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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】庫内清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/093 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
B08B9/093
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024095428
(22)【出願日】2024-06-12
【審査請求日】2024-06-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518266602
【氏名又は名称】株式会社アトムワーク
(73)【特許権者】
【識別番号】592237770
【氏名又は名称】東洋鉄球株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】下村 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】春日 宏之
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-44167(JP,A)
【文献】特開平10-328059(JP,A)
【文献】実開昭56-44890(JP,U)
【文献】実開昭48-35953(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02,9/093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が供給されるホースが接続され、前記気体の噴き出しによって収容庫内で動いて除去対象物に衝突するハンマーヘッドを有し、前記ハンマーヘッドには、前記気体の噴き出し口に連通する流路部が設けられた庫内清掃装置であって、
前記流路部内に配されたヘッド内領域、及び、前記流路部外で前記ホース内に配され、該ホースと一体となって弾性変形するヘッド外領域を有する弾性部材を備え、前記ヘッド外領域は、前記ヘッド内領域に連続する低フレキシブル部と、前記ホース内の前記気体の流れに沿って前記低フレキシブル部の上流側に連続する、該低フレキシブル部より曲げ弾性率が小さい高フレキシブル部とを有することを特徴とする庫内清掃装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、1つ又は複数のコイルばねを有することを特徴とする請求項1記載の庫内清掃装置。
【請求項3】
前記コイルばねは、複数あって、該複数のコイルばねは、軸心が重なるように互いに嵌め合わせられ、前記高フレキシブル部の前記コイルばねの重なり数が前記低フレキシブル部の前記コイルばねの重なり数より少ないことを特徴とする請求項2記載の庫内清掃装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記コイルばねのばねピッチが、前記高フレキシブル部が前記低フレキシブル部より大きいことを特徴とする請求項2記載の庫内清掃装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記コイルばねの線径が、前記高フレキシブル部が前記低フレキシブル部より短いことを特徴とする請求項2記載の庫内清掃装置。
【請求項6】
前記コイルばねは、該コイルばねの一部である部分Lが該部分Lを除く領域と比較して、前記コイルばねの軸心までの距離が長い位置に配されて、前記ハンマーヘッドから抜けるのを防止されていることを特徴とする請求項2記載の庫内清掃装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、ゴム片を有することを特徴とする請求項1記載の庫内清掃装置。
【請求項8】
前記弾性部材は、繊維質の成型体を有することを特徴とする請求項1記載の庫内清掃装置。
【請求項9】
気体が供給されるホースが接続され、前記気体の噴き出しによって収容庫内で動いて除去対象物に衝突するハンマーヘッドを有し、前記ハンマーヘッドには、前記気体の噴き出し口に連通する流路部が設けられた庫内清掃装置であって、
