(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】柵用チェーン
(51)【国際特許分類】
E01F 13/04 20060101AFI20240806BHJP
G09F 13/16 20060101ALI20240806BHJP
G09F 15/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
E01F13/04 A
G09F13/16 Z
G09F15/00 R
(21)【出願番号】P 2021026209
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】592159966
【氏名又は名称】中発販売株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512141736
【氏名又は名称】株式会社リーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】檪原 政一
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】実用新案登録第3215701(JP,Y2)
【文献】実開平05-032626(JP,U)
【文献】特開2001-182025(JP,A)
【文献】特開2003-171916(JP,A)
【文献】特開2006-316521(JP,A)
【文献】実開昭60-186318(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/00 - 13/12
G09F 13/16
G09F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リング、当該第1リングに連結された第2リング、及び当該第2リングに連結された第3リングを少なくとも備える柵用チェーンにおいて、
再帰反射機能又は蓄光機能を発揮可能な反射材であって、一端側が前記第1リングに対して変位可能に当該第1リングに連結され、かつ、他端側が前記第3リングに対して変位可能に当該第3リングに連結された反射材を備え、
さらに、前記反射材は、前記第2リングに対して離接変位可能である柵用チェーン。
【請求項2】
前記第1リング、前記第2リング及び前記第3リングそれぞれは、長円状に構成された線材であり、
前記反射材は、弾性的に変形可能な平板材で構成され、かつ、当該反射材の一端側には、前記第1リングを構成する線材が貫通する第1貫通穴が設けられ、前記反射材の他端側には、前記第3リングを構成する線材が貫通する第2貫通穴が設けられており、
前記第1リングの長径方向及び前記第3リングの長径方向が前記第2リングの長径方向に対して略直交し、前記第1リング及び前記第3リングの短径方向と前記第2リングの長径方向とが互いに略平行になり、かつ、前記第1リングの内周が前記第2リングの内周に接触し、前記第3リングの内周が前記第2リングの内周に接触した状態を屈曲状態とし、
前記屈曲状態時における前記第1リングの外周と前記第3リングの外周との距離を屈曲時ピッチ寸法としたとき、
前記第1貫通穴と前記第2貫通穴と離間距離は、前記屈曲時ピッチ寸法より小さい請求項1に記載の柵用チェーン。
【請求項3】
前記第1貫通穴及び前記第2貫通穴は、当該第1貫通穴から当該第2貫通穴に向かう方向が長径方向となる長円状であり、
前記反射材の前記一端側には、当該反射材の外縁から前記第1貫通穴に至るスリット状の第1切断部が設けられ、
さらに、前記反射材の前記他端側には、当該反射材の外縁から前記第2貫通穴に至るスリット状の第2切断部が設けられている請求項2に記載の柵用チェーン。
【請求項4】
第1リング、当該第1リングに連結された第2リング、及び当該第2リングに連結された第3リングを少なくとも備えるチェーンに適用され、再帰反射機能又は蓄光機能を発揮可能な反射材において、
弾性的に変形可能な平板材で構成され、一端側に、前記第1リングを構成する線材が貫通する第1貫通穴が設けられ、他端側に、前記第3リングを構成する線材が貫通する第2貫通穴が設けられており、
さらに、前記一端側には、外縁から前記第1貫通穴に至るスリット状の第1切断部が設けられ、前記他端側には、外縁から前記第2貫通穴に至るスリット状の第2切断部が設けられているチェーン用反射材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立ち入り禁止や進入禁止等を意図する際に利用可能な柵用チェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の柵用チェーンは、視認性を向上させるための反射部材を有するとともに、当該反射部材がチェーンを構成するリングに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
柵用チェーンは、使用時には、2本のポール又はパイロン間に掛け渡されるように張架され、非使用時には、柵用チェーンが屈曲して折り畳まれたような状態(以下、収納状態という。)となって収納又は載置される。
【0005】
