(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】筋活動指標算出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/22 20060101AFI20240806BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240806BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
A61B5/22
A61B5/11 230
A61B5/107 300
(21)【出願番号】P 2023105645
(22)【出願日】2023-06-28
(62)【分割の表示】P 2021563957の分割
【原出願日】2020-12-08
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2019224142
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼丸 泰
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敦士
(72)【発明者】
【氏名】河原 直樹
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-305311(JP,A)
【文献】国際公開第2016/076376(WO,A1)
【文献】特開2004-167056(JP,A)
【文献】特表2016-511651(JP,A)
【文献】特表2016-507851(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0262687(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足に装着され、筋活動の観測信号
として振戦による振動の信号を取得する筋活動センサと、
前記筋活動の観測信号における8~12Hzの周期を持つ信号のレベルと筋活動指標の算出用の基準値との差分値の絶対値を時間積分し、時間積分値を積分時間で除算した数値を、筋活動指標値とする演算部と、
を備える、筋活動指標算出装置。
【請求項2】
前記筋活動センサは、加速度センサまたは圧電センサである、
請求項1に記載の筋活動指標算出装置。
【請求項3】
前記筋活動センサは前記足のアキレス腱に重なる位置に配置される、
請求項1に記載の筋活動指標算出装置。
【請求項4】
前記筋活動センサは前記足の足首に配置される、
請求項1に記載の筋活動指標算出装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記筋活動指標値が閾値以上である場合に立位であると識別する、
請求項1に記載の筋活動指標算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋活動を含む生体活動を観測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、足首の運動を測定する運動測定装置が開示されている。特許文献1に記載の運動測定装置は、足首に装着された加速度センサを備える。
【0003】
加速度センサは、足首の動きに応じた信号を出力する。運動測定装置は、加速度センサの出力信号を用いて、足首の動きを測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、生体の複数の姿勢等のように、特許文献1に示すような従来の運動測定装置では測定できない生体の活動がある。
【0006】
本発明の目的は、より多様な生体の活動を観測できる生体観測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の筋活動指標算出装置は、筋活動センサ、および、演算部を備える。筋活動センサは、足に装着され、筋活動の観測信号を取得する。演算部は、観測信号における8~12Hzの周期を持つ信号のレベルと筋活動指標の算出用の基準値との差分値の絶対値を時間積分し、時間積分値を積分時間で除算した数値を、筋活動指標値とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、例えば、複数の姿勢の識別等の多様な生体の活動を観測できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る生体活動観測装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2(A)は、被観測者への生体活動観測装置の装着状態を示す側面図であり、
図2(B)は、この装着状態の上面図である。
【
図3】
図3(A)は、立位の姿勢を示し、
図3(B)は、座位(椅子着席)の姿勢を示す簡略図である。
【
図4】
図4(A)は、臥位(仰向け)の姿勢を示し、
図4(B)は、臥位(うつ伏せ)の姿勢を示し、
図4(C)は、臥位(左横臥位)の姿勢を示し、
図4(D)は、臥位(右横臥位)の姿勢を示す簡略図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)は、第2観測信号の波形例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、姿勢毎の筋活動指標の値の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、姿勢毎の加速度指標の値の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、筋活動指標および加速度指標と、姿勢との関係を一覧にした第1の表である。
【
図9】
