(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】端末、通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/08 20090101AFI20240806BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240806BHJP
【FI】
H04W52/08
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2021534439
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2019028716
(87)【国際公開番号】W WO2021014547
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 翔平
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤンル
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】Samsung,On Physical Layer Procedures for NR V2X[online],3GPP TSG RAN WG1 #97 R1-1906941,2019年05月17日
【文献】Panasonic,Discussion on physical layer procedures for sidelink in NR V2X[online],3GPP TSG RAN WG1 #97 R1-1906404,2019年05月17日
【文献】CATT,Sidelink physical layer procedures in NR V2X[online],3GPP TSG RAN WG1 #97 R1-1906319,2019年05月17日
【文献】LG Electronics,Feature lead summary for agenda item 7.2.4.5 Physical layer procedures for sidelink[online],3GPP TSG RAN WG1 #97 R1-1907682,2019年05月17日
【文献】LG Electronics,Discussion on physical layer procedures for NR sidelink[online],3GPP TSG RAN WG1 #96b R1-1905443,2019年04月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力と、前記端末間通信の共有チャネルと関連付けられた復調参照信号及びフェーズトラッキングの参照信号、の少なくとも一つのリソースエレメント毎の送信電力とを、同じ値に調整する制御部と、
前記制御部が調整した送信電力を用いて、前記共有チャネル、前記復調参照信号、前記フェーズトラッキングの参照信号の少なくとも一つを送信する送信部と、
を備え
、
前記端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力の合計の送信電力は、前記端末間通信の共有チャネルと関連付けられたチャネルステート情報の参照信号及び前記フェーズトラッキングの参照信号の送信電力を含み、
前記制御部は、全ての送信ポートに対して合計した前記端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力と、全ての送信ポートに対して合計した前記復調参照信号及び前記フェーズトラッキングの参照信号、の少なくとも一つのリソースエレメント毎の送信電力とを、同じ値に調整する、
端末。
【請求項2】
前記制御部は、サイドリンクの制御信号と前記復調参照信号が、時間領域で重ならないように無線リソースにマッピングする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力と、前記端末間通信の共有チャネルと関連付けられた復調参照信号及びフェーズトラッキングの参照信号、の少なくとも一つのリソースエレメント毎の送信電力とを、同じ値に調整する制御部と、
前記制御部が調整した送信電力を用いて、前記共有チャネル、前記復調参照信号、前記フェーズトラッキングの参照信号の少なくとも一つを送信する送信部と、
を備え
、
前記端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力の合計の送信電力は、前記端末間通信の共有チャネルと関連付けられたチャネルステート情報の参照信号及び前記フェーズトラッキングの参照信号の送信電力を含み、
前記制御部は、全ての送信ポートに対して合計した前記端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力と、全ての送信ポートに対して合計した前記復調参照信号及び前記フェーズトラッキングの参照信号、の少なくとも一つのリソースエレメント毎の送信電力とを、同じ値に調整する、
第1の端末と、
前記第1の端末が送信した、前記共有チャネル、前記復調参照信号、および前記フェーズトラッキングの参照信号の少なくとも一つを受信する受信部と、
を備える第2の端末と、
を備える通信システム。
【請求項4】
端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力と、前記端末間通信の共有チャネルと関連付けられた復調参照信号及びフェーズトラッキングの参照信号、の少なくとも一つのリソースエレメント毎の送信電力とを、同じ値に調整する制御ステップと、
前記制御ステップが調整した送信電力を用いて、前記共有チャネル、前記復調参照信号、前記フェーズトラッキングの参照信号の少なくとも一つを送信する送信ステップと、
を備え
、
前記端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力の合計の送信電力は、前記端末間通信の共有チャネルと関連付けられたチャネルステート情報の参照信号及び前記フェーズトラッキングの参照信号の送信電力を含み、
前記制御ステップは、全ての送信ポートに対して合計した前記端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力と、全ての送信ポートに対して合計した前記復調参照信号及び前記フェーズトラッキングの参照信号、の少なくとも一つのリソースエレメント毎の送信電力とを、同じ値に調整する、
端末の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおける端末及び通信方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)及びLTEの後継システム(例えば、LTE-A(LTE Advanced)、NR(New Radio)(5Gとも呼ぶ))では、User Equipment(UE)等の端末同士が基地局を介さないで直接通信を行うサイドリンク(D2D(Device to Device)とも呼ぶ)技術が検討されている。
【0003】
また、V2X(Vehicle to Everything)を実現することが検討され、仕様化が進められている。ここで、V2Xとは、ITS(Intelligent Transport Systems)の一部であり、
図1に示すように、自動車間で行われる通信形態を意味するV2V(Vehicle to Vehicle)、自動車と道路脇に設置される路側機(RSU:Road-Side Unit)との間で行われる通信形態を意味するV2I(Vehicle to Infrastructure)、自動車とドライバーのモバイル端末との間で行われる通信形態を意味するV2N(Vehicle to Nomadic device)、及び、自動車と歩行者のモバイル端末との間で行われる通信形態を意味するV2P(Vehicle to Pedestrian)の総称である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP TS 36.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.6.0(2019-06)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.5.1(2019-04)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
New Radio(NR)のサイドリンク(SL)で、送信電力制御(power control)をサポートすることが想定されている。3GPPのリリース16では、開ループ送信電力制御(open-loop transmitter power control、OLPC)だけをサポートすることが想定されている。開ループ送信電力制御では、端末は基地局からの信号の受信電力を測定し、上り送信電力を決定する。
【0006】
NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのChannel State Information Reference Signal(CSI-RS)の送信電力制御をどのように行うのか、現時点では規定されていない。また、NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのPhase Tracking Reference Signal(PTRS)の送信電力制御をどのように行うのか、現時点では規定されていない。これらのサイドリンクのリファレンス信号に対する送信電力制御を適切に行うことを可能とすることが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力と、前記端末間通信の共有チャネルと関連付けられた復調参照信号及びフェーズトラッキングの参照信号、の少なくとも一つのリソースエレメント毎の送信電力とを、同じ値に調整する制御部と、前記制御部が調整した送信電力を用いて、前記共有チャネル、前記復調参照信号、前記フェーズトラッキングの参照信号の少なくとも一つを送信する送信部と、を備え、前記端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力の合計の送信電力は、前記端末間通信の共有チャネルと関連付けられたチャネルステート情報の参照信号及び前記フェーズトラッキングの参照信号の送信電力を含み、前記制御部は、全ての送信ポートに対して合計した前記端末間通信の共有チャネルのリソースエレメント毎の送信電力と、全ての送信ポートに対して合計した前記復調参照信号及び前記フェーズトラッキングの参照信号、の少なくとも一つのリソースエレメント毎の送信電力とを、同じ値に調整する、端末、が提供される。
【発明の効果】
【0008】
実施例によれば、サイドリンクのリファレンス信号に対する送信電力制御を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】サイドリンク通信に用いられるMAC PDUを説明するための図である。
【
図4】SL-SCH subheaderのフォーマットを説明するための図である。
【
図5】LTE-V2Xにおけるサイドリンクで使用されるチャネル構造の例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【
図7】端末のリソース選択動作を説明するための図である。
【
図8A】NRのV2Xで規定されるSL transmission mode 1の概要を示す図である。
【
図8B】SL transmission mode 2aの概要を示す図である。
【
図8C】SL transmission mode 2cの概要を示す図である。
【
図8D】SL transmission mode 2dの概要を示す図である。
【
図9A】ユニキャストPSCCH/PSSCH送信の例を示す図である。
【
図9B】グループキャストPSCCH/PSSCH送信の例を示す図である。
【
図9C】ブロードキャストPSCCH/PSSCH送信の例を示す図である。
【
図10】LTEのサイドリンクにおける送信電力制御に使用される数式の例を示す図である。
【
図11A】NR-Uuにおけるリファレンス信号の送信電力をブーストする場合の規定の例を示す図である。
【
図11B】NR-Uuにおけるリファレンス信号の送信電力をブーストする場合の規定の例を示す図である。
【
図11C】NR-Uuにおけるリファレンス信号の送信電力をブーストする場合の規定の例を示す図である。
【
図12】CSI-RSを伴うPSCCHシンボルを含むスロット構成の例を示す図である。
【
図13】NRのサイドリンクのグループキャスト通信に対して、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を行う場合の例を示す図である。
【
図14】distance-based HARQが適用される場合に、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用する例を示す図である。
【
図15】PUSCH-PathlossReferenceRSに基づくリファレンス信号でパスロスを測定することを規定する例を示す図である。
【
図16】PUSCH-PathlossReferenceRS情報要素の例を示す図である。
【
図17】TCI stateとリファレンス信号との対応の例を示す図である。
【
図18】送信側の端末がL3-RSRP測定結果を取得するための2つの方法の例を示す図である。
【
図19】実施の形態に係る基地局の機能構成の一例を示す図である。
【
図20】実施の形態に係る端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図21】実施の形態に係る基地局及び端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0011】
本実施の形態における端末間の直接通信の方式はLTEあるいはNRのサイドリンク(SL(Sidelink))であることを想定しているが、直接通信の方式は当該方式に限られない。また、「サイドリンク」という名称は一例であり、「サイドリンク」という名称が使用されずに、UL(Uplink)が、SLの機能を含むこととしてもよい。SLは、DL(Downlink)又はULと周波数又は時間リソースの違いによって区別されてもよく、他の名称であってもよい。