特許文献1に記載の柵用チェーンでは、反射部材がリングに固定されているので、例えば、収納状態時に反射部材が障害となってリングの移動を阻害する。本開示は、当該点に鑑み、リングの移動障害が発生し難い柵用チェーンの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1リング(11)、当該第1リング(11)に連結された第2リング(12)、及び当該第2リング(12)に連結された第3リング(13)を少なくとも備える柵用チェーンにおいては、再帰反射機能又は蓄光機能を発揮可能な反射材(20)であって、一端側が第1リング(11)に対して変位可能に当該第1リング(11)に連結され、かつ、他端側が第3リング(13)に対して変位可能に当該第3リング(13)に連結された反射材(20)を備え、さらに、反射材(20)は、第2リング(12)に対して離接変位可能であることが望ましい。
【0007】
これにより、収納状態時に反射材(20)が障害となってリング(11~13)の移動が阻害されてしまうことが抑制され得る。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る柵用チェーンの使用状態の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る柵用チェーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示され柵用チェーンは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.柵用チェーンの概要>
本実施形態に係る柵用チェーン10は、例えば、
図1に示されるように、2本のポール又はパイロン等の鎖保持塔1、2間に掛け渡されるように張架されて使用される。
【0014】
柵用チェーン10は、
図2に示されるように、少なくとも3つのリング11、及び少なくとも1つの反射材20等を少なくとも備える。各リング11は、線材が長円状に構成された環状体である。なお、本実施形態に係る各リング11は、樹脂製である。
【0015】
反射材20は、再帰反射機能又は蓄光機能を発揮可能な反射部材である。本実施形態に係る反射材20は、弾性変形可能な薄平板状の部材である。具体的には、当該反射材20は、樹脂製の薄板に、再帰反射機能又は蓄光機能を発揮する反射シールが貼り付けられたものである。
【0016】
なお、反射材20の個数は、例えば、リング11の個数と同一、又はリング11の個数より少ない個数である。本実施形態に係る柵用チェーン10では、2つのリング11に1つの反射材20の割合で複数の反射材20が設けられている。
【0017】
以下、紙面左端側のリング11を「第1リング11」とし、当該第1リング11に連結されたリング11を「第2リング12」とし、第2リング12に連結されたリング11を「第3リング13」という。
【0018】
なお、第1リング11~第3リング13、及び第1リング11と第3リング13との間に配置された反射材20を基本単位としたとき、本実施形態に係る柵用チェーン10は、複数の基本単位が連結されて1本の柵用チェーンが構成されている。以下の説明は、当該基本単位に関する説明である。
【0019】
<2.柵用チェーン及び反射材の詳細>
<2.1 反射材と各リングとの関係>
反射材20は、一端側が第1リング11に対して変位可能に当該第1リング11に連結され、かつ、他端側が第3リング13に対して変位可能に当該第3リング13に連結されている。そして、当該反射材20は、第2リング12に対して離接変位可能である。
【0020】
具体的には、
図3に示されるように、反射材20の一端側には、第1リング11を構成する線材が貫通する第1貫通穴20Aが設けられている。当該反射材20の他端側には、第3リング13を構成する線材が貫通する第2貫通穴20Bが設けられている。
【0021】
そして、第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bの大きさは、各リング11を構成する線材の直径寸法より大きい。このため、反射材20は、第2リング12に対して離接変位可能である。
【0022】
なお、本実施形態に係る反射材20は、第2リング12の外形状と略合同な長円状となっている。このため、本実施形態では、反射材20の長径方向一端側に第1貫通穴20Aが設けられ、長径方向他端側に第2貫通穴20Bが設けられている。
【0023】
本実施形態に係る第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bは、長円状である。具体的には、第1貫通穴20Aの長径方向及び第2貫通穴20Bの長径方向は、互い平行であって、かつ、第1貫通穴20Aから第2貫通穴20Bに向かう方向に平行である。
【0024】
そして、反射材20の一端側(
図3では、左端側)には、第1切断部20Cが設けられている。第1切断部20Cは、反射材20の外縁から第1貫通穴20Aに至るスリット状の切断箇所である。
【0025】
反射材20の他端側(
図3では、右端側)には、第2切断部20Dが設けられている。第2切断部20Dは、反射材20の外縁から第2貫通穴20Bに至るスリット状の切断箇所である。
【0026】
なお、第1切断部20C及び第2切断部20Dは、対応する貫通穴20A、20Bの長径方向と平行な方向に延びている。そして、第1切断部20C及び第2切断部20Dの切断幅Wsは、反射材20の厚み寸法以下である。
【0027】
<2.2 反射材の各部の寸法等>
屈曲状態時(
図4参照)における第1リング11の外周と第3リング13の外周との距離を屈曲時ピッチ寸法P(