図9は、筋活動指標および加速度指標の値と、姿勢との関係の概念を一覧にしたグラフである。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る生体活動観測方法の第1例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、筋活動指標および加速度指標と、姿勢との関係を一覧にした第2の表である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る生体活動観測方法の第2例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第1の実施形態に係る生体活動観測方法の第3例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第2の実施形態に係る生体活動観測装置の装着状態を示す間略図である。
【
図16】
図16は、第2の実施形態に係る生体活動観測装置の装着状態での胡座姿勢の間略図である。
【
図17】
図17は、臥位(左横臥位)、臥位(右横臥位)、および、臥位(胡座)の加速度指標の値の一例を示すグラフである。
【
図18】
図18は、筋活動指標および加速度指標と、姿勢との関係を一覧にした第4の表である。
【
図19】
図19は、第2の実施形態に係る生体活動観測方法の第1例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、第2の実施形態に係る生体活動観測方法の第1例を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、他の実施形態に示す生体活動観測装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る生体活動観測装置について、図を参照して説明する。
【0011】
(概略的な機能構成)
図1は、第1の実施形態に係る生体活動観測装置の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、生体活動観測装置10は、筋活動センサ20、加速度センサ30、および、演算部40を備える。筋活動センサ20および加速度センサ30は、演算部40に接続している。例えば、
図1に示すように、加速度センサ30と演算部40とは、筐体50に収容されている。筋活動センサ20および筐体50は、生体活動の観測対象者(装着者)の観測対象部位に装着されている(後述の
図2(A)、
図2(B)参照)。
【0012】
筋活動センサ20は、例えば、平膜状の圧電フィルム等から構成される圧電センサを含む。筋活動センサ20は、観測対象部位の筋または腱の活動に応じた波形およびレベルの第2観測信号を生成する。筋活動センサ20は、第2観測信号を演算部40に出力する。筋活動センサ20は、筋活動を他の方法で検出するセンサ、例えば、筋電センサ(筋電計)であってもよい。
【0013】
加速度センサ30は、直交三軸(x軸、y軸、z軸)の加速度(ax,ay,az)を観測可能なセンサである。加速度センサ30は、直交三軸の加速度を構成するx軸加速度ax、y軸加速度ay、および、z軸加速度azを有する第1観測信号を生成する。加速度センサ30は、第1観測信号を演算部40に出力する。
【0014】
演算部40は、例えば、後述する姿勢を含む生体の負荷状態の検出処理を実現するプログラム、このプログラムを記憶する記憶媒体、および、このプログラムを実行するCPU等の演算素子を含んで構成される。また、演算部40は、例えば、後述する姿勢を含む生体活動の観測方法を実現するように組まれたマイコン等であってもよい。
【0015】
演算部40は、第1観測信号と第2観測信号とを用いて、装着者の姿勢を含む生体の負荷状態を検出する。具体的には後述するが、演算部40は、装着者の姿勢として、立位、座位、および、臥位を検出する。座位は、例えば、椅子への着席状態である。臥位は、例えば、うつ伏せ、仰向け、左横臥位、および、右横臥位である。
【0016】
(被観測者への装着状態)
図2(A)は、被観測者への生体活動観測装置の装着状態を示す側面図であり、
図2(B)は、この装着状態の上面図である。
図2(A)、
図2(B)に示すように、加速度センサ30および演算部40を収容する筐体50と、筋活動センサ20とは、生体支持体500に取り付けられている。なお、筋活動センサ20は、生体支持体500と一体形成されていてもよい。
【0017】
生体支持体500は、筒状である。生体支持体500は、伸縮性を有する素材からなり、生体の動きに合わせて変形する。生体支持体500は、筋活動センサ20の変位を可能な限り阻害しない素材であることが好ましい。例えば、綿アクリル混、ポリエステル綿混、綿麻混、アクリル毛混、毛ナイロン混、獣毛混、絹、絹紡糸、絹紬糸(絹紡紬糸)等が使用可能である。生体支持体500は、足首91を覆うように装着される。生体支持体500は、足首91以外を覆うように構成されていてもよく、例えば、靴下のような構造であってもよい。
【0018】
筋活動センサ20は、例えば、
図2(A)、
図2(B)に示すように、アキレス腱910に重なる位置に配置されている。特に、筋活動センサ20は、下腿最小囲90に重なる位置に配置されることが好ましい。これにより、筋活動センサ20は、足首91の近傍の腱や筋の活動を高感度で観測でき、この観測結果に応じた第1観測信号を出力できる。すなわち、第1観測信号の信号レベルおよび波形は、足首91の近傍の腱や筋の活動を高感度に反映している。
【0019】
加速度センサ30は、足首91の外側に配置される。
【0020】
加速度センサ30は、足のつま先92と踵93とを結ぶ方向に平行な加速度を検出して、x軸加速度axとして出力する。x軸加速度axは、踵93からつま先92を向く方向を+方向とし、逆に、つま先92から踵93を向く方向を-方向として、検出される。
【0021】
加速度センサ30は、足首91の側面に直交する方向に平行な加速度を検出して、y軸加速度ayとして出力する。y軸加速度ayは、足首91から外側の方向を+方向とし、逆に、足首91から内側の方向を-方向として、検出される。
【0022】
