(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】光学部品
(51)【国際特許分類】
G02B 6/12 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G02B6/12 341
(21)【出願番号】P 2023543676
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2022016584
(87)【国際公開番号】W WO2023026572
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2021137739
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 真己
(72)【発明者】
【氏名】清水 康弘
(72)【発明者】
【氏名】森 直哉
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 一歩
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-255166(JP,A)
【文献】特開2001-004810(JP,A)
【文献】特開2007-334318(JP,A)
【文献】特開2002-169045(JP,A)
【文献】特開2010-113157(JP,A)
【文献】特表2021-508089(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0251849(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0223682(US,A1)
【文献】中国実用新案第202782003(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02B 5/00
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率が第1屈折率
であり第1反射面を有
する第1ブロックと、
第1特定波長
の光を吸収する第1金属イオンを含
み屈折率が前記第1屈折率と
は異なる第2屈折率
の第1光吸収部材と、
屈折率が前記第1屈折率と前記第2屈折率との間
の第3屈折率
である第1緩衝層と、
を備
え、
前記第1光吸収部材、前記第1緩衝層及び前記第1ブロックは、第1方向にこの順に並んで
いて、
前記第1緩衝層
は前記第1光吸収部材及び前記第1ブロックに接して
いて、
前記第1ブロック
は前記第1方向に進行する光を前記第1反射面において前記第1方向と
は異なる第2方向に反射する、又は、前記第1ブロック
は前記第2方向の反対方向である第3方向に進行する光を前記第1反射面において前記第1方向の反対方向である第4方向に反射する、
光学部品。
【請求項2】
前記第2屈折率
は前記第1屈折率より大きく、
前記第3屈折率は、前記第1屈折率より大きく、かつ、前記第2屈折率より小さい、
請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
屈折率が前記第2屈折率と
は異なる第4屈折率
であり第2反射面を有する第2ブロックと、
屈折率が前記第4屈折率と前記第2屈折率との間
の第5屈折率
である第2緩衝層と、
を備え
、
前記第2ブロック、前記第2緩衝層、前記第1光吸収部材、前記第1緩衝層及び前記第1ブロックは、前記第1方向にこの順に並んで
いて、
前記第2緩衝層は、前記第1光吸収部材及び前記第2ブロックに接してい
て、
前記第2ブロックは前記第2方向に進行する光を前記第2反射面において前記第1方向に反射する、又は、前記第2ブロックは前記第4方向に進行する光を前記第2反射面において前記第2方向の反対方向である第3方向に反射する、
請求項1又は請求項2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記第2ブロック
は前記第1方向とは異なる第5方向に進行する光を前記第2反射面において前記第1方向に反射する、又は、前記第2ブロック
は前記第4方向に進行する光を前記第2反射面において前記第5方向の反対方向である第6方向に反射する、
請求項3に記載の光学部品。
【請求項5】
前記第1特定波長と
は異なる第2特定波長
の光を吸収する第2金属イオンを含
み屈折率が第6屈折率
である第2光吸収部材と、
屈折率が前記第6屈折率とは異なる第4屈折率であり第2反射面を有する第2ブロックと、
屈折率が前記第2屈折率と前記第6屈折率との間の第5屈折率である第2緩衝層と、
屈折率が前記第4屈折率と前記第6屈折率との間の第7屈折率である第3緩衝層と、
を備え、
前記第2ブロック、前記第3緩衝層、前記第2光吸収部材、前記第2緩衝層、前記第1光吸収部材、前記第1緩衝層及び前記第1ブロックは、前記第1方向にこの順に並んでおり、
前記第2緩衝層
は前記第1光吸収部材及び前記第2光吸収部材に接して
いて、
前記第3緩衝層
は前記第2光吸収部材及び前記第2ブロックに接してい
て、
前記第2ブロックは前記第2方向に進行する光を前記第2反射面において前記第1方向に反射する、又は、前記第2ブロックは前記第4方向に進行する光を前記第2反射面において前記第2方向の反対方向である第3方向に反射する、
請求項1又は請求項2に記載の光学部品。
【請求項6】
前記第1緩衝層は、前記第1金属イオンを含んでいる、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の光学部品。
【請求項7】
