の印刷を実施する(ステップS5)。
【0053】
これに対し、検出した回転速度が正常印刷時の速度範囲外であると判定された場合(ステップS305;NO)、印刷装置1は、現在の自装置の状態が蓋オープン状態であると認識し(ステップS308)、回転速度調整処理を終了する。この場合、回転速度調整処理において蓋オープン状態であることが検知されたことになる。このため、回転速度調整処理が終了した後、印刷装置1は、印刷を中止する(ステップS8)。
【0054】
このように、本実施形態に係る印刷装置1が行う印刷処理では、検出した回転速度と目標値とに基づいてDCモータ2601の回転速度を調整する処理において、検出した回転速度に基づいて自装置の状態が蓋オープン状態又はテープ切れの状態であるか否かを判定する。すなわち、本実施形態に係る印刷装置1では、DCモータ2601の回転速度の検出に用いる速度検出部2603の検出結果に基づいて、自装置の状態が蓋オープン状態又はテープ切れの状態であるか否かを判定することができる。このため、本実施形態に係る印刷装置1では、蓋4の開閉状態を検知する専用のセンサを用いることなく、自装置の状態が蓋オープン状態であるか否かを正しく検知することができる。同様に、本実施形態に係る印刷装置1では、被印刷媒体(例えば、感熱テープ12)の残量を検知する専用のセンサを用いることなく、自装置の状態がテープ切れの状態であるか否かを正しく検知することができる。したがって、本実施形態に係る印刷装置1によれば、専用のセンサを用いなくても、印刷装置1の状態を正しく検知することができる。また、専用のセンサを用いることなく、印刷装置1の状態を正しく検知することができるため、印刷装置1の製品コストの上昇を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る印刷装置1では、印刷処理中に蓋オープン状態であることを検知した場合に速やかに印刷を中止することができる。このため、印刷処理中に蓋オープン状態になることによる印刷の失敗により無駄になる感熱テープ12の量を低減することができる。また、本実施形態に係る印刷装置1では、印刷処理中にテープ切れの状態であることを検出した場合に速やかに印刷を中止することができる。このため、例えば、印刷データに基づいて発熱素子を加熱するサーマルヘッド701と回転するプラテンローラ6とが接触した状態が続き、それぞれの表面に傷が生じること等を防ぐことができる。
【0056】
なお、自装置の状態が蓋オープン状態又はテープ切れの状態であるか否かを検知する処理は、上述した印刷処理内に限らず、印刷処理とは別の処理として実施してもよい。例えば、自装置の状態が蓋オープン状態であるか否かを検知する処理は、電源投入時のセルフチェックの項目の1つ、或いは印刷処理に対する事前処理として、印刷装置1のハードウェアプロセッサが実行するプログラムに組み込まれていてもよい。
【0057】
図8は、一実施形態に係る印刷装置1が行うセルフチェック処理を説明するフローチャートである。
【0058】
セルフチェックの項目の1つとして自装置の状態が蓋オープン状態であるか否かを検知する処理を実施する場合、印刷装置1は、まず、テープ種別を検知したか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の判定は、例えば、制御部21が行う。制御部21は、テープ種別検知部25によるテープ種別の検知結果を取得し、テープ種別が検知されたか否かを判定する。例えば、装置筐体2のアダプタ収容部2aに媒体アダプタ10が収容されていない場合、媒体アダプタ10にテープロール11が収容されていない場合、及びテープ切れの状態である場合には、テープ種別が検知されない。テープ種別が検知されていない場合(ステップS11;NO)、印刷装置1は、例えば、表示部23(表示装置5)を利用して、利用者に対し感熱テープ12がセットされていないことを通知し(ステップS17)、セルフチェック処理を終了する。
【0059】
テープ種別が検知されている場合(ステップS11;YES)、印刷装置1は、DCモータの回転を開始させ(ステップS12)、回転が安定するのを待つ(ステップS13)。ステップS12及びS13は、それぞれ、図6のフローチャートにおけるステップS1及びS2と対応する。
【0060】
DCモータ2601の回転が安定した後、印刷装置1は、DCモータの回転速度を検出し(ステップS14)、検出した回転速度が正常印刷時の速度範囲内であるか否かを判定する(ステップS15)。ステップS14及びS15は、それぞれ、図7のフローチャートにおけるステップS301及びS305と対応する。検出した回転速度が正常印刷時の速度範囲内である場合(ステップS15;YES)、印刷装置1は、自装置の状態が蓋クローズ状態であると認識し、セルフチェック処理を終了する。
【0061】