加速度センサ30は、足首91の延びる方向、すなわち、足の裏94から足首91に向かう方向に平行な加速度を検出して、z軸加速度azとして出力する。z軸加速度azは、足の裏94から足首91を向く方向を+方向とし、逆に、足首91から足の裏94を向く方向を-方向として、検出される。
【0023】
(姿勢の説明)
上記構成において、生体活動観測装置10は、足首91付近の筋活動とともに、次に示す各姿勢を検出する。
図3(A)は、立位の姿勢を示し、
図3(B)は、座位(椅子着席)の姿勢を示す簡略図である。
図4(A)は、臥位(仰向け)の姿勢を示し、
図4(B)は、臥位(うつ伏せ)の姿勢を示し、
図4(C)は、臥位(左横臥位)の姿勢を示し、
図4(D)は、臥位(右横臥位)の姿勢を示す簡略図である。
【0024】
図3(A)、
図3(B)、
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)、および、
図4(D)に示すように、筋活動センサ20および加速度センサ30は、右足901の足首91(
図2(A)、
図2(B)参照)に装着されており、上述のように加速度の軸方向は設定されている。
【0025】
図3(A)に示す立位の姿勢では、重力のかかる方向は、z軸加速度の-方向である。また、x軸加速度およびy軸加速度は、略0である。また、足首91には、立位を保持するために、大きなレベルの筋活動が生じている。
【0026】
図3(B)に示す座位(椅子着席)の姿勢では、重力のかかる方向は、z軸加速度の-方向である。また、x軸加速度およびy軸加速度は、略0である。また、座位であるため、足首91には、大きなレベルの筋活動は生じていない。
【0027】
図4(A)に示す臥位(仰向け)の姿勢では、重力のかかる方向は、x軸加速度の-方向である。また、y軸加速度およびz軸加速度は、略0である。また、臥位であるため、足首91には、大きなレベルの筋活動は生じていない。
【0028】
図4(B)に示す臥位(うつ伏せ)の姿勢では、重力のかかる方向は、x軸加速度の+方向である。また、y軸加速度およびz軸加速度は、略0である。また、臥位であるため、足首91には、大きなレベルの筋活動は生じていない。
【0029】
図4(C)に示す臥位(左横臥位)の姿勢では、左足902が右足901の下側になり、重力のかかる方向は、y軸加速度ayの-方向である。また、x軸加速度およびz軸加速度は、略0である。また、臥位であるため、足首91には、大きなレベルの筋活動は生じていない。
【0030】
図4(D)に示す臥位(右横臥位)の姿勢では、右足901が左足902の下側になり、重力のかかる方向は、y軸加速度ayの+方向である。また、x軸加速度およびz軸加速度は、略0である。また、臥位であるため、足首91には、大きなレベルの筋活動は生じていない。
【0031】
このように、装着者の姿勢によって、筋活動のレベル、x軸加速度、y軸加速度、および、z軸加速度のレベルの組合せが異なる。生体活動観測装置10は、この組合せの相違点を検出することで、各姿勢を検出する。
【0032】
(筋活動指標)
演算部40は、筋活動センサ20から第1観測信号を用いて、筋活動指標PRmcを算出する。
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)は、第2観測信号の波形例を示すグラフである。
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)では、第2観測信号は、筋活動センサ20の信号(例えば、圧電フィルムの出力信号)であり、第2観測信号のレベルは、筋活動センサ20の信号の電位である。
図5(A)は、臥位の姿勢のときを示し、
図5(B)は、座位の姿勢のときを示し、
図5(C)は、立位の姿勢のときを示す。
【0033】
図5(A)、
図5(B)に示すように、臥位、座位では、足首91付近の筋および腱にかかる負荷は小さい。したがって、第2観測信号(筋活動センサ20の信号)のレベル(電位)の変動は小さく、基準値(Vbs)に近い値の範囲内で変動する。一方、
図5(C)に示すように、立位では、足首91付近の筋および腱にかかる負荷は大きい。したがって、第2観測信号(筋活動センサ20の信号)のレベル(電位)の変動は大きく、基準値(Vbs)から大きく離れた値の範囲内で変動する。
【0034】
演算部40は、第2観測信号(筋活動センサ20の信号)のレベル(電位)の瞬時値と、基準値(Vbs)との差分を用いて、筋活動指標PRmcを算出する。例えば、より具体的には、演算部40は、第2観測信号(筋活動センサ20の信号)のレベル(電位)の瞬時値と基準値(Vbs)との差分値の絶対値を時間積分し、この時間積分値をサンプリング数(積分時間)で除算することによって、筋活動指標PRmcを算出する。すなわち、演算部40は、第2観測信号のレベル変動量の時間平均値を、筋活動指標PRmcとして算出する。
【0035】
このような算出処理を行うことによって、筋活動指標PRmcは、
図6に示すような値となる。
図6は、姿勢毎の筋活動指標の値の一例を示すグラフである。
【0036】
臥位、座位では、上述の
図5(A)、
図5(B)に示すように第2観測信号のレベルの変動が小さいので、
図6に示すように、筋活動指標PRmcは小さくなる。一方、立位では、上述の
図5(C)に示すように第2観測信号のレベルの変動が大きいので、
図6に示すように、筋活動指標PRmcは大きくなる。このように、臥位および座位と、立位とでは、筋活動指標PRmcの差が生じる。
【0037】
これを利用し、演算部40は、筋活動指標PRmcに対する識別用の閾値THmcを設定する。閾値THmcは、例えば、事前に、臥位および座位のときの筋活動指標PRmcと立位のときの筋活動指標PRmcとを取得し、これらの筋活動指標PRmcの間の適切な値によって設定可能である。
【0038】
これにより、演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc以上であれば、立位を検出でき、筋活動指標PRmcが閾値THmc未満であれば、臥位または座位を検出できる。