前記流路部内に配されたヘッド内領域、及び、前記流路部外で前記ホース内に配され、該ホースと一体となって弾性変形するヘッド外領域を有する弾性部材を備え、前記ヘッド外領域は、前記ヘッド内領域に連続する部分から前記ホース内の前記気体の流れに沿って上流側に向けて曲げ弾性率が小さくなる弾性率減少部を有することを特徴とする庫内清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容庫内の収容物を清掃する庫内清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントやボーキサイトのような工業原料の粉粒体、飼料又は農作物等は収容庫(例えば、サイロ)に貯留される。それらの収容物は、湿気や収容物に含まれていた水分、あるいは、収容庫内で受ける荷重によって、収容庫内で塊となったり、収容庫の内壁に層状となって留まったりする。
そこで、収容庫内は定期的にそれらの塊や層を取り除く清掃処理が行われ、その清掃処理に使用される装置の具体例が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、可撓性のあるホースに接続され、ホース経由で送られる圧縮空気を噴き出す噴出口が設けられたクリーナヘッドを備えている。クリーナヘッドが収容庫に入れられた状態で、噴出口から圧縮空気を噴き出すことによって、クリーナヘッドは収容庫内で動いて収容物の塊や層に衝突し、それらを粉砕する。
【0004】
クリーナヘッドは、クリーナヘッドに連結された筒状のホース接続部を介してホースに接続される。引用文献1では、ホースとホース接続部の連結についての説明が省略されているが、この種の装置の従来品では、ホースにホース接続部を挿入した状態で、バンド等を用いてホースにホース接続部を固定し、ホースとホース接続部の連結箇所から圧縮空気が漏れるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-188819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来品は、ホースにおいてホース接続部の上端(クリーナヘッドまでの距離が長い側の端部)に対応する部分に、亀裂や孔が生じやすく、清掃開始から短時間(例えば、2、3時間)でホースの取り換え作業が必要になるという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、ホースに亀裂や孔が生じるのを抑制可能な庫内清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る庫内清掃装置は、気体が供給されるホースが接続され、前記気体の噴き出しによって収容庫内で動いて除去対象物に衝突するハンマーヘッドを有し、前記ハンマーヘッドには、前記気体の噴き出し口に連通する流路部が設けられた庫内清掃装置であって、前記流路部内に配されたヘッド内領域、及び、前記流路部外で前記ホース内に配され、該ホースと一体となって弾性変形するヘッド外領域を有する弾性部材を備え、前記ヘッド外領域は、前記ヘッド内領域に連続する低フレキシブル部と、前記ホース内の前記気体の流れに沿って前記低フレキシブル部の上流側に連続する、該低フレキシブル部より曲げ弾性率が小さい高フレキシブル部とを有する。
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係る庫内清掃装置は、気体が供給されるホースが接続され、前記気体の噴き出しによって収容庫内で動いて除去対象物に衝突するハンマーヘッドを有し、前記ハンマーヘッドには、前記気体の噴き出し口に連通する流路部が設けられた庫内清掃装置であって、前記流路部内に配されたヘッド内領域、及び、前記流路部外で前記ホース内に配され、該ホースと一体となって弾性変形するヘッド外領域を有する弾性部材を備え、前記ヘッド外領域は、前記ヘッド内領域に連続する部分から前記ホース内の前記気体の流れに沿って上流側に向けて曲げ弾性率が小さくなる弾性率減少部を有する。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係る庫内清掃装置は、流路部内に配されたヘッド内領域、及び、流路部外でホース内に配され、ホースと一体となって弾性変形するヘッド外領域を有する弾性部材を備え、ヘッド外領域が、ヘッド内領域に連続する低フレキシブル部と、ホース内の気体の流れに沿って低フレキシブル部の上流側に連続する、低フレキシブル部より曲げ弾性率が小さい高フレキシブル部とを有するので、ホースに亀裂や孔が生じるのを抑制可能である。
