(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】発泡プラスチックの原料充填機
(51)【国際特許分類】
B29C 44/44 20060101AFI20240806BHJP
B29C 44/00 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
B29C44/44
B29C44/00 G
(21)【出願番号】P 2024061815
(22)【出願日】2024-04-06
【審査請求日】2024-04-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593017692
【氏名又は名称】有限会社ベステック
(74)【代理人】
【識別番号】100137899
【氏名又は名称】大矢 広文
(72)【発明者】
【氏名】可児 廣司
(72)【発明者】
【氏名】可児 賢士
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-216650(JP,A)
【文献】特開2005-164009(JP,A)
【文献】特開2010-149297(JP,A)
【文献】実公昭61-018997(JP,Y2)
【文献】特開2014-188835(JP,A)
【文献】特開2022-165435(JP,A)
【文献】特開2002-316334(JP,A)
【文献】特開昭62-271731(JP,A)
【文献】実開昭58-108602(JP,U)
【文献】特開昭59-155017(JP,A)
【文献】特開2002-283148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
B29C 31/04
B29C 44/36
B29C 67/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡プラスチック成形用金型のキャビティ及びコアへ吐出口から加圧気体を介して原料を充填する発泡プラスチックの原料充填機であって、
円筒シャフトの先端に連接したプランジャーを主管部の内部において前後動可能で、原料供給口を備えた継手部の後端に連接した駆動部を備えた基幹部と、前記吐出口を備えた前記主管部がカプラを介在して脱着自在とし、
前記継手部には前記カプラのケースが嵌合され、前記ケースの内周面に設けた保持溝に球を出没自在に保持し、前記主管部の外周面には球状凹部を備え、前記主管部が前記ケースに挿入され、前記球の一部が前記球状凹部に
隙間なく球面嵌合することにより、前記主管部と前記基幹部が連接接合され、
前記主管部の前端面及び前記プランジャーの前端面を湾曲形状又は傾斜形状とし、
前記主管部の前端面から外周面にかけて外側蒸気溝が形成され、前記プランジャーの前端面から外周面にかけて内側蒸気溝が形成され、前記外側蒸気溝と前記内側蒸気溝の間に内周溝を形成し、
前記主管部の前記吐出口を前記プランジャーで封止した状態においては、前記主管部の前記前端面と前記プランジャーの前記前端面が面一となり、
かつ、前記外側蒸気溝と前記内側蒸気溝が前記内周溝を介して直線状に連通し蒸気通路が形成され、
前記駆動部には、ピストン体を介して前記円筒シャフトに挿入した回り止め芯を挿通固定部材で押圧することによって、前記プランジャーを連接した前記円筒シャフトの回動を固定する回動固定部を備えたことを特徴とした、発泡プラスチックの原料充填機。
【請求項2】
発泡プラスチック成形用金型のキャビティ及びコアへ吐出口から加圧気体を介して原料を充填する発泡プラスチックの原料充填機であって、
円筒シャフトの先端に連接したプランジャーを主管部の内部において前後動可能で、原料供給口を備えた継手部の後端に連接した駆動部を備えた基幹部と、前記吐出口を備えた前記主管部がカプラを介在して脱着自在とし、
前記継手部には前記カプラのケースが嵌合され、前記ケースの内周面に設けた保持溝に球を出没自在に保持し、前記主管部の外周面には球状凹部を備え、前記主管部が前記ケースに挿入され、前記球の一部が前記球状凹部に
隙間なく球面嵌合することにより、前記主管部と前記基幹部が連接接合され、
前記主管部の前端面及び前記プランジャーの前端面を平坦形状とし、前記主管部の前端面から外周面にかけて外側蒸気溝が形成され、前記プランジャーの前端面から外周面にかけて内側蒸気溝が形成され、
前記外側蒸気溝と前記内側蒸気溝の間に内周溝を形成し、
前記主管部の前記吐出口を前記プランジャーで封止した状態においては、前記主管部の前記前端面と前記プランジャーの前記前端面が面一となり、かつ、前記外側蒸気溝と前記内側蒸気溝が
前記内周溝を介して直線状に連通し蒸気通路が形成され、
前記駆動部には、ピストン体を介して前記円筒シャフトに挿入した回り止め芯を挿通固定部材で押圧することによって、前記プランジャーを連接した前記円筒シャフトの回動を固定する回動固定部を備えたことを特徴とした、発泡プラスチックの原料充填機。
【請求項3】
前記球状凹部を前記球の数より多く設けたことを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の発泡プラスチックの原料充填機。
【請求項4】
前記回動固定部を備えた前記駆動部を分解すること無く外部から簡単に前記円筒シャフトを回動調整出来、
全てのシールパッキンが一般的な円形状の物が使われたことを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の発泡プラスチックの原料充填機。
【請求項5】
前記回動固定部を備えた前記駆動部を分解すること無く外部から簡単に前記円筒シャフトを回動調整出来、
全てのシールパッキンが一般的な円形状の物が使われたことを特徴とした、請求項3に記載の発泡プラスチックの原料充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡プラスチック成形用金型のキャビティ内及びコア内に圧縮空気によって発泡プラスチックの原料を充填し蒸気加熱する、基幹部(本体部)と主管部(管部)が分割式で、基幹部と主管部の回動を固定する回動固定機構を備えた発泡プラスチックの原料充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡プラスチック(発泡スチロール、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)の成形は、発泡プラスチックの原料を発泡プラスチックの原料充填機(以下、「原料充填機」という)で発泡プラスチック成形用金型(以下、「金型」という)のキャビティ及びコア内に充填することにより行われている。原料充填機の一例としては、シリンダーのピストンに固設するシャフトの先端に、管部内を前後動するプランジャーが取付けられており、管部の吐出口から金型内への原料の充填が完了すると、シリンダーのピストンを前進させて管部の吐出口をプランジャーで封止して、金型への原料の供給を停止させる。そして、その後の成形工程において、金型内に充填した発泡樹脂粒子を加熱融着するため、金型に穿設した水蒸気を通す多数の蒸気孔から、金型の蒸気室(チャンバー)に供給された水蒸気を金型内に導入し、この蒸気によって発泡樹脂粒子を加熱して樹脂製品を成形することが行われている。
【0003】
成形される樹脂成品としては、多種多様な形状を備えるものが多く、樹脂製品や樹脂製品を成形する金型によっては湾曲した箇所や傾斜(テーパー)した箇所があり、金型に取付けて原料を吐出する原料充填機の管部の前端面及びプランジャーの前端面も金型や樹脂製品の形状に対応させる必要がある。
