(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】優秀な放熱性能を備えたバスバー
(51)【国際特許分類】
H01M 50/505 20210101AFI20240806BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240806BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20240806BHJP
H01M 50/526 20210101ALI20240806BHJP
【FI】
H01M50/505
H01M50/503
H01M50/522
H01M50/526
(21)【出願番号】P 2022572431
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 KR2021008888
(87)【国際公開番号】W WO2022059894
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119917
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、スン-タック
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウォン-タエ
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0011630(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0194766(US,A1)
【文献】特開2019-008892(JP,A)
【文献】特開平11-250950(JP,A)
【文献】特開平11-086840(JP,A)
【文献】特開2018-047633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/502 - 526
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーモジュールや電装品を電気的に接続する棒状の伝導体であり、
通気可能な三次元の格子構造からなり、複数個の通気口が本体に備えられ
、
前記本体は、
相互に一定の間隔で配置された複数個の横プレートと、
前記複数個の横プレートと交差する方向へ相互に一定の間隔で配置された複数個の縦プレートと、を含み、
前記複数個の通気口は、
前記複数個の横プレートと前記複数個の縦プレートが上下方向に交互に反復積層されて設けられ、
前記複数個の横プレートと前記複数個の縦プレートの少なくともいずれか一つが、銀めっきされた、バスバー。
【請求項2】
前記本体は、所定の長さ、厚さ、幅を有する棒状で設けられ、
前記複数個の通気口は、前記本体の上面、下面、左側面、右側面、前面、後面に備えられ、前記本体の内部を通じて相互に連通するように設けられた、請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記複数個の横プレートが、各々非めっき銅板からなり、
前記複数個の縦プレートが、各々両面が銀めっきされた銅板からなる、請求項
1または2に記載のバスバー。
【請求項4】
前記複数個の横プレートと前記複数個の縦プレートが、はんだ付け溶接された、請求項
1から3のいずれか一項に記載のバスバー。
【請求項5】
バスバーの長さと同じ長さを有する複数個の横プレート及び前記バスバーの幅の同じ長さを有する複数個の縦プレートを準備する材料準備段階と、
前記複数個の横プレートを相互に一定の間隔で配置し、前記複数個の横プレートと交差する方向へ相互に一定の間隔で前記複数個の横プレートの上に前記複数個の縦プレートを積層して配置してバスバー単位レイヤーを形成する段階と、
前記バスバー単位レイヤーを予め決められた回数だけ反復積層してバスバーマルチレイヤーを形成する段階と、
前記バスバーマルチレイヤーを溶接して一体化する溶接段階と、
前記溶接段階の後に、前記バスバーの両端部に厚さ方向へ穴を形成する穴加工段階と、を含む、バスバーの製造方法。
【請求項6】
前記横プレートが非めっき銅板からなり、前記縦プレートが銀めっき処理された銅板層からなり、
前記溶接段階において、
別の溶加材を使用せず、前記縦プレートの銀成分を溶融させて前記バスバーマルチレイヤーを一体化するろう付け溶接を行う、請求項
5に記載のバスバーの製造方法。
【請求項7】
請求項
1から4のいずれか一項に記載のバスバーを含む、バッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーに関し、より詳しくは、大電流の通電時に発生する熱を大気に効果的に放熱可能な放熱構造を備えたバスバーに関する。
【0002】