【0010】
第2の発明に係る庫内清掃装置は、流路部内に配されたヘッド内領域、及び、流路部外でホース内に配され、ホースと一体となって弾性変形するヘッド外領域を有する弾性部材を備え、ヘッド外領域は、ヘッド内領域に連続する部分からホース内の気体の流れに沿って上流側に向けて曲げ弾性率が小さくなる弾性率減少部を有するので、ホースに亀裂や孔が生じるのを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る庫内清掃装置の説明図である。
図2】同庫内清掃装置のホースとハンマーヘッドの接続を示す説明図である。
図3】弾性部材の説明図である。
図4】弾性部材の構成を示す説明図である。
図5】スリーブ及び変形例に係る弾性部材の説明図である。
図6】変形例に係る弾性部材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る庫内清掃装置10は、気体が供給されるホース11が接続され、気体の噴き出しによって収容庫内で動いて除去対象物に衝突するハンマーヘッド12を有し、ハンマーヘッド12には、気体の噴き出し口13に連通する流路部14が設けられている。以下、詳細に説明する。
【0013】
ホース11は断面円形で可撓性を有し、ゴムによって形成されている(なお、ホースの素材や断面形状はこれに限定されない)。ホース11の基側端部は、庫内清掃装置10が具備するコンプレッサ(図示を省略)に接続され、ホース11にはコンプレッサから気体(本実施の形態では、空気)が送られる。ホース11に送られた空気は基側端部から先側端部に向けて進み先側端部から噴き出される。
収容庫内に入れられて使用されるハンマーヘッド12は、図1図2に示すように、ホース11の先側端部が嵌入した貫通孔15が中央に形成されている円板部材16と、円板部材16に平行に配された円板部材17と、円板部材16、17の間に設けられた円筒状の中間部材18を備えている。
【0014】
円板部材17はホース11内の気体の流れに沿って円板部材16の上流側に位置している。円板部材17は円板部材16と略同形状であり、中央にホース11が挿通した貫通孔19が形成されている。
以下、特に記載しない限り、上流側及び下流側はホース11内の気体の流れに沿って上流側及び下流側をそれぞれ意味する。
【0015】
中間部材18は円板部材16、17に対しそれぞれ溶接等によって固定されている。
中間部材18には、図2に示すように、ホース11が挿通した貫通孔20が形成されている。貫通孔20は、断面円形であり、下流側領域が上流側領域に比べて半径が長く、その下流側領域には、ホース11外に硬化樹脂21が充填されている。ハンマーヘッド12が有する硬化樹脂21は、ホース11に接着し、円板部材16によって下流側への移動が、中間部材18によって上流側への移動がそれぞれ制限されている。ホース11は硬化樹脂21によってハンマーヘッド12から抜けることが防止されている。
【0016】
中間部材18の外周には、図1図2に示すように、複数の羽根体22が等間隔で固定されている。各羽根体22は、板状であり、円板部材16、17に対して垂直に配置され、円板部材16、17にも固定されている。複数の羽根体22は中間部材18を中心にして放射状に配置され、それぞれの中央がホース11から離れる方向に張り出している。
複数の羽根体22を具備するハンマーヘッド12は、除去対象物を効率的に取り除く点で好適である。なお、羽根体22の形状は上述した形状に限定されない。
【0017】
ハンマーヘッド12において、除去対象物や収容庫内の壁面に接触する部位(具体的には、円板部材16、17、中間部材18及び羽根体22)は、鉄(SS等)、銅(ベリリウム銅等)、SUS又は樹脂によって形成できる。収容庫内に粉塵が多い場合、ハンマーヘッド12と収容庫内の壁面との接触によって火花が発生すると、粉塵爆発のおそれがある。そのため、収容庫内に粉塵が多い場合、ハンマーヘッド12の該当部位はベリリウム銅や樹脂によって形成されるのが好ましい。