【0004】
発泡樹脂材のビーズを注入するフィーダが金型や樹脂製品の形状に対応させた発明として特許文献1がある。この特許文献1に係る発明は、固定型と移動型の間に、樹脂材料が充填されるキャビティを設け、該キャビティ内に、複数の仕切板を出没可能に設け、固定型と移動型の何れか一方に仕切板を出没させるシリンダ機構を設け、仕切板にて仕切られるキャビティ内の隣り合った空間に、互いに異種の樹脂材料を充填して成形する成形装置であって、仕切板とシリンダ機構の間には、仕切板をキャビティに向けて付勢するバネ機構が設けられ、仕切板は、固定型と移動型の型締め時に、該バネ機構の圧縮により、先端部が固定型又は移動型に押圧力を持って接する第1の位置と、型締め後、固定型と移動型を僅かに離した際に、バネ機構により第1の位置よりも先端部が更に押された第2の位置の間を往復動可能に設けられたことを特徴とする成形装置である。
【0005】
金型内に蒸気を導入する発明としては、様々な種類のものが知られているが、方法の発明として、例えば、特許文献2に記載の「成形金型の水蒸気導入方法」がある。特許文献2に係る発明は、雌雄一対の金型のキャビティに臨んだ側の型壁に蒸気孔が穿設され、一方の金型の上記型壁に充填ガンの先端口部が接続されている成形金型を用い、この成形金型のチャンバーに供給された水蒸気を前記蒸気孔からキャビティに導入する以外に該水蒸気を、充填ガンの先端口部側周面部と上記型壁との間に形成された通気溝と上記先端口部を閉塞するプランジャーの前面部に設けたスリットを通して、充填ガンの先端口部前面からキャビティに導入することを特徴とする。
【0006】
すなわち、射出管41の先端口部42側周面部上には、該先端口部42の口縁42aから切込んで固定金型10のチャンバー10a内と連通ずる複数個の通気溝46を設ける一方、プランジャー44の前面部44aには、該プランジャー44が前進して射出管41の先端口部42を閉塞したときに、上記各通気溝46とそれぞれ連通するスリット47を放射状に設けて、チャンバー10aに供給された水蒸気が通気溝46とスリット47を通ってキャビティ30に導入するように構成されている(特許文献1第2頁左下欄から右下欄)。このことから、充填ガンの先端口部に臨んだ部分のキャビティに存在する発泡樹脂粒子に対し直接水蒸気を噴射できるため、該部分の発泡樹脂粒子は他の部分に存在する発泡樹脂粒子と同様に水蒸気加熱が十分に行なわれ、融着強度が弱いといった不具合を全面的に解消でき、均一な融着強度を有する品質の良好な多孔質成形品を製造する上に極めて有効である(同第3頁[発明の効果])。
【0007】
また、物の発明として、例えば、特許文献3に記載の「型内発泡成形方法及びそれに用いる予備発泡ビ-ズ充填装置」がある。特許文献3に係る発明は、外筒内に内筒シリンダーと、該内筒シリンダーに連接されたシャフトと、該シャフトに連接された作動シリンダーとを収容するとともにビーズ入口を備えてなる予備発泡ビーズ充填装置において、前記内筒シリンダー、又は内筒シリンダーと外筒に金型の蒸気チャンバーに連通する金型内面に開口した蒸気溝及び/又は蒸気孔を設けており、外筒の先端部及び内筒シリンダー先端部に、金型の蒸気チャンバーに連通する複数の蒸気溝を設けたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、外筒(21)の先端部及び内筒シリンダー(22)先端部にそれぞれ複数の蒸気溝(24)、(25)を刻設してなり、蒸気溝(24)、(25)は各々直線状に連通し、放射状に配設されている。蒸気孔(24)は金型の蒸気チャンバー(26)に連通している(特許文献2第2頁左下欄)。この構成により、充填装置の成形体との接触部分から蒸気が供給され、成形体を十分に加熱することが出来るので、融着不良や過剰加熱に起因する様々な問題点を解消できるとともに、成形時間を短縮できるので生産性を向上させることができる(同第3頁「作用・効果」)。
【0009】
【文献】特開2008-207503号公報
【文献】特開平1-139244号公報
【文献】特開昭62-271731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
管部と本体部が脱着自在の分割式の原料充填機は、原料を吐出する側の管部と、原料を供給し、プランジャーを主管部内において前後動させるシリンダーを備えた本体部との連接及び分離が容易となるため便利であるが、管部と本体部が回動したり、また、シリンダーの作用によってプランジャーが前後動するとプランジャー自体が回動したりする場合がある。そうとすると、管部の吐出口をプランジャーで封止した状態において管部の前端面とプランジャーの前端面が面一とならず、金型や樹脂製品の形状との齟齬が生じるため、この状態で蒸気加熱等を行うと樹脂製品が部分的にいびつな形状となり、樹脂製品としての体をなさないこととなる。この点、上記特許文献1に記載の発明に関しては、
図1等で図示されているように、フィーダ(42)の先端面が湾曲しているため、上記のような課題があり得る。
【0011】
また、上記特許文献2に記載の発明に関しては、充填ガンのプランジャーが前進後進することにより通気溝46とスリット47がズレ、それぞれ連通しないおそれがある。同じく、特許文献3に記載の発明に関しても、内筒シリンダー(22)を前進後進することにより蒸気孔(24)と(25)がズレ、それぞれ連通しないおそれがある。すなわち、この「ズレ」によって、金型の蒸気室(チャンバー)に供給された水蒸気を金型内に十分導入できず、発泡樹脂粒子を十分加熱することができない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで本発明は、主管部(管部)と基幹部(本体部)の回動を防止することによって、金型や樹脂製品の形状に合わせた均一な樹脂製品を成形するものである。また、同じく、主管部(管部)と基幹部(本体部)の回動を防止することによって、金型内に充填された原料の再膨張や粒同士の融着等を行うに際し、金型内の蒸気効率を高めることができる発泡プラスチックの原料充填機を提供するものである。
【0013】
請求項1の発明は、発泡プラスチック成形用金型のキャビティ及びコアへ吐出口から加圧気体を介して原料を充填する発泡プラスチックの原料充填機であって、
円筒シャフトの先端に連接したプランジャーを主管部の内部において前後動可能で、原料供給口を備えた継手部の後端に連接した駆動部を備えた基幹部と、吐出口を備えた主管部がカプラを介在して脱着自在とし、
継手部にはカプラのケースが嵌合され、ケースの内周面に設けた保持溝に球を出没自在に保持し、主管部の外周面には球状凹部を備え、主管部がケースに挿入され、球の一部が球状凹部に隙間なく球面嵌合することにより、主管部と基幹部が連接接合され、
主管部の前端面及びプランジャーの前端面を湾曲形状又は傾斜形状とし、主管部の前端面から外周面にかけて外側蒸気溝が形成され、プランジャーの前端面から外周面にかけて内側蒸気溝が形成され、外側蒸気溝と内側蒸気溝の間に内周溝を形成し、
主管部の吐出口をプランジャーで封止した状態においては、主管部の前端面とプランジャーの前端面が面一となり、かつ、外側蒸気溝と内側蒸気溝が内周溝を介して直線状に連通し蒸気通路が形成され、
駆動部には、ピストン体を介して円筒シャフトに挿入した回り止め芯を挿通固定部材で押圧することによって、プランジャーを連接した円筒シャフトの回動を固定する回動固定部を備えたことを特徴とした、発泡プラスチックの原料充填機である。
【0014】
請求項2の発明は、発泡プラスチック成形用金型のキャビティ及びコアへ吐出口から加圧気体を介して原料を充填する発泡プラスチックの原料充填機であって、