本出願は、2020年9月17日出願の韓国特許出願第10-2020-0119917号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、商用化した二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
最近は、携帯型電子機器のような小型装置のみならず、電気自動車や電力貯蔵装置(ESS)のような中・大型装置にも二次電池が広く用いられている。例えば、電気自動車に用いられる場合、エネルギー容量及び出力を向上させるために複数の二次電池が電気的に接続しているバッテリーモジュールと、このようなバッテリーモジュールを複数個接続してバッテリーパックを構成する。
【0005】
通常、前記バッテリーモジュールや電装品を接続するに際し、ケーブルやバスバーが使用される。
【0006】
なお、電流は、断面積が大きい伝導体に流れるときに抵抗損失が少なく、その伝導体による電圧降下が小さく起こる。即ち、伝導体の断面積が電圧降下に影響を及ぼし、その影響は高電流であるほど大きくなる。バスバー1は、電気伝導率が優秀な銅やアルミニウム素材で、
図1のように両端部にボルト締結用ホール2を備えた棒状に製作される。このようなバスバー1は、被覆ケーブルよりも電流が通過する断面積が広いため、低いインピーダンスと高い電流容量を有し、狭い空間にも設置が容易である。このため、高電流が流れ、内部空間が狭小なバッテリーパックの場合、バスバーがケーブルより有用に使用される。
【0007】
前記バスバーは、フレキシブルバスバー(Flexible busbar)と剛性バスバー(Rigid busbar)に分けられ、振動軸が異なるか、または経路が複雑な場合、フレキシブルバスバーを使用し、相対的に経路が短くて単純な場合、剛性バスバーを主に使用する。
【0008】
一方、バスバーの断面積は、許用電流の大きさの外にも、電流が流れるときに発生する熱とバスバーが使用される周辺環境の温度によって決定され得る。即ち、電気的品質の面でバスバーの断面積が十分であるとしても、高電流が流れるときに発生する熱と、密閉したバッテリーパックの内部温度、周辺の電装品で発生する熱などを勘案して断面積をさらに増大させる必要がある。これは、バスバーの表面から大気への放熱を容易にしてバスバーの発熱を低めるためである。
【0009】
しかし、バスバーの放熱面積を増大させるために(
図1参照)、バスバーの幅Wや厚さTを増加させることは、バスバーの材料費の上昇と共にバッテリーパックの軽量化及び小型化によくない影響を及ぼす。したがって、バスバーの幅や厚さを必要以上に増やすことなく放熱性能を向上させる方案が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、幅や厚さを必要以上に増やすことなく放熱性能を向上させることができるバスバー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、バッテリーモジュールや電装品を電気的に接続する棒状の伝導体であって、通気可能な三次元の格子構造からなり、複数個の通気口が本体に備えたバスバーが提供され得る。
【0013】
前記本体は、所定の長さ、厚さ、幅を有する棒状で設けられ、前記複数個の通気口は、前記本体の上面、下面、左側面、右側面、前面、後面に備えられ、前記本体の内部を通じて相互に連通するように設けられ得る。
【0014】
前記本体は、相互に一定の間隔を隔てて並んで配置された複数個の横プレートと、前記複数個の横プレートと交差する方向へ相互に一定の間隔を隔てて並んで配置された複数個の縦プレートと、を含み、前記複数個の通気口は、前記複数個の横プレートと前記複数個の縦プレートが上下方向に交互に反復積層されことで設けられ得る。
【0015】
前記複数個の横プレートと前記複数個の縦プレートの少なくともいずれか一つが、銀(Ag)めっきされ得る。
【0016】
前記複数個の横プレートは、各々非めっき銅板からなり、前記複数個の縦プレートは、各々両面が銀めっきされた銅板からなり得る。
【0017】
前記複数個の横プレートと前記複数個の縦プレートが、はんだ付け溶接され得る。
【0018】
なお、本発明の他の様態によると、バスバーの長さと同じ長さを有する複数個の横プレート及び前記バスバーの幅の同じ長さを有する複数個の縦プレートを準備する材料準備段階と、前記複数個の横プレートを相互に一定の間隔を隔てて並んで配置し、前記複数個の横プレートと交差する方向へ相互に一定の間隔を隔てて並んで前記複数個の横プレートの上に前記複数個の縦プレートを積層して配置してバスバー単位レイヤーを形成する段階と、前記バスバー単位レイヤーを予め決められた回数だけ反復積層してバスバーマルチレイヤーを形成する段階と、前記バスバーマルチレイヤーを溶接して一体化する溶接段階と、含むバスバーの製造方法が提供され得る。
【0019】