前記第1緩衝層において、前記第1金属イオンの濃度は、前記第1方向に前記第1ブロックに近づくにしたがって低下している、
請求項6に記載の光学部品。
【請求項8】
前記第1緩衝層の前記第1方向の大きさは、前記第1特定波長より長い、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の光学部品。
【請求項9】
前記第1光吸収部材の前記第1方向の大きさは、前記第1方向に進行する光又は前記第4方向に進行する光の内の前記第1光吸収部材を通過する光の波長より短い、
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の光学部品。
【請求項10】
前記第1特定波長は、一般的な光通信において使用される光の波長である、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の光学部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の進路を変化させる光学部品である。
【背景技術】
【0002】
従来の光学部品に関する発明としては、特許文献1に記載の光路変換ブロックが知られている。光路変換ブロックは、ブロック本体、第1反射溝、第2反射溝、第1レンズ及び第2レンズを備えている。ブロック本体は、立方体形状を有している。第1レンズは、ブロック本体の前面に設けられている。第2レンズは、ブロック本体の後面に設けられている。第1反射溝及び第2反射溝は、ブロック本体内部に設けられている。第1反射溝は、第1レンズの後に位置している。第2反射溝は、第2レンズの前に位置している。第1反射溝は、第2反射溝の上に位置している。これにより、第1レンズを通過した光は、第1反射溝において下方向に反射される。第1反射溝において反射された光は、第2反射溝において後方向に反射される。第2反射溝において反射した光は、第2レンズを通過する。以上のように、特許文献1に記載の光路変換ブロックは、光の進路を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の光変換ブロックのような光学部品の分野において、光通信に用いられる光にノイズが混入することを抑制したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、光通信に使用される光にノイズが混入することを抑制できる光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る光学部品は、
第1屈折率を有している第1ブロックであって、第1反射面を有している第1ブロックと、
第1特定波長を有する光を吸収する第1金属イオンを含んでいる第1光吸収部材であって、前記第1屈折率と異なる第2屈折率を有している第1光吸収部材と、
前記第1屈折率と前記第2屈折率との間の値を有する第3屈折率を有する第1緩衝層と、
を備えており、
前記第1光吸収部材、前記第1緩衝層及び前記第1ブロックは、第1方向にこの順に並んでおり、
前記第1緩衝層は、前記第1光吸収部材及び前記第1ブロックに接しており、
前記第1ブロックは、前記第1方向に進行する光を前記第1反射面において前記第1方向と異なる第2方向に反射する、又は、前記第1ブロックは、前記第2方向の反対方向である第3方向に進行する光を前記第1反射面において前記第1方向の反対方向である第4方向に反射する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光通信に使用される光にノイズが混入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、光学部品10のA-Aにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
[光学部品10の構造]
以下に、本発明の一実施形態に係る光学部品10の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、光学部品10の分解斜視図である。
図2は、光学部品10のA-Aにおける断面図である。なお、
図1ないし
図8の各部材のサイズは、例示である。従って、各部材の実際の大小関係は、図示した大小関係とは異なっていてもよい。
【0010】
本明細書において、方向を以下の通りに定義する。第1ブロック12a、第1緩衝層14a、第1光吸収部材16、第2緩衝層14b及び第2ブロック12bが並ぶ方向を上下方向と定義する。また、上方向を第1方向DIR1と定義する。下方向を第4方向DIR4と定義する。また、光学部品10を上下方向に見て、第1ブロック12a及び第2ブロック12bが並ぶ方向を左右方向と定義する。左方向を第3方向DIR3及び第6方向DIR6と定義する。右方向を第2方向DIR2及び第5方向DIR5と定義する。上下方向及び左右方向に直交する方向を前後方向と定義する。本明細書の上下方向、左右方向及び前後方向は、説明のために便宜上定義した方向である。従って、本明細書の上下方向、左右方向及び前後方向は、光学部品10の実使用時の上下方向、左右方向及び前後方向と一致していなくてもよい。
【0011】
以下では、X,Yは、光学部品10の部品又は部材である。本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。
【0012】
また、本明細書において、「XがYの上に位置する。」とは、XがYの真上に位置していることを意味する。従って、Xは、上下方向に見て、Yと重なっている。ただし、Xの少なくとも一部分が、上下方向に見て、Yと重なっていればよい。この定義は、上方向以外の方向にも適用される。