【0012】
また、ULとSLとが、時間リソース、周波数リソース、時間・周波数リソース、送信電力制御においてPathlossを決定するために参照する参照信号、同期するために使用する参照信号(PSS/SSS/PSSS/SSSS)のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせの違いによって区別されてもよい。
【0013】
例えば、ULでは、送信電力制御においてPathlossを決定するために参照する参照信号として、アンテナポートX_ANTの参照信号を使用し、SL(SLとして使用するULを含む)では、送信電力制御においてPathlossを決定するために参照する参照信号として、アンテナポートY_ANTの参照信号を使用する。
【0014】
また、本実施の形態では、端末(ユーザ装置(UE)と呼ばれてもよい)が車両に搭載される形態を主に想定しているが、本発明の実施形態は、この形態に限定されない。例えば、端末は人が保持する端末であってもよいし、端末がドローンあるいは航空機に搭載される装置であってもよいし、端末が基地局、RSU、中継局(リレーノード)、スケジューリング能力を有するユーザ装置等であってもよい。
【0015】
(サイドリンクの概要)
本実施の形態では、サイドリンクを基本技術とすることから、まず、基本的な例として、サイドリンクの概要について説明する。ここで説明する技術の例は3GPPのRel.14等で規定されている技術である。当該技術は、NRにおいて使用されてもよいし、NRでは、当該技術と異なる技術が使用されてもよい。ここで、サイドリンク通信は、E-UTRA技術を使用しながらネットワークノードを介さずに、隣接する2つ以上のユーザ装置間で行われる直接通信と定義されてもよい。サイドリンクは、サイドリンク通信におけるユーザ装置間のインタフェースと定義されてもよい。
【0016】
サイドリンクには、大きく分けて「ディスカバリ」と「コミュニケーション」がある。「ディスカバリ」については、
図2Aに示すように、Discovery period毎に、Discoveryメッセージ用のリソースプールが設定(configured)され、端末(UEと称される)はそのリソースプール内でDiscoveryメッセージ(発見信号)を送信する。より詳細にはType1、Type2bがある。Type1では、端末が自律的にリソースプールから送信リソースを選択してもよい。Type2bでは、上位レイヤシグナリング(例えばRRC信号)により準静的なリソースが割り当てられてもよい(上位レイヤシグナリングに代えて、サイドリンクのRRCシグナリングであるPC5-RRCが適用されてもよく、DCI及び/又はSCIが適用されてもよい)。
【0017】
「コミュニケーション」についても、
図2Bに示すように、SC(Sidelink Control)period毎にSCI(Sidelink Control Information)/データ送信用のリソースプールが周期的に設定される。送信側の端末はControlリソースプール(PSCCHリソースプール)から選択されたリソースでSCIによりデータ送信用リソース(PSSCHリソースプール)等を受信側に通知し、当該データ送信用リソースでデータを送信する。「コミュニケーション」について、より詳細には、モード1とモード2がある。モード1では、基地局から端末に送られる(E)PDCCH((Enhanced) Physical Downlink Control Channel)によりダイナミックにリソースが割り当てられてもよい。モード2では、端末はリソースプールから自律的に送信リソースを選択してもよい。リソースプールについては、SIBで通知される等(SIBに代えて、MIB、上位レイヤシグナリング、サイドリンクのRRCシグナリングであるPC5-RRC等が適用されてもよい)、予め定義されたものが使用されてもよい。
【0018】
また、Rel-14では、モード1とモード2に加えて、モード3とモード4がある。Rel-14では、SCIとデータとを同時に(1サブフレームで)、周波数方向に隣接したリソースブロックで送信することが可能である。なお、SCIをSA(scheduling assignment)と称する場合がある。
【0019】
「ディスカバリ」に用いられるチャネルはPSDCH(Physical Sidelink Discovery Channel)と称され、「コミュニケーション」におけるSCI等の制御情報を送信するチャネルはPSCCH(Physical Sidelink Control Channel)と称され、データを送信するチャネルはPSSCH(Physical Sidelink Shared Channel)と称されてもよい。PSCCHとPSSCHはPUSCHベースの構造を有し、DMRS(Demodulation Reference Signal、復調参照信号)が挿入される構造とされてもよい。なお、本明細書において、PSCCHをサイドリンクの制御チャネルと称してもよく、PSSCHをサイドリンクの共有チャネルと称してもよい。PSCCHを介して送信される信号をサイドリンクの制御信号と称してもよく、PSSCHを介して送信される信号をサイドリンクのデータ信号と称してもよい。
【0020】
サイドリンクに用いられるMAC(Medium Access Control)PDU(Protocol Data Unit)は、
図3に示すように、少なくともMAC header、MAC Control element、MAC SDU(Service Data Unit)、Paddingで構成されてもよい。MAC PDUはその他の情報を含んでも良い。MAC headerは、1つのSL-SCH(Sidelink Shared Channel)subheaderと、1つ以上のMAC PDU subheaderで構成されてもよい。
【0021】
図4に示すように、SL-SCH subheaderは、MAC PDUフォーマットバージョン(V)、送信元情報(SRC)、送信先情報(DST)、Reserved bit(R)等で構成されてもよい。Vは、SL-SCH subheaderの先頭に割り当てられ、端末が用いるMAC PDUフォーマットバージョンを示してもよい。送信元情報には、送信元に関する情報が設定されてもよい。送信元情報には、ProSe UE IDに関する識別子が設定されてもよい。送信先情報には、送信先に関する情報が設定されてもよい。送信先情報には、送信先のProSe Layer-2 Group IDに関する情報が設定されてもよい。
【0022】
LTE-V2Xにおけるサイドリンクのチャネル構造の例を
図5に示す。
図5に示すように、「コミュニケーション」に使用されるPSCCHのリソースプール及びPSSCHのリソースプールが割り当てられてもよい。また、「コミュニケーション」のチャネルの周期よりも長い周期で「ディスカバリ」に使用されるPSDCHのリソースプールが割り当てられている。なお、NR-V2Xでは、PSDCHは含まれなくても良い。
【0023】
また、サイドリンク用の同期信号としてPSSS(Primary Sidelink Synchronization signal)とSSSS(Secondary Sidelink Synchronization signal)が用いられてもよい。また、例えばカバレッジ外動作のためにサイドリンクのシステム帯域、フレーム番号、リソース構成情報等のブロードキャスト情報(broadcast information)を送信するPSBCH(Physical Sidelink Broadcast Channel)が用いられてもよい。PSSS/SSSS及びPSBCHは、例えば、1つのサブフレームで送信される。PSSS/SSSSをSLSSと称してもよい。
【0024】
なお、本実施の形態で想定しているV2Xは、「コミュニケーション」に係る方式である。ただし、本実施の形態では、「コミュニケーション」と「ディスカバリ」の区別が存在しないこととしてもよい。また、本実施の形態に係る技術が、「ディスカバリ」で適用されてもよい。
【0025】
(システム構成)
図6は、本実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図6に示すように、本実施の形態に係る無線通信システムは、基地局10、端末20A、及び端末20Bを有する。なお、実際には多数の端末が存在し得るが、
図6は例として端末20A、及び端末20Bを示している。
【0026】
図6において、端末20Aは送信側、端末20Bは受信側を意図しているが、端末20Aと端末20Bはいずれも送信機能と受信機能の両方を備える。以下、端末20A、20B等を特に区別しない場合、単に「端末20」あるいは「端末」と記述する。
図6では、一例として端末20Aと端末20Bがともにカバレッジ内にある場合を示しているが、本実施の形態における動作は、全部の端末20がカバレッジ内にある場合と、一部の端末20がカバレッジ内にあり、他方の端末20がカバレッジ外にある場合と、全部の端末20がカバレッジ外にある場合のいずれにも適用できる。
【0027】
本実施の形態において、端末20は、例えば、自動車等の車両に搭載された装置であり、LTEあるいはNRにおけるユーザ装置(UE)としてのセルラ通信の機能、及び、サイドリンク機能を有している。更に、端末20は、GPS装置、カメラ、各種センサ等、報告情報(位置、イベント情報等)を取得する機能を含む。また、端末20が、一般的な携帯端末(スマートフォン等)であってもよい。また、端末20が、RSUであってもよい。当該RSUは、UEの機能を有するUEタイプRSUであってもよいし、基地局の機能を有するBSタイプRSU(gNBタイプUEと呼ばれてもよい)、又は中継局であってもよい。
【0028】
なお、端末20は1つの筐体の装置である必要はなく、例えば、各種センサが車両内に分散して配置される場合でも、当該各種センサを含めた装置が端末20である。また、端末20は各種センサを含まずに、各種センサとデータを送受信する機能を備えることとしてもよい。
【0029】
また、端末20のサイドリンクの送信の処理内容は基本的には、LTEあるいはNRでのUL送信の処理内容と同様である。例えば、端末20は、送信データのコードワードをスクランブルし、変調してcomplex-valued symbolsを生成し、当該complex-valued symbols(送信信号)を1又は2レイヤにマッピングし、プリコーディングを行う。そして、precoded complex-valued symbolsをリソースエレメントにマッピングして、送信信号(例:CP-OFDM、DFT-s-OFDM)を生成し、各アンテナポートから送信する。
【0030】
また、基地局10については、LTEあるいはNRにおける基地局10としてのセルラ通信の機能、及び、本実施の形態における端末20の通信を可能ならしめるための機能(例:リソースプール設定、リソース割り当て等)を有している。また、基地局10は、RSU(gNBタイプRSU)、中継局、又はスケジューリング機能を有する端末であってもよい。
【0031】
また、本実施の形態に係る無線通信システムにおいて、端末20がSLあるいはULに使用する信号波形は、OFDMAであってもよいし、SC-FDMAであってもよいし、その他の信号波形であってもよい。また、本実施の形態に係る無線通信システムにおいては、一例として、時間方向には、複数のサブフレーム(例:10個のサブフレーム)からなるフレームが形成され、周波数方向は複数のサブキャリアからなる。1サブフレームは1送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)の一例である。ただし、TTIは、サブフレームであるとは限らない。例えば、TTIは、slot又はmini-slot、その他の時間領域の単位であってもよい。また、サブキャリア間隔に応じて、1サブフレームあたりのスロット数が定まることとしてもよい。また、1スロットあたりのシンボル数が14シンボルであってもよい。さらに、1シンボルには、マルチパスに起因するシンボル間干渉を低減するためのガード期間であるCyclic Prefix(CP)が含まれてもよい。
【0032】
本実施の形態では、端末20は、基地局10から端末に送られる(E)PDCCH((Enhanced)Physical Downlink Control Channel)によりダイナミックにリソースが割り当てられるモードであるモード1、端末が自律的にリソースプールから送信リソースを選択するモードであるモード2、基地局10からSL信号送信のためのリソースが割り当てられるモード(以降、モード3と呼ぶ)、自律的にSL信号送信のためのリソースを選択するモード(以降、モード4と呼ぶ)のいずれのモードも取り得る。モードは、例えば、基地局10から端末20に上位レイヤのシグナリング(例えば、scheduled又はue-Selectedといったパラメータの通知)を行うことにより設定される。
【0033】
図7に示すように、モード4の端末(
図7ではUEとして示す)は、同期した共通の時間・周波数グリッド(又は時間及び周波数領域)から無線のリソースを選択する。例えば、端末20は、バックグラウンドでセンシングを行って、センシング結果の良好なリソースであって、他の端末に予約されていないリソースを候補リソースとして特定し、候補リソースから送信に使用するリソースを選択する。
【0034】
(NRのV2Xの概要)
NRのV2Xでは、LTEのV2Xで規定されている、SL transmission mode 3及びSL transmission mode 4と同様の送信モードが規定されている。なお、transmission modeはresource allocation modeと読み替えられてもよいし、名前はこれに限られない。
【0035】
以下、
図8A~
図8Dを参照して、NRのV2Xで規定されている送信モードの概要を説明する。
【0036】
図8Aは、NRのV2Xで規定されるSL transmission mode 1の概要を示す図である。NRのV2Xで規定されるSL transmission mode 1は、LTEのV2Xで規定されている、SL transmission mode 3に対応する。NRのV2Xで規定されるSL transmission mode 1では、基地局10が送信リソースをスケジューリングして、送信側の端末20Aに送信リソースを割り当てる。端末20Aは、割り当てられた送信リソースにより、信号を受信側の端末20Bに送信する。