【0039】
(加速度指標)
演算部40は、加速度センサ30からの第1観測信号を用いて、加速度指標を算出する。例えば、演算部40は、第1観測信号(加速度検出信号)のレベルを時間積分し、この時間積分値をサンプリング数(積分時間)で除算することによって、加速度指標を算出する。すなわち、演算部40は、加速度の時間平均値を加速度指標として算出する。演算部40は、x軸、y軸、z軸毎に、加速度指標を算出する。なお、加速度の場合、各瞬時値を加速度指標とすることも可能である。以下では、x軸加速度指標をax、y軸加速度指標をay、および、y軸加速度指標をazとして説明する。
【0040】
図7は、姿勢毎の加速度指標の値の一例を示すグラフである。なお、
図7では、加速度の基準値(加速度がかかっていない状態の値)を、一例として0としている。以下は、上述の
図3、
図4に示す装着状態の場合を示す。
【0041】
臥位(仰向け)では、x軸加速度指標axは、-値(負値)で大きく、y軸加速度指標ayおよびz軸加速度指標azは、略0(略基準値)となる。臥位(うつ伏せ)では、x軸加速度指標axは、+値(正値)で大きく、y軸加速度指標ayおよびz軸加速度指標azは、略0(略基準値)となる。
【0042】
臥位(左横臥位)では、y軸加速度指標ayは、-値(負値)で大きく、x軸加速度指標axおよびz軸加速度指標azは、略0(略基準値)となる。臥位(右横臥位)では、y軸加速度指標ayは、+値(正値)で大きく、x軸加速度指標axおよびz軸加速度指標azは、略0(略基準値)となる。
【0043】
立位および座位(椅子着席)では、z軸加速度指標azは、-値(負値)で大きく、x軸加速度指標axおよびy軸加速度指標ayは、略0(略基準値)となる。
【0044】
このように、臥位(仰向け)、臥位(うつ伏せ)、臥位(左横臥位)、および、臥位(右横臥位)では、x軸加速度指標axおよびy軸加速度指標ayのパターンが異なる。また、これら臥位と、立位または座位(椅子着席)では、z軸加速度指標azのパターンが異なる。
【0045】
これを利用し、演算部40は、加速度指標に対する識別用の閾値TH1+、TH1-、TH2+、TH2-、TH0+、TH0-を設定する。閾値TH1+、TH1-、TH2+、TH2-、TH0+、TH0-は、筋活動指標PRmcに対する閾値THmcと同様に、例えば、事前に、臥位、座位、および、立位のときの加速度指標を取得し、これらの加速度指標から適切な値に設定可能である。
【0046】
これにより、演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1-以下であり、y軸加速度指標ayおよびz軸加速度指標azが閾値TH1-より大きく閾値TH1+未満であれば、臥位(仰向け)を検出できる。演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1+以上であり、y軸加速度指標ayおよびz軸加速度指標azが閾値TH1-より大きく閾値TH1+未満であれば、臥位(うつ伏せ)を検出できる。
【0047】
演算部40はy軸加速度指標ayが閾値TH2-以下であり、x軸加速度指標axおよびz軸加速度指標azが閾値TH2-より大きく閾値TH2+未満であれば、臥位(左横臥位)を検出できる。演算部40はy軸加速度指標ayが閾値TH2+以上であり、x軸加速度指標axおよびz軸加速度指標azが閾値TH2-より大きく閾値TH2+未満であれば、臥位(右横臥位)を検出できる。
【0048】
演算部40はz軸加速度指標azが閾値TH0-以下であり、x軸加速度指標axおよびy軸加速度指標ayが閾値TH0-より大きく閾値TH0+未満であれば、立位または座位(椅子着席)を検出できる。
【0049】
(演算部40による姿勢の具体的な識別、検出例)
図8は、筋活動指標および加速度指標と、姿勢との関係を一覧にした第1の表である。また、
図9は、筋活動指標および加速度指標の値と、姿勢との関係の概念を一覧にしたグラフである。なお、
図8、
図9に示す例では、z軸加速度指標azを姿勢の検出に用いない場合を示している。
【0050】
演算部40は、筋活動指標PRmc、x軸加速度指標ax、および、y軸加速度指標ayを算出すると、これらの指標を用いて、
図8、
図9に示すルールにしたがって、姿勢を識別して検出する。
【0051】
具体的には、演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc以上であれば、立位を検出する。演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc未満であれば、x軸加速度指標ax、および、y軸加速度指標ayに応じて、次に示すように各姿勢を検出する。
【0052】
演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1+以上であれば、臥位(うつ伏せ)を検出する。この際、演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH1-より大きく閾値TH1+未満であることも考慮することで、臥位(うつ伏せ)を、より確実に検出できる。
【0053】
演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1-以下であれば、臥位(仰向け)を検出する。この際、演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH1-より大きく閾値TH1+未満であることも考慮することで、臥位(仰向け)を、より確実に検出できる。
【0054】
演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1-より大きく閾値TH1+未満であれば、y軸加速度指標ayに応じて、次に示すように各姿勢を検出する。
【0055】