円筒シャフトの先端に連接したプランジャーを主管部の内部において前後動可能で、原料供給口を備えた継手部の後端に連接した駆動部を備えた基幹部と、吐出口を備えた主管部がカプラを介在して脱着自在とし、
継手部にはカプラのケースが嵌合され、ケースの内周面に設けた保持溝に球を出没自在に保持し、主管部の外周面には球状凹部を備え、主管部がケースに挿入され、球の一部が球状凹部に隙間なく球面嵌合することにより、主管部と基幹部が連接接合され、
主管部の前端面及びプランジャーの前端面を平坦形状とし、主管部の前端面から外周面にかけて外側蒸気溝が形成され、プランジャーの前端面から外周面にかけて内側蒸気溝が形成され、外側蒸気溝と内側蒸気溝の間に内周溝を形成し、
主管部の吐出口をプランジャーで封止した状態においては、主管部の前端面とプランジャーの前端面が面一となり、かつ、外側蒸気溝と内側蒸気溝が内周溝を介して直線状に連通し蒸気通路が形成され、
駆動部には、ピストン体を介して円筒シャフトに挿入した回り止め芯を挿通固定部材で押圧することによって、プランジャーを連接した円筒シャフトの回動を固定する回動固定部を備えたことを特徴とした、発泡プラスチックの原料充填機である。
【0016】
請求項3の発明は、球状凹部を球の数より多く設けたことを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の発泡プラスチックの原料充填機である。
【0018】
請求項4の発明は、回動固定部を備えた駆動部を分解すること無く外部から簡単に円筒シャフトを回動調整出来、
全てのシールパッキンが一般的な円形状の物が使われたことを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の発泡プラスチックの原料充填機である。
【0020】
請求項5の発明は、回動固定部を備えた駆動部を分解すること無く外部から簡単に円筒シャフトを回動調整出来、
全てのシールパッキンが一般的な円形状の物が使われたことを特徴とした、請求項3に記載の発泡プラスチックの原料充填機である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明では、主管部の前端面とプランジャーの前端面を面一として金型や樹脂製品の形状に合わせ、回動固定部によってプランジャーを連接した円筒シャフトの回動を固定することができるため、様々な形状の金型や樹脂製品に対応することができ、金型や樹脂製品の形状に合わせた均一な樹脂製品を成形することができる。
【0023】
請求項2の発明では、主管部であるノズル口金部の外側蒸気溝と基幹部であるプランジャーの内側蒸気溝を直線状に連通した状態を回動固定部によって固定することができるため、金型の蒸気室と連通する外側蒸気溝及び内側蒸気溝により金型内へ蒸気を満遍なく行き渡らせることができ、金型内における原料X(予備発泡粒等)の均一な融着が可能となり、成形品の品質向上を図ることができる。
【0024】
請求項3の発明は、主管部であるノズル口金部の外側蒸気溝と基幹部であるプランジャーの内側蒸気溝を直線状に連通した状態を回動固定部によって固定することができるため、金型の蒸気室と連通する外側蒸気溝及び内側蒸気溝により金型内へ蒸気を満遍なく行き渡らせることができ、金型内における原料X(予備発泡粒等)の均一な融着が可能となり、成形品の品質向上を図ることができる。
【0025】
請求項4、請求項5の発明は、球状凹部の数を球の数よりも多くすることにより基幹部の円周方向の向きを任意に調節、変更等することができる。
【0026】
請求項6乃至請求項9の発明は、駆動部を分解することなく、外部からドライバー等を使用した簡単な操作によってプランジャーが連接する円筒シャフトを固定することができる。また、駆動部で用いられている全てのシールパッキンが広く汎用されているOリング、Vリング等のシール機構を使用することによって、原料充填機自体を安価に製造することができ、また耐久性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、発泡プラスチック(成形品)の原料X(予備発泡粒等)を発泡プラスチック成形用金型80のキャビティ85(メス型82の空間)及びコア86(オス型81の空間)内(合わせて「金型80内」ということもある)に、充填エア等の加圧気体を介して充填し、金型80内に充填された原料Xの再膨張や粒同士の融着を行うため、金型80内を蒸気加熱(及び冷気冷却)して発泡プラスチック(成形品)100を形成するための発泡プラスチックの原料充填機1である。
【0028】
発泡プラスチックの原料充填機1は、主管部60、基幹部3に大別することができる。基幹部3はさらに駆動部5と継手部40に分けることができる。主管部60と基幹部3は連接構造であるカプラ50を介在することによって脱着自在に連接してなるが、このカプラ50には主管部60と基幹部3の回動(ズレ)を防止する機構(回動固定機構)を備えている。また、基幹部3を構成する駆動部5においても基幹部3(プランジャー20等)の回動(ズレ)を固定する回動固定部18(回動固定機構)を備えている。
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、発泡プラスチックの原料Xは、ビーズ状の物が好適であるが、ストロー状のもの等であってもよい。便宜上、以下単に「原料X」とする。発泡プラスチック成形用金型80は、以下、単に「金型80」とし、発泡プラスチックの原料充填機1は、単に「原料充填機1」とする。また、本発明において、「前」とは原料を吐出する側を示し、「後」とはその反対側を示す。なお、図中、加圧気体や蒸気の流れを矢印で図示する場合がある。
【0030】
基幹部3は、プランジャー20等を前後動させる駆動部5と、内路を有する三又形状の分岐管である継手部40に大別でき、駆動部5の先端に継手部40が連接され一体化している。駆動部5と継手部40の連接に関してはどのような連接構造でもよいが、例えば、後端側の被挿入口44(駆動部5との連結口)の内周に螺子溝が螺刻された継手部40と、先端側の外周に螺子溝が螺刻された駆動部5(前蓋体10の継手挿入部11)を螺合する等が挙げられる。
【0031】
継手部40の後端に連接される駆動部5によって、継手部40の本体部41内、主管部60の本体部62内、ノズル口金部74内においてプランジャー20を前後動させることができる。この駆動部5としては、例えば、電動モータや油圧シリンダー等を使用することも可能である。しかし、電動モータや油圧シリンダーは複雑な電源装置や油圧発生装置等の特別な装置が必要な場合があるため、簡素なエアシリンダーを使用することが望ましい。以下、エアシリンダーの一例について説明する。
【0032】
エアシリンダーは、前蓋体10及び後蓋体15で封止されるシリンダー筒体7と、エアコンプレッサ等の空気圧送手段(不図示)から圧送された駆動エアが流入する前動用空気室8や後動用空気室9からなるシリンダー筒体7内を前後動可能とするピストン体23、後端側がピストン体23に固設し先端にプランジャー20が連接される円筒シャフト30、先端側からピストン体23に挿通し、さらに円筒シャフト30内にも挿入し、後端側が後蓋体15に挿通する回り止め芯33を主な構成要素としている。一体となったこれらプランジャー20、円筒シャフト30、ピストン体23でシャフト部を構成している。
【0033】
プランジャー20は、円筒シャフト30の先端にネジやボルト等の締結具を介して固設されており、ノズル口金部74の前端面74a側までプランジャー20が前動すると、プランジャー20によってノズル口金部74の吐出口79を封止する構造である。すなわち、プランジャー20は原料Xの金型80内への供給を停止するものである。