【0037】
図8B、
図8C、及び
図8Dは、NRのV2Xで規定されているSL transmission mode 2の概要を示す図である。NRのV2Xで規定されるSL transmission mode 2は、LTEのV2Xで規定されている、SL transmission mode 4に対応する。
【0038】
図8Bは、SL transmission mode 2aの概要を示す図である。SL transmission mode 2aでは、例えば、送信側の端末20Aは、自律的に送信リソースを選択して、選択した送信リソースにより、信号を受信側の端末20Bに送信する。
【0039】
図8Cは、SL transmission mode 2cの概要を示す図である。SL transmission mode 2cでは、例えば、基地局10が一定周期/パターンの送信リソースを、端末20Aに対して(例えば、上位レイヤのパラメータにより)事前に設定して、端末20Aは、事前に設定された一定周期/パターンの送信リソースにより、信号を受信側の端末20Bに送信する。ここで、基地局10が端末20Aに対して一定周期/パターンの送信リソースを事前に設定することに代えて、例えば、仕様により、一定周期/パターンの送信リソースが端末20Aに対して事前に設定されていてもよい。
【0040】
図8Dは、SL transmission mode 2dの概要を示す図である。SL transmission mode 2dでは、例えば、端末20が基地局10と同様の動作を行う。具体的には、端末20は、送信リソースをスケジューリングして、送信側の端末20Aに送信リソースを割り当てる。端末20Aは、割り当てられた通信リソースにより、受信側の端末20Bに送信してもよい。すなわち、端末20は、他の端末20(例えば、端末20A及び/又は端末20B)の送信を制御してもよい。
【0041】
また、NRでは、
図9A~
図9Cに示すように、通信の種別として、ユニキャスト、グループキャスト、及びブロードキャストの3種類の通信の種別が現在検討されている。
【0042】
図9Aは、ユニキャストPhysical Sidelink Shared Channel(PSCCH)/Physical Sidelink Control Channel(PSSCH)送信の例を示す図である。ユニキャストとは、例えば、送信側の端末20Aから受信側の端末20Bへの1対1の送信のことをいう。
【0043】
図9Bは、グループキャストPSCCH/PSSCH送信の例を示す図である。グループキャストとは、例えば、送信側の端末20Aから受信側の端末20のグループである、端末20B及び端末20B'への送信のことをいう。
【0044】
図9Cは、ブロードキャストPSCCH/PSSCH送信の例を示す図である。ブロードキャストとは、例えば、送信側の端末20Aから所定範囲内の受信側の全端末20である、端末20B、端末20B'、及び端末20B''への送信のことをいう。
【0045】
New Radio(NR)のサイドリンク(SL)で、送信電力制御(power control)をサポートすることが想定されている。
【0046】
3GPPのリリース16では、開ループ送信電力制御(open-loop transmitter power control、OLPC)をサポートすることが想定されている。開ループ送信電力制御では、端末20は基地局からの信号の受信電力を測定し、上り送信電力を決定する。LTEのサイドリンク通信の開ループ送信電力制御では、下りリンク(DL)の伝搬損失(パスロス)が使用されている。NRのサイドリンク通信では、ユニキャスト及びグループキャストが導入されており、サイドリンクのパスロスを測定することが比較的容易になっているため、NRのサイドリンク通信の開ループ送信電力制御では、下りリンクのパスロス及び/又はサイドリンクのパスロスを使用することが想定されている。
【0047】
NRのサイドリンクのユニキャスト通信において、受信側の端末20は、送信側の端末20にサイドリンクのRSRP(SL-Reference Signal Received Power)を送信する。NRのサイドリンクのユニキャスト通信における開ループ送信電力制御の場合、送信側の端末20はパスロスの推定(測定、算出、導出等とされてもよい)を行う。受信側の端末20でSL-RSRPが使用可能となる前に、開ループ送信電力制御のパスロス推定をどのように行うかについて、今後、検討されることが想定されている。
【0048】
なお、閉ループ送信電力制御(closed-loop transmitter power control)では、基地局10が上り受信電力を測定し端末20の送信電力を指定する。しかしながら、リリース16のサイドリンクでは、閉ループ送信電力制御を採用すること、すなわち、サイドリンクの送信電力制御において、TPC(Transmission Power Control)コマンドをサポートすることは想定されていない。ただし、将来のNRのサイドリンクでは、閉ループ送信電力制御が採用される可能性があり、本開示は閉ループ送信電力制御が用いられる場合に適用してもよい。
【0049】
NRのサイドリンクの開ループ送信電力制御について、下りリンク(DL:送信側の端末20と基地局10(gNB)との間)のパスロスだけを使用するように端末20を設定すること、サイドリンク(SL:送信側の端末20と受信側の端末20の間)のパスロスだけを使用するように端末20を設定すること、及び下りリンクのパスロス及びサイドリンクのパスロスを使用するように端末20を設定すること、を可能にすることが想定されている。NRのサイドリンクの開ループ送信電力制御において、下りリンクのパスロス及びサイドリンクのパスロスを使用するように端末20の設定が行われる場合、下りリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御により導出される電力値及びサイドリンクのパスロスに基づく開フープ送信電力制御により導出される電力値のうち、最小の電力値が採用されることが想定されている。また、開ループ送信電力に使用されるP0の値及びαの値は、下りリンクのパスロス及びサイドリンクのパスロスに対して、別々に設定されることが想定されている。
【0050】
図10は、LTEのサイドリンクにおける送信電力制御に使用される数式の例を示す図である。
図10に示される数式によれば、Physical Sidelink Shared Channel(PSSCH)及びPhysical Sidelink Control Channel(PSCCH)の間で、送信電力が分配される。
図10に示される数式によれば、PSCCHに対して割り振られる送信電力は、PSSCHに対して割り振られる送信電力よりも大きくなっている。
【0051】
(課題A)
NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのChannel State Information Reference Signal(CSI-RS)の送信電力制御をどのように行うのか、現時点では規定されていない。また、NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのPhase Tracking Reference Signal(PTRS)の送信電力制御をどのように行うのか、現時点では規定されていない。例えば、サイドリンクのCSI-RSに対してPower-boostingを適用するか否か、及びサイドリンクのPTRSに対してPower-boostingを適用するか否かについては、現時点では規定されていない。なお、以降では、CSI-RSはサイドリンクのCSI-RS(SL-CSI-RS)を意味してもよい。同様に、PT-RSはサイドリンクのPT-RS(SL-PT-RS)を意味してもよい。また、それぞれの名前はこれに限られず、SL-CSI-RSはサイドリンクのCSI測定等に用いられるRSであってもよい。同様に、SL-PT-RSはサイドリンクの位相補償に用いられるRSであってもよい。
【0052】
図11A、
図11B、及び
図11Cは、NR-Uu(5Gの端末20と5GのRadio Access Network(RAN)との間のインタフェース)におけるリファレンス信号の送信電力を、PDSCH又はPUSCHに割り当てられる送信電力に対して、ブーストする場合の規定の例を示す図である。
【0053】
図11Aは、NR-Uuの上りリンクのPTRSに対するブーストの規定の例を示す図である。
図11に示される例によれば、phase-tracking reference signal(PT-RS)は、PUSCHに対して使用されるリソースブロックのみにおいて送信される。PT-RSは、表式
【0054】
【数1】
によりリソースエレメント(k、l)にマッピングされる。ここで、Wは、プリコーデ
ィングマトリクスであり、β
PTRSは、amplitude scaling factorである。
図11Aに示す例では、振幅のスケーリング係数(amplitude scaling factor)β
PTRSがPTRSに対して適用され、PTRSの送信電力は、PUSCHに割り当てられる送信電力と比較して、ブーストされることになる。なお、
図11Aに示す例では、k'及びΔは、上位レイヤのパラメータにより通知されてもよい。
【0055】
図11Bは、NR-Uuの下りリンクのPTRSに対するブーストの規定の例を示す図である。
図11Bの例において示されるTable 4.1.2には、リソースエレメント毎、かつレイヤ毎の、PT-RS Energy per Resource Element(EPRE)のPhysical Downlink Shared Channel(PDSCH)のEPREに対する比(ρ
PTRS)に基づいて、振幅のスケーリング係数であるβ
PTRSが定義されることが規定されている。Table 4.1.2において、上位レイヤのパラメータepre-Ratioがゼロとされる場合であり、かつPDSCHのレイヤ数が1よりも大きい場合に、β
PTRSの値が1よりも大きくなり、PTRSの送信電力は、PDSCHに割り当てられる送信電力に対してブースト(増加)されることになる。
【0056】
図11Cは、NR-UuのCSI-RSに対するブーストの規定の例を示す図である。
図11Cの例では、下りリンクのCSI-RSのEPREは、パラメータss-PBCH-BlockPowerで与えられるSynchronization Signal and Physical Broadcast Channel (SS/PBCH)ブロックの下り送信電力及びパラメータpowerControlOffsetSSで与えられるCSI-RSの電力オフセットにより導出されることが規定されている。つまり、CSI-RSの送信電力は、SS/PBCHブロックの送信電力に対してブーストされる場合がある。
【0057】
(提案A)
(オプションA1)
端末20は、PSSCHと関連付けられるCSI-RSの送信電力の値を、PSSCHに割り当てられる送信電力の値とは異なる値に設定することが可能であってもよい。また、端末20は、PSSCHと関連付けられるPT-RSの送信電力の値を、PSSCHに割り当てられる送信電力の値とは異なる値に設定することが可能であってもよい。
【0058】
(A1-1)
CSI-RSの送信電力を決定(算出、導出等であってもよい)するための関数は、PSSCHに割り当てられる送信電力の値を変数とする関数であってもよい。同様に、PT-RSの送信電力を算出するための関数は、PSSCHに割り当てられる送信電力の値を変数とする関数であってもよい。例えば、CSI-RSの送信電力は、PSSCHに割り当てられる送信電力の値に対する比を用いて算出することが可能であってもよい。同様に、PT-RSの送信電力は、PSSCHに割り当てられる送信電力の値に対する比を用いて算出することが可能であってもよい。
【0059】
図12は、CSI-RSを伴うPSCCHシンボルを含むスロット構成の例を示す図である。この場合において、例えば、CSI-RSの送信電力P
CSIRS及びCSI-RSを伴うPSSCHシンボルの送信電力P
PSSCH,bを以下のように規定してもよい。
【0060】
【0061】
【0062】
ここで、αは、仕様書に定義されている値(例えば、固定値又は変数)であってもよく、(事前に)設定されるパラメータであってもよく、指定されるパラメータであってもよい。PPSSCH,aは、PSCCH及びCSI-RSを伴わないPSCCHシンボルの送信電力であってもよく、或いはPSCCH及び/又はPSSCHの各シンボルの送信電力であってもよい。NCSIRSは、CSI-RSのリソース量に基づく値であってもよく、例えば、Physical Resource Block(PRB)の中のシンボルに含まれるCSI-RSのリソースエレメント(RE)の数であってもよい。NPSSCHは、PSSCHのリソース量に基づく値であってもよく、例えば、PRBの中のシンボルに含まれるPSSCHのREの数であってもよい。
【0063】
図12に示される1スロットの区間において、各シンボルに割り当てられる合計の送信電力は、一定の値に維持されてもよい。この場合、端末20は、周波数領域でCSI-RSとPSCCHが多重されるシンボルについては、CSI-RSに割り当てられる送信電力をブーストして、かつ当該CSI-RS以外のPSCCHのリソースエレメントに割り当てられる電力を下げるといった動作を行うことが想定される。このように、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストすることにより、チャネル状態情報の測定の精度を向上させることが可能となる。
【0064】
なお、上述の例では、CSI-RSに電力が割り当てられているので、当該CSI-RSの種別は、NZP-CSI-RS(Non-Zero-Power CSI-RS)であってもよい。
【0065】
図12に示される1スロットの区間において、各シンボルに割り当てられる合計の送信電力を一定の値に維持する理由として、仮に、1スロットの区間の途中で電力を変えると、RF装置が電力を変更するのに時間を要し、RF装置の送信の特性上の問題が発生することが考えられる。このような問題を回避するために、1つのスロットにおいて、シンボル間の送信電力を一定にしている。例えば、