演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH2+以上であれば、臥位(右横臥位)を検出する。演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH2-以下であれば、臥位(左横臥位)を検出する。演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH2-より大きく閾値TH2+未満であれば、座位(椅子着席)を検出する。
【0056】
このように、本実施形態の構成および処理を用いることによって、生体活動観測装置10は、複数の姿勢、すなわち、より多様な生体の活動を検出できる。
【0057】
このような姿勢の検出は、例えば、
図10に示すフローチャートに準じて処理を行うことで実現可能である。
図10は、第1の実施形態に係る生体活動観測方法の第1例を示すフローチャートである。
【0058】
演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc以上であれば(S101:YES)、立位を検出する(S121)。演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc未満であり(S101:NO)、x軸加速度指標axが閾値TH1+以上であれば(S102:YES)、臥位(うつ伏せ)を検出する(S122)。
【0059】
演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1+未満であり(S102:NO)、さらに閾値TH1-以下であれば(S103:YES)、臥位(仰向け)を検出する(S123)。
【0060】
演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1-以下でなく(S103:NO)、y軸加速度指標ayが閾値TH2+以上であれば(S104:YES)、臥位(右横臥位)を検出する(S124)。
【0061】
演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH2+未満であり(S104:NO)、さらに、閾値TH2-以下であれば(S105:YES)、臥位(左横臥位)を検出する(S125)。演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH2-以下でなければ(S105:NO)、座位(椅子着席)を検出する(S126)。
【0062】
(z軸加速度azも用いた姿勢の検出方法)
生体活動観測装置10は、z軸加速度azをさらに用いて姿勢を検出することもできる。
図11は、筋活動指標および加速度指標と、姿勢との関係を一覧にした第2の表である。なお、上述のz軸加速度azを用いない場合と同様の箇所については、説明を省略する。
【0063】
具体的には、演算部40は、z軸加速度azが閾値TH0+以上であれば、立位または座位(椅子着席)を検出する。そして、演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc以上であれば、立位を検出する。演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc未満であれば、座位(椅子着席)を検出する。
【0064】
演算部40は、z軸加速度azが閾値TH0+未満であり、筋活動指標PRmcが閾値THmc未満であれば、次に示す処理によって各姿勢を検出する。
【0065】
演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1+以上であれば、臥位(うつ伏せ)を検出する。演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1-以下であれば、臥位(仰向け)を検出する。
【0066】
演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1-より大きく閾値TH1+未満であれば、y軸加速度指標ayに応じて、次に示すように各姿勢を検出する。
【0067】
演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH2+以上であれば、臥位(右横臥位)を検出する。演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH2-以下であれば、臥位(左横臥位)を検出する。
【0068】
このように、z軸加速度azを用いても同様に、生体活動観測装置10は、複数の姿勢、すなわち、より多様な生体の活動を検出できる。
【0069】
このような姿勢の検出は、例えば、
図12に示すフローチャートに準じて処理を行うことで実現可能である。
図12は、第1の実施形態に係る生体活動観測方法の第2例を示すフローチャートである。
【0070】
演算部40は、z軸加速度azが閾値TH0+以上であり(S111:YES)、筋活動指標PRmcが閾値THmc以上であれば(S101:YES)、立位を検出する(S121)。z軸加速度azが閾値TH0+以上であり(S111:YES)、筋活動指標PRmcが閾値THmc未満であれば(S101:NO)、座位(椅子着席)を検出する(S127)。
【0071】
演算部40は、z軸加速度azが閾値TH0+未満であり(S111:NO)、x軸加速度指標axが閾値TH1+以上であれば(S102:YES)、臥位(うつ伏せ)を検出する(S122)。演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1+未満であり(S102:NO)、さらに閾値TH1-以下であれば(S103:YES)、臥位(仰向け)を検出する(S123)。
【0072】