【0018】
ホース11には、円板部材17の上流側に位置する部分、及び、貫通孔20の下流側領域に配された部分にそれぞれ、固定具23、24が取り付けられている。本実施の形態では、固定具23、24に金属製のホースクランプを採用している(但し、これには限定されない)。固定具23はハンマーヘッド12がホース11に対し上流側に移動するのを制限し、固定具24はハンマーヘッド12がホース11に対し下流側に移動するのを制限する。
【0019】
本実施の形態では、図2に示すように、噴き出し口13が円板部材16の貫通孔15の下流側端部及びホース11の先側端部によって構成され、流路部14がホース11のハンマーヘッド12内に配された領域によって構成されている。但し、これには限定されない。例えば、ホース11の先側端部が、ホース11内の気体の流れに沿って中間部材18と円板部材16との接触位置と同位置に配されていてもよく、その場合、噴き出し口13は円板部材16の貫通孔15の下流側端部のみによって構成され、流路部14はホース11のハンマーヘッド12内に配された領域及び円板部材16の貫通孔15の吹き出し口18として機能する下流側端部を除く部分によって構成される。
【0020】
また、ホース11の先側端部から上流側に向けて所定の範囲には、図2図3に示すように、内側に弾性部材25が配されている。弾性部材25は、図3に示すように、流路部14内(ハンマーヘッド12内)に配されたヘッド内領域26、及び、流路部14外(ハンマーヘッド12外)でホース11内に配されたヘッド外領域27を備えている。固定具23、24は弾性部材25とホース11を固定する役割も担っている。
【0021】
本実施の形態において、弾性部材25は、図4に示すように、軸心が重なるように互いに嵌め合わせられた2つのコイルばね28、29によって形成されている。即ち、弾性部材25は2つのコイルばね28、29を有している。コイルばね28、29はそれぞれホース11の長手方向に沿っている。コイルばね28は、ばねピッチ及び線径(コイルばねを形成する線状部材自体の直径)が一定であり(長手方向の如何なる位置でも等しく)、これはコイルばね29についても同様である。
【0022】
コイルばね28はコイルばね29より長く、弾性部材25は、コイルばね28、29の各下流側端部が実質的に弾性部材25の長手方向同一の位置に配されている。従って、弾性部材25は、下流側端部からコイルばね29の長さ分が、主としてコイルばね28、29によって構成され、残りが主としてコイルばね28のみによって構成されている。なお、コイルばね28、29の各下流側端部を弾性部材25の長手方向の異なる位置に配しても良い。
【0023】
弾性部材25において、図3に示すように、主としてコイルばね28、29によって構成された部位が、ヘッド内領域26全体とヘッド外領域27の一部又は大半とを合わせた領域に相当し、主としてコイルばね28のみによって構成された部位(コイルばね29がコイルばね28に重なっていない部位)が、ヘッド外領域27の残りの領域に相当する。なお、上述の説明において、「主としてコイルばね28、29」や「主としてコイルばね28のみ」のように、「主として」と記載しているのは、弾性部材25が、コイルばね28、29以外のもの、例えば、コイルばね28、29を互いに接着する接着剤を有することもあるためである。
【0024】
本実施の形態では、ヘッド外領域27において、主としてコイルばね28、29によって構成された部位が、ヘッド内領域26に連続する低フレキシブル部30に該当する。そして、主としてコイルばね28のみによって構成された部位は、低フレキシブル部30の上流側に連続する、低フレキシブル部30より曲げ弾性率が小さい高フレキシブル部31に該当する。低フレキシブル部30の長さ及び高フレキシブル部31の長さは、例えば、共に50mm以上1000mm以下である。
【0025】
従って、高フレキシブル部31のコイルばねの重なり数(本実施の形態では、1個)は、低フレキシブル部30のコイルばねの重なり数(本実施の形態では、2個)より少ない。そのため、高フレキシブル部31は、低フレキシブル部30と比較して、曲げ弾性率が小さく、曲がり(ひずみ)やすい。