図12において、PSCCHとPSSCHが多重されている部分において、1シンボルに割り当てられる合計の送信電力がPであるとした場合、
図12のスロットのCSI-RSとPSSCHが多重されている部分において、1シンボルに割り当てられる合計の送信電力はPとなる。1シンボルに割り当てられる合計の送信電力は一定であるため、複数のチャネルが周波数領域で多重される場合には、合計の送信電力を当該複数のチャネルに対して割り振ることになる。周波数領域で多重される複数のチャネルの中で、特定のチャネルを優先させたい場合には、当該特定のチャネルの送信電力をその他のチャネルの送信電力よりもブーストするといった方法を適用することが可能である。
【0066】
上述のCSI-RSは、少なくとも時間領域において、PSCCHと重なる(Overlap)ことが禁止されてもよい。同様に、上述のCSI-RSは、少なくとも時間領域において、PSSCHに関連付けられるDM-RSと重なる(Overlap)ことが禁止されてもよい。これにより、電力制御に関する数式の複雑化を回避することができ、すなわち端末の構成を簡易にすることが可能となる。
【0067】
あるいは、上述のCSI-RSは、少なくとも時間領域において、PSCCHと重なる(Overlap)ことが許容されてもよい。同様に、上述のCSI-RSは、少なくとも時間領域において、PSSCHに関連付けられるDM-RSと重なる(Overlap)ことが許容されてもよい。この場合、1つのシンボルにおいて、CSI-RSの送信電力は、PSSCH、PSCCH、PSSCH及び/又はPSCCHに関連付けられるDM-RSのうちの少なくとも一つの送信電力との比によって求められてもよい。上述の数式を後述する数式のように変更することで、優先させるべき信号をブーストすることが可能となる。なお、上述の例において、CSI-RSはPT-RSに置き換えられてもよい。
【0068】
また、別の例として、1つのシンボルにおいて、周波数領域でPSSCH、CSI-RS、及びPT-RSを多重する場合、例えば、CSI-RSの送信電力PCSIRS、PT-RSの送信電力PPTRS、PSSCHに割り当てられる送信電力PPSSCH,cを以下のように規定してもよい。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
ここで、αは、仕様書により定義されている値(例えば、固定値又は変数)であってもよく、(事前に)設定されるパラメータであってもよく、指定されるパラメータであってもよい。βは、仕様により規定されるパラメータであってもよく、(事前に)設定されるパラメータであってもよく、指定されるパラメータであってもよい。PPSSCH,aは、PSCCH、CSI-RS及びPT-RSを伴わないPSSCHシンボルの送信電力であってもよく、或いはPSCCH及び/又はPSSCHの各シンボルの送信電力であってもよい。PPSSCH,cは、CSI-RS及びPT-RSを伴うPSSCHシンボルの送信電力であってもよい。NCSIRSは、CSI-RSのリソース量に基づく値であってもよく、例えば、Physical Resource Block(PRB)の中のシンボルに含まれるCSI-RSのリソースエレメント(RE)の数であってもよい。NPTRSは、PT-RSのリソース量に基づく値であってもよく、例えば、Physical Resource Block(PRB)の中のシンボルに含まれるPT-RSのリソースエレメント(RE)の数であってもよい。NPSSCHは、PSSCHのリソース量に基づく値であってもよく、例えば、PRBの中のシンボルに含まれるPSSCHのREの数であってもよい。
【0073】
また、別の例として、1つのシンボルにおいて、周波数領域でPSCCH、PSSCH及びCSI-RSを多重する場合、例えば、CSI-RSの送信電力PCSIRS、PSCCHの送信電力PPSCCH、PSSCHに割り当てられる送信電力PPSSCH,cを以下のように規定してもよい。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
ここで、αは、仕様により規定されるパラメータであってもよく、(事前に)設定されるパラメータであってもよく、指定されるパラメータであってもよい。βは、仕様により規定されるパラメータであってもよく、(事前に)設定されるパラメータであってもよく、指定されるパラメータであってもよい。PPSSCH,aは、PSCCH、CSI-RS及びPT-RSを伴わないPSSCHシンボルの送信電力であってもよく、或いはPSCCH及び/又はPSSCHの各シンボルの送信電力であってもよい。PPSSCH,cは、CSI-RS及びPT-RSを伴うPSSCHシンボルの送信電力であってもよい。NCSIRSは、CSI-RSのリソース量に基づく値であってもよく、例えば、PRBの中のシンボルに含まれるCSI-RSのREの数であってもよい。NPSCCHは、PSCCHのリソース量に基づく値であってもよく、例えば、PRBの中のシンボルに含まれるPSSCHのREの数であってもよい。NPSSCHは、PSSCHのリソース量に基づく値であってもよく、例えば、PRBの中のシンボルに含まれるPSSCHのREの数であってもよい。
【0078】
ここで、ZP-CSI-RS(Zero-Power CSI-RS)の場合、NCSIRS=0としてもよい。
【0079】
(A1-2)
端末20が、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストするか否か、及びCSI-RSの送信電力の増加量及び/又はPT-RSの送信電力の増加量(例えば、A1-1における数式内のαの値及び/又はβの値)は、仕様書により規定されてもよい。例えば、α=3、β=3であってもよい。端末20が、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストするか否か、及びCSI-RSの送信電力の増加量及び/又はPT-RSの送信電力の増加量(例えば、A1-1における数式内のαの値及び/又はβの値)は、例えば、ネットワークにより(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよい。また、端末20が、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストするか否か、及びCSI-RSの送信電力の増加量及び/又はPT-RSの送信電力の増加量(例えば、A1-1における数式内のαの値及び/又はβの値)は、例えば、スケジューリングを行うための、Downlink Control Information(DCI)及び/又はSidelink Control Information(SCI)により指定されてもよい。例えば、DCI/SCIにおいて、送信電力制御のための専用のフィールドが規定されてもよい。また、CSI-RSの存在/設定を示す他のフィールドが規定されてもよい。また、端末20が、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストするか否か、及びCSI-RSの送信電力の増加量及び/又はPT-RSの送信電力の増加量(例えば、A1-1における数式内のαの値及び/又はβの値)は、例えば、CSI-RSの構成及び/又はPT-RSの構成に依存してもよく、追加的に又は代替的に、CSI-RSのリソース及び/又はPT-RSのリソースに依存してもよい。例えば、CSI-RS及び/又はPT-RSのリソースが少ない場合には、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストし、CSI-RS及び/又はPT-RSのリソースが多い場合には、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力は、PSSCHに割り当てられる送信電力と同じ値に設定されてもよい。また、CSI-RS及び/又はPT-RSの構成の中に送信電力をブーストするか否かを示す要素を含めてもよい。なお、これらの情報は、上位レイヤのパラメータ等に基づいて決定されてもよく、上位レイヤのパラメータとDCI及び/又はSCIとの組み合わせに基づいて決定されてもよい。
【0080】
(A1-3)
CSI-RSの送信電力を算出するための関数は、端末20の最大送信電力以外については、PSSCHに割り当てられる送信電力の値を考慮しない関数であってもよい。同様に、PT-RSの送信電力を算出するための関数は、端末20の最大送信電力以外については、PSSCHに割り当てられる送信電力の値を考慮しない関数であってもよい。この場合、CSI-RSの送信電力は、PSSCHに割り当てられる送信電力の値に対する比を用いて算出されるものではなくなる。同様に、PT-RSの送信電力は、PSSCHに割り当てられる送信電力の値に対する比を用いて算出されるものではなくなる。このように、オプションA1を適用することによって、CSI-RS及び/又はPT-RSをブーストすることにより、チャネル状態情報を取得する際の精度を向上させることが可能となり、RSRP測定の精度を向上させることが可能となり、かつ/又は位相雑音を補償する際の精度を向上させることが可能となる。
【0081】
(オプションA2)
端末20は、PSSCHと関連付けられたCSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力を、PSSCHの送信電力と必ず同じに設定してもよい。すなわち、PSSCHの合計の送信電力PPSSCHは、CSI-RSの送信電力及び/又はPT-RSの送信電力を含み、かつPSSCHデータのRE、CSI-RSのRE、及び/又はPT-RSのREの間で均等に分配されてもよい。この構成によれば、装置の実装が容易になり、かつ仕様の変更も少なくすることが可能となる。
【0082】
なお、端末20は、送信電力を、送信機会i毎に算出してもよく、リソースプール毎に算出してもよく、サブチャネル毎に算出してもよく、或いは、ユニキャスト、グループキャスト、及びブロードキャスト等のキャスト種別毎に算出してもよい。例えば、送信電力は、送信機会iの送信期間の長さ、リソースプールの大きさ、サブチャネル、キャスト種別に基づいて、決定されてもよい。なお、送信電力は、送信機会iの送信期間の長さ、リソースプールの大きさ、サブチャネル、キャスト種別に依存せずに、上記の計算式に基づいて決定されてもよい。また、上述の実施例において、CSI-RS及び/又はPT-RSを、DM-RSに置き換えてもよい。また、上述の実施例において、「送信電力」は「RE毎の送信電力」に置き換えられてもよい。
【0083】
(課題B)
NRのサイドリンクのグループキャスト通信に対して、サイドリンクのパスロスに基づいて開ループ送信電力制御を行ってもよい。
【0084】
図13は、NRのサイドリンクのグループキャスト通信に対して、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を行う場合の例を示す図である。
図13に示されるように、サイドリンクに基づく開ループ送信電力制御を適用することで、例えば、送信側の端末20から最も距離が離れている受信側の端末20、すなわち、グループ内で、サイドリンクのパスロスの値が最大となる受信側の端末20が、送信側の端末20からの無線信号を受信できるように送信電力を制御することが可能となる。また、グループ内で、サイドリンクのパスロスの値が最大となる受信側の端末20が、送信側の端末20からの無線信号を受信するために必要かつ十分な送信電力の値よりも大きい値に送信電力を設定することは行わないため、他のグループに対する干渉を低減することが可能となる。しかしながら、
図13に示されるように、グループ内の端末20の数が増えると、それに伴って、より多くの測定のリソース及びより多くのフィードバックのリソースが必要となる。
【0085】
(提案B)
NRのサイドリンクのグループキャスト通信に対して、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用するか否かを選択するための条件が規定されてもよい。
【0086】
(オプションB1)
NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、グループ内の受信側の端末20全てのRSRPが送信側の端末20で使用可能な場合に、送信側の端末20は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。グループ内の受信側の端末20のうち、少なくとも1つの受信側の端末20のRSRPが送信側の端末20で使用できない場合には、送信側の端末20は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を無効としてもよい。この場合、下りリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御が適用されてもよい。
【0087】
なお、受信側の端末20のRSRPは、送信側の端末20が受信側の端末20からフィードバックされるRSRPを受信することにより使用可能とされてもよく、或いは送信側の端末20が受信側の端末20から送信されるRSを受信して送信側の端末20がRSRPを測定することにより使用可能とされてもよい。
【0088】
このように、少なくとも1つの受信側の端末20のRSRPが送信側の端末20で使用できない場合、少なくとも1つの受信側の端末20はグループキャスト通信の信号を受信することができない可能性がある。この場合において、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御は効果的ではない。オプションB1の手法によれば、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御が効果的な場合にのみ、当該送信電力制御を適用することが可能となる。
【0089】
(オプションB2)
NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、グループキャストのAcknowlegement(ACK)/Negative-Acknowledgement(NACK)フィードバックが有効とされている場合に、送信側の端末20は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。グループキャストのACK/NACKフィードバックが無効とされている場合には、送信側の端末20は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用しなくてもよい。