前記溶接段階の後に、前記バスバーの両端部に厚さ方向へ穴を形成する穴加工段階をさらに含み得る。
【0020】
前記横プレートは非めっき銅板からなり、前記縦プレートは銀めっき処理された銅板層からなり、前記溶接段階において、別の溶加材を使用せず、前記縦プレートの銀成分を溶融させて前記バスバーマルチレイヤーを一体化するろう付け溶接が行われ得る。
【0021】
本発明のさらに他の様態によると、上述したバスバーを含むバッテリーパックが提供され得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一面によると、従来よりも放熱性能が改善されたバスバーが提供することができる。
【0023】
本発明によるバスバーは、格子構造をなす横プレートと縦プレートの間に大気と接触可能な通気口を備える。外部空気は、前記通気口を通してバスバーの本体を、上下、左右、前後の全ての方向で通過できる。即ち、本発明のバスバーは、外部空気がバスバーの外表面のみならず、バスバーの内側まで接触可能であるため、放熱性能が向上する。
【0024】
本発明の他面によると、格子構造に横プレートと縦プレートを積層し、これをろう付け溶接で固着させたバスバーを提供することができる。この際、横プレートまたは縦プレートのうち少なくとも一つを予め銀めっき処理しておくことで、ろう付け溶接時に溶加材が不要となり、バスバーの電気伝導率も向上させることができる。
【0025】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない効果は、本明細書及び添付の図面から本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者に明らかに理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の従来技術によるバスバーを示した図である。
【
図2】本発明の一実施例によるバスバーの斜視図である。
【
図4】
図2のバスバーの平面図及び部分拡大図である。
【
図5】本発明の一実施例による横プレート及び縦プレートを示した図である。
【
図6】
図5の横プレート及び縦プレートを一回積層して形成したバスバー単位レイヤーを示した図である。
【
図7】
図6のバスバー単位レイヤーを複数個備えるバスバーマルチレイヤーを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0028】
本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、図面における構成要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張または省略されるか、概略的に示されることがある。したがって、各構成要素の大きさや割合は、実際の大きさや割合を全的に反映することではない。
【0029】
以下で説明するバスバーは、バッテリーパックの内部、例えば、バッテリーモジュールを接続するか、またはBDU(Battery Disconnection Unit)を構成するリレー装置とモジュールの内部端子を接続するのに使用され得る。勿論、前記バスバーは、バッテリーパックの外にも大電流を使用する他の電子電気装置、システム、建物などの配電ボックスにも採用可能である。
【0030】
図2は、本発明の一実施例によるバスバーの斜視図であり、
図3は、
図2のバスバーの平面図及び部分拡大図であり、
図4は、
図2のA領域の拡大斜視図である。
【0031】
図2~
図4を参照して本発明の一実施例によるバスバーの構成を説明する。
【0032】
本発明の一実施例によるバスバーは、電気伝導率が優秀な金属材質から形成された棒(bar)状を基本形状にし、その本体に複数個の通気口10A(10B、10C)を備える。
【0033】
前記バスバーの本体は、後述する複数個の横プレート20と複数個の縦プレート30に形成され、所定の長さ、厚さ、幅を備えた一直線の直方体の棒(bar)状で設けられ得る。参考までに、前記一直線の直方体の棒状のバスバーの本体は、一例にすぎない。即ち、本発明の技術思想が適用可能なバスバーの本体の形状は、必ずしも一直線の直方体の棒状に限定されることではない。即ち、バスバーの本体形状は、多方向へ曲げられた形状など、多様な形状で設けられ得る。
【0034】
前記複数個の通気口10A、10B、10Cは、前記バスバーの本体の全領域にかけて備えられ得る。例えば、前記バスバーの本体は、三次元の格子構造からなり、複数個の通気口10A、10B、10Cが前記バスバーの本体の上面、下面、左側面、右側面、前面、後面に全て形成され、各々の通気口10A、10B、10Cは、前記バスバーの本体の内部で相互に連通し得る。
【0035】
