(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法及びその製造方法を用いて製造された二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/169 20210101AFI20240806BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
H01M50/169
H01M50/159
(21)【出願番号】P 2022581544
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2021012493
(87)【国際公開番号】W WO2022060051
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119504
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジン スー
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ブ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジン イェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェオン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、イェオン フン
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2023-534484(JP,A)
【文献】特開2014-065050(JP,A)
【文献】特開平04-149958(JP,A)
【文献】特開昭54-143818(JP,A)
【文献】特開平04-033787(JP,A)
【文献】特開平03-283353(JP,A)
【文献】特開2012-028490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体が内部に収容された収容部を含む下部缶、及び前記下部缶の上側開口を覆う上部カバーを準備する溶接準備ステップ;
前記収容部の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部と前記上部カバーの周囲領域である上部カバー周囲部が互いに接合されるように溶接するため、前記下部缶周囲部の端部と前記上部カバー周囲部の端部を上部ジグと下部ジグを用いて上下で把持する把持ステップ;及び
前記把持ステップの後に、前記下部缶周囲部と前記上部カバー周囲部が接合される地点である接合部にレーザを照射して前記下部缶周囲部と前記上部カバー周囲部をレーザ溶接を介して相互接合させる溶接ステップ;を含み、
前記溶接ステップにおいて、
前記収容部の高さ(b)は、前記下部缶周囲部の端部の高さ(a)よりさらに高く形成された状態で前記レーザ溶接がなされるものである、二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記溶接ステップにおいて、
前記収容部の高さ(b)は、前記下部缶周囲部の高さ(f)よりさらに高く、前記下部缶周囲部の高さ(f)は、前記下部缶周囲部の端部の高さ(a)よりさらに高く形成された状態で前記レーザ溶接がなされる、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記溶接ステップにおいて、
前記上部カバーの中心点の高さは、前記収容部の高さ(b)よりさらに高い、請求項2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記下部ジグは、前記下部缶が置かれる底部と前記底部の周囲に形成される側壁部を含み、
前記収容部の高さ(b)は、前記底部から前記収容部の上端までの距離を意味し、
前記下部缶周囲部の端部の高さ(a)は、前記底部から前記下部缶周囲部の端部までの距離を意味する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記溶接ステップにおいて、
前記上部ジグで前記上部カバー周囲部の端部を加圧する面である上部加圧面と前記下部ジグで前記下部缶周囲部の端部を加圧する面である下部加圧面は、前記底部と平行である、請求項4に記載の二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記収容部の高さ(b)から前記下部缶周囲部の端部の高さ(a)を引いた値(b-a)は、溶接母材である前記下部缶と前記上部カバーのうち、より薄い母材の厚さよりは大きいか同一であり、前記より薄い母材の厚さの3倍より小さい、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記溶接ステップにおいて、