【0090】
ここで、グループキャストのAcknowlegement(ACK)/Negative-Acknowledgement(NACK)フィードバックは、トランスポートブロックの復号に成功した場合に、受信側の端末20はACKを送信し、トランスポートブロックの復号に失敗した場合に、受信側の端末20はNACKを送信することを意味してもよい。すなわち、グループキャストのACK/NACKフィードバックが有効とされることは、通信に対するより高い信頼性が要求されること、及び/又はグループ内の端末20の数が少ないことを意味する。従って、グループキャストのACK/NACKフィードバックが有効とされる場合には、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用することで、より通信の信頼性を高めることが望ましいと想定される。グループキャストのACK/NACKフィードバックが無効とされる場合には、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用することは必要ではない可能性がある。
【0091】
なお、オプションB2において、「グループキャストのAcknowlegement(ACK)/Negative-Acknowledgement(NACK)フィードバック」は、「グループキャストのHARQ-ACKフィードバック」に置き換えられてもよい。グループキャストのHARQ-ACKフィードバックには、以下の二つの手法のうち少なくとも一つが含まれていてもよい。
1.トランスポートブロックの復号に成功した場合に、受信側の端末20はACKを送信し、トランスポートブロックの復号に失敗した場合に、受信側の端末20はNACKを送信する。
2.トランスポートブロックの復号に成功した場合には、受信側の端末20はACK及びNACKを送信せず、トランスポートブロックの復号に失敗した場合に、受信側の端末20はNACKを送信する。
【0092】
(オプションB3)
NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、グループ内の端末20の数に応じて、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用するか否かを決定してもよい。例えば、グループ内の端末20の数が、閾値Xよりも小さい(又はX以下の)場合には、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。グループ内の端末20の数が閾値X以上である(又はXよりも大きい)場合には、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用しなくてもよい。ここで、閾値Xは、仕様により規定されてもよく、ネットワークにより(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよく、リソースプールの設定に基づいて規定又は決定されてもよく、かつ/又は輻輳レベルに基づいて規定されてもよい。
【0093】
このように、グループ内の端末20の数が少ない場合には、測定のリソース及びフィードバックのリソースは少なくなる。この場合、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用することは効果的であると想定される。
【0094】
(オプションB4)
3GPPの会合では、距離に関連する情報(例えば、距離及び/又はRSRP)に応じてHybrid Automatic Repeat Request(HARQ)フィードバックを行うか否かが定まる機能(distance-based HARQ)が検討されている。送信側の端末20に距離的に近い受信側の端末20は、HARQフィードバックを行う。送信側の端末20から距離的に遠い受信側の端末20に対しては、それ程高い信頼性が要求されないことが想定されるため、距離的に遠い受信側の端末20は、HARQフィードバックを行わなくてもよい。
【0095】
NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、HARQフィードバックを行う受信側の端末20のRSRPが送信側の端末20で使用可能な場合、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。HARQフィードバックを行う受信側の端末20のRSRPが送信側の端末20で使用可能ではない場合、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用しなくてもよい。
【0096】
図14は、distance-based HARQが適用される場合に、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用する例を示す図である。HARQフィードバックが有効とされている受信側の端末20に対しては、通信に対する高い信頼性が要求されることが想定される。従って、HARQフィードバックが有効とされている受信側の端末20のRSRPを取得した上で、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用することで、通信に対する信頼性を向上することが可能となる。なお、受信側の端末20のRSRPは、送信側の端末20が受信側の端末20からフィードバックされるRSRPを受信することにより使用可能とされてもよく、或いは送信側の端末20が受信側の端末20から送信されるRSを受信して送信側の端末20がRSRPを測定することにより使用可能とされてもよい。例えば、上述のdistance-based HARQにおいて、送信側の端末20と受信側の端末20との間の距離が閾値Y未満(又は以下)である場合に、受信側の端末20で、HARQフィードバックが有効とされてもよい。ここで、閾値Yは、仕様により規定されてもよく、ネットワークにより(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよく、リソースプールの設定に基づいて規定されてもよく、かつ/又は輻輳レベルに基づいて規定されてもよい。
【0097】
このように、オプションB4の手法によれば、通信に対する高い信頼性が要求される受信側の端末20に対してのみ、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用することで、当該受信側の端末20との通信に対する信頼性を向上することが可能となる。
【0098】
(オプションB5)
NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、range requirementを満たす受信側の端末20全てのRSRPが送信側の端末20で使用可能である場合には、送信側の端末20は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。上記以外の場合には、送信側の端末20は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用しなくてもよい。なお、受信側の端末20のRSRPは、送信側の端末20が受信側の端末20からフィードバックされるRSRPを受信することにより使用可能とされてもよく、或いは送信側の端末20が受信側の端末20から送信されるRSを受信して送信側の端末20がRSRPを測定することにより使用可能とされてもよい。
【0099】
このように、オプションB5の手法によれば、グループキャスト送信を受信することが期待される端末20に対してのみ、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用することで、当該端末20との通信に対する信頼性を向上することが可能となる。
【0100】
(オプションB6)
上述のオプションB1からオプションB5のうち、少なくとも2つのオプションを組み合わせてもよい。例えば、オプションB1及びオプションB2の条件を満たす場合、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。それ以外の場合には、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用しなくてもよい。代替的に、例えば、オプションB1又はオプションB2の条件を満たす場合、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。それ以外の場合には、送信側の端末20装置は、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用しなくてもよい。
【0101】
上述のオプションB1からオプションB6までのいずれかの手法を適用することにより、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を行うことで、通信に対する信頼性を向上することが可能となる場合には、当該送信電力制御を適用し、効果的ではないことが想定される場合には、当該送信電力制御を適用しないといった運用が可能となる。
【0102】
なお、提案Bにおいて、RSRPはパスロス、RSRQ、CSIの少なくとも一つに置き換えられてもよいし、送信側の端末20と受信側の端末20の間の通信品質に関連する情報であってもよいし、これに限られない。また、RSRPが送信側の端末20で使用可能であるとは、送信側の端末20が当該RSRP及び又は当該RSRPを得るための何れかの信号を、受信済み及び/又は取得済みであることを意味してもよい。
【0103】
(課題C)
NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのパスロスの測定を行う場合、当該パスロスの測定を行うためのリファレンス信号をどの信号にするのか規定してもよい。
【0104】
リリース15のNR-Uuの場合、パスロスを測定するためのリファレンス信号としてSS/PBCHブロック(SSB)及びCSI-RSを使用することが可能とされている。PUCCH-PathlossReferenceRS、PUSCH-PathlossReferenceRS、pathlossreferenceRS in SRS-ResourceSetの3つの情報要素に対して、SSB又はCSI-RSのIDを設定し、そのリファレンス信号を受信してパスロスを測定することが可能とされている。
図15は、上位レイヤのパラメータPUSCH-PathlossReferenceRSに基づくリファレンス信号でパスロスを測定することを規定する例を示す図である。
図16は、PUSCH-PathlossReferenceRS情報要素の例を示す図である。
図16に示されるように、PUSCH-PathlossReferenceRS情報要素の中にreferenceSignalという情報要素が含まれ、ssb-Index又はcsi-RS-Indexを設定することが可能とされている。
【0105】
NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのSSBを送信しない端末20が存在してもよい。従って、NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのパスロスの測定を行うためのリファレンス信号として、サイドリンクのSSBを適用することは、想定されていない。また、NRのサイドリンクの通信において、スタンドアローンで端末20がCSI-RSを送信することは想定されていない。すなわち、CSI-RSのみの送信は許容されず、CSI-RSは送信データ等と同時に送信される。
【0106】
(提案C)
(オプションC1)
NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのパスロスの測定を行うための参照信号として、サイドリンクのDM-RSだけが使用可能であってもよい。
【0107】
ここで、サイドリンクのパスロスの測定を行うために使用可能なサイドリンクのDM-RSのインデックス又はポートは、仕様により規定されてもよく、上位レイヤパラメータ等として(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよく、かつ/又はネットワーク及び/又は他の端末20により指定されてもよい。代替的に、サイドリンク通信に使用される全てのDM-RSポートをサイドリンクのパスロスの測定のために使用することが可能であってもよい。
【0108】
(オプションC2)
NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのパスロスの測定を行うための参照信号として、サイドリンクのCSI-RSだけが使用可能であってもよい。
【0109】
ここで、サイドリンクのパスロスの測定を行うために使用可能なサイドリンクのCSI-RSのインデックス又はポートは、仕様により規定されてもよく、ネットワークにより(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよく、かつ/又はネットワークにより指定されてもよい。代替的に、サイドリンク通信に使用される全てのCSI-RSポートをサイドリンクのパスロスの測定のために使用することが可能であってもよい。
【0110】
(オプションC3)
NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのパスロスの測定を行うための参照信号として、サイドリンクのDM-RSを使用することが可能であり、かつ追加的に、サイドリンクのCSI-RSが使用可能であってもよい。ここで、サイドリンクのCSI-RSの使用については、端末20の実装に依存してもよい。
【0111】
ここで、サイドリンクのパスロスの測定を行うために使用可能なサイドリンクのDM-RSのインデックス又はポートは、仕様により規定されてもよく、ネットワークにより(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよく、かつ/又はネットワークにより指定されてもよい。代替的に、サイドリンク通信に使用される全てのDM-RSポートをサイドリンクのパスロスの測定のために使用することが可能であってもよい。