【0026】
また、噴き出し口13から空気が噴き出されると、作用反作用の法則によりハンマーヘッド12はその空気の噴き出しにより動き、これに伴ってホース11は曲がる。これは、ホース11のヘッド外領域27に対応する部分も例外ではなく、ハンマーヘッド12の移動に伴い、ホース11のヘッド外領域27に対応する部分(ヘッド外領域27の外側に位置している部分)は、ヘッド外領域27と共に曲がることとなる。即ち、ヘッド外領域27はホース11と一体となって弾性変形する。
なお、本実施の形態では、ヘッド内領域26及びそれに対応するホース11の領域が実質的に曲がらないように、ハンマーヘッド12等が設計されている。
【0027】
ここで、本実施の形態のように、ヘッド内領域26を具備する弾性部材25のヘッド外領域27に、ヘッド内領域26に連続して低フレキシブル部30を設け、その低フレキシブル部30の上流側に連続して高フレキシブル部31を設けることによって、ハンマーヘッド12の移動による収容庫内の清掃処理によりホース11に亀裂や孔が生じるのを抑制できることを、種々の検証によって確認した。
【0028】
コイルばね28、29の材質として、SWOSC-B、SWOC-B、SWOC-V、SWP-A等が選択できるが、材質は特に限定されない。コイルばねネ28、29の材質や線径は、ハンマーヘッド12の重量等に応じて適宜決定される。
本実施の形態において、弾性部材25は気体の流れに沿った異なる位置で外径が同じであるが、ヘッド外領域27の全体又は一部(例えば、上流側端部を含む、その近傍領域)を上流に向かうにつれ外径が徐々に小さくなるようにしてもよい。
【0029】
また、ホース11に、図5に示すように、円筒形のスリーブ37を装着して、ホース11の収容庫内の壁面や除去対象物に衝突する可能性のあるハンマーヘッド12の近傍領域や、同様の可能性がある固定具23を保護するようにしてもよい。スリーブ37は樹脂やゴムによって形成でき、ホース11がスリーブ37を挿通した状態でホース11に取り付けられている。
なお、図5において、図2で示された構成と同等の構成については、同じ符号を付している。
【0030】
スリーブ37はホース11に対し固定してもよいが、固定する必要はない。これは収容庫内の清掃処理中、スリーブ37が遠心力でハンマーヘッド12に接触する位置又は近傍に配されるためである。スリーブ37の長手方向の(ホース11に沿った)長さは、特に限定はなく、例えば、ヘッド外領域27以下にすることができる。
【0031】
また、図5に示す例では、ホース11の下流側端部及び弾性部材25の下流側端部が中間部材18内(つまり、吹き出し口13の上流側)に位置している。
そして、コイルばね28は、コイルばね28の下流側端部(部分Lの一例)が、下流側端部を除く領域と比較して、コイルばね28の軸心までの距離が長い位置に配されるように加工され、ホース11の長手方向に見て、中間部18の貫通孔20の下流側領域の内側、かつ、貫通孔20の下流側領域より半径が短い上流側領域の外側に、コイルばね28の下流側端部が配されている。
【0032】
コイルばね28をこのように加工することによって、仮に、弾性部材25がホース11と共に、ハンマーヘッド12に対して上流側にずれて移動したとしても、コイルバネ28の下流側端部が、貫通孔20の下流側領域から上流側領域に進入するのを防ぐことができる。その結果、弾性部材25、即ち、コイルばね28、29は、ハンマーヘッド12から抜けるのを防止されている。
【0033】
この例では、コイルばね28のみに上述の加工がなされているが、コイルばね29のみに当該加工を行ってもよいし、コイルばね28、29の双方にその加工を行ってもよい。
更に、コイルばね28において、コイルばね28の軸心までの距離が長い位置に配されるように加工される部分Lは、下流側端部に限定されない。これはコイルばね29を加工する際も同様である。但し、コイルばね28、29に対するこのような加工は、下流側端部を対象とするのが加工を容易に行える点で好適である。
【0034】
本実施の形態では、コイルばね28のばねピッチ及び線径はコイルばね29のばねピッチ及び線径にそれぞれ等しいが、ばねピッチ及び線径のいずれか一方又は双方が異なる2つのコイルばねを用いて、弾性部材を構成してもよい。