【0013】
また、本明細書において、「XがYより上に位置する。」とは、XがYの真上に位置していること又はXがYの斜め上に位置していることを意味する。従って、Xは、上下方向に見て、Yと重なっていてもよいし、Yと重なっていなくてもよい。この定義は、上方向以外の方向にも適用される。
【0014】
光学部品10は、光の進路を変更するための素子である。光学部品10は、第1ブロック12a、第2ブロック12b、第1緩衝層14a、第2緩衝層14b及び第1光吸収部材16を備えている。第2ブロック12b、第2緩衝層14b、第1光吸収部材16、第1緩衝層14a及び第1ブロック12aは、上方向(第1方向DIR1)にこの順に並んでいる。第2ブロック12b、第2緩衝層14bの左部、第1光吸収部材16の左部及び第1緩衝層14aの左部は、上下方向に見て、互いに重なり合っている。第2緩衝層14bの右部、第1光吸収部材16の右部、第1緩衝層14aの右部及び第1ブロック12aは、上下方向に見て、互いに重なり合っている。また、第1緩衝層14aは、第1光吸収部材16及び第1ブロック12aに接している。第2緩衝層14bは、第1光吸収部材16及び第2ブロック12bに接している。
【0015】
第1ブロック12aは、上主面及び下主面を有するガラス板である。従って、第1ブロック12aの材料は、化学組成の内の主たる元素がSiであるガラスである。このガラスは、例えば、石英ガラスや、ホウケイ酸ガラスである。ここで、化学組成の内の主たる元素がSiであるガラスとは、化学組成の中で最も質量パーセントが多い元素がSiであるガラスを意味する。第1ブロック12aは、第1屈折率n1を有している。また、第1ブロック12aは、第1反射面Saを有している。第1反射面Saは、第1ブロック12aの左側面である。第1反射面Saは、第1ブロック12aの下主面に対して45°の角度を形成している。従って、第1反射面Saの法線は、左上方向に向かって延びている。
【0016】
第1光吸収部材16は、上主面及び下主面を有するガラス板である。従って、第1光吸収部材16の材料は、化学組成の内の主たる元素がSiであるガラスである。このガラスは、例えば、石英ガラスや、ホウケイ酸ガラスである。ただし、第1光吸収部材16は、第1特定波長を有する光を吸収する第1金属イオンを含んでいる。第1特定波長は、例えば、850nm以上1675nm以下である。850nm以上1675nm以下の波長は、一般的な光通信において使用される光の波長である。本実施形態では、第1特定波長は、1250nm及び/又は1350nmである。第1金属イオンは、例えば、Ti3+,V4+,Cr3+,Mn2+,Fe2+,Fe3+,Ni2+,Cu2+等の可視光領域に吸収スペクトルを有する金属イオンである。このような第1光吸収部材16は、第1屈折率n1と異なる第2屈折率n2を有している。本実施形態では、第2屈折率n2は、第1屈折率n1より大きい。これは、第1金属イオンが第1光吸収部材16の第2屈折率n2を大きくする作用を有するためである。
【0017】
以上のような第1光吸収部材16の上下方向(第1方向DIR1)の厚み(大きさ)は、上方向(第1方向DIR1)に進行する光又は下方向(第4方向DIR4)に進行する光の内の第1光吸収部材16を通過する光の波長より短い。上方向(第1方向DIR1)に進行する光又は下方向(第4方向DIR4)に進行する光の内の第1光吸収部材16を通過する光は、一般的な光通信に用いられる光の波長である。前記の通り、一般的な光通信において使用される光の波長は、850nm以上1675nm以下である。従って、第1光吸収部材16の上下方向の厚みは、例えば、200nmより小さい。また、第1光吸収部材16の上下方向の厚みは、10nm以上である。10nmは、製造可能な第1光吸収部材16の上下方向の厚みの最小値である。
【0018】
第1緩衝層14aは、上主面及び下主面を有するガラス板である。従って、第1緩衝層14aの材料は、化学組成の内の主たる元素がSiであるガラスである。このガラスは、例えば、石英ガラスや、ホウケイ酸ガラスである。ただし、第1緩衝層14aは、第1金属イオンを含んでいる。このような第1緩衝層14aは、第1屈折率n1と第2屈折率n2との間の値を有する第3屈折率n3を有している。具体的には、第3屈折率n3は、第1屈折率n1より大きく、かつ、第2屈折率n2より小さい。そのため、第1緩衝層14aの第1金属イオンの含有率は、第1光吸収部材16の第1金属イオンの含有率より低い。本実施形態では、第3屈折率n3は、上方向に第1ブロック12aに近づくにしたがって連続的に低下している。そのため、第1緩衝層14aにおいて、第1金属イオンの濃度は、上方向(第1方向DIR1)に第1ブロック12aに近づくにしたがって低下する。また、第1緩衝層14aの上主面における第3屈折率n3は、第1屈折率n1と等しい。第1緩衝層14aの下主面における第3屈折率n3は、第2屈折率n2と等しい。
【0019】
以上のような第1緩衝層14aの上下方向(第1方向DIR1)の厚み(大きさ)は、第1特定波長より長い。第1特定波長は、一般的な光通信において使用される光の波長帯域に含まれる。そのため、第1特定波長は、例えば、850nm以上1675nm以下である。従って、第1緩衝層14aの上下方向の厚みは、例えば、850nm以上である。
【0020】
第1緩衝層14aは、溶融した金属イオン塩に対して、板ガラスを浸し、金属イオンをガラスに対して侵入させることによって作製される。金属イオンは、第1金属イオンである。この際、板ガラスの下主面にのみに金属イオン塩を接触させる。これにより、第3屈折率n3は、上方向に第1ブロック12aに近づくにしたがって連続的に低下するようになる。