【0034】
プランジャー20の前端面20aは発泡プラスチック100(成形品)に接する部材であるため、金型80や発泡プラスチック100等の形状に合わせた形状とする必要がある。
したがって、金型80や成形品の形状に合わせるよう、
図8で図示したような平坦形状の他、
図10等で図示したような湾曲形状、
図1等で図示したような傾斜形状のいずれかを採択する。
図17、
図18、
図19の下で図示している原料充填機1のノズル口金部74の前端面74aは傾斜形状としている。
【0035】
プランジャー20の前端面20aは、部分的に平坦形状、湾曲形状、傾斜形状としてもよい。例えば、一部を平坦形状とし、他の部分を湾曲形状及び/又は傾斜形状としてもよく組み合わせは任意である。但し、後述するように、プランジャー20の前端面20aの形状とノズル口金部74の前端面74aの形状は整合する必要がある。
【0036】
また、平坦形状のプランジャー20にはもちろんのこと、湾曲形状又は傾斜形状のプランジャー20には、金型80内の蒸気効率を高める等の目的で、前端面20aから外周面20bにかけて内側蒸気溝21を形成することもできる。具体的には、前端面20aから軸方向に溝(スリット)が切り込まれることによって凹設され、前端面20a及び外周面20bに内側蒸気溝21が形成される構成が挙げられる。この内側蒸気溝21の数は問わず、例えば、複数個形成し、
図3(a)で図示したように、周方向に等間隔で八個を放射状に形成してもよい。
【0037】
円筒シャフト30(前後回動可能な被案内シャフト)の前端側にはネジ溝等のプランジャー20取付け構造を有している。また、後端から軸方向に沿って回り止め芯33を挿入できる軸方向穴30aを備えている。
【0038】
ピストン体23は側面視凸形状で、短円柱状の本体部24と、本体部24の中央から突出する突出部25に分類することができる。本体部24には円筒シャフト30挿入固定用の円穴24aが穿設され、反対側の突出部25には回り止め芯33嵌合挿通用の多角穴25aが穿設されている。円穴24aと多角穴25aに関しては、径や形状は相違するが(円穴24aは多角穴25aより大径)連通している。本体部24にはパッキン28を装着するための周溝を形成し、この周溝にパッキン28を嵌着している。回り止め芯33は多角穴25aに嵌合挿通するため、多角穴25aの形状は回り止め芯33と同形状とする。したがって、多角穴25aの形状が六角であれば回り止め芯33の形状も六角とする。なお、パッキン28はどのようなものでもよいが、例えば、断面ひょうたん形等のパッキン28が挙げられる。
【0039】
円筒シャフト30の軸方向穴30a内に挿入する回り止め芯33(案内芯)は多角形状とする。多角形状としては、
図5等で図示したような六角形状の他、例えば、八角形状、五角形状、四角形等が挙げられる。回り止め芯33は基本的には多角形状であるが、基端側の一部(後蓋体15の回動穴15bに嵌合する部分)を円柱形状とし、この部分を押圧部34としている。また、基端端面35にはドライバー溝37を形成している。
【0040】
円筒シャフト30を固設したピストン体23を摺動(前後動又は回動)可能に内設するシリンダー筒体7には、その両端を前蓋体10及び後蓋体15で封止する。
【0041】
前蓋体10は、シリンダー筒体7の前端を封止し、かつ、継手部40と連接するものである。したがって、筒体挿入部12の外周には、シリンダー筒体7との連接用のネジ溝が螺刻されており、また、継手挿入部11の外周には、継手部40との連接用のネジ溝が螺刻されている。前蓋体10の中央には円筒シャフト30が摺動(前後動かつ回動)可能な穴10bを穿設している。さらには、ピストン体23を後進させるための後進用エア供給口13を設けている(
図5でエアの流れを矢印で図示している)。
【0042】
後蓋体15は、シリンダー筒体7の後端を封止し、かつ、回り止め芯33が挿通されるものである。筒体挿入部16の外周には、シリンダー筒体7との連接用のネジ溝が螺刻されており、後蓋体15の中央には回り止め芯33の基端側を挿通可能な回動穴15bを穿設している。さらには、ピストン体23を前進させるための前進用エア供給口17を設けている(
図5でエアの流れを矢印で図示している)。
【0043】
シリンダー筒体7の先端に前蓋体10が連接して一体化するが、記述したような、先端側の内周に螺子溝が螺刻されたシリンダー筒体7と、外周に螺子溝が螺刻された筒体挿入部12を螺合する他、連接に関してはどのような連接構造でもよい。また、シリンダー筒体7の後端に後蓋体15が連接して一体化するが、記述したような、後端側の内周に螺子溝が螺刻されたシリンダー筒体7と、外周に螺子溝が螺刻された筒体挿入部16を螺合する他、連接に関してはどのような連接構造でもよい。
【0044】
シリンダー筒体7に内設されたピストン体23の本体部24の円穴24aには円筒シャフト30の基端側が挿入固設されている。反対側であるピストン体23の突出部25の多角穴25aに回り止め芯33が自由端側から嵌合挿通され、さらには円筒シャフト30の軸方向穴30aに前後動(摺動)可能に挿入されている。
【0045】
そして、後蓋体15の回動穴15bに回り止め芯33の基端側が回動自在に挿通される。回り止め芯33の基端側の円柱形状である押圧部34が後蓋体15の回動穴15bに嵌合されるため、回り止め芯33を含むシャフト部を回動させることができる。なお、回動穴15bには不図示のパッキン等の緩衝材を嵌着させている。具体的には、回り止め芯33が回動可能に挿通される空間である後蓋体15の回動穴15b(回り止め芯33穴)の内周面にパッキンを装着するための周溝を形成し、この周溝にパッキンを嵌着する。
【0046】
前蓋体10の穴10bから円筒シャフト30の先端側が前後動又は回動(摺動)自在に突出し、円筒シャフト30の先端にプランジャー20が連接して一体化する。円筒シャフト30とプランジャー20の連接に関してはどのような連接構造でもよい。例えば、先端側には外周に螺子溝が螺刻された円筒シャフト30と、内周に螺子溝が螺刻されたプランジャー20を螺合する等が挙げられる。
【0047】
円筒シャフト30は、シリンダー筒体7の後端を封止する後蓋体15の回動穴15bに回動自在に挿通された回り止め芯33に前後動(摺動)自在に挿入されているため、回り止め芯33に沿ってピストン体23、ピストン体23に固設された円筒シャフト30及びプランジャー20が前後動する。換言すると、回り止め芯33に沿って前後動するのはシャフト部のみで、回り止め芯33が前後動することはない。また、円筒シャフト30は前蓋体10の穴10bに回動自在かつ前後動自在に嵌入されているため、シャフト部を回動させることができる。
【0048】
前蓋体10の穴10bから前後動及び回動(摺動)自在に突出し、前蓋体10の穴10bを摺動するのは多角形状である回り止め芯33ではなく円筒シャフト30であるため、前蓋体10と円筒シャフト30の間には安価で耐久性があるパッキン14(ロッドパッキン・Vリング、Oリング等)を使用することができる。具体的には、円筒シャフト30が前後動又は回動可能に挿通される空間である前蓋体10の穴10b(円筒シャフト穴)の内周面にVリング等のパッキン14を装着するための周溝を形成し、この周溝にパッキン14を嵌着する。また、本発明の特徴の一つとして、部材同士が緩衝する箇所や密封性を必要とする箇所等においても安価で耐久性があるVリング、Oリング等のパッキンを使用することができる(パッキン10a、パッキン15a)。すなわち、全てのシールパッキンが一般的に市販されている円形状の物、例えば、Oリング、又は断面形状がU字形のU形パッキン、断面形状がV字形のV形パッキン等のリップパッキンが使われることを特徴としている。