【0112】
(オプションC4)
NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのパスロスの測定を行うための参照信号として、サイドリンクのCSI-RSを使用することが可能であり、かつ追加的に、サイドリンクのDM-RSが使用可能であってもよい。ここで、サイドリンクのDM-RSの使用については、端末20の実装に依存してもよい。
【0113】
ここで、サイドリンクのパスロスの測定を行うために使用可能なサイドリンクのCSI-RSのインデックス又はポートは、仕様により規定されてもよく、ネットワークにより(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよく、かつ/又はネットワークにより指定されてもよい。代替的に、サイドリンク通信に使用される全てのCSI-RSポートをサイドリンクのパスロスの測定のために使用することが可能であってもよい。
【0114】
(パスロスリファレンス信号(Pathloss reference RS)の設定)
PSSCHと関連付けられるサイドリンクのSSB、及び/又はサイドリンクのCSI-RS、及び/又はサイドリンクのDM-RSは、送信側の端末20から送信されるPSCCH/PSSCH/PSFCHのパスロスリファレンス信号(pathloss reference RS)として、及び/又は受信側の端末20から送信されるPSCCH/PSSCH/PSFCHのパスロスリファレンス信号(pathloss reference RS)として、仕様により規定されてもよく、ネットワークにより(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよい。
【0115】
パスロスリファレンス信号が仕様により規定されず、ネットワークにより(事前に)設定されず、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されないと仮定する。この場合、パスロスリファレンス信号は、以下のオプションCiからCvのうちのいずれかであってもよい。
【0116】
(オプションCi)
ブロードキャスト送信に対して使用されるDM-RS及び/又はCSI-RS、又はPC5-RRC接続が行われる前のサイドリンク送信に使用されるDM-RS及び/又はCSI-RSをパスロスリファレンス信号としてもよい。
【0117】
(オプションCii)
受信される全てのDM-RS及び/又はCSI-RSをパスロスリファレンス信号としてもよい。オプションCiiの変形例として、例えば、特定の端末20から送信されるDM-RS及び/又はCSI-RSをパスロスリファレンス信号としてもよい。
【0118】
(オプションCiii)
サイドリンクチャネルに対して、TCI stateがネットワークにより(事前に)設定される場合、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定される場合、又は指定される場合、TCI stateに関連付けられるQCL type-A RS及び/又はQCL type-B RS及び/又はQCL type-C RS及び/又はQCL type-D RSをパスロスリファレンス信号としてもよい。
図17は、TCI stateとリファレンス信号との対応の例を示す図である。
【0119】
(オプションCiv)
サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を無効として、かつ/又は下りリンクの開ループ送信電力制御を有効としてもよい。
【0120】
(オプションCv)
L1‐RSRP測定及び/又はL3‐RSRP測定のために規定されたDM-RS及び/又はCSI-RS、L1‐RSRP測定及び/又はL3‐RSRP測定のために(事前に)設定されたDM-RS及び/又はCSI-RS、又はL1‐RSRP測定及び/又はL3‐RSRP測定のためにPC5-RRCメッセージにより設定されたDM-RS及び/又はCSI-RSをパスロスリファレンス信号としてもよい。
【0121】
(電力の正規化)
複数のアンテナポートからそれぞれCSI-RSを送信する場合、例えば、2つのアンテナポートからCSI-RSを送信する場合、各CSI-RSの送信電力が2分の1となる場合が想定されている。この場合に、単純に電力を平均化することでRSRPを導出すると、2つのアンテナポートからCSI-RSが送信される場合には、それぞれのRSRPの値は2分の1となってしまう可能性がある。つまり、パスロスの計算を正確に行うことができなくなる可能性がある。従って、アンテナポートの数の設定等に応じて電力の正規化を行うことが必要になると想定される。
【0122】
(オプションCa)
端末20は、RSが単一のRSポートから送信される場合又はRSが単一のCDMグループから送信される場合にのみ、RSRPの測定を行ってもよい。
【0123】
(オプションCb)
以下の電力正規化を行うことを前提として、端末20は、RSポートの数に関わらず、RSRPの測定を行ってもよい。
‐RSRPの計算では、RSポート数及び/又は各ポートからの送信電力を考慮する。
‐Case1:RSポートの数が複数であり、合計の送信電力が単一のRSポートの場合の送信電力と同じである場合、瞬時RSRP P1は、各RSポートからのRSRP、P2、P3、...の和をとることにより算出されてもよい。代替的に、1つのRSポートからのRSRP、P2、に対して、RSポート数を乗算することにより、瞬時PSPR P1が算出されてもよい。
‐Case2:RSポートの数が複数であり、合計の送信電力が単一のRSポートの場合の送信電力と異なり、かつ差分がZdBである場合、瞬時PSPR P1は、各RSポートからのRSRP、P2、P3、...の和からZdBを減算することで算出されてもよい。代替的に、1つのRSポートからのRSRP、P2に対して、RSポート数を乗算した上で、その結果からZdBを減算することで、瞬時PSPR P1が算出されてもよい。
【0124】
代替的に、RSRPの測定のためのRSポートの数が複数である場合、合計の送信電力が必ず単一のRS ポートからの送信電力と等しくなるように規定(又は決定、設定)されていてもよい。
【0125】
(オプションCc)
リファレンス信号とPSSCHのデータとが周波数分割多重する場合にのみ、又はリファレンス信号とPSSCHのデータとが周波数分割多重されない場合にのみ、端末20は、RSRPの測定を行ってもよい。
【0126】
(オプションCd)
端末20は、リファレンス信号とPSSCHのデータとが周波数分割多重されるか否かにかかわらず、RSRPの測定を行ってもよい。リファレンス信号とPSSCHのデータとが周波数分割多重される場合、端末20は、リファレンス信号がPSSCHのデータと周波数分割多重されない場合に基づいて、RSRPの補正を行ってもよい。代替的に、リファレンス信号がPSSCHのデータと周波数分割多重されない場合、端末20は、リファレンス信号がPSSCHのデータと周波数分割多重される場合に基づいて、RSRPの補正を行ってもよい。
【0127】
なお、リファレンス信号とPSSCHのデータとを周波数分割するか否かについては、仕様により規定されてもよく、ネットワークにより(事前に)設定されてもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定されてもよく、DCI及び/又はSCIにより指定されてもよい。
【0128】
また、上述の提案Cの手法において、PSSCHのデータは、PSSCHで送信されるトランスポートブロックを意味してもよいし、CSIを意味してもよいし、その他PSSCHで送信される情報を意味してもよい。
【0129】
上述の提案Cの手法によれば、受信側の端末20がどのようにRSRP測定/計算を行っているかについて、送信側の端末20で認識することが可能となり、従って、送信側の端末20は、パスロスを適切に算出することが可能となる。
【0130】
なお、パスロスリファレンス信号(Pathloss reference RS)は、L1-RSRP及び/又はL3-RSRP測定であってもよく、L1-RSRP及び/又はL3-RSRPを測定するためのリファレンス信号であってもよく、パスロスを測定するためのリファレンス信号であってもよく、開ループ送信電力制御用のリファレンス信号であってもよい。
【0131】
(課題D)
図18は、送信側の端末20がL3-RSRP測定結果を取得するための2つの方法の例を示す図である。送信側の端末20は、受信側の端末20に対してPSSCHのデータ(例えば、トランスポートブロック及び/又はCSI)を伴うRSを送信し、受信側の端末20からRSRPフィードバックを取得することにより、L3-RSRPの測定結果を取得してもよい。代替的に、送信側の端末20は、受信側の端末20から送信されるPSCCHのデータ(例えば、トランスポートブロック及び/又はCSI)を伴うRSを受信し、受信したRSに基づきL3-RSRPを算出してもよい。このように、送信側の端末20では、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRP測定結果に基づいて開ループ送信電力制御を行うことが可能であり、かつ送信側の端末20で算出したL3-RSRPに基づいて開ループ送信電力制御を行うことも可能である。このように、送信側の端末20において、フィードバックされるL3-RSRPと送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPとの使い分けを規定してもよい。なお、以降では、フィードバックされるL3-RSRPは、フィードバックされる電力情報(例えば、L1-RSRP)に基づくL3-RSRPに置き換えられてもよい。
【0132】
(提案D)
(オプションD1)
送信側の端末20は、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPと送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPとの両方を使用してもよい。例えば、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRP及び送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPのうち、いずれか一方を優先して使用してもよい。
【0133】
例えば、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPを優先する場合、送信側の端末20が、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRP及び送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPを取得している場合には、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPを使用してもよい。また、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPを優先する場合において、送信側の端末20が、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPを取得していない場合には、送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPを使用してもよい。
【0134】
代替的に、例えば、送信側の端末20は、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPと送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPとを平均化して使用してもよい。平均化を行う場合、適宜、重み付けを行ってもよい。受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPと送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPとをどのように使用するかについては、端末20の実装に依存してもよい。
【0135】
(オプションD2)
送信側の端末20は、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPだけを使用してもよい。この場合、送信側の端末20が、送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPを、送信側の端末20自身の送信電力制御に使用することは想定されていなくともよい。
【0136】
(オプションD3)
送信側の端末20は、送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPだけを使用してもよい。この場合、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRPは、開ループ送信電力制御以外の目的で報告されていると想定されてもよい。
【0137】
(オプションD4)
仕様書において、上述のオプション1からオプション3までのうち、少なくとも2つのオプションを規定しておき、そのうちのいずれか1つのオプションをネットワークにより(事前に)設定してもよく、サイドリンクでのRRCシグナリングである他の端末20により送信されるPC5-RRCメッセージにより設定してもよく、ネットワークにより指定してもよい。
【0138】
提案Dの手法のように、送信側の端末20において、フィードバックされるL3-RSRPと送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPとの使い分けを規定することにより、開ループ送信電力制御を行う際の端末20の動作が明確化される。
【0139】
(装置構成)
次に、これまでに説明した処理動作を実行する基地局10及び端末20の機能構成例を説明する。
【0140】
<基地局10>
図19は、基地局10の機能構成の一例を示す図である。
図19に示されるように、基地局10は、送信部101と、受信部102と、制御部103とを有する。