前記上部ジグで前記上部カバー周囲部の端部を加圧する面である上部加圧面は、前記下部ジグで前記下部缶周囲部の端部を加圧する面である下部加圧面より前記レーザ方向にさらに延長して形成される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記上部加圧面の幅(c)が前記下部加圧面の幅(d)よりさらに大きい、請求項7に記載の二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記上部加圧面の外側の終点と前記下部加圧面の外側の終点は、同一垂直線上に位置する、請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記上部ジグは、断面が直角三角形の形状に設けられ、
前記溶接ステップにおいて、
前記直角三角形の斜辺が前記レーザを対向するように前記上部ジグが位置される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項11】
電極組立体;
前記電極組立体が内部に収容された収容部を含む下部缶;及び
前記下部缶の上側開口を覆う上部カバーを含み、
前記下部缶は、前記収容部の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部を含み、
前記上部カバーは、前記上部カバーの周囲領域として前記下部缶周囲部に接合される上部カバー周囲部を含み、
前記下部缶周囲部と前記上部カバー周囲部が接合される地点である接合部は、前記収容部の高さ(b)よりさらに低い高さを有するものである、二次電池。
【請求項12】
前記上部カバーの中心点の高さは、前記収容部の高さ(b)よりさらに高い、請求項11に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年9月16日付韓国特許出願第10-2020-0119504号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池の製造方法及びその製造方法を用いて製造された二次電池に関し、薄膜缶溶接時の接合部の密着性の向上を介して未溶接部の発生を防止し、顕著に向上されたシーリング特性を具現することができる二次電池の製造方法及びその製造方法を用いて製造された二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格上昇、環境汚染の関心が増幅するに伴い、環境にやさしい代替エネルギー源に対する要求が未来の生活のための必須不可欠な要因となっている。よって、太陽光、風力、潮力など多様な電力生産技術に対する研究が持続しており、このように生産された電気エネルギーをさらに効率的に用いるための電池などの電力貯蔵装置もこの上なく大きい関心が続いている。
【0004】
さらに、電池を用いる電子モバイル機器と電気自動車に対する技術の開発と需要の増加につれ、エネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、それによって多様な要求に応じることができる電池に対する多い研究が行われている。
【0005】
特に、材料面では、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などの長所を有したリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0006】
二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形又は角形の金属缶に内蔵されている円筒形電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵しているパウチ型電池などに分類されてよい。そして最近では、高出力と長い寿命に対する顧客の選好の増加により金属薄膜を用いた薄膜缶型電池が開発されて用いられている。
【0007】
このような薄膜缶型電池は、一般的に、缶に電極組立体を収容させた後、カバーを被せてレーザ溶接を進めて製造する(薄膜缶は、薄厚の金属を意味する)。そして、レーザ溶接では、未溶接部が発生しないようにして優れたシーリング特性を有する製品を製造することが必要となる。
【0008】
ところが、従来には、レーザ溶接における強い密着を介して未溶接部が発生しないようにするために強くクランピングをしたが、このようにする場合、金属薄膜の変形が発生して問題となった。そうだからといって、強くクランピングをしないと、また密着が確実に成されずに未溶接が発生してシーリング性が下がるという結果が発生するため問題となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような問題を解決するために案出されたものであって、本発明の課題は、薄膜缶溶接時の接合部の密着性の向上を介して未溶接部の発生を防止し、顕著に向上されたシーリング特性を具現することができる二次電池の製造方法及びその製造方法を用いて製造された二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による二次電池の製造方法は、電極組立体が内部に収容された収容部を含む下部缶、及び下部缶の上側開口を覆う上部カバーを準備する溶接準備ステップ;収容部の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部と上部カバーの周囲領域である上部カバー周囲部が互いに接合されるように溶接するため、下部缶周囲部の端部と上部カバー周囲部の端部を上部ジグと下部ジグを用いて上下で把持する把持ステップ;及び把持ステップの後に、下部缶周囲部と上部カバー周囲部が接合される地点である接合部にレーザを照射して下部缶周囲部と上部カバー周囲部をレーザ溶接を介して相互接合させる溶接ステップ;を含み、溶接ステップにおいて、収容部の高さ(b)は、下部缶周囲部の端部の高さ(a)よりさらに高く形成された状態でレーザ溶接がなされる。