【0049】
駆動部5、より具体的には後蓋体15には、シャフト部の円周方向への回動(ズレ)を固定する回動固定部18を備えている。具体的には、後蓋体15の側面から軸方向と略直交する直交方向にかけて固定穴部18a(ロックボルト穴等)を穿設(螺設)する。そして、固定穴部18aに挿通固定部材18b(ロックボルト等)を挿入(螺合等)することによって、軸方向と略直交する直交方向から挿通固定部材18bで回り止め芯33の押圧部34を押圧する。これにより、ピストン体23に嵌合挿通する回り止め芯33に挿入され、先端にプランジャー20を連接し、後端がピストン体23に固設する円筒シャフト30の回動を固定することができる。したがって、この回動固定部18により、シャフト部の前後動に伴う意に反するシャフト部の円周方向への回動(ズレ)を固定することができ、また、挿通固定部材18bを緩めることにより固定解除することができる。
【0050】
駆動部5と主管部60の中間に位置する継手部40は、3方向に別部材を連結する三又形状の分岐管継手で、前端にはカプラ50のケース52が嵌合しており、主管部60と駆動部5を直線状に連結する2つの連結口、具体的には、ケース52である主管部60との連結口(被挿入口52a)、駆動部5との連結口(被挿入口44)と、原料供給ホース(不図示)等を接続する原料供給口42とを備えている。
【0051】
継手部40は、その内部をプランジャー20が前後動する本体部41と、本体部41から分岐突出し、その内部を原料Xが圧入される原料供給口42に分けることができるが、原料Xを供給することができれば、三又形状でなくともよい。したがって、原料供給口42が本体部41から分岐突出していなくても、例えば、本体部41に開口していてここから原料Xを供給することができればよい。
【0052】
継手部40の材質は特に制限されないが、金属が挙げられる。かかる金属としては、例えば、アルミニウム、真鍮、鉄、ステンレスが挙げられる。
【0053】
主管部60は、基幹部3(継手部40)に脱着可能に連接する筒状体である。構成としては、本体部62とノズル口金部74に大別でき、本体部62の先端にノズル口金部74が連接して一体化されている。本体部62とノズル口金部74の連接に関してはどのような連接構造でもよいが、例えば、後端の挿入部74cの外周に螺子溝が螺刻されたノズル口金部74と、先端の被挿入口60cの内周に螺子溝が螺刻された本体部62を螺合する等が挙げられる。
【0054】
図2等で図示するように、本体部62は、外筒体63と、外筒体63に内設する内筒体64との一部二重管構造とし、外筒体63と内筒体64の間を充填エアが通る流路67としている。すなわち、主管部60は直径の僅かに異なる外筒体63、内筒体64の内外二重円筒より構成され、両筒体63、64の間には円筒状の流路67が形成されて充填エア経路の一部となっており、流路67の先端部では外筒体63と内筒体64は接合され、接合部に複数の小孔が穿設されてノズル出口69となっている。
図10のような外筒体63のみの単管構造でもよい。単管構造の場合は、充填エア供給管61が継手部40の本体部41から外筒体63(本体部62)の軸方向に内設されている。
【0055】
ノズル口金部74の前端面74aは発泡プラスチック100(成形品)に接する部材であるため、金型80や発泡プラスチック100等の形状に合わせた形状とする必要がある。したがって、金型80や成形品の形状に合わせるよう、
図8で図示したような平坦形状の他、
図10等で図示したような湾曲形状、
図1等で図示したような傾斜形状のいずれかを採択する。
図17、
図18、
図19の下で図示している原料充填機1のノズル口金部74の前端面74aは傾斜形状としている。
【0056】
ノズル口金部74の前端面74aは、部分的に平坦形状、湾曲形状、傾斜形状としてもよい。例えば、一部を平坦形状とし、他の部分を湾曲形状及び/又は傾斜形状としてもよく組み合わせは任意である。但し、後述するように、ノズル口金部74の前端面74aの形状とプランジャー20の前端面20aの形状は整合する必要がある。
【0057】
また、平坦形状のノズル口金部74にはもちろんのこと、湾曲形状又は傾斜形状のノズル口金部74には、金型80内の蒸気効率を高める等の目的で、ノズル口金部74の前端面74aから外周面74bにかけて外側蒸気溝77を形成することもできる。具体的には、前端面74aから軸方向に溝(スリット)が切り込まれることによって凹設され、前端面74a及び外周面74bに外側蒸気溝77が形成される構成が挙げられる。この外側蒸気溝77の数は問わず、例えば、複数個形成し、
図3(b)で図示したように、周方向に等間隔で八個を放射状に形成してもよい。なお、本体部62の前端にノズル口金部74を螺合する構成等の場合、本体部62の先端にノズル口金部74を締め付けるため、また、本体部62の先端に締め付けているノズル口金部74を脱着するため、スパナやレンチ等の締め付け工具の先端が係合できるような窪み(不図示)を本体部62に備えてもよい。
【0058】
主管部60の挿入口70の形状は、カプラ50のケース52の被挿入口52aの形状に嵌合させる必要があるため、
図2で図示する主管部60は複数の段部で構成され、後端側から第一段部、第二段部、第三段部としている。また、段部を設ける構成の他、ケース52の被挿入口52aの形状に嵌合すれば、
図11で図示した主管部60のように段部を設けない構成であってもよい。
【0059】
主管部60内の気密性を保つためにプランジャー20にはプランジャー用パッキン22を内設するのが望ましい。具体的には、プランジャー20の外周面20bにプランジャー用パッキン22を装着するための周溝を形成し、この周溝にプランジャー用パッキン22を嵌着する。プランジャー用パッキン22は、テフロン(登録商標)パッキンが望ましいが、シール機構を備えるものであればOリング等であってもよい。
【0060】
主管部60の材質は特に制限されないが、金属が挙げられる。かかる金属としては、例えば、アルミニウム、真鍮、鉄、ステンレスが挙げられる。
【0061】
主管部60と基幹部3(継手部40)は、継手部40のケース52の被挿入口52aに主管部60の後端側の挿入口70が挿入され、カプラ50を介在して脱着可能に連接する。このカプラ50によって主管部60と基幹部3との連接及び分離が容易となる。
【0062】
近年の成形品としては、バンパーの芯材、タイヤケース、ドアトリム等の車部品等が多い。これら車部品等は、量産体制に至るまでの試作段階では何度も設計変更が行われ、その都度原料充填機1の変更があり得るが、このような場合、基幹部3と主管部60が一体式の原料充填機1の場合、原料充填機1全体を取り換える必要がある。しかしながら、本発明のように基幹部3と主管部60をワンタッチで脱着できる構造であれば、基幹部3はそのまま使用し、主管部60とプランジャー20のみを取り換えればよく便利である。
【0063】
すなわち、金型80や原料Xや充填方法等の変更があっても、金型80にセットする主管部60のみを交換すれば、駆動部5とこれに接続されている継手部40からなる基幹部3は同一のものをそのまま継続して使用することができる。この結果として、原料充填機1交換の際の負担は著しく軽減され、また作業時間も短縮される。
【0064】
原料供給ホースや充填エア導入管は全て交換不要の基幹部3(継手部40)に接続されているので、従来の充填機の交換の際に大きな問題となっていたホース等の錯綜もなくなり、作業時の危険性も大きく減少する。