【0021】
第2ブロック12bは、上主面及び下主面を有するガラス板である。従って、第2ブロック12bの材料は、化学組成の内の主たる元素がSiであるガラスである。このガラスは、例えば、石英ガラスや、ホウケイ酸ガラスである。第2ブロック12bは、第2屈折率n2と異なる第4屈折率n4を有している。本実施形態では、第4屈折率n4は、第1屈折率n1と等しい。また、第2ブロック12bは、第2反射面Sbを有している。第2反射面Sbは、第2ブロック12bの右側面である。第2反射面Sbは、第2ブロック12bの上主面に対して45°の角度を形成している。従って、第2反射面Sbの法線は、右下方向に向かって延びている。また、第2反射面Sbは、上下方向に見て、第1反射面Saと重なっている。
【0022】
第2緩衝層14bは、上主面及び下主面を有するガラス板である。従って、第2緩衝層14bの材料は、化学組成の内の主たる元素がSiであるガラスである。このガラスは、例えば、石英ガラスや、ホウケイ酸ガラスである。ただし、第2緩衝層14bは、第1金属イオンを含んでいる。このような第2緩衝層14bは、第4屈折率n4と第2屈折率n2との間の値を有する第5屈折率n5を有している。具体的には、第5屈折率n5は、第4屈折率n4より大きく、かつ、第2屈折率n2より小さい。そのため、第2緩衝層14bの第1金属イオンの含有率は、第1光吸収部材16の第1金属イオンの含有率より低い。本実施形態では、第5屈折率n5は、下方向に第2ブロック12bに近づくにしたがって連続的に低下している。そのため、第2緩衝層14bにおいて、第1金属イオンの濃度は、下方向(第2方向DIR2)に第2ブロック12bに近づくにしたがって低下する。また、第2緩衝層14bの下主面における第5屈折率n5は、第4屈折率n4と等しい。第2緩衝層14bの上主面における第5屈折率n5は、第2屈折率n2と等しい。
【0023】
以上のような第2緩衝層14bの上下方向(第1方向DIR1)の厚み(大きさ)は、第1特定波長より長い。そこで、第2緩衝層14bの上下方向の厚みは、例えば、850nm以上である。
【0024】
第2緩衝層14bは、溶融した金属イオン塩に対して、板ガラスを浸し、金属イオンをガラスに対して侵入させることによって作製される。金属イオンは、第1金属イオンである。この際、板ガラスの上主面にのみに金属イオン塩を接触させる。これにより、第5屈折率n5は、下方向に第2ブロック12bに近づくにしたがって連続的に低下するようになる。
【0025】
第1ブロック12aの材料が含むガラス、第2ブロック12bの材料が含むガラス、第1緩衝層14aの材料が含むガラス、第2緩衝層14bの材料が含むガラス及び第1光吸収部材16の材料が含むガラスは、同じ主要な組成を有するガラスである。
【0026】
次に、光学部品10において光通信に用いられる光の経路について
図2を参照しながら説明する。光学部品10において光通信に用いられる光の経路には、第1経路L1及び第2経路L2が存在する。
【0027】
第1経路L1では、右方向(第5方向DIR5)に進行する光は、第2ブロック12bの左側面を介して第2ブロック12bに入射する。第2ブロック12bは、右方向(第1方向DIR1とは異なる第5方向DIR5)に進行する光を第2反射面Sbにおいて上方向(第1方向DIR1)に反射する。第2反射面Sbにおいて反射された光は、上方向に進行して、第2緩衝層14b、第1光吸収部材16及び第1緩衝層14aを通過して、第1ブロック12aに入射する。第1ブロック12aは、上方向(第1方向DIR1)に進行する光を第1反射面Saにおいて右方向(第1方向DIR1と異なる第2方向DIR2)に反射する。第1反射面Saにおいて反射された光は、右方向に進行して、第1ブロック12aの右側面を介して第1ブロック12aから出射する。
【0028】
第2経路L2では、左方向(第3方向DIR3)に進行する光は、第1ブロック12aの右側面を介して第1ブロック12aに入射する。第1ブロック12aは、左方向(第2方向DIR2の反対方向である第3方向DIR3)に進行する光を第1反射面Saにおいて下方向(第1方向DIR1の反対方向である第4方向DIR4)に反射する。第1反射面Saにおいて反射された光は、下方向に進行して、第1緩衝層14a、第1光吸収部材16及び第2緩衝層14bを通過して、第2ブロック12bに入射する。第2ブロック12bは、下方向(第4方向DIR4)に進行する光を第2反射面Sbにおいて左方向(第5方向DIR5の反対方向である第6方向DIR6)に反射する。第2反射面Sbにおいて反射された光は、左方向に進行して、第2ブロック12bの左側面を介して第2ブロック12bから出射する。
【0029】
[効果]
光学部品10によれば、光通信に使用される光にノイズが混入することを抑制できる。より詳細には、光学部品10には、光学部品10の外部からノイズとなる光が光学部品10に入射する。ノイズとなる光の波長は、一般的な光通信において使用される光の波長である。一般的な光通信において使用される光の波長は、例えば、850nm以上1675nm以下である。ノイズとなる光の波長は、例えば、1250nm及び/又は1350nmである。また、レーザダイオードが使用により発熱すると、レーザダイオードが出射する光の波長の範囲が広がる。例えば、レーザダイオードが1310nmの波長の光を出射する場合、レーザダイオードは、1310nmの波長の光に加えて、1310nm以外の波長の光を出射するようになる。1310nm以外の波長の光は、ノイズとなる光である。
【0030】