図19に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。なお、送信部101を送信機と称し、受信部102を受信機と称してもよい。
【0141】
送信部101は、端末20側に送信する信号を生成し、当該信号を無線で送信する機能を含む。受信部102は、端末20から送信された各種の信号を受信し、受信した信号から、例えば、より上位のレイヤの情報を取得する機能を含む。また、受信部102は受信する信号の測定を行って、品質値を取得する機能を含む。
【0142】
制御部103は、基地局10の制御を行う。なお、送信に関わる制御部103の機能が送信部101に含まれ、受信に関わる制御部103の機能が受信部102に含まれてもよい。
【0143】
例えば、基地局10の制御部103は、NRのサイドリンクの開ループ送信電力制御について、下りリンク(DL:送信側の端末20と基地局10(gNB)との間)のパスロスだけ、サイドリンク(SL:送信側の端末20と受信側の端末20の間)のパスロスだけ、又は下りリンクのパスロス及びサイドリンクのパスロスを使用するように端末20を設定するパラメータを作成し、送信部101は当該コマンドを含む信号を端末20に送信してもよい。
【0144】
また、例えば、基地局10の制御部103は、端末20が、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストすることを決定し、かつCSI-RSの送信電力の増加量及び/又はPT-RSの送信電力の増加量(例えば、αの値及び/又はβの値)を設定し、送信部101は、当該増加量(αの値及び/又はβの値)を含む信号を端末20に送信してもよい。
【0145】
また、例えば、基地局10の制御部103は、NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用するか否かを判定するためのグループ内の端末20の数に対する閾値Xを設定し、送信部101は当該閾値Xを含む信号を端末20に送信してもよい。
【0146】
また、例えば、基地局10の制御部103は、サイドリンクのパスロスの測定を行うために使用可能なサイドリンクのDM-RS又はCSI-RSのポート又はインデックスを設定し、送信部101は当該ポート又はインデックスを含む信号を端末20に送信してもよい。
【0147】
また、例えば、基地局10の制御部103は、PSSCHと関連付けられるサイドリンクのSSB、及び/又はサイドリンクのCSI-RS、及び/又はサイドリンクのDM-RSを、送信側の端末20から送信されるPSCCH/PSSCH/PSFCHのパスロスリファレンス信号(pathloss reference RS)として、及び/又は受信側の端末20から送信されるPSCCH/PSSCH/PSFCHのパスロスリファレンス信号(pathloss reference RS)として設定してもよく、送信部101は、当該設定情報を含む信号を端末20に送信してもよい。
【0148】
<端末20>
図20は、端末20の機能構成の一例を示す図である。
図20に示されるように、端末20は、送信部201と、受信部202と、制御部203を有する。
図20に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。なお、送信部201を送信機と称し、受信部202を受信機と称してもよい。また、端末20は、送信側の端末20Aであってもよいし、受信側の端末20Bであってもよい。さらに、端末20はスケジューリング端末20であってもよい。
【0149】
送信部201は、送信データから送信信号を作成し、当該送信信号を無線で送信する。受信部202は、各種の信号を無線受信し、受信した物理レイヤの信号からより上位のレイヤの信号を取得する。また、受信部202は受信する信号の測定を行って、品質値を取得する機能を含む。
【0150】
制御部203は、端末20の制御を行う。なお、送信に関わる制御部203の機能が送信部201に含まれ、受信に関わる制御部203の機能が受信部202に含まれてもよい。
【0151】
例えば、端末20の制御部203は、PSSCHと関連付けられるCSI-RSの送信電力の値を、PSCCHに割り当てられる送信電力の値とは異なる値に設定することが可能であってもよい。また、端末20の制御部203は、PSSCHと関連付けられるPT-RSの送信電力の値を、PSSCHに割り当てられる送信電力の値とは異なる値に設定することが可能であってもよい。
【0152】
例えば、端末20の受信部202は、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストすることを指示する情報、及びCSI-RSの送信電力の増加量及び/又はPT-RSの送信電力の増加量(例えば、αの値及び/又はβの値)を示す情報を受信し、制御部203は、受信部202が受信した当該増加量(αの値及び/又はβの値)に基づいて、CSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力をブーストしてもよい。
【0153】
また、例えば、端末20の制御部203は、PSSCHと関連付けられたCSI-RS及び/又はPT-RSの送信電力を、PSSCHの送信電力と必ず同じとなるように設定してもよい。
【0154】
また、例えば、端末20の制御部203は、NRのサイドリンクのグループキャスト通信に対して、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を行ってもよい。また、例えば、端末20の制御部203は、NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、グループ内の受信側の端末20全てのRSRPを使用可能な場合に、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。また、例えば、端末20の制御部203は、グループ内の受信側の端末20のうち、少なくとも1つの受信側の端末20のRSRPが使用できない場合には、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を無効としてもよい。
【0155】
また、例えば、端末20の制御部203は、NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、グループキャストのACK/NACKフィードバックが有効とされている場合に、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。また、例えば、端末20の制御部203は、グループキャストのACK/NACKリードバックが無効とされている場合には、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用しなくてもよい。
【0156】
また、例えば、端末20の制御部203は、NRのサイドリンクのグループキャスト通信において、グループ内の端末20の数が、閾値Xよりも小さい場合又は閾値X以下である場合には、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。
【0157】
また、例えば、端末20の制御部203は、distance-based HARQが適用される場合において、HARQフィードバックを行わなければならない受信側の端末20のRSRPを使用可能な場合、サイドリンクのパスロスに基づく開ループ送信電力制御を適用してもよい。
【0158】
また、例えば、端末20の制御部203は、NRのサイドリンクの通信において、サイドリンクのパスロスの測定を行うための参照信号として、サイドリンクのDM-RS及びサイドリンクのCSI-RSのうちの少なくとも1つを使用することを選択してもよい。
【0159】
また、例えば、送信側の端末20の制御部203は、受信側の端末20からフィードバックされるL3-RSRP及び送信側の端末20自身で算出したL3-RSRPのうち、少なくとも1つを選択して、開ループ送信電力制御を行ってもよい。
【0160】
<ハードウェア構成>
上記実施の形態の説明に用いたブロック図(
図19~
図20)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0161】
また、例えば、本発明の一実施の形態における端末20と基地局10はいずれも、本実施の形態に係る処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図21は、本実施の形態に係る端末20と基地局10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の端末20と基地局10はそれぞれ、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0162】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。端末20と基地局10のハードウェア構成は、図に示した1001~1006で示される各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0163】
端末20と基地局10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0164】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0165】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、端末20の制御部203は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0166】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0167】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0168】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
【0169】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0170】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0171】
また、端末20と基地局10はそれぞれ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0172】
(実施の形態のまとめ)
本明細書には、少なくとも下記の端末及び通信方法が開示されている。
【0173】
サイドリンクの共有チャネルがマッピングされるシンボルにおいて、前記サイドリンクの共有チャネルで送信されるデータ及びサイドリンクのリファレンス信号が周波数分割多重される場合において、前記リファレンス信号を送信するための送信電力の第一の値を、前記データを送信するための送信電力の第二の値と同じ値又は異なる値に設定する制御部と、前記送信電力の第一の値を前記リファレンス信号に適用し、かつ前記送信電力の第二の値を前記データに適用して、前記リファレンス信号及び前記データを送信する送信部と、を備える端末。上記の構成によれば、リファレンス信号の送信電力をブーストすることにより、チャネル状態情報の測定の精度を向上させることが可能となる。
【0174】
前記リファレンス信号を送信するための送信電力の第一の値は、前記シンボル内において、前記リファレンス信号の占める第一の割合に基づいて定められ、かつ前記データを送信するための送信電力の第二の値は、前記シンボル内において、前記データの占める第二の割合に基づいて定められてもよい。上記の構成によれば、リファレンス信号の送信電力をブーストする際の制御が明確化される。
【0175】
前記第一の値を前記第二の値と同じ値又は異なる値に設定することを指示する信号を受信する受信部をさらに備え、前記制御部は、前記受信部が受信した前記信号の指示に従い、前記第一の値を前記第二の値と同じ値又は異なる値に設定してもよい。
【0176】
上記の構成によれば、例えば、CSI-RSのリソースが少ない場合には、CSI-RSの送信電力をブーストし、CSI-RSのリソースが多い場合には、CSI-RSの送信電力を、PSSCHに割り当てられる送信電力と同じ値に設定するといった運用が可能となる。
【0177】
前記制御部は、前記リファレンス信号と、サイドリンクの制御信号とが時間領域で重ならないように、前記リファレンス信号及び前記サイドリンクの制御信号を無線リソースにマッピングしてもよい。
【0178】
リファレンス信号とサイドリンクの制御信号とが時間領域で重なる場合、優先させるべき信号をブーストすることは可能である。しかしながら、この場合、送信電力を制御するための数式が複雑化し、装置の実装が複雑化する可能性がある。上記の構成によれば、数式の複雑化及び装置の実装の複雑化を回避することが可能となる。
【0179】
前記制御部は、前記第一の値を、常に、前記第二の値と同じ値に設定してもよい。
【0180】
上記の構成によれば、装置の実装を容易にすることが可能となり、かつ仕様の変更も少なくすることが可能となる。
【0181】
サイドリンクの共有チャネルがマッピングされるシンボルにおいて、前記サイドリンクの共有チャネルで送信されるデータ及びサイドリンクのリファレンス信号が周波数分割多重される場合において、前記リファレンス信号を送信するための送信電力の第一の値を、前記データを送信するための送信電力の第二の値と同じ値又は異なる値に設定するステップと、前記送信電力の第一の値を前記リファレンス信号に適用し、かつ前記送信電力の第二の値を前記データに適用して、前記リファレンス信号及び前記データを送信するステップと、を備える、端末による通信方法。上記の構成によれば、リファレンス信号の送信電力をブーストすることにより、チャネル状態情報の測定の精度を向上させることが可能となる。
【0182】
(実施形態の補足)