【0065】
したがって、基幹部3と主管部60の接合がカプラ50を介してワンタッチで行え、しかも確実に接続されるので、迅速に、しかも安定的に充填作業が行える。このように本発明は、基幹部3と主管部60をワンタッチで脱着できる構造であるが、カプラ50や駆動部5において回動(ズレ)を防止する機構を備えている。
【0066】
なお、このカプラ50は、挿入する主管部60側をプラグ型のオス型コネクタと、挿入される基幹部3(継手部40)側をソケット型のメス型コネクタとも称呼することがある。基幹部3側に備えたメス型コネクタは、周知の構造を採用することができる。具体的には、下記のとおりである。
【0067】
基幹部3(継手部40)の前端にはカプラ50のケース52が嵌合されているが、このケース52の外周にはコイルバネ59を介して軸方向に摺導自在のスライダー57が嵌装されている。また、ケース52の内周面にはテーパー状の保持溝54を等間隔に複数個設け、これらの保持溝54に球55を出没自在に保持させている。コイルバネ59の付勢力によりスライダー57が止め輪56の位置まで移動すると、スライダー57の環状凸部58によって各球55が押圧された状態となり、球55の一部がケース52の内周面から出現し、埋没不可となる。この状態がメス型コネクタのロック状態である。
【0068】
主管部60の挿入口70の外周面60aには複数個の球状凹部72を設けている。具体的には、主管部60の挿入口70の外周面60aの円周方向に一列に設けている。この部分をオス型コネクタとし、本発明の特徴点の一つである。
【0069】
球55の一部と球面嵌合する球状凹部72は、球55の数と均等であっても、均等でなくてもよい。例えば、球55の数より多く設け、球55の数の倍数としてもよい。球55の数よりも多い球状凹部72とすることにより、基幹部3の円周方向の向きを任意に調節、変更等することができる。
【0070】
スライダー57をコイルバネ59の付勢力に反して押し下げると、スライダー57の環状凸部58によって押圧されていた球55がテーパー状の保持溝54内で埋没可能となる。この状態がメス型コネクタのフリー状態であり、この状態において主管部60を基幹部3に挿入する。主管部60と基幹部3の連接の具体的な操作について説明する。
【0071】
まず、カプラ50のスライダー57を手動により後退させた状態を保持しつつ主管部60の挿入口70をカプラ50のケース52の被挿入口52aに挿入する。この際、球55は保持溝54内で埋没(遊動)自在となっており、コイルバネ59は、スライダー57を後退させているので圧縮状態にある。
【0072】
主管部60の挿入口70がケース52の被挿入口52aに充分挿入されると、主管部60の各段部とケース52の被挿入口52a内の各段部が嵌合し、主管部60はこの位置で停止し、球55の一部は主管部60に設けられた球状凹部72に球面嵌合された状態となる(
図14等)。主管部60の停止を確認後、スライダー57を放離すると、コイルバネ59の反発力によりスライダー57はケース52上を前進摺動し、スライダー57が止め輪56に係止された状態で停止する(
図1等)。以上にて、基幹部3と主管部60の連接接合は完了する。
【0073】
以上の構成から、メス型コネクタの球55の一部(被挿入口52aであるケース52の内周面から突出)がオス型コネクタの球状凹部72に球面嵌合することで、主管部60と基幹部3(継手部40)がロック状態となる。すなわち、球状凹部72に隙間なく球55の一部が球面嵌合することにより、主管部60と基幹部3(継手部40)が連接され、かつ、主管部60と基幹部3(継手部40)との回動が防止される。
【0074】
ちなみに、従来のオス型コネクタの溝は、主管部210に穿設された台形状の環状凹部201に球200が嵌合することにより、所謂「点接触」であるといえ、環状凹部201の「点接触」部分が変形し易いが、本発明は球面嵌合であるため、このような変形がなく、耐久性が大幅に良くなる(
図13、
図14参照)。また、球200が嵌合する環状凹部201は「環状」であるため、主管部210が回動することがある。
【0075】
次に主管部60と基幹部3の分離の具体的な操作について説明する。
【0076】
スライダー57をコイルバネ59の付勢力に反して押し下げることによって、スライダー57の環状凸部58によって押圧されていた球55を保持溝54内で埋没(遊動)可能とし、主管部60と基幹部3(継手部40)がフリー状態となる。このように、球状凹部72から球55の一部が離脱できる状態とすることにより、主管部60と基幹部3(継手部40)が分離可能となる。すなわち、フリーの状態を保持したままで主管部60をケース52内より抜脱すると球55の一部は球状凹部72より外れ、主管部60は基幹部3より分離される。
【0077】
主管部60と基幹部3の位置調節及び固定、より具体的には、プランジャー20とノズル口金部74の位置調節及び固定について説明する。
【0078】
主管部60(ノズル口金部74)の前端面及びプランジャー20の前端面が湾曲形状又は傾斜形状の場合は、主管部60の吐出口79をプランジャー20で封止した状態において、主管部60の前端面74aとプランジャー20の前端面20aが面一となるようにプランジャー20と主管部60の位置調節、すなわち、主管部60(ノズル口金部74)の前端面74aとプランジャー20の前端面20aを面一とするための形状合わせを行うため、プランジャー20を回動させる。
【0079】
また、プランジャー20に内側蒸気溝21が形成され、ノズル口金部74に外側蒸気溝77が形成されている場合は、プランジャー20の前端面20aから外周面20bにかけて形成されている内側蒸気溝21と、ノズル口金部74の前端面74aから外周面74bにかけて形成されている外側蒸気溝77とを直線状に連通させるために、プランジャー20を回動させる。
【0080】
主管部60(ノズル口金部74)の前端面及びプランジャー20の前端面が平坦形状の場合は、主管部60の吐出口79をプランジャー20で封止した状態において、主管部60の前端面74aとプランジャー20の前端面20aが面一となり、かつ、外側蒸気溝77と内側蒸気溝21が直線状に連通し蒸気通路が形成されるようにプランジャー20と主管部60の位置調節、すなわち、主管部60(ノズル口金部74)の前端面74aとプランジャー20の前端面20aを面一とするための形状合わせを行うため、プランジャー20を回動させる。
【0081】
具体的には、ピストン体23を介してプランジャー20と連動(回動)する回り止め芯33の基端端面35のドライバー溝37にドライバー110等を押し付け、回動させることによって、プランジャー20とノズル口金部74の位置を調整する。すなわち、回り止め芯33は自由端側からピストン体23の多角穴25aに嵌合挿通されており、さらにはその前の円筒シャフト30の軸方向穴30aに挿入されているが、ピストン体23の多角穴25aに嵌合しているため、回り止め芯33を回動させると同時にピストン体23、ピストン体23に固設されている円筒シャフト30、さらにはその先端に連接するプランジャー20も回動する。
【0082】
このように、回動固定部18を備えた駆動部5を分解すること無く外部から簡単にドライバー110等で円筒シャフト30(プランジャー20)の位置を回動調節することが出来る。なお、回り止め芯33の基端側にはネジ溝を螺刻し、このネジ溝に座金を介してナット38を螺合させてもよい。
【0083】