一方、検出した回転速度が正常印刷時の速度範囲外である場合(ステップS16;NO)、印刷装置1は、例えば、表示部23(表示装置5)を利用して、利用者に対し蓋4が開いていること(蓋オープン状態であること)を通知し(ステップS16)、セルフチェック処理を終了する。
【0062】
このように、印刷処理を開始する前に蓋オープン状態であるか否かを検知する処理を実施することで、印刷処理中に蓋オープン状態になって印刷が失敗することを防げ、印刷の失敗により無駄になる感熱テープ12の量を低減することができる。
【0063】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。印刷装置、制御方法、及び、プログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。例えば、印刷装置1は、スマートフォンやタブレットコンピュータ等の通信機器と無線又は有線による通信が可能であり、該通信機器を入力装置及び表示装置として利用可能なものであってもよい。この種の印刷装置1においては、入力装置3及び表示装置5を省略可能である。
【0064】
また、上述した実施形態では、検出したDCモータ2601の回転速度と、蓋4が閉じている状態で感熱テープ12に印刷を行う際のDCモータ2601の回転速度の目標値に基づいて設定した正常印刷時の速度範囲(閾値)とに基づいて、蓋4の開閉状態を判定している。しかしながら、蓋4の開閉状態は、例えば、検出したDCモータ2601の回転速度と、蓋4が閉じている状態で感熱テープ12に印刷を行う際のDCモータ2601の回転速度とを比較し、該比較結果に基づいて判定してもよい。同様に、テープ切れの状態であるか否かについても、例えば、検出したDCモータ2601の回転速度と、蓋4が閉じている状態で感熱テープ12に印刷を行う際のDCモータ2601の回転速度との比較結果に基づいて判定してもよい。回転速度を比較して判定する場合、例えば、印刷装置1が置かれている環境や印刷装置1の使用歴等により正常印刷時の速度範囲に変化が生じたとしても、印刷装置1の状態を正しく判定することができる。モータ2601の回転速度の比較結果に基づいて蓋4の開閉状態等を判定する場合、印刷装置1は、図4に例示した各機能ブロックに加え、回転速度を比較する比較部を備えてもよい。また、回転速度を比較する比較部は、制御部21又は搬送処理部26に組み込まれてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、蓋オープン状態やテープ切れの状態のようにDCモータ2601の検出した回転速度が目標値よりも大きくなる状態を検知する例を説明したが、これとは別に、例えば、DCモータ2601の検出した回転速度が目標値と比べて著しく小さくなる状態を検知してもよい。例えば、感熱テープ12の表面に異物が付着している場合、該異物がサーマルヘッド701と感熱テープ12との間、或いはプラテンローラ6と感熱テープ12との間に挟まると、プラテンローラ6にかかる負荷が大きくなりDCモータ2601の回転速度が低下することがある。このため、例えば、検出した回転速度が目標値よりも小さく、かつその差の絶対値が所定の閾値以上となる場合に、自装置の状態が異物により搬送速度が低下している状態であると認識し、印刷を中止して印刷装置1の利用者に対し通知するようにしてもよい。このような印刷装置1では、被印刷媒体(例えば、感熱テープ12)の表面に付着した異物が原因で印刷が失敗することにより無駄になる被印刷媒体の量を低減することができる。また、専用のセンサを用いることなく異物の有無の状態を検知することができるため、製品コストの上昇を抑えることができる。
【0066】
また、DCモータの検出した回転速度に基づいて上述した印刷装置1の状態を判定する場合には、例えば、検出した回転速度の時間変化における変化量の大きさに基づいて判定してもよい。例えば、図7のフローチャートにおけるステップS301で検出したDCモータ2601の回転速度を前回の回転速度調整処理で検出した回転速度と比較し、その差分が所定の閾値以上となった場合に、蓋オープン状態又はテープ切れの状態であるか否かを判定してもよい。
【0067】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
モータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部であって、該印刷部と前記搬送部との間に前記被印刷媒体が介在している状態で装置筐体に取り付けられた蓋を閉じた場合に、前記蓋の開閉動作と連動して前記搬送部に対する相対位置が変化し、前記搬送部と前記被印刷媒体を介して圧接する前記印刷部と、
前記モータの回転速度を検出する速度検出部と、