【0011】
溶接ステップにおいて、収容部の高さ(b)は、下部缶周囲部の高さ(f)よりさらに高く、下部缶周囲部の高さ(f)は、下部缶周囲部の端部の高さ(a)よりさらに高く形成された状態でレーザ溶接がなされてよい。
【0012】
溶接ステップにおいて、上部カバーの中心点の高さは、収容部の高さ(b)よりさらに高くてよい。
【0013】
下部ジグは、下部缶が置かれる底部と底部の周囲に形成される側壁部を含み、収容部の高さ(b)は、底部から収容部の上端までの距離を意味し、下部缶周囲部の端部の高さ(a)は、底部から下部缶周囲部の端部までの距離を意味してよい。
【0014】
溶接ステップにおいて、上部ジグで上部カバー周囲部の端部を加圧する面である上部加圧面と下部ジグで下部缶周囲部の端部を加圧する面である下部加圧面は、底部と平行であってよい。
【0015】
収容部の高さ(b)から下部缶周囲部の端部の高さ(a)を引いた値(b-a)は、溶接母材である下部缶と上部カバーのうち、より薄い母材の厚さよりは大きいか同一であり、より薄い母材の厚さの3倍より小さくてよい。
【0016】
溶接ステップにおいて、上部ジグで上部カバー周囲部の端部を加圧する面である上部加圧面は、下部ジグで下部缶周囲部の端部を加圧する面である下部加圧面よりレーザ方向にさらに延長して形成されてよい。
【0017】
上部加圧面の幅(c)が下部加圧面の幅(d)よりさらに大きくてよい。
【0018】
上部加圧面の外側の終点と下部加圧面の外側の終点は、同一垂直線上に位置してよい。
【0019】
上部ジグは、断面が直角三角形の形状に設けられ、溶接ステップにおいて、直角三角形の斜辺がレーザを対向するように上部ジグが位置されてよい。
【0020】
本発明による二次電池は、電極組立体;電極組立体が内部に収容された収容部を含む下部缶;及び下部缶の上側開口を覆う上部カバー含み、下部缶は、収容部の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部を含み、上部カバーは、上部カバーの周囲領域として下部缶周囲部に接合される上部カバー周囲部を含み、下部缶周囲部と上部カバー周囲部が接合される地点である接合部は、収容部の高さ(b)よりさらに低い高さを有してよい。
【0021】
上部カバーの中心点の高さは、収容部の高さ(b)よりさらに高くてよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明による二次電池の製造方法は、電極組立体が内部に収容された収容部を含む下部缶、及び下部缶の上側開口を覆う上部カバーを準備する溶接準備ステップ、収容部の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部と上部カバーの周囲領域である上部カバー周囲部が互いに接合されるように溶接するため、下部缶周囲部の端部と上部カバー周囲部の端部を上部ジグと下部ジグを用いて上下で把持する把持ステップ、及び、把持ステップの後に、下部缶周囲部と上部カバー周囲部が接合される地点である接合部にレーザを照射して下部缶周囲部と上部カバー周囲部をレーザ溶接を介して相互接合させる溶接ステップを含み、溶接ステップにおいて、収容部の高さ(b)は、下部缶周囲部の端部の高さ(a)よりさらに高く形成された状態でレーザ溶接がなされるものであり、それによって薄膜缶溶接時の接合部の密着性の向上を介して未溶接部の発生を防止し、薄膜缶型電池において顕著に向上されたシーリング特性を具現することができる。
【0023】
本発明による二次電池は、電極組立体、電極組立体が内部に収容された収容部を含む下部缶、及び下部缶の上側開口を覆う上部カバー含み、下部缶は、収容部の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部を含み、上部カバーは、上部カバーの周囲領域として下部缶周囲部に接合される上部カバー周囲部を含み、下部缶周囲部と上部カバー周囲部が接合される地点である接合部は、収容部の高さ(b)よりさらに低い高さを有することができる。それによって、薄膜缶型電池において顕著に向上されたシーリング特性を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】比較例である従来のレーザ溶接を介して二次電池を製造する方法を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施例1によるレーザ溶接を介した二次電池の製造方法を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施例2によるレーザ溶接を介した二次電池の製造方法を示す断面図である。
【
図4】比較例と製造例の各々に対して溶接性をテストした実験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図を参照しつつ、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は幾つか異なる形態に具現されてよく、以下の実施形態によって制限されたり限定されるものではない。