光学部品10は、このようなノイズとなる光を除去するために、第1光吸収部材16を備えている。第1光吸収部材16は、第1特定波長を有する光を吸収する第1金属イオンを含んでいる。第1特定波長は、ノイズとなる光の波長である1250nmや1350nmである。これにより、第1光吸収部材16は、ノイズとなる光を吸収する。その結果、光学部品10によれば、光通信に使用される光にノイズが混入することを抑制できる。
【0031】
ところで、第1金属イオンは、第1光吸収部材16の第2屈折率n2を大きくする作用を有する。そのため、第1光吸収部材16は、第1屈折率n1と異なる第2屈折率n2を有している。この場合、第1光吸収部材16が第1ブロック12aに接していると、第1ブロック12aと第1光吸収部材16との境界において光が乱反射する。乱反射した光は、第1光吸収部材16内において反射を繰り返して、第1経路L1又は第2経路L2に戻る。そして、第1光吸収部材16の上下方向の厚みが小さくなると、乱反射した光が第1経路L1又は第2経路L2に戻りやすくなる。乱反射した光は、ノイズとなる。
【0032】
そこで、光学部品10は、第1屈折率n1と第2屈折率n2との間の値を有する第3屈折率n3を有する第1緩衝層14aを備えている。第1緩衝層14aは、第1光吸収部材16及び第1ブロック12aに接している。これにより、第1緩衝層14aと第1光吸収部材16との境界における屈折率の変化量は、n2-n3となる。一方、第1光吸収部材16の第2屈折率n2と第1ブロック12aの第1屈折率n1との差は、n2-n1である。そして、n1は、n3より小さい。従って、第1緩衝層14aと第1光吸収部材16との境界における屈折率の変化量は、第1光吸収部材16の第2屈折率n2と第1ブロック12aの第1屈折率n1との差より小さくなる。第1経路L1上及び第2経路L2上において屈折率が急激に変化することが抑制される。よって、第1緩衝層14aと第1光吸収部材16との境界において乱反射が発生しにくい。
【0033】
同様に、第1緩衝層14aと第1ブロック12aとの境界における屈折率の変化量は、n3-n1となる。一方、第1光吸収部材16の第2屈折率n2と第1ブロック12aの第1屈折率n1との差は、n2-n1である。n2は、n3より大きい。従って、第1緩衝層14aと第1ブロック12aとの境界における屈折率の変化量は、第1光吸収部材16の第2屈折率n2と第1ブロック12aの第1屈折率n1との差より小さくなる。第1経路L1上及び第2経路L2上において屈折率が急激に変化することが抑制される。よって、第1ブロック12aと第1緩衝層14aとの境界及び第1光吸収部材16と第1緩衝層14aとの境界において乱反射が発生しにくい。光の乱反射が抑制されるので、ノイズの発生が抑制される。以上より、光学部品10によれば、光通信に用いられる光にノイズが混入することを抑制できる。
【0034】
光学部品10は、第2緩衝層14bを備えている。これにより、上記の理由と同じ理由により、光通信に用いられる光にノイズが混入することを抑制できる。
【0035】
光学部品10は、以下の理由によって、光通信に用いられる光にノイズが混入することをより抑制できる。光学部品10では、第1緩衝層14aにおいて、第1金属イオンの濃度は、上方向(第1方向DIR1)に第1ブロック12aに近づくにしたがって低下している。これにより、第3屈折率n3は、上方向に第1ブロック12aに近づくにしたがって低下している。よって、第1経路L1上及び第2経路L2上において屈折率が急激に変化することが抑制される。その結果、第1ブロック12aと第1光吸収部材16との境界において乱反射が発生しにくい。光学部品10では、光の乱反射が抑制されるので、ノイズの発生が抑制される。以上より、光学部品10によれば、光通信に用いられる光にノイズが混入することを抑制できる。
【0036】
光学部品10によれば、第1緩衝層14aの上下方向(第1方向DIR1)の厚み(大きさ)は、第1特定波長より長い。これにより、第1緩衝層14aにおいて乱反射する光が低減される。同じ理由により、第2緩衝層14bにおいて乱反射する光が低減される。よって、第1緩衝層14a及び第2緩衝層14bにおいて、乱反射した光が第1経路L1及び第2経路L2に戻る確率が低くなる。光学部品10によれば、光通信に用いられる光にノイズが混入することを抑制できる。
【0037】
光学部品10によれば、第1光吸収部材16の上下方向(第1方向DIR1)の厚み(大きさ)は、上方向(第1方向DIR1)に進行する光又は下方向(第4方向DIR4)に進行する光の内の第1光吸収部材16を通過する光の波長より短い。これにより、第1光吸収部材16の上主面における反射光と第1光吸収部材16の下主面における反射光とが干渉しにくくなる。すなわち、第1光吸収部材16の上主面と第1光吸収部材16の下主面との間で定在波が発生しにくくなる。これにより、光がレーザダイオードに戻ることが抑制され、レーザダイオードの発振が不安定になることが抑制される。
【0038】
光学部品10によれば、第1ブロック12aの第1屈折率n1は、第1光吸収部材16の第2屈折率n2及び第1緩衝層14aの第3屈折率n3より低い。これにより、第1経路L1において、第1ブロック12aにおいて乱反射した光は、第1ブロック12aと第1緩衝層14aとの境界及び第1緩衝層14aと第1光吸収部材16との境界において反射されずに、第1光吸収部材16に入射する。これにより、光がレーザダイオードに戻ることが抑制され、レーザダイオードの発信が不安定になることが抑制される。
【0039】