演算部40は、x軸加速度指標axが閾値TH1-以下でなく(S103:NO)、y軸加速度指標ayが閾値TH2+以上であれば(S104:YES)、臥位(右横臥位)を検出する(S124)。演算部40は、y軸加速度指標ayが閾値TH2+未満であり(S104:NO)、さらに、閾値TH2-以下であれば(S105:YES)、臥位(左横臥位)を検出する(S125)。
【0073】
(加速度の絶対値を用いた姿勢の検出方法)
生体活動観測装置10は、加速度の絶対値を用いて姿勢を検出することもできる。
図13(A)、
図13(B)、
図13(C)、
図13(D)、および、
図13(E)は、筋活動指標および加速度指標と、姿勢との関係を一覧にした第3の表である。
【0074】
具体的には、
図13(A)に示しように、演算部40は、z軸加速度azの絶対値である絶対値z軸加速度指標ABS(az)が閾値TH0以上であれば、立位または座位(椅子着席)を検出する。演算部40は、絶対値z軸加速度指標ABS(az)が閾値TH0未満であれば、臥位を検出する。なお、閾値TH0は、上述の閾値TH0+または閾値TH0-の絶対値によって設定可能である。
【0075】
そして、
図13(B)に示すように、演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc以上であれば、立位を検出する。演算部40は、筋活動指標PRmcが閾値THmc未満であれば、座位(椅子着席)を検出する。
【0076】
図13(C)に示すように、演算部40は、x軸加速度axの絶対値である絶対値x軸加速度指標ABS(ax)が閾値TH1以上であり、y軸加速度ayの絶対値である絶対値y軸加速度指標ABS(ay)が閾値TH1未満であれば、臥位(仰向け)または臥位(うつ伏せ)を検出する。演算部40は、x軸加速度axの絶対値である絶対値x軸加速度指標ABS(ax)が閾値TH1未満であり、y軸加速度ayの絶対値である絶対値y軸加速度指標ABS(ay)が閾値TH1以上であれば、臥位(右横臥位)または臥位(左横臥位)を検出する。なお、閾値TH1は、上述の閾値TH1+または閾値TH1-の絶対値によって設定可能である。
【0077】
図13(D)に示すように、演算部40は、
図13(C)による検出後、x軸加速度指標axが+値(正値)であれば、臥位(うつ伏せ)を検出し、-値(負値)であれば、臥位(仰向け)を検出する。また、演算部40は、
図13(C)による検出後、y軸加速度指標ayが+値(正値)であれば、臥位(右横臥位)を検出し、-値(負値)であれば、臥位(左横臥位)を検出する。
【0078】
このように、加速度の絶対値を用いても同様に、生体活動観測装置10は、複数の姿勢、すなわち、より多様な生体の活動を検出できる。
【0079】
このような姿勢の検出は、例えば、
図14に示すフローチャートに準じて処理を行うことで実現可能である。
図14は、第1の実施形態に係る生体活動観測方法の第3例を示すフローチャートである。
【0080】
演算部40は、絶対値z軸加速度ABS(az)が閾値TH0以上であり(S131:YES)、筋活動指標PRmcが閾値THmc以上であれば(S132:YES)、立位を検出する(S141)。絶対値z軸加速度ABS(az)が閾値TH0+以上であり(S131:YES)、筋活動指標PRmcが閾値THmc未満であれば(S132:NO)、座位(椅子着席)を検出する(S142)。
【0081】
演算部40は、絶対値z軸加速度ABS(az)が閾値TH0未満であり(S131:NO)、絶対値x軸加速度指標ABS(ax)が閾値TH1以上且つ絶対値y軸加速度指標ABS(ay)が閾値TH1未満であれば(S133:YES)、臥位(うつ伏せ)または臥位(仰向け)の検出処理へ移行する。演算部40は、x軸加速度指標axが+値(正値)であれば(S134:YES)、臥位(うつ伏せ)を検出し(S143)、-値(負値)であれば(S134:NO)、臥位(仰向け)を検出する(S144)。
【0082】
演算部40は、絶対値x軸加速度指標ABS(ax)が閾値TH1以上且つ絶対値y軸加速度指標ABS(ay)が閾値TH1未満でなく(S133:NO)、絶対値y軸加速度指標ABS(ay)が閾値TH1以上且つ絶対値x軸加速度指標ABS(ax)が閾値TH1未満であれば(S135:YES)、臥位(右横臥位)または臥位(左横臥位)の検出処理へ移行する。演算部40は、y軸加速度指標ayが+値(正値)であれば(S136:YES)、臥位(右横臥位)を検出し(S145)、-値(負値)であれば(S136:NO)、臥位(左横臥位)を検出する(S146)。
【0083】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る生体活動観測装置について、図を参照して説明する。第2の実施形態に係る生体活動観測装置は、第1の実施形態に係る生体活動観測装置に対して、両足に筋活動センサおよび加速度センサを装着して、これらから得られる第1観測信号および第2観測信号を用いて、生体活動(例えば、複数の姿勢)を検出する点で異なる。第2の実施形態に係る生体活動観測装置の他の構成は、第1の実施形態に係る生体活動観測装置と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0084】
図15は、第2の実施形態に係る生体活動観測装置の装着状態を示す間略図である。
図15に示すように、第2の実施形態に係る生体活動観測装置は、筋活動センサ20R、筋活動センサ20L、加速度センサ30R、および、加速度センサ30Lを備える。
【0085】
筋活動センサ20Rおよび加速度センサ30Rは、右足901の足首91付近に装着されている。筋活動センサ20Lおよび加速度センサ30Lは、左足902の足首91付近に装着されている。
【0086】
加速度センサ30Rのx軸方向xRと加速度センサ30Lのx軸方向xLとは、同じ方向であり、加速度センサ30Rのz軸方向zRと加速度センサ30Lのz軸方向zLとは、同じ方向である。
【0087】