図4参照)としたとき、本実施形態に係る反射材20では、第1貫通穴20Aと第2貫通穴20Bと離間距離W(
図5参照)は、屈曲時ピッチ寸法Pより小さい。
【0028】
なお、屈曲状態時とは、第1リング11の長径方向L1及び第3リング13の長径方向L3が第2リング12の長径方向L2に対して略直交し(
図4参照)、第1リング11の短径方向L4及び第3リング13の短径方向L5と第2リング12の長径方向L2とが互いに略平行になり(
図5参照)、かつ、第1リング11の内周が第2リング12の内周に接触し、第3リング13の内周が第2リング12の内周に接触した状態(
図4参照)をいう。
【0029】
<2.3 反射材の装着方法(
図5参照)>
反射材20を柵用チェーン本体、つまり複数のリング11のみからなる鎖に装着する者(以下、作業者という。)は、例えば、第1切断部20Cを起点として第1貫通穴20Aを開いて第1リング11を構成する線材を第1貫通穴20Aに嵌め込んだ後、同様に、第2切断部20Dを起点として第2貫通穴20Bを開いて第3リング13を構成する線材を第2貫通穴20Bに嵌め込む。
【0030】
<3.本実施形態に係る柵用チェーンの特徴>
本実施形態に係る柵用チェーン10の反射材20は、第2リング12に対して離接変位可能である。これにより、収納状態時に反射材20が障害となって各リング11の移動が阻害されてしまうことが抑制され得る。
【0031】
本実施形態に係る反射材20では、第1貫通穴20Aと第2貫通穴20Bと離間距離Wは、屈曲時ピッチ寸法Pより小さいので、
図5に示されるように、第1リング11を構成する線材と第1貫通穴20Aとの間に隙間が発生し、かつ、第3リング13を構成する線材と第2貫通穴20Bとの間に隙間が発生する。
【0032】
したがって、収納状態時に反射材20が第1リング11又は第3リング13から外れてしまうことが抑制されるとともに、当該反射材20が第1リング11~第3リング13に対して容易に変位でき得る。
【0033】
つまり、仮に、上記の隙間が無い構成であると、例えば、第1リング11が第3リング13側に移動した場合に、反射材20が当該第1リング11に押圧されて第1切断部20Cが大きく変形しまい、反射材20の第1貫通穴20A側が第1リング11から外れてしまう可能性がある。
【0034】
これに対して、本実施形態に係る反射材20では、屈曲状態時であっても、第1リング11及び第3リング13との間に隙間があるので、収納状態時に反射材20が第1リング11又は第3リング13から外れてしまうことが抑制される。
【0035】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、第1貫通穴20Aと第2貫通穴20Bと離間距離Wが屈曲状態時における屈曲時ピッチ寸法Pより小さい構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、離間距離Wが第2の屈曲状態時における屈曲時ピッチ寸法P以下となる構成であってもよい。
【0036】
なお、第2の屈曲状態とは、長径方向L1及び長径方向L3が長径方向L2に対して略直交し、短径方向L4及び短径方向L5と長径方向L2とが互いに略平行になり、かつ、第1リング11の内周が第2リング12の外周に接触し、第3リング13の内周が第2リング12の外周に接触した状態をいう。
【0037】
つまり、第2の屈曲状態とは、屈曲状態に対して、第1リング11が第3リング13側に移動し、第3リング13が第1リング11側に移動して、第1リング11の内周が第2リング12の外周に接触し、第3リング13の内周が第2リング12の外周に接触した状態をいう。
【0038】
上述の実施形態に係る複数のリング11は、樹脂製であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、チェーン本体が金属製のリングにて構成されていてもよい。
【0039】
上述の実施形態に係る反射材20、第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bは、長円状であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、反射材20、第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bが楕円や真円等のその他形状にて構成されていてもよい。
【0040】
上述の実施形態に係る第1切断部20C及び第1切断部20Cは、直線状の切断部であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1切断部20C及び第1切断部20Cが波状の切断部にて構成されていてもよい。
【0041】
上述の実施形態に係る反射材20は、弾性変形可能な樹脂製の薄板にて構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、反射材20が金属板等の剛体にて構成されていてもよい。
【0042】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10… 柵用チェーン
11… 第1リング
12… 第2リング
13… 第3リング
20… 反射材
20A… 第1貫通穴
20B… 第2貫通穴
20C… 第1切断部
20D… 第2切断部