光学部品10によれば、第1ブロック12aの材料が含むガラス、第2ブロック12bの材料が含むガラス、第1緩衝層14aの材料が含むガラス、第2緩衝層14bの材料が含むガラス及び第1光吸収部材16の材料が含むガラスは、同じ組成を有するガラスである。そのため、光学部品10は、上下方向に対称な構造を有する。その結果、光学部品10の機械的強度の向上が図られると共に、光学部品10の耐熱性の向上が図られる。
【0040】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る光学部品10aについて図面を参照しながら説明する。
図3は、光学部品10aの断面図である。
【0041】
光学部品10aは、第2ブロック12bの構造において光学部品10と相違する。光学部品10aにおいて、第2ブロック12bは、第2反射面Sbを有していない。すなわち、第2ブロック12bは、上主面及び下主面を有する板形状を有している。光学部品10aのその他の構造は、光学部品10と同じであるので説明を省略する。以下に、光学部品10aの第1経路L1及び第2経路L2について説明する。
【0042】
第1経路L1では、上方向(第1方向DIR1)に進行する光は、第2ブロック12bの下主面を介して第2ブロック12bに入射する。上方向に進行する光は、第2緩衝層14b、第1光吸収部材16及び第1緩衝層14aを通過して、第1ブロック12aに入射する。第1ブロック12aは、上方向(第1方向DIR1)に進行する光を第1反射面Saにおいて右方向(第1方向DIR1と異なる第2方向DIR2)に反射する。第1反射面Saにおいて反射された光は、右方向に進行して、第1ブロック12aの右側面を介して第1ブロック12aから出射する。
【0043】
第2経路L2では、左方向(第3方向DIR3)に進行する光は、第1ブロック12aの右側面を介して第1ブロック12aに入射する。第1ブロック12aは、左方向(第2方向DIR2の反対方向である第3方向DIR3)に進行する光を第1反射面Saにおいて下方向(第1方向DIR1の反対方向である第4方向DIR4)に反射する。第1反射面Saにおいて反射された光は、下方向に進行して、第1緩衝層14a、第1光吸収部材16、第2緩衝層14b及び第2ブロック12bを通過して、第2ブロック12bから出射する。
【0044】
以上のような光学部品10aによれば、光学部品10と同じ作用効果を奏することができる。
【0045】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る光学部品10bについて図面を参照しながら説明する。
図4は、光学部品10bの断面図である。
【0046】
光学部品10bは、第2緩衝層14bを備えていない点において光学部品10と相違する。光学部品10bのその他の構造は、光学部品10と同じであるので説明を省略する。光学部品10bは、光学部品10と同じ作用効果を奏することができる。
【0047】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る光学部品10cについて図面を参照しながら説明する。
図5は、光学部品10cの断面図である。
【0048】
光学部品10cは、第1ブロック12aの構造及び第2ブロック12bの構造において光学部品10と相違する。より詳細には、第1ブロック12aは、上下方向に見て、第1緩衝層14a、第1光吸収部材16及び第2緩衝層14bと同じ形状である長方形状を有している。ただし、第1ブロック12aの左右方向の中央には第1スリットSL1が設けられている。第1スリットSL1は、第1ブロック12aの上主面から第1ブロック12aの下主面まで伸びている。第1スリットSL1は、第1スリットSL1の上端が第1スリットSL1の下端より右に位置するように、上下方向に対して45度の角度を形成している。これにより、第1ブロック12aは、第1反射面Saを有している。このような第1スリットSL1は、ダイサーによる切削又はエッチングによって形成される。
【0049】
第2ブロック12bは、上下方向に見て、第1緩衝層14a、第1光吸収部材16及び第2緩衝層14bと同じ形状である長方形状を有している。ただし、第2ブロック12bの左右方向の中央には第2スリットSL2が設けられている。第2スリットSL2は、第2ブロック12bの下主面から第2ブロック12bの上主面まで伸びている。第2スリットSL2は、第2スリットSL2の下端が第2スリットSL2の上端より左に位置するように、上下方向に対して45度の角度を形成している。これにより、第2ブロック12bは、第2反射面Sbを有している。このような第2スリットSL2は、ダイサーによる切削又はエッチングによって形成される。光学部品10cのその他の構造は、光学部品10と同じであるので説明を省略する。また、光学部品10cは、光学部品10と同じ作用効果を奏することができる。
【0050】
ところで、光学部品10cにおける第1緩衝層14a及び第2緩衝層14bの形成方法は、光学部品10における第1緩衝層14a及び第2緩衝層14bの形成方法と異なる。より詳細には、第1金属イオンを含む複数枚の第1グリーンシートを上下方向に積層する。そして、第1金属イオンを含まない複数枚の第2グリーンシートを複数枚の第1グリーンシートの上に積層する。更に、第1金属イオンを含まない複数枚の第3グリーンシートを複数枚の第1グリーンシートの下に積層する。これにより未焼成の積層体を得る。この未焼成の積層体を焼成すると、第1グリーンシート内の第1金属イオンは、第1グリーンシートの近傍の第2グリーンシート及び第1グリーンシートの近傍の第3グリーンシートに拡散する。これにより、第1金属イオンが拡散した第2グリーンシートは、第1緩衝層14aとなる。第1金属イオンが拡散した第3グリーンシートは、第2緩衝層14bとなる。また、第1金属イオンが拡散しなかった第2グリーンシートは、第1ブロック12aとなる。第1金属イオンが拡散しなかった第3グリーンシートは、第2ブロック12bとなる。最後に、第1ブロック12aに第1スリットSL1を形成する。第2ブロック12bに第2スリットSL2を形成する。以上のように、光学部品10cは、複数枚のグリーンシートを積層して未焼成の積層体を作成し、未焼成の積層体を焼成することにより、作製される。これにより、第1ブロック12a、第2ブロック12b、第1緩衝層14a、第2緩衝層14b及び第1光吸収部材16の接合強度が向上する。また、第3屈折率n3及び第5屈折率n5の変化が連続的な変化になる。