位置調節、形状合わせの完了後、この状態を維持するため、回動固定部18を利用して先端にプランジャー20を連接した円筒シャフト30の回動を固定する。プランジャー20の位置を固定する場合は、固定穴部18aに螺合する挿通固定部材18bを回転させ、この挿通固定部材18bの先端部18b1で回り止め芯33の基端側の円柱形状の押圧部34を押し付け緊締することによって回り止め芯33、そしてピストン体23を介して連なる、先端にプランジャー20が連接された円筒シャフト30が位置固定されることとなる。これにより、プランジャー20を含む円筒シャフト部の意に反する円周方向の回動(ズレ)を規制できる。また、外側蒸気溝77及び内側蒸気溝21に関しては、プランジャー20の内側蒸気溝21をノズル口金部74の外側蒸気溝77と直線状に連通させるためシャフト部を円周方向へ回動し、内側蒸気溝21と外側蒸気溝77が直線状に連通する位置でプランジャー20を含む円筒シャフト部を固定させるため、挿通固定部材18bを緊締することによって、プランジャー20を含む円筒シャフト部の意に反する円周方向の回動(ズレ)を規制できる。
【0084】
本発明による発泡プラスチック100の成形は、金型80のキャビティ85(メス型82の空間)及びコア86(オス型81の空間)内に本発明を利用して原料Xを充填し、その後、金型80を蒸気加熱(及び冷却)し、発泡プラスチック100を完成させる。この本発明を利用して発泡プラスチック100を成形する工程について説明する。
【0085】
まず、本発明の金型80(例えば、メス型82)への取り付けの一例について説明する。主管部60(ノズル口金部74)の前端面74aとプランジャー20の前端面20aを面一とし円筒シャフト30の回動を固定した状態で、主管部60をメス型82の裏面82aからメス型82内に挿通し、メス型82側のキャビティ85(オス型81の場合はコア86)に通じる原料充填口83にノズル口金部74を装着する。そして、主管部60の外周面60aに嵌着した取付具を介してメス型82に本発明を取り付ける(
図19参照)。これにより、メス型82への本発明の取り付けが完了する。なお、メス型82の原料充填口83にノズル口金部74を装着する際、ノズル口金部74の前端面74aとメス型82の表面82b(キャビティ85側の面)は略面一とするのが望ましい。
【0086】
以上により原料充填機1の金型80への取り付けが完了するので、以後は通常の工程にて金型80への原料の充填を行う。この際、原料Xの充填中はプランジャー20が最後退位置にある(
図1等参照)。
【0087】
原料Xの充填について説明する。まず、加圧気体である充填エアの充填を開始する。継手部40の本体部41の先端に嵌合するカプラ50を構成するケース52には、加圧気体である充填エアを供給するための充填エア供給口53を設けており、基幹部3と主管部60の連接接合した状態においては、充填エア供給口53、主管部60のノズル入口65、流路67、ノズル出口69、ノズル口金部74内、そしてノズル口金部74の吐出口79から金型80内へ連通する充填エア経路が形成される。すなわち、流路67と、充填エアが入るノズル入口65、充填エアが吐出されるノズル出口69が連通しており、エアコンプレッサから供給される充填エアは、ノズル入口65から入った充填エアが流路67を通ってノズル出口69、そしてノズル口金部74内を通って吐出口79から吐出される。
【0088】
次に、ホッパーから原料供給ホース等を介して本発明の原料供給口42から原料Xが圧入供給される。発泡プラスチック(成形品)100の原料が供給される入口である原料供給口42は、継手部40の本体部41内、主管部60の本体部62内、ノズル口金部74内、そしてノズル口金部74の吐出口79から金型80内へ連通し、これら全てが連通する原料経路が形成される。したがって、充填エアがノズル口金部74の吐出口79から金型80内へ吐出されている状態において、原料Xが原料充填機1内に供給される。
【0089】
このように、充填エアがノズル口金部74の吐出口79から金型80内へ吐出中に原料Xが原料供給口42へ供給されるため、原料Xが継手部40の本体部41内、主管部60の本体部62内に至り、そして、吐出口79から充填エアを介して金型80内へ吐出される。
【0090】
図10で図示した単管構造の場合は、充填エア供給管61が本体部62の軸方向に内設されているが、充填エアはこの充填エア供給管61を通って吐出口79から吐出される。具体的には、充填エア供給管61のノズル入口61aから入った充填エアが流路61bを通ってノズル出口61cから吐出され、ノズル口金部74内を通って、吐出口79から吐出される。これにより吐出口79から充填エアを介して金型80内へ原料Xが吐出される。
【0091】
なお、充填エア供給口53には、エアコンプレッサ等の空気圧送手段(不図示)からの充填エアを送るための充填エア導入管(不図示)等が装着されるが、エルボ(L型配管継ぎ手)等を介して充填エア導入管を装着してもよい。
【0092】
金型80内へ原料Xの充填が完了すると、ピストン体23を前進させてプランジャー20をノズル口金部74の前端部に位置させ、ノズル口金部74の吐出口79をプランジャー20により封止し、金型80への原料供給を停止させる。なお、ピストン体23の進退動は、後蓋体15の前進用エア供給口17より空気を圧入すればピストン体23はシリンダー筒体7内を摺動前進し、前蓋体10の後進用エア供給口13より空気を圧入すればピストン体23はシリンダー筒体7内を摺動後退する(
図5の矢印参照)。
【0093】
ノズル口金部74の吐出口79をプランジャー20により封止した状態においては、原料Xは勿論のこと、充填エアも吐出口79から吐出することがなくなる。この状態において充填エア供給口53から充填エアを充填し続けると、充填エアがUターンして主管部60の本体部62内を逆流し、主管部60の本体部62内に残存する原料Xが、Uターンした充填エアの流れによって原料供給ホース内の原料Xと共にホッパー内に環流されるブローバック(吹き戻し)がなされる(不図示)。
【0094】
次に、原料Xの充填が完了した金型80内の蒸気加熱について説明する。なお、既述したように、蒸気加熱する際は、主管部60の前端面及びプランジャー20の前端面が湾曲形状、傾斜形状、平坦形状のいずれであっても、主管部60の前端面とプランジャー20の前端面は面一である。
図1、
図8、
図10等で図示したように、側面から見た主管部60の前端面とプランジャー20の前端面は形状が同じであり、プランジャー20が前進し主管部60の吐出口79をプランジャー20で封止した状態においては主管部60の前端面とプランジャー20の前端面が面一となることが明らかである。
【0095】
金型80のメス型82やオス型81には、複数の蒸気口(不図示)が設けられており、蒸気供給手段(不図示)から供給される蒸気がこれらの蒸気口を通って蒸気室87、原料充填機1を介してキャビティ85及びコア86内に吐出され、金型80内の発泡プラスチック(成形品)100を蒸気加熱する。
【0096】
発泡プラスチックの成形においては、原料充填機1は熱容量が大きく加熱不足となりやすいため、金型80内に直接蒸気加熱できるように主管部60の先端や主管部60の開口を封じるプランジャー20の先端にスリット(蒸気溝)を設けることがある。本発明では主管部60のノズル口金部74の外側蒸気溝77と基幹部3のプランジャー20の内側蒸気溝21が直線状に連通した状態で固定し、主管部60と基幹部3との意に反する回動(ズレ)を防止することができる機構、及び、プランジャー20の意に反する回動(ズレ)を防止する機構によって、より金型80内の蒸気効率を高めることができる。
【0097】