【0026】
本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分又は本発明の要旨を不要に濁し得る関連の公知技術に対する詳細な説明は省略しており、本明細書において、各図の構成要素に参照符号を付加するものにおいては、明細書全体を通して同一又は類似の構成要素に対しては同一又は類似の参照符号を付けるようにする。
【0027】
また、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されなければならない。
【0028】
比較例による二次電池の製造方法
図1は、比較例である従来のレーザ溶接を介して二次電池を製造する方法を示す断面図である。
【0029】
図1に示されている通り、本発明の比較例による二次電池の製造方法は、先ず、電極組立体20が内部に収容された収容部11を含む下部缶10、及び下部缶10の上側開口を覆う上部カバー30を準備し、下部缶周囲部12と上部カバー周囲部32をレーザ溶接して二次電池を製造することができる。ここで、下部缶10と上部カバー30は、薄い金属からなる薄膜缶であってよい。
【0030】
収容部11の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部12と上部カバー30の周囲領域である上部カバー周囲部32を溶接するために、下部缶周囲部12と上部カバー周囲部32が重なるように配置することができる。そして、下部缶周囲部の端部13と上部カバー周囲部の端部33を上部ジグ50と下部ジグ40を用いて上下で把持することができる。レーザ溶接時に下部缶周囲部12と上部カバー周囲部32との間にギャップ(Gap)がないほど未溶接部が発生せずに溶接がよくできる。例えば、75μm(マイクロメーター)である薄板溶接時の母材間ギャップが10μmだけ超過しても未溶接が発生し得る。
【0031】
上部ジグ50と下部ジグ40を用いて上下で把持した後、下部缶周囲部12と上部カバー周囲部32が接合される地点である接合部にレーザ(L)を照射し、下部缶周囲部12と上部カバー周囲部32をレーザ溶接を介して相互接合させることができる。
【0032】
ところが、本比較例では、レーザ溶接の過程で収容部11の高さ(b)と下部缶周囲部の端部13の高さ(a)が互いに同一に形成された状態でレーザ溶接がなされる。
【0033】
具体的に、下部ジグ40は、下部缶10が置かれる底部42と底部42の周囲に形成される側壁部43を含み、この際、収容部11の高さ(b)は、底部42から収容部11の上端までの距離を意味し、下部缶周囲部の端部13の高さ(a)は、底部42から下部缶周囲部の端部13までの距離を意味してよい。
【0034】
そして、上部ジグ50で上部カバー周囲部の端部33を加圧する面を上部加圧面51とし、下部ジグ40で下部缶周囲部の端部13を加圧する面を下部加圧面41とするとき、本比較例では、上部加圧面51の幅(c)と下部加圧面41の幅(d)が互いに同一の形態に形成される。すなわち、上部加圧面51と下部加圧面41は、互いに対応する幅を有して上下に向かい合っており、上部加圧面51の正射影が下部加圧面41となる形態である。このようになると、上部加圧面51の内側の終点と下部加圧面41の内側の終点は、同一垂直線上に位置することができる。
【0035】
従来は、本比較例のような方式でレーザ溶接を介して二次電池を製造したが、この場合、二つの母材、すなわち、下部缶周囲部12と上部カバー周囲部32を両端部で密着させるとしても、実際に溶接させなければならない部分ではギャップが発生する可能性が高かった。したがって、密着が確実になされないので未溶接が発生し、シーリング性が下がるという結果が発生するため問題となった。
【0036】
実施例1による二次電池の製造方法
図2は、本発明の実施例1によるレーザ溶接を介した二次電池の製造方法を示す断面図である。
【0037】
図2に示されている通り、本発明の実施例1による二次電池の製造方法は、溶接準備ステップ、把持ステップ、及び溶接ステップを含む。
【0038】
溶接準備ステップは、電極組立体120が内部に収容された収容部111を含む下部缶110、及び下部缶110の上側開口を覆う上部カバー130を準備するステップである。下部缶110の収容部111は、下に湾入された空間を有して上部カバー130は平板状であってよい。下部缶110と上部カバー130は薄い金属からなる薄膜缶であってよい。
【0039】
収容部111の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部112と上部カバー130の周囲領域である上部カバー周囲部132が互いに接合されるように溶接するため、把持ステップにおいて、下部缶周囲部112と上部カバー周囲部132が重なるように配置し、下部缶周囲部の端部113と上部カバー周囲部の端部133を上部ジグ150と下部ジグ140を用いて上下で把持することができる。
【0040】
上部ジグ150と下部ジグ140を用いて上下で把持した後、溶接ステップにおいては、下部缶周囲部112と上部カバー周囲部132が接合される地点である接合部にレーザ(L)を照射して下部缶周囲部112と上部カバー周囲部132をレーザ溶接を介して相互接合させることができる。