【0051】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係る光学部品10dについて図面を参照しながら説明する。
図6は、光学部品10dの断面図である。
【0052】
光学部品10dは、第3緩衝層14c及び第2光吸収部材17を更に備えている点において光学部品10と相違する。第2光吸収部材17は、第1特定波長と異なる第2特定波長を有する光を吸収する第2金属イオンを含んでいる。第2光吸収部材17は、第6屈折率n6を有している。第6屈折率n6は、第4屈折率n4と異なっている。本実施形態では、第6屈折率n6は、第4屈折率n4より大きい。また、第6屈折率n6は、第2屈折率n2より小さい。第2光吸収部材17のその他の構造は、第1光吸収部材16と同じであるので説明を省略する。
【0053】
第2緩衝層14bは、第5屈折率n5を有している。第5屈折率n5は、第2屈折率n2と第6屈折率n6との間の値を有している。第3緩衝層14cは、第7屈折率n7を有している。第7屈折率n7は、第4屈折率n4と第6屈折率n6との間の値を有している。
【0054】
以上のような光学部品10dでは、第2ブロック12b、第3緩衝層14c、第2光吸収部材17、第2緩衝層14b、第1光吸収部材16、第1緩衝層14a及び第1ブロック12aは、上方向(第1方向DIR1)にこの順に並んでいる。また、第2緩衝層14bは、第1光吸収部材16及び第2光吸収部材17に接している。第3緩衝層14cは、第2光吸収部材17及び第2ブロック12bに接している。光学部品10dのその他の構造は、光学部品10と同じであるので説明を省略する。光学部品10dは、光学部品10と同じ作用効果を奏することができる。
【0055】
光学部品10dによれば、第1光吸収部材16及び第2光吸収部材17を備えている。第1光吸収部材16は、第1特定波長を有する光を吸収する第1金属イオンを含んでいる。第2光吸収部材17は、第2特定波長を有する光を吸収する第2金属イオンを含んでいる。これにより、光学部品10dは、複数種類の波長を有する光を吸収できる。
【0056】
(第5変形例)
以下に、第5変形例に係る光学部品10eについて図面を参照しながら説明する。
図7は、光学部品10eの断面図である。
【0057】
光学部品10eは、第2ブロック12b及び第2緩衝層14bを備えていない点において光学部品10aと相違する。第1光吸収部材16、第1緩衝層14a及び第1ブロック12aは、上方向(第1方向DIR1)にこの順に並んでいる。光学部品10eのその他の構造は、光学部品10aと同じであるので説明を省略する。光学部品10eは、光学部品10aと同じ作用効果を奏することができる。
【0058】
(第6変形例)
以下に、第6変形例に係る光学部品10fについて図面を参照しながら説明する。
図8は、光学部品10fの断面図である。
【0059】
光学部品10fは、第1緩衝層14aの形状及び第2緩衝層14bの形状において光学部品10と相違する。第1緩衝層14aは、上下方向に見て、第1ブロック12aと重なっている。ただし、第1緩衝層14aは、上下方向に見て、第1ブロック12aからはみ出していない。第2緩衝層14bは、上下方向に見て、第2ブロック12bと重なっている。ただし、第2緩衝層14bは、上下方向に見て、第2ブロック12bからはみ出していない。光学部品10fのその他の構造は、光学部品10と同じであるので説明を省略する。光学部品10fは、光学部品10と同じ作用効果を奏することができる。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明に係る光学部品は、光学部品10,10a~10fに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、光学部品10,10a~10fの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0061】
なお、第1金属イオン及び第2金属イオンは、例えば、Y,La,Ce,Nd,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Lu等の希土類イオンであってもよい。また、第1金属イオン及び第2金属イオンは、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであってもよい。この場合、第1光吸収部材16の材料及び第2光吸収部材17の材料は、短波長領域で異なる透過特性を有するアルミナ、シリカ又はホウケイサンガラスとアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとの混合物である。このとき、第1光吸収部材16の材料及び第2光吸収部材17の材料におけるアルミナ、シリカ又はホウケイサンガラスとアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとの混合比は、第1ブロック12aの材料及び第2ブロック12bの材料におけるアルミナ、シリカ又はホウケイサンガラスとアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとの混合比と異なる。