なお、弾性部材を、3つ以上のコイルばねを用いて構成することや、1つのコイルばねを用いて構成することもできる。
【0035】
3つ以上のコイルばねを用いる場合、例えば、高フレキシブル部のコイルばねの重なり数が低フレキシブル部のコイルばねの重なり数より少なくなるように、コイルばねを重ねればよい。
1つのコイルばねを用いる場合、例えば、高フレキシブル部のコイルばねのばねピッチが低フレキシブル部のコイルばねのばねピッチより大きくする(広くする)ことによって、又は、高フレキシブル部のコイルばねの線径が低フレキシブル部のコイルばねの線径より短く(小さく)することによって、高フレキシブル部の曲げ弾性率を低フレキシブル部の曲げ弾性率より小さくできる。
【0036】
なお、高フレキシブル部のコイルばねのばねピッチを低フレキシブル部のコイルばねのばねピッチより大きくすることや、高フレキシブル部のコイルばねの線径を低フレキシブル部のコイルばねの線径より短くすることは、複数のコイルばねを有する弾性部材に対して行ってもよい。
また、弾性部材は、ヘッド内領域と、低フレキシブル部及び高フレキシブル部を有するヘッド外領域を備えていればよく、コイルばねを有さなくても良い。例えば、弾性部材をゴム片又は繊維質の成型体を有して構成することができる。
【0037】
筒状のゴム片を用いる場合、ヘッド外領域に肉厚が厚い領域及び薄い領域を設けて、各領域をそれぞれ低フレキシブル部及び高フレキシブル部にすればよい。あるいは、曲げ弾性率が大きい材料によって形成された領域と、曲げ弾性率が小さい材料によって形成された領域とを設けて、それぞれを低フレキシブル部及び高フレキシブル部にすることもできる。
【0038】
更に、図6に示すように、筒状のゴム片33の一側端部(上流側端部)から一定の範囲に切込み34を入れ、その切込み34を入れた領域を高フレキシブル部35とし、切込み34のない領域を低フレキシブル部36としてもよい。なお、図5の例では、切込み34が螺旋状であるが、これに限定されないのは言うまでもない。これらのゴム片について説明した内容は繊維質の成型体に対しても同様のことが言える。
【0039】
また、ヘッド外領域を、低フレキシブル部及び高フレキシブル部を具備するように設計する代わりに、ヘッド外領域を、下流側端部(つまり、ヘッド内領域に連続する部分)から上流側に向けて曲げ弾性率が小さくなる弾性率減少部を有するように、ヘッド外領域を設計してもよい。弾性率減少部の長さは、例えば、50mm以上1000mm以下である。
【0040】
ここで、弾性率減少部は、曲げ弾性率が一定の領域A、及び、上流に向けて徐々に曲げ弾性率が小さくなる領域Bを、上流に向けて順に有してもよいし(但し、領域Bで最も曲げ弾性率が大きい下流側端部の曲げ弾性率は領域Aの曲げ弾性率以下とする)、あるいは、弾性率減少部全体を、上流に向けて徐々に曲げ弾性率が小さくなるように設計してもよい。例えば、コイルばねのばねピッチを徐々に大きくすることによって、又は、コイルばねの線径を徐々に短く(小さく)することによって、徐々に曲げ弾性率を小さくすることができる。
【実施例
【0041】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験について説明する。
流路部が120mmのハンマーヘッド(なお、本発明は、流路部が120mmのハンマーヘッドに限定されないのは言うまでもない)を用意し、そのハンマーヘッドの流路部に、弾性部材(実施例1~11及び比較例2~6のいずれか1つ)が嵌入したホースを弾性部材と共に挿入して固定し、ホースと弾性部材をステンレス製バンドで固定した。そして、ハンマーヘッドを石灰石の粉体を収容したサイロ内に入れ、ハンマーヘッドからの空気の噴き出しによりサイロ内の固化した石灰石の粉体を破砕する清掃処理を行い、その破砕性及び耐久性を実験した。
【0042】
なお、比較例1のみ、一部が流路部内に嵌入したタケノコニップルのハンマーヘッドから突出した部分にホースを取り付け、ステンレス製バンドでホースをタケノコニップルに固定した(即ち、ホースは流路部に挿入されなかった)。
実験結果を、表1、表2及び表3に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