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、開示される発明はそのような実施形態に限定されず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。上記の説明における項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。実施の形態で述べた処理手順については、矛盾の無い限り処理の順序を入れ替えてもよい。処理説明の便宜上、端末20と基地局10は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施の形態に従って端末20が有するプロセッサにより動作するソフトウェア及び本発明の実施の形態に従って基地局10が有するプロセッサにより動作するソフトウェアはそれぞれ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD-ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に保存されてもよい。
【0183】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0184】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0185】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0186】
本開示において基地局10によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局10を有する1つ又は複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局10及び基地局10以外の他のネットワークノード(例えば、MME又はS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)の少なくとも1つによって行われ得ることは明らかである。上記において基地局10以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
【0187】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0188】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0189】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0190】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0191】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0192】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0193】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。
【0194】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0195】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0196】
本開示においては、「基地局(BS:Base Station)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0197】
基地局は、1つ又は複数(例えば、3つ)のセルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」又は「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部又は全体を指す。
【0198】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0199】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0200】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、端末などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのIoT(Internet of Things)機器であってもよい。
【0201】
また、本開示における基地局は、ユーザ端末で読み替えてもよい。例えば、基地局及びユーザ端末間の通信を、複数のユーザ端末間の通信(例えば、D2D(Device-to-Device)、V2X(Vehicle-to-Everything)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、上述の基地局10が有する機能をユーザ端末20が有する構成としてもよい。また、「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネルで読み替えられてもよい。
【0202】
同様に、本開示におけるユーザ端末は、基地局で読み替えてもよい。この場合、上述のユーザ端末20が有する機能を基地局10が有する構成としてもよい。
【0203】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0204】
参照信号は、RS(Reference Signal)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。
【0205】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0206】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0207】
無線フレームは時間領域において1つ又は複数のフレームによって構成されてもよい。
時間領域において1つ又は複数の各フレームはサブフレームと呼ばれてもよい。
サブフレームは更に時間領域において1つ又は複数のスロットによって構成されてもよい。サブフレームは、ニューメロロジー(numerology)に依存しない固定の時間長(例えば、1ms)であってもよい。
【0208】
ニューメロロジーは、ある信号又はチャネルの送信及び受信の少なくとも一方に適用される通信パラメータであってもよい。ニューメロロジーは、例えば、サブキャリア間隔(SCS:SubCarrier Spacing)、帯域幅、シンボル長、サイクリックプレフィックス長、送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)、TTIあたりのシンボル数、無線フレーム構成、送受信機が周波数領域において行う特定のフィルタリング処理、送受信機が時間領域において行う特定のウィンドウイング処理などの少なくとも1つを示してもよい。
【0209】
スロットは、時間領域において1つ又は複数のシンボル(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、SC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)シンボル等)で構成されてもよい。スロットは、ニューメロロジーに基づく時間単位であってもよい。
【0210】
スロットは、複数のミニスロットを含んでもよい。各ミニスロットは、時間領域において1つ又は複数のシンボルによって構成されてもよい。また、ミニスロットは、サブスロットと呼ばれてもよい。ミニスロットは、スロットよりも少ない数のシンボルによって構成されてもよい。ミニスロットより大きい時間単位で送信されるPDSCH(又はPUSCH)は、PDSCH(又はPUSCH)マッピングタイプAと呼ばれてもよい。ミニスロットを用いて送信されるPDSCH(又はPUSCH)は、PDSCH(又はPUSCH)マッピングタイプBと呼ばれてもよい。
【0211】
無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、いずれも信号を伝送する際の時間単位を表す。無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、それぞれに対応する別の呼称が用いられてもよい。
【0212】
例えば、1サブフレームは送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)と呼ばれてもよいし、複数の連続したサブフレームがTTIと呼ばれてよいし、1スロット又は1ミニスロットがTTIと呼ばれてもよい。つまり、サブフレーム及びTTIの少なくとも一方は、既存のLTEにおけるサブフレーム(1ms)であってもよいし、1msより短い期間(例えば、1-13シンボル)であってもよいし、1msより長い期間であってもよい。なお、TTIを表す単位は、サブフレームではなくスロット、ミニスロットなどと呼ばれてもよい。
【0213】
ここで、TTIは、例えば、無線通信におけるスケジューリングの最小時間単位のことをいう。例えば、LTEシステムでは、基地局が各ユーザ端末に対して、無線リソース(各ユーザ端末において使用することが可能な周波数帯域幅、送信電力など)を、TTI単位で割り当てるスケジューリングを行う。なお、TTIの定義はこれに限られない。
【0214】
TTIは、チャネル符号化されたデータパケット(トランスポートブロック)、コードブロック、コードワードなどの送信時間単位であってもよいし、スケジューリング、リンクアダプテーションなどの処理単位となってもよい。なお、TTIが与えられたとき、実際にトランスポートブロック、コードブロック、コードワードなどがマッピングされる時間区間(例えば、シンボル数)は、当該TTIよりも短くてもよい。
【0215】
なお、1スロット又は1ミニスロットがTTIと呼ばれる場合、1以上のTTI(すなわち、1以上のスロット又は1以上のミニスロット)が、スケジューリングの最小時間単位となってもよい。また、当該スケジューリングの最小時間単位を構成するスロット数(ミニスロット数)は制御されてもよい。
【0216】
1msの時間長を有するTTIは、通常TTI(LTE Rel.8-12におけるTTI)、ノーマルTTI、ロングTTI、通常サブフレーム、ノーマルサブフレーム、ロングサブフレーム、スロットなどと呼ばれてもよい。通常TTIより短いTTIは、短縮TTI、ショートTTI、部分TTI(partial又はfractional TTI)、短縮サブフレーム、ショートサブフレーム、ミニスロット、サブスロット、スロットなどと呼ばれてもよい。
【0217】
なお、ロングTTI(例えば、通常TTI、サブフレームなど)は、1msを超える時間長を有するTTIで読み替えてもよいし、ショートTTI(例えば、短縮TTIなど)は、ロングTTIのTTI長未満かつ1ms以上のTTI長を有するTTIで読み替えてもよい。
【0218】
リソースブロック(RB)は、時間領域及び周波数領域のリソース割当単位であり、周波数領域において、1つ又は複数個の連続した副搬送波(subcarrier)を含んでもよい。RBに含まれるサブキャリアの数は、ニューメロロジーに関わらず同じであってもよく、例えば12であってもよい。RBに含まれるサブキャリアの数は、ニューメロロジーに基づいて決定されてもよい。
【0219】
また、RBの時間領域は、1つ又は複数個のシンボルを含んでもよく、1スロット、1ミニスロット、1サブフレーム、又は1TTIの長さであってもよい。1TTI、1サブフレームなどは、それぞれ1つ又は複数のリソースブロックで構成されてもよい。
【0220】
なお、1つ又は複数のRBは、物理リソースブロック(PRB:Physical RB)、サブキャリアグループ(SCG:Sub-Carrier Group)、リソースエレメントグループ(REG:Resource Element Group)、PRBペア、RBペアなどと呼ばれてもよい。
【0221】
また、リソースブロックは、1つ又は複数のリソースエレメント(RE:Resource Element)によって構成されてもよい。例えば、1REは、1サブキャリア及び1シンボルの無線リソース領域であってもよい。
【0222】
帯域幅部分(BWP:Bandwidth Part)(部分帯域幅などと呼ばれてもよい)は、あるキャリアにおいて、あるニューメロロジー用の連続する共通RB(common resource blocks)のサブセットのことを表してもよい。ここで、共通RBは、当該キャリアの共通参照ポイントを基準としたRBのインデックスによって特定されてもよい。PRBは、あるBWPで定義され、当該BWP内で番号付けされてもよい。
【0223】
BWPには、UL用のBWP(UL BWP)と、DL用のBWP(DL BWP)とが含まれてもよい。UEに対して、1キャリア内に1つ又は複数のBWPが設定されてもよい。
【0224】
設定されたBWPの少なくとも1つがアクティブであってもよく、UEは、アクティブなBWPの外で所定の信号/チャネルを送受信することを想定しなくてもよい。なお、本開示における「セル」、「キャリア」などは、「BWP」で読み替えられてもよい。
【0225】
上述した無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルなどの構造は例示に過ぎない。例えば、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレーム又は無線フレームあたりのスロットの数、スロット内に含まれるミニスロットの数、スロット又はミニスロットに含まれるシンボル及びRBの数、RBに含まれるサブキャリアの数、並びにTTI内のシンボル数、シンボル長、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)長などの構成は、様々に変更することができる。
【0226】
本開示にいて、例えば、英語でのa、an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0227】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0228】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0229】
10 基地局
20 端末
101 送信部
102 受信部
103 制御部
201 送信部
202 受信部
203 制御部
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 通信装置
1005 入力装置
1006 出力装置