検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記蓋の開閉状態を判定する制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
[付記2]
前記制御部は、検出した前記モータの回転速度と、前記蓋が閉じている状態で前記被印刷媒体に印刷を行う際の前記モータの回転速度に基づいて設定した閾値とに基づいて、前記蓋の開閉状態を判定する
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記3]
モータの回転速度を比較する比較部を更に備え、
前記比較部は、前記検出した前記モータの回転速度と、前記蓋が閉じている状態で前記被印刷媒体に印刷を行う際の前記モータの回転速度とを比較し、
前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記蓋の開閉状態を判定する
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記4]
前記制御部は、更に、検出した前記モータの回転速度と、前記被印刷媒体に印刷を行う際の前記モータの回転速度の目標値との差分に基づいて、前記モータの回転速度を調整する
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記5]
前記モータの回転速度の前記目標値は、前記印刷部による前記被印刷媒体に対する1ライン分の印刷が行われる期間に、前記被印刷媒体を前記1ライン分だけ搬送する前記被印刷媒体の搬送速度と対応する、前記モータの回転速度である
ことを特徴とする付記4に記載の印刷装置。
[付記6]
前記制御部は、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷処理中に、前記蓋の開閉状態を判定し、前記蓋が開いている状態であると判定した場合には、前記印刷処理を中止する
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記7]
モータの動力により被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部であって、該印刷部と前記搬送部との間に前記被印刷媒体が介在している状態で装置筐体に取り付けられた蓋を閉じた場合に、前記蓋の開閉動作と連動して前記搬送部に対する相対位置が変化し、前記搬送部と前記被印刷媒体を介して圧接する前記印刷部と、
前記モータの回転速度を検出する速度検出部と、
検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の残量の状態を判定する制御部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
[付記8]
前記制御部は、更に、検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記被印刷媒体の表面における異物の有無の状態を判定する
ことを特徴とする付記7に記載の印刷装置。
[付記9]
被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、モータの動力により前記被印刷媒体を搬送する搬送部とを備え、装置筐体の蓋を閉じた場合に前記印刷部が前記搬送部と前記被印刷媒体を介して圧接する印刷装置の制御方法であって、
前記モータの回転速度を検出することと、
検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記蓋の開閉状態を判定することと
を含むことを特徴とする制御方法。
[付記10]
被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、モータの動力により前記被印刷媒体を搬送する搬送部とを備え、装置筐体の蓋を閉じた場合に前記印刷部が前記搬送部と前記被印刷媒体を介して圧接する印刷装置に、
前記モータの回転速度を検出し、
検出した前記モータの回転速度に基づいて、前記蓋の開閉状態を判定する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0068】
1 印刷装置
2 装置筐体
2a アダプタ収容部
3 入力装置
4 蓋
401 鍵状突出部
5 表示装置
6 プラテンローラ
7 印刷ユニット
701 サーマルヘッド
8 カッター
10 媒体アダプタ
11 テープロール
12 感熱テープ
1301 係止部材
1302 オープンボタン
21 制御部
22 入力部
23 表示部
24 記憶部
25 テープ種別検知部
26 搬送処理部
2601 DCモータ
2602 駆動部
2603 速度検出部
27 印刷処理部
28 切断処理部
30 速度情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8