金型80内への原料充填完了後、金型80の蒸気室87に蒸気を供給すると、蒸気室87内の蒸気が蒸気室87と連通している原料充填機1の主管部60のノズル口金部74の外周面74bの外側蒸気溝77から入り、さらには、この外側蒸気溝77と直線状に連通しているプランジャー20の外周面21bの内側蒸気溝21に入り、前端面21aの内側蒸気溝21に至る。このような蒸気の経路を介してキャビティ85及びコア86内に蒸気が供給され、金型80内の発泡プラスチック(成形品)100を蒸気加熱する。これにより、金型80内の発泡樹脂粒子を十分均等に加熱することができる。もちろん、ノズル口金部74の前端面74aの外側蒸気溝77や、外側蒸気溝77と内側蒸気溝21の間に形成される内周溝90からも蒸気が金型80内へ供給されることもある。なお、
図19では、一の金型80に本発明の原料充填機1と従来例の原料充填機220を設置し、本発明の原料充填機1での蒸気の流れと従来例の原料充填機220での蒸気の流れを図示している。本発明の原料充填機1では金型80のより内部に均一に浸透する(
図18参照)。
【0098】
以上のとおり、主管部60の吐出口79をプランジャー20で封止した状態において、主管部60の前端面74aとプランジャー20の前端面20aが面一となるようにプランジャー20と主管部60の位置調節、すなわち、主管部60(ノズル口金部74)の前端面74aとプランジャー20の前端面20aを面一とするための形状合わせを行った状態で、主管部60と基幹部3の意に反する回動(ズレ)を防止することができる機構、及び、プランジャー20の意に反する回動(ズレ)を防止する機構によって金型内における原料X(予備発泡粒等)の均一な融着が可能となり、成形品の品質向上を図ることができる。また、主管部60のノズル口金部74の前端面74aから外周面74bにかけて形成した外側蒸気溝77と、基幹部3のプランジャー20の前端面20aから外周面20bにかけて形成した内側蒸気溝21が直線状に連通した状態で、主管部60と基幹部3の意に反する回動(ズレ)を防止することができる機構、及び、プランジャー20の意に反する回動(ズレ)を防止する機構によって金型80内に直接蒸気加熱でき、より金型80内の蒸気効率を高めることができる。
【0099】
以上、各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態に記載の技術、または、その他の公知や周知の技術を組み合わせるようにしてもよい。
【0100】
なお、各図において各実施形態を示したが、図を分かり易くする等のために、一部構成を省略、簡略化、透視化した部分を含むため、本発明は図示した実施形態のみに限定されるものではない。また図面中で断面のハッチングを省略した箇所もある。
【0101】
外側蒸気溝77の溝及び内側蒸気溝21の溝の形状(一部を曲面やテーパーとする等)や深さ等は問わない。また、各溝は一律同じ深さでなくてもよい。
【0102】
回動固定部18に関しても、プランジャー20を連接した円筒シャフト30の回動を固定することができれば構造等は問わない。また、押圧部34及び/又は挿通固定部材18bの先端部18b1に溝や凹凸等を設けてもよく、ゴム等の滑止材を設けてもよい。
【0103】
原料充填機1の構造、形状、金型80の構造、形状等は、本発明の効果を奏する物であれば限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】前端面がテーパー状のプランジャー及びノズル口金部を連接した原料充填機の断面図である。
【
図3】プランジャー、ノズル口金部の前端面図で、(a)は内側蒸気溝が形成(凹設)されたプランジャーの前端面図である。(b)は外側蒸気溝が形成(凹設)されたノズル口金部の前端面図である。(c)はノズル口金部の外側蒸気溝とプランジャーの内側蒸気溝が直線状に連通した状態を表した前端面図である。
【
図6】
図5の断面図で、(a)はA断面図、(b)はB断面図である。
【
図7】回り止め芯の後端側の図で、(a)は側面図、(b)は後端端面図である。
【
図8】前端面が平坦状のプランジャー及びノズル口金部を連接した原料充填機で、主管部と基幹部が連接前の分離状態の一部断面図である。
【
図10】単管構造で、充填エア供給管が継手部及び外筒体の軸方向に内設されている原料充填機の一部断面図である。
【
図13】従来例のカプラ構造により、主管部の環状凹部に基幹部の球を嵌合した主管部と基幹部の連接状態を表した拡大図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図14】本発明のカプラ構造により、主管部の球状凹部に基幹部の球が球面嵌合した主管部と基幹部の連接状態を表した拡大図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図15】プランジャーの内側蒸気溝とノズル口金部の外側蒸気溝が連通していない状態の前端面図である。
【
図16】
図15の状態で金型に設置し蒸気の流れを表した模式図である。
【
図17】プランジャーの内側蒸気溝とノズル口金部の外側蒸気溝が連通した状態の前端面図である。
【
図18】
図17の状態で金型に設置し蒸気の流れを表した模式図である。
【
図19】一つの金型に
図15及び
図17で図示した状態の原料充填機を設置し蒸気の流れを表した模式図である。
【符号の説明】
【0105】
1:原料充填機
3:基幹部
5:駆動部
7:シリンダー筒体
8:前動用空気室
9:後動用空気室
10:前蓋体
10a:パッキン
10b:穴
11:継手挿入部
12:筒体挿入部
13:後進用エア供給口
14:パッキン
15:後蓋体
15a:パッキン
15b:回動穴
16:後蓋体挿入部
17:前進用エア供給口
18:回動固定部
18a:固定穴部
18b:挿通固定部材
18b1:先端部
20:プランジャー
20a:前端面
20b:外周面
21:内側蒸気溝
22:プランジャー用パッキン
23:ピストン体
24:本体部
24a:円穴
25:突出部
25a:多角穴
28:パッキン
30:円筒シャフト
30a:軸方向穴
33:回り止め芯
34:押圧部
35:基端端面
37:ドライバー溝
38:ナット
40:継手部
41:本体部
42:原料供給口
44:被挿入口(駆動部との連結口)
50:カプラ
52:ケース
52a:被挿入口
53:充填エア供給口
54:保持溝
55:球
57:スライダー
56:止め輪
58:環状凸部
59:コイルバネ
60:主管部
60a:外周面
60c:被挿入口
61:充填エア供給管
61a:ノズル入口
61b:流路
61c:ノズル出口
62:本体部
63:外筒体
64:内筒体
65:ノズル入口
67:流路
69:ノズル出口
70:挿入口
72:球状凹部
74:ノズル口金部
74c:挿入口
74a:前端面
74b:外周面
77:外側蒸気溝
79:吐出口
80:発泡プラスチック成形用金型(金型)
81:オス型
81b:表面
82:メス型
82a:裏面
82b:表面
83:原料充填口
85:キャビティ
86:コア
87:蒸気室
88:取付具
90:内周溝
100:発泡プラスチック(成形品)
110:ドライバー
200:球
201:環状凹部
210:主管部
220:従来例の原料充填機
X:発泡プラスチックの原料(原料)
【要約】
【課題】 発泡プラスチックの製品の成形において、傾斜や曲面のある部分で原料充填を行う場合、その金型形状に合わせた前端形状の原料充填機が必要であり、従来は主管部と基幹部が一体形のものが使われていた。
【構成】 本発明の原料充填機は、主管部と基幹部とが分割出来かつ形状が維持できる様に各機能部分である接続カプラ(主管部)、シリンダー(駆動部)に回動を固定する構成を備えたことを特徴とする、形状合わせ分割式発泡プラスチックビーズの原料充填機である。
【選択図】
図1