このような構成によると、外部空気が前記複数個の通気口10A、10B、10Cからバスバーの本体を、上下、左右、前後の全ての方向へ通過可能である。したがって、本発明によるバスバーは、外表面のみならず、バスバーの内側空間まで空気と接触可能になり、放熱性能が従来のものよりも優秀である。
【0036】
また、本発明のバスバーは、同じサイズの従来の棒状のバスバー(
図1参照)よりも軽く、バッテリーパックの軽量化に適している。因みに、バスバー一つの重さがわずかに軽くても、バッテリーパックには数十~数百個のバスバーが入られ、この場合、数十~数百個のバスバーの総重さはバッテリーパックの重さを増大させる。このため、バッテリーパックに使用するバスバーとしては、電気的品質及び放熱性が優秀であると共にさらに軽量であることが望ましい。本発明のバスバーは、このような条件を全て満たすといえる。
【0037】
続いて、前記三次元の格子構造をなすバスバーの構成をより詳しく説明する。
【0038】
図2を参照すると、前記バスバーの本体は、複数個の横プレート20と複数個の縦プレート30を含む。各横プレート20は、非めっき銅板からなり、バスバーの長さ(Y軸方向)だけ長く延びて形成された帯の形態で設けられ得る。そして、前記各縦プレート30は、銀めっき銅板からなり、バスバーの幅(X軸方向)だけ長く延びて形成された帯の形態で設けられ得る。
【0039】
特に、本実施例による縦プレート30は、
図3に示したように、銅板層31と前記銅板層31の上部と下部に各々銀めっき層32A、32Bを備える。後述するが、前記銀めっき層32A、32Bは、ろう付け溶接時、溶加材の代わりをし、バスバーの電気伝導性の向上に寄与する。
【0040】
図4を参照すると、前記複数個の横プレート20_1、20_2、20_3、20_4、20_5は、相互に一定の間隔を隔てて並んでバスバーの長手方向(Y軸方向)へ延びて配置され、前記複数個の縦プレート30_1、30_2、…30_Nは、前記複数個の横プレート20_1、20_2、20_3、20_4、20_5と交差する方向(X軸方向)へ配置され、相互に一定の間隔を隔てて並んで配置され得る。即ち、各横プレート20_1、20_2、20_3、20_4、20_5と各縦プレート30_1、30_2、…、30_Nは、格子構造になるように互いに交差して一定の間隔を隔てて配置されることで前記各横プレート20_1、20_2、20_3、20_4、20_5と前記各縦プレート30_1、30_2、…、30_Nとの間に通気口10Aが設けられ得る。
【0041】
このように、複数個の横プレート20_1、20_2、20_3、20_4、20_5と複数個の縦プレート30_1、30_2、…、30_Nは、相互に上下方向へ交互に反復して積層されることで三次元の格子構造を形成し得る。
【0042】
図3及び4をさらに参照すると、本実施例のバスバーは、最下層に5個の横プレート20がバスバーの幅方向(X軸方向)に沿って等間隔で配置されており、その上に67個の縦プレート30がバスバーの長手方向(Y軸方向)に沿って等間隔で配置されている。そして、さらにその上に、他の5個の横プレート20がバスバーの幅方向(X軸方向)に沿って等間隔で配置され、さらに67個の縦プレート30がバスバーの長手方向(Y軸方向)に沿って等間隔で配置されている。このようなパターンで、5個の横プレート20が5回積層され、前記横プレート20の間毎に67個の縦プレート30が4回積層されている。ここで、前記5個ずつの横プレート20は、1層、3層、5層、7層、9層に各々位置し、前記67個ずつの縦プレート30は、2層、4層、6層、8層に各々位置し、総9層からなる三次元の格子構造の積層体を形成する。
【0043】
バスバーの本体が上記のように三次元の格子構造の積層体で構成されることで、各層の横プレート20と縦プレート30の間に空間が設けられ、前記空間が通気口10A、10B、10Cになり得る。このような通気口10A、10B、0Cは、バスバーの本体に、上、下、左、左、前、後の方向へ一定の間隔毎に規則的に存在し、バスバーの本体の内部で互いに連通する。
【0044】
このようなバスバーは、大気と接触する放熱面積が広く、通気口10A、10B、10Cがバスバーの内部で連通する構造であることで、従来のバスバーより放熱効果が優秀である。特に、バスバーの周辺に冷却ファンが取り付けられており、前記バスバーに冷却空気を提供する環境である場合、冷却空気を通気口10A、10B、10Cを通じて前記バスバーの本体の内外部へ通過させることができ、バスバーの発熱をさらに速かに低めることができる。
【0045】
一方、本実施例の横プレート20と縦プレート30を反復的に積層して積層体を総9層形成したが、所望するバスバーの厚さや断面積SQによって前記積層体の層数をいくらでも相違に形成可能である。例えば、上述した方式で複数個の横プレート20をN回積層し、前記複数個の縦プレート30をM回積層する場合、前記複数個の横プレート20は、1層、3層、…、2N-1層に各々位置し、前記複数個の縦プレート30は、2層、4層、…、2M相に各々位置して、総N+M層からなる三次元の格子構造の積層体を設け得る。