【0041】
本発明の実施例1による二次電池の製造方法は、溶接ステップにおいて、収容部111の高さ(b)が下部缶周囲部の端部113の高さ(a)よりさらに高く形成された状態でレーザ溶接がなされる。
【0042】
具体的に、下部ジグ140は、下部缶110が置かれる底部142と底部142の周囲に形成される側壁部143を含み、この際、収容部111の高さ(b)は、底部142から収容部111の上端までの距離を意味し、下部缶周囲部の端部113の高さ(a)は、底部142から下部缶周囲部の端部113までの距離を意味してよい。
【0043】
本発明の実施例1による二次電池の製造方法は、このような方式の溶接による接合部の密着性の向上を介して未溶接部の発生を防止し、顕著に向上されたシーリング特性を具現することができるようになる。
【0044】
これを解釈する一つの方式では、下部ジグ140の底部142が下部缶110の収容部111を押し上げることにより、収容部111の枠が下部缶周囲部112を上側に押し上げる力を加えるようになり、それにより接合部で密着が確実になされるものとして解釈することができる。
【0045】
これを解釈するまた他の方式では、上部ジグ150が上部カバー周囲部の端部133に相対的に下方に押す力を作用して接合部で密着が確実になされるものとして解釈することもできる。
【0046】
また、本発明の実施例1による二次電池の製造方法は、溶接ステップにおいて、上部ジグ150で上部カバー周囲部の端部133を加圧する面である上部加圧面151と下部ジグ140で下部缶周囲部の端部113を加圧する面である下部加圧面141が下部ジグ140の底部142と平行であってよい。このように形成される場合、収容部111の枠が下部缶周囲部112を上側に押し上げる力がさらに強く作用し得る。又は、上部ジグ150が上部カバー周囲部の端部133に相対的に下方に押す力を作用することがさらに強く作用され得る。
【0047】
そして、上部カバーの中心点131の高さは、収容部111の高さ(b)よりさらに高くてよい。これは、上部カバー130が薄膜缶に形成されたものであるために現われる形状であってよい。
【0048】
本発明の実施例1による二次電池の製造方法は、収容部111の高さ(b)から下部缶周囲部の端部113の高さ(a)を引いた値(b-a)が、溶接母材である下部缶110と上部カバー130のうち、さらに薄い母材の厚さよりは大きいか同一であり、さらに薄い母材厚さの3倍よりはさらに小さくてよい。
【0049】
(b-a)値が前記さらに薄い母材の厚さよりさらに小さい場合、前記で説明した本願発明の効果が弱くなることがある。そして、(b-a)値が前記さらに薄い母材厚さの3倍よりさらに大きい場合、薄膜缶の変形が酷くなり、下部缶周囲部112と上部カバー周囲部132の傾斜が大きくなって溶接性能と効率が相対的に低くなる問題が発生することがある。
【0050】
一方、本発明の実施例1による二次電池の製造方法では、上部加圧面151の幅(c)と下部加圧面141の幅(d)が互いに同一の形態に形成される。すなわち、上部加圧面151と下部加圧面141は、互いに対応する幅を有して上下に向かい合っており、上部加圧面151の正射影が下部加圧面141となる形態である。
【0051】
この場合、収容部111の高さ(b)が下部缶周囲部112の高さ(f)よりさらに高く、下部缶周囲部112の高さ(f)が下部缶周囲部の端部113の高さ(a)よりさらに高く形成されてよい。これは、収容部111の上端部から下部缶周囲部を経て下部缶周囲部の端部113まで順次的な傾斜が形成されるためであり得る。
【0052】
本発明の実施例1による二次電池の製造方法は、上部加圧面151の幅(c)と下部加圧面141の幅(d)が互いに同一の形態であるので、上部ジグ150が上部カバー周囲部の端部133を相対的に下方に押す力の影響力が、下記で検討してみる実施例2のそれよりは小さいことがある。
【0053】
実施例2による二次電池の製造方法
図3は、本発明の実施例2によるレーザ溶接を介した二次電池の製造方法を示す断面図である。
【0054】
本発明の実施例2では、上部加圧面と下部加圧面の形態が前記実施例1と差があり得る。
【0055】
実施例1と共通された内容はなるべく省略し、相違点を中心に実施例2に対して説明する。すなわち、実施例2で説明していない内容が必要な場合、実施例1の内容とみなされ得ることは自明である。
【0056】
図3に示されている通り、本発明の実施例2による二次電池の製造方法は、溶接ステップにおいて、上部ジグ250で上部カバー周囲部の端部233を加圧する面である上部加圧面251が下部ジグ240で下部缶周囲部の端部213を加圧する面である下部加圧面241よりレーザ(L)方向にさらに延長して形成されてよい。
【0057】
この場合、上部ジグ250が上部カバー周囲部232を相対的に下方に押す力がさらに強く作用し得る。それによって溶接がなされる接合部で密着がさらに確実になされ得る。
【0058】
本発明の実施例2において、収容部211の高さ(b)が下部缶周囲部の端部213の高さ(a)よりさらに高く形成されてよい。これは、実施例1と同一である。
【0059】