表1~3では、弾性部材が2個の弾性片によって構成された実施例又は比較例について、それぞれの弾性片を弾性片A及び弾性片Bとして説明し、弾性部材が1個の弾性片によって構成された実施例又は比較例を、その弾性片を弾性片Aとして説明した。
【0047】
弾性部材が2個のコイルばねから構成された実施例1~4、8及び9は、下流側端部を長手方向同じ位置に配した2個のコイルばねを、軸心が重なるように互いに嵌め合わせた。実施例7は、下流側に配置したコイルばね(弾性片A)の上流側端部に、コイルばねより曲げ弾性率が小さい円錐ばね(弾性片B)を接続して直列に並べた。
【0048】
実施例10のゴムホースは、比較例5と同じゴムホースに螺旋状の切込みをいれたもので、ゴムホースの上流側端部から50mmの領域に切込みが設けられた。
比較例6及び実施例11の繊維質円筒体は共に、接着剤を用いてケプラー生地を積層し円筒形状に成型したものであった。実施例11の繊維質円筒体のみ、その筒形状成型物の上流側端部から150mmの領域に長手方向のスリットを形成した。
【0049】
表1、表2及び表3において、「破砕性」は、A、B、C、D、Eの5段階評価とし、Aを破砕性が最も高い(強い)評価とし、Eを破砕性が最も低い(弱い)評価とした。
同表において、「耐久性」は、清掃処理開始からホースに亀裂や孔が形成されるまでの時間(以下、「耐久時間」と言う)を計測した結果であり、その計測結果をA、B、C、D、Eの5段階評価で示した。各評価の具体的な耐久時間は、Aが20時間以上、Bが10時間以上20時間未満、Cが5時間以上10時間未満、Dが2時間以上5時間未満、Eが2時間未満であった。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、ホースは流路部内に挿入されている必要はなく、弾性部材のヘッド外領域にホースを連結してもよい。
【0051】
また、弾性部材が低フレキシブル部及び高フレキシブル部を備える場合、弾性部材は、高フレキシブル部より上流側に、高フレキシブル部より曲げ弾性率が大きい領域を有しても良い。弾性部材が弾性率減少部を有する場合、弾性部材は、弾性率減少部の上流側に、弾性率減少部において最も曲げ弾性率が大きい値より曲げ弾性率が大きい領域を有しても良い。
【0052】
弾性部材のヘッド内領域の曲げ弾性率はヘッド外領域の曲げ弾性率(ヘッド外領域に低フレキシブル部及び高フレキシブル部がある場合、高フレキシブル部の曲げ弾性率)より低くてもよい。更に、ヘッド内領域、低フレキシブル部、高フレキシブル部を異なる材質によって形成することもできる。
そして、ハンマーヘッドの形状は特に限定がなく、例えば、羽根体を有さなくてもよい。ハンマーヘッドは硬化樹脂を有さなくてもよい。
また、流路部の径(幅)は気体の流れに沿っていずれの位置でも同じであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10:庫内清掃装置、11:ホース、12:ハンマーヘッド、13:噴き出し口、14:流路部、15:貫通孔、16、17:円板部材、18:中間部材、19、20:貫通孔、21:硬化樹脂、22:羽根体、23、24:固定具、25:弾性部材、26:ヘッド内領域、27:ヘッド外領域、28、29:コイルばね、30:低フレキシブル部、31:高フレキシブル部、33:ゴム片、34:切込み、35:高フレキシブル部、36:低フレキシブル部、37:スリーブ
【要約】
【課題】ホースに亀裂や孔が生じるのを抑制可能な庫内清掃装置を提供する。
【解決手段】気体が供給されるホース11が接続され、気体の噴き出しによって収容庫内で動いて除去対象物に衝突するハンマーヘッド12を有し、ハンマーヘッド12には、気体の噴き出し口13に連通する流路部14が設けられた庫内清掃装置10であって、流路部14内に配されたヘッド内領域、及び、流路部14外でホース11内に配され、ホース11と一体となって弾性変形するヘッド外領域を有する弾性部材25を備え、ヘッド外領域は、ヘッド内領域に連続する低フレキシブル部と、ホース11内の気体の流れに沿って低フレキシブル部の上流側に連続する、低フレキシブル部より曲げ弾性率が小さい高フレキシブル部とを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6