【0046】
続いて、
図5~
図7を参照して本発明の一実施例によるバスバーの製造方法を説明する。
【0047】
先ず、電気伝導率が良い金属素材を加工して複数個の横プレート20と複数個の縦プレート30を準備する。
【0048】
バスバーの長さは、前記横プレート20の長さによって決定され、バスバーの幅は、前記縦プレート30の長さによって決定され、バスバーの厚さは、前記横プレート20と縦プレート30の積層回数によって決定される。したがって、上記のような点を勘案して予め決定されたバスバーの長さに対応する長さを有する横プレート20と予め決定されたバスバーの幅に対応する長さを有する縦プレート30を準備する。
【0049】
前記横プレート20と前記縦プレート30の少なくとも一つは、銀めっき処理する。本実施例は、
図5の(b)に示したように、各縦プレート30の両面に銀めっき処理をした。即ち、本実施例の各縦プレート30は、銅板層31と、前記銅板層31の上面と下面に各々銀めっき層32A、32Bを備える。
【0050】
そして、前記各横プレート20の非めっき銅板層と前記各縦プレート30の銅板層31は、約0.2mm~0.25mmの厚さに製作され、前記上部銀めっき層32A、32Bと下部銀めっき層32A、32Bは、各々0.05mmの厚さに製作され得る。
【0051】
前記銀めっき層32A、32Bは、はんだ付け溶接時に溶融させて横プレート20と縦プレート30を一体に連結するのに使用され得る。
【0052】
その後、
図6のように、複数個の横プレート20を一定の間隔を隔てて並んで配置し、これらの上に前記複数個の横プレート20と交差する方向へ複数個の縦プレート30を相互に一定の間隔を隔てて並んで配置する。以下で、
図6のように、複数個の横プレート20と複数個の縦プレート30が格子構造で一回積層して配置したことをバスバー単位レイヤー100として定義する。
【0053】
その後、前記バスバー単位レイヤー100を予め決定された回数だけ反復して積層し、
図7のようなバスバーマルチレイヤー200を形成する。
【0054】
その後、前記バスバーマルチレイヤー200を形成する横プレート20と縦プレート30を溶接して一体化する。前記溶接は、超音波溶接、抵抗溶接、ろう付け溶接などを含み得る。本実施例の場合、母材を溶融しない溶接法であるはんだ付け(brazing)溶接によって横プレート20と縦プレート30を連結する。
【0055】
この際、各縦プレート30は、銀めっき層32A、32Bを備えているため、はんだ付け溶接時、別の溶加材が不要である。銀は、銅(Cu)よりも融点が低い金属であるので、各縦プレート30の銀めっき層32A、32Bを溶融させるほどの熱を前記バスバーマルチレイヤー200に加え、前記銀めっき層32A、32Bを溶かして横プレート20及び縦プレート30を一体化することができる。
【0056】
本実施例は、銀を前記複数個の縦プレート30に予めめっき処理した上で、はんだ付け溶接を行うため、追加の溶加材が不要であり、三次元の格子構造で積層された前記複数個の縦プレート30及び複数個の横プレート20を効果的に接合することができる。また、前記銀めっき層32A、32Bによってさらに向上した電気伝導度を有するバスバーが得られる。
【0057】
最後に、前記はんだ付け溶接によって横プレート20と縦プレート30が一体化した前記バスバーマルチレイヤー200の両端に穴Hを加工すると、バスバーが完成される。
【0058】
一方、本発明によるバッテリーパックは、上述したバスバーを少なくとも一つ以上含んで構成され得る。前記バッテリーパックは、前記バスバーの他にも、前記バスバーによって電気的に接続されるバッテリーモジュールを始め、バッテリーモジュールの充放電を制御するための各種装置、例えば、BMS、リレー、電流センサー、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0059】
前記バッテリーパックは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用可能である。勿論、前記バッテリーパックは、電力貯蔵装置またはその他のIT製品群などにも適用できる。
【0060】
以上、本発明の望ましい実施例について図示及び説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、だれでも多様に変形できることは言うまでもなく、かかる変形は請求範囲内に含まれる。
【0061】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は相対的な位置を示し、説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。