そして、本発明の実施例2において、上部加圧面251の幅(c)が下部加圧面241の幅(d)よりさらに大きくてよい。また、上部加圧面の外側の終点251-1と下部加圧面の外側の終点241-1は、同一垂直線上に位置することができる。上部ジグ250と下部ジグ240がこのような形状を有するようになると、揺れることなく下部缶周囲部212と上部カバー周囲部232をめっきり安定的に上下で把持及び支持することができる。
【0060】
一方、本発明の実施例2による二次電池の製造方法において、上部ジグ250は断面が直角三角形の形状に設けられ、溶接ステップにおいて、前記直角三角形の斜辺252がレーザ(L)を対向するように上部ジグ250が位置されてよい。このように形成される場合、レーザがカバー周囲部上の接合部を照射するとき、レーザノズルが動きながら上部カバー230に衝突する可能性が低くなり得る。それにより、さらに安定的な溶接ができる。
【0061】
二次電池
本発明による二次電池は、下部缶、上部カバー、電極組立体を含み、下記の特徴を有することができる。
【0062】
電極組立体は、電極と分離膜が交互に積層して形成されてよい。下部缶は、電極組立体が内部に収容される収容部を含むことができる。上部カバーは、下部缶の上側開口を覆う形態を有することができる。
【0063】
下部缶は、収容部の枠から外側に延長する部分である下部缶周囲部を含み、上部カバーは、上部カバーの周囲領域として下部缶周囲部に接合される上部カバー周囲部を含み、下部缶周囲部と上部カバー周囲部が接合される地点である接合部は、収容部の高さ(b)よりさらに低い高さを有することができる。そして、上部カバーの中心点の高さは、収容部の高さ(b)よりさらに高くてよい。
【0064】
本発明による二次電池は、前記接合部で顕著に向上されたシーリング特性を有することができる。
【0065】
<実験の結果>
比較例1-(1)
下部缶と上部カバーを溶接した。IPG社製の500W級のレーザを用いて溶接を進行した。レーザビームサイズは、30~200μm、パワー(電力)は50~500W、下部缶の素材はSUS316L、下部缶の厚さは75μmであり、上部カバーの素材はSUS316L、上部カバーの厚さは75μmにして溶接を進行した。
【0066】
本比較例1では、収容部の高さ(b)から下部缶周囲部の端部の高さ(a)を引いた値(b-a)を0μmにして溶接を進行した。
【0067】
製造例1-(2)
本発明により下部缶と上部カバーを溶接した。IPG社製の500W級のレーザを用いて溶接を進行した。レーザビームサイズは30~200μm、パワー(電力)は50~500W、下部缶の素材はSUS316L、下部缶の厚さは75μmであり、上部カバーの素材はSUS316L、上部カバーの厚さは75μmにして溶接を進行した。
【0068】
本製造例1では、収容部の高さ(b)から下部缶周囲部の端部の高さ(a)を引いた値(b-a)を75μmにして溶接を進行した。
【0069】
製造例2-(3)
収容部の高さ(b)から下部缶周囲部の端部の高さ(a)を引いた値(b-a)を150μmにして溶接を進行したことを除いては、製造例1と同一の条件で溶接を進行した。
【0070】
実験例-溶接性の比較
図4は、比較例と製造例1、2の各々に対して溶接性をテストした実験の結果を示す図である。
【0071】
b-a値が0μmで溶接を進行した比較例1の場合(すなわち、aとbの値が同一の場合)、溶接部位に対する断面図が
図4において左側(1)に示されている。比較例1の場合、下部缶と上部カバーとの間にギャップ(Gap)の発生により未溶接が発生したことが分かる。
【0072】
b-a値を75μmで溶接を進行した製造例1の場合(すなわち、bがaより75μmさらに大きい場合)、溶接部位に対する断面図が
図4において真中(2)に示されている。製造例1の場合、下部缶と上部カバーとの間にギャップ(Gap)が発生しなかったので、良好な溶接がなされたことが分かる。
【0073】
b-a値を150μmで溶接を進行した製造例2の場合(すなわち、bがaより150μmさらに大きい場合)、溶接部位に対する断面図が
図4において右側(3)に示されている。製造例2の場合、下部缶と上部カバーとの間に強い密着がなされた状態で溶接がなされたものであって、製造例1よりさらに強い結合がなされたことが分かる。
【0074】
以上、本発明は、たとえ限定された実施形態と図によって説明されたとしても、本発明はこれによって限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者により、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能である。
【符号の説明】
【0075】
10、110、210 下部缶
11、111、211 収容部
12、112、212 下部缶周囲部
13、113、213 下部缶周囲部の端部
20、120、220 電極組立体
30、130、230 上部カバー
31、131、231 上部カバーの中心点
32、132、232 上部カバー周囲部
33、133、233 上部カバー周囲部の端部
40、140、240 下部ジグ
41、141、241 下部加圧面
42、142、242 底部
43、143、243 側壁部
50、150、250 上部ジグ
51、151、251 上部加圧面
52、152、252 直角三角形の斜辺
L レーザ