加速度センサ30Rのy軸方向yRと加速度センサ30Lのy軸方向yLとは、逆である。より具体的には、加速度センサ30Rのy軸方向yRの+方向は、右足901を基準にして左足902側と反対側を向く方向である。また、加速度センサ30Lのy軸方向yLの+方向は、左足902を基準にして右足901側と反対側を向く方向である。
【0088】
図15に示す立位の場合、加速度センサ30Rのz軸加速度指標azRと加速度センサ30Lのz軸加速度指標azLとは、-値の大きな値となり、加速度センサ30Rのx軸加速度指標axRおよびy軸加速度指標ayRと、加速度センサ30Lのx軸加速度指標axLおよびy軸加速度指標ayLとは、基準値(例えば0)となる。
【0089】
図16は、第2の実施形態に係る生体活動観測装置の装着状態での胡座姿勢の間略図である。
図16に示す胡座の場合、右足901および左足902ともに外側が鉛直下方向となる。したがって、y軸加速度指標ayRおよびy軸加速度指標ayLの両方が、+値の大きな値となる。
【0090】
図17は、臥位(左横臥位)、臥位(右横臥位)、および、臥位(胡座)の加速度指標の値の一例を示すグラフである。なお、
図17では、加速度の基準値(加速度がかかっていない状態の値)を、一例として0としている。
【0091】
図17に示すように、臥位(左横臥位)では、y軸加速度指標ayRは、-値(負値)で大きく、y軸加速度指標ayLは、+値(正値)で大きくなる。臥位(右横臥位)では、y軸加速度指標ayRは、+値(正値)で大きく、y軸加速度指標ayLは、-値(負値)で大きくなる。臥位(胡座)では、y軸加速度指標ayRおよびy軸加速度指標ayLは、ともに、+値(正値)で大きくなる。
【0092】
このy軸加速度指標の関係を利用し、演算部40は、上述の第1の実施形態に示した複数の姿勢に加え、さらに、座位(胡座)を検出できる。
【0093】
また、右足901に筋活動センサ20Rを装着し、左足902の筋活動センサ20Lを装着することによって、両足立位、右片足立位、および、左片足立位を検出できる。
【0094】
具体的には、両足立位の姿勢では、両足の筋および腱が大きく活動するので、筋活動センサ20Rの筋活動指標PRmcRおよび筋活動センサ20Lの筋活動指標PRmcLの両方が閾値THmc以上となる。
【0095】
右片足立位の姿勢では、右足901の筋および腱が大きく活動し、左足902の筋および腱は殆ど活動しないので、筋活動センサ20Rの筋活動指標PRmcRが閾値THmc以上となり、筋活動センサ20Lの筋活動指標PRmcLが閾値THmc未満となる。
【0096】
左片足立位の姿勢では、左足902の筋および腱が大きく活動し、右足901の筋および腱は殆ど活動しないので、筋活動センサ20Lの筋活動指標PRmcLが閾値THmc以上となり、筋活動センサ20Rの筋活動指標PRmcRが閾値THmc未満となる。
【0097】
これらの結果によって、演算部40は、両足立位、右片足立位、および、左片足立位を個別に検出できる。
【0098】
(演算部40による姿勢の具体的な検出例)
図18は、筋活動指標および加速度指標と、姿勢との関係を一覧にした第4の表である。なお、
図18に示す例では、z軸加速度指標azを姿勢の検出に用いない場合を示しているが、上述の第1の実施形態に示すように、z軸加速度指標azを姿勢の検出に用いることもできる。
【0099】
演算部40は、筋活動指標PRmcR、筋活動指標PRmcL、x軸加速度指標axR、x軸加速度指標axL、y軸加速度指標ayR、および、y軸加速度指標ayLを算出すると、これらの指標を用いて、
図18に示すルールにしたがって、姿勢を検出する。
【0100】
具体的には、演算部40は、筋活動指標PRmcRおよび筋活動指標PRmcLが閾値THmc以上であれば、両足立位を検出する。演算部40は、筋活動指標PRmcRが閾値THmc以上であり、筋活動指標PRmcLが閾値THmc未満であれば、右片足立位を検出する。演算部40は、筋活動指標PRmcLが閾値THmc以上であり、筋活動指標PRmcRが閾値THmc未満であれば、左片足立位を検出する。
【0101】
演算部40は、筋活動指標PRmcRおよび筋活動指標PRmcLが閾値THmc未満であれば、x軸加速度指標axR、x軸加速度指標axL、y軸加速度指標ayR、および、y軸加速度指標ayLに応じて、次に示すように各姿勢を検出する。
【0102】
演算部40は、x軸加速度指標axRおよびx軸加速度指標axLが閾値TH1+以上であれば、臥位(うつ伏せ)を検出する。
【0103】
演算部40は、x軸加速度指標axRおよびx軸加速度指標axLが閾値TH1-以下であれば、臥位(仰向け)を検出する。
【0104】
演算部40は、x軸加速度指標axRおよびx軸加速度指標axLが閾値TH1-より大きく閾値TH1+未満であれば、y軸加速度指標ayR、および、y軸加速度指標ayLに応じて、次に示すように各姿勢を検出する。
【0105】
演算部40は、y軸加速度指標ayRが閾値TH2+以上であり、y軸加速度指標ayLが閾値TH2-以下であれば、臥位(右横臥位)を検出する。演算部40は、y軸加速度指標ayRが閾値TH2-以下であり、y軸加速度指標ayLが閾値TH2+以上であれば、臥位(左横臥位)を検出する。
【0106】
演算部40は、y軸加速度指標ayRおよびy軸加速度指標ayLが閾値TH2+以上であれば、臥位(胡座)を検出する。演算部40は、y軸加速度指標ayRおよびy軸加速度指標ayLが閾値TH2-より大きく閾値TH2+未満であれば、座位(椅子着席)を検出する。
【0107】
このように、本実施形態の構成および処理を用いることによって、生体活動観測装置10は、両足立位と片足立位との識別、および、胡座の検出を含み、複数の姿勢、すなわち、より多様な生体の活動を検出できる。
【0108】
このような姿勢の検出は、例えば、
図19、
図20に示すフローチャートに準じて処理を行うことで実現可能である。
図19、
図20は、第2の実施形態に係る生体活動観測方法の第1例を示すフローチャートである。
【0109】
演算部40は、筋活動指標PRmcLが閾値THmc以上であり(S201:YES)、筋活動指標PRmcRが閾値THmc以上であれば(S202:YES)、両足立位を検出する(S221)。