【0062】
なお、第1緩衝層14aの第3屈折率n3は、不連続に変化してもよい。例えば、第1緩衝層14aの第3屈折率n3は、階段状に変化していてもよい。また、第1緩衝層14aの第3屈折率n3は、第1屈折率n1より大きく第2屈折率n2より小さい一つの値であってもよい。
【0063】
なお、第2緩衝層14bの第5屈折率n5は、不連続に変化してもよい。例えば、第2緩衝層14bの第5屈折率n5は、階段状に変化していてもよい。また、光学部品10,10a,10c,10fにおいて、第2緩衝層14bの第5屈折率n5は、第4屈折率n4より大きく第2屈折率n2より小さい一つの値であってもよい。また、光学部品10dにおいて、第2緩衝層14bの第5屈折率n5は、第6屈折率n6より大きく第2屈折率n2より小さい一つの値であってもよい。
【0064】
なお、第3緩衝層14cの第7屈折率n7は、不連続的に変化してもよい。例えば、第3緩衝層14cの第7屈折率n7は、階段状に変化していてもよい。また、光学部品10dにおいて、第3緩衝層14cの第7屈折率n7は、第4屈折率n4より大きく第6屈折率n6より小さい一つの値であってもよい。
【0065】
なお、第1ブロック12a及び第2ブロック12bは、フロート法により形成されてもよい。また、第1ブロック12a及び第2ブロック12bは、フリットガラス及びバインダーの混合物であるスラリーを焼成することにより作製されてもよい。
【0066】
なお、第1光吸収部材16及び第2光吸収部材17は、第1ブロック12a及び第2ブロック12bとは別にフロート法により形成されてもよい。また、第1光吸収部材16及び第2光吸収部材17は、フリットガラス及びバインダーの混合物であるスラリーを焼成することにより作製されてもよい。
【0067】
なお、第1ブロック12aの材料が含むガラス、第2ブロック12bの材料が含むガラス、第1緩衝層14aの材料が含むガラス、第2緩衝層14bの材料が含むガラス及び第1光吸収部材16の材料が含むガラスは、互いに異なる組成を有するガラスであってもよい。
【0068】
なお、第1ブロック12a及び第2ブロック12bは、溶融ガラスを金型により成型することによって作製されてもよい。
【0069】
なお、第1緩衝層14a、第2緩衝層14b及び第3緩衝層14cは、複数枚のグリーンシートを積層及び焼成することにより作製されてもよい。このとき、複数枚のグリーンシートの材料組成が互いに異なることにより、焼成後の複数枚のシートが互いに異なる屈折率を有する。これにより、第1緩衝層14a、第2緩衝層14b及び第3緩衝層14cのそれぞれは、連続的に変化する第3屈折率n3、第5屈折率n5及び第7屈折率n7を有する。
【0070】
なお、レーザダイオードが1310nmの波長の光を出射する場合に、第1光吸収部材16は、1310nmの波長を有する光を吸収してもよい。これにより、第1光吸収部材16内において乱反射した光が第1光吸収部材16により吸収されるようになる。ただし、第1光吸収部材16において、光学部品10,10a~10fが適用される光通信に用いられる光の光吸収係数は、光学部品10,10a~10fが適用される光通信に用いられる光と異なる波長を有する光の光吸収係数より小さい。この場合、第1金属イオンは、2種類以上の金属イオンを含む。また、同じ理由により、レーザダイオードが1310nmの波長の光を出射する場合に、第2光吸収部材17は、1310nmの波長を有する光を吸収してもよい。
【0071】
なお、第1方向DIR1と第2方向DIR2とは直角を形成している。しかしながら、第1方向DIR1と第2方向DIR2とは直角を形成していなくてもよい。第3方向DIR3と第4方向DIR4とは直角を形成している。しかしながら、第3方向DIR3と第4方向DIR4とは直角を形成していなくてもよい。第5方向DIR5と第1方向DIR1とは直角を形成している。しかしながら、第5方向DIR5と第1方向DIR1とは直角を形成していなくてもよい。第4方向DIR4と第6方向DIR6とは直角を形成している。しかしながら、第4方向DIR4と第6方向DIR6とは直角を形成していなくてもよい。
【0072】
なお、第2方向DIR2と第5方向DIR5とは一致していなくてもよい。第3方向DIR3と第6方向DIR6とは一致していなくてもよい。
【0073】
なお、第1緩衝層14a、第2緩衝層14b及び第3緩衝層14cは、第1金属イオン又は第2金属イオンを含んでいなくてもよい。
【0074】
なお、光学部品10,10a~10c,10e,10fにおいて、第1屈折率n1は、第2屈折率n2より大きくてもよい。第4屈折率n4は、第2屈折率n2より大きくてもよい。
【0075】
なお、光学部品10dにおいて、第1屈折率n1は、第2屈折率n2より大きくてもよい。第6屈折率n6は、第2屈折率n2より大きくてもよい。第4屈折率n4は、第6屈折率n6より大きくてもよい。
【0076】
なお、光学部品10,10a,10b,10d~10fも、光学部品10cと同様に、グリーンシートが積層されることにより作製されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10,10a~10f:光学部品
12a:第1ブロック
12b:第2ブロック
14a:第1緩衝層
14b:第2緩衝層
14c:第3緩衝層
16:第1光吸収部材
17:第2光吸収部材
L1:第1経路
L2:第2経路
SL1:第1スリット
SL2:第2スリット
Sa:第1反射面
Sb:第2反射面