【0110】
演算部40は、筋活動指標PRmcLが閾値THmc以上であり(S201:YES)、筋活動指標PRmcRが閾値THmc未満であれば(S202:NO)、左片足立位を検出する(S222)。
【0111】
演算部40は、筋活動指標PRmcLが閾値THmc未満であり(S201:NO)、筋活動指標PRmcRが閾値THmc以上であれば(S203:YES)、右片足立位を検出する(S223)。
【0112】
演算部40は、筋活動指標PRmcLが閾値THmc未満であり(S201:NO)、筋活動指標PRmcRが閾値THmc未満であれば(S203:NO)、ステップS204に移行する(
図19から
図20へ)。
【0113】
演算部40は、x軸加速度指標axRが閾値TH1+以上であり、且つ、x軸加速度指標axLが閾値TH1+以上であれば(S204:YES)、臥位(うつ伏せ)を検出する(S224)。
【0114】
演算部40は、x軸加速度指標axRが閾値TH1+以上でなく、且つ、x軸加速度指標axLが閾値TH1+以上でなく(S204:NO)、x軸加速度指標axRが閾値TH1-以下であり、且つ、x軸加速度指標axLが閾値TH1-以下であれば(S205:YES)、臥位(仰向け)を検出する(S225)。
【0115】
演算部40は、x軸加速度指標axRが閾値TH1-以下でなく、且つ、x軸加速度指標axLが閾値TH1-以下でなく(S205:NO)、y軸加速度指標ayRが閾値TH2+以上であり、且つ、y軸加速度指標axLが閾値TH2-以下であれば(S206:YES)、臥位(右横臥位)を検出する(S226)。
【0116】
演算部40は、y軸加速度指標ayRが閾値TH2+以上でなく、且つ、y軸加速度指標axLが閾値TH2-以下でなく(S206:NO)、y軸加速度指標ayRが閾値TH2-以下であり、且つ、y軸加速度指標axLが閾値TH2+以上であれば(S207:YES)、臥位(左横臥位)を検出する(S227)。
【0117】
演算部40は、y軸加速度指標ayRが閾値TH2-以下でなく、且つ、y軸加速度指標axLが閾値TH2+以上でなく(S207:NO)、
y軸加速度指標ayRおよびy軸加速度指標axLが閾値TH2+以上であれば(S208:YES)、座位(胡座)を検出し(S228)、そうでなければ(S206:NO)、座位(椅子着席)を検出する(S229)。
【0118】
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、z軸加速度azR、azLを用いた姿勢の検出、加速度の絶対値を用いた姿勢の検出を適用することができる。
【0119】
(機能構成の派生例)
上述の説明では、全ての機能部が例えば、例えば、生体支持体500に配置される態様を示した。しかしながら、生体支持体500には、少なくとも、筋活動センサ20および加速度センサ30が配置されていればよい。例えば、
図21に示すように、演算部40は、生体支持体500から離れた位置にあってもよい。
図21は、他の実施形態に示す生体活動観測装置の機能ブロック図である。
【0120】
図21に示すように、生体活動観測装置10Aは、筋活動センサ20、加速度センサ30、送信部41、および、情報処理装置60を備える。情報処理装置60は、演算部40、受信部61、および、記憶部62を備える。
【0121】
送信部41は、例えば、電子回路によって実現される。送信部41は、筋活動センサ20からの第1観測信号、および、加速度センサ30からの第2観測信号を、情報処理装置60の受信部61に送信する。なお、送信部41は、例えば、加速度センサ30とともに、筐体50Aに収容される。
【0122】
情報処理装置60は、例えば、既知のパーソナルコンピュータ、または、情報通信端末等によって実現される。受信部61は、送信部41からの第1観測信号および第2観測信号を受信して、演算部40に出力する。
【0123】
演算部40は、第1観測信号と第2観測信号とを用いて、上述のように、姿勢の検出を含む生体活動の観測を行う。なお、演算部40は、第1観測信号と第2観測信号とを取得すると、記憶部62に記憶しており、後に、オフライン等によって、姿勢の検出を含む生体活動の観測を行うこともできる。また、演算部40は、生体活動の観測結果を、記憶部62に記憶できる。さらには、演算部40は、図示しない、液晶ディスプレイ等の表示部に対して、生体活動の観測結果を表示できる。
【0124】
なお、上述の説明では、筋活動センサに圧電センサを用いる態様を示した。圧電センサを用いた場合、筋活動を示す信号として、振戦による信号を検出できる。ここで言う本発明における振戦とは、例えば、律動的な筋活動を示す不随意運動である。すなわち、本発明における振戦は、正常人にみられる細かく速い姿勢時振戦であり、生理的振戦とよばれ、例えば、8Hzから12Hzの周波数である。なお、パーキンソン病患者等の疾患者にみられるふるえは、病理的振戦であり、例えば、4Hzから7Hzであり、本発明における振戦の対象とはしない。
【0125】
振戦を用いることによって、筋電に対して、次の各種の優位点がある。例えば、振戦の検出(計測)は、人の体等の被検知体の表面(皮膚等)に直接貼り付けなくても可能である。振戦の検出によって、筋伸縮を検出できる。振戦の検出によって、筋疲労に伴う変化を検出できる。
【0126】
また、筋活動センサは、圧電センサに限るものではなく、加速度センサ、マイク等であってもよく、例えば、10Hz程度の信号を検出できるものであれば、他のセンサであってもよい。
【0127】
また、上述の各実施形態の構成および処理は、適宜組合せることが可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0128】
20、20L、20R:筋活動センサ
30、30L、30R:加速度センサ
40:演算部
41:送信部
50、50A:筐体
60:情報処理装置
61:受信部
62:記憶部
500:生体支持体